05/11/02 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会 平成17年11月2日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年11月2日(水) 16:00〜   厚生労働省専用第15会議室 2.出席委員(16名)五十音順   ○池 田 康 夫、 井 上 章 治、 上 田 志 朗、 大 澤 真木子、    菊 地 博 達、 岸 田   浩、 北 村 啓次郎、 倉 田   毅、    倉 田 雅 子、 柴 川 雅 彦、 田 島 知 行、 土 屋 文 人、    長谷川 隆 一、 堀 内 龍 也、◎松 本 和 則、 山 口 照 英    (注) ◎部会長  ○部会長代理 他 参考人1名   欠席委員(7名)五十音順    岩 崎   学、 甲 斐 知恵子、 相 楽 裕 子、 首 藤 紘 一、    田 代 眞 人、 埜 中 征 哉、 渡 辺   亨 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    中 垣 俊 郎(安全対策課長)、   山 田 雅 信(安全使用推進室長)、   岸 田 修 一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   別 井 弘 始(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 それでは、平成17年度第2回医薬品等安全対策部会を開催いたします。本日 の部会は従前の取扱いと同様に公開で行うことといたしておりますが、カメラ撮りをさ れる方がいらっしゃいましたら議事に入る前までとさせていただいておりますので、御 協力のほどよろしくお願いいたします。  本日の委員の先生方の出席状況でございますが、岩ア委員、甲斐委員、相楽委員、首 藤委員、田代委員、野中委員、渡辺委員から欠席との御連絡を頂いております。それか ら、倉田毅委員からは所用で遅れるという御連絡を受けているところでございます。現 在15名の委員に御出席いただいております。本部会の定員は23名ですので、定足数に 達しております。  本日は議題1の(3)でコウジ酸を含有する医薬部外品の取扱いについてお話しさせて いただくのですが、その関係で厚生労働省で開催いたしましたコウジ酸含有医薬部外品 の安全性に関する検討会の座長をしていただいた国立医薬品食品衛生研究所安全性生物 試験研究センターの病理部第一室長の西川秋佳先生に部会長の御了承を得て御出席いた だいております。  また、6月8日に開催いたしました前回部会以降、事務局に異動がございましたので 紹介させていただきたいと思います。安全対策課長が中垣に異動となっております。 安全対策課長 中垣でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局 それから、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の安全部長が別井部長に異 動になっております。 ○安全部長 別井でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局 それではこれから議事に入らせていただきますので、もしカメラ撮りをされ る方がいらっしゃいましたらここまでとさせていただきます。部会長、よろしくお願い いたします。 ○松本部会長 よろしくお願いいたします。それでは、まず事務局から本日の配付資料 の確認をお願いいたします。 ○事務局 先生方のお手元には座席表と委員名簿に続きまして議事次第、配付資料一覧 という一枚紙をお配りしております。それから資料番号の付いたものを配付させていた だいておりまして、資料1-1が医薬品等の使用上の注意の改訂についてというもの。資 料1-2がカートリッジ型のインスリン製剤の関係のもの。資料1-3がコウジ酸を含有す る医薬部外品についてという資料。資料1-4はディートを含有する医薬品及び医薬部外 品に関する安全対策についてというタイトルの通知。資料1-5は平成17年度第1回伝達 性海綿状脳症対策調査会の結果というタイトルの資料。その次から資料番号2のシリー ズでございます。資料2-1が薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議 会への副作用・感染症等報告についてという資料。資料2-2は国内副作用報告の状況(医 療用医薬品)というもの。参考資料2-2は薬効分類表でございます。資料2-3は国内副作 用報告の状況(一般用医薬品)というもの。資料2-4はA4の横のもので、国内感染症報 告の状況というタイトルの資料。資料2-5が外国での新たな措置の報告状況。資料2-6 は研究報告の報告状況。次から資料番号3のシリーズになりまして、資料3-1は感染症 定期報告の状況というタイトルの資料。資料3-2は報告文献別一覧表。その次に資料4 のシリーズでございますけれども、資料4-1が重篤副作用疾患総合対策事業について。 資料4-2は「妊娠と薬情報センター」の設置について。資料4-3は医薬品医療機器総合 機構の安全対策業務の重点事項(平成17年度後半)というタイトルの資料でございます。 それから当日配付資料として二つございます。当日配付資料1がゲフィチニブ検討会に おける検討結果に基づく対応についてという資料。当日配付資料2が微粒子原料を配合 した化粧品の安全性等についてというもの。以上が資料でございます。不足等がありま したら申し出ていただければと思います。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。よろしいようでしたら早速議題に入りたいと思い ます。先ほど事務局から倉田毅委員が遅れて出席されるとの連絡がありましたが、議題 3の感染症定期報告につきましては毎回倉田委員に事前に報告を評価していただいてお ります。したがいまして、この議題は倉田委員の出席の下で進めた方がいいと思います ので、もしこの議事までに倉田委員が来られないようでしたら、この議事は一番最後に させていただきたいと思います。あらかじめ御了承お願いいたします。  それでは、まず議題1の医薬品等の市販後安全対策についてです。事務局から御説明 をお願いいたします。 ○事務局 資料1-1、医薬品等の使用上の注意の改訂について御説明いたします。今回 は平成17年6月15日〜平成17年10月17日までの間に指示した分について御報告いた します。まず6月15日発出分でございます。05-044の「エトドラク」につきまして、 副作用症例が集積したことから評価し、「中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)」の副作用 を追記いたしました。05-045の「オメプラゾール」、「オメプラゾールナトリウム」に つきまして、副作用報告が集積したということで同様に「血小板減少」、「急性腎不全」 を「重大な副作用」に追記いたしました。以下20成分について指示したところでござい ます。  続きまして3ページを御覧ください。7月20日付けの発出分でございます。05-066 の「バルプロ酸ナトリウム」につきまして、副作用報告が集積したということで「過敏 症症候群」、「抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)」の副作用を追記いたしました。 05-067の「プラノプロフェン(経口剤)」につきまして、こちらも副作用報告が集積した ということで「間質性肺炎、好酸球性肺炎」を追記いたしました。05-068の「補中益気 湯」について、こちらも副作用報告が集積したということで「間質性肺炎」を追記いた しました。以下13成分について指示しております。次のページを御覧ください。一般用 医薬品の05-073、05-077、05-078につきまして、今回医療用医薬品の評価の下で、一般 用医薬品においても用法・用量、効能・効果の範囲内で副作用が起こるということを評 価し、同様な副作用の追記を行っているところでございます。  続きまして4ページの一番下、8月24日付けの発出分について御説明いたします。 05-082の一般用医薬品「ガジュツ末・真昆布末含有製剤」につきまして、副作用症例が 集積したということで[してはいけないこと]の項を新設し、過敏症についての注意喚 起、[相談すること]の項に過敏症及び肝臓障害に関する事項について追記したもので ございます。以下10成分について指示しております。6ページを御覧ください。上から 2段目の05-092につきましては、資料1-4で紹介させていただきます。  次に9月15日発出分について御説明いたします。05-093の「シタラビン(大量療法用 製剤)」、05-094の「デキサメタゾン(経口剤)」等の改訂につきましては、シスプラチ ンを含有する抗がん剤併用療法に基づく新たな承認を得ましたので、同様の薬剤につき まして承認に合わせて使用上の注意を改訂したものでございます。  続きまして9月28日発出分でございます。7ページの上からでございますが、05-098 の「リン酸フルダラビン」につきまして、症例が集積したということで「自己免疫性血 小板減少症」、「赤芽球癆」について「重大な副作用」に追記いたしました。05-099の 「硫酸バリウム」につきまして、症例が集積したということで「禁忌」の項に「消化管 の閉塞又はその疑いのある患者」、「硫酸バリウム製剤に対し、過敏症の既往歴のある 患者」を追記いたしました。以下、[慎重投与]、[重要な基本的注意]の項の記載を 改めております。以下5成分について指示をしております。  最後に8ページを御覧ください。10月17日発出分でございます。05-105の「プラス テロン硫酸ナトリウム(注射剤)」についての説明でございます。これは頸管熟化剤でご ざいますが、同様の系統で使われる陣痛促進剤との横並び等の記載整備を行いまして[警 告]欄を新たに設け、「本剤の使用により、胎児徐脈又は胎児仮死が起こることがあり、 胎児死亡に至った症例が報告されている」、「本剤の投与に際しては妊婦及び胎児の状 態を分娩監視装置等により十分に観察するとともに、投与後も同様に十分観察し、異常 が認められた場合には適切な処置を行うこと」等の指示を行ったところでございます。 以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。ただいま平成17年6月15日〜平成17年10 月17日指示分の医薬品等の使用上の注意の改訂について説明していただきましたが、こ れについて御意見ございませんでしょうか。倉田委員、どうぞ。 ○倉田(雅)委員 今御説明いただいた8ページの一番最後の「プラステロン硫酸ナトリ ウム(膣坐薬)」なのですが、これは今でも調剤薬局で購入できるかどうかお調べいただ いていますでしょうか。 ○事務局 こちらについては1999年12月に添付文書の改訂が行われておりまして、重 要な基本的注意の一番最初に「本剤の使用によりアナフィラキシー様症状及びショック 等の発現が報告されているため、本剤は医師の管理、監督下で使用し、投与後は十分に 観察すること」という項が新設されまして、調剤薬局等では使用しないということにな っております。 ○倉田(雅)委員 分かりました。ありがとうございます。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかにございませんでしょうか。ないようでしたら次 に進ませていただきます。  次はカートリッジ型インスリン製剤及び専用の手動式医薬品注入器についてです。ま ず事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして資料1-2、カートリッジ型のインスリン製剤(ランタス注オプチク リック300)及び専用の手動式医薬品注入器(オプチクリック)に関する注意喚起につい て御説明いたします。これは医薬品であるカートリッジ型のインスリン製剤、販売名「ラ ンタス注オプチクリック300」と、医療機器であるランタス注オプチクリック300専用 の手動式医薬品注入器、販売名「オプチクリック」についての注意喚起でございます。 経緯といたしましては、医薬品であるカートリッジ型のインスリン注入器に注射針を正 確に取り付けない場合、同製品から液漏れ等が発生するという報告がございました。状 況としては、液漏れの苦情が143件、本件との因果関係が否定できないという高血糖に 関する重篤な副作用報告が2件あったというものでございます。一方、医療機器である 手動式医薬品注入器について、手で強く圧力を加えること等により注射液量を示すディ スプレイの表示が投与量の設定後に設定前の状態(「00」の表示)に戻る現象が起こる 可能性が否定できないというものでございます。この現象については不具合及び健康被 害の報告はなかったということでございます。この対応として厚生労働省といたしまし ては、まず医薬関係者、医療機関向けに注射針を正しく付けること、ディスプレイの表 示が意図せずに「00」に戻った可能性がある場合には空打ちをして投与量を再設定し、 設定後は直ちに投与することという指示。またアベンティスファーマ社に対しては、カ ートリッジ型インスリン製剤のゴム栓の早期改良等の抜本的な対策を早期に実施するこ と等に関する通知を発出しているところです。また3ページ以降にございますが、併せ てQ&Aをホームページに掲載し注意喚起、情報提供を行ったものでございます。通知 については7ページ以降に参考としてお付けしております。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。この議題に関して御意見等はございませんで しょうか。よろしいでしょうか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内委員 とても有用な薬がこういう注入器等の不具合によって大変な不安を与えて いるということなのですが、繰り返して2回目ですね。カートリッジ型インスリン製剤 のゴム栓の早期改良等の抜本的な対策を早期に実施することとなっておりますが、どう いう状況にあるのか、どういう予定になっているのかをもう少し具体的に御説明いただ けませんか。 ○松本部会長 事務局の方からお願いいたします。 ○事務局 アベンティスファーマ社に確認したところ、11月7日から国内において改良 品が出荷されるということでございます。 ○松本部会長 そのようなお返事でよろしいですか。ほかにございませんでしょうか。 ないようでしたら先に進ませていただきます。  次はコウジ酸を含有する医薬部外品についてです。まず事務局の方から説明をお願い いたします。 ○事務局 コウジ酸を含有する医薬部外品につきまして、資料1-3に基づいて御説明さ せていただきます。まず資料の2ページを御覧ください。コウジ酸を含有する医薬部外 品の概要についてでございます。有効成分配合割合につきましては、コウジ酸0.1〜1 %。効能又は効果は日やけによるしみ・そばかすを防ぐ等。また用法及び用量について は少量を顔面に塗擦する、少量を肌に塗布する。構造式は記載のとおりでございます。  3ページを御覧ください。これまでの経緯でございますが、コウジ酸につきましては 平成14年当時、食品衛生法上で既存添加物として告示されておりまして、その安全性に ついて薬事・食品衛生審議会にて審議が行われ、こちらの記載にありますとおり、平成 14年12月19日に毒性・添加物合同部会報告書がまとめられております。その結果、ま とめの部分の抜粋を記載しておりますが、一番目として、食品添加物としてのコウジ酸 はマウス、ラットで肝発がん性の可能性が示唆され、かつ遺伝毒性を有する可能性が低 いながらも否定できないこと。二番目として、そもそも食品添加物としてのコウジ酸は 意図的に添加するものであること。三番目として、コウジ酸は国内において現在使用さ れていないと報告されており、また輸入食品にほとんど使用されておらず、食品添加物 として使用する必要性は低いと考えられること。これらのことから、今後とも使用しな いよう必要な措置を講じることが望ましいというようにまとめられております。  医薬部外品としての検討についてでございますが、平成15年1月30日にコウジ酸の 安全性に関する検討会が開催され、安全性に関する検討を専門の先生方にお願いいたし ました。検討会における結果を受けて、同年3月7日に本部会において検討いただいて おります。本部会の検討結果を受けまして、「コウジ酸を含有する医薬部外品等に関す る安全対策について(医薬安発第0307006号)」という課長通知を発出したところでござ います。こちらの課長通知は本資料の6ページに参考1として掲載しております。平成 15年3月7日付けの安全対策課長通知で、コウジ酸について追加試験結果が出るまでの 間、コウジ酸を含有する医薬部外品及び化粧品の製造・輸入を見合わせることと記載さ せていただいております。  基本的な考え方を次の7ページにまとめております。まず(1)として、医薬部外品及 び化粧品のリスク・ベネフィットの考え方を記載しております。また(2)として、コウ ジ酸の肝臓における発がんメカニズムが明らかでないものの、遺伝毒性による可能性が 否定できず、動物試験において発がん性が示唆されています。(3)として、一方で昭和 63年の承認以降、健康被害が発生した症例報告はなく、また医薬部外品等としての用法 ・用量の範囲で使用する限りにおいて発がん性及び遺伝毒性が発現するという明らかな 科学的根拠はなく、また否定するだけの科学的根拠もないという状況であります。(4) としてまとめられておりますのが、コウジ酸を含有する医薬部外品について、直ちに安 全性に問題があるとは考えられないが、追加試験が実施され、コウジ酸と発がん性及び 遺伝毒性との関係について明らかになるまでの間、新たな製造・輸入をしないことによ り万が一のリスクを少なくする必要があるということでございます。このような形で基 本的な考え方をまとめさせていただいております。  また7ページの「(当面講ずべき安全確保措置)」の(1)の(1)にありますが、肝臓での 発がんメカニズム等を明らかにするため追加試験を実施することという指示を出してお りまして、本資料の8ページに指示をした追加試験の一覧がございます。この追加で指 示した試験の主な試験結果につきましては今般提出されており、それを受けて平成17 年7月28日にコウジ酸を含有する医薬部外品の安全性に関する検討会を開催したとこ ろでございます。  4ページにお戻りください。本年の7月28日のコウジ酸を含有する医薬部外品の安全 性に関する検討会での検討結果をまとめさせていただいております。(2)コウジ酸含有 医薬部外品の安全性についてでございますが、(1)遺伝毒性についてございます。in vitro の試験でサルモネラ菌突然変異原性や染色体異常を誘発し、また小核誘発性が一部の試 験で見られ、光毒性も認められました。ただ、その活性につきましては高用量でのみ認 められたということでございます。in vivoの試験でございますが、肝臓を用いた小核 試験につきましてはマウスで陽性、ラットでは陰性という結果が得られております。骨 髄及び末梢血を用いた小核試験ではラットで陽性の報告がありますが、マウスでは陰性 の結果であったということでございます。また認められた陽性結果はいずれも高用量で 認められたものであるということでございます。また、今回新たに提出されましたin vivoの試験であるトランスジェニクマウスを用いた28日間の混餌投与の突然変異試験 におきましては、遺伝子突然変異誘発性は認められておりません。また皮膚への影響に ついては、3%のコウジ酸皮膚塗布によるマウス皮膚小核試験では陰性の結果が得られ ております。また暴露証明でもありますコウジ酸のDNA付加体形成試験ではマウス及 びラットともに肝臓においてDNA付加体形成は試験された条件下においては認められ ていないということでございます。以上が遺伝毒性についてのまとめでございます。  (2)発がん性についてでございます。マウスの20か月反復投与試験におきまして甲状腺 腫瘍のほか肝腫瘍の増加が認められておりますが、また今回新たに提出されている雄ラ ットの55週間反復投与試験において、甲状腺腫瘍とともに肝細胞障害及び前がん病変の 増加が認められたということでございます。次のページでございますが、マウスにおい てもラットにおいても肝臓への影響は高い用量で見られた知見であるということでござ います。また今回企業から報告された混餌投与によるラット肝イニシエーション試験で は高用量の2%において弱いイニシエーション作用を示唆する結果が認められておりま すが、検討会においては本試験については試験デザイン等の問題も指摘されており、肝 臓へのイニシエーション作用を明確に証明するものではないと考えられるとされており ます。また、さらに今回報告されたマウス中期2段階発がん試験では肝臓におけるイニ シエーション活性は認められておらず、マウスの皮膚2段階発がん性試験ではイニシエ ーション活性もプロモーション活性も認められなかったというふうにまとめていただい ております。  続きまして、(3)経皮吸収等についてでございます。今回ヒトでの経皮吸収性のデータ が提出されておりまして、コウジ酸を1%含むクリームを健常人の女性に1日500mg塗 布した試験でございますが、6名の被験者で最高血漿中濃度(定量限界1ng/mL)は平均で 定量限界ぎりぎりの1.54ng/mLということで、この試験の結果からはコウジ酸の皮膚か ら体内への吸収はほとんどないものと考えられると。またヒトにおける10年以上の使用 経験から影響はないものと考えられ、これまで健康被害の報告もないという形でまとめ ていただいております。  以上の新たに得られた知見、又は企業から頂いた報告を踏まえてのまとめでございま すが、コウジ酸を含有する医薬部外品につきまして、まずヒトがコウジ酸を含有する医 薬部外品を通常使用する条件下においてはマウス及びラットにおいて高用量で認められ た発がん性のリスクは現実的には極めて小さいと考えられること。また通常の使用条件 下において、生体にとって特段問題となるような遺伝毒性を示す可能性は少ないと考え られること。次に、コウジ酸の皮膚から体内への吸収はほとんどないこと、またこれま で特段問題となるような健康被害の報告もないことなどから、医薬部外品として適正に 使用される場合にあっては安全性に特段の懸念はないものと考えられるというふうにま とめていただいております。なお課長通知による指示がございました八つの追加試験の うち、これまで五つの試験の結果が提出されておりますが、7月の検討会におきまして は、これまで提出された資料から上記のとおり特段の懸念はないと考えられるので、現 段階において残余の試験の実施は必要ないと考えるということで、検討会の方でまとめ ていただいております。御検討のほど、よろしくお願いいたします。 ○松本部会長 ありがとうございました。ただいま御説明いただきましたように、西川 先生が座長をされている検討会において、コウジ酸を含有する医薬部外品の取扱いにつ いては安全性に懸念がないと考えられることから残余の試験の実施は必要ないという結 果になりましたが、この評価につきまして委員の先生方は御質問、御意見ございません でしょうか。残りの検査は必要ないと結論付けてよろしいでしょうか。西川先生、何か コメントございますでしょうか。 ○西川参考人 一番大事な試験と思われますラットを用いた肝発がんのイニシエーショ ン作用があるかどうかを調べる試験についての補足ですが、当初見せていただいた報告 書では全く陰性であるというようなことだったのですけれども、極めて詳細に解析した 結果、統計学的にわずかに有意であるという結果が出されたものでございます。十分時 間がないと思いますので詳しい内容について簡単に申し上げますと、通常前がん病変と いうのは0.2平方ミリメートル以上のものについて解析するのですが、今回は二つ以上 の細胞から成る細胞巣すべてについて解析した結果、単位面積当たりの病変の数が増え た、ただし面積については有意差がなかったという結果であります。  それから試験デザイン等の問題ということがありますけれども、試験デザインと言い ますのは、4週間コウジ酸をえさに混ぜて投与して6週後に肝臓の部分摘除をし、5週 目から10週目まで肝発がんのプロモーターでありますフェノバルビタールを陽性対照 としてコウジ酸を投与した群と投与していない群で病変の発生の状況を調べるわけです けれども、コウジ酸を4週間投与しますと当然プロモーションがかかるというわけで、 それを投与しない群と比較すると、コウジ酸のプロモーションの活性をその分だけ検出 してしまうというデザインの問題があるということです。結果は統計学的にプラスとい うことになるのですけれども、内容的にはどうもイニシエーションの活性というよりは コウジ酸のプロモーションの活性をディテクトしている可能性が高いというような結論 が得られました。したがいまして、イニシエーションの活性は現実的にはほとんどない というような結論になりました。以上です。 ○松本部会長 どうもありがとうございました。ということで、この問題についてほか に御質問ございませんでしょうか。ないようでしたら、このコウジ酸を含有する医薬部 外品の取扱いについては、安全性に懸念はないと考えられることから残余の試験の実施 は必要ないとさせていただいてよろしいですね。それではそのようにさせていただきま す。そうなりますと、コウジ酸を含有する医薬部外品及び化粧品につきましては、平成 15年3月以降、追加試験が実施されてコウジ酸と発がん性及び遺伝毒性との関係につい て明らかになるまでの間、新たな製造販売をしないこととしておりましたが、今回のこ のような評価を踏まえまして製造販売を再開するということでよろしいでしょうか。御 意見ございませんでしょうか。特に御意見がないようですと、コウジ酸を含有する医薬 部外品及び化粧品の取扱いについては、製造販売を再開することとして差し支えないと させていただきます。事務局はそれでよろしいですか。それではそのようにさせていた だきます。西川先生、どうもありがとうございました。  次に進ませていただきます。次はディートを含有する医薬品について、まず事務局か ら説明をお願いいたします。 ── 西川参考人退席 ── ○事務局 ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について、資料 1-4で御説明いたします。本件につきましては平成17年6月に独立行政法人国民生活セ ンターの方から、子供に使用した場合のディートの安全性について検討してほしいとい うこと、使用者がより安全に虫よけ剤を使用できるよう用法・用量等を明確に表示する よう指導してほしいということ、虫よけ剤のディートの濃度について適切に表示するよ う要望するということ、以上の三点についての要望書が提出されております。これにつ きまして当課において、安全性について特段の問題はないか専門の先生等に相談しつつ 文献等を調査する中で、デューク大学における文献でディートの神経毒性に関する試験 の結果が山積されましたので、それついて平成17年8月15日にディートに関する検討 会を開き、薬事・食品衛生審議会の専門家による検討を行ったところでございます。  3ページにその検討結果の概要をお示ししております。ディートを含有する医薬品等 は我が国において40年以上にわたって使用されているにもかかわらず、現在まで薬事法 に基づく副作用報告はないということ。米国、カナダ、イギリスなどの外国において販 売停止等の措置を講じている国がないということ。デューク大学の研究グループが行っ たラット皮膚塗布試験に関する報告については、関係する他の報告に比べ低容量でディ ートの神経系への影響が認められているが、試験方法等の不備が認められるため現時点 では評価が困難であるということ。以上のような状況において、ディートを含有する医 薬品等については現時点で販売停止等の措置を講じる科学的な根拠はないと考えられる ということでございます。国内で流通している製品については使用方法等の記載が不明 なものがあるということで、適正使用を推進する観点から製品中のディートの濃度を明 記させるとともに、カナダにおける記載を参考に使用の目安等を明記させるということ。 またデューク大学の研究グループが報告している低容量において認められた神経毒性に ついては、再現性等を確認するため追加試験を行う必要があるということを検討結果で まとめられております。  それを受けまして、平成17年8月25日付けで「ディートを含有する医薬品及び医薬 部外品に関する安全対策について」という厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知を発 出しております。内容としましては、1として添付文書等の改訂を指示しております。 具体的には(1)一般用医薬品につきまして、添付文書又は外部の容器に、漫然な使用を 避け、戸外での使用等必要な場合にのみ使用するということ、小児(12歳未満)に使用す る場合には保護者等の指導監督の下で、また顔などには使用しないということ。以下、 6か月未満の乳幼児には使用しないこと、6か月以上2歳未満は1日1回、2歳以上12 歳未満は1日1〜3回とすること。また眼に入ったり飲んだりなめたりした場合の対処 方法について記載することし、製品、その包装等につきましてディートの濃度を明記す ることを指示しております。同様に(2)医薬部外品についても、それに準じて記載する こととしております。  それから2といたしまして、製造販売業者はディートを含有する製品の使用上の注意 等が改訂された旨を消費者に分かるように情報提供することとしております。  また3としまして、製造販売業者は平成17年から当面の間、毎年9月30日締めで過 去1年間の国内における副作用発生状況や国内外の文献報告をまとめて報告することと しております。  4としまして、ディートの神経系への影響を見る試験を実施し、その結果について報 告することとしております。以上のような通知を発出したということでございます。以 上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。ディートは非常に広く使用されている虫よけ 剤なので興味を示す方は多いと思うのですが、これに対する安全対策ということに関し て今説明していただきました。御質問、御意見ございませんでしょうか。倉田委員、ど うぞ。 ○倉田(雅)委員 消費者アンケートによりますと、大体9割の人が虫よけ剤を使ってい ます。子供の割合で言いますと約6割、その6割というのは多分2歳未満から使ってい るだろうと言われていて、特に戸外に出て遊ぼうと思うときに子供の約9割が使用して いるという現状があるのです。今回この使用上の注意が改訂された旨の情報提供に努め ることというふうに書かれていますけれども、メーカーの方が具体的にどのようになさ るおつもりなのかとても期待しているところです。2ページの上の方にありますように、 今まで当たり前のように使っていたものが「乳児には使用しないこと」とか「2歳未満 の子には1日1回」というのは、きっと今までの使い方から考えるととても想像ができ ないことだと思うので、情報提供はしっかりしていただきたいと思います。私どもが実 際に使う虫よけ剤の容器の大きさからいっても、これらのことは決して書き切れないと 思いますので、このようなことを別に書いた紙を必ず消費者に渡して、言葉で説明して ほしいと思います。現在医薬品としてはこの濃度は12%というのを私は見たのですけれ ども、医薬部外品だと濃度は何%ぐらいなのですか。 ○事務局 医薬部外品につきましては10%未満の製品が販売されております。 ○倉田(雅)委員 それではカナダと同じ10%以下ということなのですか。分かりまし た。ありがとうございました。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかに御意見ございませんでしょうか。もしないよう でしたら次に進ませていただきます。  次はオランダにおいて発生した変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と尿由来製品の取 扱いについて、事務局の方から説明をお願いいたします。 ○事務局 オランダにおいて発生いたしました変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と尿 由来製品の取扱いについてでございます。お手元の資料1-5に基づいて、平成17年度第 1回伝達性海綿状脳症対策調査会で検討いただいた結果の内容を御説明させていただき ます。  経緯でございますが、平成17年4月22日にオランダ厚生当局がオランダにおいて初 めてのvCJDの患者(26歳女性)が確認されたことを公表いたしました。この公表を受 けて、オランダ在住の妊婦尿を原料とした二製品(販売名:プレグニール、ヒュメゴン) の製造販売業者である日本オルガノン株式会社から4月26日に海外措置報告がなされ、 これを受けて追加情報の収集を指示したところです。寄せられた追加情報を踏まえまし て、本年の6月16日に伝達性海綿状脳症対策調査会を開催し、専門の先生方に御検討い ただいたところです。  結果の概要でございますが、一つ目といたしまして、今回対象となる尿由来製品のド ナーリストを確認し、当該患者がプレグニールの尿提供者でなかった旨のオランダ厚生 当局からの連絡の資料が提出されております。また、ヒュメゴンにつきましては閉経後 の女性尿を原料にしていることから、そもそも当該患者が尿提供者である可能性は否定 されております。二つ目といたしまして、現在まで得られている知見、またWHOにお けるリスク分類等から判断して尿による感染のリスクは非常に低いと考えられるという ことです。以上の二点から、既に製造され流通している製剤につきましては安全性に懸 念はないものと考えられ、特段の措置は必要ないとされております。また平成17年2月 に発出された医薬食品局長通知に基づいて、予防的な措置としてvCJD発生国である オランダにおいて採取されたヒト尿を原料として使用しないこととすることは、現時点 の対応としては妥当とされたところです。以上、調査会の結果の御報告でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。この議題に関してどなたか御質問、御意見等 ございませんでしょうか。特に御意見ございませんか。それでは次に進ませていただき ます。  次は議事次第にはありませんが、ゲフィチニブのその後の展開について事務局の方か ら報告していただきます。 ○事務局 ゲフィチニブ、イレッサにつきましては、本年の1月と3月に4回にわたり ましてゲフィチニブ検討会を開催し、検討いただきました。そのゲフィチニブ検討会の 検討結果を踏まえまして、3月25日付けで企業に対して五点について通知をしておりま す。そのときに進捗状況について報告することも併せて通知しておりまして、今回、今 日付けで企業から通知した事項についての現在の検討状況の報告がございましたので、 それについて説明させていただきたいと思います。  当日配付資料1を御覧ください。まず「1.情報提供活動において医薬関係者に日本肺 癌学会の『ゲフィチニブ使用に関するガイドライン』を配布し、関係者に周知すること」 に関しましては、4月末時点でのイレッサの処方継続先の医療施設1,421施設に対して 配布、案内を終了したということでございます。それから、このガイドラインにつきま しては7月に改訂されているのですが、その改訂されたガイドラインについても8月末 時点での処方継続先の医療施設1,395施設に対して配布、案内を完了しているというこ とで、それ以降、新規の施設に対しても配布、案内をしているという報告を受けており ます。  「2.使用患者数(新規・継続の別)などの患者情報の把握に一層努めること」に関して は、本年4月〜6月の間にイレッサが納入さた1,387施設に対して調査を行ったのです が、そのうち調査可能であった1,366施設の数をまとめたところ、1月〜6月の新規処 方患者数が合計約3,700人。また6月末時点での継続投与患者数が約6,400人であった という報告でございます。2ページに移りますけれども、一部の施設で平均投与期間の データを調査しているということなのですが、その平均投与期間については各施設によ って3.8か月〜10.2か月とかなりのばらつきがあったという報告を受けているところで ございます。  「3.関係学会と強力するなどして、ゲフィチニブの有効性と関係する変異の解明、E GFRの遺伝子変異検査方法の確立等に向けて努力し、得られた成果については積極的 に公表し、医薬関係者及び患者に対して情報提供すること」でございます。これはIS EL試験で得られた腫瘍組織のサンプルを用いてEGFRたんぱく発現、EGFR遺伝 子変異、EGFR遺伝子コピー数等について解析が行われているということで、今月半 ばに開催される学会で発表予定ということなので、発表されたら情報提供を行う予定だ という報告を受けております。それから2ページの中段ですが、さらに日本単独又はア ジア各国との共同試験の中の日本人サブグループで、バイオマーカーのプロスペクティ ブな検討をする試験を計画中であるという報告を受けております。  「4.ゲフィチニブの日本人における生存期間に対する有効性を評価するためには、現 在実施中のドセタキセルを対照とした非盲検無作為化群間比較試験の結果が必要であ り、早急な試験の完了に向けて努力すること」という指示につきましては、10月20日 時点で登録目標症例数の484例に対して420例の登録が完了しているということでござ います。最終症例の登録は来年3月中と予定しており、その後1年間の追跡を行い、2007 年の上期には結果が得られる予定という報告でございます。  最後に3ページの「5.急性肺障害・間質性肺炎発生原因の解明や回避方法の策定に向 けて努力し、得られた成果については積極的に公表し、医薬関係者及び患者に対して情 報提供すること」についてでございます。こちらについては間質性肺炎のリスクファク ターを同定するために、2003年11月からコホート内のケースコントロールスタディを 実施中ということで、その中で間質性肺炎と薬物の血漿中濃度の関係を検討する予定と いうことでございます。それからSNPについても検討するということがここで報告さ れております。このケースコントロールスタディにつきましては、目標の症例数が間質 性肺炎の発症疑い症例約140例ということでございますが、これは10月24日時点で135 例登録されているということですので、今年中にはこれらの目標が登録される予定で、 2006年の上期には主要目的と副次的目的に関しては解析ができるだろうという予定と の報告を受けております。その後、探索的目的に関する解析を行うという報告を受けて いる状況でございます。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。ゲフィチニブのその後の経過について説明し ていただきましたが、この件に関して御質問、御意見等ございませんでしょうか。田島 委員、どうぞ。 ○田島委員 無学にして教えていただきたいのですが、この「SNP」というのは何な のでしょうか。 ○事務局 この「SNP」は「シングルヌクレオチドポリモルフィズム」の略で、遺伝 子多型のことでございます。 ○松本部会長 よろしいですか。堀内委員、どうぞ。 ○堀内委員 3月の検討会の後にいろいろな条件が付いているわけで、大分時間がたっ ているのですが、特に3の問題でゲフィチニブの有効性に関係する変異の解明、EGF R遺伝子変異検査方法の確立等に向けて努力して、得られた成果については積極的に公 表するということになっているのですけれども、第III相試験においても実施計画書を改 訂して調査をしているということなのですが、具体的にどういう計画をしているのです か。実施しているのが何で、これからやろうとしているのがどういうことなのかがよく 分からないのです。やっているという課題と、やろうとしている課題が錯綜しているの ですが、もう少し整理をしてどういう状況にあるのか教えていただけませんか。もう大 分たっているのですけれども、なかなか進んでいないような印象を受けます。 ○松本部会長 堀内先生がおっしゃるとおりだと思うのですが、事務局は何か答えられ ますか。 ○事務局 本日企業から提出されているのはこのような状況ですので、企業に対して実 施中のものがどれなのか、今後実施するのはどれなのかということを整理するよう指示 したいと思います。それでいかがでしょうか。 ○松本部会長 堀内先生、いかがですか。 ○堀内委員 結構です。できるだけ早く実施していただきたいと思います。それから特 にEGFRレセプターに遺伝子変異があるものは有効性が高いというデータが出ている と思いますけれども、高感度な方法についても理研等の幾つかの施設でたんぱくを検討 する方法などの検討がされていると思います。それについてメーカーがどのような対応 をしようとしているのかよく分からないのですが、できるだけそれを有効に、早く臨床 の場で利用できるようなことを検討していただきたいと思います。 ○松本部会長 これは学会発表が終わらないとオープンにできないという面がかなり多 いのですか。 ○安全対策課長 座長が御指摘のとおりの点があるのだろうと思います。また、今堀内 委員が御指摘されたことが正しくこの検討会における宿題の意義であったのだろうと解 釈しておりまして、我々としても一層督励したいと考えております。ここにおきますS NPsの同定は東京大学医科学研究所のヒトゲノムセンターでやっていると聞いていま すし、たんぱく質の同定、プロテオミクスについては東京医科大でやっているというこ とで、そういう意味では時折新聞をにぎわせたりしているわけでございます。具体的な 候補のSNP等の同定まではまだ至っていないということでございますので、それらの 進行状況を論文、学会発表等に影響しない範囲でまたこの部会に報告させていただくと ともに、例えば本年の11月14日〜18日のアメリカの学会で発表されるということでご ざいますので、そのような情報も部会の先生方には入手次第また送付させていただきた いと考えております。よろしくお願いいたします。 ○松本部会長 ありがとうございます。マスコミではちらりちらりといいような情報は 出るのですけれども、詳しい内容が分からないというので、ちょっと歯がゆい思いがし ないわけではないです。いかがでしょうか。ほかに御意見ございませんでしょうか。 ○堀内委員 二番目の問題ですが、3月の段階で、推測に基づいてどのぐらいの患者に 使用されたかというデータが出て、昨年12月までの86,000人が42,000人程度に下がっ たということが報告されましたけれども、ここに出ているデータはきちんと調査をして 使用患者を算出したのだと思いますが、以前の推測値から比べるとどのような関係にあ るのか、分かりましたら教えていただきたいと思います。 ○松本部会長 分かりますか。 ○安全対策課長 4月だったと思いますけれども、公表されたデータというのはそれま での累計の患者数であったかと思います。そういう意味で申し上げますと、どうしても 試算をしなければ仕方がないというような点があるのだろうと思います。今回この1ペ ージの2で報告いただいておりますのは、実際に調査をしたある時点における使用患者 数ということでございますので、そういう意味で申し上げますと単純にその二つを比較 するのはなかなか難しいかと考えております。要はこれらのその時点その時点で一体何 例投与されているのか、またそれらの状態の中で、重篤な副作用については義務をかけ ているわけでございますから、いろいろな副作用の報告がどのぐらいあるのかというよ うな点での注視をしていくことになるのだろうと考えているところでございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。よろ しいですか。 ○池田部会長代理 このSNPsの研究なのですが、日本単独又はアジアとの共同研究 という企画があると記載されているのですけれども、もし差し支えなかったら、具体的 に日本がリーダーシップをとってどのような格好で進めようとしているのか、今どこま で具体化しているのかというのをちょっと教えていただきたいと思います。スペシフィ ックなものではないのですが、アジアというと日本とほとんど同じだという感覚がみん なあるのですけれども、どうもアジアの中にも遺伝的に言うと違うものがあるのではな いかというデータを幾つか見ている、あるいは持っております。私はここのところは非 常に大事なことではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○松本部会長 いかがですか。 ○安全対策課長 答えになるような情報をほとんど持っていないわけでございますが、 来年の半ばから実施するということで話合いを進めているところと聞いております。こ れについても今先生から御指摘のあったような、例えばどういう国で何例ぐらい、どう いう人を対象にというようなことが分かり次第、また御報告させていただきたいと思い ます。恐縮でございます。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかに御意見等ございませんでしょうか。ないようで したら次に進ませていただきます。  次は議題2、医薬品等の副作用等報告の状況についてです。まず事務局から御説明を お願いいたします。 ○事務局 資料2-1、薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会の副 作用・感染症等報告について御説明いたします。平成15年7月30日より施行された薬 事法によりまして報告するものでございます。今回は平成17年4月1日〜平成17年8 月31日までに受け付けた5か月間の副作用・感染症報告について、その状況を報告いた します。報告事項につきましては、1.製造販売業者等からの医薬品等の副作用・感染症 報告(第77条の4の2第1項)、2.医薬関係者からの医薬品の副作用・感染症報告(第 77条4の2第2項)でございます。  まず1の(1)国内症例の報告状況でございます。データベース上は医療用医薬品と一 般用医薬品を区別しておりませんが、分かりやすく分けております。まず副作用でござ いますが、医療用医薬品につきましては10,224件、一般用医薬品につきましては123 件、合計で10,347件の報告を受けております。また感染症につきましては、医療用医薬 品で126件の報告を受けております。感染症報告は生物由来製品を指定しておりますの で、一般用医薬品には報告はございません。これらの報告数に関して、医療用医薬品の 副作用報告については資料2-2、一般用医薬品の副作用報告については資料2-3、一般用 医薬品の感染症報告については資料2-4を補足資料として配付しております。  続きまして(2)外国症例の報告状況でございます。薬事法施行規則において、国内承 認の医薬品と成分が同一の海外で売られているものに係る同様の副作用等の報告の規定 があり、それに基づく報告でございます。副作用報告が26,531件、感染症報告が432 件ございました。  (3)外国での新たな措置の報告状況でございます。これは国内承認の医薬品と成分が 同一の外国の製品について、海外において回収又はその添付文書の改訂等の重要な安全 上の措置がとられた場合にそれを報告する規定でございます。今回は324件の報告がご ざいました。  (4)研究報告の報告状況でございます。国内の医薬品、あるいは海外で売られている 成分が同一のものの副作用等により、発がんやその他の重大な疾病が発生するおそれが あるなどについて報告するものでございます。今回は421件の報告がございました。  次に2の医薬関係者からの報告でございます。この期間に1,614件の報告がございま した。  以下、副作用報告の集計についての注意事項が下段に記載されております。1)でござ いますが、この報告数につきましては医薬品との因果関係が不明なものも含め、製造販 売業者及び医薬関係者から報告されたものでありまして、個別の医薬品との関連性を評 価したものではございません。2)といたしまして、副作用・感染症報告の件数につきま しては平成17年4月1日〜平成17年8月31日の期間に提出された最新の報告書の件数 を示したもので、同一症例で複数の被疑薬が存在している場合、複数の企業から報告さ れた場合は重複してカウントしております。そのため報告件数がそのまま症例数に当た るものではないということでございます。3)としまして、副作用・感染症報告の件数に つきましては、報告者が本報告期間中に報告した後に追加報告により因果関係が否定さ れ取り下げられた場合には、その件数から除外されております。4)としまして、外国症 例の報告及び医薬関係者の報告件数は、医療用医薬品と一般用医薬品の合計でございま す。5)としまして、資料2-2、2-3の報告件数は副作用別の件数を示したものでござい まして、1症例で複数の副作用が発現する場合がありますので、報告件数を合算した件 数と合うものではございません。また6)としまして、資料2-2、2-3の副作用名は用語 の統一のためICH国際医薬用語集日本語版に収載されている用語を用いて表示してお ります。7)としまして、資料2-4の感染症報告につきましては、報告症例ごとに被疑薬 と感染症名を記載しております。  続けて資料2-2について簡単に御説明いたします。こちらは非常に厚い資料になって おります。この報告集計表につきましては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の医 薬品医療機器総合情報提供ホームページにも掲載しているところでございます。資料 2-2につきましては、医薬品ごとの副作用別件数を示しているものでございます。また 薬効番号順に並べておりまして、薬効番号につきましては参考資料2-2として冊子の後 ろに付けておりますので、それを参考に御参照いただければと思っております。  同様に資料2-3につきましては、医療用と同様に一般用医薬品に関する副作用報告を 記載しているものでございます。一般用医薬品につきましては配合薬が多く、成分名で はどのような薬か分かりづらいということもございますので、一番左の欄に薬効群を記 載しております。これを参考に御参照いただければと考えております。  引き続きまして、資料2-4に基づいて国内感染症報告の状況について御説明いたしま す。お手元の資料2-4は既に血液対策部会の運営委員会に報告されたものと同様のもの でございますが、本部会におきましては報告期間である平成17年4月1日〜平成17年 8月31日までの5か月分を集計しております。こちらに一覧として症例ごとにまとめさ せていただいております。  内訳といたしまして、輸血用血液製剤の事例が118例含まれております。資料の7列 目の「感染症名」の項目でございますが、感染症別ではB型肝炎が63例、C型肝炎が 37例、その他のサイトメガロウイルスなどの感染症が27例でございます。いずれの報 告につきましても日赤、企業等によって保管検体の検査、患者血調査などが実施されて おります。B型肝炎、C型肝炎につきましては献血者の個別NAT陽性事例が6例ござ いまして、製剤による感染の可能性が否定できないものでございます。一方で、保管検 体のNAT検査が陰性のものが94例こちらに含まれておりまして、これらにつきまして は製剤による感染があったのか、また他の感染ルートによるものなのかどうかは不明で す。また、この中には2ページの17番の再検査で陰性が確認されたものなど、製剤によ るものでないと思われるものが含まれております。その他の感染症については、細菌に よる感染症、敗血症などが17件ございまして、無菌検査の結果はいずれも適合とされて おりますが、製剤による感染なのかどうか原因が特定できないものになっております。 一般に調査の結果、投与前からキャリアであることが判明した場合、検査値のみ疑陽性 であった場合など、感染そのものがなかったと確認された場合につきましては医療機関 の意見を聞いた上で取下げになることもございます。この中で既に14例ほど取下げされ ているものもございますけれども、今後調査が進むにつれて報告の取下げが増える可能 性がございます。また最後の14ページの119番でございますが、前回の部会でも報告い たしましたフィブリノゲン配合剤のC型肝炎の疑い症例について、その後の調査の結果、 7月11日時点で同一ロットによるC型肝炎の報告はないということでございます。また すべての供血者の血漿について遡及調査を実施したところ、同一ドナーが再度供血した ときのミニプールの血清学的な検査及びNAT検査でC型肝炎ウイルスについてはすべ て陰性であったことが確認されております。以上、これらの症例についての情報収集や 対応が企業あるいは医療機関を通じて既に実施されておりますが、今後は輸血医療の安 全確保のための総合対策などにより、特に輸血製剤の安全確保については血液対策課な どの関係部局と連携をとりながら対応を進めていきたいと考えております。 ○事務局 続きまして資料2-5、外国での新たな措置の報告状況についてでございます。 資料は報告順に医薬品の成分名と報告内容を示しております。医療用医薬品名で同様の 報告が記載されているものにつきましては、複数の製造販売業者から報告があったもの でございます。報告の多くは日本での影響がなく対応が必要でないものや、日本におけ る副作用報告がなく現時点で対応をとる必要性が乏しいもの、あるいは日本の添付文書 では既に注意喚起が行われていて対応が必要ないものが大半でございます。この中で実 際に措置を実施した事例について御紹介いたします。  まず10ページの108番、塩酸チザニジンにおけるシプロフロキサシンとの併用禁忌に つきまして、資料1-1の医薬品等の使用上の注意の改訂についての4ページにあります 05-070、05-079の改訂の指示に反映されております。また改訂の指示は出しておりませ んけれども、指示を出して改訂したものの事例といたしましては、11ページの128番の ニコチンのパッチ剤に関する注意喚起について使用上の注意に記載するよう指示してお ります。また220番、231番の非定型抗精神病薬の認知症に対する高齢者の使用に関す る注意喚起については、その他の注意に記載するよう指示しているところでございます。 それから261番のシルデナフィル、264番のバルデナフィルの非動脈炎性前部虚血性視 神経症(NAION)に関する注意喚起についても、その他の注意に改訂の指示をしているとこ ろでございます。また、今回の措置で9番以降に多く報告されている非ステロイド性の 消炎鎮痛剤における心血管系の措置につきましては、国内の副作用の報告状況等を評価 しつつ、必要なものについては重大な副作用の項に「うっ血性心不全」等の追記などを 行って対応しているところでございます。いずれにしても、こうした措置報告につきま しては機構の専門家の委員に意見を聞いた上で、必要に応じて薬事・食品衛生審議会の 委員の意見を聞きつつ、必要な対応をとっているという状況でございます。  続きまして資料2-6、研究報告の報告状況について御説明いたします。本資料につい ても同様に医薬品の成分名と報告内容を示しております。同一の成分名で複数の同様の 報告があるものにつきましては、複数の企業から報告されたものということでございま す。研究報告につきましても、日本における添付文書には既に必要な注意喚起がされて いるものや、1例のみの副作用報告であったり、詳細情報が不明で因果関係の評価が困 難である等の理由により対応をとる必要性に乏しい場合が数多くございます。  今回報告について、実際に使用上の注意の改訂を示した例といたしましては、研究報 告の2番にございます硫酸バリウムの消化管穿孔についてでございます。こちらにつき ましては資料1-1の7ページの05-099にありますように、重大な副作用の項に「消化管 穿孔」の追記を指示しているところでございます。また352番、353番のクロルプロマ ジン、402〜404番のフェノバルビタールに関する先天異常につきましては、妊産婦の項 に記載するよう指示を行っているところでございます。こうした研究報告についても機 構の専門委員の意見を聞いた上で、必要に応じて薬事・食品衛生審議会の当部会の委員 の意見を聞きつつ対応しているという状況でございます。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。ただいま医薬品等の副作用等報告状況につい て説明していただきました。大変たくさんありますけれども、御意見等ございませんで しょうか。長谷川委員、どうぞ。 ○長谷川委員 もし分かりましたらちょっと一つ教えていただきたいのですが、一番最 初に御説明がありました症例報告の報告状況でございます。国内につきましては数字が 以前と余り変わっていないと思いますけれども、外国症例の報告数が、私のメモが正し ければ前回までは副作用報告件数が18,000〜20,000件弱でございましたのが、今回は 20,000件を一挙に超えて26,500件ということ。それから感染症報告に関しても、以前 は40件未満だったのが400件と10倍になったというような大きな変化があったように 見えます。その原因あるいは理由について、もし御存じだったら教えていただきたいと 思います。 ○松本部会長 いかがですか。 ○事務局 まず感染症報告の方でございますけれども、この間ヘモフィルという製剤に ついて、外国で訴訟の関係で過去の掘り起こし事例が出てきたことから数字が増えてい るように見えているということでございます。 ○松本部会長 機構の方から御返事できますか。 ○機構 安全部の医薬品安全課長でございます。現時点では理由が特に分かりませんの で、また調べて御回答させていただきます。 ○松本部会長 よろしいですか。 ○安全管理監 機構ですが、平成16年度の年間の外国副作用症例が54,000件ございま す。今回の数字は5か月間のものになりますので、大体例年と同じぐらいのレベルかと 感じます。 ○松本部会長 長谷川先生、今のところはこれでよろしいですか。ほかに御意見、御質 問等がありましたらお願いいたします。堀内先生、どうぞ、 ○堀内委員 たくさんの症例ですので一つ一つは分かりませんけれども、先ほど議論し たゲフィチニブのところを見ますと、間質性肺炎が4月〜8月までに80症例となってお りますが、これは従来から比べると出現率はどうなっているのですか。減っているので しょうか。余り変わらずに推移しているのでしょうか。 ○松本部会長 事務局はいかがですか。機構でもよろしいのですが、もし数値があれば 教えていただければと思いますが。 ○事務局 従来イレッサによる間質性肺炎については、昨年1年間全体を見ますと大体 月に30例程度の報告があったのですけれども、今年に入りまして増減はありますが、1 か月当たりに大体20例かそれ以下ということで、若干減少してきているような傾向にあ るようです。 ○松本部会長 死亡した例に関しても同じぐらいの程度で…。 ○事務局 死亡症例につきましては、昨年は先ほど申しました中で10例か10例をちょ っと超える程度だったのですけれども、今年に入りましては一けた程度で推移している という状況でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。堀内先生、よろしいですか。ほかに御意見等 ございませんでしょうか。ないようでしたら次に進ませていただきます。  倉田委員がまだお見えになっていないようですので議題3は飛ばしまして、議題4の その他に進みたいと思います。事務局の方から説明をお願いいたします。 ○事務局 重篤副作用疾患総合対策事業について、資料4-1を御覧ください。まず本事 業の目的でございます。従来の安全対策は特定の医薬品に着目し、医薬品ごとに発生し た副作用を収集・評価して臨床現場に注意喚起する、いわゆる警報発信型、事後対応型 が中心でございました。今後は従来の安全対策に加えまして、医薬品の使用により発生 する副作用疾患に着目した副作用対策の整備を行い、予測・予防型の安全対策への転換 を図ることが必要と考えております。  具体的には、まず事業の第一段階としまして、重篤度等から判断して必要性が高いと 考えられる副作用について治療法、判別法等を包括的にまとめた「重篤副作用疾患別対 応マニュアル」を作成し、医療関係者及び患者さん等に広く情報提供し、副作用の早期 発見、早期対応に活用いただくことといたしました。今年度より4年計画で予算を計上 しておりまして、関係学会の専門家等と連携を図りながらマニュアルの作成を進めてま いります。  2ページにかけて記載しておりますが、マニュアルの整備後は更にリスク因子の解明、 副作用発生機序研究、新薬開発への応用などを段階的に進めていきたいと考えておりま す。  4ページを御覧ください。マニュアルの作成体制は、まず重篤副作用総合対策検討会 が親会としてございまして、その下にはマニュアル作成作業班として各学会がございま す。  5ページを御覧ください。本年7月19日に第1回検討会を開催しました。その際、初 年度にマニュアルを作成する対象副作用の選定を行いました。なお、検討会には本部会 の委員でもあります松本部会長、池田部会長代理、上田委員、田島委員にも御参加いた だいております。検討会後、学会の意見を踏まえまして、10月末日時点では12分類、 約30疾患のマニュアル作成を予定しております。各学会には既に本事業に関する目的等 の御説明に伺いまして、御理解と御協力を得ております。  マニュアルの記載項目について6ページ以降にお示ししました。副作用名、早期発見 と早期対応のポイント、副作用の判別基準、治療方法等についておまとめいただきたい と考えております。作成したマニュアルは独立行政法人医薬品医療機器総合機構又は厚 生労働省のホームページ上で公表していく予定でございます。以上でございます。  引き続きまして、「妊娠と薬情報センター」の設置について、資料4-2を御覧くださ い。まず概要をお話しいたしますと、平成17年10月3日から国立成育医療センター内 に妊娠と薬情報センターを設置しまして、服薬による影響についての相談窓口を設置す るとともに、出生児に関する情報を収集するための仕組みを構築する事業を開始いたし ました。医薬品の胎児への影響については必ずしも十分な情報がないことなどから、服 薬による影響の相談・情報収集について平成17年1月から3回にわたり妊婦の服薬情報 等の収集に関する検討会を開催し、その仕組みについて検討したところでございます。  具体的な事業内容といたしましては、既に実施済みではございますが、10月から国立 成育医療センター内に「妊娠と薬情報センター」を設置いたしました。こちらにおいて は服薬による影響を心配する妊婦、又は妊娠を希望する女性からの主治医を通じた相談 及び対面相談を受ける相談業務を開始いたしました。なお、平成17年度中は試験的に原 則として世田谷区の医療機関にかかっている方に限定して相談業務を開始しておりま す。また今後相談事業を通じて、妊婦の同意・協力を得て出生児に関する情報を収集・ 累積していくこととしております。  2ページの図を御覧ください。相談業務及び情報収集においては、20年の実績があり ますカナダのトロント大学小児病院と連携しまして、情報をデータベース化し、更に公 表文献情報を基礎情報として活用することを考えております。出産後、出生児の発育状 況を含めて情報を収集し、将来的には他の病院とも連携し相談業務・情報収集の拡充を 図っていくことを考えております。更に収集された情報に基づき、各々の医薬品の添付 文書の改訂に活用していければと考えております。以上でございます。 ○安全部長 引き続き資料4-3につきまして、医薬品医療機器総合機構の方から説明さ せていただきます。余り意味のない日付が残ってしまっておりまして、申し訳ございま せん。平成17年後半に新たに開始、又は開始予定の四点の安全対策業務について御紹介 いたします。イメージが分かりますように資料に図を用意しておりますので、そちらを 適宜御覧いただければと思います。  まず資料1ですが、8月19日から添付文書の改訂情報、クラスI等についての回収情 報といった最新の情報を、あらかじめ登録を受けた医療機関関係者に提供するサービス を開始したところでございます。具体的には、いわゆるメールマガジンと同様に事前に 医療機関、医療従事者に登録していただきまして、そこに対してメールで配信していく というサービスです。このサービスは画像も送れるようになっておりますので、場合に よっては必要な画像もここに付けて送ることができるものでございます。  続きまして資料2ですが、患者向け医薬品ガイドのデータベース化による情報提供と いうものでございます。これにつきましては、本年6月30日に「患者向医薬品ガイドの 作成要領」という医薬局長通知が出ておりまして、これを受ける形で医薬品医療機器総 合機構の方でホームページを立ち上げたいと今作業を進めております。12月末ぐらいま でに画面周りのシステムを開発いたしまして、来年1月ぐらいには運用を開始したいと 思っております。ここに「通知で示されている『作成が望まれる医療用医薬品』」と書 いてありますが、一気に載るというのではなくて、どうも企業の方も様子見をしている ところもありますので、こちらの方から取りあえず経口糖尿病薬というのを作ってくだ さいという指示をして、そういう品目ごとに今後掲載していくことを考えております。  続きまして資料3、副作用のデータベース化による情報提供でございます。従前、添 付文書の改訂情報については、その根拠となった症例を機構のホームページから閲覧す ることができたのですが、副作用のデータベースというのがございまして、それとリン クさせて、新しいイメージとしては報告年度、医薬品名、投与経路、副作用名で検索を して、それがどういう医薬品であったかということを検索できるように変えるという事 業でございます。これも今システムの開発を進めておりまして、来年1月ぐらいをめど に運用を開始したいと考えております。  資料4でございますが、小児薬物療法に関する拠点医療機関ネットワークの構築とい うものでございます。添付文書の使用上の注意に小児への臨床経験がないとか小児への 安全性が確立されていないというようなものが多くございまして、このものについては 企業任せにしておきますとなかなか改訂が進んでいかないということで、積極的にこの 拠点医療機関ネットワークを構築することによってデータを集め、添付文書の改訂等の 必要な施策をしていきたいと考えている事業でございます。これも本年2月ぐらいをめ どに調査を開始したいということで、まだちょっと先の事業になるのですが、併せて御 紹介させていただきました。 ── 倉田毅委員着席 ── ○事務局 引き続きましてその他の最後でございますが、当日配付資料2を御覧くださ い。微粒子原料を配合した化粧品の安全性等についてでございます。まず1.背景でござ いますが、近年ファンデーションや日やけ止め製品の機能向上を目的に、ナノ原料配合 化粧品と呼ばれている酸化チタン、酸化亜鉛等を微粒子化したものを原料として用いた 化粧品(以下「配合化粧品」)が製造販売されております。酸化チタン等については長年 化粧品原料として使用されており、これらを使用した化粧品の安全性について特段懸念 を示す科学的根拠が見当たらないというのが現状でございます。また酸化チタン、酸化 亜鉛については経皮吸収は認められないとの研究報告がありますけれども、化粧品原料 として使用した場合の安全性について、日本化粧品工業連合会(粧工連)において平成16 年度より調査等を行っております。また平成16年度は新エネルギー・産業技術総合開発 機構(NEDO)の研究費において調査、研究、また結果について同機構のホームページ に掲載したところでございます。  次に、2.平成16年度の粧工連の調査結果により得られている知見について、抜粋し て書かせていただいております。(1)配合化粧品の実態でございますが、化粧品製造業 者741社にアンケート調査を行い、製造販売した企業は122社で、酸化チタン、酸化亜 鉛であったということでございます。また酸化チタンの形状については球状、紡錘状で ありまして、球状の粒径は50nm未満、使用比率が8割であったということです。  (2)配合化粧品の安全性に関する文献調査ですが、こちらの平成16年度の調査の結 果、文献として28報ございました。そのうち臨床試験を行っているものが5報あったと いうことで、内容としては安全性について懸念を示されているものはないということで ございます。皮膚浸透性試験について言及されている文献がございまして、表皮にとど まっている、また表皮層、真皮への浸透は認められないとされております。2ページで ございますけれども、酸化チタン及び酸化亜鉛そのものについては同様に経皮による吸 収は認められないという研究報告がございますが、実際の分散状態又は皮膚上における 存在状態については文献上は明らかにできなかったとされております。以上の調査の内 容について、配合化粧品の経皮吸収に関して厳密に評価するためには塗布状態での分散 の把握、また試験をすることが必要だろうと記載されております。  (3)配合原料の存在状態の測定法に関する検討でございますが、一般的に用いられて いる方法では直接製品中の存在状態を測定することは困難であり、測定法の検討をする 必要があるというような記載がされております。  最後の3.粧工連による今後実施予定の調査研究でございます。平成17年度以降、調 査研究を実施し、年度ごとにまとめるということでございます。(1)としては、配合化 粧品の粒径測定法についての研究を進めること。(2)として、その測定法に基づいて経 皮吸収の試験方法について調査研究を進めること。(3)として、実際に全体として安全 性評価、経皮吸収試験を検討するということでございます。以上、現時点におきまして 安全性に懸念を示すような科学的な根拠はないものの、今後製品中の存在状態等、調査 研究を進めるという報告を頂いているところです。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。ただいま4案件について御説明いただきまし たが、御質問ございませんでしょうか。大澤委員、どうぞ。 ○大澤委員 資料4-1の件でございます。重篤副作用疾患別対応マニュアル作成体制を つくっていただけるということですばらしいと存じますが、そこで先ほど関連学会とは もう既に連絡済みというお話がございましたけれども、小児科学会などの小児を対象と した医療を行っているものの学会とは連携していただけているのでしょうか。 ○事務局 本事業は4年計画を予定しております。まず前半が2年で、今回検討会で御 結論いただきました副作用の分類に基づいてマニュアルを作成していただく予定でござ います。今後さらに後半の2年等におきまして、そういった副作用についても必要があ れば検討会の先生方の御意見を伺った上で対象にしていくことも可能と考えておりま す。 ○大澤委員 やはり小児については副作用その他でかなり微妙な判定も必要であったり することもございますので、是非とも小児のことも念頭に入れてお考えいただきたいと 思います。 ○松本部会長 そうですね。小児の方も何か検討する必要があるかと思いますので、よ ろしくお願いいたします。どの案件でもよろしいのですが、ほかに御意見ございません でしょうか。上田先生、どうぞ。 ○上田委員 今のナノ原料のところですけれども、皮膚に塗るのではなくて直接体に入 った場合での毒性というのは、結構…。酸化チタンや酸化亜鉛やシリカ系など、酸化鉄 などは大体分かるところがあるのですけれども、それぞれの粒子が直接体内に入った場 合の毒性というものが今までに何か言われているかどうかを教えていただきたいと思い ます。 ○松本部会長 いかがですか。体内に入った場合の毒性というのは何かありますか。 ○安全対策課長 いまだいろいろな研究がなされているところと考えております。例え ば酸化チタン等ではございませんが、カーボナノチューブだったらどうだといったよう なことがちらちらと出てきている状況だと思います。縦割り的に申し上げますと、我々 が所管している部分ですと、口に入るとなると医薬品ということになります。そうなり ますと、医薬品の承認申請に基づいてそういったデータが付された上でまた議論をして いただくことになるのだろうと。  本日、化粧品を報告させていただいておりますのは、化粧品の中では一つの宣伝なの かもしれませんが、既に「ナノ」と言って売っていると。これが配合する前は恐らく50 とか二けたとか三けたとかいうnmサイズのものだということでございますが、化粧品の 中では玉になっているというのか、どういう形になっているかすら分析できないような 現状ではあります。新聞報道されたり社会的な注目を浴びているというような状況にお いて、今のところ業界団体が自主的にこういう活動をしているということを報告させて いただくとともに、もし先生方から御意見があればそれを伺いたいというのが本日の趣 旨でございます。恐縮でございます。 ○松本部会長 これはそもそも化粧品に酸化チタンとか酸化亜鉛とかシリカとか、酸化 鉄を入れる理由は何ですか。 ○事務局 配合目的でございますが、分散性や機能性の向上のために入れられていると 聞いております。 ○松本部会長 紫外線をカットするとかですか。 ○事務局 紫外線をカットするというような目的よりは、どちらかというと分散性がよ くなるといったことで配合されているようでございます。 ○松本部会長 酸化鉄などは色を付けるメーキャップですか。それはシリカゲルではな くて酸化鉄でしょうか。その辺からまず教えていただかないと、いいか悪いかはなかな か判断しにくいと思うのですが。いかがですか。ほかに御意見ございませんでしょうか。 ないようでしたら倉田委員がおいでになりましたので、議題3に戻りたいと思います。  議題3は医薬品の感染症定期報告の状況についてです。まず事務局の方から説明をお 願いいたします。 ○事務局 お手元の資料3-1、3-2に基づいて御説明いたします。薬事法第68条の8に 基づく医薬品の感染症定期報告の状況について御報告いたします。まず資料3-1、感染 症定期報告の状況でございますが、平成17年4月1日〜平成17年8月31日までに生物 由来製品の製造販売業者等から報告された感染症定期報告のうち、文献の調査について 報告、登録順に並べて表にしたものでございます。合計で402の報告が寄せられており、 この報告を同一文献ごと、感染症ごとに整理してまとめたものが資料3-2の報告文献別 一覧表でございます。  今回も資料3-2の報告文献別一覧表に基づいて概要を説明させていただきます。今回 の報告では、およそ40の感染症に関して310件の文献等が提出されております。文献が 提出された主な感染症は、10ページ以降にありますクロイツフェルト・ヤコブ病に関す るものが45件で最も多く、戻りまして8ページ以降のBSE関連が41件、ウイルス性 肝炎が40件、鳥インフルエンザ関連が20件などとなっております。論文につきまして は事前評価委員の先生方に御確認いただき、国立感染症研究所長の倉田委員に御相談し ながら感染研の先生方に学術的なコメントをお願いするなど、措置を講じる必要性を含 め御意見を頂いております。これまで本委員会において一通りの感染症については御検 討いただいたところですが、今回の文献等についても簡単に御説明させていただきます。  まず1ページでございますが、A型肝炎に関する論文、海外における発生状況等が続 いております。2ページはB型肝炎に関する報告。21番については遺伝子タイプがHの B型肝炎事例の報告。26〜28番については英国におけるC型肝炎の院内感染の状況など が報告されております。3ページの中程でございますが、39番については輸血によるも のと考えられるE型肝炎の感染に関する報告。4〜6ページにかけましては英国等にお けるHIVの感染状況が報告されております。6ページの83、84番につきましては、ヒ トTリンパ球向性ウイルスについての報告。7ページでございますが、93番においては 人畜共通感染症としての報告。98番からは日本脳炎に関する報告。またウエストナイル ウイルスに関する報告などが続いております。8〜10ページにかけましてはBSEに関 する報告で、ヤギにおけるBSE感染に関する情報を始め、米国のウシのBSE感染に 関する報告などが続いております。続きまして11ページでございますが、156番ではレ クチン結合性による弧発性のCJDとvCJDのたんぱく質の識別の可能性に関する報 告。160番では構造依存性免疫試験(CDI)に関する報告。164番につきましては御承知 かと思いますけれども、国内初のvCJD症例について。また12ページの169番におい ては異常プリオン増幅生成に関する研究の報告がなされております。180番では異常プ リオン除去フィルターに関する技術の報告。13ページの186番につきましては、先ほど TSEの調査会結果で御紹介いたしましたオランダのvCJD患者に関する報告がござ います。続きまして14ページでございますが、194番では血液中のプリオンの検出法に 関する報告。198番では国内の献血時におけるvCJD対策等が記載されております。 同じく14ページの200番ではSARSウイルスの感染リスクについて、製造工程による 失活等の報告がございます。また15ページからは鳥インフルエンザの報告などが多数寄 せられております。この後トリパノソーマ症、ニパウイルス、マラリア等、また人畜共 通感染症等の報告が続いております。  これらの概要につきまして、倉田委員、甲斐委員、山口委員にも御覧いただいたとこ ろ、今回目立った措置が必要な報告は見当たらないが、今後とも引き続き注目し、情報 収集に努めるようにとのことでございます。また追加の御発言がありましたら、よろし くお願いいたします。  最後に、本日御欠席の甲斐委員から事前にコメントを頂いておりますので、御紹介さ せていただきます。一つ目として、今回は目立って措置が必要な報告は見当たらないと 考えられる。二つ目として、これらの情報はメーカーが自社製品の安全対策をきちんと 実施していく上で重要であると。またほかのメーカーが報告した情報についても参考と すべきであるということ。三つ目としまして、今回の報告の中でBSE、クロイツフェ ルト・ヤコブ病関係の報告が多数集められており、プリオンの増殖法の関係や検査法な ど研究もあるが、この辺りについては引き続き情報収集に努めていただきたい。またウ エストナイルウイルス、ボロナ病ウイルスなどの人畜共通感染症に関しては、従来どお り引き続き情報収集に努めてほしいと。また、いろいろな検査法については情報収集、 検討をしていくことが大切であると。以上のようなコメントを頂いております。事務局 からの説明は以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。倉田先生、御意見等ございますでしょうか。 ○倉田(毅)委員 遅くなって大変申し訳ありません。毎回、論文のコピーまで作ると大 体10cmの厚さのものが7、8冊来て、これをEメールでぽんとボタンを押して来るので す。最初は私はまじめに見ていたのですが、これはとてもできないというので、今度は 全部長、全室長にボタン一つで回すようにしまして、当初は横暴だと随分しかられたの ですが、気が付かない非常にいいものがあちらこちらに出ていて、そういうものは全部 コンピューターで探せるわけではないので役に立つと最近言い出してきたので、これを またしつこくやっていくことによってみんなの意識改革をやろうというわけです。  そういうことで、これは非常にいい論文集だと思います。今回も一部日本のものを除 けばほとんど海外でも感染症発生、流行という問題ですが、この委員会における生物由 来製品ということで行きますと、これはバリデーションをきちんとやっていることが保 証されていれば、いきなり動物世界にあるものが人間の世界に入ってくる可能性は極め て低いと考えられます。ただ1966年のBSE発生のときの検出ルート、その後いろいろ な動物実験の結果の中からこの1、2年でまた随分違ったステージに上がってきていま すが、やはりこういう病原体の検出や除去という問題に関する研究開発をずっとしつこ く続けていくことによって、より早く、より確実に、より小さなレベルでも見付けるこ とが可能になってきているわけで、そういうことは我々はもっとやるべきだと認識して います。  このvCJD、プリオン病についても、正に日本でも出ましたが、これにつきまして もヒトの発生国との問題もよく考えながら今後とも注意していく必要があるということ だと思います。それから、日本は報告のある国のものは一応止める格好になっています が、実は何も検査していないところは報告がないのです。そういう国がヨーロッパです と旧東側に随分あるということで、その辺のところも認識して考えていかないと、例え ば検査は全部していて、ある、なしという国との同じ評価はできません。  もう一つ大事なのは、私はどこかのときに一回言ったことがありますが、欧州では牛 肉というのは東も西も安いものは東に行き、東で値段の高い、いいものは西に流れると いうことで、どんどん国を超えてしまっているのです。そういうことで、今後の国に対 する対応というのはもう少し広く考えないと違うかなと。ですから流通機構というのは 是非一回調査されたらいいかと思います。  それから論文ですが、8番のA型は日本で患者が非常に少ないということもあります が、これは検査の精度の問題があるだろうということです。それから14番のA型肝炎で すが、輸血感染です。これは前にもたしかコメントしています。肝炎グループからのコ メントを私がお伝えしただけですが、日本では非常にキャリアが少ないこと、それから ウィンドウ期が非常に短く、感染すれば初めての患者なら必ず発症して分かるなどとい ろいろなことがありますので、日本では様々なチェックを経て患者数が減少していると いうこともあって、今のところそのために全製品に至る過程のものをチェックする必要 があるかということは、ちょっと杞憂ではないかということです。  それからこの前ちょっと触れましたE型肝炎です。これはブタ、イノシシ等の偶蹄類 の生肉の感染リスクに問題あるので、ここでこの問題の指摘を…。食品あるいは一般消 費者のところにつながるようなところにこういう情報を出す必要があるかと思います。 もう一つ、101番のウエストナイルウイルスですが、これは状況の継続的監視と。この ウイルスは日本では一番近いところでウラジオストクで既に見付かっています。これは アメリカのものではなくて、シベリアの西の方から来たものです。中近東にあったもの がじわじわと東まで来たということです。それより南の国々に関しては状況が分かりま せんけれども、というのは日本の隣国ですね。きちんとしたことが行われているかは分 かりませんが、いつの日か野鳥が運んでくるであろうと。そういう意味においては、今 話題の鳥インフルエンザウイルスによる人への感染の危惧というのと同じ認識があって いいかと思います。160番のプリオンの問題ですが、この検査法というのはやはり検査 精度と迅速性、確実性というものをいろいろ考えながら情報収集も必要ですし、さらに 我々も新しいレベルの開発をきちんとすべきかと考えております。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。山口先生、いかがですか。 ○山口委員 この委員会はいつも非常によくまとめていただいておりますし、甲斐先生 のコメントにもありましたけれども、報告された方ばかりでなくて、こういう報告の共 有ということが医薬品の安全性に非常に大事なことかと思いますので、このことについ ては今後とも皆さんに注目していていただきたいと思っております。  文献に関してですが、最初に倉田先生もおっしゃいましたけれども、プリオンに関す る文献、特に検出感度や検出法について、新しい手法が最近論文でいろいろと出ており ます。それから、この前の医薬品等安全対策部会のときにもその話をさせていただきま したが、実際にこの導入に当たってはその評価や感度、精度といったものをきちんと調 べていないと正確なことが言えませんので、将来的にはそういうものが利用できるよう になると安全性に非常に寄与するとは思うのですが、十分な評価がまだ出ていないとこ ろだと思います。  あと、この文献集にはないのですけれども、プリオンに関してちょっと二つ、最近こ の定期報告の後で報告された話として、スクレイピーを投与されたマウスに膀胱炎を起 こすと異常プリオンが検出されるという話が先月ありました。これはオランダでイギリ スに行っていない女性がプリオンを発症したときに、尿由来製品が問題になったという 話が最初にありましたけれども、その前に尿由来の製品ですので尿から出るかどうかと いう議論がありました。しかし、今医薬品の原料として使う場合には健康な人しか使え ないという足かせが掛かっていますので、それについては安全性に対して問題がないだ ろうという判断をしております。また、これもつい先月の話なのですが、プリオンの感 染性に関して、プリオンというのは重合体を作るのですけれども、17〜27nmという狭い 範囲の重合体のところに感染性があるという注目すべき論文が載っております。この辺 についてもプロセスバリデーションやプリオンのクリアランス評価をやる場合に非常に 注目すべき論文であると思います。そのことについて安全性に何か問題があるかという 話ではないのですけれども、プロセスバリデーションをやるときにはそういうことに非 常に注目して考えなければいけない問題だと思います。  あと文献の28〜30番、33番にHCVの院内感染の話が幾つか載っているのですが、 先ほどフィブリノゲンの医薬品の話で、いろいろ遡及調査をしたけれども、すべてネガ ティブだったという場合にこれが相当するのかどうか非常に微妙な問題ではあるのです が、医薬品の感染症の報告の中でそういうことも一つの要因として考慮しなければいけ ないのだろうと考えております。  HEVに関しては、例えば35、39番で輸血に関する報告がされておりますけれども、 血液製剤の安全性技術調査会が先月行われましたが、今後HEVについては更に抗体検 査、あるいはNATをこれから検査するかどうかということについて検討することにな っております。ただ輸血以外の普通の医薬品に関しては、例えばブタを原料にする場合 であってもヒト由来の血漿分画製剤であっても、今のプロセスバリデーションを考えれ ばHEVのリスクは非常に低いと考えられていると思います。今の私の発言はそこまで です。 ○松本部会長 ありがとうございました。この件に関してほかに御意見等はございませ んか。全体を通じて御発言はございませんでしょうか。ないようでしたら、本日の部会 はこれで終了させていただきます。長い時間どうもありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 渡邊(内線2748) - 10 -