05/12/12 平成17年12月12日先進医療専門家会議議事録 05/12/12 平成17年度第7回先進医療専門家会議議事録 (1)日時  平成17年12月12日(月)15:00〜17:00 (2)場所  霞が関東京會舘35階 シルバースタールーム (3)出席者 猿田享男座長 吉田英機座長代理        飯島正文構成員 越智隆弘構成員 金子剛構成員 佐伯守洋構成員        笹子充構成員 竹中洋構成員 田中良明構成員 谷川原祐介構成員        辻省次構成員 寺岡暉構成員 永井良三構成員 <事務局> 企画官 歯科医療管理官 医療指導監査室長 医薬食品局審査管理課長 医薬食品局医療機器審査管理室長 他 (4)議題  ○先進医療の科学的評価(10月受付分)について ○先進医療の届出状況(11月受付分)について (5)議事内容 ○猿田座長  時間がまいりましたので、第7回先進医療専門家会議を始めさせていただきます。委員 の先生方、それから皆様方、12月に入って大変お忙しいときに先進医療専門家会議に御出 席いただきましてありがとうございます。一部の構成員の方は12月ということで、きょう はちょっと欠席が多いようですが、よろしくお願いいたします。  本日の構成員の出席状況ですが、本日は片山構成員、北村構成員、田中憲一構成員、坪 田構成員、樋口構成員、福井構成員、渡辺構成員が御欠席でございます。また、赤川構成 員は少しおくれて出席との連絡を受けております。  それでは早速審議に入らせていただきます。10月分の受付に関しまして審議いただくこ とになりますが、その書類に関して事務局から御説明いただきます。よろしくお願いいた します。 ○福田企画官  医療課企画官でございます。それではまずお手元の資料の確認をさせていただきます。 先−1という資料、横長で「先進医療の届出状況について(10月受付分)」その後に「北 村構成員意見書」、それから特に資料番号を付してございませんが「ヒト組織を利用する 医療行為に関するガイドライン」日本組織移植学会から出されているガイドラインを参考 までに添付しております。そして、先−2「先進医療の届出状況について (11月受付分)」でございます。  それでは、先進医療の届出状況について、まず10月受付分について概要を御説明させて いただきます。  お手元の資料 先−1の1ページをごらんください。整理番号3、14、15、16、17、18 と書かせていただいておりますが、これが先進医療の届出、10月受付分でございます。  概要についてはここにお示ししているような内容です。  そして、2ページをごらんいただきますと「先進医療として届出のあった新規技術(10 月受付分)に対する事前評価の結果等について」ということで、結果の概要です。  まず、整理番号3「凍結保存同種組織を申いた外科治療」ですが、これについては、総 評は「適」ということです。適応症については「心臓弁又は血管を用い、同一施設内で行 うもの」ということです。評価の詳細については後ほど、各構成員から御説明の際に具体 的にあるものということで、ここでは省略させていただきます。  整理番号14「特発性肥大型心筋症の遺伝子スクリーニング検査」です。こちらについて は、総評は「否」ということです。  整理番号15「アクリジンオレンジを用いた光線および放射線力学的療法」ですが、こち らは、その他のところをごらんいただきますと「医薬品について薬事法の承認が優先され ることから薬事法の承認後に再届出」という整理とさせていただいております。  整理番号16「組織拡張器(tissue expander)による乳房再建です。こちらについても、 「医療機器について薬事法の承認が優先されることから薬事法の承認後に再届出」という 整理とさせていただいております。  整理番号17「18FDG-PETを用いた胃癌、食道癌、子宮癌、卵巣癌、胆嚢癌、胆管細胞癌 の診断」ですが、こちらについては、医療機関から届出の取り下げがございました。  整理番号18「18FDG-PETを用いたアルツハイマー病の鑑別診断」、こちらにつきまして も、医療機関から取り下げがあったところです。  10月受付分の概要及びその事前評価についての概要は以上でございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。今御説明いただきましたように、10月受付分に関しては、3 は事前評価においては「適」、14に関しては「否」ということで、あとはそれぞれ再検討 してもらわなければいけないということでございます。特に御質問ございませんでしょう か。  それでは早速ですが、整理番号3の「凍結保存同種組織を用いた外科治療」、これは実 は北村構成員から御説明いただくことになっておりましたが、特別な事情が起こって来れ ないということですので、事務局から簡単に説明していただいて、私どもも書類をいただ いておりますので、御討議いただければと思います。それではよろしくお願いいたします。 ○福田企画官  それではいただいた審査結果について事務局から御説明をさせていただきます。先ほど の資料先−1の3ページをごらんいただきますと  先進医療の名称は「凍結保存同種組織を用いた外科治療」。  適応症は「心臓弁又は血管を用いるものであって、組織の凍結保存と外科治療を同一施 設内で行うもの」となっております。  内容は、(先進性)として「凍結保存同種組織は感染に対する高い抵抗性を有し、心臓 血管外科領域において用いられる人工材料(人工弁、人工血管など)に比し高い治療効果 が得られる。また、人工材料には無い組織親和性を有し、特に静脈系の血行再建では有用 である。」というものです。 (概要・効果)は「凍結保存同種組織は、1)感染抵抗性があり 2)組織適合性に優れ  3)抗凝固療法が不要で 4)小児に使用可能なサイズのものが得られるなどの利点が ある。凍結保存同種組織を使用することにより、従来の治療方法では危惧される感染等の 問題を回避することが可能となる」ということです。 (費用)としては、先進医療に係る費用として、(自己負担分)78万7千円(1回) 特定療養費(保険給付分)412万7千円(入院57日間)という形で出ております。  4ページは、この技術に関して、北村構成員から事前評価をいただいているものです。 先進技術としての適格性について御評価いただいているものです。 「適応症」としては、B.妥当でない、ということで、(理由:組織の凍結保存と外科治 療が同一施設で行われるものに限定すべき。また、組織は心臓弁又は血管に限定すべきで ある)。凍結保存と外科治療が同一組織で行われ、なおかつ組織は心臓弁、血管に限定す ることで適応として妥当になるということで、申請書類に出てきている範囲そのままとい う形では妥当でない。そういうことであろうかと思います。 「有効性」については、A.従来の技術を用いるよりも大幅に有効。ということです。 「安全性」については、C.問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり) 「技術的成熟度」については、C.当該分野を専門とし、かなりの経験を積んだ医師を中 心とした診療体制をとっていないと行えない。 「社会的妥当性」については、B.倫理的問題等がある。 「現時点での普及性」については、B.罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及して いる。 「効率性」については、既に保険導入されている医療技術に比較して、A.大幅に効率的 であるということです。 「将来の保険収載の必要性」については、A.将来的には保険収載を行うことが妥当。 「総評」としては、総合判定は「適」で、コメントとして、適切な施設で行われない場合 には倫理的問題がある。ということです。  基本的に、凍結保存と外科治療が同一施設で行われて、組織は心臓弁、血管に限定すべ きであって、なおかつ、適切な施設で行われるということが満たされた場合に総合判定: 「適」ということであろうかと思います。  5ページは、当該技術の医療機関の要件(案)です。  先進医療名は、凍結保存同種組織を用いた外科治療  適応は、心臓弁又は血管を用いるものであって、組織の凍結保存と外科治療を同一施設  内で行うものに限る。とする縛りをかけた上での話でございます。  I.実施責任医師の要件    診療科:心臓血管外科、外科、小児科、泌尿器科    資格:要(心臓血管外科の専門医、外科専門医、小児外科専門医、又は泌尿           器科専門医)    当該診療科の経験年数:不要。(専門医という形でのベースを持っておられれば                    不要ということであろうかと思います。)    当該技術の経験年数:5年以上    当該技術の経験症例数:10例以上  II.医療機関の要件    実施診療科の医師数:常勤医師3名以上    他診療科の医師数:要(麻酔科1名以上)    看護配置:不要    その他の医療従事者の配置(薬剤師、臨床工学技士等):不要    病床数:要(入院が可能であるということで1床以上)    診療科:要(実施診療科、麻酔科)    当直体制、緊急手術の実施体制はともに必要ということです。    他の医療機関との連携体制は、基本的に当直、緊急手術の実施体制を要としており    ますので、ここは不要となっています。    院内検査(24時間実施体制)は要。医療機器の保守管理体制も要。    倫理委員会による審査体制、医療安全管理委員会の設置は必要。    医療機関としての当該技術の実施症例数は10例以上。    その他で、日本組織移植学会の認定施設であること、  III.その他の要件    頻回の実績報告が必要ということで、届出後1年間は6月毎に御報告いただく必要    あるということを要件としてお示しいただいております。  併せて、北村構成員、本日急遽御欠席ということで、意見書をいただいておりますので、 これから御審議いただくにあたりまして参考ということで、事務局から読み上げさせてい ただきます。お手元の北村構成員意見書をごらんいただきたいと思います。 「「先進医療」は、新しい医療技術を選定医療としてまず開始し、その安全性・有効性・ 普及性を判断して保険医療に導入してゆくという医療保険上のシステムと理解しておりま す。したがって、先進医療を実施する施設と医師、医師団の資格などが求められています が、今回届出の行われた組織移植医療には、わが国特有の特殊な事情と状況があります。  臓器移植には法律があり、それに基づいて設置されている臓器移植ネットワークによる 施設認定が第三者的に行われています。心臓や肺、肝等の脳死臓器移植については、御存 じのように極めて厳格に施設認定が行われています。一方、組織移植(心臓弁・血管・皮 膚・骨・膵島等)については法律では規定されておらず、日本組織移植学会がガイドライ ンを自主的に作成し、個々の医療施設がその施設内での責任のもとに行っています。  組織移植は臓器移植と同じように亡くなられた人と御遺族の意思により組織の提供を受 け、通常、凍結保存し、しかるべき適応のある患者さんが出現した場合に用いることにな りますが、臓器移植と同様、種々の感染性疾患を伝播させる可能性があるため、提供者の 検査(肝炎、エイズウイルスはもとより、一般細菌やパルボウイルスなど)や組織保存施 設の衛生管理(無菌室設置など)等による安全性を確認する必要があります。従来、これ らに要する経費は混合診療の禁止によりすべて研究費で行われてきたため、大学や研究費 を獲得し得る大病院でのみ行われてきました。  今回、先進医療として研究費に頼っていた経費が患者負担として認められ、金額につい てはある程度自由決定が可能となり得ます。そうすると、小規模病院・個人病院でも骨や 皮膚については経済的に十分行えるようになります。そのような状況下で医療の安全性を 担保するためには、施設認定を第三者的に行うことが必要と考えます。  今回届出を行った施設は心臓弁・血管等に関わる組織移植には十分実績があり、問題な いと存じますが、今後、自己施設の倫理委員会、院長の承認があれば、どの施設でも患者 経費負担で組織移植医療に参画可能になると、不衛生な設備や環境により感染症の伝播等 の危険性はあり得ることです。組織移植医療が盛んに行われている米国では組織移植医療 にも法律があり、公的組織の審査のもとに認可を受けた施設でプロセッシング(凍結保存 など)が行われています。しかし、それでも組織プロセッシング中に嫌気性菌の汚染が生 じ、死者が出て大きな社会問題が最近でも発生しています。  選定医療として組織移植が認められ、将来には保険医療への道が開かれることはまこと に喜ばしいことですが、同時に安全性について第三者的検証システムをつくっておかない と禍根を残しかねないと感じています。  一方、現時点までこの医療は各施設が自己責任のもとに第三者的検証なく行って来まし た。その理由は前述しましたように、大学等が研究費で行って来た著しく不採算な医療で あり、施設が極端に限定されていたことです。それでも何回か社会から非難を受ける問題 も生じています。組織移植医療が先進医療として患者負担で承認されると、かなりの数の 施設から届出があると思われます。諸外国のようにわが国にも組織移植医療に関する法律 ができればよいのですが、それまでの間、日本組織移植学会において第三者的立場で組織 移植を行う施設を検証してはどうかと考えますが、その是非について御判断いただければ 幸いです。」  以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今、最初に提出された書類と、きょうどうしても北村 先生がいらっしゃれないということで今お読みいただいたような形で私あてに御意見をい ただいております。もう一つ、お手元に「ヒト組織を利用する医療行為に関するガイドラ イン」が出来上がっておりまして、それに沿った形で、特に施設の認定問題、そのほか、 このガイドラインは非常にしっかりできておりまして、こういったものにできるだけ沿っ てやってもらいたいということが北村先生の御意見で、特に今お読みいただいた書類にあ りますように、非常に利用価値が高いものですから、各施設で出てくるだろう。そのとき にはガイドラインに沿った形でやってもらうことと、もう一つ、非常に怖いのは、いろん な感染の問題で、米国でもそういったことが発生しているということがありまして、施設 をガイドラインに沿って評価できるところでやってもらいたいというのが、北村先生の御 意見でございます。  以上でございますが、早速、先生方から御意見をいただければと思います。よろしくお 願いいたします。  北村先生がお書きになっているように、臓器移植に関しては法律がありますが、この組 織移植に関してはそうではないので、こういったガイドラインという形のものを守っても らいたいということでございます。  どなたか御意見ございますでしょうか。 ○寺岡構成員  あらかじめ資料をお送りいただいていたはずなんですが、改めてお聞きしますが、申請 書に書かれていた適応症というのはどういう内容でありましたか。 ○福田企画官  では御説明させていただきます。まず、申請書に書かれていた先進医療の名称は「凍結 保存ヒト組織の臨床使用」という形でございまして、適応症につきましては7つぐらい書 かれております。 1)感染性心臓血管疾患(感染性心内膜炎、人工弁、人工血管感染など) 2)炎症性心臓血管疾患(大動脈炎症候群、ベーチェット病など) 3)小児・若年者における心臓血管疾患(右室流出路再建を必要とする症候群など) 4)生体部分肝移植時における静脈再建 5)悪性疾患での上下大静脈、中口径静脈の閉鎖疾患 6)腎不全における内シャント(特に内シャント感染など) 7)その他、外科治療において使用すべき自己組織が不足ないし人工物の使用が著しく不 適切な症例 といった形でございます。 ○寺岡構成員  そうしますと、適応症が妥当でない、というのはちょっと違和感があるので、改めてお 聞きしたんですが、その中に限定的に、この理由に書かれたものが入っているということ ですね。 ○福田企画官  さようでございます。適応症として届出いただいたものが、実際、今回北村先生の評価 の部分でもほとんどなのですが、その他の部分のところで広めに書かれておりましたので、 基本的にはその部分を除いた形になろうかと思います。 ○寺岡構成員  わかりました。 ○猿田座長  ほかにございませんでしょうか。 ○竹中構成員  一般的にガイドラインといってもピンからキリまでありますが、拝見したところ大変し っかりつくっておられるとは思うんですけれども、こういった保険診療、もしくは公的な 医療を示唆するものに一般的なガイドラインの自主的運用というような文言でいいのかと いうことで、今後、私ども、いろいろなガイドラインの作成側にも関与していますので、 それについての一定のお考えもあるのではないかと思うんですが、いかがでしょう。 ○猿田座長  一番大切なことは、臓器移植の場合と同じように、法律的なものがあればいいんですけ ど、そういったものがない状況で、しかしながら、北村先生がお書きになっているように、 早く法律的なものが通ればいいんですけど、そこでの期間はガイドラインに沿ってと。じ ゃあ、実際にそのガイドラインの内容はどうかということで、私もこれを読ませていただ き、厚労省側とも検討させていただいて、今、先生おっしゃったように、かなりしっかり したガイドラインになっているんですね。ですから、各ガイドラインによって大きく違い がございますが、この形で実際に今までも組織移植はやってらっしゃったということです ので、今のところではこの条件を出させていただいたということでございます。ガイドラ インによって大きく違ってしまいますが、これは非常にしっかりしたものでございます。 ○笹子構成員  このコメントを全部見ても、どういう施設が適切な施設か、自分のところがこれに応募 していいのかどうかというのはわからないという感じがしますが、そのようなスタイルで よろしいのでしょうか。 ○猿田座長  実は私、北村先生と議論させていただいたときに、今、先生がおっしゃった問題がある んですが、ヒト組織のガイドライン作成のときにかなり限定されたところで実はこれは厚 労省側とも相談させていただいて、厚労省側が認められるかなりの施設でなければ、とい うことで議論したんですが、事務局、その点で御意見、ございますか。 ○福田企画官  まず、5ページの医療機関の要件のその他というところで、施設についてはいろいろな、 医師の要件とか医療機関の要件を満たした上でさらに、その他というところで、日本組織 移植学会の認定する施設であること、ということで、学会の認定も一つの条件として入れ ていると。ちなみに、日本組織移植学会では、認定基準評価表というものを既に公表して おりまして、そちらをごらんいただくとどういったことが要件とされるのかというような ところも、関心をお持ちになる医療機関、また一般の方もごらんになることができる。そ の認定基準の基本的な考え方は、また根っこに戻りますが「ヒト組織を利用する医療行為 に関するガイドライン」の中から、基本的に重要とされることについて、それがきちっと 担保し得る、そういった医療機関であるのかどうか、というようなところを確認する、そ ういった内容になっているということでございます。 ○猿田座長  お手元に出したのはちょっと不備なものですが、そういった形のものがございまして、 併せて評価していただいて決めるということになっております。  ○寺岡構成員  以前にも同種の質問をしたんですが、施設基準のところで、看護配置とその他医療従事 者の配置が不要となっていますけれども、レベルの違う話で、ずっと高いレベルの医療施 設であれば、こういう問題をわざわざ書く必要はないという趣旨で不要となっているんで しょうか。そこらへん、私はいつも違和感を持っているんですが。 ○福田企画官  看護配置については、基本的には今、先生おっしゃったように、ある程度こういったこ とをやるにふさわしいところは当然一定レベルの配置があるだろうということが前提にな っているという御議論であったかと理解しております。  その他の医療従事者の配置について、このところは例えば、今回の資料について、届出 をされている医療機関から出されている仮の考え方といいましょうか、そちらで整理をし た考え方では、臨床工学技士についてはいらっしゃった方がいいのではないか、という内 容になっていたと記憶しておりますので、この辺のところは個別具体的にもう少し御議論 いただいていいものではないかと思っております。  ただ、先生おっしゃったように、ここの部分の表現ぶりについては、これから少し議論 を積み重ねながら、例えば、具体的にはベットの話などはここでの議論で一度、当然ある ものということで「不要」と書いてありましたが、これは第三者が見たときにやっぱりお かしいので、必要として、少なくとも1床以上、と整理し直しましょう、という形で変え てきておりますので、この辺のところは議論を踏まえながら、必要に応じて見直していく ような形ということでもよろしいかと思っております。  現状といたしましては、看護配置については、一定レベルのものが当然あるという意味 での不要ということでございますし、その他の医療従事者の配置については、提供される 先進医療のサービスの内容に応じて必要と思われるものについては付加的にその必要性に ついてここで御審議いただいて、必要があればここにお示しをいただくという形で整理さ れていると理解しております。 ○寺岡構成員  であれば、一定以上の基準が必要なのであれば「要」と書くべきではないかと思うんで すが。 ○猿田座長  御指摘はおっしゃるとおりだと思います。そこのところを検討させていただきます。こ このところはいつも皆様方から指摘のあるところです。 ○田中良構成員  先ほど適応症として7つほどグループを挙げていただきましたが、僕は専門外なんです が、感染症とか、心臓疾患、大血管とか、あるいは末梢の血管のシャントのことも挙げら れましたけど、費用については、申請書の中で、先進医療にかかる自己負担分78万7千円 と、特定療養費(保険給付分)が412万7千円という、これは1例を算定してこういうふう に挙げられるということなんでしょうか。すべての組織凍結保存の組織移植に要する費用 ということなんでしょうか。 ○福田企画官  費用につきましては、なるべく典型的な例という形で届出機関に算出していただいてい るということでございます。ちなみに、この78万7,430円という先進医療に係る費用の内 訳でございますが、一つは、組織を採取するためにかかる費用が46万6,990 円というが積み上げの内訳になっております。それから、採取した組織を冷凍保存する。 そのための一連の管理に32万440円という形になっております。  それから、適応症のところで、感染性の血管疾患、心臓疾患が主に強調されている理由 ですが、これはこういったヒト組織の供給自体が非常に限られているということがあって、 人工的な弁であったり、血管では治療成績の向上が難しいと思われる感染性のいくつかの 疾患を中心にして適応症を厳密に選んでいくというのが、現在の我が国における組織の提 供状況を鑑みた場合にはそういうことが適切であろうといった御判断の上にそのような形 で適応症についても強調して書かれているというように理解いたしております。 ○越智構成員  適応症のところで、組織の凍結保存と外科治療が同一施設で行われるものに限定すべき、 というこの考え方ですが、例えば、心臓の弁、血管以外で、今後このような医療が組織移 植学会のガイドラインには、皮膚、骨、靱帯、心臓弁、血管、そのようなところが広く使 われるということが書いてあります。例えば、皮膚などといった場合でしたら、非常に広 範囲な火傷などを想定しますと、よその施設にあるものでも治療のために欲しいなという 場合は想定されると思うんですけれども、凍結保存と外科治療は同一施設で行われるもの に限定すべきという考え方が、どういう範囲で適応されると考えたらいいのかなと思うの ですが。 ○猿田座長  今、先生がおっしゃったことは非常に重要なことでございまして、今ここで許可する場 合において、各施設にわっと広がることが当然起こるわけです。それがいずれはそうなっ てくると思いますが、今の段階におきましては、とりあえずこの形で同一施設内でやると。 というのは、いまの移植学会のガイドラインに沿ってやっていくときに、最初はそこでや らせていただいて、必ずその先があると思います。この医療はこれから発展していくとい うか、かなり多くなってくると思います。ただ、今回はまずそういう形で通させていただ ければと思います。当然、もうちょっと先に行ったときの検討は出てくることでございま す。おっしゃるとおりだと思います。  ほかにございますでしょうか。そういったことで、ガイドラインのこととか、施設のこ ととか、いろんな点で、この問題は法律がないものですから、こういった形でまず行って いただいて、その後、いろんな形で先の発展があると思いますけども、ほかになければ、 この先進医療会議としては、有意義なものであれば許可できれば、ということで、ただし、 条件はしっかり議論させていただいた上で、これからの発展性はもちろん考えていきたい と思いますけども。もしよろしければ、これはこの形でお認めいただけますでしょうか。  それでは、これはお認めいただいたということにさせていただきます。  きょう御議論いただいたことはもちろん残させていただきまして、これからのいろんな 形での審議に使わせていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは次の課題に行っていただけますでしょうか。お願いいたします。  それでは、第2番目に関して永井先生からお願いできますでしょうか。 ○永井構成員  2番目の案件は「特発性肥大型心筋症の遺伝子スクリーニング検査」です。特発性肥大 型心筋症というのは、これまでは原因不明とされていた心臓病です。心臓の筋肉が肥大を 起こし、始めは収縮が非常によろしいのですが、次第に収縮も悪くなってきて、心不全、 失神発作、そして突然死を起こすという病気です。例えば、高血圧がないのに心臓の肥大 が起こってくる。そういうような病気でして、500人から1,000人に1人はこの病気を持っ ているということです。  従来、心エコー、心電図、場合によってはMRI、CT、心臓カテーテル検査等で診断 ができるわけですが、最近の遺伝子学の進歩によって、家族性におこる肥大型心筋症の4 0%程度が3つの遺伝子の異常によることがわかってきました。もう少し原因遺伝子がわ かっているものもありますが、40%程度は、心筋ミオシン重鎖、トロポニンT、そしてミ オシン結合蛋白、これらの3つの遺伝子異常が大体40%を占めるといわれております。  この申請では、肥大型心筋症の患者さんを対象として末梢血の白血球からDNAを抽出 してこの3つの遺伝子の異常があるかどうかをスクリーニングしようということです。1 つの遺伝子といっても、エクソン、イントロン、いろいろございまして、これをすべて調 べるというのはなかなか大変な仕事量になろうかと思います。  この申請では、こういう遺伝子の異常があった場合、遺伝子型の診断によって患者さん の予後推定あるいは経過管理に役立てることができるだろうということで、自己負担6万 8千円の先進医療を申請しています。  問題は、まず、特発性肥大型心筋症の診断というのは、心電図、心エコー、あるいはい ろいろな画像診断の組み合わせで診断できるものでありまして、そのうちの40%程度、少 し追加しますと、家族性に起こってくる病気の40%がこの遺伝子異常であるということで、 それ以外にも孤発性に起こってくる肥大型心筋症もあって、そちらではもっと低い頻度に なります。ですから、このスクリーニング検査を行っても診断率はかなり低いということ です。それがまず一つの問題点です。  そしてもう一つは、その遺伝子の異常がみつかったら何か治療法とか生活管理指導等が 大きく変わるかというと、それも余り現実には変わらないのではないか。治療が変わると いう強いエビデンスはまだないのではないかと思います。  そうしますと、このスクリーニング検査自体はまだ研究段階で、もっとピンポイントで、 あるタイプの遺伝子異常の場合には臨床的な経過あるいは治療法が大きく変わってくると いうエビデンスが積み重なれば、先進医療として適切かと思いますけれども、今はまだ研 究段階ではないか。その意義や位置づけを明らかにする段階ではないかということで、今 回は先進医療としてはまだ適当ではないという判断をさせていただきました。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。7ページの方はいいですか。今お話ありましたように、 今のところはかなり限定されたものであって、しかも研究段階でないかということで、一 番重要なことは、遺伝子的なものから診断をつけたとしても、それが将来の治療その他に 結びついていけばいいけれども、今の段階ではそうはいかないというところで、果たして これが先進医療として扱えるかどうかということで、永井先生としては、これはもう少し 研究段階ということで「否」ではないかという御意見でございますが、そのことに関しま して、議論いただければと思います。 ○佐伯構成員  この疾患は発症といいますか、どの時期からこの病気による症状が出てくるのでしょう か。 ○永井構成員  赤ちゃんのときから、あるいは胎児期から起こっていることもございます。しかし、一 般的に我々が見ますのは、10代後半、20代、あるいは、健康診断で見つかってというよう な40代、50代の方もありますし、非常にさまざまです。 ○佐伯構成員  そういう場合、家族性の方の中でこの診断をして小児期、非常に若いときに危険性がわ かったとしますね。そうしたら、発症するまでのケアなどによって発症を遅らせる、ある いは症状を軽く済ませることができるといったようなことは考えられないんでしょうか。 ○永井構成員  そこのエビデンスはまだないと思います。実際に肥大が起こってきてから臨床的に問題 になるまでは時間があるわけですね。ですから、今までは肥大を確認した上で生活指導な り、ACE阻害薬等の内科的な治療を行うということが一般的です。 ○佐伯構成員  遺伝子による危険因子がわかって、発症を予防することができるのであれば、この診断 の意味があるのかなと思ったのですが。 ○永井構成員  まだそこまではわかっていないと思います。 ○猿田座長  そうですね。今、佐伯先生おっしゃったのは非常に重要なことなんですけど、まだそこ は研究段階ということで、早めに見つけることができて、予防手段が取れるということで あれば、先進医療として非常に意義があると思うんですけど。  ○永井構成員  そうですね。おっしゃるとおり、遺伝子異常といってもさまざまでして、どの遺伝子の どの部分のどういう変異の場合に予後が非常に悪いとか、あるいは発症を予防できるかと か、そういうことがこれから研究すべき課題だと思いますが、まだそこまで十分なコンセ ンサスは得られていないと思います。 ○猿田座長  ほかに御意見ございませんでしょうか。 ○辻構成員  遅れてきて申し訳ございません。おっしゃるとおりだと思うのですが、遺伝子で病型を 診断するといいますか、確定するということと、いわゆる、遺伝子型-表現型の関連 (gen otype-phenotype correlation)というのは、どの程度わかっているかによるかもしれませ んが、ある程度、予後予測などに使える場合もあり得るのではないかということ、それか ら、どういう遺伝子カウンセリングができるかどうかについては、検討課題かもしれませ んが、直接治療に役立つ情報、治療に結びつけるところがないとしても、臨床的には一定 の意義はあるであろうと思われます。それを先進医療と定義するかどうかは別ですけれど も、逆に言いますと、そういう仕組みがないと診断の確定すらできないということもあろ うかと思います。それ実行しようとすると,は本当に研究費でそういったことをサービス としてやる、みたいなことをやらない限りはできないわけですから、遺伝子診断で病型を 確定できる部分については,私は一定の意義を認めるのが良いと思います。ただ、このこ とについて、先進医療のコンセプトと、どう整合性をとるかというのは、別の問題かもし れませんが、治療法に直結しないから全く認めないという門前払いもちょっとつらいので はないかと思います。 ○猿田座長  それは私の表現が悪かったんです。今、先生がおっしゃったとおりだと思うんですけど、 今、いろんな型の遺伝子が関与しているものですから、そこはもうちょっと詰められれば ということかと思います。どうでしょう。 ○永井構成員  おっしゃるとおり、これはある程度財政的なサポートがないと調べることもできないの ですね。ですから、こういうものをきっちり調べるという意義は非常にあるのですが、こ の先進医療は発足の経緯から言いまして、いずれ保険診療に持っていくということになり ますと、一体どういうものに絞ったらよいのかということをこれからもう少し検討しない といけないのではないかと思います。 ○辻構成員  高度先進医療の方でも遺伝子診断が認められているものがありまして、その中には直接 治療に結びつくというものでない疾患もかなり含まれていると理解していますので、なか なかその辺難しいところかなと思うのですが。つまり、ある程度、診断を確定するという 意味において、臨床では一定の意義があるということはお認めいただいた方が良いのでは ないかと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。確かに、高度先進医療 では、遺伝子の診断そのほかではいくつかおっしゃったとおり通しているのがございまし て、高度先進医療とこの先進医療とどう違うかということもこれからの問題かと思います けれども、ありがとうございました。  ほかにどなたかご意見ございませんでしょうか。この特発性心筋症という病気は非常に 多い病気で、いろんな原因で起こるものですから、先ほど永井先生からお話あったように 家族性のものというのは15〜20%ぐらいで、その中でいくつかの遺伝子異常があると。も うちょっと詰めて来られると先進医療とできると思いますが、まだちょっと研究段階だな という感じは受けていますが、先生方、御意見ございませんでしょうか。  ですから、もちろん、これはもうちょっと詰めて来られれば必ず先進医療としての価値 が十分出てくると思うんですけど、永井先生、何かございますか。 ○永井構成員  おっしゃったとおりで、そこがはっきりしませんと際限なく広がる可能性がありますね。 あらゆるケースについて全部スクリーニングしてくださいということになってきますので、 この遺伝子のこの変異は臨床的にも非常に要注意である、というようなデータが出てくれ ば、もう一度考慮してよろしいのではないかと思います。 ○猿田座長  ほかに御意見ございませんでしょうか。一応、今はそういう段階ということで、これは 検討していただいてまた出していただければと思います。もしよろしければ、きょうのと ころはこれは「否」という形にさせていただいてよろしいでしょうか。  それではそういった形で判断させていただきたいと思います。  それで、先ほど事務局から御説明ありましたように、10月の届出、3番と14番、そのほ かに、15、16、17、18とあったんですが、15と16は、薬事法の問題でこの形では無理だと いうこと。そして、17、18のPETに関しては取り下げられたということで、10月分の審 査に関しては以上のとおりでございますけども、その2つに関して何か。どうぞ事務局か ら。 ○福田企画官  先ほど寺岡先生から御指摘のあった2つの点につきまして、最終的におまとめいただく 際に確認をさせていただければと思っております。  まず、基本的に、医療機関の要件については、先進医療の精神といいますか、考え方に 鑑みて、なるべく外形的といいましょうか、箱の形みたいなところでの要件は原則として 書き込まなくて済むものはなるべく書き込まないという考え方であるわけですが、寺岡先 生からも御指摘がありましたし、今回お認めいただく凍結保存同種組織を用いた外科治療 について、特に看護配置の部分と、その他の医療従事者の配置の部分のここでの表現の整 理の仕方について確認させていただければと思います。  まず、簡単な方から、その他の医療従事者の配置のところで、届出がありました医療機 関からは、常勤の臨床工学技士1名以上、という形で御提案がなされております。ただ、 北村先生の御判断はここは不要となっておりますが、この点はどのようにしたらよろしい のかということを改めて確認をさせていただければと思います。 ○猿田座長  届出施設からは、臨床工学技士1名以上とされていたということで、そうなりますと、 ここは「要」という形になりますね。寺岡先生、どうでしょうか。 ○寺岡構成員  専門性からいうと疎いので余り自信を持った発言はできませんが、やはり高度な医療を 行う医療機関であれば当然満たさなければいけない、さっきの繰り返しになってしまいま すが、施設要件があるわけで、その他の医療従事者についても不要というのはどうも適切 ではないと思いますので、たとえ、臨床工学技士1名以上ということであっても、表現と しては、そういう者が要、とした方が適切ではないかと私は思いますが。 ○越智構成員  日本組織移植学会のガイドラインには無菌操作がかなり詳しく書いてありますが、これ は臨床工学技士はいなくても、いわゆる無菌操作ができるラボがあればできるようなこと が書いてありますので、臨床工学技士は不要ということになっているのではないかと思う のですが。それと、施設基準を見ましたときに、それほど大きな施設という想定がされて おりませんので、この施設基準での施設の想定、それからこの組織移植学会の規定を見ま したときに、臨床工学技士はあえて要らないんじゃないかと思います。 ○寺岡構成員  わかりました。ということであれば、通常の施設基準に相当する者は不要だけれども、 ガイドラインを満たす上では必要なものは当然あるわけですね。ですから、ガイドライン にしたがっていれば、それでいいという表現になるわけですね。 ○猿田座長  ただ、今御指摘いただいたように、確かにここのところは混乱するんですね、看護配置 の問題、そこのところはもう一回検討させていただいて、先生方に疑問のないようにした いと思います。 ○寺岡構成員  どこかにそういう説明書きがあると毎回毎回そういうものにひっかからなくて済むんじ ゃないかと思います。 ○福田企画官  承知いたしました。確かに看護配置の部分も、そういった趣旨でというところがきちっ とわかるような形で整理をさせていただきたいと思います。表現ぶりはそういう意味で特 にここでは訂正しないということで。 ○猿田座長  ほかにございますでしょうか。少しずつ、問題のあるところは検討して、皆様方にわか りやすくなるようにしていきたいと思いますので、これからも御意見をいただきたいと思 います。  きょうのところの、事前評価いただいたこの2件、凍結保存同種組織を用いた外科治療 と、特発性肥大型心筋症の遺伝子スクリーニング検査、これに関しては今、先生方から評 価いただいたとおりの決定とさせていただいてよろしいでしょうか。  それでは、その形で結論を出させていただきまして、それでは11月の受付について御説 明をお願いいたします。 ○福田企画官  お手元の資料、先−2、横長の1枚紙をごらんいただければと思います。「先進医療の 届出状況について(11月受付分)」ですが、整理番号の8番「強度変調放射線治療」と、 19番「マイクロ波子宮内膜アブレーション」、この2つが11月受付分でございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。お手元にありますように、8番、19番の2つが11月受付分と して出ているということでございます。それぞれ田中先生に事前評価をお願いしておりま すけど、何か御意見ございますでしょうか。  今のところは不備なところがあって返されるのが多かったりして、これから徐々に増え てくると思いますので、きょうのところはこれだけということですが、これで今年は最後 になって、来年は1月12日になりますけど、何か御意見ございますでしょうか。 ○吉田構成員  10月分で17、18番は取り下げですけど、何か理由があるんですか、というのは、確かこ れは希望書の中にもあるんですよね、来年の保険改正の。そういう意味で。 ○福田企画官  こちらから具体的な理由は申し上げられませんけれども、今、吉田先生おっしゃられた ように、こちらは現在、医療技術評価分科会で検討いただいております18年度改定に向け ての新規技術の議論の方にも要望として上がっているという事実関係だけ御説明させてい ただきたいと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。  それでは、今後の予定について、お願いいたします。 ○福田企画官  次回の開催についてですが、次回は18年1月12日(木)午後3時から5時の間を御予定 いただければと思います。場所につきましては未定でございますので、追って御連絡させ ていただきます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。私もまだ不慣れなところがあっていろいろと御迷惑を かけておりますが、書類上のこととか、その他に関しましても厚労省側と相談させていた だいてできるだけ混乱のないようにしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたし ます。ほかに御意見ないようでしたら、時間は早いですけれども、12月の先進医療会議を 終わらせていただきます。御協力ありがとうございました。                                       ―了―       【照会先】        厚生労働省保険局医療課医療係         代表 03−5253−1111(内線3276) 18 19