05/11/30 中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織各分科会 平成17年11月30日DPC評価分科会議事録 05/11/30 診療報酬調査専門組織          平成17年度第4回DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成17年11月30日(水)15:00〜16:30 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 西岡清分科会長 原正道分科会長代理 池上直己委員 伊藤澄信委員        熊本一朗委員 齋藤壽一委員 酒巻哲夫委員 武澤純委員        田所昌夫委員 信友浩一委員 松田晋哉委員 三上裕司委員        山本義一委員 吉田英機委員 邉見公雄(中医協委員)オブザーバー        <事務局>        福田企画官 赤川薬剤管理官 佐原課長補佐 眞鍋課長補佐  他 (4)議題  ○ 中医協診療報酬基本問題小委員会における報告について        ○ 当分科会における検討事項について (5)議事内容 ○西岡分科会長  時間になりましたので、ただいまから平成17年度の第4回「診療報酬専門組織・DP C評価分科会」を開催させていただきたいと思います。  委員の出欠状況でございますが、本日は柿田委員、嶋森委員、谷川原委員、山口委員 より御欠席との連絡をいただいております。また、本日はオブザーバーといたしまし て、中医協委員でございます邊見委員に御出席いただいております。どうぞよろしくお 願いします。  それでは、まず資料の確認を事務局からお願いします。 ○眞鍋補佐  はい、それでは資料の確認をさせていただきます。封筒に入っているものを出してい ただきまして、まず座席表がございまして、その次に本日の議事次第がございます。一 枚ものでございます。次に本日の出欠状況、出席状況を書いた紙が一つございまして、 その次から本日の資料でございます。  「診調組D-1-1」といたしまして、DPC評価分科会報告。次にこれをめくってい ただきますと「診調組D-1-2」、こちらは7月から10月までの退院患者に係る調査に ついて(中間報告)。こちらは前回の分科会でお出ししたものと同様のものでございま す。それから「診調組D-1-3」と。それから次に新しい資料としまして「診調組D-2 」としまして、新規にDPC対象病院となる病院の基準について、これは2枚のもので ございまして、その後ろにホチキス留めで幾つか基準を、数を基本にしたものがござい ますが、入院料・特定入院料・加算等算定病院数というものをつけてございます。そし て一番最後、これは一枚ものの紙でございますが、「診調組D-3」というのがございま して、包括評価の範囲の見直しについてというものでございます。以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。一応おそろいでございましょうか。  それでは議題に移りたいと思います。11月4日に開催されました前回の分科会では、 主に本年度のDPC基礎調査の中間報告について御議論いただきました。その後、分科 会での議論の内容につきまして、11月16日に行われました中医協診療報酬基本問題小委 員会におきまして私の方から報告をさせていただいたところでございます。また、その 際にあわせてDPCの中長期的あり方と来年度改定についての議論が行われておりま す。本日はその報告の概要を私の方から御報告させていただきますとともに、基本小委 の検討事項におきまして分科会で新たに検討することとされた事項がございますので、 それらについて事務局から報告していただき御議論いただきたいと考えております。  まず、中医協診療報酬基本問題小委員会の報告でございますが、そのあらましを御説 明させていただきたいと思います。お手元にございます資料のD-1-1をごらんいただ きたいと思いますが、これをもちまして御報告させていただきました。これは前回の11 月4日に行われました議論を踏まえて作成したものでございます。  それで、3ページ目にございます主な結果でございますが、これは在院日数の年次推 移ということで、こういう表をつくっていただきました。対象病院、試行的適用病院、 調査協力病院も在院日数が減少しております。その減少の要因でございますが、これは 診断群それぞれにおける在院日数の短縮が主でございまして、在院日数の短い診断群分 類に相当する患者さんが増加したということではないということで御報告させていただ いております。  それから、施設間の在院日数の差でございますが、特に対象病院では診断群分類のう ちで、在院日数の長い患者さんを主に扱っておられるという傾向が出てきておりまし て、これが対象病院の在院日数が他の病院に比べますと少し長い目にあるという原因に なっているのではないかということでございます。この在院日数から見ますと、在院日 数の短い診断群分類の患者さんを多く集めたということではなくて、入院医療の効率化 ということで各診断群分類のそれぞれの在院日数が短縮したということであるというよ うに報告させていただきました。  次の4ページ目でございますが、入院経路でございますが、救急車による搬送、それ から緊急入院の率と実数でございますが、どちらも率でみますと余り大きな変化はない のですが、実数で眺めますと救急車の搬送も緊急入院の数も増加しているということで ございます。  5ページ目の他院より紹介の患者さんの数でございますが、これも数といたしまして は増加しているということでございます。  それから退院先の状況が6ページのところに掲げてございます。これは退院先が自院 の外来というのが増加しているという傾向が見られております。それで転院の割合はそ れに伴いまして減少しているということでございます。退院時の転帰で、前回の議論で 問題になりました治癒と軽快でございますが、治癒と軽快の両方をあわせますと大きな 数の変化はないのですが、治癒が対象病院では平成14年〜15年にかけて大きく変化して いるということで、それ以後は大きな変化は認められておりません。治癒の方が少し減 少したのですが、軽快退院の方が増加しているということで、これは治癒と軽快につい て前回にも御議論いただきましたように、さらにどういう疾患がこれに相当しているの かということの調査を今後続けたいというように御報告してございます。  次に7ページ目の再入院率でございます。再入院率が増加しているという傾向が見ら れております。また、同一疾患でも6週間以内の再入院率も増加してございます。この 再入院に関しましては、今後特別調査として詳細を調査する予定であるということを報 告させていただきました。  次の患者構成でございますが、患者構成に関しましてはMDCの6の消化器疾患、肝 臓・胆道・膵臓疾患が数としては最も多いわけでございます。それでDPCの対象病院 ではそのほか耳鼻科疾患などが特に多くなっていたのですが、全体として眺めますと大 きな差はないということでございました。  最後に中医協の基本問題小委員会の方から御指摘をいただきました4つの点がござい ます。これに対する回答として、8ページにございますが、特に上段にございますよう に診療内容がよくなった、患者のためによい医療ができたという内容が見えないという 御指摘でございましたが、これに関しましてはすぐにはその内容が明らかになっていな いのですが、各種のアンケート調査によりますと退院患者の転院先の病院による評価、 それから患者満足度でも高い値を得ているということで御返答させていただいておりま す。  その次に、検査の外来移行が患者のQOL確保につながったのか不明であるという御 質問に関しましては、これは病院の入院のあり方がかなり大きく変わりつつあるという ことではないかと思います。在院日数自身が減少しておりますが、これはDPCが入っ たからすべて減少したというのはなかなか理由づけが難しいのですが、DPCの導入が それに寄与していることは確かではないかということで報告させていただいておりま す。  次の病床利用率についてのデータを示してほしいという御指摘があったのですが、こ れにつきましては全体的に調べましたところでは大きな病床利用率の変化は今のところ 見られていないということで御返答させていただきました。  DPC導入によって高度な医療が提供されるようにならなければ意味がないという御 指摘であったのですが、これに対して、私の方から特別に高度先進医療などの、前回の 調査の時に数としてはそれが増加しているというデータがございますので、必ずしもそ れが低下しているということではないのではないかということで説明させていただいて おります。それと、このDPCのいろいろなデータを公表するということ、これが今後 いろいろな方面からの御批判を受けるというために非常に重要ではないかということ で、この公表を進めていくということで報告させていただいております。これは既にホ ームページ等で公表されていると思います。最終的には今回の中間報告では、医療の内 容自身が低下したといったような傾向は認められないのではないかということで報告さ せていただきました。  この報告に対しまして基本小委の方ではまず2号側の委員から、再入院時の入院期間 がリセットされるのは非常に問題ではないかという御指摘をいただいております。それ からまた診断群分類のアップコーディングがあるのではないかというようなこと。医療 機関係数のあり方について検討すべきであるといった御意見をいただきました。また、 別の2号側からの御意見でございますが、報告内容はこのとおりであると認識している ということ。それから病院係数は出来高との関連をとっている以上、現段階では廃止で きないという御指摘もいただいたところでございます。  それからもう一つ、公益委員からでございますが、再入院調査につきましては再入院 と在院日数の関係を明らかにするような分析をしてほしいとのご意見をいただいていま す。これによって再入院の中身が少し見えてくるということだと思います。それで再入 院におきますリセットについて私の方から、化学療法などの場合には毎回同じだけの医 療費が必要になりますので、再入院も含めてすべてを一つの入院としてみるのはなかな か難しいのではないかというお答えをさせていただきました。またアップコーディング ですが、これにつきましては一応出来高で計算したデータもすべて出されておりますの で、もしこれを続けてやられますと逆にこの診断群分類自身のまじめにやっている医療 機関などにマイナス面が出てくるということで、出来高データがきっちりと提出されて おりますのでなかなかそういうアップコーディングはしにくいのではないかということ を申し上げておきました。また、同時に歯止めのための措置も必要ではないかというこ とを話させていただきました。  検査の外来移行についてでございますが、検査が外来にどんどん移行していきますの で、入院の点数が逆に下がってしまうことになります。そういう形になりますので、入 院医療と外来医療のあり方というのがさらに大きく変わっていくのではないかというこ とで説明させていただいております。これらの御指摘はいずれも非常に重要な御指摘で ございますので、来年度以降、当分科会でも議論を深めていく必要があるのではないか と思っております。  大体、私の方から基本小委の方に報告させていただきました内容は以上でございま す。もし何か御質問等がございましたら、あるいはコメント等がございましたらお願い したいと思いますが。どうぞ、三上委員。 ○三上委員  私もこの中医協のを聞かせていただきましたが、2号側から指摘をされました再入院 リセットの問題、アップコーディングの問題、調整係数の問題については同じ問題意識 を持っておりまして、前回の臨床外科学会でDPCに関するシンポジウムがあった時 に、アップコーディングについてはこの委員会の委員であります山口委員の方から、ア ップコーディングがあると。例えば肝硬変等についての合併症になったものがDPCが 始まったとたんにガラッと変わると。トータルとしては数は変わらないけれど、合併症 の比率がグンとふえたというようなことがありますと、当然2つか3つぐらいの例を出 されておりましたが、確実にアップコーディングがあるんだろうというように感じまし たし。  再入院につきましても、軽快退院がふえて治癒退院が減ったということと、あとは緊 急入院とか、あるいは他院からの紹介の入院の数全体がふえているけれど、比率とした ら同じか下がったぐらいということは、軽快退院をさせて自院の外来で抱え込んでおっ て、計画的再入院が行われているということが読み取れるというように思いますし。  調整係数自体も6%ぐらいの平均位置というよりは高めに設定されたものを、今後ど うなるかということでは平成22年になくすということが決定しておりますし、その辺の ところの考え方について調整係数をなくすと困るという話が前提で話を進めるというの も一つ問題だと思います。  また、ここの検討内容についてのいろいろなコメントが出ておりますが、DPCその ものに対するコメント、例えば診療データが蓄積されるとか、ベンチマークができると かいう、DPCそのものの元、DPC/PPSと言われる包括で支払った場合の弊害の 部分といったものが混在して議論されているために非常にわかりにくいという気がしま すので、その辺を整理していただいて、今回はDPC/PPSということを基本にやっ ていただくということの方がわかりやすいんじゃないかと。DPCそのものはいいとい うことは当然わかるわけですが、支払い方式を一緒にしたことによっていろいろなこと が起こると。モラルハザードが起こるということについて、やっぱり検証しておかない とだめじゃないかというように思うんですが。 ○齋藤委員  今、三上委員がおっしゃったことは非常に大事なポイントの数々だと思います。つま り、DPCそのものがだめなのかどうかということと、DPCで幾つか配慮すべき点が あるということで、それはまさにアップコーディング、御指摘のとおりであったと思い ます。例えばDPC導入当時、DICという疾病がむやみとふえた時期があるんです ね。これはまさにDICの包括点数が高いがためにそっちに流れてしまったということ でございますし。それから調整係数の問題、これも常に早く言えば喉に刺さったとげの ような感じで、いずれはなくすべきであろうという思いが非常に多くの人が持っていま す。  それから、やっぱりこれはなかなか議論のあるところですが、疾病別の一日当たりの 報酬がいいのか、1入院、DRG-PPSとして以前に施行されたような形の方がかえ ってよかったんじゃないかと、そういう議論も根強いものがあります。ただ、それらの 点を踏まえても今、三上委員が言われましたように、包括化支払方式というのはベンチ マークであるとか、あるいは医療の透明性であるとか、1号側委員であるとか、あるい は政財界などからも包括化された入院診療費の支払いというものを求める声が非常に強 いんですね。それに対して反論する余地というのは余りない。どんなシステムでも、例 えば検証が不十分な部分というのは常に残るわけですね。この部分はまだはっきりしな い面があるねとか、この部分は修正しなければならないねと。ただ、方向としてはこれ は諸外国を見ても包括支払方式をとっている諸国がほとんどであって、病院の入院医療 に関する限りはやはり包括化の道をどのようにして構築していくかという努力が、特に こういう委員会であるとか病院関係者には求められているし。  それからDPCにおいて将来、調整係数の変更などで病院の収入が保障されなかった としても、DPCはよい制度だと思うかと。これは日本病院会でのアンケート調査なん ですが、そうしましたら55%の病院長はやはり、DPCというのは本質的には非常に正 しい病院医療のあり方を志向しているものであると、これは収入とは関係ないんだと、 そういう意向をアンケート調査で示しておりますので、この委員会に課せられた課題と いうのは大変多いのかなと、そういうように考えております。 ○三上委員  今の日本病院会のアンケートですが、確かに55%がDPCに賛成という結果でござい ました。ただ、回収率が24%程度でございますので、全体としては12〜13%の病院長さ んがDPCに賛成だというように答えられたというように私たちは認識しております。 また、そのDPCにつきましても、DPCそのものということと、DPC/PPSの話 とはまた混乱しておりまして、DPCがいいと書いておられるのはやはりDPC自体が いいということであって、包括支払方式がいいということにはつながっていないという ように思っております。医療側としては基本的には必要な医療を適切に提供し、それに 対して適切な評価がされるということが一番望ましいわけで、ある程度のばらつきのあ る医療の提供に対して一定のと言うか、定額の診療報酬である包括というのは本来潔く ないと。今は一つの考え方としては、患者さんにわかりやすい診療報酬体系、ものの値 段であるとか、すべてのものが患者さんにもわかるようにする細かい明細書までつけろ という話がございますが、基本的には何をやったかというのがわかって、それがいくら ぐらいのフィーであるかということが患者さんにわかるということは、包括は逆の方向 だというように私たちは考えておりますし。医療を提供する側が過剰診療するか、過少 診療するかの話、モラルハザードの問題がどちらにもあるわけですが、過少診療に偏り がちな包括というのはあんまりよくない、望ましくないというように考えておりますか ら、包括の中でも出来高部分がかなり反映されるような形というのは望ましいと考えて おります。 ○齋藤委員  よろしいですか。これもまさに三上委員がおっしゃるとおりでありまして、過少診療 にいわゆる粗診粗療に陥る可能性ももちろん否定できないです。だけど逆に包括化の場 合には入院診療の査定というものはないわけなんで、過大診療に陥る可能性も非常に多 いんですね。多くの病院では医師の裁量権が非常に豊になって、結果的には患者さんに 早くよくなって早く退院していただくと。そういうことを志向せざるを得ないインセン ティブを持ったシステムなんですね。それで粗診粗療で患者さんが入院期間が長引く と、これは必ず周辺の診療所の先生たちは病診連携とか、係りつけ医制度が行き届いて おりますので、あそこの病院にはもう紹介できないと。そうなった時には平均在院日数 が短くなって、病床専有率が減った時には、もう病院は閉じざるを得ない状況に陥る と。そういう大変医の本道を歩むインセンティブを内包したDPCシステムだと思うん です。  そういうことで、どんな制度でも欠点もあれば未熟なところもあると。それを含めた 上で志向すべき道がDPCだというのは、多くの実際にやった人たちの感触ですね。確 かにアンケート率が低いとかそういうことはあります。これからもっともっと詳しくい ろいろ調べなければいけないと、そういうことだと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ。 ○酒巻委員  今、話されていることの内容は結局、包括化で医療の質がこれからどうなっていくか ということにかなりつながっていくことだと思いまして、それを担保する方法としては やはりしっかりと調査計画を立てて年次的に医療の質を我々として検証していくと、そ このところをつくり上げない限りはどこまで行っても議論というのは落ちないのではな いかなと思いますので。2つの意見が出ているとは思いますけれど、これからはそれを 継承していくということでいいんじゃないかと思います。 ○齋藤委員  ちょっとよろしいですか。比喩的な話になって申しわけないんですが、例えばたばこ の害について諸外国はもうほとんど早くから害を認識していたんですが、我が国では比 較的最近までたばこの生産者側が、肺がんとたばことの因果関係を100%証明するデー タはないと。それで、物事100%証明するというのは極めて困難なんですね。そういう 瑕疵のある点をとらまえて制度そのものを反対し続けるというのは、やはり新しい制度 の導入については慎重でなければいけないというように考えております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。非常に貴重な御意見をいただきまして、これは今後のDPC の展開に関して考えていかなければいけない問題だろうと思います。しかしこの分科会 の役割の一つは祖診粗療に陥っていないかということをチェックすることでございます し、それとDPCをやられている病院の細かなデータを公表していくということが非常 に重要な役割ではないかと思っています。それで、この調査結果がこれからのDPCの 方向を決めていくことになるのではないかと思います。  ただ、医療費云々に関しましては、これはもう一つ上の基本問題小委員会の方のお仕 事になってまいりますが、そういう方面へも影響を与えられるような調査結果が積み重 ねられていけば、この委員会としての役割は果たせるのでないかと考えております。あ りがとうございました。  ぜひともこの機会にという方がいらっしゃいましたら、よろしいでしょうか。どう ぞ、池上先生。 ○池上委員  データの公表について今後ともどういう、公表の方向ということは伺ったんですが、 具体的にどういうタイムスケジュールで、どういうところからより多く公表するという 御予定なのか、何かそれについて教えていただければと思います。 ○西岡分科会長  これは事務局の方からお願いできますか。 ○眞鍋補佐  はい、まず事務局でこの前考えておったことでございますが、そもそもこのDPCの 調査自体は非常に膨大なものでございまして、多大な御協力をいただいておりまして、 それをなるべく早く還元したいというようなことでございました。それで、前回のDP Cのこちらの分科会におきまして提出させていただきました資料につきましては、これ までよりもかなり分析して表にしたものを多くつくったつもりでございまして、それを まずホームページに載せるようなことをさせていただきました。それで今後、実はそれ よりも今後は対象範囲を広げていくべきではないかという指摘があることは承知してお りまして、そこは私どもとして今回報告させていただいて公表させていただいてちょっ と反応も見ながら、なるべく多くを出せるような形で考えていきたいと思っておりま す。そこは将来的にいついつまでにこれというのはちょっとまだ固まってはございませ ん。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。よろしいでしょうか。  それでは次に、基本小委において提出されました資料につきまして、このDPCの委 員会の役割ということも関連しておりますので、これにつきまして事務局の方から御説 明をお願いできますでしょうか。 ○眞鍋補佐  はい、それでは本日用意させていただいております資料の中で、診調組D-1-3、D PCについて、こちらの資料に沿いまして御説明をさせていただきます。  御説明の前に若干注釈をつけ加えさせていただきますが、本日のこの資料は既に先日 の11月16日の基本小委の方に提出させていただいて御議論いただいたものそのままのも のでございます。こういう資料を出しておきながら大変恐縮でございますが、この資料 の内容についての議論というか、文言がどうだということは、御質問以外で議論してあ り方を決めていくというのはこちらの分科会のミッションではございませんので、そこ はちょっと御留意いただきながらお聞きいただければというように思います。  それでは診調組D-1-3と、こちらでDPCについてというものでございます。一枚 目は今の制度の概要でございますので、こちらは解説を省かせていただきまして、2ペ ージ目、DPCの中長期的なあり方に関する論点というものをお示しさせていただきま した。基本方針といたしまして閣議決定では特定機能病院に導入するというようなこと が書かれてございます。  それで2としまして、DPCの中長期的なあり方に関する論点としまして、(1) (2)と設けさせていただいております。DPC制度による支払い病院の拡大というこ とで、当面、引き続き現行のDPC制度による支払い病院を急性期病院に拡大していく ことを検討してはどうかと。具体的には、地域において急性期入院を担う病院に段階的 に拡大していくことを検討したらどうか。さらに、対象病院の拡大に伴う影響評価の結 果を踏まえ、1件(1入院)当たり包括評価制度への移行可能性についても検討するこ ととしてはどうか。  次に先ほど来議論になっております調整係数でございますが、調整係数についてはD PC制度の円滑導入という観点から設定されているものであるということを踏まえ、D PC制度を導入した平成15年以降、5年間の改定においては維持することとするが、平 成22年度改定時に医療機関の機能を評価する係数として組みかえるなどの措置を講じて 廃止することを検討してはどうかと。  1ページおめくりいただきまして(3)でございます。DPC制度の適切な運営を担 保するための環境整備ということでございます。こちらはDPCに基づく診療報酬請求 に関する適切な審査及び診断群分類点数の適切な設定に資すると、そういう観点から診 療報酬請求時に詳細な診療行為情報及び点数情報が同時に提出されるような仕組みを構 築するため、次のことを検討してはどうかと。こちらは詳細な診療行為情報及び点数情 報を含む「標準的DPC電子レセプト」の確立。そして「標準的DPC電子レセプトデ ータ」の一元的な収集システムの構築ということでございます。  (4)としまして、DPC制度の有効活用ということでございますが、医療機関の機 能やコストの評価を行う仕組みとして、DPC制度を活用していくことを検討してはど うかということで書かせていただいてございます。  次に4ページ以降は、こちらは来年度の改定について具体的に検討すべき項目という ことでございます。次の1〜5の項目について検討を行うこととしたらどうかというこ とで、1〜5を書いてございます。1つ目が、診断群分類の見直しでございます。診断 群分類については、平成15年2月の特定機能病院への導入の際に柔軟に見直すというよ うに中医協で答申がなされております。平成17年の7月には、高額の薬剤等により出来 高点数と包括点数の乖離が大きい9つの分類について、出来高払いとしたところであり ます。その際、中医協の方では平成18年度改定においては適切な分類となるよう見直す というように宿題というか、こととされております。現在、これらの経緯を踏まえつ つ、診療専門家により構成される1〜16のMDCごとの作業班におきまして、医療資源 が同等であること、診療的に類似であること、分類の簡素化及び必要な部分に関しては 精緻化を行うこと。それからアップコーディングの防止という観点から診断群分類の見 直しについて検討を行っているところであると。その結果を踏まえて見直しについて検 討することとしたらどうかということでございます。  次に5ページでありますが、入院期間I・IIの設定方法の見直し。こちらは平成16年 度の改定におきまして、悪性腫瘍に対する化学療法など短期入院が相当程度あるような ものにつきましては、通常の設定よりも入院期間Iと言われるような診療報酬が高いと ころを短くして、入院期間の初めの方に高い点数がつくような形でメリハリを効かせた というような措置を講じたところであります。  それで平成18年度改定においては同様の措置でございますが、短期の入院が相当程度 多い脳梗塞ですとか、脳出血、外傷等の分類についても同様の措置を設けることを検討 したらどうかと。  次に3でありますが、包括対象患者の見直しとありますが、DPCに関する基礎的デ ータを収集するための調査期間、これは7月-10月の調査でありますが、7月-10月の調 査と言っておりますとおり10月までのデータでございますので、例えば10月が終わった 後に新規に保険に収載された薬剤等であって、高額なものを使用する患者については出 来高算定することを検討したらどうかということでございます。  次に4、こちらは今日の後の議論にかかわってくるところでございますが、包括評価 の範囲の見直しということで、閣議決定の基本方針におきましては包括範囲はホスピタ ルフィー的部分というようなことを基本的考え方としておりますが、こういう基本的な 考え方に基づきまして現行の包括範囲は下表のとおりとなっているところでございま す。ただ、この包括範囲のあり方については当分科会において技術的な検討を行うこと とし、その結果を踏まえ検討したらどうかということでございます。こちらは後で資料 を用意させていただいてございます。  次に6ページでございますが、対象病院の拡大について。こちらもこの後御議論いた だく内容でございます。対象病院等の位置づけの明確化についてでありますが、現行の DPC対象病院、試行的適用病院、及び調査協力病院という位置づけについて、DPC 対象病院及びDPC準備病院という位置づけに組みかえることを検討したらどうかと。 DPC対象病院については、現在の試行的適用病院62病院については新たに対象病院と した上で、現在の調査協力病院228病院のうち、一定の基準を満たす病院についても新 たにDPC対象病院とすることを検討したらどうかと。  次に新たにDPC対象病院となる病院の基準についてでありますが、新規にDPC対 象病院となる基準ですが、当分科会において急性期入院医療を提供する病院として具備 すべき要件等にかかわる技術的な検討を行うこととし、その結果を踏まえ検討してはど うかと。その結果、新たにDPC対象病院となる病院については、平成18年度改定の後 3カ月以内を目途として適用を開始することを検討してはどうかと。  そして4つ目の○でありますが、DPC準備病院についてであります。現在の調査協 力病院228病院の中で新たにDPC対象病院とならなかった病院のうち、引き続きDP C対象病院となる希望のある病院についてはそのまま引き続きDPC準備病院とすると ともに、平成18年度に新たにDPC準備病院となることを希望する病院については、上 記DPC対象病院となる病院の基準を満たした病院のみをDPC準備病院とすることを 検討したらどうかというような資料でございました。  こちらの3つ目の○で新たにDPC対象病院となる病院の基準につきましては、当分 科会におきまして技術的な検討を行うことにしたらどうかということでありまして、そ の方向で検討を進めたいと思っているところでございます。  以上、御紹介を申し上げました。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。今の御説明に関しまして御意見、御質問等がございますで しょうか。  一応、我々の分科会の方に包括範囲の見直しと、それから新たにDPC対象病院とな る病院の基準についてという2つの課題をいただいてございますが、特に問題はないで しょうか。  では、ありがとうございます。それではこれを受けまして、これから我々自身が検討 しなければいけない議題になると思いますが、先ほどこの検討事項が2つございます。 それで今申し上げましたように、対象病院の基準、それから包括範囲の見直しでござい ます。これらにつきまして議論を効率的に進めるために、私の方から事務局にお願いし ましてたたき台になるようなものを用意していただきましたので、それをまず事務局の 方から御説明をお願いして御議論をいただきたいと思います。では、事務局お願いしま す。 ○眞鍋補佐  それでは資料番号、診調組D-2という資料に沿いまして御説明させていただきます。  新規にDPC対象病院となる病院の基準についてというものでございますが、先ほど 読み上げました中医協資料より抜粋をしておりますが、新たにDPC対象となる病院の 基準についてはこちらの当分科会におきましてその具備すべき要件等に関する技術的検 討を行うことというようにされているところでございます。こういう基準につきまして 分科会長より指示がございまして、私どもで試みにこういう観点で御議論いただければ というようにつくらせていただいたものでございます。  2.でございますが急性期入院医療を提供する病院として具備すべき要件について、 次のような観点から検討してはどうかということでございます。○を4つ立てさせてい ただいております。一つは、十分な看護体制を有する病院であること。これに関しまし ては看護配置基準などが使用できるのではないかということでございます。現行では一 般病棟入院基本料なり特定機能病院の入院基本料を参考にしますと、2:1というとこ ろが一番厚い配置ではございますが、そういう十分な看護体制を有する病院であるとい うことではないかということです。  もう一つは、いわゆる急性期医療を担うような病院であること。ここはちょっと悩ま しかったところであるんですが、幾つか試みに選ばせていただいております。例えば救 急患者の受け入れ状況でありますとか、入院外来の比率・紹介率、特定集中治療室管理 料の算定状況、新生児特定集中治療室管理料の算定状況、ほかに救命救急入院料という のもございますが、一番上の「・」の救急患者の受け入れ状況とリンクするかもしれま せんが、こういうものの算定状況。急性期(特定)入院加算の算定状況、それから地域 医療支援病院入院診療加算の算定状況というような、これは診療報酬上の基準でござい ますが、こういうものが想定できるのではないかと。  次の○としまして、在院日数についてでありますが、当該病院の疾病ごとの平均在院 日数ということでございます。これはどういう趣旨かと申し上げますと、特定機能病院 のようなところであればオールラウンドにいろいろな疾病の方々がたくさんいらっしゃ ると思いますが、恐らく今後は拡大していくとなりますとその病院の特性というものが 出てくるのではないかというように考えておりまして、そういう時に一律に病院全体の 在院日数というものが評価の対象になるかどうかちょっとわからないなというところも ございまして、ここでは試みに疾患ごとに考えることもできるのではないかというよう にお示しさせていただいたところでございます。  その他考えられる要件についてということで、こちらの診療報酬の番号をふってござ いますが、D104病理診断料とか、L009麻酔管理料、あとは画像診断管理加算といっ た、これは放射線の加算でありますが、こういうものの算定状況なども参考にできるの ではないかということでございます。  それで次の資料に参考資料をつけてございまして、入院料・特定入院料・加算等算定 病院数ということで、こちらの資料のD-2の一枚目に書いてございますような、診療 報酬上の基準につきましてどんなものがあるかということを幾つか選ばせていただいて ございます。それと同時に、それぞれの病院から該当するかどうかということを届け出 ていただいてございますので、4月時点、調査に協力していただく最初の時点で、どう いう入院料なり加算を取っているかというところを単純に集計したものでございます が、こういうものをそれぞれつけさせていただいてございます。それと同時に、参考資 料の2ページ以降に入院基本料とはこういうものであるというのをつけさせていただい てございます。例えば参考資料の2ページでございますと、入院基本料では一般病棟入 院基本料がありまして、その中ではI群1、I群2というのがございまして、I群1とい うのが看護配置2:1以上、平均在院日数21日以内というような基準であります。それ で、こういうものが1ページの表になっております。  次に3ページ以降は、こちらは入院基本料加算でございますが、どういう加算があっ て、そういうものに関してどういう基準が設けられているかということでございます。 よく引き合いに出されますのは、例えば3ページの4つ目、急性期の入院加算ですと病 院の一般病棟に対する紹介率と平均在院日数、その他診療録管理体制等の有無を指標と する加算でございまして、紹介率が30%以上ですとか、平均在院日数17日以内と。  次の4ページをおめくりいただきますと、急性期特定入院加算というのがございまし て、今申し上げました急性期入院加算の要件に加えまして、例えば入院以外の患者数が 入院患者の1.5倍以下というようなことで、こういう要件が加わっているような加算も ございます。  それから5ページ以降は特定入院料としまして、救命救急入院料から幾つか入院料を 拾ってその内容というものを書かせていただいてございます。  それで最後に6ページでございますが、こちらは画像診断なり麻酔といったものでこ ういう加算とか麻酔管理料というものがございます。これらを参照していただきなが ら、今の対象病院、試行病院、調査協力病院がそれぞれどのぐらいの数が該当している かというのを参考までにつけさせていただいてございます。  こういう観点から検討してはどうかというようなものでございます。診療報酬のもの を取っておりますのは、非常に我々制度を担当している者として、こういう外形的な基 準でものを決められますと非常に判断がクリアであります。そういう観点からこういう ものを選ばせていただいたということでございます。  それでは本資料のD-2の方に戻っていただきまして、2ページ目でございますが、 診療録管理体制及び情報システムに関する要件についてということでありますが、診療 録管理体制についてということで、診療録管理体制加算というのを算定していること。 それから情報システムについてでございますが、標準レセ電算マスターというものがご ざいます。こういうものに対応してデータを提出していただけることを含めて、7月か ら10月までの退院患者に係る調査に適切に参画できること。これは私ども事務局として これは正直な話、必須の条件とさせていただきたいというように思っているところでご ざいます。  以上、まず新たに対象となる病院の基準について事務局で試みに整理したものを御説 明させていただきました。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。これは非常に重要な課題になりますので御議論をお願いした いと思います。どうぞ、齋藤委員。 ○齋藤委員  基本的には大変重要な項目を網羅しておられると思いますが、やはり一つ気になるの は、7月から10月までの退院患者に係る調査、それが例えば医療機関別調整係数とかそ ういうものに非常に大きく影響する調査期間になるわけですね。そうすると、疾病構造 から言えば、冬場になればインフルエンザもふえてくるでしょうし、病院1年間のあり 方を決める期間としてこれだけでよいのかという思いは常にあって、これは調整係数そ のものはちょっと喉に刺さった魚の骨のような感じなんですが、この期間というものに ついてもやはりバイアスの元になりかねないし、調整係数そのものについても納得感が 得にくい理由であるというように思います。  それと、極端なことを言うと、この期間が終わったら出来高に少なくなるジェネリッ クを導入してはどうかとか、そういう医の本道からは外れるようなインセンティブにも なりかねない要素を内包していると。これは恐らく事務的な操作とかコンピュータとか いろいろなことから言って難しいのですが、例え1年おくれであっても全期間について のデータを集める工夫はできないかとか、このずっと7月から10月ということが尾を引 いているのですが、ややこのDPCシステムの瑕疵となり得る要因ではないかと、そう いうように感じております。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ、池上委員。 ○池上委員  この案によりますと、現在試行的適用病院についてはDPC対象病院となるというこ とが前提となっておりますので、そうしますと少なくとも今の試行的適用病院が全部が クリアしている基準でないとフェアな話にならないと思いますので、これらのD-2に 列記していただいた基準のうちどこまで、特定機能病院を含めて、どこまでクリアして いるかということを見ないといけないと思います。それで、クリアしていないなら、そ れを新たな基準に課すということは適切ではないというように判断します。  それからもう一点は、確か調査協力病院になるにつけても条件があったと思いますの で、その条件については例えば看護配置基準についても確かあったと思いますし、ある いは必須の条件とされた電算マスターについても条件であったと思いますが、それらに ついては調査協力病院になることの条件になっていたわけですから、新たな条件として 課す必要はないと思いますので、その2点について事務局のお考えを聞かせていただけ ればと思います。 ○西岡分科会長  事務局、お願いします。 ○眞鍋補佐  はい、まず一点目に関しては少し議論が進んでいただいてからの方がいいかなと思っ てございます。事務局はここで見解を申し上げるのはちょっと出過ぎかなと思いますの で、そこはもう少し議論していただきたいと思います。  それで2つ目の調査協力病院の基準についてですが、こちらは今年の6月頃だったと 思いますが、基本小委の方で新しく調査協力病院となる病院についてということで。6 月15日の資料で、平成17年度に新規に調査の協力病院については、より正確な評価を可 能とすることへの要請が高まっているので、7月から10月までの退院患者に係る調査の すべての調査項目についてデータ提出可能な病院であって、これまでの調査対象病院と の整合や、調査の精度をより高めるという趣旨に合致する病院とする、ということで了 解が得られております。ですから、外形的にここで決まる基準というのは7月から10月 までの退院患者に係る調査にちゃんと参加できるということがきちんと決められており まして、あとはこれまでの調査対象病院との整合とか、調査の精度をより高めるという ようなことになってございます。これが17年度のものでございます。ただ、その前は16 年度、15年度というところはちょっと私どもはすぐには出てまいりませんが、池上先生 がおっしゃるとおり、こういうようなものというのを確か示したことがあったと思いま す。 ○西岡分科会長  よろしいですか。 ○池上委員  では次回にでもそれは、確か看護配置基準などについても例示があって、そしてそれ を参酌した上で新規の調査協力病院が決定された経緯がありますので、それがベースに なろうと思いますから、そこから議論した方が適当ではないかと思います。 ○田所委員  先ほど齋藤委員が言われた7月から10月までというのは、実は私たちもそれをいつも 言っておりまして、10月というのは多分多くの病院がそうではないかと思いますが、病 床利用率が一番悪い月ですよね。そこが入っているのは確かに非常に問題だと思いま す。  もう一つ、これは僕の基本的な考え違いかもしれませんが、病院数をこうやってふや していくということは将来的に日本の病院にもDPCを導入するんだという方向で行く のか、それとも調査のよりよいデータを集めるために病院数をふやしていくのか、どっ ちなんでしょうか。 ○眞鍋補佐  今の御指摘は非常に重要だと思っておりますが、基本小委の資料で中長期的なあり方 についてで御説明させていただいたとおりでございまして、まずは当面現行のDPC制 度の支払い病院を急性期病院に拡大していくことを検討したらどうかということで、急 性期病院に拡大していきますと。ただ、段階的に拡大していくことを検討したらどうか ということを当日御提案させていただいたということでございます。それで、その拡大 につきましては病院の類型もこれまでの調査協力病院、試行的適用病院という類型では なく、対象病院と準備病院という類型にしてはどうかというような御提案をして、その 方向で検討させていただいているところでございます。 ○三上委員  私はこのDPCを拡大していくという方向については非常に危惧しておりますのは、 先週別の病院団体の会に出た時に、やはり急性期の病院がDPCに乗りおくれると非常 に経営が苦しくなるというようなことをおっしゃっておりました。実際に今回も円滑に 導入するために調整係数をつくっているということは、今までより非常に有利な点数を 設定して呼び込むような形にしていると。それで社会保障審議会の医療部会で診療報酬 の基本的な考え方、基本方針についてですが、今までそういう診療報酬によって政策誘 導するということについては間違いがあるので、そうじゃなくてもう少し適切なものに しようと。先に政策があって、その政策に合うような診療報酬を適切につくろうじゃな いかということが決まっております。ですから、このように非常にDPCを有利な点数 を設定しておいて円滑に導入していくという形で拡大をするということについては、将 来的に調整係数がなくなるという話もありますので、実際に調整係数がなくなった段階 でどうなるのかということをまず実験して、本当にそれで経営が成り立つのか、あるい はモラルハザードは起こらないのかということをしてからでないと拡大の方向には行く べきではないと感じております。病院自身が自分の判断で自主的にDPCをやられると いうのは当然いいわけですが、医師会の立場としてはそういうはしごを外されるような ことがあった場合には非常に大変なことになりますので、その辺のところを危惧してお ります。 ○信友委員  DPCとDPC-PPSとは違う世界であるとすれば、DPCの世界ではベンチマー キングができるというのが、これは皆共通した認識ですよね。であると、その視点から すれば、二次医療圏ごとに見た場合にこのDPCの世界に入っていない二次医療圏があ れば、そこには積極的に手を挙げてもらうと。そうすることによってDPCがどんなも のかというのを皆が共通して論議できるようになると思うんですね。DPCを経験した 者同士で話しをしてしまうと、そういう考え方もあるでしょう、という形になってコミ ュニケーションがとれないから、二次医療圏でまだDPCに入っていない病院は積極的 に手を挙げてもらえませんかという要請をするのが一つ。  それから、これは協力病院でスタートしたから臨床研修指定病院ができた全員に手を 挙げてもらって、それでDPCの世界がどんなものかというのをそこでも経験してもら うと。そういう誘導が必要で、その後DPCが何をもたらすか、あるいはこんな副作用 をもたらすということがわかった上で、ではこれをどう使うかというのは次のステップ の話だと思います。何かやるために我々は下請け作業をしているわけではないと思いま すので。 ○原分科会長代理  DPCの一つの目的として質の向上があると思いますが、今ここに新しく拡大する病 院の基準としてナースの配置基準、これは非常に結構だと思います。そのほかに最近は 余り問題にされにくくなったいろいろな理由があるんですが、例えば病院の質として剖 検率なんかもやはり取り上げておかないと、先ほど信友委員が言われましたけれど、臨 床研修対象病院が今後こういう対象になるとするなら必要ではないかと思います。 ○齋藤委員  今後の方向性ですが、先ほど三上委員が言われたように、やはり当分は手挙げ方式と いうか、自分のところでやってみようという医療機関がエントリーしやすい状況をつく るということだと思います。というのは、例えばDPCのいろいろなデータが集積され つつありますが、100床以下の病院群のデータというのはほとんどないんですね。そう いうところでDPCを導入していった時に一体どういうことが起こるかということは、 ちょっとブラックボックスですね。それから、例えば特定機能病院、大学病院でも平均 在院日数はどこも非常に減ってくるんですが、それによって病床専有率が極端に減って おられる大学もあるんですね。それから逆に、これは主に東京などの大都市部ですが、 平均在院日数が短くなっても病床専有率は高いままであると。そういうことで病院の状 況によってDPCがもたらす影響というのは非常に多様なので、その辺のリスクとか、 どういう病院で導入した時にどういうことが起こりますよ、ということがかなり鮮明に なった段階で徐々に広げていくということで、その場合にも明らかにやはり病院の任意 の選択が認められる状況でないといろいろなところで齟齬を起こして、場合によるとモ ラルハザードとかそういうことも完全には否定し得ないと。そういうことだろうと思い ます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。このDPCが導入されてからいろいろな病院で、収益が上が ったという話が出ています。収益の面ばかりが表に出ていってしまっているところがあ るのですが。これは小委員会の時にもお話しさせていただいたんですが、収益が上がっ たというのはかなり今まで無駄をされていた部分が実際にあった、特に大学病院なんか は結構あったのではないかということで、その部分の効率化が少し収益につながったの で、本来はその収益を「収益が上がった」というのではなく、病院の医療の改善の方に もっと還元していただかなければいけないのではないかと思います。例えば在院日数が 短くなりますと医療労働者の負担がものすごく大きくなっているのですね。特にナース の数、医師の数もそうですが、それをふやす形にしないといけないのですが。ただ、収 益が上がったということばかりを表に出されるものですから、逆の効果になっているの じゃないかというように私は説明させていただきました。むしろそちらの方の面に力を 入れていただかないと、いい医療が続けられないのじゃないかなというようにお答えさ せていただきました。どうぞ、松田委員。 ○松田委員  一つまず調整係数のことですが、調整係数というのは非常にわかりにくい形になって おりますが、そもそもは何なのかと。これは各病院で行われた医療行為を積み上げた点 数が調整係数という形になっているだけですので、そうしますと今のような、いわゆる EFファイルという形でデータを出していただけるとすると、そのEFファイルの中に 入っている情報からその病院の機能を評価する係数という形で、多分調整係数の中に入 っているものが酌み出せるんだろうと思います。また、それをいわゆる研究としてやら なければいけないだろうと思っています。そういう意味で、調整係数というものがなく なるというよりは、むしろやはり調整係数をどのようにうまく機能係数化していくかと いうことが一つ課題だろうと思っています。  それで、そのための前提条件として、きょうの資料の中にもございますが、標準的D PC電子レセプトというのは非常に大事だというように考えております。この標準的D PC電子レセプトとは何かと言いますと、基本的には今のEFファイルというものがベ ースになってきますので、そうしますと今の紙レセプト以上に詳しいレセプトというこ とになりますので、そういうものが出せる病院ということがこのDPCに参加できる病 院ということになりますと、実は齋藤先生の方から今御指摘のありましたような通年で のデータを評価できる病院ということになりますので、そういうことで通年データへの 対応ということも可能になると思います。ですから、そういう意味で基準として支払い 対象病院もそうですし、調査対象病院としてもそうですが、この標準的DPC電子レセ プトが出せるということがやはり一番重要なポイントになるのではないかと考えており ます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。どうぞ御意見をお願いします。 ○吉田委員  これは先進医療専門会議でも問題になっているんですが、この基準が皆さんの御意見 として倫理委員会の存在が必要ではないかと。と言いますのは、結構DPCになりまし て抗がん剤なんかは表に出ないものですから、患者さんのために適用外でも使用せざる を得ないんですね。それは病院の支払いとか表に請求できませんのでやっています。そ ういうことが起きていますので、やっぱり倫理委員会の存在を義務づけないとなかなか そういう導入まで行かないんじゃないか。  もう一点、先ほど標準レセ電算マスターですが、これが厚労省から出ますが、このD PCになかなか手を挙げられないという病院から少々意見を聞きますと、業者がものす ごく高い金を吹っかけるのでなかなか導入できないんだと。ものによっては30万ぐらい でできるのを2千万払えというのがあるそうです。ですから、これは協力したいけれど なかなか協力できないという理由の大きな中に、業者のコストがものすごく高すぎると いう意見がありましたので。これは松田さんの研究班でやっていますので公表します が、そういう意見が非常に多かったので、それも十分に考慮してやっていただきたいと 思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。確かに導入に関してすごいお金がかかってしまうということ はあちこちで言われていることでございますので、これは共通のソフトをつくっていた だいて早く配っていただけるようにならないと、やりたいという御希望のところもやれ ないということになるのかなという気がします。ありがとうございます。 ○酒巻委員  対象病院となる病院の基準ということで議論されているわけですが、これは通年、つ まりかなり長い期間の間に、例えばその条件を満たさなくなった場合にはどうするかと いう議論もこの中には含まれていると考えてよろしいわけですか。 ○西岡分科会長  もちろんそれは出てくるんだろうと思います。だから、そういう意味である規準とな るものをここでいろいろな案を出しておいていただけるとありがたいと思っています が。今の吉田委員がおっしゃられました倫理委員会もございますし、医療の質の問題、 一番このDPC導入で問題にされましたのが粗診粗療ということですので、そういう面 でのチェックができるような項目もあった方がいいのかなと思っております。 ○酒巻委員  そういう意味では外部評価ということを定期的に受け入れるということは条件の中の うちの一つではないかと思いますが。 ○齋藤委員  一言よろしいですか。今、私たちの地域で考えると、外部評価は診療所の先生方は病 診連携とか、あるいはかかりつけ医制度によって病院外の医療のことは診療所の先生方 はすごくよく見ていらっしゃいますね。それから患者さんは帰ると、あそこの医療はど うだったということで、診療所の先生が把握しておられるんですね。だから、そういう 点では非常に手抜きは一切できないなというのが病診連携、あるいはかかりつけ医制度 も進行によって担保されているというのが実態でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。ほかにここに挙げられました項目以外で、ぜひともこういう ものを加えた方がいいんじゃないかというような御意見、あるいはこれは落とした方が いいんじゃないかという御意見がございましたら。松田委員、どうぞ。 ○松田委員  大体が急性期病院からこのDPCの支払い対象になってくると思います。そしてそう いう病院というのは多分非常に手術がふえてくる、それからインターベンション的な検 査がふえてくる、画像診断がふえてくる、病理診断がふえてくるということで、ここで 一つの点数加算が上がっておりますが、なかなかそういう麻酔科医とか放射線科医とか 病理医そういうものの配置のようなものを明示的に評価できるような基準が、あとは救 急、こういうものを明示的に評価できるような基準があった方がいいんではないかと思 います。 ○信友委員  齋藤委員も言われたことなんですが、このDPCの試行的適用病院を選ぶ時には相当 の病床規模というのがありました。だからその次に考えられるのは100ぐらいの病床を 持っているところでDPCがどのような影響を与えるか、与えないか。特にDPC対象 病院は多数の診療科があって構成されておりますが、甲状腺だけの専門病院、眼科だけ の専門病院、乳がんだけの専門病院がありますね。でもそういう診療科はDPC対象病 院の中の診療科にもあるわけですから、単科で100ないし150床の病院も、そういうとこ ろではどういう影響をDPCが与えるかを知りたいというのがあるから、ここにはない けれど100床規模の病院をそういうので入れてみたらどうかというのが非常に大事なこ とだろうと思います。 ○熊本委員  今、信友先生がおっしゃったような100床、単科に近い特定機能病院と違った診療構 成というところで調査協力に入っている病院が、ゼロではないかと思いますが、そうい うところを信友委員がおっしゃったように、そこの基準はちょっと特定機能病院の基準 とは違ってくると思うんですね。そういう意味で調査協力病院でどういう構成のものが あるか、ちょっと教えていただければと思います。 ○眞鍋補佐  データがございますので、どんな工夫ができるか考えてみたいと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。池上委員。 ○池上委員  先ほどお願いしてまだ議論が尽きないということでありましたが、現在の試行的適用 病院や特定機能病院を含めて、これらのを列挙した基準を何%充足しているかというこ とを次回御提出いただければと思います。と言いますのは、先ほど松田委員から御提案 があった、特に病理に関して、かなりの規模の病院でも常勤で配置するということは難 しい状況だと思いますので、仮に新規にDPC対象病院とする場合にそれを条件とした 場合には、既存の病院との間で条件が違ってくる事態を招きますので、今行われている ことを認めるという前提であるならば同じ基準を設けるべきだと思いますので、その点 からもそういう基準を設けるなら非常勤ということも考慮する必要がありますし、とに かくフェアな条件にもっていく必要があると思いますので、次回そういう資料の提出を お願いしたいと思います。 ○眞鍋補佐  ちょっと確認させていただきたいと思います。きょうの参考資料の方には私どもが列 記させていただきましたような基準につきまして、病院数、例えばDPC対象病院では 82のうち何病院がそれぞれの点数を算定しているか、そういう加算を算定しているかと いう数は書かせていただいてございます。例えば入院基本料と加算で申し上げますと、 入院時が管理加算など。それが対象病院であれば15病院が算定しておりますし、試行病 院だと62病院のうち11病院、調査協力病院ですと228の39という数が一応は出ているん ですが、算定状況というか、充足率とおっしゃっているのは、この数以外にどういうも ので出せばよろしゅうございますか。 ○池上委員  きょう御提案があったようなもの、麻酔科医とかそういうのもありますし。それから この中でどこまで、難しいところで、何%の病院があればこれは基準とすべきかどうか というと、どれについても100%ではないわけですね。その100%でない基準を例示的に 御提示いただいてもなかなか議論の収束は見出せないという点がもともとのこの数値を 見た時の私の疑問点です。ですから、それについてどう考えるべきかということがクリ アしないと、なかなかこういう質も、ああいう質もいいしという議論をしても、そこか ら先の具体的な基準設定というところまでは行かないと思いましたので、この数値をど う解釈するかということがもともとフローを拝見した時の印象だったわけです。それに ついてはほかの委員の方も、いろいろ新たな提案で、それについて可能な範囲で次回ま でに事務局にお調べいただくとして、ここにある規準でここまでの充足しかない者を果 たして新規にDPC対象病院とする時の条件としていいかどうかということについて若 干疑問がありますので、御意見をちょうだいしたいと思います。 ○原分科会長代理  池上委員と同じような意見なんですが、麻酔医とか病理の数は非常に少ないというこ と、これはもう現実なんですが、実際にDPCは特定機能病院についてはそれありきで 始まっております。しかし現実的には大学病院においても、ある大学病院なんかでは麻 酔医は教授だけしかいないと。あとはだれもいなくて、麻酔の時にはよそからまさに非 常勤で来てもらっていると。ちょっと信じられないような大学病院も存在しているやに 聞いておりますが。もう一回、特定機能病院ありきではなくて、そこからDPCの病院 はどうあるべきかということをもう一回調べ直すというか、基準を考えてそれから拡大 していかないと、特定機能病院は何でもいいですという話で今は進んでおりますが、現 実はそういうことがある。実際には大学でも麻酔医だけでなく病理医もいない、某病院 では産婦人科の医者がほとんどいなくなったとかそういう現実があるわけですから、そ こらあたりもきちんとぜひ今後拡大する上の自分のベースをしっかりしておいていただ きたいと思います。 ○武澤委員  DPCの対象病院という要件から、例えば急性期病院の機能を規定するというのはち ょっとおかしいと思います、急性期病院とか臨床研修指定病院の要件は何かというのは 別の基準だと思うんですね。だからDPCに参加するということは標準化されたデータ が提供できる病院であるということが私は唯一の条件だと思いますので、DPC側から そのように病院機能を眺めて分類化する、差別化するというのはちょっと変だなと。こ れは素朴な疑問です。  それから診療報酬の話にも関係するんですが、出来高払いの診療報酬体系にはもとも とコストに関連した根拠は少ないわけですね。だからそこのところは、松田先生のコス ティング分析に絡ませた新しい係数のあり方というのはあると思いますが、そういうこ とも含めてDPC対象病院の基準というものは一体何か、中身は何かというのをもう一 回考え直さないと、私はヘタするともっと上位の政策決定が先にされてすべての急性期 病院はDPC対象だという決定がされた場合にはここでの議論が無駄になる危険性があ ります。だからここでDPC側から病院の機能分化を評価をするのではなくて、ほかの 考えをされた方がいいんじゃないかと思います。  だから、三上委員の言っていることに私は正しい面が多々あると思っていて、この対 象病院となる基準のこととは直接関係はありませんが、そういうことも含めて本当に何 が要件なのか、それからDPCの対象というのはどういうものなのかということをもう 一回ちゃんと考えないといけないと思います。、ここに書かれた要件だけで規定してい くというのは無理があるんじゃないかと思います。 ○山本委員  私も今の御意見に賛成なんですよね。さっきから話を聞いていると、病院機能評価を 受診する時みたいな話になってしまっている。要するにDPCというのは病院の入院医 療をどうするかという話ですよね。だから機能とはまったく全然違う話のはずですよ ね。だからもっと原点に返って話しをするべきではないかと思います。だから、ここに 出ていますように、レセ電算を導入していればいいだろうと、それだけが最低の条件 で、参加したい病院があれば参加すればいい、そういうように思いますけれど。 ○齋藤委員  私が今、新宿区医師会の理事をしているもので、この間の医師会雑誌の巻頭に「診療 所の新しい役割」ということを書いたんですが、そこで期待される役割は今までのプラ イマリーケアというほかに病院の評価ということだと思うんですね。それは非常にその 病院の中身を診療所の先生方がよく見ておられて、それで質の悪い医療とか不適切な医 療というものについてはたちまちのうちに医師会の先生方の中に評価が広まって、紹介 率が減ってくるわけですね。そういう機能というのは非常に医療の質を担保する上で重 要で、このDPCにおいてもいろいろな条件とかありますが、そういうことを監視なさ るのが地域の診療所の先生方ではないかなと。先ほど酒巻委員からその外部評価が大事 ではないかという話がありましたが、場合によるとオープンベッドをやって診療所の先 生が直接病院の中に入ってこられるところもたくさんありますが、そういうことも含め てDPCが適切に行われているかどうか、あるいは身の丈に合ったDPC導入であるの かどうか、そういうことについて診療所の先生方からの非常に適切かつ真摯な御指摘を 受け止めるような何か工夫が必要ではないかなと。そういうことで多くの医師会の先生 方の水準も非常に高くなっていますし、患者さんの目を通して、そして診療所の目を通 して病院を評価しておられますので、そこをこのDPCの円滑かつ充実した展開のため にぜひ活用するような努力をしていく必要があるなと考えております。 ○池上委員  もう一つ原則論からすると、標準レセ電算マスターに基づいた審査の体制というのは 特に確立しているわけではないわけですね。つまり、これはここの当分科会で行ってい る退院患者に係る調査などのための集計されたデータの提出に活用されているだけで、 包括評価部分に関しての裏づけとしての個別患者の審査ということについてはまだ不問 に付されているわけですね。そういう点についてもこういう拡大という方向になればそ れなりの、この分科会でやるべきことかどうかは存じませんが、考える必要があるので はないかと思います。 ○西岡分科会長  確か一部では指導監査というような形も行われつつあるということは伺っております が。これは眞鍋さんから。 ○眞鍋補佐  事実関係から申し上げまして、例えば今すべてのレセ電算マスター情報が審査に使わ れているわけではございません。今のDPCのレセプトに基づいて請求なされて、それ で審査機関の方で見ていらっしゃるという状況であります。以上でございます。 ○池上委員  このマスターに基づいた指導監査というのはないということですね。 ○眞鍋補佐  ないです。 ○西岡分科会長  これもすごく大きなポイントだろうと思います。今、池上委員から御指摘いただきま したように、きっちりした監査がこれから、この委員会の役割ではないと思いますが、 そういうものがつくられていかないといけないのじゃないかなと思っております。  いろいろな御意見をたくさんいただきまして本当にありがとうございます。これを基 にしてどういうあり方がいいのかというのを次回までに検討させていただきたいと思っ ております。それで、こういうことをやることがまったく意味がないのだと言われてし まうと非常に困るのですが、今実際にはDPCに参加したいと手挙げをされている施設 がたくさんあるわけですね。それを全部入れてしまっていいのかということも今後の課 題になってくると思いますし、どこかのところでやはり医療の質なり、あるいは施設で 行われている医療の内容自身がきっちりとわかるような形にしておかないと、これは実 際の医療を提供する側として提供される国民の側に非常にまずいことが起こる可能性も ありますので、そういう意味である種の基準は絶対に必要ではないかと考えておりま す。それでいろいろな指標がたくさん出てくると思いますが、その中でせめて最低線こ れだけは守っていただかなければいけないということと、それともう一つはDPCに参 加された場合にはすべてのデータが公表されるというバックグラウンドがなければいけ ないのじゃないかという、そこを認識していただくような形で今後この議論を進めさせ ていただけたらと思っております。邊見先生、何か御意見はございますか。 ○邊見オブザーバー  オブザーバーということで2回ほど聞かせていただいて、委員長の中医協でのまとめ の話も聞かせていただいたんですが、結局はこれをやることによって日本の医療の効率 化と質の向上がどれだけ進むかどうか。今は調査の段階ですので、方向はある程度いい ような方向が出ておりますが、本当にそうかどうかというのは先ほど委員の皆さんが言 いましたように、100床ぐらいの病院がどうなのかとか、田舎の地域の中核病院で麻酔科 医とか病理医がおられないようなところではどうなのかとか、もっと拡大して調査をし てからやるべきではないかなと思っております。 ○西岡分科会長  ではこの問題に関しましてはさらに次回にわたって議論を進めたいと思います。  もう一つの宿題がございまして、私たちのところに課せられた問題がございます。そ れは包括範囲のあり方でございます。これにつきまして事務局より御説明をお願いしま す。 ○眞鍋補佐  はい、それでは診調組D-3に沿いまして御説明をさせていただきます。包括評価の 範囲の見直しということでございます。中医協資料より抜粋しておりますのは中医協そ のものでございまして、若干太文字にして下線を引いておりますところは、包括範囲の あり方についてはDPC評価分科会において技術的検討を行うこととし、とされている ところでございます。それで今の診療報酬体系の中で包括範囲となっておりますのは、 四角の中に書いておりますとおり、入院基本料、検査、これは幾つかのものが除かれて いますが、それから画像診断、これも( )の中のものは除かれております。ほかに投 薬、注射、あとは1000点未満の処置、手術・麻酔の部で算定される薬とか材料でござい ます。  それで、こういう事実関係で今はこういうことでございますが、見直しの方針につい てということでございます。基本方針を踏まえ、今後支払い方式としての拡大を図る中 で、継続的にDPC制度導入の影響に関する検証を行っていくという観点から、現行の 包括範囲については原則として維持することとしてはどうかと。その上で、現行の包括 範囲であってドクターフィー的要素が強い、あるいは逆の現行の包括範囲外であってホ スピタルフィー的要素が強い個別の診療報酬項目について見直すことを検討してはどう か。具体的にはこの上2つの○という方針でよろしいということであれば、こうした方 針に沿って事務局において関係学会からの要望を踏まえた整理を行わせていただいて、 次回の分科会において整理してお示しして、検討していただくというようなことで進め させていただければと考えてございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。この御説明に関しまして何か御質問、御討議をお願いしま す。齋藤委員、どうぞ。 ○齋藤委員  具体的に言いますと、今年の7月にアウトライヤーになったエダラボンとリツキシマ ブと電気生理学的な検査の3つが外出しになって、来年の4月の診療報酬改定でそれら の扱いが注目されるわけですが、具体的に言うとその3つについて言えば今を基準に照 らしてどういう方向になっていくんでしょうか。 ○眞鍋補佐  これも事実関係を御説明させていただきます。確かに9つの分類につきましてリツキ シマブとエダラボンと電極カテーテルにつきまして、今年の7月からと、それを使用し た患者に関してすべて出来高というようなことで、包括の分類だったんですが包括外に するという措置をとりました。それで、今齋藤委員からご指摘のあったものに関しまし ては、まさに齋藤委員が総括していらっしゃるMDCの方の作業班で新しい分類に、包 括の分類になるかどうかを検討していただいて、そういう整理をお願いしていただいて いるところでございます。  それで私の説明がちょっと足りなかったんだろうと思って大変申しわけないと思って おりますが、こちらで包括評価の範囲の見直しと言っておりますのは、今の点数表上包 括されているものはこういうものがございますと。その包括されているものにつきまし て、中に入っていて、いやいやこれはドクターフィー的要素が強いので個別に出したら どうかというような学会の要望とか幾つかございますので、そういうものを事務局の私 どもの方でこういう考えで整理させていただきたいと。ですからエダラボンとかリツキ シマブとかああいう個別の薬を外す、外さないという議論ではないというように思って おります。 ○西岡分科会長  よろしいでしょうか。これは最初のDPC導入の時にこういう約束がございまして、 新しく新規な薬品・医療材料に関しては一たん外出しにいたしますが、DPCの改定の 時に必ずまたDPCの中に入れるというような形になっておりますので、多分同じよう な形に。多分これは先生の研究班の方でぜひともやっていただくことになるんですが、 そういう形になるかと思いますが。  ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。では、今事務局の方から御説明 しましたような形で見直しの操作を開始させていただきたいと思います。これは齋藤委 員、山口委員のところの研究班の方で御検討いただくということになろうかと思います ので。また各学会への投げかけるということになりますので、どうぞよろしくお願いし ます。  それでは一応こちらで予定しておりました議題に関しましては以上でございます。そ れできょう議論いただきましたものに基づきましてこれを整理していただきまして、次 の分科会に準備させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。  では、今後のスケジュールにつきまして事務局の方から何かございますか。 ○眞鍋補佐  ありがとうございます。それでは具体的には最後の議題が2つございましたが、事務 局で必要な作業を進めましてお諮りするようなことを進めたいと思います。それで具体 的には現在は日程調整をさせていただいているところだと思います。年末のお忙しいと ころ大変恐縮でございますが、なるべく中医協のスケジュール等をにらみながら効率的 になるべく早い段階で作業をさせていただいて、それをお諮りできるようにスケジュー ルを設定させていただきたいと思っております。以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。それではちょっと時間が予定より早めになりましたが、こ れをもちまして第4回のDPC評価分科会を終了させていただきたいと思います。きょ うはお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。また次回、年内にもう 一度あると思いますので、どうぞよろしくお願いします。どうもありがとうございまし た。                                     −了−                【照会先】                 厚生労働省保険局医療課医療係                 代表 03−5253−1111(内線3276)