05/11/25 労働政策審議会労働条件分科会 第45回議事録 第45回 労働政策審議会労働条件分科会       日時 平成17年11月25日(金)       17:00〜       場所 厚生労働省17階専用第18、19会議室 ○西村分科会長 ただいまから、第45回労働政策審議会労働条件分科会を開催します。 本日は、岩出委員、久野委員、渡辺章委員、島田委員、奥谷委員、平山委員が欠席され ております。また、山下委員の代理として君嶋さん、山口委員の代理として長谷川さん が出席されております。須賀委員からは少し遅れるとの御連絡をいただいております。  本日の議題に入ります。最初に、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法に基づ く政省令及び指針について御議論をいただき、後ほど時間があれば、労働契約法制の関 係についても、引き続き御議論を深めていきたいと思います。  まず、「労働安全衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過 措置に関する政令案要綱」及び「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法施行規則等 の一部を改正する省令案要綱」についての諮問案件であります。事務局から説明をお願 いします。 ○青木局長 本日の諮問案件、いま会長からもお話がございましたように、先の国会に おいて、先月の26日に「労働安全衛生法等の一部を改正する法律」が成立いたしまして、 それに基づいて労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法改正関係の政省令について、 所要の改正を行うものです。詳細については企画課長から説明をさせますので、よろし く御審議のほどをお願い申し上げます。 ○坂本企画課長 資料No.1に基づいて御説明いたします。資料No.1の別紙1です。今回 お示しいたします政令の改正案の要綱並びに省令の改正案の要綱につきましては、いず れも時短促進法が労働時間等設定改善法に改正されたことに伴う名称変更等の形式的な ものです。  まず別紙1の第1です。関係する政令の題名等について、今回の法律改正に伴って変 更を行うものです。  第2ですが、「改正法附則第8条第1項に規定する政令で定める資産等」となっていま すが、今回の法律改正で、公益法人改革により、時短センターが廃止されたことに伴っ て、時短センターの有している動産等の財産について、その帰属を定めるものです。1 に書いていますように、厚生労働大臣が財務大臣と協議をしてその帰属を定め、2、3 に書いていますように、もともと労働保険特別会計の労災勘定から支出して購入した設 備等ですので、労災勘定に帰属させるという内容のものです。  次頁の第3です、これは施行日等で、原則、法律の施行日である平成18年4月1日か ら施行するものですが、先ほどの第2の時短センターの清算については、その作業を早 めに終わるために、公布の日から施行とさせていただきたいということです。  次に別紙2です。これは省令改正の要綱です。これについても、基本的に第1にあり ますように、今回の法律改正に伴って題名が変更されるものです。なお、第1の2で、 「衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなすための要件について、労働時間等設 定改善委員会の成立に必要な要件に関する規定を準用するもの」とありますが、今回の 法律改正では、50人以上の規模の事業場に義務付けられている衛生委員会を労働時間等 設定改善委員会とみなして、そこで労使でいろいろと話合いをしていただくという項目 が入っていますが、その条件について、労働時間等設定改善委員会の成立要件である、 「労側が半数を占めていること」等の要件がありまして、それをそのまま準用するとい うことです。  第2はこの省令の施行日の関係で、先ほどの政令と同様に、平成18年4月1日から施 行するということです。以上です。 ○西村分科会長 この件につきまして、御質問、御意見をお願いしたいと思います。  特にこの件について御発言がなければ、当分科会として、本要綱について妥当と認め る旨の報告を、私のほうから労働政策審議会会長あてに行うこととしたいと思いますが、 よろしいでしょうか。 (異議なし) ○西村分科会長 それではそのようにさせていただきます。なお、報告文については私 に一任させていただくということでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○西村分科会長 それではそのようにさせていただきます。労働基準局長から御挨拶が あります。 ○青木局長 ただいま「労働安全衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令 の整備及び経過措置に関する政令案要綱」、それと「労働時間の短縮の促進に関する臨時 措置法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」について、妥当と認める旨の御報告を いただきまして、誠にありがとうございます。  労働政策審議会運営規定によりまして、本分科会の議決をもって審議会の議決とされ ますので、労働政策審議会として妥当である旨、御了承いただいたことになります。こ の要綱に基づきまして、速やかに政省令の改正作業を行いまして、円滑な施行に努めて まいりたいと考えております。今後とも御協力よろしくお願いいたします。ありがとう ございました。 ○西村分科会長 次の議題に移ります。まず、国会の審議状況について説明をいただい た後、「労働時間等設定改善指針 項目案」につきまして、事務局から説明をお願いしま す。 ○坂本企画課長 「労働時間等設定改善指針 項目案」関係についての御説明ですが、ま ず、国会の審議経過についてです。資料No.2です。本年3月に「労働安全衛生法等の一 部を改正する法律案」として国会に提出されたところですが、衆議院の委員会での審議 中に、国会の解散に伴って一旦は廃案となりまして、第163回特別国会に再提出をいた したところです。その後、衆参両院の委員会審議を経まして、10月26日に可決・成立 し、11月2日に公布されたところです。  次に審議状況ですが、資料No.3、審議の過程においては、7月における衆議院の厚生 労働委員会の審議、10月の衆参両院の審議等があったわけですが、各議員の先生方から さまざまな御意見をちょうだいしたところですが、ここに記載しているとおり、特に一 般労働者についての「千八百時間」という目標を維持すべきではないかという御指摘等 が多くあったほか、「有給休暇の取得促進」「教育訓練への配慮」「少子化対策」等、各般 の御指摘をいただいたところです。  資料No.4です。今般、この法律案の可決に際して、衆参両方の委員会から附帯決議を いただいています。その内容ですが、特に指針関係に絞って御説明しますと、衆参ほぼ 同じですが、五にありますように、指針の策定に当たっては、育児・介護、地域活動、 単身赴任、自己啓発等を行う労働者の実情等々への留意、あるいは有給休暇の取得促進 等による一般労働者の時短対策の推進、労働時間等設定改善委員会の設置促進等の御指 摘をいただいています。  資料No.5は「労働時間等設定改善指針 項目案」についてです。この項目案については、 昨年12月17日にいただいた当審議会での建議を踏まえて、かつ、先ほど紹介しました 国会での審議あるいは附帯決議等を考慮しながら、本日の事務局案を作成したところで す。また、本日の御議論に資するために、項目案と言いますが、各項目事項に例示とし て想定される内容について、原則、箇条書きの形でお示ししています。なるべく簡潔に 記載するようにしたために、必ずしも意を尽くしていない点もありますし、不正確な表 現もありますので、あくまでも要点の例示であるという趣旨を御理解いただきまして、 さまざまな御指摘、御議論をお願いしたいと思います。なお、本日の御指摘を踏まえて、 次回までには指針案そのものの事務局案を作成し、お示ししたいと考えています。  次に項目案の全体構成について簡単に御説明します。項目案は大きく3つに大別され ていまして、前文、Iの「労働時間等の設定の改善を行うにあたっての基本的な考え方」、 IIの「労働時間等の設定の改善のために必要な措置」、この3つに大別しています。さら にIIの「労働時間等の設定の改善のために必要な措置」については、今回の法律第2条 第1項から第4項までの区分に基づいて、それぞれ「1 事業主が講ずべき一般的な措置」、 「2 特に配慮を必要とする労働者について事業主が講ずべき措置」、「3 事業主の団体 が行うべき援助」、「4 事業主が他の事業主との取引上配慮すべき事項」、この4つに区 分して策定してはどうかと考えています。  各項目の具体的な内容です。特に要点だけを御説明したいと思います。1頁の前文の 部分です。これまでの時短の取組と、今回の法改正の趣旨、背景を建議等に基づいて簡 潔に記載しています。その上で、本指針が、事業主等が、労働時間等の設定改善に取り 組む際に適切に対処するために留意すべき事項について定めるという法律の趣旨を記載 してはどうかと考えています。  次にIの「労働時間等の設定の改善を行うにあたっての基本的考え方」についてです。 1頁に記載しているとおり、4点の基本的な考え方を記載してはどうかと考えています。 第1点ですが、時短といえば労働時間の短縮であるということは誠に明確ですが、「労働 時間等の設定の改善」ということですので、その趣旨をきちんと説明する必要があろう かということですので、まずその趣旨について1番で、その考え方を述べる必要があろ うかと思います。  さらに2番の「労働時間の短縮の推進」、3番の「多様な事情への配慮と自主的な取組 の推進」につきまして、各々その重要性について触れる必要があるのではないかと考え ています。  さらに4番目の「他の計画等との連携」ですが、前回の建議でもありましたが、他の 国の計画等との関係を明確にすべしということでもありますので、他の計画との連携に ついて掲げる必要があるのではないかということです。  2頁です。IIの「労働時間等の設定の改善のために必要な措置」の御説明をしたいと 思います。1番目の法律第2条第1項に対応する部分ですが、「事業主が講ずべき一般的 な措置」についてです。基本的には法律の条項に明示されている項目を中心に記載をし ています。  (1)の「実施体制の整備」です。その部分での中心的な部分は(2)の「労使間の話合 いの機会の整備」になろうかと思います。法律にも規定されていますが、労働時間等設 定改善委員会をはじめとする労使間の話合いの機会の整備が極めて重要ではないか、と いう考え方をお示ししています。併せて、先ほど省令のところでも簡単に御説明しまし たが、衛生委員会の活用、あるいは労働者の実情を把握できるような委員構成の配慮等 も重要かと考えますので、そのようなものを例示しているところです。  次に(2)で、「労働者の実情に応じた労働時間等の設定」です。変形労働時間制やフ レックスタイムなど、既存の措置を活用して柔軟に対応してはいかがかと記載してはど うかということです。  (3)の「年次有給休暇を取得しやすい環境の整備」です。2頁から3頁にかけて箇 条書きで縷々書いていますが、例えば意識の改革の問題、計画的な年休取得の重要性等 について触れる必要があるのではないかと考えています。併せて、前回の建議の際に「個 別の事項ごとに一定の目標の可否等についても御議論を」となっていましたから、関連 するものとして、参考で「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的な実施計画」 というものがありますが、ここで「年次有給休暇の取得促進」という目標が掲げられて います。それでは、現行47.4%の有休取得率を、少なくとも55%以上にしようというよ うな目標が掲げられているところですので、このような指標も参考として紹介させてい ただきたいと思います。御議論のほうをよろしくお願い申し上げます。  続いて、(4)の「所定外労働の削減」です。労働者の健康で充実した生活のために、 今後とも所定外労働の削減を図ることの重要性を掲げました。ここでも関連する指標と して、先ほど御説明した「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画」の 中に、一つの目標として「長時間にわたる時間外労働の是正」という項目があります。 「長時間にわたる時間外労働を行っている者を1割以上減少」というような目標が掲げ られているところです。  また、その下ですが「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度 等に関する基準」、いわゆる時間外労働の限度基準ですが、この中では、例えば1か月の 限度時間が45時間ということが定められていまして、その遵守を求めているところです。 このような数値目標等もありますので、併せて、御議論のために紹介させていただきま す。  以降、(5)の「労働時間の管理の適正化」、(6)の「ワークシェアリング、在宅勤務 等の活用」というような関連事項についても、盛り込んではどうかと考えています。ま た、(7)のように、事業主が取組を行うに当たって、国側の支援が活用できる予定です。 今回、財務省に予算要求している関係上、(P)としていますが、労働時間等の設定改善 コンサルタントという専門家の助言・指導という事業を考えていまして、このような支 援制度も活用していただければと考えている次第です。  4頁に移ります。法律第2条第2項に該当する部分です。「特に配慮を必要とする労働 者について事業主が講ずべき措置」についてです。そこに掲げられる項目としては、法 律第2条第2項に具体的に例示されているもの及び附帯決議で掲げられた事項について、 掲げてはどうかと考えています。具体的には、(1)のように「その心身の状況及びその 労働時間等に関する実情に照らして健康の保持に努める必要があると認められる労働 者」、いわゆる健康上の問題、ケアが必要な者、または長時間労働を行っている者を対象 に配慮事項を書いてはどうかということです。  (2)の「子の養育を行う労働者、家族の介護を行う労働者」、(3)の「単身赴任者」、 (4)の「自ら職業に関する教育訓練を受ける労働者」、(5)ですが、これは附帯決議 で先ほど述べられていましたが、地域活動、いわゆるボランティア等を行う労働者等々 で、このような類型ごとに、各々の特性や必要性に応じて、ここに記載しているような 各般の配慮が必要と思われるのではないかということで、例示、記載をしているところ です。  5頁の3の「事業主の団体が行うべき援助」です。これについては、事業主団体が、 傘下の事業主に対して、専門家等による指導・助言等々、各般の援助を行っていただき たい旨、並びに、その際には国の支援措置が活用できる旨記載してはどうかということ です。ここにつきましても、私どものほうで、中小企業団体が行うような事業に対して の助成金制度、あるいは具体的な助言等を行うような援助事業を現在要求中で、これを 是非、実現させたいと考えているところです。  4番の「事業主が他の事業主との取引上配慮すべき事項」です。これについては現行 の時短計画等でも、既に記載されていますが、例えば短納期発注等で下請け等の時間外 労働を増やすようなことがないようにしよう、あるいは発注内容の頻繁な変更を抑制し ようといった中身について、一定の注意喚起が必要ではないかということで、記載して はどうかということです。  以上が指針項目案についての事務局案の説明です。何卒御審議のほど、よろしくお願 いいたします。 ○西村分科会長 いま、労働時間等設定改善指針の項目案について説明がありました。 御質問、御意見をお願いしたいと思います。 ○田島委員 1頁の前文のところですが、1,800時間をおおむね到達したとありますが、 その次の段に「しかし」ということで、「二極化」ということがはっきり書かれているの ですが、データ的にはフルタイム、正規の労働者の場合には、1,800時間にはほど遠い のが現状だと思うのです。  そういう中で、国会の質疑で、これは民主党だけではなくて、与党自民党の議員も含 めて、「1,800時間という旗は必要ではないか」というのが国会審議で出ていると思うの です。そういう意味では、トータルして、パートなど労働時間が短い人たちと合わせて、 1,800時間に確かに近くなっているけれども、しかしそれはパートなどと合わせた合算 であって、フルタイムの場合にはそうなっていないというところで、1,800時間という 目標をしっかりと掲げるほうが、今回の法に合致するのではないかと思うのですが、国 会審議も踏まえて、是非そういう形で。労働時間の設定あるいは改善という意味合いは、 そういう労働時間短縮も込めたのだという形ではっきりさせたほうがいいと思うのです が、この点についてはいかがでしょうか。 ○新田委員 関連してというか、付け加えたような感じですが、いまの1,800時間の議 論は前回もやったわけですが、特にいまの話の趣旨をより膨らまして言えば、時短が本 当に必要だということをどのようにこの指針の中で述べていけるかだと思うのです。そ れは「時短促進法」という明確な名称を持った法律が消えて、このような法律になるわ けですが、それはどういう理由で、この法律に改正されるのかはっきりさせていただか ないと。この新しい法律の狙い、趣旨、目的、そういうものをより鮮明に打ち出すこと で、この指針はあるのですということをきちんと位置付けるというか、受け取ってもら うことが大変重要なことではないかと思っています。  そういう意味では、いまも話にありましたが、総論的にそのようなことが書かれた上 で、ここでも言われているように、あるいは国会の審議でもありますように、一般労働 者が2,000時間を超えているところをきちんと掲げて、どのような書き方をするかはわ かりませんが、労使で1,800時間を目指すことをやってみてはどうかということも明記 していく、そのようなことも一つの方法ではないかと思います。  前もお話をしましたが、労使で目標をきちんと持つことが、労働条件改善というとこ ろで大変重要な意味合いを持ってくると思いますので、そういうものを盛り込んでいく ことを考えているのです。 ○青木勤労者生活部長 先ほどの田島委員からの御指摘ですが、事務局としては、前回 までのこの分科会における御議論で、さまざまな御意見が出たと思うのです。1,800時 間というものをどうするべきか、しっかり掲げるべきなのか、もう時代に合わないから 掲げないほうがいいという御議論もあったと思います。ですから、改めてこの分科会に おいて、各委員の方々に御議論をいただいて、それを踏まえて私どもとしてはまとめた いと思っています。 ○田島委員 いまの部長のお答えは承知しているのです。承知しているのですが、国会 質疑の議事要録なども見ると、与党自民党の議員も含めて、1,800時間という数字は必 要ではないかと国会の場で出されているので、これを外したままでいいのかということ です。これについてはパートなどを含めた合算ではなくて、一般労働者なら一般労働者 で、たしか2,300時間ぐらいの数字だろうと思いますが、それを短縮させていくことが 必要だと思いますので。いま私はデータがないので数字は不正確ですが。 ○坂本企画課長 一般労働者につきましては、昨今は大体2,000時間台ということで、 直近の平成16年度については、手元の資料では2,015時間、大体2,000時間でほぼ横ば いという状況です。  それから、先ほど部長からも申し上げましたが、もちろん今回の法律改正がありまし たが、労働時間の短縮の推進は重要な事項であることは私どもも認識しておりまして、 先ほど御説明しました1頁Iの2で、基本的考え方として、そのような重要性について 触れてはどうかということを申し上げているわけです。ただ、数値目標そのものの取扱 いについては、前回のこの場における建議等におきまして、各個別の項目ごとに十分そ の可否等を含めて御議論をいただいた上でということになっておりますので、私どもと いたしましては、いくつかの参考となるような数値を紹介させていただいたところです が、是非いろいろと御議論を賜りたいと考えている次第です。 ○石塚委員 前からの議論の延長線上ですから、私たち労働側としては、全ての労働者 を引っくるめて1,800時間達成と言われると、全然中身は違うのではないかというのが 根強くあります。一般労働者について、せめてきちんとした目標を示したほうが、時短 を進めていく上で労使ともに有効であるという意見を持ち続けているわけですので、是 非ともそのことだけは受け止めていただきたいというのが一点目です。  その上で、この時間を掲げるべきか掲げるべきでないかという議論をしても水掛け論 になってしまうので、その意見を強く持っていることをまず受け止めていただいた上で、 先ほどの新田委員からの指摘とも関係するのですが、この指針項目案を見て、要点の例 示だとおっしゃっているので、まだまだ叩き台の叩き台みたいなことなのだろうと思っ ていますが、これが本当に指針になるのかなというのが第一印象なのです。  労使ともに一般的な1,800時間という目標が消えてなくなった。そして労働基準法に 加えて労働時間等設定改善法というものが新しく設定されました。それを労使ともによ りどころにして具体化していこうというわけですね。そのときのよりどころが指針であ ると私どもとしては受け止めているのですが、何をしたらいいのかというときに、この 指針案を読んでも具体的なイメージがはっきりしないのです。  指針とはそういうものだと言われればそうかもしれませんが、この指針をよりどころ にして、労使ともにこれから具体的に話し合って、労使の自主的取組を支援していこう、 前に進めていこうというビビッドな実態感覚があまりないのです。私たち現場にいる目 から見ると、少しずれているというか、靴の裏から痒いところを掻くような印象を受け ます。  その原因を突き詰めていくと、まず最初の項目案について「留意すべき事項」と書い てあるのですが、そもそもなぜ労働基準法に加えて、労働時間等設定改善法なるものが 設定されたのか、その狙いは何なのかを明確に最初のほうで謳っていないからでしょう。 新しい法律に基づいて、その狙いであるものを出していけば、この書き方はもっと違っ てくるのかなと。これは全体にかかわる問題だと思っていますので、そこをはっきりさ せないと、具体的な各論に入っていっても、何か「留意すべき事項」の羅列に終わって しまっています。労使が現場において取組を進めていくときによりどころになるような、 しかも分かりやすい、ビビッドなものにしていかないと、これは指針たり得ないのでは ないかというのが率直な第一印象ですので、そこをまず最初のところでお受け止めいた だければありかだいと思っています。抽象的な話で申し訳ないです。 ○西村分科会長 使用者側はいかがですか。 ○紀陸委員 石塚委員は靴の底の外側からというような話ですが、私どもは靴の底も貫 いて足の中に針が入っているほどビビッドに感じているのです。本当はここまで細かく 言っていただかなくても、それこそ個別労使が仕事量や仕事のやり方というのは本当に さまざまに違うわけで、それに合わせて我が社はどれぐらいあるかということを労使で 相談する大雑把なメニューがあればいいのだと思うのです。それを、この法律は時限立 法から恒久に変えて、その状況の変化を見据えて、法の趣旨をこのように移し変えてき たのだと思うのです。  かつての状況と今日の状況では全く違うということがありまして、しかもこの中に具 体的に数値の目標が入っているものもありますが、こういうところまで言っていただか なくてもいいのではないかとすら思っているわけです。これだけメニューがたくさんあ って、言っていただかなくても、十分に日本の労使は話合いができるのだとすら思って います。  だから、この指針の大枠は私どもは決して否定しません。趣旨は否定しないし、意図 もよくわかるのです。ですから、石塚委員の考え方と反対なのですが、私どもの要望と しては、こういう数値目標というのは何でもそうですが、そこだけ独り歩きするという 場合がありまして、かつ、これはさまざまな会社によって違うわけでして、却ってこれ が大きな枠としての規制にかかってくるわけですので、この数値目標は、逆に指針から 外していただきたいとすら思っています。  こういう指針というのは何のためにあるかということですが、まさに改善のために労 使、特に事業主が目標とすべきような項目がいろいろと挙がっているわけですが、実際 には、現場に降りれば降りるほど、行政指導の対象の足掛かりになるような内容になっ てしまう機能を持つのだと思うのです。その辺も私どもが考えて、機能の役割、実際に こういう場で話す機能はこうだと言っていても、それがだんだんと、いろいろな監督官 の方はおられましょうし、そういう方々の運用において、当初の趣旨と違った場面が起 こり得るという懸念すら持っておりまして、そういう意味でも数値的なものはできるだ け外していただきたいというのが基本的な要望であります。 ○小山委員 「留意すべき事項」というところですが、そもそもこの法律の第2条に事 業主等の責務として、「必要な措置を講ずるように努めなければならない」という努力義 務規定を示しているわけでありまして、労使の話合いで進めるだけであったら、このよ うな努力義務規定を付けた法律は必要ないわけです。それはあえて必要だということで、 こうした法律が設定されているわけです。  そうすると、先ほど石塚委員が言ったような留意すべきことではなくて、講じるよう 努めなければならないこととして、この指針は整理されていかなければいけないのです が、何かそういう意味からいくと分かりにくくしているのではないかと思います。こう いうことに配慮してくださいということではなくて、このように労働時間について、全 体の短縮やその他さまざまな措置を講じていきましょうということを、もっと前向きに 示すのがこの指針だろうと思いますし、そのための法律だろうと思いますので、それに 沿った指針として整理をしていただきたいと思います。 ○渡邊委員 紀陸委員とほぼ同じですが、時限立法として時短促進法というのが目標に 向かって、労使ともに一生懸命努力した結果が、このようにある程度の成果として出た わけですから、これからは労働時間の長さだけでなく、仕事のやり甲斐、働き甲斐、あ るいは仕事の内容等々に、質的充実ということを労使ともに協調しながらやっていくの が、この法律の趣旨ではないかと思います。  また、紀陸委員が言ったように、これは結構細かく出ています。例えば労使が始業・ 終業を正確に把握する等々、極めて細かく指摘されていますが、ある程度労使ともに協 調しながらやっていくわけですから、そこまで細かく規定する必要はないのではないか と思います。 ○須賀委員 もともとの1,800時間という目標のあり方をこれまで議論してきた中で、 労働側の意見はいろいろ言っていたとおりなのですが、以前、どのように使っていたの かを見てみたのですが、「『労働時間分布の長短二極化』が進展し」と簡単にポッと書い てあるのです。しかし、ここにはものすごい議論があったはずなのです。俗に言う正規 型の従業員は長時間労働になっている。もう一方で、短時間というように分けられる労 働者においても、同じように長時間労働化している。しかしその比率が、圧倒的に短時 間の労働者が増えてきたから、見かけ上の総労働時間、総平均値は1,800時間半ばぐら いで概ね推移しているというのが認識だったはずなのです。  ここの書き方でそのまま見てみますと、「いわゆる」というのを前は使っていたと思う のです。そうすると、現実は長時間労働化しているけれども、見かけ上の総実労働時間 は縮まってきたのだという、この実態を踏まえつつ、指針をつくろうとしているわけで す。しかも、法そのものが時限立法ではなくなり、法の性格そのものを変えるわけです。 その上で、なおかつ労働時間の短縮が必要だということを謳おうとしているわけですか ら、そこをもっと明確にきちんと示して、その上で具体的に、使用者側の皆さん方がお っしゃいましたが、労使は話し合って決めるという、そのことは私どもも重要だと思っ ていますが、話し合っていくときにどういう方向に向かっていけばいいのかを示すのが 指針の非常に大きな役割だと思いますので、各労働側委員が言っているように、そのこ とを明確に指針の中で示す。例示の形をとっても結構だと思いますが、労使は実際にこ ういうことを話し合っていけばいいのだ、こういうことをやればいいのだということが わかるように、きちんとした方向性を示す指針にするべきだと思います。 ○田島委員 関連してですが、紀陸委員や渡邊委員から、数字的な目標を入れる必要は ないという発言がありましたが、是非きちんと入れてほしいと思います。先ほどの1,800 時間は意見だけで、それを論議しようということではなくて、例えば有給休暇の取得率 を見ても、5割を切っているというのは、はっきり言って異常だろうと思います。労働 者は有休を取りたくないのかといったらそうではなくて、有給休暇を取りたくても取れ ない、あるいは取ることを知らないというか、上司なり会社の顔色を伺って、取れない 現実というのがあるわけです。切羽詰まって、自分の親戚か何かが亡くなったというこ とで休まなければいけないような未組織の現実というのが、労働相談で随分入ってきて います。  ここに出ている使用者側委員の団体の企業というのは、きちんと取れるかもしれませ ん。しかし中小企業などでは有給休暇を十分に取れるような環境にないという、これは 未組織の、いわゆる労働組合のない職場の現実問題があります。権利として保障されて いる有給休暇は、働く者が請求すれば取れるのだということを、事業主もしっかりと徹 底させる責任があると思うし、しかもそれが5割を切っているというのは、日本の労使 にとっても私は恥ずかしいことだと思います。  あと、時間外労働も長時間化して、告示部分で月に45時間と出ているのが、それを上 回っているようなものは短くしていこうと、それをせめて告示までは抑えようというの は、この数字は新たにつくる数字ではなくて、今ある数字ですから、私はこれは別に問 題ないだろうと思います。  一点、有給休暇の点で、半日単位の有休について意見を言いたいと思います。これに ついて、自分は一日休もうと思ったけれども、「仕事が忙しいから半日にしなさい」と言 われることもあると思うので半日単位は、働く側の請求があった場合に認めるとしなけ れば。本人は一日を申請しているのだけれども、半日単位も取れるのだから半日にして おけという形で、有給休暇が制限されるような形で使われるのは、今回の趣旨に反する だろうから、そういう意味では「本人の申請があった場合には半日単位」という形で明 記したほうが、今回の指針づくりの中身にとっては趣旨に合っているだろうと思うので、 その点ははっきりさせてほしいと思います。これが取得の抑制になったらおかしくなっ てしまうと思います。 ○坂本企画課長 最後の部分についてですが、そういう御意見もあるのではないかとい うこともありまして、3頁で「連続休暇取得及び一日単位の取得の阻害とならない範囲 で」ということで、その趣旨を明確にしたつもりではあるのです。いずれにいたしまし ても要点でございますから、そういう御意見も踏まえて考えたいと思います。 ○長谷川氏(山口委員代理) 1頁の指針の前文ですが、いま紀陸委員もおっしゃって いましたが、なぜ時短促進法から今回の労働時間等の設定の改善に関する特別措置法と なったのかというときに、去年12月の最後の報告書の前文1、2が重要なわけです。こ こは、国民の目標であった1,800時間の総実労働時間については、平成4年度には1,958 時間だったものが、平成15年度には1,853時間ということで、約100時間は短縮できた ということで、ザッとしたことは書いてあります。  しかし、2ではその中身について分析しているわけです。中身について、一般労働者 とパートタイム労働者との違いとか、よく言われることですが、労働時間の長短の二極 化の問題があるわけです。取り分け重要なのは、30歳働き盛りの男性の週の労働時間が 60時間以上の者が多くなっているという、労働時間についての問題が現状にあることに ついてお互いに認識しながら、どうやって労働時間の改善を今後図っていくのかという ことを、当時のこの審議会の議論で確認したところだと思うのです。  この前文のところで二極化のことは書いてあるのですが、もう少しパートタイム労働 者の比率が上昇していて、結果的には年間総労働時間の増加を止めているということが 若干抜けているから、もう一度、前回、昨年12月の報告書の現状認識をきちんと書くこ とが必要なのではないかと思います。その上で、紀陸委員がおっしゃっているように、 労使が自主的に職場で取り組む課題はこのようなことがあるというメニューを用意して くるという流れが必要だと思います。  労側の委員がイメージが掴めない、労使がどのように取り組んでいくのかが掴めない というのは、この前文のそういうものについて、もう少し丁寧な書き方が必要なのだと 思います。現状については誰も異議があるわけではなくて、お互いに確認している話で しょうから、そこはきちんと書いたほうがいいのかと思います。具体的な中身について は、それぞれ意見があるでしょうから。そうすれば労使の取り組むべき方向性ははっき りするのではないかと思います。 ○原川委員 私も大筋は異論ありませんが、微に入り細に入り細かすぎるような感じが いたします。  この※のところどころにある数値ですが、これは実際の指針の中ではどのように表現 されるものか。このとおりに書かれるのか、どのように表現されるのかを教えていただ きたいと思います。  それから、先ほど紀陸委員も言われましたが、この指針は個別の労働時間の管理の改 善をしようという法律の指針ですから、中小企業の事業主にもわかりやすく、これなら やってみようという気持になるような内容が必要だと思います。したがって、最初から 100%すぐにこの指針で達成できるというようなことは現実的ではないと思います。一個 一個でも改善していくというプロセスが大事だという考え方に立って、この指針を定め ていただきたいと思います。  具体的に申し上げますと、時間外労働時間の考え方とか、年次有給休暇の取得の考え 方、必要があれば後から申し上げますが、非常に教科書的な、現実離れした完全主義と いうような表現がいくつか見受けられます。そのようなことを最初から振りかざして、 それでこの指針で改善をしていこうというのは現実離れしていて現実として無理な面が あると思います。そういうことでは、これを実行していこうというインセンティブが高 まらないのではないかと思います。  先ほど質問した※印の数値のところですが、これでいくと、こういうことでやらなけ ればいけないという感じにも事業主は受け取るでしょうし、先ほど出ていたように行政 のスタンスとして、こういうものだということで、これは行政指導のバックボーンにな るという恐れを私は大変心配しています。 ○青木勤労者生活部長 まず行政指導のバックボーンになるのではないかと、先ほど他 の委員からもそれに近い御発言があったかと思います。ただ、行政指導とは何ぞやとい うと非常に難しいことになってしまって、受け取る方々によっては、役所側が申し上げ ることは全部行政指導になってしまうのかもしれません。ただ、少なくともこの指針に 関して申し上げれば、個々の項目を守らないから怪しからんとか、早く実現しなさいと か、そのような形の直接的な指導は考えておりません。むしろ、この中のいろいろな項 目を、このようにあったら素晴らしいのではないでしょうかという、一種の理想型だと 思っています。それを労使の方々でお話し合いになって、達成できるところをぜひ達成 していただきたいということに尽きます。  飴と鞭で申し上ければ、ご存じのようにこの指針は強行法規ではありませんし、むし ろ私どもはこの中の(P)のところで予算要求のことに触れていますが、このような指 針に基づいていろいろ御努力をしてくださる、特に中小企業団体の方々につきましては、 私どもも御支援を些少ながらさせていただきたいということで、大きく申し上げれば、 飴と鞭の飴を用意させていただいているという種類のものです。ですから、いわゆる行 政指導という、事業を区切って達成を非常にきつく要請していくという種類のものでな い、基本的にそのようなスタンスだと思っています。  それから※の数値ですが、これは既に他の国の計画等の中で目標値として設定されて いるものですので、それを御参考にしていただいて、どのようにそれを盛り込むのか、 あるいはさらに別のことを盛り込まれるのかというようなことを、むしろこの場で御意 見をちょうだいできればと思って、ここは御参考までに載せさせていただいたものです。 ○谷川委員 ただいま労働時間等設定改善の指針の性格についての御説明がありました。 目指すべき方向の指針であることが、この表現によると「設定改善の指針」ということ で、いかにも現状をこのように変えなさい、「改善」というのは現状をこう変えてくださ いというニュアンスが非常に強く伝わるものですから、労働時間等の設定についての方 向付けをしたいとは読みにくい感じが全体にするかなという感じがします。  5頁にあるように、例えば地域活動等について、このような必要性は高まってくるか なという感じはしますが、これを改善という視点で捉えると、地域活動やボランティア 活動の解釈とは何か、解釈をめぐって労使間での新たなフリクションを起こしかねない という感じもします。  私たちが読むと、「改善」と言われると、すぐに現状を改善しなさいと読んでしまうも のですから、そうではなくて、このような視点で、本来の趣旨は労働者の心身の健康が 保持されるとか、ここに書いてあるような、家庭生活、地域活動及び自己啓発云々とか、 このような心身ともに充実した状態ができるようにするための視点で、労使で話し合っ たらどうでしょうかとは読みにくいかなという感じがします。 ○新田委員 時短を推進していく法律がこのように変わるという中で、先ほど長谷川さ んも説明しましたが、ここでの議論がまとめられていったという経過があるわけです。 いまもお話のあったこの指針案でも出ている項目について、実は時短を推進していく労 使の話合いの中で、いろいろな知恵を出し合う中で議論してきたのです。それを切って はならないということなのです。何もこの改善の法律がここでポッとできたのではなく て、ずっと長い経過の中であって、私たちは1,800時間をなくすのは反対だと言いまし たが、その中でここまできて、この法律がいよいよ施行される指針をつくろうというと ころにあるわけです。  これまで労使ともに話をしてきた。私もあのときに言ったのですが、1,800時間とい うものが掲げられて、労使の話合いの目標がものすごく明確になって、その上で何がで きるかを議論し合って、「それは無理だよ」とか、「少し無理は被りなさい」とか、「わか った」とか、そういうことを労使でやりながら進めてきたのです。そのことをこの指針 でどこまで明確に示すか。「そういうことなのか」ということが見えるものがなければ駄 目なのだ、どこを目指すのかということがなければ駄目なのだと思うのです。それは改 善でどうのこうのという話ではないと思うのです。まさに改善を目指すのです。そのた めの法律を議論して、いまその指針づくりで苦心のところにきているのではないかと思 っているのです。  ですから、日本社会がどこに向かっていくのか、向かっていく方向はこうあるけれど も、我々の会社に当てはめてみたら、今の時点でどうかという議論をやればいいと思う のです。目指すところはどこなのかという大きな枠組みが、時短促進法のときにあった。 労使ともに労働時間の問題に向き合っていこうという、そういうものが今どうつくれる かが大変重要だと思います。  ですから、もう法律はここまで出来ているわけですから、指針でどのように見せるか が大事なところではないかと考えています。そこを本当に明確にしていくことではない かと思います。  その上で言えば、いまある労基法などをきちんと守った上で、どう工夫ができるのか ということを労使で話をしていくことではないかと思います。そういうふうに見える指 針にすることが大事だと思います。 ○須賀委員 同じような意見なのですが、先ほど説明のあった資料No.1の別紙1に、こ れから政省令を定めてくださいという大臣からの諮問があるのですが、この中の言葉を 見てもらったらよくわかるのですが、第1の1のところに「労働時間等の設定の改善に 関する特別措置法」、つまり、いま審議している指針の基になっている法です。この法律 の名前、これは実はものすごい苦労があってこのような名前になった経過があります。 これは私どもがこれまで議論をしてきた時短促進法に代わって、時間短縮を推進しまし ょうと。しかし一方で、時間短縮、時間短縮とは言えなくなった状況が表面的にはある から、こういう名前に変えて、これは読み方によっては「労働時間等のあり方」、労働時 間等のあり方ということは、働いている時間と働いていない時間、両方の時間があるわ けですから、それをどう改善していって、よりよい暮らし方にするのか。よく言われる ライフワークバランスをどうとるのかということを、この法律で何とか推進していきた いというのが、この法の趣旨のはずなのです。それは、時短促進法がなくなって、この 法に変わったけれども、その狙いとしていることは、やはり生きているのだと私どもは 認識しているのです。  そういうことからすると、この内容が箇条書きに整理してあるから、不十分な点があ るとおっしゃいましたが、ここにも書いてあるように、労働時間の短縮は含まれるわけ です。そうすると、その短縮の仕方を、こうしましょう、あるいはこうあるべきではな いですかということをきちんと姿として示すのが、この指針の本来の目的だろうと、私 どもは捉えたいと思いますし、そうあるべきだと思っております。そういう視点で少し こだわった言い方をさせていただいているということを、是非御理解いただきたい。  同時に、この「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」、名前だけを見ると、イ メージしにくいものですから、やはりこういう指針の中できちんと、それはこういうこ とを目指しているんだということをはっきりさせていただきたいと思います。 ○廣見委員 労使の委員の皆さん方、随分話しておられますから、若干、公益の立場か らも一言だけ話をさせていただきたいと思います。いまこうして議論を伺っていると、 確かにそれぞれ労の立場、それから使用者の立場ということで、少し方向の違うといい ますか、ポイントの置き方が違うということも確かにあるわけです。しかし、いまもお 話が出ておりますが、一つは、やはりこの法律が出来上がった、要するに、時短の促進 という臨時措置法から、労働時間等の設定の改善についての特別措置というふうに変わ った流れ、それについて、当分科会でもいろいろ議論をして、建議をし、そういう流れ の中で、この法律が出来上がってきた状況、そういうものはやはりきっちり踏まえる必 要があると思います。  それが、非常に基本的なことでして、そういうふうになると、これはやや法律論的に 過ぎるのかもしれませんが、いまつくろうとしている指針というのは、そういったよう な、労働時間の設定の改善に当たって、事業主団体も含まれますが、事業主が対処する ために必要な指針である。ということは、結局は事業主のほうに向かっての、緩やかな と言うほうがよいのかもしれませんが、行為規範をつくるということが眼目になってい るのだろうと思うのです。  そういう意味で、出来上がるものがどの程度具体的なものであるべきなのか、使用者 側委員の方々、いまのこの項目の案だけでも、少し微に入り細に入り書きすぎているの ではないかという御意見をおもちのようですが、それはまあ最終的にどうするかはとも かくとして、やはり一つは方向というものを、この改善する、要するに事業主の方々に 向かって指針を出すときの具体的なそれぞれの事業主の行為を、こういうふうにしてほ しいとか、すべきであろうと、努力義務ですから、そういうものを書くときに、やはり それはなぜそういうことが出てくるのかということが非常に大切だろうという気がする のです。  ですから、そういう意味では確かにこれだけを見ると、労働時間の短縮というのは、 法律の表面からは、形式的には書かれていないということですが、労働時間の設定の改 善ということについて、いままで議論してきた流れ、あるいは労働時間の現状、そうい うものを見て、何が課題なのか、どういうふうにすべきなのかということを、やはり具 体的には、例えば、一般労働者の人たちの長い時間を短くしていくべきであるとか、あ るいは年休の消化があまりにも不十分ではないか、もう少し取得促進を図っていくべき であるとか、そういう方向性が出る。そういう方向性をきちっと書いていただいて、そ の方向に沿って事業主の方々に向かって、何をどういうふうにしていってよいか、とい うものを具体的に書くということになるのではないかという気がするのです。  ですからやはり、何に向かってどういう行動をとるかという、その向かう方向性とい うのは非常に大切だろうという気がいたします。そういう中には、まぎれもなく、一口 に言えば労働時間の短縮というものがあるのだろうと思いますし、それに含まれるよう ないろいろな問題が、議論した流れの中であるわけです。それは現に、この案の中で、 きっと方向として出されているのだと、項目として書いてあるのだろうと思いますが、 それはやはり、そういうものとして受け止めざるを得ないのではなかろうか。現に、法 律がこういうふうにできているわけですから、やはりそういうふうに受け止めていくべ きだろう。  ただ、私は若干、これは私見になるかもしれませんが、指針という言葉の性格からい うと、計画と違うわけで、あまり具体的な数値目標、要するにマクロ的な数値目標が、 個々の事業主、あるいは事業主団体に向かっての行為規範であるべき指針に馴染むのか どうかという問題は、基本的にあるような気もするのです。しかし、それはそれとして、 議論をしていかなければならない、流れからいえば課題なのかもしれませんが、基本的 にはそのように思っております。  ただ、個別の問題、個別の事業主の行うべき行為、とろうとする行為、対処しようと する内容、そういうものについては、例えば残業の問題、1か月45時間ですか、これは 具体的な個々の事業主に対する1つの基準として出ているわけですから、やはり何らか の指針を示すとすれば、そういうものは引いてくるということは、性格的にも全く馴染 むものだろうと思います。  ただ、マクロ的な数値みたいなものは、ちょっといかがかなというのは、意見として はもっております。そういう上で、しかし、一つ一つのいままでの議論の流れを整理し た上で、進むべき方向、その方向をきちっと簡潔に書き、それに則った形で個々の事業 主、あるいは事業主団体にとっていただく具体的なあり方といいますか、そういうもの は、きっちり書き込まれて然るべきではなかろうかと私は思っております。 ○今田委員 労使のお考えを伺っていて、特に労働側の委員の方の御意見を伺っていて、 ちょっと疑問に感じたので、一言言わせていただきたいのですが、私は時短法は、1,800 時間という目標を設けて、時短法でもって時間を引き下げるということが、最大の目標 で、あとの、それを肉付ける哲学というのは、いろいろ、その当時もあったと思うので すが、何しろ労働時間を引き下げるということが目的であったわけです。  今回は、そういう枠組みから、哲学なり枠組みが変わっているのだと思うのです。そ のときに、そういう労働時間を1,800時間に下げるということも重要である。なぜなら、 もっと長い時間の人もいるから。でも同時に、いろいろな時間の長さだけではない、も っと労働時間についての働いている人たちのニーズというものがあって、そういう人た ちのニーズを組み込むためにという、まさにおっしゃっているワークライフバランスと いうような、そういう考え方の必要性がある。その考えを、この法律改正の時点で規定 をして、新たな時短法を、さらに時短だけではなく、付加して、そうした多様な労働者 の生活ニーズというものをも組み込んだ上で、では労働時間についてどうするかという ことで、ここで労使でかなり長く熱く議論されてきた。  ということなので、労働時間というところだけをあまりにも強調される議論というの は、短くする、要するに長時間の人がいるから短くする、それも重要で、そのために具 体的な策を入れなさいという、それはもちろんわかるのですが、同時にここで書かれて いるような、そうした、単に1,800時間という目標だけではなくて、多様な労働者の労 働時間に対するニーズを組み込んだ上での新しい枠組みを設定しましょうという、そう いう議論について、労働側の方たちの反論というのが、どうも何かよくわからないとい うか、私には、前半、田島さんとかの議論と、あと須賀さんの御議論というのは、どう なのか。違った御議論をしているのではないかという感じがして、あえてちょっと申し 上げたのですが。  私の理解では、やはり今度の法律の改正というのは、そうした多様な労働者の状況に おいて、労働時間そのものの短縮ということももちろん重要で、それもこの法律の中に 十分しっかりと枠組みの中に位置付ける。と同時に、その他のいろいろな生活ニーズを 抱えているような人たちの働き方についても、新たに事業主として講ずるべき、廣見委 員がおっしゃったような、新たないろいろな目標、期待ですね、そういうものを盛り込 んで、新しい法律としてつくり出していこうというものだと理解していますので、ちょ っと労働側の御意見について。 ○新田委員 各項目について、私は反対も何も言ってはいません。もともとにある大き な問題は、労働時間、長時間労働、私は、長時間労働こそ諸悪の根源だと前のときも発 言しましたが、労働時間をどう短くするかという知恵をお互いに出していくときに、出 ているような項目で、いろいろ議論をしていってやっていこう。それで会社の事情なり 働く者の事情を加味しながらいくのだと、こういうことを言っているわけです。  ただ、そのときに、もう一回言いますが、明確な名称をもっている法律から、こう変 わったということが、実は、全然違いますよと。元々もっていた目標などというのは、 もういいのですよという話ではないですよということを、この法律が始まるときに、改 めて、いままで積み上げてきた労使の話合いを大事にしながら、より良いものをつくっ てくださいと、そのための指針ですよ、というふうになるべきだと言っているのです。 ○田島委員 例えば、私は先ほど、原川委員が、この指針案は現実離れしているという 発言があったのですが、だからこそ私は重要だろうと思っているのです。  やはり労働時間などは極めて重要で、いま今田委員が言いましたが、この3頁で、例 えば有休の取得率が、現在47.4%だと。少なくても55%以上で、実は55%は夢物語で はなくて、10年前は56.1%が、平成4年度、5年度というデータがあるわけです。それ がどんどん有休の取得ができなくなってきている現状、これは今の多様化するニーズで はなくて、労働時間の現実問題として、やはりなかなか取りづらくなっている、あるい は長時間労働化している反映だろうと思うのです。  それで、もし今田さんがそう言うなら、何で10年前から9ポイントも10ポイント近 くも、有休の取得率が下がっているのか。これをもう一度元へ戻そうよと。法律は、請 求したら取れる、100%になるべく近づけるのが本来のあり方だろうと思いますし、そう いう意味では、なぜこの指針そのものをこういう形で出すのがいけないのかという思い はするのです。これは何で下がってきたのですか。ほかの理由はあるのですか。有休の 取得率は、具体的な数字でいうと、多様化しているから下がってきているわけですか。 私たちはそこらを問題にしているわけです。 ○須賀委員 名前が出ましたので、ちょっとだけ反論させてください。労働時間の短縮 が重要なのだとおっしゃいました。それからライフワークバランスというのは、まさに そのとおりだとおっしゃいました。だからこそ、働く時間をどう設定するのか、裏返し の話として、自分の時間、生活の時間をどう設定するのか、そのことが重要だと私は言 っているのであって、そのときに、労働時間の設定のあり方を改善しましょうという、 この法律の趣旨に基づけば、具体的ないろいろな、こういうふうにやったらどうですか という具体性をもった方向性がちゃんと示されないと、改善に向かって進みませんねと いうことを私は言っているのであって、言っていることは全然違っていないと思ってい るのです。やはり私が言ったことは間違っているのでしょうか。 ○今田委員 いえいえ、間違っていません。ただ、ちょっとニュアンスがわかりにくい のです。 ○坂本企画課長 いろいろ御議論を賜ったところですが、私ども事務局としては、今回 の法律が時短促進法から労働時間等設定改善法に変わったということを踏まえているわ けですが、それらの事情も全部勘案した上で、まず、例えば基本的な考え方として、1 頁に書いてあるように、労働時間の設定改善に当たっては、まず時短の推進というのは 非常に重要なことだという基本的な考え方を示している。しかし、時短一本槍では、今 回の法改正で、いわゆる二極化という問題にもなかなか対処できないのだからというこ ともあったわけですから、それを踏まえて、例えば3番のところで、多様な事情に配慮 していきましょう。さらに、労使で十分話し合って、自主的な取組をやっていきましょ う。これは、労働基準法に基づく、いわゆる基準ではありませんから、自主的に上回る 取組をやっていきましょうということを、理念としてきちんと掲げたつもりなのです。  それを踏まえて、II以降の各項目で、例えば個々の記述については、今後いろいろ御 議論が出るのではないかと思いますが、年次有給休暇のところで、いろいろな取組の手 法をお示しして、事業主がいろいろ取り組んでいくときの参考にしていただきたいとい うこともございますし、所定外労働の削減のところで、具体的な記述がまだまだ不足か もしれませんが、いろいろな手法をお示しすることによって、そういう時短等も踏まえ ていってはどうかということをお示しする。  あるいは、4頁以降のところで、多様な労働者のニーズということを考えて、個別の 労働者ごとにいろいろな御配慮があってもいいのではないかという項目を、いろいろお 示ししていく。そういうことによって、極力、時短というものと多様性と、両方に十分 配慮しながら、まさに今回の法律改正の趣旨に則った形で、こういう指針をお示しして いくということで考えたわけです。  数値目標、目標の入れ方というのは、これはなかなか難しい問題もあって、どう入れ るのか、明確に数値で出すのか、あるいはこういうふうな基準等があるので、そういう ものを参考に遵守していきましょうということでやるのか、また、ここはいろいろ知恵 の出しどころかとは思うわけですが、趣旨としては、今回の改正の趣旨を踏まえ、かつ、 なるべく具体的にお示しするというコンセプトで書いたつもりです。 ○原川委員 私も先ほど名前が出ましたので、もうちょっと言わせていただきますと、 現実離れしていると言いましたが、すべてそうだとは言っておりません。時間外労働の 考え方、労働時間の短縮という考え方に、別にこれに異論を差し挟むものではございま せんが、1頁のIの2の3行目の「事業主は、所定外労働をさせないことを基本とし」 というような言い方とか、3頁の(4)の「所定外労働の削減」のところの「所定外労 働は、あくまでも例外であり」、「所定内に業務を完了させることが原則」というような 表現は、これはちょっときつすぎる。要するに現実の状況、企業が置かれている厳しい 状況、例えば国際間や国内の競争が非常に激しくなっている。また不況が長く続いてき た。そういう中で、企業は生き残りをかけて日々闘っているわけです。生きものとして の企業、そこで働いている人も、もちろん生きるために努力をしている。そういう状況 の中で、先ほど私が申し上げたように、100%をはじめから求めるなどということは、ど だい実現不可能なことであって、もう少し手が届くような指針にしてほしいと言ったの は、そういう意味でして、「所定外労働をさせないこと」などという表現ぶりを見れば、 現実離れしていて、とても実現不可能な指針なのかと。むしろ、ここのポイントは、長 時間の所定外労働ということがポイントだと思うのです。  それから、さっきの3頁の「あくまでも例外」という念押し的な言い方、「あくまでも」 などということは、言わなくてもわかるのであって、あまり原則論を強調しすぎると、 この指針を見て、これに向かって努力しようという気持と、大きな乖離を生ずるのでは ないかということを、私は心配しております。  それからもう1つ、2頁の(3)の年次有給休暇の完全消化のところですが、1つ目 の・で、「完全消化を目指し」となっていますが、3頁の上から5行目は、「年次有給休 暇の完全取得を前提とした業務体制の整備」となっている。言っている意味はわかるの ですが、さっき方向性ということが出ましたが、何を目指して、この指針が作用したり 機能したりするのかというところが、ちょっとトーンが一定していないのではないかと。  このように、非常に強烈な言葉を使って、あるいは教科書的な原則論というもので説 得しよう、押し込めようとしているような印象をもたせるような表現が、いま申し上げ たようなところでありますので、これは修正していただきたいと思います。 ○君嶋氏(山下委員代理) すでに使用者側の委員の方から出ている話ではあるのです が、私どもも基本的な考え方には大賛成で、やはり従業員の方には生き生きと元気に働 いてもらいたいと思っているところなのですが、先ほど企画課長のほうから御説明があ ったとおり、理想オプションの提示とか、また強行法規性はないという御説明ではある のですが、理想オプションを提示しているという趣旨のわりには、やはりいま原川委員 が御指摘になったように、表現が非常にきついところがあります。例えば、2頁の「業 務の見直し」のところで、「不断の業務の見直しを図ること」とか、やはり「事業主が講 ずべき一般的な措置」ということで、ものすごいリストが挙がっておりまして、特に私 どもは外資系の企業ということもあって、法令遵守を第一義的に考えておりますので、 その法律に基づいた厚労省の指針ということになると、これを全部守らなければならな いということで、上を下への大騒ぎになって、かえって担当者が長時間労働になってし まうというところもございますので、表現のほうはもうちょっと軟らかにしていただき たいなということはございます。 ○須賀委員 使用者側のおっしゃっていることはよく分かっているつもりですが、原則 論と実態論はやはり分けて使う必要があります。年次有給休暇はいま基準法にも最低限 の付与日数はありますが、年次有給休暇は、完全に消化するということがまず原則なの です。ですから、オーバーワークもさせない。つまり所定外労働はさせないということ が原則であるからこそ、させる場合に関するルールが基準法に定めてあるわけでしょう。 その原則のことは原則できちんと言った上で、でも実態として、それは企業の事情も、 働く側もわかっています。何が何でも100%取らなければならないとか、絶対に残業は しないなどということは、やはり実態としてはあり得ないわけです。  でもせめて、先ほど言ったような形で、ライフワークバランスとかいろいろなことを 考えるなら、こういうふうなことで、まだまだ短縮できるでしょうということを指針で 示すわけですから、言葉は緩くなっても構いませんが、基本原則は基本原則として、ち ゃんと整理しておいていただいて、いかにも何か所定外労働をさせることが当たり前、 年次有給休暇は残すことが当たり前というような、それを変えていこうというための指 針なのですから、そこは是非、私どもは強調させていただきたいと思います。  もう一つ、実はいま基本論のところで一生懸命やられていますが、ほかにいくつか各 論で、まだ議論させていただきたい点がありますので、そちらのほうに移ってもよろし いでしょうか。 ○長谷川氏(山口委員代理) 私はこの指針が、労使の中でどういうところで活用され るかということを、もう一回少しお互いに認識したほうがよいのではないかと思ったの です。私は厚生労働省の行政の肩を持つわけではないのですが、行政は、いちいち箸の 上げ下げまで指導する必要はないと思っていますけれども、この設定改善法という法律 は、見てもらうとわかるのですが、本当は私が説明することではないのですが、「目的」 の第1条で、「事業主による労働時間等の設定の改善に向けた自主的な努力を促進するた めの特別な措置を講ずることによる」となっていますね。だから、これは労使で自主的 に努力してくださいというような法律なんですね。そのために、設定改善委員会でやっ てくださいと。設定改善委員会ができなければ、安全衛生委員会を活用してもいいです よと。  そのときに、どういうことに取り組んだらいいかというようなもの、こういうものが 必要なのではないですかと書いたわけです。私は、これは自分が職場にいた、労使の協 議の場所で使うときに、どういうふうにして使うかというと、我が事業所は労働時間が どうしても長い、本当に困ったことだと。1年間で1,000時間も時間外労働をする者が いる。これは何とかしなければいけないというときに、それでは労働者がどういう時間 外をどのぐらいやっているか、それをまず実態を把握しましょうということになります。 そうすると、それでどういう層の人たちが、どういう時間外をやっているかということ、 年休の取得がどうなっているのかということが分かってくる。  そこで、これはやはり問題だなと。そうすると、どこか直さなければいけないけれど も、どうしてこれが直すところが必要なのかというときに、こういう指針を見ていくと、 ああ、「こういうところはうちで活用できるな」となります。全部やってくれなどという ものではないと思うのです。私はいつも、厚生労働省から出る指針というのは、そうい う中で、自分たち労使で使えるところを使いながら改善していくというものだと思って います。だからこの指針は、活用できる場面というのは、それぞれの事業所によって違 うのだと思うのです。そうすると一つはやはり原則を言って、原則を言いながらも、企 業によっていろいろな事情があるでしょうから、それをいちばんよく知っているのは労 使なのだから、労使で努力してもらいましょうということだと思うのです。夏だとか、 暮れだとか、すごく忙しいところはどうするかとか、そういう問題だと思うのです。た だ、中身がいろいろあるから、それはもう少し議論すればいいのですが、基本的にはそ ういうものだと私は思うのです。  ですから、使用者の皆さんも、何かこれでガチガチに縛られるのではなくて、労使で お互いに努力していきましょう。労働組合のある所は、いろいろなことができると思う のですが、それでは労働組合がない所はどうするのですか。何もなくて、おそらく情報 も何もないとすれば、やはりこういう指針などが大きく貢献すると思います。それで我 が国の労働者が、健康で生き生きと生活できれば、子供も増えていくだろうし、親の介 護もできるだろうし、夜学に行って勉強したい人は勉強もできるだろうし、法科大学に 行きたい人は行けばいいしという、そういうことがいろいろなニーズの中でできるので はないか。  だから、そういうふうにして、この指針をもう少し気楽に受け止めたほうがいいので はないかと思うのです。中身については、少しいろいろ議論があると思いますから、そ れはもうちょっと議論をする。基本的にはそういう大枠だという認識がないと、個別の ところだってなかなか一致できない。  あと、やはり日本人の最近の働き方は、これは日本人だけではなく世界的傾向らしい のですが「奴隷的働き方」と表現する研究者がいます。非常に労働時間が長くなってき て、生活時間が短くなってきている。そういうのを「奴隷的労働時間」とか表現する人 がいるのですが、やはり、日本の労働者も、そういうのに近い労働者がいるということ についても、少し認識しておく必要があります。そうでなければ、何であんなにうつ病 が増えたり、自殺が増えたりするのかということは、決して労働時間だけが原因ではな いのだけれども、その要因の中の一つに、労働時間があるという、やはりそういう共通 認識をもたないと、せっかくつくったこの法律は生きないのではないかという、いま非 常に悲しい思いをしています。 ○紀陸委員 長谷川さんはそうおっしゃいますが、私どもは、いわゆる厚生労働省の指 針なるものの役割・機能というものは、やはり個別企業で感覚的に受け止めるイメージ というのはかなり違うのです。この法律に基づく指針だけではなくて、一般的に厚労省 の指針というと、それだけで、要するに行政指導の足がかりにされるというイメージを もっている事業主なり、人事担当者の人も非常に多い。しかも、この指針の立て方は、 Iの1の下に「『労働時間等の設定の改善』とは」云々という経緯があって、その2のと ころでは、「『労働時間等の設定の改善』には、『労働時間の短縮』も含まれる」というこ とになっています。含まれると言いながらも、この後に述べていることは、読み方によ って、やはりこの時間短縮のところに焦点が当たっていると思うのです。  こういうものの読み方について、労使で会社の中で話合いをする必要が出てくるので すが、さっきの須賀委員の御発言を聞いていても、やはり非常に誤解がある。須賀委員 は3回、「ライフワークバランス」という言葉を使われましたね。私どもは絶対そういう ことは言わない。ライフワークバランスではないのです。何というか。順序は逆で、「ワ ーク」が最初にくるのです。「ワークライフバランス」。この4頁の下から4行目に、一 般には仕事と家庭の、あるいは仕事と生活の両立ですね。ですから、言葉の使い方とし て、ワークライフバランスかライフワークバランスか、まあどちらでもいいのですが、 要するに目線の置き方がどちらに軸足があるかということは、自ずから姿勢に出てくる というようなことも背景にあるのではないかと思うのです。半分冗談事ですが。  いずれにせよ、この法律の大きな焦点は、やはり時短のほうにかかっている。だから、 今田委員が先ほど冒頭に言われたように、労働側の方々が何で反対するのかよくわから ないということでしたが、私もよくわからないです。逆に私どもが反対するならともか く、労働側の方々が反対されることは、私にはよく理解できないぐらいで、微に入り細 にわたり非常に細かいことが書いてあるのですが、事業主からすると、ここまで言って いただかなくてもいいやというのは本音で、何人かの方々がお話のように、この数値目 標も、よく考えてみると、これはおかしいのです。長時間にわたる時間外労働を行って いる者が1割以上減少といっても、さてどういうふうなカウントをするのかとか、何で 有休が、さっき10%下がったということですが、本当にそうかどうかわかりません。原 因でも、いろいろな事情があるわけで、私などは単純に、3連休が増えたからじゃない のというぐらいにしか思っていないのです。それも半分冗談ですが。  いずれにせよ、一律的にこういう目標を掲げるというのは、やはりこれは馴染まない。 私どもはここだけには反対したいと思っております。あと、細かい表現ぶりのところは、 いろいろ意見がありますが、大枠としては、こういうところを外していただければ、異 論はないということです。 ○石塚委員 いま紀陸委員がおっしゃいましたが、労働側としては、基本的に全部反対 と言っているつもりは全然ないのです。この間のことも、時短促進法からのずっと流れ の中の経緯というものを踏まえたときに、時短を一律的にやることは時代に合わなくな ってきている。だから、そこは形を変えた格好で、より生きる格好に再編成しようでは ないかという趣旨だと思っています。それが一つ。  もう一つは、一律的に論じられる中で、時間の長さだけで論じられないということも、 これまた事実なわけだから、それに付随する家庭生活とか地域活動、ここに書いてある ようなこととのバランスを、どのようにうまくとっていくのかということがより大事に なっている。まさに趣旨には大賛成なのです。そのことが分かりやすいように、この指 針として出してくれないかというのが、我々の立場なのであって。確かにそれは、管理 監督者に対する、形骸に対する一定の信頼かな。制約する、しないという話になるので しょうけれども、趣旨からすればそういうことだと思うのです。  したがって、もう少し、さっき気楽に考えるという発言もあったのですが、労働側だ から言えるのかもしれませんが、そういう労働時間、まさに書いてある、「労働時間の短 縮に加え、家庭生活、地域活動及び自己啓発等に必要とされる時間と労働時間を柔軟に 組み合わせ」云々という、ここのことをもう少し、「『労働時間等の設定の改善』とは」 という中に、もっと入れてほしいのです。それが労使ともに見て、わかりやすい格好に してほしいというのが、平たく言えば私たちの思いなのでして、反対でも何でもない。 こういう趣旨に賛成です。またこういうふうに、時短促進法からこういうふうに変わっ てきた。だから十分承知していますので、その上で労使が自主的に使えるような格好で、 もう少し平たくわかりやすいものにしていただきたいというのが。でなければ指針では ないではないかというのが、私たちの基本的な考え方です。最初に戻った形になって恐 縮ですが、そのことをもっと明確に謳ってほしいということなのです。 ○西村分科会長 細目について、何か御意見があるという話ですが。 ○須賀委員 3頁から4頁、「国の支援の活用」のところで、まだこれは予算がどうなる かわからないという話ではありましたが、労働局にコンサルタントを置くというのは、 具体的にどのような人を想定しているのかということが一つです。  それから、同じ予算絡みのところで、5頁の3番の「事業主の団体が行うべき援助」 というところで、「援助事業や助成金制度(P)を活用する」、これはどういうことを想 定されているのか、具体的に何かわかるようなものがあったら教えていただけませんか。 ○坂本企画課長 まず4頁の、労働局のほうにコンサルタントを置くということですが、 この狙いは、長時間労働を行っている事業場の関係で、個別に事業主がどういうふうに この長時間労働というものを改善していったらよいのかということについて、専門家の 専門的な見地から、こういう手法があります、こういうふうなやり方をとってみたらど うですか、ということを助言・指導できるように、そういう人を配置したいということ です。これは予算上の措置として、そういう手当てをしていきたいということで、そう いう方をお願いしたいと思っております。ですから、この労働時間の関係の取組の経験 者・専門家といったようなところを念頭に置いて言っているわけです。  もう一つの5頁のほうですが、基本的には、これまで時短センター等で行ってきたよ うな業務、今回は時短だけではないのですが、労働時間等の設定の改善ということで、 いろいろな取組をしなければいけないわけですが、都道府県単位の事業主の団体等で、 傘下の事業主に対して、自主的にいろいろな改善、労働時間の時短を含めたいろいろな 取組、そういったものの指導とか広報とか、そういったことを積極的にやってくださる ような団体に対して、そういう助成金を支給する。あるいは、その団体に、そういう専 門家的な方を置いていただいて、具体的な中小企業団体をとらえて、集団指導とか個別 の相談に応ずるということを、きめ細やかにやっていこうということを考えているわけ です。  従来の時短事業がございましたが、あれを更に、労働時間の設定ということで拡げて、 充実したものとしてやっていきたいと考えているわけです。 ○須賀委員 中身は説明でわかったのですが、これは余分なことかもしれませんが、労 働局、いくつかのところで何か思わしくないようなことがあったようですが、決してま た新しいコンサルタントのような人を、さっき助言・指導ができる、経験のある専門家 とおっしゃいましたが、パッと聞くと、これはまた天下り先が増えるのかなという印象 をもちますので、こういう言い方は、この場では適切でないかもしれませんが、そうい うことにならないように、是非、本当の意味で労働時間の設定のあり方に関して助言で きる方、あるいは実務経験のある方ということを、是非想定して、推進に努力していた だきたいと思います。 ○新田委員 予算要求されているレベルは、どんな人数とかどんな規模で要求されてい るのですか。都道府県労働局と書いてありますが。 ○坂本企画課長 時間外労働が長い事業場の事業主に対する自主的取組を推進するため のコンサルタント等の配置経費で、金額的には1億6,000万円ぐらいですから、こちら のほうは労働局で1人ぐらいだと思います。  それから、中小企業団体等の取組の支援のほうは2つに分かれていて、労働時間の設 定改善援助事業ということで、各団体に専門家を置くわけですが、これが約10億円の規 模で要求していて、団体数でいくと、大体全国で590団体ぐらいを対象に行いたいと思 っております。助成金の支給のほうは、約4億7,000万円ぐらいで、これは、基本的に は各都道府県で1つぐらいかなとは思いますが、1団体か2団体程度。ですから、せい ぜい全国では6、70の団体になろうかと思いますが、そのぐらいの規模のことを考えて おります。  コンサルタントの数は、各県1名プラスアルファということで、大体50数名というよ うな規模です。 ○新田委員 別の質問ですが、3頁の「所定外労働の削減」の中の、「代償休日を取得さ せること等により」という記述があるのですが、これはどんなイメージでしょうか。具 体的にはどんなことですか。 ○坂本企画課長 簡単に言えば、休日労働をさせた場合、別途、代償休日を与えたらど うかとか。ここはもう少し丁寧に書く必要があろうかと思うのですが。 ○新田委員 「代償休日」というのは「代休」とかですね。 ○坂本企画課長 簡単に言えば代休のつもりだったのですが、ちょっと言葉がよくなか ったかもしれません。 ○新田委員 「代償」と書いてあるから、新しく何かあるのかと。 ○坂本企画課長 違います。代休のつもりでございました。 ○須賀委員 同じような言葉が4頁の真ん中辺り、2の(1)3つ目の・に、ここは「代 償休暇」と書かれています。何のことを言おうとしているのか、ちょっと意味がわから ないのです。 ○坂本企画課長 すみません。そういうこともございまして、最初に申し上げたとおり、 ワーディングについては、やや簡略化しているところもございますので、整合性がとれ ていないところもありますので、後日きちんと整合性をとりたいと思っております。 ○新田委員 新しい制度ということではないのですね。 ○坂本企画課長 そうです。いろいろな手法を提示して、それを組み合わせて進めてい ってはどうかというようなことでございます。 ○小山委員 3頁目の(4)の「所定外労働の削減」のところに、3行目から、「また、 所定外労働を行わせた場合には、代償休日を取得させること等により」と書いてありま すね。これはさっき言った代休とは全く違う概念で、いまの労働基準法上、そういうこ とが何かあり得るのかなという率直な疑問があるわけですが、そうではないということ で理解してよろしいですか。 ○坂本企画課長 そうです。ですから、この辺のワーディングが不適当だったかもしれ ませんが、簡単に言えば、休日労働をなるべく避けるように。それから、休日労働等を させた場合には、この「所定外労働」という言い方はよくなかったのかもしれません、 むしろ「休日労働をさせた場合」ということでお考えいただいたほうがよかったのかも しれませんが、そういった場合には代休を取得させるということ等によって、それで総 労働時間の短縮を図れるのではないかという一つの手法を示したつもりだったのですが、 ややちょっとワーディングが不正確でしたから、このところ等は改めてきちんと書かせ ていただきたいと思っております。 ○小山委員 細かい点ですが、この設定改善委員会と衛生委員会との関係についてです が、労働時間の設定改善委員会の委員の選出に当たっては、労働組合がない場合は過半 数代表に、これは労働基準法第41条第2項の、管理監督者はその代表にはなれないとい うように理解しているのですが、労働安全衛生法上の衛生委員会の委員選出については、 どのような規定になっているのか、ちょっと教えていただきたいのですが。そことの絡 みで、どう考えたらいいのかということなのですが。 ○坂本企画課長 後でまた調べまして、御報告してよろしゅうございますか。 ○小山委員 いいですけれども、要するに、そこのところの整合性がちゃんととれてい ないと、衛生委員会が活用できなくなる可能性もありますし、そこのところを、後で御 説明をしていただければと思います。 ○坂本企画課長 わかりました。 ○小山委員 「時間外労働の削減」の関係で、ここにいま例示的に、労働時間延長の限 度の基準が、「※」で入っているのですが、現実には、時間外労働で、いまかなり多い部 分は、特別条項を使った時間外が、現実処理として非常に多くなっているわけです。そ のことについて、この中ではもう少し具体的にきちっと記述していただく必要があるの ではないかと思いますので、是非、特別条項はあくまでも例外的な措置の中で、例外の 中のさらに例外なわけですから、そこのところについては、この指針の中で明確に記述 をしていただきたいと思います。 ○石塚委員 4頁目の2の・ですが、これは1と2の関係で、2項目目を、「特に配慮を 必要とする労働者について事業主が講ずべき措置」というふうに、法律の条文に合わせ てこういうふうに出しているのでしょうけれども、ここの指針の絞り方が、ちょっと違 和感があるのです。  このもともとの趣旨は、先ほどから言っているように、ライフワークバランスかワー クライフバランスか知りませんが、実はそちらのほうがベースのはずであって、何か「特 に配慮を必要とする労働者」を特別視・問題視するようなことより、もっと前向きな書 き方はできませんでしょうかね。ちょっと印象論で恐縮ですが。すごく暗い感じで、も うちょっと何か前向きな書き方はできませんか。細かい話をすればたくさんありますが、 その辺のスタンスなのですが。 ○坂本企画課長 特に(1)のタイトルのところが、法律の事項そのままで書いている ものですから、非常にわかりにくいというようなことも含めての御意見かと思いますが、 どういう例示がいちばん望ましいのかということは、なかなか難しいものですから、と りあえずはそこは法律の事項を、今回は引っ張っておりますが、より中身において具体 的なものが想定できるように、そういう面では工夫してみたいと思っております。  それから、先ほどの衛生委員会の話ですが、大変失礼いたしました。管理監督者が入 らないようにするのは省令できちんと措置をいたすつもりですので、そこは齟齬のない ようにしたいと思います。また、詳細は別途、私どもでまたきちんと省令を整備いたし ますから、そこでわかるようにしたいとは思っております。 ○石塚委員 確認しますと、設定改善法上における設定改善委員会に管理監督者は入れ ませんね。安全衛生法上は、確か入っているケースがあり得るのです。そこの話を私ど もは問題にしているわけなので、趣旨からすれば、これは管理監督者が入ってはおかし いのだろうと思っていますから、そこのことは担保されると考えてよろしいわけですか。 ○坂本企画課長 そのつもりでおります。詳細はまた別途御説明いたします。 ○長谷川氏(山口委員代理) 一つだけ。これは法律をつくるときに聞いておけばよか ったのですが、この労働時間等の設定の改善に関する特別措置法というのは、公務員が 適用除外になっていますね。これは、もともと時短促進法もそうだったのですが、労働 基準法は現業公務員は適用なのですが、今回の場合、労働時間の管理、労働時間の設定 ということであれば、どうして公務員のところが適用除外になるのかを教えていただき たいのですが。 ○青木勤労者生活部長 テクニカルな話で恐縮なのですが、この法律の基になっている 時短促進法のときに、これは当然、時短促進法の改正法で、その時短促進法で、いまお っしゃったように、公務員は除外されているものですから、その法律の改正ということ で、そこを引きずっているということでございます。 ○長谷川氏(山口委員代理) 確認ですが、設定改善委員会ができない場合は、安全衛 生委員会をみなすことができますね。これは逆にするということはできるのですか。つ まり、安全衛生委員会があって、その安全衛生委員会で労働時間の設定に関する協議を 行うということです。安全衛生委員会を最初から活用して労働時間に関する協議を行う ということはできないのですか。 ○青木勤労者生活部長 先ほど申し上げましたが、安全衛生委員会が、今度の労働時間 等設定改善委員会が満たすべき要件を、すべて最初から満たすように、少し組み換えて いただかないと、半々の原則とか議事録をつくってくださいとか、いまの管理者の問題 とか、それを満たしていただかなければ、最初からそれでも構わないわけですが、現在 ある委員会のままでは、当然駄目でして。ですから、要件を満たしていただければ、そ れは結構ですということです。 ○西村分科会長 この議題で随分時間が経ってしまいましたが、第三の議題は、資料が 配られていますので、また次回に取り上げるということで、是非、各委員の方は、事前 に読んでおいていただきたいと思います。一応、今日の委員会はこれで終わらせていた だいてよろしいでしょうか。何かほかに議論があれば。 ○渡邊委員 この指針ですが、いま議論がされて、ある程度まとめて、もう一回議論す るのですか。 ○西村分科会長 このテーマが次回に出てくるときには、具体的な指針案を出していた だけるということで、よろしいでしょうか。 ○坂本企画課長 今日いろいろな御指摘をいただきましたので、それを踏まえて、改め て、今度は指針案という形でお示しして、御意見を賜るべく努力したいと思っておりま す。 ○西村分科会長 今日の議論を踏まえて、具体的な指針案を作成して、それを、次にこ のテーマが出てくるときに出していただくということですね。 ○坂本企画課長 はい。 ○西村分科会長 それでよろしいでしょうか。それでは次回の日程についてお願いいた します。 ○大西監督課長 次回の労働条件分科会は、11月29日(火)の午後5時から7時まで。 場所は厚生労働省17階専用第21会議室の予定です。よろしくお願いいたします。 ○西村分科会長 それでは本日の分科会はこれで終了したいと思いますが、本日の議事 録の署名は、新田委員と原川委員にお願いしたいと思います。  今日はお忙しい中、ありがとうございました。 (照会先) 労働基準局監督課企画係(5423)