05/12/07 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成１７年１２月７日議事録


　０５／１２／７　中央社会保険医療協議会
　　　　　　　　　第７５診療報酬基本問題小委員会議事録　

(1)日時　　平成１７年１２月７日（水）１０：５４～１２：１０　
(2)場所　　第一ホテル東京「ラ・ローズII」
(3)出席者　土田武史委員長　遠藤久夫委員　室谷千英委員　小林麻理委員
　　　　　 対馬忠明委員　小島茂委員 　宗岡広太郎委員　大内教正委員
　　　　　 松浦稔明委員（代理　矢野）　
           松原謙二委員　青木重孝委員　石井暎禧委員　
           黒﨑紀正委員　山本信夫委員　
           岡谷恵子専門委員　白石小百合専門委員
　　　　　 ＜事務局＞
　　　　　 麦谷医療課長　原医政局総務課長　福田企画官　他
(4)議題　　○　医療提供体制の改革に係る診療報酬での取り扱いについて
(5)議事内容
　
○土田小委員長
　ただいまより、第７５回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催
いたします。
　まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、松浦委員が御欠席であ
り、代理として矢野さんがお見えになっております。
　なお、保険局長及び宮島審議官は、公務のため欠席させていただく旨の連絡を受け
ております。
　それでは、議事に入らせていただきます。
　「医療提供体制の改革に係る診療報酬での取扱い」につきまして、議題としたいと
思います。
　事務局より資料が提出されておりますので、説明を願います。
　なお、この中には多くの項目が含まれておりますので、最初に一括して説明を受け
まして、その後、項目ごとに議論を進めていくという形にしたいと思います。
　それでは事務局、お願いいたします。

○事務局（麦谷医療課長）
　今土田委員長が御指示されましたように、５つの項目がございますので、その５つ
を一括して御説明を申し上げます。資料は、１つの項目につき１つというふうにつく
ってあります。
　まず、全体の絵でございますが、中医協診－１－１という資料をごらんください。
「医療提供体制の改革に係る診療報酬での取扱いについて」ということで、５つの項
目をここに提案させてございます。これは、社会保障審議会医療部会におきまして
「医療提供体制に関する意見」、まだ案の段階でございますが、これが提出されまし
たので、これを受けて、私どもで一つのたたき台としてつくったものでございます。
中身は後で申し上げますが、基本的には、医療法に基づく評価を行っているものに対
して、診療報酬でどのように扱うかという考えでございます。５つは、診－１－１の
一番下の丸、５項目ございまして、「１．人員配置標準の見直し」、「２．入院診療
計画の作成、医療安全対策の推進等」、「３．特定機能病院の看護配置基準の見直
し」、「４．有床診療所の取扱いの見直し」、「５．その他の事項」といたしまして、
地域における疾患ごとの医療機関の連携体制ということで、これを一つずつ簡単に御
説明を申し上げます。
　まず、中医協診－１－２、今申し上げました「１．人員配置標準の見直しに係る診
療報酬について」でございます。この資料は、参考資料と本文とに分かれております
が、ステープラーを１つでつづってありますので、ページを参照しながらごらんいた
だきたいと思います。
　「現行の診療報酬上の評価の概要」でございますが、恐縮ですが、ページ４をまず
めくっていただきまして、横向きの参考１という資料をごらんください。現在、医療
法で、一般病院、特定機能病院、それから病床を有する診療所に、医師の配置の基準、
あるいは看護師の配置基準等々がこのように決められております。例えば１つだけ申
し上げますと、一般病院の一般病床の医師は、患者さん１６人に対して医師１人、１
６対１と、このように決められておりまして、これが医療法で規定されている標準の
配置基準でございます。このようになっているというのを御理解いただきまして、し
たがって、これだけの医療従事者がいなければいけないと、こう規定されております。
　ページ７をごらんください。これに対して、診療報酬は入院料をいろいろ算定して
いるのですが、その入院料に対しまして、この標準の数がいなかった場合、つまり、
医療機関において医療法が定める医療従事者、医師、看護師等がいなかった場合は、
この表にありますとおり、医者が８０％あるいは５０％以下といった場合、１００％
いなくても８０％を超えてあればおとがめはないのですが、５０％以下である場合は
入院基本料を減額しますよとなっておりまして、医師が４通り、看護師が４通りあり
ますので、マトリックスとしては１６通り、非常に複雑な計算形態になっております。
ただ、パーセンテージは同じところがございますので、減額の点数そのものは１６通
りはございませんが、一応このようになっております。
　それで戻っていただきまして、最初の１ページ、このようになっているというのを
まず御理解いただきたいと思います。実際このように細かく決められておりまして、
医療法の標準の配置と診療報酬点数上の扱いと、２つこのようになっているというこ
とでございます。実際どれぐらいの医療機関がこの減額対象になっているかでござい
ますが、一番下の丸、これで見ますと、平成１６年の１年間では４０病院程度という
ことになっております。
　では、どのようにするかということでございますが、２ページをお開きください。
医療法そのものが、今の配置基準を緩和するということで、現在、案がつくられてお
ります。このページの上に抜粋してございますが、四角の中をごらんください。「＜
人員配置標準＞○過疎地域等関係法による指定を受けた地域等、医師の確保が困難と
判断できる地域に所在する医療機関について、都道府県知事が、全国一律のものより
緩やかな独自の医師配置標準を設定できる制度を新設する。」ということで、従来の
一律のものとは異なることを提案をしております。
　そこで、診療報酬上の「論点」でございますが、先ほどごらんいただきましたよう
に、診療報酬においては、医師や看護師等に係る医療法上の人員配置標準を基準には
しておりますが、標準数を一定の比率以上に欠く場合に適用される減額を、先ほど申
し上げましたように１６通り決めております。これらの比率は、医療法において決め
られているものではなくて、診療報酬だけで決めておりますので、診療報酬体系の簡
素化の観点も踏まえつつ、根本的に見直すことを検討してはどうかというのが１つの
提案でございます。
　もう１つ「論点」がございまして、３ページ目でございますが、先ほどの都道府県
知事による緩やかな標準というのがございますので、そのような都道府県にある医療
機関、つまり、緩くした医療機関と、それ以外の都道府県にある医療機関との間で、
実際は同じ人員配置であるにもかかわらず診療報酬点数が異なるということについて
どう対処するかというのが論点でございます。これが、最初の「１．人員配置標準の
見直し」ということに関する説明です。
　「２．入院診療計画」等でございますが、診－１－３をごらんください。現在の診
療報酬では、１ページの丸の１つ目に書いてある幾つかの行為が行われていなかった
場合は、減算対象となっております。それは何かと申しますと、１ページ目の真ん中
に括弧でくくってありますが、「医療機関における医療安全等の体制整備等に関する
点数」ということで、入院診療計画がつくられていなかった場合は３５０点の減算。
院内感染防止対策が行われていなかったら５点減算。これは毎日ですから、わずか５
０円ですが、トータルとしては非常に大きな点数になります。医療安全管理体制、こ
れが行われていなかった場合は５点。褥瘡対策が行われていなかった場合は５点。こ
のように、減算が診療報酬点数上決められております。
　では、本当にこの減算の対象になった医療機関はどれぐらいあるかというのをごら
んいただきたいと思います。６ページをごらんください。その減算対象になっている
医療機関、率が書いてありますが、実はほとんどございませんで、病院の場合、院内
感染防止対策で減算対象になっているのはわずか０．６％、医療安全管理体制も０．
３％、褥瘡対策も０．７％。有床診療所は対象施設数は非常に多いですが、患者数は
やはり非常に少なくて、実際の入院患者を対象にして減算対象になっているというの
は少ないというふうに御理解いただけると思います。また、入院診療計画が未実施の
減算対象になっている病院につきましては、その６ページの真ん中に参考値として書
いてありますが、１．３％ということで、実際は、この減算の対象になっているとこ
ろはほとんどないというふうに言っても言い過ぎではないと思います。
　２ページをお開きください。それでは、先ほどの「医療提供体制に関する意見」は
どのように言っているかと申しますと、四角で囲われている文字をごらんください。
「医療機関の管理者に対し、入院時の入院診療計画の策定及び患者への交付・説明を
義務づける」と書いてございます。退院時のことも書いてありますが、私どもで今点
数評価をしているのは入院診療計画ですから、これを義務づけるということです。そ
れから、医療安全対策についても、基準を新設して、それを促すいうことでございま
すので、医療法上といいますか、医療提供体制の在り方については、こういったもの
は医療機関としてすべて当然であるということの方向性が出されますので、私ども診
療報酬点数としましても、２ページの下側「論点」でございますが、入院診療計画の
策定、院内感染防止対策の実施、医療安全管理体制の整備及び褥瘡対策の実施に係る
評価については、ほとんどの医療機関で既に体制が整備されており、また、先ほどの
「医療提供体制に関する意見」で義務化の方向性が出されておりますので、これは今
入院基本料の算定要件となっておりますが、この減算については根本的に見直すとし
てはどうかということです。実際、減算ですから、私どもとしては、医療費としては、
表現が適切ではいかもしれませんがもうかっているのです。しかし、あえてこれをや
めるということで提案したいと思っております。
　それから診－１－４、３つ目の提案でございます「特定機能病院の看護配置基準の
見直しに係る診療報酬について」、これも実は、今、特定機能病院では看護配置が幾
つか決められておりまして、その俯瞰図というのは、診－１－４の３ページをごらん
ください。参考１ですが、特定機能病院入院基本料というのがそこに書いてございま
す。１、２、３と書いてありまして、看護職員の配置基準は２対１以上、２．５対１
以上と、書いてあります。実際、これは書いてはありますが、特定機能病院の看護配
置というのは非常に厚くて、４ページをごらんください、実際の特定機能病院を見ま
すと、例外なくすべてが２対１以上の配置になっておりまして、２．５対１という配
置はもうございません。すごく配置の厚いところは１対１ぐらいまでなっております
ので、事実上、特定機能病院はすべて２対１以上になっております。その実態をまず
御理解いただきたいと思います。
　そこで、診－１－４の１ページに戻っていただきまして、先ほどの医療部会におけ
る「医療提供体制に関する意見」の中では、現行の２．５対１から引き上げることと
する方向性が示されております。実際、もう引き上がっておりまして、事実は制度よ
りも先行しております。１枚めくっていただきまして、現行の２．５対１を引き上げ
るという文言が意見書では書いてあるということを示してあります。
　そこで、「論点」でございますが、特定機能病院における看護職員配置に係る評価
の在り方についても、一般病棟入院基本料の評価の在り方とあわせ、検討するという
ことで、診療報酬点数上の配置基準を引き上げるということでございます。それが３
番目でございます。
　診－１－５、「４．有床診療所の取扱いの見直しに係る診療報酬について」でござ
いますが、これも、現行の診療報酬上はいろいろ評価してあるのですが、医療法で、
努力義務規定でございますが、今までは４８時間を超えて入院させることのないよう、
一応規定されておりました。しかし、実態はどうかと申しますと、例えば５ページを
お開きいただきますと、平均在院日数というのがそこに書いてございます。２つ病床
がございますので、いわゆる一般的な病床、一般病床とは言っておりませんが、いわ
ゆる一般的な病床、「その他の病床」というところをごらんください。そうすると、
４８時間というのは２日ですよね、であるにもかかわらず、実態としてはもう既に１
６．６日ございます。しかも、診療報酬点数上これを評価しておりまして、６ページ、
診療報酬は、この医療法の４８時間努力義務規定があるにもかかわらず、４８時間以
上すべて点数がついております。ということで、実際は点数がついておりますので、
この規定が、そういう意味ではなかなか守られていないということでありました。
　そこで、「医療提供体制に関する意見」におきましては、４８時間の努力義務規定
を廃止するということがうたわれております。それは、診－１－５の２ページの四角
の中に、「有床診療所のこれまで果たしてきた役割や今日の提供している医療の状況
等を踏まえ、これを廃止する。」とされました。そこで「論点」でございますが、私
どもで考えておりますのは、４８時間の入院期間制限規定にかかわらず診療報酬で既
に評価されておりますので、入院期間が一般病院に比べてはやはり比較的短いという
現状を踏まえて、短い入院施設としての役割を明確化してはどうかというのが１つ目
の論点です。
　２つ目の論点は、地域における回復期リハビリテーションの提供や、在宅医療を支
援する役割の一つとして、在宅における療養を補完する入院医療、こうしたことが提
供できる施設として有床診療所を位置づけようという、そのような観点から、有床診
療所の入院医療に対するこうした機能に応じた評価の在り方について検討してはどう
かというのが論点でございます。
　それが４つ目でございます。
　最後の５番目、「地域における疾患ごとの医療機関の連携体制に係る診療報酬」、
これは福田企画官が得意ですから、福田企画官にかわります。

○事務局（福田企画官）
　それでは、お手元の資料、診－１－６をごらんください。「地域における疾患ごと
の医療機関の連携体制に係る診療報酬について」でございます。まず１ページでござ
いますけれども、「医療提供体制の改革の方向性について」、これがそもそもの出発
点になってございますので、こちらから御説明をさせていただきたいと思います。社
会保障審議会の医療部会における「医療提供体制に関する意見」、この中で、医療計
画の見直しにつきまして、地域における疾患ごとの医療機関の連携体制、こういった
ものを構築をして、具体的な数値目標とともに医療計画へ明示をする、そういった方
向性が示されているところでございます。具体的には、その抜粋を下の四角の方にお
示しをしてございますので、ごらんをいただければというふうに思います。
　２ページにお移りいただきまして、まず最初の丸でございますけれども、そういっ
た医療計画の見直しに関する具体的な事項につきましては、医療計画の見直し等に関
する検討会、こちらの方で既に検討がなされてございまして、１７年７月に中間のま
とめが報告をされているところでございます。
　その抜粋を真ん中の四角のところに書いてございますけれども、このうちの真ん中
のパラグラフ、こちらのところにより具体的なところが示されているというところで
ございます。医療連携の体制内では、各医療提供者は、患者に対し治療開始から終了
までの全体的な治療計画（地域連携クリティカルパス）を共有した上で、各医療提供
者がそれぞれ担当する部分の治療計画（院内クリティカルパス）に沿った治療を行い、
日常生活への復帰に向けた作業を患者と各医療提供者が共同して行うように努めるも
のとするといった内容でございます。
　その下の丸にお移りいただきまして、こういったことを、具体的な例でございます
けれども、大腿骨の頸部の骨折につきまして医療連携を構築している地域の例という
ことでございます。５ページの参考１をごらんいただきながらと思いますけれども、
上の方に絵がございますけれども、急性期の病院と、それから回復期のリハビリテー
ション病院、これとが連携体制を構築をいたしまして、下の方の表でございますけれ
ども、その成果といたしまして、平均在院日数も大幅に短縮するなどの効果が見られ
ているというような、そういったものでございます。
　こういった例では、複数の医療機関が共通の診療計画（地域連携クリティカルパ
ス）、６ページにその具体例をお示ししてございますけれども、こういった複数の医
療機関が自分のところの医療機関とそれからその後の連携先の医療機関で行うような、
具体的に何をどういったテーマで行うのか、どの時点までに行うのかというようなこ
とをお示ししているわけでございますけれども、こういったものを活用することによ
りまして、医療機関の間で一貫した診療というものを可能にしているということでご
ざいます。
　３ページをごらんいただきたいと思いますが、また、こういった地域連携のクリテ
ィカルパス、これが作成されることによりまして、診療計画が患者さんに対して文書
により提供されることになり、患者さんとりましても、あらかじめ転院後の診療内容
も含めた診療予定に関する説明がなされることにより、より安心して医療を受けるこ
とができるとか、複数の医療機関で連携体制が構築されることにより、急性期から退
院後の療養までを含めた診療に対し、適切な評価が可能となり、結果として質の高い
医療を受けることができる、早期に自宅に退院ができるのだというようなところなど
の利点があるとされてございます。
　具体的なことは、７ページに参考３といたしまして、「地域連携クリティカルパス
とは」ということで、クリティカルパスとはどういうものであって、その上での地域
連携クリティカルパスというものはどういったものかということにつきまして、箇条
書きで、もう少し詳しめの説明をさせていただいているところでございます。
　また、３ページの方の真ん中にお戻りいただきまして、現行では、診療報酬上の評
価というのはどうなっているのかということでございます。医療機関の連携体制につ
きましては、御承知のように、医療機関から医療機関等への診療情報の提供に対する
評価というものが既になされてございます。例えばこれは参考４でございますが、８
ページのところにちょっとお示しをしてございますけれども、診療情報の提供に関す
るものというようなことでお示しをしてございます。こういったようなものや、病院
の担当医とそれから主治医さんとが協力して、共同して療養上の指導を行うといった
ことに対する評価、これは９ページのところに、共同指導というような形でのもの、
そして退院時に共同指導する場合にはさらに加算があるというような制度について御
説明をしてございますけれども、そういった評価が行われているというところでござ
います。しかしながら、医療計画の方向性等で示されておりますような、地域におけ
る疾患ごとの医療機関の連携体制に着目した評価という形には現在なっていないとい
うことでございます。
　４ページにお移りいただきまして、そういったことから、「論点」といたしまして、
医療計画の見直しにおきましては、これは平成２０年を目途といたしまして実施され
ていくということとされてございますけれども、平成１８年度の診療報酬改定におき
ましては、地域連携クリティカルパスを使用するなどして、地域における疾患ごとの
医療機関の連携体制を構築している場合の評価、この在り方について、試行的に幾つ
かの疾患について検討することとしてはどうかというものでございます。
　なお、参考までに、お手元の方の資料、横長の表でございますが、中医協診－１－
８というものをおつけをいたしてございます。こちらの方に、先ほども御説明申し上
げましたが、「新しい医療計画の考え方」ということで、患者さんの立場から見て医
療がどのように変わるのかということを、「患者本位の医療を、住み慣れた家庭・地
域で」という、そういった視点から、新しい医療計画の考え方をわかりやすくまとめ
たものをおつけさせていただいておりますので、参考としていただければと思います。
　事務局からの説明は、以上でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　それでは、ただいまの説明につきまして、項目ごとに議論を進めてまいりたいと思
います。
　まず最初は、「人員配置標準の見直し」でございますが、これにつきまして御意見、
御質問等ございましたら、どうぞ。

○青木委員
　「人員配置標準の見直しに係る診療報酬について」というところですが、第１ペー
ジにございます下３行、「医療法の標準数から一定の比率を欠くため入院基本料の減
額措置の対象となっている保険医療機関数」でございますが、これは「４０病院程
度」ということで記載をしていただいておるわけですが、本年度、医療法上の看護師
の最低標準が、４対１看護から３対１看護に変更されました。このことによりまして、
東京、大阪で、私の記憶ではそれぞれ５０ほどの病院、全国各地、もっとたくさんご
ざいます、こういう病院が、すべてではないと考えられますが、この規格の中に該当
してまいるはずでございます。ですから、この「４０病院程度」であってネグレクト
しても差し支えないという数とは少し違うのではないかというふうに考えます。
　それから、そのときのできるだけ入院基本料の減額等において簡素化していくとい
う考え方というのは、私どももそれが悪いというふうに考えるものではありません。
それで、７ページの表で意見を言わせていただきたいと思いますが、「入院基本料の
減額について」という題で、細かく、６０％、８０％、８０％超というような形の規
定、減額のパーンセテージ、これが升目で書いてございます。ここで大事なことは、
医師数と看護師数、これの掛け合わせでこういう考え方をとっておるということであ
りまして、私どもといたしましては、６０％～８０％の間で両方該当してきておるこ
の升目が「減額なし」という部分を尊重していただきながら、その下の部分について、
もっと大まかな減額措置を講じていくということについては、異議のないところであ
ります。
　もう１つの考え方として、この８０％超を、１００％超、１２０％、１４０％、２
００％というような形で延ばすことによって、この点数を加算の方向に考えることが
できないかということを検討していただきたいというふうに思います。
　それから、本日のこの四つ、五つの題に共通することでありますが、医療法の改正
に合わせて討議をされ、考えておることでありますので、医療法の成立との時間的な
兼ね合わせがきちっと整合性を持っていくように全体をお考えいただきたいというふ
うに考えます。
　以上です。

○土田小委員長
　ただいま青木委員の方から、大きく言えば３点ほどの御意見があったと思いますが、
最初に事実を確認しておきたいのですが、１ページに「４０病院程度」となっている
のが、これは実態はもっと多いのではないかという話がございましたが、この数値に
ついていかがですか。

○事務局（麦谷医療課長）
　これは、実際に減額を受けた医療機関であって、恐らく青木先生が言われのは、こ
の７ページを見ていただくと、例えば６５％ぐらいいなくても減額はありませんので、
実際に少ないのだけれども減額は受けていないという医療機関を入れますと、もちろ
んもっとたくさんございます。
　それから、４０だから変えていいと言っているわけではなくて、４０という実態を
申し上げたので、先生おっしゃるとおり、標準を下回っている医療機関としてはもっ
とたくさんあるという認識はもちろんございます。

○土田小委員長
　それから、加算があっていいのではないかということと、それから医療法との時間
的整合性についてもう少し考慮していただきたいというのは、検討課題として取り上
げていきたいと思います。

○宗岡委員
　これももう一度ちょっと事務局に確認したいのですけれども、この７ページのとこ
ろの「減額なし」という３つのこまがありますけれども、４０病院というのは、これ
は除いてあるわけですか。

○事務局（麦谷医療課長）
　４０病院というのは、１６年度に１年間、実際に点数が減額された病院の数でござ
いまして、当然この「減額なし」のところの医療機関は４０には該当しておりません。

○宗岡委員
　ということは、たくさんあるということになりますね。
　それで、私どもは、２号側もよく主張されるのですけれども、医療の安全という観
点からこの基準ができているというふうに理解をしておりまして、適正な医療を行う
ための必要な人員を定めたものだというふうに理解しているわけですけれども、それ
を守ってもらうのは当然であろうというふうに思っております。これを根本的に見直
すということであれば、医療法基準を満たしていないけれども減額になっていないと
いう、今の３つのこまのところをどうするか、これはあくまでも例外であって、こう
いうものが常態化するということがないようにということを強く主張していきたいと
思います。

○土田小委員長
　ほかにございましたら、どうぞ。

○小島委員
　私も今宗岡委員が指摘されたように、現行の医療法に基づく基準というのがありま
すので、それを厳守するというのは当然の話だと思います。そういう観点からすると、
診療報酬上どう評価するかと言えば、医療法に基づく医師あるいは看護師の配置を、
当然それは１００％満たしているのが基本でありますので、基本は１００％を満たし
ているところが診療報酬上で算定できる。それを満たしていないところは、本来は診
療報酬上算定できないということだと思います。そうは言って現実的ではありません
ので、現行の７ページにあるような減額率のところをもう少し簡素化するということ
と、それから、８０％超というような、１００％を切っているところを減額していな
いところの見直しが必要ではないかと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ほかにございましたら、どうぞ。

○石井委員
　ここでの大方の議論は、今の医療の体制で医療の質と安全を守っていくためには人
的な保障をするべきであると言うことですが、この根本的に見直すということの意味
を教えていただきたい。今のところは減額と施設基準が上の方に行くにつれて人数が
増えていくという形をとっているのですが、この形を維持しようというのか、それと
も簡素化し減額しないだけの意味なのか、しなければどうするのだということをまず
お聞きしたいと思うのです。

○事務局（麦谷医療課長）
　中医協で御議論していただいて、お決めいただければいいのですが、私ども事務局
として一応考えておりますのは、いかにも複雑でございますので、当然、医療法の標
準を満たしたものについてだけ点数をつけるということを考えております。ただ、下
回るところがたくさんありますので、それに対して全く点数を評価しないというのは、
先ほど小島委員からも言われましたので、それはやはり性急だということで、下回る
ところについても何らかの点数の評価をするということで、極端に言いますと２種類
というふうに考えております。

○土田小委員長
　よろしいでしょうか。この「減額なし」が３カ所ございますが、これはあくまでも
例外であるという趣旨の発言が宗岡委員からございましたが、これはやはり尊重して
検討すべきであろうというふうに思います。
　そのほかに、この２ページの枠の中にあります過疎地域等については、都道府県知
事が新しい医師配置標準を設けるということになっておりますが、これについて御意
見を承りたいと思いますが、いかがでございましょうか。
　よろしいですか。ここに書かれてある方向でこれから検討していくということを確
認するということでよろしいでしょうか。

○小島委員
　地域、特に過疎地域の医師不足、あるいは看護師等が不足するという、現実につい
てはこういう配慮をするべきだと思います。しかし、これはあまり拡大していきます
と診療報酬の基準というのが崩れていって、結局は、地域ごとに診療報酬をつくると
いう話になりかねません。これはあくまでも例外的な措置ということで考えるべきで
はないかと思います。

○松原委員
　私どもも、やはり同じものが供給されていれば同じ金額であるべきだと思います。
したがって、あるべき姿の診療報酬が一定の水準を満たしているのであれば、同一で、
全国一律が当たり前だと思っております。ただ、ここにおいては、過疎という問題が
ございますので、実際にここで供給される医療というのは、例えば医者が少なかった
り看護師さんが少なかったりしますので、これは例外としての扱いであるべきだと思
います。

○岡谷専門委員
　確認なのですけれども、２ページの四角で囲ってある「人員配置標準」のところで
は、「全国一律のものより緩やかな独自の医師配置標準を設定できる制度を」と書い
てあるのですが、今１号側、２号側の御意見だと、この対象に看護師も入るというふ
うに聞こえるのですが、それは医師だけということではなくて看護師も対象というこ
となのでしょうか。

○土田小委員長
　これについてはいかがですか。

○事務局（麦谷医療課長）
　これは医師だけです。

○土田小委員長
　ほかにございますでしょうか。
　それでは、一応ここはこれまでとして、次の項目の方に進みたいと思います。２番
目は、「入院診療計画の作成、医療安全対策の推進等」について御検討をお願いした
いと思います。
　御質問、御意見等ございましたら、どうぞ。

○宗岡委員
　これも全く同様だと思うのですけれども、医療安全等の体制整備というのは当然の
ことだというふうに思いますので、それを入院基本料の算定要件にするという形で担
保することは、私は賛成したいと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ほかにございますでしょうか。

○山本委員
　私もその見直しには賛成でありますが、その際に、例えば褥瘡の管理等がここに例
が挙がっておりますけれども、現実に褥瘡の治る状態といいますか、時間のことを考
えますと、その傷創面にどれほど水分が保持されていて、そのステージによって薬剤
の濃度を変えていくというのが極めて効果的だという調査もございますので、そうし
たその管理につきましては、やはり薬剤師がいませんと、どれほどの外用薬を使った
らいいかというようなことにつきましても十分な対応ができないのではないかと思い
ます。また、現にそうしたことをしておりますので、医療安全の中で、医薬品にかか
わる事故が多いことも踏まえて、今後の見直しの中では、要件を含めて、医薬品の安
全のための供給体制を管理するという意味での薬剤師の役割につきましても、ぜひ念
頭に置いた見直しをお願いしたいと思います。

○石井委員
　医療安全対策について、ほとんどのところがやっているから、あまり意味がなくて、
１つにしてもいいだろうというのは、現状の体制整備の内容がたいした内容でないと
言っているように思うのです。現実に我々は見ていますと、褥瘡対策にしろ何にしろ、
非常によくやっていて、それなりの効果が上がっている病院はあるわけです。栄養の
問題に関しても、そういったチームを我々は今要望しているのです。こういったこと
に関しても、未実施減算よりも、効果が上がっているようなことに関して、今回、間
に合うかどうかは別として、人的な配置を積極的に評価していくことを考えるべきで
はないかと思います。

○岡谷専門委員
　今の褥瘡対策に関してなのですが、褥瘡対策については、最初、未実施減算だった
のですが、ハイリスクな患者さんについてはきちんと対応するということで加算評価
ということにもなっているのですけれども、実際には、そういうふうに、例えば多く
の認定看護師等を配置して、非常に短期間で褥瘡の治癒に至っているような例も非常
に多いということがございますし、調査専門組織の方でも技術評価のところでデータ
を出していただいたのですけれども、さらにそういう、きちんとやって成果を上げて
いるところはちゃんと評価がされるような仕組みというのはぜひつくっていただきた
いと思います。

○土田小委員長
　その問題については、別の項目で取り上げることになっておりますので、ここは一
応減算の対象でございますから、また改めて議論いただきたいと思います。
　ここでは、基本的に入院基本料の算定要件とするということがポイントでございま
して、大方の賛成を得られるのではないかと思いますが、よろしいでしょうか。
　それでは、次の論点に進みたいと思います。第３番目は、「特定機能病院の看護配
置準の見直し」について、御検討をお願いしたいと思います。
　御意見等ございましたら、どうぞ。

○青木委員
　看護職員を、本来もっと配置の密度が濃くなっていくように努力をしていくという
ことは、これは大変大事なことで、そういう考え方はサポートされなければならない
というふうには思います。ただ、規定をつくっていくときに、密度を濃くするために
最低基準を次々に上げていくという考え方ではなくて、幅の広い基準の中で選択がで
きるような方向性をとっていくべきだと。単純に言いますと、２．５対１というのを
廃止するということではなくて、２対１、１．５対１、１対１、それぞれが選択でき
るような状況で環境づくりをするということがいいのではないかと。そしてその上で
の各医療機関の情報開示ということが大事になるのではないかというふうに思います。

○岡谷専門委員
　今回、特定機能病院の看護配置基準を見直していくということで、実態をまず見て、
実態がもうかなり２対１以上となっているということでの標準の引き上げということ
についてはぜひ実行していただきたいというふうに思っています。確かに今青木委員
のおっしゃられたようなこともわかりますけれども、やはり特定機能病院というのは、
今の２対１でも本当に大変な状況で、やはり患者さんの安全とかそういうことから考
えますと、本来だったらもっと人員配置を高くしてもいいような状況の医療機関であ
るというふうに認識しておりますので、ぜひここを引き上げるという方向性について
は実行していただきたい。看護職はかなり期待をしておりますので、よろしくお願い
したいと思います。

○対馬委員
　今の岡谷委員の発言、全面的に私は賛成します。

○青木委員
　私も間違いではないと思うのですが、今申し上げた、例えば２．５対１という部分
が、病院の中の１，０００床ほどある中の一部に２．５対１があっていいではないか。
そのかわり１対１も必要です。今の日本で、全部を２対１、１．５対１、１対１に持
っていけるのか。子供が少なくなって１８歳年齢はどんどん減っている、そういう中
で、すべてを満足させるような形、もしくは一般病院から大学病院にどんどん看護師
さんを吸収させるようなシステムをここでつくり出すことは決して得策ではない。だ
から、緩やか、幅の広い標準をつくっておいて、その中で必要な部分にはうんと濃く
持っていくという考え方が必要なのではないかということを私は申し上げておるので
す。

○小島委員
　別にそんな違ったことを言っているのではないと思うのです。医療部会で指摘して
いるのは、特定機能病院の配置基準を引き上げるという話をしているので、診療報酬
上それをどう評価するかという話になりますと、そこは特定機能病院に限らず、一般
の病院の入院基本料の評価の在り方としてどう考えるかということです。今診療報酬
上は２対１が、入院基本料が一番高い。それをさらに１．５をつくるかどうかという
ことで、今回指摘されている特定機能病院に限定してということではない。ここに指
摘されている論点のような方法で見直しをすべき、それでいいのではないかと思いま
す。

○石井委員
　今の特定機能病院についての議論としてみると、実際上はもう現実になっているの
で、形式的な議論になってしまっていると思います。ただ、今青木委員が言われたこ
とは、非常に重要な点が１つあります。それは、これまで看護配置基準というのは、
病院単位で基本的には行われています。部分的に特殊な病棟に関しては、病棟単位で
配置基準が行われています。青木委員の今の御発言は、私の理解するところでは、病
棟別に考えるべきではないかという御意見だろうと思うのですが、私はそれについて
は賛成です。実は、１．５対１という看護基準を我々日病協が統一要求として出して
おりますのは、必ずしも全病棟が１．５対１にすることを要求しているのではありま
せん。もちろん全病棟でもいいのですが、病棟によっては重点的に配置しなければな
らない現実が起こっていますので、病棟別の基準をこれから基本にしていった方が現
実的ではないかと私も思います。

○土田小委員長
　青木委員にちょっと確認したいのですが、今のような解釈でよろしいですか、病棟
単位ということで。

○青木委員
　私の言葉足らずで。今石井委員に補足をしていただいたとおりでございます。

○土田小委員長
　わかりました。

○宗岡委員
　看護配置については、今いろいろ議論があったことはよく承知しているのですけれ
ども、一般病棟の入院基本料の議論もあるわけで、そういうことを含めて、あわせて
議論を行うということにぜひしたいというふうに思います。その場合には、機能に応
じたメリハリづけという観点での評価、そういう議論をこれからしていきたいという
ふうに思います。

○土田小委員長
　ここのところは、先ほど小島委員から話がありましたように、一般病棟の入院基本
料もあわせて検討したいということの提案でございますので、これはまた具体的にど
の程度にしていくかということは改めて議題としたいと思いますが、そういうことで
よろしいでしょうか。

○松原委員
　一般病棟の件はよく議論しなければならないと思います。１対１、あるいは１．５
対１、こういった特定の機能を持っている病院が厚い看護ができるシステムにするこ
とについては、賛成でございます。
　ただ問題は、特定機能病院はＤＰＣが導入されていますので、すぐには数値として
出てまいりませんが、次年度のときには、その出来高によって計算した金額になるわ
けございます。つまり、かなり費用が増えるということでございますが、そこにおい
て、ＤＰＣが適切であるという方向であるのであれば、前にも申しましたように、私
は今ある暫定的な平均１．０６倍をすると、すなわち、かかっている費用の６％増し
の金額を今お支払い申し上げているのですけれども、それを見直すべき時期に来てい
るのではないかと思います。同じことをして同じような形でほかの病院は出来高その
ままでございますので、単純に言えば、６％増しの金額をDPCに支払っているわけです
から、そこのところの検討があわせて要るのではないかと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○対馬委員
　ＤＰＣはＤＰＣで、ちょっと大きな問題ですから、また別途の場でというふうに思
いますけれども。

○土田小委員長
　微妙に絡まっておりますが、ＤＰＣはまた改めて議論したいと思いますので。

○松原委員
　私が申し上げているのは、これを認めるためには、そういったことも検討しなけれ
ばいけないということを申し上げたわけでございます。

○土田小委員長
　一応考えに入れて検討しなくていけないということで理解していきたいと思います。
　それでは続きまして、第４番目の項目に移りたいと思います。「有床診療所の取扱
いの見直し」でございます。
　これにつきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞ。

○青木委員
　有床診療所について御意見を申し上げます。
　この問題は、医療部会で何回も何回もお話しをいただきまして、それで、この中医
協の場に結論が持ち込まれたものだというふうに考えております。私どもとしては、
それにどういう形で対応していくかということだと思います。
　その際、医療部会がおっしゃっていただきましたことは、こういうふうに私は理解
しています。４８時間規制を撤廃する、これが１つ。それから、撤廃するかわりとい
う言い方は変かもしれませんが、基準病床にカウントする、これが２番目。もう１つ
は、不当に低い入院料、入院基本料と言ってもいいかと思いますが、その部分をアッ
プする。これが、４８時間の問題と、それから基準病床数へのカウントということと、
これがセットということだと理解をいたしておりますが、今ここに記載をしていただ
いておることは、２週間ほどの間は高い評価を出しましょうということなのだという
ふうに理解をしておるのですが、それで間違いはないでしょうか。

○事務局（麦谷医療課長）
　３つ今青木委員が挙げられました。最初の２つはそのとおりですが、３つ目は、こ
こで御議論いただくことでございます。

○土田小委員長
　３つ目というのは、入院基本料を引き上げるということについては、ここで議論し
ていきたいという回答だと思います。

○青木委員
　すみません、続いて。今日ちょうど医政局の原総務課長がおいでですので、医療部
会でのいろいろな経過等について、特に最後の問題についてコメントをいただければ
と思います。

○事務局（原総務課長）
　医政局総務課長の原でございます。恐縮ですが、診－１－７の資料４をごらんいた
だきたいと思います。まだ最終的なものが出ていませんが、ほぼこの内容で医療部会
意見書がまとまっております。
　１１ページをお開きいただきたいと思います。有床診療所につきまして、医療部会
での結論でございますけれども、先ほど青木委員が御指摘のあった最初の１番目と２
番目はそのとおりでございますが、若干補足をさせていただきますと、この中の６行
目にございますように、４８時間規制を撤廃いたしますが、有床診療所の管理者の義
務として、こうした「入院患者の緊急時に適切に対応できる体制を確保」という義務
を課すということが１点。また、１０行目でございますが、患者さんに対して、今回
医療法上、有床診については人員配置基準等を定めませんので、そのかわりというこ
とではありませんが、患者さんに対する情報は十分に提供していく、そのことの義務
づけをもあわせてやるということが同時に決まっております。
　それから、診療報酬の問題でございますが、医療部会では、確かに有床診の評価が
低いということで、これをもっと評価すべきであるという意見もございましたが、他
の委員からは、有床診については短期入院というものを前提にしている、想定してい
るということで、少しメリハリのある評価をすべきではないか、こういった意見も実
は別の意見としては出ておりました。
　いずれにしましても、医療部会としては、この診療報酬でどう評価するかは、これ
はもう中医協の問題であるということで、そういった何かこう方向づけとか、結論み
たいなことは、そういった議論にはなっておりません。
　以上でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○宗岡委員
　青木委員とちょっと理解が違うのですけれども、医療部会で我々支払側が主張して
きたことというのはちょっと異なっておりまして、我々の認識は、その有床診療所と
いうものについての実態の詳細が明らかにされていないということは極めて不満だと
いうふうに思っています。しかも、１０数万床もある大量の病床を抱えているグルー
プでございます。日本の医療支出がなぜ多いかという議論の中で、やはり病床数をも
っとコントロールしなくてはいけないという議論がある中で、中身がはっきりしない
ものにそういうふうな拙速な結論を出すというのはいかがなものかというふうに私は
思います。もちろん、その地域の医療に真剣になっていただいている有床診療所があ
ることも存じ上げています。しかし、それがどの程度の比率なのか、どのように貢献
しているのか、それをやはりもっとしっかり調べてみて、その上で、先ほどから申し
上げている、さっき総務課長がおっしゃったメリハリのある内容にしていくと。一律
的に有床診療所を何かかさ上げするような、そういうことを議論するということにつ
いては、我々は非常に抵抗感があるということをあえて申し上げたいと思います。
　したがって、ぜひ、拙速な結論を求めるのではなくて、有床診療所というものが一
体どういうものなのか、日本の医療にどういう役割を果たしているのか、それをやは
り我々にわからせていただきたいと、その上で議論させていただきたいということを
申し上げたいと思います。

○青木委員
  御参考にしていただければと思いますので、次の機会に、私どもの有床診の問題に
ついての見解、私どもの有床診の委員会が出しました答申書を一度配らせていただき
たいと思います。私どもとしましては、有床診は、それぞれ眼科とか整形外科とか産
科とか、専門に特化した形で有意義な仕事しているのだというふうに考える部分、そ
れから、地方におきまして、医療機関が近くにないところで、急に熱が出たり、下痢
をしたりというようなときに、短時間入院をすることで点滴を打って回復していくと
いうような、そういう機能を持ったところ、そういう意味で、非常に日本の文化に溶
け込んだいい形の医療機関であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。

○土田小委員長
　今の青木委員が話されましたその資料を次回提出していただくということは、お願
いしたいと思います。

○対馬委員
　資料提示でお話しいただけるのは、それをもとにしてまた議論できますので、大い
に結構なことでありますけれども、できるだけ主張ということよりは、むしろ実態が
わかる、先ほど宗岡委員が言われましたように、私どもも、実態があまり見えない中
において全体的に上げるということはいかがなものかと、まさにここに書かれている
とおり、機能がどうかと、役割がどうかということについてのメリハリづけをしてい
くということが基本だろうというふうに思いますので、そういった議論ができるよう
なデータをお出しいただければというふうに思います。お願いしておきます。

○小島委員
　医療部会の意見書を先ほど原課長から御紹介ありました。この資料の１１ページの
ところに、今回の有床診４８時間の時間規制の撤廃に伴うさまざまな政策が出ていま
すけれども、一番下の丸のところになお書きがあります。これは、医療部会で、私も
含めて３名の委員で意見書を提出しまして、今回の４８時間撤廃、そして基準病床数
へのカウントということについては時期尚早だという意見を出しました。まず、その
実態を含めて把握・検討すべきだという意見を述べたところが、なお書きに入ったと
いうことです。
　そして、医療部会で、先ほど原課長から紹介ありましたけれども、そこは、私が発
言した内容です。この有床診についての診療報酬上の考え方は、今回の「論点」の中
でも指摘されているように、有床診については、短期間の入院が基本でありますし、
それから、診－１－５の５ページにも、有床診の在院期間が、１４日、２週間以内が
全体の８割ぐらいを占めている、さらに１週間、７日のところは６割ぐらいを占めて
いるということで、短期間ですので、そういうことを基本にしたメリハリの効いた診
療報酬の在り方を考えるべきだと思っております。
　それと医療法上は緩やかな基準にしかなっていないということもありますので、も
っときちっと機能分化をして、それに応じた診療報酬の評価ということが必要です。
２ページの「論点」の２つ目にありますように、ではどういう機能を持っているか、
実質的に人員配置、医師あるいは看護師等の夜間の配置といったようなところに着目
した形での評価ということが必要になってくると思います。

○土田小委員長
　大変貴重な御意見をいただいたわけですが、この有床診については、先ほど来話が
ありますように、実態がもう一つよくわからないというところがありますし、それか
らこの「論点」で出されています「短期間の入院施設としての役割」ということと、
それから下の丸の方の「機能に応じた評価」という場合の、検討する場合のもう少し
資料といいますか、実態を知る材料が欲しいと思いますので、事務局の方でその辺を
明確にできるような資料がございますでしょうか、あるいは次回出していただけます
でしょうか。

○事務局（麦谷医療課長）
　鋭意検討して、準備いたします。

○松原委員
  有床診の名誉のためにはっきり申し上げますけれども、地域において非常に大きな
役割をしております。それが御理解いただけないということでございますので、そう
いったことがおわかりいただけるような資料をぜひ用意したいと思っております。ま
た、機能別に評価すべきというのは、私たちも非常に大事なことだと思っております。
短期間の入院あるいは在宅で診ていて急きょ入院しなければならないような状態のと
きに、非常に有効でかつ患者さんにとってもその地域から離れなくて済むという大き
なメリットがございます。そういったことも評価していきたく考えておりますので、
機能的なものは何が大事かということの議論はぜひしていきたいと思っております。

○宗岡委員
　診－１－５の５ページにあるのですけれども、有床診療所の「その他の病床」で平
均在院日数が１６日を超えているわけです。４８時間お預かりする基本のところが１
６日もあって、しかも、その診療所自体が、いろいろな意味での基準が甘いという中
で平均在院日数が１６日ある。こういうことも含めて、その意義をわからせていただ
くということをあえてつけ加えてお願いしておきたいと思います。

○松原委員
　今申し上げましたように、いろいろな要素がございます。説明のできるような形に
したいと思いますが、例えば長く入院されている方も、自分のすぐそばの診療所に入
院できるという大きなメリットもございます。例えば電車で何時間もかかるようなと
ころに入院しているのではなくて、自分の町や村の有床診療所のところに、自分の育
ったところに入院できるというメリットもあります。そういったことは、やはり患者
さんにとっては大事なことだと思います。それだけではなく、この有床診療所という
のは、最後まで１人の医師が責任を負える非常に大きな要素でございます。そのあた
りも御理解賜りたく思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　それでは、次回いろいろな資料をベースにして、実態を確認しながら議論を進めて
いきたいと思います。
　それでは、最後の５番目の項目に移りたいと思います。「その他の事項」というこ
とで、「地域における疾患ごとの医療機関の連携体制」ということですが、これにつ
きまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞお願いします。

○青木委員
　この問題も、医療計画制度を医療部会で御討議をいただいてここへ出てきたという
形かと思いますが、やはりちょっと、例えば大腿骨頸部骨折をクリティカルパスをつ
くってもっと試行的にやりましょうということは、この問題の基本的なところから考
えた場合に、ちょっと拙速にすぎると思います。診－１－７、医療部会の資料、平成
１７年１２月２日の文書でございますが、それの７ページをごらんいただきたいと思
うのですけれども、２２～２６行のところです。「医療連携体制の構築に当たっては、
住民、直接診療に従事する者、医育機関等地域医療に関与する者が協議することから
始めて、地域に適した体制を構築することが必要であることから、この協議への関係
者の協力についての規定を新設する。」と書いてあるわけで、こういう体制づくりを
行っていきましょうと、こういうことが一番最初に議論されることだと思うのです。
その中から、場合によって今具体的に出ているような形のことが出てくる、これが本
来の道筋ではないかと思います。何かのモデル事業で厚労省がおやりをいただくとい
うことなら話は別ですが、中医協のマターとしてこれを討議するというのは、時間的
にも早すぎる話だろうと私は思いますので、もうちょっと延ばしていただくことが大
事だと思います。

○土田小委員長
　今の意見について事務局。

○事務局（福田企画官）
　まず、既にこの地域連携のクリティカルパスにつきましては、先駆的な地域におけ
るそういった実績というものがあるということ、その実績に当たっては、シームレス
な検討研究会とかそういった形でのやはり地域での関係者が一体となって検討して、
そしてまた、実際の実績をまたフィードバックするような仕組みもできているようで
ございますので、そういったものを、先駆的な試みというような意味もございますし、
また、医療法の今の医療計画の考え方というものを踏まえた場合には、やはり非常に
重要な考え方であろうというところもございますので、地域医療計画は２０年を一つ
の目途にしながらということでございますけれども、少しそういった先駆的なものを
評価をするというようなことも、そういったことも込めまして「試行的」というよう
な表現をさせていただいているところでございます
　また、あわせまして、「１８年度診療報酬改定の基本方針」というのが医療保険部
会それから医療部会の方から出されてございまして、その３ページの真ん中くらいの
ところでございますが、「質の高い医療を効率的に提供するために医療機能の分化・
連携を推進する視点」という中に、「地域における疾患ごとの医療機能の連携体制に
係る評価の在り方について検討するべきである。」ということでございまして、「検
討するべき」ということで方向性も示されているということで、事務局の方から資料
として出させていただいているということでございます。

○対馬委員
　こういった地域連携のクリティカルパスなどでやっていくということは非常に重要
だろう、大事だろう、ぜひ進めていただきたいということ、そこはそのとおりだろう
というふうに思うのです。ただ、それに対して中医協として診療報酬としてつけてい
くのかどうかということになると、また少し越えるハードルがあるように思うのです。
最近の例えば医療保険部会と医療部会共同の意見書なんかを見まして、診療報酬の方
であまり引っ張っていくというか、政策的にどんどんやっていくのはいかがなものか
と、むしろやはり実態を踏まえながら、というような、ちょっと正確な表現は覚えて
いませんけれども、そういった趣旨もありましたし、また、こういったことで、試行
的にやっていくものについて診療報酬の公定価格でもってどんどんつけていくかどう
かということはもう少し慎重な対応が必要ではないのかなと、こういうふうに思いま
すけれども。

○青木委員
　対馬委員のおっしゃっていただいたことに賛成をするとともに、麦谷課長が何回も
おっしゃっていただいた趣旨は、中医協でお金をつけて事を誘導していくという考え
方は今後とらないのだと、基本を決めておいてから、それに従った点数をつけていく
のだと、こういうお話を私も賛成と思ってずっと聞いてきたわけですから、この件は
やはりちょっと早すぎるというふうに私は思います。

○土田小委員長
　この試行的に行うということについて……

○宗岡委員
　診－１－６の４ページのところに、「地域における疾患ごとの医療機関の連携体制
を構築」というのが出ているわけですけれども、この患者の立場から申しまして、こ
ういうことを通じて立派な医療が行われて、総入院期間が減ると、そういうふうな効
果があるということを私は期待をしたいと思っておりまして、そういうことについて
否定的な議論はあまりしたくないというふうに私は思います。そういう観点で「試行
的」という言葉にこだわりはあるかもしませんけれども、熊本方式なら熊本方式は大
いに推奨していく、それはやはり我々の視点として非常に大事ではないかというふう
に思います。
　と同時に、この資料の参考４にありますけれども、医療機関の規模だけでその点数
の差を設けているような診療情報の提供料、こういうものについても、そういう議論
を通じてゆがみを正していくというふうなことは一方で必要であろうというふうに思
っております。

○小島委員
　私も今宗岡委員が指摘されたような形で、具体的に診療報酬ではどういうふうな形
があるのかということです。診療報酬で誘導するということではなくて、地域連携を
どう進めていくかというようなことがはっきりわかれば、それを診療報酬上でどう支
えるかということで、検討すべきではないかと思っております。それが１８年度改定
に間に合うかどうかという問題はあると思います。

○石井委員
　地域連携パスを進めていくというのは私も賛成です。ただ、「試行的」ということ
が診療報酬になじんでいくかということについて疑問は持ちます。一般的に誘導は必
ずしも否定はしませんけれども、相当広範囲でやられて効果がある段階で、点数評価
し積極的に入れてさらに拡大するのが重要だと僕は思うのです。
　ただ、地域連携パスについてはまだまだ幾つか隘路がありまして、急性期病院とリ
ハビリ病院の、両方とも複数の病院があるころで、このネットワークができたケース
が紹介されていますが、これは大変すばらしいネットワークになったと思うのですが、
これが普遍的モデルになるのか不明です。全国で地域連携パスがあまり形式的にやら
れてしまうと、地域連携のネットワークとしての意味がなくなるので、点数をつけて
もいいと思うのですが、点数の要件は大変難しいのではないかという感じがしますの
で、その点は、実際に即した形での提案をお願いしたいと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○室谷委員
　私は、ぜひこの地域連携クリティカルパスを進めていただきたいというふうに思っ
ている一人で、これは地域で、患者の視点に立つということ、この考え方の一つ、そ
れから退院を支援するということ、それから在宅医療に対しての支援にもなるという、
そういう観点からいきますと、こういう新しい考え方を出していくということは必要
だというふうに私は考えております。今いろいろ議論がありまして、どう点数化する
かという問題はありますけれども、既にこの退院支援をしている医療機関がいっぱい
出てきております、それと、退院支援をしながら地域と連携をしているという、そう
いうところも既に出てきておりますから、そういう医療機関をどういう形で点数化で
きるかを調べていただければ、これは点数化が試行的にもやれるだろうというふうに
思っておりますので、ぜひこれは進めていただきたい、検討していただきたいという
ふうに私は思っております。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　この地域連携クリティカルパスを推進していくということについては、委員の皆さ
んのほぼ一致したところかと思いますが、これを診療報酬としてどういうふうにつけ
ていくかと、あるいはどういうふうに検討するかということについては、この後もう
一回議論をしていきたいというふうに思います。
　どうもいろいろありがとうございました。用意した５点につきましては一通り御意
見、御質問を承ってきたということで、本日の基本小委はこのあたりで終了にしたい
と思います。
　次回の日程につきまして事務局からございましたら、どうぞ。

○事務局（麦谷医療課長）
　次回は、１４日水曜日９時半からでございます。それから１６日金曜日は１０時か
ら、２１日水曜日は１０時からをお願いしたいと思っております。

○土田小委員長
　この後、診療報酬改定の結果の検証部会がございます。この場所は１２時半までで、
ちょっと時間を押しておりますが、急いで次に移りたいと思います。どうもありがと
うございました。


【照会先】
厚生労働省保険局医療課企画法令第１係
代表　０３－５２５３－１１１１（内線３２８８）