05/10/27 今後の労働時間制度に関する研究会 第11回議事録           第11回今後の労働時間制度に関する研究会                       日時 平成17年10月27日(木)                          14:00〜                       場所 厚生労働省専用第21会議室 ○座長  定刻となりました。水町先生は少し遅れるというご連絡がありましたので、ただ今か ら「第11回今後の労働時間制度に関する研究会」を開催いたします。本日は佐藤先生と 山川先生がご欠席と伺っています。最初に事務局に人事異動がありましたので、ご紹介 をお願いします。 ○安藤監察官  本年10月1日付けで総務課長に熊谷が就任しております。以上です。 ○座長  どうぞよろしくお願いします。それでは議事に入ります。本日の議題は、「労働時間 規制の適用を除外する制度の在り方について」です。前回は、「現行の裁量労働制の在 り方」及び「残りの検討すべき論点」について、ご議論をいただきました。そこで前回 いただいたご意見等を基に、事務局の方で関係資料の修正・追加をしていただいていま す。また、「労働時間規制の適用を除外する制度の在り方について」は、その考え方の たたき台を準備していただいています。そこで、これらについて事務局からご説明をお 願いします。 ○安藤監察官  資料に基づいてご説明いたします。資料1は、大ざっぱな議論として、どういった論 点が考えられるのかを端的に切り出したものです。I「裁量労働制の在り方」について は、前回までご議論をいただいたところですので省略いたします。  2頁の上の方に、新たに本日ご議論をいただく「労働時間規制の適用を除外する制度 の在り方」ということで、新たにIIに追加しています。1番目、労働時間規制の適用を 除外する制度の必要性を考えていく必要があるのではないか。仮に必要ということであ れば、現行の労働時間制の枠組みの中でどういった形で新たな適用除外制度を位置づけ ていくのか、といったことが論点になると思います。  2点目として、仮に新しい制度を必要とした場合、今度は制度の対象となる業務、若 しくは労働者はどういったものが考えられるのか。また、前回からの議論では、「自律 的な働き方」といった言葉が1つのキーワードになっていますが、自律的な働き方がで きる労働者とはどういった労働者なのか。これは基準ですので、外形的に判断できる基 準として「客観的な基準」という言葉を使っていますが、その客観的な基準としてはど ういったものが考えられるのか。そういったことをご議論していただければと思いま す。  3として、そういった客観的な基準で定められた対象業務及び労働者の範囲は、どの ような方法で定めるのが適当なのか。1つの考え方としては、法律、若しくは省令等で 詳細に定めることも考えられると思います。その一方で、対象業務の趣旨について、考 え方を法律で規定した上で、具体的な範囲は労使の決定にゆだねるという方法もあると 思います。  そういった新しい制度に該当する業務や労働者が定まりますと、今度はそういった新 たな適用除外制度にどういった法的効果を付与するのか、といった論点が必要になると 思います。さらに法的効果の上で、4番目、健康で文化的な生活を保障するために担保 すべき事項として、現行の裁量労働制でも健康・福祉確保措置という形で位置づけられ ていますが、労働時間規制の適用除外制度を導入する場合、健康・福祉確保措置として どのような内容の措置が考えられるのか。5番目、その他として、現行の新たな制度だ けではなく、現行の労働時間規制の適用除外制度の在り方を見直す必要性はないかとい うことで、とりわけ、管理監督者の範囲、また現行の労働時間の適用除外制度では、深 夜業が適用という形になっています。そういった法的効果の在り方として、適用除外の 可否についても併せて見直す必要性があると思っています。  それを細かい論点として、たたき台とて準備しているのが資料2です。1頁から7頁 は、I「裁量労働制の在り方」、前回までご議論していただいたものです。前回までご 意見をいただきまして、たたき台を修正した部分については、下線を引いております。 I「裁量労働制の在り方」については、事務局で修正した部分を中心にご説明いたしま す。  I「裁量労働制の在り方」として、論点1として、「対象となる業務及び労働者」の うち、とりわけ企画業務型裁量労働制について、現行のままでいいとか、また一部その 範囲を拡大すべきといったご議論を前回していただきました。  2頁、その中で「一部拡大すべきではないか」の最後のポツに、「真に裁量性のある 業務は時間を自由に使うことができるということを前提とすれば、例えば、グループリ ーダーも対象とすることがあり得るのではないか」といった論点を追加しています。  前回、確か水町先生だったかと思いますが、そもそも比較法的にみて、企画業務型裁 量労働制はないというご発言があったように思いますが、そういったご意見について は、(5)に新しく起こしています。(5)「対象業務の捉え方について再検討すべきではな いか」。その中で、我が国では、「企画」の職種概念が非常に曖昧であり、その点も考 慮すべきではないか。2点目は、外形標準で捉える方策も検討すべきではないか。3点 目は、比較法的には、企画業務型裁量労働制はないことも念頭に置くべきではないか。 4点目は、労働時間に関する規制を適用除外してもよい対象業務との関係を整理するた めにも見直すべきではないか、といった論点を追加しております。  2の「法的効果等」は、企画業務型裁量労働制について、3頁、その中で、(2)裁量 労働制の趣旨を踏まえ、真に裁量性を確保する措置を講じるべきではないかといった論 点の下から2つ目に、健康・福祉確保措置のために行うことになっている出退勤時刻等 の管理が、労働時間の管理方法として機能しているということは問題ではないかといっ た論点を追加しています。  (3)成果あるいは達成感を追求し、自律的な働き方を希望する者のために、個人の都 合に合わせて、労働の時間帯を選んで働くことができるような新たな仕組みが必要では ないか。その中の論点として、そのような労働者については、一定の条件(本人の同意 とともに、一定額以上の年収及び一定の休日・有給休暇の完全取得等が、健康確保措置 として確保していること等)のもとに労働時間規制の適用が除外されるようにしてもよ いのではないかとしております。  その中で4頁、論点として自律的な働き方を希望するのは、特殊な技能を持っている 者に限られるわけではなくて、例えばグループリーダーのような立場もあるのではない かという論点も付け加えています。  前回、現行の企画業務型裁量労働制の導入手続で定めている労使委員会の在り方につ いてもご議論がありました。そういったご議論を踏まえて、3で新たに「導入手続等に ついて」ということで、まず四角囲みのところで、現行制度の解説をしておりますが、 ご承知のとおり、専門業務型裁量労働制におきましては、過半数で組織する労働組合が あるときはその労働組合、その過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半 数を代表する者との書面による協定によって、内容を定めた上で、労働基準監督署に届 け出ることにより導入することができます。また、企画業務型裁量労働制については、 賃金、労働時間その他、労働条件に関する事項を調査、審議するために、労使委員会が 設置された事業場において、委員の5分の4以上の多数による決議によって定めた内容 を労働基準監督署に届け出ることにより導入できます。また、これは使用者に導入後、 定期的に健康・福祉確保措置の実施状況を、労働基準監督署に報告することを義務とし て課しています。  その中で事務局で論点として5つほど挙げています。1点目の論点は、労使委員会の 在り方(委員構成、位置付け等)については、労働契約法制でご議論されていますの で、労働契約法制との関連を見据えて整理する必要があるのではないか。2点目は、裁 量労働制の対象範囲の見直しに連動して、導入手続の見直しも行うべきではないのか。 3点目は、導入手続に関しては、仮に法律で一定の措置を義務づけたとしても、労使自 治にゆだねられる部分は残るはずであり、労使自治を念頭に置いた制度設計を行うこと が重要ではないか。  4点目は、前回労働者の同意の解釈について整理をすべきではないか、といったご意 見がありました。まず国会答弁においては、労働者の同意について、同意を得ていない という場合は、当然、当該労働者に裁量労働制を適用することはできない。時間外労働 があれば、時間外割増賃金の支払が必要となり、それを怠れば労働基準法違反となり、 処罰の対象になる、といった形で答弁をしています。学説によりますと、労働基準法上 のみなし効果が生じ、罰則の適用や強行的効力などの効果は生じないが、労働契約上は みなしの効果が生じず、実労働時間に応じた割増賃金の請求が可能になる、といった学 説との差異が指摘されています。そういった点については、労働者の権利保護を確実に 図るという観点から整理が必要ではないか。5点目は、労使協定や決議で定められた内 容に反している場合には、それが「重大な違反」と認められるときは、裁量労働制の 「みなし」効が無効になると解してもよいのではないか。  4つ目の論点として、「健康で文化的な生活を保障するために担保すべき事項」とし て、健康・福祉確保措置についてご議論をいただきました。その中で、健康・福祉確保 措置についての実効性を担保するため、何らかの制度上の措置を講ずるべきではない か。これは1ポツ目で、アンケートで決議・協定に盛り込まれた措置を実際に実施した 事業場の割合が低くなっていることについて、各種のご意見をいただいていますので、 以下の3つを挿入しています。  1点目は、実施している事業場の割合が低くなっている原因は何なのか。また、現行 の指針で示されている具体的措置について、使用者にとって過度の負担を強いるものに なっているなどの問題があるのではないか。2点目は、現行の企画業務型裁量労働制の 労使委員会は、健康・福祉確保措置の実施状況をモニタリングする機関としての役割を 果たせるのか。  3点目は、現行の専門業務型裁量労働制における健康・福祉確保措置はどのように履 行を確保すべきか。この3点の論点を付け加えています。  5は「その他」として、(1)苦情処理措置についてご議論をいただきました。その 中に、実効性を担保するため、何らかの制度上の措置を講ずるべきではないか。これに ついては、6頁の4ポツ目に、苦情処理措置の実施内容について、労働基準監督署への 報告を再び義務付けることとし、「決議・協定に盛り込まれた措置が実際に実施されて いないことを労働基準監督署長が確認したときには」とありますが、そもそも監督署で 確認というのは現実的に可能かどうかといったご意見もありました。  それに併せて、こういった議論は労働審判法を見据えた対応を考えるべきではないか とご意見をいただきましたので、最後のポツとして、苦情に対して適切な対応がとられ ていない場合には、労働審判法等を活用して解決できるようにすることが考えられない か、といった論点を追加しています。  また、そもそも制度の在り方自体を見直すべきではないかというご議論もいただいて いますので、(3)に、制度そのものの在り方を見直すべきではないかという論点を追加 しています。そのうち具体的な論点としては、苦情処理措置については、個々の問題事 案を解決するものとはせず、問題事案の原因(制度・仕組み)についての改善方策を提 案すべきではないかということです。  (2)裁量労働制適用労働者と通常の労働時間管理対象者が混在した場合の取扱いに ついては、とりわけ、(2)混在による悪影響を防ぐため、何らかの措置を講じるべきで はないかといった論点のうち、2ポツ目で、混在を認めた上で、以下の@からCを導入 することが考えられないか、ということで問題提起をしております。これについては、 水町先生だったかと思いますが、そもそも現行の労働時間法制の条文の書き方が複雑に なっているのに、@からCを導入するのであれば、さらに複雑になるのではないかとい ったご指摘がありました。そういったご意見等を踏まえて、2ポツ目で混在を認めた上 で、悪影響を防ぐための措置を裁量労働制の導入要件(労使委員会の決議事項)とする こと又は義務付けることとしてはどうか。また悪影響を防ぐための措置としては、例え ば、@からCが考えられるのではないかということで書き直しをしております。  最後になお書きで、@及びCは実効性の観点から問題があるのではないか。特にCに ついては、事業主による所定労働時間の引上げを誘発するおそれがあるのではないかと いった論点を追加しています。  7頁以降が、今回新たに各委員にご審議していただき、及び事務局でたたき台として 準備をした部分です。II「労働時間規制の適用を除外する制度の在り方について」、論 点を5つほど整理しました。1点目は、「労働時間規制の適用を除外する必要性」を議 論していく必要があるのではないかと考えています。  ここで、現行の裁量労働制の他に、労働時間規制の適用を除外できる新たな制度が必 要かということで立てております。その中の論点としては、近年、成果や達成感を追求 し、自律的な働き方をすることを希望する労働者が増加している。また、企業において も、労働時間に関わらず、目標の達成(成果)に応じて賃金を支払う「成果主義」を導 入する企業が多くなっている。  ところで、現行の裁量労働制は、休日や深夜業等に関する規定が適用されており、割 増賃金を支払う必要があることから、労働者自らが希望する場合であっても、休日や深 夜に働くことが制限され、結果として、仕事とプライベートの時間配分を自由に設定す ることが困難な状況ではないか。また、企業においても厳密な労働時間管理をしなけれ ばならないといった人事労務管理上の一定の制約があり、完全な成果主義の導入が困難 になっている状況があるのではないか。  3つ目のポツは、真に自律的な働き方をすることを希望する労働者のニーズに応え、 その意欲を高めることにより、その能力発揮を促すとともに、完全な成果主義の導入を した上で、企業活動を活性化させることにより、経済社会の活性化を図るための方策と して、現行の裁量労働制とは別の枠組みである新たな適用除外制度の在り方を検討する 必要性があるのではないか。  それに併せて4ポツ目は、現在、労働時間規制が適用除外されている管理監督者につ いても、企業における人事労務管理の多様化に伴い、部下のいないスタッフ職といった 新たな職位がみられます。またそういった部下のいないスタッフ職についても、現行に ついては管理監督者としていますが、そういった問題の解消を図るため、現行の問題も 併せて見直す必要があるのではないか。  2として、仮に新しい制度を導入するならば、その「対象となる業務及び労働者」と いう論点になっていくのではないか。(1)対象となる業務及び労働者についてという ことで、論点を提示しております。(1)自律的な働き方ができる労働者をそもそも新し い制度の対象者とすべきではないか。ここで言う「自律的な働き方」というのは、仕事 だけではなく、プライベートも充実させることができる働き方を指すのではないかと考 えられ、そうした考え方に基づき、対象とすべき労働者の客観的な基準としては、@か らCの4要件が考えられるのではないか。  @)一定以上の職位・職階にある者であること。A)業務の遂行の手段及び労働時間 の配分の決定について、使用者による具体的な指示が困難な業務であって、かつ業務遂 行の結果に責任を有するものに就く者であること。B)労働時間と遮断された賃金制度 が適用され、一定水準以上の賃金が保障されている者であること。C)休暇が自由に取 得できる者であること。この4要件をすべて満たすことが、まず事務局のたたき台とし ては考えられるのではないか。  この4つの要件を具体的にみていきますと、1番目、一定以上の職位・職階にある者 であることについては、企業ごとに職位制が異なっていることから、一律の基準を設け ることが困難ではないか。また、「一定の職位」を一律的に規定できないのであれば、 実態に即して労使で判断していくしかないのではないか。またその場合、スタッフ職の 扱いはどうするのか。といった論点が考えられるのではないか。  2番目、業務の遂行の手段及び労働時間の配分の決定について、使用者による具体的 な指示が困難な業務であって、業務遂行の結果に責任を有するものに就く者であるこ と、といった論点については、論点を5つほど挙げております。  1番目の論点として、現行の企画業務型裁量労働制の対象業務のうち、客観的にみて 特に裁量性の高い働き方を求められる業務とすべきなのか。2番目、専門的知識・経験 を有することを要件とすべきか。しかし、専門的知識・経験を有することを要件とした 場合、とりわけ裁量労働制との区別が相対化されるのではないか。そこで、専門分野に おける深い知識がないとしても、例えば調整役、これはプロジェクトリーダーを具体的 に念頭にしていますが、そういった立場にある者について、調整を行うという視点か ら、新たな制度の適用除外を受ける要件を満たす場合もあり得るのではないか。  3番目は、現行の裁量労働制におきましては、これはまず専門業務型の書きぶりを引 いていますが、「業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者が裁 量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用 者が具体的な指示をすることが困難な業務」、また、企画業務型では、「事業の運営に 関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務であって、当該業務の性質上こ れを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があるた め、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしない こととする業務」といったように、業務についての一定の制約を設けています。しか し、新たな適用除外制度については、何の制約も設けなくてもよいのか。  4番目、対象業務の範囲に差をつけるため、企画業務型裁量労働制の方は、「業務の 遂行手段又は労働時間の配分の決定」に改め、新たに導入する適用除外制度は、「業務 の遂行の手段及び労働時間の配分の決定」とすることが考えられるのではないか。5番 目、対象業務に一定の制約を設けることとした場合、管理監督者についての適用除外と の整理をどのように考えていくのか、という論点が考えられるのではないか。  要件の3番目は、労働時間と遮断された賃金制度が適用され、一定水準以上の賃金が 保障されている者であること。ここでは2つの論点を挙げています。単に、成果に応じ た賃金制度が適用されているのみでなく、労働時間規制という保護の対象から外すため には、自律的な働き方をする労働者にふさわしい処遇がなされることが必要ではない か。また、一定水準の高い年収が確保されるのであれば、労働時間規制の適用除外をし てもよいという意見が、ヒアリングでは大変多くありました。これを踏まえて、客観的 かつ公正な基準を設ける必要があるのではないか。  この4要件に加えて、(2)対象の範囲については、法令などで明確に規定すべきか。 それとも、労使の決定にゆだねるべきか、ということで3つの論点を挙げています。ま ず、対象の範囲を法令等で規定する場合、具体的な要件などについては、解釈基準を指 針で明らかにするのが適当ではないか。若しくは、そういった対象業務については、労 使の決定にゆだねる場合であったとしても、その判断次第によっては制度趣旨を逸脱す る可能性もあることから、少なくとも法律においては包括的な規定を設ける必要性があ るのではないか。このいずれかの場合であったとしても、対象業務の具体的な確定につ いては、労使協議の場(例えば労使委員会)の決議によることという要件を挙げること が適当ではないか。  こうした要件に加えて、(2)対象となる労働者の「個別の同意」についても、論点 を提示しております。現行制度については、企画業務型裁量労働制について、「同意を 得ること」が「みなし」の効力発生の要件とはなっていないものの、労使委員会の決議 事項となっています。とりわけ、新たな適用除外というのは、労働条件の大きな要素で ある労働時間に係る規制が適用されないという状況を、労働者個人が受容することが重 要であり、そのためには「同意」を適用除外の効力発生要件とする必要があるのではな いか。こういった同意を要件とした場合、不同意を理由とする不利益取扱い禁止規定を 設けることが適当ではないか。  こういった要件は、要件があった上で、次に法的効果といった話になるわけです。3 「法的効果等」については、3つほど論点を提示しています。  1点目として、適用除外の法的効果については、労働時間管理の規定をどこまで適用 除外とすべきかといったことで、管理監督者については、深夜業は適用という形になっ ています。そういった形と同じような法的効果とすべきなのか。それとも深夜業も含め て適用除外とすべきなのか。  2点目は、対象業務以外の業務への就業の指示の禁止ということで、これは裁量性の 確保、過重労働の防止の観点から、使用者が対象業務以外の業務への就業を指示するこ とを禁止するべきではないか。この背景としては、裁量労働制適用労働者について、追 加の仕事が多いため、長時間労働となっている者が一定数みられることを重視して禁止 するのか、若しくは、規制することなく運用にゆだねるか、2通りの考え方が出てくる のではないかと思われます。  3番目は、具体的な指示の禁止。これは具体的に、業務の遂行の手段又は時間配分に ついて、使用者が具体的な指示をしてはならないことを明記すべきではないか。現行の 裁量労働制においても、実態としては業務の遂行について、上司から具体的な指示がな されるというケースがみられることから、具体的な指示を規制すべきか。あるいは、法 の当然の解釈として、法律で明記することなく運用にゆだねるべきなのか。仮に規制す る場合、使用者に許される「包括的指示」の内容と、使用者が「指示してはならない」 とする個別指示の判断基準を明確にする必要があるのではないか。  4、「健康及び福祉を確保するための措置」として、健康・福祉確保措置の在り方と して、どのようなものが考えられるのか。健康・福祉確保措置については、過重労働等 との観点から、労働者の健康を確保し、文化的な生活を保障することを担保するものと 位置付けるべきではないか。その際、現行の裁量労働制における健康・福祉確保措置の 位置づけも整理する必要性があるのではないか。健康・福祉確保措置の具体的な内容に ついては、労使委員会の決議事項とするが、最低限の内容については法律で義務付ける べきではないか。  その具体的な健康・福祉確保措置の内容については、年次有給休暇とは別に、一定日 数以上の連日休暇の付与を義務付けるべきではないか、ということで3つほど論点を考 えています。具体的な要望事項としては、「休日・休暇を組み合わせた連続休暇制度の 導入」「年次有給休暇の連続取得を含む取得促進措置」「定期的な特別休暇付与」とい ったことがアンケートで挙げられています。  また、法定休日においても、業務に従事することを認めるものであることにかんが み、健康確保の観点から十分な休養を取れるようにしておくことが必要であり、通常の 労働時間の労働者と異なる休日を付与することが必要ではないか。仮に一定日数の休暇 の導入を義務付けることになると、「一定日数の休日」数については、週休2日制が普 及していることを前提に検討する必要があるのではないか。また、休暇とは別に、特別 の健康診断の実施を義務付けるべきではないか。具体的にはメンタル面も含めた疾病予 防のために、対象労働者の請求により、健康診断の実施を義務付けるべきではないか。  最後に、「その他」ということで、現行の労働時間規制の在り方について、論点を提 示しております。現行制度については、4つのパラグラフで現行制度を説明していま す。1つ目のパラグラフでは、深夜業が適用除外されていない。2つ目のパラグラフで は、そのうち「管理監督者」については、具体的には通達で「部長、工場長等労働条件 の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとら われず、実態に即して判断すべきもの」とされています。その具体的な判断としては、 職務内容、責任と権限、勤務態様、賃金等の待遇といった観点から個別的に判断をして います。なお、スタッフ職の取扱いについては、労働者の保護に欠けるおそれがない場 合に限り、管理監督者として取り扱うことが妥当であるとしています。  また、裁判例で管理監督者の該当性をどういった基準で判断しているかと申します と、まず3つの基準を提示しています。1点目は経営者との一体性、2点目は自己の労 働時間についての自由裁量の有無、3点目は地位にふさわしい処遇の有無、といった点 について、単なる職名にとらわれず、その者の勤務実態に即して判断をしているのが裁 判例です。具体的な裁判例については、参考資料の7に付けていますので、後ほどご確 認していただきたいと思います。  その中で3つほど論点を提示しております。1点目は、現在、深夜業に関する規定が 適用されているが、実態を勘案して、見直す必要があるのではないか。これは22時から 5時まで、深夜業の割増賃金の対象となっています。その間は、企業側は厳密な労働時 間の管理が必要となってしまいますが、実態としてそもそも無理があるのではないか。 2点目は、現在、管理監督者として取り扱われている者のうち、自律的な働き方を希望 する者を新制度の対象としない、という積極的な理屈がないのではないか。またそうし た場合を念頭に、裁判例を整理しつつ、現行の管理監督者の範囲を改めて整理する必要 があるのではないか。  具体的には、部下のいないスタッフ職についてまで、管理監督者として扱うことは管 理監督者の趣旨に照らし、適当ではないのではないか。また、多くの企業においては、 課長以下は会社の経営等に関する重要事項の決定プロセスにかかわりはするが、決定権 限を有しない場合が多く、管理監督者に該当しないと扱うのが適当ではないか。  最後の論点として、現行の管理監督者については、健康・福祉確保措置につき規定が 置かれていないが、健康・福祉確保措置についても規定すべきではないか。これはヒア リングで、長時間労働による健康障害が懸念されることから、健康確保措置の他、深夜 勤務の制限、休暇取得の促進等が必要といった意見を踏まえ、論点として追加していま す。長時間の説明になりましたが、以上です。 ○座長  どうもありがとうございました。ただ今説明をいただいた資料、あるいは説明の内容 についてご質問、ご意見がありましたらお願いします。 ○西川様  非常に単純な質問で恐縮ですが、労働時間規制の適用を除外する制度の在り方につい て、1つ目の○で、現行の裁量労働制の他に、労働時間規制の適用を除外できる新たな 制度が必要かというところですが、その3つ目のところですが、現行の裁量労働制とは 別の枠組みである新たな適用除外制度の在り方を検討する必要があるのではないかと書 いておられますが、今お話を聞いていますと、裁量労働制と非常に重なっている部分も あり、また違う部分もあり、その辺の整理がうまくできないのでご説明いただけます か。 ○小林調査官  今現在の裁量労働制については、みなし労働時間という形で、労使協定や決議による みなし時間の中で働くということで、時間外労働や休日労働、深夜労働についての規制 は、そのまま労働者の保護の観点からかかってきています。その中で、割増賃金を払う 必要性があるとか、あるいは時間外や休日については使用者の許可を得るという働き方 になっていますので、十分自律的に働くという意味で、自ら働く裁量や、自ら休みたい ときに休めるということがまだ確保されていないということで、本来的な自律的な働き 方から言うと、労働時間の自由性がある程度制限されているという意味で、そういう働 き方でない新たな枠組みが検討されるべきではないか、という問題提起をした趣旨で す。 ○西川様  重なる部分というのは、どこが重なるのですか。裁量労働制となった労働者をベース に適用除外を考えるという部分はあるのですか。それともそれは全く独立したお話なの ですか。 ○小林調査官  共通にわたるものとしては、その労働者については、裁量的な働き方をする必要性が あり、そのような働き方ができる人という意味では、属性としては一緒です。その働き 方の中で、どこまで自由な働き方をさせるか。あるいは労働時間規制をかけるか、かけ ないかという意味で、若干違ってきますが、裁量的な働き方をするという枠組みでは、 共通の労働者像になっています。 ○大西監督課長  この新しい制度は、結局どういう人に対して、どういう法律効果を与えるかというこ とで、こういう資料を用意したのです。  現在の制度から分けていくのか、あるいは、もっと新しい所に制度を作るのかという ことが前提にあるのではなく、新しい制度を作ってみたら、現在の制度と重なる部分も 出てくるのではないか。そうしたら、現在の制度をどういうふうに動かしていくのか、 そういった逆の視点でご議論をいただきたいと思います。  ここで特にキーワードになっているのは、自律的な働き方をすると、こういう成果、 達成感を追求し、自律的な働き方をするという、こういう方々についてどういう制度が ふさわしいのか。例えば今ある専門業務型の裁量労働制だとどうなのか。あるいは企画 業務型の裁量労働制、管理監督者の3つが代表的にあるのですが、これらの他に、白地 からこういうことを考えると、例えばこういう制度がいいと。そうしたら今ある3つの 制度とどこが違って、どこが同じなのかという議論になるのではないかということで す。 ○守島様  今の点と多少関連しますが、もう一歩分からないのは、どういう労働者像をここで前 提とされているのか、多少いくつかの考え方が混ざった形でここに提示されているよう な気がしております。この研究会の最初の段階では、創造的なアウトプットを出す人間 が、自律的な働き方をしないと、創造性のあるアウトプットが出なくなってしまう。別 な言い方をすれば、自律的な働き方をすることでベストなアウトプットが出せるような タイプの労働者を前提として、新しい制度を考えていけばどうだろうか。たぶんそうい うような議論から始まったような記憶があったのですが。  ここでは自律的な働き方の定義として、仕事だけではなく、プライベートを充実させ るという、少し違った側面が入ってきているような気がします。これはある意味ではワ ーク・ライフ・バランスが追求できるということなのかもしれません。逆にこれをやり たいのであれば、9時から5時で完全に時間管理されて、5時になったらピッタリ帰っ ていいよと、だから別に自分で時間を使えなくても、9時から5時は全部会社にあげる から、あとは自由にさせてくれというタイプの労働者もこの中にはいる。私のイメージ が貧困なのかもしれませんが、入ってしまうように思いますので、そこでどういう労働 者というときに、もう少し統一したイメージを考えないと、何のためにこの制度を入れ るのかということが、多少ボヤケてしまうように思うのです。 ○松井審議官  今言われた論点は、この会の何回かの議論を経て、付け加えて、ある意味ではきれい に整理できていないまま使用しています。  最初に言われたように、創造性追求で対象者像を確定して、その方々の希望にかなっ た労働時間制度が、今フルメニューで揃っていますかという問題提起だったと思うので す。それに一番近いのは、どうも裁量労働制ということで調べてみようということで、 創造性を追求することだけでみていくと、今の業務型の裁量と、企画型の裁量で、ひょ っとしたらもう両方尽きているのではないか。新しい枠組みはなくてもいいかなという 議論になりかけたところで、創造性をねらうとしても、具体的な働き方は自律的だとい う概念で束ねられるのではないか。それをキーワードにこういうことでシフトして、も う一回みようとしたところで、自律的な働き方というのであれば、ワーク・ライフ・バ ランスの観点も入れて、もう少し整理していただけないかというご主張がありました。 仕事の面での自律性があれば、裏返しとしてプライベートの面の自律性という、両方に かけてもう一回置き直してどこまでできるのか、そちらに力をかけて今度は作ってみた のです。そうすると、創造性、自律性、プライベートまで含めて、どういう統一ライン にするかというご質問は、まさにご指摘どおり必ずしも今整理できていない。それをむ しろここでやっていただければと思います。  当初申し上げたのは、24時間のうち8時間を働き、8時間を眠り、8時間を休暇とい うときに、この3つの時間帯の中で、プライベート重視でうんと家庭生活を重視したい という方もおられますし、それは小さくても、働く場の時間をたくさん取って、そこで 好きにやりたいというタイプの方もおられるし、3つを調和してとか、いろいろな方が おられるので、この制度はむしろこの人に向きますよと整理した中で、もう1つ足りな いという議論はないだろうかということでみていただけないか。  裁量労働制がすべてに当てはまることはないのではないか、というぐらいの議論に展 開していただくと、おのずと出てこないかというぐらいの議論のもちかけをしているつ もりなのです。ですから、創造的な働き方をするということを目指すと、次のサブ概念 で自律的な働き方、その自律的な働き方をしようとするときに、仮に仕事時間をたくさ ん取っても、そこで自由にという方にとって、今の業務をある程度書いて、これに当て はめれば裁量労働という方と、企画立案等々で当てはまるという方だけで、カバーして いるでしょうかということです。  それから、その方々については実はみなし労働制としていて、みなし労働制という仕 組みをする限りは、なお、残業時間が付きますよという概念がついてきますから、その 面ではどうも時間に縛られているということです。残業をしないようにしなければいけ ない、ということになったりはしないか。みなし労働を決めたときに、残業をするかし ないかを勝負しますから。それと、深夜や休日のときは残業が付くというときに、休日 労働と使用者の間で決めると、使用者が、ここでの労働は避けていただきたいというこ とで、残業がつかなくなる。そこの休日労働はできないという意味で不便になる。そん なところは足りないのではないか、ということを検証していただきたくやっておりま す。そんな整理なもので、まだ混沌としていますので、ひとつやっていただけないかと いうことです。 ○今田様  創造的な働き方ではなくて、創造的な仕事、職務、これからの付加価値を生み出すよ うな、そういう創造的な仕事が重要になるということだと思うのです。  そういう創造的な仕事をする人の働き方は、自律的な働き方という関係ではないでし ょうか。創造的な働き方なんていうのは、ちょっと日本語としておかしいと思います。  これからそういう創造的な仕事が、労働者に要求される。そういう創造的な仕事をす る人がかなり増えてくることが、社会的にも期待される。そういう創造的な仕事を可能 にするのはどういう働き方なのかと言うと、非常に自律的、自己決定性の高い働き方を 可能にするような職場なり、労働基準法なり、要するに労働にかかわる基本的なルール のあり方なのではないかと思うのです。そうでないと話がちょっとややこしくなってし まう。  その自律的な仕事、自律的な働き方というときに、ワーク・ライフ・バランスが出て きて、つまり、自分で自己決定をする働き方なのだから、自分の仕事、仕事以外のすべ てのものについて、自己決定できて、バランスのある働き方ができる。そういうつなが りでは駄目なのでしょうか。 ○守島様  今、今田先生が言われた意見に100%賛成なのですが、ただ、私がちょっと気になっ たのは、前振りの部分で、「除外する必要性」で、そういう仕事のアウトプットの性質 がどういうタイプの仕事を前提としているか。あとで議論になるところかと思います が、この部分が今回の文章には全然出てこないところが気になったのです。  逆に言うと、そこに現在成果あるいは達成感を追求し、自律的な働き方をすることを 希望する労働者が増加しているというだけだと、それはそうかもしれないが、そういう 人の中である一部の人たちに対して、新しい制度は適用されていくことになると、それ を狭めるための1つの要因というのは、まさに創造的なアウトプットというか、創造的 な仕事なのだろう。  もう少し言うと、成果ではかるということが非常に強調されていますが、成果ではか るということも、個人的な意見としては少し広すぎるのではないか。それだけですと、 極端に言えば、あまりにもカバレージが広すぎるように思いますので、もう少し狭める としたら、創造性の概念はそこには入ってくるのではないか。ここにそういう議論がも う少し反映されるといいなという意図です。 ○松井審議官  今やっていただきたい議論は、8頁のA)の3ポツ辺りが問題意識として書かせてい ただきました。今の要件の書き方は、仕事を無限定でやっていて、対象者だけを書きま した。対象者が就く仕事について全く触れないで、取りあえずここは書きましたので、 今の裁量労働もちゃんと就くべき仕事を把握して、それに就く人と両方で書いているで しょうと。今回、人でしか書いていないからこれでいいのでしょうかと言っていただき たく、書きようがなくて困っていたのです。直ちに創造的な仕事と言っていただくとい うのは、何を創造的な仕事にするかということで、すぐに迷路に入ってしまうと思うの です。ある程度実態を例示していただきながら、こんな仕事ならば創造的仕事と言って いいのではないかとか、ということも欲しいのです。 ○西川様  自律的な働き方とはどういう働き方かというご意見が出たので、その1つの考え方と しては、今までずっとこの議論がなされていて、今創造的な、あるいはワーク・ライフ ・バランスという言葉もありましたが、一番基本となるのはコントロールできるかとい うその違いではないかと思うのです。要するにコントロールというのは何をどこでどの ようにするかというところを、完全に指示の下で行っているような、いわゆるイメージ としてはプロダクションラインで働くような仕事が一方でありながら、その反対にもう 本当に経営者に近いような人たちがあるわけです。この人たちというのは、いわゆる自 己管理をしている人たちで、自律的な働き方というのはそちらの方にいかに近付いてい くかという、コントロールモデルから、いかにエンパワーメントモデルというか、自己 決定ができるという話も出てきましたし、あるいはそういった情報、知識もきちんと持 ち合わせている。そして、意思決定の権限もきちんと与えられていて、業績に応じた報 酬をもらえるという、そちらの方に近付いていく。自律的な働き方そのものを定義しよ うとすると、ものすごく難しい話になってしまって、そうではなくて、コントロールさ れるものからどれだけ離れているか、そのような考え方にするとわかりやすいのではな いか。  そのように考えた場合に、適用除外の話が出てきて、現行では管理監督者の人たちが 適用除外になっているわけですが、この方たちは今言ったエンパワーメントモデルに非 常に近いような形で働いているということなのです。今までのご議論にあったような裁 量労働制の適用者の方たちが、どの程度コントロールとの対極にある所にいるかという と、何となくまだ真ん中にいらっしゃるのではないかという気がするのです。自分のジ ョブベースでは、かなり自己管理を任されているのですが、ジョブそのものの内容や価 値を決めるのはまだ上部のトップの人たちである。そういう考え方からすると自律とい うのがどの程度の問題としてとらえられるかというと、それはもちろん企業によっても 違うでしょうし、ただ、今申し上げたような、きちんと伝わっているかどうかわからな いのですが、コントロールのモデルと、対極にあるものの中間にあって、その辺が非常 に難しいところではないかというようなイメージを持っています。 ○松井審議官  今言っていただいた点を要件として落とそうとしたのが7頁の「対象となる業務及び 労働者」と書きながら、ほとんど労働者で書いたことで言おうとしているのです。1 つ、一定以上の職階にある要件をまず満たして、2番目で業務の遂行の手段とか時間の 配り方の決定を、使用者から何ら言われることなく、自分が決定して、それを恣意的で はなく客観的に使用者からの具体的な指示が難しい性格の仕事、困難な業務と、そして その後、その業務遂行の結果は自分に跳ね返ってくる。そういうような仕事に就くとい うこと、抽象的ですが人から書いたつもりなのです。ということで、今言われたのは少 しここに現れているということでみていただきたいと思うのですが、もう1つ守島先生 から言われたのは、自律的な働き方、創造的な仕事という概念を入れたときに、そうい う働き方をする仕事は何なのでしょうか。そこの仕事について何も触れないというのは どうかという問題意識かと聞いたわけです。そういう発想が起こるのはなぜかという と、現行の裁量型労働については、専門業務型という名前を付けて、仕事と人を押さえ ているのです。その仕事は専門業務型は、参考資料2をみていただくとわかるのです が、例えば、「5業務を例示」しているとか、「6業務」「7業務追加」とか、コピー ライター、公認会計士云々と、人と仕事が一緒なのですが、仕事を例示しながら書いて いるのです。  ところが、ちょっと違うのは、企画型の方は、個別の仕事は言わないけれども、少し 仕事に触れているのは企画、調査、立案とか、こういう仕事をやる人。そのやる人が今 言いわれたように人から指示を受けないでやれるとか、そういう枠組みで今いろいろ時 間法制を作っているのに、全く新しく単にここで書くように、一定の職位があって、人 から指示を受けないで成果を発揮したいという人たちを引っ張り出して、それに新しい 制度を作りたいだけで、十分論理構成として、あるいは実態をうまく把握しているかと いう問題です。そうすると、もう1つ違った範疇で仕事をつかまえるなどをしないと、 うまくいかないのではないか。そうすると、その拾い出すための仕事をどのように考え ればいいかという問題意識です。とりあえず創造的なという言葉でいただいたので、で は何をもって創造的と言えばいいのでしょうねという議論を進めていいのではないかと 思います。それが1つです。  それから言われた管理監督者は、今の法体系では、むしろ労働者というよりも、使用 者の方に見立てて、むしろ指示する方に近いので外してしまえとやっていますから、こ れはまた別に取り上げて考えようと思っているのです。そうは言いながら、労働者だか ら一連のこちらの整理ができたら、もう1回こちらをみて再調査しないといけないなと いう、サブの問題として常にみながらやれないかということです。というのは、管理監 督者の方については、管理監督者という地位にあるが、どんな仕事をするかとは書いて いないのです。管理監督者であれば、結局適用除外と書いてあるから、これは今やろう とする議論と一緒なのだけれども、だけど、これは使用者側だから何だっていいのだと はやっていないだろうか。働く者の立場のときはどんな仕事でどんな責任など、そちら の方で要件付けをしないとどうも混乱しないかということぐらいのことを、問題意識を 持ちながら書いていて、どれといって書いていないので申し訳ないのですが、そこをも う少し議論していただけないかということです。 ○荒木様  ペーパーを拝見して、今回特徴的なことは、今審議官からご説明があったように、業 務からみていっているという点かと思います。裁量労働制というのはまさに業務で押え ていく、つまり時間の指示が困難な業務というか、裁量にゆだねるべき業務ということ でアプローチしています。これに対して、適用除外を考える場合には、そういうアプロ ーチもあり得ると思いますが、別のアプローチもあり得るのではないか。例えば現在、 管理監督者として取り扱われているスタッフ管理職の場合、部下がいません。その意味 では厳格な意味での管理監督の業務を行っていないわけですが、その処遇が管理監督者 と同じように非常に高い俸給をもらっているという点に着目して、時間管理の規制を外 しても保護に欠けるおそれがないという観点から、適用除外を現在行っているわけで す。  したがってそういうアプローチ、すなわち時間規制、端的には、割増賃金規制をかけ るのが合理的とは言えないような人たちについて、規制を及ぼすのはどうかという観点 はやはりあろうかと思います。問題はそれをどのような観点から担保するかということ で、今回7頁で4つの要件があります。一定の職位・職階、業務の面、賃金の関係、休 暇とありますが、ここで挙がっているように業務についてみていくという考え方もあり 得るでしょうが、その場合の問題点は後の方でもあるかもしれませんが、全部それに該 当する業務なのかをどう決めるか、誰が決めるのかということが難しい問題となる。こ れに対して、時間規制を外すことの弊害が防止できて、本人もそういう働き方がいいと 言っている人にはそういう働き方を認めてかまわないという観点からすると、例えば一 定水準の賃金などをどこに設定するかにもよりますが、相当の高給を取っていて、自分 は、だから時間管理は外れた方がむしろ自分の働き方としては望ましいという人が、 「個人の同意」が押し付けられた同意でないということの担保されるような年収があれ ば、必ずしも業務について詳細に要件を設定し、それに該当しなければいけないという 場合ばかりではないという気もいたします。  したがって、いろいろな要件の相関で考えないといけませんから、断定的には言えま せんが、アプローチの仕方としてはそういうアプローチの仕方、つまり個人の時間管理 を外れてもいいという同意が、恣意のものであることを担保するための要件という観点 からみていくこともあり得るのではないかと思います。 ○松井審議官  すごく切れ味がよくてわかりやすい要件設定なのですが、ほかのところの議論でふと 思うのは、同意を金で買うかというような要件を短絡させるということはないかなと思 ったのです。同意ということは、仕事に関しての働きで、給与というのはその報酬です から、直接の仕事の働き方と観念的には関係ないわけです。それを結果としてはいいと 思うのですが、間にもう少しないと、短絡して、同意を金で買って、そうすると金の叩 き売りみたいな話になってしまいます。同意を純粋に納得するというのは、金銭高でな ると、いろいろなところで類推して関係のある問題ではないかと思ったりもしますが、 その辺はどうでしょうか。 ○荒木様  仮にそういう制度を作って、適用除外をしなかった場合にどうなるかというと、結 局、時間に応じて割増賃金を払えという帰結なのです。それと、あるいはもっと高い俸 給をもらえるかもしれない。そういう場合にあなたはこういう客観的な業務の要件を満 たしていないから、いくらなりたくても駄目ですよ、あなたはこういう基本給に対して 2割5分増の賃金しかもらえませんよ、という選択肢しか与えないというのが、それは 同意の呼び方にもよるのですが、自分はそれでいいですよという人がいたときに、駄目 だという必要があるのかなという感じもします。 ○松井審議官  それは現行制度の中で、自らの意思を達成しようとすると、逆に割増賃金ということ になってしまうから、ある意味では結局は今の制度だって金目の話になっているではな いかということです。 ○荒木様  金銭に関して言えばですね。 ○松井審議官  そういうことですね。それはそういうような論理構成で割り切ればいいではないかと いうことですね。 ○荒木様  割り切るというか、現在の例えばスタッフ管理職とか、本当の管理監督者もそうです が、そういう金銭的処遇の要件を相当重視してみていると思うのです。つい2週間ほど 前ですか、東京地裁で判決があったようですが、相当な高給、月収百何十万もらってい る方について、賃金の基礎部分と割増部分を分けていない、その結果、理論的には37条 の割増賃金を払っているかどうかわからないので37条違反となりうるではないかという 場合について、裁判所はこれだけの報酬をもらっているということから、厳密に分離し ていなくても、当然割増分も入っていると解釈してかまわないという判断がありました ね。これも厳格に言えば、そんなのは全部駄目だと、さらに2割5分払えと理論的には なるのです。でも、それはどこかおかしいような気もするのです。そういうことから客 観的な業務の要件を厳格に課すと、結局のところこれも外すべきだ、あれも外すべきだ ということになって、前回の会で制度が複雑すぎるという議論が出たようですが、常に 後追い的になるという問題も、若干関係すると思うのです。 ○松井審議官  今のご議論と全く発想が違うので、これはどうかということで質問になるのですが、 ここの一定水準以上の賃金を保障しなければいけないという理由を、その後のCの理 由、休暇を自由に取得できることを切に望む方に、休暇を取得するということは単に休 むということではなくて、その休暇時間を使っていろいろな支出をやります。稼ぎがな いわけですから支出行為なわけです。そうすると、本当に自分がしっかり休暇を取れ る、つまり稼ぐ以外のところでの出費が要る。そこで完全に自分の納得のいく出費をで きるだけの対価をくれる。直接ではないけれども、そういう働く時間でうんと働いた ら、ワーク・ライフ・バランスではないけれども、仕事以外のプライベートに使うだけ の、仕事をしなくてもその間に使えるだけのたんまりした報酬を頂戴と。そうすると、 そこで使えるなと納得するだけの額がもらえたら、わかったら同意すると、1回噛ませ るというのはどうかなと。多少技工的なのですがそういう理解ではどうでしょうか。少 し緩めるだけなのですが、本質的なものは変わっていないかもしれませんが、一定水準 以上というのは、自らの働く時間以外のところの活動を、しっかり担保できる、充足す るための原資をください、そうすれば納得してうんと働きますと。ちょっと説明を加え るというぐらいのことも、もう少し現実問題にプラスできないかなと思うのですが、そ ういう感じはどうでしょうか。 ○荒木様  それももちろん設計としてはあり得ると思いますが、前にここでヒアリングをしたと きに、あるいは裁量労働制だったと思いますが、非常に満足度が高いというのは、年収 が高い人たちなのです。そういう人たちは実労働時間制に服しなくても非常に満足して よかったと言っている。問題はそうでない人たちの時間外手当をけちるといってはなん ですが、割増賃金規制の潜脱として使う、それはやはり非常に問題がある。要はそこの ところをきちんとクリアにできれば、様々な濫用を防止するためにこういう業務ではい けない、ああいう業務ではいけないというアプローチもあり得ると思いますが、もっと シンプルで濫用を防止できるような制度があるのであれば、そういう考え方も検討に値 するということです。 ○水町様  いくつかあるのですが、今7頁の話になっていますので、その点をまず私の印象とい うかお話します。比較法的にみた場合、こういうのはすんなりくる。労働者という観点 からみたとしても、どういう労働者なのかというようにみた場合に、これまでの議論で もときどきありましたが、職位が一定以上高い。かつ仕事が専門的、独立的で使用者か ら指揮命令を具体的に受けない。かつ賃金制度として2つ意味があって、労働時間とリ ンクしていないというのと、残業手当、時間外労働割増賃金をもらわなくてもそれにふ さわしいような経済的報酬を受けているというように言われるぐらい額があるという、 その2つの側面があって、それがBなのです。それとの比較でみてみると、Cだけ、何 か目新しいかと思うのです。では、このCをどのように具体的に解釈するかですが、本 当に目新しいのか、それともBと裏表の関係にあるのかということです。  例えばアメリカで俸給ベース要件というのがあって、俸給制度自体が例えば半日休む とか1日休んだときに俸給を減らしてはいけません、一定額の俸給保障というので、賃 金制度として労働時間とリンクしていないし、休んでも賃金を減らしてはいけないとい うのです。それを逆の観点からみると、休日をいつ取っても、賃金を減らせないという 制度になっているのだというと、Cの要件はそういう制度だとみるのか、それとも賃金 のレベルではない実際に休みを取れる取れないの話で、実際に毎日毎日会議が入って、 会社に行く必要がないような会議なども、そんな義務的な仕事がなくて、いつでも休日 が取れるような体制になっていて、かつ、実際に休日を取っているというようなことま でCの要件に組み込むと、比較法の中にはない新しいものとしてライフワークバランス という新しいものだと言えるのかもしれませんが、そこのCがどういうふうにかかわっ てくるのかというので、もう少し具体的なイメージがないとわからないかなという気が しました。 ○小林調査官  それはアメリカの場合については俸給基準として時間給ではない、週給で払うという ことで、1時間欠勤しても減額されないというのがアメリカの基準としてあります。こ れは仕事以外の一定の休日を権利として確保できるという意味で、余暇活動を確保する 意味で、兼任制としての休暇が別途確保されるという意味で、アメリカのような俸給基 準の支払基準としてマイナスにならないという意味ではなくて、適正な意味での休暇を 取得することを意味付けるということです。 ○水町様  Cの要件と、健康配慮のところで書かれている有給以外に連続休暇を保障するという のが10頁の(2)、この2つの関係がどうなっているのかですが、あまりわからなく て、後者の方と同じようなことを最初と最後に言っているだけなのか、それとも後者の ものは健康・福祉という観点から言っていて、前者はもっとワーク・ライフ・バランス で積極的に休みが取れるようなもので、こっちは要件だから、これがないともうそのま ま適用だし、健康・福祉確保措置についてこれを要件化するのかそれともどうするのか というのはまた別の法的効果のところで考えるとすれば制度上は別になりますし、どっ ちも要件だということになれば、同じことを裏と表で両方言っているということになり ますが、そこの整理はどうなるのですか。 ○松井審議官  まさにその疑問を出していただきたくてやっています。どうするかを議論していただ きたいのです。というのは、健康確保措置としての1つ、連続してバッと休みを取ると いうだけの要件にするのか、例えば日本的な年次有給休暇を今以上のものにして、かつ 使用者が今のは請求権的な年次有給休暇ですから使用者は上乗せをして、有給で休ませ なければならないという、例えば否認制を付けて足すというやり方と2つあると思うの です。それが適用される者のみ適用除外にするというように構成するか、ここはフワッ と書いておいて、それを講じた人についての福利措置としてこれを講じなければならな いといって、適用要件ではなくて適用要件の考課要件として書くか、2者あるのです が、とりあえず弱めにして、もっと強くという意見があれば、そうしたいと思っている のです。ですから、中身は今言った連続休暇、年休、あるいは有給、上乗せ有給、しか も使用者の方に義務付けられた有給というアイディアをやっていただきたい、それが可 能かどうかということなのです。適用要件にするか、考課要件にするかということなの です。まだ決めていませんので、ここで決めていただきたいのです。 ○水町様  それについての私の意見は、労働者個人の同意についても休日を実際に取るというこ とについても、要件にしてクリアにした方がいいと思います。それで、休日を実際に取 らせるというので、フランスでも新しい制度を作るときに年休プラス別の休日を与えて というのでやったのです。実際にそれがうまくいくかというと、休みを取るといっても 仕事がいっぱいある人は土日に家で働いているのです。それは実効性確保はすごく難し いと言われているのですが、それをやはり要件として表に書く意味はすごくあって、実 際上それを守っているかどうかが難しいということになれば、何か労使が現場で話合い をしながら、本当に取れるような環境になるのかというような制度的な担保を作るとい うのが非常に重要で、そこの2つのチェックを入れて制度化するというのが本当にそれ が制度としてきれいなものになるかどうかはわかりませんが、そういう観点からするの が私自身はクリアで、かつ実効性というか、弊害がなるべく生じないようにするために は必要かなと思います。 ○荒木様  特別な休暇を要件化することは十分にあり得ることだと思います。ただ、これを自由 に取得できるというこの「自由に」ですが、労基法39条の年休でも、時季変更権など若 干の調整がありますが、これはそれをもオーバーライドして、企業の中枢に近い人たち が休むといったら、誰もそれを止められないということなのか。自由といっても何らか の調整はあり得るということでしょうか。 ○松井審議官  自由ということも問題提起でして、例えば十分でもいいかもわかりませんし、しっか りでもいいかもしれない。自由というのは多分目茶苦茶な要件だと思うので、これは最 後までは残らないと思います。 ○座長  では、その部分は後ほど最終報告をまとめていく段階で、行っていくことにいたしま して、水町委員が先ほどいくつかあるとおっしゃっていたので、ほかのところもおっし ゃっていただけますか。 ○水町様  先ほどから議論があった裁量労働制の問題と、これから新しく作るかもしれない自律 的な働き方の適用除外と、これまで既存の適用除外で管理監督者やスタッフ管理職が、 実は別々といっても実務上は連続性があって、最初は裁量労働にして、そのまま管理監 督者という役職との関係でずっとやったりしていますね。実は制度としては別だったか もしれないけれども、その現行制度ではこうなっていて、新しくするのはこういうもの だという割り振りがわかるようなものを、これから新しく作るかもしれないものの制度 趣旨との兼ね合いで、整理するというのをやっていただくというのが、1つ我々として も議論がしやすいかと思います。  先ほど7頁のところにもかかわるのですが、荒木先生が先ほどおっしゃった年収が高 いほど裁量労働に対しては満足度が高い。そうなのかもしれないですし、それがはっき りわかれば1つの理由にもなりますが、逆に今過労死とか過労自殺で労災上認定されて いる人たちが、実際どのような仕事に就いていたり、どのくらいの年収をもらっている 人たちがそういう状況で亡くなっているのかというのがわかるとすれば、ここら辺の人 たちはやはり危ないけれども、ここら辺の人たちはもう大丈夫なのだというのが、客観 的なデータでわかればいいと思いますので、ポジティブな面とネガティブな面で両方チ ェックをして、要件を作っていくことが重要だと思います。  8頁のA)のポツの4つ目で、新しい適用除外を手段「及び」労働時間の配分の決定 とするので、企画業務型裁量労働制を「又は」とするというところが何か玉突きで急に 「又は」で広げるというのがちょっとドキッとして、何か理由があるのかというと、区 別をするためという理由しかここには見当たらないので、ここは、もしもそうするので あれば、背景にあるものなどをちゃんとチェックをしないと、こっちをこうするから、 こっちも広げようとか、そういう感じの議論でないのかなというように思いました。 ○松井審議官  最後のところは、言われた新しく導入する制度とか既存の制度を並べて、整理する絵 図面はもちろん用意しなければいけないのですが、その後の姿で少し法律の規定を想定 して考えたときに、何となく序列を付けなければいけないかなと思ったとき、今ある 「及び」というのが一番強いとすると、「又は」というので緩めると、頭の体操として はあるなということだけです。要するに今言われた図を整理するときの参考ということ で、これが実態的効果を云々というところまではまだいっていません。ですから、むし ろ、先ほど言われた整理表を作った上で議論していただくときの、ちょっとした頭の体 操ということでいいと思います。 ○座長  それではほかの点で結構ですから、非常に重要なご指摘もいろいろといただいていま すので、同じようにお願いをしたいと思います。 ○小林調査官  事務局からなのですが、9頁の「法的効果等」のところの(2)、(3)で、今現在 裁量労働制について、いろいろな問題点が指摘されていますが、対象業務以外の追加業 務への指示とか、あるいは具体的な指示についての禁止等の問題でもありますが、こう いう問題については規制を法規上するのか、あるいは運用上するように、法規制の関係 で書くのがいいのか、あるいは運用に任せるのがいいのかという形なのですが、その辺 りのご意見があればと思います。 ○荒木様  こういう問題が生ずるので業務で縛っていくというのは、非常に運用上問題が生じる のではないかと思います。そういうことを懸念しなくてもいいように相当高い年収を設 定するというアプローチがあるのではないかということで、この追加業務の指示はどう かといったアプローチになってくると非常に難しい問題が生じざるを得ないかなと、こ れは私の感想です。 ○水町様  健康・福祉確保措置の内容について、10頁のところでも出てきていますし、管理監督 者についても実際上は同じような問題があるので、そういうところも含めて健康確保に ついて幅を広く考えていくのは非常にいいことだと思います。特別の健康診断の実施を 義務付けるべきではないかという2番目の○のところで、対象労働者の請求によりとい うところが、実効性確保との関係でうまくいくのか、それともプライバシーの問題でと にかく強制させない方がいいとお考えなのか。あまり対象労働者の請求よりというのを 強調してしまうと、誰も請求しないで何もなかったということで、実際健康診断でやる 義務があるけれども、みんな忙しくて全然行かないのです。それで、ハードに仕事をし ていればしている人ほど、健康管理センターにこいと、何回も呼び出しをかけても誰も 行かないという状況があるので、そこら辺の制度設計を注意した方がいいかなと私は思 います。 ○松井審議官  この案は、つい先ごろ成立した労働安全衛生法の残業時間が100時間を超えた方々の 医師による面接指導を設計したときのまさに論点でした。最終的に運用上該当者の方が 100時間を超えた上で、その方が挙手をするというか、申込みをすることで診断を実施 しようではないかという整理になったのです。その経過に至るまでがちょっとややこし いのですが、それまではフィジカルな障害ということにある程度重きを置いて100時間 と考えていたのですが、むしろ今はメンタルな精神障害などが多くなっているから、 その方々も考慮しなければいけないとなったときに、その精神的な障害というのは外か らみて、事業主がここというのは、なかなか先ほど言ったプライバシーのこともあって 困るのです。そうすると、そちらの基準で考えると、自らが自覚して、確かにどうも不 調だと、だから診てくれというくらいに担保しておかないと、一律規定でやったとなる と、そういった方々はむしろ何で私がとなったりしないかという議論がありまして、結 局うなってしまったのです。そこで非常に悩んでいて、挙手はさせるけれども、すべか らくご本人が病んだと思ったら、それを制約することのないような環境づくりをしまし ょうとか、挙手をしたら不利な取扱いをしないようにやりましょうと、そういう環境整 備をすることとワンセットで申請要件とするということで、ようやく審議が通ったので す。ですから、とりあえずその応用編ということでやっていまして、これはしばらく運 用してみて、申請というやり方が機能しないというのであれば、本当に考えなければい けない要素かも分からない。ただ、今言った議論から、とりあえずこれでやろうとして いますので、ここではそれと同じ方法で提案してみたということなのです。 ○水町様  もしそうであるとすれば、その設計上、それとまた全然違う、急にここだけ厳しいの をというのはなかなか難しいと思いますが、逆に言うと、その実効性が本当に確保でき るのかというのは、やはり一定程度疑問であるということを意識しながら、では、そう であれば1個目の休暇を確実にあげられるようなシステムの方に重きを置いて、という ことを我々としてはよく考えなければいけないかもしれません。 ○座長  ほかにいろいろな論点がありますので、どこでも結構です。お気付きの点をご指摘く ださい。 ○西川様  先ほどのポイントに戻るのですが、一定水準以上の賃金が保障されているというとこ ろなのですが、この一定水準というのは非常に難しいものです。それと、先ほどご指摘 された使用者が対象業務以外の業務への就業を指示することを禁止するべきでないか。 そこは結構関連していると思うのです。私が考えるところ、ヒアリングをしたときに企 画業務型の方のときに、仕事がいろいろと増えてくる。追加的な仕事があるというお話 があり、そのときに賃金というのはどういうものをベースに設定されているかという話 で、業務というのがはっきりしていると、この業務をしているからそれに対して賃金が 支払われるという考えがあると思うのですが、どうもその辺が曖昧である。そこと関連 付けると、この一定水準以上の賃金というのを、例えば1,000万とか1,500万とかの年収 で切るというよりは、業績連動型とか成果主義であるとか、その辺の概念が入ってき て、いわゆるどれだけやったらどれだけ賃金がもらえるかというところがはっきりすれ ば、そうすると、この仕事は私の仕事ではありませんと、上から降ってきた場合に言え ると思うのです。でも、現状ではそういうことが言えないような状況になっていて、そ れを単に一定水準の1,000万か1,500万かわからないですが、そういう形で切ってしまっ ていいのか。もう少し業務とか職責とか、職務などと連動させた形で議論することはで きないのかという気もするのです。 ○小林調査官  今現在、年収でいろいろと対象者を規定しているのは、有期契約の場合の高度の専門 技能者みたいな形で、1,075万を超えた場合を対象にしていますが、基本的には最低保 障額がその水準を超えているということですので、成果型みたいな場合については、最 低保障額を積んでおいて、それ以上についての成功報酬的なものについてはそれ以上と いう部分ですので、ある程度払うべき額がそれを超えていないといけないという基準を 示しています。そういう意味でそういう切り方も1つの案としてありますが、必ずしも 一律いくら以上という場合については、最初は約束したのだけれども、「君、成果が上 がらなかったから駄目よ」というわけではなくて、年収は最低限確保できる水準みたい な考え方も1つの案かなと思っています。 ○松井審議官  一定水準という問題点については、全国ベースでみるのか、企業ベースでみるのかと いうのがもう少しブレイクダウンした話です。つまりこの企業においては一定水準のお 金を出せば、個の仕事という関係は切れます。これだけあげるのだから、いろいろなこ とをやってくださいというわけです。全国ベースでみてそういう傾向があるかどうか。 どちらにするかで全然違うのです。多分全国ベースでこれぐらいの水準をやれば、どこ の企業だってこれだけ払えばいろいろなことをやれというのだから、業務を特定してい ませんというのが本当にあるかどうか。特にこういう問題をやったときに、中小企業の 経営者の方々は、「いや、うちのところはみんなお金をくれと言わない集団なので、こ れくらいの水準でもやれば、みんな何でもやってくれるんだ」と。そして、こっちは少 ないとなってしまうと、企業ごとに一定水準を変えていいのか、あるいは全国統一的な もので考えるのかということにすぐぶち当たり、すごく難しいのです。難しいことだけ では困るのですが、それを決断しなければいけないと思うのです。そちらに重点が移る と思うのです。当該企業でこれだけのお金をもらうのだったらいろいろなことをやって いいと考えるのか、日本の全体の相場感覚として、これくらいの報酬があれば、裁判も 出たことだし、いろいろなことをやっても、残業をやっても割増しを要求するのは、ど うも過度な要求になるような水準だと、そんなものであるかというところに、論点は移 るのではないかと思うのです。 ○大西監督課長  今の西川先生がおっしゃった中で、前の発言の方なのですが、多分ジョブの選択と か、ジョブの価値判断ということをおっしゃっていましたが、7、8、9頁の資料の中 で、そのような論点はうまく整理されて入ってきていないのではないかと思うのです。 その業務が自由にできるかどうかではなくて、自分がそれをするかどうかなど業務の概 念より別のもう少し上の視点からとらえた概念だと思って、その点のご指摘があったの で、先ほどからずっと、ここに入れるとしたらどういう表現をするのかなと私も考えて いたのですが、今はうまい表現方法がないのです。そういうところはこれからも是非議 論していただきたい。この資料の中には入っていない視点ではないかという印象を受け ましたので、一言だけお話させていただきました。 ○水町様  報酬の水準についてですが、フランスの幹部職員の中で全部外れる経営幹部職員とい う一番上の人がいるのです。そこに報酬の基準があって、その企業である報酬制度の中 で最高位の報酬をもらっている人という要件が入っているのです。そうすると、企業の 賃金制度の中で、ここら辺ぐらい以上のものというので企業で切ることもできるのです が、実際上、ではそれがうまく機能しているかというと、企業の報酬制度は様々です し、最高位だけがというと、ごく本当に狭い人になってしまったりするので、それがう まくワークするかどうかはわからないのです。では、非常に企業の制度は複雑なので、 労使委員会に任せて議論をさせるというと、実際労働組合のない中小委員会で労使委員 会をうまくワークさせるといっても、実際に交渉がうまくできるかというと、それも現 状ではかなり難しいと思います。そうなると、やはりある程度、もし報酬の水準を決め るとしたら、明確な形で何万円というのを決めるのが、最初に制度を作る上では、今の 選択としては一番あり得べきことなのかと私は思います。 ○座長  西川先生からご指摘いただいたところが非常に重要なポイントだろうと思うのです。 例えば100なら100の仕事に100の報酬を出す。何時間かかるかというのは関係ないのだ と。いわばこういう概念からすると、当初の約束は100だったのに、その上に10、20と 足されていくと、ちょうど時間外の指示を受けるのと同じことで、それを処理するため にはどうしたって時間拘束などが増えてしまうと考えますと、こういう仕事給の場合に 受ける仕事の付加というのは、どのように法的な規制の中に反映させるべきかというこ とで、非常に重要な論点が入っていたと思います。  もう1つは今水町先生がおっしゃられたような報酬水準の実効性であり、かつ現実的 であるというのは一体どのように決めていったらいいか。どこの国でもいくつかの基準 を使ってやっていて、1つだけではなかなかできないけれども、しかし、いくつも使う と複雑化し、かつ実効性がなくなる可能性がある。したがって、制度の始まりのときに はかなりシンプルに設計しつつ、世間相場が定まってきたら、それを勘案するというの も一つの方向なのかとは思いますが、こういう点は人事の管理からするといかがでしょ うか。 ○守島様  先ほどからお話を伺っていて、直接のお答えになるかわからないのですが、具体的に そういうタイプの労働者がどの程度いるのかと考え始めますと、ここでは例えば研究職 みたいなものは、多分専門型の裁量労働制という考え方があるでしょうし、もちろん管 理監督者はいわゆる経営に近い人たちは外れている人たちなのです。それ以外の人たち で、かなりの年収があり、かつ自分で自由に業務の内容を決定できる人たちが、果たし てどこまでいるのかなと考えてしまうと、そういう要件をどんどん突き詰めていくと、 逆に非常に使いにくい制度になってしまうような気がします。だからどうというソリュ ーションは私にはわからないのですが、何となくそう考えると、何かこういう議論を突 き詰めていくと、非常に一握りのハイレベルの特殊の労働者を前提にした制度になって しまうように思うので、こういうことを最初に議論し始めた趣旨が、先ほども言った、 別に創造的ということだけにこだわるわけではありませんが、日本の経済にとっていい ことであるとか、企業にとっていいことであるとか、もちろん個人にとってもいいこと であるとかというようなことを考えていくと、何となくわからなくなってきましたとい うのが正直な感想です。 ○今田様  ずっとお話をお伺いしていて、当初思っていた適用除外の新たなパターンというイメ ージから、少し遠いような気がしています。とりわけ荒木委員のおっしゃるような収入 要件ですっきりさせると、制度としては確かにわかりやすいし、というのは非常によく 理解できるつもりなのですが、ここで言っている旧来型の専門型、企画業務型、それ以 外のこれからの社会において、期待される創造的な職を遂行する人たちは、時間から自 由で、自己決定をしながら創造的な仕事をする。そのためにいい働き方、労働時間、管 理のあり方という、何か我々が最初に一生懸命に考えて、ワーッと出発したときに比べ ると、厳密だけれども、収入要件で切れば非常にすっきりするのではないかというとこ ろに議論が落ち着きそうだというのは、何かちょっと違和感があってどうしようもあり ません。やはりそこに何か哲学というか、論理というか、もっとそれを設ける新たな職 種分というか、労働者分というものが、収入だけかというような最初におっしゃったよ うな感じがするので、もう少し哲学が必要かなというのが私の思いです。ではどうすれ ばいいか。もちろん哲学はここにもあるわけで、仕事だけではなくワーク・ライフ・バ ランスといった言葉はいっぱいあるのですが、実際にどれでやるのかというと、非常に クールな所得という理論に落ち着きそうな感じがして、もう少し工夫があってしかるべ きではないかと思います。 ○荒木様  裁量労働制を議論したときと、今ここで議論をした適用除外は、制度の趣旨が私は違 うと思っております。現在の41条の適用除外は3つあり、例えば農業など天候に左右さ れるものは適用除外になっていますし、監視断続労働も適用除外になっています。そし て、経営と一体となって働く管理監督者は適用除外とする。今適用除外としているとい うのはご指摘のような創造的な働き方に着目するものとは少し違うと考えています。も ちろん管理監督者は労働時間に縛られない働き方もしますが、創造的なというのが決め 手になるのは適用除外よりむしろは裁量労働のところだと思います。裁量労働というの は労働時間の管理をやろうと思ったら可能なのだけれども、それでは創造的な働き方に ならずによくないということ、そして成果に応じて割増賃金を支払うという時間に縛ら れた働き方から解放する働き方を認めようということに着目したのが裁量労働なので す。そこで創造的な働き方のことを随分議論したと思います。適用除外の場合は、適用 除外になった人は裁量性のある働き方をするということももちろんあるのですが、そう いう労働時間規制を外してもかまわないかどうかというのが適用除外の制度趣旨だと思 っております。そこで、裁量性があるかどうか、あるいは創造的な働き方は重要なファ クターですけれども、それは裁量労働についての議論としてはわかるのですが、適用除 外は少しそれとは制度の目的が違うような気がします。 ○今田様  そういう線で考えられるわけです。だから少し委員の間で合意を持っていないと、先 に進まないことになります。 ○松井審議官  今お聞きしている限り、とりあえずの分布図なのですが、守島先生はある意味で理論 構成は別として、いろいろな可能性のある方を適用除外にするという道もあっていいで はないか、それは最初の議論からいくと、創造的な仕事、自律的な働き方という目でみ て、見直すというぐらいにざっくりやってもいいのではないかという、その点について は荒木先生と理論構成は別として共通だと思います。今田先生の場合はそうは言って も、専門業務とか企画業務とか、仕事を決めて普通の重要管理と別の範疇を作っている のだから、もう1つ今度作る適用除外というものは意義付けしているのだから、それに ついて例えばどういう業務に就いてとかというのを、もう少しポジティブに書けないか と言われているのに近いかという感じがします。  それを端的に、条文的に落としますと、一般的な業務、専門業務、企画業務の3つし かないこの世界があったとすると、今は一般業務は基準法がベタに適用されている。専 門業務、企画業務は裁量労働という形で「みなし」が適用されている。それを例えば専 門、企画まで特例扱いにしている中から、別途働き方をこうこうといって、そこから出 すときの物差しとして、エグゼンプションとか適用除外を考えるのか、一般の方々まで を含めて横串で適用除外をするかという、端的にいうとその2つにどうもなりそうなの です。それをもう1つ細工すれば、企画業務型だけからまたエグゼンプションするか、 専門型まで広げてやるか、あるいは一般型まで広げてやるか、3つぐらいです。それを したときに合わせて管理監督者のところも横串でもう1回適用除外するかとか、それぐ らいの選択肢なのです。もう一度絵図面を示しますので、それぞれの先生方からこれが いいのではないかというご意見を出していただきたいと思います。ここで決断し難い し、とりあえず図柄はそんなところではないかという気がします。それについての意義 付けを、どういう論理構成でやるかということではないかという気がするのですが、ど うでしょうか。 ○水町様  私自身の理解は、荒木先生とちょっと違うのかもしれませんが、比較法的にみて適用 除外というのは、場合によってはクリエイティブな仕事をしている人を適用除外にした り、専門的な業務に就いている人を適用除外にしたりいろいろなものがあり得るので す。だから、それは背景にあるポリシーとか哲学をどうするかと考えた上で、例えばこ こは自律的なもので、それは日本的な自律的な労働を適用除外にするのだという哲学な り、背景なりを持っていたとすれば、そういう制度設計にすればいいのだけれども、そ れで、そのまま安易にいってしまうと、いろいろな弊害が生じるかもしれないその弊害 のチェックの1つとして、一定の経済的な保障を受けていて、交渉力の点で問題がない というのが一つのチェックのあり方だし、実際健康被害が生じると問題なので休みを取 らせるとか、健康配慮措置を取るとか、そういうチェックは同時に入れておかなければ いけないというので、年収の要件が入ってきたり、場合によっては健康確保措置が入 る。そこの哲学と哲学を追求するときの具体的な方法として、年収の議論があるという ように私は理解しているのです。 ○守島様  ただそうなると、年収のチェックという内容が、先ほどから議論されているこの一定 の職務だけではなくて、それに追加的なものが入ってきてもいいよという考え方とは、 何となく違うように思うのです。逆にいうと、ある程度の年収が保障されていれば、極 端にいえば裁量労働になって、多少悪いことが起こったとしても、そこの部分は自分で リカバーできる等々のことがあるでしょうと、そういう意味の一種のバッファー的な位 置づけになるのか、それともある種一定の年収があれば、どんな仕事でも支持され、外 のことでも受けてもいいよというのは、ちょっと違ったフィロソフィーのように思いま すので、そうなると年収というものの意味合いをもう少し、まさに具体的な方法論の中 でどういう位置づけにするかということを考えておかないといけないと思います。 ○水町様  その4件の要件のうち7頁の@やAをどう設計するかというのか、そこがあまりそこ をぎちぎちにやると、実際の運用が難しくなるのでと考えるのか、それともやはりポリ シーに添ってきっちりやらないといけないと考えるのか、という最後の詰めの問題でし ょうね。 ○松井審議官  確認なのですが年収といったときに、年度当初にお約束した額なのか、いろいろぶち 込んで、最後年末にみたときの額なのか、例えば当初やった以上ということでやってお けば、いろいろな仕事が入っても、それに応じて上がったとしてもいいわけですね。実 際に本当にこれ以上取らなければいけないという要件にするかとは、ちょっと違うと思 うのです。その辺も今の中に含めてやっていただくと多少違うかなと思います。 ○水町様  制度的には最初に決めた額ですよね。所定労働時間と同じように所定報酬で、実際に それがそれよりも低くなったら、やはり労働時間とかに左右されている報酬制度をやっ て、そもそもそういう制度に見合わなかったということになる。 ○松井審議官  増えた場合はほかの仕事が入って増えたという可能性もあるので、その場合は問題な いと。 ○水町様  それは仕事をどう設計するかの問題で、もしかしたら仕事に関係なく成果、アウトプ ットが質がよかったからというので報酬が上がる部分は問題ないと思いますが。 ○松井審議官  荒木先生の場合はそういう仕事関係なくと言われるから、そういう問題はないのです ね。決めておけばポンと適用できて、あとの話は問題ないと。多少仕事について吟味し 始めると、でき上がったときの実額がどうかというややこしい話に入ってしまうという こともあり得ますね。 ○座長  だんだん時間が予定した時刻に近付いてまいりました。これ以外に論点で落ちている ものはございますでしょうか。 ○守島様  細かい言葉尻をとらえるようなことで申し訳ないのですが、裁量労働制のところで何 カ所かグループリーダーを対象にするという表現が出てきます。2頁の(2)の(2)の 一番下のところに、真に裁量性のある業務は時間を自由に使うことができるということ を前提にした場合に、例えば、グループリーダーも対象とすることがあり得るのではな いかという表現が入ってくるのですが、グループリーダーが真に裁量性のある業務とい う、これを普通に日本語として読むと、そういう認識になるわけですか。 ○松井審議官  そういう方もいるかなという意味です。 ○守島様  そういう方もいるのは理解できているのですが。 ○松井審議官  対応関係ではないです、そういう方もいるというぐらいのことで、もっと正確に書く べきでしょうね。 ○守島様  だから、言葉として出してしまうと何かベン図が両方同じところをカバーしているよ うにイメージ、私が勝手にそう読んでいるのかもしれませんが、グループリーダーとい うものは逆に裁量性がないというか、確かに管理監督的なポジションにはいるのです が、ミドルマネジメントの、それも下の方なので、そんなに裁量性があるという認識は 逆に持っていないので、これを例にするのは違和感があります。 ○小林調査官  あと、それとの関係ですが、裁量性を判断するときに、時間配分の点と業務遂行の方 法についての手段についての自由と、一定の権限を有すると、真に裁量性があるという のは、自己決定とか、その判断権を与えられているという部分が、本当の真に高い裁量 性のあるものという自己決定まで有しているものが、自律的な働き方ができる要件とし てするのかと思いますが、若干今回の適用除外のところに、業務遂行の結果に責任を有 するものと書いているのは、今までは裁量性については全然権限についての議論がなか ったのですが、適用除外を打つにあたっては一定の分析とか決定権限をある程度噛ませ た形のものとしての定義付けが1つ必要なのかと思っています。 ○座長  素朴な質問を守島先生にしますが、例えばグループリーダーというと、私もあまり高 いレベルだという気がしないのですが、仮にプロジェクトリーダーというとしても同じ ことになりますか。 ○西川様  プロジェクトリーダーというと、もう少し裁量性があります。グループリーダーとい うと、何となくその1歩手前のイメージがありますが。 ○守島様  通常はプロジェクトマネージャーという言葉を使いますね。プロマネという議論があ るじゃないですか、人事というか、経営のときに。 ○松井審議官  ではプロジェクトマネージャーに換えておきます。 ○座長  それではそろそろ時間になりましたので、まだいろいろとご意見はあろうかと思いま すが、この後もまた議論を進めていきますので、是非いろいろとご示唆をいただきたい と思います。そこで、本日の会合で出たご意見は、いつものようにこの資料の整理の中 に入れていっていただきたいと思うのですが、先ほど松井審議官もおっしゃいましたよ うに、ともかくみんな突っ込んだら、どんどん増えてしまって、実は全部一緒にしたら 決してこれは法律にならないような、相矛盾するようなものも入っているわけで、これ は今の段階における論点のたたき台ということでご理解いただき、いろいろと修正追加 等をお願いしたいと思います。そういう過程でどうみてもこれは変だということがあれ ば、整理の方はよろしくお願いしたいと思います。では、次回の会合についてのご連絡 を事務局にお願いいたします。 ○安藤監察官  次回の会合は11月11日(金)17時から19時まで、本日と同じこの会議室で開催したい と思いますので、お集まりいただくようお願いいたします。 ○座長  この研究会は時間が非常に柔軟にいろいろな時間帯に移ります。大変申し訳ありませ んが次回は5時から7時です。どうぞよろしくお願いいたします。それでは本日の会合 は以上をもって終了したいと思います。皆様お忙しい中をご参集いただきまして、貴重 なご意見ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。                    照会先:厚生労働省労働基準局監督課調整係                    電話 :03-5253-1111(内線5522)