05/11/07 労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 第31回議事録    第31回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録 1 日時  平成17年11月7日(月)15:00〜16:40 2 場所  経済産業省別館1014号会議室(10階) 3 出席者 [委員]  臼杵委員、勝委員、郷農委員、小山委員、齋藤委員、            佐藤委員、讃井委員、下永吉委員、菅井委員、鈴木委員、            田村委員、都村委員、成宮委員、山川委員、松本委員       [事務局] 青木勤労者生活部長、前田勤労者生活課長、            大武勤労者生活課長補佐 4 議題 (1)中小企業退職金共済制度の現況及び平成16事業年度決算について (2)独立行政法人勤労者退職金共済機構の累積欠損金解消計画について 5 議事内容 ○齋藤部会長  ただいまから、第31回中小企業退職金共済部会をはじめます。最初に、前回以降事務 局で人事異動が行われましたので、ここでご紹介をいただきたいと思います。 ○前田勤労者生活課長  夏の異動で勤労者生活部長に青木が就任しております。また、勤労者生活課長に、私 前田が就任いたしました。事務局を代表いたしまして、まず部長から一言ご挨拶を申し 上げます。 ○青木勤労者生活部長  勤労者生活部長の青木でございます。委員の皆様方におかれましては、日ごろから中 退共制度の運営についてご理解、ご協力を頂戴しておりまして、この場を借りて厚く御 礼を申し上げます。  中退共制度は、ご存じのように昭和34年に創立されて以降、時々の社会・経済情勢を 踏まえながら、制度改正をしつつ今日に至っておりますが、中小企業の勤労者のための 退職金制度として非常に重要な役割をしているところです。しかしながら、特に一般の 中退共制度につきましては、近年の金融情勢の下で累積欠損金が発生しており、本部会 におきましては、本年3月に中退共制度における累積欠損金の早期解消を重要な課題と 位置づけた上で、付加退職金の支給率の決定方針を示した意見書を取りまとめていただ いたところです。  本日は、中退共制度の現況についてご報告するとともに、独立行政法人勤労者退職金 共済機構が作成した累積欠損金の解消計画についてご報告することとしております。こ の計画の実現によって、中退共制度の財政的な安定性がより一層確かなものとなること を、心より期待しているところです。委員の皆様方におかれましては、中退共制度の安 定的な運営のために忌憚のないご意見を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願い いたします。 ○齋藤部会長  ありがとうございました。  それでは、議題1「制度の現況と平成16年度の決算」について、事務局からご説明を お願いします。 ○前田勤労者生活課長  資料1「中小企業退職金共済制度の現況」をご覧ください。平成16年度までの現況に ついての数字です。1頁、新規加入が平成16年度は共済契約者数で2万3,651、そのう ち一般の中小企業退職金共済制度が1万4,283、建設業が9,306、林業が62です。新規加 入を共済契約者ベースで見ますと、若干減少傾向にあるというのが平成16年度の傾向で す。  被共済者数で新規加入を見たのが右側ですが、平成16年度の新規加入は54万1,958、 一般の中小企業退職金共済制度が36万1,578、建設業が17万7,756、清酒製造業が220、 林業が2,404です。被共済者数で見ますと、平成16年度は、平成14年度、平成15年度と 比べると増加傾向にあり、この辺りは特に適格年金から移行する場合に、一定の規模以 上の事業主が移行していることもあって、労働者の数でいくと増加が大きいことも1つ の要因かと思っております。  在籍状況がその下で、平成16年度は、共済契約者数は一般が38万7,954、建設業が18 万2,634などで、合計で約58万事業所です。被共済者数で見ますと、平成16年度の在籍 が約530万人で、一般と建設業が平成16年度はかなり増加しているということで、在籍 の被共済者数は増加傾向にあります。  2頁は、退職金の支給状況についてです。平成16年度は、支給件数が合計で37万2,462 件で、支給総額が約4,376億円です。1件当たりの支給金額は、平均すると120万円強で す。退職金の支給件数は、平成15年度、平成16年度は若干減少傾向にありますが、景気 が良くなったということで、退職件数が減っているということかと思っております。一 般の支給件数は平成16年度は27万件強、1件当たりの支給金額は128万8,000円強です。 建設業が、支給件数が8万5,850、1件当たり94万1,000円強、清酒製造業が574件で、 1件当たりの支給金額が133万7,000円強、林業が2,678件で、1件当たりが91万1,200強 という状況です。  3頁、掛金の状況です。一般の中小企業退職金共済制度については、平均掛金月額が 徐々に上昇しており、平成16年度は9,371円です。特定業種につきましては、それぞれ 日額が決まっているということです。下のところは資産運用状況です。機構全体での資 産が約4兆円という中で、一般の中小企業退職金共済制度が3兆510億、建設業は9,300 億、清酒製造業が75億強、林業が144億強というのが、平成16年度の資産の状況です。  4頁以下が、それぞれの事業における資産の運用状況です。一般の中小企業退職金共 済事業においては、平成16年度の平均運用利回りが2.84%です。それぞれの運用資産の 割合はそこにあるとおりです。  5頁が建設業です。平成16年度の運用利回りは、給付経理については1.97%、特別給 付経理が2.00%で、2%前後であったということです。  6頁、清酒製造業は、平成16年度の給付経理で1.3%です。  7頁、林業ですが、平成16年度で1.27%という運用状況です。  資料2です。そういった状況の中で、平成16年度の決算の概要です。1頁が機構全体 の貸借対照表と損益計算書です。全体で見ますと、平成16年度は当期純利益が562億 9,800万円ということで黒字になっております。ただ、繰越欠損金が1,683億です。  2頁以下が、各事業ごとに見たものです。一般の中小企業退職金共済事業の決算です が、平成16年度の損益計算は、当期の純利益が402億400万円で、400億強の純利益とな っております。先ほど申し上げたように、資産が約3兆あり、2.84%の運用利回りとい うことで、運用収入が832億6,700万円ぐらいです。平成16年度単年度でみた場合には 402億円の利益ですが、上の貸借対照表の一番下のところの繰越欠損金では、平成16年 度末でまだ2,272億が繰越欠損になっているということです。  3頁、建設業については、平成16年度の損益計算で当期純利益が約160億になってい ます。貸借対照表で資本の部を見ると、従来からの積立金に当期の利益を加えて、 約597億が積立金という状況になっています。  4頁が清酒製造業です。平成16年度の損益計算が、7,000万円の当期純利益です。貸 借対照表で見ると、積立金に当期の利益を加えると、約8億9,000万ぐらいが当期の積 立金です。  5頁が林業です。平成16年度の損益計算が1億2,000万円の当期純利益です。ただ、 貸借対照表の資本の部で見ると繰越欠損金がありまして、平成16年で16億4,700億円と いう状況です。  この決算について、6頁に「行政サービス実施コスト計算書」という、独立行政法人 について国民の負担するコストを集約して表示したものがあります。平成16年度を見る と、費用が上の欄にありますが、それに対する収益が勤労者退職金共済機構の場合は大 きく、国民に対する負担がマイナスで、負担にはなっていないということです。  7頁は、6月末に機構から財務諸表を提出していただき、その後独立行政法人評価委 員会の意見を聞いた上で、9月15日にこの財務諸表を厚生労働大臣が承認しているとい うこれまでの流れです。  資料3です。決算承認にあたって、独立行政法人評価委員会の意見を聞くことになっ ておりますが、平成16年度の業務実績に対する評価結果ということで、今年8月23日に 評価委員会で評価がされているものです。  2頁で、平成16年度の業務実績についてです。ご案内のように、勤労者退職金共済機 構は、平成15年10月に独立行政法人として発足し、平成16年度は中期目標の中で第2年 度目ということで、それに対する評価がなされております。  (2)業務全般の評価ですが、機構の業務については、特に退職金制度への着実な加 入と、将来にわたる確実な退職金給付の視点を中心に評価を行うということです。2つ 目の段落ですが、加入促進の実績に関しては、重点数値目標である加入者数目標は、法 人全体としては達成されているということです。厳しい雇用情勢や自然災害など、必ず しも加入促進を取り巻く環境が良好でなかったことなどを考慮すると、本年度の目標は おおむね達成されたものと考えられるという評価です。将来にわたる確実な退職金給付 の面については、加入促進の取組みなどにより掛金収入が増加した、資産の運用・評価 体制に基づき、資産運用がおおむね的確に行われた、経費節減の取組みが積極的に行わ れたということで、累積欠損金の減少といった成果が出ています。こういったことで、 平成16年度の業務実績については、全体としては機構の目的である「退職金制度への着 実な加入」及び「将来にわたる確実な退職金給付」に資するものであり、適正に業務を 実施したと評価できるという評価になっております。  3頁で、以下の点に留意する必要があるということで、5点ばかり指摘をいただいて おります。1点目は加入促進についてですが、平成17年度以降も積極的な取組みが求め られる。これまでの平成15年度、平成16年度の対策の効果について十分検証を行い、そ れを基により効果的な加入促進対策の実施が必要である。加入者が目標に達しなかった 事業ということで、清酒製造業と林業については目標を下回りましたが、その業種にお ける現状を踏まえつつ、より積極的な取組みが求められるというご指摘です。  累積欠損金については、それ自体が当面の退職金の支給に支障を来すものではないも のの、制度が長期的に安定したものになり、事業主が安心して加入できるものとなるた めには、計画的な累積欠損金の解消が重要であるということで、制度の運営主体として それに向けた早急かつ実効ある取組みが求められるというご指摘がありました。  職員の研修の充実、適材適所の人員配置といった、効率的かつ柔軟な組織・人員体制 の確立について、積極的に進めているということですが、今後それを活用し、具体的な 成果を得る、あるいはより高い成果を得るために体制やその運用について不断の見直し を行うことが必要というご指摘です。  業務の効率化や国民に対するサービスの質の向上については、一般の中小企業退職金 共済事業の加入申込みの処理期間の短縮については、中期目標を前倒して達成するとい ったことで、一定の評価ができるということですが、これらの見直しを、さらに平成17 年度以降の業務実績の向上につなげていくことが重要であるというご指摘です。  中期計画達成に必要な組織・体制の構築を行い、国民により良いサービスを提供する という意識改革について、理事長自ら先頭に立って進めているということで、そこが高 く評価できるということです。今後、その真摯な取組みが個々の職員にさらに浸透し、 組織改革が具現されることを期待するといったご指摘です。  8頁に、それぞれ個別の項目について、この評価委員会の評価ということで16の項目 があります。評価結果はS〜Dの5段階の判定になっていますが、Aが「中期計画を上 回っている」、Bが「中期計画に概ね合致している」で、勤労者退職金共済機構は8項 目がA、8項目がBということで、概ね中期計画に合致、あるいは中期計画を上回った という評価をいただいております。制度の現況と決算についての説明は以上です。 ○齋藤部会長  ありがとうございました。ただ今のご説明について何かご意見、ご質問等ありました らご自由にどうぞ。 ○佐藤委員  評価委員会の評価は、非常に高い評価がされている。機構も努力をしているのだと思 います。そこで、資産運用の評価体制がおおむね的確に行われていると2頁にあって、 その次の言葉ですが、「経費節減の取組が積極的に行われたこと等」、「理事長を先頭 として意識改革を進めた」と、非常にいい評価なのですが、具体的にはどういったこと を指すのか、数値でも示していただければお願いしたいと思います。 ○前田勤労者生活課長  経費節減について積極的に取り組んだということですが、平成16年度は、特に具体的 な取組みとして加入企業に対する実態調査について契約方式の見直しを行ったとか、電 算機の借料を削減したり、被共済者の管理システムの委託費を削減したということで、 平成16年度の予算と比べて、決算額で約3億6,800万程度節減を図りました。  経費の節減につきましては、中期計画で5年間で13%の節減という目標を立てており まして、全体として平成16年度もそういった取組みによって具体的な削減が行われまし た。そういったことが、評価委員会の評価の中で、経費節減の取組が積極的に行われた ということにつながっていると考えております。  次のところで、中期計画達成に向けた必要な組織・体制の構築で、国民によりよいサ ービスを提供するために、意識改革等を含めて理事長自ら先頭に立って進めているとい うことです。国民に対して提供するサービスの向上では、資料3の5頁に、加入者の負 担軽減ということで、ユーザーの視点に立って手続の簡素化などを着実に進めてきた、 あるいはホームページについて、これまでそれぞれ事業ごとにありましたが、そういっ たものの統一に向けての努力を行うこと。さらに、中小企業で必ずしもインターネット 環境が整っていないということで、そういったことへの取組みなどが指摘されており、 このようなことについて機構で、さらにサービスの質向上の観点から取組みを行う。業 務処理で先ほど申し上げたように、加入申込みに際しての処理期間を短縮しようという ことが、特に目標を前倒しで達成できたことが、サービスの質の向上のための取組みで 評価されていると考えております。 ○都村委員  1頁の現況についてお尋ねしたいのですが、加入者数目標が達成されたということで すが、加入者数目標は共済契約者数で見ているのですか、それとも被共済者数で見てい るのですか。加入者数の目標を超えて達成されたと評価されているのですが、加入促進 対策は5つぐらい挙げられていますね。その中の、先ほど適格年金から移行というのが ありましたが、それ以外にどの対策が効果的であったのかを教えていただきたい。  もう1つ、括弧の中にパートタイム労働者が出ているのですが、平成12年度から平成 16年度を見ますと、一般の雇用者についてはパートタイマーは右上がりで上昇していま すね。ですが、平成16年度にはパートタイマーの新規加入が76%ぐらい減少しているの ですが、それはどうしてかということと、パートタイマーは一般だけで、建設やほかの 所はないのかどうか。まず現況についてお願いします。 ○前田勤労者生活課長  加入目標については、新たに加入する被共済者の数ということで目標を設定しており ますので、1頁の表でいきますと、上の段の右側の目標で設定しております。一般です と、平成16年度は35万4,460人、建設ですと16万6,680人、清酒が240人、林業が3,000人 というベースで加入目標数を設定しています。それで見ますと、一般と建設業について は、その目標の数を上回って達成したということです。 ○都村委員  どういう対策が効果的ですか。 ○前田勤労者生活課長  加入促進対策につきましては、これまでも広報資料による周知や関係事業主団体に対 する委託、金融機関等を通じた加入促進であるわけですが、特に被共済者数のベースで 平成16年度目標を上回ったことについては、適格年金からの移行がウエートとしてもか なりのものがあったと思います。適格年金からの移行について、平成16年度の数でいき ますと、事業所数で1,602、被共済者数で4万4,000人ぐらいが移行があったということ です。そういうことも、一部の要因としてはあると思います。  それ以外に、事業主団体なり金融機関、機構の相談員や普及推進員などがそれぞれの 事業所を通じて従来から加入促進の取組みを行っておりまして、36万ですので、もちろ ん数の上からはそういった部分のほうが適年よりも大きいことは大きいということです 。  パートの関係ですが、一般の退職金共済制度の中で、最低掛金が通常の方は5,000円 ですが、所定労働時間が短い方についてはそれより安い金額で加入できるようにと、短 時間被共済者についてはやっております。特に短時間の加入促進を重点的にやってきた ということはあるのですが、全体的に中小企業の景気が多少良くなったとは言っても、 非常に厳しい状況が続いている中で、なかなかパートタイムの方まで加入が十分行われ ない状況にあることと、適格年金からの移行の場合に、パートを適格年金に入れている 例があまりこれまでにないということで、その部分についてはどうしても一般の方が多 いこともあり、短時間の方の新規加入がやや減少傾向にある状況です。 ○都村委員  ありがとうございました。もう1つは、資料3の2頁の下から3つ目の段落です。累 積欠損金が減少したのが、加入促進で掛金収入が増えたこと、資産運用が的確に行われ たこと、経費節約が積極的に行われたことが挙げられているのですが、それぞれの寄与 率はどのくらいなのかということ。それから2番目の資産運用ですが、市場の運用環境 がこのときのように非常に好調であればプラスの結果が出るわけですが、好調でない場 合は、加入促進と経費節約がかなり重要なのではないかと思うのです。その辺りを、ど れがどのように寄与したかを教えていただきたいのと、8頁の先ほどの評価結果です が、評価委員会と機構で、5項目についてBとAに分かれているのですが、上回ってい るというのと概ね合致しているというのは違うと思うのです。その辺りはどのようにと らえていらっしゃるのか、その2点を教えてください。 ○前田勤労者生活課長  2頁ですが、掛金収入が増加したとしても、結局加入している方について必要な責任 準備金を積み立てるという観点からいきますと、それが直ちに累損解消につながるので はなく、運用が予定よりも上回れば、資産が多ければそれだけ寄与するということで、 運用状況が悪くなれば、そこの部分は必ずしもプラスにはならないという要素がありま す。ですので、たまたま平成16年度は全体で2.84%の運用利回りが達成されたことによ る運用の問題と、掛金収入が増えて全体の資産が若干増えたことによって、予定運用利 回りを上回る部分がより大きくなったということ、また、経費の節減もあったというこ とです。  全体の分析、寄与度まで細かくはできていないのですが、先ほど申し上げましたよう に、全体の運用収入が一般中小企業退職金共済で832億6,700万、一方経費の節減という ことで先ほど申し上げたのが3億ぐらいで、どうしてもそこは全体のウエートから見る と非常に限られた寄与度であることは確かではあるのです。ただ、そこはそれとして行 っていく必要があるであろうと思っております。  8頁の評価結果について、機構の自己評価と評価委員会の評価で、内部進行管理や事 務の効率的な処理、健全な資産運用、中期計画の定期的な進行管理、人事に関する計画 の部分が、自己評価と比べると評価委員会の評価の方が低くなっている。先ほど申し上 げたように、それぞれ一定の機構としての取組みについて評価をしていただいている部 分があるわけですが、さらにそれを具体的な成果に結びつけるべきといったご指摘も受 けているところです。そういったところが、機構の自己評価より独法の評価委員会の評 価が若干厳しくなっている点だと思います。 ○都村委員  4頁で、年金資金運用基金との人事交流を今年から図られているということですが、 具体的にどういうものか教えていただきたいと思います。 ○前田勤労者生活課長  特に資産運用体制を強化しようと、資産運用でよりノウハウを持っておられるという ことで、機構の職員を年金資金運用基金に研修の形で派遣して、そこで運用の勉強をし ていただき、機構に戻ってきたときに資産運用の面で業務に当たっていただくというこ とで、平成17年度に機構から年金基金に人を送り出して、そちらで仕事をしていただい ているということです。 ○齋藤部会長  ほかに何かございますか。 ○佐藤委員  建退共のことについてお聞きします。平成15年度の10月分から310円になったわけで すが、それまで300円の時代には、303円を事業主から徴収していたのです。それは実質 的に事務費のような形で取っていただいていたのですが、310円になるときには、実際 的にはこれまではあまり議論はされませんでしたが、もう人も替わりましたので言って もよかろうと思いますが、7円の値上げをもって310円にしたのです。私はその部分は、 当時の建退共の事業本部をやっていた人から内部吸収できるということをおっしゃって いただいて、結果的には7円の上昇で310円になっている。そのことは私はいいことだ ったと思っていますが、それが今日の業務の報告、あるいは財政の状況等にどのように 反映しているのかを、説明していただきたいと思います。 ○前田勤労者生活課長  建設業についてはいまご指摘がありましたように、平成15年10月から掛金日額を300 円から310円に引上げを行ったということで、そのときに従来は支部経費等に当てる額 が3円分あったということで、それを含めて310円に上げて、実質7円の引上げで、い ま委員がおっしゃられた形になりました。その部分については、給付経理から一定の事 務費について、業務経理に繰入れを行うという形で、支部経費に回しているところで す。  いずれにしても日額を310円にして、それに基づいて退職金の額を計算することにな りますので、その部分は給付経理の全体の運用の中で賄っていくということで、いまの ところ運用利回り等との関係からいくと、その部分によって赤字になることは、当分心 配はいらないと考えています。 ○佐藤委員  それは答えであって、では、数値で1度おっしゃっていただけますか。いま課長がお っしゃったことは、もう分かっていることですね。内部で吸収したという説明は、私も そういうことはあると思いますが、実際上7円の値上げを10円の値上げというようにさ れた努力について、私は評価した上で物事を言っているのです。実際は日額で3円の差 が生じてくるわけですが、それが全体ではどれぐらい給付経理から回されたのかが知り たいわけです。 ○前田勤労者生活課長  平成16年度の建設業について申し上げますと、給付経理から業務経理への繰入れ、こ れは大企業の特別給付経理も含めてですが、19億6,300万円の繰入れとなっています。 ○佐藤委員  そのことによって各県支部、あるいは事務組合等に協力費という形でこの間に下ろさ れていたお金については、単価で言って増減があったのですか、なかったのですか。 ○前田勤労者生活課長  その点については、いまは直ちには資料はないのですが、その点をもう1度整理し て、また改めて説明をさせていただければと思います。 ○齋藤部会長  では、ほかに何かありますか。 ○田村委員  3点ありますが、1つはご挨拶の中で、累損がある中での財政的な安定性ということ を言われましたが、基本的な問題でいくと加入促進であり、将来にわたる退職金の給付 という所が非常に大事な所であって、むしろその辺はやっていただきたいということを 前提に置きます。  まず1つ、先ほどの加入者のパートの関係がありましたが、これだけ正社員が減って きて非典型と言われる人たちの比率が増えてきた中で、制度そのものの魅力があまり変 わってきていませんので、次に正社員対象だけではない非典型の人たちに対する魅力的 なアピールが若干足りなかったのではないかという感覚を持っていますので、その辺の ご意見がありましたらお聞きしたいです。  資料3のいちばん最後の頁で、機構の自己評価と評価委員会の評価結果がありまし て、いずれもB以上の評価があるのでマイナスではないという理解はしていますが、将 来的な安定性や魅力という面でいくと、例えば11番の所が、自己評価はAだけどBにさ れている。14、16で、A評価がBにされているという所が、非常に将来の安定性の部分 で大事な所ではないかと思いますが、この辺で自己評価と評価委員会の評価の差に何か 指摘があるとすれば、お教えいただきたいと思います。 ○前田勤労者生活課長  パートの加入の促進ということで、特に掛金助成などもパートについては多少上乗せ することもやって、できる限り新規加入を図ろうということはやっているわけですが、 どうしてもこれまでは、なかなかパートの方まで退職金制度を適用することが、一般の 企業においてもそれほどまだ一般的ではないという状況にあります。ただ、今後の問題 としてそういう就業形態というか、働き方に関わらずに、どんどん中立的というか、そ ういったものに改めることが、基本的に働く側や使用者の側にとっても重要な問題であ ると。そういったことを含めて、今後は制度面、あるいは運用面を含めて、さらに検討 をしていきたいと思います。  あと評価の所ですが、先ほども申し上げましたが、機構としては例えば内部の組織体 制を変える、あるいは研修を充実する、あるいは国民に対するサービスの質の向上とい うことで、処理期間を短縮する。あるいは、資産運用について、運用体制としては外部 の評価委員会なども含めてそういった体制を作るということで、それなりにやったとい う評価をしていると思いますが、そこについてはさらに、それが具体的な成果としてど う上がるかということまで含めて見た場合に、評価委員会の中では必ずしもそれだけで 十分というところまではいかなかったかなと思います。  また、個々の事項について、十分こういった評価も踏まえて、機構の方で今後の業務 の運営ということで図っていくべきものと考えています。 ○讃井委員  目標の出し方についてお尋ねします。先ほど加入者数というのは被共済者の数である というご説明がありましたが、達成率が103.4%だったことが出ていますが、中期計画 の中で単年度ごとに何人ということを定めている、という理解をしてよろしいのでしょ うか。  目標の数ですが、これを出すに当たっては、結局かなり景気に左右されるところもあ るかと思うのですが、その辺の環境というか、経済状況の評価というのは、どのように して加入者数の目標が出てきているのか。先ほどもご説明がありましたが、適年からの 移行も織り込んでいるものなのか。  また、先だってお話がありましたが、社会福祉施設の職員の方の退職金も、今後受け 皿にするということもありましたので、その辺も加味して今後の加入者数の目標を立て ていかれるのか、その辺についてお教えいただければ、ありがたいと思います。 ○前田勤労者生活課長  まず加入目標については、中期計画という5年間の計画の中で、それぞれの加入目標 数を設定しています。例えば一般については、5年間で159万5,000人、建設業が75万 人、清酒が1,000人、林業が13,500人という加入目標数を、中期計画の中で定めていま す。それを各年度ごとに割り振っているということです。  目標の設定についてですが、基本的には最近の平均的な加入者数ということで、過去 数年間の加入者数や伸びを基に、一定の加入促進に対する努力を加味して設定していま す。  例えば一般の中退ですと、過去5年間で対前年度が97.2%でやや減少傾向にあります 。そういったことにあるために、加入促進による努力分を加味するということから、対 前年度の伸び率でいくと減っていくわけですが、それを採用せずに過去5年間の平均と 同様の目標で設定しました。さらに適年移行者を含む過去5年間の新規加入者の一定割 合を基礎数値に入れています。  ただ、社会福祉施設の、前回の部会でご審議いただいた件については、この目標作成 のときにはまだ決まっていないということと、制度そのものが基本的には向こうの制度 で、なるべく入っていただくことを基本に、どうしても国庫補助がなくなる部分につい て、中退の方は最後の加入の受け皿ということで設けられたので、基本的には社会福祉 施設制度の退職手当のほうでなるべくやっていただくということで、具体的にその数値 を今はこの目標に入れているわけでもありませんし、実際上もなかなか具体的な数値と しては上がりにくいと考えています。 ○都村委員  いまの関連ですが、中期計画の計画値と実績値がどのくらい乖離しているか、その乖 離した理由、主な原因は何かなど、そういうものを書いた一覧表、中期計画の数値が入 っている分は、いただきましたでしょうか。 ○前田勤労者生活課長  中期計画そのものですか。 ○都村委員  はい。 ○前田勤労者生活課長  それは過去に出て。 ○都村委員  いただいていますか。 ○齋藤部会長  忘れてしまいました、すみません。ありますね、計画は。 ○都村委員  できれば計画値はこうで、今回の実績値はこうである。これは非常に達成している、 あるいは達成していない理由は何かなど、乖離の原因などを簡単でいいですが、書いた 表をいただきたいです。 ○前田勤労者生活課長  中期計画自体は、平成19年度までの5年間の計画ですので、まだ途中の段階です。そ れについて各年度ごとに加入目標を一応割り振ってやっています。  例えば今回は全体でいくと、目標達成率は103.4%でしたが、清酒が91.7%で林業が 80%というのが平成16年度の目標に対する達成率でして、清酒と林業については達成し ていないと。その要因の1つは、台風の影響という自然災害の問題、あるいは新潟の中 越地方の地震というものもあって、特に林業や清酒の面では自然災害の影響もあったと いうことで、必ずしも平成16年度において、加入目標が達成できなかったことはあるの かなと思います。 ○齋藤部会長  ほかに何かありますか。 ○佐藤委員  資料1の被共済者数を見ると、一般の中退の加入者数は先ほど意見も出ましたが、全 体に見ると非常に少ないと思うのです。中小企業の労働者は、もっと圧倒的に多いだろ うと思われますが、現状の勤労者退職金共済機構で把握している被共済者数のほとんど は、一般の中退と建設業によっている。  資料1の3頁は先ほども説明がありましたが、資産の状況からいうと、中退の3分の 1が建設業で、産業の持つ意味から言うと、建設業というのは非常に基幹産業の1つだ ろうと私は思うわけです。そこで評価委員会の評価の問題とも関わるのですが、納付方 法の検討なども行っていただいているということですが、先ほど掛金の問題を申し上げ ましたが、単一商品しかないということです。中退金は、事業主が一定の金額を労働者 と話し合って選択をしていくから、かなり幅がある。建設業においては日々雇用が原則 的になるということをおっしゃられるかもしれませんが、結構常用労働者も含んでいる 。そういう意味から言うと、退職金の金額にあまりにも開きがある。先ほども示されて いる中退金の平均が9,000円ぐらいで建退共はちょうど310円ですから、この開きを見れ ば、結果的にどういうことが出るかはわかると思うのです。何を言いたいかというと、 建設業退職金共済のいまの納付方法の検討も重要ですが、建設業の労働者数は減少とい えども500何十万人いるわけです。そういうことから考えると、310円の単一商品でいい のか、単一の掛金だけでいいのかということを、私は業界全体で考えてほしいと思うの です。この倍の600円や900円や1,200円などが仮定の議論ですが、それが事務的にでき ないということでもなかろうと。  共済証紙の納付方式についても改善の検討を進めているわけであり、建設業の退職金 はこれぐらいでいいだろうという前提があって議論されているのだとすれば、私はこの 委員会でいちばん古手になってしまいましたので、過去の経過もいろいろ分かっている つもりです。建設業の下永吉委員もお見えになって、重要な制度だと位置づけられてい るわけですので、今日そのことについてすぐ回答がほしいというわけではありません が、このまま放っておいていいのかと。ここで現実に257万人も入っている建設業の退 職金の水準がこれでいいのかということについては、しっかり議論をしてほしいと思い ます。 ○齋藤部会長  ほかに何かありますか。 ○郷農委員  退職金の支給状況に平均額が書いてありますが、平均年数はお分かりになりますか。 ○前田勤労者生活課長  資料1の2頁の(注2)で、平均掛金納付月数ということで書いています。一般が 114カ月ということで、10年弱の数字になります。建設業が111ということで、ほぼ同様 です。清酒が199で若干長めです。林業も145でちょっと長めです。基本的にはそこが、 掛金を掛けていただいた平均的な期間ということです。 ○郷農委員  ありがとうございました。 ○菅井委員  それに関連して聞きたいのですが、建設も一般も、大体10年足らずでやっている中 で、支給額が一般は120万、建設が94万。しかし、掛金は一般がほぼ9,000円で建設が 300円と。これは一体どういう関係で、こうなるのですか。 ○都村委員  日額です。 ○菅井委員  これは日額ですか。 ○都村委員  はい。 ○臼杵委員  私はこの委員会で新しいもので、よく分かっていないところもあるかと思いますが、 1点お願いというか要望と、もう1点は質問です。1つ目の要望は、中期計画について 先ほどお話がありましたように、過去5年ぐらいの実績で、基本的にはお考えになって いるということですが、先ほどから都村委員や田村委員もおっしゃっていましたが、例 えばパートをどうするかという問題は非常に大きな問題です。  民間のほうは2007年問題で、退職者が2007年に相当出てくることが今問題になってい ます。こちらの被共済者の方の年齢構成はよくわからないのですが、労働市場全体がか なり変わってきているという問題があります。産業構造で、例えば6頁に加入者数が目 標に達していないというお話がありましたが、共済契約者数が減少しているというお話 は、そもそも中小企業全体の転・廃業などがだいぶ進んでいるのかなという気もしまし て、労働市場全体や産業構造の変化などを少し視野に入れていただいて、中期計画にご 配慮いただけると、私としては納得しやすいです。  もう1つ細かい話ですが、7頁の健全な資産運用という所で、資産運用評価や評価委 員会による運用結果の評価などをなさっているということなのです。これは共済事業全 部のポートフォリオの構築についてなさっているのか。例えば清酒や林業などについて までも、こういうことをなさっているのかどうかをお伺いしたかったのです。 ○前田勤労者生活課長  資産運用については、資産運用検討委員会というものを機構内部で設けまして、基本 ポートフォリオについて検討しております。清酒や林業についてもポートフォリオとい うものをそれぞれ作っています。それに基づいて資産運用するという形でしています。 ○臼杵委員  こういう質問をいま申し上げたのは、事業によって資産の規模が非常に大きく違うこ とがあるからです。確か一般の共済では3兆円ぐらいであるのに対して、清酒では75億 円、林業が144億円なのですが、これは勘定はもちろん別々であるとわかるのですけれ ども、運用体制なども完全に別々になっているのでしょうか。 ○前田勤労者生活課長  いま各事業ごとに、運用も別にしているということです。ですので清酒や林業につい ては資産規模が非常に小さいこともあり、あまりリスクも取れないような運用にもなっ ているということで、運用利回りもちょっと低くなるという状況にあります。 ○臼杵委員  もともと母体が金融機関ということもあるのですが、やはりある程度運用は規模の経 済というものが働くのではないかと思います。その辺がもう少し今後の課題になるのか もしれませんけれども、合同して運用するなど、そういうような方向を少しお考えいた だければと思うのですが、その辺はいかがですか。 ○前田勤労者生活課長  これまでこの各事業ごとに独立してやる、特に特定業種についてはそれぞれの事業主 団体がもとになってやっているようなこともあって、そこを運用の部分まで含めてこれ までは別々にするという整理でやってきたということです。ただし、特にそういう運用 面でのスケールメリットということも含めて、今後の問題として検討する必要があるか と思います。 ○郷農委員  運用利益のところのパーセンテージが、業種別にフラクチュエイトしていることや、 例えば建設業種では国債が8.5%から15.6%と去年の2倍ぐらいに上がっていることな ど、いろいろと教えていただきたいことがあります。そういうことは内部的にいろいろ な理由があって、それなりになさっているので表に出して教えていただけないものなの でしょうか。 ○前田勤労者生活課長  昨年で申しますと、財政融資資金預託金という財投の部分が減りまして、これは義務 預託ではなくなったこともあり、その分が減って国債が増えています。一般に財投は7 年が多くて、国債は10年、20年ということで、むしろそちらの方が安全かつ効率的運用 という意味から、国債の方が債券の中で見た場合にはより有利であろうということで、 昨年は国債のウエイトが高まっています。 ○山川委員  初めての参加なので、既に議論済みのことかもしれないのですが、加入促進について です。いわば入ってくれやすい方というと、例えば適格年金制度を廃止する予定の企業 や、新規開業した企業などが考えられます。そのマーケティングにおける顧客のターゲ ットという観点から、入ってくれやすい方に特に重点的に、何らかの加入促進を行うよ うな、運用あるいは計画等はあるのでしょうか。もう1つあるとすれば税理士等で、評 価委員会で指摘された点があろうかと思いますけれども、入ってくれやすそうな所に、 特に重点的に情報提供するということはあるのでしょうか。 ○前田勤労者生活課長  特に最近の問題としては、適格年金からの移行が平成23年度までということになって いて、効果も非常に大きいということがあろうかと思います。この辺は現在適格年金を している生命保険などの企業にもご協力をいただいて、説明会をする、あるいは個別に 加入促進の働きかけを行うこともしています。そういうことも含めて、更に加入促進に 努めていきたいと考えています。 ○勝委員  加入促進についてなのですが。いまいろいろな議論がありますけれども、確かに先ほ ど佐藤委員が言われたように、2百何万というのは中小企業全体の数から見ると、かな り小さい人数である。では、どういう形で加入促進を図っていくかという、具体的なピ クチャーみたいなものを描いていく必要があると思います。これはパートタイムの部分 もそうなのですが、もちろん適格年金からの移行というのはあると思うのですけれど も、どういうところをどういう戦略をもってやっていくのか。  加入促進と一口に言っても、例えば6頁にあるように、林業や清酒製造業というよう な所は、かなり努力はなされていると思うのですけれども、これ以上増やしていくとい うのは、産業自体の性格から考えても難しい。そういうことから考えると、これは先ほ ども指摘があったように、資金が小さいということから出てくる非効率的な部分を合同 にする。これは、かなり前から審議会でも言われていることなのですが、なかなか出来 ない状況の中にあって、ただ加入促進の人数を目標にするだけではなく、どういう戦略 を取っていくかを明確にする必要があるのではないかという気がします。  今まで、これはあまり議論をされていなかった部分であると思うのですが、特に雇用 市場がこれだけ変わっていく中で、どういうところを目指していくのか。もちろん、こ れは次の議題である予算財政の問題とも非常に大きく絡むところであります。それにつ いても中期計画等で考えていく必要があるのではないかという気がしました。これはち ょっとコメントですけれども。 ○松本委員  私も今回初めて参加させていただいています。中期計画に基づいて個別項目に関する 評価結果というのが出ているかと思うのですが、運用自体が各事業ごとに運用されてい て、損益や貸借対照表が出ている中で、最終的にトータルの評価結果だけが出るという のは、本当に見なければいけないところが見えなくなるのではないですか。運用を個別 にやられるのであれば、評価結果も個別の事業で見ていただいて、その上でトータルで この評価結果が出てくると、問題点が見やすいのではないかという気がしたのですが。 ○前田勤労者生活課長  評価というのが、もちろん累積欠損金の状況などその辺については、一般の中小企業 退職金共済事業あるいは林業について、そういう状況にあるというようなことで、個々 に事業を評価していただいているのです。あくまでも評価委員会としては、法人全体と して評価するという枠組みになっているので、そういう個々の事業の評価を踏まえて、 全体としての評価になっているとご理解いただきたい。 ○齋藤部会長  私から言うのはどうかと思うのですが、若干感想めいたことを申し上げたいと思いま す。1つは加入促進の関係で、どなたかが言われましたように最近の就業構造や産業構 造の変化というのは非常に大きいので、そういうようなものを踏まえた上で、効果的な 加入促進をやらなければいけないのだと思うのです。いままでと同じように一般的な情 報提供だけではおそらく駄目なので、もう少しこれまでと違う工夫したような加入促進 対策というのを是非考えていただきたいと思います。  特にこの中で、Bの項目になっている、「加入者の要望などを制度の運営に反映させ ることにより、当該制度の改善を図ること」というのは非常に大事なことだと思うので す。要するに加入促進があっても、実際に加入している人たちに、どういうところがい やでなかなか加入できなかったとか、あるいはどういうところにメリットがあったから 加入したとか、いわばこの人たちはお客だと思って、お客の要望にどうやって答えるか ということを考えていただいたほうがいいのではないかと思います。  もう1つは、資産の運用についてで、2%少ししか儲けられないのかという感じがし ないでもない。平成16年度の経済情勢を考えると、もう少し利回りが上がってもいいの ではないかという気がするのです。特にこの評価委員会の中で「経済情勢の変動に迅速 に対応できるよう、常時最新の情報を把握すること」と言っているのですが、これも資 産運用するに当たっての常識というか、基本的なことではないかと思うのです。そうい うことを指摘されてしまうというのは、ちょっと問題ではないかという感じがします。 それだけちょっと感想的に申し上げておきたい。  それではまた何かありましたら、次の議題のときにお話いただくことにします。次に 第2の議題、累積欠損金の解消計画についてです。 ○前田勤労者生活課長  資料4と参考資料をお配りしてあります。参考資料の3頁をご覧いただくと、この中 小企業退職金共済部会で、今年3月に中小企業退職金共済制度の運営に関する意見書、 ということで取りまとめていただきました。その中に1〜5と5点あるわけですが、1 番目は「現行の予定運用利回りは、やむを得ず設定するもので、引き上げるため不断の 努力を行う」。2番目に「付加退職金の支給に当たっては、累積欠損金の計画的早期解 消ということが重要な課題と受けとめて、加入促進、あるいは効率的な運用、経費節減 に努める」。それから付加退職金について3番のところで、「3月に利益の見込額が各 年度ごとに解消する累積欠損金の2倍に相当する額以上のときは、2分の1を解消に、 残りを付加退職金に当てる。2倍に相当する額を下回るときは、まず見込額のうち、年 度ごとに解消すべき累積欠損額を解消に充てて、残りを付加退職金に充てる」というよ うなことでまとめていただきました。その際に目標値ということで、15年で解消した場 合の目標といったようなことが付いています。  こういうことを受けて参考資料1頁、厚生労働省から機構に対して、具体的な累積欠 損金の解消年限、中期計画期間内の解消目標額あるいは年度ごとに解消すべき額という ことで、これも策定について先ほどの目安の額を設定するようにということで、指示を したところです。  それに基づいて、機構で解消計画を今般策定したことを報告させていただきます。資 料4をご覧ください。一般の中小企業退職金共済制度と林業の2つについて、解消計画 を作ったということです。1頁では、一般の中小企業退職金共済制度について、現在の 欠損金の状況ということで、1の(1)にあるように、平成16年度末で2,284億円とい う累積欠損金があります。この計画(2)にあるように、総務省の評価委員会の通知 や、労働政策審議会のこの部会の意見書を踏まえて、先ほどありましたように厚生労働 省から機構に対して、通知が出されたということで、このために計画を策定したという ことです。  ただし、この計画については今後の経済情勢の変化、あるいは目標達成の進捗状況を 踏まえて、中期計画策定時等において必要な見直しを行うということにしています。計 画の前提は、現在の制度を前提に計画を作っているということで、予定運用利回り1% ということで、年度ごとの累積欠損金と付加退職金の配分は先ほどのとおりであります 。  加入脱退等について、過去10年のデータなどから推計をしました。あとは適格年金か らの引継について、一時的な増減等があるので、そういうことを見込んで計画を作った ということです。平成17年度からの計画ということです。  今後の経済の見通しについて、6頁にありますが、民間のシンクタンクに中期的な見 通しをしていただき、一定の今後の経済予測というものを出していただいて、それに基 づいてシミュレーションを行ったということです。2頁に戻って、一般の中退について は、平成27年度末でおおむね50%の確率で解消できる。様々なシナリオがあるわけです が、そういうものについて一定の確率を元に発生させるというようなシミュレーション を行ったところ、50%の確率で累積欠損金の解消を行うというのが、平成27年度末とい うことです。  そこに一定の確実性を見たということと、中期計画の期間と合わせるということを考 えますと、今後の中期計画が5年ということを想定すれば、平成17年度から平成29年度 までの13年間において、この累積欠損金の解消を行うという計画になっています。  そうすると(2)にあるように、2,284億円を13年間で解消するということで、毎年 均等に解消していくとすれば、年間180億円が解消すべき額ということになります。中 期計画1期間が5年間ですので、5年間で見ますと900億円です。この180億円を解消し ようとすると、達成すべき運用利回りについては予定運用利回りに加えて、累積欠損金 あるいは付加退職金というものを含めると、2.2%の運用利回りを達成すべきというこ とです。  具体的な措置として、更に健全な資産運用に努めると共に加入促進、経費節減を行う ということです。こういうことで、一般の中退については13年間で累積欠損金を解消す る計画です。  それから4頁の林業ですが、現状については4頁、1の(1)にあるように、平成16 年度末で16億5千万円というのが累積欠損金の状況です。林業については、これも現行 の制度を前提に今後を見込むということで、予定運用利回り0.7%ということです。  ただし、林業については先ほどからご指摘がありましたように、資産の規模が非常に 小さいということで運用面での制約があるということと、あとは現在は掛金収入よりも 退職金支払が多いという状況にあって、実際の運用が一般の中退に比べると、やや制約 されるということもあります。累積欠損金の解消が、5頁にあるように中退よりも5年 間先になっていて、平成34年度末までの18年間という解消計画になっています。  それでいくと、16億5千万円を18年間で解消するということで、年間9,200万円を解 消するということです。いまの資産を前提にすると、1.33%の運用利回りということで す。資産運用、加入促進、経費節減等は同様です。  6頁の今後の見込みということで、これは7頁にあるような、民間のシンクタンク で、日本経済の中期的な見通しを立てたものです。それに基づいていまの資産等を前提 に、シミュレーションを行ったということです。6頁の下のほうでは基本ポートフォリ オということで、一般の中退の場合には8割弱が国内債券で、残りの2割強が株式等と いうことになっています。一方、林業については国内債券のウエイトが非常に高く、リ スクを取りにくいということもありまして、そういうような現在の基本ポートフォリオ になっています。これを前提に今後の経済の見通しに基づいてシミュレーションをした 結果、先ほど申し上げたように一般の中退については13年間、林業については18年間と いうことで解消する計画を策定しました。以上です。 ○齋藤部会長  いまの説明についてご意見、ご質問がありましたらどうぞ。 ○田村委員  2点よろしいでしょうか。私ども3月に議論させていただきましたが、厚労省から独 法に3月17日付の文書が出て、今日初めて見させていただいてというか、公式にはこう いう形になるのですけれども、計画にこれほど年月がかかるものかどうかということが 1つ。この出された計画は、例えば13年と18年かかるという全体の計画になっているの です。これはこの間拘束されるわけではないですね。毎年というわけにはいかないかも しれませんけれども、変動があればその都度、当然に見直しは可能であろうと思うので すが、その辺を伺いたいのです。 ○前田勤労者生活課長  3月にこの部会でも意見書をまとめていただいて、厚生労働省から機構に具体的な計 画を策定するようにということで指示したわけです。今後の見通しなどについて、民間 のシンクタンクにも依頼をしたところです。それに基づいて、資産運用を含めた検討を 行いました。そういうことで多少の時間を要したため、半年ぐらい経過したということ です。  この計画については、資料4、1頁の1(2)の一番下のところに「なお、本計画に ついては経済情勢の変化や目標達成の進捗状況等を踏まえ中期計画策定時において必要 な見直しを行う」こととしています。何分かなり長い期間の計画にもなっていますの で、今後の経済情勢や、更には実際に目標の達成がどうなっているかという状況も踏ま えて、今後必要な見直しを行うということです。例えば中間計画策定という節目ごと に、そういう必要な見直しを行っていくものと理解しています。 ○田村委員  資料7頁のいちばん上のところの、平成20年度の公的需要だけがマイナスになってい ます。2つ下の名目GDP、消費者物価関連については、どんと上がってくる格好にな っているのです。ちょっとこの辺の背景などを教えていただきたいのです。 ○前田勤労者生活課長  これは民間のシンクタンクで見通しをしていただいたのですが、その際、平成20年度 には現在5%の消費税を、7%に引き上げるというようなことを織り込んだ推計を行っ たということで、平成20年度のところにそういう影響が出ています。 ○成宮委員  消費税を上げると公的需要が落ちる。 ○佐藤委員  民間需要が。 ○成宮委員  民間需要が伸びています。不思議なデータです。 ○齋藤部会長  他に何かありますか。 ○佐藤委員  ちょっと林業のことについて意見を言わせていただきます。林業は財政規模も小さく て被共済者も少ないので、あまり大きな議論にならないと思うのですが、建設業から林 業を見ると非常に関連の深い産業であり、川上、川下というような言い方もしています 。ところが、日本の林業というのは壊滅的な状態にある。住宅に使用される木材の8割 までが外材である。必要な間伐も枝打ちも実際に行われないで、山は荒れている状態に なっているわけです。  これはある意味こういう狭い場所での退職金問題よりも、産業政策として林業をどう していくのか。日本の国土を見た場合、非常に山が多いことは誰でも小学校で教えても らうわけです。その豊富な資源である、林業を活用していないという問題に本当は議論 がいくべきである。  林業従事者の労働条件も非常に厳しいですし、コンビニで売っているいわゆるウォー ター1リットルと、杉材の同じ分量では、水のほうが高いというのは、この業界の人た ちがみんな言うことなのです。それぐらい日本の産業の中から置いてきぼりを食った産 業であると思うのです。  退職金共済は、これはこれとして議論しなければいけないとは思いますが、やはりこ このところそれぞれの地域に行くと、地場で採れた木材で地場の工務店が家を建てる と、そのようなことが盛んに言われているけれども、実態はそうはなっていない。そう いう意味で言うと、建設業をも含めた産業政策の在り方が問題なので、これは消滅して いかざるを得ないような危惧を持つわけです。  細々と残ればよいのだということならばそれでもよいのですが、先ほど豊富な資源と いうことを言いましたけれども、適切な労働力の確保の問題等も含めて、これからはこ この分野以外のところでもしっかり議論をしていただきたいと思っています。  関連して言うと、下永吉委員も関係があるかもしれませんが、いわゆる町にあった製 材業というのはばたばた潰れています。製材するだけの価値がないというような、全く 潰れたわけではありませんけれども、非常に衰退した産業になっています。そういうこ とも厚生労働省の立場から、然るべく産業政策を行う所にものを申してもらいたいと思 います。 ○勝委員  この計画については、この春に決めたものがベースになっていると理解しているので すが、計画の前提で予定運用利回りは年1%とするとあります。先ほど長期的な経済予 測がありましたけれども、いずれその量的緩和が解除されて長期金利が上がる局面とい うのが必ず来るわけです。そうしますと、例えば一般の中退が年1%である、あるいは 林業ですと0.7%と、その水準自体が他の退職金共済に比べてかなり低い水準になって くるという問題が出てきます。  これは先ほど加入促進ということがありましたけれども、その商品性という問題が出 てくるので、ある時期でこの予定運用利回り自体の引上げということは多分議論される と思います。それは付加退職金というものをどうするかということとも絡めて議論がな されると思うのですけれども、そういう事態が起きた場合でもこの数字自体はずっと生 きている、つまり年180億円で一般の場合は13年、林退の場合は18年、というところは 生きていると理解してよろしいのでしょうか。 ○前田勤労者生活課長  これは今の制度を前提に、機構で計画を作ったということで、制度はあくまでも現行 制度を前提にということです。今後、制度の議論があって、そこの制度の見直しという ことが行われれば、それに伴ってこの前提が変わってきますので、再度これを検討し直 すことが必要になると思います。 ○臼杵委員  ちょっと私よく理解していないのですが。資料1頁、計画の前提の(2)の(i)のと ころの「当該利益の見込額の2分の1に相当する額を累積欠損金の解消に、残りの2分 の1に相当する額を付加退職金に充てる」ということなのですが、この付加退職金とい うのはその年にお金が出ていくものなのかどうかを、まずお伺いしたかったのです。 ○前田勤労者生活課長  年度ごとに付加退職金の率を計算しますが、それはその年にいる人に何パーセントと いうのを計算上付けるということで、最終的に退職金が払われるときに払われるという ことです。一応付加退職金として決まれば、その分は費用として計上されます。 ○臼杵委員  そうすると、責任準備金になるわけですね。わかりました。それと7頁の付表2です が、これは期待収益率の平均が2.2%という理解でよろしいですか。 ○前田勤労者生活課長  6頁の基本ポートフォリオでいくと、一般の中退についての期待収益率は2.6%ぐら いの形になっています。そこはちょっと固めに見てということで、2.2%であれば13年 間で解消できるということです。 ○臼杵委員  標準偏差は全体でどのぐらいになるのですか。 ○前田勤労者生活課長  標準偏差は一般の中退につき2.93%です。期待収益率は2.6%です。 ○臼杵委員  では比較的リスクが低いということで、わかりました。そうすると、あまりそういう ことを懸念する必要はないのかもしれませんけれども、期待収益率が2.6%で標準偏差 が2.9%ということは、一標準偏差で6分の1の確率ではまた損が出るということにな ります。ですから損が出たり、逆に言うとすごく高いリターンが出たりする。  ある意味で運用とはそういうものなので、もちろん1つの目安として180億と考える のは構わないとは思うのですが、例えば非常に高いリターンが出たとき、完全にそれを 半分全部を付加退職金、責任準備金に繰り入れていいのか。あるいは逆に、1回損が出 たとき、累損が増えたとき、今度はそれをどうするのか。  その辺が計画どおりいかなかったときのことをある程度考慮されたほうがいいのでは ないか。例えば収益の2分の1を付加退職金に繰り入れるにしても、1回増えた前年の 損失を一度カバーしてからそれを繰り入れるとか。あるいは逆にどこかで非常に高い、 今年はもしかするとすごく高いリターンが出るかもしれないのです、株がこれだけ上が っていますので。そういうときにどこかで例えば繰入れの上限を設けるなど、毎年毎年 ぶれることを均していくように、少し考慮されるほうがよいのではないかという気がし ます。 ○前田勤労者生活課長  その点については、この制度の問題として、付加退職金と累積欠損金をどうするかと いうことで、これまで部会でご議論いただきました。その結果がこの3月の意見書とし てまとめられたものです。またそれについて、ご意見があるかとは思うのですが、一応 これまでの整理として3月の時点でまとめられたということです。もちろん今後、累積 欠損金解消計画を作って、また実際の運用がどうなっていくかということにより、制度 そのものをどうするかという議論はあり得るわけですが、当面はこの3月にまとめられ た意見書に従った運用を考えていきたいと思います。 ○齋藤部会長  何か他にありますか。それでは本日はこの辺で終了させていただきたいと思います。 本日の議事録の署名委員は佐藤委員と讃井委員にお願いします。それではどうもご苦労 様でした。ありがとうございました。 照会先: 厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部 勤労者生活課 調査係(内線5376)