05/11/02 社会保障審議会介護給付費分科会第33回議事録 社会保障審議会 第33回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成17年11月2日(水) 午後3時から6時           全社協 灘尾ホール 2 出席委員:井形、池田、石井、井部、漆原、沖藤、喜多、木下、木村、見 坊(代理:斉藤参考人)、田中(滋)、田中(雅)、対馬、永島、野中、 花井、村川、矢田(代理:森田参考人)、矢野、横山の各委員 3 議題  (1)居宅サービスの報酬・基準について(2)(短期入所系、その他)  (2)その他 ○大森分科会長が欠席のため、井形分科会長代理が議事進行 (前回の積み残し「通所介護、通所リハビリテーションの報酬・基準」につい て) (村川委員)  通所サービスについては、今度の法改正の基本的な趣旨が認知症対策という ことにあるわけだから、それに関連した改定ということがポイントであり、単 独型または小規模の事業所については、これまでも認知症に対して一定の配慮 はあったが、もう少しプラスの改定が必要と考えている。  また、若年者の認知症への加算については基本的に賛成である。昨年、京都 で行われた国際会議などで、早期の発見や対応の重要性という課題が出ている ので、40、50歳代の認知症の方がもっとサービスを利用しやすい環境づくりを 進めることは重要であり、加算など、しかるべき評価を行うべきだと考えてい る。 (井形分科会長代理)  ここで言う若年というのは40歳から65歳までのことを言うと思うが、医学 で若年というと本当は10代、20代のことを言うので、参考までに。 (永島委員)  若年の認知症の人は今とても問題が多くて、デイサービスに行ってもやりた いことが高齢者とは全く違うので、本人も行きたがらない。プログラムなどは 高齢者は基本的に違うので新しいものを考えてほしい。それで、若年の方には 本当にできるかどうかは別として、ある程度作業的なもので本人に生きがいを 与えるようなプログラムがあってほしい。そういうことについての加算という のならば賛成である。  それから、こういう方たちの家庭はまだ子どもが教育盛りで、経済的に苦し いので、こうした加算が本人の負担にならないように配慮をお願いしたい。 (横山委員)  一定規模以上の事業所に基本部分の逓減制を導入して単独型小規模を整理 するとあるが、管理コスト等に着目しただけのスケールメリットというものは 疑問である。事業所単位ごとの稼働率の影響の方が大きいと思うし、まず介護 給付あるいは予防給付を合わせたコスト面での適正規模、いわゆるビジネスモ デルに着目すべきではないかという点と、利用者個人の状態に対応したマネジ メントがあって、そしてケアが進められる。介護サービスの提供がそういうも のをベースに行われることは当然であり、事業所の規模によってそれらの個別 ケアに対する評価が異なるということは理解できない。  2点目は、送迎加算の包括化について、これは事業所が重度化や権利意識の 高くなった利用者ニーズに対応した結果、9割という数字になっているわけで、 包括評価することは適当ではないと考えている。入浴加算も同様である。  それから、機能訓練加算について、体制加算から計画の策定と実証評価にす るということだが、現状の機能訓練は個別介護計画に位置付けられて、それを 元に個別訓練計画を策定して実施されているという流れになっているが、計画 に沿ったサービス提供のためには、体制が確保されなければならないと思う。  先ほどの若年認知症利用者に対する加算の評価は妥当だと思う。特有の行動 様式あるいは状態が考えられるので、そういうケアの専門性あるいは医療との 連携という高い水準の評価が必要と考えている。  最後に、医療、介護ニーズを併せ持つ中重度者の通所介護の評価については、 人員や運営基準の規制緩和を進め、医療ニーズに適切に対応できる事業展開を 可能とすることが必要ではないかと考えている。 (漆原委員)  新しい介護予防の考え方は既に要介護状態にある人にも導入されるべきで ある。そうした意味で目標志向型サービスの形態が新たに提案されていること には賛成である。  通所リハビリテーションに関しては、社会保障審議会介護保険部会の報告書 では通所サービスとして一元化した上でリハビリテーション中心型、痴呆対応 型、日常生活活動中心型など、機能別に類型して、そして基準・報酬について 機能に応じた見直しを行うことが必要とあったが、今回の資料では通所サービ スで若年の認知症については触れられているが、訪問、通所全体を通じて論点 の中に認知症対応型に対応するサービスというものが触れられていない。私た ちの研究からも、認知症に対応した個別リハビリテーションなどを提供するこ とにより認知症の進行を遅らせるなど、試行的な対応でかなりの効果を見ると 思っている。今回の改定で、この認知症に対応するという意味で個別的または 小グループのリハビリテーション体制や考え方をもう少し導入してほしいと 考えている。  2点目に、個別リハビリテーションの加算について、退院・退所直後の評価 を書いているが、現実には在宅で生活機能が低下した場合もあるわけで、そう いう利用者に対してリハビリテーションを提供して生活機能を回復、維持させ ることも重要なポイントだと考えている。在宅で一定期間に生活機能が低下し た利用者に対しての個別リハについて、退院・退所直後の場合と同様に何らか の形で評価する方向を検討してもらいたい。 (野中委員)  この通所系サービスについて、なぜ軽度者が多くて中重度者が少ないのか、 厚労省としてどのように考えているのか。 (三浦老人保健課長)  通所系サービスは外に出て行うサービスで、軽度者は比較的心身機能が良好 であり、やはり出やすいということがひとつあるのではないか。在宅の中重度 者を受け入れる通所施設がなかなか確保しにくいということも聞いているの で、軽度者と中重度者の評価のバランスを見直すという提案をさせてもらって いる。 (野中委員)  つまり、施設側は中重度者を現状では受けられる状況ではないということか。 (三浦老人保健課長)  現状でも中重度者も通所系サービスを利用している実態はあるので、決して 事業者が中重度者を拒否していることはないと考えている。 (野中委員)  中重度者を通所施設が受け入れるために、職員と利用者にとって安心な状況 ではないと認識している。  それから、やはりケアマネジメントにおいてもこのサービスが何のために必 要なのかという根拠が示されていない。また現場にとってやはり軽度者へのサ ービス提供が一番楽であり、効率的ということがあると思う。だから、この在 り方では不十分で、もう少し問題点の掘り下げが必要と思う。特に認知症に対 しては、サービスを提供する側の認識の改善が必要な状況と思うので、介護報 酬だけではなく認識を新たにする必要がある。介護は提供する側だけではなく て受ける側の方も認識を新たにする必要があると考えているので、この点は施 設側だけが怠けているわけではないと思っている。  ただ、施設で働く人が安全にサービス提供できるような配慮をお願いしたい。 (井部委員)  家の外に出にくい人という中に何タイプかあると思うが、医療ニーズと介護 ニーズを併せ持つ中重度度者が社会的な交流を持てるようにするためには、や はりケアを提供する人たちの力が大事なので、社会資源の活用という意味でも 主治医との連携、それから訪問介護でも訪問看護師が顔なじみで状態をよく知 っている方たちが通所介護などと連携してできるような対応については是非 評価をお願いしたい。 (池田委員)  各都道府県別に保険料が高騰しているところを調べているわけだが、施設と、 通所系サービスが非常に大きな原因になっていることが分かっている。  そこで、規模別に検討することについては支持するが、例えば通所系サービ スが突出して使われている東北のある県と中国地方のある県を調べてみたが、 通所介護、福祉系はいずれも1事業所平均25人程度でそれほど問題はない。 それで、病院や診療所の通所ケアも25人前後でそれほど問題ない。ところが、 老健の通所リハは平均45人くらいであり、例えば東北地方のある県では、老 健の通所リハは48事業所あって50人以上の定数が19、約4割、100人以上は 9つで約2割ある。中国地方のある県では、やはり老健の通所リハが69事業 所あって、50人以上の定数が26で約4割となっている。  給付の肥大化という面から、老健の通所リハの大規模型というのは、質の問 題もあるがコスト的に見てもかなり大きな問題である。通所リハでいいサービ スを提供している老健があることは知っているが、逆にそうでない老健も数多 くあるということで、通所リハの定数で簡単に見分けられる。その辺を考慮す ると、施設に次いで介護給付費を圧迫しているものは通所系サービスなので、 規模別の一定の政策誘導は必要であると考えている。 (喜多委員)  介護予防という言葉が随所に出てくるが、保険者の立場で考えてみて、本当 に介護予防と今までの居宅サービスの違いがどこにあるのか疑問である。  本来の介護の在り方に対して正当な給付を払うことについて真剣に議論さ れているのか、非常に疑問であり、事務局には、従前の居宅サービスと介護予 防サービスとの違いを明確にしてほしい。また、今までの在宅介護支援センタ ーと、地域包括支援センターの役割がどれだけ違うかということが、国民のだ れが見てもわかる資料を出してほしい。  「目標の達成度に応じた評価の仕組み」について、事業者のインセンティブ という言葉の下で加算を、しかもそれは経営の収支に影響のない範囲とあるが、 収支に影響のない加算というのは何かよく分からない。  信賞必罰という言葉で仮に評価するならば、賞(加算)があれば罰(減算) があってもおかしくないのだが、全然論じられていないのは非常に残念だと思 う。  その中で、小規模事業者について今回は外したらどうかとあるが、それはお かしいのではないか。後の計算式などを見ると個人の成績が評価の対象になっ ているのだから、規模に関わらず同じ評価をすべきではないか。  また、加算した場合、その1割分は利用者が払うが、一生懸命頑張った利用 者が、お金を余計払うという仕組みはおかしいと思っているが、その辺のとこ ろを明確に説明してほしい。 (山崎総務課長)  介護予防の関係については、事業所評価の加算は経営に影響を及ぼさないと いうのではなく、著しい影響を及ぼさないようにと書いている。この加算がな かったら事業ができないという非常に大きな加算というのはどうかという指 摘であって、全くこの加算が事業経営に影響がないということではないので、 むしろどの程度加算するかという検討をいただければと思っている。  それから、小規模施設を外すことについては、1件、2件といった形でそれ が本当に評価できるか、むしろそういう評価の面からの限界があるとワーキン グチームで指摘があったわけで、決して小規模事業所に対して差別的に扱う趣 旨のものではない。一定の人数というのは統計学上も限界があるので、そうい った面の配慮もしないとかえって小規模にとって、逆の影響があると思ってい る。  最後の点で、例えば改善した者について加算した場合は当然1割負担も増え るという問題は、もともとこの事業評価の段階で個人に着目した報酬にするの か、事業所に対してまとめた形でやるかというところで議論があった。ワーキ ングチームの報告においては個々のケースについて評価をするというよりも、 むしろ事業所全体についてサービス内容を評価するということで考えるべき ということで今回報告いただいているわけである。  対象となる事業所については、基本的には加算分だけ負担が増えるわけだが、 それは利用者にとってそれだけの評価のあるサービスを利用できるというこ とで、一定の理解も得られるのではないかと考えており、この報告書は整理さ れていると理解している。 (井形分科会長代理)  介護保険を導入するときから一生懸命やればやるほど利用者は減っていく という中にあって、一生懸命やった事業所に評価したいという気持ちがあった から、全体的に介護保険そのものはやればやるほど報いられるという精神を導 入したいという気持ちがあった。 (野中委員)  池田委員の規模別の議論について、1つはその内容が充実すればいいという ことだから、ケアマネジメントを的確に実行することを徹底しなければ、規模 を誘導しても変わらないと思っている。  それと、この評価も本人にとって受けたサービスがよかったかどうかは本人 の評価であり、医療機関にとって大事なことは患者から選ばれるということで あり、選ばれるためにはやはり患者に的確なサービスを提供するということで あり、結局は利用者にほめてもらえばいいのと思っている。  ただ、利用者がどこを選んだらいいかわからないとの議論としては、そこの 成績を開示して、そこから利用者が選べばいいわけで、それを加算ですすめる ことは、医療や介護の世界には全くそぐわないと思っている。  日本医師会は最初から介護保険部会にも、ケアマネジメントの徹底を意見書 を通じて主張している。すべてのサービスが報酬の高低ではなくて、その人に とって適切なサービスであったかどうかをまず評価するべきだということで あり、その土壌をまだつくっていない段階で費用のことを話すのはおかしいと 思う。そうやって評価されてしまうということは同じサービスを提供する側と しては非常に悔しいことである。 (池田委員)  野中委員の指摘する、ケアマネジメントの空洞化・形骸化というのは確かに 目に余るものがあり、そこを解決しない限り何も始まらないという点について 異論ないが、コスト面の問題は見逃せないことをもう一回強調しておきたい。  なぜならば、経営概況調査で一番収益を上げているのは通所リハと老人保健 施設であり、そのコストを、一番苦労をしている訪問介護の報酬に配分する考 え方を持つ必要があるということである。野中委員の意見に反論しているわけ ではなくて、視点としては質の向上は極めて重要であるが、それを裏付けるも のとしてコスト問題があるということを理解すべきである。 (漆原委員)  この1週間老健協としても調査してみたところ、確かに大規模な通所リハ施 設が全国で47か所あったが、先ほど池田委員はある県では100以上のものが 20%あると指摘があったが、地域差もあり、そうした実態は1県だけであった と思っている。  その調査の中で人員配置や実施状況を調べたが、いわゆる無機能施設という ような状況はなかったことを言っておきたい。  それから、大規模施設も地域のニーズがなければ運営できないので、大規模 がよいということではなくて、これからの議論で人口比に対しての適正規模と か、サービスの質の向上にどんな形態がいいのかという議論はお願いしたいと 思っている。  それから経営概況調査については、調査の方法等についても要望しているが、 いろいろな見方も合わせて必要だということも検討をお願いしたい。 (矢野委員)  それぞれの役割を担った担当者が一生懸命やるのは大事なことである。しか し、そのことを報酬としてどう評価するかということになると、一生懸命やっ たからとか、人員配置を厚くしたからという理由で報酬を上げるということは 本末転倒である。やはり結果を評価するべきである。もちろん結果の評価は単 純ではないが、そのような方向に全体の報酬体系を持っていかないと、将来に 向けて問題を残すおそれがある。また、公平な第三者評価ということを導入し ないといけないのではないかと思っている。 (喜多委員)  先ほど資料を要求したが、それは出してもらえるのか。  それから、事業所評価の加算をした場合に、これは介護保険料で払われるわ けだが、利用者の負担金は一体どうなるのか。一生懸命利用者が努力したにも 関わらず負担が増えるということについてどう考えるのか、この返事がまだな のでお願いしたい。   (山崎総務課長)  最初の資料については、これまでも大分用意しているが、もう一度全体につ いて説明したいと思う。もともと介護保険をつくる段階で予防給付と介護給付 と2つあったのだが、実際のサービス内容があまり変わらないということで今 回の改正があった。内容や介護報酬の仕組みをどう変えるかということで今回 検討していただいているので、その趣旨を踏まえたものを全体的に整理してい きたいと思っている。  あと、先ほど少し説明したつもりでいたが、今回の事業所評価というのは個 人ができる、できないということについて評価するものではなく、事業所全体 がどれだけの成果があるかということを一つのベースに置いており、対象にな るような事業所においてはそれだけのサービスが提供されている分、他の事業 所に比べると利用者負担は高くなるが、それを踏まえた上で利用者が選択され るかどうかということになると考えている。 (井形分科会長代理)  ワーキングチームの中でも喜多委員の言われたように、よくなったけれども、 本人の負担がそれによって増えることは矛盾だという意見はかなりあったが、 技術的になかなか難しいということ。 (喜多委員)  だから、例えば利用前に、ここは立派なところでここへ行ったら本人が努力 すればよくなるという施設マークがあって、それを承知で利用するならばいい が、結果として自分が一生懸命やったことが事業所の結果となり、事業所がお 金をもらう。それが利用者の負担を取らないということになれば、そのお金は 一体だれが払うのか教えてほしい。 (渡辺室長)  今ここで提案されている事業評価の仕組みというのは、例えば1年間ならば 1年間、客観的な指標で評価をして、加算の対象となる事業所かどうかという ことを明らかにした上で、その後にそこに入ってくる利用者から加算するとい う仕組みであり、利用者が加算対象となる事業者かどうかということをわかっ た上で選択するということは制度上も担保されている。  それから、これは介護報酬に限らず診療報酬も含めて、より適切なサービス に対して多くの報酬を付けるということになると、報酬に対しての負担は当然 応益負担ということなので、報酬を引き上げればその分利用者負担は上がると いうことで、そこはよりよいサービスに対しての受益というものをどう考える かという問題として整理をすることではないかと思っている。 (対馬委員)  介護の方が医療に比べると比較的やりやすいかということもあるし、結果を 出さないと保険料を負担する立場からは、目に見えない中でやられた結果、知 らないうちに高い保険料というのはいかがなものかと思っている。  それで、今回これをやるかやらないかというよりは、少し試行的にやってみ て検証しつつ、全面的にやっていくほうがよいのではないかと思っている。 (石井委員)  評価と対象となる事業所の規模のところで小規模事業所を外す方向となっ ているが、小規模事業所であっても利用実人員で一律に除外するということは しないで、やる気があるところを評価する方法、手挙げ方式によってそれを評 価をしてほしいというところを残すべきではないか。  それから、評価指標について目標自体を低く設定しないような客観的な判断 基準を定めるとあるが、具体的にはどういう方法を想定しているのか。目標達 成が容易な対象者を事業所が優先的に選定するという可能性が出てくると思 うが、本当に目標設定の客観性を担保することが可能なのか。  それから、介護予防を本当に実質的、効果的に推進していくためには、介護 予防マネジメントそのものが今度こそきちんと機能することが非常に重要だ と思っている。そのためには、各事業所の職員が質の高い介護予防サービスを 提供していくことが基本になるだろう。これが担保されるように特に新規メニ ューに関して関係者の資質の向上とか運営基準等の設定に対して配慮をお願 いしたい。 (井形分科会長代理)  走りながら考えるということをいつも言っているが、一たんここで決まった ら未来永劫にそれは矛盾があっても続けるという姿勢ではない。小さい事業者 を除外したというのは差し当たり除外したということで、できるところから始 めてみてどういう効果があるか見ようということで、一歩踏み出していいので はないかと思っている。 (花井委員)  医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ中重度者への対応のところで、難病、が ん末期の在宅の要介護者が外に出たくても出られる体制がないということが ある。家族の介護負担の軽減という両方から考えて、是非このサービスを新た に組み入れて評価してほしいと思う。 (田中(滋)委員)  事業所評価について、評価というのは因果関係が事前に想定されるもので、 アウトカム評価をするにはシンプルな変数で効果も一つであるときしかでき ない。いろいろな要素が絡んでくるときには、そのうちの一つの要素だけの影 響というのは抜き出せない以上、測れないわけである。  今度の介護予防というカテゴリーは、もともと認定が正しければ、予防に向 いた人というのがスクリーニングされているからできるのであって、要介護者 全部についていきなりアウトカムはできない。これはケアプランとか、家族の 動向とか、訪問事業者のサービスとか、いろいろなサービスの影響が入ってく るので単独の因果関係でないから評価できないのに対して、予防はスクリーニ ングされているという前提だからできるものである。  それから、小規模事業者の話は将来にわたってもできないと思っている。こ れは意欲を評価、一生懸命やっているところを評価する仕組みではなくて、ク ールにアウトカムを評価するもので、そのためには、ある程度数字が必要であ る。小規模事業者も、訪問系サービスも一生懸命やっていることは承知してい るが、評価の対象になるということとは全然別である。  確率がある程度あったときに総対としてサービスを評価することしかでき ないので、小規模事業者に下りるということはサービスを受ける側の人間の評 価になってしまうので、これは仕組みとしてもともとできないと考えておいた 方がいいと思っている。 (井形分科会長代理)  それでは、今日の資料に移らせていただくこととして、在宅サービスの残り の部分で、ショートステイ、特定施設、福祉用具という3つの項目について進 めていきたい。 ○渡辺認知症対策室長より資料に沿って説明 (野中委員)  介護3施設で居住費と食費が保険外にされたから、現場では在宅サービスが 非常に重要になってきている。在宅生活を支えるためにもショートステイは本 当に重要なサービスと思っている。本人も家族も住み慣れた家に住むためには このサービスは欠かせないと思うが、このサービスが使いにくいのも実態と思 う。使いたいけれども使うことがなかなかできない現状がある。  しかし、現行の減算の適用の要件緩和だけがこの解決法になるというのはお かしいので、現場の実態をもう少し把握してほしい。短期入所の平均利用日数 が1週間から10日とあるが、もっと短期に頻回に利用することを考えないと、 このサービスが生きてこないと思う。ただ定員の過剰減算だけをするという話 ではなく、やはりここでもケアマネジメントが介護サービス計画減の中で欠け ていることが大きな原因と思っている。  ただ、介護者がさまざまな理由で介護できないということに関して、その際 どうするかという問題は患者が例えば急病になったときに、では病院にすぐ入 れるかという状況と同じことが現場ではあり、そのことも考えなければいけな い。  事業所がもっと増えるようなことも考えなければいけないと思うし、またも う一つはもっと発想の転換が大事と思う。在宅ケアに対して、このサービスが どういう位置付けなのかをもっと現場の人たちに理解してもらうことが必要 である。  この短期入所サービスは在宅サービスを支える上で重要なサービスで、もっ と広がるような配慮を検討すべきと思っているので、なぜこんなに利用しにく いのかという現状に対してどう考えているのか、答えてほしい。 (三浦老人保健課長)  全般的にすべての短期入所施設のキャパシティが埋まっている状況ではな いのだが、一方で家庭の中で高齢者を介護し続けることが緊急に難しくなった というときの受入れ先をどのように合理的に見つけていくかという手段が必 要なのではないかと考えている。  今までは介護支援専門員がさまざまな施設に連絡を取りながら、空いている 施設を個別に探すというやり方だったが、もう少し合理的な体制をつくっては どうかということで、今日お示ししているような連携体制をとって、それに必 要な費用は報酬上評価してはどうかということである。  そういう意味で定員を超過した際の減算の適用をまず行うということでは なくて、まずそういう体制をとることが重要で、そうした中でやむを得ず超過 せざるを得ないという場合、要件の緩和というものが出てくると考えている。 (野中委員)  緊急的なニーズへの対応はある程度評価できると思うが、これだけで解決で きると考えているのか。もっとそのほかに何か方策がないのか。  もう一つ、ニーズはやはりあって、それに対応できていない認識はあるとい うことか。 (三浦老人保健課長)  これも一つの手段ということで、これ以外にも短期入所が広がる方法論につ いては引き続き検討してまいりたい。  また、定期的な利用も含めて、さまざまな分野で短期入所の使い方を通じて 在宅の介護を支えているということは事実だと思うので、そういう点での重要 性については認識を強く持っているところである。 (森田参考人)  ショートステイの緊急対応ということで、今まで運営上で事業者が頑張って きたことを制度で評価するのは非常にいい内容だと思っている。神戸市でも15 年度くらいから病院で緊急医療の輪番制というものがあり、同じことを特養の ショートで、それぞれ毎月当番の施設を決めて輪番制をつくってきたが、事業 者は定員超過になって減額されるのが一番心配している。そういう意味では、 要件を緩和するのはいいことではないかと思っている。  利用期間が原則として7日とあるが、実際には在宅に戻れずそのままロング の方へ移ってしまうケースと、再度在宅に戻れるケースと2つのケースがある ので、その辺で7日間というのは少し柔軟に対応できないかと思っている。  それから、日帰りショートステイというのはデイとどう違うのか教えてほし い。 (三浦老人保健課長)  「短期入所療養介護における日帰りショートステイ」は、通所の中でも中重 度者対応の中で医療ニーズへ特に対応できるような体制を整えてはいかがか という提案をしているが、それと同趣旨で、通所介護は福祉系の施設を前提と しているが、短期入所療養介護の事業所で、病院、診療所等における医療系の サービスの一類型として中重度者を日帰りで預かるような場を設けてはどう かという提案である。 (横山委員)  緊急的なニーズへの対応ということで、現状では緊急的なショートステイの 対応については事業所とケアマネジャー、それから本人、家族との連携で行わ れていると理解しているが、これに関して例えば、たらし回しにされるという ニーズがあるとは思わない。  制度の中に緊急ニーズに対応する仕組みを構築するだけで十分ではないか。 その場合には、定員超過減算の要件緩和、あるいは利用が長期にわたった場合 の措置が必要と思うが、こういうことをつくっていけば体制経費が増加して効 率化も図れないのではないか。本当にこういうニーズがあるとすれば、その実 態を示してほしいし、こういうマネジメントが複雑になっていくことに関して は反対であり、ケアマネジャーが事業所を探すということはマネジメントの当 然の業務であると思っている。  それから、短期入所生活介護サービスにおける中重度者の受入れ体制強化と いうことの問題について、夜間帯の看護職員の配置を条件に評価をすることに なっているが、短期入所生活介護サービスはほとんどが特養に併設されていて、 看護・介護職員についても特養ショートと合わせて体制をとっているという実 態がある。  そこで、ショートステイで医療ニーズを併わせ持つ中重度者対応を考える場 合には、特養における看護職員の位置付けも含めて見直す必要があると思って いる。特に特養の看護職員は、「入所者の健康の状況に注意し、必要に応じて 健康保持のため適切な措置を講じる」と、老健は「入所者の自立の支援と日常 生活に資するよう、入所者の病状及び心身の状況に応じて適切な技術を持って 看護する」と規定されているし、訪問看護事業の場合は「療養生活を支援し、 心身の機能の維持回復を目指すもの」とある。医療ニーズと介護ニーズを併わ せ持つ中重度者への対応ということに関しては、特養においても課題であると 思うし、在宅対応で言えば併設ショートステイの課題でもあると思う。  このようなことから、特養の看護職員の位置付けを含めて見直しを行う必要 があると考えている。 (沖藤委員)  従来のショートステイが利用しにくいということも多く聞いていて、帰って きたら前よりも悪くなっていて、こちらは休息したはずなのに、より大変な介 護状態になって帰ってくるので、再び利用できないという意見もあった。また 環境の変化に利用者が対応できなくて、帰ってきてから利用者にも精神的スト レスがあるということもあり、ショートステイは必要なサービスだし、大切で あるが、ショートステイの中にどういう機能が盛り込まれるのかというところ が非常に大事だと思っている。  特に看護職の配置は大事なことで、それと同時に療養介護の日帰りショート ステイの場合、主治医と、療養介護施設における配置医との連携は一体どうな るのか。やはり主治医の関係は大事であると思っている。 (木村委員)  緊急的な短期入所ニーズの調整を図る窓口は、ケアマネジャーとしては是非 設置してほしい。効率的に空いているところを見つけるという意味では必要だ と思う。  あと、ショートステイにおける中重度者の受け入れ体制の強化について、も う少し具体的に説明してほしい。 (三浦老人保健課長)  特養などで夜間、看護職員の確保が難しいという状況があるので、その看護 職員を何らかの形で確保する。それは自らその施設が確保するということもあ るし、例えば契約として外部の看護師に来てもらうことも考えられる。いろい ろな形で看護体制の強化を図るということが考えられるのではないかと思っ ている。 (木村委員)  看護師だけではなくて、病変が考えられるとすれば医師も当然その連携に入 れなければいけないし、それから嘱託医となってくると今度は薬の問題などが 出てくると思う。特養には薬がないから、薬剤師も含めた体制がなければいけ ないと思うので、その辺も勘案してほしいと思う。 (田中(雅)委員)  ショートステイの利用目的は、これまでも介護者家族等の介護負担の軽減、 あるいはレスパイトケアについてであったと思う。そういう意味では介護者の 急病等の緊急事態に備えるということは制度としてあったと思っている。  にもかかわらず、今回あえて「介護者の急病など緊急的なニーズへの対応」 となぜ出されたのか。要するに、緊急的なニーズに対応していないという実態 があるからこのように出しているのか。  ショートステイは、在宅生活を続ける上において必要なサービスである、す なわち介護者自身の介護負担の軽減やレスパイトケアを除く考えではないと いうことを確認しておきたい。 (三浦老人保健課長)  レスパイトを含めて、在宅での介護を支えていくためにこのショートステイ が必要であり、特に緊急対応というものが難しい状況があるので、その分につ いて特に体制をとることに評価してはどうかという提案である。 (漆原委員)  緊急的なニーズへの対応については、施設側としてもいろいろな意味でケア マネジャーに対しての情報提供をしていけるシステムが必要ではないかと思 っている。  それから、通所系サービス、短期入所サービスの取扱いについても、そのサ ービス提供の形態が多岐にわたってきている。来年4月からは難病やがん末期 の利用者も対象になってくることから考えれば、医療ニーズと介護ニーズを併 わせ持った中重度者にどう対応していくかということが大きなテーマになっ てくると思う。  特にこの短期入所や通所で医療ニーズを持った利用者を預かる側とすれば、 やはり緊急時に対応できる近隣の医療機関との契約とか、連携を要件にしてい く必要はあると思うし、緊急入所時に、主治医が継続して関われるような仕組 みも考える必要があると思っている。  また古くからの地域ケアシステムをどうするかという大きなテーマのため にも、何らかの形で利用者、事業者も加わった全体を統括する協議会みたいな ものがうまく機能していけばいいので、検討いただきたいと思っている。 (対馬委員)  随所に評価とか加算という言葉が出てくるわけだが、この減算要件の緩和な どはサービス提供側の視点では少し勘案してほしいとなるだろうが、これは極 めてはっきりしていて、利用者が105%を超えるという中において減算という のはやむを得ないだろうと思うし、ここを緩和するのはいかがなものかと思っ ている。 (野中委員)  特養では配置医師がいて、配置医師以外がみだりに往診してはならないとい う条項が医療保険にはある。本来は特養入所者に対して在宅生活での主治医が 訪問するのがいいが、その費用の保険請求は基本的にはできないから、施設側 が払うということになる。訪問看護も同じく行けないのではなく、施設側が看 護師にお金を払えば行くことができるのである。現行では介護報酬や診療報酬 で請求することができないことになっている。  患者に対して必要なときに必要な医療をきちんと提供するためには、介護保 険と医療保険が2階建てになっているといればいいが、現実では例えば老健施 設で眼科の先生に見てほしいといった場合に眼科の先生が見に行っても、眼科 の先生は処置とか往診料はもらえず、施設側がその医師に対して払うことにな るが、なかなかお互いに請求しづらいことが現場ではある。  ただ、このことに関しては医療保険の財源と介護保険の財源でどう整合する かということが大きな問題なので、簡単に患者の希望どおりにできないという こともある。  あといつも問題に思うが、なぜ短期入所が居宅サービスなのか。本来は短期 に入所しているから施設サービスだと思うが、なぜそれが居宅になっているの か。それは介護財源と医療財源の部分の中でいろいろな支障があって踏み込ま なければならないことがあるということは認識してほしいと思う。 (喜多委員)  介護も医療も人間が健康を損ねたときに受けるサービスだから、それを2つ の制度にするのはそもそもおかしいと考えているが、今回「医療ニーズと介護 ニーズを併わせ持つ」という表現が介護の中でいつの間に入ってきたのか。何 かなし崩しに、いつの間にか重複させているという感じがしている。  それから緊急的なニーズへの対応について、先ほどからの議論では事業者が 連携と言っているが、本当に事業者が連携できるのか。「地域住民への周知に 当たっては市町村と連携」と書いてあるが、市町村にこんな話は今までなかっ たわけで、いつの間に市町村がこんなことをやるのか。地方分権と言いながら、 これは地方押しつけの一つではなかろうか。  次に、この料金は一体だれが持つのか。そこを決めていないと、24時間体制 も不可能だし、抽象的に提案されても具体的な答えは出ないと思っている。  最後に、先ほど対馬委員が指摘した定員超過の件は、緊急時の要件はきちん と決める必要はあるが、緊急時に罰則を課すのはおかしいのではないかと思っ ている。 (山崎総務課長)  今回議論をお願いしたいテーマは、現場のレベルにおいて医療ニーズを介護 保険の中、もしくは医療保険との連携でどうするかということではないかと考 えている。もちろん医療と介護の関係というのは制度創設以来のテーマである が、一方で現場において連携が必要なので、その連携をどうするのがいいかと いうことが問題となっている。  現状では、難病、もしくはがん末期の方については医療のみが対応するケー スもあるかもしれないが、介護サービスを提供すべきケースもあるので、今回 提案させていただいている。  それから緊急ショートについては、介護報酬の議論であり、介護報酬という のは介護費用の中に入るものなので、基本的には介護保険財政の中のサービス として適用されていくという形になる。 (喜多委員)  今の回答は少しおかしい、例えば歯科医が特養に呼ばれて行っても往診料を 請求できないということは一体どうするのか。どこかで融合するか、接点を持 たせるかしないと、これは解決しないと思う。  全く別の話になるが、75歳以上の高齢者医療もそれは市町村でやれ、それで 市町村が今までやっていることは都道府県でやるようにしていく。全く矛盾し ていると思う。そんなことよりも、人が健康を害したら一つの保険証で全部や れる体制にすれば今の議論は全く要らなくなるわけだから、制度をもっと大き なところで考えたらどうか。  「がん末期の利用者等」と書いているが、老人の介護をするということで発 足したものが、いつの間にそれががん患者まで影響するのか理解に苦しむとこ ろである。 (野中委員)  特定施設入居者生活介護について、なぜ入居者に変えたのかということから、 もし入居であればもう少しさまざまな人たちが自由にという部分があっても いいような気がしている。医療とかさまざまに制限されている部分が現場では あって、利用者がかえって使いづらいということもあるわけだから、このこと に関してなぜ入居と変えたのかという経緯と、それからなぜ施設なのに居宅サ ービスなのかということを説明してほしい。 (三浦老人保健課長)  従来は入所者生活介護と言っていたのを入居者生活介護とかえたのは、それ は住まいだということによると考えている。従来からこのサービスについては いわゆる食費、居住費についてはもともと自己負担で、その中でその施設にお いて利用する介護サービスについてパッケージとして利用できるような仕組 みになっていて、入所という表現を使うことになると、そのほかの介護保険3 施設と混同する可能性があるのではないかということから、今回はそれらをは っきりさせようということで「入居」を使っている。したがって、あくまでも 施設サービスとは一線を画した在宅サービスの一環として位置付けられてい るということである。  その上で、サービス全体としてはさまざまなサービスが必要になるので、そ れぞれのサービスを利用できるような仕組みとして位置付けられているとい うことである。 (野中委員)  施設の構造を見ても家なのか、部屋なのかわからないのに、それを無理やり 当てはめようというのは無理があるのではないかと思う。有料老人ホームの中 で例えば部屋に訪れたとき、そこが家だと認識できるのか、認識できないと思 うがいかがか。 (古都振興課長)  基本的に施設か在宅かということだけではなくて、その中間形態の住まいと いうものを多様化していろいろなニーズに対応していくという、居宅にいるよ りも少し安心・安全が高いという形で今回、住まいを基本にして考えている。 特に、住み慣れたところでできるだけ長く暮らしたいというのが基本にあるわ けなので、そういうときに居宅よりも少し安心の高い部分としての特定施設入 居者生活介護があるし、それよりも専門職が常時配置される老健とか病院とか 特養があるのだろうと思っている。  その中間形態でいろいろ多様化していくという話と、実際に現在の有料老人 ホームなどでも古いものは居住水準が十分でないものもあるが、これからの施 策の方向として居住、生活環境をもっと住まいらしくしていくということは十 分やっていかなければいけないのではないかと思っている。 (村川委員)  高齢者優良賃貸住宅への給付の拡大については基本的に賛成である。90年代 に有料老人ホームがやや割高感があった当時に、都道府県あるいは政令指定都 市等の住宅供給公社などがシニア住宅を開発して、そこに移り住んだ方の介護 問題も出てきているし、99年に高齢者居住法が成立して民間の市場ベースで質 のよいバリアフリー対応の住宅などが確保される中では、これは妥当なものと 考えている。  2点目に、養護老人ホームは生活保護法に基づく救護施設とは明らかに違っ て、保険料を支払っている立場の方が入所している施設であるが、いろいろな 事情から介護サービスの利用が円滑でなかった側面もあるが、介護サービスが 利用できる形の明確な位置付けに移行するということはよい方向ではないか と考えている。  3点目は、事実上施設系サービスに近い有料老人ホームと、いわば施設と住 宅の中間的な存在とも言えるケアハウスと、それから優良賃貸住宅という、特 定施設入居者生活介護について小区分ごとにきちんと運営管理されるような 明確な報酬体系を確立すべきではないかと考えている。  しかしながら、これらは制度上は居宅サービスだが、施設としての性格が強 い一部有料老人ホーム等が入っているので、一定の規制的な視点も含めて将来 的には整理が必要であると考えている。 (横山委員)  特定を受けることのできる施設の利用者は、特に要支援者が多いと思うが、 介護予防のときにこのサービス体系の議論は全くされなかったのだが、外部サ ービス活用型の特定施設入居者生活介護にする場合に、いわゆる二枚看板でや ることになるのかどうか。その場合、報酬体系はどう構築をされていくのか。  そして、そのマネジメントは、介護予防の場合は当然地域包括支援センター ということになるが、特定の場合は基本部分で評価をするということになって いるが、その場合もマネジメントの違い、あるいは外付けの介護予防事業を契 約するということになるのか。  そして、人員基準のところで、過度な兼務体制を認めるということになるが、 過度な兼務体制については労働環境の悪化につながり、介護サービスの質の低 下や介護過誤あるいは拘束、虐待に誘因することになると思う。その点につい ても利用者保護の観点から慎重に考えるべきではないかと思う。  夜間の対応についても管理宿直でいいのか、あるいは夜間を含む常時1人体 制についてはきちんと基本部分での報酬設定が必要ではないかということと、 利用者の状態像によって評価を考えるのかといった問題が出てくると思う。こ れらをクリアしないと外部サービス利用型の質の確保、あるいは利用者保護と いう観点からかなりサービス提供に対する問題が出てくるのではないかと思 っている。 (古都振興課長)  介護予防サービスについては主に3サービスについて議論いただき、それ以 外のサービスについては基本的には現行の本体給付と同じような体系を維持 することになっているが、この外部サービス型について、今回予防のところに ついても議論いただく必要があるのではないかと思っている。  もちろん介護予防については地域包括支援センターが絡むサービスなので、 その中でサービスの基準なども考える必要があるだろうと思うし、ここで外部 サービス利用型について、ある程度議論いただければ、それも含めたうえで考 えていきたいと思う。 (矢野委員)  特定施設の範囲拡大は、利用者の選択肢を広げることになるので望ましいと 考える。外部サービスの利用が提示されているが、夜間や緊急時の対応などに 十分配慮して、委託先の合理的な選定で効率的なサービスが提供できるような 形をつくっていく必要があると思っている。人員基準などの規制緩和を図りな がら競争を促進して、より効率的で良質なサービスが提供できるようにするこ とが、介護保険の基本的な考え方であり、ほかのサービスについても共通する ことではないのか。また、介護予防サービスについても現行の特定施設が外部 に委託できるように検討する必要があるのではないかと思っている。  また、評価した結果については加算も減算もある。これは喜多委員や対馬委 員の意見に賛成で、加算だけが評価の結果ではない。体制を整備したからとい うことで評価するのではなく、サービスの対価として報酬を考えるという基本 スタンスは、決してなくしてはいけないということをもう一度強調しておきた いと思う。 (池田委員)  特定施設の給付状況を見ますと、要支援で7万3,000円、要介護1で16万 7,000円くらいが給付されている。これは支給限度額めいっぱいあるいはそれ を超えている水準で、比較的裕福な方が有料老人ホームに入っているならば、 裕福な方たちへの給付が高くて、そうでない方たちはその半分以下というのは 何となく釈然としない。  それで、今回の改正を元にして、それに一定の改善が加えられようとしてい ることに関しては評価するが、そもそも3施設の方も居住費と食費を外出しに した以上、残るものはケア費用ということで、同じケアをやれば同じ値段にな るのは当たり前であり、3施設とのバランスをどう取るかということが難しく なってくる。もちろんケア費用は本来同じ水準であり、ある意味で特養と有料 老人ホームの介護報酬はどうして違うのかという問題が起きてくるが、その点 をどう整理すればいいか示してほしい。  施設サービスとよく似たものであるとするならば、要支援は施設サービスは 受けられないことになっているのに、どうして特定施設はいいのか。要支援1 と2ができ、2は従来の要介護1の7、8割だと言われているわけだから、そ こをどう整理していくかということもある。理論的には要支援は施設サービス と同じようなものに関して給付はやめるべきだし、要介護1が要支援になった 場合も当然のことだと思うが、ただ、そこで問題が起きるのは、介護保険以前 の特別養護老人ホームは措置という行政処分の結果だったけれども、有料老人 ホームの場合は民事上の契約であり。その契約が履行されないような状況をつ くるのは非常にまずいが、介護保険制度そのものをゆがませるおそれがある。  こういった場合、経過措置的なものが取られるのが一般的だろう。つまり、 従来入居をしている人の契約内容が履行できるような形で、新規入居者と整理 していくべきではないか。難しい問題で答えにくいことはわかってはいるが、 どう考えているのか教えてほしい。  それから建物に着目をせずに部屋あるいは人間に着目をして外部利用をす るというのは高く評価するが、それはコスト的にどこまでうまく可能になるか 難しいので、緻密に検討して実現するようにしてもらいたい。 (古都振興課長)  介護保険3施設との関係についてどう整理していくかというのは、この場で も議論いただくべきことと思っている。  それから現状では、静態的に見ると要支援1、2という形になってくる。そ れについて、今後どういう状態になってくるのか。もう一回本題に立ち返って 議論しなければいけないと思っている。一定のサービスが提供されるのであれ ば考えなければいけないし、一方そうでないのであれば何らかの経過措置を考 えなければいけない。全体のバランスの中でサービスの内容に応じてどう報酬 を考えるかということが必要ではないかと考えている。 (池田委員)  最後の経過措置の問題については答えがなかったが、この問題というのはグ ループホーム等にも関わってくる問題である。  グループホームの要介護1は給付水準が極めて高く、在宅の支給限度額をは るかに上回っている。ではいきなり在宅の支給限度額を引き落とせば、かなり のグループホームは経営困難になると思う。こういったものは一段階でばっさ り整理できるのではなく、例えば3年後の介護報酬改定の時点では、方向性を 前もってある程度示さないと、事業者も利用者にも混乱が起きるので、その辺 は配慮するべきと考えている。 (喜多委員)  拡大することについてあえて反対しないが、やはり費用について非常に心配 している。見込み費用が一体どうなのかということを知りたい。介護保険の保 険料自体がもう来年度に上げるのが限度ぐらいで、それ以降のアップは到底国 民に受け入れられない額になるのではないかと心配しているのに、間口を広げ てその給付を広げるということは不可能だと思っている。したがって、現時点 でここに出ているようなことは考えるべきではないと考えている。 (対馬委員)  同感であり、一体見込みがどうなっているのか、例えば金額でも人数でも、 89億円とか4万8,000人とかあるが、それとの対比でどのくらいかということ を示してほしい。  もう一点は支払いの方式について、14ページは定額プラス出来高的な発想と いうことなのか。これまでの議論では1か月当たりの包括払い、定額払いや、 1回当たり、時間当たり幾らといういろいろなケースがあるが、支払い方式を どういう形でやるかというのは重要なので、一覧表として項目に対応した支払 い方式がわかるものを出してほしいと思う。 (森田参考人)  まず特定施設の対象の拡大で高齢者専用賃貸住宅で一定水準を満たすもの、 登録されているものということだが、例えば公営住宅で60歳以上の方が入居 しているシルバーハウジング等は対象として考えていくのかどうか。  それから、外部サービスの提供事業者と業務委託契約をするということだが、 その外部委託先の事業者は指定事業者と考えるべきなのかどうか。養護の方で やはり外部委託という形が来年4月から多分病弱者加算がなくなって、その分 は介護サービスでということでいきなり全国的に養護老人ホームがそういう 外部委託という形になるだろうと思うが、その場合に職員の資格の問題等で経 過措置があったらと思っていて、養護も含めて委託先の要件を少し柔軟に考え てもらいたい。  それから、この外部サービス型の特定について介護専用型の有料老人ホーム にも適用できるのかどうか。つまり、要介護1以上の人しか入れないというの が介護専用型有料老人ホームにも適用があるのかどうか。 (古都振興課長)  シルバーハウジングと高齢者専用賃貸住宅の違いを考えると、高齢者専用賃 貸住宅については、都道府県が利用者に対する情報提供をきちんとするとか、 入居者の利用の安全を高めるという形で一定の要件をかけて登録して、その要 件を見て利用していただくという形で、より高い位置付けを得ていると理解し ている。質の確保の観点から一定の質が担保された形のものを対象にしたいと 思っている。  そういった意味で、シルバーハウジングが一定の要綱の下につくられている が、これがきちんと都道府県の登録に十分耐え得る形で登録された上で、利用 される分には構わないのではないか。質を考えれば指定事業者という形が基本 ではないかと思っている。  それから介護専用型は最初から十分に職員を配置してやっていくというス タイルを取っているが、これを外部サービス利用型にしたいというのは難しい と思う。介護専用型ということで既入居者との契約をしているので、将来契約 を見直すことができて、もう一回指定を取り直すということで、変えるという ことは可能ではないかと考えている。 (田中(滋)委員)  特定施設の範囲拡大とか、早目の住み替えというのは高齢者の住家の安心の ためにいいことだと思うが、外部サービス活用型というものがよく理解できな い。  特定施設入所者生活介護について外部の事業者に頼むことは今でもできる ことになっているが、それとの違いがよくわからない。一方で違いははっきり していて、要は単なる老人アパートに比べるとケアマネジメントだけを行って、 あとは外部サービスを使うというところが違うと思うが、特定というのはパッ ケージでサービスを提供してくれるから安心して入っているのではないか思 っている。サービスを外部に委託することはいいことだと思うが、特定に入っ ていて、あとは出来高払いのサービスが付くというコンセプトがよくわからな い。  この意味は、高齢者のバリアフリーアパートを経営している人がケアマネジ メント事業者を兼ねるのとほとんど同じだと思う。ケアマネジメント指定事業 者が老人アパートを経営して、ケアプランをつくる。ケアプラン部分について は包括報酬で見ると言っているのと違わなくなってしまう。特定というのは、 老人アパートでケアマネジメント付きで、あとは外部サービスの出来高という のと違って、パッケージだから特定という名前が付いていると思うので、外部 サービスを包括的に委託するというのは構わないが、外部サービスを出来高で 載せるのを特定と呼ぶのはそぐわない感じがするし、どういうインセンティブ でそんなことをするのだろうか。  包括だけ払っておいて出来高部分にした方がコストが安くなるだろうとい う気持ちはわかるが、それはまた別の話であって、特定と言っておきながら出 来高でサービスを選択しているというのはどういうことなのか。 (古都振興課長)  特定施設のあり方をどう考えるかということだと思う。特定施設はパッケー ジでサービスを提供するということであり、パッケージの考え方について2つ の類型が考えられると思う。完全な重装備型でいくのか、外のサービスをコー ディネートするのかということである。この両方に共通するのは事業主体がす べて責任を負うということで、たまたま委託という形でサービスを提供するが、 あくまで、責任主体は特定の事業者なのであり、通常の老人アパート等の、夜 間の体制もないようなものとは一線を画するべきと考えている。基本的には重 装備ではないが、外部サービスをパッケージで提供するということだろうと思 っている。  その上で、要介護度がどうなっていくかという点について、基本の部分を包 括化して、サービスのところは実際に使われた分ということにしたいと思って いて、そういうことに理解いただけるような事業所が利用する制度ということ になろうと思っている。 (田中(滋)委員)  新規入居者は負担費用を自分でコントロールできるようになるからいいか もしれないし、外部の事業者は新たなビジネスチャンスを得られるかもしれな いし、保険者は支払いが安くなるから気に入るかもしれないが、この事業をや りたいというインセンティブがよくわからない。どういう人がこの事業をやり たいのだろうか。バリアフリーできちんと管理費を取って、そこでは生活相談 や安否確認して、ケアマネジメント事業所も兼ねていて外部サービスを使うと いう方がビジネスモデルとしてはすっきりするのではないだろうか。 (古都振興課長)  1つは、質の観点から包括している部分でケアマネジャーや職員をきちんと 置くなり、24時間の連絡体制というか、高いサービスを提供するという責任を 負う。ベースの部分で支えるという安心感が高いのではないかと思っている。  これからどういう事業所が入ってくるかについては、高齢者向け優良賃貸住 宅が考えられる。まだ制度ができて間もなく、これからだんだん増えると思う が、考えなければならないのは、高齢者が早目の住み替えで介護を受けたいと いったときに、安心の高いものとして、アパートで良いと考えるのか、もう少 し安心の高いものとして提供していこうという形になるのかというところで 考えたい。その上で、外部サービス利用のインセンティブは多少あるのではな いか。それから、基礎的な部分を包括で支払われるというところもあるのでは ないかと考えている。 (田中(滋)委員)  特定と言う以上、質と安心感を確保できるような形をお願いしたい。 (木村委員)  これまでの議論で、ケアマネジメントの質が上がれば等、その響きがケアマ ネジャーが全部悪いように聞こえるが、ケアマネジメントは多職種が連携、協 働するものなので、決してケアマネジャーだけが悪いわけではないということ を意見しておきたい。  ケアマネジメントのプロセスの中で、福祉用具の導入の必要性の判断を強化 するというのは必要と思っているし、ケアマネジャーが導入の理由を明記する ということもいいと思うが、できるだけ様式等はシンプルなものにして事務量 に対して配慮をお願いしたい。  それから、適合性を判断するときに、リハビリスタッフを連結する仕組みを 取ってほしい。やはりPTやOTが機能をきちんと理解できているし、そのア ドバイスがあって初めて適合性というものがきちんといくと思っている。  またモニタリングということで1回導入したものの見直しはケアマネジャ ーの仕事として当たり前であるが、例えば、車いすを家で使うという形でやっ ていたら、病院に行くときだけ使うから結果的に月1回しか使わないのに高い お金を出してレンタルしているということがあった。こういう場合は、病院の 車いすを借りるとか、必要な時だけ社協から借りるとか、いろいろなやり方が あるわけで、それはモニタリングがプロセスの中で不十分だったからと考えて いる。  それから、福祉用具の販売について、販売する側の相談として福祉用具専門 相談員の位置付けはいいと思うが、専門相談員というのは売る側の立場なので、 どうしても売るという形にインセンティブが働くと思う。やはりチェッカーと しての介護支援専門員の役割をきちんと位置付けてもらいたい。 (村川委員)  福祉用具の関係で、販売の運営基準が明確に設けられることについては賛成 である。その中に福祉用具専門員の関係を位置付けることも当然と思っている。  私は、以前この福祉用具相談員研修のカリキュラムづくりに携わっていて、 現行では45〜50時間の研修で勉強されているが、普及の現状などを考えると、 研修の内容やレベルについては見直しが必要ではないかと思っている。  参考資料の20ページに東京23区における福祉用具レンタル価格の分布につ いて、仮に最低価格とされている3,000円であれば、多くの契約が3年程度の コスト計算ということも聞いているが、仮に1年でも3万6,000円、3年で考 えると10万円を超えることになる。また、最高価格では年間で16万8,000円、 3年間で50万近い金額になる。  確かにリユースや器材の衛生管理などの附帯的なサービスがあるから、そこ は少し割り引いて考える必要もあるだろうが、この価格差は何なのか。あるい は、極端に高いレンタルというのは一体何なのかということについては調査研 究等、限度額の基準管理を考えていくべきであろう。  福祉用具については生産価格だけではなく、附帯的なサービスをどう見込む のかということと、この分野で参照価格という手法が相当か、少なくとも各都 道府県単位にこの最高、最低を明らかにさせて、下方修正できるような価格誘 導をするなど検討すべきではないか。  7年ほど前にイギリスの調査をしたときに、簡易な電動車いすでも当時の価 格で12万円くらいで買える物があった。確かに福祉用具というのは研究開発 していくこともあり、企業の立場も考える必要はあるだろうが、この動向を見 ると、高上がりになっているのではないかと感じている。 (花井委員)  福祉用具の貸与で、費用の9割を給付ということは9割引きの福祉用具貸与 であり、9割引き購入の福祉用具であると思う。福祉用具自体は高齢者の自立 支援の補助用具として重要であるし、ベッドなども必要ということは十分承知 している。そこは否定するつもりはないが、資料20ページに要支援者で特殊 寝台が11.2%とあるが、特殊寝台が必要な要支援者というのは一体どういう状 態なのか全くわからない。  福祉用具貸与についても医療で言う内外価格差以上の格差があって、例えば 電動ベッドを見ても2万8,000円では2か月分のレンタル料でカタログ販売で 買える値段が付いている。このように値段が自由に付けられていて、そこに対 して9割給付されるという現状は疑問である。保険で給付する価格というもの を決める必要があるのではないかと思う。  資料18ページに「市場の価格競争を通じて適切な価格による給付が行われ るよう」とあるが、1人当たりの費用額を見ると、市場の価格競争があったと したらどうして4年たっても値段がほぼ変わらないのか、市場の価格競争が働 いていないのではないか。  それから、福祉用具が最高、最低で幾らで売られているのか、また都道府県 ごとの資料も出してほしい。福祉用具がケアプランに組み込まれているわけな ので、適正化して、その部分は苦労している訪問介護の費用に当ててほしいと と思う。 (田中(滋)委員)  花井委員も指摘していた、資料18ページの福祉用具は公定価格を定めず、 自由価格により保険給付する仕組みとしているというところだが、自由価格で 意義があるのは公正な市場競争が行われている場合だけであり、市場価格競争 をすると安くなるという保証はない。例えば原油価格のように、自由市場で競 争すると高くなることもある。競争して安くなる場合とは、買い手側が価格を 引き下げるインセンティブを持っていて、売り手側も価格競争によって売りた いというインセンティブを持っている場合だけである。  これが当てはまるのは、自由市場である医薬品が病院と医薬品産業との間で 売り買いするときで、医療機関は安く買うインセンティブを持っているし、交 渉力も持っている。また、医薬品側も価格競争を行うインセンティブを持って いるわけだが、それでも医薬品は利用者との間では公定価格になっている。  一方、同じく自由市場である医療機関とメーカーとの間である医療機器は価 格が高止まりしているどころか、国際的にも極めて高い。その理由は、買い手 側が価格を引き下げたくても何が標準価格かという情報がないし、交渉力がな いためである。医療機器は購入頻度が少ないが、薬は購入頻度が高いから医療 機関は価格を下げる交渉力を持っているが、医療機器については持っていない。 なぜかというと、情報の非対称性が大きくて、何が適正かどうかわからない。 それで、売り手側もできればサービス競争の形でとどめたいというインセンテ ィブを持っている。これは両者の費用構造が固定費型か、変動費型かの違いに なっている。  そういうことを考えると、単に自由価格にすると価格が下がるのではないか という意味で書いているとしたら、それは経済学的には間違っていると思う。 だから、価格を決めるわけにはいかないけれども、先ほど村川委員が指摘した ような保険の給付額はここまでで、あとは利用者がもっといい用具が欲しけれ ば高いものを上乗せする。そこの価格は政府が介入してはいけないと思うので、 いろいろな価格があっていいが、保険給付は標準を決めて、あとは上乗せとい う方がリーズナブルではないかと思う。 (池田委員)  福祉用具貸与の利用状況をみると要支援、要介護1で車いす、特殊寝台、あ るいは体位変換器や移動用リフトなど、信じられないようなものまで入ってい る。それで、ガイドラインをつくったと思うのだが、まだ今年の4月の段階で こんな状況ということで、ガイドラインをつくった効果はどれほどあったのか。  それから、どうしてこんなに価格差が出るのか。この価格差は単純に考えれ ばダンピングしている人がいれば片方で値をつり上げて売りつけている人が いるとしか考えられない。何しろ介護保険は9割引きサービスで、10万円のも のを買っても1万円払えばいいということなので、価格を上げる自由競争はあ っても安く買う自由競争というのはないに等しいと考えている。  3点目は、利用者1人当たり福祉用具をどれくらい使っているのか要介護度 別に調べてみたところ、要支援や要介護1で1万3,000円くらい使っていて、 要介護2、3の約1万5,000円とほとんど変わらず、どうもまともに福祉用具 ケアマネジメントというものは行われていないのではないだろうか。  そこで基本的にケアマネジャーがチェックするということ以外は余り書い ていないのだが、考えられないような福祉用具の給付の状況、価格の激しい格 差などこれはやはりモラルハザードと見ていいと思う。  では、このモラルハザードというのは事業者が原因なのか、利用者が原因な のか、恐らく事業者の方が大きいだろうが、一番重要なのはケアマネジャーで あり、そのケアマネジャーにチェックさせるのはおかしいと思う。  むしろOT、PTとか、例えば要支援1、2の方は地域包括支援センターが きちんと機能すればそこでチェックできると思うが、要介護1以上は実態は変 わらないのではないかと思う。それにしても何で福祉用具は5年間以上放置さ れていたのか。これは少なくとも走りながら考えると言われた介護保険にどう 考えてもなじまない。   (古都振興課長)  少なくとも平成16年に福祉用具の適正な利用についてガイドラインを出し たことで、居宅サービス受給者における、車いすの利用率などは、16年の5月 以降、要支援、要介護については横ばいになり、一定の効果はあったと思って いる。  ただ、御指摘のとおりそれで問題が終わったとは思っていないので、新予防 給付のときに提案させていただいたように、基準では原則出さず、どうしても 必要な場合のみ認めるということで考えているので、その原則をもう少し貫い たらどうかという意見と受け止めている。  それから、ケアマネジャーだけが決めるわけではなく、それ以外の専門職種、 特にPT、OTあるいは医師などとの連携を踏まえるという形を徹底させてい く必要があると考えている。福祉用具は生活支援に必要なもので重要であると 思うが、これがもっと信頼されるような形になるように仕組みを工夫していき たいと考えている。 (野中委員)  リハビリのあり方については、リハビリが必要な段階からその本来の在り方 を考えないと、この問題はなかなか解決できない。これはケアマネジャーだけ の責任でなく、もっと根本的に考えないといけないと思う。  それから、施設から在宅に戻る場合に車いすにしても、その人がもし転倒し て事故を起こしたらどうするかということから、安易に車いすを使うという考 え方が施設で蔓延しているという部分もあり、本来この福祉用具が本当に必要 なのかということを皆で考えないと、このことは費用の話だけでは解決できな いと考えている。 (花井委員)  福祉用具の貸与と販売を比べると、販売には福祉用具専門相談員を位置付け るということになっている。福祉用具を借りるときに、例えば体の大きさとか、 体重とか、さまざまなことで使い方が違って、よけいな負担がかかり悪化する と思うが、貸与のところではその辺の用具の使い方の指導とか、専門相談員に 該当するような人がいるのかどうか教えてほしい。 (古都振興課長)  相談員というのは例えばPTとかOTとか、一定の専門職と、45〜50時間程 度研修をした人を位置付けているので、そういう身体機能も理解した上で対応 できるのではないかと思うが、先ほどの村川委員の問題意識の通り、相談員の 質の向上もこれから議題になってくると思っている。いずれにしても専門職と してある程度判断できると思っている。 (花井委員)  専門職の中身を聞いたのではなく、福祉用具貸与のところで使い方などを教 えてくれる人が間にきちんと位置付けられているのかどうかということを教 えてほしい。 (古都振興課長)  参考資料の18ページに現行の福祉用具の導入のプロセスということで、基 本的には福祉用具の専門相談員は適合相談やフィッティッングをきちんとで きるという前提に立っている。 (井部委員)  先ほど沖藤委員から、ショートステイを利用すると状態が悪くなって戻って くるということがあり、確かにそういう実態もあると思うが、ショートステイ は施設サービスではなく在宅の延長と考えるのが適切ではないかと思ってい る。特に中重度の方たちは何らかの形で訪問看護が関わっている、あるいは主 治医と訪問看護の連携で関わっていると思うので、こうしたショートステイ利 用時も、一貫したケアが提供できるように、そこに外部の人間が関われるよう な体制を考えるべきではないかと思う。場所が変わると人が変わるということ ではないように、在宅の延長としてケアに提供者も関われるような制度にして ほしいと思っている。 ○井形分科会長代理より閉会の宣言 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)