05/11/10 第22回社会保障審議会医療保険部会議事録                      平成17年11月10日(木)15:05〜17:11                      霞が関東京會舘 シルバースタールーム           社会保障審議会医療保険部会(第22回)議事録  星野部会長  大変お待たせしました。これより第22回医療保険部会を開催いたします。委員の皆様 には、本日は御多忙の折お集まりいただき、御礼申し上げます。  開会の前に、委員の異動がございましたので、御紹介させていただきます。北郷委員 が退任され、多田委員、国民健康保険中央会理事長が新たに就任されています。  引き続き本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、磯部委員、岩村 委員、岩本委員、大内委員、齊藤委員、清家委員、西村委員より御欠席の連絡をいただ いております。  続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りいたします。齊藤委員 のかわりの松井参考人、日本経済団体連合会国民生活本部長の御出席につき、御承認い ただければと思いますが、いかがでございましょうか。 〔「異議なし」の声あり〕  星野部会長  ありがとうございます。  それでは本題に移りたいと存じます。前回、当部会においては、先月19日に厚生労働 省から公表された医療制度構造改革試案についての議論を行ったところでありますが、 本日は事務局の方から前回の補足説明を行っていただくとともに、委員の方々から前回 出されました御意見等をもとに事務局の方でまとめました資料を参考に、さらに試案に ついて御議論いただきたいと思います。  また、平成18年度の診療報酬改定に向けて、11月中に当部会としての基本方針を取り まとめたいと思いますので、本日は事務局の方で作成されました基本方針の素案につい て御議論いただくとともに、あわせて、薬剤に係る給付の見直し等についても御議論い ただきたいと思います。  それでは、まず事務局より試案に関して、前回、委員から求めのあった資料を含めて 補足説明をお願いいたします。  榮畑課長  それでは、私の方から試案の冊子の補足的な説明をさせていただこうと思っておりま す。特に前回、保険者の再編・統合、高齢者医療制度につきましては、時間の関係上か なり簡潔に説明させていただきましたので、参考資料を中心に補足的に説明させていた だきます。  参考資料の97ページをごらんいただければと思います。保険者の再編・統合のところ で……  星野部会長  ちょっと待ってください。資料が十分配付されていないようです。私ももらっていま せん。早く皆さんにお配りしてください。  榮畑課長  済みません。事務局の不手際でまことに申しわけございません。  試案の97ページ、国保の保険財政共同安定化事業、これ以降について簡潔に御説明さ せていただきます。  市町村国保については、かねてから安定的な財政運営を図るということで、1件当た り70万以上の高額医療費については共同事業ということで、リスクの分散・軽減、市町 村国保の安定的な財政運営を図らせていただいているところでございます。この70万と いうのを基準を引き下げることによりまして、市町村国保について財政の安定化を図ら せていただきたいということで、これからの議論でございますが、例えば1件30万以上 の医療費に係る給付費すべてについて、市町村国保からの納付金を財源として、都道府 県単位で費用負担を調整することを通じまして、国保の都道府県単位化という方向に進 めていけないかと思っているところでございます。  同様に、保険者の再編・統合の一貫として、政府管掌健康保険についても同様に都道 府県単位化を目指すということで、逆に、国一本でやっていたものを、社会保険庁改革 の中で公法人化するということを前提としまして、かつ、公法人化の中でも、99ページ の下の図でございますが、県単位で財政運営を行おうということで、県別の医療費に着 目しまして、都道府県別に保険料率を設定できないか。こういうことによりまして都道 府県単位化ができないかと思っているところでございます。  100ページでございますが、古いデータで恐縮ですけれども、平成13年度の医療給付 費等に基づいて機械的に試算したものでございます。全国計欄の一番上をごらんいただ きますと、保険料率80というところでございます。これを前提としまして県別でやって みますと、一番高い北海道は87になり、一番低い長野は75。いずれもグリーンで囲って ございますが、こういうふうになるというもので、これはあくまでも機械的試算でござ いますけれども、都道府県別の医療費を基準として、年齢構成とか所得の違いを調整し た上で、老人保健拠出金等に要する保険料率を全国一律に加えて調整させていただけば こうなるという試算がございます。  101ページでございます。もう一つ、健康保険組合につきましては、小規模、財政窮 迫のものがございます。8割が県内単位で設立されておりますが、これについて、小規 模な財政窮迫なものについて再編・統合を進めていくための受け皿として、地域別の健 康保険組合を設立して、そちらの方向に持っていきたいということで、市町村国保、政 管健保、健康保険組合、いずれについても都道府県単位化という手法でいきたいと思っ ているところでございます。  高齢者医療制度につきましては、参考資料の110ページから後期高齢者医療制度の仕 組みを書かせていただいております。費用負担について、公費、高齢者保険料、後期高 齢者医療支援金を柱としますけれども、運営主体として市町村にお願いするとともに、 それを市町村、都道府県が支え合うという形を考えているところでございます。費用負 担につきましては真ん中の欄に書かせていただいているような割合で、私どもの試案と して提示させていただいているところでございます。  ただ、その中で市町村の役割について、むしろ国、都道府県、市町村、重層的に支え 合うことができないかということを111ページに書かせていただいておりますが、保険 料徴収リスクにつきましては年金からの特別徴収なり、低所得者に対する支援、保険基 盤安定制度という形で支援をする。もしくは、給付増につきまいては、都道府県なり、 国なりの高額医療費の再保険、再々保険事業、また、あわせて保険料徴収なり給付増の 予期せざる事態が生じたときに対応するための財政安定化支援事業、基金をつくってそ こから貸付・交付を行うというふうな事業を通じて、市町村の財政リスクの分散・軽減 を図れないか。こういうことを提案させていただいているところでございます。  その辺につきましては前回舌足らずでございましたので、補足説明させていただきま した。それとともに、前回の御指摘を踏まえた資料、資料1でございますが、前回幾つ かの宿題をちょうだいしております。その中には時間のかかるものもございますが、そ れ以外のものについてきょう準備させていただいたものを説明させていただきます。  資料1の1ページをごらんいただきますと、試案における都道府県という言葉の趣 旨、行政主体なのか地理的区域なのか、そこをはっきり示せという御指摘がございまし た。大きく4点書かれているところがございます。一つは、医療費適正化計画の中で、 策定、実施、検証実施、実績評価、それらについて都道府県という記述がございます。 これについては行政主体、都道府県庁というふうに思っているところでございます。そ れにつきまして、どういう整理で行政主体と考えているのかということにつきまして は、別紙1がございます。後で御説明いたします。  それから、2つ目の点は、国民健康保険の都道府県単位での保険運営の推進というこ とで、これは行政主体ではなくて地理的区域という整理をさせていただいているところ でございます。  それから、3番目の政府管掌健康保険の都道府県単位の財政運営というのがございま すが、これにつきましても地理的区域という言葉で使わせていただいているところでご ざいます。  あと、後期高齢者医療保険制度の保険運営の安定化措置、これにつきましては都道府 県庁と考えているところでございます。  行政主体として考えている理由を2、3ページにつけてございます。まず、医療費適 正化計画について、都道府県に実施をお願いしたいという理由でございます。医療費適 正化計画そのものについては、医療の特性、地域での取り組み等を考慮しまして、生活 習慣病、平均在院日数等、医療費を現実に押し上げているような要素に着目して政策目 標を設定して、それに向けて諸政策を進めることにより、その結果として医療費の適正 化を推進しようとしているものでございます。  このために私どもとしましては、都道府県に積極的な役割を担っていただきたいと思 っているところでございますが、その理由としまして、健康増進計画を策定して、住民 の健康増進の取り組みを既にやっていただいているとか、医療機関の開設許可とか、医 療計画策定等、地域の医療提供整備に関する取り組みをやっていただいている、また、 介護保険事業支援計画等々で介護基盤整備に関する取り組みをやっていただいていると いうようなことから、医療費に大変かかわりの大きな点をやっていただいていることか ら、都道府県にお願いしたいと思っているところでございます。  また、あわせまして、具体的に計画を策定して取り組みを進めていただく中で、生活 習慣病の重症化防止等による住民の方々の健康増進につながる、医療機能の分化・連携 によって治療期間の短縮、在宅療養、在宅看取りの推進であるとか、長期入院病床の転 換による療養環境の改善などが実現されていくものであって、医療費適正化計画を進め ていく中で、住民福祉向上の観点からも意義あるものと思っております。  なお、生活習慣病とか平均在院日数等の政策目標に共通する要素が医療費適正化に資 することでございますから、医療費適正化計画と称しておりますけれども、実際の取り 組み内容そのものは、まさに住民の方々の福祉の増進ということでございます。さらに 言いますと、医療費の負担増というような、住民の保険料負担とか、地方行政、地方財 政にも大きな影響を与えているところでございますが、住民の生活の質を確保・向上さ せつつ医療費の抑制を図ることは、住民のニーズに沿うものであるとも考えられるとこ ろでございます。  次に別紙2でございますが、後期高齢者医療制度における都道府県の役割ということ でございます。後期高齢者医療制度におきましては、都道府県には次のような役割をお 願いしたいと試案で考えてございます。保険基盤安定制度に対する支援、高額医療費再 保険事業の運営、財政安定化支援事業の実施、基金の設置・運営、保険運営に対する指 導というのをお願いしたいと思っております。  これらにつきましてお願いしている理由としまして、地方自治法上、市町村を包括す る広域の地方公共団体として都道府県が位置づけられていて、広域にわたる事務を処理 することとされているというところで、いわば都道府県が広域の地方公共団体として市 町村とともに、国も当然加わるわけでございますけれども、市町村とともに後期高齢者 医療制度を支えていっていただきたいということでございます。  また、後期高齢者の8割が市町村国保に現在も加入しておられますけど、現行の市町 村国保においても保険基盤安定制度に対する支援、国保の広域化等支援事業、保険運営 に対する指導等を行っていただいているというのも理由でございます。  なお、3番目ですけれども、同様に市町村による地域保険である介護保険について も、財政安定化基金事業の運営とか、市町村に対する指導等を県にお願いするところで ありまして、こういうところを総合的に勘案して、先ほどの役割を担っていただければ と思っているところでございます。  その次、4ページでございます。違う宿題として、老人医療費の特性を説明してくれ という宿題をいただいております。その下の図に尽きるわけでございますけれども、老 人1人当たり診療費自体は若人の4.7倍かかっています。入院では6.9倍、外来では4.1 倍でございます。ただ、その要因に着目しますと、3要素の比較として三角形を2つ書 かせていただいておりますが、高い要因に着目いたしますと、受診率が高い、すなわち 医療機関にかかる頻度が、外来で2.7倍、入院で6.0倍高いということになっているとこ ろでございます。  ただ、レセプト1件当たりの診療費を若人と比較しますと、外来では診療費が1日当 たり1.1倍、1件当たりでは1.3倍ということで、外来では1.5倍の開きになる。一方、 入院では若人と老人が1日当たり0.9倍、1件当たりの受診日数では1.3倍ということか ら、1件当たりの診療費が1.2倍となっているところでございまして、1件当たりの診 療費は1.2倍とか1.5倍の違いでございますけれども、受診率が大きく違うというところ から1人当たりの医療費が違ってくる。そういう特性があるというところでございま す。  3点目の宿題、5ページをお開きいただきたいと思います。レセプト電算処理システ ムの関係の宿題をちょうだいしました。効果と課題ということで、現行のレセプト電算 処理システム、医療機関の間と審査支払機関の間を磁気レセプトで提出してもいいこと になっています。平成17年10月からオンライン請求のテスト運用の開始ということにも なっているところでございます。  一方で普及状況は、病院レセプト全体の2割強にまだとどまっているところでござい ます。今後普及を進めていくための課題としましては、レセプト電算処理システム普及 率向上のための取り組みということで、レセプトの文字データ変換ソフト、共通コード に変換することが必要なのではないかということで、データ変換ソフトを開発中でござ いますし、また、審査支払機関から保険者に対しての電子的手法によるレセプト提供が 要るのかなと思っているところでございます。  そういうことを受けまして、構造改革試案では、レセプトが医療機関等から保険者に 至るまで、オンラインを含めて一貫してペーパーレスで行われる仕組みを目指したいと 思っております。また、病院につきましては、電子的手法によるレセプト提出を標準と したいと思っているところでございます。  そういうものを進めていくためのインセンティブとして何があるかというお尋ねがご ざいました。これまでの取り組みとして、6ページでございますが、電子カルテの導入 に合わせたレセプト電算処理システム導入に関する医療機関への補助・融資という取り 組みがございますし、今後の取り組み・課題としましては、各医療機関において必要と なる傷病名コード等の統一コードへの変換を支援するようなソフトの開発・配付をしよ うということで、今年度に開発し、来年度から配付予定と考えているところでございま す。  また、診療報酬におけるIT化推進のための方策、これもあわせて検討していかなけ ればならないと思っておりまして、後で2つ目の議題ということで準備させていただい ておりますけれども、18年度診療報酬改定の基本方針についてという中に、医療分野に おけるIT化を促進していくために解決すべき課題を整理しつつ、これを集中的に推進 していくための方策についても検討することとしてはどうかということで、診療報酬に おけるIT化推進のための方策検討をこれからお願いしたいと思っているところでござ います。その辺のところをインセンティブとして現段階では考えさせていただいている ところでございます。  以上、私の方から補足的な説明並びに前回の御指摘を踏まえた資料の説明を終わらせ ていただきます。  星野部会長  どうもありがとうございました。なお、本日は岡谷委員から提出いただいた日本看護 協会の意見書、河内山委員から提出いただいた全国市長会の決議書を配付させていただ いております。また、浅野委員からも全国知事会の意見書を提出していただいておりま すが、浅野委員におかれては途中で退席されるとのことですので、浅野委員に説明をお 願いいたします。  浅野委員  済みません、わがままを言いまして。お手元にお配りされていると思いますが、頭書 きが私の名前で、部会長あてですが最後の頁にクレジットは本日付の全国知事会という クレジットですから、これは全国知事会の意見としてお聞きおよびいただきたいと思い ます。  前段は省略いたしますが、以下5点にわたって意見を申し上げております。  1点目の適正化計画制度(仮称)について、これはこの場でも何度か申し上げたこと ですけれども、住民の健康を守ることが都道府県の目的であって、医療費適正化が都道 府県の一義的な目的ではない。医療費が適正化されるのは結果としてだということを改 めて書かせていただいております。そういった中で医療費適正化についての指導的な役 割は、国が診療報酬制度、医療法等に権限を有するということで、指導的な役割を果た すべきであるということで、今のままでは都道府県としては、医療費適正化ということ を正面に言った中で位置づけられた事業をやるということは、どうもしっくりこないと いうことを1番で書いております。医療費適正化計画をつくれと言われているけれど も、その指導的な立場にない都道府県として、これは実効性に乏しいのではないか。診 療報酬、都道府県ごとの特例についても疑念を抱かざるを得ないとしております。  2番目の医療計画制度の見直しについてということでありますが、これも県として権 限、財政的な裏づけ、人的資源の裏づけ、こういったものが十分ない中でどうかという ことで、この点について明らかにすべきであるとしております。  3番目の国民健康保険制度については、まずは全国レベルの一元化の必要性について 試案で明らかにされていないということを申し述べて、最後のところには去年の恨みつ らみをもう一回書かせていただいているわけですけれども、例えば国民健康保険制度に ついて、昨年度突然、都道府県負担導入ということがされたわけですが、こういったよ うな形で国から地方への単なる負担転嫁措置は絶対に行うべきではない。これは杞憂か もしれませんけれども、改めて言わせていただいております。  最後のページの高齢者医療制度、4番目でございますけれども、これも最後のところ で、新たな高齢者医療制度創設の名目のもとに、実質的に国から地方への単なる負担転 嫁となるような措置は一切行うべきではない。心配で心配でしょうがないということを 改めてここで書かせていただいております。  5番目の財政影響でございますけれども、これは前回出された試算の一つでは、都道 府県のみがかなり大幅な負担増という試算が示されておりまして、このままではとても 容認できませんということを書かせていただいております。  本日、知事会名で出させていただいております意見は以上でございます。  それから、今資料説明があった点についてちょっとだけ申し上げさせていただきたい と思いますが、前回の御指摘を踏まえた資料の1ページですけれども、用語の趣旨につ いてあります。これはわかりました。ですから、本文中も書き分けていただけないでし ょうか。例えば、「行政主体としての都道府県」とか、「地理的区域としての都道府県 」というように、本文でわかるようにしてもらわないと、こういう補足資料がない限り 相変わらず誤解の余地がありますので、本文中で配慮していただきたい。  それから、2、3ページ字数がないせいか、これはよくわかりません。なぜ医療費適 正化計画を県が実施することになるのかという意義・理由がここにあるわけですけれど も、今までお聞きしていたのと変わらないので、例えば2ページの3番の最後のところ で、在宅療養とかそういったことで、「療養環境の改善などが実現されていくものであ り」、その次に突然、「医療費適正化計画の取り組みには、直接的には住民福祉向上の 観点からの意義があると考えられる」というのはわからないので、この「医療費適正化 計画の取り組みには」ということを除けばわかるわけです。こういったものが実現され ていくので、直接的には住民福祉向上の観点からの意義があると考えられる。それが何 で医療費適正化計画の取り組みを主体的に県がやるということの意義になるんでしょう か。いま一つわかりませんので、この説明だけでは言いっぱなしでよくわからないとい うことを付加的に申し上げさせていただきます。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは、御意見、御質問等、お願いいたします。  久保田委員  今説明のあった前回の御指摘を踏まえた資料ということなんですが、中身に入る前 に、本日の医療保険部会の位置づけと、この資料と、それを含めて、今後一体どういう 段取りでやられるんですかということについて、苦言と質問をまずしておきたいと思い ます。  前回の出口のところで大きな宿題が2つあったと記憶しています。一つは、前回大変 多くの意見がわっと出たやつを少し整理して、対比なり比較ができるような形で整理し た上で、それぞれもっと深掘りをする、あるいは相互にしようじゃないかというのがあ ったと思います。きょうの資料でそれが出てないと、それに基づいて深めるということ にならないんじゃないかと思っております。  2つ目に、総枠としてのシミュレーションというのは出ているんですが、これは岩本 委員からも言われましたし、部会長が引き取っていただいて、それを患者・国民の立場 に立ち、しかも現在の医療実態をちゃんと加味した上で、負担増というのが一体どうい う形になるのか、端的な例を設けながら試算を出してもらいたいと。これも大事なこと ですねということがあったと思いますが、これが出てきておりません。どういう形にな るのか。そういう中で今回部会を開いて議論というのが大変不満です。前回の出口も私 は心配でしたので、11月に4回ということですが、一体どういう切り分けとどういう手 順でということを質問したんですが、必ずしも明確な答えがなかったと思います。とり あえず出た意見を整理した上でということだったと思うんですが、それがないままきょ うやって、本当に議論が前に進むのかなという感じがいたします。  それから、宿題として私の方でずっと言い続けたんですが、国保組合の所得実態調査 というのを出していただきたいと。それは秋口になるというような御答弁もかつてあっ たと思います。まさかないままずっとなっていくようなことはないと思うんですが、こ れはいつちゃんと出されるのかについてお答えいただきたいと思います。  いずれにせよ、厚生労働省試案というものを今後どういう形で部会として整理するの か、それをどういう区切りで議論していくのかということについてお伺いしたいと思っ ています。この構造改革試案の表紙に、「広く国民の議論に供するため」となっていま すが、これはパブリックコメントか何かにして広く意見を聞くというような格好をされ ているんでしょうか。どういう場で、どういう形で国民の広い議論になって、法案化に 向けたステップを踏んでいくのかというところがよく見えません。12月初旬には政府与 党との協議会があるということも新聞報道されておりますが、さんざん意見をぱーっと 言っただけで、結局はそこだけで決まってしまうみたいなことになってしまうんじゃな いかという強い危機感を持っておりますので、今後の持っていき方を含めてまず指摘せ ざるを得ないと思っております。  中身については後でまた。  榮畑課長  前回いただいた宿題の中で、全体的な試算はあるけども、世帯ベースの影響というの をどう考えたらいいのかという御指摘をいただいているところでございます。それにつ きましては大変申しわけないんですけど、まだ作業途上でございます。どういう概念で 整理していけばいいのか、考えていけばいいのかということは、まだ作業途上でござい まして、きょうは間に合っていないところでございます。まことに申しわけございませ ん。できるだけ早く作業をさせていただいて提示させていただくように努力させていた だきます。  それから、意見の整理の対比をというお話をいただきました。私どもの理解ミスでご ざいまして、きょうは準備しておりません。次回に向けて、各項目ごとの意見の違いを 整理した資料を出させていただきます。  それから、今後どのようにまとめていくのかということでございますけれども、ま た、どういう場で議論しているのかということでございます。まさにきょうの医療保険 部会もそのような議論の場でございますし、政府の中の各審議会、与党の中、関係団体 と、いろいろな場での御議論に供するための試案として出させていただいたところでご ざいます。さまざまな場で議論が進むことを期待するところでございます。  それから、今後の取り運び方でございますけれども、私どもとしましては、けさ政府 与党の医療改革協議会が発足したところでございまして、そこで11月下旬〜12月初旬に かけて、政府与党で取りまとめるというところが決められたところでございます。私ど もとしましては、政府与党の取りまとめを急ぐとともに、この医療保険部会に関しても それに間に合うように、できれば11月いっぱいで御意見をちょうだいしたいと思ってい るところでございます。今後はそんなことを考えているところでございます。  唐澤課長  国保組合の資料で、今作業しておりますので、できれば次回に間に合わせたいという ことで今やっております。次々回になってしまうかもしれませんが、できれば次回に間 に合わせたいということで作業をやっているということで、きちんと提出させていただ きます。  対馬委員  特に今後の進め方にかかわるところですけれども、政府与党の協議会に間に合うよう に取りまとめたいということをおっしゃいましたけれども、これはどういう性格の取り まとめになるんでしょうか。つまり、第1巡目のときに取りまとめを一回やったんです ね。平成15〜16年度にかけて。第2巡目がそれ以降また1年間かけて、ことしの夏に第 2巡目の取りまとめを行った。今回まとめを行うということになりますと第3巡目。も ちろんこれは試案が出た後ですから、これまでとは違った性格、側面があるということ は理解するわけですけれども、例えば取りまとめをするときに、今回の取りまとめに当 たっては、前回、今回、あと2回ぐらいあるんでしょうか、それを含めて意見を言った ものについて取りまとめるんでしょうか。それとも、第1巡目、第2巡目で出た意見は 継続すると。つまり、私どもとしてもいろんな意見があるわけですけれども、今回改め て仕切り直しだということになりますと、かなりの項目について意見を言いたいという ことになるわけです。前回たしか20数項目ぐらい意見を言われた方もおられますけれど も、それに対抗するぐらい意見を言わなくちゃいけないということになりますけれど も、しかしそれは第2巡目のときに相当言ったということであれば、また同じような議 論をしていても余り意味がないかもしれないということで、審議の効率化、実質的な審 議ということからすると、そこまで言うことはないだろうということになってきますの で、どういうイメージで取りまとめをするのかということと、ここで審議することがど ういった形で生かされるのか、ないし、ここで言わなければ第1巡目、第2巡目のもの が全く生きてこないのかどうか、そのあたりについてお聞かせ願いたいと思います。  榮畑課長  ただいまのお尋ねでございますけれども、取りまとめの形自体、まさにこの部会で御 議論をお願いできればと思っているところでございます。イメージというのが私ども事 務局にあるわけではございません。そういう点では、それも含めて部会で御議論お願い したいと思っております。ただ、夏の取りまとめ以降、この試案というのを出させてい ただきましたので、これは議論のたたき台として出させていただいたところでございま して、試案に対しての御意見を中心に取りまとめをいただきたいと思っているところで ございます。ただそのこと自体もこの会の中で御議論いただければと思っているところ でございます。  対馬委員  要望ですけど、事務局にイメージがない中において、ここでまとめ方まで含めて議論 いただきたいというのもなかなかという感じもいたしますので、イメージを持って、こ ういう方向でやりたいんだけれどもということをお出しいただきたいと思います。  松原委員  1巡、2巡の議論をもとに厚生労働省はこの案を出されたわけでございますので、こ の案に従ってどのような意見を持っているかということを議論していく場だと思ってお ります。そうしなければ、具体的な案をもとに検討しなければ先に進みませんので、そ このところは対馬委員とは少し意見が異なります。  また、これは別の話でございますが、私どもはこういった高齢者医療制度は国が責任 を持って行うべきであると申し上げてまいりました。この点におきましては先ほどの浅 野委員並びに市町村会の御意見と全く一緒でございまして、財政的な責任は国が持ち、 その中の政策を都道府県が県民、市民のために推進していくというのがあるべき姿だと 思っておりますので、そこのところは私どもは厚生労働省案に対して反対でございま す。  対馬委員  今回の資料1についてのみお話しさせていただきたいと思います。レセプトの電算 化、5、6ページ、電算化を進めていきたいという趣旨については全く賛成でございま す。ぜひ推進していっていただきたいし、私どもも協力を惜しむものではないと思って います。  1点だけ個別具体的に、5ページの右側、下のところに(2)に、審査支払機関から保 険者への電子的手法によるレセプト提供が課題であると書いてありますけれども、今 は、紙以外では健保組合の方に請求はできないことになっているんです。それに対して 私どもは紙でしか受けられないということになっているんです。これについては極めて 問題がありますので、厚生労働省としても助成金をお出しいただきまして、私どもは3 年間かけて20数億を使いながら、健保組合として電子的な請求を受けられるような仕組 みをつくっている最中です。4月から実際に受けられるようにしたいということで、各 健保組合ごとに、助成金ではとても足りるものではありませんから、お金を使いながら どうしようかという議論をしているわけですけれども、そろそろ各健保組合とも予算の 時期になっているということでございまして、紙でもってというのを、電子的手法も可 とするというルールの変更がなければ、これまで投下してきたものであっても、いつに なったらできるかわからないという個別的な問題もありますので、それは保健課の方に もお願いしていますけれども、そういう個別的問題も一歩一歩つぶしながら全体を進め ていくということが必要であろうかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思い ます。  河内山委員  国保の保険者である市町村としましても、審査支払業務をしております連合会の立場 でも、電子化は完全に一つの方法で統一しませんと合理化効果が上がってこないです ね。紙もある、磁気もある、磁気の中にはフロッピーみたいなものもある、MOみたい なものもあるとか、そういうのでは非常に不都合が生じる。オンラインの問題は個人情 報保護の問題もあれば、セキュリティの問題もありますけれども、そういうことに万全 を期すことは大前提としながらも、一つの方法で電子化を進めていかないと、幾つも幾 つも方法があるということであれば保険者としてもデータの有効活用もできませんし、 審査支払業務をやるところも非常に混乱すると思いますので、IT化については基本的 な大方針を示されてからスタートを切られるようにぜひ要望したいと思います。  久保田委員  それぞれ出た意見を整理されたやつを次回出されるということがございましたので、 きょうの資料1の内容だけではなくて、ちょっと御意見を申し上げたいと思うんです が、一つは、高齢者の自己負担の問題については慎重にやってもらいたいと思っていま す。お金持ちのお年寄りだから3割でいいんじゃないかみたいなことで、一般論ですっ と行きがちなんですが、きょうお出しいただいた4ページの老人医療費の特性、一番違 うのは受診率。医療機関にかかる頻度が入院の場合で6倍も違う、ここがあるわけでご ざいまして、こういう医療実態なり、患者さん、国民の側に立って、だからこそシミュ レーションが必要と何回も言っているんですが、そういうことも踏まえて判断すべきだ と思います。それと同時に、これだけ受診率が高いのは、患者側の老人だけの問題なの か。医療機関との関係の中で、また来週来なさいというようなことで言っているという ことはないのか。出来高払いということを前提にした中でそういうことはないのかとい うことも含めて、実態をはっきり把握した上で慎重にやるべきじゃないか。  同じことは食費と居住費の問題についてもそういう認識で持っています。とりわけ食 費の問題につきまして、経済財政諮問会議等々でいう一般病床なんて、これはとんでも ないことだと考えていますが、特定の療養病床の問題にしても、社会的入院を排除しよ うと。したがって介護保険等々でということで、介護保険制度改正のときにホテルコス ト等々が議論になりました。そういうことがあるだけに、このままほっておいては逆流 現象になってしまうということで、また病院が社会的入院がふえてしまうみたいなこと になっては、ここはちゃんと歯どめをかけるべきだと思うんですが、かなりきめ細かい 実態を踏まえた上で、本当にそれが適切なのかどうかという慎重な見きわめが要るんじ ゃないか。ここは強調しておきたいと思います。  2つ目に、高額医療費の問題は前回しつこく言いましたので繰り返しませんが、1% を2%に引き上げることは絶対に反対であります。1%自体を廃止すべきであるという 意見を持っています。  3つ目に、医療費の内容がわかる領収書の発行ですが、これはレセプトのIT化の問 題とあわせてですが、これは義務づけを検討するんじゃなくて、ただちに実施するとい うことを明確にすべきだと思います。普通の会社や企業でこれほどIT化に対してお金 がかかるからとか何とかということで、ここまで問題先送りみたいになっているところ はちょっと考えられないと思います。例えば一定期間、例えば3年をしっかり設定し て、その期間が終了してなおかつできない医療機関についてはペナルティを科すだと か、診療報酬を減算するだとか、何らかのことできちっとやるということの中で、トー タルの効率化だけではなくて、一定の標準化、あるいは患者や国民に対する情報の公開 だとか、そういうことがすべて前向きに転がり出していくのではないかと思いますの で、現在試案に書かれているような姿勢ではだめで、もっと明確に大きく位置づけてや り切るということが必要だと思います。患者、国民の負担をふやすということについて は、2年前、あるいはその前の改革等々の中でさんざん、3割負担にしているわけでご ざいまして、基本的には国の負担を国民や患者につけ回すということではなくて、本質 的な、医療の構造改革という名にふさわしい、過去ずっと問題になってきてなかなか手 がついていない問題についてしっかりメスを入れて、供給構造や出来高払いや、包括化 ということを含めて抜本的にやることが必要じゃないかと思います。  最後に、子育て支援策についても前回言いましたが、もう一回強調させていただきた いと思います。妊娠・出産にかかる費用については、安全性確保からも保険適用とすべ きだと考えていますが、それまでの間、出産一時金は現行30万を40万くらいに引き上げ るべきではないか。さらに出産手当の問題ですが、今回、総報酬ベースになるというふ うに言われていますが、総報酬ベースになればILOの母性保護条約の3分の2基準を クリアするのかどうか、これは御質問で、後で答えていただきたいんですが、要はそう いう国際的な区切りも明確にクリアするということで答えを出すべきじゃないかと思い ますので申し上げておきたいと思います。  最後の最後ですが、経済財政諮問会議等々で保険免責制ということについては、基本 の問題にかかわるということで、基本的にはノーという見解ですが、それだけで切って 捨てるということではなくて、本当にさまざまな角度からどうあればいいのか。一方で 高額療養費のところは自己負担責任とか言いながら、片一方では幅広く網をかけて全部 保険対象外にするみたいな、思想性のないことについては問題だと思いますし、同時 に、あくまでもシミュレーションなり家計実態ということをちゃんと踏まえて、現実の 問題としてそれぞれの負担が限度を超えたものにならないのかということも含めて、丁 寧な検討をしっかりやらなきゃならないんじゃないかと。小さな政府論や財政論を主体 に荒っぽくやってしまうことについては絶対に問題があると考えておりますので、よろ しくお願いしたいと思います。  松原委員  まず前提の話でございますが、これまで議論した試案に対する意見をまとめていただ いてからでないと議論ができないのではないかと思っておりますので、ぜひ事務局、よ ろしくお願い申し上げます。  それからIT化ですが、私どもはIT化することは国の利益にとってプラスであると 思っております。進めねばならないと思っております。ただ、私たちの中での議論でご ざいますが、オンラインについては少し慎重な意見がございます。介護保険はオンライ ンでやっておりますが、介護保険の場合と医療の場合とは、例えば医療の場合は名前か ら病名から内容まですべて入っております。こういったものをその方にとっては最高級 の秘密でございます。そういったものをオンラインで流したときに、100%これが確実に 秘密保持できるか。今の技術では今あるデータを解析できません。これは暗号化して送 っているわけでございますので、できないというのが常識でございます。ところが、オ ンラインで流しているときに、どこかにそのデータがストックされて、何年かしたとき に、コンピューターの発達というのは目覚ましいものがございます。10年前にはとても 考えられなかった速度で計算でき、大変なことができているわけでございます。1部屋 あったコンピューターがたったノート1冊ぐらいの大きさで同じ能力がある。例えば量 子コンピューターなどができたり、あるいはそれに類するものができたときには、スト ックしたデータを分析すれば、まだ生存されている方のファインなデータがほかの人の 手に渡る可能性があります。オンラインで暗号化しているからこれで大丈夫だという議 論については、私たち医師内部においても非常に不安を持っている者が多うございま す。ただ、フロッピーとかMOとかのデジタル化をして、これをうまく利用しながら、 今あるいろいろな規制の問題をすべてクリアすれば先に進める話ではないかと考えてお ります。  また、それとよく似た点において、領収書も非常に青本が難しゅうございます。それ を国民にわかるような形に十分議論していただいて、それが適切な形になれば領収書も 出しやすくなりますし、説明しやすくなると私たちは思っております。以上です。  井伊委員  今のレセプトの電子化のセキュリティの問題ですが、それは韓国でもシンガポールで もオーストラリアでも、ほかの国でもやっていることですので、日本だけできないとい うことはないと思います。  私は免責制度について一言申し上げたいんですが、介護保険を維持しながら免責制度 が導入できるかどうかというのは、大変慎重な議論が必要だと思います。前回、岩本委 員や部会長からも指摘がありましたように政策の選択肢を示すことが大切です。例えば 1カ月に500円なり1000円なりの免責を導入することによって消費税が10%になるとこ ろが8%で済む、そうした選択肢が示されたときに、もしかしたら国民の多くは免責制 度を支持するかもしれませんし、免責制度がいい悪いという議論からすれば導入しない にこしたことはないですけど、もしそういう選択肢が示されるとしたら、丁寧な財政的 な議論をもとに示されるとしたら、国民が支持するかどうかというのは私たちが決める ことではなくて、国民に問わないといけないと思います。そうした政策の選択肢を示さ ないで、頭ごなしに免責制度など、そういった新しい案に関していけないというのは少 々乱暴な議論ではないかなと思います。  松井参考人  今まで指摘があったかどうかがわからないのですけれども、保険者に健診の義務づけ をするという点について、必要性を否定するつもりはございません。しかしながら、被 保険者本人については、労働安全衛生法において健診の義務づけは既になされておりま すので、そういう部分との調整を適切にしておくことがまず重要だと思います。なぜな らば、実施結果についてのデータ管理の義務づけということまでも書いておりますが、 個人情報保護法施行後、会社が持っている健診のデータを医療保険者の方に渡せるのか どうかといういろんな議論が行われておりますので、実務レベルでどこまで適切に行え るのか、その辺も踏まえて対応していただきたいと思います。そうしませんと、これは 会社がやる健診で、これは保険者がやる健診なり、非常にむだが多くて、場合によって は受けなくていいレントゲン撮影を2度も受けるとなると、それは健康によくないわけ ですから、そういう点を十分踏まえて対応していただきたいと思います。  もう1点、被扶養者について、全国レベルの企業健保の場合ですと、なかなか実施が 難しい部分もあります。具体的に今どんなことまでやるべきかというお考えがあるなら ば、そういう点もお聞かせ願いたいと思います。これは質問です。  次に、国保のことを申し上げます。浅野委員がいらっしゃらないところで言うのもま ことに申しわけないのですけれども、97ページの保険財政共同安定化事業ということ で、1件当たり30万円以上の医療費に係る給付費すべてについて調整するということに なっています。30万円といいますと、1カ月間入院していれば対象になってしまうと思 います。そうしますと、仮に努力して適正化に向けた取り組みが進んでいる国保及びそ の県の人たちが、別の言い方をすると、この事業で最終的に調整されてしまうというの は、国として医療費適正化に取り組むという考え方と矛盾するのではないかと思いま す。国保の河内山委員から反論は聞けばいいと思うんですけれども、私の印象では、言 ってみれば、これでほとんど全国一本化してしまっているような感じもしないわけでは ないので、御意見をちょうだいできればと思います。  それからもう1点だけ申し上げます。33ページの前期高齢者医療制度の財政調整につ いてです。前期、後期ということに2つ分かれていることは非常に国民にとってもわか りにくいことでありますし、こういう財政調整まで本当に行うことがそれぞれの保険者 の努力を適正に認めていくことになるのか、問題があるということだけ指摘させていた だきたいと思います。以上です。  唐澤課長  97ページの共同安定化事業についてですが、表を見ていただくとわかりますように、 各都道府県の国保連で事業を実施するということになっておりまして、同じ県内の保険 者が共同で助け合うという事業ですので、北海道と長野県を一緒にして事業をやるとい うようなことは考えておりません。県内で余り供給体制に違いがなくて、その中ででき るだけ医療費の適正化を進めて、保険料の平準化を進めて財政運営を広域化していく。 したがってこれは、基本的には年々の医療費の変動に対応して財政リスクを軽減しよう ということでございます。現実に1800の市町村がございますので、それがばらばらに運 営しているままではなかなか広域化できないということで、ぜひこれを推進したいとい うことでございます。  大島室長  今の松井参考人の御質問で、被扶養者の件がございましたけれども、被用者保険の被 扶養者の方の健診、保健指導につきましては、地元の市町村で受けられるようにすると いう工夫が必要になろうかと思いますので、市町村での事業提供が受けられるような何 らかの運用上の取り扱いとか、あるいは仕組み上の取り扱いを考えてまいりたいと思っ ております。  山本委員  私はずっと欠席しておりましたので前回のことはよくわかりませんが、前回の御指摘 を踏まえた資料と書いてありますが、その1ページに、都道府県という用語の趣旨と書 いてあるんですが、その1番で、行政主体と書いてありますが、これをやるのは都道府 県が全部ということを言ってるんですか、ここは。全部都道府県のことですか。都道府 県という用語の趣旨と書いてあるけど。1〜4まで書いてありますね。  唐澤課長  これは試案の中に都道府県という言葉が出てくるけど、これは県庁を指しているの か、それともその県の場所のことを言っているのか、どっちかという御質問が浅野委員 からございまして、それで整理したんですが、ここに医療費適正化計画を都道府県が策 定すると書いてあるのは、都道府県という広さで計画をつくるということなのか、それ とも県が責任者になってつくるのか、どっちだという御質問がありました。これを御説 明しますと、1の医療費適正化計画の策定というのは、これは都道府県県庁が行政主体 として計画を責任持ってつくってくださいという趣旨でございます。  ちなみに、政管健保の都道府県単位の財政運営というのは、都道府県単位というのは 都道府県が政管健保の運営をやるんじゃありませんよねということですので、それは違 いますと。県ごとに会計区分をしてやりますという意味でございます。  山本委員  それでは、市長会と町村会、国保連合会の3者連合で高齢者医療に対する意見書を出 したと思います。それは既に御検討いただいたと思いますが、私の方の町村会では、き のう、おとといの2日間、会議がありましたので、そこでこの問題も出しましたが、全 員の方が反対なんですよ。賛成してくださる人は一人もおりませんでした。  そこで、じゃあ反対というのは丸々反対なのかということになりますと、そうではな いんですが、市町村ではこれ以上やれない、国保でえらいつらい目に遭っていますか ら、これ以上国保を運営すること自体が財政圧迫の手前まで来ているわけですから、医 療費が増嵩していくことによって破綻はもう間違いないという認識をみんなしているわ けです。  それで今度は高齢者医療の制度を新たに創設するという話ですから、国保からこれを 抜いていくということになりますので、保険者としては別立てのものになるから国保か ら全然別のものになる、楽になるなと思っていたんですよ。そうしたら逆じゃないです か。楽になるどころか、さらに苦労するものを押しつけられるような感じがするんです ね。  皆さん議論している実態はよく御存じでやっていると思うんですけれども、今病院の 待合室に行ってみますと、待ってる人はほとんど老人なんですよ。若い人はわずかしか いません。極端なことを言いますと、これくらいの人が待合室で待っている病院もあり ますよ。ほとんどが高齢者なんですね。老人医療というものをどうしなきゃならんとい うことについてはどなたもわかっていると私は思いますけども、それを実施していくの に、国保に加入者の8割がいるから、だから市町村がそのままやるべきじゃないかとい う単純な発想のもとでこういう制度を考えられたのでは、とてもじゃないけど破綻が必 ず来ます。それを承知の上でやらせるなら私は何とも言いません。言いかえますと、国 が破綻のないように責任を持ったことをやりますということを具体的に示して実施して いただくならば、それは私どもとしては賛成します。  恐らく今のままで高齢者医療を市町村に実施してほしいということだと思うんです ね。できないものを無理にさせるというのは私はどうしても賛成できません。私一人が 賛成しても他の人たちが反対しますので、これはぜひとも考えてほしいと思います。  しかし、そうかといって、県単位で特殊法人でもつくってやるとしても、市町村の役 割はどうしても出てくるんです。保険料の徴収の場合は余りありませんけど、窓口なん ていうのはどうしても市町村でなければできません。そういう事務について市町村が反 対することはないと思います。それは役割分担として担っていくだろうと思います。  保険料の徴収をよく言われるんですけれども、私は福岡県の介護保険広域連合の理事 長をずっとやっていますが、保険料だけは納付書を渡しますとほとんど入ってきます。 滞納をたくさんされるような方については市町村にお願いして徴収してくださいという ことはお願いしておりますけれども、大半の人は広域連合が出す納付書で納めていただ いております。もし高齢者医療が保険料を徴収することになった場合、市町村の協力が 絶対必要だということにはならないと思います。ただ、いろんな場合に虫食いというの は出てきますから、そういったものの処理をしてくださいとか、連絡をこういうふうに してくださいというようなことについての末端の事務については、それは市町村の役割 として分担していくべきだと思います。  ただそういうことだけを分担するのであればいいんですけど、この際国民健康保険が あるじゃないか、国民健康保険の事業主体は市町村じゃないか、だから市町村が保険者 になってこのままやっていけなんて、そんな単純な発想のもとで、しかも後期高齢者75 歳以上の人たちの医療を市町村に責任を持たせるというようなやり方をすること自体 は、保険制度を担わせるということは無理な話だと思いますから、高齢者というのはど んどんふえていくんですから、減ることはないんですよ。ひとつそこらあたりを考えて いただいて、私ども市長会、町村会、国保連合会が3者で出しているものについては十 分尊重してほしいと思います。  ただ、さっきの話を聞いておりますと、党の部会で協議をして方針を決めていくんだ というようなお話のようですけど、党の方に出されるのは結構ですけれども、我々3者 が反対をしているということだけは一番先に書いておいてくださいよ。どうせ私どもの 意見を聞く機会をつくるだろうと思いますから、もしそういうことを書かないで出され ておったとするならば、私どもは皆さんたちに信頼を失うということになります。  だから、強行することだけはやめて、うまく皆さんの納得の上、合意されたものをつ くり上げて提出するようにしてください。多数決でいくんだなんていうことをやるのだ けはやめてください。多数決をやらないからといって、文書だけ勝手に書いてやること もやめてください。お願いしておきます。  それから、さっきの電子化の問題ですけれども、私どもも電子化をやれ、やれと言わ れているんですよ。市町村の事務処理も全部電子化でやれと言われているんですが、な かなか進まないですね、うまくいきません。私どもは光ファイバーを一番先に引いたん ですよ。光ファイバーでITの関係の処理はやっていますから、それは順調にいってい ると思うんですけれども、我々町村がそういうものを引いて事務を処理していくという 裏側には、住民が全部その中に参加しなければ意味がないんです。何のために光ファイ バーを引いたのかさっぱりわかりません。情報が発信されたり受けたりすることが十分 できなければ何もならないわけです。ただ我々の事務を処理することをそれでやればい いというものではないと思います。我々の事務というのは住民のためにやっているわけ ですから、住民の参加がないとなかなか難しい。  それはなぜ参加しないかというと、費用がかかるからなんですよ。しかも一時的な費 用と、ずっと光ファイバーを使うとそれだけの負担をしなければなりません。ですから どうしても住民の皆さんが光ファイバーに対しては敬遠感があるということなんです ね。病院のこともわからないではないんですけど、完全に電子化してしまえばそれはい いかもしれませんけれども、余り先のことまでを今回出していって、また2年に1回改 正するんだというやり方をしたのではうまくいかないので、やれというならばやれるよ うな環境をちゃんとつくってやることが必要じゃないでしょうか。それは書かれていな いと思いますから、そこらあたりをひとつ御検討いただければと思います。以上です。  星野部会長  ありがとうございました。次にも議題がありますので、この議論はこのくらいにおさ めたいと思います。先ほど対馬委員から言われましたように、整理はひとつよろしくお 願いします。整理のときに、この前は私の方が舌足らずだったかもしれませんが、あの 日の会議の議論と試案との対比みたいなことを言ったのが、事務局でちょっと誤解され たのかもしれないですけど、対馬さんが言われたように、今までまとめたものがあるで しょ。前回は時間がない中で皆さんの御意見だけですから、試案とそれを対比すると、 多分口の端からこぼれ落ちたというものもあると思うので、最後のやつですよ、2回目 のやつの意見取りまとめというのがあったでしょ。あれと試案とどう違うのかという。 この前の御発言は非常に貴重ですから、貴重な御意見と、それと前の取りまとめとどう 対応するかというのを、大変だろうけどまとめてください。  それともう一つ、久保田さんから、これは皆さんにお諮りするんですけど、試案に対 する対比はできるんですけど、場外からもいろんな意見が出てるでしょ。気になるの が。だから諮問委員会でどうだこうだという、久保田さんが心配されていたように。そ ういうのに対して先ほど久保田さんは断固反対だという意見を言われたわけですけど、 そういうのを整理したものか、それとも試案だけに限るかというところは、ちょっと思 案どころなんですけどね。どうします、久保田さん。  久保田委員  この本の中に参考という形でちゃんと入っているわけですから、この冊子の中につい てちゃんと意見を言うということでいいんじゃないでしょうか。  星野部会長  それじゃそうしましょう。それはよろしいですな。そうしましょう。そういうまとめ で、次回はそれをぎゃんぎゃん議論しますので。それによって、課長はさっき困っちゃ ったよね。これから運びどうするんだといっても、あなたは部会長じゃないんだから運 びを聞かれたって。対馬さんはそこで矛を引いてくださったんですけど、それを聞いて から我々は決めるから。この部会としてどうするかというのは。一本化するなら一本化 してもいいし、一本化できないものを一本化しろといったって、今の山本さんの話じゃ ないですけど、そういう問題が起こるわけだから。それだったら、いろんな意見の違い が際立つようなまとめ方もあり得るわけですよね。そういうまとめ方も含めて、皆さん とまた議論すると。それでいいのかな、課長。そういうことをあなたは言いたかったん でしょ。  ということで、次回はちょっと勝負どころだよ、この部会として。だって日にち切ら れてるんでしょ。12月の初めの方に。我々としてはこの段階ではここまでしか議論でき ませんということになっちゃうかもしれないからね。資料をしっかりやっていただけま せんかね。  きょうはもう一つの方が割合大事なので、事務的な意味でも大事なんだと思うんで す。診療報酬改定の基本方針というので、この部会に降ってきたもう一つの仕事がある ものですから、これをこなさないと事務方は本分を尽くしたことにならないものですか ら、きょうは事務方はこっちに頭が行ってたんじゃないかと思うんですね。そこで今か ら基本方針の方をやらせていただきたいと思います。  続きまして、本日のもう一つの議題である、平成18年度診療報酬改定の基本方針の素 案等について、事務局より説明をお願いいたします。時間が40分くらいしか残っていな いので要領よくお願いいたします。  麦谷課長  医療課長でございます。12分程度で説明したいと思っております。お手元の資料2− 1と資料2−2、資料3、この3点を私が説明いたしますが、このうち資料2−2は参 考資料で、一度この医療保険部会でも説明しておりますので、きょう私が説明する該当 箇所については資料2−1にページ数が書いてございますので、それを後から参照して いただくことにお許しをいただきまして、主に資料2−1と資料3を説明したいと思い ます。  資料2−1でございますが、平成18年度診療報酬改定の基本方針について、社会保障 審議会医療部会とこの医療保険部会、両部会で議論して、それを中医協に示すという大 方針になっておりますので、そのことをここで御議論いただくための事務局からの論点 整理メモというふうに御理解いただきたいと思います。  今からごらんいただくのは論点が7つございます。3つが総論で4つが各論です。そ れぞれどのような構成になっているかと申しますと、考えられる視点というのが書いて ございますので、総論の場合はその視点について御議論いただきたいと思います。各論 の場合は、考えられる基本的視点、具体的な視点と書いてございますので、それを御議 論いただいて基本方針として中医協にお示しいただければと思っております。  それでは御説明申し上げます。1ページ、総論、論点(1)、今後の基本的な医療政策 の方向性をどのように設定するかということで、考えられる視点として私どもで書きま したのは、医療を受ける主体である患者本人が積極的かつ主体的に参加し、必要な情報 に基づく適切な選択を行うなど、患者本位の医療が提供される仕組みを構築していくこ と。  2つ目、生活習慣病予防に積極的に取り組み、仮に入院・加療が必要となった場合に あっても、早目に家に帰る、生活の質を高めながら、自分の家、みずからの生活の場に おいて必要な医療を受けることができる体制を構築する。  3つ目、高齢者が増えますので、人口構成等の構造変化に柔軟に対応するとともに、 経済財政とも均衡がとれ、国民の安心や制度の持続可能性を確保するといった観点から 見直しを行い、過大・不必要な伸びを具体的に厳しく抑制することを通じて、将来にわ たって現在の国民皆保険制度を堅持していく。  このような総論があろうかと思います。  2ページ、論点(2)でございます。平成18年度診療報酬改定の基本方針については、 どのような視点があるかということで整理いたしました。  1番目、患者から見てわかりやすく、生活の質を高める医療を実現する。  2つ目、質の高い医療を効率的に提供するために医療機能の分化・連携を推進する。  3つ目、我が国の医療の中で今後重点的に対応していくべきと思われる領域の評価の あり方について検討する。  最後でございますが、医療費の配分の中で効率化余地があると思われる領域の評価の あり方について検討する。  このような大きな視点があろうかと思います。  3ページ、論点(3)でございます。総論の最後でございますが、基本的な医療政策の 方向性と具体的な診療報酬点数との関係についてどのように整理するかということでご ざいますが、具体的な診療報酬点数の設定に当たっては、基本的な医療政策の方向性を 明確にしないまま診療報酬施策によって医療機関の診療行為や患者の受療行動を誘導し ようとするのではなく、基本的な医療政策の方向性に沿って個別の診療報酬点数を設定 していく中で対応していくことを基本とするべきではないか。簡単に申しますと、診療 報酬点数で制度を引っ張るのではなくて、基本的な制度があって、その制度が動くよう に補完するために診療報酬点数をつくるという考えでございます。  一方、基本的な医療政策の方向性に必ずしも沿ったものではない医療については、単 に診療報酬点数上の評価の適正化を行うだけでなく、必要かつ適切な医療は基本的に保 険診療により確保するという国民皆保険制度の理念を基本に据えつつ、特に患者の選択 に係るようなものについては保険診療と保険外診療との併用を認める制度の活用によ り、応分の負担をしていただくことも含めて検討してはどうかということで、治療が完 了するまで医療保険で賄うことは基本的な考え方でございますが、そのような中で患者 の選択に係るものがあれば、それは保険外でもいいんじゃないかということを御検討い ただきたいということでございます。  各論でございます。4ページ、論点(4)。先ほど総論でも申し上げましたが、患者か ら見てわかりやすく、患者の生活の質を高める医療の実現でございますが、基本的視点 としまして、患者本位の医療を実現するために、患者さんから見てわかりやすい医療と していくことが大前提でございます。  医療に関する積極的な情報提供を推進していく。それとともに生活の質を高める医療 を提供していくことが必要です。  具体的にどうかということでございますが、診療報酬体系の見直しに当たっては、そ もそも診療報酬体系自体を患者にとってわかりやすい体系とする視点に立って見直しを 推進する。とりわけ、診療報酬上評価されている医療のうちには、提供されていること を患者自身が明確にわからないまま費用だけを払っているものもあるという指摘がござ いますので、現行の診療報酬の名称等の位置づけも含め、点検を行っていくこととして はどうか。具体的には、指導管理料ですとか、いろんな検査、こういったものが患者さ んにわからない。よくわからないけどお金は払っているというような状況がままござい ますので、それを整理してはどうかということでございます。  5ページ、患者への情報提供の推進の観点から、保険医療機関を受診した場合に医療 費の内容のわかる領収書の発行を受けることができるよう、体系を患者にとってわかり やすいものとする取り組みとあわせ、保険医療機関側に領収書の発行を義務づけること も含めて、これを強力に推進するための方策について検討することとしてはどうか。こ れは先ほどの御議論でも既にお話があった事項でございます。  患者の生活の質を高める医療を提供する観点からは、不適切な食生活や運動不足、あ るいは喫煙等の生活習慣に起因した生活習慣病等の重症化予防を推進するための方策に ついて検討してはどうかということでございます。  6ページ、論点(5)でございますが、質の高い医療を効率的に提供するため、機能の 分化・連携を推進するという観点で、基本的視点は、このようなことを実現するために は、急性期から回復期、慢性期を経て、在宅療養への切れ目のない医療の流れをつく り、患者が早く自宅に戻れるようにすることで生活の質を高め、十分な医療を受けつ つ、在院日数を含めて、発症から治癒まで、治療期間が短くなる仕組みをつくることが 必要ではないか。  具体的な視点としましては、地域における医療連携体制に係る評価のあり方を検討し てはどうかということでございます。  7ページ、基本的視点(2)として、高齢者ができるだけ住みなれた家庭や地域で療養 しながら生活を送れるよう、また、身近な人に囲まれて在宅での最期を迎えることも選 択できるよう支援していく体制を構築することが必要ではないか。  具体的には、入院から在宅への円滑な以降を図りつつ、介護保険との適切な役割分担 のもと、24時間診療ができる在宅医療や、終末期医療への対応に係る評価のあり方につ いて検討してはどうかということでございます。  基本的視点(3)でございますが、我が国の医療については、諸外国に比べ平均在院日 数が長いという御指摘がございますし、実際長いわけでございますが、医療資源を集中 的に投入することにより、十分な医療を確保しつつ平均在院日数の短縮を図っていくこ とが必要ではないか。  具体的な視点としましては、平均在院日数の短縮促進に資するような入院医療の評価 のあり方や、現在行っております急性期医療におけるDPCの支払い対象病院の拡大等 について検討してはどうかということでございます。  8ページ、考えられる基本的視点(4)でございます。病院・診療所の機能の分化・連 携を推進することが必要ではないかということで、具体的視点としましては、病院と診 療所の初再診料など、外来医療に対する評価のあり方について検討することとしてはど うかということでございます。  9ページ、論点(6)でございます。我が国の医療の中で今後重点的に対応していくべ きと思われる領域の評価のあり方について検討する視点でございますが、基本的視点と して、今後重点的に対応していくべきと思われる領域については、経済・財政とも均衡 がとれ、国民の安心や制度の持続可能性を確保するといった観点も踏まえつつ、その評 価のあり方について検討していくことが必要ではないか。  具体的には、現在不足が叫ばれております産科や小児科、救急医療等については、診 療科・部門による医師の偏在により、地域において必要な医療が確保されていないとの 指摘があることも踏まえ、これらの領域に対する診療報酬上の適切な評価について検討 してはどうか。  もう一つ、先ほどから御議論になっております、医療分野においてIT化が遅れてい ると言われます。IT化を推進していくことは被保険者、医療機関、保険者、審査支払 機関等のそれぞれにとってメリットのあることでありますので、今後解決すべき課題は たくさんございますが、これを整理しつつ集中的に推進していくための方策についても 検討することとしてはどうかということでございます。  また、10ページ、新しい医療技術については、有効性、安全性を十分に確認した上で 適切に保険導入を図っていくことが必要でございますので、どのように手を挙げて、ど のように申請して、どこでどんなふうに保険に入るのか不透明だと言われていますの で、保険導入手続の透明化・明確化の視点に十分配慮していくこととしてはどうかとい うことでございます。  11ページ、最後の論点(7)でございます。医療費の配分の中で、効率化の余地がある と思われる領域の評価のあり方について検討する視点についてどのように考えるかとい うことで、基本的視点は、経済・財政とも均衡がとれ、国民の安心や制度の持続可能性 を確保するといった観点を踏まえつつ、今後重点的に対応していくべきと思われる領域 の適切な評価を行っていくためには、医療費の配分の中で効率化の余地があると思われ る領域について、その適正化を図る方向で評価のあり方について検討していくことが必 要ではないか。  具体的には、患者の状態像に応じた慢性期入院医療の評価のあり方、入院時の食事に 係る評価のあり方、外来医療における不適切な頻回受診抑制のための評価のあり方、コ ンタクトレンズ診療等における不適切な検査の適正化のための評価のあり方、かかりつ け歯科医・かかりつけ薬局の本来の趣旨に即した適正な評価のあり方等について検討す ることとしてはどうかということでございます。  12ページ、良質かつ廉価な後発医薬品、ジェネリック医薬品の使用を促進すること は、医療保険制度の持続可能性の維持に資するものであることから、後発医薬品の使用 促進のための環境整備の方策について検討することとしてはどうか。  最後に、医薬品、医療材料医、検査等のもの代につきまして、市場実勢価格等を踏ま えた適正な評価を進めることとしてはどうか。  以上の論点が基本方針について私どもから提案したいメモでございます。  もう一つ、資料3、これはそのこととは直接関係ありませんが、薬剤に係る給付の見 直し。中医協でも御議論していただいておりますが、給付に係ることでございますの で、ここで資料とともに説明申し上げます。  1ページ、処方せん様式の変更等による後発品の使用促進ということで、なかなか後 発医薬品が使われないということで、先発医薬品の銘柄品を記載した処方せんを交付し た医師が、その後発医薬品に変更して差し支えない旨の意思表示を行いやすくするため の方策として、例えば処方せんの様式を変更し、「後発医薬品への変更可」・「後発医 薬品への変更不可」のチェック欄を設ければ、後発医薬品への変更のインセンティブを 与えるのではないかということが言われています。参考までに各国の後発医薬品のシェ アが書いてありまして、日本は非常に低くなっております。  2ページでございますが、これは後発品の実勢価格の状況等を勘案した先発品の薬価 算定ルールの導入等による先発品に対する保険給付のあり方で、3つ案がございます。  一番左が、先発品も後発品も含めて市場実勢価格に基づき決定してはどうかというこ とでございます。このようにしますと先発品も後発品も一緒にやりますので、当然先発 品の値段は下がります。  真ん中は、後発品が薬価収載された場合に、先発品薬価の引き下げ幅、今は4〜6で すが、もっと引き下げるという案でございます。  それから、財務省から提案されている案を参考までにつけてございますが、どのよう な薬剤も、後発品があるものについては、保険は後発品の値段までしか払わずに、残り は患者負担とするという案でございます。  いずれにしても、後発品の使用が促進されて、患者負担が減るということが言われて おります。  3番目、画期的新薬の適切な評価ということで、値段をつけるときにはいろんな加算 が認められておりますが、その補正加算の加算率、要件の見直し等について考えており ますので、現行の補正加算をそこに書いてありますが、それらを見直してはどうかとい うことが薬価部会で議論されているということでございます。  最後のページですが、簡単に言いますと、医療上の必要性の程度を踏まえ、個々の医 薬品ごとに保険給付のあり方について検討ということでございますが、今まで薬事法に 基づく再審査・再評価の結果、有用性を示す根拠がないとされた医療用医薬品を薬価基 準から削除しております。ワクチンなどの予防薬のほか、いわゆる生活改善薬について は、医療用医薬品であっても保険給付の対象外にしております。  こういった給付のあり方を少し考えてはどうかということで、参考までに財務省から 言われていることは、非処方せん薬といって、一般用と医療用の境界にあるようなも の、例えばうがい薬ですとか、ハップ剤ですとか、そういったものは非処方せん薬とし て位置づけられておりますので、そういったものを保険給付の対象外としてはどうかと いうことが言われておりますが、これは品目も多いですし、黄色の線引きがなかなかは っきりできませんので、すぐにはできませんが、一つの提案ではあろうかと思ってそこ に参考までに書いてございます。以上です。  星野部会長  どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、はい、どうぞ。  松原委員  まず薬剤に係る給付の見直し等につてから意見を申し上げます。これについては現在 中医協で専門部会も開き、十分に議論しているところでございます。医療保険部会で細 かい点を議論するほどの時間も残されておりませんし、これは大項目だけを議論の対象 とすべきということで求めるべきだと思います。ただ、4番目の医療上の必要性の程度 を踏まえた医薬品の保険給付のあり方、これは唐突な出方で、財務省からの提案でござ いますが、医療上必要なものはすべて保険給付すべしという考え方と相反するものでご ざいますので、これを議題にすることは反対でございます。  また、診療報酬改定の基本方針についてでございますが、1ページの一番下の○、何 度も申し上げていることでございますが、国民皆保険制度を残せばいいというものでは ございません。必要な医療で適切な医療を十分に供給できる国民皆保険制度を堅持した いというのが私たちの主張でございますので、国民が安心してだれもがよい医療を選べ るものでなければならない。形骸化された最低レベルのものを補給するような国民皆保 険制度では意味がないということを、ここでわかるように明示していただきたく存じま す。  また、3ページでございますが、「必要かつ適切な医療は」という文章がございま す。これが今申し上げたように非常に大事なことであり、だれもがよい医療を受けられ るということの基本的な問題と考えております。  4ページの診療報酬の評価の中でございますが、現行の診療報酬の名称等の位置づけ でございますけれども、これは1号側、2号側とずっと中医協で議論されてきたものだ と思いますが、現実問題として、例えば指導管理料というものについては、医療提供体 制としては、その方について十分な医療が給付され、計画して、指導して、その他のこ とを勘案して責任を持つということに対する代償であり、管理料が適切なのだという意 見があることを御理解いただきたく思います。以上でございます。  漆畑委員  松原委員のおっしゃったことと重複するんですが、薬のことなのでぜひ発言させてい ただきたいということで、薬剤に係る給付の見直しについては、この資料の中にありま す財務省の御提案というのは絶対反対でございまして、これの考え方は、薬と治療・医 療の関係がわからない方が御提案しているとしか思えないわけでありまして、課長の説 明でも、財務省のところはすぐにはできないけれどもとおっしゃいました。すぐにはで はなくてずっとできないとぜひ言っていただきたいということで発言させていただきま す。  それから、細かいことなんですけど、領収書の発行については私どもも努力させてい ただくつもりでいるんですが、松原委員がおっしゃったように、今の診療報酬の仕組み が患者さんに説明しにくいようになっていることと、久保田委員の方から、例えばとい うことだと思うんですが、領収書の発行をしないところは減額ということもとおっしゃ いましたが、そういう形であくまでも診療報酬などでそういうことを片づけようとしな いでいただきたい。領収証発行しなければこの商品安くしますよみたいな感じにならな いように、政策誘導することは大事だと思うんですが、金目で診療報酬の是非を言うこ とはやってほしくないということで、そんなことをされなくても私どもは一生懸命努力 させていただきたいということでお話しさせていただきます。  岡谷委員  診療報酬改定の基本方針の中で、患者から見てわかりやすい報酬体系にするというこ とは賛成なんですけれども、例えば4ページなどに診療報酬の名称等の位置づけなど で、実際患者さんは提供されていることが明確にわからないようなものもあるという御 指摘もあります。現行のしくみでは療養指導等については、ただ単に指示を出すという ところに評価をつけるのではなくて、実質的にケアを提供している、そこの部分にきち んと評価がつくようにしていただきたい。実質的にケアを提供している人、あるいは提 供しているサービスの内容そのものの質に対してきちんと評価がつくような考え方をぜ ひ取り入れていっていただきたいと思います。  久保田委員  診療報酬体系の問題については大きく3つ言わせていただきたいと思います。  一つは、患者、国民がわかりやすく理解できるように、診療報酬点数表の透明性ある いは簡素化を図るべきじゃないかというのが第1点です。  2つ目には、出来高払い制のいいところはあるけれども、しかし欠点もあるというこ とから、出来高払い制から包括定額払い制への転換ということを労働組合として一貫し て言ってきました。そういう中で現在の診断群分類別包括評価、これは包括払いの一つ の変形であるというふうに理解していますが、その対象病院をぜひ拡大する、大いに進 めていくということを2つ目に申し上げたいと思います。  3つ目、来年度の診療報酬改定においては病診格差というのが随分言われてきまし た。全般的な印象で誤解を受けてはならないんですが、一言で言えば、診療所全般に手 厚い診療報酬の配分、体系になっているのではないか。それをもっと、質の高い医療機 関、あるいは本当に患者や国民のニーズが高いところにシフトしていくべきではない か。その考え方をしっかり貫くべきじゃないかと思っています。小児科、産科、救急医 療、あるいは高度先進医療や地域医療などを担う質の高い医療機関へどうやってシフト するかということを、しっかりめりはりのきいたものにしていくべきではないか。  長く課題や問題になってきたけど、なかなか手がつかないというところに対して、ど こまで本格的にメスを入れることができるのか。あるいはそれぞれが身を切りながら構 造的に改革するのか。なるほど変わってきたなと国民や患者が思いながら、自分もどう 努力をしたらいいかというところに、国民的な政策、議論ということに対してどこまで やるかということが大事ではないかと思いますので、さまざまな課題があるからといっ て途中で腰砕けということにならないようにやるべきではないかと思います。  最後に、今新聞で大きく報道されて、初診料の大病院とというような報道がされてい ます。基本方針を医療保険部会で議論しようとしているところでああいう報道がされる というのは大変おかしいなと思っているんですが、中医協なんかの日程設定等々の関係 もあったんでしょう。本来、前回の医療保険部会でこういうことが議論になっていると いうのが、順番でいくともう少しすとんと落ちるんですが、そういうことがあったと思 うんですが、詳しい内容についてはこれからの議論だと思いますので、余り一言で申し 上げませんが、端的に言って、病院の連携とか、かかりつけ医なり病院の機能分担とい うことは大変大事なことだと思います。ただし、それをやることがああいう形で、しか も個人負担になってしまうみたいなことになることが本当にふさわしいのか。病院に行 きにくくするのではなくて、地域の生活の場でのかかりつけ医に行きやすくするとか、 そこで本当に信頼感を持って先生とのキャッチボールの中で紹介されていくみたいな、 そういう信頼感を患者の身になって、納得ずくでそういう方向へ向けてやっていかない と、ただばっさりそういう形で誘導していくということについては、本当にそれでいい のかなと感じていますので、ここも丁寧な議論が必要じゃないかと思います。以上で す。  箱崎委員  全体的に見て、この診療報酬の基本方針ということでございますので、医療部会とダ ブる部分があろうかと思いますが、感想的に言えば、医療担当者の立場から言えば、医 療安全についての視点がもうちょっとあってもいいのではないかという気がいたしま す。その理由づけとしては、私どものような小さな診療所の立場から言えば、先般出さ れた医療経済実態調査の中で、人件費がどんどん減ってきていると。リストラの中でや ってきていることが、結果として医療安全に非常に心配になっている部分がございま す。そういった部分が基本的な考えの中に、今後中医協での議論で行われると思います が、医療安全という視点から今後の中医協の場の中で、診療報酬改定に向けての御議論 もぜひお願いしたいという部分をつけ加えておきたいと思います。  山本委員  財務省の話が出てきたんですね。財務省には医療課があるんですか。お尋ねします が。私も長いことこんなことやってるけど、財務省に医療係がおるとは知りませんでし たな。専門家がいるんですか。おわかりにならないですか。わかってるから書いてるん でしょうね。  麦谷課長  非常によく勉強されています。専門家というか、非常によく勉強されていることは確 かです。  山本委員  専門家はいると言ったんですか?  麦谷課長  専門家というか、医療の担当はおります。  山本委員  それはおりますよ。昔の厚生省担当の主計官がちゃんとおるんですから。あなた方が 主体でしょ。あなた方が主体のところが、そういうよその省の名前を書いて出すなんて いうのは常識が外れてるんじゃないでしょうか。書かなきゃならないように言われたん ですか。  榮畑課長  経緯を御紹介させていただきますと、試案の作成に至る過程で財務大臣から厚生労働 大臣に対してさまざまな御提案を紙の形でいただいておりまして、その中でこういう項 目もあるものでございますから、財務大臣から厚生労働大臣に対する提案としてあった ものをここで書かせていただいたという経過でございます。  山本委員  要らんことを言うようですけども、我々よく聞くんですけども、昔の厚生省は大蔵省 の言うままだと昔から言われてますね。今も同じかなと思ったから私は言ったんです。 もう少し独立性を保つことに努力したらいかがなと思いますので、一言苦言を呈してお きます。  それから、医療器械・器具の使用が医療費を非常に高めているということは御存じで すね。そのことに関しては一つも書いてないんですね。前回のときも私は申し上げたん ですが、器械・器具が高いために医療費が高騰するということはあるんですね。どうし て器械・器具の価格を下げることはできないのかと言ったんですが、適切な答弁があり ませんでした。後でこっそりは聞きましたけどね。このあたりが改革の中に抜けている ような感じもしますね。書いてありますか? たった1行じゃないですか。もっと書い てくださいよ。  それから、3ページの文章、皆さんはどういうふうにお考えか知りませんが、自由診 療をやれと言ってるんですか、ここは。私は余りよく読み切らないんですけども、そう いうふうに書いてあるのと、やるならやってもいいけれども、応分の負担は本人がしな さいと書いてありますね。昔の医療に返るじゃないですか。私が小学校のころなんてい うのは今のような医療制度じゃなかったんですよ。お金がなければ病院に行けなかった んですよ。御存じですか。私どものような農家のうちというのは、盆と正月にお医者さ んのところへ診ていただいた費用を持っていくんですよ。何を持っていくと思います か。車力に米やら野菜やらをいっぱい積んで持っていく。それが半年分の診療費なんで すよ。お金がないんです。それに返るのと同じじゃないですか、ここは。そう私は思 う。  いいよ、あなた何でもしてもらいなさい、そのかわり金はあなたが払いなさいと言っ てるのと一緒ですよね。言葉が悪いけども。何のための保険制度ですか。日本の保険制 度は世界一すぐれていると言われておりますね。ところがこういうことを書いて、こう いうことを検討していくということになりますと、日本の医療制度のいいところを全部 剥奪していくような感じがするんですね。もう少し考えてほしいと思いました。  それから、7ページのところも、今の実態はよくおわかりになっていないんじゃない でしょうか。私の知った大きい病院の院長が、おれのところでは3カ月以上は入院させ ないと。ところがその人はまだ入院の必要がある。加療がまだあると思うけれども、3 カ月たったからもう出ていってもらわなきゃならんと、忍びないと。だから連携する病 院を探していきたいと言ってるんですよ。こういうことについては極めて実態認識をし ていってるんですよ。もう少し地域ごとにうまくやれるようなことを考えないと。それ を余りやるとたらい回しみたいになってしまうんですね。効果としては薄いかもしれま せんけども、ここらあたりはもう少し高度な考え方をしていただいた上で対処していく ということが必要じゃないかと思いました。こういう文章で表現していかれるというの は何か寂しいような感じがしますね。実態から出てきた、こういうのをやる、こうする べきであるというような文章が欲しいと思いますね。そこらあたり指摘をしておきます ので、くれぐれもお願いしておきたいと思います。  それから、最初のところに、患者本位の医療というのは、どこでも使うんですね。医 療部会、医療保険部会は患者本位というのをずっと使ってきました。患者本位というの はどういうことなのかよくわからなくなりました。こんなにしょっちゅう書かれると。 患者さんがいるからお医者さんが要る、そういう人たちがいるから病院という施設が要 るということはわかり切ってることなんですね。じゃあ患者さんだけで医療というのは 実施できるのかというと、必ずしもそうじゃないでしょう。ここらあたりの書き方をも う少しわかりやすく書いた方が、そういう提唱をした方がいいんじゃないかと思いま す。患者さん本位なら患者さんの費用を低減するとか、さっきのように本人が負担しろ なんて書けないはずじゃないですか。そこらあたりが少し物寂しいような感じがします ので、お考えいただければありがたいと思います。私の意見は以上です。  対馬委員  私も中医協の委員をしておりますので、中医協と医療保険部会でどういった議論をす るかということについてですけれども、基本的には医療保険部会らしい議論をすべきだ ろうと思うんですけれども、全体的な作業の進め方等々からしますと、今回大分整理さ れていますのでおおむねはこういう方向かなと思います。ただ、幾つか気になるところ がありますので、ごく簡単に申し上げたいと思います。  一つは、松原委員が言われましたけれども、基本的な考え方については、単なる修文 上の問題であればもちろん反対するつもりは毛頭ないんですけれども、かなりこのあた りについては理念的ないし政策論とか運動論にかかわるところでもありますので、修文 は慎重にやっていただきたいと思います。  それから、個別論になります。5ページのところですが、一番下のところ、患者の生 活の質を高めるということで、これ自身は私も大賛成でありますけれども、事我々の保 険料を使うということになりますと、相当慎重な議論が必要だろうと。費用対効果とい うことを十分見定めながらやっていかなくてはいけないんじゃないか。介護保険等でも 私どもは主張して、結果的に一部保険料を使うということになったわけですけれども、 また医療保険の場合には介護保険と違った側面がありますので、全体に進めたらいいん だということだけじゃなくて、個別具体的に本当に効果があるのかどうかといった視点 でもってやるべきではないかと思います。  それから9ページのところ、IT化、これも全く賛成なんですけれども、保険料でや るということになりますと、例えば領収書について明細書つきということについても、 これは保険料を使ってやるんだということになりますと、ちょっと違うんじゃないかな と思いますので、その点は、進めていくべきことと保険料を使うかどうかというのは別 途の観点が必要だろうと思います。以上です。  松原委員  混合診療に近いような表現が出ておりますので、どうしても一言申し上げたく思いま す。あくまでも医療上必要なものは保険の中で行う。これについては前回の混合診療の ときに十二分に議論され、その中でほとんど医療上必要のないものについて考えるとい う宿題は残りましたが、原則論としては、医療上必要なものは保険診療で行うという考 え方を変えるものではございません。  また、先ほど病院と診療所の初再診料の話が出ましたけど、これは中医協で議論した ことで詳しくは申し上げませんが、誤解がございますのでもう一回だけ申しますと、平 成4年と6年に、病診連携を適切にするために初再診料の分を入院費のところに上乗せ したという事実がございますので、そこのところは御理解賜りたく思います。  問題点は、病診連携と病診の機能分化を適切に行うべしというのが、この医療保険部 会で考えるべきことではないかと思っております。また包括につきましても、特定機能 病院がある程度自由度を持って診療できるような形にするということでDPCを導入し たわけでございますので、最先端の医療をしなければならないという宿命を持っている 特定機能病院について、こういったものはある意味では適切であるということであっ て、一部包括化の中でそういったことができるようにということでございましたので、 私たちはあくまでも必要な医療は必要なように供給しなければ患者さんにとって必要な ものが供給できなくなるのではないかという考え方でございます。  また、介護保険と医療保険の分割は、あくまでも介護保険は生活の保障、医療保険は 命と健康の保障でございますので、ここのところを適切に役割分担しなければならない と思っております。役割分担という文章が一つございましたので、そこのところをつけ 加えさせていただきたく思います。以上でございます。  多田委員  新参者ですので、あるいは今までの議論とちょっと違う議論になってしまうかもしれ ませんけども、これからの医療費の増嵩を分析してみると、恐らく老人の医療費という のが押し上げ要因として働く。もう一つは、新医療技術と称するものがどんどん入って くると、これが非常に高コストで入ってくるという可能性が高いという、この2つがこ れからの保険財政にとっては非常に重荷になりそうな部分だろうと考えるわけです。  老人の方についてはいろいろな対策も今回考えられてはおりますけれども、もう少し 踏み込んだ何かが必要かなという感じはしておりますけれども、きょうはそれについて は触れません。  新医療技術の導入ですが、これがいいものだからというのでどんどん入ってくるとす ると、これは大変なコスト上昇要因にならざるを得ない。しかも、今あちこちで新技術 を開発しておりますから、それをみんな、それじゃ、それじゃといって入れていったら 保険がいくらあったって足りないということに恐らくなるだろうと思うんです。したが いまして、新医療技術が入ってくるときに、例えばその新しい技術を入れたら、従来の 技術で3年、5年と治療を続けなきゃならないというのが、これだと1日で済むという ようなことになれば、その総コストをお互いに比べてみると、それなら保険財政に増嵩 要因としてきかないじゃないかというような評価の仕方をぜひ入れて、保険財政全体が 物すごい負担を負っていかないようにしながら、新医療技術をうまく導入していただく ことをぜひ御検討いただきたいなということを申し上げたいと思います。  松井参考人  今、多田委員がおっしゃったことは大変重要な指摘だと思います。松原委員は、必要 な医療はすべて保険で給付するというお話がたびたび出てきておりますけれども、医療 保険部会としては、仮に新しい技術を入れて、それが古い技術を代替し得るものである ならば、従来の技術をそのまま保険で認めていくのかどうかということもあわせて議論 する必要があると思います。従来の技術もずっと残していくのであれば、保険財政とい うのはなかなか維持していくことができないと思います。その観点から、いわゆる混合 診療については医師会は反対だという立場を明確にされましたけれども、新しい技術を 本当に認めて、それを特定療養費という枠組みで利用できるということは、必ずしも国 民が全額負担するのではなくて、完全な自由診療よりは軽い負担でできるという点も忘 れていただきたくないと思います。以上です。  松原委員  そのために特定療養費制度があるのだと思っております。自由な金額ですべてそのま まにしますと高どまりいたしますが、そのための特定療養費でございます。そして、特 定療養費で1年なり2年なりしますと保険に導入すると。保険に導入したときにはかな り適正な金額になります。古い医療もなぜ置いておくかと申しますと、古い医療の方が 適切な方もいらっしゃいますので、それを使わなければその点数は使われませんので自 動的になくなっていくという、ある意味では適切な方法をとっているということを御理 解いただきたく思っております。そういった方法をとれば、一番新しい医療も適切な金 額になって保険に入るという、非常にすばらしい仕組みだと思っております。  松井参考人  そういうことが適切に行われるためにも、医師会としてレセプトの電子化やIT化に は積極的に取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  星野部会長  それでは時間もまいりましたので本日はこれまでとさせていただきます。各委員から 広範な御意見をいただきました。医療保険制度改革については年内に政府として成案を 得ることとされており、当部会でもこれに向けてさらに精力的に業務を行っていきたい と思います。また、平成18年度の診療報酬改定に係る基本方針についても、11月中に当 部会としての意見を取りまとめられるよう、引き続き議論を行っていきたいと思いま す。  今後の本部会の開催時期についてでございますが、既に御案内の17日に加え、25日も 開催を予定しており、さらに、状況によってはもう1回開催するということも考えてお りますので、御多忙のところ大変恐縮ですが、委員の皆様におかれましては御協力のほ どよろしくお願いいたします。  繰り返します。今月中に、既に御案内の17日に加え、25日の開催を予定しており、さ らに、状況によってはもう1回開催するということを考えておりますので、よろしくお 願い申し上げます。  時間・場所等については事務局より速やかに御連絡することとしたいと思います。よ ろしくお願い申し上げます。  本日はどうも御協力ありがとうございました。                                    (終了) (照会先) 保険局総務課企画調査係 代表 03−5253−1111 内線 3218