傷病別アフターケア措置内容等(案)
1 | 植え込み型ペースメーカ及び植え込み型除細動器の術後 |
2 | 人工弁置換後、人工血管移植後、弁損傷及び心膜病変 |
3 | 呼吸器の障害 |
4 | 慢性肝炎 |
5 | 消化吸収障害等腹部臓器の障害 |
6 | 尿路変向術後 |
1 植え込み型ペースメーカ及び植え込み型除細動器の術後に係るアフターケア
(1) | 趣旨 ペースメーカ又は除細動器を植え込んだ者は、身体条件の変化や機器の不具合等により不適正な機器の作動が生じるおそれがあり、症状固定後においても、定期的に患者の症状及び機器の作動状況を確認する必要があることから、労働福祉事業のアフターケアとして、次の(2)の対象者に対し、(3)から(5)までの措置を実施すべきである。 | ||||||||||||
(2) | 対象者 ペースメーカを植え込んだ者については、胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(以下「障害認定検討会」という。)によって、障害等級を第9級とすることが適当であるとの報告がなされたことから、当該傷病に係るアフターケアの対象者は、労働者災害補償保険法(以下「労災保険法」という。)による障害等級第9級の障害補償給付若しくは障害給付(以下「障害(補償)給付」という。)を受けている者又は受けると見込まれる者(症状固定した者に限る。以下同じ。)とすべきである。 除細動器を植え込んだ者については、障害認定検討会によって、障害等級を第7級とすることが適当であるとの報告がなされたことから、当該傷病に係るアフターケアの対象者は、労災保険法による障害等級第7級の障害(補償)給付を受けている者又は受けると見込まれる者とすべきである。 対象とする期間は、双方とも、他のアフターケアと差を設ける特段の事情がないことから、原則である3年間を区切りとして、その都度、医学的に継続の必要性を審査することが適当である。 | ||||||||||||
(3) | 診察及び保健指導 診察及び保健指導は、ペースメーカ又は除細動器の状態を定期的に把握するために、1カ月に1回程度実施すべきである。 | ||||||||||||
(4) | 検査
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(5) | 薬剤の支給
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2 人工弁置換後、人工血管移植後、弁損傷及び心膜病変に係るアフターケア
(1) | 趣旨 人工弁置換及び人工血管移植を受けた者は、血栓が形成されやすくなり、脳梗塞や弁の機能不全等を来すおそれがあることから、症状固定後においても、血栓の形成を予防するため、抗凝血薬療法等の継続が必要なものがある。 また、弁損傷又は心膜病変で、心機能の低下を残した者については、これに由来する症状の動揺を防止するため、症状固定後も薬剤の支給等が必要なものがある。 このことから、これら傷病の症状固定後においては、労働福祉事業のアフターケアとして、次の(2)の対象者に対し、(3)から(5)までの措置を実施すべきである。 | ||||||||||||
(2) | 対象者 人工弁置換を受けた者については、障害認定検討会によって、障害等級を第9級又は第11級とすることが適当であるとの報告がなされたことから、当該傷病に係るアフターケアの対象者は、労災保険法による障害等級第11級以上の障害(補償)給付を受けている者又は受けると見込まれる者とするべきである。 人工血管移植を受けた者については、障害認定検討会の報告書において障害等級が設けられていないが、人工弁置換を受けた者と同様に抗凝血薬療法等の継続が必要とすることから、当該傷病に係るアフターケアの対象者は、労災保険法による療養(補償)給付を受け、人工血管に置換し、症状固定したと認められる者とすべきである。 弁損傷又は心膜病変は、障害認定検討会によって、障害等級を第9級又は第11級とすることが適当との報告がなされたことから、当該傷病に係るアフターケアの対象者は、労災保険法による障害等級第11級以上の障害(補償)給付を受けている者又は受けると見込まれる者とすべきである。 対象とする期間は、すべての傷病とも、他のアフターケアと差を設ける特段の事情がないことから、原則である3年間を区切りとして、その都度、医学的に継続の必要性を審査することが適当である。 | ||||||||||||
(3) | 診察及び保健指導 診察及び保健指導は、人工弁の作動状態、心臓弁の損傷の進行状態等を把握するために、1カ月に1回程度実施すべきである。 | ||||||||||||
(4) | 検査
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(5) | 薬剤の支給
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3 呼吸器の障害に係るアフターケア
(1) | 趣旨 じん肺の合併症の治ゆ後及び胸部外傷等により呼吸機能に障害を残す者にあっては、症状固定した後においても、咳や痰等の後遺症状を残すことがあることから、労働福祉事業のアフターケアとして、次の(2)の対象者に対し、(3)から(5)までの措置を実施すべきである。 | ||||||||||||
(2) | 対象者 じん肺の合併症の治ゆ後及び胸部外傷等により呼吸機能に障害を残す者については、障害認定検討会よって、障害等級を第11級以上とすることが適当であるとの報告がなされたことから、当該傷病に係るアフターケアの対象者は、労災保険法による障害等級第11級以上の障害(補償)給付を受けている者又は受けると見込まれる者とすべきである。 なお、外傷や他の臓器の障害を原因とする呼吸機能の障害であっても、呼吸器障害のアフターケアの対象とすることが適切と考える。 対象とする期間は、すべての傷病とも、他のアフターケアと差を設ける特段の事情がないことから、原則である3年間を区切りとして、その都度、医学的に継続の必要性を審査することが適当である。 | ||||||||||||
(3) | 診察及び保健指導 じん肺の合併症の治ゆ後及び胸部外傷等により呼吸機能の低下し、その症状が固定した者については、咳や痰などによる症状の動揺を予防するための投薬が目的であることから、診察及び保健指導は1カ月に1回程度実施すべきである。 | ||||||||||||
(4) | 検査
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(5) | 薬剤の支給
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4 慢性肝炎に係るアフターケア
(1) | 趣旨 慢性肝炎に係るアフターケアについては、昭和60年に設けられ、その後、平成6年に措置内容の見直しが行われたところである。 しかしながら、現在では、インターフェロンの長期投与が認められことやペグインターフェロンとリバビリンの併用療法等が進歩したことにより、ウイルスの陰性化率が大幅に向上し、また、ウイルスの陰性化に至らない場合でも、AST(GOT)及びALT(GPT)を持続的に正常化できるようになってきた。 このような状況を踏まえ、障害認定検討会によって、慢性肝炎について、ウイルスの持続感染が認められ、かつ、AST及びALTが持続的に基準値を超えないものは、障害等級を第11級とすることが適当であるとの報告がなされた。 このことから、「慢性肝炎に係るアフターケアの要綱」については、 対象者を次の(2)のとおりに、措置内容を次の(3)から(5)までのとおりに改正すべきと考える。 | ||||||||||||||||
(2) | 対象者 ウイルス肝炎にり患した者については、障害認定検討会によって、慢性肝炎について、ウイルスの持続感染が認められ、かつ、AST及びALTが持続的に基準値を超えないものは、障害等級を第11級とすることが適当であるとの報告がなされたことから、当該アフターケアの対象者は、労災保険法による障害等級第11級以上の障害(補償)給付を受けている者又は受けると見込まれる者とすべきである。 | ||||||||||||||||
(3) | 診察及び保健指導 肝炎ウイルスが残存していると、再活性化により肝炎が再発する可能性があり、特にB型肝炎ウイルス陽性者は肝細胞癌発生の可能性があるため、1カ月に1回程度実施すべきである。 また、B型肝炎陰性者については、ウイルス量も少なく肝炎再燃の可能性が低いことから6カ月に1回程度の実施で十分であると考える。 | ||||||||||||||||
(4) | 検査
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(5) | 薬剤の支給 慢性肝炎における薬剤の投与は、現在の療法としては、症状が悪化している場合、すなわち症状が固定していない状態において行うものであることから、「経口的肝臓疾患用剤の支給」は要綱から削除すべきである。 |
5 消化吸収障害等腹部臓器に係るアフターケア
(1) | 趣旨 腹部外傷等により消化器が損傷した者は、症状固定後においても、消化吸収障害、ダンピング症候群及び逆流性食道炎等の後遺症により、腹痛や下痢等に対する整腸剤及び便秘に対する下剤の投与を継続する必要がある。 ストマを造設した者は、治ゆ後においても、ストマ周辺に皮膚炎等を発症するおそれがあることから、ストマの状況及びストマ周辺の皮膚の状況を定期的に確認し、管理する必要がある。 このことから、これら傷病の症状固定後においては、労働福祉事業のアフターケアとして、次の(2)の対象者に対し、(3)から(6)までの措置を実施すべきである。 | ||||||||
(2) | 対象者 消化吸収障害及び逆流性食道炎等については、障害認定検討会によって、障害等級を第11級以上とすることが適当であるとの報告がなされたことから、当該傷病に係るアフターケアの対象者は、労災保険法による障害等級第11級以上の障害(補償)給付を受けている者又は受けると見込まれる者とすべきである。 対象となる傷病は、具体的には、障害認定検討会で障害等級を定めることが適当とされた消化吸収障害、逆流性食道炎、ダンピング症候群、腸管癒着、ストマ造設後(大腸皮膚瘻、小腸皮膚瘻及び人工肛門造設)、排便機能障害及び膵機能障害が考えられる。 対象とする期間は、すべての傷病とも、他のアフターケアと差を設ける特段の事情がないことから、原則である3年間を区切りとして、その都度、医学的に継続の必要性を審査することが適当である。 | ||||||||
(3) | 診察及び保健指導 腹部臓器を損傷した者は、傷病により又は同じ傷病であっても個々の症例により診察及び保健指導の必要回数に差が生じるが、腸管の生理的な運動機能及び消化吸収機能を観察することを目的とした診察及び保健指導については、必要に応じ1月に1回程度とすべきである。 | ||||||||
(4) | 処置 人工肛門を造設した者及び膵液瘻が認められる者は、反応性びらん等の発症を予防するため、ストマ及び瘻孔周辺の皮膚の状況を管理し、パウチの装着が適切な状態であるか確認する必要がある。 また、症状固定後の「ストマ用装具」の支給は、労働福祉事業よる義肢等の支給で行われているところであるが、その支給対象となっていない「自宅等で使用する衛生材料」については、アフターケアにより支給すべきである。 | ||||||||
(5) | 検査
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(6) | 薬剤の支給
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6 尿路変向術後に係るアフターケア
(1) | 趣旨 尿路変向術後の者は、尿路ストマの狭さくにより尿流を妨げられ、水腎症等の発症するおそれがあるため、症状固定後においても、尿路ストマの状況及び尿路ストマ周辺の皮膚の状況を定期的に確認し、管理する必要がある。 このことから、当該傷病の症状固定後において、労働福祉事業のアフターケアを実施するため、趣旨及び措置内容が近似している「尿路狭さくに係るアフターケアの要綱」について、 対象者を次の(2)のとおりに、措置内容を次の(3)から(6)までのとおりに改正すべきと考える。 | ||||||||||||||||
(2) | 対象者 骨盤骨折等により膀胱を摘出し、尿路変向術を行った者については、障害認定検討会によって、障害等級を第11級以上とすることが適当であるとの報告がなされたことから、当該傷病に係るアフターケアの対象者は、労災保険法による障害等級第11級以上の障害(補償)給付を受けている者又は受けると見込まれる者も対象とするよう改正すべきである。 | ||||||||||||||||
(3) | 診察及び保健指導 尿路変向術後の者についても、尿道の狭さくと同様に、尿路ストマ等の状態の把握に個人差があるため、1〜3カ月に1回程度実施することが適当考える。 | ||||||||||||||||
(4) | 処置
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(5) | 検査
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(6) | 薬剤の支給
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