05/12/09 今後の労働時間制度に関する研究会 第14回議事録       第14回今後の労働時間制度に関する研究会          日時 平成17年12月9日(金)          17:00〜          場所 厚生労働省専用第21会議室 ○座長(諏訪) 定刻となりましたので、ただ今から「第14回今後の労働時間制度に関 する研究会」を開催いたします。皆様におかれましては、お忙しい中ご参集いただきま して大変ありがとうございます。本日は、守島委員からご欠席の連絡をいただいており ます。  本日は、各論点ごとの考え方のたたき台(案)を基に、改めて議論を一巡させていた だきたいと思っております。このたたき台(案)は、これまでにご議論いただいた論点 全体について、報告書の取りまとめを念頭に、議論を踏まえ、事務局に一定の考え方の 整理をしていただいたものです。したがいまして、委員の皆様には、報告書の取りまと めに向けて、是非積極的なご意見をいただきたいと思っております。  それでは、最初に事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○安藤監察官 本日は、資料1と資料2、参考資料として、佐藤先生から、年次有給休 暇の取得状況を具体的に示すデータがあれば出してほしいというご要望がありましたの で、提出しております。  資料2のたたき台の修正点についてご説明します。2頁目で、現在委員の皆様方には、 新たな労働時間の適用除外制度をご議論していただいているわけですが、現行制度との 関係を記述する必要性があるのではないかといったことで、2頁目の現行の企画業務型 裁量労働制の範囲を狭めるべきではないかという所に、(4)の、仮に新たな制度を創設す る場合は、企画業務型は廃止すべきではないかといった問題点を追加するとともに、(5) の対象業務の捉え方について再検討すべきではないかという所については、新たな適用 除外制度に移行しないものについては、現行の専門業務型裁量労働制の一類型として、 整理・統合することも考えられるのではないか、といった問題提起を追加しております。  5頁目、裁量労働制の健康・福祉確保措置についての論点の所です。(2)で、運用上の 措置により健康・福祉確保措置の実効性を確保すべきではないかといった論点において は、3ポツ目で、「労働時間の状況に応じた」措置を講じるための前提として、厳密な労 働時間管理が行われるといったことがないよう、周知・徹底を図るべきではないかとい う問題提起を追加しております。  6頁目、ここは裁量労働制の「その他」の論点の所で、(2)裁量労働制適用労働者と 通常の労働時間管理対象者が混在した場合の取扱いについての(1)です。各企業の実態が 多様であるところから、各企業にその対応を任せるべきではないか、といった投げかけ で終わっておりますが、この場合、企業の参考となる取組例を示すこととしてはどうか といった点を追加しております。  8頁目、「労働時間規制の適用を除外する制度の在り方について」です。「労働時間規 制の適用を除外する必要性」についての所は、「成果主義」というワーディングを使って おりましたが、その部分は「労働時間と賃金を遮断した賃金制度」という言葉に変えて おります。  「対象となる業務及び労働者」については、「自律的な働き方」ということで4つの基 準を示しています。そのうちの2番目については、遂行の手段及び労働時間の配分の決 定について、使用者が具体的な指示をしないこととする業務に従事する者であって、業 務遂行の結果に責任があり、業務の優先処理順位の決定権を有するものであること、と した上で、4番目の基準については、「実効性のある健康確保のための措置が講じられて いるものであること」と修正しております。  その具体的な問題提起の所ですが、9頁目の2番目、業務に従事する者であって、業 務遂行の結果に責任を有し、かつ業務の優先順位の決定権を有するものであるという基 準の所は、2ポツ目で、対象とならない業務については、事前に明示しておくことも考 えられるのではないか。具体的には、労働時間の長短と成果の大小の間の相関が強いも のが対象とならない業務として考えられるのではないか、といった問題提起を追加して おります。  10頁の4つ目、実効性のある健康確保のための措置が講じられているものであること の基準においては、11頁目の上から3つ目のポツで、労働者と使用者の同意の中で休暇 の取得日数を盛り込むことが必要ではないか、といった問題提起を付け加えております。 (2)の対象範囲については、法令などで明確に規定すべきか、もしくは労使の決定に委ね るべきかという論点については、ポツの又書きの所で「対象とならない業務については、 事前に明示しておくことも考えられるのではないか」と、これは前の所とかぶりますが、 念のために又書きで入れております。  11頁の下の方の「必要となる手続」のうち、対象となる労働者の「個別の同意」につ いてです。これについては、12頁の一番上のポツで、この同意が適正に行われているこ とを担保するため、使用者と対象労働者の間で所定の事項、例えば年収の額、休日の日 数といったものが考えられると思いますが、そうしたものを記載した合意書を作成し、 事業場において一定期間保存することを義務づけるべきではないか、といった問題提起 を追加しております。  12頁の最後の「法的効果等」の4番目の論点で、適正な手続や運用が確保されなかっ た場合の取扱いの所です。13頁の一番最初のポツで、適切な履行確保を図るために、ど のような手法が考えられるのか、といった問題提起を付け加えております。  13頁の(2)「健康・福祉確保措置の内容について」ですが、(1)で新たな適用除外者 の年次有給休暇の完全取得ができる環境整備が必要ではないかといった論点を、これは 当初年次有給休暇の所で書いていた論点ですが、新たな適用除外者の所に場所を移して 書いております。  16頁、「年次有給休暇」の計画年休制度についての論点のうちの3番目のポツですが、 年休の取得率の低下傾向が続いている原因は職場の雰囲気等にもあるのではないか。そ こで、そうしたことを改善するための意識啓発も必要なのではないか。また、労働者側 から主体的に計画年休を活用できるようなことも考えられるのではないかといった問題 提起を付け加えております。  17頁は、時間単位の取得も可能としてもいいのではないかという論点の所です。後ろ から2つ目のポツで、「しかし、事業主側からの分割取得の指示を認めないこととし」と いう所に、「かつ、労使協定により」といった文言を追加しております。また、(3)の 「その他」の所では、2ポツ目で、退職時の未消化年休については、使用者に対して、 労働者に対する未消化年休の取得に係る催告、もしくは時季変更権を行使する代わりに 年休手当の支払いを義務付けるといったことが考えられるのではないか、という問題提 起をした上で、3ポツ目で、労働者の年休取得促進が使用者にとっても有益となるよう な仕組みも検討すべきではないか、といったことを追加しております。  2の「所定外労働の削減」の所です。(1)の36協定における特別条項の在り方につ いてですが、論点が18頁の一番上になります。36協定における特別条項に基づき時間 外労働をさせた場合、現行の割増率を上回る割増賃金を支払うこととし、「特別な事情」 が「臨時的なもの」であるという趣旨を徹底することも、1つの方策として考えられる のではないかといった問題提起を加えております。  また(2)所定外労働時間の削減を促進するという項目については、一番最後にポツ を設け、所定外労働については、労使協議等によって、割増賃金か代償休日の付与かを 選択させることとしてもいいのではないか。その上で、どちらを適用するかについては、 具体的には労働者本人の選択に委ねることとすることも考えられるのではないか、とい った論点を追加しております。  最後に4「フレックスタイム制」については、中小企業をはじめとして導入が進んで いないという現状がありますので、中小企業で実際にフレックスタイム制を活用した好 事例の収集または提供といったことが考えられるのではないか、という論点を追加して おります。  参考資料の「年次有給休暇の取得状況などについて」については、簡単に説明してお ります。1頁目、実際の年次有給休暇の取得日数ですが、国の統計、例えば「就労条件 総合調査報告」などでは男女別、年齢別といったもので取れませんので、厚生労働省が 以前連合総研に委託を行ったアンケート調査を引用しております。これによると、男性 の20歳代の27.7%、女性の20歳代の20.5%の取得日数が0であり、その反面、女性の 30歳代、50歳代で、取得日数21日以上が1割を超えているという状況が見られます。  2頁目では、年次有給休暇の取得形態と目的という所で、これも出所は連合総研のア ンケート調査です。全体で見ますと、「休養」「病気の療養・体調不良」といったものが、 数としては多くなっています。実際に年休をどのように取っているかを見ますと、年休 1日単位の単独取得では、「病気の療養・体調不良」が最も多い。年休1日と他の休日の 組合せによる取得となると、「国内宿泊旅行」、年休5日以上の連続取得となると「海外 旅行」が多くなっているということです。  年次有給休暇の取得へのためらいということは言われておりますので、それに関する データを3頁目につけております。こちらもアンケート調査ですが、円グラフのうち「た めらいを感じる」「ややためらいを感じる」で、これを足し上げると68.6%、約7割の 方が何らかのためらいを感じているという実態が見て取れます。具体的にためらいを感 じる理由として多く挙げられているものが、「みんなに迷惑がかかると感じる」「あとで 多忙になる」「職場の雰囲気で取得しづらい」といったことが、回答として挙がっており ます。  4頁目、年次有給休暇を残す理由です。これは、先ほど触れた連合総研のアンケート 調査ですが、このデータを見ると、一番多いのが「病気など何かあった際に使いたいか ら」、2番目に「それ以上取得の必要性がないから」、3番目で「周囲もその程度しか取 っていないから」といった回答が多くなっております。  最後に病気休暇の話が出ておりますので、参考までに病気休暇制度の現状について、 厚生労働省の就労条件総合調査の病気休暇制度を導入している企業割合についてもデー タを添付しております。それを見ますと、全体で平成17年で22.1%の企業で病気休暇 が導入されており、そのうち賃金の支払状況を見ますと、全額支給しているのが50.7%、 一部支給しているのが22.2%、無給が26.5%となっております。事務局からは以上です。 ○座長 ありがとうございました。それでは、今日も先回までと同様、このたたき台に 関してご自由にお気づきの点についてご指摘いただきたいと思います。よろしくお願い します。 ○水町様 まず、たたき台について17頁からの続きですが、「所定外労働の削減」の所 で、割増賃金の在り方として、36協定における特別条項に基づいて時間外労働をさせ た場合には、25%より上回る割増賃金を支払うということが書かれています。この場合、 特別条項をどうするかというのも、当事者が話し合ってどうするか決めます。これで特 別条項については特別の割増となると、特別条項を減らして、普通の条項に特別な臨時 的なものも入れ込んでしまおうという形に、当事者によってはなってしまって、不安定 になる可能性もあり得るので、もう1つの選択肢としては、時間で客観的に切って、何 時間までは25%だけれど、何時間を超える場合については40%や50%にするというフ ランスにそのような制度がありますので、そういうものも検討の選択肢の1つではない かと思います。  「健康・福祉確保措置の内容について」で、14頁の一番上の(3)として、特別の健康診 断の実施を義務付けるべきではないか、という所で、具体的に特別な健康診断と言った 場合に、今法定で要求されている健康診断と違って、どういうものがここで念頭に置か れていて、これは前に議論したかもしれませんが、さらに「対象労働者の請求により」 という留保をつけた場合の実際上の意味合いとプライバシーとの兼合で、こういう要件 をつける方がいいのかどうかについて、もしお考えがあれば教えていただきたいです。 これから検討すべきだということであれば、この点も検討になるかなという気がします。 ○座長 とりあえずここまでで、大西課長、お願いします。 ○大西監督課長 特別な健康診断というのは、通常の健康診断以外に過重労働の方向け に健康診断のメニューがあれば、そういうものを加えたものをやった方がいいのではな いかということで、「特別の」とつけたわけですので、メニューがその人に合ったものと して、通常一般のものに比べて何か可能なものがあれば、メニューを追加するという趣 旨です。  もう1つ、「対象労働者の請求により」というのは、企画業務型の所で、使用者が健康 の確保のために時間管理のようなことをしているのが問題ではないか、というご指摘が あったので、もし仮に使用者が時間管理を全くしないとなると、今1年に1回の健康診 断をやりなさいというのを、期間を短縮して6カ月に1回とする手法がいいのか、本人 が疲れてきたので診てほしいと手を挙げたらやっていただくのと、どちらがいいのかを 考えて、使用者による時間管理を外すのであれば、ご本人に健康診断のきっかけとして 手を挙げていただくのも、1つの手法ではないかという趣旨です。 ○水町様 そこで、おそらく2つの選択肢があって、そもそも取ることは義務づけるけ れど、いつの時期に取るかは労働者の選択にするというやり方もあるでしょうし、実際 上忙しい人や責任ある仕事を与えられた人であればあるほど、法定の健康診断には現れ ないということが実態としてあるとすれば、強く考えた場合に、「請求により」というの はどうかなというのが率直な私の疑問です。 ○大西監督課長 先生のお考えですと、ある程度回数を区切って、何カ月に1回は必ず 行ってくださいと、ただ、そのうちのどこで取るかは労働者に任せた方が、より効果的 だというご意見ですね。 ○水町様 そうですね。私も特別な具体的な案があるわけではないのですが、とにかく 健康確保を実効性のある形にしないと、今は忙しかったり大変で行けない人がたくさん いるので、そうならないようにという要望です。  年休制度についてですが、予想されたようなデータで、ためらいが非常に強いという ことなのですが、今回の研究会の最終的な案の中で、そこまで具体的な案として出せる かどうかは、まだ議論が成熟していないので分かりませんが、年休制度のあるヨーロッ パの制度と比較すると、労働者が時季指定権を持っていて、指定するときにためらいが あり、消化率が低いのが日本の制度の最大の問題なのです。そもそも時季指定権を原則 として、そこからスタートするのか、それとも年休制度は労使協議を踏まえて、使用者 が時季を決めて、カレンダーどおりに100%消化する制度にするのかという本体の議論 と、どちらの選択肢でもありますが、フランスのように連続休暇を最低2週間取る、日 本の場合は全体で20日、最低でも10日の人もいるので2週間になるかもしれませんが、 連続休暇をどうするかなど、その辺りの議論を、今すぐか、中長期的に時間を取って、 ゆっくり年休制度の在り方を考えることが必要かなと思いました。  年休制度を考えるときに、病気があるときに、外国の制度では年休制度と別に病気休 暇制度というものを法定で設けていますので、それと一緒に病気休暇制度を法定のもの にするのか。法定のものにするとしても、どういう形のものにするかも併せて検討する ことが必要かなと思うのを付け加えます。 ○今田様 病気休暇制度のあるなしということが出ていますが、実際に病気休暇制度が ある事業所での取得状況の調査は、行われているのでしょうか。公務員などはあるので しょうか。どういう企業でありますか。病気休暇制度は、比率で言えば結構高いですね。 1,000以上規模で4割が制度を持っていて、実際に使われているのですか。 ○水町様 入院したときに、最初年休で100%もらうけれど、100%年休が終わったとき に、出すことがあるという形が考えられます。 ○今田様 そういう形で、結構使われているのですか。 ○小林調査官 後ほど調べます。 ○今田様 病気休暇があって、そのあと休職という形になるという運用なのですか。風 邪をひいたくらいでは、この制度は取らないですね。 ○安藤監察官 就労条件調査を見ますと、実際にどういう形で使われているかまでは項 目も聞いていません。これは企業調査ですので、制度があるかどうかで振り分けて、そ の中で、1企業平均で1回当たり最高付与日数という形で聞いています。それで言いま すと、病気休暇については131.5日とあるのですが、これはおそらく最高付与日数です ので、その企業における病気休暇で一番長かった人の日数をカウントしていて、実際に どういう形で使われているのか、まさに先生がおっしゃったように年休が足りなくなっ たので、病気休暇という制度があるので使うのか、そもそも病気休暇という制度がある ので、年休は何があるか分からないので取っておこうと、先に病気休暇から取得すると いうことについては、この調査では分かりません。 ○荒木様 最高日数の高さを見ると、病気休職の制度を持っていたら、こういう制度が あると答えている可能性は高いですね。  18頁の中ほどの所定外労働について、時間で返すという話が載っていますが、このデ ータ自体の所定外労働の概念にもよるのですが、所定外労働というのは、法内残業を指 しているとすれば、「選択させることとしてもいいのではないか」というのは、現行法の 下でも選択できるわけですので、ここで選択を可能とするという新たな提言を考えるの であれば、これは所定外ではなく法定時間外労働と書かなければ意味が通らない気がし ます。 ○山川様 今の荒木先生の言われた点は、私も賛成です。前回これに関して意見を申し 上げたときも、所定外労働のみならず、法定外についてもと申し上げたかと思います。  以前から議論になっている8頁の@)〜C)ですが、管理監督者の判断基準とパラレ ルに考えていくと、責任と権限と勤務内容、処遇、勤務対応と合わせていくと、職位・ 職階というのは、ある意味では責任と権限に関わることではないかという気がします。 A)の所で「業務遂行の結果に責任があり、業務の優先処理順位の決定権を有するもの であること」と、一定の職位・職階とはどういう関係にあるのかがはっきりしない気が します。逆に一定以上の職位・職階の形容詞として、どういうものが一定の職位・職階 になるのかを説明する必要があると思いますので、その説明がこちらに当たるのではな いかと思います。業務遂行の結果に責任があるというのは、具体的にどういうことを言 うのかは、また別個の問題としては出てきますが。  以上が1点で、そうすると、@)の中に地位や責任、権限、職務内容が入ってきて、 A)には勤務態様が入ってくるのかと思います。ここには何か形容詞が要るかどうかと いうことがあって、@)とA)を合わせれば職務内容と勤務態様になるのかなと思いま す。その場合に、管理監督者そのものはそちらのカテゴリーに入るわけで、それと区別 されて、かつ一般の従業員や、もし企画裁量業務を残すとしたらその対象者とは区別さ れる形容詞のあり方については、業務遂行の結果に責任があり、業務優先処理順位の決 定権を有するような一定以上の職位・職階となるのかもしれません。その書き方が、う まく出てきませんが、もしこういう方向でいくとしたら、より具体化する必要があるよ うに思います。  この中で、労使合意や労使協定で決めていいもの、決めることがやむを得ないものが あるかどうか。今言いました@)は、抽象的な要件は書くけれど、具体的には企業でな いと決められないことがあるかもしれません。A)もそうかもしれませんが、どちらか というと、@)はこれまでのご意見ですと一義的には決められないことが多かったかと 思います。逆にA)の方は、もし具体的な指示をしないこととすれば、同意要件の方で 協定の対象になるかもしれません。12頁に、従事する業務内容と書いてありますが、そ の中で具体的指示をしないこととするということを組み込んで、個別契約のレベルに持 っていくこともあり得るかなと思います。つまり、労使合意で考えるべきものと個別合 意で考えるべきものとがある。客観的な水準で考えるべきものが、賃金制度や賃金水準 の問題であろうかと思います。欠席したときに議論になったかもしれませんが、非常に 収入が高くて、組合員でないことが明らかになるような高水準の賃金であるとすれば、 労使合意はかけなくてもいいかもしれない、アメリカでいうスーパーエグゼンプション のような類型もなくはないかもしれません。  そういう形の組合せもあり得るのではないか。組合せのしかたは無数に生ずるのです が、労使協定で定めるべきことと個別合意で定めるべきことと、両方かけてもいいもの と、客観的な水準で決定すべきものと、いろいろ選択肢を考えて、どれがあり得るのか、 どういう問題があるのかという検討をしてはいかがかと思います。  非常に細かい点ですが、年休の所、(3)の2番目のマルポツで、「時季変更権を行使 する代わりに年休手当の支払いを義務付ける」というのは、時季変更権を行使しなけれ ば年休が取れることになるので、当然のことながら、時季変更権を行使しても、取れな いで終わった場合に、退職に伴って手当のみは支給することになるのではなかろうかと 思います。 ○西川様 3点ありまして、1点目が6頁の(2)の「裁量労働制適用労働者と通常の 労働時間管理対象者の混在」の所です。これは随分前に一度申し上げたかと思うのです が、特に1つ目のポツの「真の『裁量労働』を徹底することができなくなる」とあるの ですが、この「真の『裁量労働』」はいったい何なのでしょうというのがあります。ここ でたぶん「真の『裁量労働』」とイメージされる、もちろん間違っているかもしれないの ですが、独立して仕事をするイメージ、そういうものを持っておられて書いておられる のかという気がするのです。守島先生は今日お休みですが、おそらく守島先生のご専門 になると思うのですが、企業でチーム制とかプロジェクト制とか、そういう仕事のやり 方が現在増えている中で、特に裁量労働が適用されるような知識労働者の人たちがこう いうチームでプロジェクトを組んで一緒に仕事をする機会は増えていると思うのです。  その中で混在したチームあるいはプロジェクトなどで仕事をするのが増えていってい ると思うのです。ここは問題を混在というところに置いておられるのですが、むしろそ うではなくて、裁量労働の適用されている人たち、特に企画型の方たちの業務とか職務 の内容が曖昧であること自体がその問題であって、もしそれがはっきりしていれば、お そらく混在したチーム、プロジェクト制になってもそれほど問題は起こらないと思うの です。ですから、その現状の問題は、どちらかというとそういった職務内容とか職責と か、その辺の問題ではないかと思います。  2点目は8、9頁になります。8頁の今回変更された所で「労働時間と賃金を遮断し た賃金制度」という、もともと、成果主義のようなことを書いておられた所をそのよう に変えられたということですが、なかなか難しい所だと思うのです。一方で9頁のアン ダーラインの所です。「労働時間の長短と成果の大小の間」、ここには「成果」というこ とが出てきているのです。成果主義をどう書くか。ここで「成果主義」と書かないとい うのは、おそらく成果主義にもいろいろな定義の仕方があって、規定することが難しい ことだと思うのです。本来の成果主義という考え方に則りますと、そのパターンはいろ いろあると思うのですが、賃金だけを取り上げてよろしいのかというのが私の疑問点に あります。例えば、昇進というのも1つの評価の仕方であるわけです。成果主義は、も ちろん成果に応じた昇進と報酬等という2つのところを含むわけですが、ここで賃金だ けに限定してよろしいのかというのが2つ目のコメントです。  3つ目は18頁ですが、今回付け足された所で、フレックスタイム制の中小企業での導 入が進んでいない現状があるということなのですが、これについてはもちろん活用促進 を図ることは必要だと思うのです。もしご存じでしたら教えていただきたいのですが、 なぜフレックスタイム制の導入が中小企業で進まないのか、その辺をもう少し分析して から考える必要があるのではないかと思います。 ○小林調査官 一番最後のフレックスタイム制の導入が中小企業について進んでないの は、その時間に張りつく人がいて、例えば時差で出勤したときに担当の人がいなくなる ため、十分顧客等の関係で対応できないことと、いろいろばらばらに出勤したりするの で、時間管理が非常に煩雑になってしまうということで、なかなか人事労務管理上の体 制が十分働かず、なかなか中小企業で導入が進まないと言われています。 ○西川様 それは大企業では見られない問題ですか。 ○小林調査官 それについては、一応仕事がある程度分担されていて、この人がいなく ても別の人が肩代わりして、その時間については大丈夫だという仕事の仕分けはできま す。中小企業の場合はその人しかやってないということと、その時間に張りついてない といけないということで、若干フレキシブルに時間をセットして、相手がいるものです から、その時間を初めから、例えば始業8時半から対応するという形で、どうしても誰 かが対応する必要があって、特に人がいない場合についてはその人が独自的にやってい ますので、その人がやってくると、そのときに対応が不十分だという形で、若干顧客か らクレームがついたりして、なかなか作業が進まないという状況です。 ○座長 今の西川委員からのコメントに対して、ほかの点は特にコメントなりご指摘は いいですか。 ○小林調査官 6頁目の「真の『裁量労働』」と言った場合、ここで問題提起したのは、 作業チーム全員による打合わせ等があることになりますと、その時間帯になった時間に 出てきて打合わせをするという形で、完全な時間配分の自由が、その点でできないとい う意味で、若干、「真の『裁量労働』」というイメージが出て先走っていますが、そうい う意味で時間配分が自由にできるということを審議した場合に、打合わせ等である程度 決まった時間帯に拘束されるという意味で、そういう裁量的な時間配分の自由が失われ てしまうので、「真の裁量」から言って若干、その点で欠ける点があるという意味です。 ○西川様 もしその場合でしたら、裁量労働はもっといろいろな意味を含むと思うので す。ですから、時間に関する裁量ということをもう少し出された方がよろしいかと思い ます。 ○水町様 8頁の4つの要件の4番目、自由に休暇が取得できることから「実効性のあ る健康確保のための措置が講じられているものであること」が1つ強くなっているので、 これは非常に一段、一歩進んだと思うのですが、最近、実際に企業で働かれている方に 聞いたところ、労使協定の中で計画年休の日だと決められているのに、実際上働いてい る、働かされているのか、働いているのか分かりませんが、そういうことも実際の現場 ではあるという話なので、休暇をこの日に取ると言ったことと実際に休暇を取ったとい うことは、現場では、もしかしたらかなり齟齬があるのかもしれないとすると、この「実 効性確保」の手段もかなり契約の中で取るというふうにいくつかフィルターが掛けられ ていますが、実効性手段をしっかり考えないといけないかという気がしました。これは 感想です。 ○佐藤様 8頁の4点の要件の所です。先ほど来いくつか意見が出ている考え方の手順 の整理の意味での意見ですが、適用除外をする必要性というところから入って、その必 要性は賃金と時間を遮断すると。現行ではそれが遮断されていないので、いろいろ不具 合が出てくるのだと。  というところから来ると、対象となる人たちとか業務はどういう範囲にするのか、ど ういう基準を示すことでその範囲を示すのかということが問題になってくるわけです。 そのときに、4点は並列的に列挙されているわけですが、まずその4つ目が、「実効性の ある健康確保のための措置が講じられているものである」という業務という基準を持っ て対象外とするのだというのは、少し違和感がある気がするのです。  つまり、ある範囲の仕事を適用除外にするのだと。それで、ある範囲ですよ、という 考え方で行くわけです。そのときに業務なり人なりの何らかの属性に着眼するのだと。 そのときに実効性のある健康確保のための措置が取られているという基準は少し変で、 変というか、この文脈でいう基準を示すということから言うと、まず何か業務なり仕事 なりを縛る何か特定する基準があって、その上でこの4つ目が絡んでくるというのであ れば話として分かるのですが、順序としては、まずC)はそういうものが先行すべき基 準ではなくて、むしろ業務の性質なり、人の基準なり、そういうものにまつわり付いて いる基準をもって識別して、特定して、範囲限定して、その上でC)が、考え方として は来るのかなと。C)の趣旨が大事だということは分かります。これは押さえを利かせ ておかないといけないということはよく分かるのですが、その範囲基準の文脈で書き込 む要素としては違和感があるということです。  併せて、ここでは4点も大事ですが、識別基準としてまず何かプライオリティーをあ えて考えるとすると、これらのそれぞれの関係はそれぞれが付加されてそれぞれ制約が だんだん強まっていくものであるのか、それとも1個1個が独立したものとして並列的 にあるのか、その辺の関係の整理もする必要がありますが、それは山川委員がおっしゃ ったとおりだと思います。  まず考え方として、何がプライオリティの高い基準として考えるべきかというところ から入っていかないと、なかなか整理していくのが、それこそ同要件とか何かいろいろ 入れていきますと非常に複雑になってきますので、一旦整理する必要があるのかなと。 そうすると趣旨としては、1では「労働時間と賃金の遮断」の所から入ってきているわ けですから、その部分は1つは強いのかと。そうするかどうかは、また議論ということ になるのか。4点目は、それとはまた少し違ってくるのかなということです。そういう 印象を持っているということです。 ○今田様 4つ出されている基準でいうと、おそらく職位・職階が一番上位概念ではな いかと思うのです。要するに、地位の高い人は権限を持ち、収入も高い。権限もあるか ら、自分で休むときぐらいはきちっと決定できると。そういう意味であとの3点、そう いうものの上位の概念に包摂するような、上位という言葉はおかしいですか、包摂する ような基準として@)があるのではないかと。  ただ問題は、そうは言ってもそれは組織のいろいろな企業の状況に依存して、A企業 でもB企業でも違うけれども、でも概念としては職位とか職階は、賃金だの、権限だの、 裁量権だの、自己決定権だの、いろいろなものを持ち得る企業組織で働く人間としては、 一番包摂的な概念であるのは、それは事務局の方がそういう前提でつくっておられるの だと思う。  最後の「健康確保」は健康診断という意味ではないですよね。要するに休暇、自分で 休むのを自己決定できる、そういう位置付けの変数要因ではないかと思うのです。前は 荒木先生がおっしゃったように、それだと外形基準性というか客観性に少し弱い。それ よりも収入とかだともっと明瞭にどの組織であろうが、例えばこの要件ということにな る。というところで、すごく今この4つのクライテリアをどう位置付けるかというとこ ろで、何か皆さんを悩ませているというか、知恵を出さなくてはいけないというところ ではないかと思います。私みたいに職階が前面に出てしまったら、そのことのディスフ ァンクションがいっぱい出てくるということもあって、救くわなければいけない要因を 4つ一応並列させてと、これからそれを中心に少し詰めていくと、そういう感じではな いかと思って私は理解しているのですが、違うのでしょうか。 ○佐藤様 今のことと関連して、あえて言うと、今田さんがおっしゃることは分かりま す。そうすると、水町さんが先ほど言ったのですか、1番目のところがかなり概念的に は広い。しかしながら、これはこれ自体としては何ら積極的な規定をしているわけでは なくて、問題は一定以上というのがいったいどういう一定かとなって、そこを分析して いくと、結局、A)、B)のような話が入り込んでくるわけです。職務の性質・権限関係・ 勤務態様・職務、一定以上を示そうとするとこういう要素が付いてくるわけです。ただ、 それを事前に示すのか、それともその辺は事前に示さないで労使でとするのか、そこは もちろんありますが、そういう悩ましさがあります。 ○今田様 難しいですね。 ○座長 事務局からもご説明いただきますが、ここは非常に重要な問題なので、他の委 員の方々もお考えがあれば、十分まとまってなくても結構ですからご示唆をいただけれ ばと思います。これは非常に重要なポイントなものですから、いかがでしょうか。 ○水町様 私自身の認識は先ほどお2人が言われたのと少し違いまして、@)、A)とプ ラスB)の前半部分は、ここで自律的・裁量的というものを描いたのがどういう人かと いう哲学なりイメージのところで、ただ@)とA)がそれがうまくマッチしているかは 分かりませんが、今までの議論の中で@)とA)プラスB)の前半で、B)の後半部分 は交渉力が一定程度担保されていないと、その分で自律的な決定を、特に労働条件の所 まで含めてすることができないというので、一定の交渉力を担保するために賃金の額を 保障する。  C)は労働時間制度そもそもの趣旨に戻って、健康の確保なりゆとりの確保というそ の弊害が、仮に@)、A)、B)を確保しても出てくる可能性があるので、その弊害を除 去というところで、哲学とは少し離れるかもしれないけれども、制度を導入する際には このC)は重要だというので、私は少し色彩というか色合いが違うのが4つ。それでこ の4つは優先順位があるというよりも、「基準」とここに書いてありますが、私は4要件 だと。@)とA)の整理は難しいですが、4要件で4つを守って初めて導入できると私 は認識していました。 ○山川様 私も今の水町先生のお考えとわりと近くて、@)が、管理監督者との比較で 言えば、経営者との一体性とまでは言えないので、近接性とでも言うべき要件です。そ こでA)の後半の「責任」とか「決定権」は、どちらかというとここに入る。それを除 いたA)が勤務態様の問題で、これは裁量性と言っていいのかどうか分かりませんが、 それに近くて、B)は処遇と先ほど申しましたが、厳密に言うと確かに労働時間と賃金 の切断と賃金水準は少し別の要素かなと思います。アメリカではサラリーベーシスとサ ラリーレベルと2つまとまっているので、ここにまとめるのは構わないと思いますが。 結局のところ哲学の問題というか、単に管理監督者に近いというだけで考えていくか、 あるいは単に裁量性ということだけで考えていくか、両方とも考えるか、その点の違い の反映になるのかと思います。 ○座長 要は水町先生と同じだというわけですね。 ○山川様 そうです。 ○荒木様 私も似たような感じですが、要するに原案は@)、A)、B)、C)のすべて満 たしたものが適用除外されるということだと思います。あとはその中はどういう構造に なっているか、これは学者が議論すればいいことなのかもしれません。  その中を分析していきますと、今おっしゃったように、1つはどういう働き方をして いるのかを具体的に書いている部分で、働き方の観点から労働時間規制を外した方がい いのではないかという点に関わる部分です。2つ目は以前、要保護性と言いましたが、 保護する必要があるかという観点から、こういう処遇であれば割増賃金などの保護を外 しても問題ないのではないかという観点から書かれている部分。3つ目は、そういう働 き方をして、本当に健康保護という労働時間規制の基本的な部分から問題ないだろうか という観点から見たもの。そのように性格付けできるのかもしれません。いずれにして もそれらをすべて満たしたものに限ってこれを除外しようという形で、どれが優先する とか、上位概念とか、そういう整理はなかなか難しいし、あまりそうする必要もないの かもしれません。 ○座長 法律家は大体同じような考え方のようですが、事務局はどうお考えでしょうか。 ○小林調査官 9頁目に@)で「一定以上の職位・職階にある者であること」という形 の中の3ポツ目にありますが、一定の職位・職階であるところは問題であるということ を表す計算基準として、どういう決定権限を有しているかということも客観的な基準と して持っているからと書きましたように、一定の職位・職階は具体的にどういう権限を 持っていて、自己裁量で、その会社においてどういうポジションを占めているかという ことにならざるを得ないということで、一応権限でそれを評価するという意味ですので、 A)で、業務遂行の結果に責任があって、業務の優先処理順位の決定権を有するという ことも若干入っていますので、@)とA)を峻別することはなかなか難しいので、権限 イコール一定の職位・職階を有しているということで、若干、@)とA)のミックスみ たいな形で整理が示していませんが、そういう権限を持っているという意味での職位・ 職階であるということです。  先ほどの山川先生の勤務態様については、労働時間の時間配分については本人の自由 ですので、就業については自分で決めて、とにかく決められた時間に出勤するというこ とが必要でない勤務態様を確保するということが、今後、労働者にとっては必要だとい う意味で、A)の半分については、山川先生の言われた勤務態様があるという意味で書 いてあります。 ○西川様 見当違いがあるかもしれないのですが、「4つの基準」と書いてあるのですが、 私から見るとB)については対象とすべき労働者の定義のようなものが書いてあって、 4つ目が色合いが違うかと、皆さんと同じ意見ですが、その中でも@)とA)は先ほど も事務局からもご説明はありましたが、意思決定の権限とそれに必要な知識を持ってい るということについて書いてあると思うのです。3つ目はそれを踏まえて、専門的な知 識に基づいて与えられた権限で意思決定を行った結果、つまり業績ですが、それに基づ いてその評価をされる人であると、そう理解すると@)、A)、B)はすんなりと来るの です。ただ、4つ目はそういった意味での労働者の定義ではなくて、それに必要な条件 のようなものが付いているのかというふうに考えると、かなりすっきりとすると思うの です。 ○今田様 例えば、比較的若くて、かなりバリバリ仕事をする人で、組織の中の職位は 長みたいのが付かないで、だけれども何かすごい仕事の成果をあげて、管理者から権限 を自己裁量で許されているのでしょうが、それで自分で時間も職務内容もやって、成果 もあげて、収入も得て、それで下は全部当たる。@)の職位・職階は、その条件から言 えば少し問題かなという人は入らないという感じですね。  そういう人は結構今いると聞きますよね、ハードワーカーというか、そういう若者の ハードワーカーの典型みたいな。その人は働かされて、上役から命令されているかどう か、そこは厳密にケースを見てみなくては分からないにしろ、そういう働き方は現実に あるわけです。そういう場合は、職位・職階という第1要件からでもって、この対象者 から除外されると考えていいのですよね。どうなのでしょう。 ○荒木様 そこがまさに、先ほど山川先生はスーパーエグゼンプションと言われたので すが、そういった職位になくても、非常に収入が高いと。1,500万円とか2,000万円も らっている。先ほど3つぐらい観点を挙げたのですが、その中の相関で一つが非常に高 ければ他方が多少低くてもいいと、そういうアプローチがあるのかどうかと、それも検 討すべき点ではないかと思うのです。 ○山川様 もう1つは、そういう職位をどう考えるかということと、あと企画業務型を 残すかどうかということにもかかわってきて、たぶん今田先生もおっしゃったことは、 企画業務型でその企画部門でバリバリやっている若手で、職位はそれほどないというこ とが残るとすれば、そちらで分担するようなことは可能かもしれないと思います。 ○座長 今、今田先生がおっしゃった例は、外為のリーダーとか、コンサルタントとか、 一種、これは専門業務型に入るかもしれない。山川先生がおっしゃった点は、言わば企 画業務をもう少し専門業務型に仮に整理すれば、そちらでは入るかもしれない。しかし、 別の形でやっていくと、もう1つは荒木先生がおっしゃったような収入要件みたいなも ので入るかもしれない。でも、職位とかそういうところでいってしまうと、確かに外れ てくる可能性がある。こういう少し端境にある人たちで、いろいろ具体的に整理をして いくと、ひょっとしたら残るかもしれないです。こういうものとは別のもので、しかし 若い人たちから見ると、自分は普通の働き方とは違うのではないかと。バインドをする かということになるでしょう。 ○松井審議官 今のご議論、切り口を提供するだけで中身を言いたいのですが、1番目 は、働き方について形式面でチェックするためにこの道具を使いませんかということで、 外形標準で提示したつもりです。2つ目は、実質、中身でこういうツールを使って判断 しませんかとやってみたのです。3つ目は、いずれにしても、その者に対する処遇とい う面で切ってみませんかとやりまして、これら3つまでは、今言った労働者の働き方に 着目した形式、実質、処遇というグループでこの道具を与えた。その他に健康確保とい うものが絶対にいるのではないですかと、こういう道具でやりましょうと。ですから、 この道具なり物差しでどう目盛りを使うかということは、それこそどういう者を対象に すべきかというときにこれを使っていただきたいと思うのです。  各企業分でやる場合に、ここで形式的にこういうものを満たすものだけしようという ふうに命令を出すのか、単にこういうものを使ってどのような方を選ぶか、企業で勝手 に使ってくださいと、乱暴なことを言うかと、その間でどういう処理をするかを是非議 論していただきたいというつもりで、すごく乱暴ですが、そういうふうに見ていただけ れば一応今の議論は収まっていると思うのです。 ○座長 ここら辺のところは最終報告に書くときにさらに厳密に詰めることにしまして、 大体粗々の理解は皆さんほぼお分かりになっていただけたと思いますから、それ以外の 部分でご質問、ご意見等はありますか。よろしいですか。  それでしたら、これまで何回もたたき台で議論をしてまいりました。したがいまして、 これも最初は薄かったのですが、どんどん増えてきまして、いろいろと構成も変わった りしてきたわけですが、ほぼ皆さんの基本骨格のご理解はだんだんにある方向性に集約 しつつあるのかと思います。そこで、もしほかにご質問なりご意見が特にないようでし たら、今日の会合はここらで終わりにさせていただこうと思います。  そこで次回ですが、このように議論が重ねられてまいりましたから、もうたたき台で 議論するという段階を超えて、報告書案に沿って具体的に詰めるという作業に移りたい と思っています。つきましてはその報告書の骨子案に関しては、これまで重ねてまいり ました皆さまのご議論を踏まえて私からも事務局に少し指示をさせていただきまして、 このようなことで原案を作成したいと思っています。このようなやり方で次回に備えて よろしいでしょうか。 ○水町様 今後のスケジュールとして21日に報告書案に沿ったものが出て、それについ てあとどれぐらいの回数の審議がされる予定ですか。 ○座長 その点は事務局からお願いします。 ○安藤監察官 今、先生方には予備の日程という形で1月に2回ほど時間をいただいて います。まず報告案について、21日にどれぐらいのご議論になるかというものも見なが ら、その回数は考えないといけないとは思っていますので、そのときは議論次第だとは 思っていますが、ただ、これもなかなか長くやるというわけにもいきませんので、でき る限り議論が早く収束できるように、事務局としても努力してまいりたいと思います。 ○座長 というわけですので、もうたたき台の議論をいつまでもやっているというわけ にもいきませんので、次回から報告案を詰めて議論する。その報告案の骨子は、それで は私と事務局とで相談をしながら少し考えさせていただくことにします。  そこで、各委員にはお願いしたいわけですが、これまでに言い残された点とか、ある いはその後お気づきの点がありましたら、とりわけ報告書には是非盛り込んでいただき たいという点がありましたら、できるだけ早目に私または事務局宛にお伝えをいただけ ればと思います。この点も併せてお願いしたいと思います。よろしくお願いします。そ のようなことでよろしいですか。それでは、報告書の骨子案は以上のような手順で作成 することにしまして、次回はそれに沿ってまた活発にご議論をいただければと思ってい ます。  日程について先ほど少しご説明をいただきましたが、もう少し具体的にお願いをしま す。 ○安藤監察官 次回の日程は、12月21日(水)午前10〜12時までで厚生労働省のこの 会議室専用第21会議室で開催したいと存じますので、ご参集いただきますようよろしく お願いします。 ○座長 暮れのお忙しい時期に大変申しわけございませんが、その代わり今日はこれで 終わりということで、是非、次回はみっちりということになることは確実ですので、ど うぞよろしくお願いします。本日はどうもありがとうございました。                    照会先:厚生労働省労働基準局監督課調整係                    電話 :03-5253-1111(内線5522)