05/11/16 第2回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会 平成17年11月16日議事録 第2回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会 議事録 日時:平成17年11月16日(水)13:30〜 場所:厚生労働省専用21会議室 照会先: 厚生労働省職業能力開発局キャリア形成支援室企画係・小倉 03−5253−1111(内線5937) 03−3502−8931(夜間直通) ○清家部会長  ただいまより、第2回「労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会」を開催 いたします。定足数は達しております。本日は、お忙しい中お集まりいただきましてど うもありがとうございます。委員の出欠状況ですが、奥島委員の代理で久保さんがご出 席です。事務局側では、職業能力開発局長が所用のため欠席です。前回からの間に、厚 生労働省において人事異動がありましたので一言ご挨拶をいただきます。 ○草野審議官  8月26日付で、職業能力開発担当の審議官を拝命いたしました草野です。どうぞよ ろしくお願いいたします。 ○杉浦総務課長  同じく総務課長を拝命いたしました杉浦です。よろしくお願いいたします。 ○清家部会長  なお、審議官は、所用により途中で退席されます。本日の議題は、「第8次勤労青少年 福祉対策基本方針骨子案」についてです。事務局から説明をお願いいたします。 ○ 半田キャリア形成支援室長  最初に、配付資料の確認をさせていただきます。資料No.1は骨子案です。資料No.2は、 青少年を取り巻く現状に関するものを取りまとめております。資料No.3は、基本方針の 対象範囲について、いま一度整理したものをお出ししております。資料No.4は、スケジ ュール案です。参考資料No.1は、勤労青少年福祉法の全文。参考資料No.2は、第7次の 方針です。参考資料No.3は、第1次方針から第7次方針までの項目立てのみですけれど も、整理したものです。参考資料No.4は、平成18年度に向けて、若年者対策で要求し ている予算の概要です。  骨子案についてご説明いたします。資料No.1の骨子案をご覧いただきながら、適宜資 料No.2をご参照ください。骨子案といいながら、かなり文字が書き込んでありますけれ ども、あくまでここに書いてあります文言は、各項目の説明的な意味で書いてあります ので、最終案のときにはもう少し文言は整理し直すつもりです。  全体的な骨子の構成は、1頁に「はじめに」があります。この中で大きな考え方を述 べております。1頁の下のほうで第1「勤労青少年の職業生活の動向」ということで、 3頁の途中までにわたり、青少年を取り巻く環境についていろいろ書いてあります。  大きな方向に関しては、3頁の第2以下に書いてあります。第2「勤労青少年の福祉 の増進に関する基本的施策」となっていて、この中も1から最後の頁の7まで節を分け ております。第2の1「福祉行政の方向性」について簡単に述べた後に、4頁の2「職 業生活の充実」、6頁の3「自由時間を活用した生活の充実」、4「国際交流の促進」、5 「行政推進のための環境整備」、8頁の6「指導体制の整備」、7「広報啓発活動」とい う構成になっております。  1頁の「はじめに」の最初の行に書いてあるように、この基本方針の目的というのは、 法律では、勤労青少年が有為な職業人としての健やかな成育を目指すことを基本理念と して定められたものです。第2パラグラフで、これまでの福祉行政では勤労青少年、ど ちらかというと在職青少年という意味での勤労青少年ですが、勤労青少年が有意義な職 業生活を実現できるようにということで、2行目で、余暇の有効活用などに主眼を置い て政策を進めてきたということです。これは、勤労青少年福祉法が制定された当時、技 術革新などがもたらす環境変化に馴染めない、その中で孤独を感じたり、離転職を繰り 返す青少年が多かったという観点から始めたものです。  しかし、環境が変わってきたということで第3パラグラフです。産業構造・就業形態 等といった状況が大きく変化してきた。3行目で、早期に離職する者が依然たくさんお られる。それから、不安定就労を繰り返す勤労青少年、これはフリーター等のことをい っているわけですが、そういう問題があります。さらに昨今の大きな問題としては無業 者の増加が顕著になってきているということです。  こういうことを踏まえて、新しい方向として第4パラグラフです。この基本方針にお いては、支援対象とすべき者として、いわゆる在職青少年に加え、これから職業人とな るべく、その成育を支える必要のある青少年をも視野に入れることにしたいと考えてお ります。こういうことで具体的な施策として、職業意識の啓発やキャリア形成の推進と いったことも踏まえた、就労に至るまでのさまざまな支援を継続的に行うということで やっていきたいと考えております。  それを行うに当たって第5パラグラフです。「また」以下のところに書いてありますけ れども、これまでの行政資源を有効に活用していく。新しい方向に踏み出すにしても、 いままでの行政支援を最大限活用していこうという姿勢は持っていきたいということで す。最後の3行のところで、これまでの勤労青少年の年齢について法律には明記されて おりませんが、これまでの運用として30歳未満ということでやってきていましたが、 第8次方針においては他の若年者対策と平仄を合わせる観点から35歳未満とする、と いうことで取り扱っていきたいと思っております。運営期間は、平成18年度から平成 22年度までの5カ年ということでやっていきたいと考えております。  続いて、第1「勤労青少年の職業生活の動向」です。1は「勤労青少年を取り巻く環 境の変化」の(1)経済状況のところでは、経済環境の大きな変化を題目的に掲げてありま す。(2)で雇用情勢について言及しております。ここのポイントでは、経済力の地域格差 の拡大により、雇用情勢においても地域差が拡大しているということです。これは、資 料No.2の2頁の雇用情勢をご覧いただくとわかるように、有効求人倍率などに関しても、 地域によって大きなバラつきがあります。  資料No.1のほうの(3)フリーター及び無業者の増加状況です。これは、資料No.2の3頁 で若者の完全失業率を見ますと、全体的な失業率は2004年では4.7%になっていますが、 若者層は大体その倍程度のところにあります。これに関しても地域格差があり、資料No. 2の3頁の右側のように、東北、北海道においては非常に高くなっています。東海地方 では、ブロックの中でいちばん低いです。高い所と低い所では倍近くの開きがあります。  資料No.2の4頁には、フリーターの推移の数字があります。平成15年、平成16年で 若干下がっていますけれども200万人近いフリーターがいるということです。資料No.2 の5頁は、若年無業者の推移です。こちらでも、64万人程度の無業者が生じているとい うことです。  資料No.1のほうの(4)は、勤労青少年「人材」に焦点を当てた社会の実現です。資料No. 2の6頁の5、パート・アルバイトに就く人が結婚しない理由です。金銭的余裕がない 等々の理由で結婚できないと考えているパート・アルバイトの方が多い。こういう状況 を資料No.1のほうでは、フリーターのような不安定な状態が続くことは未婚・晩婚化を 進展させて、少子化を一層進行させるおそれがあるということです。  資料No.2の7頁の6の「総人口の動向」を見ますと、2005年を頂点として今後減って いくものと見込まれています。資料No.2の8頁の7−1の辺りでは、こういう若者が減 っていく中で「2007年問題」は、多くの業種で危機意識を持っている。資料No.2の9頁 の7−2で団塊世代の動向では「2007年問題」が懸念されます。団塊の世代の大きな塊 が黒のところです。2007年で60歳のところに到達するということです。  資料No.1のほうの(4)、2007年は人口減少に転ずるとともに、技能継承の問題が大きく クローズアップされてくるということです。こういう中で、人材に焦点を当てて男女共 に、彼らの意欲や能力を最大限活用されるような社会の実現が求められていると記述し ております。  資料No.1の2「勤労青少年の現状」の(1)青少年人口の減少により、社会・経済シ ステムを維持していくための負担がますます大きなものになっていくであろうというこ とが書いてあります。これは資料No.2の10頁は青少年人口の現状ということで、10頁 のほうでは、いま28.2%程度の若年人口ですが、平成37年には20%を割るところまで 行くのではないかと見込まれています。11頁で社会保障負担の見通しですが、今後ます ます増大していくものと思われます。  資料No.1のほうの(2)青少年をめぐる雇用情勢です。完全失業率のところは先ほど 申し上げました。(2)は新規学卒者の就職内定率です。就職内定率は、ここ数年やや持ち 直しの傾向があるものの、大卒のような高学歴層にありましても、無業者の占める割合 が大きくなってきております。  これは資料No.2の12頁をご覧いただくとわかりますように、高卒、大卒の就職内定 率がやや回復してきています。資料No.2の13頁は、先ほど申し上げました大学生の動 向です。入学者数と、4年後の卒業者数の乖離がだんだん大きくなってきていて、中退 者や留年者が増加しています。大卒フリーター、ニートの予備軍になっている可能性を 示唆しております。資料No.2の14頁は、大学卒業後の進路の推移を見ても、無業者の 層が結構増えてきているのがわかります。  資料No.1のほうの(3)で学卒者の早期離職率の問題です。これは、例の七五三問題です が、資料No.2の15頁の13に示しておりますように、七五三現象は相変わらずというこ とです。  資料No.1の(3)就業構造の変化及び就業形態の多様化については、(1)として青少年 の産業別就業先は卸売・小売業がいちばん多く、製造業、サービス業となっております。 この辺りのことは資料No.2の16頁の14のところに、産業別青少年の就業者数の構成比 としてお示ししております。  資料No.1のほうの(2)の雇用形態は、全年齢階級でパート、派遣等の非典型労働者の割 合が増加しておりますが、特に若年層においてその幅が大きいということです。その辺 りのことは資料No.2の17頁では、全般的に非雇用者数が増加していることがご覧いた だけると思います。18頁で、若年層において特に上昇幅が大きいという部分は、例えば 15〜24歳の層を見ますと、1994年から2004年にかけて10.6%だったのが33.3%に上 がっています。45〜54歳と比較しますと20.6%だったのが10年後には28.9%になって いますので、若年のほうの上昇率がかなり大きいことがご覧いただけると思います。  こういう中で、企業側も能力開発に対する行動を変化させているように見て取れます。 中核的人材を早期に選抜したり、能力開発投資を集中しているのではないかという傾向 が窺われます。  それは資料No.2の20頁の18−1の「教育訓練の実施状況」の左側が企業調査で、右 側が従業員の意識調査です。左側を見ますと全般的な傾向としてoff-JTと、又は計画的 なOJTの実施率が下がってきています。従業員がoff-JTを受けた受講率が急速に減っ ているのがわかります。これだけで明確に言うわけにはいきませんけれども、受講率の 低下幅が大きくなっていることを素直に取ると、限られた従業員に対する研修が進んで いるのではないのだろうかということを窺わせます。  資料No.2の21頁の18−2の「能力開発の対象者」では、正規従業員と非正規従業員 で、その研修の実施状況について述べております。いずれも上昇してはいるのですけれ ども、正規従業員と非正規従業員を見ると、全般に対して研修をやろう、能力開発をや ろうというのは、圧倒的に正規従業員のほうが多くて、非正規従業員のほうはなかなか そういう対象になってこない状況です。若い人たちにおいては、非正規労働が多くて、 この能力開発の面でもあまり恵まれていないのではないかということが感得されます。  資料No.1のほうの(4)青少年の意識の多様化です。この問題について、フリーター については景気循環的な問題や、入職までの経路の複雑化などが指摘されますけれども、 若者たち自身にもいろいろ意識の変化、又は問題があるのかもしれないというのが資料 No.2の22頁です。これは、ジョブカフェにやって来る若者たちに対して、職に就いて いない理由をキャリア・コンサルタント、相談支援を行う側が聞き取ったものをまとめ たものです。いちばん左端の「自信がない」「行動力が不足している」といったところが 大きくなっている状況です。以上、第1の青少年を取り巻く状況についての概要を資料 とともにご説明申し上げました。  ここからは第2「基本施策の考え方」についてのご説明です。1は「勤労青少年福祉 行政の方向性」です。これは「はじめに」のところでも申し上げましたように、第1パ ラグラフの3行目4行目で、これまでの余暇活動を中心とした施策というのは引き続き やっていく必要がありますけれども、他方先ほど来ご覧いただいておりますように、少 子化、フリーター、無業者の増加といった中で、少し新たな方向に転換していく必要が あるだろうということで第3パラグラフです。  こういう状況にかんがみ、就業・職場定着や、職業意識啓発、さらにはキャリア形成 支援といったことを充実していく必要があるでしょうということです。こういう概念は 第7次方針のときにもある程度盛り込まれていたわけですが、これをより一層明確に進 めていく必要があるだろうということです。  「さらに」以下で、ここが第8次方針で初めて打ち出す部分です。先ほどの無業者問 題に関して、無業者すべてを対象にするとは申しませんけれども、自立・就労の必要性 を感じながらも果たせないでいる青少年。まだ全体状況が把握されているわけではあり ませんが、若者自立塾の塾生などを見ていると、頭では働くことが必要だというのはわ かっているけれども、いろいろな理由で就労できない若者たちがいることが明らかにな ってきております。そういう人たちに対しては何らかの支援をして、職業的自立へ導く ように進めていく必要があるだろうと考えております。そういうことを、先ほどのパラ グラフの「さらに」以下の2行でまとめております。  先ほど現状の中でご説明しましたように、若者を取り巻く環境というのは地域差がか なり大きく出ておりますので、やはり地域に根差した取組みが必要だろうということで 下の2行です。地域におけるネットワークの構築・強化ということが今後の課題だろう ということを大きな方向性として述べております。  4頁の2以下にもう少し具体的な施策について述べております。2「職業生活の充実」 の(1)職業意識の啓発の推進という点では、(1)は既に着手しておりますが、若者自立 塾といったものを引き続き進めていくことを念頭に置き、合宿形式により云々という件 を書いております。(2)では、職業意識の問題に関しては早い段階から、小中高校生の段 階から取り組んでいただく必要があるだろうということで、そういう趣旨を盛り込んで おります。(3)は、ボランティア、地域行事等を活用して若者たちを育てていくことが必 要でしょうということです。(4)に似たような件がありますが、こういう社会活動等に対 する企業側の評価を促進していきたいということです。若者たちが、ボランティア活動 や地域活動をやったことを認めるような仕組み、評価するような仕組みをつくっていき たいということです。(5)は、保護者に対する意識の支援です。やはり、親御さんの意識 改革も非常に重要なテーマであるということです。(6)で、若者の問題に関して1には若 者自身かもしれませんが、そして親御さんあるいは雇い主側ということもあるでしょう けれども、国民各階層の関心を高めていく必要があるだろうということです。  (2)的確な職業選択、そして職場への定着を支援するということです。(1)では試行 雇用などを通じた就業機会の拡大について言及しております。(2)に関しては、支援メニ ューのワンストップ化、ジョブカフェなどのことを言っているわけですが、こういうこ とについて記述しております。(3)は、地域の業界団体などの協力を得て、青少年の職場 定着、離職を防ぐようなことを進めていこうということです。(4)は、離職するに当たっ ては、いろいろ職場における悩みがあるわけですから、そういう悩みに対する専門的相 談支援体制を整備していくということ。(5)は、勤労青少年ホームに専門家を配置して相 談支援をやっていこうということです。(6)は、職業生活に必要な情報を提供していこう ということです。若い方々は、労働法による保護があることすらよく知らない方々がた くさんおられますので、こういう方々の権利ばかりを助長するつもりはありませんけれ ども、当然に法令で守られている、若者でも与えられている権利をきちんと周知してい こうということです。  (3)能力開発の推進です。(1)は、職業訓練に対する支援ということです。(2)は、先 ほどの若者の状況からもわかりますように、コミュニケーション能力等々が不足してい るので、そういうことを推進するための講座。(3)は、キャリア・コンサルティングを活 用したキャリア形成の相談支援の体制に言及しております。(4)は、実践的な教育・実務 連結型の人材育成システムの促進で、デュアルシステムのことなどを念頭に置いており ます。(5)に少し書き込みましたのは、前段のところで出てきたボランティアそれ自体が 若者を育てるのにいい機会であると思いますが、同時に、即、正規就業できないような 若者たちに対して、就業に出る準備段階としての作業機会を提供する、あるいは活用し ていくことを考えたいということで、有償ボランティアなどを経験する仕組みをつくっ ていけないかということを考えています。  (4)労働条件等の整備充実に関する支援ということで、基本的に従前のことをきち んとやっていこうということです。(1)は安全と健康の問題、(2)は法定労働条件等に関す る相談の場、(3)は労働時間のことに言及しています。  次の柱である3「自由時間を活用した生活の充実」です。ここでは、従来のボランテ ィア活動をはじめとした参加活動、これが従来の社会の一員としての自覚を深めるとい う目的に加え、社会性の涵養、人間形成の観点からも積極的に活用していこうというこ とです。同じようなことになりますけれども、世代間の交流の促進も引き続きやってい きたいと思っております。  6頁の4「国際交流の促進」ということで、ワーキング・ホリデー制度などについて 言及しております。ワーキング・ホリデー制度は、主として勤労青少年の海外での余暇 活動という観点からこれまで支援してきたわけですが、折から国際化が進展している中 で、こういうことに対応できる人材として育っていくいい機会だと考えております。そ のためにも、ワーキング・ホリデー制度を活用し、キャリアを形成していくのを支援し ていくということで、渡航前後におけるキャリア・コンサルティングといった体制をつ くっていきたいと考えております。  7頁の5「環境整備」ということで(1)は「はじめに」のところでも申し上げまし たが、地域における支援が必要だということ。しかも地域にはさまざまな資源がありま すので、そういう資源をうまく活用することによって、ネットワーク化することによっ て、幅の広い継続的な、かつ個別的な支援をやっていきたいということです。  (2)そういう支援を進めるに当たって、勤労青少年ホームはだいぶ減ってきたとは いえ、なお全国には500近いものがあるわけですので、こういう資源を有効に活用して いきたいということが(1)で書かれております。その上でアのところでは、キャリア形成 支援に関する機能の充実ということを書いております。  (2)の勤労青少年ホームの機能充実のためにというのは、従来ベースの考え方ですけれ ども、地域社会・企業・団体等との連携ということを述べています。(3)で活性化のため の方策として、ホームの複合化の推進など、利用しやすい施設ということを進めていき たいということです。インターネットの活用についても言及しております。  6「指導体制の整備」では、勤労青少年福祉関係者の支援ということです。どういう ものがあるかというと、勤労青少年ホームの指導員、企業の中では勤労青少年福祉法に 基づき、勤労青少年福祉推進者を選任していただくことになっております。で、実際に 選任されている方もおられますので、こういう方々、それからヤングジョブスポットの アテンダント等々各若者支援機関の指導員、相談支援を行う方々の役割が重要であると いうことに注目し、こういう方々に対する情報提供、研修機会の提供をやっていきたい と思っております。  7「広報啓発活動」も、勤労青少年福祉法に基づき、7月の第3土曜日が「勤労青少 年の日」と定められているわけですが、こういう活動の効果的な展開といったことも考 えていきたいということでまとめております。  これをまとめるに当たっては、都道府県の勤労青少年部局等々にも意見照会して反映 させてまとめたものです。簡単に都道府県側の意見をご紹介いたします。大体のところ は特段のご意見はなかったのですけれども2つほどご意見がありました。  対象となる青少年を無業者まで広げることに対する懸念、それからホームを少し活用 することに対してのガイドラインを示していただきたいということが出てきております。 ホームの活用についてのガイドラインの方向性については、この方針をご検討いただく 上で、当然必要になってくると思いますので、私どものほうで検討していきたいと思っ ております。  前者の無業者の部分に関しては、いわゆる勤労青少年対策を熱心にやっておられる所 であればあるほど、そういう不満も出てくるのかもしれませんが、いまの若者を取り巻 く現状を見ると、無業者の問題は放っておけないという中で、先ほども申し上げました ように、無業者は何でもかんでもいいのだというのではなくて、昔はなかった現象で、 いま顕著に現れている現象として、働かなくてはいけないということはわかっているけ れども働けないという、従前の括りの中に入ってこないような若者がたくさん出てきて いるわけですから、そういうところに関しては対応していくことにさせていただきたい ということで、そのように回答しております。  資料No.4「今後の予定」ですが、前回は8月2日に部会を開催させていただき、本日 11月16日が2回目です。本日のご議論を踏まえ、私どもでこの骨子案を基にご議論を 反映させて原案を作成してまいります。次回は12月22日を予定しておりますが、そこ で案をこちらの部会にお諮りしてご検討をお願いしようと思っております。その後、再 度都道府県、あるいは関係省庁等にも意見を聞き、年明けに部会をもう一度開催し、方 針を固めていただきたいと思っております。  ただ、年明けの作業は前回も申し上げましたけれども、いま第8次職業能力開発基本 計画を策定しているところですので、そことのすり合わせも必要ですので、そちらの進 捗状況と調整を経て年明けの作業は定めさせていただきたいと思っております。以上駆 け足でしたが、ご説明申し上げました。 ○清家部会長  ただいまの説明について、委員の皆様からご質問・ご意見等をお願いいたします。 ○ 谷口委員  前回の会議でも、同じような趣旨のことを申し上げましたので改めてということにな るかもしれませんがご理解をいただきたいと思います。「はじめに」のところの4パラグ ラフ目にあるように、この基本方針では職業人となるべく、その育成・成育を支える青 少年も視野に入れるのだと。そして、従来の余暇の充実の取組みに加えて、勤労青少年 の職業意識の啓発、キャリア形成の推進をこの施策の中で示すというふうに、受止めと してはニートやフリーター対策に重点を置いていく方向に変えていくのだという趣旨の、 今回の第8次方針ではないかと理解しております。そこの部分については私どもも賛成 いたします。  一方で、3頁の「具体的な基本施策・方向性」の中で、最初に示されておりますのが、 これまでの余暇活動の充実をはじめとした一連の措置を、引き続き重要視していること については、やや「はじめに」のところの記載とはトーンが違うのではないかと思いま す。ここは思いきって、余暇活動の充実の取組みを、現在一生懸命やっている地方の組 織もあると聞いておりますし、そこを否定することはありませんけれども、5年間にわ たっての中では一定の方向で縮小なり、廃止等はできないのであれば、そういう方向を しっかりと示すべきではないか。むしろ、次のパラグラフに記載されているような、フ リーター・無業対策を方向性としては最初にしっかり謳うべきではないかと思っており ます。 ○ 半田キャリア形成支援室長  いかにも役人的な、総花的な書き方になってしまったことは申し訳ないと思います。 谷口委員からもご指摘がありましたように、実際従来型の勤労青少年福祉対策を非常に 活発にやっているホームもいくつかあります。例えば鹿児島のホームとか、従来とはち ょっと違うかもしれませんけれども、新潟の三条や村上ではこういう活動を熱心にやっ ておられますので、そこはなかなか無下にはできないということもあります。  大部分は、その中間辺りでどうしたものかと考えておられる所が多いのだろうと思い ます。そういう所に、従来のものはもういいのだ、という言い方をあまり明確にしてし まうと、私どもは従来のものがいいのだではなくて、従来の基本スタンスは変えないま まに、少し新しいニーズに対応した政策に展開していこうと申し上げているのです。こ の部分が、下手をすると、もう勤労青少年福祉政策は要らないのだと取り違えられる危 険性もあるわけです。  その辺りのことを考えて、こういうようにいまひとつ思いきりの悪いような書き方に なっているわけです。少なくとも、「引き続き重要である」という言い方を確かにしてい ますと、あれもこれもと総花的にしか取れない部分もありますので、表現ぶりについて は工夫したいと思います。「引き続き重要である」という辺りは、もう少し淡々とした記 述にするなどそういう工夫をしてみたいと思いますので、ご理解をいただきたいと思い ます。 ○ 岩松委員  資料No.1の4頁の(2)の(1)のいちばん最後のところに、「いわゆる第二新卒者やフリ ーターの就職機会の拡大を図っていく必要がある」ということで、第二新卒はわかりま すし、就職機会の拡大を図っていくのはいいことだと思っています。ただ、「フリーター の就職機会」と書かれますと、いまは新卒者でさえ就職が大変なときに、ここが突出し て見えてしまったのです。これは書きぶりかと思うのですが、ちょっとこの辺が気にな りました。  もう1つは、4頁の2の(2)「職業意識形成の支援」ということで、これは私どもも新 入社員で入ってくる方々を見ていて、本当に職業意識形成の重要性は感じています。も しかしたらこの場で言うことではないのかもしれないのですけれども、企業に入ってか らでは遅すぎますので、学校の関係者の方々に努力していただけるような方向性が書け るといいと思います。  それはなぜかというと、最近私は中学校と高校の先生方、それからPTAの方々と話 し合う場がありました。話を聞いていると、それぞれが、どちらかというと責任を押し 付けているではないのですけれども、高校の先生であれば中学のときにこういうことを 学ばせてくれればよかった。中学では、小学校のときにこういうことを学ばせてくれれ ばよかったということになります。保護者の方は、家庭でできないので学校でやってく ださいということでした。ですから、その辺でもう少し連携が図れれば、いい方向に持 っていけるのではないかという感じがありました。最初にこれを見て、その2点が気に なりましたので意見を述べさせていただきました。 ○ 半田キャリア形成支援室長  まず前段のご指摘ですが、フリーターの就職機会の辺りに関しては工夫の余地がある かと思います。ただ、私どももご案内のように、フリーターの20万人雇用計画を進め ていて、平成18年度にはそれを拡大しようと考えております。  先ほど、資料No.2の中でご説明を落としてしまいましたが、フリーターの状況が非常 に悪いということで、19頁の17で、正規社員とフリーターの賃金格差の点ですが、こ のようにフリーターと正規社員では2点何倍という賃金格差があるのも事実です。こう いう中で、希望する方にはできるだけ正規就業に就けるように支援していく、という方 向性はあるのかと思っておりますのでご理解いただきたいと思います。ただ、表現の仕 方については、最終的にまとめていく上でご指摘のような点も踏まえてやっていきたい と思います。  2番目のご意見の、学校側の取組みといいますか、早い段階からの学校における取組 みといったことかと思います。私が承知しているところでは、文部科学省にも「若者自 立・挑戦プラン」に入っていただき、早期からのキャリア教育の必要性などをつとに、 特に初等中等教育局辺りが中心になってやっております。  そして平成15年度だったと思いますが、キャリア支援に関する研究協力者会議も設 置され、キャリア教育、あるいはその支援体制の強化も含めたことを打ち出しておりま す。少なくとも文部科学省においては、この辺の重要性はよくおわかりいただいている と思っております。  委員のご指摘のように、現場においては必ずしもそれが徹底されない所もあるのであ れば、そういう旨を初等中等教育関係に、私どものほうからもお願いしておきたいと思 います。 ○ 小杉委員  最終的にも、「フリーター」という文言を使うのですか。フリーターという言葉の持つ イメージが、各個人によって案外違っているところがあります。経営者の方々がフリー ターというと、職業能力の上でかなり劣るのではないかという危惧をされているところ があるのではないかと思うのです。「不安定就労」というような言い方にしたほうが事実 を伝えやすいのかもしれません。  若者側にとってみれば、フリーターというのは結構いい言葉で、好きなことをやって 一生懸命追求している若者像みたいなイメージになってくるし、経営者の側から見ると、 安定した就業にはとても就けさせられないような人材像という感覚が出てきてしまいま す。最終的な文言の中では、フリーターというイメージがかなり付きまとった言葉を限 定的に使ったほうがいいのではないかという気がします。 ○半田キャリア形成支援室長  書き方については、またご指導をいただきながらやっていきたいと思います。 ○清家部会長  その辺は、本日議論しなくても、最終報告のところでやりますか。むしろ早めに考え ておいたほうがよければ、いま議論したほうがいいかと思います。 ○半田キャリア形成支援室長 本日、いまの点について少しご意見を賜り、それを踏ま えて次までに私どものほうで少し整理をしていきたいと思います。ただ、「不安定就労」 といったときに、フリーターの問題意識が伝わるのかということはあるのですけれども。 ○清家部会長  いまお2人の委員がご指摘された、(2)の(1)のところで使われている趣旨でいえば、 これは「フリーターの就職機会の拡大」と書いてあります。そうすると、フリーターは もともと仕事はあるわけだから、そういう面ではどちらかというと、いま小杉委員が言 われたような、不安定な就労をしている人たちを、より安定的な就労機会に就職させる という趣旨ですね。 ○半田キャリア形成支援室長  はい。 ○清家部会長  そういう面でいうと、ここのフリーターは「不安定就労者」でもいいのかという気が します。その辺も含めて、確かに小杉委員がご指摘のように、言葉のイメージをそれぞ れお持ちのものが違うと、報告書が誤まって読まれたりすると思いますので、できるだ けクリアな表現にしたほうがいいと思います。 ○半田キャリア形成支援室長  ここは、基本的にご指摘を踏まえたような格好で。 ○清家部会長  ここは、たまたまあれですけれども、ほかのところにもフリーターという言葉が出て きていますけれどもどうでしょうか。この際これについていかがでしょうか。 ○山野委員  フリーターというのは、私たちが取るイメージとしては、長く働く気のない方という ように取れます。働きたくても、自分に合った仕事に巡り会えないという方と、私たち が思っているフリーターの人たちのフリーターという言葉のイメージとはちょっと違う と思うのです。だから、「フリーター」と書かれてしまうと、ニート=フリーターみたい な、どちらもちょっと社会から外れている方と思ってしまいます。 ○村上委員  確かに、フリーターという言葉から受けるイメージはさまざまだと思うのです。でも、 実態もさまざまであって長く働く気のない方もいれば、やむを得ず正社員の職がなくて フリーターをしている方もいるのは事実です。注釈などを入れる形にして、フリーター という言葉はわりと定着してきている言葉かと思いますので、できればこの言葉を使い ながら、それが合わないところは適宜言い換えをするとか、定義づけするなどとして方 針の中に入れていただいたらいかがかと思います。 ○小杉委員  読む方が、誤解に基づいた抵抗を感じたのではまずいと思うのです。その誤解を引き 出さないような留意さえすればどちらの言葉を使ってもいいかと思います。経営者の立 場からすると、フリーターというのはいま言ったような形に取られがちな言葉ですので 支援促進という部分では、少し注意して使ったほうがいいかもしれません。 ○清家部会長  この点について、宮本委員は何かご意見はございますか。 ○ 宮本委員  フリーターという言葉にせよ、フリーターという言葉を使わないにせよ、今度の基本 方針で対象にしなければならない人の状態が何かという、そこのところを押さえた上で 定義をして使えばいいかと思うのです。  例えば、選択してフリーターという形で働いている人に関しては、それも選択の結果 であって、あえて施策の対象にする必要はない可能性があります。やはり、内容として は選択でない形で、それで不安定であるとか、所得的に問題があるという要素が入った 人たちに対してこの基本方針が何をするかということになるわけです。その観点で言葉 をどう使うかということになると思います。 ○清家部会長  フリーターという用語の問題について、いまの宮本委員のご指摘等を踏まえると、先 ほどの(2)の(1)のような文章は、フリーターという言葉を残したままで、例えば「や むを得ずフリーターとなった人たちの安定的な雇用機会への就職の拡大を図る」という ような説明や注釈を少し付けた形で、誤解のないようにすることも考えられるというこ とでしょうか。 ○杉浦委員  単純なのですけれども、フリーターとアルバイトの違いは何なのだろうと思ったので す。 ○小杉委員  アルバイトというのは、就業機会の1つで定義されています。そのアルバイトやパー トタイムをしている若者のことをフリーターと呼んでいます。無業、アルバイト、パー トをしたい人まで含めて統計では数えるのですけれども、語感としてフリーターという 言葉を使うのがちょっとずれていて、アルバイトで働いている若者というだけではなく、 それにほかの色が付くことが多いです。好きでやっているとか、もともと長期に続ける 気がないような人なのだろうというイメージがくっ付いているということです。 ○ 杉浦委員  中小企業から言わせると、正社員をなるべくカットしたいという流れなのです。アル バイトにしたい、パートにしたい、そうすればいろいろな経費が削減できるという方向 に向けたいということがあります。私は、なるべく正社員でやることを考えているので すけれども、社会としてはそういう方向性になってしまっています。  それと、長期に働きたくないという人とは明らかに違うのではないかという気がする のです。フリーターというと、定職に就かずに転々するというのと、外されてしまった という人はあまりにも違うのではないかという気が強くします。一緒にするのはかわい そうかという気がします。 ○清家部会長  最終的な報告書までは、まだしばらく時間がありますので、事務局のほうに工夫をし ていただいて、仮にフリーターという言葉を残す場合でも、いま言ったような文脈の中 であまり誤解が生じないような形の説明を少し細かくする形で修文をしていただくとい うことでいかがでしょうか。 ○半田キャリア形成支援室長  はい、承知しました。 ○ 清家部会長  それでも、まだここはフリーターという言葉は適当ではないというような箇所が最終 的に出てきたらそのときに検討しましょう。これだけフリーターという言葉が広がって しまっていますので、フリーターという言葉を全く使わないでこの報告書を書くという のはちょっと難しいかもしれません。ただ、いろいろな委員から出たような懸念は確か にあります。  特に、宮本委員が言われたような趣旨からいえば、本人の選択によらないで、必ずし も望ましくない雇用状況にいる人たちを支援するというのが行政の仕事でしょうから。 好きでやっている者は好きにしろ、という突き放すような言い方はちょっとあれですけ れども、行政の主たる支援対象は、そういう状況から抜け出したいと考えている方々に 手を差し延べるということでしょうから、この辺がごっちゃにならないような表現を工 夫していただくことにして、もう一度この問題は議論してはいかがでしょうか。 ○半田キャリア形成支援室長  はい、承知いたしました。そのことに関連して、「ニート」という言葉はこの中ではあ えて使っておりませんが、ニートというのは何でもかんでもと取られては困りますので、 「はじめに」のところに書いてあるように、無業者の中で、本当は仕事に就かなければ いけないのだと思っているのだけれどもという人たちを対象とする、という格好にして おりますので、そういう趣旨から裸で「ニート」という言葉はどこにも使っていません ので、そこもご承知いただければと思います。 ○ 山野委員  先ほどのことと関連してくることかと思うのですけれども、フリーターも、いまニー トという言葉で表されている若者も、基本的にはその個々の問題だと思うのです。能力 があるとかないとかという問題ではなくて、そこまで成長してきた過程の中での、本人 の資質の問題ではないかと思うのです。  先ほど室長がおっしゃいました地域のつながりというのはとても大事だと思っていま す。特に首都圏では地域のつながりなり、自分のいる場所がない若者はたくさんいるわ けです。そういう方たちが、たぶんニートとかフリーターになる可能性というのはとて も強いわけです。ある程度、若い人たちの支援をいままでの延長線上にあったほうがい いのではないかと思っています。 ○清家部会長  それは、具体的に骨子案の書きぶりの中に、例えばこういうところに反映させるべき だということでしょうか。 ○山野委員  方向性として入れていただければと思います。ですから、地域活動の支援であったり、 学校教育です。厚生労働省はあまり関係ないのですけれども、そういう1つだけの問題 ではなくて、全体的にフリーターとニートの方を支援する、少しでも少なくする社会を 目指すために何をすればいいかということです。 ○ 奥島委員(代理久保氏)  先ほど来出ていますけれども、若年労働者のキャリア形成支援については、職業能力 開発分科会でも論議されているかと思います。同じような政策が経済産業省や文部科学 省それぞれでとられておりますので、是非行政効率という面からもダブらないようにし てほしいですし、かつ皆様のおっしゃられるように連携を取りながら進めていただきた いという要望です。  先ほど谷口委員も言われましたが、従来の方針を変えて、フリーター、ニート対策に 重点を置いていきたいというのは、時代に合わせた方針転換ということでいいかと思い ます。これは、法改正との絡みがどのようになっているのかということで疑問に思った ところがあります。  資料No.3の勤労青少年福祉法第13条で、「勤労青少年福祉推進者の任務としてレクリ エーション等の事項を担当する者」というのは、従来からの流れだと思うのです。この 点については方針転換をするということで、法改正の必要性等の問題はないのかと思い ましたので質問させていただきます。 ○ 半田キャリア形成支援室長  前段の、各関係省庁との連携は重複のないようにというのは心して取り組んでいきた いと思っております。それから、法改正は必要ないのかというご質問に対して結論を申 し上げますと、必要ないと考えております。全文が参考資料No.1に示されておりますが、 この第13条を読んでいただきましても、「必要な指導、相談、レクリエーション等」と なっております。正直申しまして、レクリエーションの部分がこれまでは強調されてい たわけです。先ほど来申し上げているような方向性というのは、相談、指導という名の 支援というところで読めるものであろうと考えております。  技術的なことを申し上げますと、この法律を改正するというのは大変困難なものがあ ります。それでも時代に合わないものであれば直していかざるを得ないと思うのですけ れども、幸いにしてこの辺りの読み方といいますか、解釈の仕様で十分対応可能である と判断しておりますので、そのような取扱いをしたいと考えております。 ○ 村上委員  前回も同じような話があったかと思うのですが、この基本方針が都道府県でどのよう に活かされていくのか、どのように受け止められていくのかということです。それぞれ の都道府県が判断して反映する・反映しないということをやっているという説明でした が。  そうは言っても、これだけ政府全体で若者対策をやっていこうということで、若者自 立・挑戦プランもある中ですので、この方針がフリーター、ニート対策の中で、政府全 体の中でどの部分を担うものなのかといったことについて、例えば全文とか「はじめに」 の部分で、もう少し書くことはできないのかという質問です。 ○ 半田キャリア形成支援室長  確かに、政府の青少年対策も大きく2つの系統に分かれています。内閣府の青少年育 成担当のほうでやっている、いわゆる青少年育成施策大綱があります。これは、どちら かというと非行防止を中心に置いたような取組みの大きな流れがあります。他方、先ほ ど来何度か出てきている、特に就労支援を念頭に置いた取組みは平成15年の夏の会議 から始まり、平成16年から取組みになっていると思いますが、若者自立・挑戦プラン の大きな流れがあります。正直言って、この2つがちょっと分かれた格好になっていま す。  どちらかというと、勤労青少年福祉対策基本方針は、青少年育成施策大綱の大きな流 れのほうに入っていたわけですけれども、ご案内のようにこの中のキャリア支援云々と いうことをだいぶ書き込んだことでおわかりいただけますように、就労支援をかなり強 く打ち出してきているところです。いまのが現状のご説明です。  そういう中ですので、村上委員ご指摘のように、この辺りは頭の切り換えをしようと しているわけですから、全体的な流れをもう少しご説明しながら記述できるのならして みたいと思います。ただ、「はじめに」のところであまり長々とその点を書いてしまうの もいけませんし、その点でバランスが難しいので、直ちにこのようにやりますとは即答 しかねますけれども、いずれにしても全体での青少年対策の中でどう位置づけるかとい うところは工夫して書いてみたいと考えています。 ○清家部会長  その辺は少し工夫していただいて、次回以降検討していきたいと思います。 ○岩松委員  6頁の(5)のところで、「就業に至る準備としての報酬を得る作業機会の活用」とあり、 「有償ボランティア」と括弧内に書かれています。これは、もう少し具体的にイメージ があるのであれば説明していただけますか。 ○半田キャリア形成支援室長  趣旨はよろしいわけですね。 ○岩松委員  はい。 ○ 半田キャリア形成支援室長  現実に私どももこういう仕事をやっていて、若者支援をやっている民間団体とのお付 き合いがあります。そういうのをたくさん見てきた中で、支援されていた若者たちが、 完全にスタッフになるわけではないのですけれども、支援される側からする側に回って きて、支援団体の活動をお手伝いしている、ボランティア的にやっている方がいます。  そこから、さらに正式な職員になっていったり、あるいは自分で独立してそういう団 体を始めよう、活動を始めようとしている流れを見ていて、その辺りのことを念頭に置 いて書いた部分です。 ○岩松委員  「有償ボランティア」という言葉になっていたので、既にそういう事例が出ていると いうことなのかと思ったのです。 ○半田キャリア形成支援室長  そういう中では、全く無給のボランティアとしてやっている方もいますし、賃金と言 ってしまうと問題がありますので、若干の実費弁済的な対価を得ながらそういう活動に 従事している方もいるという事実があります。 ○清家部会長  最低賃金法の適用を受けない範囲の就労ですね。 ○半田キャリア形成支援室長  その辺りが、指揮命令下にない、指揮の使用従属関係にないという中で、ボランティ ア的に活動しているということになるという整理になっています。 ○清家部会長  ちょっと微妙なとこがあるかもしれませんね。 ○ 杉浦委員  「無業者」という言葉はすごくありがたい言葉だと感じております。友達に司法書士 を目指している人間がいます。いま32歳なのですけれども、これはニートになるわけ で、仕事としては何もやっていないという格好なので、それはすごく憤慨だと言ってい ましたので、大変いい言葉だと感じました。  無業者ということに関して、勤労青少年ホームで8カ所ぐらい、あとは各市町村にも 同じように8カ所ぐらい回ってきたのですが、ニートの方に会うことはほとんどできま せんでした。お会いさせていただきたいと言っても、ほとんど会わせていただけません でした。出てこないで、既に引きこもりの状態なのです。家に引きこもっている状態に なってしまっているものですから、お父さんやお母さんが本当に苦しんでいることを強 く感じました。勤労青少年ホーム等でそれを聞いてあげられるようなシステムができれ ば、また1つの解決策になってくるのではないかという気がしてなりませんでした。  本人が出てくれば、働くような意識もあるでしょうし、本人が家から出ればいろいろ な職業に就きたいという意欲も出てくるのでしょうけれども、その前の段階が1つ必要 なところが出てくるのではないかという気がいたします。10数回いろいろな人に試みて みたのですけれども、ほとんどの方がお会いできないという状態です。出てきてくれな いという状態です。それで、お父さんお母さんにお会いさせていただいたときに、お父 さんお母さんの苦しみというのはかなり大きなものがあるという感じがしました。その 辺の解決策があればと思います。 ○ 半田キャリア形成支援室長  ただいまの点は、私どもも同じような問題意識を持っています。その点の対策として は、7頁の5の(1)に、地域の支援のネットワークというところに書いてあります。 先ほどは、個別的、継続的支援を行うためということで、このネットワークのことをご 説明いたしましたが、このネットワークの意味合いとして、引きこもりと全くイコール ではないですけれども、得てしてそうなりがちなニートの若者たちを把握し、そしてこ ういう支援の輪の中に引っ張ってくるというか、背中を押すということをやっていくた めのネットワークでもあると考えております。  もう少し具体的に申しますと、このネットワークの中には、学校や地域でいろいろな 活動をやっている方々が入ってきますと、地域でいろいろな活動をやっておられる皆さ んであれば、どこの家庭に、どういう方がニート状態になっているという情報もつかみ やすいでしょう。学校というのは、高校を中途退学して、そのまま埋もれてしまうとい うケースが多々ありますので、中途退学する時点で、こういう支援の仕組みなどをちゃ んと伝えていただく、あるいは親御さんにそういう支援の仕組みがあるのだということ を伝えていただく、ということは可能になろうかと思っております。そういうことを念 頭に置いての(1)のネットワークです。  そして、これも明確には書いてありませんけれども、このネットワークをつくるに当 たり、私どもとしては勤労青少年ホームなどがうまく活用できればなお結構だと思って おります。そういうことで、委員ご指摘の趣旨は、一応私どもも心にしております。 ○奥島委員(代理久保氏)  いま言われた話というのは、地域若者サポートステーションのお話と考えてよろしい でしょうか。具体的なイメージがわからなかったので、その担い手はどういう方々がや るのかは、いちばん重要なことだと考えておりますので、その辺をもう少し教えてくだ さい。 ○半田キャリア形成支援室長  ご指摘のとおりで、(1)はそういうことを念頭に置いて書いております。ただ、これ は5カ年使うものですので、固有名詞をあまり個別具体的に書いてしまうと、その5年 間の間に何が起こるかわかりませんので、概念としてこういう施策に取り組んでいこう という表現ぶりにしております。 ○奥島委員(代理久保氏)  担い手としては、どこかのNPOに委託をしてというような、いまはNPOがヤング ジョブスポットを運営していたり、実際に動いている所があると思うのですが、横の連 携がなかなか難しいと考えております。それは、どういう方々が担い手となって運営さ れるのかということです。 ○半田キャリア形成支援室長  5の(1)の具体的なイメージとしては、私どもが平成18年度で考えております地 域若者サポートステーション事業のことになってまいります。そこで考えておりますの は、地方公共団体との連携が極めて重要だと思っております。地方公共団体からご推薦 いただいた民間団体を中核として、この事業を整備していきたいと考えております。そ の際に、私どもは別にNPOということには固執しておりませんが、制度の仕組みとし ては民間団体ということです。 ○ 宮本委員  「キャリア支援」というときに、最近は日本だけではないと思うのですけれども、ど この国でも情報提供・相談・訓練という3段階というのは、若者だけでなくて中高年者 も同じかと思います。まず情報を提供し、相談になると個別ですし、その結果としての 訓練というステップがあるかと思います。  その観点でこの原案を拝見しますと、「意識啓発」という言葉で、情報とか相談という ところが含まれているように思うのです。ここはもう少し分解して、例えばヤングジョ ブスポットなどの機能を見ていても、まず情報提供が重要ですし、今度は個別相談、そ こから適切な教育なり訓練、そして仕事という形の機能をやっていると思うのです。そ の辺りがこれからはさらに重要だと思いますので、ここを分解して明確な言葉で出した ほうがよろしいのではないかと思います。  ICTという言葉があるということです。Iはインフォメーションで、Cはカウンセ リングで、Tはトレーニングですか、この3セットが重要だということを耳にしたこと があります。 ○半田キャリア形成支援室長  これも、直ちにどこをどういたします、ということは申し上げかねますけれども、ご 指摘を踏まえてちょっと検討してみたいと思います。 ○小杉委員  言葉の使い方として、「意識啓発」という言葉の使い方はとても抵抗がありました。あ る到達すべき意識があって、それに向けて足りないから起こしているという感じがして あまり好きな言葉ではありませんでした。いまの分解の仕方のほうが、個人をどうやっ てアクティベートするかという感じが出ていて好きです。 ○ 宮本委員  いまのに補足させていただきます。私も、「意識啓発」という言葉でないものに変えて いくほうがいいということで、先ほど情報とか相談と申し上げたのです。考え方として は、情報提供をして、相談に応じながら、最終的にはキャリア形成をするとか、もっと 広くライフプランニングというのは、当事者が主体である。その当事者が自分自身のキ ャリアなり人生をつくっていくという立場で、そこに対してどうやって応援していくか という展開ではないかと思うのです。  そういう意味で、「意識啓発」という言葉は使わず、むしろ情報提供・相談、そして自 らがライフプランニングなり、キャリア形成をしていくというような形の新しい書きぶ りのほうが、新しい時代には対応できるのではないかという感じがします。 ○清家部会長  具体的な政策の方向性の書きぶりを、いまおっしゃった情報提供・相談・訓練という 軸で少し整理するとわかりやすいということでしょうか。 ○宮本委員  1頁と3頁辺りが該当するのでしょうか。「意識啓発」というのは、1頁と3頁の中段 以降のところに出てくるのですけれども、ここを少し変えて、あとは4頁から政策が並 んでいますけれども、内容的にはこれになるのだと思いますが、それを区分する辺りの ところで、情報提供・相談というのはそこのところを意識した形で並べ直して、頭に付 ける言葉も少し変えていただくと、非常に新しいものになっていくのではないかと思い ます。 ○半田キャリア形成支援室長  ご指摘を踏まえて少し検討してみますが、1つご了解いただきたいのは、私ども「職 業意識啓発」というのは既にいろいろな所で対応していて、これを基本的に使わない方 向になっていくとものすごく困る部分が出てくる、というのが正直なところです。 ○小杉委員  それはわかるのですけれども、個人をどうアクティブにするかというのが政策の柱の 根本的な考え方にあると思うので、全面的に使うなというよりは、個人をアクティベー トする、ということが基本だということが少し出てもいいのではないかと思います。 ○半田キャリア形成支援室長  思った以上に難しい課題なので、後ほど検討させていただきます。 ○清家部会長  確かに、「意識啓発」というと、何かあるべき意識がどこかにあって、それに向けて若 者を導いていくという感じを受けてしまうところはあるかもしれません。先ほどのフリ ーターとは違いますけれども、仮に言葉を使う際でも、お2人の委員の趣旨からいって、 一定の方向に意識を変えていく形ではないような意味であることの分子表現をしたほう がいいかもしれません。そのような表現に少し工夫していただきましょう。 ○小杉委員  どうするか対案を出さないとかわいそうだとは思うのですけれども、ちゃんと考えて おりません。 ○半田キャリア形成支援室長  いまの部分は、こちらでもう一度検討してみます。例えば、4頁の2の(1)の「職 業意識の啓発」というのが引っかかる部分なのだろうと思うのです。ただ、こういうと ころは下に書いてあるように、「職業意識の形成の支援」という言い方ならそんなに引っ かからずに受け取っていただけるのでしょうか。 ○宮本委員  そうですね。そうすると、そんなに大幅な改変でなくても構わないのだと思います。 ○小杉委員  「意識の啓発の推進」のところを、「職業に対する情報提供と相談」と書き換えるだけ でも随分イメージが違ってくると思います。 ○宮本委員  ただし相談については、あまり具体的な項目はないですね。でも、ヤングジョブスポ ットなどは、既に相談というのが非常に重要なこととしてやっているわけですから、そ れは項目を立てていただければいいのだと思います。 ○ 半田キャリア形成支援室長  それぞれの支援というのが、基本的に情報提供・相談というのがセットになっており ます。例えば、ヤングジョブスポットの部分でもご指摘のとおり両方入っているわけで すので、相談部分と提供部分とは逆に切り離しにくい部分もあるわけです。  いうなれば、施策が成立するときのステップではなくて、若者の支援対象者の状況な どを念頭に置いた括りにしているのでこうなっています。ちょっと切り口が違っている ので、こういう書き方になっています。職業意識が十分にない若者、その次に就職はし たものの定着できないでいる若者、さらに能力を高めていく必要がある若者、そういう 切り口でやっておりましたのでこうなっております。  いずれにしても、その「啓発」をできるだけ使わない、そして情報提供・相談という ICTの流れがもう少し見えるようにやってみたいと思います。 ○ 清家部会長  これは、先ほどのフリーターという言葉のイメージの話とも関係してきますね。職業 意識の啓発というのがあまり前面に出ると、もちろん若い方の中には、本当の意味で職 業意識が不十分なために仕事に就けない方もいるのだろうと思いますけれど、あまり前 面に出ると、フリーターの一方の定義というか、つまり心の持ちようの問題でフリータ ーになっている人たちが多いのだというステレオタイプを強調していく感じになってし まうかもしれないということですね。  本来、この問題は若者の心の持ちようの問題の部分もないわけではないけれども、主 としてここで問題にしているのは、働きたいという、あるいは就労意識は持っているの だけれども、情報がないために困っていたり、あるいはどうしていいかわからなかった り、訓練機会がなかったり、それをどう支援するかという意味なのでというのがお2人 の委員のご趣旨だと思います。おそらくここに書かれていることも、そういう趣旨のこ とが書かれているので、もし修文できるのであれば、できるだけそういう形にされたほ うがいいかと思います。 ○半田キャリア形成支援室長  清家部会長のご発言の中から、だいぶ重要なヒントをいただいたような気がしますの で、その方向で進めます。 ○ 村上委員  2つありまして、1つはこの方針案そのものではないのですが、先ほども勤労青少年 ホームの活用について、行政としては大きな期待を寄せられているということでした。 できればこの方針が出ていくときに、冒頭にホームの運営のガイドラインを作ってほし いという意見が都道府県から出ているということでしたので、一緒にそのガイドライン が出ていって、望ましいホームのあり方で、地域のネットワークの中心になってもらい たいだとか、親の支援もしてもらいたいといった具体的なヒントがあるようなガイドラ インを出していただければと思います。  勤労青少年ホームの協議会でも、改革案について議論されていると聞いておりますの で、是非そういうものも参考にしてガイドラインを作っていただければと思います。  今度は中身のほうなのですが、6頁の(4)で労働条件等の整備充実に関する支援の (2)で、従前から法定労働条件などに関する相談の場の活用促進というのは、前の方針で も同じようなものがあったと思うのです。私どもが労働相談などをやっている実感から すると、むしろ労働者の権利教育というものが不足していると思っています。労働組合 の課題でもあるのですが、最低でもこういう権利はあるのだということも周知するよう な取組みもメニューの中の1つに是非取り入れていただきたいと思います。 ○半田キャリア形成支援室長  1点目、2点目とも承りました。そのように努めます。 ○清家部会長  本日いろいろなご意見をいただきましたので、事務局には大変ご苦労さまですけれど も、それらを踏まえてこの文章を改訂していただき、また次回以降議論をすることにい たします。最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。 ○ 半田キャリア形成支援室長  本日は、非常に難しいご意見もいただきましたので、にわかにどうしていいのかよく 見えない部分がありますが、いずれにしても一生懸命考えて案を策定したいと思います。  本日の冒頭にも申し上げましたけれども、次回は12月22日の10時から12時、場所 は今回と同じ専用第21会議室で行います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○ 清家部会長  いま半田室長も言われたように、なかなか難しい宿題を与えられたかと思います。言 葉の使い方の問題というのは、多くの場合は内容の問題を含んでおりますので、言葉の 使い方を工夫していただくということで、内容も一層正確なものになるかと思いますか ら、是非事務局には、よろしくお願いいたします。  本日はこれで終了といたしますが、議事録につきましては、部会長である私と、私の 指名する委員2人に署名していただくことになっております。本日の署名委員は、谷口 委員と岩松委員にお願いいたします。本日は、どうもありがとうございました。 以上 39