05/12/15 第23回厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会議事録       厚生科学審議会 医薬品販売制度改正検討部会(第23回)                  議 事 録         日時  平成17年12月15日(金)10:03〜11:28   場所  厚生労働省専用第18・19・20会議室  井村部会長 それではまだ1、2名の方がおくれていらっしゃいますが、定刻でござい ますので、第23回の厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会を始めさせていただきま す。本当にお忙しいところ、またまたお集まりいただきましてまことにありがとうござい ます。それでは事務局から今の出欠状況をお願いいたします。  生田補佐 本日の委員と出欠状況でございますが、本日は現時点で委員20名のうち12名 の御出席をいただいております。厚生科学審議会の規定に定める定足数を満たしており、 本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。  青井委員、神田委員、吉川委員、高橋委員、堀井委員、及び松本委員からは御欠席との 御連絡をいただいております。以上でございます。  井村部会長 ありがとうございました。それでは本日の配布資料の確認をお願いします。  生田補佐 資料を確認させていただきます。お手元にお配りしております本日の資料で ございますが、1枚目に議事次第。次に資料として「医薬品販売制度改正検討部会報告書 (案)」、さらに参考資料として「医薬品販売制度改正検討部会委員名簿」でございます。 本日の資料は以上ですが、落丁等ございましたら、事務局までお知らせください。  井村部会長 ありがとうございました。それでは本日の審議に入らせていただきます。 今回の報告書(案)は、前回皆様方からいただきました御意見に基づきまして修正を行い、 さらにそれにその後お寄せいただいた皆様方の御意見を加えさせていただいて修正したも のが本日出てきていると思います。事務局から御説明をお願いいたします。  生田補佐 今、座長から御説明がありましたように、報告書(案)につきまして、まず 前回部会において議論された内容に基づき事務局で十分検討させていただきました。その 上で、各委員に修正案を送付させていただき、その後各委員から提出いただきました御意 見につきましても十分踏まえた上でさらなる修正を行ったものが本日の資料でございます。 それでは本報告書(案)を読み上げさせていただき、説明にかえさせていただきます。  「     医薬品販売制度改正検討部会報告書(案) はじめに  近年、国民の健康意識の高まり、医薬分業の進展等、一般用医薬品を取り巻く環境が大 きく変化している、  昭和35年に制定された薬事法においては、医薬品販売について、薬剤師等の店舗への配 置により情報提供を行うことを求めているが、現実には薬剤師等が不在であったり、薬剤 師等がいても情報提供が必ずしも十分に行われていないなどの実態がある。  また、薬学教育6年制の導入に伴い、薬剤師の専門性がより一層高まることとなると考 えられる。  このような背景の下、厚生労働省においては、医薬品のリスクの程度に応じて、専門家 が関与し、適切な情報提供等がなされる実効性のある制度を構築するため、医薬品販売の 在り方全般について見直しを行うこととした。このため、平成16年5 月に厚生科学審議会 の下に設置された「医薬品販売制度改正検討部会」、さらに同年10月に同部会の下に設置 された「医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会」において 1年半にわたり、精力的に検討を重ねてきた。  今般、その結果を取りまとめたので、以下のとおり報告する。 1.一般用医薬品をめぐる現状と課題 (1)医薬品の本質  医薬品は、一般に、使用することにより人体に作用を及ぼして効能効果を発現させるも のであるが、同時に、程度の差こそあれ、何らかのリスクを併せ持つもとである。例えば、 飲み合わせによっては重篤な副作用を生じることがあり、さらには正しく使用した場合で あっても副作用が発現する場合がある。(注1)  しかし、購入者にとっては、単に「物」としての薬だけを見ただけでは、その効能効果 や副作用がわからないことが通常である。  こうしたことから、医薬品については、必要な情報が適切に提供され、個々の購入者に おいてこれが十分に理解された上で、適正に使用されることが重要である。そのためには、 添付文書等による情報提供などとともに、医薬品の販売に当たっては、必要な専門知識を 有する者が関与し、相談に応じることを含め、適切な情報提供が行われることが必要不可 欠である。  また、医薬品は、疾病時等に使用され、何らかのリスクを有するものであり、より多く 消費されればよいというものではない。この点においても、販売者の姿勢や販売の体制の みならず、購入者についても他の商品と異なった対応が要請される。 (注1)平成16年度では、一般用医薬品について、国内において製造販売業者から約300件 の副作用報告が寄せられている。 (2)健康志向と高まりと一般用医薬品の果たすべき役割  近年、急速な高齢化の進展等や生活習慣病の増加等の疾病構造の変化、生活の質(QO L)の向上への要請等に伴い、国民の健康に対する意識や関心が高まっている。このよう な中で、薬局・薬店の薬剤師等による適切なアドバイスの下で、身近にある一般用医薬品 を利用する「セルフメディケーション」の考え方が見られるようになってきている。 (WHOによれば、セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度 な身体の不調(minor ailments) は自分で手当てする」こととされている。)  我が国においては、比較的早くから医療提供体制が整備され、その中で医療の一環とし て提供される医療用医薬品は大きな役割を果たしてきているということができる。しかし 他方で、身体の不調や軽度な疾病に伴う症状の改善等を目的として、薬剤師等から提供さ れた適切な情報に基づき、自己の判断において購入・使用する一般用医薬品についても、 応急的な対応や日常的な保健などの面で、引き続き果たすべき役割は大きいと考えられる。 (3)現行の医薬品販売制度の形態と医薬品をめぐる情勢の変化 (1)現行の販売制度の形態  医薬品は、生活に密接に関わるものであるため、各国がそれぞれの歴史・文化を反映し た販売制度を有しており、一律にあるべき姿が定まるものではない。  我が国の場合、現在、薬局を除いた医薬品の販売業の許可形態としては、一般販売業、 薬種商販売業、配置販売業、特例販売業の4種類が薬事法で規定されており、具体的には 以下のようになっている。(表は省略)  (参考)諸外国の例  アメリカ・・薬局以外に医薬品販売に関わる業態はないが、薬局以外の一般小売店にお        いても一般用医薬品を販売できる。  フランス・・薬局以外の業態は存在しないが、一般用医薬品を含めて医薬品は薬局がす        べて取り扱う。 (2)医薬品をめぐる情勢の変化  昭和35年の現行薬事法制定以来、現在までの間に、国民生活な大きく変化してきている。  例えば、平均所得の向上に見られるように、経済状況が飛躍的に高まり、平均余命が伸 長し、急速に高齢化が進展している。こうしたことは、医薬品や健康関連商品に対するニ ーズの増大の一因になっていると考えられる。  また、生活様式が変化・多様化し、例えば、夜間就労する者やいわゆる夜型の生活を送 る者も増加するようになった。さらに、インターネット等の情報通信技術の発展・普及等 もあり、これらは利便性への要請といった医薬品の販売に対するニーズの変化の一因とな っている。  このほか、国民の意識の面でも、国民の教育水準の向上や、商品・サービスの質の確保 のための民間事業者の自助努力等を背景として、一定のルールや適切な情報提供の下で各 人が自己選択・自己責任の考え方に基づいて行動するといった考え方も見られるようにな ってきている。一方で、同時に生活の安全性一般に関する志向も高まっており、とりわけ、 医療や医薬品に関する安全性についての関心も高まっている。  こういった国民の生活や意識の変化の中、国民のニーズを反映して、これまで一般用医 薬品の生産金額は増加傾向にあった。しかしながら、健康関連支出全体としては伸びてい るものの、一般用医薬品の生産金額は近年若干減少傾向にあり、平成15年度で7,194億円、 医薬品全体に占めるシェアは11%となっている。  その他医薬品に関わる変化としては、例えば、医薬分業の進展(平成16年度で53.8%の 分業率)、薬学6年制の導入といった動きが挙げられる。また、法制度上の発売形態は変 わっていないものの、実態においては、特に一般販売業において多様化・大型化といった 変化も見られる。また、スイッチOTCや、発毛薬等の生活改善薬の開発など、一般用医 薬品自体も多様化してきている。 (4)医薬品販売制度の課題  現在、医薬品の販売に関しては専門家が関与し、情報提供を行うこととされているが、 十分にこれが行われているとはいいがたい面がある。  また、一般用医薬品の販売制度自体も制度創設以来基本的な仕組みは変更されておらず、 例えば、必ずしも「よりよく効く薬(より効果が強い薬。しかし同時により副作用等に注 意して使用すべきものであることも多い)」が売られることを十分念頭においた制度にな っているとは言いがたい。  こうした点を踏まれると、専門家による実効性のある情報提供の仕組みを構築するとと もに、例えば、国民の新たにニーズに応えられるような「よりよく効く薬」の導入も見据 えて、一般用医薬品を安心して購入、使用できるようにするため、副作用情報の適切な提 供等の環境整備を行っていく必要がある。  現在の医薬品販売制度をめぐる具体的な課題としては、以下のような諸点が挙げられる。 (薬剤師等の常時配置)  現行制度においては、薬剤師等による店舗の実地管理、常時配置が求められているとい うのが従来からの行政の考え方であるが、必ずしも実態はそうなっていない場合もある。 (一律に情報提供を求めることの問題点)  専門家は、薬事法上、医薬品に関し、そのリスクの程度に関係なく一律に購入者に対し て情報提供に努めることとされているが、現状を見ると、十分にこれが行われているとは 言いがたい面がある。すべての医薬品について常に同じレベルの情報提供を行うことは、 現代社会においては実効性があるとは必ずしも言えない。抽象的な一律の仕組みになって いることにより、かえって本当に情報提供が必要な、よりリスクが高い医薬品についての 情報提供がおろそかになっているのではないかとの意見もある。 (購入者の誤解や認識不足)  専門家による適切な情報提供がなされていないために、購入者側においても、リスクに ついて誤解したり、認識が不十分であったりすることもあると考えられる。身近な例でい えば、かぜ薬の代表的な成分であるアスピリンについては、小児の服用を避けるべきもの であるが、「子供だから大人用のものを半分にして飲ませればいい」という誤った認識に 基づき、子供に安易に飲ませてしまうようなケースなどが考えられる。  医療用医薬品との比較でいえば、一般用医薬品のリスクが概ね低いということは言える が、副作用による健康被害が起こっていることも事実であり、そのことが広く購入者に認 識され、服用前に添付文書を必ず読む等の適切な行動がとられるよう促していくことも必 要であると考えられる。  店舗においては、購入者への啓発を行うとともに、購入者の視点に立って、医薬品の販 売方法について理解を促すような環境を整備することも必要である。 (専門家の資質)  特例販売業を除き、薬局及び各販売業においてはそれぞれ専門家がいることになってい るが、その資質についてはそれぞれ異なったものとなっている。薬局及び一般販売業にお いては、薬剤師という、一般用医薬品にとどまらない薬に関する深い専門的知識を備えた 者が置かれることになっている。薬種商販売業及び配置販売業については、薬剤師以外の 者による販売形態であるが、その専門家の資質は各々異なっている。薬種商販売業の場合 は、例えば3年の実務経験の後、都道府県試験に合格することが求められているが、一方 配置販売業の場合は、例えば5年間実務経験を積めばよい仕組みになっている。これは取 扱品目に差があることとも密接に関連しているが、今後、リスクに応じた情報提供と適切 な相談応需を求めていくことを考えると、薬剤師のいる薬局を除き、各業態を通じて適切 な資質確認の仕組みが必要になると考えられる。 2.改正の理念と基本的方向性  1.で述べた現状と課題に対応するための医薬品販売制度の改正の理念と基本的方向性 としては、以下のようなものが考えられる。 (1)改正の理念  ○ 国民の健康意識の高まりとともに、「セルフメディケーション」の考え方が見られ るようになってきており、今後も浸透していくものと考えられるが、今般の医薬品の 販売制度の見直しは、これを適切に支援する観点から行われるべきであると考えられ る。なお、病状が改善しない等の場合には医師、薬剤師等に相談するべきことにも留 意すべきである。 ○ 新しい制度は、すべての一般用医薬品を一律に扱うのではなく、安全性の確保を前 提としつつ、購入者の利便性にも配慮し、一般用医薬品の適切な選択、適正な使用に 資するようなものとすべきである。 ○ このため、適切な相談応需及びリスクの程度に応じた情報提供が行われる仕組みを 構築すべきである。 ○ 以上を踏まえると、今回の改正の理念として、次のようなことが考えられる。 「国民の健康意識の高まりを始め、一般用医薬品を取り巻く環境の変化を踏まえ、セ ルフメディケーションを支援する観点から、安全性の確保を前提とし、利便性にも配 慮しつつ、国民による医薬品の適切な選択、適正な使用に資するよう、薬局、薬店等 において、専門家による相談応需及びリスクの程度に応じた情報提供等が行われる体 制を整備する」 (2)改正の基本的方向 ○ 一般用医薬品については、そのリスクの程度に応じて、特にリスクの高い医薬品、 比較的リスクの高い医薬品、比較的リスクの低い医薬品の3つのグループに分類する ことが適当である。 ○ 医薬品の販売に際しては、リスクの程度に応じた情報提供及び相談応需(相談があ った場合の情報提供)が必要であり、対応しては以下のようにすべきものと考えられ る。 ・ 特にリスクの高い医薬品については、薬剤師による文書を用いた積極的な情報提 供及び相談応需を義務付け、安全性を確保する。 ・ リスクが比較的高い医薬品については、専門家による積極的な情報提供(努力義 務)及び相談応需(義務)を求める。 ・リスクが比較的低い医薬品については、専門家による相談応需(義務)を中心とし た体制を整備する。 ○ 販売に従事する薬剤師以外の専門家については、各業態を通じて資質確認のために 仕組み(都道府県試験)を設けることが適当であると考えられる。その試験内容につ いては、販売という行為やその実態に即したものとすることが適当である。  さらに、新制度導入の際には、購入者や事業活動に無用の混乱を与えないよう何ら かの経過措置を設けるなど円滑な移行を図ることが必要である。 ○ 適切な情報提供及び相談応需のため、医薬品のリスクの程度に応じたラベル表示、 陳列方法のルールづくり、店舗での表示など、購入者の視点に立って、医薬品販売に 関わる環境を整備すべきである。 3.改正の具体的内容 (1)一般用医薬品のリスク分類について  ○ 医薬品のリスクの程度の評価と分類に関しては、医学・薬学等の専門的知見を有す   る学識経験者のみにより構成される専門委員会(「医薬品のリスクの程度の評価と情   報提供の内容等に関する専門委員会」)を設けて検討を行った。  ○ 相対的リスク評価の手順等は次のとおりである。   ・ まず、かぜ薬、解熱鎮痛薬といった製品群による分類を行い、各製品群に属する    製品に配合される主たる成分に着目する。   ・ 相対的に情報量が多いことから、同じ成分を含有する医療用医薬品の添付文書に    基づき、その成分の評価を行う。   ・ 評価項目として「相互作用(飲みあわせ)」「副作用」「患者背景(例えば、小 児、妊娠中など)」「効能・効果(漫然と使用し続けた時に症状の悪化につながる おそれ)」「使用方法(誤使用のおそれ)」「スイッチ化等に伴う使用環境の変化 (注2)」の6項目について個別の成分のリスクを評価する。    (注2)医療用医薬品として医師の管理のもとに投薬されてきた状況から、一般用 医薬品として最終的には消費者の判断で使用されることに伴い、これまで予期でき なかったような使用状況が発生すること等を指す。   ・ 販売時の対応に関する議論を踏まえ、一般用医薬品の成分のリスクを以下の観点    から3つに分類する。   ア 一般用医薬品としての市販経験が少なく、一般用医薬品としての安全性評価が確 立していない成分又は一般用医薬品としてリスクが特に高いと考えられる成分は、 安全性上特に注意を要する成分として独立した分類とすることが適当であり、これ を第1類とする。 イ 残った成分を2つに分類することにし、その分類の基準となるリスク(健康被害 の程度)としては、日常生活に支障を来すおそれと有無が分類の根拠として適当で あると考え、「まれに日常生活に支障を来す健康被害が生じるおそれ(入院相当以 上の健康被害を生じる可能性)がある成分」を第2類とする。 ウ「日常生活に支障を来す程度ではないが、身体の変調・不調が起こるおそれがある 成分」を第3類とする。 エ なお、医薬品のうち安全上特に問題がないものについては、平成11年及び16年に 医薬部外品に移行されており、参考として第4類とする。 ○ 上記の考え方に沿って、以下のような手順で分類を作成した。  ・ 一般用医薬品に配合される主たる成分について、各成分のリスクの評価をもとに 「スイッチOTCの市販後調査(PMS)期間中又はPMS終了後引き続き副作用  等の発現に注意を要するもの」に相当する成分を第1類に、「相互作用」「副作 用」及び「患者背景」のいずれかの項目でリスクの高い成分を第2類に、それ以外 を第3類に機械的に振り分ける。 ・ 機械的な振り分けの結果の妥当性について、専門的な知識・経験をもとに個々の  成分毎にさらに検討を加え評価する。 ※ なお、第2類については、分類内においてもリスクの種類や程度が比較的広いと の指摘があったことから、陳列方法を工夫する等の対応が望ましい成分を選択した (別紙2のうち*を付されたもの)   ※ 上記の分類との整合性を考慮しつつ、漢方製剤、生薬、消毒薬、殺虫薬及び一般 用検査薬についても、その分類を検討し、追加した。 ○ この結果、一般用医薬品について製品群として85製品群、成分としてのべ485成分 (漢方製剤、生薬、消毒薬、殺虫薬及び一般用検査薬を除く)についてリスク評価を 行ったこととなる。 ○ 以上の分類は、現時点で承認されている医薬品の添付文書を基にした分類であるこ とに留意する必要がある。この成分の分類は変更があり得るものであり、その時点そ の時点における新たな知見、使用に係る情報の集積により不断の見直しが行われるこ とが必要である。 ○ なお、医薬部外品は誤った使い方をしない限り、特段のリスクはなく、医薬品とし ての販売規制を行う必要性はない。しかし、平成11年及び16年に医薬部外品に移行さ れた品目のように、他の医薬部外品(パーマネント・ウエーブ用剤、薬用化粧品類な ど)に比べ、軽度ではあるが何らかの症状の緩和のために使用される、用法用量を守 り、過剰摂取に注意が必要である等、医薬品に近い性質を持っている品目もある。こ のため、医薬品とは引き続き区別しつつ、これを医薬部外品とは分けて整理するとい った検討をすべきである。 (2)一般用医薬品のリスクの程度に応じた情報提供と適切な相談応需  以下では、リスク分類の結果に基づき、 ・ 第1類の成分を含む医薬品を「Aグループ医薬品」 ・ 第2類の成分を含む医薬品のうち第1類の成分を含まない医薬品を「Bグループ   医薬品」 ・ 第3類の成分を含む医薬品のうち第1類及び第2類の成分を含まない医薬品を  「Cグループ医薬品」と呼称することとする。 (1) 対面販売の原則 ○ 医薬品の販売時においては、販売者側からその医薬品に関する「適切な情報提供」 が行われ、購入者に十分に理解してもらうことが重要である。また同時に、購入者の 疑問や要望を受けた場合に「適切な相談応需」が行われることが必要である。  ○ こうした「適切な情報提供」及び「適切な相談応需」が行われるためには、薬剤師   等の専門家の関与を前提として、   ・ 専門家において購入者側の状態を的確に把握できること、及び   ・ 購入者と専門家の間で円滑な意思疎通が行われること   が必要である。  ○ これらが確実に行われることを担保するには、購入者と専門家がその場で直接やり   とりを行うことができる「対面販売」が必要であり、これを医薬品販売に当たっての   原則とすべきである。 (2) リスクの程度に応じた積極的な情報提供  ○ Aグループ医薬品は、一般用医薬品としての市販経験がなく、一般用医薬品として の安全性評価が確立していない。又は、一般用医薬品としてリスクが特に高いと考え られる成分も含むものであり、 ・ 販売時に購入者から特段質問がない場合であっても、販売者側から購入者に対し 「積極的な情報提供」を必ず行うよう義務づけるべきである。ただし、購入者が明 確に説明を不要とした場合には、義務を免れるとすることもやむを得ないと考えら れる。 ・「積極的な情報提供」の実施に際しては、必ず文書を用いるよう義務づけることが  適当である。 ・ 情報提供を行うに当たっては、Aグループ医薬品が一般用医薬品としての安全性  評価が確立していない等の性質を持つものであることも踏まえ、薬剤師が直接対応  すべきである。  ※ 販売時において購入者に提供されるべき情報については、例えば、   ・ 起こり得る重篤な副作用やその発生を避けるため留意すべき事項(服用して    はいけない人、併用してはいけない薬剤等)   ・ 一定期間服用しても病状が改善しない又は悪化した際には医療機関での診察    を受けること(受診勧奨)   等を中心とすることが考えられる。  ※「積極的な情報提供」に際して用いる文書としては、当該医薬品の添付文書を基   本とすることが考えられる。 ○ Bグループ医薬品は、まれにではあっても、日常生活に支障を来すおそれがある成 分を含むものであり、 ・ 販売時に販売者側から購入者に対し、当該医薬品に関する「積極的な情報提供」  に努めるよう義務づけるべきである。 ・ 「積極的な情報提供」の実施に際しては、文書を用いることに努めるよう義務づ   けるべきである。 ・ 「積極的な情報提供」に関与する専門家としては、薬剤師以外に(3)で述べる  資質の確認を受けた者も認めることが適当である。 ○ Cグループ医薬品は、日常生活に支障を来すほどではないが、副作用等により身体 の変調・不調を生じるおそれがある成分を含むものであり、 ・ 販売時に販売者側から購入者に対し、当該医薬品に関する「積極的な情報提供」を 行うことが望ましいものの、努力義務として法令上規定するほどではないと考えられ る。 ・ 「積極的な情報提供」に関与する専門家としては、薬剤師以外に(3)で述べる  資質の確認を受けた者も認めることが適当である。 (3)相談応需  ○ 購入者から販売者へ質問、相談等がなされた場合には、購入者は、専門的知識に基 づく回答や助言を求めており、販売する医薬品のリスクの程度に関係なく、専門家に よる相談応需を義務づけるべきである。   ※ ここでいう「相談応需」には、病状が改善しない等の場合に医療機関での受診    を勧めることも含まれる。 ○ 相談応需については、販売時のみならず、販売後にも適切な対応が求められる。こ  のため、購入者に店舗等の連絡先を伝えることも重要である。 (3)資質の確保 (1) 現行制度改正の必要性 ○ 現在の薬事法においては、一般用医薬品の販売に専門的知識をもって従事する者に 関しては、薬剤師は別としても、薬種商販売業及び配置販売業の従事者については 各々別個に規定され、求められる資質の内容も各々異なっている。 ○ また、薬局、一般販売業については、開設者(許可申請者)の資質に関わる要件は 特になく、薬剤師の設置が義務づけられるという仕組みであるのに対し、薬種商販売 業、配置販売業については、開設者(許可申請者)に必要な資質を備えていることを 確認する仕組みになっている。 ○ 今後は、医薬品販売に際し、購入者へ的確に情報を伝え、相談に応じられる体制を より一層整備していくことが必要であると考えられる。このため、薬種商販売業、配 置販売業については、薬局、一般販売業と同様、開設者(許可申請者)について専門 性に関する要件を審査するのではなく、適切な情報提供及び相談に携わる者として一 定の資質を備えた者が設置されていることを確認する仕組みとするとともに、各業態 を通じて資質確認のための仕組みを設けることが適当であると考えられる。 (2) 資質の水準、担保方法 ○ 専門家たる販売従事者の資質の水準については、購入者への情報提供及び相談応需 を適切に行えることが的確に担保されることが必要である。このため、都道府県試験 によりその資質を確認することが適当であると考えられるが、その難易度等について 都道府県の間で大きな差が生じないよう、国が一定の関与を行うことが必要である。 なお、身分法の制定や名称独占の付与までは、必要ないと考えられる。 ○ 資質確認のための試験については、販売に即した内容、例えば、薬事関連法規、副 作用の内容等を中心とした実務的な試験内容とすることが適当である。 ○ なお、資質が確認された専門家には、薬剤師と同様に副作用報告を行わせることが  適切であり、試験にはこれに関連する内容が含まれるべきである。 (3) 経過措置の必要性 ○ 試験による販売従事者の資質を確保するために制度を新たに設ける場合には、購入 者や事業活動に無用の混乱を与えないよう、新たな制度に円滑に移行できるように何 らかの経過措置を設けることが必要である。 (4) 管理者の設置 ○ 現在、薬種商販売業や配置販売業においては、薬局、一般販売業と異なり、管理者 についての規定は存在しないが、今後、業態にかかわらず、販売に関する必要な資質 を持った者を置かなければならないという仕組みに改めた場合、同様に管理者を置く ことが適当と考えられる。 ○ この管理者が行うべき業務としては、従事者の監督、物品管理に関すること等が考  えられる。このような業務を行うためには、管理者は薬剤師又は資質の確認を受けた  専門家であることが必要であると考えられる。 (4)適切な情報提供及び相談対応のための環境整備 (1) リスクの程度に応じた表示 ○ 一般用医薬品について、そのリスクの程度について、購入者が判別しやすいよう、  外箱に何らかの表示を行うべきである。ただし、その場合の具体的な方法・内容につ  いては更に検討が必要であると考えられる。 (2) 陳列 ○ 医薬品については、リスク分類ごとに分けて陳列すべきである。特に、Aグループ 医薬品については、いわゆる「オーバー・ザ・カウンター」(注3)を義務付けるべ きである。  (注3)専門家が関与した上で医薬品の選択・購入がなされるよう、販売側のみが    医薬品を手に取るような方法で陳列を行うことをいう。 ○ Bグループ医薬品ついては、オーバー・ザ・カウンターとするよう努めるべき(努 力義務)である。ただし、Bグループ医薬品のうち、別紙2の中で*の付された成分 (「相互作用」又は「患者背景」において特に注意すべき「禁忌」があり、その要件 に該当するものが服用した場合に健康被害に至るリスクが高まるものや依存性・習慣 性がある成分等)を含む医薬品については、オーバー・ザ・カウンター、又は積極的 な情報提供を行う機会をより確保することが可能となるような陳列・販売方法とすべ きである。 (3) 購入前の添付文書閲覧 ○ 医薬品の添付文書の内容に関しては、できる限り、購入者が購入前に閲覧できるよ うに環境を整備することが望ましいと考えられる。 (4)着衣・名札 ○ 着衣の有無や色、名札等により、専門家と非専門家、専門家の中での資質の違い  (薬剤師とそれ以外の者の区別)を購入者が容易に認識できるように工夫することも  重要である。 (5)掲示 ○ 購入者への啓発を行うとともに、制度(情報提供、相談対応)の実効性を高める観 点から、店舗に必要な掲示をさせるべきである。また、掲示は、点の外からも見える ようにすることが適当である。  ○ 掲示すべき内容としては、リスクの程度によって販売方法が異なることや扱ってい   る医薬品の種類、相談対応可能な時間帯等が考えられる。 (6)苦情処理窓口の設置 ○ 制度の実効性を高める観点や薬事監視の限界を考えると、販売方法等(例えば、A  グループ医薬品を販売する際に説明を行わないなど)について、購入者からの苦情を  処理する窓口を設けることと重要である。   苦情処理窓口を設ける機関としては、業界団体や、医薬品販売業の許認可権限を有  している都道府県等が考えられる。 (5)販売形態について (1) 店舗販売業の創設等 ○ 今回の制度改正にあたり、開設者自身の資質を確認するのではなく、販売従事者と して一定の資質を備えた者が設置されていることを確認する仕組みとするのであれ ば薬局を除き、店舗での販売を行う業態については「店舗販売業」とすることが考 えられる。 ○ また、現在、例外的に専門家の関与しない販売形態として認められている特例販売 業については、地域の実情も勘案しつつ、一般的には縮小していくことが適当であ る。 ※ なお、医療用ガス等を取扱う特例販売業については、卸売を行っていることか  ら、現行の卸売一般販売業とあわせて「卸売販売業」として整理することが適当  ある。 ○ 以上の結果、基本的に、一般消費者に対する医薬品の販売業については、薬局を除 き、「店舗販売業」及び「配置販売業」の2業態に再編されていくことになると考 えられる。 (2) 情報通信技術の活用 ○ 情報通信技術の活用については、行政、製造業者等による啓発や情報提供について は積極的に進めるべきである一方、医薬品の販売については、対面販売が原則であ ることから、情報通信技術を活用することについては慎重に検討すべきである。 ○ Aグループ医薬品については、対面販売とすべきであり、情報通信技術を活用した 販売は認めることは適当でないと考えられる。 ○ Bグループ医薬品及びCグループ医薬品については、対面販売を原則とすべきであ るが、購入者の利便性に配慮すると、深夜早朝に限り、一定の条件の下でテレビ電 話を活用して販売することについては、引き続き認めることも検討する余地がある と考えられる。 ○ Cグループ医薬品については、リスクの程度や購入者の利便性、現状ある程度認め てきた経緯に鑑みると、薬局、店舗販売業の許可を得ている者が、電話での相談窓 口を設置する等の一定の要件の下で通信販売を行うことについても認めざるを得な いと考えられる。 おわりに  今回の販売制度の改正についての提言は以上のとおりであるが、これまで長らく変更さ れてこなかった販売業に関する制度について見直しを行うものであることから、関係者に 大きな影響を及ぼすことになると考えられる。  改正に当たっては、まず購入者である一般国民の立場に立って、どのような制度が最も 望ましいかを検討することが重要であり、今後も、引き続きこのことを念頭において法制 化の作業が行われることを期待する。  また、直接、法令の改正に関係するもの以外にも、取り組むべき課題は考えられるとこ ろであり、例えば、以下のようなものが挙げられる。  ・ 医薬品の本質、特に副作用による被害が生じうるものであることについて、これま   での歴史も踏まえ、教育やマスコミを通じて啓発を図ること。  ・ 添付文書や外箱表示をよりわかりやすいものとすることを含め、製造業者からの情   報提供をより充実させること、特に、一般用医薬品については、専門家向けの情報が   少ないことから、これがより提供されるように検討すること。  ・ 相当以前に承認したものの、時代に合わなくなってきている医薬品について、再評   価を進めること。  こうした点を含め、一般用医薬品販売についての環境整備が一層望ましい方向に進むこ とを併せて期待する。」  井村部会長 どうも御苦労さまでした。ただいま読み上げられました報告書(案)でご ざいますが、これについて特段の御意見がございましたら、ここでお出しをいただきたい と思いますし、何か改めてここで確認しておきたいということがありましたら、どうぞ御 発言いただきたいと思います。  三村委員 この報告書全体について何か意見というわけではないのですが、このことを 実行に移す上においてぜひやっていただきたいと思いましたのは、15ページにございます ように、例えば、(3)購入前の添付文書閲覧とか、(4)着衣・名札で、専門家と非専門家、専 門家の中での資質の違い、ということが一般の消費者によくわかりやすいように、こうい ったような制度の改正であるということが一般の消費者がきちんと理解できるような形で の啓蒙・啓発をぜひお願いしたいということがございます。そうしないと、これは制度上 できていたとしても、それを消費者が知らないということになりますから、大変大きな問 題になると思いますので、それをぜひお願いしたいと思います。  もう一点だけお願いしたいのは、これが一般用医薬品における薬剤師の方の役割がある 意味で軽くなるのだというような受け取り方をされるということだけは絶対にないように。 私はむしろ、薬剤師の方はこれからどういう形で薬に対して、あるいは消費者に対してど ういうふうな相談をきちんとやっていくかということを含めて大きな役割を持っていただ けると思っておりますので、その点についての基本的な政策の実行上、またこれから進め ていく上でぜひ御配慮をお願いしたいと思います。  井村部会長 ありがとうございました。今後についての御希望と受け取らせていただき ます。ほかに御意見ございませんか。  田島委員 これは確認事項でございますが、この中で、Aグループ、Bグループ、適切 な相談応需、それから適切な情報提供という文言が各所にございますけれども、これがや やもして混乱して受け取られますと、いわゆる、治療、診療の部分に入り込む危険性もあ る。そうなると、国民にとってはいろいろ不利益なことが生じる可能性もあると思います。 そういう意味で、この相談応需、それから情報提供に関しまして、これは病気の診断、治 療に関したものではないというふうに私は理解しておりますが、それに関して事務局はい かがでございましょうか。御意見賜りたいと思います。  生田補佐 そのような御理解で結構でございます。  田島委員 ありがとうございます。  井村部会長 皆さんもよろしゅうございますね。ありがとうございました。  増山委員 私も特に文章を訂正してほしいということではなく、改めてまたお願いとい うことですが、1つは「積極的な情報提供」ということが何度かこの中に入っているわけ ですが、直接、そのリスクそのものに関わることではないけれども、その情報によってリ スクが軽減されるようなこととか、救済の情報なども情報提供の中に入れていただいてい るというふうに解釈しているので、実行する際にはその部分を考慮していただきたいと思 います。  2つ目は、ちょっと質問ですが、14ページの管理者の設置の2つ目の○で「管理者は薬 剤師又は資質の確認を受けた専門家であることが必要であると考えられる」という、たし か、前回もここは議論というか、質疑があったと思うのですけれども、確認をさせていた だきたいのは、この書き方ですと、管理者は、新資格の方、薬剤師の方、どちらでもなれ るというふうに読めるんですけれども、Aグループを扱った場合は薬剤師でなければいけ ないという規定が別のところに書かれていますので、これはAグループを扱う場合は、管 理者は薬剤師でなければならないということになるんじゃないかと思いますが、いかがで しょうか。  井村部会長 その点はいかがでございますか。  小出企画官 ここのところは今後の法制化に当たりまして、形態がどういう医薬品を売 る形態か、Aグループまでを扱う形態なのか、Bグループなのかといったこととか、それ に応じて御指摘のような、どういう専門家が配置されなければいけないという、いくつか 組み合わせパターンの問題になってきますので、その中で管理者に求められる資質という ことを十分考えながら法制化していきたいと考えております。  井村部会長 それでよろしいですか。  増山委員 はい、ありがとうございます。  溝口委員 13ページの相談応需のところですが、購入者から販売者へ質問、相談等がな された場合には、専門家による相談応需を義務づける。専門家というのはどういう定義で しょうか。  生田補佐 ここでいう専門家は薬剤師、あるいは資質を確認された者という意味でござ います。  溝口委員 前に発言したときに、相談応需の場合、特に副作用の相談を受けたときの場 合ですが、この案の基本にある利便性とかを担保すると同時に一番大事な副作用をできる だけ防いでいこうということで、副作用の相談を受けたときに適切な対応が必要だという ことを申し上げたんですが、そのときにできたら薬剤師ということではいかがかというこ とを発言した覚えがあるんですが、いかがでしょうか。  井村部会長 事務局から何かありますか。医薬品の販売に当たっての相談応需、情報提 供等、リスクの程度で分類された医薬品をそれぞれについて販売を行うことができるよう な資質を備えた者というのを新しく考えているわけですから、その制度によっては、新し く、資質を確認された者がそれに対応するということも含めているんじゃないかと思いま すけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。  溝口委員 そういう理解に立っておりますが、一方で薬剤師の教育は6年に伸びるわけ で、かなり高度な教育を受ける人がいるわけです。副作用については、改正薬事法でも報 告を義務づけられているわけで、特に未知の副作用を判断するのは非常に難しいと思いま す。その辺、専門家の中でも薬剤師の役割ではないかと私は考えておりますが。  小出企画官 今おっしゃったように、リスクに応じて専門家の資質というのは決まって おりますので、リスクの高いものは薬剤師ということになっていますので、そういうご趣 旨かと考えます。  溝口委員 2類の場合が議論になると思うんですが、おそらく、販売形態として、1類 のものは薬剤師が責任を持って販売するという形になると思いますが、2類について副作 用が起こったという場合に誰か対応するか。これはただ専門家ではちょっと弱いのではな いかなと私は思いますが。  宗像委員 その点について、現実問題、確かに使用する前、あるいは購入する前に情報 提供する場合、その成分について教育を受けた者、あるいはパッケージ等の記載の評価と いうところで情報提供は可能だと思います。しかし、いざ、ちょっとおかしいという場合 には、医師、薬剤師に見てもらうということが報告書の中に書いてあります。そして、何 よりも、副作用の判定というのは、最終的には先ほど田島先生がおっしゃった考え方に基 づいてやらない限り、ほんとに薬剤師でもできるのかどうかということは、今の法律上疑 問がございます。田島先生おっしゃったように、受診勧奨を速やかに行うということが資 質を認められた者、あるいは薬剤師にも求められることだろうと思います。そういう意味 では、しっかりとしたビフォーと、何か起こった場合、アフターの部分についてのマニュ アルというか、取り決めで、速やかに患者本位に対応できるのではないかと考えています。  溝口委員 ですから、副作用の対応だけは別に取り上げてきちんとした対応をするとい う書きぶりが欲しいなというのが私の主張です。  黒川審議官 この専門家については、薬剤師を除き、試験によって資質を確認するとい うことになっておりまして、その内容は、販売に即したということで、また国民、患者さ んの最も関心の高いことはもちろん安全性の問題であります。したがって、安全性につい てきちっと伝達でき、買っていった方々に適切な行動を促すような内容が含まれるわけで ありまして、その確認のプロセスの中に副作用とか、初期症状とか、そのときの手当てと か、これを応需義務ということで説明できる形になっております。  それから、後ろの方に実際の1類、2類、3類の分類表がついておりますけれども、も ちろん、場合によっては入院を要する程度の副作用はあるというものの、医薬品の成分そ のものとしては、既におおよそ10年以上とか、あるいは広く使われているというものがす べてでございまして、その副作用の形態についてはおおよそ文献とか教科書といったよう なところで大体カバーされている。少なくとも、2類、3類について全く未知という副作 用というのは、ゼロとは申し上げにくいわけでございますけれども、ほとんどないわけで ありまして、実用上、申し上げたようなシステムの中で先生の御懸念はカバーされるもの と考えております。  溝口委員 18ページのおわりに、“・添付文書や外箱表示をよりわかりやすいものにす ることを含め、製造業者からの情報提供をより充実させること、特に一般用医薬品につい ては……、”と書いてありますが、これまで販売方法のことが主で、添付文書について、 具体的な議論が十分なされなかったような気がしますが、添付文書も大事だと思いますの で、ぜひこれを踏まえて、国際性、例えば、アスピリンは世界で売られていますが、日本 の添付文書の書き方と、世界に売る場合の書き方はちょっと違うように感じます。その辺 ハーモニゼーションも考えて、特に自由化というか、もう少しゆるやかに売られるように なるわけですから記載する方向になることを希望します。もう一つは、副作用に対応する 機構のことを添付文書に載せるなどのことも考えていただきたいと思います。  井村部会長 ありがとうございました。今後そういう方向で努力をしていただきたいと 思います。ほかに。  児玉委員 先ほどの溝口委員のお話ですが、私ども薬剤師の立場から大衆薬工業協会さ んと一緒にAUT(使用実態調査)を試みにやらせていただきまして、それはまさに今お っしゃった一般用医薬品における未知の副作用の実態を把握するという意味でやらせてい ただきました。そういうことで、私ども薬剤師として先生のおっしゃるところをカバーし ていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  上原委員 副作用が起きた場合の話ですが、第一義的にはお買い求めになられた店頭で の質問、それに対する応需があると思いますが、それで納得されない場合は、お医者様に 行かれると。その前に直接メーカーヘ電話でこういう状況なんだけどどうなんだ、という ような御質問がちょくちょくといいますか、1年間では大変な数まいります。いろんな質 問の中の一つは、自分が飲んでみてこうなった。どうしたものだろうか、という専門的な 御質問がございますので、その場合には私どもの知見の御報告と、御心配であれば、最寄 りのお医者様で御診断いただくことをお勧めいたしております。  望月委員 今の御議論、私はとても重要な御議論だと思います。10ページの下から2つ 目の○にありますように、医薬品の今回の分類が、その時点での医療用医薬品の添付文書 の情報をもとにした分類でございます。一般用医薬品という環境の中で使われたときには、 医療用医薬品では経験されなかった副作用、あるいは、医療用医薬品に相当する重篤な不 具合を呈する副作用等も2類であっても散見されるところだろうと思います。そういった 副作用について販売を担当している方々がきちんと報告をしていっていただく。そのこと によって、ここに書かれている、その時点その時点における新たな知見、使用に係る情報 の集積により不断の見直しが行われていくべきである。というところが生きてくると思う んですね。ですから、報告をきちんと上げるという仕組みを、中にも盛り込まれておりま すけれども、実行していっていただきたいと考えております。  井村部会長 ありがとうございました。副作用に関しましては、副作用の情報を収集し て、それを国なら国に報告する。その途中にはいろいろなステップがあるかもしれません が、そういう収集をしていくというものと、副作用についての相談があった場合の取り扱 いと両方あると思うんですね。今、望月委員が言われたことは、副作用情報の収集という ことでも重要なことだろうと思います。それについては、14ページの上から2つ目の○に 「資質が確認された専門家には、薬剤師と同様に副作用報告を行わせることが適切であっ て、その資質の確認のための試験にはこれに関連する内容が含まれる」としてありますの で、ある程度のことは、資質を確認された専門家もできるであろうというふうに考えて、 ただ、判断が必要な相談を受けて、わからない場合には、医療機関に行くように勧奨する、 ということは必要だろうという御意見が出ていたと思っています。そういう整理でよろし ゅうございましょうか。  大山委員 今回の報告書は、どちらかというと販売の仕方が焦点が当たっているかと思 いますが、先ほど来のお話の中で、副作用の話でも、薬剤師の方及びその資質を確認され た方たちからの報告が起こると思いますが、報告は上げても、その報告の内容が皆さんに 共有されなければ意味がないわけです。そこのところに対しては、私自身はITをやって いますが、IT関係の話が全く出ていなくて、販売のときにテレビ電話を使っていいかど うかの議論しかここでは出なかった。一方、12月8日に次期のITジャパン戦略が発表さ れましたが、あの中には2011年には今のアナログ放送が止まってしまうためにすべての家 庭に多分デジタル受信機が入るはずなんですね。そのデジタルの受像機というのは、上り 線も持っていて、一般的にはインターネットで返す線があるんですね。そのことを使って 例えば、救急車で搬送を依頼したときに、救急車が着く前にどういう措置をすればいいか ということを支援するとか、最近の小児救急の例では、多くの場合、救急車が必ずしも行 かなくてもいい場合があると。うちが見ている横浜では「救急車はタクシーではありませ ん」というキャンペーンを張ってるぐらい救急車がしょっちゅう出ていると。これは社会 的に大きな問題になるわけですが、そういうところに対して手を打とうとしているわけで す。それは今電話相談をやってるじゃなくて、双方向のテレビですので、相手にお医者さ んがいて、場合によっては診てくれるという状況が医師のレベルで起こってくる可能性が あって、5年後ぐらいに実現しようと書いてあるんですね。  そういう視点でみると、今回のこの医薬品販売はかなり時代がずれているような気がす るんですね。実験もしてないし、今、何もやろうとしていなくて、特に厚生労働省さんに はグランドデザイン、すなわち、保健・医療・福祉・介護、全部の分野のグランドデザイ ンを書いてくださいとお願いしていて、その中から見ても、この話は法制化される時点で お考えいただけばいい話かもしれませんが、今、現実のITがどうなっているかというの を余りごらんになっていないという印象をどうしても持ってしまうので、その辺のところ は、今回の報告書はこれで皆さんの意見もあることですから、私はそれについてどうこう 言うつもりはありませんが、ただ、これからはもうちょっと先をごらんになることも重要 なのではないかなというふうに申し上げておきたいと思います。  井村部会長 ありがとうございます。極めて重要な御意見をいただきました。当然、行 政の方としてはそういうことはこれから対応なさるだろうと期待しております。本報告書 の中でも、販売については対面販売云々とありますけれども、啓発あるいは情報提供等に ついては十分にITを活用するという文面もありますので、副作用の情報収集なんかにつ いても当然、有効な手段だということは皆さん認識しておられると思いますから、これか ら大いに活用されるだろうと思っております。  児玉委員 今の点ですが、大山委員のおっしゃるとおりで、私は特に先ほど来議論があ るんですが、副作用の事象を的確につかんで速く分析をして、速くフィードバックする。 これはITを使わなければ遅れるわけです。私ども日本薬剤師会では既にそういう方向性 でトライアルとして全国ネットのインターネットによる副作用情報の収集ということで動 いています。今後は実効性ということが議論になると思いますが、せっかくこういう制度 ができて実効性を上げていくには我々はそれにすぐ対応できる姿勢を持っていこうと思っ ておりますので。  黒川審議官 現在の私どもが行っているシステム、そして、ここに書いてある方向性、 国民、患者さんの安全性については十分担保されている。そこにIT化による生産性とか スピードの向上については課題であるかと思いますが、そういう点、ちょっと御説明申し 上げたいと思います。  御案内のとおり、医薬品については、副作用報告について製造業者にその報告が法律で 義務づけられております。それから、医薬関係者については、その医薬関係者が必要と思 われるときには厚生労働大臣に対して報告をすること、これも法律にございまして、これ らによりまして年間約25,000〜28,000の報告がなされています。この報告についてそれぞ れ評価を行って医療従事者並びに国民、患者がこれについて周知が十分でないと思われる ときにはいくつかの手段、例えば、その医薬品の添付文書に記載したり、急ぐ場合には 「緊急安全性情報」といったシステムで注意喚起を行ってきているわけです。  こういった報告をする際、先ほど児玉先生からお話ありましたけれども、既にIT化が 進められておりまして、かなり電子化ということで対応が取られております。それから、 この報告書の中にも、おおよそこういった対応の結晶、成果物であります「使用上の注 意」○○をしてはいけないとか、こういう人は飲まないでほしい、ということは記載され てあるわけですし、事前にわかるようにしておくべきである、ということも書いてござい まして、そういった中で実現がなされる。  また、上原委員から、何回目かは失念いたしましたが、一般用医薬品を製造販売するほ とんどの企業にあっては、インターネット上で添付文書等についてきちっと見られるよう になっているということですので、おおよそ今の状態でも十分それぞれ何枚もの安全ネッ トを張った形で国民、患者の安全の確保について努力はなされているという状況かと思い ます。  井村部会長 ありがとうございました。いかがでございましょうか。さらに御意見ござ いましたら。  谷川原委員 18ページの「おわりに」のところの最後の取り組むべき課題の最初の、医 薬品の本質を教育やマスコミを通じて国民というか、消費者の方へ啓蒙を図るというのは 一番重要なキーポイントだと思うんですね。そこで、私、かねがね思っているんですけど、 一般の方に対する薬についての教育はどのシチュエーションで行えるのか。中等教育の中 では、学校には学校薬剤師という人が必ずいるんですけれども、学校薬剤師という人は、 プールの水質の検査とか、保健室の薬の管理ぐらいしかやっていなくて、教員免許がない と授業ができないということになっていますね。そのあたりをせっかく各学校に配置され ている学校薬剤師がいるんですから、中等教育のあたりで年に1回ぐらい薬の本質に関す る何か活動、授業といわず、課外授業でも結構ですけど、やっていただくようにすればこ のあたりの啓蒙は今より随分よくなるのではないか。私はかねがね、せっかく学校薬剤師 がいるのに活用されてないなと思っていますので、ぜひ今後、これはおそらく文部科学省 との調整が必要だと思いますが、御検討をお願いしたいと思います。  井村部会長 ありがとうございます。いわゆる学校薬剤師の集まりであります団体も、 それを非常に強く望んでおりまして、さかんに働きかけをしているようです。  児玉委員 学校薬剤師は薬剤師ですので私どもの範疇になるんですが、私自身、前に学 校薬剤師をしておりましたのでわかりますが、確かにおっしゃるとおり、プールの水質等、 学校の中の環境衛生を担当するというのが学校薬剤師ですが、昨今、社会的に問題になっ ている薬物濫用の低年齢化ということで、中学生等、義務教育期間中の子供たちの中まで も薬物濫用に関係しているケースがあることから、全国的には学校薬剤師が学校の理解の もとに医薬品の適正使用の授業にも参加しているというケースは増えています。今その実 態調査を私どもしているところです。ただ、問題はかねがね申し上げておりますように文 部科学省の指導要領に入らないと正式にはできないということがありますので、その辺に ついて文部科学省さんに学校薬剤師の団体からお願いをする、そういう動きはしておりま す。それに対して広い意味での御支援をいただければありがたいと思っております。よろ しくお願いします。  井村部会長 ありがとうございました。実績も努力でつくっていくとそういうことにつ ながっていくんじゃないかと思います。ほかに御意見ございませんでしょうか。  谷川原委員 本質的なことではないんですが、書きぶり等で少しわかりにくい、このま まこれでフィックスされるんでしょうか。  井村部会長 できれば、この報告書(案)で決めたいと思っております。もし何か御提 案があれば具体的にしていただいて、この場で決めたいんですが。  谷川原委員 そうですか、例えば、言葉づかいですが、3ページの下から4行目に「平 均余命」と書いてありますけど、平均寿命という言葉じゃないかな、というふうに書きぶ りでちょっと。  小出企画官 行政用語としては余命が一般的かと思います。この文章については谷川原 委員を含めて事前に文書で字句の修正等の御意見をいただきましたので、それで直すべき ところは直して今日に至っていると思っております。  谷川原委員 一度では気がつかなかったものですから。  井村部会長 特段差し障りはないような気がするんですけどね、余命でも。正確にはち ょっと意味が違うかと思いますが、この文章の意味としてはこれでよろしいんじゃないか という気がします。  谷川原委員 これでよろしければ結構ですけれど、細かなことですので。  井村部会長 ほかに、細かなことでも気になるということがございましたら、この際お っしゃっていただいて、いいものにした方がよろしいかと思いますが。  谷川原委員 ついでによろしいですか。10ページの下の2行ですが「このため、医薬品 とは引き続き区別しつつ、これを医薬部外品とは分けて整理するといった検討をすべきで ある」という「これ」は何を指しているんでしょうか。  井村部会長 「これ」は平成11年、16年に医薬部外品に移行された品目、という意味だ と思いますが。  谷川原委員 平成11年、16年に医薬部外品に移行された品目、これが主語ですか。  井村部会長 「これ」はこれです。  谷川原委員 でも、それは現実は医薬部外品なんですね。医薬部外品の中で2つに分け てということですか。  井村部会長 事務局、それでよろしいですか。ほかにございますか。  上原委員 全般的に、今回この委員会に出させていただきまして、安全性を中心にした リスク管理という基本の姿勢と、それに対する見方、大変重要なことだと思っております。  そして、最後に生活者の利便性との兼ね合わせ、しかし、その前に安全性が担保されな ければいけないと。非常にバランスのとれた報告書になったと私自身は思っております。  メーカーといたしましては、この中にございます、表示のマークの問題、あるいは添付 文書閲覧をもうちょっと速やかに、便利にする。あるいは文書の内容をもっとわかりやす く、といった観点からメーカーとして携わるべきことについて積極的に早く対応していき たいというように考えております。同時に、この中で改正の理念、あるいは冒頭にお話ご ざいましたけれども、安全性を確保しつつ、セルフメディケーション、その利便性をどう やって高めていくかということがこの検討部会の大きな目的だったわけですが、その面に 関しては、報告書にまとまった内容については、特に第1分類、第2分類について、ある いはそのほか、資格等、取り組まなければいけない課題があると思いますので、行政とし ては言われるまでもないことで、大変失礼な言い方でございますけど、速やかにお願いし たいということと同時に、生活者の安全性を確保しながら、多様な選択肢、そういった光 を御提供するのがメーカーのもつ一つの役目だと思っております。そういう意味で、効く 成分、効く量、こういったものを含めて御提案申し上げたいこともございますし、また、 広告のあり方、あるいは標語の表現、生活者のとってわかりやすい、理解しやすい、こう いった方向について、あるいは先ほどAUTとかございましたけども、審査方向等につき ましても、私ども、メーカーの立場として考え、また新しい時代、しかも、生活者にとっ て何がベストかという観点で今後も提案をさせていただきたいということで、早急にまと めて提出させていただきたいと思っておりますので、何卒よろしくお願いいたします。  井村部会長 ありがとうございました。メーカーも真摯に御対応いただけるという非常 に力強い御意見で、よろしくお願いいたします。  児玉委員 今、メーカーさんのお立場で全体の御意見がありましたが、私ども薬剤師の 立場からもよろしくお願いいたします。この検討部会、1年半熱心な議論があり、私ども 真摯に受け止めてやらなければいけないと思っております。  今回、この検討部会では、購入者の視点に立って、安全性を大前提とした一般用医薬品 の供給体制はどうあるべきかを論議したわけで、かつ購入者にわかりやすいということで リスクの程度で3分類され、その陳列方法も工夫される。それによって消費者の方は一般 用医薬品を購入する際にリスクを感じるわけで、感じていただきたいし、それによって安 全性が担保できるということだと思っています。それによって販売者側もそれを感じるわ けですから、そういう意味では、一つのいい制度になっていくのかなあという気がします。  ただ、問題は実効性が最大のポイントだろうと思います。そういう思いでいま上原委員 が行政にお願いをされた。私どもも同じでありまして、私ども薬剤師の立場からいえば、 薬剤師を置かなければならないのに置かれていないこともあったわけで、それでは困るわ けですから。何を申し上げたいかといいますと、今回報告書の中で、購入者に実際に当た るべき従事者の要件を充実させて安全性を担保しようと。その姿勢はそれでよかったと思 います。そして、今度は専門家でない開設者の場合は、開設者にこういった制度の理解、 意味をよくわかってもらわなければ、専門家が非常に困るわけでありますから、そういっ た姿勢もぜひ持っていただきたい。  それから、行政も含めた関係者の連携も必要でありますから、今後、この部会は終了し ましても、そういった機会を設けて連携を深めなければいけないと思っております。私ど も、6年制を通じてしっかり資質の向上を図りますので、よろしくお願い申し上げます。  井村部会長 ありがとうございました。薬剤師も、この部会がなぜできたかということ を考え、自らを強く律して務めを果たす覚悟がこれから先はますます必要になってくるか と思います。  小出企画官 すみません、今のお話の内容ではないんですけど、お話の中で今回で部会 が終了、というお言葉がありましたが、ここは部会自体は今回報告書を取りまとめていた だきました。それで、今後将来何があるということではないんですけれども、部会として はまだ存続するということでございますので、それは御理解いただきたいと思います。   井村部会長 最後にそういうお話があるのかなあと思ったんですけれども。ほかに御意 見がございましたら、どうぞ。いかがでございましょうか。  大体よろしゅうございますでしょうか。もしこれで、御意見がこれ以上ないということ でしたら、この報告書(案)、異議なく了承されたと受け取らせていただいてよろしゅう ございますか。どうも大変ありがとうございました。  昨年5月にこの部会が発足いたしましてから先ほどお話がありましたように、1年半た ちまして、その間に23回の部会が開かれるというかなり異例の部会でございました。その 間、本当に都合を合わせていただきまして、熱心に討議に参加していただきました委員の 皆様方に心から御礼申し上げたいと思います。  いろいろな立場がございましたので、最初は意見がかなり隔たっていたわけで、私は心 配をしておりましたが、皆様方の非常に思慮深い御協力でなんとか報告書をまとめるとい う段階まで来たことにつきましては、まことにありがたいことだと思っております。  今後のことでございますけれども、今まで自分の意見を余り言わないで来ましたので、 一言だけ最後に言わせていただきたいのですが、何しろこの部会の議論の前提になりまし たのは、きょう何度も出てまいりましたけれども、医薬品の安全性の確保といいますか、 医薬品供給の安全性ということが大前提になっているということでございまして、これは 皆様方御異論がないところだというふうに理解をしております。したがいまして、今後の 法制化におきましては、事務局、医薬食品局でおやりになると伺っておりますが、それは 大変幸いなことでございます。よく事情を知っておられる方々が条文をつくっていかれる 際には、ここで議論いたしました我々の議論の前提になっております安全性の確保という 点で、これが遺漏のないように法案に盛り込まれるように御努力をいただきたいというこ とをまずお願いをしておきたいと思います。  それから、もう一つ、私はちょっと懸念をしておりますのは、先ほどもちょっと議論の 中で資格という言葉が出たり、まだ皆さんの理解が何となく一致してないのかなあという 気がしますが、販売に関わる専門家の資質というところで私もまだ心配になるところがご ざいます。それは、具体的なことについてはほとんど何もこの部会では決めていないわけ ですので、その点に関しましては、試験が妥当である、という文面がありますが、その試 験のレベルによっては随分また違ってくるだろうと思います。先ほど申しましたように、 第一点の安全性の確保ということもございますので、ぜひ、この専門家の資質につきまし ても、きちっとしたレベルが確保されますよう、十分御配慮いただきたいと考えておりま す。よろしくお願いいたします。  最後でございますが、本当に皆様方の必要があれば妥協しようという思慮深い御協力で ここまでまいりましたことを本当にありがたいと思っております。今後とも法案の成立ま ではウォッチングしていただきまして、おそらく何か意見を聞かれるようなこともあるか と思います。部会はまだ終わらないということでございますので、そういう機会もあるか と思いますが、今後とも、法制化に向けての事務局の努力を我々見守っていきたいと思い ます。本当に長いこと、どうもありがとうございました。  それから、最後の段階になりますと、事務局はほとんど走っているんじゃないかと思う ぐらい努力をされまして、意見の調整に努められました。スムーズに報告書がまとまりま したのも御担当の事務局の方のお陰だなあと思っております。これにつきましても大変あ りがたいと思っております。ありがとうございました。  それでは、これでこの部会の本日の課題は終了させていただきます。委員の皆様方はよ いお年をお迎えいただきますよう。  最後に、御就任以来、この部会に必ず御出席いただきました福井医薬食品局長から一言 ごあいさつをお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  福井局長 一言ごあいさつ申し上げたいと思います。井村部会長を初めとしまして、各 委員、専門委員の皆様方におかれましては、お話が出ておりますが、昨年の5月以来、約 1年半ということでございますが、夏は2つ越えたわけです。ふた夏越えたということで ございます。この医薬品販売制度の見直しに関しまして、さまざまな角度から深い御議論 を重ねていただいたことにつきまして感謝を申し上げたいと思います。  前任者から引き継ぎまして、私自身当部会に毎回出席をさせていただきました。委員の 皆様方の御議論を拝聴させていただいてきたわけですが、多くの難しい課題につきまして、 御専門の知識、あるいは経験に基づきまして活発な御議論をいただいたと認識いたしてお ります。そしてこのたび、その成果として報告書の取りまとめに至ったということでござ います。重ねて感謝申し上げる次第でございます。  国民の健康意識の高まりなど、一般用医薬品を取り巻く環境は大きく変化してきている わけでございますが、医薬品販売制度の在り方全般の見直しについて調査、審議するとい うことが当部会設置の趣旨でありますけれども、今般こういった形で御提言をいただきま して、私どもといたしましては、この提言の趣旨を踏まえまして、購入者である一般国民 の視点に立って薬事法の改正に取り組んでまいりたいと考えております。 最後になりますけれども、23回ということでございまして、私も公務員を30年やってお りますけれども、23回にわたる、専門委員会を入れますともっと数が多くなるわけですが、 これほど長期にわたって御議論いただいた審議会、私今まで経験したことがないわけでご ざいまして、そういった意味におきまして、この部会を滞りなく運営をし、報告書を取り まとめるという大変な作業、部会長として御尽力をいただきました井村先生に対しまして 深く御礼を申し上げたいと思っております。  以上をもちまして、簡単ではございますが、私のごあいさつとさせていただきます。 ありがとうございました。  井村部会長 最後に私、大変なことを言い忘れておりました。今、局長さんが述べられ ましたことの中に入っておりましたので。実は今のお言葉の中にありましたように、部会 と合わせると30回ぐらいになるという専門委員会ですが、専門委員の方々が本当に大変な 作業をなさいました。物すごいエネルギーをお使いいただいて、特に望月委員が専門委員 を兼ねておられまして、リスクの分類をするための非常に大変な資料を御用意いただきま したために、専門委員会がそれでも10回ぐらいの会合でなんとかリスクの分類が出来上が ったということでございまして、望月先生と埜中先生を初めとする専門委員の皆様方には 本当に心から御礼申し上げたいと思っております。本当にありがとうございました。  では、これで打ち上げとさせていただきます。ありがとうございました。                                      (了)                  (照会先)                  厚生労働省医薬食品局総務課                  TEL:03-5253-1111(代表)                  担当:生田(2725)、目黒(2710)、石井(2713) 24 23