05/11/09 労働政策審議会職業能力開発分科会第23回議事録           第23回労働政策審議会職業能力開発分科会 日時:平成17年11月9日(水)16:00〜 場所:厚生労働省合同庁舎5号館9階 省議室 ○今野分科会長  ただいまより労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。本日の欠席者 は、黒澤委員、玄田委員、佐藤委員、中馬委員、大江委員、中村正武委員です。本日は 定足数に達しました。  まず、厚生労働省に人事異動がありましたので、ご挨拶をお願いいたします。 ○奈良海外協力課長  11月1日付けで海外協力課長を拝命いたしました奈良と申します。どうぞよろしくお 願いいたします。 ○今野分科会長  早速、議題に入ります。本日の議題は、「若年をはじめとした世代ごとの能力開発に ついて」です。いつものとおり、事務局から説明をいただいて議論をしたいと思いま す。よろしくお願いします。 ○杉浦総務課長  お手元の資料に基づいてご説明をいたします。資料の1は論点の整理、資料の2は参 考資料です。これまで、データを先に説明をいたしまして、それから論点を説明してお りましたが、時間の関係もございますので、参考資料は随時ご覧いただきながら、「論 点の整理」のほうで説明をさせていただきたいと思います。引き続きまして資料の3で デュアルシステム関係の研究会報告書の案の概要を出していますので、併せて説明をさ せていただきます。  資料の1をご覧ください。2頁は、各世代の状況に応じた職業キャリア支援の必要性 の高まりについてです。これまでの審議会の場でもいろいろご説明させていただいてお りますが、現状を含めた能力開発を取り巻く状況についての記述です。人口減少社会で すとか、あるいは高齢者の割合が非常に急速に高まっている中で、経済社会の活力を維 持していくために、意欲ある高齢者の方や、あるいは女性が仕事を続けやすい環境づく りを通じて労働力供給を増やしていくとともに、働く人一人ひとりを人材として育て、 その職業能力を高めることによって、生産性を向上させていくという取組の推進が求め られている。  特に、知識社会化が進み、設備や機械を使ってモノを生産することを中心とするもの から、知識やノウハウを提供して付加価値を生み出すということを中心とするものへと 移りつつある中で、その様々な能力を持った多様な人材を育成するということが、我が 国経済にとって非常に重要な課題となっている。しかしながら、現実にはニート・フリ ーターなどの職業能力の蓄積が困難な若者が増加をしていることや、中核的な人材に教 育訓練投資が集中する傾向が強まっていることや、自己啓発を希望しながらも、時間・ 費用・情報等の不足から、なかなかその機会を得られないという労働者がおられるこ と、それから職業生活の長期化にもかかわらず、学び直しの機会が少ないといったよう な、各世代ごとに様々な課題が深刻化している。その各世代に必要とされる職業能力の 開発・向上について、企業主導の取組、それから労働者の自発的取組、行政による支援 といったようなことを適切に組み合わせることにより、きめ細かく効果的に推進するこ とが求められているということです。  3頁は、それぞれの世代に応じた職業キャリア支援の在り方です。まず、若年者につ いてです。これまでのデータ等でお示ししておりますが、失業者あるいはフリーター、 ニートといった人たちの数だけで400万人にのぼる現状になっています。そこにあるよ うな中卒者から早期離職者まで、いろいろな態様の方々が含まれており、その就職に至 らない要因としても基礎的な学力の不足とか、人間関係の不適応、あるいは意向・資質 と進路とのミスマッチ、職業・キャリアの意識の欠如、就職機会の待機など、様々なも のがあります。  こういった事態の背景としては、厳しい雇用情勢とか、企業が求める人材の要件の高 度化などにより、正規の雇用の求人が減り、一方では、パートやアルバイトの求人が増 えていることや、あるいは学卒からの一括就職のシステムが崩れつつある中で、一旦新 規学卒市場から脱落をすると、正規雇用が困難になってしまっているといったようなこ とが挙げられます。したがって、学校から企業における雇用へと導くシステムの在り 方、とりわけ安定的な雇用への誘導やキャリアの方向付けをする教育訓練のあり方が問 われているのではないか。  他方、若年者側については、職業についての動機付けを持つ機会が不足していること や、豊かな社会の中で職業意識が希薄化しているのではないか、目的意識に欠けた進学 に伴う就学意欲の喪失、そして全体としてのコミュニケーション能力や学力の低下とい ったようなことが指摘されています。早い段階からの職業との触れ合いや、その職業意 識の啓発・キャリア教育等が重要になっている。こうした事柄の中で、カウンセリング などに基づき、基本的なところから就業への支援、訓練等、きめ細やかな対応が必要に なるのではないかということです。  4頁は、さらに若年者の問題として、単なる学校から企業への就職システムの問題に 止まらず、家庭や地域の教育機能の低下といった問題も視野に置いて考える必要がある のではないか。加えて、自営業者や家族従業者といった方々が減少をし、雇用者中心の 就業形態になっているとともに、競争社会の到来の中で成績や成果のみで人の評価が判 断されやすい、単線的な価値観が支配的となって、多様な資質を持った人材を育て涵養 する社会の抱擁力が失われているのではないか。  なお、そのフリーター、失業者、ニートといった方々について、企業が求めるところ とのミスマッチが深刻であることから、こうした状態を放置すると、不安定就労とか、 失業者として滞留するということになり、社会全体に及ぼす影響が大きくなるのではな いか。具体的には、結婚、出産、育児、子供の教育といったようなことに影響が出てく るでしょうし、将来的には社会保障制度とか、治安問題といった社会への大きな負担と いうことの可能性も否定できないのではないかということです。  現在、政府が行っている施策として、平成15年に策定された「若者自立・挑戦プラン 」、またそれに基づくアクションプランなどにより事業に取り組んでいるところです。 ただ、これまでこの審議会の場でもご指摘をいただいたように、これらの諸施策が必ず しも十分に周知・広報がなされているとは言えない面もありますので、そうした効果的 な周知・広報に努めることが重要であるということです。  5頁は、今後の若年者対策についてです。こうした対策を基本としつつ、次の点を重 点として政策を進めることが適当ではないかということです。まず1点目、学校から企 業に至る仕組みについて、新卒一括採用とか学卒即就職という形がだんだん崩れてきて おりますので、今後は複雑化した社会の中で若者が適職を選択するまでの一定の職業探 索期間を要することを前提として、それに至る多様なルートづくりや、それぞれの若者 の状況に応じて適切なルートを選択し、就労できるといった形で社会全体が支援をする ということが重要ではないかということです。  2点目ですが、とりわけ学校から就労に至るルートのうち、キャリアの目途をつけな がら、実践力を養成し、安定的な雇用に誘導するデュアルシステムを大きな柱としてい くことが重要ではないかということです。このため、現在「日本版デュアルシステム」 として実施されている短期のものを中心とした教育訓練機関主導型のデュアルシステム だけではなく、教育訓練機関における座学等と、それから企業が期間雇用の中で行う実 習とを組み合わせて、現場力の中核となる人材を育成する1、2年のデュアルシステム を本格的に実施していくことが必要ではないか。この点については、後ほどその研究会 の報告の概要をご説明いたします。  3点目は、ニート、フリーター等の学校教育のルートから外れた若い方々を、それぞ れの状況に応じて就労に導いていくためには、キャリア・コンサルティングとかカウン セリングとともに、NPOなどの若年者の目線で就労支援を行う機関の育成とか、若者 のボランティアあるいは社会参加等を受け入れる様々な活動分野をつくっていくことが 重要ではないかということです。  4点目は、そうした多様な若年者を育成し、就労へと適切に誘導するためには、家 庭、学校、地域社会、企業等がそれぞれ若年者育成のための役割を果たし、社会全体が 多様な人材を受け入れ育てる環境をつくっていくことが必要であろうということです。 以上が、若年者関係です。  6頁は壮年者の関係です。壮年者については、技術革新の進展とか成果主義・能力主 義的な人事管理の普及あるいは労働移動の活発化といったことで、職業生活の見通しが つきにくくなっているということで、転職や転社、退職といった職業生活の節目だけで はなく、企業内における職業キャリアにおいても、全くの企業任せではなく、労働者自 らの考え方を持つ必要が生じつつあるのではないかという問題意識です。そのために は、企業においてもキャリアに関する情報提供、相談・助言等を行うキャリア・コンサ ルティングとか、労働者の意向とかキャリアに配慮した配置・能力開発などの人事シス テム等の労働者の自律的なキャリア形成を支援する企業におけるシステムづくりといっ たことが、益々重要になるということです。また、その労働者の能力開発については、 企業が中長期的な方針に基づき、OJT、off−JTにより直接行うことが中心とな るでしょうけれども、今後これまでに見てきたような時間的、情報的制約などの要因を 取り除き、例えば、企業に勤務しながら社会人大学に通学できるようにすることや、社 外で勉強することを評価し、積極的に後押しするといったような、労働者自らが能力開 発を行いやすい環境整備に努めるということが必要であろうということです。  7頁は、今後企業が成長・発展をするためには、付加価値を生み出す多様な人材をど のように育成・確保するかということが重要であろう。そうした視点からすると、企業 は中長期的に労働者の能力開発を企業自ら行うことだけではなく、労働者自らが能力を 深め、幅を広げるために、自己啓発として能力開発を行うことを積極的に支援し、企業 全体が学習する企業像を考えていくことが必要ではないか。結果として、労働者の中に は一部起業したり、ヘッドハントされて、社外に流出するといったようなことがあって も、人材を大切にし成長させる企業といったところは、有能な人材を惹きつけ、成長・ 発展することになるのではないかということです。  このほか、壮年層の方々については、企業の倒産やリストラによる失業とか、技術・ 技能の陳腐化によるキャリア・ブレイク、職業経歴の中断といったようなことが生じる ことも少なくないが、そうした場合に、新たな技術・技能の蓄積に向けて、再チャレン ジすることが可能となる仕組みを社会的につくっていく必要があろうということです。  8頁は、高齢者についてです。人口減少社会を迎える中で、高齢者の能力開発は、そ の社会の活力の維持・向上とか社会的負担の軽減につながるということで、従来にも増 して重要になってきているだろう。高齢者の方々については、定年延長や継続雇用など の形で技術革新対応などの能力を補いながら、これまで蓄積した能力を活かした働き方 をする、あるいは後進の育成にあたるといったことが重要であろうと思われます。しか しながら、高齢になりますと就業に対する意識や欲求が多様であるということを反映 し、自らの意識や欲求に応じて、雇用のみだけではなく自営業、あるいは教育、文化、 環境といった分野のNPOなどの団体で活動することも考えられるわけです。そうした 従来とは異なる分野へ転進する可能性も踏まえた新たな能力開発の機会も、持つべきで はなかろうか。また高齢者になりますと、個人の能力、意欲あるいは健康の状態や住 宅、年金などの生活環境に大きな違いが出てくるわけで、こうした働き方についてもそ の違いに応じて就業時間や場所、契約形態などが選択できる、フレキシブルな仕組みを 用意する必要があるのではないか。さらに、高齢者が退職後の再就職先の選定とか、能 力開発のための教育受講などの必要な準備を行うための在職中からの短時間勤務や、あ るいは再就職準備のための休暇制度といったことを考える必要もあるのではなかろうか という問題意識です。  以上が各世代における職業キャリア支援についての現状並びに今後取り組むべき課題 として挙げさせていただいているものです。  併せて、先ほど申し上げた資料の3の「日本版デュアルシステムの今後の在り方につ いての研究会」報告書(案)の概要について、ご説明いたします。これまで9月から4 回ほど、専門の委員の方々にお集まりをいただき、研究会を開かせていただき、ほぼま とまっています。いま最終的な調整をしている段階ですので、本日はその案の概要を説 明いたします。この報告書については、次回に改めて提出させていただき、そこでまた 十分ご議論いただければと思っております。  資料3「日本版デュアルシステム」の現状についてです。現在行っているデュアルシ ステムとしては、若年失業者やフリーターといった方々に対して教育訓練機関、公共の 能力開発施設や専修学校・各種学校といったところが主体となった就職支援策として、 実施をしております。平成16年度で約3万2,000人です。最も多いものは、短期の「委 託訓練活用型」で、期間は5カ月程度です。平成16年度は約2万3,000人の規模です。 これについては、一般の委託型訓練に比べ、就職率も8ポイントほど高くはなっていま すが、他方で、ほかの類型も含め、教育訓練機関が主導となって行うということで、い くつかの課題があるのではないか。  課題の1つは、この訓練コース自体が教育訓練機関が行っている様々なコースのうち の1つに過ぎないということで、就労・就学といったことに対するもう1つ別の、第三 の選択肢としての意味を持っていないということです。課題の2つ目ですが、特に企業 がその実習に当たって、主体的に訓練生の採用やカリキュラム編成に関与することが難 しい状況です。一方、学校にとってもこのやり方ですと、企業との接点が乏しく、教育 訓練機関が主導する、こうした現状のシステムに対する認識や関心も極めて薄い状況で す。  今後どういった形で考えていったらいいかについてです。中ほどの(1)に、若年失業 者あるいはフリーター、ニートが400万人にものぼる中で、若年者のキャリア形成支援 の在り方として、雇用の目途をつけながら実践的な能力を習得できる教育訓練が重要で あろう。特に、大学などの進学率が47%ということで、「大学全入時代」も視野に入る という状況ですが、他方で、先ほど申し上げたようにフリーターやニートといった方々 が多数にのぼる現状ですので、その実践的な資質を持った若者が、その資質を開花さ せ、実践的な人材を求める企業ニーズに応える教育訓練の展開が求められている。(3) として、産業の高付加価値化が進む中での現場力の強化ということが大きな課題ですの で、その中核となる若年人材を育成する仕組みが求められています。そうした状況です ので、企業が「外部の教育訓練機関を活用した座学」と「自社の現場における実習」を 効果的に組み合わせて、オーダーメード的な人材育成を行いやすい仕組みというものが 求められているのではないかということです。  これまで私どもで一昨年作りました「日本版デュアルシステム推進方針」ですと、教 育訓練主導型と企業主導型という2本の形で、理想形としていたのですが、後ほど説明 いたしますが、企業主導型というのが、最初から企業が対象者を有期雇用するという形 で考えておりますので、そのoff−JTを実施している期間中の賃金、あるいは教育 訓練期間の授業料などのすべての経費を企業が負担しなければならないということで、 なかなか普及することが難しいのではないかという点です。  こうした点を打開しながら、中核的な人材を育成するデュアルシステムを定着させて いくことを考えると、まず訓練開始当初に、企業と訓練生の面接を行うとともに、カリ キュラムの編成全体を企業が主導するなど、企業の主導性を確保しつつ、座学による基 本的知識等の習得については、訓練希望者の主体的な取組のもとに行うというやり方が 考えられるところです。  3頁は、いま申し上げたイメージを図にしたものです。左のほうに、まず企業と訓練 生との面接があります。企業がある意味で訓練生を選べる機会をつくり、そこから訓練 に入っていくわけです。当初は、教育訓練機関において座学を中心とした訓練をやって いき、時期がきましたら、企業が訓練生と有期労働契約を結び、OJTとして賃金を得 ながら実習をする方向、そちらの重点の方向に移行する。これは上のほうに、「密接に 関連」とありますが、企業と教育訓練機関が最初の段階から十分打合わせをして、企業 ニーズにあったカリキュラムの座学をやるということで、協力していただくということ です。また左上にありますように、公的機関において技術面、ノウハウ面での支援など も行っていくということです。最後に、職業能力評価を行って、一人前の職業人として 就職をしていただければいいのではないか。訓練全体の期間としては2年、短いものと しては6カ月くらいということで考えています。  次頁ですが、これまで考えていた日本版デュアルシステムのイメージ図です。1番の 教育訓練機関主導型と、2番の企業主導型があります。1番の教育訓練主導型は、専門 学校などのような教育訓練機関で全般通してやるわけですが、その中のカリキュラムの 1つに「企業実習」が入ってくるというやり方です。2番の企業主導型は、企業が最初 から雇用をして、企業内でのOJTと、それから教育訓練機関のoff−JTを組み合 わせて、全体が有期雇用の形になるわけです。これは理念型として2つのものをイメー ジしたものです。現実には、1番の教育訓練主導型というのが、ほとんどいま実際行わ れている形です。  1頁の下のほうに戻って、いま申し上げたことと重複してしまうのですが、デュアル システムの具体的な設計です。以下の点に留意することが必要ということです。訓練目 標や期間については、目標としては企業現場における中核的労働者にとって不可欠な職 業能力の基礎的部分を習得することで、期間としては2年間を基本に、1年とか半年と いった期間も選択肢に入れて考えることが必要であろうということです。  2頁でカリキュラム編成上の留意点です。企業の主導性を確保しつつ、教育訓練機関 との連携を強化し、座学と実習の関連性を強固なものとする必要がある。それから訓練 終了時の職業能力の評価の在り方については、その訓練を通じて習得した知識技能の蓄 積を明確化することが、不可欠であるとしています。それから企業への普及方策として は、業界団体等を通じた効果的な広報が必要であろうということです。  まとめとして枠内に、企業が主体となって、「自社のニーズに応じた教育訓練機関に おける座学」と、それから「一定期間、訓練生を雇い入れての実習」を組み合わせるこ とによって、現場の中核となる職業人の基礎を育成できるようなデュアルシステムを推 進することが必要である、とあります。そうした職業人を育成するために、こうした仕 組みを就労と就学の双方の要素を併せ持つ「第三の選択肢」として位置づけ、その普及 を図ることが必要であろうということです。  なお書きですが、現行でやっている短期の委託訓練型のものについても、主に失業者 とかフリーター対策でしているわけですが、一定の就職率の実績も上がっていることか ら、キャリア・コンサルティングの効果的な実施により、訓練生の意欲をより高めるた めの見直しを行いつつも、引き続き推進していくことが妥当であろう、ということで す。  こうしたシステムを普及するための支援策の在り方についてです。前提として、企業 と訓練生のそれぞれに、コスト面での負担をバランスよく配分することへの理解が不可 欠です。公的機関による支援策についての検討課題です。まず、企業に対する支援策と しては、現在のいくつかのキャリア形成促進助成金制度を拡充し助成策を講じること や、業界団体のネットワークを活かして、企業ニーズを反映したこのシステムを普及・ 促進するための事業、あるいは平成16年度からの「デュアルシステムコーディネート事 業」による訓練カリキュラムの策定等をしていく必要があるだろうという点です。訓練 生に対する支援策としては、既存の貸付制度を周知する、あるいはキャリア・コンサル ティングの活用による訓練意欲の向上や訓練に対する情報提供などを行っていく必要が あるだろうということです。民間の訓練機関に対する支援策としては、訓練カリキュラ ムを作成をしていくにあたって、いろいろなノウハウを提供していくことなどが必要と なるであろうということです。あとは5頁以下に参考資料をそれぞれ付けていますの で、また必要に応じて説明いたしますが、冒頭の説明は以上とさせていただきます。 ○今野会長  ありがとうございました。今日の資料の説明が終わりましたので、いつものとおり自 由に議論をしたいと思います。どなたでも結構ですので、ご意見をお願いいたします。 資料でわかりにくい点のご質問でも結構です。 ○鈴木委員  資料3の5頁ですが、公共職業訓練活用型の委託訓練、今いちばん多いタイプだと思 うのです。これで実際に就職率が68.4%にのぼっているということですが、この就職す る先ですが、この図にあるように、専門学校が企業実習を委託した先の企業に就職する ケースが多いのか、あるいはまた別な所に就職するのか。その辺の仕組みと、実際には 具体的にどうなっているのかを確認したいと思います。 ○久保村能力開発課長  全体的な統計データというのは今後取れてくるということになっております。いまサ ンプル的にいろいろ調べてみますと、委託訓練の場合ですが、大体実習先の企業に就職 するケースは全体の4割程度、40、50%程度ではないかと推察されます。施設内訓練の 場合は、もうちょっと高く、7、8割がその実習先あるいは雇用先に雇用されていくと いう形になっています。 ○今野会長  今おっしゃられた後者の施設については、ちょっと詳しくお話いただいたほうがいい と思います。 ○久保村能力開発課長  施設内で行っている、普通課程活用型あるいは専門課程活用型のデュアルシステムで す。こちらのほうはかなり長期間にわたって訓練をいたしまして、なおかつ、実習部分 は期間雇用という形で受け入れていただくことを条件にしております。そういうことも ありまして、これも最終的なデータ出ていませんが、サンプル調査ではかなり高く実習 先に就職する傾向が見られます。 ○鈴木委員  それに関連してですが、この図では、「常用フルタイム就労」と書いてありますが、 68.4%はすべて常用フルタイム就労ということですか。 ○久保村能力開発課長  これもデータ的には今年度から整備されるようになっていますので、最終的にはまだ 出ていませんが、サンプル調査によりますと、約半数が常用、派遣等を含めると6〜7 割という形になります。その全体の残りが、パート等の就労という形になります。長期 間の、いわゆる普通課程・専門課程活用型でいいますと、常用雇用がもうかなり高く て、9割程度は常用雇用に入っていくという形になっています。 ○今野会長  私のほうから1つだけ。今回、若年、壮年、高齢者としてありますが、この若年、壮 年の定義とは何か、こういう分け方はいいのかなという感じがしたのですが。例えば壮 年のところでいろいろなことが書いてありますが、若年労働者でもこういうことは在職 者の人にあるなとか思ったのですが。この年齢で切るというやり方も何か考えたほうが いいのではないかという気がしたのですが、どうですか。 ○草野審議官  生涯にわたるキャリア支援という意味で、きめ細かく見ていく。その場合にポイント は年齢によって大分変わってくるのは事実ですので、こういう分け方をしています。年 齢を表面に出すのがよくなければ、キャリアの職業生活準備期間とか、あるいは発展期 とか、そういう言い方もあると思います。だからその辺は工夫したいと思います。た だ、ひとくくりにキャリア支援というのではなく、やはりその状況、年齢等に応じて、 やはりポイントは違ってきますので、施策としてはそういう世代別の視点を入れて、き め細かくキャリア支援をやっていくということが必要だと思います。そういう意味で、 こういうように整理していますが、仰ったことを踏まえて、言い方とか打ち出し方など は考えてみたいと思います。 ○山野委員  いまの年齢別の高齢者のところで、今後なおかつ、その定年延長とか、高齢者の人た ちが若い人たちに技術を指導していくというようにここで書かれていますけれど、来年 のもう4月に定年延長の法律は施行されますね。ここでまたそれを言って、企業に、な おかつ高齢者の雇用のそれをきちっと企業がやる義務があるというような形に文章化さ れたりしてしまうと、ちょっと我々にとっては。例えば私どもですと、定年になられま すと、それだけの技術を持っていらっしゃる方は、その先、継続雇用の形で、もう既に 我々企業はやっているわけですね。技術を次の世代に引き継いでもらうために。それ を、なおかつ若年・壮年・高齢者の中で、また触れられてしまうと、そういう縛りがで きてしまうというのは、どういうふうにお考えでしょうか。我々にとっては非常にきつ いような気がします。 ○草野審議官  そういうことは申しているつもりはないのです。やはりおっしゃっている、現在やっ ておられることを書いているにすぎないと解釈していただいてもよろしいわけです。要 するに、能力を持った方については継続雇用とか、そういうことで延長したり、後進の 育成というのも重要ですから、やっていただいていると思います。そのことを書いてい るわけで、特にこれを書いたからといって、義務を課すとか、そういうつもりでは全く ございません。 ○山野委員  ただ、我々はそういうことに対しては非常にナーバスになっておりますので、そこに ボンと出てくることによって、またそこで何か労使双方の問題が改めて義務づけられる ような形として、文章として出てくるということに、やはり少し、まあ抵抗はないので すが、恐怖といいますか、恐れをなしております。 ○草野審議官  定年延長の問題、安定局の問題も、ここは能力開発ですので、能力開発していく前提 としての形で書かせていただいているにすぎませんので、そのことははっきりさせてお きたいと思います。 ○西原委員  先ほどの年齢のところにちょっと関係する、それといまの高齢者のところに関係して くるので、1つ認識としてたぶんそういうことだろうと確認したいのですが。いま私ど もは、来年4月に高年齢者雇用安定法が施行されるということで、いろいろな論議をし ているところなのですが、やはり定年直前になってその先の選択云々というのではなか なか対応が難しい部分があって。定年の相当前の在職中40代、50代前半から、かなり事 前の準備段階から自分のキャリアなり、あるいはいろいろな選択肢なりを考えながら準 備していくことが非常に重要になってきて。そういう面では年齢で切れるということで はないと思うし、この中でも準備という言い方をしていますが、事前準備の部分という のは極力早くスタートしていかないと、なかなか良好な形での選択につながらないとい うのを非常に痛感しています。そういう面で、ここはあまり分ける必要はないかと。た だ、意識をしてくる部分で、高齢者の方が社会に出る、または違った第2の世界へ出る ような、その選択肢を増やすための事前準備としてのキャリア開発ということを、でき るだけ前段階からの意識づけができる、あるいはそれをサポートするような機会という 形で、連動した形で整理をされたほうがいいのではないかなという感じがしておりま す。そういうことを言っておられるのかどうかだけ、ちょっと確認したいということで す。  ついでに認識のところで、論点の3頁の、3つ目の・で、正規雇用の求人が激減し、 パート・アルバイト等の求人が増えていることの1つの大きな理由の中で、「雇用情勢 あるいは企業の求める人材要件の高度化等により」ということでつながっているのです が、私などの認識では、やはりパート・アルバイトの求人が増えているというのは、ど ちらかというと、いろいろなパターンがあるにしても、企業がやはり労働者のスキルや 能力よりも、労働力としてのコストパフォーマンスであるとか、あるいは量的な変動へ 対応するために、結果として、非典型的な働き方というのは増加しているという認識を 持っています。そういう面で、今後の検討の中でパート・アルバイトの方たちへのスキ ルアップ、あるいは能力開発に対するアプローチみたいなものをもうちょっと着目して もいいのではないか。この2点を申し上げたいと思います。 ○今野会長  何かございますか。そういうご意見ということで、よろしいですか。 ○杉浦総務課長  1点目のお話は、先ほど説明した中のいちばん最後のところに書いたつもりです。そ こはもうちょっと若いうちからそういうことをできるだけというか、もっと早い段階か ら、壮年者の問題にもつながるかもしれませんけれども、その辺がうまくつながるよう な、ちょっと問題意識として今後検討してみたいと思います。  さっきのパートやアルバイトの能力開発ということについても、特にいまここではあ まり触れていませんでしたが、第21回分科会に問題意識の中でも触れさせていただい ています。また今後、全体の報告なり計画なりを作る段階で検討させていただきたいと 思います。 ○中村(紀)委員  ちょっと表の見方を教えていただきたいのですが、12頁の「日本版デュアルシステム の導入・認知状況について」ということで、いろいろな業態に対してこのデュアルシス テムがどのくらい知られているかということの調査結果だと思うのですけれども。下の ほうの括弧の中で、黒い所は「知らないし興味もない」ということで分かるのですが、 「知っており導入を検討している」という所と、「知らないが興味がある」、これは上 の表で見ると、どこがそれに当たるのですか。 ○今野会長  これは見にくいですね。 ○村山調査官  大変見づらくて申し訳ありませんでした。いちばん左が、「知っており導入している 」という所で、これはどこでも少なくなっています。次が「知っており導入を検討して いる」という所で、一部で多いですが、あまり多くありません。3番目が、「知ってい るが導入は検討していない」で、縦横の格子、クロスの部分です。全体の真ん中辺りの 縦の点々は、「知らないが興味がある」ということで、興味は持っていただいている が、なかなかそういうものがあるということが行き届いていないという所が、いちばん 多くなっています。ちょっとご質問を超えたものになりますが、研究会のご議論の中で も、こういった所にどうやって応えていくかが、大きな課題であるとご指摘をいただい ているところです。黒い所が、「知らないし興味もない」という所です。 ○中村(紀)委員  例えば、これの中で今後積極的にもう少しこの導入を知らしめていきたい、そういっ た考え方は何かあるのでしょうか。 ○村山調査官  次回にまた研究会の報告を全体ご報告申し上げるときに、とりまとめた形で申し上げ ていきたいと思いますが、まさに先生がおっしゃるように、そのようなことが必要であ ると考えています。今後の若年者あるいは企業の変化、あるいは社会全体で求められて いるところからしてみれば、より新しい形でのデュアルシステム、名前の付け方も含め てかもしれませんが、こうした仕組みというものは求められている部分がありますし、 そこのニーズの一端が、先ほどのグラフにも出ているところだと思います。先ほど課長 がご説明申し上げたように、いまでも様々な業界団体を通じてのお呼びかけですとか、 コーディネーターを配しての働きかけというのを、若干は始めてはおりますけれども、 まだまだ緒についたばかりですので、そこのところは十分行きわたるように、これから この分科会でのご議論も踏まえながら、より広く行っていきたいというのが私どもの基 本的な考え方でございます。この研究会報告がまとまれば、そういったことになろうか というふうに思います。以上です。 ○江上委員  いまの中村委員がおっしゃった12頁は、かなり企業側にもニーズ状況がまだまだこれ からだということだと思うのですが、実際の対象者の認知状況がどのくらいなのかとい うこと。それからいままで累計でかなりの方が受講されたということなのですが、この 方たちはどういうきっかけで知って、受講することになったのか、きっかけがどういう ことなのか、分かりますか。傾向でいいです。 ○久保村能力開発課長  デュアルシステム全体の中で、2万3,000人実施をしている委託型のデュアルシステ ムが、いちばん数的には多いのですが、これは離職者訓練の位置付けにしていまして、 対象者はすべてハローワークの求職者ということになっています。したがいまして、ハ ローワークで求職活動を行う中で、こういうデュアルシステムという訓練のシステムが あるということをお知りになって、それで受講を希望する。あるいは都道府県でやって いるジョブカフェでありますとか、そういう若年者向けのいろいろな相談機関というよ うな所で情報を得られて、ハローワークに求職登録されて、来られるというケースが多 いのではないかと思っています。 ○江上委員  相談員の方が、わりと積極的に、それだったらこれを受講したらどうですかというよ うな、インストラクションとか案内を積極的にされた結果。 ○久保村能力開発課長  このデュアルシステムは、私どもの政策の重点ですので、予算的には2万5,000人で、 実際に2万3,000人受講されたわけですが、窓口においてもかなり積極的に勧誘をいたし ましたし、訓練施設でも、そういう形での広報、努力をいたしてきております。そうい うことで、かなり集まっています。実際平成16年度は、応募状況としては大体定員の 1.1倍ぐらいだったのですが、今年度はちょっと高くなって、大体4、5、6月ぐらい ですと1.3倍ぐらいの応募倍率になってきています。それなりにデュアルシステムは、 そういう求職者に知られてきているのではないかと思っています。 ○江上委員  ありがとうございました。 ○今野会長  どうぞ。 ○五嶋委員  この日本版デュアルシステムについてです。中小企業の立場から少し意見を申し述べ たいと思います。私どもは中小企業団体中央会ですが、現在18の都道府県において厚生 労働省のデュアルシステムのコーディネート事業により、専修学校あるいは各種学校団 体と連携して、それぞれにコーディネーターを配置し、日本版デュアルシステムの推進 にいま取り組んでいる真っ際中です。私は石川県中央会ですが、石川県でもいま取り組 んでいる真っ際中です。  地域産業の状況を見ますと、団塊の世代の2007年問題、退職問題を目前に控えていま す。やはり企業は人材確保にいま大きな関心を持っているところです。少子高齢化が急 速に進んでおりますから、今後若年者の採用あるいは確保に困難が予想されるわけで す。ものづくりの技術あるいは技能の継承といった、ものづくりの現場における次世代 を担う技術者の育成が喫緊の課題になっているのではないかと思っています。こういう 中で、私どもは若者を高度で、即戦力型の職業人として育てていきたい、その職場に定 着を図ろうというようなことで、日本版デュアルシステムをさせてもらっています。誠 にいい制度だなと思っているところです。若年者の実践的な能力開発の方法として、特 に私は有効なのではないかということを言っているのですが、中小企業においてはミス マッチのない形で、若くて優秀な人材を採用できるチャンスというふうに捉えていまし て、有力な人材確保策として期待できるものと考えています。実際に関心の高い企業 も、いまのところはまだ一部ですが、大変積極的な企業も出てきています。  しかし、ちょっと問題もありまして、この推進の際の問題点は、導入環境の整備がま だまだ不十分ではないか、企業側にも、多くの克服すべき課題があるのではないかと思 っています。例えば、いろいろなお話にも出てきていますように、この制度は企業にほ とんど知られていないのです。インターンシップ、いわゆる職場体験の形での、そうい ったものは皆さん知っておいでなのですが、デュアルシステムについてはどういうもの か、ちょっとまだ十分な認知が得られていない部分があるわけです。この制度の目指す ところや、いわゆる企業の採用のメリットがあるといったところを、何とかできるだけ 早く多くの企業の皆さん方、学校の皆さん方に正しく理解されてほしいと思っていると ころです。やはり前のインターンシップといいますか、なかなか苦い経験がありまし て、ボランティア的な短期間で訓練というわけではないので、このデュアルシステムは かなり長期にわたっての訓練生を受け入れたりするので、どうしてもなかなか難しい問 題もあって、中小企業にはなかなか難しい、大企業のほうに逃げられてしまうという、 そういった不安とあきらめがない交ぜになっていまして、なかなか導入に踏み切れない ところも、問題点としてはあるのかなと思っています。  もう1つ、経費の負担がやはり、人手に余裕がないという、そういう中小企業、パー トとして雇うと、人件費と、この期間が1、2年かかるという、長い面とか、そういっ た問題で。授業料その他、教育に必要な費用がまたかかるというようなことで、そうい った問題もあろうかなと思っています。  それから他社の情報、導入のノウハウがちょっとわかりにくい。導入しても、企業の ニーズと、ニーズどおりにいくか不安、などが問題点かなというふうに思っています。  したがいまして、今後日本版デュアルシステムの本格的な導入を図るためには、企業 は受け入れやすい環境づくりを早急に行うこと、あるいはやる気のある企業を積極的に 支援するということが必要なのではないかなと思っています。  具体的には、次の政策支援を早急に実施していただければいいのではないかなと思っ ています。まず、1つ目は、企業の正しい理解、認識を得るために、日本版デュアルシ ステムという制度自体の普及、啓発を着実に推進するとともに、その導入の成功事例、 ノウハウなどの情報提供を行うことができればと思っています。2つ目は、中小企業の 実践的なニーズを踏まえ、かつ中小企業の実情に即したカリキュラムの編成を可能とす るなど、中小企業が受け入れやすい、柔軟な導入システム、キメキメではなくて、そう いったシステムを整備することが必要なのではないかと思っています。3つ目は、デュ アルシステムコーディネート事業を拡充して、学生と企業の縁結びをサポートするコー ディネーターを全国に配置するとともに、相互の情報の交換、ノウハウの移転を促進す ることが必要なのではないか。4つ目は、受け入れ企業の経費、人員等の負担を軽減す るための支援策を充実することが必要なのではないか。以上4点が、どうかと思ってい ます。  最後ですが、もう1つ日本版デュアルシステムですが、若者に限らず、中高年者をも 対象とした職業生涯における実践的な教育訓練制度として有効であるというふうに、私 どもは思っていますので、今後はそのような制度への拡充を検討していくことも必要な のではないかと考えているところです。ご検討をいただければ、大変ありがたいと思っ ています。 ○今野分科会長  ありがとうございました。この会の進め方ですが、デュアルシステムの件については 先ほど事務局からの報告にもありましたように、最終の報告書の内容の報告と議論は次 回にやっていただこうと思いまして、今日はその頭出しをさせていただくということで す。これは大変興味がありますので、こればかりをやるとほかの議題に皆さんの目が行 かないのではないかと心配しています。今いただいたご意見はきちんと受け取っていた だいて、いい制度だから頑張れと、でも課題があるぞというご発言だったと思いますの で、その辺の回答についても次回に少し整理をしていただいて、ご回答をいただくとい うことでよろしいでしょうか。  できれば私としては、デュアルシステム以外について活発なご意見をいただきたいと 思います。 ○草浦委員  今回ご報告いただいた各世代ごとに応じたキャリア支援は、非常にわかりやすいご提 案だと思います。ただ、先ほども年代ごとの若年層とはどの辺の層かという大ざっぱな ところの掴み方が、おそらく我々の中でも分かれるところではないかという気がしま す。特に今回のご提案で、若年層の部分が3枚、壮年層が2枚、高齢者が1枚と、非常 にわかりやすくこの厚みで気持が表現されているように思います。その中でちょっと気 になったのは、先ほどもおっしゃったのですが、フリーター、ニート、失業者等の増大 の中で背景として書いておられるところで、厳しい雇用情勢、企業の求める人材要件の 高度化ということが書かれていますが、厳しい雇用情勢というのは「空白の10年」とい う時代があって、この時代が生んだものなのかどうなのか。もっと前から、こういう潜 在的なものが出てきたのではないかという気がします。  それと、企業の求める人材要件の高度化といいますが、我々企業から見ると、そんな に難しい人材を要求しているわけではなくて、ごく当たり前のレベルの人を要求してい るので、高度化という表現が本当にいいのかなと多少疑問に感じています。正規雇用の 求人が激減すると書いていますが、パート、アルバイト等で戦力を維持できない、正規 の雇用によって安定的な戦力、基幹戦力というものをしっかりとやっていかないと、企 業というのは駄目になってしまうという認識を非常に強く持っています。したがって、 この辺の表現については少しご検討をいただきたい気がします。  若年層についての対応で、早い段階からの職業との触れ合いという部分があります が、これはどの辺のイメージを考えておられるのかをご説明いただきたいと感じていま す。高年齢者のほうは、この程度だろうかと思いますが、その辺のお答えをお願いしま す。 ○今野分科会長  表現についてはまた改めて検討していただいて、いちばん最後の点をお願いします。 ○草野審議官  学校教育の問題にもなってきますが、中学校はもちろん視野に入れており、場合によ っては小学校段階からそういうことを繰り返しやっていくことで、漸く就職段階で自分 の方向づけができるようになるのではないか。中学ぐらいからは、かなりそういうもの を意識して考えていくことが重要で、それを繰り返しやることによって自分の適性とか 職業を考えたりということをずっとやってきて、初めて就職のときに多少なりとも自分 の選択ということが少し出てくるのではないか。いままでは一括採用ということでよか ったわけですが、それが崩れつつある場合に、職業教育の在り方というのは抜本的に考 えていかなければいけないのではないか。これは文科省の分野になるかもしれません が、我々の労働の立場においても、そういうことを強く感じるわけです。そういう意味 で、少なくとも中学段階、あるいは場合によっては小学校高学年からという考えを持っ ていますし、若年の自立支援プランとか、各省で一緒にやったときも、そういう考え方 でできています。そういうことで、少なくとも中学段階からだろうということです。 ○草浦委員  小学校段階から始めるのは非常にいいことだと思います。親の背中を見て子供が育つ ということで、なかなか親の背中を見せられない時代ですので、逆にこういうところを 意識的に始めていただくことは非常に大事なことだと感じます。 ○江上委員  いまの審議官のお話に関連するのですが、ちょうど先週は中央職業能力開発協会が行 っている技能五輪が山口県でありまして、今野先生もご一緒に見に行ったのですが、山 口県が県を上げて相当連動しまして、高校生がみんな見に来ています。こういうことが 非常に重要で、実際に電気工事とか水道管の配線工事とか、いつもは見られないような 仕事を目の当たりに見られるわけで、そういう意味では文科省でやっていることと厚労 省でやっていることは、特に能力開発と教育はかなり融合すると、相当相乗効果が上が るものがたくさんあると思うので、そこのところを是非施策の軸として、強く徹底して いただければありがたいと思います。 ○今野分科会長  いまの点について、何かコメントはありますか。こんなに強力な手を考えていると か、ここに書いてあるとか。 ○草野審議官  職業との触れ合いとか、インターンシップとか、そういうことが非常に重要ですの で、それは文科省とも協力して、そういうプログラムなどをこちらから情報提供して各 学校に送っていただいて、総合学習の時間などを活用していろいろな職業に触れる形を 取っています。いろいろな形がありますが、例えばあまり評判の良くない「私のしごと 館」などもそういう形で、総合学習の時間の活用や修学旅行で来て、実際に見て体験す るというようなこともやっていまして、この部分はかなり評判がいいという実態があり ます。それから、デュアルシステム自体は文科省との協力でして、文科省が学生・生徒 にやる部分もありますが、専各(専修学校・各種学校)なども文科省が所掌しているわ けで、これは連携しながらやっているということで、以前にも増してかなりそこら辺の 連携は深まってきていると認識しています。ただ、先生方から見ると、まだもうちょっ とやれということだろうと思いますので、さらにそこら辺は連携を深めてやっていきた いと思います。 ○今野分科会長  いまのご意見は、できればそういうことをもっと前面に出して、いい手があったら考 えてということだと思いますので、またご検討をいただきたいと思います。 ○中村(紀)委員  今回の職業能力支援ですが、若年、壮年、高齢という年代で切っている能力開発がテ ーマですが、もう1つは環境で切るといいますか、母子家庭の女性たちが最近非常に増 えていますが、低年齢児を持つシングルマザーたちの職業キャリア支援については、ど のようにお考えになっていますか。 ○久保村能力開発課長  最近、母子家庭の方たちが自立をしていっていただくことが政策的に非常に重要にな っており、どうしても生活で苦労されることが多いわけですので、能力開発の面でも自 立支援を強化していこうということで、母子家庭の母向けの専門の訓練コースを作って いこう、ということになっています。頭に導入的な講習を入れまして、自分の希望、適 職みたいなものもよく見ていただきながら、委託訓練で全体的には3,000人ぐらいです が、強化をしてやっていこうという対策を取っています。ただ、訓練自体は職種で構成 されていますので、いろいろなメニューを用意する中で、できるだけ選んでいただける ようにする、就職に結び付くような、ニーズを反映した訓練の内容にしていくことが非 常に重要だと思っています。 ○中村(紀)委員  いまのお話の中で1点、もう1歩進んで考える必要があるかなと思いましたのは、低 年齢児を持っているシングルマザーは訓練校に行くにしても、子供を誰に預けるかとい う問題がありますね。そういったときに、いまは待機児童ということで非常に入りにく くなっている。かつ、認可保育園はいま仕事をしていますという就労証明書を持ってい かないと入れないのです。ということは、雇用の確保を持たない女性が訓練校にただ行 くためにといったときに、いったい子供をどうするのだと。訓練校に託児所が付いてい るのかどうか。そういう環境的な配慮も今後お考えにならないと、帯に短し襷に長しで 折角の政策が有効活用されないのではないかと思います。 ○久保村能力開発課長  これは変えなければいけないと思いますが、従来の考え方で言いますと職業紹介する 場面においても、子供を連れて相談に来られると面接はどうするのですかということが あって、そういう面での壁が大きかったことはあったと思います。その辺は改善をして いかなければならないのではないかということで、雇用均等・児童家庭局のほうでも検 討されていると思いますが、現在の実情を言えば訓練校に託児所を併設しているケース はないと思いますので、今後の課題としてそういうものも考えていかなければならない 時代になってきたのではないかという認識は持っています。 ○中村(紀)委員  いま大学も、ほとんどの公開講座で子連れの方々に勉強させようということで、名古 屋大学や早稲田大学など、それぞれがいま託児所を作っています。したがいまして、特 に公共の訓練校等々には、いわゆるダイバーシティーではないですが、いろいろな方々 が利用できるような環境整備みたいなものもお考えいただけると大変ありがたいと思い ます。 ○久保村能力開発課長  いま、公的な施設については設備投資ということに関して、できるだけ節約しろとい う話もありますので、既存の託児あるいは育児の施設との連携を、もう少しきちんと考 えていくことが効率的なのではないかと思いますので、その辺はよく検討していきたい と思います。 ○中村(紀)委員  ありがとうございました。 ○長谷川委員  1つは、論点整理の性格ですが、最後のまとめのための頭出しだという理解でよろし いのですか。 ○今野分科会長  最後のまとめというのは、基本計画を作るというのが最後ですね。 ○長谷川委員  今日の論点整理について、各世代の状況に応じた職業キャリア支援の必要性の高まり と在り方についてメモが出されていますが、ある意味では若年、壮年、高齢と大体大括 りで分けたのかなと思いつつ、若年と壮年の幅が捉まえるときにどこまでが若年かなと 思ったことが1つ。若年の場合は、どちらかというとフリーターとニートのところに焦 点が当てられていますが、実は若者のところで問題なのは壮年のところで書かれてい る、要するに30代の若者の労働時間が非常に長くて、職場に居る時間がものすごく多い 若者が一方でいるわけです。そういうところに対して壮年のところで、教育する時間の 確保などが書かれていますが、むしろここでは若者の中でもそういうものが必要なので はないか。だから、若者の中でも一方ではフリーターに対する対策が必要で、一方では 既に企業で働きながら、しかしもっとそこに対する能力開発をしなければいけないグル ープがいるのではないか。そこのところは、これまでもやってきたものを充実させると か時間の確保とか、そういうのが必要であることと、もう一方では既にやってきたトラ イアル雇用やインターンシップというものも入れておく必要があるのではないかと思い ました。  それと、これは年齢で職業生活全体のステージの中で捉えたから、こういうことにな っているのだと思いますが、別の切り口からいくと女性の問題があるわけです。正規で ないところに女性が多くいるわけですが、女性の中でも男性と同等の働き方をしている 人と、一方では非正規のような人がいて、派遣とか有期とかパートとかと。最近は、派 遣もいままではそれなりの能力のあった人がストックされていたわけですが、だんだん 枯渇してきていると聞いていて、即戦力が欲しいと思ったけれども、最近は派遣のとこ ろもなかなかいなくて、いよいよ企業も本気で育てなければいけないのではないかとい う話も聞いているのですが、そういう人たちの能力開発、職業訓練をどうしていくのか という切り口が必要だなと。そうはいっても女性が結婚して辞めたりとか、子育て期間 中に辞めたりとか、そういう女性たちがもう1回労働市場に入ってくるときの能力開発 や訓練というのをどう考えるのか。そういう当て方が必要なのではないかと思いまし た。  先ほどからシングルマザーの話が出まして、とても高収入のシングルマザーと、生活 保護のシングルマザーに分かれていますよね。おそらく今回の厚生労働省の施策の中で も働くことが重要だというところで、そういう人たちについても働くための能力開発を しようという施策に移ってきたのだと思いますが、そういうところにも視点を当ててい くとか、大きく広げると、障害者、そういう人たちの職業訓練や能力開発をどうしてい くのかということも必要なのではないかと感じました。  中高年のキャリア形成のところで、そうだなと思いつつも、高齢者のところでは私も もう5年もすれば60歳定年退職になりますが、60歳以降をどういう働き方をしようかと いま一生懸命に考えています。そのときに職場の雇用の創出とか作業環境とか、高齢者 の能力開発とか健康管理というのをセットで考えないとなかなか難しいとも思いまし た。少し、あっちいったりこっちいったりして申し訳ありません。  もう1つ。先ほど若年のところで文科省の学校教育と職業教育ですが、どこかで職業 教育と能力開発の成果だと思いますが、文科省と厚生労働省と経産省の三省がフルで一 緒にやらないと、この問題はうまくいかない。厚生労働省は学校に行って、職業教育を しようとかOBを活用してやろうという姿勢が最近は積極的だと思いますが、何といっ ても固いのは文科省です。文科省は非常に固いです。そういうところに対して、こうい うところからメッセージを出すことが必要で、最後に出すときは、そこに強烈なメッセ ージを出すことが必要だと思います。 ○江上委員  いまの長谷川委員のいくつかのご発言に関連して、改めて第1回のときに能力開発政 策のこれからの作り方の視座として、生活者、働く者を中心とした能力開発というよう なことがコンセプトのベースにあったと思いますが、そういう意味でいろいろな案が出 てきていると思いますが、ややまだ何というか、そこの視座に十分に絞り切れていない 面もあるかなと。それは、生活者、働く者を中心とした能力開発政策の在り方を考える ときの企業像というものについて、少し言及をしたほうがいいと思います。今回の論点 の中で、これは叩き台の論点だと思いますが、企業についていろいろな記述があるので すが、結構ぶれているところがあるかなと若干感じました。  例えば、7頁では企業が成長・発展するためには、付加価値を生み出す多様な人材を 育成・確保することが鍵となってくるとか、その下にヘッドハントされて社外に流出す るとしても成長・発展をすることができるのではないかとか、いろいろなスタンスでい ろいろな言葉を書いているのですが、ある意味で国としてやる能力開発政策は、個人が 自主的に能力開発をやっている、あるいは、企業がその人に投資して十分な付加価値の リターンがあるから教育をする、という層についてはあまり言及しなくてもいいのでは ないかという気がするのです。それは市場のルールで、どんどん自発的に能力開発もす るし企業もどんどん人材投資をしていく。そうでない部分のところが、いまのこれから の日本に非常に重要だと思います。そのときの企業というのが、どういう社会的存在で あるべきなのかということを少し詰めたほうがいいのかなという印象を持ちました。 ○今野分科会長  いろいろと話が出ましたが、まずは長谷川委員の件でいきましょう。いちばん最初の 若年、壮年の分け方で、長谷川委員は例示でおっしゃられたのですが、私はもともとこ こは年齢で分けるのは嫌だなと思っていました。結局、おっしゃられたことは職業に入 るところの準備段階の人と働いている人、とすれば年齢とは関係ないわけです。労働時 間の問題は後者のほうに入るわけですから、その辺は先ほどお願いしたように、区切り の仕方を検討していただくことでいいかなと思います。  2つ目は、年代別というかキャリア段階別の切り方ではなくて、非正規の問題とか女 性の問題という切り口もあるのではないかということですが、この辺は既にそうしてい るのですよね。 ○草野審議官  これはまた二巡目といいますか、これまでは大体大きな柱のところを議論していただ いて、もちろん非常に重要な問題だという認識を持っていますし、そういうご議論はこ れからいただきたいと思います。ただ、非正規の問題で難しいのは、キャリア自体があ まり発展のないキャリアの中だとすれば、最近ではパートの中でも発展するキャリアを 作ったりしていますが、そういうところだと能力開発が自然に出てきますが、わりと単 純というか同じような業務を繰り返しているようなキャリアの発展のない場合の能力開 発はどうするのか。非正規の中でやるのか、あるいは自己啓発を推進するみたいな話に なるのか。そこら辺の能力開発像をキャリアと合わせて、どう考えるかを掘り下げて議 論していく必要があるだろうと考えています。  女性が子育てから復帰されるとか、そういうことの能力開発は非常に重要で、ある意 味では先ほどもお話にありましたデュアルシステムなどは、必ずしも若年層だけでなく 中高齢層も含めて、場合によっては女性などが復帰する場合にはデュアルシステムみた いなやり方は非常に有効ではないか。あるいは在宅で勉強していただくということもあ るだろうし、ここら辺はいろいろ今後議論していく重要なところだろうという認識を持 っています。 ○今野分科会長  長谷川委員がおっしゃっていた、重要なことは、文科省に強烈なメッセージを出せと いうのはどうですか。 ○草野審議官  これは三省庁で平成15年に打ち出して、経産省、文科省、厚生労働省でやるという枠 組みはできていますので、その中で我々も言いたいことを言い、文科省も言っていく。 その中でまとめ上げていくことになってくると思います。ちょうど来年の4月ぐらい に、自立プランの成果を評価して次の段階に入りますので、そのときに合わせて我々も 考えて、言うべきことは言っていきたいと思います。 ○今野分科会長  この点は先ほど議論した点と共通している点ですが、先ほどからたくさんの意見が出 ていますように、委員としてはどういう表現にするかは別にして、小学生や中学生に対 する職業教育の問題は重要であるというメッセージは何らかの形で、できれば基本計画 の中で強く出したいと。表現の方法はまたあとからでいいと思いますが、そういうこと だと思います。  最後の江上委員のご質問については、何かありますか。 ○上村職業能力開発局長  最後のは、おっしゃられる意味がよくわからなかったのですが、企業が黙っていても やるから、後押ししなくてもいいのではないかという趣旨ですか。多分、マーケットの 失敗の1つの例になると思います。ずっといてリターンが期待できるのであれば投資す るけれども、いついなくなるかもわからないとなると企業は投資しなくなりますよね。 それも外部効果で嵩上げされるから、社会全体としてはいい話になるはずだと思いま す。ですから、必ずしも市場に任せっきりでいいのかどうかということと、企業の協力 なしに訓練をやると、実態から離れた訓練になるのではないかということがありますの で、そこのところは企業の協力と企業にも一生懸命にやってもらうことは、引き続き言 っていく必要があるのではないかという気がしています。 ○江上委員  もちろんそうです。そのときに、いまは企業が自らの経営方針が非常に多様化してい ると思います。徹底的に収益追求で、雇用についてはドライに効率主義でやっていく企 業と、ある程度社会的なグッドウィルの関係を作っていくようなことで、補助型労働に ついてもきちんと教育とか長期雇用の安定を考えながらやっていく企業とか、企業の戦 略によってさまざまになってきていると思います。ここでは国として、企業に対して企 業と雇用と能力開発のどういう関係でありたいのか。そういうメッセージを言っていっ てもいいのではないかという気がします。 ○今野分科会長  その点についてあちこちに書いてありますが、全体的に企業が長期で成長したけれ ば、きちんと教育投資しろ、人材育成をしろというメッセージだと思います。ですか ら、そこで教育をしなくてもいいから成長しなさいというメッセージにはなっていない と思います。同時に、そこから越えて何を言うかはなかなか難しいなというのが私の感 想です。 ○草野審議官  企業が能力開発をする場合、事業をやっているわけですから、必要なものについて は、その人材について能力開発するというのは当然の部分があるわけです。それから自 己啓発といいますか、企業の直接の収益にはしないかもしれないけれども、個人が自分 の能力の幅を広げたり深めたりすることを勉強していく、そういうことを後押しするこ とがあると思います。それから、デュアルのようなものである程度社会的に受け入れて いく。大まかに分ければ、この3つがおそらくある。最初のところは、もちろん中核人 材はそうです。ただ、おっしゃったようなパート、アルバイトとか、正規の中でもいろ いろとおられますが、教育訓練がどちらかに偏ってしまう問題があって、そこをどうす るかという問題と、個人が自分で勉強することを後押しするところはまだ不十分です し、そこのところは踏み込んでいく必要が相当あるだろう。3つ目については、これか らデュアルをやっていく上で非常に重要なポイントで、企業の利益になる部分もありま すが、そこはある程度社会的な面を企業が負っていくことがあるかどうか。CSRみた いな考え方がかなり普及していますが、そのあたりも議論していただけたらと思いま す。 ○江上委員  大体おっしゃるようなポイントだと思います。議論も、その辺をまた深めていただけ ればと思います。 ○小栗委員  論点整理の資料の5頁の(1)の認識のところで、学校から企業へ至る仕組みについて、 これまでのような方式が崩れつつあるということですが、バブルが崩壊して以降の日本 経済は非常に失業率が高まって、有効求人倍率もとんでもないところにいってしまっ た。したがって、本人たちは学校を卒業してすぐに就職したかったけれども、就職先は なかった。したがって崩れてしまったと思います。崩れつつあり、ではなくて、その段 階で一旦崩れてしまって、いまはフリーターやニートという形で現存していると認識し ています。今回、私どもが作ろうとしているものの考え方というのは、いまから3年 先、5年先を見越した教育なり訓練のシステムの在り方です。3年先、5年先は2007年 問題が入り込んでいて、若い人たちの採用の環境が全く変わってくるのではないだろう かという気もします。ですから、経済的に見ても3年先、5年先の新卒者の採用の条件 とか、学卒者の就職の環境というものをもう少し分析されたほうがいいと思います。ひ ょっとしたら、そのときには新卒一括採用というのがまた当然のように、完全雇用のよ うに復活してくる可能性もあるわけです。したがって、いま現在はバブル崩壊後の長い 氷河期のイメージが強く残っていて、現存しているニート、フリーター対策ということ が頭にあるからこういう文章になっているのではないか。いちばんいいのは、親から見 てもその子供たちにとってみても、空白期間がないほうがいいわけです。  多様な選択肢を求めるのは新しい時代、是非、そういうのがあってほしいと思うけれ ども、それを望ましい姿という必要はなくて、学校を卒業してすぐにいい所に入って自 分の能力が発揮できればいちばんいいわけです。崩れつつあって、こうした複雑な社会 の中で新しい選択肢が必要だという書き方ではなくて、本来、経済がもっと活性化して 求人状況も変わってくれば、こうした新卒一括採用で学卒即就職ということも十分に考 えられる。その中で、いま現存するニート、フリーターをどうしていくのか、あるいは 職業能力開発をどうしていくかというのを、3年先、5年先に時間軸を移してみていた だいたほうがいいような気がしました。(1)は、私はそこが少し気になっているところで す。以上です。 ○鈴木委員  いまのお話ですが、新卒一括採用が減ってきているのは事実だと思います。私どもの 調査でも5年前に比べると、極端にその数字が減ってきています。新卒採用のみですべ ての採用を賄っている企業は、大体2割ちょっとしかないのが実態だと思います。5年 ぐらい前は、もっとその数字が高かったのですが、5年前というのは確かに就職氷河期 でしたね。その辺は就職氷河期がどうだったのかということとの関わりは細かく調べて みなければいけないところはあるかもしれませんが、そんなような状況にあるというこ とです。  大学進学率がいまはずっと高まってきて、たしか最新のデータだと5割を超えますよ ね。短大、大学を含めた高等教育へ進む方が、高校卒業者の51.6%ぐらいです。これは 2003年の数字だったと思いますが、いま現在は大学を卒業する5人に1人以上の方が、 無業者として世の中に出ていくという数字がありますよね。どんどん大学進学率が上が っていく中で、5人に1人が4人に1人になる可能性もないわけではないので、大学進 学のみを重視するようなこれまでの価値観というものを改めていくことも必要だと思い ますし、本当に大学に行くことに意味があることなのかどうなのか。その辺の社会の価 値観を変えていくこともこの中に入れていくことが必要かもしれませんし、むしろ大学 に行かずに別のルートで世の中に出ることによって、大いに活躍できる分野を見つけ出 すケースも少なくない思います。その辺をもう少し幅広く選択できるような社会を実現 していくことも、ニュアンスとして入れる必要があるのではないかと思います。 ○今野分科会長  何かありますか。 ○草野審議官  まさに、おっしゃるとおりだと思います。大学に行きまして、中途退学や留年される 方がものすごく多くて、データがないのですが、卒業してからフリーターになられる方 もいる。ですから、全入時代になってくると、資質と関係なく行ってしまう。大学へ行 ってミスマッチといいますか、そういうのが非常にあるのではないか。デュアルシステ ムをやっていくのも1つは実学ですね。必ずしも大学ということでなしに、実践的な優 れた人材がたくさんおられるわけです。そういう人材が必ずしも大学に行くよりも、実 践能力を身に付けて現場力に入っていく。それから、あとで高度化ならばまた大学に行 き直すというフレキシブルなシステムみたいなことも考えていく必要があるのではない か。ですから、入り口は大学に行く人とデュアルだとか現場に行く人もいますが、あと で高度な能力を身に付ける必要があり、また大学へ行くということで、入り口はいろい ろ多様化して、特に実践的なタイプの子についてはデュアルのようなシステムをもっと 普及していってもいいのではないか。大学の中退率が非常に多い、大学を出てからフリ ーターになる方が多いことを見ますと、そういう意味ではアンチテーゼみたいなものに なりますが、そこにデュアルシステムの意義もかなり出てくるのではないかという感じ を持っています。  ただ、そのあとはまたフレキシブルに大学に行けたり、そういうシステムにしていく ことが非常に重要で、なかなかハードルは高いのですが、そこら辺はおっしゃるように 価値観の転換みたいなことが大変重要だと思いますので、いろいろとご議論をいただき たい点です。 ○上村職業能力開発局長  いまだけの、ここ数年の状況なのか、先々が変わるとかのご議論をいただきたいと思 います。一人ひとりはそういう議論をするとみんな思っていますが、いざ自分の子をど う育てているかを見ると、我々の身近でもいい高校に入れて、いい大学に入れてという のが相変わらず続いていますよね。そういうところを本当は変えていってもらうのがい いかもしれませんが、身近は全く昔と変わっていないですね。 ○今野分科会長  この部分で、いちばん重要なのは、その原因はいろいろあったとしても、多様なルー トを作ることが必要か否かです。その辺については、お話を聞いていると認識に差はな さそうです。ただなぜ必要かについてはいろいろな原因が考えられるということで、そ の中の1つとして一括採用が崩れたのか、そうではなくて一時的な現象なのかという問 題だと思います。先ほどのお話でも多様なルートは重要だということについてはよろし いと思います。ただ、これは表現ですが、「崩れつつ」というのはわからない。私も気 になっています。別に崩れてはいなくて、ちょっとカバー率が減ったかなということか と思います。崩れてしまうと全部なくなってしまうみたいな表現ですので、その辺は最 終的には表現を変えていただくことにしたらどうですか。また、いまの鈴木委員の言わ れた点もそれを全面に出すと基本計画とは違うところに行ってしまいそうなので、背景 要因としてはそういうことがあるということで書き込んでいただくということでよろし いですか。 ○小栗委員  それは結構です。 ○草野審議官  結構です。 ○今野分科会長  そこまでいうと、そこは基本計画の中では書きにくそうだなと思います。 ○長谷川委員  (1)は、私も重要な文章だと思います。「学校から適職選択に至る多様なルートをつ くり」となるのですが、その前提条件が一括採用がここでは崩れつつあり、だけれど も、本当にそうなのかどうなのか。企業がこの状況の中で、これから一括採用をまた元 に戻すというふうに見るのかどうなのか、というここの見方が1つあると思います。多 様なルートをつくるときの多様なルートというのは、事務局はどういうのをイメージし て書いたのかというのを聞きたいのです。例えばどこかの省庁が、多様なルートの中の 1つで大学を卒業してA企業に就職内定したと。その間、1年間休職願を出して、どこ かの外国に留学する。1年で戻ってきたら、その企業に復職するということを検討して いるというのも聞いたのですが、このときの多様なルートというのはどういうルートを 言っているのかのイメージ。日本版デュアルシステムはわかりました。あとは、どうい うのがあるのかがよくわからない。文章はわかりましたが、自分で勝手にイメージして いますが、そのイメージが審議会の皆さんと合うのかどうなのか。 ○今野分科会長  前半についての新卒一括採用が今後どうなるかですが、私としては委員の皆さんの認 識は、方向としてはあまり変わっていないのではないかと思います。新卒一括採用が従 来のような状況に戻ると思っていますか。つまり、一時的な現象で、元の状態に返ると は私は全く思っていません。もちろん、その中でデコボコはします。この辺について は、もし、状況が変わったら全部元に返るという話になると、多くの若年者は学校から すぐ就職、という従来どおりのルートで全部就職できる状況を想定しなければいけない ですね。 ○小栗委員  私は先生が言われるとおり、元に戻るとは思いません。しかし、この間は就職したく ても就職できなかったから、無業もしくはフリーターという形で行動しているうちにそ れが定着してしまっている要素はあるだろう。その要素になっていた就職できない条件 というのが、ひょっとしたら2007年問題以降は少し薄まって、大量に卒業、すぐ就職す るという姿が考えられるだろう。ただ、企業のほうも春の新卒を全部採るというシステ ムではなくて、既にかなり何段階か自由に、それも新卒だけではなくて中途もたくさん 採るフレキシブルな採用形態ができていますから、そういう意味では幅がある。しか し、根底にはいま言ったように経済環境が変わると、卒業後すぐに就職される方が相当 増えてくるのではないかという認識はどうでしょうか。 ○今野分科会長  それは、短期的には変動があると思います。ですから、ある幅の中で傾向的には従来 に比べると、新卒一括採用型というのは、先ほど私はカバレッジという言葉を使いまし たが、そこは相対的に減ってくるだろうと思います。おっしゃられるように景気が良く なったら、少しそのカバレッジが上がって、悪くなったら下がるということはあります が、構造的には下がるかなと思いますか。もし、これが全て短期的な現象だという話に なると、絵が全く変わりますよね。そうはならないのではないかと思いますが、どうで すか。これは認識の問題ですが。 ○江上委員  いまの件ですが、新卒一括採用も従来ですと結局大企業がかなりの雇用をしていまし たので、新卒一括採用、大企業と系列化された中小企業ですね。いまは大企業から雇用 が減少していく中で、大卒も100人未満の企業にたくさん入っているわけです。そうい う意味では、従来のような大企業に新卒が一括という図式はかなり変容しているし、変 容せざるを得ない。市場の企業の構造でも、そうなってきているということが言えるの ではないでしょうか。 ○今野分科会長  それと長谷川委員がおっしゃられたのは、多様な選択とは何を言っているのかという 話ですが、この辺はどうですか。 ○草野審議官  デュアルのことを下で言っていますから、それが新しい選択肢なので、そういう意味 で多様ということを典型的なものとして申し上げたのです。 ○長谷川委員  でも、多様といったらたくさんある。私はそういう話も聞いているので、たくさんそ ういうメニューがあるのかなと思ったのです。 ○草野審議官  現実は若年の方にはいろいろなタイプがあるので、ニートの方もいればフリーターの 方もいて、現在のニートの方について言えば、例えば若者自立塾のような形で、まず人 間力を養成してから訓練に移る。ですから、多様なタイプに応じて若年対策もいろいろ なメニューができています。それを組み合わせて就職に結び付けていくことになると思 いますので、ここではデュアルが中心になりますが、それ以外の若者自立塾とかNPO の関係団体が職業意識啓発の活動をやって、それから訓練を受けたりというのがありま すので、そこら辺はいま正直を申して多様なルートというのをどういうふうに整備する かの途上にある状況です。それは置かれた状況に応じて、若年にはいろいろなタイプが ありますので、適切な対応策というのを作り上げていくということで、現在の段階では カチッとした多様なルート、これがこうだというのは十分に整理されていませんが、今 後そういう方向で考えていきたいという趣旨です。 ○今野分科会長  多分いまの話は、学校を出ました、正社員ですぐ就職、以外のことがたくさん出てき ましたねという話だと思います。 ○長谷川委員  そうです。だから、学校でいえばまだ中卒もいると思います。中卒がいて高卒がい て、専門学校卒がいて短大卒がいて4年生大卒がいて大学院卒がいる。そこを卒業して から就職するまでの間に、おそらくいろいろなものがあるのですねという、ざっとはそ ういう話ですか。そうすると、つくり方もいろいろですよね。多様なシステムといえば そうなのですが。 ○今野分科会長  多分、これまで典型的に考えられていたのは中卒でもいいし、高卒でもいいし、大卒 でもいいですが、学校を出ました、すぐ就職。多くは正社員。これだけでは無理よね。 それ以外の選択肢は、たくさん用意しなければいけませんよね。それ以外というのをこ こでは多様なルートと言っているのではないかと思います。では、それ以外というのは どうやって整理して、システマティックに絵を描くかについては、ただいま進行中なの でなかなか難しいという意見だったかと思います。そういう意味では正確に書くには、 そういうルートが非常に狭くなってきたので、ほかの選択肢も用意しなければいけない と書いたほうが正確なのかもしれません。 ○西原委員  しつこいようですが、そこのところは基本はいろいろなパターンの中で社会へ入る、 あるいは企業へ入るというときに、できれば空白がない形でやるのが望ましいのだと。 ここに出ている例えば適職を選択するのに、一定の職業探索期間、できればこれが学生 時代なり、卒業したあとに若干の短い期間であればいいけれども、そういった中で極力 早めに次の道が選択できるような道をやるためのコンサルティングなり、いろいろな道 の情報なりが行くのだと。本来は、そこで空白がないのが望ましいけれども、そうはい っても現実はいろいろなパターン、その中でそれを受け止めるため、あるいはやり直し のためにいろいろな道を用意しますと。だから、本来は望ましいのはこれだけれども、 それだけでは適応できないという認識でよろしいわけですか。 ○草野審議官  空白無しが望ましいのはもちろんですが、ただ現実には職場定着をめぐる「7・5・ 3問題」がありますね。あまり意識もなく就職したはいいけれども、3年以内に離職し てしまうのは七五三で中学7割、高校5割、大学3割という数字がありますので、何で もかんでも就職すればいいかというと、そのあとの状況を見ると自分の意向のキャリア と企業の受入れがすり合っているかどうかが最終的には重要で、そこを考えると必ずし もすぐに就職するばかりがいいのではないというところもある。もちろん、いままでの ような就職して定着するということであればいいのですが、七五三のような事態を見る と本人の持っているキャリアと企業側の受け入れのすり合わせを根本的にやっていくこ とが必要かなと。その仕組みは、いろいろと多様ではないかと思います。 ○今野分科会長  私の意見ですが、最終的な基本計画でこういう形を文章に入れたときに、学校を出て すぐに就職がベストとは書けないと思うのです。そういうのが多かったけれども、そこ が少なくなってきたのでほかの選択肢も用意しなければというようには書けると思いま すが、そこでこのルートがベストだというのはなかなか言えないと思いますし、私も必 ずしもそう思っていないです。 ○西原委員  ベストかどうかは別にして、少なくともここでの職業探索期間というのを先ほどの例 えば学校、いわゆる学生時代なりあるいは、なるべく早期に就労観だとかいろいろな職 業に対する情報だとか、そういったものがいままで以上に個々人に提供されて、その中 である程度選択して、やり直しも結果的には出るかもしれないけれども、極力早い時期 に自分の進むべき方向みたいなものが見出せるような環境を学生時代にある程度作るこ とによって、結果として適職に移行できるようなことを努力する。そういう形だと思い ます。 ○今野分科会長  それはそうだと思います。ですから、評価基準とすれば早ければ早いほどいい。マッ チングがベターであればベターなほどいい。そういうことだと思います。 ○長谷川委員  なぜそれにこだわるかといいますと、いま西原委員が言ったことと同じですが、私た ちは試用期間というのはどのぐらいがいいのかなというのを労働契約法で議論したので す。そのときに、私のような人ではなくて若い人を集めて、どのぐらいが耐えられるか といったときに、短いほうがいいというのです。長いと不安だというのです。不安で、 本当に自分はどうなるのだろうと。そうすると、小学校でも中学校でも高校でも大学で も、いろいろな職業を教育していきましょうというのがありましたよね。そうやって就 労観とか職業観を身に付けましょう。そして学校が終わった。しかし、在学中だってイ ンターンシップというのがあるわけですよね。学校が終わったら社会に出て働くのだ。 ここは早い時期にマッチングをさせて働く。働いていく中で、例えば3年ぐらいしたら 自分はどうもこれは合っていない。もっと勉強したいというのだったら社会人大学な り、もっとどこかで勉強するような機会も与える。時間や費用を与えることが必要で、 私はこの自分探しをしている期間が長くなるほど、逆にフリーターというようなことに なるのではないかというのを、私個人で心配しています。 ○今野分科会長  先ほども言いましたように、具体的な制度の設計になったらどうするかは別にして、 考え方としては、それはなるべく早く、なるべくマッチング良くだと思います。それは 当然だと思います。では、どれがベストかと言われると、人によってもいろいろ違うし なとか。状況によってもいろいろ違うとは思いますが、ただ、いまここで出されている 論点は、状況がいろいろと変わってきたので少なくとも複数の選択肢ぐらいは用意して おきましょうということだと思います。その中の1つとしてここではデュアルが入って いるわけですが、従来のように学校を出たら就職、これ以外は選択肢はないよというの では済まないことは、これはよろしいのではないかと思います。 ○草野審議官  おそらくおっしゃることは、ここの書き方ですね。「一定の職業探索期間を要するこ とを前提として」と書いてありますので、この一定の探索期間があったとしても、それ はできるだけ短く効果的に過ごせるようにという趣旨で書けば、ご趣旨に沿うのかなと いう気がします。前提としてしまうと、長くかかってというような感じになりますの で、おっしゃる趣旨は探索期間があるとしても、それをできるだけ短縮して、あるいは 効果的に過ごせるようにしていくというご趣旨かと思いますので、我々も趣旨としては そういうことで考えていますので、この書き方を工夫したいと思います。 ○今野分科会長  ここだけではないですが、ズバッと書いてあるところがとても多いので、第1回のこ この審議会でもそうでしたが、そこまで言うかな、というのがいろいろあります。です から、最終的には、またそういうものは検討するということになると思います。 ○草浦委員  「前提として」というのは非常に引っかかると思います。 ○江上委員  5頁の(3)に、「若者を若年者のボランティア・社会参加等を受け入れる様々な活動 分野をつくっていくことが重要ではないか」と、私もそのとおりだと思いますが、これ は何の具体的な政策の腹案を考えておられるのでしょうか。 ○草野審議官  団塊の世代の方がだいぶ出てきて、これは雇用というだけではなくて、地域でいろい ろと活躍していただくことも重要になってきていると思います。施策として現在やって いますのは能開局ですと、委託訓練の形でNPOに訓練を委託しまして、NPOのリー ダーになっていただく、あるいは雇用される。そういう活動を450人ぐらいの求職者を 対象にやっています。それからマルチライフ支援事業ということで、これは労働基準局 の勤労者生活部の施策ですが、在職中から引退後に向けて企業で雇用されるだけではな く、地域での活動をしていくことを支援していこうというのがあります。政策統括官室 では、NPOボランティアを希望する方を希望する先にいろいろなメニューを揃えて、 マッチングしていくこともやっています。ですから、この分野というのは若年対策をこ れからやっていく上で非常に重要で、いきなり雇用という前の段階、それから人間力を 養成することも重要ですので、そういった施策をいかに充実していくか。特に団塊の世 代の方がたくさん出てきますので、そういう方が活躍していける場、NPOとか、そう いう活動の担い手になっていただくことは重要で、そういうことを通してこういう層を うんと厚くしていくのも、能力開発から見たら非常に重要な課題ではないかと思いま す。 ○井上委員  若者の自立挑戦のためのアクションプランのポイントに関して、キャリア教育に関連 してですが、今日出てくる前にインターネットでJILPTの労働情報ニュースで、キ ャリア教育シンポジウムの開催が掲載されていました。12月5日に経済産業省が主催を してやりますが、プログラムとしてはキャリア教育推進モデル事業の事例紹介がありま す。少し見てみたら全国20近くにモデル事業をやらせているようですが、対象は小学 校、中学校だったりします。それの事例紹介があったりパネルディスカッションをした り、特別講演では経済同友会から講師をお招きする。残念なことに、主催が経済産業省 ということだけで、アクションプランとしては文科省も厚労省も当然入っていると思い ますが、こういうところで連携をしてやらないと。先ほどから小学校、中学校段階のキ ャリア教育というところで、それぞれの視点でやられる。経済産業省ですから、当然地 元の産業界とかそういうことで視点にして、地域に根差したキャリア教育推進というテ ーマになっていますので、それはそれでいいと思いますが、ここにきちんと厚生労働省 が関わる、文科省が関わるということで、三省が主催に名前を連ねる、そして共有化す るというのが小中学校のときからのキャリア教育をきちんと体系的に継続していくとこ ろにつながると思うので、先ほどの話ですと来年に戦略会議についての評価があるとい うお話でしたので、そういうところも踏まえてご議論をいただければいいのではないか と思いました。 ○今野分科会長  ご要望ということでよろしいですか。時間がまいりましたので、この辺で終わりにし ます。議事録署名をしていただく方を指名させていただきます。今日は、労働者側は長 谷川委員、使用者側は鈴木委員にお願いします。  次回の分科会は、今日は少し私が議論を抑制してしまったのですが、日本版デュアル システムと今後のあり方についての研究会の報告書が完成しますので、それを巡って議 論をしていただくのと、総括的な議論をしていただければと思います。総括的な議論に ついては、これまでにご議論をいただいた点を踏まえて、取りまとめに向けた視点とい うことで整理をして議論をしていくことにしたいと思います。  最後に、事務局から日程についてお願いします。 ○杉浦総務課長  次回は、11月29日(火)午前10時から開催をします。場所は、この建物の17階の専用第 21会議室です。よろしくお願いします。これまでも付けていますが、資料4に今後の予 定が予備も含めてあと3回ありますが、この総括的な議論をしていただくべく組ませて いただいています。大変タイトで恐縮ですが、よろしくお願いします。 ○今野分科会長  今日は終わります。ありがとうございました。 【照会先】厚生労働省職業能力開発局 総務課 企画係 (内5313)