第23回社会保障審議会医療保険部会 資料1
平成17年11月17日


これまでの議論の整理



これまでの議論の整理

図 は「社会保障審議会医療保険部会における議論の整理」(平成17年8月24日社会保障審議会医療保険部会)

事項と論点案 「社会保障審議会医療保険部会における議論の整理」 及び各委員の意見・指摘事項
I 基本的考え方  
   
 さまざまな施策を通じて国民の健康・長寿という人間にとって一番大事な価値を実現し、その上に立脚した国民皆保険制度とすべきである。

 人口構成、就業構造等の構造変化に柔軟に対応し、経済・財政とも均衡がとれ、国民の安心、制度の持続可能性を確保するといった観点から見直しを行い、将来にわたり国民皆保険制度を堅持する。
 保険者の自立性・自主性を尊重した上で、医療保険制度を通じた給付の平等、負担の公平を図り、「基本方針」どおり医療保険制度の一元化を目指すべきとした意見がある一方、保険者機能を弱体化させるような一元化には反対であるとの意見があり、引き続き検討が必要である。
 保険者としての機能を発揮しやすい制度とするとともに、給付と負担の関係が透明でわかりやすく、かつ、医療費適正化の取組や高齢者医療制度の運営に対して関係者が関与できるなど、関係者の負担への理解や納得が得られる制度とする。
II 医療費適正化について  
 1.中長期的な医療費の適正化  
  
 医療費適正化計画
 生活習慣病の予防や質の高い効率的なサービスの提供により、国民の生活の質(QOL)の向上を図ることを通じて医療費の適正化を推進する。
 具体的には、次のような取組を推進する。
 若齢期からの保健事業の積極的な展開により生活習慣病の発症を抑制する。
 医療機関の機能の分化・連携を推進し、急性期から回復期、療養期、在宅療養へという患者の流れを促進することにより、平均在院日数を短縮する。
在宅(多様な居住の場)における介護サービスと連携した医療サービスの充実を図る。
 国民の生活の質(QOL)の向上を図るためには、生活習慣病対策を推進するとともに、医療と介護との連携も含め、急性期から回復期を経て在宅(多様な居住の場)へという患者の状態に相応しい良質で効率的な医療を提供し、平均在院日数を短縮する必要があり、こうした取組を進めることを通じて、医療費の適正化を図るべきである。
 医療費適正化に当たっては、医療計画、健康増進計画、介護保険事業支援 計画の策定主体である都道府県が積極的な役割を担うべきとの意見、都道府県は医療費適正化を主導する立場になく、国が方針を示し、市町村が地域の実情に合わせた施策を進めるべきといった意見があり、国、都道府県、市町村、保険者、医療機関等の関係者の役割等については、引き続き、議論が必要である。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 医療費の適正化については、医療の安全や医療の質を十分考えて対応しなければならず、経済に連動しない。
 医療費適正化については、あくまで「患者本位」の医療を効率的に提供する観点から考えるべき。
 医療費適正化計画の導入については、真に実効あるものとする工夫が必要と思われるが、基本的な方向としては評価。
 都道府県による医療費適正化計画の策定・実施・検証と評価システムの導入については、方向性として大筋了承できる。
 生活習慣病対策を通じた医療費適正化については、評価できる。
 医療費に多大な影響を与える診療報酬制度及び医療法等に権限を有する国が、あくまでも医療費適正化について主導的な役割を果たすべき。
 都道府県に「医療費適正化計画」の策定を義務付け、なおかつ政策目標の実施状況を踏まえた「費用負担の特例」を設けることは、国の責任を都道府県に転嫁するもの。
 診療報酬体系に関し、都道府県の意見具申と国の対応をいう仕組みを提示しているが、診療報酬体系を決定する権限は国に属するべきものであり、都道府県ごとの特例を設けることの妥当性、医療費適正化に対する実効性については、疑念を抱かざるを得ない。
 都道府県単位を軸として、予防、医療提供、医療保険に関する政策を有機的に連動させるという方向性は評価できるが、都道府県がその役割を担うための財源、権限を整備するうえで、国の責任の在り方と役割を明確にする必要がある。
 医療費適正化計画については、医療費総枠管理につながり反対。都道府県に医療費適正化計画を実行できるのか疑問。また、都道府県によって診療報酬が異なる制度は国民皆保険の理念に反する。
 仮に診療報酬の特例を設定するとすれば、中医協に付議すべき。

 保健事業については、保険者も積極的な取組を行っていく必要がある。
 保健事業の本格実施
 〔各委員の意見・指摘事項〕
 医療保険者による健診の義務づけは、方向性として大筋で了承できる。
 健康診査、保健指導等を行う市町村、保険者等に保健師を配置し活用すべき。
 費用対効果等慎重な検討が必要。
 健康診断は、労働安全衛生法ですでに事業主に義務づけされており、それとの連携が重要。

2.公的保険給付の内容の見直し等  
         
 総論
 国民皆保険制度の持続性の確保といった観点から、保険給付の在り方について、実態を踏まえつつ幅広く検討を進めるべきである。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 短期的対策は医療費適正化に名を借りた患者負担増であり、すべて反対。
 自己負担を増やすことは、財政のつじつま合わせが中心の議論であり、不適切。
 財政や雇用に与える影響もあるため、相互扶助である保険制度には限界がある。自助努力の範囲との線引きが必要。
 高齢者の患者負担の見直し
 高齢者についても現役とのバランスを考慮して応分の負担を求めるべきとの意見がある一方、高齢者の患者負担の増大については慎重であるべきとの意見があり、引き続き、検討が必要である。
 高齢者の患者負担の在り方を検討する一環として、自己負担が高額となる場合の限度額の在り方、更には「医療給付と介護給付の自己負担の合計額が著しく高額となる場合の負担の軽減を図る仕組み」を創設するため、著しく高額となる場合の具体的水準、自己負担額を合算するための事務処理の方法などについて検討する必要がある。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 65歳以上の者について、原則2割負担(高所得者3割)を視野に引き上げるべき。(参考試算I参照)
 65歳以上の者について、若年者が3割負担に統一されていることも踏まえ、原則として入院2割負担、外来3割負担とすべき。(参考試算III参照)
 年金、介護、税制等他の制度との関連も含めて低所得者対策を確立すべき。
 公的年金課税の強化に伴って医療・介護保険料が増加していること、高齢者間の所得格差が大きいことなどを踏まえて慎重に検討すべき。
 入院時の食費・居住費の負担
 在宅との負担の均衡という観点から、介護保険で食費・居住費を入所者負担としたことを踏まえ、医療保険においても患者負担とするべきとの意見がある一方、医療は介護とは同様に考えることはできず、引き続き療養病床を含め医療保険で給付することが必要との意見があり、引き続き、検討が必要である。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 介護保険との整合性を考慮して食費・居住費を自己負担化とすることは評価。
 医師の指示に基づいて提供される入院時の食事については、治療食の範囲として保険給付すべきであるが、それ以外は自己負担とすべき。また、入院時の居住費(室料)については、少なくとも療養病床においては原則的に自己負担とすべき。いずれも、低所得者等への十分な配慮が求められる。
 入院時の食費・居住費の自己負担化については、介護保険との均衡を図るため、低所得者に対する配慮を行いつつ実施することが重要。
 介護保険との整合性を図るという考え方自体に反対。
 一般病床の食費・居住費の徴収は行うべきではない。
 高額療養費の見直し
 総報酬制の導入や負担の公平を図る観点から自己負担限度額を引き上げるべきとの意見がある一方、高額療養費が患者負担の上限を定めていることから引き上げるべきではないとの意見があり、引き続き、検討が必要である。
 制度の簡素化や申請者の利便性の確保について検討するべきとの意見があった。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 医療サービスを受けていない者との公平性などを勘案して見直しを検討すべき。
 「1%」の撤廃を強く主張してきており、「2%」にするなど絶対認められない。
 人工透析患者をねらいうちにして負担させるのはいかがか。
 現金給付の見直し
  ア. 傷病手当金

 傷病手当金については、現行の給付水準を維持すべきとの意見、給付水準や要件について諸外国の休業時の所得保障の在り方も踏まえて検討すべきとの意見があった。
  イ. 出産手当金
 出産手当金については、現行の給付水準を維持すべきとの意見、ILO条約の水準に引き上げるべきとの意見、受給者の実態等を踏まえ給付水準や要件について見直しを検討すべきとの意見があった。
  ウ. 埋葬料
 埋葬料については、保険給付としての必要性は薄くなっているのではないかといった観点から、検討すべきである。。
  エ. 出産育児一時金
 出産費用の水準に照らし引き上げるべきとの意見がある一方、額を少々増額しても少子化対策の政策効果の面からは効果が薄いのではないか、現在の厳しい医療保険財政を踏まえ、引き上げの財源をどうするか、との意見があった。
 また、出産は健康診査も含めて保険適用とすべきとの意見がある一方、保険給付の重点化の要請や保険原則を勘案すれば、出産や健康診査について保険適用する必要性が乏しいとの意見があった。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 少子化対策として、引き上げるのなら、国の予算で対応すべき。
 薬剤給付
 薬剤給付についても、後発医薬品の使用促進、後発医薬品のある先発医薬品薬価の適正化、画期的新薬の適切な評価といった観点から幅広く検討すべきである。
 保険免責制等
 〔各委員の意見・指摘事項〕
 医療資源を真に必要な患者へ重点的に投入するためには、外来受診に保険免責制を導入すること、また、自己責任による予防効果が期待できる生活習慣病など疾病によっては自己負担率を引き上げることなど検討すべき。
 保険免責制の導入は、国民皆保険を崩壊させるものであり、絶対反対。
 保険運営効率化の取組
  ア. ITを活用した医療保険事務の効率 化

 医療機関・保険者双方のコストを削減するとともに、疾病動向や医療費の分析を適時・的確に行い、保険者としての機能を発揮しやすくするため、レ セプトの電子化等を進めるべきとの意見があった。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 レセプトの電子化については、インセンティブをつけた上で、早急に完成させるべき。
 レセプトは最高級の個人情報であり、オンライン(インターネット)については慎重にすべき。
 オンライン化は韓国などではやっているので、日本でできないはずがない。個人情報保護もきちんと行われている。早急に実現すべき。
 レセプトについて紙での請求を義務づけている通知等を改めるなど、根本問題をまずは改めるべき。
 個人カード化は行うべき。
  イ. 審査支払機関による審査の充実等
 〔各委員の意見・指摘事項〕
 高額医療は自動的に削られることが多く、単純な審査拡大には反対。
 審査支払を社会保険診療報酬支払基金又は各都道府県国民健康保険団体連合会いずれにも委託可能とするのは、大きな混乱を来すので、反対。
 医療に関する積極的な情報提供
 高額医療の医学的妥当性の検証、医療機関による医療費の個別単価など詳細な内容のわかる領収書の発行の促進、多剤投薬の是正等についても引き続き検討すべきとの意見があった。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 領収書の発行は直ちに実行すべきである。
 医療費の内容が分かる領収書の発行については、診療報酬が医療費の内容を説明できるものになっておらず、義務づけるのは無理。
 医療費の内容が分かる領収書の発行の義務づけについては、レセプトのIT化の問題とあわせて、「検討」ではなく、直ちに実施することを明確にすべきである。

III 保険者の再編・統合等  
1. 総論
  (都道府県単位を軸とした制度運営)
 保険者については、保険財政の運営を適正な規模で行うこと及び保険料水準をそれぞれの地域の医療費水準に見合ったものとすることを基本として、都道府県単位を軸とした再編・統合を推進する。
 また、都道府県単位を軸として、地域の関係者(保険者、被保険者、医療機関、地方公共団体等)が連携して、医療の地域特性を踏まえた質の高い効率的な医療を提供できるような取組を推進する。

 被用者保険、国保それぞれについて、各保険者の歴史的経緯や実績を十分尊重しながら、保険者の財政基盤の安定を図るとともに、保険者としての機能を発揮しやすくするため、都道府県単位を軸とした再編・統合を推進すべきである。
 国を保険者とした全ての国民を対象とする医療保険制度への一本化を実現すべきという意見もあった。また、一本化は保険者機能を弱体化し、制度の非効率化を招くとして反対する意見もあった。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 医療保険制度の一本化への道筋を示すこと。
2.国民健康保険  
  
 市町村国保
 市町村国保については、国、都道府県及び市町村の役割を明確にした上で、都道府県と市町村が連携しつつ、広域連合等の活用により都道府県単位での再編・統合を進めるべきである。
 都道府県単位での再編・統合を進めるには、既存の広域連合等では充分ではなく、新たな工夫が必要ではないかとの意見があった。
 都道府県単位での再編・統合を進めるに当たり、段階的に二次医療圏単位での再編・統合を行うことについては、一つの選択肢ではあるものの、市町村合併の範囲と二次医療圏の範囲が必ずしも一致していないことから、必ずしも有効な方法とはなりえないのでないかという意見があった。
 再編・統合の際、国保保険者は、保健・介護・福祉事業の中心的な実施主体であり、保険者として実績のある市町村が引き続き担い、都道府県は、技術的な助言や調整等必要な支援を行い、国は財政支援を行うべきという意見があった。
 市町村国保の保険運営は低所得者等を多く抱え非常に厳しい状況にあり、その安定を図ることは、市町村国保の再編・統合に加え、国民皆保険制度を守るという観点から極めて重要である。
 国保と被用者保険との間で加入者の年齢構成や所得水準の格差があり、厳しい雇用情勢や非正規職員の増加といった雇用形態の変化に伴う若年国保被保険者が増加していること等を踏まえ、その調整措置を実施すべきとの意見がある一方、自主性・自律性を損なうような財政調整には反対との意見もあり、引き続き、検討が必要である。
 関連して、非正規職員への健康保険の適用について、年金制度における議論も踏まえながら、検討すべきとの意見があった。
 〔各委員の意見・指摘事項〕
 都道府県単位を軸とした再編統合を推進する観点から、高額医療費共同事業の位置づけを明確にするとともに、早急にその具体的内容を明らかにすること。
 保険基盤安定制度・財政安定化支援事業・高額医療費共同事業等を拡充強化するとともに、国保の財政基盤確立のため抜本的な財政措置を講ずること。
 国保組合
 国保組合については、所得実態等その現状を明らかにした上で、国庫助成の在り方について見直すべきであるとの意見があった。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 国保組合の中には、国庫助成をする必要のない組合もある。所得実態を早急に明らかにし、見直しを図るべき。
3.被用者保険  
  
 政府管掌健康保険
 政管健保の見直しに当たっては、被保険者等の保険料を負担する者の意見が反映される運営の確保、保険者機能の発揮の観点から、国とは切り離された全国単位の公法人において運営することについて、更に具体的な検討が必要である。
 その際、財政運営は基本的に都道府県を単位としたものとし、都道府県別の年齢構成や所得について調整を行った上で、地域の医療費水準に応じた保険料水準とすべきとの意見が大勢であった一方、公的医療保険制度という性格から、全国一律の料率にすべきとの意見があった。
 適用・徴収事務については、効率性の観点から年金と一括して実施すべきである。
 なお、中央と都道府県ごとに評議会を設置し、保険料率の決定等に被保険者等の意見を反映させる仕組みとしてはどうかとの意見があった。
 政管健保の国庫負担は少なくとも現状を維持すべきであるとの意見があった。
 健康保険組合等
 健保組合の再編統合については、健保組合の自主性・自律性を尊重しつつ、主に同一都道府県域内において、健保組合間の共同・連携を進めるとともに、企業・業種を超えて健保組合同士が合併して形成する地域型健保組合の設立を規制緩和等による選択肢の一つとして認めるべきである。
 共済組合については、短期給付に加えて長期給付も行っており、長期給付の在り方の検討も踏まえ、保険者としての運営の在り方を検討する必要がある。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 地域型健保組合について、財政窮迫組合・小規模組合の受け皿として位置づけるだけでなく、健保組合の自主性・自律性を尊重し、多様な形の健保組合を認め、地域型健保組合は選択肢の一つとすべき。

IV 新たな高齢者医療制度の創設  
 1.基本的な方向  
   
 個人の自立を基本とした社会連帯による相互扶助の仕組みである社会保険方式を維持すべきである。
 世代間・保険者間の負担関係や制度運営の責任主体をより明確にする観点から、老人保健制度及び退職者医療制度は廃止し、世代間・保険者間の保険料負担の公平化及び制度運営の責任を有する主体の明確化を図るべきである。
 現役世代の負担が過重なものとならないよう、増大する高齢者の医療費の適正化を図るべきである。
 高齢者の生活の質(QOL)を重視した医療サービスを提供すべきである。
 2.後期高齢者医療制度  
     
(1) 基本的な枠組み
 現行老人保健制度を廃止し、高齢者の保険料、社会連帯による相互扶助の仕組みとして国保及び被用者保険からの支援並びに公費により賄う新たな制度を創設するという意見が大勢であった。
 ただし、リスクの高い高齢者のみによる独立保険制度ではなく、被用者保険の加入期間が長期にわたる退職者を被用者保険全体で支える新たな制度を創設すべきとの意見もあった。
(2) 被保険者
 高齢者の生活実態、経済的地位、心身の特性及び支え手を増やすなどの観点から、75歳以上の後期高齢者とすべきとの意見と、年金制度等との整合性などの観点から、65歳以上の者とすべきとの意見があり、引き続き、検討が必要である。
 なお、被保険者を年齢で区切るべきではないという意見もあった。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 対象年齢を75歳以上とすべき。
 後期高齢者を独立保険の対象とした上で、前期高齢者について財政調整を行う仕組みは、不公平・不透明かつ複雑きわまりない制度であり、国民の理解・納得は到底得られない。また、現行の拠出金以上に財政調整を強化したものであり、再考を求める。
 65歳以上の者を対象とした一般医療保険制度と別建ての保険を創設する。(参考試算I、III参照)
 一定期間、被用者保険に加入していた退職者を対象に、「退職者健康保険制度(仮称)」を創設する。(参考試算II参照)
(3) 運営主体
 保険者については、地域保険とし、市町村をベースとして広域連合の活用を視野に入れるべきとの意見、都道府県(当面は国)とすべきとの意見、国とすべきとの意見、一定規模の広域的な地域を対象とした行政から独立した公法人とすべきとの意見があり、引き続き、検討が必要である。
 なお、いかなる保険者とする場合であっても、財政安定化の仕組みなど、保険者のリスクを可能な限り軽減する対策を講ずることが必要である。
 また、保険料を年金から徴収する仕組みを設ける方向で検討すべきである。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 運営主体を市町村とすることは、都道府県単位を軸とした再編・統合に逆行する。市町村が担うことは到底容認できない。(国等を運営主体とすること)
 地域保険として、市町村をベースとした広域連合の活用を視野に入れるべきではないか。
 都道府県(当面の間は国)とする。将来は広域市町村または医療圏への移行  も考慮する。
 国とする。但し、一定期間後、都道府県単位とすることも検討する。
 保険者機能の発揮の観点から、一定規模の広域的な市町村を単位とし、行政から独立した公法人を保険者とすべき。
(4) 費用負担
 高齢者の保険料と国保及び被用者保険からの支援の割合については明確なルールを決定すべきである。
 高齢者については現役世代との均衡を考慮した適切な保険料負担を求めるべきであり、その際、適切な低所得者対策を講じるなど、高齢者の所得に応じたきめ細かな配慮をすべきである。
 具体的には、高齢者の保険料について、老若の人数比で按分して負担すべきとの意見や、現行制度における高齢者の負担水準を勘案して医療費の10%とすべきとの意見があった。
 国保及び被用者保険からの支援については、一般の保険料とは異なり社会連帯的な性格を有するが、別建ての保険料として構成すべきということについては、概ね意見の一致があった。その際、現役世代に過重な負担を求めるべきではないとの意見があった。また、この支援については、その法律的な性格を更に詰めるべきとの意見がある一方、加入者数に応じた負担とすべきとの意見や所得に着目した負担とすべきとの意見があった。
 公費負担については、少なくとも現行老人保健制度における公費負担割合を維持すべきである。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 若年者の負担については、稼得年齢を考慮し、例えば20歳以上とすべきで、その負担は保険料として明確に位置づける必要がある。(参考試算I参照)
 後期高齢者医療支援金の賦課や前期高齢者医療制度の財政調整において、所得格差を十分勘案すること。
(5) 後期高齢者の診療報酬
 〔各委員の意見・指摘事項〕
 後期高齢者医療の質が低下しないよう十分配慮すべき。

3.前期高齢者医療制度  
   
(1)基本的な枠組み
 現行退職者医療制度は廃止すべきである。
 しかしながら、廃止後の新たな制度については、被用者保険又は国保に加入しつつ被用者保険と国保との間で財政調整すべきとの意見、前期高齢者に限らず更に下の年齢層まで財政調整の範囲を拡大すべきとの意見、前期高齢者も一般医療保険制度と別建ての保険の対象とすべきとの意見、被用者保険の期間が長期にわたる退職者を被用者保険全体で支える新たな制度を創設すべきとの意見があり、引き続き、検討が必要である。
(2) 被扶養者の保険料負担
 高齢者には定型的な年金収入があることなどに着目し、扶養・被扶養の区別なく保険料を負担すべきとの意見と、医療保険だけで個人単位の保険料負担を考えるのではなく社会保障制度全体の改革の中で検討するべきとの意見があり、引き続き、検討が必要である。
(3) 公費負担
 高齢者医療制度の被保険者の問題と併せ、引き続き議論すべきである。
 65歳以上を一般医療保険制度と別建ての保険の対象とした上で、公費負担を5割とすべきとの意見があった。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 前期高齢者医療制度の対象年齢は65歳〜74歳に限らず、更に引き下げるべき。
 前期高齢者の国保と被用者保険間の財政調整は、老人保健制度及び退職者医療制度の鐵を踏むものであり容認できない。
 医療費適正化のインセンティブが全く働かない拠出金制度を存続するものであり、強く反対する。
 後期高齢者医療支援金を負担させた上で、さらに前期高齢者医療調整金で、制度間における負担リスクが生じないにもかかわらず、調整後の人数で後期高齢者医療支援金をさらに負担させる不可解な仕組みが盛り込まれており、極めて問題である。
 退職者医療制度を存続すること。
 65歳未満の退職者医療制度の継続は、財政調整の拡大であり、平成15年3月に閣議決定された基本方針にも大きく反する。また、2014年度まで制度を残すことは経過措置といえない。
 経過措置となっている退職者医療制度は恒久的措置とすること。
4.その他  
   
 高齢者医療制度の運営について、被用者保険や国保の保険者等関係者が参画できる仕組みを設けるべきである。
 高齢者医療制度について、保険者の適正化努力を促す仕組みが必要である。

 〔各委員の意見・指摘事項〕
 保険者協議会については、各県ばらばらで果たして能力があるのか疑問があり、反対。

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