05/12/07 社会保障審議会介護給付費分科会第36回議事録 社会保障審議会 第36回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成17年12月7日(水) 午後1時から4時           厚生労働省専用15会議室 2 出席委員:井形、池田、石井、井部、漆原、大森、沖藤、喜多、木下、木 村、田中(滋)、田中(雅)、対馬、永島、野中、花井、村川、 矢野、横山の各委員 3 議題  (1)介護療養型医療施設について  (2)既存のサービスの報酬体系に関する議論等の整理(案)  (3)その他 ○渡辺認知症対策推進室長より資料説明 ○野中委員より意見書提出 (木下委員)  介護療養型医療施設では、平均要介護度の高い人をみている。医療度の高い 人は医療保険の対象であり、残った人は要介護度が高く、そういう人を見てい るという事実と、手のかかる人を見ている施設に対して、何らかの評価が必要 ではないかという議論をしてほしい。  介護療養型医療施設では要介護4、5が多いが、それは費用が高いからあた かも好んで入れているような説明があったのは、非常に不愉快である。 (山本委員)  介護保険料が高騰することは避けるべきであり、本当に保険料はどれくらい 必要か十分な検討をすることが必要である。  介護費用が毎年5,000 億円から6,000 億円ほど高騰してきたのは事実であ り、これを抑制しないと医療と同じようになってしまう。 保険料の上昇を少しでも抑えていくために、介護報酬そのものが効率的かど うかを見ることが必要であると同時に、効率化を促進することが重要と思う。  保険料を上げないために介護報酬がこうあるべきということを検討してほ しい。 まず、新設するサービスの方針について、介護保険では施設サービスが大き な比率を占めており、最近は施設と在宅が五分五分になったと言われている。 療養病床については最初からこれは介護ではないので、医療の分野で療養病 床は運営すべきであると主張してきたが、中途半端な形で今日まできたと思っ ている。これからは医療の面で重点的に見るべきであると考えている。 療養病床は特養や老健に比べると、一人当たりの費用が非常に高い。必ずし もそればかりではないが、療養病床と介護保険との役割分担を明確にしていく こと、また介護療養型については廃止を含めて検討していく必要があると考え ている。 在宅サービスについて、以前から軽度者は介護から除外すべきであると主張 している。例えば、要支援者が車いすを借りているケースについては逆効果で ある。その程度であれば、毎日一定時間歩くことによって回復すると思うが、 車いすに乗るとだんだん悪くなってしまう。だから軽度者については介護から 外して、地域包括支援センターの対象の措置をしていくことが必要ではないか と思う。 自分で起き上がることができるのにもかかわらず、電動ベッドを借りたり、 ヘルパーに家政婦のような仕事をさせているという実態がある。それは本当の 介護ではないので、地域包括支援センターでマネジメントをきちんとして、そ れぞれの健康を維持し得るようなことをやっていけばいいと思う。 予防給付について、本人ができることは本人がやるという方針でなければい けないと思うが、何もかも用具に頼って生活を楽にしようという考え方は間違 いだと思う。不必要な対応は行わないようにすることを徹底した方が本人のた めになると思うし、保険料に結び付くので、できるだけ効率化を行う主張があ るものについて検討していくことが必要と思う。 地域密着型サービスについて、保険者に指導権限があるが、サービスの質を 確保する観点からも、やはり厳しい基準が必要である。 基準が甘いと自分勝手な解釈をして、少しでも引っかかれば、これでよいと いう運営になってしまい、それが保険料を引き上げていく大きな要素になって いると思うので検討をしてほしい。 グループホームについては、介護保険が施行されてからグループホームが雨 後のタケノコのようにできたことは、皆さん御承知のとおりであり、なぜグル ープホームがそんなにたくさんできるのかわからない。市町村には今まで権限 がなく、同意を求めるということになっているが、意見書を出してもその意見 書は余り役に立たなかった。グループホームも必要だからつくられたとは思う が、余りにも多過ぎるのではないか。これ以上グループホームを増設すること には、できるだけ規制を設けることが必要だと思う。これからは市町村も保険 者としての立場から規制について考えていきたい。 また小規模多機能というサービスがあるが、これがグループホームの二の舞 になりかねないぐらい急いでいる。人が一人しかないところでもやっているが、 それでも介護報酬をもらえるというのは基準が甘いからだと思う。基準をきち んと決めていないのは、こちら側の人たちの怠慢であると思うので、是非基準 は厳格に、しかも現代的につくってほしい。 これまで申し上げたことは、保険者としての強い要望なので、皆様に同意い ただくようお願いすると同時に、厚労省も十分な配慮をお願いしたい。 (野中委員) 私の住んでいる台東区では、住民に対して健康に対する調査をしていて、そ の中に人生の最期はどこで住み続けたいかという質問については、自宅という ことが大半であった。 しかし一方で台東区民に政策として何を望むかと聞けば、高齢者の福祉を充 実してほしい。その中に特別養護老人ホーム等の施設を増やしてほしいという のが、昭和62年から連続してトップとなっている。区の担当者に両方のギャ ップをどうやって埋めるのか検討してほしいと言ったが、国民にとってみれば、 病気になったときに病状が安定したから退院しなさいと言われることに関し ては、まだ家族の理由、住宅の問題等がありなかなか困難なわけで、社会的な 入院が残っている。 介護3施設の今後の在り方としては、現在入っている人たちがやみくもに追 い出されるのではなくて、その中で適切に自分の住む場所を選択できるという 方向性を出すことだと思う。 社会的な入院というのは地域の福祉が自らの財源を節約して、医療保険を使 ったというところに根本があると思う。その責任も考えずに保険料の話を出す のは遠慮願いたいし、本当に保険料の4,000 円が高いか5,000 円が高いかは、 4,000 円で何が買えて、5,000 円で何が買えるかを理解してはじめて、どちら が安いかがわかる。そのことを国民が知って初めて保険料は適切になると思う。 そのためには、もし介護が必要になったらどうなるのかをつくっていくこと が必要だし、徹底したケアマネジメントの中で、現場で施設から出て行ってく ださい、あるいは在宅で暮らすという話が実際に可能かといったら、本人の家 族に、それを適切に説明するには時間をかけてやるしかないと思う。  現場はこういうサービスしかないということを言わずに、サービスを使うと いうことは、言うべきことではないし、むしろ現場の本人にあなたのサービス は使い過ぎだと言えばいいわけで、現場のケアマネジャーはみんな苦労してい る。 そのことを理解して、やむなく介護を利用する人に介護保険とを理解してい ただきたい。やみくもに保険料を上げろといっているわけではなく、適切にど うするかということを考えて、その中にやむなく介護を受ける人のことも考え ていただきたいということを強調しておきたい。 (山本委員) 保険料が高いから、安いからといった覚えはない。保険料がどんどん上がる ことは決していいことではない。毎年5,000 億円から介護費用が上がっている ことは事実であり、そのまま上がっていいならば、保険料も上げればいいとい う言い方もまた出てくる。 公平な介護報酬を見つけ出していくことが一番大事ではないかということ で、前回に随分議論して、0度、1度はもう外していいのではないか。外すと いうのは、全く何もしないという意味ではなくて、別の面でそういう人たちの 援助をしたらいいではないかとか、あるいは療養型病床を介護がなぜ見なけれ ばいけないのか。 療養型病床は社会的要因の入院が多いから、介護で見るべきという話がある が、初めから社会的要因で入院するということはあり得ない。病院に入って治 療しているうちに、帰っても家がない、家族もいない、行き先もないという人 について、やむを得ず入院を継続している人がいることは承知しているが、そ れが介護にいくという理由にはならない。これはもっと違った援護をしていく 必要があると思う。 だから、保険料が一体どれぐらいになればいいのかを十分に議論してほしい。 保険料を抑制しろではなくて、介護費用全体の適正化が必要であると思う。前 からずっと議論して、前の皆さんはわかるだろうと思っているから、そう申し 上げたところである。 (池田委員) 二人の委員から言われたことは、どちらも正しいと思う。データを基にして 説明すると、給付が高いところが保険料も高くなるというのは当たり前のこと だが、日本で一番給付が高いのは徳島県、そして沖縄、石川、長崎、富山、青 森、熊本、福岡、広島、高知というのがベスト10である。 そこでは圧倒的に療養型病床群の割合が多い。更に老人保健施設、デイケア が張り出しているということで、医療系サービスが多いところが給付が高く保 険料が高くなる。そういう傾向は明確にデータで示されている。 療養型病床群の問題とそれを関連してみると、入っている方で医療的な措置が 必要な人は3分の1で、3分の2はどうなのかという議論があり、中医協の方 で医療区分3は医療保険、医療区分1は介護療養に持っていくということであ るが、8ページ「医師による直接医療提供頻度」で、ほとんどなしが半分、週 1回程度を入れると8割を超えるということになる。これはどう考えても45 万円の価値のあるサービスとは思えない。 そういった整理をしていけば、山本委員も野中委員もどちらも正しいことを 言われているわけで、データで整理をして、考えていけばいいのではないか。 重要なのは12ページ「具体的には、医療区分3に相当する患者は医療療養 に入院し、逆に医療区分1に相当する患者は介護療養に入院する」と書いてあ って、これをこのまま読むと、医療が必要な方は医療保険でやるというのは当 たり前の話で、医療が必要ないから介護保険で受ける話にはならない。それは 第三特養になってしまうわけで、勿論その人たちを追い出せないから、それな りの経過措置は必要であるが、医療がほとんど行われていないのに、何で医者 が3人要るのか。その辺をどう整理するのかということがある。 もう一つは将来的には今、入っている人を追い出せないということは当たり 前であるが、将来的にそれを維持していくかというと、そうはならないだろう。 そのためには、順序をもって、例えば医療付きの有料老人ホームに転換してい くプロセスを早目に出しておかないと間に合わないだろう。 老人保健施設に転換するという手法も考えられる一方で、給付高騰の原因は、 医療施設系サービスであることは間違いないが、地域格差があり、西日本が多 くて、東日本が少ないというのが一般的であるが、医療ベッド数は、地域計画 で新規参入を抑えることができるが、老人保健施設の場合は参酌標準であり、 つくられても文句を言えない状況があって、療養病床を整理していくというこ とであれば、転換先に、老健を中心にしてほしくはないし、特に地域的に老健 が余っているところは、どう調整するのか考え始めなければならないのではな いかと思う。 (大森分科会長)  資料の12ページのところの指摘で、先ほど説明があったが、11ページのイ メージ図のうち、1−1が「適正化の対象」と書いてあるが、これは報酬を下 げるという意味か。   (三浦老人保健課長) この資料については、11月30日に中医協に示された資料であり、適正化の 意味については中医協での議論がどのようなものであったのか承知していな いので、答えにくいことをお許しいただきたい。 (大森分科会長)  どう見ても適正化の対象のところが問題なので、問題意識としては明確にな っているはずと思っている。 (三浦老人保健課長) 今のところは、医療区分が設定されていない状況なので、全て同じ報酬の対 象になっているということであり、この適正化というのは、段階を付けるとい うことを意味しているのではないかと推測している。 (喜多委員)  そもそも介護型の療養型病床群を入れることについては、非常に議論があっ た。保険者として、そんな不明確なものは要らないのではないかという意見で あった。しかし、きっちり区分できると、ある方が説明して、認めてきた経過 がある。しかし、現実は非常に憂慮すべき事態になっている。 介護保険の最初の趣旨からいけば、在宅で看取りをするということからすれ ば、施設はできるだけない方が、本人にも介護を受ける人にとっても幸せだと 思う。しかし、現実には社会的入院になり、いろんな施設に入らなければなら ないという実態もあるから、それが全部要らないということでもないわけであ る。 この際医療型と介護型は明確に、早急に整理する必要があると思う。特に来 年度は診療報酬と介護報酬が同時に変わるという時期なので、整理をして何年 か経てば、それがすっきりするという形に議論を進めていく必要がある。 施設に入っている人がホテルコストとかいろいろ取られる。要支援から介護 度5まで在宅の限度額は決まっていて、その範囲内で本人がサービスを受ける が、施設に入れば、その限度額は適用されない。これは保険料を払っているほ かの人との公平公正からいけばおかしいのではないか。ホテルコストとか食費 を取るというから問題があったわけで、最初から要介護度1の人に保険から出 る費用は在宅も施設も16万5,800 円であり、それで選択ということにしてい れば、こんな議論はなかったと思う。 保険料を使っているのは全体の15%程度で、残りの85%の人はぴんぴんと されて、みんなのために保険料を払っている。みんなの費用を公正公平に使う という観点から、いろいろ制約をしていく必要があるのではないかと思ってい る。 (対馬委員) 当時私も医療保険の方から介護保険を見ていたが、当時は介護療養型病床群 の方に移行していって、おおむね17万、18万病床ぐらいはいくのではないか ということだったが、当時は11万数千病床しかいかなかった。もともと医療 から介護にいくべきだったのが、随分残っているなというのが5年前の状況で あった。当時は、手挙げ方式だったから、医療を選択するか介護を選択するか というのは、施設側、医療機関が選択できた。 先ほどADLが低くて、医療の必要度が比較的少ない方について適正化を図 ると中医協の資料にあったが、適正化の意味合いというのは委員の立場からす ると、従来はハコでもって決めていたが、それを個々の状況に応じてというこ とだから、こういったものはめり張りをつけていく、もっと率直に言えば、下 げていくという方向だと思う。 医療の方から見れば当然と思うし、またその分が介護にいくと、介護の方が 膨れていくので、医療からはみ出たのが全部介護にくるということであると、 それは問題ではあるが、物事の整理としては、当時のおのおのの役割分担、機 能分担の方から流れてきていて、今回もそういう方向に沿って動いているので、 医療の方から見れば、方向としてはこれでいいと思うが、介護の方は十分議論 するべきであるし、40歳〜65歳の方から保険料を集めて、それを納付してい るということからすると、効率化、適正化は欠かせないと考えている。 (木下委員) 医療で介護を見るのはおかしいということで、介護保険ができたと思うが、 今度は介護の費用で医療を見るのはおかしいという意見が出てくるだろうと 思っていたので、介護保険ができた当初からの問題が今、改めて明らかになっ たということで、これは制度が持っている必然性と思っている。 施設の機能の整理は必要と思っているので、今の議論の方向性は、ある意味 では理解できる。どう整理したらいいかということで、一番簡単に言えば、介 護保険3施設を1種類でいいという議論もあるし、ハード、人員基準、要介護 度等で一本化という考え方もあると思うし、今、出ているように介護療養型医 療施設は老健と特養に分けたらどうだという議論もあるが、今入っている人が どう分かれていくか、ここに出ている数字だけで議論されているが、現場、地 域あるいは施設整備状況がどうかという、そこに入っておいる人がどうかとい う議論は全くされないで、机上の数字だけで転換可能と言われているのは、不 十分のと思うので、現場の状況を詳しく調べて、本当に転換が可能かどうか議 論しないと利用者が困る。その期間も問題になるので、議論するに当たっては、 詳しい現場の調査が必要と思う。 転換先として、老健が出ていて、池田委員からは老健を増やすなという話で あるが、介護療養型医療施設も在宅支援機能を重視しているので、その面では 老健と同じ部分があると思うので、それは整理して構わないと思う。特養はど うかというと、個室ユニットケアに限定した場合は、ハードがクリアできない と思うので、その辺をどう考えるのか。 特養は社会福祉法人でやっていて、税制の問題も絡んでくるので、簡単に特 養に転換ということはできないのではないかと思うが、その辺の整理をはっき り示した上でなければ、施設側としては考えられないという現実がある。 介護療養型医療施設に平均要介護度4.2という方が入っているので、医療 必要度の高い3分の1をどけた後にどういう要介護度の人が残るかというデ ータもないと、どうしていいか現場も見当がつかないと思うので、現状の分析 が必要と思う。 3分の1が医療保険にいけばいいのではないかという話について、機能整理 ということでは3分の1は医療保険で見た方が整合性はとれているが、保険局 とどう話が進んでいるのか、そこの整合性がとれていればそれでいいと思って いるし、そうなったときに医療区分2をどうするかという話も医療保険の方で 議論された上でなければ、どう施設側が動くか、利用される方がどうしたらい いかという判断が難しいので、全体の整理をした上で、方向性を示さないとい けないと思う。 老健の機能が在宅支援に特化されると、介護療養型医療施設から老健に移っ た場合、長期に入られている方をどうするかという機能の先が見えないと、非 常に不安があるので、それぞれの施設の将来像は、はっきり示すべきである。 (田中(滋)委員) 介護療養病床だけの病院は余り多くないと聞いており、ほとんどは医療病床 や一般病床と併設されているはずなので、ここでは病院として地域の医療ニー ズを満たす方法は、病床を提供するほかにもあることも忘れてはいけないと思 う。在宅生活に必要な医療系のケアを提供する。あるいは在宅ターミナルケア を支援するなどは、病院でないと難しく、実際に老健や特養ではそうできるこ とではないと思う。 もし病院の質が本当に高いならば、現在介護療養病床を持つ病院も専門性の 高い従事者や機械器具を活用して、地域を支援することができる。医療系のケ ア、在宅ターミナルケアなどを支援することができる病院が地域で活躍してい ただきたい。 一方、ついの住みかとしての収容サービスは、医療区分が低くてついの住み かとしての収容サービスだけであれば、これは病院機能とは違うと言わざるを 得ない。だから病院が要らないのではなくて、病院は地域を支援することに意 味がある。言わば資源を集中する、活用する、そういう視点から役割を見直す ことが大切ではないかと思う。 (井形分科会長代理) 介護保険導入時、社会的入院を解消するのが大きな目的であった。 当時まだ福祉施設が充足していなかったし、介護保険適用の療養型病床をつ くるのには、19万床が移ってくれるといいなという雰囲気であったが、医療機 関の方で11万〜13万ぐらいにとどまった。 今福祉施設はかなり充足しているが、現実に医療保険適用と介護保険適用と、 患者の質がほぼ同じで、介護、医療を余り必要がない人も医療保険関係に入っ ている。当然理論的には医療を余りやっていない人は介護保険に移るべきで、 医療行為が多い人は医療型の介護療養病床へ移るべきだと思う。介護保険の方 が、医療が必要ない人が主に集まってくれば、特にほかの福祉施設と特化する 必要がなくなるのではないかと思う。 当時の流れからいけば、特に介護保険にするために規制を随分緩和している という意味からも、今見直すことが必要ではないかと思う。 ○ 渡辺認知症対策推進室長より資料2に沿って説明 (休 憩) (石井委員) 資料2の7ページで、前回「医師・歯科医師による居宅療養管理指導」での サービス担当者会議参加は義務づけではなく、「減算を行うなど」と取り入れ たのは評価している。 「サービス担当者会議への参加等に」というところが、電話、ファックス、 あるいは文書等で参加が認められるのかどうか明確になっていないので教え てほしい。 「(3)歯科衛生士等による居宅療養管理指導」は、医療保険等の整合性と いうところで、医療保険の方が既に初回加算が廃止になっているので、制度上 は致し方ないと思っていたが、現場からは特に初回時は管理の実践のためには 重要だと苦情が出ているから、初回加算は継続が望ましいという意見が現場の 歯科衛生士、歯科医師から出ていた。 9ページ「栄養改善、口腔機能の向上、若年認知症への対応」について、要 介護者に対して通所事業所において口腔機能向上の実施を加算として評価す るのはありがたいと思うが、実際にはどの職種がやるのか教えてほしい。 要介護者の口腔機能の低下については慎重に、安全上の配慮が必要と思うが、 これを通所事業所の現行の人員でやるのか。専門職である歯科衛生士の配置は 低率なので、どの職種を想定しているのか教えてほしい。 「医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ在宅中重度者等への対応」の「協力医 療機関との連携体制」について、通所施設には、歯科医療関係は全く義務づけ られていないので、サービスを安全に提供するためにも、協力歯科医療機関が 定められるべきと思っている。 17ページ「サービスの質の向上」について、特に感染症予防の観点で、現行 の健康管理ではまだ不足しているのではないか。特養、老健に関して協力歯科 医療機関は義務規定になっていないので、介護保険3施設に対して協力歯科医 療機関を是非置くようにお願いしたい。 (三浦老人保健課長) 居宅療養管理指導の情報提供について「会議への参加や文書による情報提供 など適切な対応」は電話、ファックスでよいかという質問であるが、電話、フ ァックスであれば、現在でも多分行われていると思うが、更に質を高めていく ための議論を踏まえたものと考えているので、直ちに電話がだめとかこの場で 申し上げるつもりはないが、居宅療養管理指導の内容が向上する観点から条件 設定が必要なのではないかと考えている。 通所系サービスで口腔機能の向上はだれが行うのかということについて、軽 度者に対しての口腔機能の向上では、歯科衛生士あるいはSTが従事すること を想定しているので、今の体制に追加的な人員を用意して対応するのがふさわ しいと考えている。 (野中委員) 居宅療養管理指導の件は、ケアマネジャーから参加を求められた場合しかで きないが、参加を求められるとかはケアマネジャーから言ってこない現状もあ る。ケアプラン作成に対して情報を提供して、サービス担当者会議にも参加す ることが定められれば理解できるが、これではケアマネジャーが参加を要請し なかったら、情報提供は算定できないので、もう少し検討してほしい。 (花井委員)  訪問介護は将来的には機能別再編を視野に入れてということであるが、来年 4月の改定については、身体と生活という区分を現状のまま残す方向でお願い したい。 4ページに、労働法規の遵守とか社会保険の加入というのは入ったが、職員 の健康診断入れてもらえないだろうか。訪問介護のヘルパーにも感染症の問題 があり、その対策として健康診断が非常に重要なので検討してほしい。 「登録ヘルパーとの利用者情報共有など」については、国会でも登録ヘルパ ーと同時に、直行直帰型の問題が指摘されていたので、直行直帰という働き方 を改善する方策を検討課題として記載してほしい。 通所系サービスについて、浴室が必置になっていない。介護保険が施行され て5年以上経過したが、まだ浴室のない通所事業所がある。質の高い通所とい うことを検討する必要があるのではないかと思う。 特定施設について「夜間を含む常時1人以上の体制が確保される範囲で兼務 可とする」とあるが、これは介護職員が常時一人配置されている体制にすべき である。 介護保険施設について「介護職員の資質の向上、雇用環境の改善が必要であ る」の中に、働く人の健康診断ということを含めてほしい。 (大森分科会長) 今の健康管理というのは、一般的にどんな仕事でもやることではないのか。 どうしてここにだけ特段に入れなければいけないのか。 (花井委員) 安全衛生法で決まっているし、交代労働のところは年2回と義務づけられて いるが、私どもの行った調査では、健康診断をやっていないところが3割ぐら いあるので、もう一度確認という意味で出してほしいという意味合いである。 (漆原委員) 今回の介護制度改定に関しての議論では、介護予防とかリハビリテーション ということが言われていたが、お金の話になってくると少なくなった気がして いる。 施設の将来像を踏まえた改定の基本方針について、リハビリテーション重視 という部分は貫いてほしいと考えている。 特に、介護老人保健施設が在宅復帰あるいはリハビリテーションを従来より も強化すべきということは理解しているが、リハビリテーション強化加算につ いては、疾病の発症から流れてくる医療でのリハビリテーションの流れがあり、 ここでは回復期リハビリテーションなどの施設が役割を担うようになってき ているが、介護保険の分野では、在宅支援あるいは在宅復帰という観点から考 えても、在宅生活を送っている方の生活機能が段階的に低下していくという説 明があったと思う。閉じこもり、転倒、抑うつ状態とか、いろんな状態がある と思うが、今回短期集中リハビリテーションを評価する視点が出たのはありが たいと思っている。 より効果的な結果を出そうとするには、介護予防の観点から見ても、高齢者 の生活機能が一定以下に低下した場合には、短期間でも施設に入所して集中的 にリハビリテーションを行う仕組みができればいいと考えている。毎日一定以 上のリハビリテーションを繰り返すということは、非常に有効であるという結 果がリハビリテーションの報告書等にも書いているので、もう少し結果の出る ような体制をお願いしたい。 認知症も重点施策であるが、認知症ケアは、10年、20年前に比べればどこ でも認知症の方が生活できる状況になってきていると思うが、議論としては、 ケアの問題、なじみの人たちのケア、リロケーションダメージとか、ケアの観 点では言われることが多いが、認知症に対して予防を強化するとか、進行を防 ぐといった取組みが、少しずつエビデンスが出ていると聞いている。私たちの 協会で取り組んでみたものについても、進行を予防したり、安定したケースが あるので、認知症のリハビリテーションというか、そういった取組みについて も仕組みの中に創設してほしい。 同じ介護保険施設のターミナルケアについて、特別養護老人ホームに加えら れたことは1つ前進であるが、ターミナルケアの問題については、施設の機能 ということから考えれば、3施設共通の課題として整理してほしい。 14ページに「ユニット型個室等と多床室との報酬設計のバランス」の是正と あり、「多床室の報酬を下げる方向で考えるべきとの意見があった」と明示し てあるが、このときの論点がどういう根拠とどういうデータで示されたのか、 説明をお願いしたい。 (三浦老人保健課長) 前回の議論で、矢野委員からそのような指摘があったと理解していて、その 部分を記載している。 (矢野委員) ただいまの話は考え方の問題であって、どちらに合わせるかということであ る。今のようなやり方が公平性を保てるのかどうかを考えて意見したものであ る。 資料2の3ページから4ページにかけて、訪問介護についていろいろな考え 方が示されているが、体制整備に対して行うのではなく、サービスの内容ある いは質の向上に伴う評価が基にあるべきである。 例えば、サービス提供責任者として介護福祉士や、1級ヘルパーを配置した り、ヘルパーの研修体制を確保する等これ自体は結構であるが、その結果どの ようなサービスの質の向上が図られたかという視点をもつ必要がある。介護サ ービスのアウトカムの収集、蓄積、分析を行うことによって、利用者やその家 族が適切に事業所を選択できるというメリットがあると思う。 居宅療養管理指導における歯科衛生士についても、管理栄養士の場合と同様 に、家族やヘルパーなどへの情報提供あるいは助言などを実施するということ が必要なのではないか。 通所系サービスで、スケールメリットに着目して、一定規模の施設について 基本部分の逓減制を導入するという考え方は、これでいいと思うが、事業者の 努力によって生まれたサービスの質というものに着目して評価するには、加算 もあれば、減算もあるという視点が必要ではないかと思う。 (漆原委員) 多床室の報酬を下げるという意見について、公平性の観点、あるいは報酬を 下げる方向というのは、1つの考え方として理解できるが、居室環境に関して は、ある程度自己負担になったから、介護のフィーについて介護報酬が支払う ということであるならば、多床室を下げるという論点だけが取り上げられるの はおかしいと思う。 (石井委員) 矢野委員の居宅療養管理指導の意見について、現実には歯科衛生士がいて居 宅療養管理指導をする場合は、家族や介護者あるいはヘルパーに対して、それ ぞれが口腔ケアをやって、それに加えて専門家の口腔ケアがあるから、助言や 情報提供を行っているという実態を知ってほしいと思う。 (横山委員) 介護保険施設の10月施行に関連する課題への対応で、介護報酬は施設体系 の相対的な比較で決定されるべきものではないと思う。介護サービスの内容、 あるいは体制、利用者の満足度といったもので決定されるべきものだと思う。 一方の介護報酬を引き上げるから他方を引き下げるという手法には論理的な 考え方はまるでないのではないかと思う。 サービスの内容や体制を評価する適正な介護報酬水準というものの設定が あるべきで、このままではいつまでたっても利益率の議論に終始することにな るのではないかと思う。 「食の楽しさ、おいしさを考慮する観点から、基準費用額の在り方について 検討すべきであるとの意見があった」について、食費の実態調査を見るとわか るように、生活を重視している特養の食費が4万5,000 円、あと老健、療養型 と5,000 円ずつぐらい調理費と材料費等が下がっている。一律これが4万 2,000 円ということになっているが、生活重視型の施設として特養は、いかに 経口で摂取してもらうことを続けていくかということに腐心しており、それが 一律の評価でいいのかと考えている。 将来像について、先ほども議論があったように、居住系サービスとの関係を 含めて十分な時間をとって議論していく必要があるのではないかと思う。 17ページのサービスの質やプロセスやアウトカムの積極的な評価は、新たな 体制や仕組み、あるいは事務的な帳票の作成といった中間経費が増大する懸念 もあるので、その簡素化をどうするかが問題だと思う。 平均在所期間や在宅復帰率を画一的に評価することは、そもそも実績の評価 だけでは言い尽くせないさまざまなファクターがあるので、3施設の機能を整 理して、3施設の特性を考慮した総合的な評価が必要ではいなかと思う。 (喜多委員) 3ページ「(2)人材の『資質向上』と『責任体制』の確保」で、「『介護福 祉士』とすることを基本としつつ」とあり、3級ヘルパーについて3年後に廃 止するという考え方があるが、これは家族介護を認めるかどうかという議論が あって、3級ヘルパーをしばらく認めてきた経過があるから、いつかはなくな るかもしれないが、今、私の市でも市民の中で3級ヘルパーの講習をやってい るが、受講者は減っていない。それは自分の家族を見るという1つの勉強のた めにやっているということもあるから、これを廃止していいのかという問題が ある。 今、市長会の中でも、ある特定の市がボランティアとして介護されたところ に、介護保険でお礼を出したらどうかという意見があるが、3級ヘルパーを制 度化してローコストで在宅介護が見守れる制度をつくる必要があるのではな いか。 その次に、介護福祉士または1級ヘルパーが責任者として適当とあるが、資 格を持っているだけで、その人が立派な人とはならないから、資格を取ると同 時に、しっかりと研修を積んで、信念を持ってやっていただく必要があると思 っている。 加算については御褒美で加算ばかりするのではなく、悪いところは減算する 方法もあるのではないか。優秀な人を配置するのが当たり前で、していなけれ ば減算した方がいいのではないか、という考え方もある。 5ページ「(2)在宅ターミナルケアへの対応」については、医療と介護の 在り方について、基本的に議論をもう少しした上で考えるべきではないか。 末期がんの患者についても医療と介護をどうするかという問題に係ってく るのではないかと思っている。 9ページ「医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ在宅中重度等への対応」とい うが、これらも整理すれば、考え方は少し変わるのではないかと思っている。 11ページ「IV特定施設入居者生活介護」について、「高齢者向けの賃貸住宅 まで範囲を拡大することが考えられる」とあるが、これは今までほかのものも 認めていれば考えられるが、都道府県知事に登録されて、保険者である市町村 長が知らない間にできているが、管轄するところが違って、うまくリンクして いくのか疑問に思っている。 12ページについて、前半はいろんな新たな類型としてずっと書いてあるが、 介護保険が果たすべき役割ではないと思っている。こんなことを全部介護保険 で見ていくということになれば、お金が幾らあっても足らない。このことはそ の施設を運営する者がやるべきことで、これを介護保険に入れることは疑問で ある。 18ページの特養で「実際にターミナルケアを行った場合に、これを評価する ことが考えられる」とあるが、特別養護老人ホームがついの住みかとして入所 者にとって自宅であるわけなので、そこで最期をみとるのは、自宅にいて医者 に診てもらうことと何ら変わらないと思う。特養に医者が往診に来れば、それ は医療保険でみるべきではないか。 医療と介護について整理はする必要があると思う。介護保険と医療保険を分 けてしまったからややこしい話になっているので、本当は1枚の保険証でいけ れば、一番わかりやすいのではないかと思っている。 (古都振興課長) 高齢者専用賃貸住宅は、一定の要件を整えたものについて、都道府県に登録 されるが、介護保険サービスを適用する場合は、特定施設として指定を別にす る必要がある。また、市町村から意見をいただくということになってい る。 (喜多委員) 意見を言っても、都道府県がそのとおりにしてくれるとは限らないから、い つの間にか増えてしまって、それは介護保険からお金を出さなければならない ので困る。 (古都振興課長) 施設と在宅の中間の住まいを用意するという形があるので、そこは都道府県 がその地域の介護保険事業計画とか全体を見ながら、適切に判断していただき たいと思う。 (田中(雅)委員) 「1.訪問介護」の「(1)報酬体系について」で、現状のホームヘルスサ ービスは、時間単位で行われていることによって、結果としては自立支援につ ながっていない。サービス自体も漫然と提供されることが多い。利用者の実際 の暮らしを考えれば、生活援助と身体介護は一体的になっているので、パッケ ージ化について意見したところである。先の事務局の答弁で、報酬体系の機能 別再編、包括型の在り方については、今、研究中のため今回の改正に間に合わ ないということであった。 しかしながら、生活援助については、月単位の定額化という方向で考えてほ しい。次期介護報酬改正までには、必ずこのことを見直すということを約束し てほしい。 質の高い事業所を評価するという観点については、高い評価をしているが 「介護福祉士の一定割合以上の配置又はヘルパー研修の確保」の中の「又は」 という表記について説明してほしい。ヘルパー研修の確保については、介護サ ービス従事者の研修体系の在り方に関する研究会で検討している、ヘルパー2 級講習会の修了者が介護職員の基礎研修へ移行するという措置をとっている 事業所という意味なのか教えてほしい。 17ページ「サービスの質の向上」で、看護師の訪問介護と同様、介護福祉士 の一定割合以上の配置ということについて意見があったということだが、提供 するサービスに対する責任、サービスの質の向上を確保するためには、専門職 の一定以上の配置を実現するようお願いしたい。 あわせて従来型施設で小規模単位のケアをしている施設についても評価す べきではないかという意見についても実現をお願いしたい。 (大森分科会長) 一番最初ところは、見直すということをどうするのか。 (田中(雅)委員) 基本的には一本化して、機能別、行為別の再編を十分議論して実現してほし いと思う。 しかし、現実的にさまざまな意見があり、また手法について確立していない というのも現実の問題なので、生活援助をどう取り扱うかについては、これは 介護予防訪問介護と同じような月単位の定額化が考えられるのではないかと 思う。 (対馬委員) 医療ニーズと介護ニーズの連携に関する個別具体的な話として、居宅療養管 理指導費については、医師等が情報提供となっているが、例えば診療所の医師 が寝たきり老人の在宅に行くと、寝たきり老人在宅総合診療料として医療保険 から2万円以上出る。介護保険からは居宅療養管理指導IIとして2,900円出る。 同一サービスというとちょっと言い過ぎかもしれないが、類似した一連の行為 なのに、片方は医療保険の方に2万円以上、介護保険の方に2,900円ほど請求 がいく。介護保険と医療保険の連携と言われるが、現場で類似する関連行為に 対して医療保険と介護保険を両方請求することはないようにしてほしいと思 う。分け方は難しいかもしれないが、今後検討する場合は、そういったことに 留意してほしいと思う。 (井部委員) 16ページ「介護保険施設の将来像とこれを踏まえた改定の基本方向」につい て、介護保険においては、生活重視型と在宅復帰・在宅支援重視型の施設を中 心にするという両論併記になっているが、介護保険施設に入っている方は、医 療とは無関係ではない高齢者の方が一般的だから、その切り分けをどうするか というのは、大きな懸案事項だと思う。 生活重視型の施設のところに「個別の医療ニーズに対しては原則として外部 サービスを活用」となっていて、外部サービスの活用に対しては肯定的である が、外部サービスを活用することによって、特別養護老人ホームの看護職員基 準をこのままにするということはないようにしてほしいと思う。中重度、ター ミナルケアに関して、介護保険施設で対応するならば、一定の人員配置を確保 しなければならないと思う。 (沖藤委員) ホームヘルパーの雇用環境・労働条件の改善とあって、特に都市部での雇用 の確保が出ていて、これは非常に重要な問題で、これから都市型高齢者が増え、 高齢者世帯、単身世帯が増える中で、都市部の雇用について、何らかの方向を 出しておく必要があると思う。 同じことは、施設の職員の人件費にも関係するのではないかと考えるがどう か。 ターミナルケアという言葉をどう考えたらいいのか。訪問看護師等による在 宅でのターミナルケアと、特別養護老人ホームでのターミナルケアとやはり違 いがあると思う。人間の幸福感にとって、どういうターミナルケアが望ましい という考えの下に、ターミナルケアという言葉が使われているのか教えてほし い。 (井部委員)  看護職からすると、住み慣れたベッドで、顔なじみの仲間に囲まれて、安ら かな死を迎えることができるように身体的苦痛、あるいは精神的苦痛を軽減す ることだと思う。 (野中委員) 医療行為が中心ではなくて、その人が最期の期間をどうやって自分らしく生 きるかということを尊重することが、求められているケアだと思う。人生が終 わる最期であっても、その人らしくということが求められている。現在の医療 従事者だけではなくて、さまざまな人たちがそこでお世話をする。井部委員が 言われたように、住み慣れた家、あるいは住み慣れたベッドとか、そういうと ころも大事ということをもう一回考えていこうということだろうと思う。 必要な医療が全くなくなってはいけないとも考えている。その人らしさをど う尊重しようかということが、介護の中でのターミナルケアとして求められて いると判断している。 (沖藤委員) 一般に日本人というのは、とても医療好きなと思う。濃厚治療は嫌だと多く の人が言いながら、いざとなれば濃厚治療を受けたいと言う。介護保険を今回 の形で進めていくに当たっては、国民に対して、本当に人間の幸福感において は、こういうターミナルケアが必要で、それは医療費の抑制にもつながるとい う告知がもっと必要だと思う。 ターミナルケアが、ただ単に医療費の抑制だけで大事だと言われるのは、何 か気持ちの上で違うという思いがあるから、尋ねたところである。 (野中委員) 沖藤委員が言われたことには社会的入院が大きなウェートを占めている。タ ーミナルケアは、在宅で亡くなる患者に、そういうときどうするかという話を、 長い付き合いの中で話していくという作業が、大事であるが、その作業が足り ないため、最期は病院の方がいいとなってしまう。 国民のコンセンサスを得る仕組みが大事だと思うし、それ自身もケアマネジ メントの一環として大きな部分を占めていると認識している。 (井形分科会長代理) 福祉施設で最期を迎える人は、数字から言えば相当多くなっていて、特に特 養などは30%近くになっているが、いざターミナルになったときに、一部のと ころでは、ターミナルは施設の責任ではないからと医療機関へ送るケースもあ る。 現実から言えば、福祉施設にターミナルの機能を持っていなければいけない ということを痛切に感じているが、ターミナルのときに加算するといったら、 医者も判断が難しい。明日亡くなるのではないかと言って、半年ぐらいもつこ ともあるので、今回のよう亡くなった時にさかのぼって計算というのは一歩前 進だと思う。なかなか判断が難しいが、福祉施設もターミナルの機能を持つこ とを明示する意味で、非常に重要なことだと思う。 (永島委員) 若年への認知症の対応を挙げたのは、本当に足りないところなのでこれは大 変ありがたいと思っている。 若年の人というのは、高齢の人よりもっと元気であるし、体もまだ活発であ るから、普通のデイサービスのプログラムが受け入れにくいということで、例 えば働くような感じのプログラム等もイメージしているところであるが、これ は高齢の人でも、子どもじみたことをやらされるのが嫌だから、デイサービス に行くのが嫌だというのは問題になっている。要するにサービスの質というこ とに尽きるのではないかと思っている。 この改定では認知症の対策が、そもそも介護保険部会からも大事な1つの柱 だということになっていたはずだが、この分科会になってから認知症という言 葉がほとんど出てきていない。これはもう普遍的なもので、認知症のケアは全 部ここでカバーしているととらえていいのか、それにしては認知症の人には当 てはまらないと感じるところが多々ある。 例えば、介護福祉士とか介護支援専門員等の研修の質の評価とあるが、特に 認知症の研修を受講した人へ評価すると明記するとか、全体に認知症への対応 をもっと濃くしてほしいと思っている。 (村川委員) 今回の制度改革、報酬体系の中で、認知症の事柄について明確な位置づけを していくことは重要なので、新規サービスとの関連で明確な方向を求めていく べきである。 今日の発言の中で、山本委員、喜多委員からあった介護報酬という個別的な 論点を深めていくことは大事であるが、地域におけるシステム、介護保険財政 の成り立ちという全体的な観点から結論を求めるべきではないかと考えてい る。 医療保険と介護保険の役割分担関係をどう見るかという、医療保険改革が進 む中で療養病床のいかんによっては介護保険サイドに移行してくるというこ とも考えられるが、参考資料の「新しい医療計画の考え方」の中で、医療と在 宅ケア、在宅療養あるいは介護保険施設との連携についても明確な方向づけが あるから、制度設計全体の大局的な判断という観点もあってよいと思っている。 特定施設の関係で、報酬の位置づけ等、基本的な整理については同意できる が、有料老人ホームについては、中長期的に考えると支出の増加につながるこ とは明らかである。有料老人ホームのシステム自体が市場ベースということで あるが、そうしたところをどこまで介護保険の側からとらえていくのか。介護 保険3施設とも異なる位置付けにあることから、そのデータを精査した上で、 特定施設の報酬については在宅の給付とのバランスということで、高齢者関連 住宅あるいは養護老人ホームなど、幅広くこの制度を運用することには賛成で あるが、特定施設については、準施設的な位置づけになりかねないので注意深 く報酬を運用すべきではないかと思っている。 訪問介護については、介護福祉士等を軸とした整理で進めるべきだと思って いるが、3級ヘルパーについては、中長期で考えた場合に、介護に関わる市民 の参加、インフォーマルサービスということからも単純に廃止するべきではな い。長期的な観点に立って、インフォーマルサービスとの連携も視野に入れる べきである。 (木村委員) 野中委員から施設と在宅の徹底したケアマネジメントが、まだまだ足りない のではないかという話があった。今回、特別養護老人ホームの計画的定期利用 とか、個別ケアマネジメントをきちんと進めるような形になったときに、今の 介護保険3施設において、入所者100 人当たり介護支援専門員1人という人員 基準で個別のケアマネジメントができるのか危惧している。 入所、入院している方が在宅に復帰するつなぎのところをきちんと押さえる 意味でも、施設の介護支援専門員の人員基準、施設の中での役割がもっと明確 になるような検討を進めないと、在宅復帰希望入所者が施設の中にいつまでも いなければいけない。こうした部分を前に進めるための議論、検討をしてほし いと思う。 (木下委員) 多床室の報酬を下げる方向という事については、漆原委員と同じ意見で、介 護の費用はきちんと計算すべきということで、反対の意見もあったことを加え ておいてほしい。 介護報酬の設定に当たっては、質の高いサービスを評価するという方向を明 らかにしてほしい。 経営状況調査結果については、非常に少ないサンプル数であるので、この数 字をもって評価しないようにしてほしい。 介護療養型医療施設と老人保健施設の多くは税金を払っている施設で、特別 養護老人ホームは税金を払っていないということを報酬設定に当たっては考 慮しておいてほしい。 (池田委員) まず第一は訪問介護の話で、先ほどの田中委員の話は半分わからない部分が あって、それはなぜかというと、生活援助と身体介護の一本化ではなく、目指 すところは、機能別再編によるパッケージであって、そのパッケージによって 値段は全部違うはずなので、生活援助と身体介護の一本化と、機能別再編を同 列で論じられると誤解があるのではないかということで、きちんと整理した方 がいいのではないか。 機能別再編というものを目標にして、それに向けてきちんと段取りをとらな ければいけないということについては、田中委員の意見と全く同じである。 前は、食事に関する短時間介護が入っていたが落ちている。1時間2,080円 の家事代行サービスで調理するよりも、1食400 円の自己負担で、それをもっ ていって短時間で食事の準備の介助をする方がはるかに合理的なので、もし問 題がほかにないのであれば、それをもう一回ここで起こすことはできないだろ うか。 第2点は、「10月施行に関連する課題への対応」について、補足給付の問題 がある。主に老健施設を中心にして、住所を移転して世帯分離が始まっていて、 その結果、補足給付が急増している。せっかくコストを抑制したものが、結局 は補足給付ですべて失ってしまうという、危機感を持っている。 厚生労働省としては5%給付が減るということであったが、補足給付は幾ら ぐらいかかるという試算を持っているのか教えてほしい。 ちなみに、高額介護サービス費は、平成15年度の数字で給付の1%なので、 高額介護サービス費は、余り必要とされていない。払えることははっきりして いる。 補足給付は月額22万円以下の年金しか持っていない人は全て対象になり、 月額22万円の年金を単身で持っている人はほとんどいない。確かにサラリー マンの厚生年金は標準22、23万円であるが、それは配偶者の老齢基礎年金を 入れているから、一人当たりにすれば15万円ぐらいになる。 更に、1億円の預貯金を持っていても、山を持っていても、資産は全く考慮 されない。遺族年金についても非課税のため対象にはならない。これはモラル ハザードの温床になるので、本当は申告制にして本人、家族に責任を持たせな いと大きな傷になるのではないか。実態を把握して、何らかの対応をとること が必要ではないか。 3点目は、介護保険施設の将来像ということで、医療保険と介護保険の機能 分担という観点が明確にされているということは高く評価している。 ただ、療養型病床群を老人保健施設にしてどうするのかということを言って 先ほど木下委員からも反論されたが、一般的に療養型病床群が老人保健施設に 転換することに反対しているわけではなく、地域性を考えてほしいということ である。 例えば北海道の鶴居村を始めとして、7つの保険者が保険料5,000 円を超え ているが、そこの給付分析をすると、例えば鶴居村は老人保健施設が全国平均 の3.6倍、療養型病床群に至っては、4.8倍ある。ここで療養型病床群が老人 保健施設に転換したら、老人保健施設は全国平均の8倍になるから、地域性を 考えないと特定の地域に集中してしまう。 確かに、療養型病床群を老人保健施設に転換すれば、介護報酬は1か月11 万円下がるが、ただ名前が変わって、介護報酬が下がっただけだった、という ことは避けてほしい。 また、認知症の問題が介護報酬の中で取り上げ方が低いので、その原因をき ちんと探る必要がある。 日本の認知症ケアは、国際的に秀でた部分がいっぱいあるが、点在化してい て、標準的な手法として開発されていないから、介護報酬がつけにくい。 もう一つは、研修の実態を見ると、あんな研修を受けてどうなるのかという 研修が多過ぎる。そんな研修にとても介護報酬はつけられないというのが実感 である。 認知症ケアというのは5年間やってきて、ようやくいろんなことが見えてき て、これからどうするかというのは、ケアサービスの現場の問題であり、そこ にもう一回戻すということと、その研修体制を考えて、そこから再構築しない となかなか難しいと思う。 (三浦老人保健課長) 10月の実績が2〜3か月ぐらいで出てくるので、その後であればお示しでき ると考えている。 (池田委員)  5%下がったという以上は、補足給付はどれだけだという試算はあるである。 その試算の見込み間違いが後ではっきりするとまずいので、そこのところを教 えてほしいと思う。   (山崎総務課長) 今、データは持っていないので、また用意したいと思うが、前回同じような 指摘があり、問題意識として持っているところである。ただ、今回の施設給付 の見直しというのは、在宅との負担の均衡が1つのポイントであるとともに、 実際に負担できる方については負担してもらうが、一方で負担できない方につ いては、ある程度の負担の上限を考えていく必要がある。問題は、負担能力の 把握の問題で、これをどう把握するかという事務的な問題を考えて、今の世帯 非課税という仕組み自体も、それしかなかったということで導入している。こ れは保険料も同じ仕組みであって、政府全体でそういった仕組みをどうするか、 きちんとやっていく必要があると思っている。 (古都振興課長) 池田委員が言われた食事の短時間サービスの話は、今日の意見も踏まえて整 理していきたいと思う。 (花井委員) 介護予防訪問介護のところで、身体介護と生活援助の区分を一本化するとい うのが、既に打ち出されているが、現場からモラルハザードが起きるのではな いかという懸念が出されているので、介護給付費請求明細書にサービスの内容 を記載する方法を、今後検討してほしい。 通院等乗降介助について、要介護1の多くが要支援2になることが予定され るが、そこについて報酬上の評価は行わないとすることが考えられるという点 については再考をお願いしたい。 今回の改定では残す方向で考えてほしいと思う。 (田中(滋)委員) ケアマネジメント関連で、地域包括支援センターが出てきているが、地域包 括支援センターは、今度の介護保険改革の目玉と思っているので、来年4月に 拙速で予防給付の管理だけ行うところがたくさんできても、特にうれしくはな い。 地域包括支援センターについては、もう今から準備が始まるようだが、機能 をきちんと果たしているかどうかのモニターを見える形にして、よいものにし ていく努力をお願いしたい。 (大森分科会長) 今の点は都道府県の担当者の意識にもよるが、市町村のうち6〜7割ぐらい が4月に間に合わなければいけないと考えているみたいなので、田中(滋)委 員の指摘を県から市町村にもきちんと伝えてもらいたいと思う。そうしないと、 拙速になる可能性が十分出てきているので、必ずしも4月でなくてもいいし、 条件が整うことが大事だということを、国は都道府県に通知して、市町村に伝 えるということは大事なことになっているのではないかと考えている。 (山崎総務課長) 地域包括支援センターはいろんな役割を期待されているが、これまで介護予 防一辺倒で、介護予防のためということを強調し過ぎたというか、受け止めら れ過ぎている面がある。介護予防も大事であるが、基本的には本当に包括的、 継続的マネジメントの関係もあって、今ちょうどマニュアルもつくっていて、 その点を強調しようということにしている。 1つの市町村がやると隣の市町村も置かなければならないという気持ちに なると思う。一方で、2年間の猶予措置を置いたのは、体制をつくってこれを 今後のかなめにしたいという気持ちがあるので、この点は全国会議等で周知徹 底を図っていきたい。 (矢野委員) 認知症高齢者グループホームについて、空き室利用の考え方が提案されてい るのは結構なことだが、同様の考え方を地域密着型特定施設入居者生活介護に も導入したらいいのではないかと考えている。 (喜多委員) 地域包括支援センターについて市町村の6〜7割と言われているが、前々回 に従前の居宅支援センターと、今後の介護予防に伴う地域包括支援センターの 違いを示してほしいと言ったが、まだ出されていない。 今、市町村は混乱していると思う。これまで様々なところから出ている部分 が一環していない。やはり今までとの違いはどうだということを、しっかりと 認識するべきである。 (大森分科会長) これまでいろいろ議論をしてきたが、そろそろ分科会としての審議報告のと りまとめに入らなければいけないので、次回は事務局に対して、たたき台を準 備するよう指示をしたい。その上で議論いただくという進め方にさせていただ いてよろしいか。 (「異議なし」と声あり)  それでは、事務局の方でたたき台の準備に入っていただくこととする。 ○ 大森分科会長より閉会の宣言 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)