05/12/14 第4回ヒト幹細胞治療臨床研究指針の策定に関するワーキンググループ議事録 第4回ヒト幹細胞治療臨床研究指針策定に関するワーキンググループ 平成17年12月14日(水)10:00〜11:45 経済産業省別館 10階 1012号会議室 ○事務局  それでは、定刻を過ぎましたので、ただいまから第4回ヒト幹細胞治療臨床研究指針 策定に関するワーキンググループを開会します。  委員の皆様方には年の瀬のお忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとう ございます。  本日の会議の出席状況でございますけれども、位田委員が体調不良のため急遽お休み という御報告を受けております。  それでは、以降の進行を高坂座長、お願いいたします。 ○高坂座長  暮れも押し迫っているというところまではまだいってないですかね。お忙しい中お集 まりいただきましてありがとうございました。  早速会議を始めたいと思いますが、その前に資料の確認を事務局の方からお願いいた します。 ○事務局  それでは資料の確認をいたします。まず座席表、名簿、議事次第がございまして、資 料1、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(素案作成のためのたたき台)。  資料2、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(案)対照表。  参考1、ヒト幹細胞等を用いる臨床研究に関する指針(案)(未定稿)。  参考2、委員会における議論の合意状況。  参考3、臨床研究に関する倫理指針の日本国外における適用範囲について。  参考4、ヒト幹細胞を用いる臨床研究について(流れ図)(たたき台)。  机上に参考としまして、細胞・組織利用医薬品等の取り扱い及び使用に関する基本的 考え方、生物由来原料基準、臨床研究に関する倫理指針、遺伝子治療臨床研究に関する 指針、ヒトES細胞の樹立及び使用に関する指針、ヒトゲノム遺伝子解析研究に関する 倫理指針等のファイルを準備してございます。ファイルにつきましては会議終了後回収 させていただきますので、御了承くださいますようお願いいたします。  あと、遺伝子治療臨床研究の実施計画審査の流れのイメージ図、こちらを机上に配付 しております。  皆様に配付いたしました資料に、漏れ等はございませんでしょうか。  ないようでしたら、以上で資料の確認を終了させていただきます。 ○高坂座長  はい、ありがとうございました。それでは前回同様議論を進めていきたいと思います が、議論の進め方について事務局の方から何かございましたら、御発言をお願いいたし ます。 ○事務局  前回同様、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針の策定について御審議いただき ますけれども、資料1は指針の素案作成のためのたたき台、本文でございます。前回ま での御議論を反映させたものになっておりまして、前回の御議論の後、変更になった点 を赤字で見え消ししております。  資料2につきしては、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(案)対照表という ことでして、右側に論点等を記載しております。特に委員の先生方におかれましては、 この論点と、御議論が円滑に進むように作成した資料でございますので、未定稿との相 違点のポイントについて御審議いただければと思います。  今回で最後まで、前回、第3章まで御議論いただきましたので、第4章、第5章、第 6章、及び前回スキップいたしました研究機関の基準、厚生労働大臣の意見等について、 ざっと本日で御議論いただきたいと思っております。以上でございます。 ○高坂座長  はい、ありがとうございました。前回まで御議論いただいたことについては、例えば フォローアップの手続が再審査ではないだろうか等々の意見がございましたが、それは 今回ほぼ直していただいているということになります。前回、中央審査ということ、そ れは厚生労働大臣の意見というところに置きかわっていますが、これについては最後に 議論したいと思っています。したがって、本日は前回の続き、すなわち27ページの第4 章、被験者の人権保護及び使用段階における安全対策というところから議論していきた いと思います。  それでは、まず被験者の人権保護のところ、これについては以前私たちが作成しまし た案、これが右に書いてありますけれども、それの文言整理というところが主体になっ ていますので、ごらんいただいているかと思いますが、27ページの第1の1、2、3あ たりでお気づきの点がありましたでしょうか。  ここは文言整理ということで、よろしゅうございますか。  では、特に大きな変更をしていないということで、文言の整理ということでよろしい かと思います。  それでは28ページ、代諾者による同意というところに関しましても、以前私たちが議 論した点がほぼ生かされている。変更点としては文言の整理ということでございます。 いかがでしょうか。  よろしゅうございますか。  では、特にお気づきの点がないということで、ここまでは文言の整理ということで図 らせていただきます。  その次、第2、使用段階における安全対策というところです。ここについては、まず 1番目として、ヒト幹細胞に関する情報提供管理ということです。ここの右側に書いて ありますが、変更点の趣旨を事務局から。 ○事務局  御説明申し上げます。前回のヒアリングを踏まえ、製造業者等というふうな概念は、 本指針で定めるものではないということですので、ヒト幹細胞に関する情報を研究責任 者等が管理することとして記載しております。未定稿では、製造業者等が医療機関及び 医師等の医療関係者に対して製品情報を提供するという内容でございましたが、研究責 任者がヒト幹細胞に関する情報を管理するというふうに記載しております。後段につき ましては、説明的事項として細則に落とすことを提案させていただいております。以上 でございます。 ○高坂座長  この前も何回か議論があったんですが、製造業者という言葉が適切であるかどうかと いう点もありましたし、薬事法との関連で、ほかの場所でつくったものを配付するとい うことは薬事法の関係でこの指針には入れないということになりましたので、その関係 上、赤字で直していただいているような文面になっているということになります。 ○岡野委員  調整機関というのは研究機関と同一でないといけないということになるんでしょう か。 ○高坂座長  これは前回、薬務局の方に詳しく説明をしていただきまして、基本的には機関内で調 整しなければならない。別の機関でもかろうじていいという例はあるんですけれども、 それはあくまでも研究代表者、責任を持っている研究者が別の施設に行って調整する、 指導等を行って責任が持てるような形で調整している場合、これはその回に限り他施設 から細胞を持ち込んでもいいと。 ○岡野委員  倫理委員会等はそこをきちっと審査しなければいけないということですね。 ○高坂座長  という理解だったと思いますが、いかがでしょうか。 ○岡野委員  そうすると、現行の既に行われている再生医療というものでかなりグレーゾーンのや つがあるという認識に立たざるを得ないんですけど、それはそれでということですね。 今後の申請に関してはそれはきちっと遵守すると。ですから、ほとんどの場合は当該研 究機関という意味での調整機関であって、たまたま例外を含めた場合も含めて入り得る ようにということで調整機関という言葉を使っていると理解してよろしいですか。 ○高坂座長  製造という言葉がちょっと違和感があるということで、一つは調整ということがよか ろうということもありますけどね。 ○岡野委員  製造業者というと当然薬事法が適用になって、全く問題外だと思いますので。例外に ついての詳しい記載というのはどこかにされる御予定なんでしたっけ。 ○高坂座長  何の例外ですか? ○岡野委員  研究代表者がきちっと全部工程を把握して指導的立場にある場合は…… ○高坂座長  調整する場所が違うということですね。 ○岡野委員  これは細則か何かに入れておいた方が親切なんじゃないでしょうか。そうしないとい ろんなことがまた水面下ではびこったりしますので、そこはきちっとされた方がよろし いんじゃないでしょうか。 ○事務局  今の御意見を踏まえまして、説明的に細則の方で、こういう場合はほかの施設の方で 調整していても大丈夫だということは記載したいと思います。 ○高坂座長  この前の議論としては、どこかで細胞をストックしておいて、それを配付していくと いうことはできないという形になっていたと思います。  ということですが、28ページはよろしいですね。29ページの方でちょっとこの前議論 になったのが、何年保存するかということもあったんですが、中畑委員の御意見もあり まして、少なくとも10年間ということに統一してはどうだろうかということで、今回は そのような形になっています。 ○北村委員  ちょっと伺いますけど、「細胞・組織利用医薬品等の取り扱い及び使用に関する基本 的考え方」というのがありますね。この考え方に従っていると薬事法に従っているとい うことになるんですか。 ○高坂座長  ということになると思いますが。 ○北村委員  これに従ってやれば薬事法に従ってやったことになるんですか。 ○事務局 この指針は薬事法を前提として、医薬食品局長通知で基本的な考え方を定め ているものですので、この基本的考え方に沿っていればそれがそのまま薬事法に従って いるということではないんです。  本指針の適用範囲のところでございまして、ほかの指針ですとか、ほかの法令で定め られているものは適用範囲外であると書かれておりますので、薬事法の適用となるよう な研究になったならば、自動的にこの指針からは対象外となるような形になっておりま すので、薬事法に準じて行うべきようなところに関しては、この基本的考え方にのっと ると。 ○北村委員  細胞等を扱うのは薬事法に全部規程があるんですか。それがないとどうやったらいい かわからなくなると思います。薬事法にない場合はこれに従ったらいいのか、実際、幹 細胞を取り扱いたい人はどうやったらいいのかということが私はわからないんですけ ど。 ○高坂座長  要するに細胞・組織のあれですよね。これと次の生物由来の基準が薬事法に従ってい るのか、薬事法に縛られているのかということですよね。基本的にはそうではないわけ ですね? ○事務局  薬事法とは別といいますか、生物由来原料基準については、医薬品、医薬部外品、化 粧品及び医療機器に使用される、ヒトその他の生物に由来する原料または材料について 定めている基準ということですので、生物由来原料基準は医薬品の中でも生物に由来す るような原料を用いる場合の基準でございますが、1つ目の細胞・組織利用医薬品等の 取り扱い及び使用に関する基本的考え方、こちらの方も細胞・組織利用医薬品等につい て定めているものですので…… ○高坂座長  いや、ただ、生物由来原料基準のところはもう明確に「薬事法の規程に基づき、生物 由来原料基準を次のように定める」と書いてありますから、薬事法にある意味では準じ ているということになると思いますけど。 ○岡野委員  今回の指針の範疇外ということでしたら結構なんですけど、前回の議事録で読み切れ なかったところがありまして、一つだけ確認させていただきたいと思います。範疇外と いうことでしたら、将来的に厚生科学審議会、あるいは厚生労働省で検討していただき たいこととしまして、企業ベースの幹細胞治療というものは全く範疇外になるわけです よね。ただ、それはある程度仕組みを考えておかないと時代おくれになるというのは危 機としてあります。  というのは、米国でステムセル社がヒト胎児幹細胞を使ったバッテン病の臨床研究を 承認しました。それから、ジェロン社からFDAにヒトES細胞を使った脊髄損傷の治 療法に関して、かなり上の方まできまして、動物実験の結果が出次第承認されると言わ れております。ですから、やがてこういったことが我が国においても取り上げられる可 能性がありまして、本来はこの指針の中で何らかの形で盛り込んだ方がいいと思ってい たんですけど、薬事法が絡むといろんなことが紛糾しますので、この指針のスタートを おくらせるわけにいかないのでこれは別範疇としますけど、やはり何らかの形でその仕 組みを早急に厚生労働省としては御検討いただきたいと。そうじゃないとちょっと困る んじゃないかと思うんですね。それはぜひともお願いしたいところであります。  というのは、薬事法の中に書いてないんですよね。この細胞を使ってどういうふうに 臨床研究を審査していいかというところが全く白紙状態です。薬事法に投げても、じゃ あ薬事法の方で対応できているかというと、私は決してそう思わないんですね。ここの 会議では決められないけど、何かの形でぜひとも御検討いただきたいと思います。 ○高坂座長  わかりました。ごもっともな意見だと思います。 ○中畑委員  細胞・組織利用医薬品等の取り扱いというのは、その細胞・組織を利用した医薬品で あれば、当然この考え方に縛られるという考え方でいいわけですよね。そうすると、薬 事法の中でも細胞・組織利用をするようなものについては、この考え方の範疇にあると いう理解でよろしいんでしょうか。僕はそう考えていたんですけど。 ○事務局  薬事法のもとで承認を受けて製造を行う場合には、この基本的考え方に基づいて製造 してくださいというものになりますので、薬事法の中でこれは動いているものになりま す。  ただ、薬事法の適用外の世界で、医師の責任のもとで臨床研究を行う場合であっても、 こちらの方の基本的考え方、薬事法と同じレベルのものを参考にして、これと同じよう にやっていただきたいということを指針の方に書いてあるという整理になっておりま す。 ○高坂座長  薬事法では縛られないんですけども、例えばクオリティを確保するというようなとこ ろでは、こういった基準に準じてやってほしいということですね。 ○中畑委員  細胞・組織を用いたものについては当然のことながら、この基本的考え方に縛られて いるという理解が基本になると思います。 ○高坂座長  と思います。議論をもとへ戻します。28ページ、29ページの1番、2番、3番、安全 対策、被験者等の試料の保存、被験者に関する情報の把握等は文言の整理というあたり です。  よろしゅうございますか。  じゃあお気づきの点がありましたら、また発言をお願いいたします。  では29ページの第5章に参ります。これは以前、製造及び加工段階における安全性確 保の対策ということで相当議論をしてあったと思います。29ページ、30ページ、31ペ ージにわたって相当細かいところも定めていたわけです。これに関してはここまで詳細 にわたったものを指針で入れるべきなのか、それとも細胞・組織利用医薬品等の取り扱 い及び使用に関する基本的考え方ということが既に出ておりますので、これを引用して、 これに準ずるということでいいのではないかという意見があります。ここでは原則的に は細胞・組織利用医薬品等の取り扱い及び使用に関する基本的考え方に準ずるとして、 細かい点は削除すると。要するに、ヒト幹細胞を取り扱うに当たって特殊な事情がある 場合のみ、それをここに記載してはどうだろうかという整理をしていただいたわけです。 あとは文言整理ということになります。  いかがでしょうか。  これは生物由来原料基準にも準ずるわけでしょ。 ○中畑委員  そちらは純粋に薬事法の範疇という形ですよね。一部生物由来原料基準は、今回の指 針では必ずしも生物由来原料基準には縛られないということになりますよね。ただ、前 の細胞・組織についてはこの考え方にある程度準ずるということになるわけですが、そ うしますと、生物由来原料基準の中で今回の指針に織り込むべきことがあれば、そこは 少し触れないといけないと思うんですけれども、私はまだ完全にこの対照を見ていない ので、これで欠けるところがないかどうかちょっと不安なんですけども。 ○事務局  事務局から補足させていただきますと、対照表の6ページの4、品質等の確認という 項目がございまして、第2回のワーキンググループで御議論いただいた、臨床研究に使 用されるヒト幹細胞は、生物由来原料基準を満たすものに限るものとするという御議論 をいただいております。ここで生物由来原料基準については触れられております。 ○岡野委員  少しディテールの話になりますが、大事なことだと思いますので、これだけはきょう ディシジョンしていただきたいんですけど、生物由来原料基準に関しまして、いわゆる 血清に関して、BSEの問題、米国からの輸入が再開したということなんですが、米国 産のウシ胎児血清は使っていいのか、輸入が再開されたとなるとわからなくなります。 これはきちっと、食品としての話と医薬品としての話と、BSEの発生のない国からと か、比較的雑駁な書き方しかしてなかったような気がしますので、そこら辺の情報はど っちかからアップデートしないと怖いなというところであります。そこは何としてでも 情報は確保しておかないと、ほかの指針を参照して終わっているというのは余りにも無 責任のような気がします。 ○高坂座長  それは前回ヒアリングさせていただいたカワカミ先生がアメリカの例でもお話しにな っていたんですが、一部ウシ胎児血清を使用しているということなんだけれども、現状 としてはそれは余り規制はされてないですね、アメリカでは。ただし、最終調整品とし ては完全にそういったもののコンタミを除外するということは一つの大原則になってい たようですけれども、血清を使っちゃいかんとかいう基準ではなかったですよね。 ○中畑委員  FDAで今まで認めてきたものは、血清はある程度使って認めていたので、それは仕 方ないということで、ただ、新たに出てくるものについては血清はできるだけ使わない ようにするという基準だと思うんですけれども。アメリカそのものは、自分の国はBS Eが出ている国というふうにしっかり認識していないので、FDAは米国産ウシ胎児血 清を使うことは認めるということなんですが、日本はちょっと考え方が違いますので。 米国はBSEが発症している国として、ほかの食品についてもそう認識しているわけで すので、BSEが発症している国は除外するということは明確にしておいた方がいいと 思います。  実際、小児科領域で、ウシの肺からサーファクタントをとって、未熟児が発症するR DSという疾患に吸入で使っているわけですけども、それはいろいろな国を転々として、 現在はたしかニュージーランドのウシの肺からとったサーファクタントを使うという形 で、それは恐らく企業がそういう形で企業努力によって、BSEが発症してない国を転 々としてニュージーランドに移っていると思うんですけれども、この指針でもその辺は 明確に、特に細胞が直接血管の中に入りますのでね。あるいは組織に直接移植するとい うことになりますので、BSEが発症している、あるいは発症した既往のある国のウシ 胎児血清は用いてはならないというくらいのはっきりしたものにしておいた方がいいと 思います。 ○高坂座長  それは先生、細則で入れますか。親の指針の中に盛り込みますか。 ○岡野委員  生物材料の方の基準に大部分は準拠していいと思いますが、そこのポイントだけは私 はどうしても納得できないので、ここで取り上げていただきたかったと。  FDAに関しましては、私はある再生医学に関するワークショップで、FDAの審査 官の人が来られていまして、BSEとFCSの問題を聞きましたけど、大事な問題だけ ど決着はついてないと、検討課題であると、ですから非常に迷っているんですよね、F DAも。今の答えが100%正解であるかどうか彼らは自信がないんですね。それに準拠 していいかという問題もありますので、少なくとも中畑委員のおっしゃるようなことは 盛り込んだ方がよろしいかと思います。特に中枢神経系の再生医療の場合、脳内に細胞 が入りますので、これは真剣に憂慮すべき問題かなと思います。 ○高坂座長  ごもっともではあると思うんですが、入れるとしたらどこに入れますかね。品質管理 システム……どうぞ。 ○北村委員  31ページの2の部分に、細菌、真菌、ウイルス等の汚染の危険性の排除というところ がありますが、その(5)に異種移植、血清の問題を記載と書いてあります。問題を記 載というのは何のことかわからないけども、この部分に書くということなんですか。 ○事務局  事務局から補足で御説明申し上げます。調整段階における安全対策の項目は、未定稿 のところ、細胞・組織利用医薬品等の取り扱い及び使用に関する基本的考え方、1ペー ジ以降のものをもとに作成されておりますが、先生方の御議論で、6番の細菌、真菌、 ウイルス等の汚染の危険性の排除という項目は、細胞・組織の基本的考え方にも記載し てあるんですが、(5)の異種移植、血清の問題を記載というところだけ、ヒト幹細胞 に関して特別な事項であるということで追記されているところですので、今御議論のと ころはここに集約されています。 ○高坂座長  じゃあそこに細則として入れますか。BSEが発症している国におけるウシ胎児血清、 既往のある国で製造された血清は使用してはならないということですね。 ○岡野委員  じゃあ日本国内産もだめということですね。 ○中畑委員  そうですね。日本国産もだめにしておいた方がいいんじゃないですか。その議論のと きに、今のBSEの検査法で十分それがチェックできるかどうか。ごく微量のプリオン がチェックできるかどうかという問題が、今の検査法で100%避けて通れるということ であれば、必ずその検査を施行したウシ胎児血清のみを使用可とするというぐらいの、 そこはなかなか難しいみたいですね。 ○岡野委員  そこは先日専門家の方に聞きまして、例えばウシのプリオン遺伝子をノックインした マウスに注入して発症を見るという方法がありますけど、1年半かかりますし、血清中 プリオン濃度の10の5乗くらい大きいオーダーじゃないとそれは1年半でも出ないと いうことで、ELISAでもちょっと無理だということで、無理なんですよ、はっきり 言って。現在の方法だと。それぞれのロットについてのチェックというのは無理なので、 そういうくくりしかしょうがないというのはずっと考えてたんですけど。 ○中畑委員  発症した既往のある国のウシ胎児血清は用いてはならないという形にしておかない と、検査でそれをチェックできないということになりますので。 ○高坂座長  ということは、現在はメキシコ産のウシとかそういうことになりますか。 ○中畑委員  オーストラリアも。アメリカのある企業はオーストラリアのものを使っているみたい ですね。 ○高坂座長  それでよろしいですか。入手困難であるわけではないですね。  わかりました。じゃあ事務局の方で(5)のところに細則として、今のBSEの問題 を取り上げておいてください。  その後の3番であるとか、ヒト由来細胞、指針に準じて記載してはどうかということ になっています。 ○中畑委員  できるだけ血清を用いない方法で細胞を処理すると。やむを得ず血清を使用する場合 はという項目を入れておいた方が。ヒトの血清でも同じようなウイルス伝播のリスクが ありますので。できるだけ血清を用いないように努力するというようなニュアンスのこ とはどこかに書いておくべきだと思いますけどね。FDAも今そういう方針だというこ とですけど。 ○北村委員  それは分画したものをかわりに用いるということですか。それならプリオンが含まれ る可能性が、血清をそのまま用いるよりはずっと低いですね。血清のかわりに血清から 分画したものならいいわけですね。 ○高坂座長  要するにリファインド・メディウムを使うということですね。 ○中畑委員  あとはアルブミンなんかは、今リコンビナントのヒトのアルブミンがつくられて、ま だ医薬品としては日本では承認されていないんじゃないかと、今申請途上くらいだと思 うんですけれども、そういうものにできるだけ置きかえて、そのままの血清というのは できるだけ用いない。 ○岡野委員  多くの施設で今プラクティカルに用いられている方法なんですけど、自己血清を使う という方法に関しては問題ないと考えるんですか。ヒトでもアロの血清は、異種及び多 価の血清を使うことはなるべく避けるようにするということですよね。使うんだったら オートの血清と。オートの血清が本当にいいかどうかは別ですけど、大分それはニュア ンスが違いますからね。 ○高坂座長  じゃあそうしましょう。異種もしくは他家の血清を使うことは極力避けること。あと BSEの発症既往歴。 ○中畑委員  要するに血液製剤との関係で、そこで矛盾が生じないですか。 ○事務局  最終的にはこちらの委員会の意見を踏まえて、省内各部局で協議して調整はとってま いりたいと思います。 ○高坂座長  はい、ありがとうございました。  それでは次回、恐らく最後になりますけど、そこでもう一遍確認させていただきます。  31ページ、32ページ、全部規程に準ずるという形で削除しておりますが、それでよろ しゅうございますか。  33ページに参りまして雑則等のところ、第2章第1の4(8)、あるいは第2章第1 の2、(4)へ移動しております。削除しているわけではありません。それから、見直 しに関しては、何年というのはありましたけども、差し当たり施行後5年を目途として 全般に関して検討を行うということにしております。  いかがでしょうか、ここまで。 ○中畑委員  31ページの右の対照表のところで、製造の概念は本指針で定めるものではないことに 伴い、ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針というの と、今まで議論してきた細胞・組織利用医薬品等の考え方、これとの関係というのはど うなってるんでしょうか。 ○事務局  こちらに記載しておりますヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保 に関する指針というのは、薬務の方の特別部会で作成された指針でございまして、これ よりも基本的考え方に書いてあるものの方がより詳しいものとなっております。申しわ けありません、ちょっと資料におつけしていないんですけれども。この中に運搬方法に ついての記載がありまして、研究責任者はヒト幹細胞を運搬する必要がある場合には、 運搬容器、運搬手順等を定め、その妥当性について記録を文書で作成して施設に保管す ること、と書かせていただいております。検疫、出荷、配送という3項目に分けて記載 しております基本的考え方よりも、より大きくとらえた形で薬務の特別部会で作成され た指針に記載されておりましたので、こちらではどうかというふうに提案させていただ いたものです。 ○高坂座長  きょうはその資料はないんですね。 ○中畑委員  実際に細胞を処理・加工する人にとっては、いろいろなものを参考にしろと言われて、 どれが上下関係かもはっきりしないという形で、この考え方を参考にしたり、この指針 を参考にしたりということになると混乱すると思うので、もしまとめられるものであれ ば、この考え方を基本にして、それで足りないところはここに書き添えるような形にし た方が親切でわかりやすいのではないかと思うんですけど。どうでしょう。 ○事務局  そのような形でやっておりまして、基本的考え方で足りないところを、ほかでつくら れているガイドラインを参考に具体的に書いたのがこちらの赤字の部分になりますの で、その考え方には沿って作成しているかと思います。 ○高坂座長  基本的には、前に我々が議論したところをそのまま載せてもいいんですが、微に入り 細にわたって書いてありますし、あるいは当たり前のことではないかということも一部 記載されていますので、ほかの基準に準ずるでもいいかなというふうに私は判断したの でこういう形になっていますが、確かに載せている方が読む方々にとっては読みやすい という形にはなると思いますが、以前議論したことを生かした方がいいということであ れば、残すことにはやぶさかではございませんが、いかがでしょうか。  例えば出荷、配送等にしても当たり前といえば当たり前のことしか書いてないんです よね。あるいは項目だけでも書いておきますか。例えば検疫、出荷、配送、製造工程等 の項目だけ書いておいて、そういったことについては基準に準ずることと。 ○中畑委員  今までは基本的考え方に準ずるという、これは前の文章にあるわけですよね。だから、 ここもそれに準ずるという形で、この考え方に入っていない、先ほどのヒト由来細胞・ 組織加工医薬品等の指針の部分だけをこの下に書くとかいう形であれば、この考え方に 沿ってみんなやっていけばある程度いいということになるので、そういう形にはできな いですかね。 ○高坂座長  当然それはできますよね。 ○中畑委員  繰り返しになりますけど、7番のところには、運搬方法等についてはこの考え方に準 ずるということをもう一度書いて、それにプラスして指針の中に書かれていることを一 部ここに書かれていると思うんですけど。 ○高坂座長  いずれにしても、きょうは資料を用意していなかったので、来年のファイナルのとこ ろでもう一遍チェックしますので、そのときに追加していただいて、最後にもう一遍チ ェックしましょう。基本的には読む人にある程度わかりやすくするために、リダンダン トになる可能性があるけれども、最低限必要な項目を含めてもう一遍記載していくとい うことにいたしましょう。  それでは、一応以上のような御議論で最後まで行きましたが、前回御議論いただきま した研究機関の基準について、位田委員から御指摘をいただいていましたので、事務局 の方でどこを訂正したか御説明ください。 ○事務局  御説明申し上げます。対照表でいいますと19ページになります。研究機関の基準とい うことで、前回の資料では、研究機関(ヒト幹細胞の採取または培養をする機関を除く) というふうにして、臨床研究を実施する研究機関の基準のみ記載しておりましたけれど も、採取を行う研究機関もしくは培養等を行う施設、移植または投与をする研究機関、 これらの基準についても記載すべきではないかという御意見がございましたので、19ペ ージに書いてあります案は、(1)採取を行う研究機関、(2)調整機関、(3)移植 または投与をする研究機関ということで、それぞれ研究機関の基準について記載してあ るものです。  冒頭御議論がありましたとおり、原則的には同じ研究機関で研究がなされるものとい うふうになっておりますが、そうでない場合もあるならば規定すべきではないかという 前回の御意見を踏まえての記載でございます。これについて御議論いただければと思い ます。 ○高坂座長  御説明いただいたとおりで、位田委員から、細胞をいただく機関、施設も入れるべき ではないかというようなことがありましたので、研究機関の中にはヒト幹細胞の採取を 行う機関、細胞を調整する場所、実際に患者さんに投与する場所という形で整理してい ただいたということです。(1)はヒト幹細胞の採取を行う研究機関。次のすべての要 件を満たすものとするとして、(1)〜(3)ですね。ヒト幹細胞の採取及び保存に必要な衛生 上の管理がされており、採取に関して十分な知識、技術を持つ人員を有していること。  (2)倫理審査委員会に……倫理審査委員会に準ずる倫理審査委員会というのはちょっと おかしいね。 ○事務局  こちらに記載してございますのは、第2章第3の1に倫理審査委員会について規定し ておりまして、これは基本的に臨床研究を実施する研究者がその申請を行う際の倫理審 査委員会の規程ですので、倫理審査委員会に入るべきメンバーに臨床医が、ヒト幹細胞 臨床研究が対象とする疾患に係る臨床医ですとか、そういった方々が入られているよう な倫理審査委員会です。調整機関に関しては、このような倫理審査委員会に準ずるよう な倫理審査委員会が設置されていることと記載しているのは、細胞・組織利用医薬品等 の取り扱いの基本的考え方のところで、細胞を調整する製造業者等の基準としまして、 準じた委員会等を設置して、細胞・組織利用について倫理的及び科学的観点から審議を 受けることを考慮することと記載しております。これに準じて記載しておりますので。 ○高坂座長  ただ、倫理審査委員会に準ずる倫理審査委員会ってどういう意味ですか。  それから、前回の議論で、基本的には機関内施設での細胞調整あるいは細胞採取とい ったものが原則に今回なっていますので、当然これは一つの大きな研究機関の倫理審査 委員会がすべてを審査するわけですよね。実際に細胞を採取するところ、調整するとこ ろというのが独自に準ずる審査委員会を持っているわけではないですよね。 ○中畑委員  大分以前にヒアリングがあった、国立大阪病院で採取したものを産総研で調整すると。 そうすると調整機関は産総研ですよね。採取機関は国立大阪病院で。ただ、国立大阪病 院も当然ながら採取に関する倫理審査を機関としてやるべきであって、たまたま産総研 は臨床はできませんけども、産総研で臨床を同時に行うとしても、産総研の倫理審査委 員会を通っているだけでは当然だめですので、国立大阪病院で採取に関する厳重な倫理 審査が行われる必要がありますので、採取に関する施設であっても、実際の臨床研究を 実施できるような施設での倫理審査委員会にある程度準ずるような形のしっかりした倫 理審査をやるべきだという趣旨で、やはり両方はきちんと書くべきだと思いますけどね。 今御説明のあった第2章第3の1に定める倫理審査委員会というのは、メンバーも含め てある程度きっちり定めていますので、それに準ずるような形の倫理審査委員会で採取 する研究機関も行うべきだという趣旨だと思うんですけれども。「準ずる」ですので、 完全に一致ではないと思うので。 ○岡野委員  私も考えたんですけど、日本語的に少し変かなと思ったんですけど、よくよく考えて みるとこれでいいんじゃないかと思っております。というのは、先日通りました関西医 大での脊髄損傷の臨床研究に関しましても、骨髄採取は関西医大で、細胞をふやすとこ ろは神戸先端医療財団、臨床を行うのは関西医大ということになっておりまして、それ ぞれの連携はきちっとしているから、ここでいう例外としては成り立つとは思うんです けれども、ある程度例外的なことをしないと、研究室の片隅のクリーンベンチで培養す るなんていうことが横行しては困りますので、きちっとしたところでふやす、しかしな がら研究代表者は全部の過程を認識しているということが前提での例外を認めたという ことになると、ここは準じると。「第2章第3の1に定める倫理審査委員会」で一つの 言葉のブロックになってるわけですよね。それに準ずる倫理審査委員会ということで仕 方ないんじゃないかなと。日本語的に違和感は感じますけど、言いたいことはわかる。 しかも、こうしないといろんなことができなくなるのではないかなと思います。 ○高坂座長  わかりました。意味がわかれば結構です。日本語がちょっとおかしいかなということ は思ったんですけど、よろしいですか。第2章第3の1に定める倫理審査委員会に準ず る倫理審査委員会が設置されていること。  (3)は、当該倫理審査委員会はドナーの権利保護を図るために必要な措置をとること。 よろしいですね。調整機関についても同様に書いてあります。医薬品の臨床試験の実施 基準に関する省令に求められる水準に達しているものとし、次のすべての要件を満たす ものとする。ここは少し文言整理しておいた方がいいですね。少し日本語がおかしいで すね。  (1)ヒト幹細胞の調整及び保存に必要な衛生上の管理がされており、調整に関して十分 な知識、技術を持つ人員を有していること。  (2)ヒト幹細胞の取り扱いに関しては、機関内に専用の作業区域を有すること。  (3)第2章第3の1に定める倫理審査委員会に準ずる倫理審査委員会が設置されている こと。  (3)ヒト幹細胞の移植または投与をする研究機関というのは、以前私たちが議論し たことについての文言整理、あるいは一部を移動していただいているということになり ます。この場合には第2章第3の1に定める倫理審査委員会が実際に設置されているこ と。準ずるではなくて、その委員会そのものが設置されていることということになりま す。  いかがでしょうか。岡野委員、いかがでしょうか。北村委員、いかがでしょうか。  はい。ということで、位田先生に御指摘いただいたところを一応こういう形でまとめ させていただいたということになります。  それでは研究機関のところが終わりましたので、引き続き、以前私たちが中央審査と 言っていたところですね。ここに戻りたいと思います。それが21ページです。第4とい うところです。厚生労働大臣の意見。昔は中央審査委員会ということにしていたところ です。これについては、遺伝子治療の指針がありまして、これがすべて審査を行ってい るところですが、これが厚生労働大臣の意見といった形で取りまとめていただいている ということです。遺伝子治療臨床研究の実施に整合性をとった方がいいのではないかと いうことで、こういう形にしていただいております。それについて資料を用意していた だいております。一つは、遺伝子治療臨床研究の実施計画審査の流れというものと、ヒ ト幹細胞を用いる臨床研究についての流れ図、この2つを用意しておりますので、事務 局の方で簡単に御説明ください。 ○事務局  御説明申し上げます。参考4、ヒト幹細胞を用いる臨床研究について(流れ図)(た たき台)という資料でございます。左側は研究の申請についてのイメージを記載してお ります。研究責任者が研究計画書を研究機関の長に提出しまして、研究機関の長は倫理 審査委員会に意見を求めます。倫理審査委員会はその研究計画書について審査して、意 見を研究機関の長に述べる。それをもって研究機関の長は厚生労働省に意見を求めます。 厚生労働省が意見を述べまして、研究機関の長はそれらを踏まえて研究責任者に対して 研究実施の許可を与えるということです。研究者等は、それらについて留意すべきこと などがあれば必要な指示が参りますので、それらに関して十分な説明を被験者等に対し て行いまして、インフォームドコンセントを得るというのが流れ、(1)〜(8)まで番号を振 ってございます。  右側に記しておりますのは、重大な事態等が発生した場合の流れ図でございます。研 究者等は研究責任者に重大な事態等が起こりましたら報告をいたします。研究責任者は 研究機関の長にそれを報告しまして、研究機関の長は倫理審査委員会及び厚生労働大臣 に対して報告をいたします。倫理審査委員会及び厚生労働大臣はそれらに対して意見を 返しまして、研究機関の長は必要な指示を研究責任者に与え、研究責任者はそれについ て研究者等に必要な指示を与える。また、ほかの研究者等に対しても報告を行う。  このようなことが、第2回にわかりづらいという宿題をいただきましたので、研究機 関の長の責務、研究責任者の責務、厚生労働大臣の意見等に関して流れ図として作成し たのが参考4でございます。  一方、机上配付させていただいておりますけれども、遺伝子治療臨床研究の実施計画 審査の流れ、イメージという図がございますけれども、こちらに関しては急遽配付させ ていただきましたが、遺伝子治療臨床研究の実施計画審査に関して、実施施設の長から 厚生労働大臣に対して実施計画書の提出がございます。厚生労働大臣は新規性を判断し て、新規性があるようなものに関しては厚生科学審議会に答申、諮問をする。新規性が ないような場合は速やかに国の意見を回答し、実施施設の長にお知らせするというのが、 厚生労働省と実施施設の長との関係として書いてございます。  これらの流れについて御議論いただきましたら、それを反映させたいと思っておりま すので、よろしくお願いいたします。 ○高坂座長  はい、ありがとうございました。研究者や研究機関の長であるとか、そういった流れ についてまとめていただいたのと、厚生労働大臣の意見を求めるというものがどういう 位置づけにあるかというのをまとめていただいたのがこの図です。ヒト幹細胞について も基本的には遺伝子治療臨床研究の実施計画審査の流れの中で扱ってはどうだろうか と。すなわち、実施施設の長、ここでは研究機関の長が倫理審査委員会に上げたものが、 倫理審査委員会の意見として返ってくると。その意見を添えて厚生労働大臣に提示され ると。そこで専門家集団なんでしょうか、この新規性というのはおかしいよね。新規性 があるないとか、最初の実験だということですね、新規性というのは。 ○事務局  そうです。これまでに行われていないような実験をやる場合について新規性の判断を 行うという、これまで行われているものであれば新規性はないので審査は簡略化される という形になっております。 ○岡野委員  これから適用される指針ですから全部が新規なんじゃないでしょうか。余りそういう のをつけると、今までそれぞれのIRBで通ってるからいいんだとかいうことで出さな くていいとか誤解されるとよくないと思います。そこら辺はもう少し慎重に言葉を選ば れた方がよろしいんじゃないかと思います。 ○事務局  補足で御説明さしあげます。22ページの対照表にございます。左上にございますけれ ども、(3)厚生労働大臣は(1)に基づき意見を求められた場合において、複数の有 識者の意見を踏まえて厚生科学審議会の意見を聞くものとするのは、以下の(1)〜(3)のも のであるということで、(1)疾病の治療のためのヒト幹細胞が新規のもの、または新規の 移植もしくは投与方法を用いていること。(2)新規の疾病を対象としていること。(3)その 他個別の審査を必要とするような事項を含んでいること。これらのようなものは厚生科 学審議会の意見を聞くものとする。(4)に書いてございますが、これ以外のものは当 該ヒト幹細胞臨床研究の実施に関して意見を求められた日から30日以内に意見を述べ るものとする。こういうふうに記載しております。岡野委員の御指摘のように、遺伝子 治療の方も改正されてこのような記載になっておりますので、それは変えた方がいいと いう御意見があればいただきたいと思います。 ○岡野委員  遺伝子治療研究ですと対象疾患も変わったり、新しいベクターをつくったりと、ほと んどの場合は新規になるわけです。ところが再生医療の場合、臍帯血をこの疾患を入れ てしまえとか、その手のやつがアンケートをとって相当行われています。現行のやつを 倫理審査委員会で新たに申請するというのが申請としては新規になるのか、それとも既 に現行であるから新規なものでないのか、遺伝子治療とは閾値が違うような気がします ので、全く同じ文言でいいかどうかというのは多少議論してもよろしいんじゃないかと 思います。遺伝子治療の文言をベースとしてつくられたというのは理解いたしました。 ○高坂座長  新規性という言葉ですね、中畑先生、北村先生、どうですか。 ○中畑委員  この委員会が発足した当時、従来行われてきたような例えば骨髄移植とか、臍帯血移 植は、この指針からは除外するということになっていたと思うんですけれども、それ以 外に、例えば骨髄をとってバージャー病とか、ASOなんかの下肢に注射をしたりとい う医療が、恐らく20〜30の施設で日本では行われていると思うんですけれども、ここ2 〜3年の間に行われてきているようなあれももう一度ここに乗せて再審査をするか、し ないかという判断が非常に大事じゃないかと思うんですけれども、従来行われてきた医 療の中でも考え方によってはリスキーなものもあるわけです。例えばフランスなんかで、 筋肉の幹細胞を心筋に直接移植をしたら悪性のスイナックが生ずるということで、フラ ンスではもうストップしているようなものも日本で行われている、あるいは今も行われ ようとしているということで、そういうのも今までやってきちゃってるから今回は俎上 には乗せないという形にしてしまうのか、その辺の判断をどうするかというところが。 あるいは先ほど言われた、関西医大で通ったような骨髄を培養して、その後脊髄の中に 移植するという、これは倫理審査委員会で既に通っているから、そういうものは今回の 指針が出るより早くやっていれば、それは全く俎上に乗せなくていいのかどうかという、 その辺の判断は非常に難しいところで、そこは議論を尽くした方がいいと思います。 ○北村委員  この指針には、通常に行われている治療とか検査を除くと書いてありますね。ただ、 骨髄移植とか普通の血液の病気に対する臍帯血移植、これらは除かれると思うんです。 それ以外はかなり多くをカバーするという方向の方がいいと思いますね。通常の治療及 び検査というものは除いて、研究については広く含める方がいいと思います。 ○高坂座長  わかりました。ちょっと話は変わるんですが、以前、岡野委員が、ヒト幹細胞等の定 義というか、どういう細胞を幹細胞というかということについて書いていただいている んですが、その中に臍帯血も入ってるんですね。そうすると、どうしてもこの指針に従 うということになっちゃいますよね。 ○岡野委員  これは疾病対策課長からも宿題として検討していただきたいと、現行のやつをどうす るんですかと。一般医療じゃなくて、実験的なやつで現在行われているやつというのは、 僕は新たに申請していただくのが望ましいんですけど、そこまで強制力を持たせられる かどうかわからないんですけど、ここの俎上に乗せていただきたいという意図がくまれ るような文章は組むことは可能ですよね。既に始まっている再生医療に関しても、どこ に盛り込むかはわからないんですけどね。ここで新規と。新規以外のところは(3)に盛り 込もうと思えば盛り込めるわけですね。それで盛り込めば指針の文章としては整合性は 成り立つと思いますけれども、この文章でこれ以上紛糾はしたくないんですが、実際プ ラクティカルにオンゴーイングなものをどうするかというのはどこかで盛り込まない と、今の問題が出てきてしまうのではないかと思います。 ○高坂座長  岡野委員がおっしゃったように、(3)のその他個別の審査を必要とするような事項を含 んでいることで、かなり大きく網はかかってるんですね。その問題と、現行既にやって いるのをどうするかというのは別の議論なんですね。それはこのワーキンググループで 議論するよりも、親委員会で一回議論した方がいいのではないかという気がしますが、 いかがでしょうか。既に始まっているものをこの指針で縛るかどうかということですね。 いろいろ難しい問題が出てきていますので。ワーキンググループではむしろ、それをこ こで煮詰めても最終決定にならないという気がしますので。この指針が完成したとき、 どこまで網をかけていくかという問題になると思いますので、それは最後の方で親委員 会でぜひやっていただきたいと思います。  ということで、新規性という言葉はどうしますか。それでよろしいですか。  はい。そういったところで、結局、厚生科学審議会の中に設けられる専門委員会が実 際に審査するということになるわけですね。特に重大な事態が起きた場合には、研究機 関の長から直接倫理審査委員会にその事態を報告すると同時に、厚生科学審議会にその 旨報告が上がるということですね。  ちょっとわからないのは、重大な事態のときに、(3)の報告が同時に上がると。倫理審 査委員会と厚生労働大臣から意見が戻るわけですね。それは、それがそろった後に必要 な指示を出すんですか。 ○事務局  研究機関の長から倫理審査委員会及び厚生労働省に報告するというところは、研究機 関の長の責務のところで記載されていたんですけれども、同時に返さなければいけない ということではございませんでして、今現在書かれている素案作成のためのたたき台の ところでは、それぞれが意見を出して、研究機関の長はこれらの意見を踏まえて必要な 指示を研究責任者に出すということですので、実質的には順次…… ○高坂座長  というか、私が言いたいのは、研究機関の長が即判断して指示をしなければならない ときは往々にしてありますよね。そういった意見等を待って指示を出すのではなくて、 その事態の重大性に応じて、報告が上がった場合には即次の指示を出せるという流れに しておいた方がいいですよね。と同時に、仮にある指示を出しておいて、こういう事態 が起こったということを倫理審査委員会と厚生労働大臣に報告して次の指示を仰ぐと。 それまでの間、仮に緊急事態であればあるほど指示を直接出しておくということは必要 ですよね。 ○岡野委員  御参考までに本学の倫理審査委員会も、有害事象が生じた場合は緊急に倫理審査委員 会を、定足数に達していなくても開けるようにいたしまして、緊急の措置をとれるシス テムにしております。そうしないと、いろんな審査の日程調整云々までディシジョンが できないと、どんどんいろんなことが問題になりますので。ただ、高坂座長がおっしゃ ったことのフレキシビリティを盛り込むようにというぐらいの指導があった方がいいん じゃないかと思うんですね。厚生労働大臣がノーと言うまでやり続けるとか、この間の 株みたいなことがあったらいけないことでありまして、多少そこのフレキシビリティを 指導的に盛り込むという高坂座長の案に従って何か入れていただいたらいいんじゃない かなと思います。有害事象が生じた場合は緊急に、実施機関の長は中止勧告をすること ができる云々の文言を。 ○高坂座長  それはなかったでしたっけ、研究代表者の責任のところ。 ○事務局  12ページの(13)に、研究責任者は、ヒト幹細胞臨床研究により期待される利益より も起こり得る危険が高いと判断される場合、当該研究を中止または終了しなければなら ないとなっています。一応判断は研究責任者の段階でもできるとは思っているんですが。 ○高坂座長  ある突発的な事態が起こった場合ということですね、これは。当該研究を中止または 終了しなければならない。それをまた厚生労働大臣に報告するということですね、これ は。もしこの流れに従えば。そこにも入れておかないといけないね、多分。これは、研 究が進行して、ある程度結果が出てきて、余り効果がないというようなニュアンスです ね、この文章は。これは重大事態が発生というそれではないですね。 ○事務局  補足で御説明申し上げますと、16ページ、研究機関の長の責務のところで、研究機関 の長の責務が記載されているんですけれども、ここにおいては(3)倫理審査委員会へ の付議の後半でございますけれども、研究責任者から重篤な有害事象が報告された場合 には、ヒト幹細胞臨床研究の実施または継続の適否その他のヒト幹細胞臨床研究に関し 必要な事項について、速やかに倫理審査委員会の意見を聞かなければならないというふ うに記載されておりまして、臨床研究指針に基づいて記載されているのですが、これを 先ほど座長がおっしゃったような、倫理審査委員会の意見を聞かずに研究機関の長がす ぐさま対応するような形にするかどうかだと思います。 ○高坂座長  そういうことも必要になることがあり得ますよね。そこを柔軟性を持たせておいた方 がいいですね。 ○事務局  御指摘のとおり、このまま単純に読みますと、意見を聞いた上で指示を行うというふ うになってしまって、ストップがかけられているような形になっていますので、そこは 意見を聞く前に研究機関の長の判断として指示を与えるということが読めるように修正 したいと思います。 ○高坂座長  はい。じゃあそういうふうに柔軟性を持たせた文章に変えておいてください。22ペー ジの(4)ですね。厚生労働大臣は、厚生科学審議会から意見の聴取が必要ないと判断 される場合、意見を求められた日から30日以内に意見を述べるものとするというふうに 書いてありますが、それでよろしいですか。30日以内というふうに書いてあるんですが。 それは遺伝子治療の方で規定してるんですか。 ○事務局  こちらは遺伝子治療指針と同じ期間になっております。 ○北村委員  現実的にいいますと30日より短くすることはできないわけですね。 ○中畑委員  できるだけ短い方がいいですね。 ○高坂座長  岡野委員、30日以内でよろしいですね。 ○岡野委員  我々が議論するというよりは、厚生労働省内部の問題ですよね。これで本当にいける ということでしたら私はよろしゅうございますけど。 ○事務局  補足で御説明申し上げますと、(3)の(1)〜(3)で書いてあるものについては審議会の 意見を聞くものとする。(4)のところは、それ以外の審議会に意見を聞く必要がない と判断する場合は30日以内に意見を返すということですので…… ○岡野委員  要は、IRBが通った申請書が上がってきて、それをお読みになって厚生科学審議会 にかける必要があるかどうかディシジョンされるわけですよね。必要ないと思えばいい ということで御判断されるというプロセスを1カ月で厚生労働省内部でやれるというこ とでしたら、30日以内でよろしいかと思います。ただ、問題があった場合は厚生科学審 議会で議論するということなんですけど…… ○高坂座長  その場合には相当時間がかかってしまいますけど、よろしいんですか。 ○岡野委員  それはしょうがないじゃないですか。 ○中畑委員  それについては以前、チェックリストをつくったり、厚生科学審議会の下にワーキン ググループ的な各専門分野別に有識者をそろえて、そこでできるだけ早く審査をして親 委員会に上げるような仕組みをつくるということで大分議論がありましたよね。ああい うところを細則とかこういうところに盛り込むのは難しいのかもしれませんけれども、 流れ図か何かの中にそういうのでも出せば皆さん安心するのではないかと。新しい再生 医療であっても、できるだけ速やかに、しかし十分議論を尽くすと。十分議論を尽くす という中には、各専門家の集団でのしっかりした検討が行われるような仕組みを盛り込 むべきだというようなニュアンスになるんじゃないかと思いますけれども。 ○岡野委員  単純な質問なんですけど、この厚生科学審議会というのは新たに設けるということで すよね。 ○事務局  厚生科学審議会のもとに技術委員会、小委員会のようなものを設置して、そこで審査 を行っていただく形になると思います。 ○岡野委員  厚生科学審議会っていろいろあるじゃないですか。いろんな部会が。本審議会を意味 してるんですか、それとも新たに専門の審議会をこれからつくられるのか。私の理解で は、この審議会というのは指針をつくるまでの審議会と理解しておりまして、その後の 審査に関しては適切なメンバーかどうかという議論の余地はあると思うんですね。です から、これは新たにつくると理解してよろしいですか。 ○高坂座長  当然そうでしょ? ○事務局  もちろん、新たに委員の方にお願いして、技術的な審査を行っていただく方を招集し て新たに設置するという形になります。 ○中畑委員  それはこの部会で審査をして、それでまた親委員会の厚生科学審議会に上げるという 格好になるんですか。 ○事務局  専門委員会は指針の策定に関しての専門委員会ですので、これに関しては疾病別に、 神経の分野ですとか、循環器の分野ですとか、それぞれ分けるかどうかも含めて、新し い委員会であると御理解いただければと思います。 ○中畑委員  そこの審査だけに戻すわけ? それとももっと上の親委員会まで上げるんですか。 ○事務局  参考とする遺伝子治療指針においては報告する形になっております。 ○高坂座長  はい。そういうことで、重大な事態等にかかわること、厚生労働大臣の調査というの は……この調査というのはだれがやるんですか。 ○事務局  これに関しても、提出された計画書だけではわからないということがあった場合には、 権限を持たせて必要な調査も行うことができる。具体的に調査の内容…… ○高坂座長  厚生科学審議会の下に設置される専門委員会が実地調査に行くとかということです ね。 ○事務局  実地に行って調査を行うか、もしくは新たに書類の提出を求めて調査を行うかという のは、またその作業部会の設置要綱で決められるんだと思います。 ○高坂座長  わかりました。  そういう流れで、再意見のところまで記載しておりますが、いかがですか。 ○岡野委員  12ページ、多少文言を変えられたというところなんですけれども、(12)、1年に1 回以上、定期的に文書で報告しなければならないというのは、これは文書に残ってない とはっきりしないからということですか。例えば口頭で倫理審査委員会等でプレゼンテ ーションさせるとか、そのときに文書を伴っておくということだったらそれはそれでい いわけですよね。少なくとも文書はマストだというふうに読んでよろしいわけですね。 ○高坂座長  それはそうなるのではないですか。当然、研究報告書というのは、途中経過について は1年に1回は報告をすると。 ○岡野委員  そこに口頭での説明を付加するかどうかは、その倫理審査委員会の判断でやってもい いということですよね。文書で報告させて、もっと詳しく説明しろといって。 ○高坂座長  それは言わずもがなで、普通のきちっとした施設であれば当然文書で出すと同時にプ レゼンテーションとか、説明会あるいは研究成果報告会というのをやるわけですよね。 ○岡野委員  そこはこの文言で、文書及び口頭で報告しなければならないとか、それとも文書だけ ということにしておきますか。 ○北村委員  文書作成に当たっては普通会議が行われるから、文書があればいいんじゃないですか。 治験でも1年に1回必ず文書をつくって出さなきゃいけないんですね。そのとき必ず会 議をやっています。治験がどれだけ進行したとか。 ○高坂座長  書く必要ありますか、プレゼンテーションを含む報告をするというのを。少なくとも 文書ではちゃんとやりなさいよと言っているわけだから。 ○中畑委員  文書はマストで、年に1回は報告すると。何か予想しない事態が起こった場合は緊急 の事態として別のあれでいきますので、順調に行われていたとしても、例えば今年度何 例順調に実施したということを最低文書では報告するという、問題があった場合は必ず 倫理審査委員会と厚生労働省の方に上がってくるわけですので、問題なく行われていた 場合であっても年に1回は文書で報告するという意味だと思いますので、これでいいん じゃないかと思いますけど。 ○高坂座長  以前、必要に応じてという文言を言ったら、あやふやだということがありましたです ね。それでたしか1年に最低1回という話になったという記憶があります。  それじゃあ、先ほどの流れ図を一部訂正して、緊急時のことを盛り込んで、こちらの 文言整理もよろしくお願いいたします。  さて、ということで、用意させていただいた議題は以上でございます。おかげさまを もちまして、一応この指針、ほかの指針との整合性を図るとか、順番を入れかえるとか、 文言整理とかといったことでまとめさせていただきました。4回にわたって御議論いた だいて、岡野委員からの幹細胞の資料とかそういったものもすべて盛り込んであるとこ ろもありますし、きょう御議論いただいたところも訂正箇所がありますので、そういっ た今までの流れをすべて溶け込ませていただいたプレ最終案を、もしできましたら今年 中にワーキンググループの委員に配付していただきたいと思います。じっくりそれを眺 めていただいて、来年もう一回ワーキンググループの形で開催させていただいてチェッ クすると。その後は中畑先生にお返しするという形にしたいと思いますが、いかがでし ょうか。 ○中畑委員  その最終チェックをするときに、これと、先ほどあった指針と、一緒にして皆さんに 送っていただいて、両方を参照して最後にチェックするということで、そのときだけは これを送っていただきたいと思うんですけどね。よろしいでしょうか。 ○高坂座長  事務局、準備が大変でしょうけど、頑張って何とか今年中には資料をお送りいただき たいと思います。  今後のスケジュールについて事務局から何かございますでしょうか。 ○事務局  先ほど座長から御提案がありました流れで、皆様のところでざっと全体を確認してい ただきまして、次回のワーキンググループにおいてもう一度御確認いただくという流れ にしたいと思います。次回は1月中を予定しておりますので、またよろしくお願いいた します。 ○中畑委員  できるだけ早い時期に出していただいて、1月中には親委員会にかけるという形にで きたらと思いますので。こちらを早急に日程調整をして、それが終わったら全体の委員 の日程調整もしていただきたいと思うので、よろしくお願いします。 ○高坂座長  恐らくこれで議論しなければならない点はかなり焦点が絞られましたので、次回のワ ーキンググループは多分完全に終わる。その後、親委員会で全体を眺めていただくのに 何回かかるかによると思いますけど。 ○事務局  親委員会の先生方がびしっと1、2回で終わらせていただければ。 ○中畑委員  できればそうしたいですけどね。 ○高坂座長  それでは、長時間にわたりましてありがとうございました。またよろしくお願いいた します。                         ○照会先                         厚生労働省健康局疾病対策課                         tel 03−5253−1111                         担当:野上(内線2353)