05/12/02 社会保障審議会医療部会第21回議事録  第21回 社会保障審議会医療部会 日時 平成17年12月2日(金) 14:00〜 場所 厚生労働省7階専用第15会議室 ○企画官 ただいまから、第21回「社会保障審議会医療部会」を開会いたし ます。皆様方におかれましては、お忙しい中ご出席くださいまして誠にあり がとうございます。  本日の委員の出欠状況ですが、見城委員、辻本委員、野呂委員、箱崎委員、 山本文男委員、堀田委員がご欠席です。なお、野呂委員の代理として、三重 県健康福祉部医療政策監の池田千絵子参考人、箱崎委員の代理として日本歯 科医師会常務理事の高津茂樹参考人にご出席をいただいております。ご出席 いただいております委員の皆様方は定足数を超えておりますので、会議は成 立しております。  資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第のほか資料1から資 料4まであります。参考資料1から参考資料4まであります。以降の進行に つきましては部会長にお願いたします。 ○部会長 議事に入ります前に、本日ご欠席の野呂委員の代理として三重県 健康福祉部医療政策監の池田千絵子参考人、箱崎委員の代理として日本歯科 医師会常務理事の高津茂樹参考人の2人の出席についてご異議はございませ んでし ょうか。               (異議なし) ○部会長 ありがとうございます。私から1点ご報告申し上げます。前回の 部会でご一任いただきました、平成18年度診療報酬改定の基本指針について は、本日の参考資料4としてお配りしております。医療保険部会と医療部会 との連名ということで決定し、事務局を通じて11月30日に中医協にお伝え いたしました。これにつきましては、ご熱心な討論をいただきましてありが とうございました。  議事に入らせていただきます。本日は、前回に引き続き医療部会における 議論の取りまとめについてを予定しておりましたが、その前に、昨日政府与 党のほうで、医療制度改革大綱が取りまとめられましたので、これについて 事務局から報告をしていただきます。併せて、11月30日に三位一体の改革に 関する、政府与党の合意もなされているということですので、医療提供体制 に関する部分を中心に、このことについても報告していただきます。 ○総務課長 資料1に基づき、医療制度改革大綱についてご説明申し上げま す。官房長官を座長にし、関係閣僚、そして自民、公明両与党の政策責任者 からなる、政府・与党医療改革協議会が昨日まとめたものです。これに基づ き、来年法改正が必要なものについては法案の形にして国会に提出し、国会 でご審議いただくことになります。法律事項でないものについては、予算な りあるいは通常の行政の中で実施していくことになります。  Iは改革の基本的な考え方ということで、今後も皆保険を堅持し、医療制 度を将来にわたり持続可能なものにしていく。そのために構造改革が急務で あるということです。具体的には1頁の1で、まず、安心・信頼の医療の確 保と予防の重視ということが書かれています。「国民の医療に対する安心・ 信頼を確保し、質の高い医療サービスが適切に提供される医療提供体制を確 立する」。次の行では、「今後は治療重点の医療から、疾病の予防を重視し た保健医療体系へと転換を図っていく」。2頁の2では、医療費適正化の総 合的な推進ということです。3段落目で「医療費の伸びが過大とならないよ う、糖尿病等の患者・予備群の減少、平均在院日数の短縮を図るなど、計画 的な医療費の適正化対策を推進する」。  3番目に、超高齢社会を展望した新たな医療保険制度体系の実現というこ とで、75歳以上の高齢者を対象にした、新たな高齢者医療制度を創設するこ とや、3頁で都道府県単位を軸とする保険者の再編・統合といった改革案が 盛り込まれております。  IIは各論になります。先ほど見ていただいた、基本的な考え方ごとに各論 が書かれています。最初に、安心・信頼の医療の確保と予防の重視です。1 番のところは、まさにこの部会にも関係してくる医療提供体制の関係です。 最初に、医師不足問題の対応とあり、3行目辺りから「都道府県ごとに医療 対策協議会を設置し、医学部入学定員の地域枠を拡大するなど、地域の実情 に応じた医師確保策を総合的に講じていく」ということです。地域医療の連 携体制の構築ということで、「医療計画において脳卒中対策やがん医療、小 児救急医療など事業別の医療連携体制を構築する」ということです。患者に 対する情報提供の推進ということで、「都道府県による医療機関に関する情 報提供を制度化する」。  また、遠隔医療の推進、4頁では信頼できる医療の確保ということで、E BMの推進や、第三者評価の推進、医療安全支援センターの制度化など医療 安全対策の充実。医療従事者の資質向上、終末期医療の患者に対する在宅医 療の充実ということがあります。医療法人制度改革についても、「公益性の 高い法人類型の創設等の医療法人制度改革を行うとともに、医療法人に必要 な会計の在り方について検討する」。2は予防の重視ということで、国民運 動の展開の中に「また、高齢期の健康確保のため8020運動を推進する」。次 のパラグラフは、生活習慣病予防のための取組体制ということの記載があり ます。  IIIは医療費適正化の総合的な推進です。先ほどの基本的考え方の2番目に 対応した具体策です。1のところで、医療給付費の伸びと国民の負担との均 衡の確保ということで、医療給付費の伸びに関して、糖尿病等の患者・予備 群の減少や、平均在院日数短縮などの中長期の医療費適正化対策の効果を基 にして、ここの7、8行に書いてあります。基本的には、厚生労働省試案で ご説明申し上げました、医療費適正化計画の考え方が維持されています。若 干変更になっている部分もありますけれども、基本的には取り入れられてい ると理解しております。  6頁の上のほうに注意書きがあります。政策指標を策定し、5年ごとに検 証するという表現がありますので、その辺に関しては注意書きにありますよ うに「医療給付の実績が目安となる指標を超過した場合であっても、一律、 機械的、事後的な調整を行うものではない。施策の効果を検証し、国民の負 担と安心に配慮しつつ、将来に向けて適時施策の見直しを検討する」とあり ます。いわゆる経済財政諮問会議から一時ご提案のありました、GDP比率 に連動した医療費の伸び率管理という提案についてはとらないという結論に 達していると理解しております。7頁に3として、短期の医療費適正化のた めの公的保険給付の内容、範囲の見直しということがあります。  9頁のIVでは、基本的考え方の3に対応した新たな医療保険制度体系の実 現ということで、高齢者医療制度の創設や、保険者の再編・統合のことが書 いてありますが、ここは割愛させていただきます。  13頁のVは診療報酬等の見直しです。これまでも、当部会でご議論いただ いてきたところですが、1のところにあるように、「平成18年度の診療報酬 改定については、賃金・物価の動向等、昨今の経済動向、医療経済実態調査 の結果、さらに保険財政の状況等を踏まえ、引下げの方向で検討し措置する」 ということになっております。  ただ引下げということではなくて、「改定に当たっては小児科・産科・麻 酔科や救急医療等の医療の質の確保に配慮する。また、急性期医療の実態に 即した看護配置を適切に評価した改定を行う」といったことが書かれていま す。14頁は、新聞報道でもなされていますが、中央社会保険医療協議会の見 直しについても一定の結論が出ています。  以上ですが、本来ならば大綱の取りまとめに際しては、あらかじめ本部会 のご意見をお伺いしながら進めるのが適当ではなかったかと思いますが、ご 覧のとおり医療提供体制の見直しにつきましては、8月の中間まとめをはじ めとして、本部会のこれまでの議論を踏まえた内容になっていると私どもと しては判断しておりますので、その点ご了承いただければと思います。  資料2は三位一体の改革についてです。1頁の三位一体の改革については、 平成18年度までに4兆円程度の国庫補助負担金改革、3兆円規模を目指した 税源移譲、地方交付税の見直しの確実な実現を図るということで、昨年来か らこの医療部会でもご議論いただきながら進めてまいりました。  今年度のノルマがあり、厚生労働省の割当てとして、当初5,040億円の補 助金の削減というノルマが課せられました。私どもも既存の補助金について は、今年度までに見直すことができるものはすべて見直しましたが、なかな か地方が要望しているような補助金の削減については困難であり、生活保護 制度の見直しによって対応したいということで、地方団体と鋭意協議を続け てきたわけですが、協議が難航し、結果として11月30日にまとまった内容 で決着をしたところです。  結論からいいますと、1頁の1の(1)総額のところにあるように、国庫 補助負担金の改革については、別紙1のとおり税源移譲に結び付く改革とし て6,540億円程度行うことになりました。詳細は後ほどご説明申し上げます。  2頁で各分野の内訳として、社会保障の分野で生活保護については先ほど 言いましたように協議が整いませんでしたので、今回の見直しの対象にはな っておりません。その代わりに、児童扶養手当あるいは児童手当の補助率の 引下げ等によって対応することになりました。  ハにあるように、施設整備費については、建設国債対象経費であるという ことで、財務省がこれを対象にすることについては難色を示しておりました けれども、最終的には、以下の国庫補助負担金については税源移譲の対象と するということで決着したところです。  3頁に4つある中の、上から3つ目に「地域介護・福祉空間整備等施設整 備交付金」とありますが、これが特別養護老人ホームや老健施設関係の施設 整備費です。このようなものを中心に、厚生労働省の補助金も対象になって おります。具体的には4頁に、厚生労働省全体の6,540億円の内訳があり、 厚生労働省はその中で5,290億円程度を改革することになっています。その 内容が概要に書いてあり、先ほど言ったようなところです。  この中で、医療提供体制関係の補助金については、6頁に廃止・縮減国庫 補助金(医政局分)ということで、総額85.3億円が先ほどの額の中に含まれ ております。なお、廃止・縮減と書いておりますので誤解のないように申し 上げますと、これは事業がなくなるということではありません。補助金を廃 止する代わりに、それに見合った税源を地方に移譲するわけですので、厚生 労働省としては引き続き必要な事業については、地方が責任を持って取り組 んでいただけるものと期待しております。  内容的には、経常的な国庫補助金として4つの補助金があって44.2億円。 施設整備費についても41.1億円あります。ご覧いただければわかりますよう に、そのほとんどが公立病院、あるいは公的病院を対象とした補助金となっ ております。こうした公立病院、公的病院はこれまでも救急医療をはじめと して地域にとって確保が必要な医療を中心に担ってきていただきました。今 後もこうした役割を当然担っていただかなければいけないわけですし、この 医療部会でも議論していただいておりますが、公的医療機関の、こうした医 療を担う責務規定を医療法に盛り込むといったご議論もいただいております ので、私どもとしてはこういう公立・公的病院を中心とした補助を今回見直 しの対象にしても、必要な事業は今後ともきちんと確保されるであろうとい う考え方もあり、ギリギリの中でこれを見直しの対象とさせていただいたと ころですのでご理解をいただければと考えております。 ○部会長 ただいまの説明について、ご質問等がありましたらお願いいたし ます。いまの説明にもありましたように、医療制度改革大綱については、8 月にこの部会として出しました中間まとめをほとんど踏まえて書いていただ いているようでありますので、あまりご意見はないかもしれませんが、それ でもなおかつという方があればお出しください。 ○佐伯委員 大綱の3頁の患者に対する情報提供の推進ですが、安心・信頼 の確保というところの中に盛り込まれているので、やや足りないという印象 があります。昨年の厚生労働白書に出ていた、国民の7割が医療に不安を覚 えていて、その原因の60.1%はコミュニケーションが不十分だからと挙げら れていたところを改善するのには、実際の個々の場面でのコミュニケーショ ン不足を改善する、ということが入っていないと、本当の安心・信頼には結 び付かないのではないかという気がします。もちろん、大きな枠でも情報の 提供をいただきたいわけですが、個々の場面でもということもきちんと入れ ていただきたいと思いました。 ○総務課長 こういう大綱というものは、どうしても細部まではなかなか書 ききれない性格のものですので、その点はなにとぞご容赦いただきたいと思 います。佐伯委員のご指摘は、まさにこの医療部会でもご議論いただいて、 本日の資料3の5頁にそうした記載を入れたつもりです。これは、8月の中 間まとめの段階で盛り込んでいただいております。  私どもとしては、大綱には大きな幹の部分を書いておりますので、医療部 会のご審議がそれを補うものとして、特に軽重の差はありません。当然医療 部会のご意見を踏まえて行政を進めていきたいと考えておりますので、どう ぞよろしくお願い申し上げます。 ○部会長 本日のメインは次の議題ですので、次に進ませていただきます。 前回の部会で、事務局から提出していただきました「医療提供体制制度改革 要綱(案)」を基に、この部会としての最終まとめについてご議論いただき ました。前回の会議での委員からのご指摘を踏まえて、8月の中間まとめの 内容も盛り込んだ形で、「医療提供体制に関する意見まとめ(案)」として、 事務局から案が示されておりますので、これに沿って議論を進めてまいりま す。できるだけ本日で最終まとめを行いたいと考えておりますのでご協力い ただければと思います。事務局から資料3と資料4について説明をお願いい たします。 ○企画官 資料3は前回のものからの見え消しで、資料4がそれを溶け込ま したものですので、資料3を使ってご説明いたします。前回、制度改革要綱 案という形でご審議をお願いいたしました。そうしましたところ、夏までの 議論の経過がちょっとわかりにくくなったのではないかというご指摘、前回 の議論の中で患者の視点が薄まったのではないか、先ほども佐伯委員からあ りましたけれどもコミュニケーション能力の話など、中間まとめに記載して いた内容がどうなったかわかりにくいということもありました。  今回は整理の仕方を変え、8月の段階では「医療提供体制に関する意見中 間まとめ」という文書をまとめていただいたところですけれども、そこから 「中間まとめ」という言葉を取った「医療提供体制に関する意見」という文 書に変えております。8月の段階で、部会としてこのように整理しましたと いう中間まとめは中間まとめとして立派に生きており、今回の最終まとめに なってもそれが消えてしまうというわけではありませんが、この段階で議論 全体が一覧しやすいようにという趣旨で整理し直したものです。  中間まとめに記載した内容については、基本的に盛り込むという形で記載 しております。もし転記漏れなどがあるかもしれませんのでご指摘いただけ ればと思います。1頁から順番にご説明いたします。  1頁の上半分ですが、中間まとめでも記載しておりました、「患者の視点 に立った患者のための医療提供体制の改革を基本的な考え方とすべきとの共 通認識のもと」という言葉を改めて強調して入れております。22行目から24 行目でこの意見を踏まえて厚生労働省は法案を提出する等改革に早急に取り 組み、着実に実施されたいという文章を入れました。制度改革要綱ではなく、 意見という形にした関係で、語尾に付けておりました「医療法」だとか、 「省令」だとか何を改正するか、というのは落とさせていただきました。  1頁のIの基本的な考え方については、中間まとめに記載してあった内容 を、そのまま2頁の20行目まで持ってきております。  2頁のIIは個別の論点についてです。1の「医療法の全体構造の見直し」 というのは、前回は「総論」と書いていたもので、内容のわかるような見出 しに書き換えました。いちばん下の行からの2.の患者・国民の選択の支援 については、3頁のところで、前回は「広告規制」をまず書いて、次に「情 報提供の推進」の順番に書いていましたが、そもそも「情報提供」というの がちゃんとあり、その上で2で行う「広告」についての話というのがここの 順序ということでありますので、(1)と(2)の順番を変更しております。 3頁については、その順番を変更したということで、若干の用語の整理をし ております。  4頁は、その他情報提供の推進策ということで、医療機関に関する情報提 供の話と、診療情報の提供の場面の話と一緒に書いておりましたけれども、 中間まとめのときと同様に(3)と(4)に分けて記述をし、前回の要綱案 に書いてあったもの以外に、中間まとめに記述があった(3)の4つ目の○ を記載しております。  (4)の1つ目の○は用語の整理をしたものです。2つ目の○については、 前回誰に義務づけるのかよくわからないということがありましたので、「医 療機関の管理者に対して」ということで、実際に説明をする方はいろいろな 方がおられると思いますけれども、義務づける対象は医療機関の管理者であ る、ということを明確にしております。33行目以降は中間まとめに記載して いた内容ですが、若干冗長だった部分は語尾を整理したりしておりますが、 そのまま記載しております。  5頁の11行目から14行目のところは、先ほど佐伯委員からご指摘のあり ましたことで、中間まとめにも記載してありましたけれども、今回また改め て記載しております。17行目からの3.の医療安全対策の総合的推進につい ても、前回は省令改正する6頁に書いてあるものだけを書いてありましたけ れども、中間まとめの段階でいろいろな考え方等を整理して記載していただ いておりましたので、その内容を5頁に○の3つで記載しております。  6頁では、医療の質と安全性の向上の観点からということで、中間まとめ の段階では(1)から(5)まで記載がありましたけれども、今回省令改正等でやる もの、あるいは安全管理体制、院内感染制御体制と書き分けたりしています ので項目数は増えていますけれども、中間まとめをベースに要綱に書いてい た内容を整理し直したものです。(6)は中間まとめにも書いてありましたし、 前の頁にあったものと同じような整理ですけれども、ここにももう一度書い ております。  20行目からは、医療事故等事例の原因究明・分析の関係で、これも中間ま とめにあった文章です。32行目からのものも同様に中間まとめからのもので ありますが、医療安全支援センターの医療法への位置づけを(3)に記載してお ります。10行目からの○、13行目からの○、17行目からの○も中間まとめか ら持ってきておりまして、責務規定を規定する、ということは中間まとめか らは若干文章を変更をしております。  22行目からの4.の医療機能の分化連携の推進の4−1の医療計画制度見 直しについて、1つ目の○は基本的な考え方ということで中間まとめに記載 していた文章を持ってきております。2つ目の○は前回と同様ですが、その 際に8頁の4行目からの文章で、医療連携体制の構築に関して前回の議論の 中で、1つは中心となって医療連携体制の構築に向けて調整する組織が重要 だということもちゃんと書いたほうがいいのではないかというご意見があり ましたが、これも中間まとめに書いてあった文章です。あるいは、こういう 中に住民がちゃんと入って議論することが大事だというご意見もありました。 赤字のところは、基本的に中間まとめの文章ですけれども、そういうことも 明確になるような形に修正しております。13行目からの○も、中間まとめか ら持ってきたものです。23行目からも同様です。  4−2の在宅医療の推進についても、31行目からの○以降、9頁の8行目 までは中間まとめの記述を改めて記載しております。10行目から22行目まで は、前回要綱案として記載しておりました内容です。24行目以降のものにつ いては、中間まとめから転載したものです。  10頁の4行目からの4−3のかかりつけ医等の役割についても、中間まと めから転載したものです。13行目と14行目については、前回の議論の中で、 診療所において昼間の開業時間だけしか対応しないで、夜になるとそこでは 対応できず、結局病院へ行ってしまうということがあるので、そこはかかり つけ医としての機能をもっと発揮すべきではないかというご意見がありまし たので、その関係の文章を考え方として2行追加しております。  4−4の医療施設の類型、医療施設に係る諸基準の見直しについては、 (1)の地域医療支援病院については、27行目からの○の後段のところにつ いては「承認要件を満たさなくなったらすぐに取消しを厳格にやる」といっ た、若干乱暴な行政運用的文章でしたので、「しっかり改善指導をして、そ れでも満たさない場合は」という形で、実際に行われるような運用を想定し た文章に表現を修正しております。  11頁で、「地域医療支援病院」「有床診療所特定機能病院」と並べていた のですけれども、病院は病院で1回まとめて書いたほうが順序としていいの ではないかということで、(2)と(3)は順番を入れ換えて、(2)で 「特定機能病院」にしております。ここについては若干文言の修正をしたり、 入院患者数に対する基準の話だということが明確になるような形での修正を しております。  (3)になった有床診療所については、12頁の16行目からの○の上の○ま でのところについては、前回残された論点についてという形でご審議いただ いた案のことですけれども、それについて前回の議論の中で慎重論が何人か の委員から出されておりました。  本日の参考資料1の3頁以降に、小方・小島・松井委員の提出意見とあり、 そこについては慎重にというご意見をいただいたところですので、ここにつ いては、「以上の有床診療所に関する制度見直しについては、有床診療所の 現状を機能分化の観点から十分に把握した上で判断することが適当であり、 提供される医療の質を担保する方策、20床以上という病院の病床数に係る定 義のあり方等を含め、地域医療支援病院とか特定機能病院等について議論を 検討する医療施設体系のあり方に関する検討会で検討すべきであるとの意見 があった」ということを記述いたしました。  前の頁に戻り、33行目で1行弱削っているところがあります。今回の有床 診療所に係る制度見直し全体の中で、この部分についてこの文章を付けてい るのは若干バランスを欠いているのではないかというご指摘がありましたの で、その部分を落としております。  12頁の(4)人員配置標準については、31行目からの○についてご説明い たします。「病院における外来患者数に基づく医師の配置標準」についての 論点は、中間まとめの段階でそれを検討すべきというのがあり、前回の審議 の際には事務局の案をお示ししながらご審議いただきました。  現在、病院の医師の配置標準というのは、外来患者数40人当たり1人プラ ス一般病床であれば入院患者数16人当たり1人ということで、病院全体で合 計して何人の医師が必要かという計算をしているわけです。外来患者数に応 じた計算の部分で数字が決まっているということは合理性がないのではない か、というご指摘をこの部会でいただきましたので、検討課題ということに なっていました。仮に40という数字に合理性がないということだとしても、 実際に外来の患者に対応する医師はいるわけですので、その人数を含めた病 院全体の医師数で、入院患者16人に1人というのが満たされていればいいと いう話にはなかなかならないだろうと思います。  現在、医療法施行規則でほかにはどうなっているかと申しますと、例えば 歯科の外来患者数に応じた歯科医師の配置標準は、病院の実情に応じて必要 と認められる数という規則になっています。眼科や耳鼻咽喉科だと40対1で はなくて80対1となっています。こういうことを参考に検討したわけですが、 必要と認められる数、方式にした場合に、配置条件に関する情報提供とどの ように組み合わせれば、「入院患者16人に1人」の部分の確認が可能かとい う案を作るにはなかなか至らない。  そもそも、外来患者数に対応した基準の見直しということが、紹介患者を 中心とした入院機能が大病院に求められている中で、大病院の外来診療のあ り方との関係でどう考えるか、という論点もあるということがあります。12 頁の31行目からの○とその他諸々含めて、「病院における外来患者数に基づ く医師数の配置標準については、医師に応召義務があること等から、規定を 置く合理性が乏しいのではないかとの指摘がなされている。このため、医療 法施行規則の当該規定の必要性については、紹介患者を中心とした入院機能 を求められる大病院における外来診療のあり方や、医師の配置状況に関する 情報の患者への情報提供等との関係も含め、医療施設体系のあり方に関する 検討会において、併せて検討する」という文章を提案させていただいており ます。  13頁の5行目からの○は、中間まとめから転記している内容です。そもそ も人員配置基準、人員配置標準についての今後のあり方ということで、情報 の開示を含めた、11行目から「情報の開示を含めた医療の安全や質の確保を 担保できる別の方策との組み合わせによる何らかの見直し」というところは 今後の方向性としてあるところで、そういうところも含めた検討が必要にな るものと考えております。  14行目からの(5)その他(共同利用等)は、中間まとめを転載したもの です。30行目からの薬局は前回と同様です。14頁の5行目からの公的医療機 関のところについては、前回は一文でずらずら書いてあったので文章が非常 にわかりにくいというご指摘をいただきましたので、今回は2つの○に書き 分けて「へき地・離島等における診療や救急医療などその確保が特に求めら れている事業の実施を通じた地域医療の支援を、医療法上公的医療機関の責 務と位置づけ、公私の役割分担を明確にする」ということが1つです。  その上で、こういう事業を実施するよう、「公的医療機関の開設者・管理 者に対して、ここに掲げたような事業を実施するよう命令する権限を医療法 に新設する」という2つのことが書いてあります。この2つを明確に書き分 けました。  14頁の17行目からの5.の母子医療・救急医療・災害医療・へき地医療体 制の整備については、16頁の19行目までになりますが中間まとめから転載し たものです。16頁の22行目からの6.の医療法人改革について、最初の○は 中間まとめからの転載です。33行目からの○については、前回のご指摘を踏 まえ、社会福祉法人等の他の非営利法人の要件を参考にするのだということ を明記しております。  17頁の8行目からの7.は、中間まとめに書いてありました医療を担う人 材の養成に関する記述を持ってきております。(1)人材の養成ということ で持ってきておりますが、21行目からの○の薬剤師については中間まとめに は記載はありませんけれども、医師・歯科医師・看護と同様薬剤師について も今回記述しております。  (2)医療に従事する者の資質の向上ということで、18頁の最初の○は要 綱としても書いてありましたけれども、考え方を17頁の最後の31行目から の○で記載しております。18頁の最初の○で3行目に「等」と付けておりま すのは、医師等だけでなく、いくつもの職種がありますので、医業だけでは ないということで「等」を付けております。9行目の○は中間まとめを踏ま え、また秋以降の検討会での議論の結果ということで2行追加しました。12 行目からの○も、中間まとめからの転載です。12行目の後半から13行目にか けて、「薬学教育6年制における実務実習の円滑な導入及び薬剤師研修の充 実」ということ、後ろのほうに「薬剤師、」の部分は追加をしております。 18行目から及び24行目からの専門医に関する記述は中間まとめからの転載で す。  29行目からの8.の医師偏在問題の対応については、最初に中間まとめに も記載してあった考え方のことを4行記載し、19頁の5行目からの3行は、 制度改革要綱案にも記載してありましたが、これに関連して参考資料3「小 児科・産科における医療資源の集約化・重点化に関するワーキンググループ 取りまとめ」があります。1頁めくると、「小児科・産科医師確保が困難な 地域における当面の対応について」ということで概要です。最初の○にある ように、早急な対応が求められているということで、関係省庁で医師確保総 合対策を8月にまとめ、さらに3省庁プラス有識者の参画を得て、ワーキン ググループを設けて具体的な実現に向けての検討を行ったということです。 ワーキンググループは3頁にあるように、3省庁に加えて、学会、医師会、 病院会、全日病院協会等からの参加をいただいた形での討議をしていたとこ ろです。  1頁に戻りまして、その結果小児科・産科においての対応ということで、 3つ目の○で全国における各地域に対して一律にという話ではなくて、医師 確保が困難な地域での緊急避難的な措置として、一定の集約化・重点化を図 っていくのが有効な対策だということで、その具体的な進め方についての手 順等をまとめたものです。  考え方及び計画の策定、そして関係者がどのような役割分担で進めていく のがいいのかということをまとめたものが4頁以降の文章で、概要が1、2 頁です。こういうものをまとめ、都道府県が中心となってそういう対策をご 検討いただきたいということをまとめたところです。  19頁に戻り8行目から「具体的には医師偏在が問題となる地域において、 公立病院を中心とした医療資源の集約化・重点化を推進することが当面の最 も有効な方策と考えられることから、後述の関係省庁連絡会議の下に設けら れた小児科・産科における医療資源の集約化・重点化に関するワーキンググ ループが、平成17年12月に取りまとめた小児科・産科医師確保が困難な地 域における当面の対応についての内容に従い、関係者の検討を踏まえて都道 府県が計画を策定し、関係者の協力の下これを実施することが必要である」 という文章を入れております。  上記のほか、医師確保総合対策で、いま申し上げました地域医療に関する 関係省庁連絡会議がまとめたものを、具体的な確保対策に取り組む必要があ るということを記載いたしました。  20行目からの9.の医療を支える基盤の整備については、20頁の最後まで 若干の文言の調整はしておりますけれども、中間まとめに記載した内容を転 載しているものです。ご説明は以上です。 ○部会長 ただいまの説明に対するご質問も含め、意見交換をお願いいたし ます。 ○土屋委員 うっかりしていたのですが1頁の29行目の「医療は我が国社会 の重要かつ不可欠な資産である」というのは、「資本」のほうがよろしいの ではないでしょうか。確かに資本の一部をなすのでしょうけれども。 ○部会長 中間報告で、一応「資産」となっていたということですが、もち ろんここで訂正してもよろいのですが、資源とは言わないですね。 ○土屋委員 資源というのは具体的なものですから、言うなら資産でしょう。 ○企画官 国民財産という意味合いで、資産という言葉を使っていたのだと 思います。 ○土屋委員 というだけではなくて、健康で生き生きした国民は、健全な国 家の、あるいは富国の源泉になるわけですので、その基になるのは資産では なくて資本が有効に投じられることによってそうなるであろうということで しょう。資産というのもその一部をなすとは思いますけれども、もっと卑近 な例でいいますと、土地や預貯金が目減りしてしまったとか、値下がりした という話はありますけれども、医療がそういうことであってはならないわけ です。これが基で、もっと大きな方面への発展につながる資本になるのだろ うと思います。 ○部会長 文系の方、どなたかご意見はございますか。宇沢弘文先生は医療 を英語の論文で「capital」というふうに使っておりますが、これは資本なの だろうと思います。 ○松井委員 私は別に反対しているわけではないのですけれども、資本とい うことであればそれから何かを産み出すというイメージが付いてくるのでは ないでしょうか。別に資産であってもそんなに問題は感じないという感触を 持っています。土屋委員の説明を聞かないと、普通の人はわかりにくいとい う感想だけを持ちました。こだわるわけではないのですけれども、わかりや すさはどちらなのかを考えていただいてもいいのかという気がしただけです。 ○土屋委員 何かを産み出すということならば、それは資本のほうがよろし いですね。 ○部会長 財産というような感覚のほうが強いように思います。中間報告に 入れたことですし、一応このままでいかせていただこうと思います。 ○佐々委員 言葉だけの問題ですけれども、1頁の17行目「以下のとおりと りまとめることとする」というのは、「以下のとおりとりまとめた」でいい のではないかという気がします。 ○部会長 そうですね、それでは「とりまとめた」にします。 ○古橋委員 9頁の24行目辺りは、在宅医療推進の項目です。24行目の書き 出しは「主治医をはじめ多職種が」云々と書かれております。中間取りまと めでは、この前に「訪問看護サービスの充実・普及、薬局薬剤師の積極的な 関与、医療機関における退院調整機能の促進など」という言葉が入っており ました。薬剤絡み、あるいは退院調整などは、ほかの領域でも文語で別で入 っておりますけれども、「訪問看護サービスの充実・普及」という言葉を是 非とも復活させておいていただきたいと思っております。  在宅医療の推進という点では、今後具体的検討をされていくと思います。 その辺りを、具体的な項目で明記しておいていただくことが、訪問看護の充 実・普及という点で大事な項目であるという認識を一層していただきたいで す。是非中間取りまとめの文章の復活をお願いしたいと思います。  2点目は人員の件です。「特定機能病院に関しては入院基本料を上げる」 と明記されております。国民の安全とか、特定機能病院という医療最前線の 現場として、当然ながら大変いい傾向と思っております。そこに関連して、 現在この時点では1.5対1とか1対1ということをここに書くことは無理が あるとしても、この引上けが2対1止まりで終わったのでは、夜間の体制は とてもではないけれども改善ができません。是非とも1.5対以上であるよう に、診療報酬の規定の中で、財源を増やす要素があってもなくても、ここは 皆様に実現を図る方向で、この部会としても大事な意見の1つとしておいて いただきたいと思っております。  3点目は、12頁の24行目に絡んで入院配置基準です。私は、度々夜間体制 の患者に対する危険度、あるいは安全性が保てない点を発言させていただき ました。ここでは消えてしまっておりますけれども、中間取りまとめでは、 「医療の質の向上や医療安全、医療の高度化等に関する観点から、看護職員 等に関し、夜間帯の体制確保も考慮して、人員配置基準を充実させることに ついて引き続き検討することが必要である」と書かれておりました。  やはり、現実的には夜間体制ということの安全性という点から、配置の充 実は本当に喫緊の課題で、避けて通れないことですので、ここの文言を復活 していただけないか。その必要があると思っておりますので、26行目からの 後に、中間取りまとめの看護職員に関連した人員配置として盛り込み、復活 させておいていただきたいと考えます。  4点目は、18頁の人員の確保というよりも、医療に従事する者の資質の向 上です。今回のまとめでは9行目に「看護師の資質を確保し」ということで、 「新人看護職員研修について検討する必要がある」と書かれました。これは、 看護職にとっても、また看護職確保・定着に関しても前進であると思ってお ります。  これも私は何度か発言いたしましたけれども、これと不可分の状況の中に、 基礎教育の充実ということは避けて通れないわけです。この辺りについて新 人看護職員研修の前に、「基礎教育の内容の充実と新人看護研修について検 討」と入れていただきたいのがたってのお願いです。 ○部会長 いま4点おっしゃったのですが、最後の基礎教育は文部科学省の 領域ですね。 ○古橋委員 看護の基礎教育機関としては、大部分が厚生労働大臣が指定を する養成所の割合が高いです。大学教育はもちろん文部科学省ですけれども、 看護の基礎教育のカリキュラム等々は保助看法下の指定規則に定まるもので、 これは厚生労働省の管轄下のことが多いです。 ○部会長 その点についてお答えいただけますか。 ○総務課長 古橋委員のご指摘の点で、訪問看護サービスの記載の問題、夜 間の看護体制の問題、看護基礎教育の問題の点については、特段私ども事務 局として他意はなく、中間まとめには記載があるのですが整理をし忘れてお りました。各委員の先生方にご了承いただければ、古橋委員のご指摘のとお り、中間まとめには記載がございますので復活させたいと思いますがいかが でしょうか。 ○部会長 それは、あまり問題ないと思いますのでよろしいですね。 (異議なし) ○部会長 最後の看護基礎教育の点については、看護課長からお願いします。 ○看護課長 看護基礎教育については、現状は看護大学もありますが、まだ 我が国の看護職員の養成は、厚生労働大臣指定の養成所で行っているほうが 主流で、約7割はそちらで教育されております。文部科学省と厚生労働省が 共同で所管しております保健師助産師看護師学校養成所指定規則があります ので、それらを検討する際には文部科学省と共に検討させていただくことに なろうかと思います。 ○古橋委員 3年でやっている基礎教育の養成所の現場は、本当に悲鳴をあ げています。これは内容が増えていることと同時に、看護学生の気質も含め て時間が本当に足りないです。したがって実務演習等々が結果的に非常に少 なくなっております。卒業して現場へ出たときの実践能力のあまりのひどさ、 乏しさというのは、結果的に看護技術力の足りない新人ナースたちが現場で 働くことになっております。  そういう点では、新人職員の臨床研修と同時に、基礎教育も含めて内容を 充実させていただくことが、国民の安全面からも、国民の期待に応える点か らも本当に大事ではないかと思っております。是非ともよろしくお願いした いと思っております。 ○部会長 部会長があまりしゃべってはいけないのでしょうけれどもどうな のでしょうか。私の耳に入ってくるところでは、養成所の3年卒の人のほう が実技には長ているという声もなくはないのです。いまのことをもっと詰め ていけば、3年でどこまでやれるのか、もう1年延長するしかないのではな いかという話にもなってしまうのかということ。それから、私は個人的にか つて大学におりましたので、基礎教育の問題といい、医師のほうも、文科省 にはいろいろ言いたいことがあるわけなのです。ですから、そこのところは ある程度、ご意見は承りますが、実際には今後の課題と思います。 ○総務課長 私が間違った説明をして、夜間の看護体制と訪問看護ステーシ ョンについては中間まとめに記載がありますが、看護基礎教育の問題につい ては中間まとめには記載がありませんので、今回新しい提起だということで す。もう1つ、文部科学省のほうとの協議というか、相談も必要かと考えま す。 ○看護課長 前回、ご報告させていただいた「医療安全の確保に向けた保助 看法等のあり方の検討会」の中の、新人看護職員研修の議題では、いまご指 摘のような看護基礎教育の不十分さはかなりご指摘いただきました。従って、 その報告書の中では、看護基礎教育の現状と問題について検証すべきである といったご提言もいただいております。私どももそうしたことに関して、実 際に検討を進めなければならないと認識はしているところです。 ○部会長 いまの点は田村課長に拾っていただいて、実践の場でやっていた だくということでよろしいでしょうか。 ○尾形委員 修正意見ではなくて要望ですが、10頁、11頁、12頁の辺りを読 むと、「医療施設体系のあり方に関する検討会」という言葉が随所に出てき て、地域医療支援病院、特定機能病院、あるいは人員配置基準等、重要な事 項の検討が委ねられることになるわけで、非常に大きな責務があるのだろう と思います。それで、要望ですが、この検討会での検討に当たって、医療提 供側の都合や論理ということではなくて、まず何よりも医療サービスの受け 手の立場に立った検討を是非お願いしたいということが1点です。それから、 検討に当たっては、医療施設体系全体における整合性をとることを意識すべ きだということ、それから国際的な動向、あるいはグローバルスタンダード を十分踏まえた施設体系を目指すということをお願いしたいと思います。以 上、要望です。 ○小島委員 いくつかあるのですが、1つに絞って発言させていただきます。 取りまとめ意見の11頁にある有床診療所の件です。ここについては前回私も 発言をさせていただいたが、意見が分かれるところだったと思います。12頁 になお書きで意見があったと追加していただきました。先ほど課長からご紹 介いただいた参考意見を、意見書として3名連記で出しております。有床診 についての現段階での48時間の撤廃、そして構造基準なり配置基準を適用し ないままの地域医療計画、基準病床数へのカウントということについては時 期尚早である。本来であれば20床で区分をしている病院と診療所のあり方も 含めて検討すべきという意見です。  「48時間の規制撤廃を踏まえて」ということで、11頁の(3)の有床診の 2つ目の○の所で、他の医療機関の医師との密接な連携、あるいは入院患者 の緊急時に適切に対応できる体制の確保ということが記載をされております。 本来であれば、患者の立場からすれば、48時間を撤廃する、しないにかかわ らず、現行でもこういう連携、緊急時への対応体制確保というのは当然必要 だろうと思っております。  もう1つ有床診の関係で、前回のこの部会の議論の論点として、「診療報 酬上のあり方」という項目がありました。今回特段記載されていないが、こ れについて、意見を言わせていただきたい。これも前回発言をしたところで すが、今回の当部会と医療保険部会で取りまとめた平成18年度診療報酬改定 に向けての基本方針の中は、在院日数の短縮を促進するような評価を、診療 報酬上すべきだということも指摘をされております。  それから、先ほどご紹介いただいた政府与党の大綱では、診療報酬につい ては引下げの方向で検討する中でも、医療の質の確保、あるいは救急医療の あり方、さらには看護配置といったところに評価すべきだと指摘がされてお ります。いわば診療報酬改定については、メリハリの利いた改定をすべきだ という指摘だと理解をしております。この有床診の診療報酬のあり方につい て、有床診は短期の入院という役割が前提だと思います。そういうことを前 提としたメリハリの利いた診療報酬上の評価なり検討が必要だろうと思いま す。これについては今回の意見書の中には触れないと思いますので、是非、 事務局から部会としてそういう意見があったことを中医協にご報告していた だければと思います。私は私の立場から、中医協で発言をしたいと思います ので、よろしくお願いします。 ○部会長 いまのあとのほうはご意見ですからよろしいと思いますが、最初 におっしゃった点はどうでしょう。修文が必要なのか。確かに廃止を踏まえ なくてもちゃんとやってくれということではあるわけですが、廃止するのだ からなお一層というのは、そういう書き方、読み方をしていただければ、あ えてこのままでもという気がいたします。いまの点に関して、どなたかご意 見はありますか。 ○三上委員 有床診の医療の質の確保という意味合いでは、当然いまご指摘 のようなことだろうと思いますが、いままでの議論の中で有床診が地域の多 彩な医療ニーズに柔軟に応える、日本の医療文化として非常に優れたシステ ムである、日本独特のものであるということは御理解いただいているものと 思います。また、先ほど尾形委員のほうから、グローバルスタンダードに合 わせた施設体系をつくるようにということでしたが、有床診の体系は他国に あまりない形で、なおかつそれが非常に機能しているという実情があります ので、その辺のところも考慮していただいて、日本の土壌に合ったといいま すか、国性に合った形のもので理解をしていただければと思っております。  ただ、先ほどご指摘がありました施設体系のあり方に関する検討会議をす るということですが、いつするのか、いつまでに結論を出すのかということ は、ある程度書いていただくほうがいいと思います。というのは、第5次医 療法改正は来年行われて、再来年の平成19年春ぐらいに施行されるのが普通 だと思いますが、そういった内容には診療報酬、あるいは医療保険制度等の 絡む部分があり、施行時期についてもかなり急がれるということもあります ので、できる限り早くこの検討会議を立ち上げて、結論を導いていただきた いと思います。 ○部会長 いまの点は、もちろん文章に書き込む必要はないですが、できる だけ早くやるのは決まっていますので、是非、事務局にそうお願いしたいと 思います。 ○杉町委員 いまの有床診療所ですが、これは1頁に書いてあるように、我 が国の重要かつ不可欠な1つの財産だろうと思いますし、日本の文化でもあ りますし、やはりこれは大事に育てなければいけないだろうという感じを持 っております。10頁の地域医療支援病院ですが、ここに管理者責務、あるい は承認の取消しということが書いてあります。現在、地域医療支援病院は全 国で100余りあると思いますが、数からいくと9,000余りある病院の中の1% 強です。10万ある有床・無床診療所のうち100ですから、1,000に対して1 ぐらいの割合で非常に足りないし、地域医療支援病院という初期の目的をま だまだ果たしていないだろうと思いますので、最初の所にこれを充実する必 要がある。あるいはこれを充実することによって、1つの地域で医療が完結 できるようになるなど、1行何か書いていただくと、地域医療支援病院の重 要性がはっきりしてくるのではないかと思います。よろしくお願いいたしま す。 ○部会長 これはよろしいですか。 ○箱崎委員(代理高津参考人) 10頁の所の4−3の「かかりつけ医等の役 割」ですが、以前の医療計画の見直しのほうでは、かかりつけ医、かかりつ け歯科医、あるいはかかりつけ薬局、薬剤師等、国民にいろいろな機能が見 えない、あるいは実情が見えないので、そこのところは特に国民にわかりや すく、そういった機能を伝える必要があるという意見がだいぶありました。 7行目の所に、「医師として、その普及」というその前の辺りに、「医師と して、国民にわかりやすく、その普及・定着を図る必要がある」と、「国民 にわかりやすく」という言葉があると、現場では非常に行動がしやすいので はないかと思いますので、ご検討願いたいと思います。 ○部会長 そういう文言を入れるということですか。事務局、これはよろし いですか。 ○総務課長 かかりつけ医については、この部会でもいろいろご議論があっ たところですので、この場で少し委員の先生方にご確認いただければと思い ます。 ○部会長 特にご意見がなければ、よろしいですか。先ほどの杉町委員のこ とは入れてよろしいですね。 ○村上委員 その点は決まっていないから、今度の検討会で討議をやるとい うことになっているのです。私も杉町委員と同じ意見で、本当はそうやるべ きだと思うのです。しかし、この地域医療支援病院のあり方が、単なる開業 医の支援であるという考え方と、地域の中核病院とまだ全然コンセンサスが できていないのです。それで地域支援病院という形が出てきてしまっていま すので、そこで検討会をやるということになっているのです。ですから、そ の文章を入れたら、最初からもう決まっていることになってしまうのではな いでしょうか。 ○部会長 失礼しました。おっしゃるとおりで、とにかく検討会に任せるこ とが結構あるということなのです。よろしければ、ほかのことでどうぞ。文 章を変えるか、単なる意見かだけは、はっきりおっしゃってください。 ○佐伯委員 11頁の特定機能病院のことについてですが、17回の部会のとき に参考人にいらしていただいたということと、それまでの意見の集約みたい なものを書いていただいていました。意見の集約の所で、私も何度か申しま したが、一般の国民の方は大学病院へ高度な医療を受けるつもりで行ってい る。ところが、そこで出会うのは、まだ資格を持っていない学生であったり、 未熟な研修医の人であるということで、その意味でわかりにくいということ があったと思います。いまのそういう混乱といいましょうか、2つの目的を 背負わせていることによって引き起こっている、いろいろな国民の側の不安 であったり、不信であったりという現状を見直しといいましょうか、それを 少し整理していくということが必要ではないか。それで1つ項目を作ってい ただいて、あり方に関する検討会で十分ご議論いただければと思います。 ○部会長 これはやはり検討会マターなのですね。 ○佐伯委員 はい。 ○部会長 ここには高度な医療の範囲だけと書いてありますが、そうではな くて全体も。 ○総務課長 11頁の15行目に、まさに検討会でどういう観点から検討してい くかということの下りがありまして、「今後、検討を進めていく必要のある 専門医の育成のあり方」という記載をした趣旨は、佐伯委員がいまおっしゃ ったようなことも含めて書いたつもりですが、十分でなければ少し書き加え ます。 ○部会長 先ほど資格のない者が診察するとおっしゃいましたが、特定機能 病院でそれで終わってしまうことは絶対にないと思います。学生が見学とか 予診をとっても、必ずそれは最終的には熟練した医師が結論を下すというの が特定機能病院で、それは昔からそうです。特定機能病院、特に大学附属病 院では、学生の教育や若い医師の指導という使命を負っているわけですから、 そこのところは患者さんにむしろ理解していただくことが必要だと私は思っ ております。 ○村上委員 その点について、佐伯委員が前からおっしゃっていたので、私 も1度言いたいと思っていたのです。ウィリアム・オスラーという有名な臨 床学の人がおっしゃったようなのですが、「教育のない病院は一流病院でな い」ということで、教育を通じてその病院のレベルが上がっていく。それは 必ず患者の視点に立つわけです。教育をしながらその病院のレベルが上がる ということで、決して資格もない人間が患者を診るということではないので、 我々医師、病院関係者としては、むしろ教育をやっている病院ほど良い病院 であると考えております。 ○佐伯委員 その趣旨はよくわかるのですが、それをやる場所が、日本の中 でも極めて高度な医療技術、専門性を必要とする病院であらねばならないと いうことはないと思うのです。医育機関の病院と高度な専門的なことをする 病院と、分けていてもいいのではないでしょうか。何も無理矢理一緒にする ことはないのではないかと。 ○村上委員 それは確かにおっしゃるとおりだと思います。しかし、現実に いままでの日本の医学部のあり方から、そういう形が出来てしまったのです。 それを根本的に変えるのは大変難しい。教育と研究を全く分けろ、あるいは 高度医療を分けろというのは大変難しいし、高度医療をやっている所は、今 度逆にさらに学生だけではなくて、専門医を育てるためにまたやらなければ ならない。いずれにしろ、高度なことをやっている所は、教育というのはど うしても無視できないところだと思います。高度先進医療をやればやるほど、 それもやはり教えていかなければならないのではないかと思います。 ○佐伯委員 専門医として、ある一定レベル以上の研修を高度な病院で担う のはとてもよくわかるのですが、それ以前のところをどうしてやらなければ いけないのか。 ○松井委員 私は、佐伯委員のご指摘はもっとものような気がします。ただ、 実態としては、特定機能病院がいま大学病院プラス国立のセンター2つがた またま重なっているところで、結果的にそのような問題が起きているのだと 私は認識をしております。ですから、特定機能病院というのは、いまの範囲 だけでいいのか、特定機能病院そのものについて、本当にどういうあり方を 求めるべきなのか。その場合、大学病院以外にも担ってもらう必要があるの かどうかということを、次の検討会の中で検討してもらえればいいのではな いかと思っています。その意味で、ここにどうしても書いておきたいとか、 そういう気持があるかもしれませんが、その検討会の場面で、ここで出た意 見を踏まえて検討してほしいことを伝えておけばいいのではないかと考えま す。  あと、佐伯委員のご指摘は先ほど尾形委員がおっしゃられたような、患者 から見たとき、どのようにあってほしいかという視点の中で見ることによっ て、解決していくべき問題だと思います。そして、村上委員からのご指摘の 医療を提供しながら医者を育てなければいけない医療機関としてはどういう あり方があるのか。それを両方併せた形で解決を図っていくべき問題なので はないかと私は思っております。 ○部会長 よろしいですか。確かにそういうことだと思います。ほかに何か ありますか。 ○鮫島委員 2頁の所に「現行の施設規制法の性格の強い医療法については、 患者の視点に立ったものとなるように」云々と書いてありますが、従来の医 療法のあり方でなくて、その上にも書いてあるように、医療サービス法みた いな形で全体を見直していただきたいということが1つです。  もう1つ、12頁の人員基準の問題について、若干意見を言わせていただき ます。いままでここでいろいろと議論されてきて、医療制度改革の方向とし て、医療の安全と質の向上をさせながら、しかも医療の効率化を図ることが 求められているわけです。そのために、医療の機能を各医療機関が明確にす る、あるいはそれを国民に広く知らせる、あるいは機能連携を図るといった ことで、それを実現しようというように私は理解しているわけです。そうい うことからすると、医療機関というのはかなり多様化してくるはずですから、 そういう中で一律に人員基準を決める、施設基準を決めるというのは、不合 理性がかなり出てくるのではないか。したがって、将来的には数や構造では なくて、その病院がどういう機能を持っているかによって人員基準等を考え るというように、考え方を変えていく必要があるのではないかと思っていま す。  特に医師に関しては、要するに病院の中でもいろいろ傾斜配置をする必要 があるし、診療科によっていろいろ違いますし、一律に決めることは現実的 にはあまりないのではないかと思っています。どうしてもそれが必要であれ ば、診療報酬でそれを決めるなど、いろいろな方法があると思いますし、そ れを国民に知らせるという点でも、情報公開を徹底する、あるいは院内に掲 示するなどいろいろな方法があると思いますので、そういったことで対応す べきではないか。とはいえ、入院や外来という全部を一遍に見直すのは非常 に難しいでしょうから、せめて外来の医師に関する人員基準については、現 状でもあまり根拠はないし、医師の仕事の内容から言って、40対1というの は現実にはあまり役に立っていないのです。  それと、これから在宅医療を推進していかなければいけないし、予防健診 などといったさまざまな仕事が増えてくるわけですから、そういった観点か ら考えると、この辺は全面的に見直しをしてほしいと。このままでいくと、 さらに矛盾は拡大していくのではないかという感じがしますので、是非、引 き続きこの件についての検討はしていただきたいと思っております。 ○部会長 これは事務局から何かお答えはありますか。 ○総務課長 鮫島委員のご指摘の点は、まさに13頁の2つ目の○に、そうし た委員からの問題意識は書かせていただいております。今後の検討事項だろ うと受け止めております。外来の医師配置標準の問題については、事務局の 努力不足もあり、今回なかなか整理案ができなかったということでお詫び申 し上げたいと思います。いずれにしてもここに書いてありますように、検討 会で検討していきたいと思っていますので、できるだけ早く結論を出して対 応していきたいと思います。 ○松井委員 いまの鮫島委員のご指摘は非常にもっともだと思いますし、患 者の視点から見たときに、情報公開を進めてくださるというのは大変ありが たいことです。そういうことをするためにも、今回の取りまとめではいちば ん最後のほうに書いてありますが、いわゆる医療分野における電子化によっ て、さまざまな形で情報の共有ができる仕組みに加え、こういうことを通じ て、ある程度医療の標準化が推進され、それぞれの医療機関でどのような形 の医療が提供されているのか、それがわかることが私は重要だと思います。 人員配置標準の問題については、参考資料1の私ども3委員の意見書の4頁 の所にも書いてありますが、将来的には廃止するにしてもそれをするに当た っては、廃止しても質がきちんと担保されているということが見える仕組み を早く設けていただくことを、医療機関の方々のご努力によって、是非進め てもらいたいと、私としては考えております。ですから、今回のまとめの中 で、医療連携体制をつくるに当たっても、まず基礎データを集めるというこ とではいちばん後ろの医療分野における電子化が非常に重要なものだと理解 をしておりますので、この点の医療機関の関係者の皆様のご努力を期待した いと思っております。  それから、今日で最後になりそうなので、最初のほうから戻って意見だけ を申し上げたいと思います。まず、広告規制の所については繰り返しをする つもりはありませんが、私どもは包括的規定であったとしても、基本的には ネガティブリスト方式への移行の1歩という理解をしておりますので、そう いう方向性で今後も議論をお願いしたいと思っております。さらに、重症度 を加味したアウトカム指標なども、できる限り早く進めていただきたいと思 っております。先ほどご指摘があったように、人員配置標準を廃止すること になった場合に、こういうことが国民の中に明らかになっているということ が重要だと思っております。さらに、こういうデータを積み上げて、重症度 も全部加味してきちんとやるには時間がかかるというのであるならば、広告 をする医療機関が「客観的なデータに基づいて、こういう結果を出していま す」という説明義務を付すことなどによって、どうしてそういう数値が出た のかということを明らかにさせて、それを公表、あるいは広告に使っていた だくというようなことが重要だと思っております。その際、医療機関には、 国民にとってわかりやすい説明を付してもらうようにご努力をお願いしたい と思いますし、そこには行政もできる範囲で支援をお願いしたいと思います。  次に、医療安全対策は是非進めていただきたいと思います。それも、私ど もは基本的にはまず医療機関ができる限りの努力をしていただくのが原則だ と思っております。それを診療報酬で対応するのかどうかは、医療提供側か らは中医協のほうで意見が出ておりますが、それはまた別途考えてもらいた いと思っております。それが2点目です。  7頁の医療計画の見直しの問題に意見を申し上げたいと思います。医療安 全の問題、あるいは医師の偏在、診療科の編在など、やはり解決していくた めには、この医療計画を地域のニーズを踏まえて、きちんと作っていただく ことが重要であろうと思います。ここにも書いていただいておりますが、そ のときには十分住民の側、あるいは国民の側から、あるいは患者からの意見 も踏まえた形での医療計画が現実の場面で作られるよう、是非お願いしたい と思います。現在も、医療計画が作られておりますが、東京都の医療計画の いわゆる患者代表の委員の方、そして多摩地区でも委員をやっておられる方 のお話を聞いたところによると、大体、行政が資料を揃えて持ってきて、医 療関係者がそれでいいと言うと終わってしまっていると。すべての県がそう か私は存じ上げませんが、そういうことがない形で進められるよう、是非、 仕組みもきちんと設けていただきたいと思います。  そして、もう1つ重要なことは、医療計画を作るときに国として大枠は決 めていただいて結構ですが、地域における工夫、柔軟な対応ができることを 阻害しないでいただきたいと存じます。それぞれの地域における医療計画の 中から、ほかの地域にも模範になるようなものが出てくるかもしれませんの で、できる限り地域の自主性が重んじられる、そういう仕組みを是非設けて もらいたいと思います。  もう1つ、16頁の医療法人制度の改革について、文章はこれで結構なので すが、私が懸念するのは、今回改正が行われる医療法において、本当に医療 法人が公益性がある方向に向かっていくのかどうかというのは、やはり少し 疑問な点があります。ここに「経過措置を講ずる」という形で書いてありま すが、本来、本当に公益性があって、非営利法人のみで行うということなら、 やはり出資額限度ということについてのきちんとした見直しを、将来的には 行っていただきたいと思います。経済団体の立場ですので、医療そのものの サービスがどういう形で提供されているのかということが明確になっている ということが踏まえられるのであれば、そこに株式会社が入っていけないと いうことはないと考えております。ですから、それは設立主体の問題ではな くて、どういう医療機関がどういう医療サービスを行っていて、それをどの ような形で国民・患者が選択できるか。そういう環境整備をできる限り早く 進めていただきたいと思います。大変長くなりましたが、以上です。 ○野呂委員(代理池田参考人) 全国知事会としての意見については紙で出 させていただいておりますので、改めて繰り返しはしませんが、いずれにつ いても修文ではなくて要望です。これまでにも発言させていただいたように、 この文章そのものを取りまとめたあとに、具体的な仕組みを作っていく段階 において、都道府県の役割をなるべく拡大する方向で検討していただきたい ということ。それから、役割を拡大するのであれば、そこに権限と財源とツ ールというものをセットで、きちんと作っていただきたいということを申し 上げたいと思います。  もう1点、これを踏まえて、これからいろいろな検討会で具体的なところ を詰めていただくのだと思いますが、細かいところを検討会で詰めていただ くと、その検討会の委員の専門の先生方が正確性を担保しようとして、緻密 な議論をしていただく結果、仕組みとして住民にとって非常にわかりにくい ものになることがあり得るのではないか、という心配をしております。特に いま医療計画の話が出ましたが、住民にとってわかりやすい医療計画を作る ことを前提に議論していただいてはおりますが、いま出ているようなものを 踏まえて作っていって、本当にわかりやすくなるのかという心配をしており ますので、ほかの分野についてもそうですが、仕組みを作って、実際に運用 したときに住民にとってわかりやすいかどうかという視点で作っていってい ただきたいと思います。要望でございます。 ○古橋委員 修文ではなくて意見ですが、12頁に関連した人員配置基準に絡 めて、31行目からは外来患者に対する医師数のことがこのように取りまとめ られました。これはこういう方向だと思いますが、併せて現在、受療者は入 院か通院か在宅かという形で医療を受けるわけで、通院の患者が在院日数の 短縮で非常に態様が変わってまいりました。また、医療側から言えば、外来 の状況は変わっているのと、診療録管理等も変わってきて、外来における看 護業務も大いにその内容の変革が迫られております。現行の医療法では、人 員配置は、外来患者30人に対し1人という規定が延々と続いております。こ れは大きく医療が変わっておりますので、増やす減らすという問題ではなく て、通院の患者により良いサービスを提供するという視点で、外来における 看護職員配置についても受療者の益するような方向で、是非検討していただ くことをお願いしたいと思います。 ○部会長 次々にいろいろな大事な意見が出て、今日の取りまとめは取りま とめとしてよろしいと思いますが、かえって宿題が多くなった感じがします。 先ほど鮫島委員がおっしゃった「医療サービス法」という言葉で、「サービ ス」は英語でそのまま使われているようですが、日本語に訳すと「奉仕」な のです。ですから、精神としてはまさに医療サービスなのですが、法律の名 前まで変える根拠は私は別に要らないかなという感じがしております。この 点、事務局で何かご意見はありますか。 ○総務課長 今回の部会の意見を踏まえて、これから法案の作成に取り組む わけですが、まだ内閣法制局の審査等が終わっておらずこれからですので、 確たることは申し上げられませんが、事務局の段階での案としては、今回、 法律の名称まで変えることについてはなかなか難しいのかなと。規制法とい う性格は基本的には変わっておりませんので、そこは名称変更は難しいかと 思っております。ただ、医療法は非常に古い法律ですし、読みにくかったり、 あるいはその後いろいろ4次にわたって改正しておりますが、整理も不十分 なところもあります。今回かなり幅広い観点から見直しを行うことになりま すので、この際是非、患者の視点に立って、できるだけわかりやすい内容に 再整理をしたいとは考えております。 ○佐伯委員 平成7年ぐらいの厚生労働白書に、「医療は社会のサービスで ある」と書かれていたと。私はそのときに初めて、厚生労働省がサービスと いう言葉を使われたなと思ったのです。ということは、私は医療という言葉 そのものにサービスが入っていると思っておりましたので、重ねて使う必要 はないのかと思います。 ○三上委員 先ほど経済団体の代表としてのご意見がありましたので、医師 会としての意見を述べさせていただきます。先ほど広告規制の見直しについ ての話がありました。患者の視点ということであれば、情報が多いほうがい いということなのですが、医療および医療機関に対する情報提供の推進とい うことは、当然我々としても推進をしていこうというつもりです。広告と医 療機関の情報、あるいは医療の情報というのは全く異なっており、広告はい わゆる提供者側の視点で出すということです。したがって、ここでアンモラ ルなことが起こってはならないので幾分の規制をするのだということで、こ の理念が出ているということです。経済団体の方は、広告をなるべくたくさ んして患者を集めたいという発想があるのかもしれないですが、広告と情報 提供というのは全く異なるもの、いわゆる発想は異なるものという考え方を しなければならないと思っております。  また、医療法人の問題ですが、医療法人制度ができて、いわゆる医療は非 営利であるという理念、配当しないということが謳われているわけですが、 株式会社は利益を上げて株主に利益を配当することが第1の正義です。医療 法人制度ができて、医療が非営利というのが定められたのは、国民皆保険制 度の中で、できる限り少ない財源で国民に適切な医療を提供するために、余 分な配当などといった部分に財源が取られないようにということで定められ たと、私は理解をしております。当然、医療保険にしても、公的な保険のほ うが還元率が高いことがわかっておりますので、こういった意味で、どこが 提供してもいいということではなく、国民皆保険という公的保険の中で、国 民に平等に医療が提供されるという中では、やはり株式会社はまずいのでは ないかという意見を述べさせていただきます。 ○部会長 時間もありますので、今日は大変活発に貴重なご意見を頂戴しま した。特に今後の検討に関して、いろいろ留意すべき点をたくさんいただい たように思います。一応この事務局案を基にして、意見の取りまとめについ てはいくつか修文にかかわる点をご提案いただきましたので、それも含めて、 もう一度事務局で必要なことを書き加えて修正をした上で、私が確認して最 終の取りまとめということにさせていただければと思いますが、よろしいで しょうか。               (異議なし) ○部会長 ありがとうございました。今日が21回になりますが、これまで委 員の皆様方の大変ご熱心な討議で、来年の医療制度改革に向けて最終的な取 りまとめを行うことができました。昨年の9月からですから、大体月2回ぐ らいのペースでまいったのでしょうか。忙しい中をご参加いただきまして、 本当にありがとうございました。私としてはタイムキーパーで、時々勝手な 意見を申しましたが、むしろ委員の方々の意見を伺って勉強させていただい たということで、そのこともお礼を申し上げたいと思っております。本日の 予定した議題は以上ですが、一応、最終的な取りまとめということになりま したので、本日は医政局長からお言葉を賜りたいと思います。 ○医政局長 いま部会長からもお話がありましたが、昨年の9月から再開し た当社会保障審議会医療部会は、ちょうど1年2カ月、1年余にわたりまし て今日で21回目ということで、大変長い間、そして頻繁にお集まりいただい ての熱心なご審議、本当に感謝を申し上げたいと思います。おかげさまで来 年の医療改革に向けた医療提供体制の考え方について、相当程度ご審議、ご 意見の取りまとめがお願いできたと考えており、当部会での患者の視点に立 った安全・安心で質の高い医療を効率的に提供する体制の構築という基本的 な観点から、患者への医療情報の提供体制、医療安全対策の総合的な推進、 医療計画の見直しを通じた医療機能の分化・連携、在宅医療の推進、有床診 療所の見直しなど、具体的な項目それぞれについておまとめいただき、幅広 い項目でご審議をいただきました。平成18年の医療制度改革に向けた方向性 ということで、本日は最終的なまとめをありがとうございました。  また、医療提供体制の見直しのみならず、今年になりましてからは中医協 の見直しに際して、当部会に診療報酬改定の基本方針の審議という新しい役 割が付加されたわけですが、皆様方のご協力によりその役目を果たすことが できたのではないかと考えており、これにつきましても改めて御礼申し上げ たいと思います。本日、取りまとめいただいた結果を反映させて、厚生労働 省において具体的な各種法律等の改正作業を行うことにより、患者と医療提 供者との信頼関係に基づいた、より良い医療の提供をできるだけ実現してい きたいと考えております。  また、今日ご報告申し上げた昨日の政府与党医療改革協議会が公表した医 療制度改革大綱においても、安全・信頼の医療の確保ということで、医師不 足問題への対応、あるいは地域医療の連携体制の構築などが打ち出されてお り、当部会での議論が反映されていると考えております。先ほど申しました ように、この取りまとめにおいて示された制度見直しが必要な事項につきま して、法律改正案を次期の通常国会に提出するなど、改革に早急に取り組ん でいきたいと思っておりますので、引き続きご協力、ご支援を賜りたいとお 願いをしたいと思います。大変長い間ご協力いただきまして、誠にありがと うございました。御礼を申し上げます。 ○部会長 どうもありがとうございました。閉会になりますが、その前に事 務局から今後のことでご連絡いただければと思います。 ○企画官 先ほどご審議いただいた医療提供体制に対する意見につきまして は、事務局のほうで修正作業をして、部会長に確認をいただくという手順を とりたいと思います。本来、会議の前半のほうで申し上げるべきでしたが、 参考資料2に「概要」をお配りしています。こうしたイメージのものを、部 会長に確認いただいた上で作成したいと思っておりますので、よろしくお願 いいたします。  この部会の今後のスケジュールですが、本日で取りまとめまでの審議は終 了ですので、年内はこれで終わりの予定です。本日のご意見を踏まえて、事 務局において来年の通常国会に医療法、医師法等の改正案を提出すべく法案 作成作業等を進めることにしておりますので、年明け2月ぐらいになるかと 思いますが、作業状況を報告させていただく会議の開催をお願いしたいと思 っております。日程につきましては、改めて調整させていただきますので、 よろしくお願いいたします。 ○小山田委員 この委員会もそうですが、この際、厚生労働省に是非お願い したいのは、労働基準法、特に病院の勤務医とは労働基準法はほとんど守ら れていないのです。守ろうとすると地域の医療が崩壊するということがあっ て、病院長も管理者も、そして官庁も、ただ指摘はするけれども、罰則を科 することはできないということで、実際の現場でも困っているわけです。そ して、そこの勤務医は、労働過重のために辞めて、個人開業、あるいはビル 診といった所に行くので、何らかの形で、あるいはどんな委員会でもよろし いですが、厚生労働省として、ここまでは守るべきだ、あるいはこれは絶対 にやってはいけないという指針を一刻も早く出していただきたいし、できな ければどの委員会でもいいですから、是非ご検討いただきたいということで す。 ○部会長 それは事務局に聞いていただいたと思いますから、よろしくお願 いしたいと思います。それでは、今年最後ということです。2月にお集まり いただくので、ちょっと早いですが、良いお年をお迎えください。これまで どうもありがとうございました。 照会先 医政局総務課 山口、野崎 連絡先:03−5253−1111(内線2518)