05/12/13 社会保障審議会介護給付費分科会第37回議事録 社会保障審議会 第37回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成17年12月13日(火) 午前9時から12時           厚生労働省専用15会議室 2 出席委員:井形、池田、石井、井部、漆原(代理:山田参考人)、大森、 沖藤、神田(代理:今井参考人)、喜多、木下、木村、見坊、 田中(滋)、田中(雅)、対馬、永島、野中、花井、村川、矢田 (代理:森田参考人)、矢野(代理:遠藤参考人)、横山の各委 員 3 議題  (1)平成18年度介護報酬改定に関する審議報告(案)  (2)その他 ○渡辺認知症対策推進室長より「平成18年度介護報酬改定に関する審議報告 案」朗読。 (野中委員)  保険料の負担をできる限り抑制する方向で適正な水準にするということは 制度の持続性を高めるという面ではわかるが、1ページの下の保険料を負担す る者の視点だけでなくサービスを利用する者の視点も踏まえないと、介護保険 制度とは保険料を払う人だけのための制度になってしまうと思う。  介護保険サービスが保険料を払ってもやはり期待すべきものであり、持続し てほしいという者には、やむなくサービスを受ける事になったときにどういう サービスが受けられるかということは大事であるし、サービスを受けている者 の視点が欠けていると思うので配慮してほしい。  実際のところ、在宅で生活している場合はさまざまなサービスを受けて、自 らの生活がある程度見えているが、施設に入所者はそういうものが見えない。 だから、退所ができないと思う。サービスがその人の生活をつくる視点がなけ れば、社会的入院は改善できないし、保険料を負担するとともにやはりサービ スを受ける者の視点が、この報酬改定の審議では大事と思っている。 (対馬委員)  今の指摘はわかるが、これは「基本的な考え方」が(1)から(5)まであ って、(1)は主として制度の持続性や効率的かつ適正なサービス提供を主体 に書いているわけで、(5)の「サービスの質の向上」のところでは利用者に とって最適なサービスとか、利用者の視点に立ったサービスとあるので、各々 の項目立てがそうなっているのではないかと思う。 (野中委員)  保険を払ってどういう生活が見えるかということは、サービス利用者となっ た時にどういう生活かということが見えなければ、保険というものが評価され ないので、ただ単に保険料の高さだけで判断するものではないと思う。 (喜多委員)  「中重度者への支援強化」のところに「難病やがん末期の患者の在宅介護ニ ーズの対応など」と書いてあるが、難病やがん末期というのは医療ではないか と考えている。患者の在宅ニーズの対応とは具体的にどんなことを指すのか説 明してほしい。 (三浦老人保健課長)  今までの報酬の議論の中で難病やがん末期の患者については在宅サービス の中で訪問系サービスは十分に利用できるが、通所系サービスを利用し、家族 等のレスパイトも含めて、適切なサービスが利用できる仕組みをもっとつくっ てもらえないかという議論を踏まえて、今回の報酬の見直しの中では特に通所 系サービスの中で、看護体制を厚くしたサービスを評価するなど、専門的なサ ービスを追加してはどうかということで書き加えている。  なお、医療と介護という仕分けで言えば、特に看護系サービスについては要 介護認定を受けている者については介護保険、要介護認定を受けていない者に ついては医療保険という仕分けをしているので、そういう仕分けの中で両者が 役割分担をしながらサービスを提供していくものと考えている。 (喜多委員)  難病というのはいろいろあるからそれでいいが、がん末期の患者が介護に匹 敵するのかということになると、これはいろいろ議論があると思う。もう少し 具体的に、がん末期に必要な介護についてわかるように説明してほしい。 (三浦老人保健課長)  がん末期の生活実態あるいはニーズを把握すると、看護系サービスはもちろ ん、ヘルパーによる生活支援、ベッドの貸与等のサービスが介護保険から利用 できれば在宅で最期を迎えることができるという声もあり、がん末期に特定す るならば、訪問介護あるいは福祉用具貸与等が中心的なものになるのではない かと考えている。   (喜多委員)  それならば別にがん末期と言わなくても福祉用具が借りられる範囲で貸し たらいいし、ヘルパーの派遣も基準に合っていればしたらいいわけで、特にが ん末期という限定をすることについて、今の答えははっきりしていない。 (三浦老人保健課長)  この件については、福祉系サービスも看護系サービスも含めて複合的なサー ビスニーズがあることが趣旨であり、そのために介護保険からサービスが利用 できるような仕組みに対応してはどうかという意味であり、介護ニーズと医療 ニーズを併せ持つような者への対応ということで考えている。 (喜多委員)  それであれば難病などの患者の在宅介護ニーズの対応としたらいいわけで、 なぜがん末期を別に出しているのか。  障害者の支援費問題のところで急にがん末期という言葉が出てきて介護保 険の中に入れようという経過があった。介護というのはもともと特定の病気の ためのものではなく、人生の最後の方でいろいろな障害が出てくる中で介護を するということで介護保険ができたわけだから、いつの間にか特定のものを当 てはめてしまって、気が付いたときにはどんどん広がっているということにつ いて危機感を覚えている。 (横山委員)  前回報告があった平成17年度の介護報酬の改定等の10月度の影響の問題に ついて、特養は介護事業経営実態調査では▲13.6%、これは多床室、個室、ユ ニット型を含めた収益の平均であるが、前回示された10月度の影響は▲3.3% となっているが、これにはユニット型の収益は入っているのか教えてほしい。 (三浦老人保健課長)  前回資料で10月報酬改定の影響に関する調査結果を示したところだが、横 山委員から指摘のとおり、介護老人福祉施設、その中でもユニット型を除けば ▲3.3%ということである。 (横山委員)  10月度の調査はなぜユニットが入っていないのか。 (三浦老人保健課長)  17年3月を調査時点とする介護事業経営実態調査ではユニットケアの施設 数が15施設含まれていたが、今回の10月調査は緊急調査ということもあって、 回答いただけた施設数が非常に少なかったため、その分を加えるとかえって混 乱を来すのではないかということから含めていない。 (横山委員)  それでは、▲3.3%というのは現状を正しく示していないという理解でよい か。 (三浦老人保健課長)  ユニットケアを含まない介護老人福祉施設についてはこのような数字であ ったということである。  なお、前回ユニットケア施設についての収入の変化についての統計を別途示 しており、それをもとにモデル的に計算するならば▲7.8%の収入減があった ということで、その両方をみるのが適切ではないかと考えている。 (遠藤参考人)   基本的な考え方の(1)の中に「保険財政」という言葉があるが、国・地 方などの政府財政というニュアンスもこの中に含まれているという理解でい いのか。含まれていないのであれば、含まれていることを明確にした上で、介 護報酬を適正な水準とすることが必要であり、ある程度の引下げという方向性 を打ち出していくべきであると考える。  2ページ(4)にある「施設から在宅へという流れの中で」というワンフレ ーズは、介護保険制度全体として今後とも続けていくべき考え方であることか ら、そのことが明確になるようにすべきである。 (三浦老人保健課長)  介護保険財政は公費50%、保険料50%ということで、その公費の部分につ いては国、都道府県、市町村によって支えられているので、「保険財政」は狭 義の意味での介護保険財政、広義に見ればそれを支えている関係者の負担も含 まれると考えている。 (沖藤委員)  全体的に今回の基本的な考え方の中心として2ページの「サービスの質の向 上」があると思う。それは結局、利用者の満足というものにどこまでアプロー チできるのかということになると思う。  ところが、支援団体などが電話相談などをしたときに、ケアマネジャーが変 わったことによって以前のケアプランよりもサービス量を減らされたという 話があり、それは適切なケアマネジメントの結果ということらしいのだが、利 用者の気持ちや家族の声がケアマネジメントに反映されていないのではない か。サービスの質の向上等をうたい、適切なケアマネジメントをうたっている ことが本当にサービスの質の向上になるのか。サービスの質の向上の目的は利 用者の満足だということを文言化してほしいと思う。  また施設の利用者負担が増えていて、在宅に戻りたいと思ってもケアマネジ ャーは在宅は無理だと言う。こうした日常生活の満足感まで踏み込んでくると、 果たしてサービスの質の向上というのはどの程度まで考えればいいのか。  抽象的であるが、利用者の満足という言葉を入れて、制度全体がそこに向か って改正されたのだということを明確にしてほしいと思う。 (池田委員)  利用者の満足度というものはいろいろな市町村が調査しているが、これは異 常に高い。分析してみると、それは期待値がないからだと思う。  適切なケアマネジメントが欠けているというのが課題にあるが、一番危惧す るのはケアマネジャーがニーズとウォンツを取り違えているところにあると 思う。満足度というとウォンツに対応しており、ケアマネジメントの本質から 外れてしまうおそれがある。ケアマネジャーは利用者のニーズをどこまで的確 にとらえてプランをつくるか、そこに本質があると思う。  その説得の過程で利用者や家族と合意するというプロセスは重要なわけで、 それを経てサービスが生きるという意味では、沖藤委員の意見はわかるが、利 用者の満足度という形で書くとその辺で少しゆがんでしまうので、むしろその ニーズとウォンツをはっきり見定めたケアマネジメントという具体的な書き 方をした方がよいのではないかと思う。 (沖藤委員)  池田委員の意見はよくわかるので、例えば利用者とケアマネジャーときちん とした合意形成の下とか、利用者の声を反映する部分を文言化してほしいと思 う。 (永島委員)  (4)で「認知症ケアの確立」という文言を入れたことは大変いいと思って いる。  予防給付に該当せず要介護1に残った部分というのは、認知症の部分だと理 解しているが、それでよいか確認したい。  認知症ケアというのは普通の身体状況の低下と違って、かえって軽度の方が 介護は大変だという実感がある。要介護4、5になってしまうと身体的な低下 で、認知症であってもなくてもケアの質は変わらなくなってくると思う。そう すると、ケアマネジメントの部分で認知症のケアがきちんとケアマネジャーに 理解されて、それにふさわしいケアマネジメントができているのかということ も考えてほしい。 (三浦老人保健課長)  要介護認定のモデル事業などで示している考え方としては、引き続き要介護 1に残る者のイメージとしては、ある程度の認知症が認められ、それによって さまざまな症状があるという者、そして心身の状態が不安定という者が対象に なると考えている。モデル事業などを踏まえると、要介護1に残る者で認知症 が占める割合は大きいものと考えている。 (野中委員)  「施設から在宅へという流れ」は絶対につくらなければいけないと思ってい るが、国民にとってそれが実感として理解できるかは疑問に思っている。この 問題点は是非今後の中で検討してもらいたい。 (花井委員)  「サービスの質の向上」という観点から非常に重要な点として雇用環境、労 働条件の改善があるので、施設、訪問系サービスに関わる介護職員の雇用環境、 労働条件の改善という文言を入れてほしい。 (野中委員)  4ページの介護予防サービスで、「事業所評価については、要介護度の維持・ 改善を指標として、試行的に導入する」とあるが、やはりモデル事業等で何を 指標とした方がいいのかという検証が本当は必要だと思う。この試行的とは何 を意図しているのか教えてほしい。 (三浦老人保健課長)  事業者評価については検証も含めて対応していく必要があると考えており、 資料1ページに「今回の改定は制度改正に伴う新たなサービス内容も含まれて いることから、実施後のデータ等を集積する仕組みを工夫し、事後の評価・分 析ができるようにすることが必要である」としているところである。  この試行的という意味について、今回の報酬の枠組みの中に入れないことに は試行的事業というものはできにくいと考えており、本体の報酬の中には入れ るもののその内容については十分評価し、今後の報酬改定の中で更に検討して いくということで考えている。 (野中委員)  医療と介護というのはよくするためにやるわけで、そういう部分をいわゆる 成功報酬で評価するのはなじまないと考えている。 (対馬委員)  ケアマネジメントの質の確保ということで、標準担当件数を引き下げるとあ るが、介護予防や地域密着型のケアマネジメントは標準担当件数の中に入るの か教えてほしい。  それから、定額的な報酬とするにはケアマネジメントが大変重要であり、ケ アマネジメントが予防や地域密着型の場合に、メインではなく付随的というこ とになると、この介護予防や地域密着型は期待感が強いだけにどうかというこ とがあるので、そこは単価がどうこうというより実施に当たって工夫をお願い したいと思う。 (古都振興課長)  ケアマネジメントの標準担当件数は、要介護者の件数を考えている。新予防 給付については基本的に地域包括支援センターで担当することになり、地域包 括支援センターが自らやるか、あるいはケアプランの作成等について委託がで きる形になっているので、そのときに過剰な負担にならない委託契約をするよ うなガイドラインという形で、ケアマネジメントの質を落とさないようにした いと思っている。 (対馬委員)  地域包括支援センターでやることは理解しているが、それが結果的に委託さ れてやるというケースも随分あると思うが、その辺りはどう考えているのか。 (古都振興課長)  委託をされたときに、例えば1人当たり20も30も渡すとか、そういうこと がないように適正な規模という形でガイドラインを別途示したいと思ってい る。 (木村委員)  現状のケアマネジャーの業務が非常に多いので、要介護者の担当件数を減ら して、ケアマネジメントのプロセスをきちんとできるようにしてほしいと要望 してきたところである。  新予防給付の委託の件数をきちんと示さないと、委託がどんどんされてしま ったら標準担当件数を減らした意味がなくなってしまう。これは利用者一人あ たりの投入時間の問題等、データを取らなければわからないが、5あたりで止 めるべきではないかと思う。  ガイドラインもゆるゆるではなくて、上限をきちんと決めた形で出してほし い。 (喜多委員)  まず「報酬上の評価を行う」という表現は、官庁用語でわかりにくいから、 上げるのか、下げるのかはっきりするよう3年前にも申し入れていたのに今回 も同じ事になっている。  特に、5ページの質の高いケアマネジメントを実施している事業所について 「評価を行う」というのは、普通サービスから言えば当たり前のことで、悪い ところを減算するのが正しいのではないかと意見していたはずだが、それはど うなのか教えてほしい。  訪問介護の「3級ヘルパーについては減算率を拡大」はいいが、「3年後に 介護報酬における評価は行わない」とある。本当に3級ヘルパーは介護保険で 評価しないということなのか。市民の3級ヘルパーの講習に対する熱意は非常 に高く、家族の介護をするときにどうしようかという知識を得ようと熱心に受 ける場合があるので、介護保険のPRという意味で何らかの目標を持たせる必 要があるのではないか。  更に、一部の市からの意見もあってボランティアに対して金券等を発行する ということをやりかけた経過があるが、そういうものを将来認めていくという のであればもちろん3級ヘルパーを認めておく必要があるのではないかと思 う。3年後に介護報酬における評価は行わないという表現は何とか変えてほし いと思う。  「介護福祉士又は1級ヘルパーとする」とあるが、資格を持っていたから果 たしてその人は立派なのか。一定の社会的経験を得て、そして十分に事情を知 った人が責任に当たることはいいが、学校を出た介護福祉士がすぐに役に立つ とは思えないので、この表現はもう少し変えた方がいいと思う。  特定施設入居者生活介護で「高齢者専用賃貸住宅のうち」云々とあって「適 用拡大」とあり、それによりサービスできる場所が拡大するのはいいことだが、 保険者の知らない間にそうした施設がどんどんできていくことに恐れをおぼ えている。高齢者の専用賃貸住宅の後に「一定の居住水準等を満たす」と書い ているが、大阪では空き部屋のアパートなどへホームレスを入れて住民登録を して生活保護を受けるということがあり、賃貸になればそれが可能になるので、 その辺の歯止めをしておく必要があって、ここで安易に適用拡大という言葉は 使うべきではないと思っている。  介護保険施設のところで、「医療保険との介護保険機能分担の明確化」とあ るが、分離はできないと思っている。そう言っておきながら介護老人福祉施設 のところでは「多職種協働のチームによるターミナルケアについて、報酬上の 評価を行う。」とあり、報酬上加算するという役所用語だと思うが、それでい いのかと思っている。  確かに介護では役に立たず、医療だけでも難儀だということはあると思う。 医療では末期的症状になった場合はホスピスという施設があるが、介護保険の 中でそれをこれからやろうとしているのか。この辺はもう少し明確に方向づけ する必要があると思う。  最後に介護老人福祉施設のところに「計画的な定期利用」とあるが、意味が よくわからないので解説してほしい。 (三浦老人保健課長)  「評価を行う」という表現については、特段に加算を行うのか、減算を行う のかと決め付けて書いているものではないが、加算を一般的に行う場合につい ては通常、決められているサービスよりも更にレベルの高いことをやっている ところについては奨励的な意味も含めて加算を行うことが原則で、減算を行う ことになると基準を満たしていないとか、あるいは改善の必要があるというこ とを明示するために減算を行うというのが一般的な使い方ではないかと考え ている。 (古都振興課長)  3級ヘルパーというのは、例えば家族とか、ボランティアとか、幅広い意味 での介護に対する関心や知識の習得等に非常に効果があると思っている。  ただ、だんだん利用者の状態も複雑あるいは専門性が高くなってくるという 中においては、もう少し高い技能を持った人の活用が介護保険として高いサー ビス提供を保証するという意味では適切ではないか。そういう意味で、今後は 3級ヘルパーは介護保険の対象というより市民の理解あるいは技能の向上、幅 広い意味で違う役割を持っていくのではないかと思っている。 (大森分科会長)  ここの文章だけで読むとサービス提供責任者になるためには単に介護福祉 士ということだが、この提供責任者たる人についてのイメージが明確ではない ものだから、単に介護福祉士で学校を終わった人がなれるのかという疑問が起 こっている。だから、サービス提供責任者はどういう人がなるかということに ついて別途きちんと考えられているということが必要なのではないか。 (古都振興課長)  サービス提供責任者については今後更に要件を詰めていくということで、今 のような一定の経験値等も今後きちんと評価すべきではないかと考えている。 (川尻計画課長)  「計画的な定期利用」については、いわゆるホームシェアリングと言って、 特別養護老人ホームの1つの部屋を複数の人が交互に利用するという形で、特 別養護老人ホームに入ったら入りきりということではなくて、在宅を支援する 新しい特別養護老人ホームの使い方を全国3か所でモデル事業としてやって いたものを、今回の報酬改定で位置付けてはどうかということである。 (森田参考人)  特定施設入居者生活介護で外部サービス利用型もできるが、市町村にとって 特養、老健、療養型といった3施設、あるいは介護専用型の特定施設について は一定の計画どおりの整備が制度的にも担保されているが、介護専用型でない 特定施設については、事業者の意向によってたくさん整備をすることが可能で、 市町村間の住所地特例はないので、地域によってかなり整備が偏在するという ことも考えられる。  現に神戸市でも、元気なうちから入れるような有料老人ホームの整備という のは非常にたくさん計画されていて、そうした特定施設によって保険料財政が 圧迫されている実態もある。今回の第3期計画でも3年間で100億円近い有料 老人ホームへの給付が見込まれていて、こういった介護専用型でない特定施設 についても何らかの対応が要るのではないか。必要なニーズを制限するという のは問題があるが、地域的な偏りについて何らかの対応ができないものか検討 してほしい。  要支援者(要支援1、2)に係る支給限度額についてはいつごろ公表される のかということと、「適正化の観点から設定する」とあるが、要介護1の何割 かは要支援2になり、影響も出てくるかと思う。この適正化の観点について説 明してほしい。 (三浦老人保健課長)  支給限度額については介護報酬の設定と同時に示すことになると考えてい る。  支給限度額の基本的な考え方としては、標準的なサービスモデルなど、そし てまたそれぞれのサービスの報酬などを参考としつつ支給限度額が決まって くるので、今回、軽度者についての支給限度額をどのように見直すかについて は、全体の枠組みの中で考えていく必要がある。 (古都振興課長)  外部サービス利用型について要望があるが、もともとは住まいで住まいの延 長であるという形態上の課題もある一方で、保険財政をどう見込むかという課 題もあるので、また検討していきたいと思っている。 (池田委員)  ケアマネジャーの担当件数について、介護保険のケアプランをやって、プラ ス基準で示された介護予防のケアプランをやるということになると思うので、 それは結構厳しくつくっていかなければいけないと思う。例えば、件数が仮に 35件であれば、その35件の中に2つのケアプランが収まるようにするとか、 もちろん予防プランの場合は軽いから2件で保険の1件にする等、そこのとこ ろは気を使わないと、結果的に現状は変わらないという感じがする。  担当件数を減らして介護報酬を引き上げることによってケアマネジャーの 中身が改善されるということは希望的観測にすぎないわけで、必要条件である かもしれないが、十分条件ではない。  ケアマネジメントの在り方についてさまざまな調査研究があるが、標準的な ケアマネジメントの手順ができていない。これは福祉研究者に頼るのではなく て、実際に現場の優秀なケアマネジャーを選抜して現状を分析するとともに、 福祉にとらわれないで学識経験者を入れてケアマネジメントの改革を図って いかなければいけないのではないか。  7ページの「特定施設入居者生活介護については、軽度者と重度者の報酬水 準のバランスを見直す」とあるが、ここは非常に重要であり、そもそも要支援 者に特定施設で給付を出すことが納得できないが、特定施設の給付額は在宅の 支給限度額を超えており、これは是正しなければいけないと思う。  例えば有料老人ホームにあっては現在人員基準があって、すぐに下げられな いという業界の問題はあると思うが、新設する特定施設、あるいは従来そうい った方たちと民事上の契約を結んでいるから有料老人ホームも簡単に切れな いが、それは時限的にやらなければいけないだろう。  将来的には要支援に関しては特定施設への給付をなくすべきだと思うし、仮 に当面は軽度、重度の報酬水準のバランスの是正ということであっても、3年 間の経過措置であるということを明確にすべきではないかと思う。これがその まま続くと思われてはかなわないし、また新設と従来からある有料老人ホーム は区別して取り扱うのかどうか考えなければいけないと思う。  介護老人保健施設のところで「認知症高齢者に対する早期リハビリテーショ ンの評価」とあるが、これは理解できない。個別の取り組みを見れば前認知症、 要するに認知症になるか、ならないかという辺りで幾つか望ましいケアが行わ れているという実態は知っており、これがその周辺症状を緩和するという意味 であれば、それは認知症のケアの中核なのでリハビリではないと考えている。 認知症へのリハビリというのは少なくとも現在までの科学的治験では確認さ れていないから、ないものは評価できないと思う。  すると、適切な認知症ケアへの評価とすべきだが、それは特養、療養型にも 広がるのでこの記述はいかがなものかと感じている。  最後に10月の介護報酬に関連した課題として、補足給付の在り方の見直し を付け加えられないだろうか。年金収入だけのものはほとんど全員補足給付の 対象になり、預貯金が幾らあっても動産、不動産は全く考慮されないし、遺族 年金は非課税なので対象外になる。こういうふうにすれば、絶対にモラルハザ ードが起きると思う。  一方、施設に長期滞在する場合は、その施設住所に住民登録をするので、世 帯分離は違法ではない。そうすると、現状の補足給付制度ではモラルハザード を阻止することができないという状況になる。資産把握の困難さというものは 十分に承知しているが、動産あるいは不動産も含めた資産に関する一定の基準 を設けて補足給付を自己申告制にするという範囲の限定が必要で、偽りの申告 については補足給付の返済を明記しておけばいいことになるし、見直し方法は いろいろ精査する必要があるから、補足給付の在り方については10月実施以 降の状況を検討し、制度の見直しを含めて適切な対策を講じるなどの記述が必 要なのではないか。  修文できないとするならば、少なくともそういった問題について厚労省とし ても考えていることを議事録に残しておく必要があるのではないか。 (三浦老人保健課長)  認知症の早期リハビリテーションの関係については、特に作業療法など、リ ハビリテーションの作業の中で認知症の早期の状態の方にアプローチし、適切 なリハビリテーションとしての作業療法を行うことによって状態が改善する という実証は既に幾つか行われていると認識しており、その成果を踏まえて今 回導入してはどうかと考えている。  補足給付については、前回でも総務課長から話したとおり問題意識を持って いるということである。 (池田委員)  補足給付の件については、その問題意識を持っていればそれでいい。  あと、作業療法の中で認知症ケアが行われて効果がある事例も知っているが、 それをリハビリと言うとかなり誤解を与えてしまうのではないか。それは、リ ハビリの中で行われている認知症ケアであり、認知症リハビリと言うとあたか も独立した認知症リハビリというものが存在するような幻想を与えてしまう ので、何かいい表現方法がないだろうか。 (山田参考人)  認知症に対する早期リハビリテーションについては、これまで漆原委員が発 言しているとおり、老人保健施設サービスの中で認知症の方に対してどういう サービスを提供すればいいかという中にある非常に大きい問題と思っている。  また在宅生活の維持、認知機能の低下を遅らせる、日常生活機能の低下を防 ぐという意味でリハビリテーションの対象者を限定して、短期集中的に専門職 が関わるということはまさにリハビリテーションであると思っている。  今回の介護報酬改定もそうだが、介護保険法の改正に関してもさまざまな意 見の中で今後、身体障害モデルから認知症モデルへ転換していかなければなら ない。あるいは、認知症モデルに対してどういうリハビリテーションを提供し て在宅生活の維持あるいは在宅復帰につなぐかが大きな課題である。  今回、協会の中で研究班を組織し認知症に対する問題に取り組んだ中で一定 の成果があったので、認知症高齢者に対する早期リハビリテーションについて は今回取り組ませてほしいと考えている。 (池田委員)  リハビリテーションは大きく考えれば復権という意味まで持っているが、機 能訓練というのが一般国民の理解だと思う。  そうすると、専門家が関わってリハビリ的な手法をとるから認知症リハビリ というのは、はっきり言ってリハビリではなく、それは一般的に認知症ケアと 呼ばれるものだと思う。老健施設がそういう形で取り組むことは大切であり、 この給付を外せと言っているのではない。あたかも機能訓練をすれば認知症の 回復が起きるとか、あるいは顕著な進行を遅らせることができるとか、そんな 科学的治験はないので、表現上の問題としてこの問題は少し考え直した方がい いのではないかと思う。 (山田参考人)  まさにリハビリテーションの考え方の問題であり、機能訓練イコールリハビ リテーションがすべてとは考えていない。リハビリテーションの中に機能訓練 もあるが、生活機能の維持回復という場合の生活機能というのはもっと大きい 意味を指しており、それがリハビリテーションであると考えている。活動と参 加のレベルまで持っていかないと本来のリハビリテーションの目的は達して いないと思うので、認知症においても一定の専門職種では、もちろんリハビリ テーションなので医師の関与も指示も必要で、漫然と提供するわけではなく短 期集中的に一定の成果を目標として提供する。これはまさにリハビリテーショ ンそのものだし、その結果として在宅生活の維持あるいは日常生活機能の維持 回復を図るということであれば、それはリハビリテーションという文言を使っ ていいと思っている。 (村川委員)  認知症の早期リハビリについては、英国や米国の経験でも作業療法あるいは 音楽療法等いろいろ評価があるし、また国内的にも2001年の作業療法ジャー ナル等でも実績は明らかになっている。  ただし、高齢者認知症の前段階のいわゆるMCIと呼ばれる状態の方に、こ れは物忘れ外来というか、医療で対応すべき側面なり、それとの関連でのリハ ビリもあるが、通所リハビリの中で介護予防という視点からこれに取り組んで いくというのは今回の制度改革全体から見て促進すべき新しい取り組みなの で、積極的に位置付けメリハリをつけるべきではないかと考えている。  この早期リハの早期というのは2つの側面があると思うが、事務局から説明 してもらった方がいいと思う。 (三浦老人保健課長)  この早期は、早期の認知症といういわばまだ認知症の程度が余り重くない方 を対象にするという意味と、山田参考人が説明する早期集中的な対応をすると いう両方の側面を持っていると考えている。 (山田参考人)  早期というのは、村川委員が説明したMCIも対象になるが、生活機能回復 が見込まれるという早期の認知症という対象者に対しての早期と、それからで きるだけ早期に対象者を発見し、早期のリハビリテーション的手法を投入する ことによって効果を期待するという意味で、早期リハビリテーションというの はこの両方の意味を持って書いてあるものと理解している。 (永島委員)  リハビリという言葉がいいかは分からないが、グループワークで○○療法 (音楽、回想、絵画)などをしていると、余り重くなっていない人たちで、普 通の社会参加ができなくなっている人たちに有効な例をみている。例えば、老 人クラブなどで健康な人たちと同じ活動は無理だというような段階の人が、グ ループワークでとても生き生きとしてきていることがある。  更に、そういうところに家族が一緒に入ると、家族もお互いに同じ状況の人 たちと話し合える時間ができるし、一対一の単独リハビリ療法をやるよりは、 もっと社会参加的な意味でのリハビリ効果があるのではないかと感じている。  それと、民間でこういうことをやるのは、経済的負担が大きいので、介護保 険の中で自己負担を減らしてもらえるというのは大変助かることだと思う。  認知症のケアの質の評価というものがどうもはっきりしていない。ケアマネ ジメントにおいても、大体ケアマネジャーが皆、認知症ということを理解して ケアマネジメントができているとは思えない。そこの質の評価というものは認 知症の人のケアそのものの、例えばデイサービスとか、ショートとか、そうい うところでも行われるべきもので、そこをケアマネジャーが取り入れてやって いくことが必要なのではないかと思う。  ショートステイとかグループホームなどは暴力行為や大声など、ケアで困難 な時には退去してもらうという契約書を書かされる問題が現実にある。そうい うところについて減算の対応は考えられないのか。ショートステイに1週間や 2週間の契約で入っても大きな声でうるさいし危ないからと、1日か2日で退 去してくれというのはたくさんあるので、何か考えてほしい。 (池田委員)  作業療法が認知症ケアに役に立つケースがあるということは承知している が、それは作業療法だけではなく、演技療法や音楽療法、最近では回想法がい いと言われている。そういうものを全部リハビリとしてしまうと、リハビリの 概念が拡散してしまうから、むしろきちんと作業療法ならば作業療法という形 で記述するか、さまざまな効果のある認知症ケアを評価していくとするならば 表現には気をつけるべきである。そういう効果のあるケアを分析して、それを 全国に広げて標準化していくということをこの5年間何もやってこなかった と思う。  それから、認知症ケアについて悪いケアはわかるが、いいケアというのはな かなかわからないので、加算や減算という形で評価する対象ではないと思って いる。少なくとも認知症ケアの一定の標準的モデルを示して、それで下支えを していくという必要はあるのではないかと思っている。 (山田参考人)  永島委員の発言にあったグループワークその他で効果があるということに ついては、そのとおりであり、私たちが考えている認知症リハビリテーション にはもちろんその部分も入っているが、その前段として一定時間の一対一の個 別リハビリテーションプラス小集団のグループリハビリテーションというも のを考えている。  個別リハビリテーションを評価手法を使って評価しながら進めていき、一定 期間で効果がない場合は認知症のケアへ移行していくことを想定している。そ ういう意味では、想定した期間をきちんとやってみて、効果があれば継続して いくということで、グループワークを漫然と続けていくということとは少しニ ュアンスが違う。リハビリテーションと言う以上は専門職がきちんと評価、計 画をしながらプロセスを重視したサービス提供に努めていくということを提 案し、要望してきたということを理解してほしい。 (野中委員)  リハビリの定義について混乱があるのは事実であるが、手段ではなく目的と いう部分が大事だと思うし、広い意味でリハビリを考えていかなければいけな い、資料ではそういう面でリハビリという言葉を使っていると認識している。  ただ、そういう広い意味としてリハビリを使うのであれば、それは介護老人 保健施設だけのものではないので、すべての施設において取り組むことを前提 として考えるべきであり、ここに特別に書くことが池田委員の疑問になってい ると思う。  介護保険施設のことに関して、特に在宅復帰支援機能という部分に関しては、 介護老人保健施設で試行的退所を入れたことは評価するが、介護老人福祉施設 においても同じ面で試行的外泊という視点の中で在宅復帰とか在宅生活への 接点というものに取り組むべきであり、そのためにはケアマネジメントの充実 あるいは個別ケアというものがなければできないから、その部分をどう評価す るか考えるべきである。  介護療養型医療施設に関しては、医療保険の中にも療養型施設があるので、 医療保険との関係を適切に調節していかなければ課題が多いと思う。確かに調 査してみれば在宅でも生活できる人が入っているということはわかるし、本来 あるべき姿の施設にすべきことは賛成であるが、それは他の施設入所者にもあ ると思うし、そういう社会的入院者の行き場所をきちんと設定しないで、ある いは在宅でも生活できるというイメージが抱けない中で、これから出なければ ならない者の不利益に対して厚生労働省がどう考えているのか明確にしてほ しい。  それから参酌標準の問題について、具体的にどう考えているのか。例えば、 参酌標準に余裕があるとしても、療養病床が優先的に転換できる保証がなけれ ば実際に入所している利用者がやむなく退所しなければならないことはおか しいと思う。介護サービスは利用者がきちんと選択できる状況になって本来で きる部分なので、そういう中で介護保険施設というものを考えてほしい。特に 医療との関係では診療報酬とどう調整するのか明確にしてほしい。 (三浦老人保健課長)  介護療養型医療施設について移行を図るという大きな方針はあるが、これを すべての施設について行うということではなくて、一定の期限を定めて、その 期限の中で緩やかに移行を図ることが必要であり、そのための時間も必要では ないかと考えている。  現に介護療養型医療施設に入っている者の中には施設の間で移動をする、ま た在宅に復帰する者も出てくるという中で、それぞれの施設や利用者が、野中 委員の発言で言うところの不利益を受けないように適切に調整することは必 要だと考えている。  そのためにも9ページに「当分科会としては、医療保険との機能分担も含め た療養病床全体の在り方について、厚生労働省としての基本的な考え方を早急 に示す」という記載をしていると考えている。  それから認知症の早期リハビリテーションについて、リハビリテーションと は単なる機能訓練ではなく、医師の指示に基づく厳密な意味でのリハビリテー ションを考えていて、そういう中で確実に効果が上がることを実証しながら進 めていくべきものと考えている。 (木下委員)  介護療養型について転換という言葉が出てきていて、老健、特養と機能が重 複している部分は転換可能な部分はあると思うが、介護療養型医療施設の平均 要介護度4.27、特養が3.75、老健が3.18となっている。要介護認定はそれぞ れ必要な時間数によって分かれていて、これは時間数がはっきり出ているから、 どれだけの人数がいるということが検証されないと、転換先で利用者に迷惑を かけることになるおそれがある。  それから、医療と介護の機能分担ということで「厚生労働省としての基本的 な考え方を早急に示すことを強く要請する」とあるが、今は示せていないとい う解釈になると思う。だから、そこができないで介護だけで転換していいのか どうか。  医療区分の1というものを前回の資料で出していたが、例えば喀痰吸引7回 という者が医療区分1になっている。7回というのはほぼ3時間毎に吸引が必 要で、当然夜間も必要になる。喀痰吸引は医療行為であり、刺激による出血、 嘔吐、嘔吐に伴う誤嚥、それに伴う誤嚥性肺炎と非常に危険な状態があるので、 例えば老健、特養に転換したとして医師、看護師がいない状態で対応できるか という安全性の問題について、十分に検討されているか疑問である。  11月15日の新聞記事に、日本介護福祉学会で八戸大学の講師が医療行為と みなされないで解禁された爪切り、座薬、浣腸、血圧測定、外用薬の塗布、検 温、点眼、服薬管理等について研修を行い、研修前と研修後でできると答えた 割合を報告している。爪切りを例に取ると研修前は82%であったが、研修後は 45%に減っており研修をやってかえって危険性がわかったということが報告 されている。実際に介護の現場で研修をやればできるというものではないとい うことも認識する必要がある。  有効回答率が非常に少ない調査を元にいろいろなことが語られているが、現 場のことを本当に知っているのかどうか。数字だけで政策が行われているので はないか。特に認知症や夜間ケアの問題について現場を知っているのか。事務 局は夜間を含めた現場の研修をやってから政策を立てるべきである。それを知 らないから、介護療養型医療施設に要介護度4、5の者が多いのは介護報酬が 高いからではないかという不謹慎な発言が行われるのではないか。グループホ ームを含めた現状を見た上で政策を立てるべきである。  在宅の訪問介護や訪問看護に24時間体制の必要性が訴えられているが、24 時間体制を組むのがいかに大変かということも現場を知らないと、ただそうい う制度をつくったからやればいいということではないので、その辺も含めて検 討が必要である。医療と介護の関係、あるいは重度者をどうするかということ を解決しないで介護療養型医療施設の転換を進めるということには反対であ る。 (大森分科会長)  移行していくプロセスの中で今のような指摘を十分検討し、深めていくとい う趣旨ならばよいのか。 (木下委員)  現状では、そのことが全く議論されていなくて解決されていないし、医療と 介護の省内の合意ができていない段階で転換を一気に進めることに疑問を感 じている。 (大森分科会長)  先ほど説明があったように、ソフトランディング以外にはやり方がないと思 うので、今のような意見も十分踏まえていくことになるものと思っている。 (井部委員)  訪問看護については、6ページに「医療保険と介護保険の機能分担の明確化 などの観点」から「短時間訪問の評価、緊急時訪問看護加算、ターミナルケア 加算、特別管理加算の見直し」とあるが、後半のそれぞれの項目が具体的にど のように影響を受けるのか説明してほしい。 (三浦老人保健課長)  見直しを行う内容としては短時間訪問、緊急時訪問看護、ターミナルケア加 算、特別管理加算だが、その観点としてここでは代表的に3つが例示されてい る。どれがどれにということではなく、24時間という要素はどれでも関係する し、在宅ターミナルケアという点ではもちろんターミナルケア加算が重点には なると思うが、それ以外にも緊急時の訪問とか、特別管理加算は重度者に対す る加算ということであるので、そういうところとも関係するので、総合的に見 た場合にこれらの報酬の見直しが必要ではないかと考えている。 (井部委員)  この医療保険と介護保険の機能分担を明確化するとどうなるのか教えてほ しい。 (三浦老人保健課長)  2つの側面があり、機能分担することによってその両者が全く違うものにな るということもあるし、機能分担を明確化した上で同じようなことをやってい くということも場合によってはあると考えていて、例えば短時間訪問の評価に ついては、これは介護保険として夜間の看護という観点から見直しを行っては どうかということで、特別管理加算については医療保険で見直しを行う中で介 護保険についても同様に足をそろえる必要があるのではないかということで 見直しを行っている。                (休憩) (大森分科会長)  委員の皆様からの意見について、井形委員と相談して事務局にも補佐をお願 いしたが、この段階で少し手直した方がいいと判断した箇所が出てきているの で、これから修文したり、文章を入れるということを口頭で説明するので、そ れで了解いただければ本日決着をつけたいと思う。  まず1ページの一番下の「また、限られた財源を有効に活用するため、現行 の各サービスの介護報酬について、サービス提供の実態」の後に「、サービス を利用する者」という文章を入れたい。この意見は重要なので、明示的に「基 本的な考え方」の中に入れさせてほしい。  2ページで喜多委員からがん末期の患者のことについて指摘がありそれに ついては理解できるが、これは既に法律上入れ込んでいるもので、しかも現場 からも声があって今回このがん末期という表現を入れさせてほしいという趣 旨になっているから、これは了解いただきたいと思う。  3ページで「さらに、」の後に「利用者との十分な意思疎通に基づく」とい う文章を入れさせてほしい。  3級ヘルパーについて地域でいろいろ活動いただくという趣旨を少し生か す意味で、5ページ(4)の「訪問介護」の文章のうち「3級ヘルパーについ ては」の後に「、地域における意義を理解しつつも、介護報酬上は減算率を拡 大し、3年後には対象としない」と、喜多委員の意見も踏まえて3級ヘルパー にはそういう活躍の場もあるということを生かした形に修文したい。  花井委員から指摘のあった雇用環境については、5ページの下に入っている ので、それで読んでいただきたい。  7ページの特定施設入居者生活介護について「高齢者専用賃貸住宅のうち、 一定の」とあるが、「一定の」を「十分な」と改め、「十分な居住水準等を満た すものへの適用拡大」の「拡大」を削除して、「高齢者専用賃貸住宅のうち十 分な居住水準等を満たすものへの適用」と修文したい。  8ページの介護療養型医療施設について、現に入院している者に配慮すべき という意見を踏まえて、「一定の期限を定めて、」の後に「利用者の実態にも留 意しつつ」という文章を入れさせてほしい。全体として一番大事なことが利用 者についての実態の配慮、留意なので、この文章を入れることによってソフト ランディングを図っていくということを明確にしたいと思う。  以上の修文についてこれで了解いただけるか、まず修文についての御意見を 伺いたい。  それから、リハビリの点は池田委員から強い意見が出たが、先ほどのように 今後いろいろな意味で実態分析をしながら、とりあえず先ほどのような議論で 読み方についてもいろいろ議論が出たので、今回はあの文章でいくということ で了解いただきたい。 (木下委員)  介護療養型医療施設について「利用者の実態にも留意しつつ」とあるが、前 回出された資料の中で介護療養型医療施設の入院患者の中で定時以外に1日 数回まで看護師が関わる必要があるという方が35%いるので、その辺も含めた 解釈をお願いしたいと思う。 (木村委員)  2ページの(5)のところで、「サービスの質を確保するためには、」の後に 「自立支援のための」という、あくまでも最適なサービスの組合せというのは 介護保険の理念にある自立支援のためのプランとなっていくと思うので、最適 なサービスの組合せというのは知らない人が読んだら利用者が自分で本当に 希望したものだけという感じになるので、「自立支援のための利用者にとって 最適なサービスの組合せを多職種協働により総合的に設計し」と加筆した方が、 より目標が定まってくるのではないかと思う。 (三浦老人保健課長)  今、木村委員からいただいた言葉をなるべく生かすとすると「利用者にとっ て自立支援のために最適なサービスの組合せ」ということに修文してはどうか。 (大森分科会長)  その方が国語上も正しいと思う。それでは今のように修文するということで よろしいか。 (野中委員)  介護老人福祉施設について、重度者が増えたということに対することも必要 だが、せっかく介護老人保健施設に「試行的退所」という在宅復帰の視点を入 れているので、介護老人福祉施設にも「試行的外泊」という視点を入れてほし いと思う。   (大森分科会長)  これは反対するつもりはないが、ここの中に書くのではなくていいという理 解で考えている。 (三浦老人保健課長)  今回計画的な定期利用というものが新しく入っていて、そういう観点から取 り組むことも重要なのではないかということで、決して在宅復帰、在宅支援機 能について関係ないということではないと考えている。 (沖藤委員)  介護予防サービスの事業者評価について、これが高齢者に心理的なプレッシ ャーを与える可能性があると思う。あるいは事業者が評価の上がりそうな高齢 者を選別するのではないかということが言われているので、利用者の気持ちに 配慮するような何らかの表現が欲しい。  試行的に導入するとあって、今後の見直しの中で一度やってみてうまくいか ないようならばという含みを持たせたのだろうと思うが、わざわざこの言葉が ここの項目にだけ入ってきているのはどういうことなのか教えてほしい。  サービス提供事業所の苦情相談窓口の対応が利用者、家族が納得できるよう な説明になっていないということを多く聞いている。ですから、関係者の方々 の説明能力というようなものも、これはこういう文章に入るものなのかどうか、 例えば運営基準の中に入れるとか、利用者が理解できる言葉で説明してほしい ということを強調しておきたい。  5ページにサービス担当者会議の未実施では減算とあるが、第30回資料1 −2のP11で主治医との連携がとりにくいという回答が50.2%あるので、もう 少し具体性を出した方がよいと思う。 (三浦老人保健課長)  事業所評価については、あくまでも試行的な取組であり、もちろん利用者が 選別されるようなことがないようにしなければいけないということについて は共通意識を持っている。この事業者評価を優先して事業が行われることがな いような水準の報酬にしていきたいと考えている。  苦情相談などについては、ケアマネジメントの中で「利用者の視点に立った」 という言葉を入れており、そこで読み込んでいただきたい。  主治医との連携については、例えば6ページに「居宅療養管理指導」の項目 があるが、居宅療養管理指導については医師・歯科医師によるサービス担当者 会議への参加、あるいは文書での情報提供の徹底という形で、主治医との関係 がより密接になるように取り組んでいきたいと考えている。 (横山委員)  介護老人福祉施設のターミナルケア加算については、以前出した意見書の中 でも説明したとおりで、平均要介護度が3.74、後期高齢者も多く、ほとんどが 疾病を有していて、7割近くが特養で最期を迎えられている。9割以上の特養 の施設長がターミナルケアに取り組むべきだという調査結果も出ているし、家 族や利用者も特養という慣れた関係の中で最期を迎えたいという希望もある。 そういう観点からも、生活重視型というものをベースにした施設でのターミナ ルケアの評価はしてほしい。  いわゆる尊厳ある死をいかにサービスとして提供するかということの評価 については、医療保険財政にもかなり貢献をするのではないかと考えるので、 このターミナルケアには積極的に取り組んでいきたいと考えている。  外部サービス利用型の特定施設入居者生活介護について、7ページに「養護 老人ホームについても外部サービス利用型の仕組みを利用できるようにする」 とあるが、措置部分の人員配置、それから裁定基準の見直し等を行うことや、 介護保険事業を行うための準備で現場は混乱をしている。あと3か月近くにな って人員基準等がまだ示されていないということで関係者は大変困っている ので、これら養護老人ホーム、あるいは経費ケアハウス利用者への影響を少な くする観点から、激変緩和措置をしてほしい。  外部サービス利用型の特定施設入居者生活介護を導入した場合、以前振興課 長から要支援者に対するサービスは介護予防特定施設入居者生活介護を利用 するとの説明があり、具体的な議論はこれからということで、その後何の説明 もないと思うが、時間的余裕がないことが予想されるので、現在の状況を説明 してほしい。 (古都振興課長)  介護予防についてはいろいろなメニューがあるが、特にこの特定施設入居者 生活介護は、軽度者と重度者の報酬バランスという議論もあるので、今後の姿 も考えながらどの程度のことをどうやるかということについて具体的に検討 していきたいと思っている。 (遠藤参考人)  9ページに「療養病床全体の在り方について、厚生労働省としての基本的な 考え方を早急に示す」とあるが、この場合にも1ページ(1)で示されている 持続可能性や、保険料負担をできる限り抑制するといったスタンスであるべき である。  医療保険料も含めて、介護保険料の負担をできる限り抑制するといった考え 方がここでも必要ではないかということと、保険者の立場からは、あまり適切 でない施設等の利用、社会的入院等については是正するという考え方で取りま とめてほしいと思っている。 (木村委員)  ケアマネジメントをうまく進めるための提案ということで、6ページの「居 宅療養管理指導」「訪問看護」等も関連するが、在宅と施設をうまくつないで いくという形でケアマネジャー、または主治医等関連する人たちと情報が共有 されるが、これから運営基準等をつくっていく中で、例えば現場で支給限度額 の中のものはケアカンファレンスすることはわかるが、支給限度額の外にある 居宅療養管理指導などの情報がうまく入らないということがあるので、医師、 歯科医師、薬剤師も含めてあらゆる情報はすべてケアマネジャーに提供される という形の運営基準にしてほしい。 (森田参考人)  今回の介護報酬の改定でいろいろな加算、減算、逓減制とできて、市町村保 険者あるいはこれを審査する国保連でもかなり負担になると思っている。  参考資料の中で算定構造とか、事業者情報の体制一覧を出しているが、これ から2、3か月の間でシステム改修をしないといけないので、インターフェイ スとかレセプト様式等についても、できるだけ早く公表してほしい。 (野中委員)  2ページの「がん末期」の対応については、全体的には65歳以上の方に対 しては現在でもできるわけなので、40歳から65歳未満の方に対してそれが拡 大したという意味で書いた方が理解しやすいと考えているがどうか。 (三浦老人保健課長)  確かに現在でも65歳以上の方についてはがん末期でサービスを利用してい るが、それでもやはり不足しているという指摘もあり、サービスを充実させる 必要があるのではないかという視点から書いているものと理解いただきたい。 (大森分科会長)  今日、皆さんに検討いただいた報告案について、さまざまな意見のうち少し 直した方がいいという箇所については一任いただきたいと思う。大筋として大 きく直すことはないと思っているが、精査してみて場合によっては少し直した 方がいいということが出てくるかもしれないので、そういうことについては井 形先生と私に一任いただくということで、本日この審議報告案について皆さん の了解がたったと理解させてもらってよろしいか。               (「異議なし」と声あり) (大森分科会長)  問題はこれから先で、この考え方に即してこれから具体的なことを取りまと めていくことになるので、今日の審議報告を十分踏まえた上で具体的な作業を 今後事務担当で進めるということを強くお願いしたい。 ○ 大森分科会長より閉会の宣言 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)