05/11/16 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成１７年１１月１６日議事録


　０５／１１／１６　　中央社会保険医療協議会
　　　　　　　　　第７２回診療報酬基本問題小委員会議事録　

(1)日時　　平成１７年１１月１６日（水）１０：５９～：１２：２９
(2)場所　　厚生労働省専用第１８会議室
(3)出席者　土田武史委員長　遠藤久夫委員　室谷千英委員　小林麻理委員
　　　　　 対馬忠明委員　小島茂委員 　宗岡広太郎委員（松井）
　　　　　 大内教正委員　松浦稔明委員　
           松原謙二委員　青木重孝委員　石井暎禧委員　黒﨑紀正委員
           山本信夫委員　
           岡谷恵子専門委員　白石小百合専門委員
　　　　　 西岡清ＤＰＣ評価分科会長
　　　　　 ＜事務局＞
　　　　　 水田保険局長　宮島審議官　麦谷医療課長　谷口指導課長
　         福田企画官　他
(4)議題　　○　ＤＰＣについて
　　　　　 ○　小児医療について
　　　　　 ○　産科医療について
　　　　　 ○　精神医療について
(5)議事内容　

○土田小委員長
　ただいまより、第７２回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開
催いたします。
　まず、委員の出欠状況について報告します。
　本日は、宗岡委員が御欠席で、代理として松井さんがお見えになっております。
　なお、保険局長は、公務のため遅れる予定である旨の連絡を受けております。
　それでは、議事に入らせていただきます。
　まず、「ＤＰＣ」につきまして議題としたいと思います。
　本日は、ＤＰＣ評価分科会の西岡清分科会長に御出席いただいておりますので、
まずは、「ＤＰＣ導入の影響評価に関する調査結果及び評価」につきまして、西岡
分科会長より御説明をお願いいたします。

○西岡分科会長　
 ＤＰＣを導入いたしましてから毎年行っております基本調査がございます。それに
つきまして今年度のデータがそろってまいりましたので、報告させていただきます。
　今回御報告させていただくデータは、毎年収集しております７月から１０月分ま
でのデータでございますが、そのうちのデータ整理ができました７月分と８月分の
データを御報告させていただきます。そのために、比較の対象になります前年度ま
でのデータはすべて７月分、８月分として再集計したものでございますので、その
旨御了承をお願いいたします。
　今回収集いたしましたデータは、全体で約５６万件ございましたが、データクリ
ーニング、それから除外すべきデータを除きまして、５２万件ということになって
おります。調査対象病院は、２ページのところにございます。
　まず主な結果でございますが、３ページ目をごらんいただきたいと思います。在
院日数の年次推移でございます。これは、ＤＰＣ対象病院、試行的適用病院、調査
協力病院も、いずれの病院におきましても、平均在院日数の短縮が見られておりま
す。この表のとおりでございます。
　この在院日数が減少した原因でございますが、これを、「診断群分類毎の在院日
数の変化による影響」と「患者構成の変化による影響」という形で分けて分析して
おります。そうしました結果、この在院日数の減少は、主として診断群分類毎の在
院日数の減少によって生じておりまして、在院日数の短い診断群分類に該当する患
者が増加したといったことではないということでございます。これは、試行的適用
病院、調査協力病院におきましても同様の結果を得ております。これは、別添資料
がございますが、その資料の２１ページから２８ページのところに掲載してござい
ます。
　次に、施設類型別の在院日数の差ということで検討しております。別添資料の２
９ページから３１ページにございますが、ここで見ますと、ＤＰＣ対象病院が他の
病院に比べましてやや在院日数が長くなっているわけでございますが、その原因と
いたしまして、ＤＰＣ対象病院の診断群分類毎の在院日数が長いことと、在院日数
の長い診断群分類に該当する患者が多いこと、これによる差であるということが考
えられます。
　これらのことから、平成１７年度調査におきましても、すべての類型の病院にお
きまして在院日数の長い患者を以前より多く受け入れておりますが、診断群分類毎
の在院日数の減少した影響により全体の在院日数が減少したということが考えられ
ます。入院医療の効率化が進んでいるというふうに考えられるのではないかと思い
ます。
　入院の経路でございますが、まず、救急車による搬送の率と実数でございます。
これは、資料の３２ページに図がございますが、全体的に横ばいの傾向が見られま
す。細かい数値は、この４ページの表に出ておりますが、率としてはあまり変わり
はないのですが、実際の１施設当たりの受け入れ実数を見ていきますと、徐々に増
加していることが見られます。
　また、緊急入院の率及び実数、これは資料の３３ページございますが、これも同
じ傾向でございまして、全体には率としては横ばいでございますが、実数としては
増加の傾向が見られております。５ページの上の表でございます。これは、試行的
適用病院、調査協力病院においても同じように見られております。
　それから、他院よりの紹介率及びその実数でございます。別添資料の３４ページ
にございますが、また５ページの表でもごらんいただけますが、他院よりの紹介率
といたしますと、全体的には横ばいでございますが、やはり患者実数を見ますと、
増加する傾向が見られております。
　こういったことから、ＤＰＣ対象病院、試行的適用病院、調査協力病院について
は、全体的に救急車による搬送、緊急入院、他院よりの紹介を受け入れている実数
として増加しているということが評価できるのではないかと思います。
　次に、退院先の状況でございます。資料の３５ページにございます。これでごら
んいただきますと、ＤＰＣ対象病院においては、退院先が「自院の外来」というの
がやはり徐々に増加しております。ＤＰＣ試行的適用病院では横ばいでございまし
て、また、調査協力病院では減少する傾向が認められております。
　転院の割合でございますが、ＤＰＣ対象病院では、「転院」の割合が少し減少し
ております。試行的適用病院では横ばいでございますが、調査協力病院もほぼ横ば
いといった傾向が見られております。
　退院時転帰の状況、これが以前の御報告のときにも御議論いただいた点でござい
ますが、治癒の割合について見ますと、これは資料の３６ページでございます、Ｄ
ＰＣ対象病院におきまして、平成１４年度から１５年度に大きく減少しております。
その後、横ばいの傾向で見られます。ＤＰＣ試行的適用病院におきましても、やは
り減少する傾向が見られております。軽快の割合を見てみますと、ＤＰＣ対象病院、
試行的適用病院ともに増加しております。この治癒と軽快を合わせたものをごらん
いただきますと、大きな差はないというのが現状でございます。
　それから、退院後の再入院の率でございます。再入院に関しましては、ＤＰＣ対
象病院におきまして徐々に増加傾向が見られます。試行的適用病院、それから調査
協力病院においても同じ傾向が見られております。
　同一疾患で６週間以内の再入院というものを見てみますと、これも、対象病院、
試行的適用病院、それから調査協力病院ともに増加が見られております。この再入
院に関しましては、今年度も特別調査といたしまして、その内容、それからどうい
った傾向にあるのかを調査を行う予定にしてございます。
　それから、患者の構成でございます。資料の４９ページにございますが、主とし
て、いずれの病院もＭＤＣ０６でございます「消化器疾患、肝臓・胆道・膵臓疾
患」が最も多い割合を占めてございます。それ以外の疾患につきましては、大きな
変化は見られておりません。
　それから最後に、４月２４日の中医協基本問題小委員会におきまして、平成１６
年度の調査結果を御報告させていただきました。そのときに御指摘いただきました
ポイントが、８ページの上の方に丸をつけてございます。１つは、「診療内容が良
くなった、患者のために良い医療が出来たという内容が（調査から）見えない。」
ということ。それから、「検査の外来移行が患者のＱＯＬ確保につながったのか不
明。」である。「病床利用率についてのデータ（が、前回出しておりませんでした
ので）を示して欲しい。」ということでございます。それから、「ＤＰＣ導入によ
って高度な医療が提供されるようにならなければ意味がない。」のではないかとい
う、こういう御指摘をいただいております。
　分科会におきまして、これらについて検討させていただきました。在院日数が減
少し効率化が進むことと、診療内容が良くなり患者のために良い医療が提供された
かという関係の検証には今後さらに掘り下げていく必要があろうと考えております。
しかし、退院時転帰は大きく変わらず、各種アンケート調査でも退院患者の転院先
の病院における評価、それから患者満足度も高い値を得ております。これは前回の
報告にございましたとおりでございます。
  それから、在院日数の減少がすべてＤＰＣ制度の導入によるものとは言えないの
ですが、ＤＰＣ制度には在院日数を減少させるインセンティブが内包されておりま
す。したがって、在院日数の減少に寄与しているということは確かではないかとい
うことが考えられます。また、検査・画像診断の外来移行につきましては、これま
での入院の在り方というものから、このＤＰＣ導入後の入院の在り方というものが
大きく変わりつつあるのではないかということが考えられます。
　それから、ＤＰＣ制度の導入によりまして医療現場における医療の質とかコスト
に対する意識が向上してきております。その結果として、医療に対する合理化が進
んでいっていることも確かではないかというふうに考えられます。
　ＤＰＣ制度導入の、これは大きな成果ということになると思いますが、膨大な診
療データが集積されております。各種の統計的な集計が可能になりまして、参考と
して活用されることにより医療の標準化が進むことが期待されます。また、この収
集されましたデータが公表されることになっております。そういったことから、多
角的な解析が行われ、患者にとりましても医療の内容をよりよく理解でき、医療機
関を選ぶ際の参考となる情報が増えてくるものと思われます。
　それから、ＤＰＣ対象病院の病床利用率でございますが、これは、平成１４年か
ら１６年にかけまして見てみますと、大体８３～８４％で推移しておりまして、大
きな変化は見られておりません。
　それからもう１つ、高度な医療が提供されるかどうかということでございますが、
ＤＰＣ対象病院につきましては、前回の調査におきまして、高度先進医療の数が決
して減少していないというデータが出ております。
　最後に、まとめでございますが、ＤＰＣ対象病院におきましては、平成１７年度
の調査の結果におきましても、これまでの傾向でございます平均在院日数の減少が
続いております。その要因が、より在院日数の長い診断群分類に該当する患者の受
け入れを増加させているにもかかわらず、診断群分類毎の在院日数の平均が減少す
ることによる影響の方が大きいためであると考えられます。退院時転帰につきまし
ては、調査協力病院、試行的適用病院における状況も同じでございます。ＤＰＣ対
象病院におきまして、平成１７年度におきましても、やはり医療の効率化が進んで
おりまして、急性期医療を担う医療機関として受け入れ患者数も増加しております
が、診療内容に悪影響があったということは認められないということでございます。
　ＤＰＣ試行的適用病院におきましても同様の傾向でございます。やはり、ここで
も診療内容に大きな悪影響があったと認められるようなことはございませんでした。
　以上でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞ。

○松原委員
　ＤＰＣがおおむね良好な結果を得ているという御意見だったと思います。
　私ども、ＤＰＣにつきまして幾つかの問題があるのではないかと思っております。
例えば、病院に入院して、再入院を計画的にしたときに病名がリセットされると、
これはぜひ修正していただきたく思います。また、病気によりまして、点数が高い
からといって病名が変わる「病名のわたり」という現象が幾つか指摘されているよ
うでございますので、これも停止する仕組みが必要だと思っております。さらに、
入院していたときの検査を外来に回すということが散見されるように思いました。
これにつきましても、丸めの中でやっておられるという以上、そこに入れていただ
くのが筋ではないかと思っております。
　さらに、病院の係数が平均１．０６で規定されているということでございます。
これにつきましては、ここの半年、１年のデータを見ますと、ＤＰＣ試行病院並び
にＤＰＣ対象病院は、３～５％ほど一般病院よりも収入が上がっております。これ
は、御努力された結果だとも思いますけれども、逆に申しますれば、１．０６とい
う比率が少し高いのではないかと私ども思っておりますので、１．０というわけに
はいかなくても、１．０６は高すぎると、低くしていただいて設定していただくの
が本来の全体から見たときの筋ではないかと思っております。
　日本医師会といたしましては、患者さんからしてみますと、急性期に包括されて
いるときに、万が一自分の本来必要な医療が病院の経営のために受けられないので
はないかと、そういった心配があっては大変だということと思います。もしその結
果が悪ければ当然適切な医療をしていなかったのではないかということに対して訴
訟を起こされたときに対応しなければなりません。これは、国民にとって適切な医
療が受けられることが担保されている出来高と大きな違いでございます。ただ、出
来高も、過剰な医療が、無駄な医療が行われているのではないかという問題点が確
かにございますが、そこにおいてはやはり適切に対応するのが私はよろしいのでは
ないかと思っております。そういったこともありまして、包括に対しては適切な医
療が必ず受けられると、国民も納得できるということが担保できるということが一
番大事だと思っておりますが、外来につきましてはいろいろな状況がございますし、
また、救急につきましても、さまざまなバリエーションがございますので、こうい
ったものは包括にはなじまないと思っております。
　ただ、そういったことも十分御理解の上で、病院の意見を反映できるとされる石
井委員が、もし病院の総意でこのＤＰＣを進めたいという意見でございますれば、
私ども日本医師会といたしましては、病院も私ども医師の中の一員でございます、
総意を無視するわけではございませんので、ぜひそのような形でしていただいても
よろしいかと思いますが、ただ、また青木委員から二、三御質問なり御指摘をいた
しますけれども、やはりまだまだ完全なシステムにはなっていない、特に先ほど私
が指摘した４点につきましては改善していただきたく思っております。
　以上です。

○石井委員
　ＤＰＣに関して現状の報告が出されたのですが、これについては、いろいろな形
で我々日病協としても実務者会議で議論しておりますし、また、日病の中でもいろ
いろな委員会でこれは検討しております。
　そういう中で、現状の客観的評価に関しては今大体御報告のとおりだろうと思う
のです。ですから、現状では、ＤＰＣについて、いわゆる丸めだから、医療費抑制
のためを期待して積極的推進の意見とか、それを警戒して反対という意見が世の中
にあるようですが、我々としては、現実に実施した病院のいろいろアンケート調査
などをやりまして、これを受け入れた病院は、あまり診療報酬の問題としてはこの
問題を現状受けとめていません。その理由の１つには、これを受け入れやすいよう
に、病院係数という形でいわゆる出来高払いとの関連をとっているでしょう。現状
では、個別の病気または個別の病院に関しては実際下がることもあると思いますし、
またはやり方によって差も出てくると思います。しかし、総枠、全体として眺めま
すと、それと今のところは出来高と関連がとれておりますので、診療報酬上の問題
としてではなく、評価するとしたら、むしろ今の医療の質がどう変化するかという
ところで、この問題を考えなくてはならないと受けとめております。
　それから、これまでの既に実施している病院へのアンケート調査によりますと、
ＤＰＣに関しては、全体的には、過半数は積極的な受けとめ方をしております。む
しろ診療報酬の問題と無関係にでも、幾つかの利点があると評価をしているのは事
実でございます。その内容は、基本的には自分たちのやっていることを、職員もま
た、それから病院が外との関係からいっても客観的に見ていくという意識ができて
いる。すなわち、医療の標準化が、ガイドラインという外部からでなく、、自分た
ちのところのやる医療というのはほかと比べてどうなのかと、今までは比較のしよ
うがなかったことが、比較できる可能性を持っていると考え、部分的に比較が行わ
れておりますので、そういったことを進める道具としては、やりながら考えていく
方がいいという意見が多いようです。現状では、確かにこの報告書にあるとおり、
マイナスの影響は具体的には出ていないということなので、現状持っている問題点
をどう解決していくかに基本的な関心事があるというアンケートの内容でございま
した。
  それからもう１つ、これからこれをどう進めていくかという問題で、もう１つ内
部アンケートをとりました。それは、ＤＰＣを導入するに当たってどういう点が非
常に困難であったか、または、その後、ＤＰＣをやったところで内部的に困難さが、
やる前の準備、それから、やってからどういうところでまずかったかというような
アンケートに関しましては、やはりほとんど２点に集中しています。１点は、医
師・看護師等の内部職員の教育です。すなわち、ＤＰＣというのは、今までの制度
と違いますし、ＤＰＣでは標準的な医療というものを想定し、自分の医療はそれと
較べてどうなのかを意識する。すなわち、現実の我々のやっている医療を、各々好
きなようにやればよいというのではなくて、客観的に見ようという態度がないとで
きないということですので、やはり十分に教育ができたかどうかが一番問題になり
ます。今までのように、病名がいわゆるレセプト病名というように、割合恣意的に
つけられているのではなくて、客観的な病名、ＩＣＤに基づく病名をつけていかな
いとこれに対応できないとなれば、教育がどれだけできたかで、内部がスムーズに
いったかどうかが決まるという、こういった意見が８０％以上ありました。
　それからもう１つは、ただし、このシステムは手作業では到底できないもので、
やはりコンピューターシステムでこれに対応をしなくてはいけない。しかも、これ
は非常に大変なのです。というのは、アメリカのＤＲＧみたいなものだったらまだ
簡単かもしれないのですが、日本の場合には、今までも出来高の計算まで全部して、
それとの両方のシステムを同時に全部資料を出すという、こういう構造を持ってい
ます。このことによって、日本のＤＰＣが現状で対応できたということであると同
時に、それに基づいて、各疾患毎の係数を決めているので、この２つは切り離すこ
とは実際上今はできないし、ＰＰＳに移行というようなお話もあるやに聞いていま
すが、これは現実的には今不可能だと思います。というのは、出来高点数との比較
を抜きにして、実際上の原価をＤＰＣ分類に反映させるかという方法はございませ
ん。現状は、この定額払い制は出来高払いを土台にしてできているので、この日本
のＤＰＣは、アメリカなどのＤＲＧ／ＰＰＳと比べますとはるかに出来高払い制に
近い内容です。現に病院係数でつながっているだけではなくて、それをたとえなく
しても、現状はそのつながりをもってしか、運営できないという構造を持っていま
すので、このシステムは、倍に近いコストがかかるような内容だし、労力も必要に
なっております。こういう点で、コンピューターシステムの整備ももう１つの課題
として内部からは挙がっていて、これも８０何％の回答が出ています。
　それから、ＤＰＣに関しては、実際上の医療原価ときちっとした対応性がないと、
医療がめちゃくちゃになりますので、対応性をどうつくっていくかが課題です。正
しい原価をＤＰＣに反映させていくことが重要なので、その点についてはまだまだ
不十分で、各疾患毎に非常にばらつきもあります。それから、いわゆる２５％のと
ころまで幾らとか、そういう今の割合が、適正かどうかという問題。もう既にＤＰ
Ｃの報告書の中にも出てきていますが、こういったものをちゃんと解決していかな
いと、いわゆる病院係数を廃止するわけにいかないだろうと思うのです。これは現
状の実際上の原価率は各々の疾患についても非常にばらつきがございますし、日数
の点からしてもばらつきがあることは、はっきりしていますので、現状で病院係数
を廃止はできないし、もしも廃止という方向があるのだとすれば、今のＤＰＣその
ものを精密化して、現状にちゃんと対応できるようにしていかなければいけないだ
ろうと思います。
　それから、今松原委員の言われた検査の外出しの問題も出てきます。これは外出
しすればするで、コストの問題からいえばじかに反映しますから、病院係数でもっ
てこれは間違いなく自動的に落とせますから、コストについてはこのようなことが
問題ではありません。そして特定機能病院とそれ以外の病院等についてみると、や
はり診療行動に随分違いがある。例えば緊急入院というのは、むしろ特定機能病院
ではなくて、その他の病院の方に多いわけです。紹介率からいえば特定機能病院の
方が多い。すなわち、開業医から言えば非常に難しい病気を紹介されるのは特定機
能病院であるけれども、いわゆる地域病院などは、紹介率は低いけれども、そのか
わり救急が多いという形になります。ゆっくりと検査を外来でやって入院させられ
る疾患と、緊急で入ってきた場合には、それは全部中に入っています。このように、
これは恣意的に検査についても外に出せるということではなくて、そういった病気
の流れと治療の流れによって変わってくるので、そういったことを配慮する構造を
つくっていただきたい。
　もう既に要望している問題としては、我々日病協としても、ＤＰＣに関する要求
という形で、２５％タイルについてもう少し上げて欲しいなど幾つか出してありま
す。　今日私が言ったアンケートに関しては、アンケート内容は一応ほぼまとまっ
ておりますので、次回に提出させていただきたいと思います。

○土田小委員長
　幾つかの問題が出されましたが、西岡分科会長、いかがでしょうか。今お二人か
ら御意見が出ましたが、あわせて。

○西岡分科会長
　わかりました。
　松原委員からの御質問の４点挙げられたところでございますが、まず、再入院の
病名のリセットになるというところでございますが、このＤＰＣの制度は、病名と
処置によってできているのですが、一番問題になりますのがそこでの費用のかかり
ぐあいということでございます。例えば白血病の化学療法などをやっているときに
は、１回目も２回目も全く同じ額の費用がかかるわけでございます。ですから、そ
ういったことを考慮していただかなければいけないのではないかというふうに考え
ております。
　それから２点目の、病名がアップコーティングと申しますか、費用の高いところ
への移行が起こっているのではないかといったような御批判があるのですが、実際
にこのＤＰＣを施行いたしました場合には、先ほど石井委員からもございましたよ
うに、通常の出来高制度のデータも両方整えて出す形になっておりますので、そう
いったところで、それはなかなかできにくいだろうというふうに考えております。
また、この制度が定着いたしましたら、医療機関の査察などをということも必要に
なってくるのではないかと思っております。アップグレーディングが起こるかどう
かということは、これは、やはりこのＤＰＣという制度は、私個人といたしまして
は非常にいい制度だと思いますし、いろいろな医療機関を比べて自分たちの位置を
はっきりしていくといった意味で、日本の医療にとっては非常にいい制度だと思う
のですが、このアップグレーディングをもしおやりになるようなことになれば、こ
の制度自身が壊れていく可能性がございますので、そういった意味での歯止めはさ
らに厳しくしなければいけないのではないかと思います。
　それで、検査が外来に移行したと、これも本来は包括ではないかということなの
ですが、今石井委員がお答えいただけましたように、全く同じことで、今年外へ出
したからといっても、出来高払いの費用が全部登録されておりますので、それをや
った分は全部また来年度は減少していくことになります。入院費用が安くなるとい
う形になろうかと思います。ただ、この外来に移行したというところで、救急の場
合などは非常に問題がございますが、むしろ特定機能病院なんかの場合には、患者
さんのＱＯＬにとって非常にいい形になっております。かつては、入院して、それ
から検査をして、検査の結果が出るまでお待ちいただいて、それから治療を始める、
あるいは手術をすると。入院期間が３０日、４０日と延びてしまうといった状況が
あったのですが、それがむしろそういうことではなしに、診断までの検査は外来で
できればできるだけやり、そして、治療の部分を入院でやるといった形で、医療の
切り分けができつつあるといった面で、私は評価いただけるのではないかと思いま
す。
　それから、病院係数に関しましては、これを実質上無理やり上げるとか下げると
かいうことではなくて、今石井委員の御説明のとおりでございます。
　それから、このＤＰＣそのものが医療費の支払いとくっついておりますので、そ
このところでいろいろ御議論が出ると思うのですが、ＤＰＣそのものは、医療の効
率化、標準化、透明化といったものでございます。そういった意味で、このデータ
が公表されまして、いろいろな方からの御批判をいただければ、日本の医療にとっ
ては非常によくなるのではないかと思います。
　それともう１つ、特定機能病院で収益が上がっているということを御指摘いただ
いております。これは、私もそこの病院で働いた経験がございますが、やはりかな
りの無駄があったというふうに考えております。その無駄の部分がかなり切り詰め
られてきたといったところでこういった形になっているのではないかと思います。
ただ、ここでもう１つ問題点は、そこに働く職員の労働量が非常に大きくなってい
る。それに対する保障があまりされないままで来ておりますので、一見収益が上が
ったように見えているのですが、実際には、その収益は職員たちに還元されなけれ
ばならない、あるいは次の新しい医療を構築するために還元されなければならない
ものというふうに考えております。
　以上でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○松原委員
　御説明いただいたのですけれども、病名のリセット、白血病などと同じような治
療をする場合は関係ないとおっしゃいましたが、逆に言えば、２回目に入院するも
のがあまり治療が要らないものについては問題が起きるということでございますね。
それから、「病名のわたり」につきましては、そういうことがないだろうとおっし
ゃっているわけですけれども、現実問題として私たちは散見しております。そうい
ったものを抑える担保がないということが事実だということでございます。
　それから、外来に回す検査につきましては、先に検査をするというのは非常にい
いことですけれども、逆に言えば、今までがそのようにしなければならなかったの
ではないでしょうか。入院させてから検査ではなくて、ちゃんと検査をしてから入
院させるのが本来の在り方で、それはやはり患者さんとってもそうあるべきだった
のではないかと思っております。
　また、それと同時に、外来に回すと次に病院係数が変化するということでござい
ます。逆に申しますれば、病院係数を廃止すると、もはやサプレスする方法がなく
なるということでございます。
　さらに、最後の１．０６、私は収支の問題を言っているのではなくて、収入のと
ころがあまりにも一般病院よりも高くなりつつあると、そこのところ、御努力して
いただいているのはわかるのですが、やはり１．０６は少し高かったのではないか
という印象を持っているということでございます。
　また、病院の先生方の総意をもってであれば私たちも仕方がないと思うのですが、
一応、総数の過半数が賛成しているということに今お聞きいたしましたので、そう
いったことは、過半数の方が望んでおられるのであれば、逆に申しますれば、望ん
でいない病院もありますので、望まない病院が入らない権利、逆に言えば、望む病
院だけがこのＤＰＣに参加されるということを担保していただきたく思っておりま
す。
　なかなか、ＤＰＣにつきましてはまだまだ難しい問題がございますので、私ども
はやはり拡大する方向は了解できると思うのですが、やはり少しずつ適切に国民に
迷惑のかからないような形で行うべきだと思っております。
　以上でございます。

○青木委員
　日本医師会が考えておりますことを少し申し上げておきたいと思います。
　基本的に、こういう包括方式といいますのはいろいろな意味があると思いますが、
大学病院とか、地域医療支援病院とか、ある程度高度な医療をフリーな状況でやら
なければならないというようなところに、診療報酬上の少し優位をつけて提供して
いくというような、当初の意図はそうではなかったことではありますが、そういう
性質を何年間かやってきた中に含んできておるというふうに思います。包括でやっ
ていくということの中に、その基本的な意味は、きっちりしたサービスを提供して
もしなくても包括だという部分があるはずなのです。そういう点の心配というのが、
今後拡大していく中で起こらぬでしょうかと。患者さんの視点に立った医療という
か、そういう点で大丈夫なのですかということが、ある意味心配でございます。
　例えば、今在院日数が短縮していると、これは非常に効率的でいいことだと言わ
れますが、今よりももっと短縮したときに、患者さんにとっていいのでしょうか。
日本の在院日数はむちゃくちゃ長いという話はありますが、これはほとんどの場合、
療養病床の入院期間も一緒くたにして話をしておる話でございますから、一般病床
の今の在院日数が本当に長いのかということは、まだ検証しなければいけない話で
す。
  例えば薬剤にしても、できるだけ使わずにやっていくとか、先ほどから出ている
計画的な再入院だとかいうような、やはりいろいろモラルハザードを起こし得る要
因がありはしないかということを私どもとしては大変懸念をいたします。
　ですから、先ほど申し上げたように、手挙げ方式で、ぜひあまり積極的にならず
にやっていただけた方がいいのではないかというふうに考えております。
　それから、これの検証がどうなのだという話はまだでございます。昨年度は、特
定共同指導が大学病院だけで行われております。特定機能病院だけでございます。
ここでは、アップコーディングの数も私から見れば比較的少なかった。だけど、一
般病院のところで今年から共同指導が始まっておりますので、ここでどうなんだと
いうことが、結果が出てこなければいけない話なのではないかというふうに思いま
す。

○事務局（福田企画官）
　医療課企画官でございます。御議論、大分論点といいましょうか、中身の方に入
ってきてございますので、もし差し支えなければ、先に事務局の方から論点として
提示してございますものを御説明させていただいた上で引き続き議論を進めていた
だければというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

○土田小委員長
　西岡分科会長、よろしいですか。

○西岡分科会長
　私の方は結構でございます。

○土田小委員長
　ほかの方、よろしいでしょうか。
　それでは、お願いします。

○事務局（福田企画官）
　それでは、お手元の資料、中医協診－１－３をごらんいただきたいと思います。
「ＤＰＣについて」でございます。
　まず１ページでございますけれども、「現行制度の概要」でございますが、こち
らの方は、ＤＰＣと申しますのは急性期の入院医療の診断群分類に基づく１日当た
りの包括評価制度ということでございます。
　診断群分類につきましては、医療資源を最も投入した「傷病名」と、入院期間に
提供される手術、処置、化学療法などの「診療行為」の組み合わせによりまして分
類をしているというものでございます。
　先ほどもお話しございましたが、診療報酬の設定方法につきましては、いわゆる
包括的な評価部分、これはホスピタルフィー的な要素の部分として包括評価の部分、
それからドクターフィー的な要素ということで出来高の評価部分ということで、そ
の内容につきましては、真ん中に四角でお示しをしている状況でございます。
　現在、対象施設につきましては、実際に支払いを包括払いで受けている医療機関
として、ＤＰＣ対象病院、試行的適用病院、そして、支払いについては出来高でご
ざいますけれども、さまざまなデータについて御協力をいただいております調査協
力病院という形で、こちらにお示しをした医療機関が御協力をいただいているとい
うところでございます。
　次に２ページをお開きいただきたいと思いますけれども、論点といたしまして、
「ＤＰＣの中長期的な在り方に関する論点について」ということでお示しをさせて
いただいております。まず、「１．基本方針」でございますけれども、平成１５年
３月の閣議決定でされたものでございますが、「急性期入院医療については、平成
１５年度より特定機能病院について包括評価を実施する。また、その影響を検証し
つつ、出来高払いとの適切な組合せの下に、疾病の特性及び重症度を反映した包括
評価の実施に向けて検討進める。」という基本的な方針になってございます。
　「２．ＤＰＣの中長期的な在り方に関する論点」ということでございます。まず
「（１）ＤＰＣ制度による支払い病院の拡大」ということでございます。当面、引
き続き、現行のＤＰＣ制度による支払い病院を急性期病院に拡大していくことを検
討してはどうか。具体的には、地域において急性期入院を担う病院に段階的に拡大
していくことを検討してはどうか。さらに、対象病院の拡大に伴う影響評価の結果
を踏まえ、一件（一入院）当たり包括評価制度への移行可能性についても検討する
こととしてはどうか。
　次に、「（２）調整係数の在り方」でございます。調整係数につきましては、Ｄ
ＰＣ制度の円滑導入という観点から設定されたものであることを踏まえ、ＤＰＣ制
度を導入した平成１５年以降５年間の改定においては維持することとするが、平成
２２年度改定時に医療機関の機能を評価する係数として組み替える等の措置を講じ
て廃止することを検討してはどうかというものでございます。
　３ページをごらんいただきたいと思いますが、「（３）ＤＰＣ制度の適切な運営
を担保するための環境整備」でございます。先ほど御議論ございましたが、ＤＰＣ
に基づく診療報酬請求に関する適切な審査及び診断群分類点数の適切な設定に資す
る観点から、診療報酬請求時に詳細な診療行為情報及び点数情報が提出される仕組
みを構築するため、次のことを検討してはどうか。(1)でございますが、詳細な医療
行為情報及び点数情報を含む「標準的ＤＰＣ電子レセプト」の確立。(2)でございま
すが、「標準的ＤＰＣ電子レセプトデータ」の一元的収集システムの構築でござい
ます。
　「（４）ＤＰＣ制度の有効活用について」ということでございます。医療機関の
機能やコストの評価を行う仕組みとしてＤＰＣ制度を活用していくことを検討して
はどうかというものでございます。
　次に４ページをお開きいただきたいと思います。先ほどが中長期的な論点という
ことでございますが、「平成１８年度改定におけるＤＰＣに関する論点について」
を、以下御説明申し上げます。以下の１～５の項目について検討をすることとして
はどうかということで、以下に５点ほどお示しをしてございます。順に御説明を申
し上げたいと思います。
　「１．診断群分類の見直し」でございます。診断群分類につきましては、平成１
５年２月の特定機能病院への包括評価制度の導入に係る中医協答申の際の意見とい
たしまして、柔軟に見直しをすることとされたところでございます。実際この考え
方に基づいて、１７年７月にも必要な見直しを行ってございます。
　３番目の丸でございますけれども、現在、これらの経緯を踏まえつつ、臨床専門
家により構成されますＭＤＣ毎の作業班におきまして、医療資源の同等性、臨床的
類似性、さらには分類の簡素化、また必要なものについては一部精緻化、そして先
ほども御指摘ございましたが、アップコーディングを防止するというような観点か
ら診断群分類の見直しについて検討を行っているところでございます。なお、ＭＤ
Ｃにつきましては、後ろの方に別添１の資料として参考をつけてございますので、
ごらんいただければと思います。
　次に５ページをごらんいただきたいと思います。これも先ほど御議論の中で出て
まいりましたが、「２．入院期間I・IIの設定方法の見直し」ということでござい
ます。入院期間I・IIの具体的なイメージにつきましては、お手元の資料の８ペー
ジのところに別添２としておつけをしてございますので、参考としてごらんいただ
ければと思いますが、平成１６年度の改定におきまして、悪性腫瘍に対する化学療
法などの短期入院が相当程度ある分類につきましては、通常の設定（２５％タイル
値）よりも入院期間Iを短縮をして５％タイル値にして入院初期の点数を高くする
という措置を講じたところでございます。
　平成１８年度の改定におきましては、短期入院が相当程度多い「脳梗塞」「脳出
血」「外傷」等の分類についても同様の措置を設けることを検討してはどうかとい
うものでございます。
　次に、「３．包括対象患者の見直し」についてでございます。ＤＰＣに関する基
礎的なデータを収集するための調査期間の終了後に新規に保険に収載された薬剤等
であって高額なものを使用する患者さんについては、出来高算定とすることを検討
してはどうかというものでございます。
　次に、「４．包括評価の範囲の見直し」でございます。先ほど御説明申し上げま
した「基本方針」におきましては、包括的範囲はホスピタルフィー的な部分という
ことを基本的な考えとしてございます。現行の包括範囲につきましては５ページの
下の四角で囲んだ内容のとおりでございますけれども、包括範囲の在り方について、
診療報酬調査専門組織のＤＰＣ評価分科会において技術的な検討を行うこととし、
その結果を踏まえて検討してはどうかというものでございます。
　次に、６ページをごらんいただきたいと思います。「５．対象病院の拡大につい
て」でございます。まず、対象病院等の位置付けの明確化ということでございまし
て、現行は「ＤＰＣ対象病院」、「試行的適用病院」及び「調査協力病院」という
位置付けになってございますが、この位置付けにつきまして、「ＤＰＣ対象病院」
及び「ＤＰＣ準備病院」という位置付けに組み替えるということを検討してはどう
かというものでございます。
　その際、ＤＰＣ対象病院につきましては、現在の試行的適用病院６２病院につき
ましては、新たにＤＰＣ対象病院とした上で、現行の調査協力病院２２８病院のう
ち一定の基準を満たす病院につきましても、新たにＤＰＣ対象病院とすることを検
討してはどうかというものでございます。
　新たにＤＰＣ対象病院となる病院の基準についてでございますが、新規にＤＰＣ
対象病院となります病院の基準につきましては、診療報酬調査専門組織ＤＰＣ評価
分科会において、急性期入院医療を提供する病院として具備すべき要件等に関する
技術的な検討を行うこととし、その結果を踏まえて検討してはどうかというもので
ございます。その結果、新たにＤＰＣ対象病院となる病院につきましては、平成１
８年度の改定後３カ月以内を目途として適用を開始することを検討してはどうかと
いうものでございます。
　ＤＰＣ準備病院についてでございますが、現在の調査協力病院２２８病院の中で
新たにＤＰＣ対象病院とならなかった病院のうち、引き続きＤＰＣ対象病院となる
希望のある病院についてはＤＰＣ準備病院とするとともに、平成１８年度に新たに
ＤＰＣ準備病院となることを希望する病院については、上記のＤＰＣ対象病院とな
る病院の基準を満たした病院のみをＤＰＣ準備病院とすることを検討してはどうか
というものでございます。
　事務局からの説明は、以上でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ただいま中長期的な論点と、それから１８年度改定にかかわる論点の２つを報告
してもらいました。今日は特に決定するということではありませんで、第１回目で
すから自由な御意見を出していただきたいと思いますが、その前に一つ確認をいた
だきたいのは、先ほど西岡分科会長から報告がございました、その報告につきまし
て御了解いただきたいということですが、よろしいでしょうか。
　　　　　　　　　　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土田小委員長
　どうもありがとうございます。
　それでは、一応それを踏まえながら御意見を承りたいと思います。

○対馬委員
　西岡分科会長、いつも丁寧な御説明をどうもありがとうございます。今回の御説
明、それから今の２号側の議論ということで伺っていますと、私ども支払側としま
しては、ＤＰＣを進めていきたいということで、前回改定のときにも６２病院につ
いて結果的には試行的ということでやったわけですけれども、前に進む方向だとい
うことで理解して評価したいと思うのですが、ただ、どうもやりとりを聞いていま
すと、私どもからすると、病院の関係者の過半数が賛成したからとか、何かそうい
うやりとりがあるのですけれども、私ども１号側を意識してとは申し上げませんけ
れども、少なくとも患者さん、国民、そういったことから見てどうかということで
あって、病院代表の方がどうだとか、病院全体がどうだとか、数がどうかと、そう
いうことでの議論というのはどうも聞いていてやや違和感を持ったところです。全
体的に進めていくことについては異論はありません。
　それから、今回の資料の中で１点、３ページ目の電子化といいますか、情報を出
していってはどうかと、これは大いに結構なことでして、先ほど松原委員の方から
もお話しありましたけれども、最近ちょっと医療費が全体に増えているといったと
ころがちょっと気になるところもございますし、このあたりは、あまり中長期とい
いますと、３年、５年、場合によっては１０年かと、こういうことになるのですけ
れども、そういうことではなくて、ＩＴ化全体を進めていくということでもありま
すので、また、支払側としてもこのあたりについては非常に関心を持っているとこ
ろですから、あまり中長期と言わずに、できるだけ早くにと、できれば来年度ぐら
いからというぐらいの気持ちがあるわけですけれども、なかなかそうはいかないか
もしれませんけれども、いずれにせよ早くにということをお願いしたいというふう
に思います。

○石井委員
　先ほどの青木委員及び今対馬委員の御意見に関連してですが、対馬委員のお話で、
病院の過半数が賛成しているから良いのだというのは聞き苦しいというような趣旨
の発言がありましたが、病院にとってというような形で私の発言をとられたようで
すが、これは心外なので、ちょっと訂正したいと思います。後でまた具体的に我々
の調査を見ていただけばわかると思いますが、病院の都合ということで皆さん考え
ているのではなくて、患者さんや医療にとって影響はどうかということで、むしろ
積極的評価をしたいという意見であるということです。過半数ということの意味は
誤解しないでいただきたいということが１点です。
　それからもう１つ、この評価で、アップコーディングなどの問題が存在すれば、
具体的に何か改善する必要がありますが、現在大きな問題とはなっていません。ま
た、粗診粗療問題がＤＲＧについての懸念があると言われてきましたが、理論的に
はそういう可能性はもちろんありますが、アメリカにおいても、日本の今回の調査
においても、そのような結果は出ていません。これは事実なのです。それはなぜか
といったら、粗診粗療というのは、病院の都合で、こっちの方がもうかるからとか、
その方が都合がいいからという形で皆さん論じられているのですが、病院も患者さ
んに支えられて初めて経営も成り立っている、粗診粗療なんかをやったら患者さん
は来ないわけです。
　それから、例えばこのＤＰＣについて言えば、必要な薬を出しておかなければ病
気は治らないわけですから、むしろ入院は長くなります。ところが、短くなってい
るわけです。長くなっているというのだったら、そういう粗診粗療で長くして、１
件当たりはたくさんの報酬をもらっていくという構造が出てくるはずなので、むし
ろそうではなくて、積極的に医療をやって短くしようとしているし、退院できるよ
うにしようとする。現在の患者さんにしても、我々が非常に苦労しているのは、治
ったと我々が思っていても患者さんがなかなか退院していただけないところに、実
は急性期病院は苦労しています。こういった点をみると、それなりの歯止めはかか
っているのだということを理解していただきたい。　先ほどの青木委員の発言で、
１点だけちょっと、問題があります。お話はそういう意図であったかどうかは別と
して、特定機能病院などは、質が高いところはいいけれども、その他の一般病院に
ついてはそういうことをやるのではないかというように聞き取れる発言は、特に民
間の急性期病院の我々としては、これは非常に遺憾な発言であると思います。そう
いう意味の発言ではなかったと我々は信じたいところです。

○宗岡委員（代理松井氏）
　ＤＰＣは、まず、ぜひ進めていただきたいと思います。それは先ほど青木委員が
総会の場面で、医療の連携を進めるというお話がございました。今回の調査結果を
見ましても、いずれの病院でも、紹介率が、率でなくて紹介の実数が高くなってい
るとか、あるいは救急を基本的に断らずに受け入れているという、そういう点が見
られると思います。そういう中にあって在院日数が短縮しているというのは、今回
の調査に加わった病院の方々の大変大きな努力の結果だと私どもとしては受けとめ
ております。
　そこで、先ほど対馬委員から申し上げましたように、仮にいわゆる粗診粗療が行
われるという懸念が、私は医療側から出されるというところが大変ちょっと懸念を
するわけでありますけれども、それであるならば、中長期的課題という形で取り上
げられている部分、「「標準的ＤＰＣ電子レセプトデータ」の一元的収集システ
ム」というのは、早期にすぐやって、そういうことが起きているのかいないのかと
いうことを国民の前に明らかにしていくシステムを同時に構築していくべきではな
いかと思っております。
　もう１つ申し上げますれば、こういう一元的収集システムの場合に、個人情報保
護の問題もあろうかと思います。保険者という立場でいきますと、こういう部分に
ついては、ここでどういう被保険者、加入者が受けているのかということを、でき
る限り早くオンラインで示していただくことが重要であると思いますし、一元的収
集システムの中では、個人名を伏した中での全体的な傾向が、病院毎さらに疾患毎
にどのようになっているのか、診断群分類別にどのようになっているのかというこ
とを国民の中に明らかにしていくことによって、よりこの医療における透明性が高
まりますし、標準化も進む道だと思っております。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　今日は第１回目でございますので、一応西岡分科会長から報告をいただき、また
事務局の方から論点の整理をいただいたということで、次の小児の方に移り……

○遠藤委員
　よろしいですか。

○土田小委員長
　どうぞ。

○遠藤委員
　申し訳ございません、時間をちょうだいしまして。
　西岡先生、非常に貴重な御報告、ありがとうございます。この中で、再入院に係
る分析を今後進めていかれるという話なので、そのときにぜひ視点として入れてい
ただきたいのは、再入院と在院日数との関係が明らかになるような分析をしていた
だきたいなと思います。これは、ＤＰＣ分類毎にやれば、かなり貴重なデータにな
るかと思いますし、あと調査協力病院ともまぜてやれば、いわゆる出来高評価とそ
うでないものと、在院日数の長さといったさまざまな要因がどう絡んでいるのかと
いうことが出るかもしれませんので、それは後の在院日数を短縮化させるためのI
期・II期というのを決めるときにも、ある種のＤＰＣについてはあまり短縮をさせ
ない方がいいとか、そういうことも出てくるかもしれませんので、ひとつその辺の
視点からやればと、お願いいたします。
　以上でございます。すみません。

○土田小委員長
　やはり振ってよかったですね。いい意見だったと思います。
　それでは、ここでＤＰＣにかかわる議論は一まず終了したいと思います。
　西岡分科会長には、どうも長い時間、ありがとうございました。
　　　　　　　　　　　　　　　〔西岡分科会長退席〕

○土田小委員長
　それでは、「小児医療」の方に移っていきたいと思いますが、これについて事務
局より資料が出されておりますので、最初に説明をお願いします。

○事務局（麦谷医療課長）
　資料は２つございます。中医協診－２－１という資料と、診－２－２という横向
きの資料。それからもう１つ、診－２－３という資料もございますが、診－２－３
はとりあえず説明を予定をしておりませんので、ごらんいただくのは診－２－１と
診－２－２ということでお願いしたいと思います。
　まず、小児の現行の点数でございますが、診－２－１、本文をごらんいただきた
いと思いますが、現在の診療報酬上の子供の評価というのは、子供しか対象として
いない、子供を対象とした点数による評価というのが１つございまして、そこに例
が掲げてございますが、小児科外来診療料、これが子供だけの点数で、５５０点つ
いております。それから子供だけの入院医学管理料というのが、３種類ございます
が、ここに掲げてあるのは最初の高い点数ですが、３，０００点という、１５歳未
満の患者だけを対象とした点数、こういう形態が１形態ございます。それからもう
１つは、成人の点数に子供の点数を加算することによって、あるいは子供だけ特別
に例えば倍額するとか、そういうふうにしてつけられている点数と、大きく分けて
２種類ございます。
　このうち、実はもっと複雑になっておりまして、大人の点数に子供の点数を加算
したり、それから倍にしたりするやり方に何種類かありまして、１ページめくって
いただきますと、その形態が２ページに書いてございますが、複数の点数にすべて
網掛けするように共通して比率として加算されるもの、これがそこの一番上に書い
てございますが、手術点数などでは、新生児に対して行った場合は２倍にすると、
１００分の２００という加算方式、それから個々の点数に加算していくもの、大人
の初診料に子供の点数７２点を加えていくようなもの、それからさらに複雑に点数
を加えるようなものということで、個々の点数の加算にさらに加算するということ
で、それを一覧表にしましたのが、中医協診－２－２の別紙１の横表でございます。
上が大人、大人に次々加算していくのが今の方式でございます。今こうなっている
というのをまず御理解をいただきたいと思います。
　もう一度本文に戻っていただきまして、これまでも子供の医療についてはるる評
価してきておりまして、当然でございますが、１５年３月の閣議決定においても重
要な分野として位置付けられております。本文１ページめくっていただきまして３
ページですが、これまでの改定でもいろいろなことをやってきております。どんな
ことをやってきているかというのを、診－２－２の別紙２、２ページをごらんくだ
さい。ここに、平成１２年改定からいろいろやってきたものがありますが、一つの
例として、一番上、平成１２年の入院医療の評価をごらんください。この年に初め
て子供だけの入院医療管理料、小児入院医療管理料というのを創設いたしました。
２，１００点、２万１，０００円で創設いたしましたが、これをさらに平成１４年
の診療報酬改定のときには３種類に分けまして、さらに人員が手厚いものについて
は３万円という評価をしましたし、少し低い、それよりさらに低い点数、さらに今
までどおりというのと、３種類つくっております。
　さらに平成１６年の診療報酬改定では、この要件を緩和いたしまして、これが普
及するようにしております。実際の普及の度合いでございますが、診－２－２の３
ページ目、別紙３をごらんください。今私が御説明申し上げました小児入院医療管
理料というのが、この上の四角の一番下にございますが、それをごらんいただきま
すと、１、２、３と分かれておりまして、例えば一番点数の高い１をごらんいただ
きますと、平成１４年に５２施設だったのが、要件の緩和を行いましたので、１６
年には１２１施設に増えている。一方、２と３が減ったりしておりますが、これは、
２と３のところから要員を増やして１に移行しておりますので、減ったわけではな
くて、要件を緩和することによって、高い点数をとれるようになった施設が増えた
というふうに御理解いただきたいと思います。
　本文に戻っていただきまして、３ページですが、「小児医療の提供体制に係る検
討状況」ですが、既に平成１７年８月の社会保障審議会医療部会において、「医療
提供体制に関する意見中間まとめ」ということで取りまとめられておりまして、そ
こに抜粋がございますが、小児医療について充実すべきであるというふうに提言が
なされております。私どもでは、当然これを踏まえて小児医療の診療報酬について
考えなければいけないと、このように考えております。
　論点でございますが、本文４ページ、「４．論点」ということで、最初の丸、小
児医療に係る診療報酬上の評価につきましては、引き続き、小児医療の提供体制の
確保を図る方向で検討いたします。
　丸の２つ目でございますが、診療報酬体系の簡素化を推進する観点から、乳幼児
加算を含む加算が複数あり複雑となっている現行の体系については、小児を対象と
する新点数の創設により簡素化することを検討してはどうかということで、イメー
ジでございますが、診－２－２の５ページ目、別紙５でございます。先ほど、複雑
な加点になっているという紙をごらんいただいたと思います。それが別紙５の上に
書いてございますが、成人の点数にこのようにどんどん上積みになっているものを、
新しい点数では、小児本来に加算される点数を最初から加算してしまいまして基礎
点数とすると。子供の基礎点数を考えて、それにもし時間外、休日、深夜があれば
加算していくというようなことにしてはどうかというのが一つの案でございます。
　それから本文に戻っていただきまして、４ページの３つ目の丸、小児入院医療管
理料等については、小児科の常勤医師の配置がその要件となっております。例えば
一番高い点数ですと、５人いなければいけないというようなことになっております。
しかしながら、子育てしながら働くことができる環境の整備等を図る観点から、こ
の「常勤」の意味について少し検討してはどうかということで、別紙６というのは、
そういうことを検討すべきであるということが、地域医療に関する関係省庁連絡会
議で、医師確保総合対策として既に提言されておりますので、それを資料としてお
つけいたしました。具体的に、今常勤というのは週４日３２時間以上働かなければ
いけないとなっておりますが、それをどのように今度改正するのかといった具体案
につきましては、次回御提案したいと思いますが、とりあえずその常勤の取り扱い
について少し考えてはどうかという提案でございます。
　最後の丸でございますが、複数の点数に共通して比率で評価されている加算、先
ほどの新生児のように、それぞれの診療行為毎の難易度を勘案して、適切な評価と
なるように検討してはどうかという提案でございますが、イメージは、診－２－２
の７ページをごらんいただきたいと思います。現在の点数が左側に書いてございま
す。例えば、「○○手術」というのが書いてございまして、基礎点数が８，０００
点、これに新生児をやった場合は１００分の２００で１万６，０００点、１６万円
になります。３歳未満で加算されると４，０００点ということになっていますが、
実際、この「○○手術」は、新生児でやられることはないと。６カ月～１歳未満で
手術されるのだということであれば、そういう点数は実際ございますので、そうす
ると、自動的に３歳未満がつきます。また、１万６，０００点という点数は想定で
きませんので、初めから８，０００点と４，０００点を足して１万２，０００点と
いうふうに設定してはどうかというのがこの案でございます。それから、全く別の
手術で「△△手術」というのがございまして、基礎点数が２万点、これに新生児の
加算が１００分の２００、４万点ついております。３歳児未満加算が１万点ついて
おりますが、これは実際は新生児のときにしか手術されないということでございま
すので、基礎点数を６万点とします。ただし、今まで３歳未満加算とかいろいろあ
りましたが、そうではなくて、低出生体重児で非常に体重が少ないもの、これは非
常に難しいということでございますので、そういった場合にこそ加算すべきではな
いかということで、そのような評価をしてはどうかという、こういうイメージを御
提案申し上げるということでございます。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして御意見、御質問等ございましたら、どうぞ。

○青木委員
　診－２－１の４ページですが、論点の中で１つ追加をしていただきたいと思うこ
とがあります。それは、少子高齢化、子供を大事にしていかなければいけない、親
の負担をできるだけ少なくすることが大事と。今小児科に限ってはと言うと言い過
ぎかもしれませんが、医師の診療報酬の増点というような形で物を考えるよりは、
親の負担を少なくするということが大事なのではないかというふうに考えます。そ
れで、現在３歳未満の給付率が８割だったと思いますが、思い切って６歳ぐらいま
での子供に対して給付率を９０％、要するに９割ぐらいまで引き上げるということ
をお考えいただく、小児医療についてはそのことが一番になるのではないかという
ふうに思いますので、そういうことを御討議いただけないかと思います。
　もう１つ、論点の３番の小児入院医療管理料については、これは病院の小児に、
看護師さんをはじめ人員配置を相当強く密度を濃くしなければならないという観点
で大幅な増点をしていただけないかというふうに考えます。
　以上、２点を要望します。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　２点目の方はこの中医協マターだと思いますが、最初の方の給付率のアップ、こ
れは非常に重要な御指摘だと思いますけれども、これはむしろここで扱うべき課題
ではなくて、社会保障審議会の医療保険部会の課題だと思います。青木委員も出て
いらっしゃいますね、どうぞそちらの方で議論していただきたいと思います。
　ほかにございましたら。

○松原委員
　小児の場合には、救急の問題が非常に喫緊の問題でございます。現在におきまし
ても、病院の先生とかかりつけの先生とが救急体制を組んでという形の点数評価が
ございますが、非常に使いにくい面がございますので、そういった救急体制の強化
ということを論点の１つに挙げていただきたく存じます。
　また、今青木委員が申しましたように、実際の小児の点数の問題で一番大きなと
ころは、やはり負担率の問題でございます。これは医療部会と医療保険部会で議論
するところでございますが、点数とともにそういったこともぜひ中医協で一度は議
論していただきたく思います。その中医協の議論があったことを踏まえ、ぜひ私が
医療部会に、また医療保険部会に出ておるメンバーもございますので、そういった
ことを議論したいと思うのですが、ここの点数を上げたところでも、やはり一番大
事なことは、子育て中の親御さんの負担を軽くするということが大事だと思います
ので、よろしくお願いします。

○土田小委員長 
　今御発言いただきました救急体制の強化の問題は重要な視点だと思いますので、
考慮していきたいというように思います。
　それから、給付率の問題は、一応関連分野ということで、特定のテーマに挙げま
せんが、議論の対象にすることは構わないと思います。
　ほかに御意見ございますでしょうか。

○対馬委員
　今回の論点は、基本的にはここに書いているとおりだろうというふうに思うので
す。特に簡素化の視点も、今回、大分入れていただきまして、この別紙１を見ても、
随分複雑だなと、こういうふうに思うのですけれども、これ以外にも、小児科の外
来診療料、包括しているわけですけれども、これは２ページに書いているのでしょ
うか、恐らくこの１ページ目の中にもそれも入ってくるとますます複雑になると、
こういうことだろうというふうに思うのですけれども、こういった包括自体につい
ては大いに議論していくべきだし、また、そういう方向かなと思わなくはないので
すけれども、手挙げ方式で、こちらでもいい、または包括でもいいというやり方と
いうのはいかがなものかなと。ＤＰＣみたいにここのところをやり始めてこれから
だというのであれば、大いに手挙げ方式というのはあると思うのですけれども、こ
ういった形でもってやっていくのは本当にいいのかなと、こういうふうに思うので
す。今回のこの最後にイメージというところに書いていますけれども、そういう中
において議論をして、できれば、この小児外来診療料５５０点とか、そういったこ
とを含めて簡素化ができればと、こういうふうに思いますので、よろしくお願いし
たいと思います。

○松原委員
　簡素化については賛成でございますが、そういった丸めをとるところに対して強
制というのは反対でございます。やはりその診療所の特性がございますので、その
特性に合わせていただきたく思います。特にＤＰＣに関しては、強制は全く反対で
ございます。

○土田小委員長
　ほかにございますか。
　よろしいですか。この問題もやはり、論点の多少の修正等あると思いますが、次
回引き続いて議論にしたいということで、次の議題に移ってよろしいでしょうか。
ちょっと早いようですが。
　それでは、次の議題に移らせていただきます。
　次は、「産科医療」について議題にしたいと思います。
　これも、事務局より資料が提出されております。説明をお願いします。

○事務局（麦谷医療課長）
　産科医療につきましても資料２つございます。診－３－１という本文と、診－３
－２という別紙資料でございます。
　まず、本文をごらんください。現行の診療報酬上の評価。産科医療につきまして
は、正常の妊娠・分娩、これは療養の給付の対象となっておりませんので、母体や
胎児に合併症等異常がある場合にのみ、診療報酬で評価をしております。
　具体的には、合併症等により母体や胎児の分娩時のリスクが高い分娩、これにつ
ききまして、総合周産期特定集中治療室管理料、これは、お母さんと子供、両方が
入る集中治療室ですが、これに医師の常時配置をはじめとする手厚い人員配置や療
養環境の整備等の体制を図っております。この点数につきましては別紙に書いてご
ざいまして、現行の点数はそこに書いてありますので、御参照いただきたいと思い
ます。
　産科医療の提供体制に係る検討状況ということで、１７年８月の社会保障審議会
医療部会において、この産科医療に関しましても提言がなされておりまして、そこ
に抜粋が書いてございます。
　そういうことを踏まえまして、論点でございますが、丸は２つしかございません
が、後半の丸は実はまだちょっと検討中なので、ここに具体的に出してはございま
せん。最初の丸でございますがが、晩婚化による出産の高齢化等により、ハイリス
ク分娩が増加している実態を踏まえ、安全な産科医療の提供体制を確保する観点か
ら、ハイリスク分娩の妊婦に対する診療に係る評価について検討することとしては
どうかということで、実際、ハイリスク分娩に該当するのはどのようなものがある
かということは、産婦人科学会からガイドラインをいただいておりますので、協議
しながらそれは進めていきたいと思っています。
　それからもう１つ、これ以外に、どのようなものが産科医療で担保できるかとい
うことは、現在、産婦人科学会と日本産婦人科医会、両方にお願いしてリストを出
してもらうと同時に、私どもと協議を始めておりますので、次回には具体的なメニ
ューがお示しできるかと思います。
　あと参考までに資料として、例えば、別紙の中に、２ページは出生数の年次推移、
減っているということですとか、あるいは４ページですが、全出生に対する２，５
００グラム未満の子供の割合が増えているとか、こういった資料をつけてございま
す。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして御意見、御質問等ございましたら、どうぞ。

○小島委員
　論点として２点ほど付託されております。１つ目は、ハイリスク分娩について、
診療報酬上、評価、配慮をしたらどうかという視点です。今は正常分娩については
保険適用になっていないということですけれども、正常分娩であってもハイリスク
というのはどういうものが該当とするかというのはこれから精査するとしても、そ
ういう場合には、保険適用をするという意味なのかという質問です。それから、出
産に伴うさまざまな事故等も起こっているということで、勝村委員はそのことをま
さに体験しています。これは私どもの連合の立場からすると、出産、妊娠に伴う安
全性確保という観点からも、本来は、出産費用については保険適用にして、その内
容をよくチェックするということが必要ではないかと思っています。これについて
は、医療保険部会での議論になるかと思いますが、そういうことも検討する必要が
あるのではないかと思っています。

○事務局（麦谷医療課長）
　今の小島委員の御質問にお答えいたします。
　今でも一定程度のものは医療保険で賄われておりまして、お手元の診－３－２の
資料のの１ページの真ん中に、母体・胎児集中治療室管理料の算定要件のところに
かぎ括弧が書いてございますが、合併症妊娠ですとか妊娠中毒症、こういったもの
は当然対象になっております。これに加えて、ハイリスクという、もう少し、病気
ということが明らかでなくても、ハイリスクと認定されて実際そのようなデータが
ある状態につきまして医療保険で対象にしようということで、これはかなりいろい
ろなデータとか検査で対象は絞られますので、本当にハイリスクと産婦人科医が考
えるものを対象にしたいと思っております。

○石井委員
　小児医療の場合とそれから産科も、これは両方とも今全国的にこの体制が崩れて
いる。小児救急及び産科に関して、供給体制そのものが崩れているということが問
題になって、既に厚労省でもこれに関するワーキンググループで検討が行われてい
るのですが、そこの議論を踏まえてこの問題を考えますと、今のところ考えられて
いるのは、どこかに集中して何とかしようということなのですが、現実的に非常に
困難だと思います。これは、両方とも施設の絶対数が少ないというだけではなくて、
医師も少なくなっているので、当面の対応に関して言うと、産科についても、小児
救急に関しても、診療所の先生方も含めたこれに対する対応体制をつくらないと不
可能です。今までのほかの疾患における病診連携というレベルでは、もはややり得
ない状況が実は問題になっています。診療所の先生方も参加しやすく、そしてそれ
によってやはりメリットもあって、積極的に参加できるような体制をぜひ厚労省も
よくお考えいただきたい。
　例えば小児救急について在宅輪番制などを行っても、例えば３０人ぐらいの先生
の在宅輪番であれば、これは実際上機能しないわけです。だから、どこかに集めよ
うということになるのですが、開業医の先生はなかなか参加しにくい。今までの病
診連携から一歩進んだ、診療所も、そういう供給体制への具体的な参加を可能にす
るようなことを、今後は診療報酬体系についても考えていかないといけない。病院
だけでもだめ、診療所だけでもだめと、ただ両方を紹介すればいいというレベルで
はなく、そういったシステムをぜひこれから検討していただきたいと思います。

○松原委員
　先ほど私が小児科のところで申し上げたのと全く同じことでございます。小児の
医療に関しては、病院に開業している先生が入って、そこで共同で交代交代で診療
するというシステムがあるわけでございます。それと同じような形で産科でもでき
れば、やはり適切な形になるのではないかと思いますので、私は今の意見に賛成で
ございます。
　現時点におきまして一番の問題点は、先ほど申しましたように、研修の問題があ
って、医局がかなりの人数を大学に引き揚げているということがございます。その
ために産婦人科も小児科も大変人手不足でございます。さらに、かつては内科・小
児科と、比較的高齢の先生方は診察されていたわけでございますが、最近は若い内
科医は小児科を見ない傾向にございます。また、小児科の先生方も大変過労な状態
にございますので、やはりそこのところは、病診連携にとどまらず、病診が一体と
なって対応できるようなシステムを点数化すべきではないかと思いますので、小児
科だけでなく産婦人科においてもそういったことを検討することは賛成でございま
す。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○青木委員
　石井委員が今おっしゃられましたこと、大賛成でございます。まず、全国のお産
が昨年度で、有床診で４６．６％でございます。要するに、５割以上のお産を有床
診で行っておる県というのが２４県を超えております。これは、１０年前よりも有
床診でのお産というのが増えているということです。アンケート調査等によります
と、お産というのは、病気とはだれもが考えないといいますか、これは当たり前の
ことですが、ですから、遠くへ行ってお産をするということは望まれないというの
が一般的でございますので、有床診でのお産が増加しつつあるという事態を踏まえ
て、いろいろ対処をする必要があると思います。
　もう１点、勝村委員がおっしゃられる領収書の問題に関連して、婦人科におきま
しても、処置料を算定する、要するに、処置を施行した場合に、施行しないときよ
りも点数が高くなって、というような形で、領収書の説明ができにくいというケー
スが発生しておることは御承知だと思います。外科もそうです。このあたりを、点
数の整合性をぜひこの産婦人科の問題を含めて考えていただきたいというふうに思
います。

○宗岡委員（代理松井氏）
  産科も小児科も含めて、その連携が重要だと私も思います。したがいまして、こ
の診療報酬でやるだけでなくて、国民、患者一般から見てわかりやすくなるように、
ぜひ医療計画の中でもそういうことが明らかになるように示していただく努力を続
けていただければと思うところです。
　以上です。

○土田小委員長
　母子保健課長が見えていますが、今の医療計画について何かございますか。指導
課長でも、はい、どうぞ。

○事務局（谷口指導課長）
　医政局の指導課長でございます。医療計画は私どもの担当でございますので、た
だいまの御質問についてお答えを申し上げます。
　松井委員も御参加いただいております医療部会におきまして、またそういった意
見も多数いただいておりますので、その点、我々としても十分に重く受けとめなが
ら対処をしてまいりたいというふうに考えております。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
　途中で時間をオーバーするのではないかなと思って進めてきたのですが、ちょう
ど今１２時半ちょっと前でございます。それで、ただ１つ、精神医療の問題を今回
予定しておりましたが、時間がちょうど１２時半でございますので、精神医療につ
きましては次回の方に延べさせて送らせていただきたいというふうに思います。ど
うぞ御了解お願いします。
　それでは、大変長い時間でございましたが、一応この辺で基本小委は終わりにし
たいと思います。
　次回の予定についてお願いします。

○事務局（麦谷医療課長）
　次回、金曜日にございますので、来週ではありません、今週もう一回ありますの
で、１８日金曜日、中医協を開催させていただきます。材料のヒアリング等ござい
ますので、よろしくお願いいたします。１８日の後は２５日と３０日を予定してお
ります。恐縮ですが、３０日も９時半から開始ということで、ただし、３時間では
なくて２時間半ということで、３０分だけ３０日は早めさせていただきたいと思い
ます。また紙で御連絡申し上げます。
　以上です。

○土田小委員長
　どうもありがとうございました。

○松浦委員
　１２月の予定はわかりますか。

○事務局（麦谷医療課長）
　一応部屋はすべて水曜日と金曜日を押さえてありますが、１２月２日の金曜日は
今のところ予定しておりません。水曜日は基本的に１２月は御予定ください。

○土田小委員長
　それでは、大変長時間ありがとうございました。これで終了します。

【照会先】
厚生労働省保険局医療課企画法令第１係
代表　０３－５２５３－１１１１（内線３２８８）