第24例目の脳死下での臓器提供事例に係る
検証結果に関する追加報告書





脳死下での臓器提供事例に係る検証会議



目次


  はじめに

  ネットワークによる臓器あっせん業務の状況の再検証結果
   ・膵臓及び腎臓の移植希望者の選択に関する経過の概要とその評価



はじめに

 平成14年12月下旬に行われた第24例目の脳死下での臓器提供事例については、「第24例目の脳死下での臓器提供事例に係る検証結果に関する報告書」の公表後、平成17年3月16日に、社団法人日本臓器移植ネットワーク(以下「ネットワーク」という。)の臓器のあっせん業務の状況について、移植希望者の選択基準の運用に誤りがあったことが判明したことから、ネットワークから資料の提出を受け、あっせん業務のうち、膵臓及び腎臓のレシピエントの選択の状況について、再検証し評価を行った。
 本報告書は、再検証し評価を行った部分について、まとめたものである。



○ネットワークによる臓器あっせん業務の状況の再検証結果

膵臓及び腎臓のレシピエントの選択に関する経過の概要とその評価

 膵臓と腎臓についてはHLAの検査後、12月30日04:51よりレシピエント候補者の選定を開始している。また、法的脳死判定が終了した後、同日11:00より各臓器別にレシピエント候補者の意思確認が開始された。
 膵臓・腎臓の同時移植については、第1候補者の移植実施施設側が一旦膵臓・腎臓の同時移植を受諾するも、リンパ球直接交叉試験のB warm抗体が陽性であることを理由に辞退。第2候補者、第3候補者、第4候補者の移植実施施設側が膵臓・腎臓の同時移植を受諾するも、最終的に、摘出された膵臓に6箇所の石灰化を認めたため、膵臓の移植が見送られることとなった。
 左右の腎臓については、第1候補者は、候補者に心疾患があるため移植実施施設側が腎臓の移植を辞退。第2候補者は、候補者の現在の病状から移植実施施設側が腎臓の移植を辞退。第3候補者は、候補者の気持ちの整理がつかないことを理由に移植実施施設側が腎臓の移植を辞退。第4候補者、第5候補者の移植実施施設側が腎臓の移植を受諾し、順位通り第4候補者と第5候補者に左右の腎臓の移植が実施されている。

【評価】
 膵臓及び腎臓のレシピエントの選択手続について、膵腎同時移植希望者が選択されたものの、臓器摘出手術の開始以降に膵臓が移植に適さないことが判明した場合には、まず、膵臓移植希望者(レシピエント)選択基準で選ばれた当該膵腎同時移植希望者に対して腎臓のみの移植の希望の有無を確認するという手順を誤り、今回の事例においては、当該膵腎同時移植希望者に対するこの確認を行わず、腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準で選ばれた者に腎臓の移植を実施していた。
 平成17年2月16日に公表された「第24例目の脳死下での臓器提供事例に係る検証結果に関する報告書」においては、適正にレシピエントの選択手続が行われたものと評価しているが、再検証の結果、膵臓移植希望者(レシピエント)選択基準について、誤った運用が行われたことは適正ではなく、今後、ネットワークにおいては、膵臓移植希望者(レシピエント)選択基準を遵守し、適正にレシピエントの選択手続を行うべきと評価する。



〈参考資料1〉

脳死下での臓器提供事例に係る検証会議名簿

氏名所属
  宇都木 伸東海大学法学部教授
  川口 和子全国心臓病の子供を守る会幹事
  吉川 武彦国立精神・神経センター精神保健研究所名誉所長
  橋本 信也(社)日本医師会常任理事
  島崎 修次杏林大学医学部救急医学教授
  竹内 一夫杏林大学名誉教授
  アルフォンス・デーケン上智大学名誉教授
  新美 育文明治大学法学部教授
  貫井 英明山梨大学学長
  平山 正実東洋英和女学院大学人間科学部大学院教授
  藤森 和美聖マリアンナ医学研究所副所長
○藤原 研司埼玉医科大学第3内科教授
  柳田 邦男作家・評論家
(50音順/敬称略 ○:座長)



〈参考資料2〉

脳死下での臓器提供事例に係る検証会議
における第24例目に関する検証経緯


平成15年 4月17日  医学的検証作業グループ
 ・「医学的検証作業グループ」の決定に基づき、山田和雄 名古屋市立大学医学部脳神経外科教授、野口宏 愛知医科大学医学部救命救急センター教授、松田一己 国立療養所静岡神経医療センター第二脳神経外科医長が「脳死臓器移植に関する検証資料フォーマット」に基づいて実地検証。

平成15年12月22日 医学的検証作業グループ(第15回)

平成16年 4月 8日 医学的検証作業グループ(第16回)

平成16年 4月15日 第19回脳死下での臓器提供事例に係る検証会議
 ・24例目の救命治療、法的脳死判定等及び臓器あっせん業務を検証。

平成17年 4月13日 第21回脳死下での臓器提供事例に係る検証会議
 ・膵臓移植希望者(レシピエント)選択基準について誤った運用が行われていたことが判明したことから、第24例目の膵臓及び腎臓のレシピエントの選択の状況について、再度検証。



照会先:
 厚生労働省健康局疾病対策課
  臓器移植対策室
室長補佐 矢野(2366)
主査 高岡(2362)
代表:03-5253-1111
直通:03-3595-2256

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