資料2

救急告示制度の見直しについて


救急医療提供体制の再構築に伴う救急告示制度の見直し

(見直しの背景)
 消防法(昭和23年法律第186号)第2条第9項に規定する救急隊により搬送される傷病者に関する医療を担当する医療機関は、救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)に規定された基準に該当する病院又は診療所から都道府県知事が認定したものとされている。
 このような中、現行の救急医療提供体制については、以下の課題がある。
(1)小児患者を含む救急患者の増加により地域において質の高い効率的な救急医療提供体制の再構築が求められていること
(2)医療計画の見直しにより今後は救急医療に関しても、各医療機関が医療機能を明示して機能分化を図ることにより、地域の実情に応じた望ましい医療連携体制の構築が求められていること
(3)救急医療に携わる医師の長時間労働の改善が求められていること
 以上を踏まえ、別紙の基準に沿った、質の高い効率的な救急医療提供体制を地域で再構築するため、救急告示制度の見直しを行うこととしてはどうか。
 なお、へき地など人口が少ない場合、都道府県知事は別紙基準を勘案して医療機関を認定することができるものとする。

(救急告示制度の見直しの方針)
 上記の背景を踏まえ、救急告示制度に関しては、以下の方針を下に見直すこととしてはどうか。
(1)新たに救急医療の機能に応じた医療機関の名称を告示できるようにすること
(2)新たな救急医療の機能については指標に基づいた基準を設けること
(3)新たな救急医療の機能について認定された医療機関は政策評価を通じて3年ごとに更新すること



別紙
  救命救急センター 入院機能を有する救急医療機関 初期救急医療担当医療機関
(1)構造
(人員)一定期間(三年程度)以上の救急医療の臨床経験を有し、専門的な救急医療に精通している医師が常時診療に従事していること。
院内の循環器、脳神経等を専門とする医師との連携があること。
夜間・休日の診療について、交代して勤務ができる体制を導入していること。
(人員)一定期間(三年程度)以上の救急医療の臨床経験を有し、救急医療に精通している医師もしくはその指導下にある医師が病院内で常時診療に従事していること。
(人員)救急医療を担当する医師が夜間・休日を含めて診療に従事していること。
(設備)高度な救命救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
重篤(重症で緊急度の高い)救急患者のために優先的に入院できる病床を有すること。
(設備)救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
傷病者のために優先的に入院できる病床を有すること。
(設備)救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
(2)過程
(連携)初期救急医療担当医療機関や入院機能を有する救急医療機関、消防機関との連携体制を構築し、医療計画上明示されていること。
メディカルコントロール協議会において中心的な役割を担っていること。
(連携)救命救急センターや初期救急医療担当医療機関、消防機関との連携体制を構築し、医療計画上明示されていること。
メディカルコントロール協議会の活動に参加していること。
(連携)救命救急センターや入院機能を有する救急医療機関、消防機関との連携体制を構築し、医療計画上明示されていること。
(研修)臨床研修医を年間4人以上受け入れていること。
救急隊員(救急救命士を含む)の臨床での研修を年間120人日以上受け入れていること。
(研修)救急隊員(救急救命士を含む)の臨床での研修を年間8人日以上受け入れることが可能であること。
 
(3)結果
(搬送)重篤救急患者の搬送依頼を全て受諾すること。
(搬送)入院診療を要する救急患者の搬送依頼を全て受諾すること。
 
(治療)重篤救急患者を年間365名以上受け入れる能力とそれに見合う実績を有すること。
(治療)入院診療を要する救急患者を年間365名以上受け入れる能力とそれに見合う実績を有すること。
(地域における複数の医療機関が輪番制で実施している場合には、当該医療機関全体でそれに見合う実績を有すること。)
(治療)夜間・休日の救急患者を年間365人以上受け入れる能力とそれに見合う実績を有すること。



救急病院等を定める省令
(昭和三十九年二月二十日厚生省令第八号)
最終改正平成一〇年三月二七日厚生省令第三六号

 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第二条第九項の規定に基づき、救急病院等を定める省令を次のように定める。

(医療機関)
第一条 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第二条第九項に規定する救急隊により搬送される傷病者に関する医療を担当する医療機関は、次の基準に該当する病院又は診療所であって、その開設者から都道府県知事に対して救急業務に関し協力する旨の申出のあつたもののうち、都道府県知事が、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の三第一項に規定する医療計画の内容(以下「医療計画の内容」という。)、当該病院又は診療所の所在する地域における救急業務の対象となる傷病者の発生状況等を勘案して必要と認定したもの(以下「救急病院」又は「救急診療所」という。)とする。ただし、疾病又は負傷の程度が軽易であると診断された傷病者及び直ちに応急的な診療を受ける必要があると認められた傷病者に関する医療を担当する医療機関は、病院又は診療所とする。
一 救急医療について相当の知識及び経験を有する医師が常時診療に従事していること。
二 エツクス線装置、心電計、輸血及び輸液のための設備その他救急医療を行うために必要な施設及び設備を有すること。
三 救急隊による傷病者の搬送に容易な場所に所在し、かつ、傷病者の搬入に適した構造設備を有すること。
四 救急医療を要する傷病者のための専用病床又は当該傷病者のために優先的に使用される病床を有すること。
2 前項の認定は、当該認定の日から起算して三年を経過した日に、その効力を失う。

(告示)
第二条 都道府県知事は、前条第一項の申出があつた病院又は診療所であつて、同項各号に該当し、かつ、医療計画の内容、当該病院又は診療所の所在する地域における救急業務の対象となる傷病者の発生状況等を勘案して必要と認定したものについて、救急病院又は救急診療所である旨、その名称及び所在地並びに当該認定が効力を有する期限を告示するものとする。
2 都道府県知事は、救急病院又は救急診療所が前条第一項各号に該当しなくなったとき又は同項の申出が撤回されたときは、その旨並びにその名称及び所在地を告示するものとする。

  附則


 この省令は、昭和三十九年四月十日から施行する。

  附則 (昭和六二年一月一二日厚生省令第二号)


(施行期日)
1 この省令は、昭和六十二年二月一日から施行する。
(経過措置)
2 この省令の施行の際現に改正前の第一条の規定による救急病院又は救急診療所である病院又は診療所については、この省令の施行の日から三年間は、なお従前の例によることができる。

  附則 (平成一〇年三月二七日厚生省令第三六号)


(施行期日)
1 この省令は、平成十年四月一日から施行する。
(経過措置)
2 この省令の施行の際現に改正前の第一条第一項の規定による認定を受けている救急病院又は救急診療所は、改正後の第一条第一項の規定により認定を受けた救急病院又は救急診療所とみなす。
3 前項の場合において、第一条第二項に規定する期間は、改正前の第一条第一項の規定による認定の日から起算するものとする。

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