05/10/24 社会保障審議会介護給付費分科会第32回議事録 社会保障審議会 第32回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成17年10月24日(月) 9時から12時           厚生労働省専用第15会議室 2 出席委員:井形、池田、石井、井部、漆原(代理:山田参考人)、大森、 沖藤、喜多、木下、木村、見坊、田中(滋)、田中(雅)、対馬、永島、 野中、花井、村川、矢野(代理:松井参考人)、横山の各委員 3 議題  (1)居宅サービスの報酬・基準について(1)(訪問系、通所系サービス)  (2)その他 ○渡辺認知症対策推進室長より資料に沿って説明。 (野中委員)  訪問介護は、大事なサービスと思っている。しかし、訪問介護だけでなく、 全体として介護保険ではケアプランに基づいてサービスが提供されるのに、そ こに情報の共有の認識が全く欠けている。訪問介護だけでなくすべてにおいて そうである。  これは、ケアマネジャーだけの責任でなく、皆が連絡調整することが大事だ とどう認識するかであり、行政がその大切さをどう育て、支援しようとしてい るのか、今日の報告の中ではそれが見えない。特に登録型ヘルパーについて、 確かにこれは一つの事業所を経営するときに必要かもしれないが、にもかかわ らず情報の共有や技術蓄積が困難で、チーム力としてのケアについて問題にさ れていることはやはり問題である。ただ、この直帰型の人たちもさまざまな場 面で連絡調整をしなければ、真のサービスとか本人のニーズなどはきちんと把 握できない。こういった問題が指摘されているが、どう解決しようとしている のか。それをただ期待して問題提起しているのか。実際には、どういう介護を してほしいのか、 (古都振興課長)  今の指摘について、基本はやはり多職種連携であり、きちんとケアカンファ レンスを行うべきであり、ケアマネジャーの業務において特にケア会議の開催 を基準で決めているが、それを充実する中で、当然訪問介護についてもそれに 参加する形でないといけないと思う。  あわせて、カンファレンスを開催して実施するとなれば、サービスの責任体 制のところでサービス提供責任者がきちんと仕事をしなければならない。そう いうところを責務なり、その資質の向上といったことで充実をしていく。明示 的に情報の共有ということは出ていないが、情報の共有は基本であって、カン ファレンスをしなければサービスの向上は図れないのであり、ケアマネジャー とサービス提供責任者で情報の共有化を進めることを表したつもりで、他の職 種については説明した中でも共有化を図っていきたい。我々としては非常に重 要な問題だと思っており、1か所だけでなく複数の箇所で情報の共有化を進め ていきたい。   (野中委員)  情報交換をしているかが最も大事で、ここで言われていることは情報交換も しないでサービスをやっているととらえているのか。  本当に密な連絡でもってプランを立てるときにどうすればいいか。情報交換 とかケアカンファレンスと言うが、それが実際に困難であれば、何がそれに値 するのか。  それを明示しなければ、登録ヘルパーは情報を得られないという現実にもな りかねないし、そのことに対してどう理解し、指導していくのか。 (山崎総務課長)  ケアカンファレンスは大事だと思うが、ホームヘルパーの直行直帰の問題は、 それ以前の問題ではないかと考えている。いろいろなケースがあるが、直行直 帰のヘルパーのみが状況を知っている、もしくはほかのサービスがどう提供さ れているかそのヘルパーは知らないというような、ホームヘルプ事業所内で十 分な情報交換が取れていないケースもあると聞いている。これは働き方の問題 に関わるので、いろいろな面で十分検討する必要があり、現場からも改善を進 めてほしいとの要望もある。これにどう応えるか。今日はこういう形で問題提 起させていただいた。 (田中(雅)委員)  登録型ヘルパーについては資料にあるように4割という実態である。現場に おいてはそれ以上というのも現状である。その中でのサービスの質をどう図る のか。 サービスの質を確保するために、様々な方法があると思う。1つは、ファック スやメール等記録が残る方法によって、具体的に利用者の状況が登録型ヘルパ ーと事業所との間で共有が図られ、サービスがきちんと提供できることがある。  が一方現状では、単なる電話指示だけでは、具体的にその援助が利用者にと ってどのような効果を生み出すのか、ヘルパー自身も利用者の自立に向けた介 護というものが見えないままに行っているということもある。そういう意味で は、登録ヘルパーの問題ではなく、事業所側の問題であると思っている。しか し、現在の報酬体系ではそのようにせざるを得ないのも現状である。サービス の質をよくするために大事なことは、現在の時間単位、すなわちサービスを提 供することだけで給与が支払われる。訪問した時間のみが給与に反映する形は いかがかと思う。雇用形態が多様になりつつある中で、ヘルパーの定着率を高 める仕組みと報酬設定が必要である。また、登録ヘルパーは社会保障もないま まに働いている者が多いのも実態である。そういう意味では、介護労働は日本 経済が徐々に回復する中において離職者が増えて定着しないということも言 われているが、介護は人の人生や生活を支えるもので、働き手が自分自身の社 会保障が図られて本当に満足して従事するシステムをもう一度組み直す必要 がある。  今の報酬設定が時間に縛られ、しかもサービスの中身を問わない形はいかが かと思う。   (野中委員)  1つは常勤ヘルパーで社会保障も整備される人たちを職員として雇用する ことができる報酬が必要で、足りないのであれば、それは検討すべきだろう。  もう一つは、ケアマネジャーがお金さえくれれば担当者会議を開くとかいっ たことは、まさに自分たちの役割を忘れている。連絡調整の重要性をケアマネ ジャーにも認識してほしい。  登録ヘルパーについて社会保障がきちんと提供される報酬体系にしなけれ ばこの問題は解決できないと思うので、この件に関しては検討いただきたい。 (村川委員)  訪問介護については、質向上の観点からの目標管理をいかに進めるかが非常 に重要であると思う。  人材管理の側面とサービス管理の側面とあると思うが、人材管理については、 特に介護福祉士の雇用割合が現在少ないので、一定割合以上の配置などを根拠 に、例えば事業所で30%程度の介護福祉士を目安にした体制加算も考えていい のでないか。要するに、介護福祉士の雇用割合を高める意味での人材管理、研 修である。  もう一つの側面はサービス管理である。これは、サービス提供責任者及び訪 問介護サービス計画の関係について、これは監査等も含めてもっと強力に国と しても指導することが大事ではないか。また、今後介護サービスの情報公開も 進んでいくので、そういう点と併せて、サービス提供責任者を実効上いかに担 保していくか。サービス内容に精通したところでサービス管理をきちんとやっ ていく必要があると思う。そういう点では、この職については明確に介護福祉 士として規定すべきである。  ただ、離島・過疎地については1級ヘルパー等として若干柔軟であってもい いが、こういったところも最初のスタートを甘くすると問題があるので、そこ の条件付けをしっかりとした目標管理をしていく中で、この訪問介護について は量だけではなく、質的な高まりも期待できるのではないかと考えている。 (花井委員)  ホームヘルパーは、大変労働条件が悪いことについて昨年の介護保険部会意 見書、そして国会でも、指摘されてきた。資料に「人材の「資質向上」」とい うものがある。それから「サービス提供「責任体制」の確保」ということがあ るが、もう一つ、雇用管理の改善あるいは労働条件の向上というものを基本的 な考え方の中に入れていただきたい。サービスの質を向上させるためには研修 体制の強化と合わせて労働条件の改善、雇用環境の改善というのは欠かすこと ができないと考えているので、そのことを強く要請したい。  それから、報酬水準について、これもホームヘルパー、特に登録型のヘルパ ーを含め、賃金は低いことが問題になっている。配分の問題もあろうかと思う が、現在の段階でこの訪問介護の報酬水準を下げるべきではない。地域差とい うのも国家公務員の物価とか人件費を反映して設けられているが、これは現行 どおり残すべきであろう。それから、人材の資質の向上、雇用管理の改善につ いて、3級ヘルパーについて廃止することについては賛成したい。年限が入っ ていないが、3年後に介護予防の見直しが法律で規定されたので、3年後くら いが適当ではないか。  それから、サービス提供責任者については、責務を明確にするとあるが、も う少しその役割を明確にして介護報酬を新設すべきではないか。これだけの責 任を課して介護報酬が単独で付いていないことが現場から相当指摘されてお り、そのことがサービス提供責任者の役割を果たせない原因でもあるというこ とで、是非検討願いたい。  それから、サービスの質の高い事業所を評価することが記載されているが、 これも国会等で問題になったが、介護保険から給付を受けて、そこで事業を営 むのであれば、当然そこで働く人が労働関係法規の遵守、社会保険の適用を受 けるべきだろうと考える。そういう意味では、社会保険の適用あるいは労働関 係法規の遵守についても是非検討いただきたい。  それから、ホームヘルパーで一番心配なのが感染症の問題である。ケアマネ ジャーからその利用者が感染していることを知らされないため感染し、家族に も感染していく、あるいは別な利用者に感染するという深刻な問題も現場から 聞いているので、感染症対策や健診なども事業者の質を図るものとして是非、 要件に加えていただきたい。  それから、サービスの質の高い事業所について「ケア会議の開催、登録ヘル パーとの利用者情報共有」があるが、ここは直行直帰型を問題としているとい う理解でいいのか確認願いたい。  それから、栄養ケアマネジメントの一環としてヘルパーが調理の代わりに行 う短時間の配食云々とある。これは前々回のヒアリングの中で出ていた話かと 思うが、これは新たな類型として設けるのか。もう少し具体的なイメージがあ れば教えてほしい。 (三浦老人保健課長)  9ページのヘルパー活動環境の整備のところで登録ヘルパーの記載がある が、これは直行直帰をイメージした内容である。  それから、栄養ケアマネジメントの一環としての「短時間の配食・食事準備 サービス」だが、これを今の生活援助あるいは身体介護とは別の類型でという のでなく、そのサービスの中でこういうものを提供していくことを考えてはど うかということである。 (永島委員)  今までの介護保険は、どうもはじめにつくったときから認知症のことが抜け 落ちていたのではないか。前回、認知症のことは普遍として考えるというよう なことを伺って大変心強く思ったが、今度の改正点の中で特に認知症の人が使 えるサービスの形がどうもはっきりとつかめない。認知症の人は普通の人と同 じ暮らしをしたいということをずっと言い続けている。普通の人と同じような 暮らしをするためのサポートというものを介護保険の中で使えるのか。具体的 に言うと、認知症の人の介護は身体介護か、生活援助かということの区分が非 常にあいまいであり、例えば話し相手をするというようなことはだめだという ことを度々言われていた。  私が言いたいのは、脳も身体の一部であり、認知症の介護はその意味では身 体介護であるという認識を持っていただかないと、改正しても認知症の人はど ういうふうに使えるのかがイメージできない。「見守り介護」の部分を訪問介 護や通所介護の中でどういうふうにやっていくか、その辺が釈然としない。  それから、訪問介護、通所介護も、目的の一つに家族のレスパイトをはっき りと挙げられていることを確認していただきたい。  見守りの部分をどういうふうに訪問介護や通所介護の中でやっていくか、そ の辺がいまだに何となく釈然としない。 (古都振興課長) サービスの中で認知症の方のサービスをどうするか。今は身体介護、生活援助 という区分になっているが、これからそういう認知症の方へのサービス、認知 症ケアというものが次々と確立されていくのであるから、認知症をどう区分す るかという言い方はここではしていないが、そういうものを認識して組み込ん でいくようにしていきたいと思っている。、新しく類型化できるように、我々 にもう少し検討させていただきたい。  今、報酬体系案のところで1、2、3と出ており、将来的には機能別再編が あるのだが、その中で認知症の方にはどういうパッケージでどういうサービス がいいかが、将来もっと個別具体的になると思うが、まずは認知症の方へのケ アというものを現時点できちんとやっていかなければいけない。通所系サービ スでもそうするのであれば、訪問系サービスの中でも特に身体介護と生活援助 の中身の中できちんと組み込んで考えていきたいと思っている。表現上は出て いないが、そういうことを考えていきたい。   (永島委員)  今の答えで認知症のケアが普遍化されるのならばそのように全体を考えて もらいたい。それは教育やケアマネジメントなど全部含めて考えていただきた い。 (田中(滋)委員)  ヘルパーの報酬水準について、ヘルパーの労働条件の悪さは先ほど指摘があ ったとおりだと思うので、現在の報酬を安易に下げる方向に動かすべきではな い。もともと人件費が8割を占めるビジネスであり、ヘルパーの働き方は何も サービスをしているときではなく、移動時間やキャンセルへの処理、事務連絡 や担当者会議等々の部分も含めて実際にサービスのところに乗っているはず で、単に402単位がすべて人件費というわけではなく、直接サービスをしてい ない部分も含んでいる点数であることを考えていかないといけない。下げるこ とも検討してはという意味なら、私は好ましくないと思う。  同じく、地域差についても現在の経済の回復に伴って、特に好況な地域であ る都会では人員確保が難しくなっているという話もよく聞く。その意味で、地 域差はやはり必須需だと思う。その代わり、ヘルパーの質は高めないといけな いので、3級ヘルパーの減算は当然で、すぐにはいかないとしたらできるだけ 短く、例えば3年という案に私も賛成である。  それから、サービス提供責任者について、これは訪問介護計画をつくる上で 極めて重要なので、ここの質も重視すべきだと考える。ただし、報酬を付けろ というのはなかなか難しいのではないか。医療機関で院長の診療報酬とか、看 護師長がいるから報酬というのはないのであって、それは院長なり看護師長が 当然の責務はきちんと果たさなければいけないけれども、報酬というのはそれ ぞれのサービスに対して付くものなので、サービス提供責任をしているから報 酬というのは理論的に無理があると思う。  その上で、報酬体系について一本化するのは無理がある。一本化するという ことは、まさか高い方にそろえるということはないだろうし、広い方にそろえ るということもない以上、間になる。間になるということは、先ほどの統計を 見てもわかるとおり、軽度の方々の報酬が引き上げられ、重度の方々への報酬 が値下げになるという、全体の改正として重度の方に重く手厚くということが 目的だとすれば、これを一本化することは逆行してしまうのでそういうわけに はいかないだろう。  そうなると案の1か2だが、2の方が柔軟性が高いことになる。短時間の配 食・食事サービスなどの今までなかった業務形態について、こういったことを しやすくする上でも、案2の方がやりやすいのではないか。 (対馬委員)  ホームヘルプサービスの標準的なサービスについて、週1回であるとか毎日 とかばらつきがある中で月単位の定額というのはいかがなものか。やはり案の 1か案の3ではないかと思う。特に案の3については生活援助と身体介護の一 本化について前回の改定でも議論があったわけだが、最終的には現行の体系に 落ち着いたので、前回の議論を踏まえて何ゆえにまた今回出てくるかの検証が 必要であろう。  結論的には、案の1が現実的、または実践的ではないか。 (池田委員)  まずホームヘルプサービスはこの5年間でひろく使われたと思うが、かなり 問題を抱えていることは間違いないと思う。1つは行為別、機能別の再編が今 回は手がつかなかったことは、結局はホームヘルプサービス自身が標準化され ていないという現状を引きずらざるを得なかったことの反映だろうと思う。も ともと時間で切るというのはおかしな話で、私たちが散髪屋に行っても、30 分であろうが1時間であろうが同じ値段、できれば短い方がいいに決まってい る。そういう意味では、もともとおかしい中との見方で改定を考えなければな らないと思う。もう一つ問題は、在宅生活を支える基本はホームヘルプである。 しかし、現実にどのようなホームヘルプサービスが提供されているかを少なく ともデータ的に取れる回数や時間を見ると、要介護度が上がるに従って提供時 間は増えているが、個々人の分布を見ると要介護1であろうが、3であろうが、 5であろうが、ゼロから支給限度額いっぱいにばらまかれているのと同じよう に、全く個々人で見るとサービスの標準化は行われていない。つまり、かなり の人たちが本来はホームヘルプサービスで支えられるところが手抜きされて いることは間違いない。  そういう現状を考えて、では今度の見直しを考えると問題は2つある。区分 の仕方と、報酬水準の問題であると思う。  まず報酬体系については、案の2を支持する。最悪の選択は案3であろう。 この案3を行うと、ホームヘルパーの思いとは違って質の低下が起きる。つま り、悪貨が良貨を駆逐するということが必ず起きる。案の1と2は、結構似通 っているところがあるが、長時間利用を適正化するのか、それとも生活援助、 この部分はかなり標準化しやすいので、そこだけでもまず月まとめの包括にし ていき、前進させるべきではないか。  次に、介護報酬の水準は、身体介護は4,020円、家事援助が2,080円である が、これは人件費率何%との問題からホームヘルパーの賃金にも関わってくる 問題だと思う。私の記憶では、65%が人件費、30%が事務費、5%が少なくと も収益というような分離があって、その65%に国家公務員の調整給の率をかけ るとちょうど地域差になって計算ができる。そのような計算で始められたと思 う。しかし、実際は直行直帰を使わずにきちんとした経営をしているホームヘ ルプの事業者を見ると、人件費率はほとんど80から85%。しかも、65%で計 算しても4,020円の65%というのは2,613円。しかも、当然のことながら労務 管理費、社会保険費が要るので、実際上1時間当たりホームヘルパーにいくお 金は2,100円くらい。もちろん1日5時間やって1万円になるので、22万円程 度の月給になるが、やはり低い。そうすると、人件費率の見方をもう一回見直 す必要があるかもしれないが、現段階でこの介護報酬を下げると、おそらくホ ームヘルパーが集まらなくなる。集まらないと、そこで仕方なく集まってくる 人たちは決して水準の高いものだと思えない。そういった意味では、現行の報 酬水準を上げろというのはなかなか難しい時代なのかもしれないが、下げろと いうのはかなり非現実的ではないか。  それからもう一つは地域差で、現在一応地域差は付いているが、国家公務員 の調整給に見合って60%を付けているだけで、実は大都市部、東京、大阪ある いは近隣もそうだが、ホームヘルパーの募集をしても来ない。つまり、低過ぎ る。逆にローカルに行くと、結構いい値段なので人材がかなり確保できる。そ ういう意味では、地域格差を今更変えることはできないのかもしれないが、撤 廃すべきでない。  最後に、ホームヘルプサービスを向上させるためには、1つは、サービス提 供責任者をどううまくつくり上げていくかであり、これをきちんとつくると、 下手なケアマネジャーがつくるケアプランよりも優秀なホームヘルパーがつ くる訪問介護計画の方がはるかに重要で役に立っている。やはり、きちんと置 くべきだと思う。ただ、人材育成だけだと多分掛け声だけで結局なかなか進ま ないだろう。そうすると、インセンティブを与えるために特に注目されるのは その他にある栄養ケアマネジメントの一環としてのこういった位置付け、これ を逐次付けていくことだと思う。ちなみに、調理の代わりに配食を行うという ことだが、私たちは2,000円以上のランチを食べることはほとんどないと思う。 しかし、ホームヘルパーが1時間未満の調理でつくったランチは2,080円する。 これは、いかにも社会的に不合理だと思う。もともと介護保険が始まる前に枚 方市では24時間巡回介護を始めた時点から一切調理はやめ。やめて何をした かというと、ヘルパーが食事を持参した。そのことによって大きくコストが低 下するということと、実はホームヘルパーは1か月90食のうちおそらく10食 もつくっていないはず。そんなものは栄養管理にもつながらない。そうすると、 こういうような形で踏み込んでいく、そしてホームヘルプサービスを具体的に 向上させていく、そういうものを、幾つかこれからつくり上げていく必要があ るのではないか。  先ほど永島委員から、認知症ケアについて配慮がないのではないかと言われ て、私もそのとおりだと思うが、ただし、その理由は簡単で、通所系の認知症 ケアはかなり効果のあるものが発見され、開発されているが、訪問系で認知症 に関わる効果的なサービスは見つかっていない。それが見つかれば逐次組んで いくといった柔軟な対応をお願いしたい。 (木下委員)  ケアプランについて、本来ケアプランはアセスメントをして問題点が出てき て、利用者の目標や目的に沿ってサービスが組み合わされるはずだが、そこが どうもうまくいっていない気がするので、その辺何か改善する方策を考えてい るかお聞きしたい。訪問介護でも、行っているときにこのサービスをしてこい ではなくて、何のためにやるかが確実に伝わっていないとサービスの質の担保 も評価もできないので、その辺を改善していけばある程度解決するような気が するが、ケアプランについて今後何か検証なり、方針の変更だとか、考えられ ているかお聞きしたい。 (古都振興課長)  ケアマネジメントをしっかりと行うことが大切であることは言われていて、 もともと運営基準上もそれに近い形で組み込んでいる。しかし、なかなかそれ が実行できていない。そうすると、まずケアマネジャーの質をきちんとしなけ ればいけない。来年以降、ケアマネジャーについて更新制を導入するとともに、 二重指定制を導入することによって、より責任が明確になると思う。  そういう中で、これから研修のカリキュラムをつくっていかなければいけな い。試験を受けた後の研修もあるし、更に現任研修も充実していかなければい けない。あるいは更新研修の義務付けもしているので、まずそこできちんとし たケアプランをつくって使われるようにするためには、そのケアマネジャーの 資質の向上、特に養成、研修の過程は十分見直していきたい。 (木村委員)  例えば、食事の問題でも、中身は考えないで指示している状態があるが、こ れからは栄養のケアマネジメント等が導入されると一人ひとりの個別性を見 てどうするかを具体的に指示やカンファレンスなどで情報共有しなければな らない。  具体的には、例えば食事では、特に要介護度が軽い方に、利用者本人、家族、 サービス提供者の誰がメニューを考え、誰が食材を用意するか、誰がつくるか、 だれが配膳するか、また更に誰と一緒に食べるか、自分が食べるか、誰が片付 けるか、一連の行為がある。その中で、全部、訪問介護員がやってしまって、 こういう形になってしまっているのではと思う。なので、個別でどこができて なくて、どこを利用者にもやってもらい、どこを家族にやってもらい、その足 りないところを訪問介護員がやるという形が必要である。  そのときに、先程の議論では、その時間だけのことを考えているが、その利 用者の1日のリズム、1週間のリズムを全く考えないでされていることが問題 ではないか。なので、朝、昼、夜と3食を、誰が、いつ、どこで、朝は家で食 べるが、昼はデイで食べるなど、そういう形をトータルで見てトータルのケア プランが立てられ、その中で訪問介護員が何をどういうふうに具体的にするか がないと、全く話は進まない。  そういうことからすると、ひとつの行為として食事をとらえるのでなく、一 連の行為がある中でどういうふうにするか、一緒にやっていくのかが大切であ る。  そうでないと、前回までは新予防給付、介護予防の話をしてたが、介護給付 も維持改善が前提にあり、今の一連の行為のアセスメント、ケアプランがきち んとかみ合って連携できる形にしていければと思っている。  それから、3級ヘルパーは、期限付きでなくすということが前改定からの宿 題なので、その方がいい。報酬体系については、案2を支持したい。 (見坊委員) 高齢者の尊厳の観点から、皆で協力して制度をいいものにしないといけない。  しかし、新聞報道などで、この審議の状況が伝わっているが、考え方が二転、 三転しており、制度を評価して見直すとのことだろうが、利用者にとっては、 介護保険制度をどう活用すべきか考えながら努力している。  ここの審議の場では、非常に高いレベルの方向性を論じているので、その点 は評価するが、現場との乖離がますます著しい。ホームヘルパーの直帰直行に ついて論じられているが、ホームヘルパーは事業所に行ってもデスクがないの で直行する。ミーティングやケアマネジャーとの打合せやケアカンファレンス をやろうとしても場所がない。  こういう実態は、家庭奉仕員制度時代から続いている。報酬よりも先にその ことをヘルパーは言っていた。高齢者のために役に立ちたいので、その日の記 録を整理し、場合によっては、上級のヘルパーに指導を受けるといった時間が 欲しい、場所が欲しいと言っている。その辺は一体どう考えているのか。至る ところに空き家があったり、公共的な施設が空いていたりする。そこでホーム ヘルパーのための環境をつくってもらいたい。市町村あるいは事業所が共同し て工夫すればできるのではないか。通所施設や特別養護老人ホームなどが立派 になってきている一方、在宅の担い手である訪問介護が何か軽視されていて、 ただ労働条件だけで論じて、報酬を上げれば何とかなるだろうでは、解決しな いだろうし、専門職としての満足感も得られないだろう。  介護保険になったら変わると思っていたが、どうもそうではない。事務局で どう考えているのか。  なお、報酬については、案の3を支持する。 (山崎総務課長)  見坊先生の意見は、本当にそのとおりだと思う。当時を考えると、ホームヘ ルパーの介護報酬について、4,000円を目指すことが一つの目標であった。こ れ自体も大変な議論があったが、4,000円になればある程度展開していくだろ うという期待を随分した。しかし、それがサービス水準、もしくはヘルパーの 活動環境には必ずしも十分結び付かなかった面があることは確かであり、単に 介護報酬を設定することで問題の解決はできないことは明らかである。  逆に、サービスが足りないことが随分言われて、サービス事業の参入のしや すさを追求してきたが、それがサービスの資質の向上に結び付かなかった面も 確かにあるわけで、今回こういう形で議論しているのも、何度も変わるという のは大変問題があるかもしれないが、もう一度ホームヘルプについて、資質の 問題、資格の問題、サービス提供責任者の問題を含め、一から議論していただ きたいというつもりでお願いしている。 (横山委員)  登録ヘルパーについて、今まで議論があったとおり1人当たりの実働時間が 少なくて低収入であること、労務管理が十分でないとか、訪問宅とのトラブル といったものも耳にしている。やはりそこには直行直帰型あるいは登録ヘルパ ーとしてのスキルアップの問題があるのだろう。社会福祉協議会やNPOでや っている、いわゆる登録ヘルパーシステムが家庭奉仕員制度や住民の助け合い といった流れの中から出てきている。そして、そのままそれがサービス水準に なっている。その域から脱却できていないのではないかと思うわけで、そもそ も介護報酬としての対価を得る業態と言えるのか、労働実態と言えるのかとい う話があるし、見坊委員からもデスクやカンファレンスの場所もないという話 が出たが、それには疑問がある。  特に訪問介護においてはかなりフレキシブルなニーズを満たすということ でマンパワーが必要だと思うので、ヘルパーの40%を占めているこの登録ヘル パーのマンパワーが大切なのであろう。情報共有や技術の蓄積との指摘がある が、これは定期的な研修やケアマネジャーとの連携、サービス提供責任者とい ったものの連携をやはり義務づけることが必要ではないか。  それから3級ヘルパーの問題だが、前の介護報酬改定のときにも多くの疑問 が出されていたが、サービスの対価として報酬を得る業として最低限のレベル を2級に置いているのだから、減算されても3級ヘルパーを置くというのはお かしい。早い時期にこれは廃止すべきである。  報酬体系について、生活援助型の訪問介護についてはやはり家事代行を見直 しする過程でその人の生活全般をトータルで勘案する視点が重要ではないか。 機能的にできることと生活面においてできることは別だと思うし、特に一人暮 らしの高齢者にとっては現在の生活が維持できるかどうか、生活全般の視点で 考慮しなければならない。  生活援助型サービスにおいては多様なニーズがあり、自らも可能な生活行為 が違っている観点から、長時間の利用の問題の解消は必要だと思うが、月単位 の定額化は自立支援とは逆に家事代行になる可能性が強いのでないかという ことで、私は案1を支持したい。 (田中(雅)委員)  現行の訪問介護は、サービス内容も細かく規定し、時間で区切ったことによ って利用者にとって実は使いにくくなっている。現場においては漫然としたサ ービスが提供される要因ともなっている。  訪問介護は、限られた時間の中でサービスをやろうと思えば、ヘルパーは何 でもやってしまわざるを得ないというのが実態。また、そのようにしてもらっ た方が楽といった考えも利用者にあるかもしれない。  前回の報酬改定の議論にもあるように、家庭の中においては生活援助や身体 介護という区分に分けて行われるものではない。これらは一体になって行われ ている。居宅における訪問介護サービスは区分できないものがたくさんあり、 それ以外にも相談や助言、あるいはさまざまな社会復帰や社会参加に向けた具 体的な心理的なケアが行われている。そういう意味においてサービスは一体化、 一体的に行われなければいけない。であるから、報酬設定については案3を支 持し、なおかつ時間単位の評価ではなく、むしろ月単位の定額化を支持したい。 またサービス提供のあり方については、将来的は行為別・機能別再編を図ると いう書き方をしているが、既に介護予防の議論の中では、包括的ないし行為的 機能別の再編成を念頭に置いた形での議論があり、そのことが決まったにもか かわらず、介護給付においてはこのことができない理由が理解できない。既に 研究が進められると聞いているが、是非、間に合うように進めていくことが大 事ではないか。  もう一点、3級ヘルパーの減算については、やはり質の高いレベルのサービ スを利用者自身が望んでいる。また、研修や教育体型の短さを言うならば、3 級ヘルパーの減額はあり得るかと思う。ただし将来的に廃止するという案も出 ているが、実際にこれから多様な形でいろいろな人たちが介護というものに関 係するのであるならば、一般市民の方々に対する介護に関する教育ツールとし ても今あるような3級ヘルパーの養成体制は残すべきかと思っている。 (村川委員)  訪問入浴介護については、運営基準上、改定が必要と思われる。資料では、 現行の体系を基本としつつ、ケアマネにおいてその必要性を適切に判断とある が、他の訪問介護や通所介護には、個別サービス計画の規定があるが、現行の 訪問入浴介護についてはこうした計画が明確に位置付けられていない。  一部に、臨機応変に対応すればいいとの考えもあるが、比較的高い報酬が払 われている中ではその業務内容を明確化し、かつ衛生管理の確保等を含めて、 この際、訪問入浴介護計画といったような位置付けが必要ではないかと思う。 (休 暇) (井部委員)  訪問看護での緊急時訪問看護加算の体制だが、緊急時対応のため24時間の 連絡に対応しなければならないので、看護職員が常時必要となっているが、緊 急時訪問看護加算の届出をしているステーションは届出をしていないステー ションに比較して常勤の看護師を多く雇用しているという調査結果もあるこ とから、体制評価については十分な検討が必要である。  それから、特別管理加算だが、この評価では現行の一律での評価を見直して 処置の難易度に応じるとしていることについて、病状や状態の個人差があるた め、その基準については十分な検討が必要ではないか。また、該当項目が1つ でも複数でも一律250単位となっているが、該当項目が複数の場合は更に評価 をしていくことも検討する必要がある。例えば在宅自己腹膜灌流指導管理とか 血液透析指導管理、酸素療法指導管理など、かなり専門的な医療行為が高く入 っているので、複数でも一律の250単位というのはいかがなものか。それから、 介護保険の利用者が在宅で点滴を行う状況が発生しているが、必ずしも急性増 悪で医療保険に切り替わる状態ではない場合も多くあり、点滴注射管理につい て介護保険サービス利用者にも拡大を図り、特別管理加算で評価できるように 検討していただきたい。 (大森分科会長)   緊急時の点についての意見は、どういう趣旨なのか。賛同しているのか。 (井部委員)  「適正化する一方」の「適正化」という内容について、下げないようにきち んと評価していただきたいということである。 (大森分科会長)  事務局としては、適正化というと、普通は下げるという意味ですか。 (三浦老人保健課長)  まさに適正化ということで、どのように適正化するかはこの審議会で議論い ただきたい。 (石井委員)  15ページの「その他」のだが、「在宅の中重度者の口腔機能向上等の観点か ら」の文言を削っていただきたい。訪看ステーションにSTを配置することは 評価するが、それに対しては19ページの訪問リハのところでも申し上げるが、 ここの文言をそのまま入れていただければと思う。  「訪問リハビリテーションにおける言語聴覚士による訪問の評価と併せ」の ところで、「脳卒中による失語症で言語聴覚療法を必要としたり、嚥下訓練を 必要とする在宅要介護者に対し、言語聴覚士が言語聴覚療法又は、これを「摂 食機能療法」ではなく、「嚥下訓練を行った場合を評価してはどうか」という ふうに書いていただきたい。  なぜなら、歯科医療関係者の活動にSTの評価のみここで記載されることは、 私たちの活動に支障が生じるおそれがあるので。 (三浦老人保健課長)  この部分だが、現在行われているさまざまな取り組みを阻害するという趣旨 はないので、むしろ言語聴覚士の役割を更に追加してはどうかという趣旨であ るので、別にこれは報告書というのでないので、内容をよく調整させていただ きたい。 (見坊委員)  先日、新聞に出ていた医療ケア付きの介護の場を求めてという厚生労働省が 支援して行っているモデル事業の例が紹介されていたが、それがちょうど介護 報酬の今の論議の場に何か反映されるのか、されないのか。  実は、訪問看護も限界があり、どうしても預けなくてはならないということ が起こるが、それができない。それから、たんの吸引についてヘルパーはでき ないが、訪問看護のナースではやはり勤務契約で限界があるという実態がある。  実態としてそういうニーズがある。そして厚生労働省が補助金でモデル事業 をやっているならば、それは来春の介護報酬改定に反映するかのように検討さ れているような報道だが、どうなのか。今回せっかく現場で10か所もモデル 事業をやっているので、その辺の意図と、何か具体的に考えがあるのか、伺い たい。 (三浦老人保健課長)における附帯決議として、「難病など医療ニーズと介護 ニーズを併せ持つ在宅の中重度者への対応」ということが言われており、そう いう在宅の方をどのように支えていくかは非常に重要な視点ではないかとい うことで、見坊委員からも指摘があったとおり、幾つかの地域においてそうい う取り組みができるかどうか、中重度者の通所での支援が可能かどうかを議論 いただいてきたところである。  今回の資料では、31ページに「医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ在宅中重 度者等への対応」というセクションを設けている。その中で、指摘があったよ うな方々の支援というサービス形態があるかどうかという提案を申し上げて いる。  訪問看護との関係で言うと、「こうしたサービスについては、一般の通所介 護とはサービス提供単位を分けるとともに、主治医との連携体制や訪問看護な どの訪問系サービスとの連携体制を強化すべきではないか」ということで、こ ちらの側から訪問看護という言葉を書いているということであるが、全体とし ては通所介護の場面での議論をいただければと思っている。 (横山委員)  介護保険部会の報告書でも、ターミナルケアを含む医療ニーズへの対応とい うところに、介護保険と医療保険の間、あるいは在宅サービスとの間の給付調 整というものが報告をされているが、医療保険制度でも現在ターミナル期の保 険適用が議論をされている。医師の判断で医療保険の適用なのか、あるいは介 護保険の適用なのか、この辺りの議論がされていると思うが、この辺の検討状 況あるいは議論の状況について、できれば当分科会にも情報提供をお願いして おきたい。 (野中委員)  訪問看護は、住み慣れた地域で利用者が住み続けるために必要なサービスで あり、充実されることに関しては医師会として全く異議はない。しかし、緊急 時訪問看護加算については、緊急時対応するには常勤の看護師をきちんと配置 しないとできない。  それから、さまざまな医療ニーズがある方々をどうやって住み慣れた地区で 支援するかについて、安全面についても見逃してはならない。預かる側では、 その人をどうやって安全に介護するかが一番大事なので、ただ単に主治医との 連携を密にというだけでは、本当に安全は確認できない。主治医は病院に勤務 していれば、病院には複数の医師がいるので可能であるが、診療所では、24 時間365日1人の医師で任されている。訪問看護ステーションには、24時間体 制加算があり、対応してもらえるので在宅医療は可能なのである。でも、緊急 時体制をとるには常勤の看護師を数多く雇わなければならない。同時に我々も やはり在宅の中で緊急時対応をするには医師も複数いなければならない。  医師会と地区の医師が連携する体制はこれから構築しなければならないと 思っているが、訪問看護ステーション緊急時対応加算には複数の看護師を常勤 にすると同時に、在宅のターミナルには複数の医師と連携するか、あるいは複 数の医師が常にいなければ対応はできない。通所施設として重度者を対応する ときに、主治医との連携体制と言うが、そのことに対して医師として責任が負 える体制をきちんと構築しなければできないと思っている。やはりモデルでや ってみて、何が問題かを把握していただきたい。医師や主治医との連携体制は そんなに簡単ではないので是非検討いただきたい。  そうでなければ、主治医との連携はいつも医師は24時間365日1人でやっ ていかなければならない。訪問看護ステーションには、それだけの常勤を雇う から24時間連携体制の加算ができるということを認識いただきたい。医療保 険にも医師の連携を評価している部分はあるが、現状では容易にできない。医 師を複数雇うことができれば、可能と思うが、そのような状況における主治医 との連携を認識していただきたい。 (対馬委員)  医療と介護の関係だが、保険局と老健局の間でよく連携を保って議論いただ きたい。中医協でも10月12日に在宅の問題、それからターミナルの問題、こ うしたものについて議論をしたが、まだ具体的にはこれからなのでお願いした い。  在宅ターミナルケアの対応における要件の見直しについて、医療の世界にも あり、1か月以上看護指導をした場合にということだが、おおむね今の要件と 似ている。なので、患者や利用者の立場からすると、本来医療と介護はきっち り分けていればそれにこしたことはないが、承知のとおりなかなか整理が難し いので、できるだけ医療と介護で、できるだけ合わせるように、意思疎通を密 にしていただきたい。 (木下委員)  「24時間対応体制の強化」とあるが、利用者から見れば非常にいいことだが、 この体制を組むことは非常に努力が必要であり、その点は理解をしていただき たいということで、短時間の訪問が書いてあるが、そこで本当にそういう短時 間でいいのかをやはり議論しないと、連続してたくさん喀たん吸引や、そうい う処置が必要だという状況は想定できないので、いかがかと思う。  それから、「在宅ターミナルへの対応」に「家族への説明など」と書いてあ るが、ターミナルに対する家族の説明は誰がやることを想定しているかを伺い したい。 (三浦老人保健課長)  ターミナルケアということになればチームで対応する必要があるだろう。そ のためには、主治医の役割あるいは現場での看護師の役割、更にその方の身の 回りのいろいろな世話をされている介護の方々、つまり訪問看護の方々や、場 合によっては家族の方々がどういう役割を果たすかをうまく調整した上でタ ーミナルケアが提供されることが必要であると思う。そういう中で、このター ミナルケアの算定については訪問看護についてどうするかということであり、 訪問介護の職員、つまり現場に訪問する看護師自体がやはりその看護師として の役割を家族などによく説明し、万が一の事態が生じたときにどのように対応 するかということについてあらかじめ了解を得ていくことが必要なのではな いか。そういう点で、この説明というのはあえて申し上げれば訪問看護が行わ れる際の説明として行われるべきものだと考えている。 (木下委員)  訪問看護師が行うのはいいが、そのときにチームということで医師の意見が 必ず入っていないといけない。ターミナルでは非常に重要なことで、そこは確 実に押さえておいてもらいたい。 (池田委員)  例えばドイツとかオランダの訪問介護を見ると、1回15分以内で1日10回 から15回、回っているというのが平常のスタイルであり、それをするから、 ホームヘルパーが医療行為をやらなくていいということである。そういう意味 では、30分でも高いので、利用者側から見ると高級ヘルパーに見えてしまう。 訪問看護は始まってから伸び率が非常に低い。どこに責任があるのか考えてみ たが、いっそ大胆に15分以内というようなものをつくる。そうすれば30分以 内の半分に近い金額になるので、利用者も使いやすくなるし、現実にそれこそ 服薬とか、注射とか、そういったものは3分で終わる。だから、ここでは深夜 の場合で考えられているが、少し大胆に24時間に広げてしまってもいいので はないかというのが私の意見である。   (井形分科会長代理)  ターミナルについては、いろいろと調査をしたこともあるが、現実には医師 との連携はほとんどないまま行われていて死亡者が増えている。確かに死亡診 断書は医師が書くが、やはりこういう場でこそ介護と医療との接近を図ってほ しいというのが私の気持ちである。現実には在宅で亡くなる方が多いわけで、 その人たちに完璧な対応をしているかというと、そうではない。従って、少し でも前進するような形で、施設でのターミナルがこういう形で介護保険で取り 上げられることを希望したい。 (野中委員)  なぜ在宅での対応が不充分であるかは、家族に対する説明において、亡くな られる時は、どうやって亡くなられたかとの話から、家で亡くなりたいの希望 が前提にあるからである。ただし、病院は医師がそこに常駐して当直をしたり する。施設と在宅の在り方を全く混同すると、結局誰がやればいいのかという 話になる。家族にとってみればそれはそれで結構だという理解をいただくのは いいが、医療や介護を提供する側としてそれでいいのか。そこはもっと厳しく 考えるべきだと思う。なぜ在宅で医師と看護師とかさまざまな多職種の人々の 中で亡くなるのか。それはむしろ不幸という面でとらえる必要もある。確かに 医師が死亡診断をしなければ死後の処置ができない等、さまざまな問題もある ので、医師はその要請がある時には出掛ける必要もある。そのためにはどうい う体制が必要かということの中で本来の在宅ターミナルケアを適切に考えて いかなければ、それは患者にとって、人間の尊厳という部分でおかしいと思う。 その点に関して安易な形で在宅のターミナルをつくっていくことはおかしい。  患者の尊厳という部分で、さまざまな人たちがそこで看取りをするという面 で話をしているので、それはやはりその人を看取る、送るために必要と理解し ていただきたい。 (木村委員)  17ページの「具体的な論点」で、退院・退所直後に日常活動訓練を短期・集 中的に実施することを高く評価するということで、ここのところは大いに賛成 である。  一方、在宅医療との連携のところで、身内でこんなことがあった。有床診療 所で入院しているうちに歩けなくなってしまう等があり、できればその本人の 身体機能の問題はあるが、有床診療所の中でも歩ける機能のある人にはきちん とサポートがあり、更にこの退院・退所の連続性のあるリハビリテーションを やらなければ意味がないものになると思うので、医療と介護の連携のところと、 それからこの訪問リハ、通所リハのところも一緒であり、そういう連続性をき ちんとできる医療保険と介護保険の整合性を取っていただきたい。 (山田参考人)  17ページの「基本的な考え方」、それから「具体的な論点」に関して、退院・ 退所を中心に書いてある。それについて短期集中的に実施するサービスとして 位置付けをするというふうに書いてある。ただ、16ページの「訪問リハビリテ ーションに関するこれまでの指摘等の概要」の中で介護保険部会、あるいは高 齢者リハビリテーション研究会報告が書いてあるが、「退院・退所直後や生活 機能が低下した際に計画的・集中的に実施する。」「その機能の明確化を図り、 基準報酬について見直しを行う必要がある。」あるいは、高齢者リハ研ではこ れも同じような文言だが、「訪問リハビリテーションは退院・退所直後や生活 機能が低下したときに計画的に集中して実施するサービスとして位置付け、拡 充する必要がある」というふうに指摘されている。  介護保険の目標である高齢者の自立支援というとき、この「基本的な考え方」 に書いてあるような機能障害を中心にするようなリハも確かに大事だが、むし ろICFで言う活動と参加という維持期リハビリテーションあるいは生活機 能を維持するときに大切な役割、これをもう少し積極的に評価するような介護 保険の訪問リハビリテーションであるべきではないか。そういう意味では、こ れにもう少し生活機能の維持あるいは回復という視点で訪問リハビリテーシ ョンを提供することを評価するような文言の書き込みをしていただきたい。  それから、「具体的な論点」の中で利用期間による逓減制、これについては それなりの趣旨は理解できるが、やはり生活機能が低下した場合に、ではどこ でリセットをかけて、この逓減を元に戻すかという判断も必要なので、その辺 は技術的な問題だろうが、是非忘れないようにしていただきたい。 (石井委員)  「言語聴覚士による言語聴覚療法等の評価」のところで「言語聴覚士の言語 聴覚療法又は嚥下訓練等」に変えていただきたい。「摂食機能療法」は削除し ていただきたい。  なぜなら、摂食機能療法については医療保険でも歯科の評価があるが、介護 においては歯科のリハ系の評価がされていない。摂食機能についてのみ、ST のみの評価が入るということは歯科を現場から排除することにつながり、混乱 するのではないかと思うので、そこは「嚥下訓練等」に訂正をしていただきた い。 (三浦老人保健課長)  この件は、医療保険の訪問リハビリテーションについては平成16年に診療 報酬の改定が行われ、医療保険と介護保険の整合性を図れという議論から言う と、介護保険制度においても言語聴覚士による言語聴覚療法等を評価する必要 はあるのではないかという考え方を示したもの。一方で、石井委員が言われた ような歯科医療の関係者にどのように参画していただくかというのは、この件 とは別に検討していただくべき内容ではないかと思う。医療保険との整合性が、 ここでは審議になっているということを理解いただければと思う。 (石井委員)  中身はいいが、摂食機能療法となると非常に私たちがやっていることにつな がるので、嚥下訓練等にした方がわかりやすいと思う。 (三浦老人保健課長)  最後にどういうふうに書くかは、また調整させていただく。趣旨はそういう ことだということで理解いただきたい。 (木下委員)  17ページの「短期・集中的なリハビリテーションの評価」で、「利用期間に よる逓減制を導入してはどうか」とあるが、回数制限についても同時に検討し ていただきたい。  「訪問リハビリテーションの利用期間」だが、これは件数についてのデータ があれば教えていただきたい。  19ページの言語聴覚士の評価は、いいことだと思う。  リハビリテーション実施計画書が医療保険と介護保険で若干違うところが あるので、その辺は整合性をとって両方利用できるようなシステムにしていた だきたい。 (大森分科会長)  この件数のことはどうか。 (三浦老人保健課長)  17ページの表だが、上の表が「訪問リハビリテーションの利用期間」につい て、月数でどれくらいかを示したもので、その下が同じ標本について何か月間 利用されていた方かを示したもので、1,659の件数のうち、例えば25か月以上 連続して利用された方が515件であったという数字である。 (井形分科会長代理)  感想というか、希望を述べておきたい。  介護保険の内容が徐々に専門化し、いろいろな人が評価し、介在することは 非常に喜ばしいことで、賛成であるが、ケアマネジメントを入れたのが介護保 険の特徴の一つであった。それは、どんなことも介護に関することの最後の結 果まで見てフォローするという役目がある。しかし、ケアマネジャーが全部を 専門的にできないが、新しい介護予防もケアマネジメントの一環だという視点 をもっていただきたい。例えば介護予防の3つの選択も、その選択チームだけ がやって選択チームだけが評価するのではなくて、ケアマネジャーが関与する、 栄養管理もいろいろな人が相談する中にケアマネジャーが入ることを希望す る。 (野中委員)  居宅療養管理指導については、医師の場合、訪問あるいは往診してケアマネ ジャーに対して情報提供、あるいは介護者に対して介護サービス利用について の指導をする上において、月2回まで算定できるとなっている。これは医師の 訪問診療あるいは往診という条件もあるが、このことが理解をされていない。 この利用者は要介護3、4、5で患者宅に訪問する、あるいは往診する。また それ以外の方々に対してどうするのかが理解されていないことが、ケアプラン が適切につくられていない大きな要因である。訪問しない患者に対して医師は、 医療保険の診療情報提供Aの注の2に居宅介護支援事業者と書いてあるため、 医療機関に訪問されている介護保険を利用する患者に対するケアマネジャー への情報提供は、医療保険で確保されている。「サービス担当者会議開催時の かかりつけ医の対応」にて、かかりつけ医の対応で「会議に出席してくれる」 のは8.3%と報告されているが、これは実際にはケアマネジャーがすべて要請 しての数字かというとおかしな話と思う。  この居宅療養管理指導ではケアマネジャーに対してどう情報提供するかが 一番大事なので、その辺を明確にしてほしい。特に、介護予防居宅療養管理指 導は介護予防をする人に往診や訪問があるわけがない。ただ、そこに情報提供 があれば、もう少し名称を変えるなどしないと実際にこの居宅療養管理指導が 的確に理解されないし、このことがケアマネジャーと医師との関連の中で大き な問題になると認識しているので、このことについてどう厚労省が考えている かということを是非お聞きしたい。 (三浦老人保健課長)  居宅療養管理指導は、指摘のように、在宅で通院ができない方を対象とし医 師が自宅を訪問する。その際に、居宅において療養するための必要な指導を行 うことがまず基本である。  同時に、居宅において生活をするためにはさまざまな方が関与する必要があ る。その中で医療の位置付けは大変重いわけで、その部分を一歩でも進める必 要があるのではないか。特に大事なことは、ケアマネジメントの過程において 医師の意見が基本にあり、それに基づいてさまざまな関係者が関与していく仕 組みをつくっていくべきとの観点から、ここには情報提供という言葉が書いて いるが、実態としてはケアマネジメントにおける医師の役割をもう少し強化し てはどうかというのがこの趣旨であり、その名称としての情報提供が適切であ るかどうかは更に検討させていただきたい。 (石井委員)  「歯科医師による居宅療養管理指導」に関して、歯科においては訪問診療を 実施してもケアマネからサービス担当者会議への参加呼び掛けが、ほとんどな いのが実情。なので、指導助言と情報提供医を分けるというが、医師・歯科医 師への参加の義務付けでなく、医師・歯科医師の参加しないサービス会議を評 価しないことの方が効果的ではないか。参加の在り方も、会議の方と文書、メ ールあるいはファックス、電話等を考慮してはどうか。  それから、「管理栄養士による居宅療養管理指導」で、栄養ケア計画を管理 栄養士が立てるときに、もっと歯科医師と協力して行うことについては、アセ スメントは管理栄養士が行い、必要に応じて歯科医師の意見を聞くという理解 でいいのか。  それから、「歯科衛生士等による居宅療養管理指導」で、「歯科医師の指示書 に基づく指導内容の充実」は具体的にどのようなことを想定されているのか。 というのは、医療保険においては一本化されており、歯科医師の指示に対する 指示加算が評価されている。介護保険ではどのような評価がされているのか。 (三浦老人保健課長)  管理栄養士による居宅療養管理指導について、栄養ケア・マネジメントにお いて管理栄養士が主軸になって仕事をしていくことはあると考えている。ただ、 その中で多職種協働、つまりさまざまな関係者が関与しなければ管理栄養士一 人では業務ができない。それは、先ほど指摘があったように摂食、嚥下の機能 も踏まえて、例えば食形態も勘案しながら、栄養ケア・マネジメントを行うこ とになり、その際、医師、歯科医師を始めとした関係者がいろいろなアドバイ スを提供することは大事であり、そういう関係職種との連携が重要だという意 味で、医師・歯科医師を始めとした職種が列記されていると考えている。医師・ 歯科医師が具体的に管理栄養士とどう連携していくかについては、更に検討を していきたい。  それから、歯科衛生士に関する部分について、「歯科医師の指示書に基づく 指導内容の充実」ということだが、従前、歯科衛生士の役割として、特に口腔 内の衛生の管理、清潔をどのように保つかが重点として行われてきたが、指摘 のように、口から食事をとることをどう重視していくかということについて、 摂食・嚥下の機能にも関与しながら、業務を行っていただく必要があると考え ている。そういう意味で、歯科医師からの指示書に基づく指導内容としては単 なる口腔内の清掃だけではなくて、口腔機能の向上に関する指導を実施してい ただきたいとの観点から、指導内容の充実を図ることを記載している。 (井部委員)  「管理栄養士による居宅療養管理指導」について、栄養ケア・マネジメント は非常に重要であり、特に訪問看護サービスの場合、訪問看護師が健康状態や 生活状況などをアセスメントしながら、既に栄養管理を実施している状況があ り、十分に連携してサービスを提供する必要があると考えているので、この「医 師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士等」と、「等」の中に一括されるのは、は はなだ不本意であり、やはり訪問看護師はきちんと位置付けていただきたい。 (大森分科会長)  この「等」の中に入っているのか。 (三浦老人保健課長)  ここは排除の理論はないので、なるべく多くの方に加わっていただくことが 大事だと思っている。 (木村委員)  ここは日本薬剤師会として発言させていただく。20ページで、薬局の薬剤師 が訪問する場合は月4回が限度に今はなっている。それで、まず医療保険との 整合性のことでお願いがある。さきほど来、ターミナルの話が出ているが、が ん末期患者において医療保険では現在月8回まで訪問できる。麻薬の管理は薬 剤師のみの仕事であり、医師・看護師のチームの中に当然薬剤師が入ってくる ので、医療保険との見合いでいくと、要介護認定を受けていると当然居宅療養 管理指導のみの指導しかできない。逆に認定非該当であれば医療保険で8回ま で行けるということになる。医療保険、介護保険の整合性をとっていただき、 がん末期患者に対して薬剤師が大いに関わっていきたい。  それから、薬は、食べる、眠る、排泄、移動という暮らしに大きく影響して いる。なので、今までは医師、歯科医師には情報提供をきちんとしてきたが、 これからは、ケアマネジャーをはじめとした関係職種にもきちんとその影響を 情報提供していきたいと考えている。これは薬剤師の義務と考えている。 (見坊委員)  新聞で介護予防サービスにつきまして通所施設に成果主義を導入する方向 で論議が進んでいると報道されて納得がいかないという感情を非常に強く持 っている。  高齢者は、自分たちの健康を守り、できるだけ病気になったら回復する努力 をする。医師の指導も十分に受け入れて努力をして回復する。そういう方向で 皆、頑張っているが、もともと介護や医療により健康の保持、自立を維持する ことを目的とする施設に身を預けている。  それが、一定の成果とは、どういうことなのか。成果が上がらない場合はど うなるのか。成果が上がったとはどのようにして評価するのか。成果が上がる と報酬が高くなるなら、今、出している報酬は低い方に合わせているのか。こ れが失敗した場合はどうなるのか。医療施設や介護施設は、専門的にサービス 提供をしているはず。また、極端に言えば、そういう専門家がいなくても努力 して自立している人もいる。したがって、報酬によって、成果を上げる方向に 誘導しようということは高齢者としては到底理解ができない。この点は、既に 介護保険が始まるときにも論議をされた。しかし、事務局の進め方としてそう いう方向に進めていると見られることは大変残念に思っている。 (大森分科会長)  今の意見は参考資料2についてだが、これは介護予防の新しい仕組みとして 導入することについて、本分科会としてはワーキングチームに早急に検討を依 頼をし結果が上がってきたもの。なるべく早い時期にこの文章を委員に目を通 していただきたいという趣旨で本日配っているので、本日このことについて検 討するつもりはない。なので、改めて、これを読んでいただき、意見を出して いただきたい。しかし、見坊委員の意見は伺っておくということにさせていた だく。 (山崎総務課長)  今の件について、今回は資料提出だけにさせていただくが、できたら、次回 にでも議論させていただきたいと思っている。 (野中委員)  通所介護や通所リハビリについては、従来の考え方では、利用者、家族にと っては適切なサービスにならない。やはり発想の転換が必要である。  特に通所介護・通所リハに軽度者だけという傾向は本来おかしい。一方で、 重度者が行けるためにはどうしたらいいのか。この議論をもう少し慎重にしな ければいけない。  重度者を受けるためにはどうしたらいいのかという議論がまだまだ足りな い。現行で行うなら、医療機関との併設の通所介護、通所リハをもっと活用す べきである。  実際に業としてそれらのサービスを安全に提供するには、それを受ける方々 の安全を第一に考えなければならない。なぜ通所リハとか通所介護は軽度者な のか。重度者が急変したら困るからということなので、その辺を考え、設備、 人員などをきちんと検討しなければならない。  医療との関係はただ単に主治医との連携体制という簡単な言葉では承認で きない。 (石井委員)  「栄養改善、口腔機能の向上、若年認知症への対応」の「個別の栄養ケア・ マネジメントや口腔機能向上の実施を」の口腔機能の向上が、新予防給付にお ける介護予防サービスの口腔機能の向上の内容やサービス担当者が基本的に 同じという理解でいいのか。  訪問看護、訪問リハでの言語聴覚士による言語聴覚療法は、嚥下訓練といっ た狭い意味での口腔機能向上ではないということの確認をしたい。 (三浦老人保健課長)  多くの事業所は、おそらく軽度者に対するサービスつまり予防給付と重度者 に対するサービスを同じ事業所で行っていくことになるだろう。  そういう中で行える限りのことをしていただくことからすると、ある程度共 通性を持たざるを得ないのではないか。例えば体制や考え方、これをどのよう に分けていくかについては、重度者に着目した要件をどの程度かけるかについ て議論いただきたい。  しかしながら、その行うべきこととしては口腔機能の向上なり、栄養の改善 というものを目的として行う業務であるので、そこに例えば現状のリハビリテ ーションの施設として持ち得ない、過大な施設、人員などの要件をかけるとい うのは、なかなか厳しいと考えている。 (沖藤委員)  在宅で重度の夫や親を介護している方々から、長期間の介護のつらさを制度 に反映することはないのかとの話を個人的に受けており、29ページの2つ目の 丸の記述は、これこそ重度の看護を長期間やっている家族のつらさというもの を制度の中に組み込む一つの方法だなと思ったが、家族の気持ちは実はレスパ イトすることの切望と恐怖を両方混同して持っている。特に義理の関係での介 護になると、自分が休息している間に親に何かあったときに自分の立場はどう なるのか。レスパイトすることの罪悪感というものはやはりある。  そこで、移送の方法がどのような形になるのか。素人ながら重病状態にある 人を動かすと、やはりかなりのダメージがあるのではないか。家族への説明と 同意をだれがどういう形で行うのか。この点が明らかでないと安心できないと 思うのだが。 (三浦老人保健課長)  移送の問題については、大変重度な方が入ってくることになるので、健康管 理についてはかなり丁寧にやらなければいけない。現在モデル的に行っている 範囲で申し上げると、看護師が自宅に伺って、健康状態のチェックなどをし、 その上で安全が見込まれる方について一対一の対応で介護をする場に来ても らっている状況である。なお、安全確保の方法論については、更に検討してい きたい。  それから、利用者に対する説明と同意については、サービスの内容などにつ いて十分に説明するが、通常のケアマネジメントの方法、そして個別のサービ スを提供するに当たっての説明と同意というプロセスをたどるものと考えて いる。 (池田委員)  これまで通所系サービスはどちらかというとお年寄りの預かりばかりが強 調されて、中身の機能が余り整理されてこなかった気がする。  一般的にデイサービスは3種類に分けて考える。クラブデイ、リハビリデイ、 ナーシングデイという機能分担があってしかるべきで、そういった面から言え ば、今回のこの考え方はそれなりに前進したのではないかと思う。  例えば、100人を一堂に集めた100人デイというのが結構見られるわけです。 一体何をやっているかというと、クラブデイです。事故を起こすのが怖いから 座らせっきりの置物ケアか、皆で一緒に体操をしていればマスゲームデイ、20 人ずつに分けてそれぞれやっているから、完全に学級崩壊デイになっている。 これに1人当たり8,000円払われている。  しかも、一体どこがやっているかというと、老人保健施設が一番やっている。 なぜかというと、老人保健施設でデイケアをすれば、医者1人で106人までで きるからである。そういったものをどう整理していくか。もう一つ、本当に必 要なナーシングデイをどうするかということである。現在ナーシングデイがな いお陰でだれがひどい目に遭っているかというと家族がひどい目に遭ってい る。それを31ページの最後のところで出されているということで、私はこれ について積極的に評価する。  医療機関の付設が最低条件だというが、今までのデイケアの100人デイとい うのは老人保健施設で医療機関付設だった。とても信用できない。むしろそう いった問題ではなく、設置基準をどうするかが問題である。  しかも、おそらく本当にくたびれている家族はこれを熱望している。熱望し ているときにそれを拒否する、遠ざけることは非常にまずいので、どうやって うまくつくっていくか考えてほしい。  それから、クラブデイとリハビリデイの分け方というのは介護予防でかなり 明確になったので、その考え方をもう少しこちらにも推し進めていただきたい が、少なくとも大規模デイについては幾ら何でもということがあるので、かな り大きな段差を付けた逓減制を考えるべきではないか。  ちなみに、私は介護保険の給付分析をやっていて、全部の保険者を全県につ いて行った。すると、給付が高くて保険料が高い原因は、おおむね3つに分か れる。1つ目は療養型病床群が突出していること。2つ目は、老人保健施設が 突出していると同時に通所系サービスが突出している。3つ目は、すべてのサ ービスがいっぱいある沖縄や徳島のようなパターンである。  そういった意味では、介護保険の給付を押し上げている要因のかなり大きな 原因は医療系サービスにあり、そういった意味でお金を使ってもいいわけだが、 そのお金が有効かつ効果的に使われているかということを勘案しながらこの 通所系サービスをもう一回見直す方向として、私はこれを80から90%支持で きる。 (山田参考人)  すべての老人保健施設が100人デイをやっているわけでもなく、又、大多数 の老人保健施設は通所リハビリにまじめに取り組んでいることを理解いただ き、誤解がないようにしていただきたい。 ○大森分科会長より閉会の宣言 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)