05/11/09 第4回医師等の行政処分のあり方等に関する検討会議事録       第4回 医師等の行政処分のあり方等に関する検討会 議事録          日時 平成17年11月9日(水) 10:00〜          場所 経済産業省別館944号会議室 ○樋口座長  ただいまから、第4回「医師等の行政処分のあり方等に関する検討会」を開催いたし ます。本日は、見城委員と早川委員はご欠席です。  本日は第4回の検討会ということで、これまでの検討会で我々のアジェンダ6点プラ スアルファということについて、いろいろ活発にご意見をいただきました。それをでき るだけ反映させる形で報告書のたたき台を作っていただきましたので、それを検討する 回だと考えております。予定されているのが今回と次回ということですので、その後 も、ということもあり得ますけれども、できれば報告書の取りまとめの方向で意見を集 約していくことができればありがたいと考えております。最初に、中間報告書(案)の たたき台について事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  本日ご用意いたしました資料は報告書(案)です。内容のポイントの部分だけかい摘 まんでご説明させていただきます。  1頁は1「はじめに」ということで最初の文言が書いてあります。下のところに、 「厚生労働省においては、本報告書で結論が得られた課題については、来年の医療制度 改革のための法律案に盛り込むなど、施策の実現に努力されたい。また、本報告書で結 論が得られなかった論点については、今後とも議論を続けていく必要がある」という書 き振りにしております。  2頁の2「処分類型の見直し」では、最初のところで「現行の行政処分の類型は『医 業停止』と『免許取消』のみであるが、再教育制度の導入に当たり」ということで、ち ょっと飛ばしまして「医業停止を伴わない、『戒告』といった行政処分の類型を設ける べきである」と書いております。  次のパラグラフで、「戒告処分の新設に当たっては、どのような行為が戒告処分に該 当するのか、基準を定める必要がある」。そして最後の5行程度のところに「その際、 行為類型の評価に当たっては、医師等に限らず犯しうる行為と、医師等の業務に関連が 深く、医師等として職業倫理が問われるべき行為等を分けて考えることが必要である。 なお、行政処分と刑事処分は元来その目的を異にするものであり、同じ内容の刑事処分 が課された行為について、行為の内容を検討した結果異なる内容の行政処分を行うこと もあり得ることに留意する必要がある。また、行政処分の判断の透明性の向上の観点か ら、定められた基準は公開すべきである」と書いております。  パラグラフを1つ飛ばして処分類型の見直しに関連してというところで、再教育を受 けない医師等に対する措置についての議論ということです。「再教育を受けない医師等 については、罰則を設けるなど、何らかの形で医業に関わることを制限できるようにす る必要がある。一方、再教育を実施したが、問題点が指摘されるなどして再教育を修了 できない医師等に対しては、罰則等とは違った形での処遇を検討する必要がある」。具 体的に書いていますけれども、「再教育を修了していない医師等は医療機関の管理者に なれないとすることや、医籍等に再教育の修了に関する事項を登録し、医療機関の管理 者が医師等を雇用するにあたり、その情報を確認することができることとすることが考 えられる」。特に後者についてここに書きましたのは、「医療機関の管理者からの照会 に対応できるだけの体制整備を含め、慎重な検討が必要である」ということも書いてお ります。  次に3「長期の医業停止処分の見直し」です。4頁のいちばん上から「長期間の医業 停止は、医業再開に当たって技術的な支障となる可能性が大きく、医療の安全と質を確 保するという観点からは適切ではなく、数年に及ぶ医業停止処分は見直す必要がある。 その結果、医業停止処分と免許取消処分には、医業の再開を前提とするか否かという性 格の違いはあるものの、現行では長期間の医業停止処分となるような事例が、その処分 理由により、免許取消となる場合があると考えられる」と書いております。  次は、医業の停止期間の上限についてです。真ん中からやや下のところに、いろいろ 議論していただいたところを書かせていただき、「適正な医業停止期間の上限は3年程 度とすることが適当である。なお、現在の5年の医業停止処分期間の上限は、運用で行 われており、医師法上明記されていない」ということで、新たな上限がもし設定される ということであれば、「医師法に明記するべきである」と書いております。  大きな4番は、「行政処分に係る調査権限の創設」です。まず、調査権限の必要性に ついてということで5頁に議論の詳細をずっと書いておりますが、真ん中からやや下の パラグラフで「刑事事件とならなかった医療過誤を起こした医師に対する行政処分の要 請は高まっている。このような要請に応え、行政処分の迅速化を図るためにも、国に、 行政処分の根拠となる事実関係に係る調査権限を創設すべきである」と書いておりま す。  調査の端緒と範囲について、「調査権限の創設にあたっては、重大な医事に関する不 正のおそれがある事案に関する調査をその対象とすべきである」。調査や処分の端緒と して、患者等の一般国民や医療従事者からの通報といったものが考えられますけれど も、全国の苦情や相談を全て厚生労働省が受けるということは、なかなか限界があって 現実的ではないのではないかということです。  6頁では、現在、地域医師会が患者の苦情対応を行っているということとか、都道府 県のほうに相談窓口として医療安全支援センターが設けられており、調査の申立を受け 付ける窓口としてこのような機関の活用を検討すべきであるとしております。  次のパラグラフでは「しかしながら、このような通報の中には、単に相談、苦情とい う性格の情報も多く含まれることが予想される」ということがありますので、次のパラ グラフで「国民からの申立のあった事案について、調査を実施する必要があるか否かを 検討して振り分けを行う必要があり、そのための基準(考え方)や仕組みを整備する必 要がある」と書いております。  調査権限の内容としては、報告の徴収や資料の収集、立ち入り検査等が考えられる。 「調査に協力しない場合の罰則を設けるべきである」。調査を行う組織体制としては、 「地方厚生局の役割を重視した組織体制の構築が望まれる」と書いております。  大きな5番は「医籍の登録事項について」です。最後の2行ですが、「再教育の修了 についても医籍の登録事項とすることが適当である」と書いております。  7頁の上から3行目、「仮に医師の処分歴に関し、外部の者が確認できる仕組みを設 ける場合」ということで、「医籍には処分内容のみならず、処分の原因となった行為な ど、処分理由も併せて記載する必要があると考えられる。その際、処分の原因となった 行為を詳細に記載することは現実的ではなく、刑事処分上の罪名を基本としつつ、一定 の付加的な情報を記載することが適当である」と書いております。  大きな6番は、「再免許等に係る手続きの整備」です。第2パラグラフの下から3分 の1程度のところから「現行では」ということで、「再免許の付与についての判断基準 は定められていない。再免許交付の可能性を申請者が判断できるよう、再免許の付与の 可否を判断するための目安となる基準を作成し、公表する必要がある」としておりま す。  最後のパラグラフで、現行の医師法では、再免許付与が可能となるまでの期間が明記 されていないということですので、最後の2行で「再免許付与のための条件の一つとし て、免許取消処分から最低経過期間を医師法に明記すべきである。この場合、免許取消 処分から最低経過期間については」ということで、このパラグラフの最後で「5年間と することが適当である」と書いてあります。  行政処分の回避目的による免許自主返上への対応ということでは、結論部分で「行政 処分に係る手続が開始された場合には、免許の返上ができないこととすべきである」と しております。  最後の大きなところで、7「国民からの医師資格の確認方法等について」です。ま ず、医師の資格の確認方法について書いております。下から5行目のところに現行での ことが書いてあります。「国民から医師資格の確認の照会を受けた場合、現行では、氏 名、生年月日、医籍登録番号の3つの情報がそろった場合に、医籍への登録の有無を回 答する取扱いとしている」。9頁で、これについては非常にケースが限られるというこ ともあり、何らかの改善を検討する必要があるということで、「具体的には、3つの情 報が全てそろっていなくても、例えば氏名だけでも医籍の登録の有無を回答する取扱い とすることが考えられる」。この場合、非常に多くの医師の情報がありますので、「国 以外の団体を活用することを検討する」という議論もありました。  処分歴の公開については、「医師の資格確認にとどまらず、医師の過去の処分に関す る情報の公開についても議論を行った」ということで、この後に議論の経過を書いてお ります。  いちばん最後の2行に「以上の諸点に鑑みると」ということで、「国民に安心・安全 な医療を提供する観点から、処分歴の一定程度の開示が必要であり、その具体的方法に ついて検討を進めるべきである」。例えばということで、医療機関の管理者に対して、 処分歴の情報へのアクセスを認めるというようなことが考えられるが、この仕組みの検 討に当たっては、いろいろ留意する点があるということです。  特に留意すべき点ということで下に書いてあります。このパラグラフの最後のところ で「医療機関からの処分歴の確認に対応できるだけの体制の整備も必要である」という 議論もありました。そして最後に、「処分歴は個人情報として慎重な取扱いが求められ るが、一方で、安心して医師にかかりたいという国民の声があるのも事実である」。こ のようなことから、「安心・安全な医療を受けたいという国民のニーズに応える仕組み について、引き続き検討を進めていく必要がある」という形で書かせていただきまし た。 ○樋口座長  このたたき台案を軸にして議論を進めていただきたいということなのですが、総体的 に見て7の「国民からの医師資格の確認方法等について」という、国民への情報公開の 問題というのをもう少しご議論いただいたほうがいいかと考え、本日はそこから議論を スタートさせていただきたいと思います。  最初の自己紹介のときに、私は一体どういう立場かというと、たまたま法律を勉強し ているということですが、ここには行政法を専門とする宇賀委員にも入っていただき、 法律家も何人かいらっしゃっていただいております。懲戒処分ということになると、ど うしても法的な話になりますので、そのときに日本の中で数々いろいろな種類の専門家 といわれる人がいるわけですけれども、代表的な専門家といえば弁護士と医師だという ことになります。それぞれについて制度の仕組みは違うのですが、この2つの職業がい わゆる専門的職業で、専門家責任がまず問題になるときには、この2つが相比較して問 題になるということをいちばん最初に私は申し上げました。その比較検討という視点 も、もしかしたら有益かもしれないということを申し上げました。  この情報公開の点についても、弁護士のほうはどうなっているのかという点について 私は関心がありましたので、事務局のほうで調べていただきました。これは参考資料の 部分になると思うのですが、いま弁護士のほうはどういうことになっているのかについ て紹介していただきます。 ○事務局  資料の11頁に参考資料1ということで、ホームページのプリントアウトを付けており ます。これは日本弁護士連合会のホームページで、こちらのホームページのサイトの中 で、弁護士の情報検索というところがあります。ここをクリックして開けると、11頁の ような画面が出てまいります。  最初に出てくるのは、11頁の検索画面です。このような検索画面に必要な会員区分、 登録番号、氏名、性別などすべてを入れる必要はありませんが、一定の情報を入れて検 索をクリックします。そうすると、それに該当する方の情報が出てまいります。  12頁はワンステップ飛ばしているのですが、最初に名前と番号だけ出てきますので、 そこをもう一回クリックすると、12頁のような画面が出てきます。こちらに出てくるの は、氏名と性別、上にあるような番号や弁護士会などが書いてあります。それと、こち らには事務所情報ということで、事務所の情報も書いてあります。  今度は、別な方の情報をクリックしたものが13頁です。これも同じような形で出てき ますが2点違うところがあります。最初に現旧区分というところに業務停止と書いてあ ります。氏名、性別の下に懲戒とあり、業務停止2005年07月04日〜2007年07月03日まで という形で懲戒の部分が公開されている状況です。こういう懲戒の情報については、業 務停止の期間が終われば抹消されて全く出てこないようになります。このような状況 で、弁護士の資格についての確認が行われているということです。 ○樋口座長  以上のような説明を伺うと、弁護士についてはインターネット上の情報ですから誰で もということです。例えば、樋口範雄というのを検索するとパッと出てきて、事務所情 報まで入っているというのは、弁護士にとっては便宜なことなのでしょうけれども、そ の上に処分の関係でいうと業務停止処分を受けている間は、業務停止になっていますと いうことまで公開されているということのようです。  これが直ちに参考になるかどうかというのはあるのですけれども、この検討会の議論 でも、国民に対する情報公開というので、いちばん初めは医師であるかどうかの確認の 話があり、先ほどのたたき台のところにもありますが、さらに加えて行政処分というの は公的な処分ですから、公的な処分についての情報まで公開することがどうかというこ とがありました。有力な議論としては、少なくとも医療機関は知る必要はあるのだろう かというお話があったと思います。弁護士のサイトだと、既にこのような扱いまでして います。この点をどう考えたらいいかということです。これは、本日のたたき台案の中 には盛り込まれていなくて、さらに一歩先を行く、というのがいい表現なのかどうかよ くわからないのですが、そういうものであります。  このような資料を参考にしながら、7の国民への情報公開というものについて、どの ような形でこの報告書の中で取りまとめることができるかについて、ご意見を伺えれば と思います。 ○齋藤委員  いまの弁護士連合会のホームページについて伺います。いつごろからこういうことを 始めているのかということと、何人ぐらいのデータを出しているかということ。これ は、当然仕事場所は変わりますから、どのぐらいの頻度でアップデートしているかとい うことがわかりましたら教えてください。 ○事務局  いつからかについては、いますぐには分からないのですが、弁護士の情報は2万人全 員のデータが入っています。 ○齋藤委員  2万人ということは、医師の10分の1以下ですね。 ○事務局  ちゃんと確認しなければいけないのですが、我々が認識しているのは本人からの申請 であの中身を作っているのが大部分ですので、申出があったときに変えるという形にな っているのではないかと思うのですけれども、これは確認が必要です。 ○岩渕委員  国民にとってみれば、これが利便性はいいと思います。インターネットを使えない国 民がどのぐらいいるかという問題が残ることは残るのですが、少なくともこういう形で の情報ツールというのは絶対に必要だ、ということは言えるのではないかと思います。 どのような形になるにせよ、このような形で国民への情報提供というのは是非考えてい ただきたいと思います。  その場合に、こんなに詳しいところまではなくても、例えば事務所情報とか、リアル タイムでどんどん変更していく手間というのは、少なくとも、さほどかけないような形 でもいいと思います。いちばん最初に出たのは、医師であるかどうかの確認の話、それ から処分歴というのがいま出ていますが、最大その辺まででいいのではないかという気 がしないでもありません。  医師のほうから、もっと詳しい情報を提供しても構わないという意見があれば、たと え個人情報でも知りたいというのが国民の側の希望でありますので、検討するのはやぶ さかではないと思います。 ○寺岡委員  これはインターネットに載せているだけではなくて、電話質問などにも答えているの でしょうか。 ○事務局  はい。 ○寺岡委員  本人が、どうしても載せるのはいやだと言ったときにはどうするのですか。これは、 強制的に載せているのですか。その辺のところがポイントではないかと思います。 ○事務局  そうですね。 ○樋口座長  これは、すべての人について載せているのだと思いますが、はっきり確認する必要は あるかもしれません。 ○寺岡委員  すべての弁護士についてかどうかね。 ○樋口座長  はい。 ○寺岡委員  あと関係があるのは、研修を修了したかどうかという情報に関してですが、これは医 業停止がなくなったら消える、処分期間が終わったら消えるということですが、弁護士 には懲戒というのもあるのですか。 ○医事課長  弁護士の戒告という処分はあります。 ○寺岡委員  戒告もあるのですね。先ほどの説明だと、処分期間が終了したら消えるという説明で したね。 ○医事課長  はい。 ○寺岡委員  それが1つのポイントだと思うのですけれども、研修が終わったかどうかということ が必要なくなってきてしまいますね。 ○医事課長  弁護士は、懲戒処分で停止になった後、再教育というのはないです。いま、ここでの 議論は、再教育を義務づけて、医師法上書きましょうとなっております。弁護士のほう は、期間が過ぎれば、そのまま当然のように落としているわけですが、例えば医業停止 が終わった後、再教育が終われば落とすとか、再教育が終わっていない人はずっと載せ ておくということは法律上の決めであり得るのではないかと思います。 ○樋口座長  いまの寺岡委員の質問に関係すると、弁護士会の場合は、戒告までは出てこないので すか。 ○医事課長  出てこないです。 ○樋口座長  いちばん初めに国民が何を知りたいかというと、いろいろな国民がいるので本当はわ からないのですけれども、いちばんベーシックなのは、樋口なら樋口というのは本当に 医師なのかどうかという話です。それが医師であることを確認するという話と、医師の 資格は持っているけれども医師としての業務はできないという話ですね。医師の資格が あるかどうかではなくて、本当に医師としていまやれる人なのかどうかということを知 りたいという話になると、業務停止処分というのは、そういう形で関係し、再教育を修 了するまでは実際にはやれないのだということが分かるという意味では、一本の線でつ ながるような話なのかもしれません。  弁護士会は、どういうことで、どこで線を引いているのか分からないのですが、弁護 士を頼もうと思ったときに、この人は業務停止処分になっているのだということなら頼 めないわけです。そういう人かどうかということのチェックというのは、弁護士資格だ けではなくて、いま頼めるかどうか、いま仕事ができるような弁護士なのかどうかとい う点だけの情報は、こういう形で広く公開するということであれば、いちばん最初の医 師の資格の確認について、国民の方々に情報を提供するというところからは、そう大き く外れていないような話なのかもしれません。戒告などは別の話だからということがも しあればということです。  弁護士資格が剥奪されていれば、ここには全然出てこないのでしょうね。除名になっ てしまっているのだから、弁護士資格はないですね。それは、医師の場合も免許が剥奪 されていれば同じように出てこない。業務停止処分で、再教育の修了に至っていないと いう情報だけがこういう形で出てくるというのであれば、いちばん初めの基本線からは そう遠くないような、しかし国民への情報公開について従来よりずっと進んだ話になる のかもしれませんが、そこはいろいろ異論があるかもしれません。 ○岩渕委員  いま座長がおっしゃった、最後の案のところがいちばん妥当だろうと思います。再教 育が終わっていないという場合には、やはり継続してその旨を掲載しておいて、再教育 を受けるインセンティブといいますか、そういう役割を果たすこともありますので、そ のような形でやるのがいちばん筋の通っている妥当な解決策と思います。 ○相川委員  医師の情報公開の方向性としてはよろしいと思うのですけれども、確認させていただ きます。戒告という新しい類型を作るという前提にすると、どこまでインターネットで 公開するかというところの議論だと思います。弁護士会の例を見ますと、業務停止とい うことが書いてあると、実際にはこれを見なくてもその弁護士に業務を頼むことはでき ないはずです。もし、業務停止期間中の弁護士に業務を頼んだとして、その依頼を弁護 士が引き受けたとすれば、業務停止中ですから何らかの規則で違反になります。  これと同じように、医師の業務停止期間中に、この人に診療を頼んでいいかどうかと いうこと自身は、既に規則の上で頼めない仕組みにはなっているのだと思うのです。国 民が何を知りたいかというと、自分が数年前に手術をしてもらったドクターにもう一回 かかろうとしたら、そのドクターはそこの医療機関にはいなかった。医療機関で示され ているリストの中には、その医師の名前がなくなってしまっている。その先生にかかり たいと思ってインターネットで調べたら、医業停止何カ月ということが表示されてい る、というところが実際の具体的な例なのかと思うのです。その先生にはかかれないか ら、どこかにかかろうということがある。  もう1つの例は、戒告まで入れるかどうかという議論に関係するかと思うのですが、 戒告の場合には、医業はしているわけです。再教育を受けている間でも、医業はしてい るわけです。国民としては、戒告処分を受けて、いま再教育期間中の医師かどうかとい うことを知って、この医師は避けておこうというようなことの情報も実際には大事で す。医業停止の情報をつかんでも、その人には実際診療を受けられないということです から、過去の事例に関しては有用な情報であっても役には立たない。ですから、戒告の 情報を入れるかどうかということで、これは厳しすぎるという意見もあるかもしれませ んが、ここで議論しないと、実際に公開してもあまり現実に受診するかどうかの判断に は役立たないのではないかと思います。この情報が、ある医師に受診するかどうかとい う判断以外にも使われることだと思いますが、大事なことはその辺かと思います。 ○寺岡委員  先ほどの弁護士会のスキームを参考にするならば、医業停止になっているかどうかを 見るのがいちばん主な理由かどうかというと、本当はそうではないと思うのです。そう ではなくて、先生がその病院にいなかった、それではどこへ行っているのか。まず、業 務停止になっているかどうかを考えるのではなくて、次はどこの医療機関に勤めている のかということ。患者が高い信頼を置いていて、どうしてもその先生に診てもらいたい と思うならば、次の医療機関を探すことに利用するというのが、本来ポジティブな使い 方であって、業務停止かどうかということを最初に思うというのは、少し重点の置き方 が違うのではないかと思います。もちろん、最後の砦として業務停止になっているかど うかということもきちんと書いてある、ということではないかと思います。そこの重点 の置き方を私なりに申し上げておきたいと思います。  もう1つは、戒告をこれに挙げるかどうかということに関しては、もちろん戒告も載 せるべきだという意見もあるかもしれません。一方では、戒告というのは業務停止とは 明らかに違うわけです。一定の注意は与えられたけれども、しかし法的には医療を行っ てもいいわけです。そういう人たちの権利ということもありますから、それを軽々にこ こで、短い間にせよ載せるかどうかということを決めるというのは拙速ではないかと思 います。これに関して、もし議論が必要であれば、今後の議論と原案にも書いてありま すし、議論していただいたらいいのではないかと思います。  私自身の考え方は、たとえ戒告という注意を受けても、一定の再教育を受けて、それ だけの義務を果たした人に対して、いつまでもその人にバッテンが付いているというこ とは問題がありはしないかと思います。権利という意味で問題がありはしないかと思い ますので、それはもう少し別の視点で考えなければいけないのではないかと思います。 現時点ではそのように思います。いずれにしても、いま、それの結論を出すことは難し いのではないかと思います。 ○蒲生委員  国民に対して、医師あるいは歯科医師の資格を確認する方法を公開することは原則と して必要だろうと思います。ただ、いま弁護士の問題が比較の対象になっております が、基本的に医師・歯科医師と、弁護士は違うところがあります。弁護士は、弁護士活 動をしようと思えば、弁護士会に登録して、そこで初めて弁護士活動ができるわけで す。ところが、医師・歯科医師に関しては、医籍登録をしているからといって、必ずし も医師会、歯科医師会に入っているとは限らないです。  医療行為、医療活動というのは、必ずしも会に所属しなくても、資格を持っていれば できるわけです。弁護士というのは、弁護士会に入って登録をしてからでないと、弁護 士活動ができないという大きな相違があります。したがって、それを同一に弁護士会が こうやっているからこうだ、あるいは日弁連がこういうホームページを立ち上げている からこうだということと同じような組織として考えることはいかがなものかということ です。ただ、寺岡委員がおっしゃるように、別のグラウンドでこのことは十分議論すべ きだろうとは思います。 ○寺岡委員  再確認しておきますけれども、弁護士会でも戒告は載せないのでしょう。 ○医事課長  戒告は載せていないです。 ○宇賀委員  情報提供ですが、日弁連には『自由と正義』という機関誌があります。『自由と正義 』は、形式的には日弁連の機関誌なのですが、市販されています。法学部の図書館であ ればまず置いてない所はないというぐらい広く読まれている雑誌ですが、戒告について も日弁連の規定に基づいて『自由と正義』には載ります。 ○樋口座長  医師についても、戒告処分が法制化されれば、戒告処分をしたときには何らかの形で 公開される、というのは行政処分だから当然のことだと思います。医師の場合は、官報 か何かなのでしょうか、何らかの形で公開されると思います。 ○医事課長  官報には載せていませんけれども、いま行政処分を受けた方については、資料として マスコミにも公表しております。 ○樋口座長  なかなか難しい問題であると思うのですが、もう少しご意見をいただけませんか。 ○岩井委員  戒告を受けた人が再教育を受けることを義務づけるためには、やはり受けない人に対 する何らかの制裁が必要です。そのために医籍などに再教育を修了したかどうかという ことを載せるということの話があったのではないでしょうか。そうすると、戒告を受け て、まだ再教育を修了しない間はそれが医籍に残るということが、再教育を受けるとい うことの担保になるのではないかと思います。 ○樋口座長  蒲生委員がおっしゃるように、単に医師と弁護士というのが代表的な専門家だから、 すぐに横並びでいいかどうかというのは、それぞれ機関の構成が違いますから、そうい う点も一方ではあります。一方、弁護士のほうは、医師にすり寄ると言うといけないと いうか、言い方の問題になりますが、いま法に関する制度改革というのがいろいろな形 でずっと行われていて、試験制度から何から見直されています。  その一環で法科大学院が立ち上がって、いまは26万人と2万人という話でしょうけれ ども、少しずつ弁護士も増やしていこうという国レベルの検討会の報告書が出て、それ に基づいて改革が行われているわけです。そのトップのところで、弁護士をどういう形 で位置づけているかというと、国民の社会生活上の医師になろうというのです。それと 同じような責任を持つ存在として、それから国民にもっと身近な存在として弁護士を位 置づけていこうという話があります。  国民が困ったときに、身体で困ったときに医師、それ以外の社会生活上いろいろなト ラブルに巻き込まれたときには弁護士という、頼りになる専門家という点ではパラレル に考えられる部分も相当大きいのではないかと思っています。 ○齋藤委員  医師と弁護士の比較の話が出ていますが、私の感じとしては、国民の利用頻度からい うと医師のほうが断然多いわけです。一生のうちで弁護士に相談しない人のほうが大部 分です。医師・歯科医師のほうはそれだけ身近ですし、もちろん弁護士は専門職業人と して非常に重要だとは思いますけれども、やはり人間にとって健康のほうが重要だと思 います。そういうことを考えると、弁護士よりも厳しくするのが当然だと思います。 ○宇賀委員  国が持っている医師に関する情報を国民に提供するかどうかということを考えるとき に、まず基本になるのは行政機関情報公開法だと思います。この法律では、開示請求を 受けて開示するわけです。そもそも、そこで不開示情報に当たれば開示されないし、積 極的な能動的な情報提供もできないことになります。逆にそこで開示されるものであれ ば、請求者を問わないで、何人からあった開示請求でも出すわけですから、当然国民一 般に広く情報提供することができるし、また行政機関情報公開法の中にも、受動的に開 示請求を待って出すよりも、能動的に出すべきだということが書かれていますので、ま ず行政機関情報公開法の不開示情報に該当しないかどうかという点の確認が基本になる のではないか。  そこから考えると、医師の資格というのは、確かに個人情報としての側面は持ってい ます。しかし、その人が医師であるかどうか、あるいはその人が医業を行うことができ る立場にあるかどうかというのは、まさに国民の生命や健康にかかわることであって、 行政機関情報公開法第5条第1号の個人情報の中に但書のロで、公益上の義務的開示と いう規定を置いているわけです。そこでは個人が識別される情報であっても、国民の生 命、健康、財産等を守る利益のほうが優越する場合には、何人に対しても開示しなけれ ばならないというふうに開示を義務づけています。  医師としての資格を持っているかどうか、偽医師でないかどうかということの確認 は、まさに公益上の義務的開示に該当すると思いますし、その人がいま医業停止処分を 受けていないかどうか、それはまさに公益上の義務的開示がされる場合だと思いますの で、何人に対しても公開されるものです。それを能動的に情報提供するというのは、行 政機関情報公開法の精神に則っており、望ましいことだと思います。  まず基本として、座長が最初に整理された部分は、積極的に情報提供すべきだろうと 思います。問題はその先の部分です。そこで戒告まではどうするかという辺りは、もう 少し議論する必要があると思います。座長がおっしゃる基本的な部分は、何人でも開示 されるべき情報ですから、そこは情報提供ということで問題ないのではないかと思いま す。 ○樋口座長  これは、制度設計の話にもなるのですけれども、弁護士の例ですぐわかるのは、業務 停止処分ということであれば、いまはできないという情報だけです。とにかく、いま医 業ができるかどうか、あるいは弁護士業ができるかどうかというだけの判断の情報です ので、それは理由を問わなくてもいいわけです。この報告書のどこかの部分で書いてあ りましたけれども、同じ業務停止処分でも、あるいは戒告でもそうですけれども、どう いう理由であるかというのは非常に大きな話になります。もし戒告ということまで載せ るということになると、制度設計の問題として、どういう理由で戒告されたかという話 がないと。  例えば医師が大きな交通事故を起こして、そういうのが戒告になるのかどうかは別の 問題ですけれども、そういう話だとこの医師は医業のところでは全く信頼できる人かど うかということの判断の、つまり単に戒告で再教育中だという情報だけでは不十分なこ とになるので、制度設計というか、その立ち上げ方が難しくなるような感じがします。  先ほど言ったように、いま医師として働ける人かどうかという話になると、医師の資 格があるかどうかという話とまさにリンクしていますので、業務停止処分中であるとい うだけの話であれば、それは非常に正確な情報でもあり、一つの筋に沿っているという ことはあるのかと思っています。情報提供でシステムを立ち上げるときに、あまりいろ いろなことで悩む必要はなくて、簡便にできるかと思っています。  もう一点それに関連があるのかどうかわからないのですが、齋藤委員から、弁護士の 数はどのぐらいですかという話が最初にあって、2万人程度だということでした。これ から増えていくでしょうけれども、日弁連のホームページの中で立ち上げてやっている というのは、データベース化の話と関連しているので、2万人が26万人でこういうデー タベースを作るのと、あるいはそういう話で事務量とか、制度設計のところでどの程度 の落差があるのか、現実的な話ではないのかどうかという点について事務局のほうで感 触があれば教えてください。 ○蒲生委員  歯科医師が9万人いますので、35万人ぐらいになります。 ○樋口座長  そうですか、それではプラスして35万人ということですね。2万人対35万人というこ とですが、いかがですか。 ○医事課長  いままで、医籍とか歯科医籍というのは紙で管理しておりましたので、非常に手間だ ったと思います。いまは医籍も歯科医籍も電子化を進めておりますので、そういう電子 化が進めば、仮にこういう情報を一般に公開して、それを誰でもが引けるようにすると いうことであれば、もちろんそのプログラムを組むとかいろいろなことはありますけれ ども、事務的には必ずしも不可能なわけではないと思います。 ○樋口座長  これは、一旦立ち上げても、情報のアップデートは必ず必要です。業務停止処分でい えば、業務停止処分が終了しただけではなくて、医師の場合には再教育までちゃんと修 了しましたと。それがあって、弁護士の例に倣うのなら、その情報をインターネット上 から消すということになります。そういうことは簡単なことなのでしょうか。それか ら、きちんとやれるかどうか、不正確な情報が伝わって、いろいろな点で迷惑がかかる と困りますが、そういう点は大丈夫なのですか。 ○医事課長  いまでも、結婚して姓が変われば、その部分の訂正をするというものはあります。再 教育については、前回いただいた報告書によると、再教育の修了の認定というのは国が 行うことになっておりますので、その認定の際にそれをやるということについては、通 常の業務だと思います。  これが、再教育とか処分がたちどころに数千件、数万件というものではないと思いま すので、むしろ、個別に行政で対応するというよりは、個人がそれぞれ何らかの形でア クセスして見るほうが、行政の業務としてはそちらのほうが軽いと思います。 ○相川委員  ついでに質問ですが、仮に事務所情報に相当する現在の医療機関の情報等も入れると すると、2年に1回12月末での厚生労働省への医師の届出の情報をこれに使う可能性が あるということでしょうか。 ○医事課長  いまおっしゃったものを、もし仮に書くとすればすごい手間になります。弁護士と比 較しても、医師の異動というのははるかに頻繁だろうと思います。それをアップデート するのは極めて大変だと思います。 ○相川委員  そうすると、公開する情報の範囲によって、どの基本的なデータベースを使うかとい うことも大きな問題になります。先ほど話があったように、いまこの医師はどこにいる のだろうか、例えば昔手術していただいた医師にかかりたいけれどもというようなとき に、参考になると思うのです。しかし、そこでこの医師はいますと言っても、現在の勤 務場所に関しては、先ほど言った2年に1回の医師の届出情報を使わなければわからな い可能性が出てきます。使っても2年に1回だから、その間に移っている可能性はある ということです。 ○医事課長  いまどこに勤めているかというところを入れるというのは、先ほど宇賀委員もおっし ゃったように、それがどこまで法律的に適応するのかということもありますし、それを フォローしていくとなると、いまの医籍には勤務先は入っておりませんので、それをや るとすると事務的には大変なことになると思います。 ○寺岡委員  7番の「国民からの医師資格の確認方法等について」の議論は、座長の言うとおりで すからまずやることは非常に大切だと思います。いみじくも座長が制度設計とおっしゃ いましたけれども、戒告処分の基準とか、どのような内容にするのかということがまだ 議論されていないわけです。それが議論されないままで、戒告処分という一般的な概念 で、それをどのように扱うのかということに踏み込んで議論するのはなかなか難しい面 もあるので、その辺のことも一応指摘しておきたいと思います。そういう議論も今後必 要ではないかと思います。 ○樋口座長  宇賀委員に質問します。先ほど宇賀委員は明快に、例えば私が医師であるかどうかと いうのは、個人情報であると同時に、公益に関する情報なので当然開示という話でし た。かつ、いま私が業務停止処分を受けているかどうかという点も同じことで、そこま では情報公開法で請求が来れば当然開示しなければいけませんし、もし開示しなければ 不服申立で、上の審査会ではねられるようなことであろうと明快にお話をいただきまし た。  例えば、私が戒告処分を受けているというデータはどうなのでしょうか。まず法律論 ですけれども。 ○宇賀委員  その辺りになると微妙になってきます。1度戒告を受けて、それが未来永劫ずっと個 人情報として保護されないかというと、必ずしもそうではありません。いまも公務員に 対する懲戒処分などがホームページに載ることがあります。通常ある程度の期間で消し ます。ただ、社会的に非常に関心が高いものというのは長い間載せているものもありま すけれども、多くの場合はある程度のところで削除しています。  現在、内閣府の情報公開・個人情報審査会の考え方も、そういう懲戒処分を受けたと きに、もちろん事案の性質や懲戒の程度ということもあるのですけれども、一定期間は アカウンタビリティのほうがプライバシーよりも優先して公開されるべきだろうという ことです。  ただ、いつまでもということではなくて、やはり時の経過とともにプライバシーの要 請のほうがアカウンタビリティの要請よりも高まってくることがあり得るということ で、ある一定のところで線を引いています。相当の期間が経過すると、プライバシーを 尊重して個人情報として保護する。しかし、それまではアカウンタビリティのほうを優 先させているということです。  今度の戒告の制度設計が、いま寺岡委員が言われたようにどのようになるかというの は固まっていないのですけれども、仮に戒告に再教育がプラスされることが義務づけら れた場合、再教育が修了するまでは戒告の部分を公開しておくというのが、公益上の義 務的開示という線からいくと、いい線なのかという気がします。再教育が終われば、開 示請求があってもプライバシーのほうを優先して公開しない。その辺りが、アカウンタ ビリティがプライバシーに優先する線引きとしてはいい線なのかという気がしていま す。 ○樋口座長  いまのお話は、情報公開請求があった場合の話ですね。だから、積極的にディスクロ ージャーといいますが、積極的公開の制度設計を作る話とは議論が別で、委員の方々か ら弁護士より厳しくきちんとやるべきだというのか、あるいは戒告について国民の需要 が高いのではないか、というご意見も医師のほうから一部ありました。そこは、制度設 計としてどうするかというのは、別の問題だと考えてもよろしいのですか。 ○宇賀委員  そうですね、確かに公益上の義務的開示ということを考える場合、弁護士と比較した 場合、医師のほうはまさに国民の生命・健康にかかわってきます。弁護士のほうは主と して財産です。確かに公益上の義務的開示の規定には、生命・健康だけではなくて、財 産や生活ということも書かれていますけれども、被侵害法益としての重要性という面か ら見れば、生命・健康のほうが重要ですから、公益上の義務的開示の要請という面から 見れば、齋藤委員がおっしゃられたように、むしろ医師のほうが弁護士よりも高いのだ ろうと思います。 ○相川委員  いまのお話は、情報開示に関して請求があった場合と、請求がなくても、例えばイン ターネットで誰でもアクセスできるところに載せる場合とについて、戒告が議論されて います。もちろん、先ほどのように戒告自身をどのようにするか、まだ決まっていない のにどうするかという議論もありますが、そこまで話が来たので言わせていただきま す。  先ほど、私が戒告は国民が知りたい情報の1つではないかと言った背景には、それは 請求して知りたい情報でないかと思います。国民が興味本位に、自分の医療には直接関 係のない医師についてずっとインターネットを見ていって、この医師は戒告を受けてい る、この医師は受けていないというようなことになるような可能性もあります。  一方、国民としては自分がこれからかかろうという医師、あるいはかかっている医師 について、安心のために情報を請求するという立場。請求するという立場では、私は戒 告は国民にとって非常に知りたい情報だと思いますが、それをインターネットの場面で 積極的開示をするかどうかとは別の話で、その辺も慎重にしないといけないと思いま す。 ○樋口座長  この7番目の「国民からの医師資格の確認方法等について」の部分について、いろい ろとご意見をいただいているのですが、この部分についてほかにいかがでしょうか。 ○齋藤委員  7番目の最後のところなのですが、処分歴について具体的なことは今後だとしても、 最後は「引き続き検討を進めていく必要がある」というのは、何となく弱いというか、 先送りというか、こういう検討会の報告書の決まり文句だと思うのですが、ここは国民 のニーズに応える仕組みを構築する必要があるということでは、原則的にはしていいの ではないでしょうか。最後を読むと弱すぎると思うのです。 ○岩渕委員  いまおっしゃっていただいて、国民の側から見ると、大変嬉しく力強い言葉でありま した。そういう意味で言いますと、国民のニーズに応える仕組みを構築する必要がある ということで、具体的には引き続き検討という形がいいとは思うのです。  それ以前のところで、積極的にどこまでアカンタビリティをしていくかにつきまして は、おっしゃられている意見の中にありましたように、具体的に制度設計がよくわから なくて、戒告というのは具体的にどのようなケースが該当するのか、私どももいまよく わからないような状況の中で方針を決めてしまうというのも、ちょっと性急すぎるかと いうこともありますので。そういう意味で言いますと、国民の要望に応えていくという 基本線を打ち出しながら、具体的な制度設計については単にこれから検討するというだ けではなく、例えば法施行後1年とか、年限を切った形で検討するぐらいが、かなり積 極的な姿勢も打ち出せるのではないかと思います。通常は3年となっていますが、3年 では少し長すぎるような感じもするので。 ○宇賀委員  意見ということではなくて情報提供だけなのですが、例えば行政情報をホームページ に載せる形で電子的に提供することについては、政府内で基本的な考え方が申合せされ ています。どういうものを出すか、国民生活に必要な情報や政府の基本的な計画などい ろいろあるのですが、その中の1つに情報公開法に基づく開示請求の対象に反復してな るようなものは、電子的に提供しなさいということが申合せされています。これがこれ に当たるかはこれからさらに議論を深めてということですが、情報提供として申し上げ ておきます。 ○樋口座長  この問題はまた後で帰ってくる余裕はあると思うので、今日の残りの時間を「検討会 中間報告書(案)」という、資料の1頁目に戻って、文言を見ていただいてご意見を伺 いたいと思います。これでは弱いとか、もう少し適切な表現があるのではないか、これ までの議論を十分に反映しているかがいちばん大事なわけですから、このような議論も あったのに抜けているというようなご指摘があるとありがたいと思います。順番にいこ うかと思います。1の「はじめに」ですが、これは総論のところなのであまりないかも しれませんが。 ○蒲生委員  全体的な書き振りについて少しご検討をいただきたいのですが、私は歯科医師の立場 ですので、行政処分というのは今回は医師・歯科医師が対象になっているわけです。こ れは委員方に申し上げるまでもなく、医道審議会医道分科会で審議されたものになるわ けです。そういう意味で「医師等」となっていますので、この標題はこれでいいと思い ます。  ところが、中にいろいろと入っている文言の中では、「医師」「医師会」あるいは 「医籍」というような言葉で、先ほどの数字も含めて基本的には医師が対象なのです。 ですから、全体的な捉え方の中で、当然歯科医師もここに入るのだということを1つご 検討していただかないと。例を挙げて大変恐縮なのですが、例えば苦情処理等を地域医 師会がやっているということでは、これは歯科医師会もやっているわけです。  医師法で再交付の問題も出ていますが、これは当然歯科医師法の中でも出ているわけ で、委員方には申し上げるまでもなく、法律的には医師法と歯科医師法が明らかに並列 してあるわけなので、そこの辺りのことはご勘案をいただきたいと思います。  ちなみに、行政処分を受けた医師に対する再教育に関する検討会の報告の中では、全 体の括りとして、再教育に関してですが「行政処分を受けた歯科医師に対しても必要で あり、医師と同様の取組が講じられるべきである」という2行を入れていただいたので すが、そういう形で全体にネットを被せていただかないと、とにかくこれだと医師だけ が対象だと受け取られる誤解があるといけませんので、ぜひご検討を賜りたいと思いま す。 ○樋口座長  処分を受けるような話であるにもかかわらず、歯科医師会を代表して、きちんとご発 言いただいて本当にありがとうございます。これは事務局のほうで本当に心しないとい けないですね、どうしてもそのようなことになりがちなので。蒲生委員からいただいた ことは、当然今後考えるとして、「医師の資質向上対策の1つとして云々」という、こ れは医師だけなのですかね、いまのお話ですとそうではないですね。「医師及び歯科医 師」ということで、そういうような表現の問題もありますが、それはいま承ったことに して、1頁目から2頁目でほかについていかがでしょうか。 ○寺岡委員  1頁目ですが全体の趣旨には特別に異論はありませんが、下から9行目で「来年に迫 った医療制度改革をにらみ、これまでの議論を中間的に取りまとめるものである」とな っております。これはそのような面もあるのですが、これは医療制度改革があろうがな かろうが、医師等の行政処分のあり方に関する検討は本質的に必要な議論ですから、倫 理的に、あるいはもう少し高い見地から基本的にこういったものが必要だということが あるから検討するのだという書き振りのほうが、少し格調が高くなっていいのではない かと思います。後段の「法律案に盛り込む云々」というのは、これはそのようなプロセ スですから、そういった文言は必要だと思うのですが、この辺はもう少し格調高く書い たほうがいいのかと思います。 ○樋口座長  おっしゃるとおりですね。何かほかの問題と絡んでというのは、この問題については 本質的にないわけですから、変にとられるのもどうかということはあります。  この最初の頁のところで、本報告書で結論が得られた課題についてはこういうこと で、もちろん結論がまだ十分に得られていない課題については今後とも議論をと、こう いう2つの括りなのですが。結局、後を読めばわかるということなのでしょうけれど も、6つの課題プラスアルファという話で、6つの課題のうち一応の結論をこれとこれ は出した、一応の方向性がはっきり出ていると、別の課題についてはまだ十分に検討の 時間が取れないとか、いろいろな事情があって十分な結論が得られなかった論点である ということが、クリアになる形のほうがいいですよね。  いちばん初めのところでクリアにするかどうかという問題があるのですが、こういう 報告書というのは読み方が難しい文書になっているケースもあるので。可能であれば、 これとこれについては一定の結論を出した、これについては議論をする必要があってと いう形のものが、どこかでもう少しクリアになるような書き振りがあったらいいかと、 読むほうとしては思いますが、いかがでしょうか。 ○医事課長  2以下の部分がきちんと確定すれば、書けるようになると思います。 ○樋口座長  そうですね、1は総論的な部分なので、具体的に2以下の部分ですが、2の「処分類 型の見直し」に関して戒告を入れると。それに伴っていろいろな問題があるということ です。この部分についての表現の仕方はいかがでしょうか。 ○宇賀委員  2頁のいちばん下から3頁にかけてですが、2頁の下から2行目の「なお」というと ころで、「行政処分と刑事処分は元来その目的を異にするものであり」と、これはまさ にそのとおりなのです。「同じ内容の刑事処分が課された行為について、行為の内容を 検討した結果異なる内容の行政処分を行うこともあり得る」とあるのですが、ここがわ かりにくいと思います。刑事処分と行政処分は、課される制裁の種類や内容が一致する わけはないわけです。刑事制裁として科されている懲役や罰金、これは行政制裁にはあ りません。行政制裁であれば、金銭的な制裁を科す場合であっても罰金ではなく、過料 等になります。戒告というのはもちろん刑事制裁にはなくて、行政制裁だけにあるもの ですから、内容が違うというのは当然のことなので、おそらくここで言おうとしている ことは、目的がそれぞれ異なるので、例えば刑事訴追はされなかったと、例えば起訴猶 予になったり、不起訴処分になったりという場合であっても、行政制裁が科されるとい うことは、これはよくある話なのです。実際上にはほとんど起こらないと思いますが、 理論的に言えば逆のこともあり得るわけです。それのことを言おうとしているのかなと 思ったのですが、この表現だとやや趣旨がわかりにくいように感じました。 ○樋口座長  そうですね。「刑事処分とは別個に」ぐらいに簡単にしたほうがいいかもしれません ね。「刑事処分とは別個に行政処分を行うこともあり得ることに留意する必要がある」 ぐらいで、そのほうが簡明かもしれないですね、そのとおりなのですし。 ○医事課長  いま委員のおっしゃったことは、1つに例えば刑事処分では同じ禁固半年であったと か、例えば罰金50万円になったという事案でも、行政処分は違うことは当然あり得るの と思うのです。同じ罰金50万円でも6カ月の人もいるし、1年の人もいるかもしれない ので、そういうことも入れたいと思って書いたので、よけいにわかりにくくなったのか と思います。1つの文章の中にいろいろなことを入れようとしましたので。 ○樋口座長  2人の医師がいて、同じ刑罰だけれども、行政処分としては別個になることは当然あ り得ると、そういう趣旨ですか。 ○医事課長  はい。それから、例えば刑法上の処分としては懲役6カ月と罰金50万円だと、懲役6 カ月のほうが当然重いのですが、行政処分としてはこっちが重いこともあり得ます。医 師としての倫理がより問われるものがあれば。そういうことも含めて考えていたもので すから。 ○樋口座長  文ですが、2頁のいちばん下の行の「同じ内容」というのは処分の内容ということで すか、それとも処分の対象となった行為ということですか。 ○医事課長  同じ内容の刑事処分といったときは、罰金50万円とか懲役6カ月とイメージしていま した。 ○樋口座長  処分についての内容ということですね。 ○医事課長  はい。 ○樋口座長  次の頁の上に「行為の内容」という言葉が出てくるのですが、この行為の内容という のは処分の対象になった行為のことですか。 ○医事課長  そうです。 ○樋口座長  「内容」という言葉が、刑事処分の内容と、その次の行は刑事処分の対象になった行 為の内容ということですね、そこで私は少し勘違いしてしまったのです。この内容とい うのは別のことを言っているわけですね。 ○医事課長  「内容」というのが3つも出てくるので。 ○樋口座長  「異なる内容」と、これは行政処分の内容ということですか。 ○医事課長  はい。 ○樋口座長  わかりました。この辺の書き振りも、小さなことですが「刑事処分を科す」場合は科 刑の「科」かもしれません、刑事処分については。民事ですとこれでいいのですが、ま あ、これは小さなことですが。2の部分ですがほかにいかがでしょうか。 ○岩井委員  3頁の真ん中のほうで、「再教育を受けない医師等については、罰則を設けるなど、 何らかの形で医業に関わることを制限できるようにする必要がある」とありますが、こ の罰則というのは医師法上に罰則を設けるということですか。 ○樋口座長  この再教育を受けない場合と。 ○医事課長  医師法上に設けることを考えております。 ○岩井委員  刑事罰ですか。 ○医事課長  はい。 ○樋口座長  例えばどのようなことになるのでしょうか。これは前回までの議論で、再教育をきち んと義務づけようと、義務違反に対しては制裁という話で、何らかのものをということ になるのですが。罰則を設ければ医業に関わることを制限できるという、ここの書き振 りなのですが、例示でいいのですがどのようなことを考えられますか。 ○医事課長  条文上「再教育を命じることができる」と書いてあって、後ろのほうの罰則のところ で「第何条の命令に違反した者については罰金いくら」と書いてあれば、そこで罰金刑 になれば、医師法上、罰金刑以上の刑に処せられた者については医道審で処分すること ができるという規定がありますので。 ○樋口座長  さらに処分ということになると。 ○医事課長  さらに処分するということが可能になると。 ○事務局  医師法で6章に罰則の規定がありまして、具体的な書き振りとして、何条に違反した 者はどうこうという記載があります。それにある程度合うような形で書くことは考えら れるかと思っています。それが、いま課長がご説明した内容です。 ○寺岡委員  これは今後の制度設計で議論されるのかもしれませんが、一般的に戒告というのは期 限は決められているのですか。 ○宇賀委員  ないです。 ○寺岡委員  期限は決められていないですね。ですから、再教育を行うか行わないかが、ある種の 期限にかかわる項目になりますかね。 ○宇賀委員  戒告は期限は全く関係ないのですが、それと再教育がセットになりますと、再教育と の関係で期限の問題が出てくると思います。 ○樋口座長  戒告受けました、再教育は嫌だと突っ撥ねると、それで先ほどの規定が適用されても う1回処分ということになって、戒告を受けて再教育も嫌だというのでは、戒告を受け ても全然反省していない奴だというので、さらに上の処分で、例えばそれが業務停止み たいな話になれば、罰則と違って、何らかの形で医業に関わることが制限できるように なると、こういう構造になるのですかね。 ○宇賀委員  いまの点はわかるのです。確かに再教育を義務づけて、その義務に違反する者に対し て罰則を科すと、それが次の処分に結びついていくということで、間接的にそういう形 で医業の制限につながってくるというのはそのとおりですし、わかるのです。しかし、 罰則そのものは間接強制としての機能を持っているだけであって、罰則の威嚇によって 義務を履行させる面はありますが、それが直接的に医業の制限に結びつくわけではなく て間接的なのです。  ですから、最初にこれを読んだときに、罰則が直接的に医業の制限に関わるようにも 取れてしまうので、いまの点をもう少し詳しく書くか、あるいはここは罰則を設けるな ど、実効性を担保するための仕組みを考慮する必要があるとか、そのような形にする か、どちらかにしたほうがいいのではないかと思いました。 ○樋口座長  ほかの点ではいかがでしょうか。よろしいでしょうか。また後でお気付きになったこ とがあれば、いつでも戻ってきますので、次に3番で「長期の医業停止処分の見直し」 です。具体的にいうと、このところは5年という医業停止処分を課しているのですが、 それを3年、しかも法律の形ではっきりした期限を定めた形にしておいて、それ以上の ものは免許剥奪にする形で整理をしようということです。長期間の停止期間というの は、却って医師にとってもよくないようなことであるという判断なのです。あと表現の 問題もあると思います。 ○齋藤委員  いまの免許取消になる場合というのは、3頁の下に平成16年度では3年以上の医業停 止は1年間に3件とあります。そうすると先ほどの数字が35万人ですから、35万分の3 ですから、10万分の1以下なので、現実的には極めて稀ということでしょうか。 ○医事課長  そうですね。 ○相川委員  そのうち3年というのは3件のうち何件なのですか。 ○医事課長  3年を超えるケースですので、4年なり5年なりを。 ○樋口座長  3年を超えると書いたほうがいいかもしれません。 ○相川委員  3年を超えると書かないと。 ○事務局  以上です。 ○相川委員  そうすると、3件のうちで3年というのはどのくらいですか。後でいいです。 ○岩井委員  大体この書き振りで見ると、3年を限度にしようという提案に見えますかね。 ○樋口座長  ここに書いてありますね。「適正な医業停止期間の上限は3年程度とすることが適当 である」とはっきり書いてあります。いかがでしょうか。 ○岩渕委員  ここは全く問題ないのではないでしょうか。 ○事務局  先ほどの件ですが、3年以上という整理で、3年という方が1件です。 ○樋口座長  それを超えるものが2件あるということですね。 ○事務局  はい。 ○医事課長  数字のところは先ほど蒲生委員からのご指摘もありまして、歯科医師の部分も入れる と、これは医師の部分だけなので少し数字も増えますので、再度精査させていただきま す。 ○樋口座長  数字を出す場合は、数字が誤っていると何だという話になります。もしかしたら、岩 井委員は違うことを言いたかったのかもしれませんが、数字の問題で私も危惧している ところは、従来3年を超える5年程度の医業停止処分が実際に行われてきていて、この 報告書では「今後は適正な医業停止期間の上限は3年程度とする」と、これはデュープ ロセスでもあるので、法律でも一定の期間を定めてではなくて、3年までの医業停止処 分にすることができるという書き振りも法律の改正のところで考えられるわけです。そ れが、従来は5年ということもあったのに今度は3年になるのかという話になると、5 年と3年だけを比べると、今回この検討会で行政処分に対して緩やかな態度をとろうと しているのだ、という誤った印象を受けるのはいけないと思っているのです。  そういう意味では、ここの部分は表現も大切だし、ここに書かれている趣旨を理解し ていただくような努力が必要かと思います。わかりやすいところだけを取り上げて、5 年が3年になったという話で取り上げられるのは、ここでの議論の本意ではないと思い ます。なかなか難しいのかもしれませんが、素人目には何だという感じがあるのかもし れないので。 ○寺岡委員  そのことに関してですが、前にも言ったのですが、それと裏腹の関係にある言い方か もしれませんが、医業停止と免許取消は本質的に違う処分です。一方は医業に復帰する ことが前提になっていて、一方は免許が取消になるので、本質的に違います。長い医業 停止だから免許取消、その延長線上に免許取消があるという捉え方も誤解があるのでは ないかと思います。ですから、その年限の書き振りには両方の面があることを申し上げ ておきたいと思います。 ○相川委員  同じなのですが、いまの免許取消と医業停止のところで、私もいまのご発言のスタン スは非常に大事なことだと思っています。そうすると4頁の最初のパラグラフの書き振 りで、いちばん最後のところに「その処分理由により、免許取消となる場合があると考 えられる」とありますが、この辺の書き振りでもう少しわかりやすくなるのかというこ ともあります、これでもいいのかなとも思いますが。  そうしませんと、5年から3年になるということで、今回は軽くしたのではないかと 思われる。我々はそういうつもりは全然なくて、はっきりと処分の対象となるような内 容をよく検討して、医師を再教育して、国民の医療に役立てるところがありますから。 免許取消も実際にあるのだという書き振りで、その辺のところで誤解のないようにして もらいたいと思います。 ○寺岡委員  むしろいま言った軽くするという誤解がないようにするために、このように書いたの ではないですかね。 ○相川委員  そうなのですよね、これでわかればよろしいですね。 ○樋口座長  続けて4番はどうでしょうか、調査権限というのは実際に動き出したときは大変で、 「創設」と書くのは非常に簡単なのですが、創設した後にどうやって動くかということ です。この部分は2頁以上に及んでいるのですが、ここはいかがなものでしょうか。 ○寺岡委員  意見ではなく質問なのですが、5頁の中程のパラグラフの「その一方で」とあります が、「刑事事件とならなかった医療過誤等について処分を求める申立が70件を超えるな ど」云々とありますが、その申立というのはどういう申立なのでしょうか。 ○事務局  これは本当に一般の国民の方から、いまの状況では刑事事件になって、刑事の罪が科 せられれば行政処分という形になりますが、そうではない事案でも処分を求めるという ようなことで、具体的に申立があった事案が70件ということになります。それは厚生労 働省のほうでお受けしたものです。 ○寺岡委員  ほかのところでも書いてあったと思うのですが、一般国民からの申立や苦情には、内 容を検証してみるといろいろなものが含まれていると思うのですが、この70件というの はどのような内容というか、どのような検証を経て70件なのかをお聞きしているわけで す。 ○事務局  申立があった案件について70件ということです。 ○寺岡委員  何もかも全部含めて70件ということですか。 ○事務局  はい。 ○寺岡委員  こういう言い方は大変申し訳ない言い方なのですが、あまり根拠のないものも含まれ ているかもしれませんね。申立があれば件数に数えているわけですから。 ○事務局  基本的に事実関係があったなかったは関係なく、申立の数ということで70件というこ とです。 ○樋口座長  特定の医師の名前が挙がっていて、この人は許せないから処分してくれという内容な のでしょうね。 ○事務局  イメージ的にはそうです。 ○医事課長  非常に古いものもあれば、民事裁判等では勝っているような案件もあれば、民事でも 負けているような案件もありますし、ある意味で一切合切でということです。 ○齋藤委員  1年間なのか何年間なのかはわかりませんが、その70件というのは少ないのではない かという気もあるのです。というのは、医療についての民事裁判で医療者側が負けた場 合は民事では過誤が認定されるわけです。そうすると、その当事者の医師は戒告になる わけですか。 ○医事課長  いいえ。それは私どもは処分の端緒というのは、基本的には刑事事件につきましては 法務省から情報を得て、その後に都道府県等に調べていただいてやっているというのが 実態です。  いまの民事のお話であれば、民事については申立があれば受け付けている状況です が、それは民事の訴訟で争われたものが全て申立でくるわけではありませんし、ご承知 のとおり民事の裁判になっているものについては、非常に医師個人についてのもの、病 院に対してものなどいろいろありますので、あえて医師個人の処分を求めるというもの は、その中では限られている、そういったケースだろうと思っております。 ○寺岡委員  そうしますと、いまの説明ですと、要請が高まっているからそれに応えて云々という ことではなくて、いまの説明ですと検証が必要なものがいろいろとたくさんあって、だ からこそ調査をきちんとする必要があるのだという言い方なのですか。これですと、き ちんと調べろと言われているから調べるのだという言い方になるのですが、そういう面 もあるかもしれないけれども、一方では検証が必要なものがいろいろ入っていて、した がって内容を改めて調査する必要があるというものも全部含まれていると。 ○医事課長  いろいろな申立がありまして、非常に詳細なものもあれば、そうでないものもありま す。その中で優先順位をつけて調査をしなければいけないのですが、その中で実際に調 査をしようとしてもそれに対する障害がある場合があるということで、今回こういった 権限を設けたらどうかということです。いずれにしても、私どもは法律上医師の処分を 行うことが権限として定められていますので、それを実効性のあるものにするための措 置ということに尽きると思います。 ○樋口座長  そうですね、書き振りの問題ですね。 ○寺岡委員  別に反対しているわけではなくてやるべきだと思っているのですが、要請が高まって いるからということではなくて、本質的な言い方としてはきちんと調査をする必要があ るということだと思いますので、あえて申し上げました。 ○相川委員  確認ですが、「刑事事件とならなかった医療過誤」というところは、不起訴とか起訴 猶予とか、どのレベルを刑事事件とならなかったと定義しているのでしょうか。 ○事務局  ここでは判決に至らなかったものです。 ○相川委員  起訴猶予は。 ○医事課長  そういうものが実際にあるかどうかは把握しておりませんが、そういうものは対象に はなり得ると。 ○相川委員  いろいろ調べて、例えば起訴猶予のものは刑事事件となったのですか。 ○医事課長  なりませんでした。 ○相川委員  先ほどの70件というのは年間なのですか。 ○事務局  平成14年12月からです。 ○相川委員  約2年半ですね。 ○寺岡委員  70件と書くことが必要なのですかね、話の筋から言うと重要にも思えませんが。 ○相川委員  これも歯科は入っていないわけですか。 ○医事課長  受付は同じように受け付けています。 ○齋藤委員  いまの相川委員と同じ意見ですが、刑事事件にならなかった医療過誤の中には、民事 事件の裁判で「医療過誤」と書いてある以上は結論が出ているケースがありまして、い ま非常に多いです。その場合に、民事で医療過誤ということで、病院なら病院、医療提 供者が負けた場合は、今度はその人を行政処分しろという要求が出てくる可能性があり ますね。この数はどのぐらいあるか知りませんが、こういう制度ができたときには2年 半で70件ばかりではないと思うのです。例えば民事で賠償金なりで決着がついても、そ れでは満足できず、医師や歯科医師本人を行政処分の対象にすべきだという考え方が当 然成り立ちますよね。 ○医事課長  ただ、それは基本的には、そういう事件があって患者さんが申し立てた場合に警察の ほうで調べても、それは医師個人に責任はなかった、いわゆる業務上過失などを問える ものではなかったというケースだろうと思います。ただ、その中にもいろいろなケース があり得るということで、その対象にはなるということでやっているわけです。いま民 事の判決でもいろいろなものがあって、一定の説明が不足していたものであるとか、医 療機関全体の安全管理体制に手落ちがあったとか、そういった形で医療機関に賠償が求 められているものがありますので、それは医師個人の責任ではないものも当然ありま す。  いわゆる民事事件で医療機関が敗訴となったものについて、全て行政処分の対象とな っているかについては、そこはワンクッションあるというか、申立があったものでとい う形にならざるを得ないと思います。 ○相川委員  確認ですが、例は少ないと思いますが、刑事事件にならなくて、民事事件、損害賠 償、賠償金と謝罪を求めるということで、訴えた患者さん側が敗訴した場合でも申立を するケースもあり得るわけですよね。 ○医事課長  あります。 ○相川委員  その辺のことも視野に入れて考えていかなければいけないですね。 ○医事課長  この後ろのほうに書いてありますが、いまはいろいろなものがありますので、その中 で限られた行政の資源の中で、どういったものを調査するかというのは、当然基準なり を作ってやらなければいけないと思います。 ○樋口座長  次の6頁のところに、イギリスの数字と、現に申し立てられている事案がありまし て、これは日本の話です。民事裁判で負けているような例も70件の中にはあるのだとい うことです。だから、何らかの振り分けをして、これは重要だというものについては調 査をしないといけないけれども、調査権限もないので、医療機関か医師本人が協力しな いとどうしようもないというので、これは調査権限を創設しようと、ここまでは何らの 異論がないところです。ただ、実際に調査権限のある機関をつくったときに、どういう 形で制度設計をするかというのはなかなか難問だと思います。  難問に対して結局曖昧な言い方で、このまま窓口を、いままであるものを活用しとい うことがまず書いてあるわけです。地域医師会のほかにも地域歯科医師会というのも入 れた上ですが、強制権限もあるようなところもつくらないといけないというところで、 組織体制の構築が望まれると。ここは「構築が望まれる」とはっきり書いてあるわけで す。立ち入り検査、罰則という手段のところも置いておかないと。全体で協力してやる という話なのだと思います、それでないと動かないと思います。振り分けを行うパネル を作っていくわけですよね。これは動いてみないとわからないですね。 ○相川委員  非常に難しいですね、実際にこれを調査することは難しいだろうと予測はします。 ○樋口座長  これは制度全体の中で考えていく必要があって、裁判所は裁判所で、最近は医療過誤 の事件ではいろいろな工夫をされています。ものすごく長い訴訟になりがちなので、1 審は2年以内に必ず終わるとか、東京地裁などでは専門部も設けています。そういうと ころとの兼ね合いがあります。民事裁判が相当程度機能するようになれば、それはまた それでということはあると思うのです。  続いて、5番の医籍の登録事項の部分はいかがでしょうか。 ○相川委員  いいのではないですか。 ○樋口座長  よろしいですか。 ○寺岡委員  基本的に内容はいいのですが、先ほどの開示とは違って医籍登録ですから、処分期間 が過ぎてもずっと残るという考え方ですね。 ○樋口座長  戒告というのも載せて、再教育修了となれば再教育修了も書き加えて、とりあえずは ずっと残るということですね。賞罰の履歴のようなものなのだからということですね。 ○岩渕委員  いちばん最後のところに「一定の付加的な情報を記載することが適当である」と、こ の報告書の中にここまで書く必要があるのかと思ったのですが。具体的にはこの程度に なるのかもしれませんが、ここで、あえてその程度にとどめると方針を決めてしまうの もいかがなものかと思います。場合によっては、もう少しきちんとしたほうがいいとい うケースもあり得ると思います。 ○樋口座長  そうかもしれません。「その処分の原因となった行為など、処分理由も併せて記載す る必要があると考えられる」でピリオドにしてしまって、その後は現実的な話だという ことではありますね。どこまで報告書で書いてあげるかという話かもしれません。  先に進みます。6番目の「再免許に係る手続きの整備」ですが、ここも判断基準の明 示とか、実際にはあまりないようですが、免許取消の後に可能性としては再免許付与と いうのがあるので、その場合のルールを明確化するということです。 ○岩渕委員  そこのいちばん最後のところで、「行政処分に係る手続きが開始された場合には」と いうことですが、例えば行政処分の調査が始まりそうだというので、それの先手を打っ て返上するケースも当然ながらあり得るので、これは手続きが開始された後でも遡及し て、それにストップをかけられるということを入れておく必要があるのではないかと思 います。 ○樋口座長  私も岩渕委員と同じことを考えていたのですが、宇賀委員、前の検討会で免許自主返 上への対応は本当は何ら明文化されていなくても、自主返上してきたら、あなたのご意 思によって免許はなくなりますとは言わなくていいというお話がありました。受理せず というような形のこともありますが、もちろん手続き上はっきり明文化しておくことの ほうがいいに決まっているということでこういう話になっているのですが、手続きが開 始された場合には免許の返上ができないことははっきり明記するとして、いま岩渕委員 がおっしゃったように、手続きが明日から開始されそうだから今日のうちに返上だと。 このように書いておいたとしても、これは何か別個の対処ができるのでしょうね。 ○宇賀委員  行政処分に係る手続が開始された場合ということを考えると、行政手続法では不利益 処分をするときに事前手続が定められていて、免許の取消しであれば聴聞、医業停止処 分であれば弁明の機会の付与、戒告の場合も弁明の機会の付与という手続になります。  その場合には、意見を聞く前に相手方に、こういう事実関係に基づいて、この法条に 基づいて、こういう処分をしようとしているということを通知をする手続があるので す。この通知がされるということになると、この手続が開始されたということになるの で、それ以降は明確に不利益処分の手続に入ってくるのです。  そろそろ聴聞の通知がきそうだとか、弁明の機会の付与の通知がきそうだという段階 で免許を返上しますということになると、ここでいう手続が開始された場合ということ には入ってこないと思います。行政処分に係る手続が開始された場合ということになる と、聴聞の通知とか、弁明の機会の付与の通知がされた以降ということになると思いま すから、その前の段階でということまでを含めるとなると、表現は工夫する必要がある と思います。 ○樋口座長  いや、それはできないことでいいと思うのですが、前の会で宇賀委員が発言されたよ うなことというのは、ここに書いておいて、なおあり得るかということなのです。具体 的な例で言うと、私が医師で、たまたま犯罪を犯します。これは刑事処分にもきっとな るということですぐに返上するのです。これを受理しないといけないということはない ですよね。 ○宇賀委員  例えば公務員などが懲戒処分を逃れるために辞職願いを出します。何か悪いことをし て、新聞で報道されて、当然懲戒処分があることを予想して辞職願いを出すとします。 そういうときに辞職願いが出れば、依願免職処分にするかというと、そうではなくて、 近く懲戒処分の手続に入るからということで、辞職願いを預かり置いて、すぐには依願 免職処分にしないで懲戒の手続に入っていくことは実際にあります。ですから、そうい う運用は当然医師についても考え得るとは思いますが、そこが明確になっていないので 明文の規定を置いたほうがいいというのは私もその考えです。  ただ、それをどの辺りまでとなると、法文に書くのはなかなか難しいです。行政処分 に係る手続が開始された場合というのは非常に明確です。聴聞の通知がされた場合、弁 明の機会の付与の通知がされた場合というのは明確ですが、それ以前になると明確に法 文に書けるかとなると、少し書きにくいかという気はします。 ○樋口座長  書かないでおいて、免許の返上がきたときに、返上されましたね、仕方ないですねと 言わなくてもいいと思っていいですよね。行政庁としては困るのかもしれませんが。 ○宇賀委員  もし、免許返上をするという申出が出てきて、すぐに懲戒処分の手続に入るから、す ぐに返上の申出を受けて医師資格を剥奪するということをやらなくてもそれは大丈夫だ と思いますが、懲戒の手続に入るまであまり時間が経つと、問題になってくる可能性は 確かにあると思います。だから、明文の規定はあったほうがいいのですが、どこかで切 るかとなると聴聞・弁明の機会の付与の通知の時点になってしまうのですね。通知が出 そうだという直前までをカバーしようとなると、書き方は非常に難しくなってくると思 います。 ○岩渕委員  そこを専門的に工夫してもらいたいですね。悪いことをした人はそういうのがくるの はすぐにわかりますから、あらゆる防御手段をとると思います。行政というのはそれに 対して後手に回る傾向があったこともあります。  例えば某汚職事件で某役所の事件があったときに、退職金を払うか払わないのかで揉 めたりしまして、最終的には凍結したのですが。そういうこともありますし、一般的に も依願退職にするか、懲戒解雇にするかがあります。一般の民間企業でも後から遡及し てできるとか、受理をしないことができるとか、そういう規定は当然置いているわけで すから、少し工夫してもらいたいです。 ○宇賀委員  手続きが開始される何日前までとか。廃棄物の処理及び清掃に関する法律で、そうい う場合の聴聞の通知から何日前とか、そのような工夫をしていたのがあったように記憶 しているのですが、六法があれば確認できますが。 ○樋口座長  次のような言い方ではまずいのでしょうか。「手続きが開始された場合、または開始 される可能性がある場合」というのでは、行政手続法の専門家としてはちょっとと思わ れますか。 ○宇賀委員  「可能性がある場合」ですか。行政処分に係る手続きが開始されることを見込んで申 し出たと認められる場合、というような感じですかね。 ○樋口座長  事務方からはいかがですか。 ○医事課長  これは不利益な扱いになるので、そこは明確なものでないと駄目だと思うのです。先 ほど宇賀委員がおっしゃったような公務員については、任命権者がかなりの情報を持っ ているのでわかると思うのですが、私どもは個別の20数万人の医師あるいは歯科医師を 含めた35万人の医師について、状況を把握しているわけではないのが1つなので、そこ がきちんと運用できるかどうかの疑問があります。  それから、場合によっては、処分逃れではなくて、非常に反省してもう辞めるという 人もいるかもしれません。手続きが始まってしまってから慌てて返上するというのは、 いかにもうさん臭いのですが、そういうのも考えていくと、私どもとして「処分逃れが 相当と認められる場合」というのをきちんとやれるかというと、ちょっと自信がないと いうのが現実なのですが。 ○岩渕委員  あるところが……は無理なんですか。 ○医事課長  1回返したものをもう1回相手に押し返すわけですか。 ○齋藤委員  7頁に「再免許は極めて限られた場合にしか認められてこなかった」と書いてありま す。例えば「平成8年以降は認められていない」と書いてあるし、下のパラグラフに再 免許の付与についての判断基準を作ると書いていますから、そこへ入れてしまえばいい わけです。おそらく戒告を受けても、なくなるよりは免許を持っているほうがいいとい う状況をつくっておけば、いまの問題はいまのままでいいと思うのです。 ○樋口座長  免許取消処分の話ですから、再免許のところへつながるような話かどうかですから、 そっちで工夫したほうがいいかもしれませんね。 ○医事課長  それは行政処分で取り消した場合なのですが、いま普通に返上した場合の取扱いは違 う。 ○樋口座長  返上の場合の再免許の交付は自動的になるという理解でしたね。 ○医事課長  返上は、別に医道審にかけて云々という仕組みにはなっていないので、取り消された 者ではないので。 ○樋口座長  そうすると本当に抜け道があるという話になりますね。 ○医事課長  賭けは賭けなのでしょうけれども、ご本人もどういう処分になるかわからないですか らね。 ○樋口座長  処分の様子を見ておいて、すぐに再免許を出すと今度は5年も待たなくてよくて、自 動的にまた免許が出るという可能性もなくはないと。 ○医事課長  条文上はそれがあり得る形になっています。 ○宇賀委員  再免許基準ですね。そこでいま言ったような、明らかに処分逃れでやったような者に ついては再免許の道を塞ぐような基準を作るほうがいいような気がします。 ○樋口座長  自主返上の場合も入れて、どういう事情であったのかはそんなにたくさんあるわけは ないので。 ○寺岡委員  質問ですが自主返上をされて、免許を再交付した例があるのですか。 ○事務局  確認できる事例はありません。全くないかどうかはわからないのですが、こちらで把 握している例はありません。 ○樋口座長  我々の心配しすぎなのかもしれませんが。 ○岩渕委員  制度はきちんと作っておくべきですね。 ○樋口座長  そうですね。 ○相川委員  いまのことに関してですが、将来そういうことがあるとすると、医師国家試験はすで に受かっているわけですから、医籍登録を申請すれば、ほかに何か罪がなければ、いま のところは再免許を与えるかどうかは医道審が決めることになっているわけですか。も う1回医師国家試験を受ける必要は現時点ではないわけですね。 ○医事課長  ありません。 ○相川委員  ないということですね。医師国家試験の合格は厚労省が知っているわけですから、そ れで医籍登録を申請し、それが医道審で認められれば再免許が交付されると。 ○樋口座長  ただ、いままで制度上は自主返上の場合は、医道審にかけるということにはなってい ないということですね。 ○医事課長  なっておりません。取り消された方は医道審にかけるとなっているのですが、取り消 された者に再免許とする場合には医道審にかけるとなっているのですが、自主返上した 人に与える場合には医道審にかけるとは法律上はなっていません。 ○相川委員  そういう事例が発したときはどこが決めるのですか。 ○医事課長  それは厚生労働大臣が。 ○樋口座長  自動的にというシステムになっていて、そこは何か工夫をすればと。そういう事情が 本当にわかるかどうかをご心配しておられるでしょうけれども。 ○寺岡委員  私は再免許とは別に、免許の返上はできないときっちり書いておくべきだと思いま す。再免許を受けなくても不名誉というか、そういうものが嫌だから返上する人もいる はずです。再免許とはかかわりなく、意図的に、処分逃れのために返上することは許さ れないと、きちんと書き込む必要があるのではないかと思います。 ○樋口座長  これで6番目まできて7に戻りましたが、全体として何かご意見があればお願いいた します。 ○岩渕委員  いまの寺岡委員のご意見に大賛成です。少し戻って4頁なのですが、先ほど皆さんか らいろいろとご心配をいただいた「上限3年が誤解を招くのではないか」というのがあ りましたが、その原因はどこかと思ってよくよく読んでみましたら、そこから10行ぐら い前に「その結果、医業停止処分と免許取消処分には、医業の再開を前提とするか否か という性格の違いはあるものの」という行が、誤解を防ぐキーワードになっているので す。ですから、この行を後ろへ持ってきて、3年のところとリンクさせるというか、隣 に置いておけば、ほとんど誤解は招かないのではないかと思います。単にそれだけの違 いですが、印象はだいぶ違うという感じです。 ○樋口座長  「医業の再開を前提とすると適正な医業停止期間の上限は」という話ですかね。あま り長くやると結局のところは全部駄目になるようなと。 ○岩渕委員  あと「現行では長期間の医業停止処分となるような事例が、その処分理由により、免 許取消となる場合があると考えられる」と、この辺りが現実的には誤解を防ぐ歯止めに なると思います。 ○樋口座長  ほかにいかがでしょうか。時間にもなりましたので、今日いろいろご意見をいただい た点を踏まえて、いろいろな形でたたき台は叩かれましたので、難しい宿題もあると思 います。7番目のところも今日の議論の中で、ある一定の感触は出たと思うのですが、 慎重論もありますし、そういうことを踏まえて、どういう書き振りで第2次案が出てく るかということになりますので、事務局と私を含めて少し知恵を出して、できるだけ今 日の議論が反映されるような形で、案文を取りまとめて次回に検討していただくことに したいと思います。次回の検討会について事務局から説明をお願いします。 ○事務局  次回の検討会は12月1日(木)の午後2時から午後4時ということで設定していま す。場所はまだ決まっていませんので、追ってお知らせいたします。 ○樋口座長  これは言うまでもないのですが、今日たまたま欠席された見城委員と早川委員にも、 今日のような会の趣旨をできるだけ伝えて、ご意見を伺えればと思います。 ○岩渕委員  いま頃何ですが、9頁の上から7、8行目のところで、「国以外の団体を活用するこ とを検討する必要があるのではないか」という行は、具体的にどういうことになるのか も含めてですが、少なくとも医師免許は厚生労働大臣が免許を認めているものですの で、例えば団体を使うにしても、その場合には具体的には委託になるのかはわかりませ んが、情報の提供主体としては行政、厚生労働省であるべきだと思いますので、もしこ れが残るようでしたら、その辺りのところも一言入れておいたほうがいいのではないか と思います。 ○樋口座長  本日はここまでにしたいと思います。 (照会先)  厚生労働省医政局医事課  電話 03−5253−1111(内線2568)