05/12/21 第26回労働政策審議会職業能力開発分科会議事録 第26回労働政策審議会職業能力開発分科会 日時:平成17年12月21日(水)16:00〜 場所:厚生労働省5号館17階 専用第21会議室 ○今野分科会長 ただいまより、第26回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。本 日は、所用により江上委員、玄田委員、黒澤委員、中馬委員、小栗委員、中村紀子委員、草浦委員 がご欠席です。  議事に入る前に、職業能力開発分科会の下におかれている「若年労働者部会」に所属する臨時委 員の交替がありましたので、ご報告いたします。分科会におかれる部会に属する臨時委員等につい ては、労働政策審議会で第7条第2項の規定により、分科会長の私が指名することとなっておりま すので、事前に指名した委員をご紹介いたします。労働者側代表委員として、これまで日本労働組 合総連合会の村上委員と奥島委員が就いておられましたが、お二人に替わって、同じく日本労働組 合総連合会の末永委員と久保委員の2名を指名いたしました。なお、ご参考までに資料1として交 替後の名簿をお配りしておりますので、ご参照ください。  まず、本日の議題はこれまでの議論を踏まえた総括的な議論ですが、前回までの議論を踏まえて 事務局に分科会報告案を作成いただいておりますので、まず事務局から報告いただきたいと思いま す。 ○村山調査官 一言申し上げますが、本来は総務課長の杉浦からご説明申し上げるべきところです が、政府予算案の最終的なとりまとめ作業のため、ちょっと遅れてまいる予定ですので、大変恐縮 ですが、私から代わって読上げと説明をさせていただきます。お手元の資料の2ですが、慣例によ り、まず読上げをいたします。 (資料の2読上げ)  続いて資料の2−2で、前回からの変更点に下線を付した資料をお配りしていますので、主な変 更点についてのみ、ごく簡単に説明申し上げます。  「1 職業キャリアをめぐる課題」の最初のまとまりの最後のところ、「職業能力開発政策として」 に線が引いてありますが、この章が課題の章であるという位置付けを明確化すべきであるというご 意見を踏まえた措置です。続いて、イでいくつか表現を修正しています。最初に、「いわゆる正社 員としての採用が抑制基調で推移するとともに」ですが、前回は「正社員としての採用の絞り込み」 という表現を使っていましたが、適切ではないのではないかというご意見もありましたので、この ようにしたいと思います。それから「指定校制度や一人一社制が変容し」となっていますが、前回 は「抜本的に見直しされつつあり」と書いていました。そこまでの価値判断を入れた表現もいかが なものかというご意見がありましたので、「変容し」としました。次の線は、最初「こうした中で」 と書いていましたが、文章のつながり上、「こうした中で」とすると、ニートやフリーターが増え ることが、企業側の採用行動の変化からもっぱらきているように見えるというご意見もあったこと、 全体を受けることを明確化する必要があること、雇用情勢の影響も大きいというご指摘があったこ とを受けて、「こうした若年者を取り巻く状況の変化や」で、全体を受けた上で、「近年の厳しい 雇用情勢が相まって」という表現にしました。  2頁目では少し構成を見直した所がございます。具体的には、ロの(イ)と(ロ)です。初め、 これは並列で、ロ、ハの形で書いておりましたが、そうすると企業内における能力開発とその後に 3頁目の、企業の枠を超えた課題とが、分け方がよくわからなくなるというご指摘がありましたの で、大きなロ「企業内における能力開発をめぐる諸課題」とした上で、(イ)で、企業の実施する 職業能力開発、(ロ)労働者自ら行う職業能力開発としました。(イ)で、具体的な表現の修正で すが、「停滞傾向」に線があり、停滞していると断定していましたが、ちょっと強過ぎるのではな いかというご意見がありましたので、「停滞傾向がみられる」としました。次の「教育訓練投資が 重点化されている」ですが、「従業員を絞り込んで教育訓練を実施する」の表現ぶりを修正したも のです。その下の「重点化を図る傾向」も、同じような趣旨の修正です。  3頁目です。最初に出てくる在職者の話で、「社会人大学や大学院等で専門的知識を習得しても」 のところ、前回の「処遇に反映されにくい」では、労使自治のことに入り過ぎではないかという話 がありましたので、「評価」としました。また、その後「隘路になっている」の表現ぶりをもう少 し中立的なものにすべきであるというご指摘があり、このようにしました。その後、「今後とも」 に線がありますが、中身を変えているものはなく、ここでの課題をとりまとめた所です。これが、 前回はわりと前のほうに出ていて、ちょっと座りが悪いので後ろに持ってくるべきというご意見が あり、位置を後ろに移動しました。  前回のご意見を踏まえて、いちばん修正したのはハです。前回は、「職業キャリアのやり直し」 ということで、全体を括っていました。これについては、そもそも育児や介護による中断があった 後の再開は、「やり直し」と言うのは不適当というご意見があり、それをきっかけにして、自発的 なものから、育児・介護のような仕事と生活の調和みたいな話や、また失業等で余儀なくされるも のなど、いろいろなものをあまりにも並列的に盛り込み過ぎているというご示唆があり、少し精査 ・整理するようにというご指摘がありました。合わせて「やり直し」という表現については見直す ようにというご示唆がありました。それを踏まえて、まず全体としては、「再構築や新たな展開を めぐる課題」とした上で、「まず」では、失業や技術・技能の陳腐化ということ、職業キャリアの 中断を余儀なくされるということ、「また」ではライフスタイルの多様化の問題に伴うこと、さら に、その中で特にこういった人たちすべてが円滑に再開するというわけでもないというご示唆もあ り、「その再開を希望する場合に」という言葉を入れています。その上で「加えて」の所で、転職 や起業などの話ということで、それぞれ整理したものです。合わせて、全体を通じてサービス経済 化や高度情報化といった大きな変化を少し踏まえたところも盛り込んだほうがいいのではないかと いうご指摘がありましたので、ハの冒頭にそうした記述を入れ込んでいます。  4頁目については、前回は「高付加価値製品の生産」としていましたが、サービス業においても こういう問題が起っているというご指摘と、その一方で、やはりこれは基本的にものづくりの分野 における問題であるというご指摘と両方ありましたので、「高付加価値製品の生産をはじめとする ものづくりや質の高いサービスの提供」と、両方のご意見を取り入れる形にしました。  5頁目で印は付けていませんが、「日本版デュアルシステム」から「実践型人材養成システム」 のところは、趣旨は何も変えておりませんが、前回ちょっと一文が長くて読みづらいというご指摘 もありましたので、「日本版デュアルシステム」については、必要な見直しを行いつつ推進すると ともに、さらに今回のご審議を踏まえての発展形として、「具体的には」ということで段落を換え る形で整理したところです。  7頁目の内容は変えていませんが、順番として、前回は「キャリアコンサルティング」を先に書 き、その後に、環境整備措置の中でも時間や休暇のことを書いていましたが、直接的な雇用管理面 の話がまずあって、それから環境整備も含めたキャリアコンサルティングの話のほうが、全体とし て整理がつくのではないかというご示唆がありましたので、順番を入れ換えたものです。また、キ ャリアコンサルティングに関しては、国が行う措置が最初にきて、その後に事業主に措置していた だく、配慮していただくことを書いていましたが、これも順番が逆ではないかというご示唆があり ましたので、入れ換えたものです。内容は特段変えているものでございません。  (2)の技能継承では、中小企業のニーズを踏まえた支援策にすることが重要だという強いご指 摘がございましたので、その点を入れました。  8頁目で、最初の線を引いた部分の「計画期間における労働力需給等の見通しや」で、例えば産 業別の就業構造変化とか、あるいは失業率とかそういったことをも十分踏まえながら、中期的な見 通しを持ってやっていくことは大変重要であるというご指摘がございましたので、その趣旨を踏ま えて、このような言葉を入れました。「若者自立・挑戦プラン」の所ですが、内容は変えていませ んが、特に、この自立・挑戦プランに基づくアクションプランに基づいて、国民各層が一体となっ た取組みを推進する「若者の人間力を高める国民会議」において、宣言をお出しになられています。 本分科会にご出席、各関係の先生方あるいは団体の皆様にも、ご参画いただいていたところですが、 そうした宣言も出ているので、それにも言及すべきだというご意見もあり、そのことに触れた上で、 その関係で少し整理しました。線を引いていなくて恐縮ですが、その上で8頁目の3(○の中に3) 「自立支援・就労支援を行うNPO」の後に、それを支える人材や人材の育成についての重要性も 触れるべきだというご提起をいただき、新しく追加したところです。  9頁目です。第7次の職業能力開発基本計画でずっと取り組んできた情報通信分野とか福祉分野 の拡大といったことについて、今後もこれを踏まえてさらに考えていく必要があるというご示唆も あり、それを反映した公共職業訓練の状況等についても前回ご報告申し上げ、ご理解もいただいた ところです。そうした経緯も踏まえ、2(○の中に2)の頭のところを少し膨らませています。3 (○の中に3)は、前段の課題のところでの整理に合わせて平仄をとって整理したものです。  9頁目の下のほうは、パートや派遣あるいは請負の労働者など働き方の多様化が非常に進んでい る中での職業能力開発をめぐる課題について、第8次計画で十分審議すべき非常に重要な課題であ るという前回のご指摘を踏まえて、このような表現ぶりにしたものです。  10頁目の「障害者、母子家庭の母など」の後ですが、ここは従来「特別な配慮を必要とする者」 という書き方をしていましたが、昨今の施策の大きな流れを踏まえて、「自立に向けた支援」とい うほうが適切ではないかというご指摘がありましたので、それを踏まえて修正しました。  最後に目標管理については、この事業の利用度や成果にかかる実績もきちんと踏まえた上で実施 すべきであるという強いご指摘をいただいたことを踏まえ、これを盛り込んだところです。  変更点の説明は以上です。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。 ○今野分科会長 ありがとうございました。ただいまの分科会報告案について、ご意見なりご質問 をお願いいたします。ほかに資料がいろいろあるのですが、これは後から使うのですか。 ○村山調査官 前回のご議論の中で、基礎的な資料はきちんと毎回つけて、質問のときに参照でき るようにというご指摘がございましたので、法律の概要とか、言及しているデータとか、そういっ たものについて取り揃えたもので、主だったデータということでご活用、あるいはご参照いただけ ればありがたいと思っております。 ○今野分科会長 大分議論したことを踏まえて整理をしているのですが、何かございませんか。 ○鈴木(正)委員 いまご説明の資料の2で、この中に言葉で出てはくるのですが、実際に法改正 に結びつくところをきちんともう一度整理した上で、全体の、具体的にこの部分だとこれがこうな るというような所を、確認させていただければと思います。 ○村山調査官 ご説明申し上げます。この形でもしご報告いただき、建議いただければという仮定 付きの話であることはもちろんですし、また法技術的な検討なども当然あり得る話だという限定付 きではありますが、この報告書の内容を踏まえて、まず職業能力開発促進法の改正項目として考え られるような点についてご説明いたします。  まず第1点目が、報告書の5頁目から<「実践型人材養成システム」>の創設の柱の2の(1) イで始まっています。その6頁目に、「職業能力開発促進法に規定する事業主の行う多様な」の表 現があります。そこにあるように、まず実践型人材養成システムについて、事業主の行う多様な職 業訓練を新たな形態として法律上位置づけることが考えられます。それから、その下で「同法に基 づく指針において」となっており、そうした実践型人材養成システムが適切かつ有効に実施される ような法的根拠規定を設けることが考えられます。さらに、その下で、「実践型人材養成システム」 のうち、若年求職者の就職促進策として有効であると認められるものについては、支援策を講じる ことが適当と書いており、そうした有効であると認められるものについての一定の基準なり、それ を認めるためのスキームを置いた上で、そうしたものを積極的にやっていただく事業主を支援する ような法律上のスキームを設けることが考えられるものと考えております。それが第1点目、実践 型人材養成システムの関係です。  続きまして、6頁のいちばん下からキャリアの支援措置の話についてです。労働者の職業キャリ ア支援に関しては、具体的には7頁目です。職業能力開発促進法における事業主の環境整備措置と して、現在も法の10条の2や10条の3に、有給教育訓練休暇等の規定がありますが、それに加え て勤務時間への配慮とか、あるいは退職後の再就職・就業や地域活動等に向けた準備のための休暇 などについて例示することが考えられます。その上で、支援措置のほうは省令等あるいは予算措置 に基づく支援措置ということになりますが、それを支援するような枠組みについても同時並行で整 備していくというようなことであります。またキャリアコンサルティングの関係の体制の整備等に ついても法令に規定することが考えられるのではないかと考えております。  3点目ですが、その下の(2)ロで、事業所内における熟練技能を習得しやすい環境の整備につ いて整理しています。7頁目のいちばん下から8頁目にかけてです。そこにあるように、職業能力 開発促進法に事業主にそうした123(○の中に1,2,3)のような措置を講ずることを促すよ うな規定を設けることが考えられるのではないかと考えております。これらは主な能力開発促進法 の関係の改正事項として考えられるところで、それに伴って、例えば基本理念とか、そうしたとこ ろについて必要な手当てを講じることが考えられるのではないかと考えております。 ○今野分科会長 これが認められればですが、その法律改正は今後、大体どんな手順になるのです か。 ○村山調査官 本分科会あるいは労働政策審議会との関係でお答えします。まず、法案の要綱を、 私どものほうで政府部内でいろいろ調整しながら作っていって、まとまった段階でこの分科会にお 諮りをし、きちんと建議への趣旨に沿ったものになっているかどうかを改めてチェックをかけてい ただきたいと思っております。その上で、もし仮に妥当であるというご答申をいただければ、その 方向で立法作業のほうを具体的に進めていくという運びになろうかと存じます。 ○今野分科会長 この場では、1月ぐらいにそういう議論を行うという手順ですか。 ○村山調査官 時期的なものは予算との関連性や、あるいはこの分科会で10月26日の審議の際に、 中小企業労働力確保法の関係について、職業安定分科会とも連携しながら、という方向性を分科会 長に打ち出していただきました。職業安定分科会の審議がいまスタートしているという段階で、ま だとりまとめの必ずしも確定的なスケジュールが見えていないということもございますので、1月 ないし2月ごろには、うまくいけばですが、そのような要綱関係の段取りになるのではないかと考 えております。 ○今野分科会長 そのほかにご質問、ご意見ございますか。よろしゅうございますか。  それでは、当分科会として「今後の職業能力開発施策の在り方について」を、労働政策審議会か ら厚生労働大臣へ建議すべきであるという結論に達したものとして、労働政策審議会会長宛に報告 するということで、よろしゅうございますか。 (了承の声) ○今野分科会長 それでは、そのようにさせていただきます。事務局が報告文案を用意しておりま すので、まず配付をしてください。簡単な文章ですから、見ていただけるとすぐ分かると思います。 このようにさせていただくということで、よろしゅうございますか。 (了承の声) ○今野分科会長 文案どおりにさせていただきます。今日は終わりなのですが、最後に局長よりご 挨拶がございます。 ○上村職業能力開発局長 どうもありがとうございました。7月20日暑い最中にご議論をスタート させていただきまして、今日を含めて8回ほどですが、大変お忙しい中をご参集いただき精力的な ご議論をいただいて、感謝申し上げます。いま村山から申し上げましたように、必要な法律に絡む ものにつきましては予算関連と国会の提出の期限というのがございますが、そうした点についても 精査した上で、1月あるいは2月にでも要綱の形で諮問をさせていただきまして、ご審議をいただ いた上で、立法作業を行って国会に提案するということになると思います。  またその先、第8次の職業能力開発基本計画がございますが、この報告の中でいただいた検討を 踏まえまして、皆様お忙しい中ではございますが、さらにご議論をいただくことになりますので、 よろしくお願いしたいと思います。 ○今野分科会長 本日の分科会は、これで終了するということにいたします。議事録についてです が、今回は労働側は中村(正)委員と、使用者側は谷川委員に署名をお願いいたしますので、よろ しくお願いいたします。最後に、事務局から今後の日程について連絡がありますので、お願いをい たします。 ○村山調査官 来年1月以降の本分科会の開催予定については、また改めて年内に私どもから連絡 を差し上げたいと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。 ○今野分科会長 それでは終了いたします。ありがとうございました。 【照会先】厚生労働省職業能力開発局 総務課 企画係 (内5313)