05/10/21 第6回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会の議事録について 第6回労働政策審議会労働条件分科会最低賃金部会議事録 1 日 時  平成17年10月21日(金)10:00〜12:05 2 場 所  経済産業省別館1014号会議室 3 出席者    【委 員】公益委員   今野部会長、勝委員、田島委員         労働者側委員  加藤委員、須賀委員、石委員、橋委員、                 中野委員、横山委員         使用者側委員  池田委員、川本委員、杉山委員、原川委員                     【事務局】厚生労働省   青木労働基準局長、松井審議官、熊谷総務課長、                 前田勤労者生活課長、名須川主任中央賃金指導官、                 山口副主任中央賃金指導官、梶野課長補佐 4 議事次第    (1)最低賃金制度の在り方について    (2)その他        5 議事内容 ○今野部会長  ただ今から、第6回最低賃金部会を開催いたします。  本日は石岡委員、武石委員、中窪委員、竹口委員、前田委員がご欠席です。早速議題 に移りますが、本日は「地域別最低賃金の在り方」について議論したいと思います。そ の前に、前回の産業別最低賃金の議論を踏まえて修正した資料について、事務局から説 明をお願いいたします。 ○前田勤労者生活課長  資料1−1の1頁「産業別最低賃金の在り方に関する意見の整理」ということで、ア ンダーラインの所が、前回の部会でのご意見を追加した部分です。  一番下で、産業別最低賃金について業績がいい大手企業と悪い中小企業を同列に扱う のは問題である。個別企業を無視した審議となってしまうので、産業別最低賃金は廃止 すべきというご意見です。  2頁の一番下です。現在の産業別最低賃金は、昭和56年、昭和61年の答申によって、 労使のイニシアティブで必要なものについて設定するということで、現在250件となっ ているのですが、労使が必要性があるということで決めてきた経緯がある。これまでの そうした経緯を否定して屋上屋で廃止、地域別最低賃金は高いから廃止というのは、そ ういう経緯を無視しているのではないかということで、産業別最低賃金について、どの 部分がどう悪いかといったことを議論すべきではないかというご意見です。  3頁では産業別最低賃金の産業のくくり方については、答申においては原則として日 本標準産業分類の小分類又は細分類で決められていますが、実際にあるものとしては中 分類以上のものが圧倒的に多くなっているので、産業のくくり方については、産業ごと の実情を踏まえた柔軟な対応が必要ではないかというご意見です。  基幹的労働者の定義について、労働者の技能とか職務を中心としたポジティブな定義 にしていくことが重要なのではないかというご意見です。  さらに、雇用構造の変化の中で派遣とか請負といったものについても、きちんと産業 別最低賃金が適用されるべきというご意見です。  さらに、短期的な見方だけではなく、ある程度のスパンを考えて、この最低賃金制度 が労働市場の中でどう機能するかを検討することが重要であろう。社会的能力開発とリ ンクした処遇システムも重要ではないか。その中で公正な賃金決定や団体交渉の補完機 能を果たす産業別最低賃金が、積極的な役割を発揮させるようにしなければならないと いうご意見です。  これに対して、能力開発は社会として必要であるが、能力が高まったことで、ただち に賃金が高く決まるというわけではない。賃金はあくまで、どういう仕事でどういう役 割かという需給関係で決まる。そういうことから仕事に対する対価ということで、能力 が高まるということは、高い賃金の職に就けるという選択肢が増えることにすぎないの ではないかというご意見です。  それから基幹労働者の定義について、これも昭和56年あるいは昭和61年答申のときか ら、ポジティブな定義という理念はあったということですが、現在までネガティブリス トでやらざるを得なかった。雇用管理の現状や履行確保の観点からも、十分考慮した判 断をすべきではないかというご意見です。  4頁です。賃金制度も変わりつつあるのではないか。需給関係で決まるといっても、 需要側のオファーの仕方としては「こういう仕事」とか「こういう労働者」といった形 など、様々なものがあるのではないかというご意見です。  この産業別最低賃金の枠組み変更については賛成できない。そういうことについては 各企業の労使自治に任せるべきである、というご意見があります。  それに対して、産業別最低賃金が適用されているところについては集団的労使関係が 成立していなくて、そういう需給関係だけに任せられないところからある制度。組織率 も低下している中で、公正賃金決定ということが重要である。現在、企業内労使自治が 極めて狭い範囲でしかない。社会全体に効果があるものとして、産業別最低賃金が必要 であるというご意見があります。  産業別最低賃金の罰則についてです。罰則については、最低賃金をどのように周知徹 底して履行確保を図るかという観点もあるので、そうした観点からもしっかりと評価、 判断すべきというご意見です。  さらに、セーフティネットについては地域別最低賃金に任せるべきということで、今 の最低賃金はセーフティネットとして不備があるので、きちんと整備すべきであるとい うご意見です。これに対して、産業別最低賃金は公正競争とか、労使交渉の補完という 役割はあるが、セーフティネットとは違うということで、産業別最低賃金について仮に ポジティブリストといった形で変えるとしても、その役割はセーフティネットとしての 地域別最低賃金とは違うのではないか、というご意見があります。  5頁では、産業別最低賃金の要件等についてです。1つは、審議について労使イニシ アティブの発揮という観点からも、当該産業に直接関わる労使が参加する専門部会にお いて、必要性審議と金額審議を一括審議すべきではないかというご意見です。  さらに議決方法について、現在「全会一致に努める」ということで運用されています が、そうした運用については民主的運営の面からも問題ではないか。仮に1人でも反対 すれば、必要性がなしということになるということで、むしろ多数決制を採用してはど うかというご意見があります。  6頁は労働協約の拡張方式についてです。これについては労働市場に対する実効性や 影響力が軽微であるということで、廃止すべきというご意見がありました。  前回のご意見の追加、修正等については以上です。 ○今野部会長  今の説明にご質問ございますか。特に池田委員と横山委員は、時間がないから終わり というので切った経緯もありますので、何かありましたら。 ○横山委員  簡単に2点だけ、繰返しになる部分もあるのですが、1つ、私が流通小売が多い所に 所属をしておりますので、その現状も踏まえてということで。ご承知のように、今、短 時間勤務というのが1,500万人ぐらい増えていて、流通小売、それからサービス業とい うところで7割ぐらい占めているかと思います。私が所属をしているのはサービス流通 連合で、主にスーパーマーケットとかチェーンとか、その他の家電であるとか、いろい ろな販売サービスに従事している者がいる所です。そこでも組織化をしているのですが、 日本全体でみると、連合を含めいろいろな所で組合員というところでいくと、3%台と いう結果になっています。ここで1点は、労使自治で決めてというところはありますが、 このように数は増えているのに、なかなかその中では組織がされていないという現実を 踏まえていけば、産業別最低賃金の果たす役割というのはなくしてしまっていいものか というのが、まずは1点です。  その上で、もう1点は、現実に今、どういう人たちが働き方で増えているのかという ことで申し上げたいのです。大体、今、流通の現場でいくと、パートタイマーというよ うな言い方をしているのですが、それぞれパートタイマーといっても、各社様々なので す。主に週に2日から5日程度働く、そして時間帯もばらばらです。最低ですと12時間 ぐらいから35時間未満というのが、一番大半かと思います。もう1つ、そういったパー トタイマーが多いのが、主にチェーンとかスーパーマーケットといった所が多いのです が、もう1つは契約社員という有期の部分です。もちろんパートタイマーも有期の部分 はあるのですが、労働時間がほとんど正社員と変わらないような形で1年未満、1年前 後というところの有期で働く人が多くなっています。もう1つ、最近特筆すべき部分は、 派遣のところです。派遣社員で、もともとメーカーと契約をして、職業紹介のような所 で働く先が小売というのは過去からあったのですが、そうではなく派遣社員というのも 増えています。特に、最近みられるケースは、派遣会社に最初から店で働いていて、例 えばそこを半年ぐらいたつと、まずは契約社員になり、そこから今でいう社員というよ うな働き方になっている所へ行く。  縷々申し上げましたが、何がここで言いたいのかというと、そういった人たちが増え ているという実態を踏まえて、ではそうした人たちがどういう仕事を今度担っているの かというところでみてまいりますと、特にパートタイマーや契約社員の中でしていきま すが、そこの中では均衡とか均等を言われていますので、それはちょっとまだ正式に、 ではこういうことが均衡だ、均等だということは明言することはできない、それぞれの 中で今やっている最中であるという形で認識をしております。少なくとも、以前よりは っきり言えるのは、単純業務だけでなく、基幹的な業務を担っている。特に店長の下以 外はパートタイマーで、例えば受注、発注、品出し、在庫管理などもやっているという ことで、ちょっと細かくなってしまいましたが、そういった店舗の基幹的役割を担って いる人たちが確実に出てきているということを申し上げます。  そこで申し上げたいのは、基幹的労働者の中の定義というのも、例えば産業によって も違ってきていますし、今、違いも出てきているところを踏まえて、そういう基幹的業 務を担っているということだけ申し上げて、そこの部分で、前回の議論の中で話をした ように、たった今、だからそこを外すというところの大きな分け方では、今はもう対応 できないということです。この2点だけ、すみません、長くなりました。以上です。 ○今野部会長  池田委員、何かございますか。 ○池田委員  結構です。 ○今野部会長  他にご質問ございますか。よろしいですか。  それでは、今日の本題に入ります。まず事務局から資料の説明をし、それから議論を したいと思います。 ○前田勤労者生活課長  資料1−2はこれまでの意見の整理ということで、前回までのものと同じですので、 説明は省かせていただきます。  資料2−1は「地域別最低賃金について」で、簡単に現状とこれまでの意見を整理し ています。1頁「安全網としての機能について」です。まず現状を総論的に整理してい ます。昭和51年にすべての都道府県において地域別最低賃金が設定されました。その後、 昭和53年から毎年、中央最低賃金審議会において目安を提示しています。この目安は、 47都道府県を各県の経済状況等に応じて4つのランクに分け、ランクごとに引上げ額の 目安を提示しています。引上げ額の基になる引上げ率については、昭和55年度以降は同 じ率を用いて出しています。その目安を参考に、地方最低賃金審議会において地域別最 低賃金額について審議をし、都道府県労働局長が決定しています。現在の金額は、平成 17年度は時間額が一番低い所が608円、一番高い所は714円で、加重平均でみると668円 という状況です。地域別最低賃金について、使用者が最低賃金額以上の賃金を支払わな い場合には、最低賃金法上は1万円となっていますが、罰金等臨時措置法で実際には2 万円となり、2万円以下の罰金がかかります。  これまでの意見ですが、地域別最低賃金については、安全網として適切に機能するよ うに、その決定については、様々な要素を今まで以上に総合的に勘案すべきとあります。  地域別最低賃金について、最低生活費あるいはパートタイム労働者・アルバイトの賃 金、あるいは初任給等に比べてもはるかに低いということで、賃金実態を十分に反映で きていない。諸外国と比較しても、影響率も低いということで、実質的なセーフティネ ットとして有効に機能しているとはいえないのではないか、というご意見です。  一方、地域別最低賃金について、生活保護などのように一定の基準に基づいて決めら れるものと異なり、決定基準である3要素を中心に様々なデータを総合的に勘案して、 公労使による話合いで時宜にかなった決定を行ってきたということで、地域の特性や現 実に即して決定し、これまで積み上げてきた。未満率も低い結果となっているというこ とで、安全網としての役割を果たしてきたのではないかというご意見です。  さらに、この水準については地域の自主性、地方自治という中で決めることが重要で あるということで、中央においてその水準について議論すべきではないのではないかと いうご意見です。  さらに、企業の賃金交渉においても、水準の議論はあるのですが、結局引上げが賃金 交渉であり、最低賃金も同様である。絶対額といっても、なかなか実態がそぐわないの で、議論が宙に浮くのではないか。  さらに、地域別最低賃金の改定について、下方硬直性の是正あるいは経済実態を反映 した諮問の実施の観点から、在り方を抜本的に検討すべきではないかというご意見です。  産業別最低賃金の見直しに合わせて、この地域別最低賃金についてこれまでの経緯を 無視して水準の調整を図ることは反対であるというご意見があります。  これに対して、地方の審議というものが現実の問題として目安をベースに、どれだけ 引き上げるかという議論になって、どうしても目安に引っ張られている。3原則をみて 妥当な水準というものを本来議論すべきであるが、それがなかなかできないような実態 にあるということで、自主性といっても、目安制度と連動してしまっていて、なかなか 自主性の発揮が難しい状況にあるというご意見です。  この部会において制度の議論をするということで、水準を含めて議論すべきではない かというご意見です。  次は2番目の「決定基準について」です。まず、現在最低賃金法第3条で、「最低賃 金は、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力を考慮して 定めなければならない」ということで、3つの要素が法律上、考慮要素として定められ ている。地方最低賃金審議会の金額審議においては、中央最低賃金審議会により提示さ れた目安や様々な資料を総合的に勘案して、地域別最低賃金の金額を決定しているとい うことです。  特に、中央最低賃金審議会の目安審議の中で、重要な参考資料として、賃金改定状況 調査があります。これは毎年、企業規模30人未満の小規模企業の賃金の引上げの状況 を調査し、1つの参考資料としています。それについては、小規模企業の賃金の引上げ の状況を調査しているというのが、現在の状況です。  これまでの意見ですが、この3つの要素の中で、まず「労働者の生計費」についてで す。最低賃金については、この政策的に定める生活保護の水準と直接的にリンクして決 定することは必ずしも適当とはいえないが、最低生計費の観点、モラル・ハザードの観 点、それから生活保護制度においても自立支援が重視される方向にあることを踏まえる と、単身者について、少なくとも実質的にみて生活保護の水準を下回らないようにする ことが必要ではないか、というご意見です。  また憲法で、健康で文化的な最低限度の生活水準ということで生活保護というものが あるわけですが、それが最低賃金を上回ってしまうということは、モラル・ハザードの 問題がある。住宅扶助が含まれる生活保護と比較し、最低賃金が下回っていることは問 題である。ネットの可処分所得でみて、生活保護を下回っているということは問題であ るというご意見です。  生活保護において、自立支援を重視する方向で政策が展開されているということで、 最低賃金においてもそうした政策と整合性を図る方向が必要ではないか、というご意見 です。  一方、生活保護については、国が一定の基準に基づいて決定し、予算に基づいて支払 うもので、最低賃金については労働の対価として企業が支払うということから、同一に 論じられないのではないか。財政審等でも、生活保護が高いと指摘がされており、それ に合わせて最低賃金を引き上げるというのはおかしいのではないか、というご意見があ ります。  また、最低賃金は労働の対価であるということで、生活保護と直接リンクさせて議論 すべきではないとしても、決定基準において「生計費」ということがあるので、最低賃 金が最低生計費をみたすのは大前提であろうということで、生活保護の水準を下回るの は問題である、というご意見です。  2つ目に、「類似の労働者の賃金」とありますが、最低賃金の安全網としての機能を 重視するとともに、賃金格差の是正というような機能も考慮するとすれば、低賃金労働 者の賃金水準のみではなく、一般労働者の賃金水準も重視するということが考えられる のではないか、というご意見です。  3頁もほぼ同様ですが、小規模企業の低賃金労働者の賃金水準だけでなく、一般的な 水準とか平均水準も参考に勘案すべきではないか、というご意見です。  それに対して、平均賃金については、そもそも様々な賃金のばらつきの平均値をとっ たものにすぎないということで、最低保障である最低賃金と比べることの意義は薄いの ではないか。特に、我が国においては年功賃金という形を採っている企業が多いという ことで、平均賃金水準と比較することに意味があるとは思えない、というご意見があり ます。  地域別最低賃金について、地域の一般的な賃金水準、あるいは低賃金労働者の賃金水 準との関係をみると、都道府県によってかなりばらつきがあるということで、その点に ついては地域的な整合性を保ちつつ、ある程度安定的に推移するために一定の見直しが 必要ではないか、という意見があります。  これに対して、そういう不均衡という見方については、地域別最低賃金と実態賃金と の乖離がある県については、賃金を最低賃金以上に上げている。一方、乖離のない県は、 最低賃金が実際に効いていると評価すればよいので、ばらつきが問題というのは歪んだ 見方ではないか、というご意見があります。  地域的なばらつきについても、相対的な比較だけでなく、それぞれの地域における水 準が適切かどうかという観点から検討する必要があるのではないか、というご意見です。  3つ目の「通常の事業の賃金支払能力」についてです。ILO条約では「経済的要素」 ということで、経済開発上の要請、生産性の水準、高水準の雇用を達成し維持すること の望ましさという形で、考慮要素が規定されています。「支払能力」という表現は、個々 の企業の支払能力ではないのですが、誤解を招きやすいということで、経済的な要素に ついては、生産性の水準や雇用の確保といった趣旨が含まれることを明確化することが 必要ではないか、という1つのご意見です。  その際に、諸外国の決定基準を参考にすべき、というご意見があります。  一方、最低賃金の重要な要素として、最も影響を受けやすい中小零細企業の実情や支 払能力を重視すべきであるというご意見があります。  この支払能力については、目安の審議の中でも様々な指標を出して検討している。む しろ、支払能力と書かれているのに、本当の中小企業の支払能力がそれほど考えられて いないではないか。生産性という表現にすると、では他のものは考慮しなくてよいのか ということにもなりかねないので、ILO条約によって抽象的な表現にするのは問題で はないか、というご意見です。  3つ目に、最低賃金の決定についてですが、現在、最低賃金法第16条において、地域 別最低賃金についても必要があると認めるときには、最低賃金の決定をすることができ るという規定になっています。実際には、すべての地域において決定されているという ことであります。  この点について4頁では、最低賃金制度の一義的な役割が、すべての労働者に対する 安全網である。現在すべての都道府県において地域別最低賃金が設定されているという 実態を踏まえるならば、法律についても「国内の各地域ごとに、すべての労働者に適用 される最低賃金を決定しなければならない」ことを明確にすることが適当というご意見 があります。  それとの関係で、一般的最低賃金としては、多元的に産業別や職業別といったものを 設定する必要がなくなるのではないかというご意見があります。  これに対して、地域別最低賃金によって、地域での生活が確保できるという水準にあ ることが検証できない限り、地域別最低賃金以外に多元的な設定はいらないというのは 暴論ではないか、というご意見があります。  「その他の論点について」は、適用除外あるいは減額ということで、現状においては、 最低賃金法の8条で、都道府県労働局長の許可を受けたときに、最低賃金法の適用除外 ということが規定されている。大きく4つに分かれ、1つは障害者、2つ目が試用期間 中の方、3つ目が職業能力開発促進法の認定職業訓練を受けている中で、特に基礎的な 技能や知識を習得させることを内容とする訓練を受けている方、4つ目には所定労働時 間が特に短い者、軽易な業務に従事する者、断続的業務に従事する者等があります。こ ういった方々については、許可を受けたときに適用除外になるということです。  ただ、実際の運用においては、適用除外について使用者が申請をする場合に、支払お うとする賃金額を明示して、その額が許可基準に照らして妥当と認められる場合に適用 除外を許可しているということで、運用上は、実際に支払う賃金額を示していただき、 それが実態に即して妥当かどうかということから、最低賃金額よりも低い賃金額で支払 うということを条件に許可をしているという形になっています。この適用除外あるいは 減額について、若年者あるいは訓練中の者について、減額を適用してもいいのではない かというご意見があるのですが、地域別最低賃金の水準を有意なものにすることなしに、 そういう若年者や訓練中の者について減額措置を導入することは認められない、という ご意見があります。  訓練中の者についての適用除外なりについては、運用上さらに拡大してほしい、とい うご意見があります。  5頁の上は、外国においてはそういう若年者や訓練中の者について、減額措置を採っ ている例が少なくないということで、地域別最低賃金について水準の見直しを行いつつ、 一定の年齢区分の者を対象に減額措置を採用してもよいのではないか、という最初に申 し上げた意見です。  これに対して、最低賃金も労働の対価であるということで、年齢という概念を持ち込 むことは反対である、というご意見があります。  現行の適用除外について、実態としては減額という運用になっているということで、 そういうことが定着しているのであれば、制度的にも適用除外ではなく、減額という形 に制度を整備していいのではないか、というのが1つあります。  5頁の(2)「罰則について」です。現状は、最低賃金額以上の賃金を支払わない場 合には2万円以下の罰金ということです。  一方、労働基準法で賃金不払というのがあるわけですが、最低賃金額以上の賃金を支 払ったとしても、約定した賃金を支払わない場合には、労働基準法で30万円以下の罰金 ということです。  この点について、地域別最低賃金の違反の罰則が2万円というのはあまりにも低いの ではないか。最低賃金制度の実効性確保の観点に立つならば、労働基準法違反の場合よ りも厳罰化する必要があることを考慮した上で、罰金を引き上げるべき、というご意見 があります。  次に「設定単位について」です。現状においては、地域別最低賃金について法律上、 特にどういう単位で設定するという規定はありませんが、すべて都道府県単位で設定さ れています。法律の規定としては、最低賃金法第36条に、2以上の都道府県にわたる事 案及び全国的に関連ある事案は厚生労働大臣が決定し、1の都道府県の区域内のみに係 る事案は、都道府県労働局長が決定することと規定されています。  この点については、労働市場の領域が都道府県の境界を越えているものもある中で、 近隣の都道府県で最低賃金額にそれほど差がないというような地域もある状況を踏まえ ると、地域別最低賃金の設定については、審議会の運営の弾力化も含め、より労働市場 の実情を反映した単位で設定する必要があるのではないか、というご意見があります。  さらに、県単位の地域で細かく分けると境界線の問題があるので、もう少し大くくり で単純なものがいいのではないかというご意見があります。  これに対して、同じ地域の中でも東西、南北で実態が違う所もあるわけで、なかなか 線引きが難しいということで、今、都道府県単位でやっているということです。地域の 自主性で決める今の47都道府県の枠組みがいいのではないかというご意見があります。  6頁です。派遣労働者については、現在、賃金を支払うのは派遣元の事業主であると いうことから、派遣元の事業場に適用される最低賃金を適用するということで、派遣元 の事業場の所在地の地域別最低賃金を適用するという現状の運用です。  これについての意見として、派遣労働者については、現に業務に従事しているのが派 遣先であるということで、賃金の決定については、どこでどういう仕事をしているかを 重視すべきであることからすると、最低賃金については、派遣先での最低賃金が適用さ れるようにすることが適当であるという意見です。  派遣・請負の場合、産業別最低賃金が特に適用されないということで、「働く現場」 での産業別最低賃金の適用ということが必要ではないかというご意見です。  一方、派遣労働者について派遣先で適用するとしても、その履行確保が可能なのか、 というご意見がありました。  「表示単位期間について」ですが、地域別最低賃金については、平成14年度からすべ て時間額表示の運用になっています。ただ、最低賃金法の第4条第1項で、時間、日、 週又は月によって定める形になっているということで、先ほどの適用除外で所定労働時 間が特に短い者が適用除外となるわけですが、それは時間で表示する場合には問題がな いというか、空振りになるわけですが、日以上の単位で設定することを前提にして、所 定労働時間が特に短い者が適用除外という形で整理されています。  この点については、賃金支払形態や所定労働時間などの異なる労働者についての適用 の公平の観点、あるいは就業形態の多様化への対応、さらにはわかりやすさの観点から、 法律上も時間額表示に一本化して、所定労働時間の特に短い者についての適用除外の規 定を削除することが適当である、という意見があります。  特に雇用形態が多様化してパートタイム労働者が増えているということで、時間額表 示に一本化するのが妥当ではないか、というご意見です。  資料2−2と資料2−3は現状のデータで、これまでの部会に提出したものと同じ資 料ですので、説明は省略いたします。 ○今野部会長  ただ今の説明を踏まえて、ご意見をいただいて議論したいと思います。 ○杉山委員  既に申し上げましたように、私どもは地域別最低賃金、問題を挙げればいろいろある かもしれませんが、基本的に積み上げてきた過去の実績を考えてみると、ほぼうまく機 能しているのではないかというように判断をしておるわけです。したがって、十分に機 能してないという意見があることに対して、どういう意味でそうおっしゃられているの か。過去の運用というのは、公労使それぞれが中央及び地方において、いろいろ問題は あっても十分論議した末に、厚生労働大臣の責任において決定されてきていると考えて いるわけです。したがって、そういう責任のある立場で決められたものが、機能してな いというふうな批判が出てくるのであろうか、というのが率直の疑問です。以上です。 ○今野部会長  他にございますか。 ○池田委員  質問です。1つは1頁の機能について、昭和53年度から、引上げ額の目安を提示とな っていますが、過去3年間引上げをしなかった時期と、現在は上がっていく傾向なので しょうが、どういう経済情勢の変化があるにして、やはり引下げもあり得るということ はこれからあり得ると思うので、法律上は引上げ額ということが明示されていると、そ れができなくなってしまうので、将来はこれはやはり柔軟に対応できるように変えてい ただく必要があるのではないかということが、1点です。  もう1つは、政府の方は道州制の導入をどのように考えていらっしゃるのか、将来あ り得るのかをお聞きしたい。その場合に、この47都道府県のランクを将来的に見直した いという意向が出てくるのか、というのが2点目です。  3点目は、4頁の減額・適用除外についてです。現状では非常に手続が大変だという ことを聞いています。ですから今後の問題として、やはり経営者側としては、いろいろ と適用除外にしてもらいたい職種なりがあるようですので、手続をより簡単にできるよ うな方法を、ひとつ考慮していただくのもお願いできないか、というのが3点目です。  最後に、6頁の表示単位について、実際、今、最低賃金は一本化されていますが、日・ 祭日や夜間の派遣の最低賃金について、派遣社員の場合に実態がわかりませんから、実 際にそれが行政としてチェックされる手段があるのかという質問です。以上です。 ○今野部会長  最後の派遣のところをもう一度お願いできますか。 ○池田委員  これはそういう意味かどうか分かりませんが、法律上は時間、日、週によって定めら れていると書いてありますね。本来では最低賃金は夜間割増しが付いたり、日・祭日は 割増しをつけるというようになっているでしょうか。それが、派遣された場合は一律で 払いますから実態がわからないですが、支払う方はそういうことをちゃんとやっている のかどうかをチェックされているのかどうか。 ○今野部会長  今、4点ほどありましたが、事務局で。 ○前田勤労者生活課長  1点目は、現在、地域別最低賃金について、「引上げ」というように法律上書いてい るわけではなく、「改正」と書いているわけですので、そこは法律上の問題ではないと 思っております  2点目は、道州制の導入について様々な議論があって、そこは政府としてどうという のは今のところまだ特に、私どもとしてお答えする立場ではなかなかないということで あります。それとは別の観点から、この設定単位については、現在都道府県単位でやっ ていますが、そこは労働市場の実情に応じてもっと広くとか、あるいは場合によっては 狭くということもあり得ますが、そういう弾力的な仕組みというものも、この最低賃金 制度だけの議論としてはあり得るのではないかという意見が、これまでの中であるとい うことです。  3つ目の適用除外についての手続ですが、ここは運用の問題であります。現在の適用 除外ということで、やはり最低基準を除外するということでありますので、そこについ ては要件をかなりそれなりのものとしてみてみないと、適用除外することは難しいとい うことで、これまでの運用の中で決まっていることです。今後どういった点が負担か、 そういうことをもし具体的なことがあれば、さらに運用の中でご議論いただければと思 います。  最後の賃金の問題でありますが、割増賃金の部分については、労働基準法上は、法定 労働時間を超えた分については割増を払うということであり、最低賃金については、そ の部分を除いて時間単価でみて、最低賃金額と比較して違反があるかどうかということ です。賃金台帳において、所定内の労働時間や割増の労働時間、賃金を分けて記載する ことになっていますので、その賃金台帳から計算して、それはチェックすることはでき るということです。 ○今野部会長  よろしいですか。 ○池田委員  もう一度、1頁の3行目に「引上げ額の目安を提示」ときちっと書いてありましたの で、そういう弾力性があるのであれば、そういうふうに書いていただかないと、必ず引 上げ額の目安を提示しなければいけないと、そこは取りますので。 ○前田勤労者生活課長  これまでは、引上げしかなかったということで。 ○今野部会長  1つだけ私から質問したいのですが、先ほど減額適用除外措置の中で、適用除外希望 の分野が業界の中で増えているとおっしゃいましたね。 ○池田委員  大部分の分野です。 ○今野部会長  例えば、どんな分野があるのか教えていただけると。 ○池田委員  デュアルシステムや、いわゆる訓練中の人などです。今、そういう企業の受入れ、職 業体験など結構増えてきているのです。高校生だとかいろんな形の、そういう部分が非 常に増えています。若者を就職させようという動きの中で、結構そういう体験とか、そ ういうのが増えています。その過程において、手続が非常に面倒くさい、まあいいやと いうことがあるので、より簡単に、ケース・バイ・ケースでできるような手続が将来必 要になるのではないか。 ○今野部会長  今、想定されていることは、純粋の雇用というよりか訓練を考えた雇用みたいなのが ありますね、デュアルシステムとかいろいろなものが。そういうことについて、適用除 外をもう少し簡単にできればいいという要望がある。 ○池田委員  できるんですけれど、非常に面倒くさいからやめちゃおうかということですね。 ○今野部会長  分かりました。前田さん、今の件について何かありますか。どうも希望が増えている というのは、そういう分野を想定されているようです。 ○前田勤労者生活課長  特にないです。 ○松井審議官  もし具体的にあれば教えていただきたいというぐらいですね、言われたのは。 ○今野部会長  たぶん、今のデュアルシステムで働いている部分を、最低賃金から適用除外、減額し てくれとか。 ○前田勤労者生活課長  デュアルシステムについて、そもそも職業能力開発局の方で、そういうものをどう位 置付けるかというご議論をしていただいて、それとの関連で、では最低賃金をどうする かと、その次のところで出てくる問題かと思っております。 ○今野部会長  今、池田委員が言いたかったのは、認定職業訓練のところは、既に適用除外になって いるわけですが、これが使いにくいんだというご趣旨でしょうね。でも、今、業界では 認定職業訓練がどんどん減っていますものね。他にございますか。 ○中野委員  1つは質問ですが、まず地域別最低賃金の罰則の関係でちょっと質問したいのです。 例えば最低賃金で2人の労働者に対して1日、最低賃金未満で労働させたということに なると、これは2件と数えると思うのですが。そのとき、次の表示単位との関係で、1 時間で決めたときに、2時間働かせたときは2件と考えて4万円になるのか。1日なら 2万円なのか。たぶん、労働基準法では1日単位だったと思いますが、最低賃金法の場 合はどうなっているのか。それと時間表示がこうなったときには、そこに影響するのか どうなのか。それはひとつお聞きをしたいというのが、1点目です。  それから、いろいろ水準の問題だとか、今までの決定の問題で、水準が高い低いとか、 いろいろ議論があるのですが、私はこの問題を考えるときに、一番最初に地域別最低賃 金を作ったときは、上げ幅ではなく、水準で考えたというように考えざるを得ませんか ら、水準で考えたと思っているのです。その水準が、最低賃金の歴史をみますと、業者 間協定方式からきていますから、おそらく前の最低賃金の水準がずっと参考にされなが ら、地域別最低賃金を作るときの最初の水準ができたのだと思うのですが、業者間協定 方式の一番最初作られたときの水準は、中卒だと思うのです。そうすると、その中卒の 賃金にずっと上積みされて、今の水準が出てきたと考えられると思います。そうします と、今の最低賃金というのは、中卒初任者の賃金が基準になっているのではないかと思 っている。したがって、そういうところについては、やはり考え直すべきではないかと 思っています。  その理由は、細かい数字ちょっと忘れたのですが、今の高校進学率は97、98%になっ ているのではないか。それから高卒者の就業率は2割を切ったのではないかと考えてい ます。そうしますと、ちょうど1986年ぐらいの、あるいはその少し前の地域別最低賃金 が作られたときの中卒の就業率と比べても、高卒の就業率は低いのではないか。あるい は同じぐらいではないか。そういうようになった今の現状を考えれば、やはりもう一度 きちんとその水準の議論をして、そしてあるべき水準というのを考え直すことが必要で はないかと思っています。  労働側としては、5年おきに目安の在り方についての中央最低賃金審議会の中の全員 協議会があるわけですが、その中で毎回、その水準で考えていただきたいというのは、 これまでも言ってきているわけですが、なかなかそうならない。したがって、こういう 最低賃金の実態だとか、今後の法律のことを含めて考えるときに、その決定のあり様を どうするかというのは、生計費との関係を含めてやはりきちんと議論をしておくのは、 今までの経過とは別に必要なのではないかと思っています。以上です。 ○今野部会長  今の点について何か違うご意見がございますか。あるいは事務局、何かありますか。 ○前田勤労者生活課長  罰則の関係ですが、使用者側の犯意の問題がありますが、それが単一であるというこ とが認められないような場合については、一般的には労働者1人ごとに、支払期日ごと に1罪が成立するというように、大体解されるということです。ですから1時間という ことでなく、支払期日ごとに1罪ということです。 ○中野委員  だから労働基準法と同じと考えればいいわけですね。 ○前田勤労者生活課長  はい。 ○今野部会長  2点目について、中野委員からああいう意見がございましたが、何かご意見ございま すか。 ○杉山委員  私も、中央最低賃金審議会の委員でもあるわけなので、要するに5年ごとの見直しに おいて、今、おっしゃられたような問題提起がされて、それを論議をしております。し たがって、そのこと自体、私は別に反対でもなくて、そういう機会に論議するのはやぶ さかではない。結論は別ですよ。結論がどうなるかは別にして。ですからそういう意味 で、十分かどうかは別にして、検討されている問題であろうというように思います。 ○今野部会長  他にご意見がございますか。 ○須賀委員  資料2−2、これは以前にもちょっと説明はあったと思うのですが、未満率、影響率 の関係です。14頁に、未満率、影響率の推移がございます。この表で見る限り、ほぼ10 年分ぐらいは作られていると思うのですが。未満率の動きは、ちょっと途中はねている ものはありますが、徐々に未満率と影響率が同じように収斂をしてきているのです。 平成6年、7年時点の未満率と影響率の開きが、直近、こういう形で非常に幅のない所 に収斂をしてきた事情について、当局としてどういう分析をなされているのか。また、 何かそれに関してコメントがありましたら、聞かせていただきたいと思います。 ○今野部会長  いかがですか。 ○前田勤労者生活課長  未満率と影響率ですが、まず13頁を見てください。未満率は、最低賃金を改正する前 に、最低賃金額を下回っている労働者、影響率は、最低賃金を改正した後に、最低賃金 額を下回ることとなる労働者の割合です。この14頁の図でいくと、平成6年、7年辺り は影響率は2%前後あったということです。その当時、ここに時間額がありますように、 6年度が597円であったのが、7年度は611円ということで、14円上がっているわけです。 その上がり幅によって、実際の賃金分布の中で影響を受ける方の割合が多かったという ことで、未満率と比べて影響率が高いということです。最近は、特にここ2、3年は1 円ないし2円、17年度で3円の引上げということで、引上げの幅が小さいので、改正し た後に影響を受ける割合も小さくなっているということで、未満率と影響率の差が従来 よりは小さくなっているのが実態です。 ○須賀委員  引上げ額が大きければ、影響率が大きく出てくるのは当然だと思うのですが、影響率 なり未満率の水準そのものに対する評価はどう考えておられるのか、みておられるのか ということも聞きたかったのですが。 ○前田勤労者生活課長  この引上げというのも、一般の賃金の引上げというものなどを参考に引上げの幅を決 めているということで、全体の賃金改定の状況でこの引上げ額を決めているということ から、ただちに影響率なり未満率が一定でなければならないというような評価にはなら ないと思います。ここは賃金の様々な要素を考慮して引上げを決めているということか ら、全体の賃金改定の状況と、あるいは賃金分布の変化というものにも影響を受けると いうものであろうと思います。 ○須賀委員  実態はそのとおりなのですが、この影響率が徐々に低下をしてきているということに 関して、私ども労働組合側としては問題意識を持っています。つまり、裏を返せば、そ れだけ効かないといいますか、セーフティネットとして効かない最低賃金になってきつ つあるのではないかという、そういう見方を表している1つの数値ではないか。何パー セントが妥当とか、妥当ではないということを言うつもりはないのですが、最低賃金で ある限り、きちんと影響のある水準決定、この水準決定はいろいろな話合いの経過の中 で、あるいはいろいろな諸数値を分析をしてきた中で決まるものですから、それについ て否定をしているわけではないのですが、結果においてこのように、かなり時間が経過 をしてくる中で、影響率がこういった形で低下をしてきていることについて、問題意識 を持つところです。  もう1つは、水準そのものをどう評価するかということと、毎年の目安に基づく地方 での審議の結果、つまり上げ幅の水準をどうみるかということなのですが、要はこれは、 どの角度からみているのかというだけの違いであって、やはり定期的にそれぞれの水準、 ABCそれぞれのランクに分けられた都道府県ごとの水準というものが、その自主性か らして、あるいは、地域別最低賃金が負っている機能からして、妥当なものであるか否 かということは、常に検証していく必要があるのだと思います。  今、その水準を改定する1つの方法として目安制度があり、しかも、冒頭に事務局か ら説明があったように、同一額での目安を示すということになっております。そういう 意味からすると、どうしても地域の実態から離れた形で、毎年毎年は正しい判断であっ たとしても、結果的に水準というのが、地域の自主性から離れてしまう可能性も否定で きないと考えられます。  したがって、先ほど杉山委員がおっしゃった責任ある立場の者が、労働側にも同じよ うな人間がいるわけで、その責任ある立場の者が積み上げてきた結果ですから、その水 準を否定するつもりはありませんが、先ほど申し上げたような視点で、水準はときどき 見直す必要があるのではないか。あるいは、そのことをきちんと担保しないと、結果に おいて、地域別最低賃金としての機能を十分果たせなくなるのではないかと考えており ます。  もう1つは、その水準そのものは、経年と言えばいいのか長年と言えばいいのか、労 働側も責任ある立場で参加をして積み上げてきた結果ですから、このことは否定はしま せんが、参考となる指標が、今、いろいろな幅広い指標はみておりますが、特に生計費 ということでみていきますと、必ずしもその他の生計費の動向、つまり最低賃金の審議 で重視されている生計費の動向と、実際的には離れてきているのではないかという感覚 も持ちますし、生計費の確保という視点からすると、今の最低賃金水準そのものが不十 分な水準だと考えておりますので、生計費という視点できちんと検証できるようなデー タ分析なり、あるいは比較検討ということも必要で、こうした部分での改善がこれから は必要であると考えていることを申し上げておきたいと思います。 ○中野委員  私も中央最低賃金審議会をやっていて、全員協議会にも出ているのですが、先ほど申 し上げたのは、全員協議会で議論をしても、結局、これまで労使で積み上げてきた過去 の経過というのが非常に重要視されて、なかなかその本質的な議論にならないというの が、今までの経過だったと思うのです。したがって、私ども労働側も参加をして決めて いるわけですから、それを否定するつもりはありませんが、こういう法改正のときに一 回見直して、本当にその役割を果たしているのかどうかということを、この場できちん と議論すべきではないかと思うのです。私などはまだ3年しかやっていない若輩ですが、 例えば、類似労働者の賃金を参考にするときに、5,024万人という適用労働者にもかか わらず、30人未満規模のデータしか使わずに比較するというのは、いかにも不条理だと 思うわけです。5,024万人が対象ならその対象全体、母集団全体を考えるのが筋なのに、 今は30人未満の小規模企業しか対象にしていない。それはなぜなのか、あるいはこれか ら議論をするときにそういう議論をするのか、5,024万人全体を対象にするのか、とい うような議論をここでやらなければ。中央最低賃金審議会では、おそらく過去の経緯に 引っ張られてやられないだろう。そうすると、この資料2−1の3頁に記載されている ような議論は、やはりきちんと明確にしておく必要があるのではないかと思います。  「労働者の生計費」という観点も、どういう人の生計費を基準に考えて、どういう方 法で比較をしていくということは、非常に重要なことではないか。そこの議論を詰めて おかないと、本当に今の地域別最低賃金がセーフティネットとしての役割を果たしてい るとか、果たしていないとかいう評価もできません。生活保護との比較からいうと明ら かに低いわけですから、セーフティネットの役割を果たしていない。また救済率も、こ の14頁の未満率・影響率の推移からみると、平成6年で影響率が2.1%、平成7年度で 1.2%ですから、ここの救済率はおそらく0.9%、9‰ですね。そうすると5,000万人の 9‰、45万人しか救済していないということになる。そういう状態が本当にいいのかど うか。この水準で人民のみんなが高く救済されないのなら、それは当たり前でいいので すが、この水準で45万人しか救済されないことが本当にいいのかどうかとか、今、果た している機能の検証というのは、やはりきちんとやっておくべきではないかと思います。  そういう立場から言いますと、現行最低賃金水準の決定過程において、生計費につい ても十分な検証ができないような状況ではないかと思っておりますし、比較をすると、 生活保護との比較になってしまいますが、私はこの前からの議論で、最低賃金も賃金で すから、生活保護と完全にリンクしたようなことにはなり得ない、むしろ、それより高 くて当然だし、ネットで生活保護を超えてなければならないと思っておりますが、そう いうところの考え方の整理は、やはりこの中できちんと議論をして、できれば法律の条 文の中に書き込むぐらいの、そういう厳しさがいるのではないかと思います。  類似労働者の賃金についても、母集団をきちんと評価するとともに、それのどの水準 あたりを考えるのか。国際的にいえば、平均というのは非常に振れるので特性値をかな り使っているようで、貧困率などという考え方もあるわけですから、なぜ国際的に貧困 率の比較がなされるのか、それと最低賃金との関係はどのように考えるのかとか、基本 的な水準決定に関わる議論を行っていただきたいと思います。  また、通常の事業の支払能力についても、これはあくまでも通常の事業の支払能力で あって、限界企業の支払能力ではないはずですが、目安審議の際に使用者側からは往々 に、限界企業の支払能力論が出てくる。それはおかしな話であって、そういう誤解を生 むならば、きちんと他の言葉で書き替えておくべきというようにも考えております。し たがって、今の地域別最低賃金が非常に低いという認識を私も持っておりますし、それ がなぜ上がらないかというところを解明して、本当にセーフティネットとして国民に支 持されるような、そういう制度にしなければならないと思っています。  例えばイギリスではブレア政権が、最低賃金の引上げをマニフェストに掲げるような、 そういう社会政策のはずです。しかし日本の中では、ほとんど問題にされないようなシ ステムになっているということは、それだけ社会的影響力が低い制度になってしまって いる、セーフティネットの役割を果たしていないというところを、もう一度議論しなけ ればならないのかなと、そんなふうに思っています。 ○今野部会長  中野委員が今、挙げられた点については、例えば今日の資料の2−1に、論点として は全部入っているわけですね。 ○中野委員  はい、入っています。 ○今野部会長  ですから最終的にはここで議論をして、この点は×、○とかいろいろあると思います が、基本的な考え方のレベルでやるのか、あるいは実際にやっていくときの基本枠組み までいくのか、もしかしたら手順までいく詳細設計までいくとか、いろいろなレベルが あります。でも、それはやってみなければわからない。だから、論点として入っている のではないかというのが、私が今お聞きした感想です。 ○中野委員  論点として入っているのはそのとおりですが、ここの議論が非常に難しいのは、この 論点以上にしゃべろうと思うと、やはり通常の議論になってしまって、会議はおそらく、 論点としてはもうかなりのものが入っているということで終わってしまうのです。ただ、 その入っている中で私としては、もう一度ここの点は強めるべきだということで、もう 一回申し上げたということです。全体のスキームができて、それを詳細にどう運用して いくかというところは、また別のところで議論されるでしょうが、その強さをやはり申 し上げておいたということにすぎません。 ○今野部会長  今のお話を聞いていて、中野委員がおっしゃられていることの論点がここに入ってい ないと非常に心配だったものですから。 ○中野委員  入っております。 ○川本委員  先ほど影響率の話がありました。私は中央最低賃金審議会の委員でもありますが、こ れは中央最低賃金審議会の場でもよく議論になるところです。特に労働側の委員から、 影響率が低いということで、これを実感の持てる影響率に上げてもらいたいという話が あるわけです。この影響率を上げるという話は、要するに、最低賃金を上げてくれとい う話とイコールで、14頁に図が出ていますが、結局、上げた場合にどれだけ影響するか が影響率で、守られていない部分が未満率という話です。ここ数年、ゼロ目安というの を出して、その中で各地域で審議をされて、目安どおりの所もあったし、目安にプラス をしている所もあったということで、その平均がこの棒グラフで、最近であれば668円、 去年は665円とか、こういう数字になっている。その場合にどれだけ影響しますかとい う数字であると。したがって何が言いたいかといいますと、ほとんど1円、2円、3円 という数字しか上がっていないから、影響率が低いのは当然であって、過去、高く上が った状況、例えば非常に物価も上がっていて、賃金の実態も上がっている状況で、ある 程度上乗せが大きいときは当然、影響率も高くなるということだろうと思っております。  それで厚生労働省がすごく手間暇かけてもう1つの資料2−3で、実態図を作ってい ただいたと思うのですが、この図を見ましても、それだけの実効性はあるのかなという ように、私どもは逆に実感させていただいた次第です。  また、この影響率に絡んで、地域によっての歪みがあるとか、バランスがないのでは ないかというお話もありました。しかしこれはある意味、先ほど事務局から説明もあり、 地域別最低賃金資料2−1の1頁の「現状」という所に書いてありますが、この目安制 度で、特に昭和55年以降は、各ランクごとの引上げ率は同一にしてきたという経緯もあ ります。これは要するに、各地域のばらつきはあまり大きくさせないように、整合性を とろうということから出してきた経緯もあるのかなと思うわけです。それを続けてきた のにここにきて、各地域で歪みがあるのではないかという話は、今までの経緯を踏まえ ればちょっと違うのではないかと、そんなことを思う次第です。  また、先ほどいろいろなデータの話がありましたが、これはもう中央最低賃金審議会 の場ではいろいろな議論があるたびにいろいろな資料がどんどん増えていって、これは 事務局が非常に手間をかけて作ってくださっているわけですが、様々な資料で議論をし ているわけです。ですから、法的にいえば3つの要素ということが書いてありますが、 その3つの要素についてどんな資料を提示して検討材料にするかについても、その資料 も年月とともにどんどん充実してきて、その上で議論していると思っているということ だけ申し上げたいと思います。以上です。 ○杉山委員  影響率の問題ですが、これは基本的に、平均的な賃上げ率にスライドしていく。しか し、最近はそういう平均的なものよりも、パートタイム労働者の賃金が上がっているた めに、平均よりもむしろ高めに、今年などは設定されたという経緯があります。  しかし、なぜ相対的に賃上げ率が低いのか。そのことについては私は基本的に、消費 者物価が大きく影響しているだろうと思います。したがって諸外国との比較においても、 要するに実質賃金的な意味において、どの程度改定されているのか、そういうものを睨 まないと、実際に最低賃金がいくら上がって影響率がいくらだ、それが低い、というよ うな見方では不十分ではないか。最近の消費者物価がマイナスで推移しているというこ とを勘案すると、むしろ実質的な最低賃金というのは、アップしているともいえるだろ うと思います。したがって諸外国と比べたり、制度をそれで悲観的にみたりする必要は ない。  例えば大企業は最近、ベースアップゼロですね。したがって、労働組合なんていらな いという論がありますが、私はそれは極めて遺憾です。そういうものではなくて、上げ る情勢がきたら労働組合も頑張って上げるだろうと思っておりますから、今のような観 点で影響率だけを見て、制度が歪んでいるという見方はいかがなものかと思います。 ○田島委員  今、未満率・影響率に関する労使のご意見、それぞれ異なるご意見が出たわけですが、 資料2−3の6頁以降にある各都道府県の賃金の分布表と地域別最低賃金の相関関係を 見ますと、北海道、青森、沖縄というような地方の場合には、地域別最低賃金の数字が 効いているとみられるわけです。しかし都市部、東京及びその周辺の地域、あるいは大 阪近辺、名古屋といったような所になると、一般的な賃金水準と地域別最低賃金の水準 がリンクしていない、かなり乖離がみられる、そういう考え方ができると私は考えてお ります。  結局、法3条の最低賃金を定める際の3要素の中に、「類似の労働者の賃金」という 要素があるわけですが、これは地域別最低賃金との関係で一体何を指しているのか、何 を考慮しろといっているのか、非常にわかりにくいところがあります。これが結局は今、 低賃金労働者の賃金を考慮する、というような読み方になってしまっているのだと思う のです。  私は、これはそういう読み方をすべきではなくて、地域別最低賃金を決める場合には、 その地域の労働者の賃金水準を考慮して決めるという内容であるべきだと思います。地 域別最低賃金をセーフティネットという位置づけで考える場合、現在のように各都道府 県によって、一般の労働者の賃金水準と地域別最低賃金の金額、その比率に差があると いうのは問題ではないか。地域ごとに物価も違うでしょうし、そういうことを加味して、 一般的な労働者の賃金水準が定められているわけでしょうから、そういったこともきち んと考慮して、やはり地域に着眼して最低賃金の額を決めていくべきだと考えます。以 上です。 ○石委員  結果としては、地域別最低賃金は各都道府県の最低賃金審議会が決定するわけです。 そのことで経営側の方々は、自主的に決定し機能しているとおっしゃるのですが、実際 に各地方の最低賃金審議会が、どのような形でどのような論議をして決定しているか。 そういうことはこの法律の関係においても、いわゆる地方最低賃金審議会における自主 性というのがどこまで担保されているか。我々労働側はいつも各地域で、最低賃金の在 り方については水準論議だと、そういう形で論議するといいますが、いつもそれ以上は 進まない。そこに自主性があるか。論議さえできない。労働局が日程の関係等から、こ の期間で決めなければならないと。そのことのスケジュール管理等されて運用されてい る。その中で中央最低賃金審議会からの目安というのが出てくる。このことで、今回や むなく引上げをどうしますかという論議が、毎年毎年繰り返されて、本質論議をやろう と言っても、自主的にはそういうものができていないという実態がある。ここら辺はや はり法の、今の中で地方最低賃金審議会に対する自主性の発揮度とか、そういうものは 持てるのかどうかですね。そこら辺を担保するために、今、言ったようなことをどこま で入れていくことができるのかということが課題ではないかと思っています。 ○勝委員  今日の労使のご意見、使側からは積み上げてきた実績があるということで、最低賃金 自体も非常に機能しているというお話がありましたが、確かにここ25年から30年、毎年、 その目安で決めてきた。その実績は高く評価したいと思うのですが、その決め方はあく まで限界的なものであって、最低賃金自体の機能についての議論は、もちろん審議会で もなされてきたと思うのですが、やはり今、きちんとすべきではないかと思います。と 言いますのも、日本のシステムというのは1990年代以降非常に大きく変わってきていて、 特に労働市場の規制緩和というのが近年急激に変わっており、一方では長期雇用である とか、あるいは生涯賃金という慣行が残っている中で、歪みが大きく出てきてしまって いる。とりわけ非正規の労働者が非常に増えている。これは、もちろんマーケットメカ ニズム的には非常にうまく、企業の収益強化にはつながっているわけですが、その場合 に、最低賃金の機能、特にセーフティネットあるいはナショナルミニマムとしての機能 を強化する、ということが今こそ求められているのではないかと思うわけです。  最低賃金法の第1条を見ますと、最後に「国民経済の健全な発展に寄与することを目 的とする」となっていて、その部分においては、やはり低廉な賃金の雇用者が増えてい る現状にかんがみれば、その水準が本当に適しているのかということは、今みていく必 要があるのではないかと思います。それについてはこの部会でも何回も議論されていた ように思います。例えば生計費、これは生活保護との関連というところからの絶対水準 ということもあるし、あるいは産業別最低賃金との機能のダブりというものも問題にな ってきている。あるいは地域別の不均衡ということも問題になっている。  その地域別不均衡を示すものとしては、今日の資料の2−2の7頁、所定内給与に対 する最低賃金の比率がありますが、例えば東京と沖縄で非常に大きく異なっているとい うこのグラフを見てもわかるように、安全網としての機能が、やはり地域によって非常 に大きな格差があるということ。これは国民経済的にみても非常に大きな問題があると いうことを考えれば、やはりここでもう一度、法律自体を見直すいい機会ではないかと 思っています。  その点からいえば労働者の生計費、これは生活保護との関係についても強く考えてい かなくてはならないし、あるいは「類似の労働者の賃金」という定義自体、これも非常 に曖昧であるわけです。これについて、ここではもう既にいろいろな議論がなされてい るわけですが、先ほど公益委員から指摘があったような、地域の労働者の賃金水準を考 慮したり、あるいは、本当に中小企業、特に30人未満の小規模企業を重視して決めるの がいいのかといったことも含めて、やはり、今ここで改めて最低賃金、特に地域別最低 賃金についてのセーフティネットの機能を強化することが国民経済的に、特に国民の経 済の健全な発展に寄与するのかというところを含めて、改めて考える必要があるのでは ないかと思います。以上です。 ○原川委員  中小企業の立場からちょっと言わせていただきたいと思います。決してエゴではあり ませんので、聞いていただきたいと思います。  1つは、今、勝委員から、国民経済の発展という最低賃金法の目的が出されましたが、 中小企業に雇用されている労働者数は7割ぐらい、日本の7割の労働者が中小企業に従 事しているという事実があります。したがって、先ほど出ましたが、その決定基準につ いても、5,000万人の母集団の中には格差があるわけで、その賃金格差というものをみ ると、中小の方が低い賃金の層が多いわけです。そういうことから考えると、類似の労 働者とか支払能力という点で、賃金格差の高い所に合わせるのではなくて、やはり低い 所をより考慮すべきということは当然のことだと思います。そういうことですから、国 民経済の発展というときの国民経済とは一体何か。それは、国民の大多数を占める中小 企業に働く従業員の、例えば雇用の維持とか、そういったことを含めて。もちろん賃金 の引上げ、上昇ということも入ると思いますが、全体的に、雇用の維持という観点も含 めて考えるべきだと思います。  もう1つ、ちょっと確認をさせていただきたいのは、引下げの問題ですが、先ほど最 低賃金の改定ということで前田課長から、法律上は改正というように書いてあるという ことで、法律上の問題ではないというご返答がありました。例えば中央最低賃金審議会 で第4表に基づいて審議をして、その第4表で引上げがあった場合には引き上げる。今 年はそういう結果になったわけですが、例えば仮に、マイナスの数値が出てくるという ことも将来的にはあり得るわけです。そういう場合にどのように対処するかということ が皆目話し合われていない。改正ということであれば、引上げと同時に据置き、あるい は引下げという3つの意味がある。据置きというのは除かれるかもしれませんが、引上 げと少なくとも引下げと、両方の意味があると思うのです。これが法律上の問題ではな いとすると、運用でやろうとしてもなかなか決着がつかないということもありますので、 例えば解釈で明確にするとか法律上明確にするとか、そういうようなことで、ある程度 そういう場合の対処方法を、あらかじめ法律なり解釈で明らかにしておくことが必要で はないかと考えております。 ○今野部会長  ご意見ということでよろしいですか。 ○原川委員  はい。 ○池田委員  先ほど中野委員が中卒の給料だとおっしゃったのですが、中卒でももっと稼いでいる 人がいるので、あまりその辺に限定するのはまずいということが1つです。それと、や はり賃金というのは、理想的には富士山の形が一番いい。裾野が最低賃金であり、一番 能力のある人は富士山の頭であり、やはりそういうバランスがとれるのが一番いいと思 います。今は低成長時代で労使協調になってきていますから、運命共同体というか、や はり、今、お話があったように、雇用の確保と企業の確保という両面が中小企業にある わけです。それはやはり両方で話し合って、中小企業は雇用を確保していこうという中 で、現実に今、日本では欧米に比べて失業率が非常に低くなってきた。これはやはり今 の賃金が、中小企業にとっては適正に機能している。失業率も非常に低めにきていると いうことは、今の地域別最低賃金というのはある程度適正に働いているのではないかと 思われます。  この3要素の中で1つ抜けているのは、本人の、賃金をもらえる能力と適応力という か、現実問題として今、高齢者の方が、65歳を過ぎて健康のために週に何日か働きた い、高い賃金はいらないと。高い賃金をもらって責任をとるのはいやだという方も、現 実にはいらっしゃいますし、パートタイム労働者の方でも責任ある仕事はいやだ、週に 何日か働けばいい、だからやはり最低の賃金をくださいという方もいらっしゃいます。 ですからすべてがすべて、一方的に高い給料をくれとおっしゃっているわけではないし、 それはやはりその方の能力ですから、その能力に応じた賃金というのを、4つ目の要素 として考えなければいけないと思うのです。  この図で北海道や青森などは、パートタイム労働者の賃金を見ると最低賃金が大きな 要素を占めているわけです。やはりそこの経済を、北海道や青森などは如実に表してい る。やはりその地域の経済が良ければ富士山の形になっていって、経済が悪いとこうい う形になってくる。やはりこれは地域地域がよく労使で話し合って実態賃金を表してい る。そこを、底上げするということは富士山全体が上がってしまうわけです。高くもら いたいのはしょうがないと思いますが、やはりそれは今、時代が違うということで、現 在の地域別の賃金というのは、それぞれ経済実態に合わせたある程度ボトムというとこ ろの、これを生計費という観点とは別の観点からすれば、ある程度日本の経済の実態に 合った良い機能をしているのではないかという感じがします。 ○中野委員  先ほど私は中卒の初任賃金の話をしたのであって、中卒の方全体の話をしたわけでは ありません。その経過でいいますと、業者間協定方式のときに、当時は中卒で働く方が 非常に多かったので、そこをベースに最初の水準が決まったわけです。そこに積み上が ってきたので、今の最低賃金も中卒初任者賃金程度のものになっている。ところが、今 は高校への進学率97、8%ですから、考える必要があるのではないかと、そこを申し上 げたつもりですので、誤解のないようにお願いしたいと思います。  今のお話で、生計費を考えると、生計費を割った賃金で働くとなると、ほとんど死ん でしまうはずですが、ずっと長い間、生活保護よりも低い最低賃金でまかりとおってき ている。それはどういうことかというと、生計費の面で非常に強い人たち、今、おっし ゃったようないろいろな方がいらっしゃるわけで、生計費の面で非常に強い人たちが、 本当は生計費の面で非常に弱くて、高い賃金の人の雇用をやはり蚕食していっている。 おっしゃるように、私は60歳を超えて貯金もあるし年金もあるので健康のために働きた い、賃金はいくらでもいいよということになると、私は生活のために一生懸命働くので、 その分賃金が高くなければならないという人が一方にいたときに、この人の雇用を蚕食 していってるのは今の実態だと思うのです。その蚕食を防ぐためにセーフティネットを きちんと設定して、本当に生計費で必要な人たちを守るというのが、最低賃金の、特に 地域別最低賃金の基本的な役割だと認識しています。それがなくなれば、本当に最低賃 金で生計費をまかなうという人たちは死ななくてはいけないわけですから、そんなこと はとてもできないというのが、今のセーフティネットの意味合いだろうと思いますので、 そこのところはやはり誤解をしないようにしていただきたい。したがって、市場のまま に賃金を任せてはいけないということになるのだろうと思います。  そういう意味からいうと、本当に今の水準がいいのかどうか、過去の中央最低賃金審 議会で真摯に審議をされてきたということは、そのまま額面どおり受け取っていいと思 いますが、労働市場なりの状況も含めて大きく変わったときに、条文の中の有り様とし て、どのように変えるべきかということは、やはりきちんと審議をしておかないといけ ないのかなと思いますし、その際には、やはり最低賃金制度の本当の意味での、労働市 場における価格決定だけに任せてはいけないという、そこの意味合いを強く出すように 考えなければいけないのではないかと思います。 ○今野部会長  資料2−3に、県別に、一般賃金に比べて最低賃金の割合がどのくらいかという指標、 最低賃金の一種のポジショニングというのか、効果みたいなものをみようという指標が 整理されています。低い賃金になるとだんだん労働者が減ってくるわけですが、最低賃 金がパッと入ることによって分布が歪むのです。歪んだときにそれが効いているという ことになる。そうやってみると、例えば30頁の青森はすごく歪んでいる、これは効いて いる。この評価は別にして、歪んでいるかどうか。あと気がつくのは、東京や大阪はそ ういう意味の分布の歪みは一切つくっていないということで、それが効いていない。た だ、一般賃金と最低賃金だと、いつも平均の比較でどうこうと判断するのだけれど、こ ういう分布を見るとそういう面からもみられますので、あとから見ていただければとい うことです。せっかくこういう膨大な資料をいただいたので、私なりの見方を紹介させ ていただきました。他にご意見は。 ○川本委員  今の歪みとか、あとでよく見させていただきたいと思います。その分布の仕方として は確かに見られます。しかし、今、東京とかご指摘がありましたが、この適用の数はわ からないですね、ただ割合で分布を見ている。したがって、こういう東京地区などとい うのは、最低賃金近辺は、いかにもグラフ上は割合は小さいけれど、かかっている人数 は小さな県に比べれば相当の数になっているのではないかと、そんなことも見るときに 考えなければいけないかなとちょっと思いました。  もう1つ、何人かの方から一般労働者の所定内給与の比較の問題がありました。私は 以前、これはあまり意味がないということを意見として申し上げて、ペーパーにも入っ ていると思いますが、例えば期間の定めのない雇用、いわゆる正規従業員ということに なるのでしょうか、そういう労働者でも、これは初任給から入って、その初任給は、需 給関係並びに長期勤続の人を確保したいということで設定される。それが、いわゆる昇 給ということで賃金カーブを描いていくわけで通常、今、何も数字を持ってきていない のですが、普通は初任給から、55歳ぐらいがピークで、大体2.5倍から3倍ぐらいとい うことです。したがって、上と下を比較したらそれだけの話になるわけですが、全体の 平均値はというと真ん中の数字になって、その真ん中の数字と初任給を比較して、どれ ほどの意味があるのかという思いが非常にあるということです。  一方で、今、初任給という話になると、実は初任給は、ここのところ長い年月上がっ てきていないのです。しかしながら一方で、この最低賃金というのは、ゼロの目安を出 した所もありますが、地域によって大体上乗せしてきている所が多いわけです。そうい う意味では消費者物価のマイナスと相俟って、実質的にはそれなりの改善が図られてき ているなと、こういう実感を持っています。  いずれにしても、一般賃金の平均値で比較してというのは、あまり意味をなさないと いうことを申し上げておきたいと思います。 ○加藤委員  先ほど池田委員からあったお話、最低賃金適用の問題で、能力であるとか仕事への適 応力を考えるべきだということについては、きちんと反論しておかなければいけないと 思いました。最低賃金法の趣旨・目的からいって、あるいは、今、我々が議論しようと している最低賃金が、我が国の賃金のナショナルミニマムとしてのセーフティネットを 構築して、これ以下の賃金で働く労働者をなくしていく。そのことによって労働者の生 活の改善を図り、国民経済全体の健全な発展に寄与することが最低賃金の目的ですので、 仕事能力であるとか、仕事への適応力ということを念頭に最低賃金を議論するというの は、やはり大きな問題があるだろうと思っておりますので、その点はちょっと申し上げ ておきたいと思います。  川本委員がおっしゃられた件に関しては、一般労働者の賃金そのものを平均値だけで とらえる必要はないと思うのですが、一般労働者の賃金の平均値と最低賃金の水準との、 お互いの格差といいますか、そういったもので最低賃金を決定するということにはなら ないだろうと思いますが、最低賃金の水準が妥当なのか、適正なのかを判断する材料と しては、やはり一般労働者の賃金水準との関係を重視して、評価するということは大事 だろうと思います。それは平均だけに限らず、様々な賃金指標を使って検討していけば いいのではないかと思いますが、この間はずっと、皆さんこれまで議論されたとおりで、 中央最低賃金審議会の目安が30人未満の賃金改定状況調査の第4表、つまり前年の平均 賃金に対して、どれだけ賃金が引き上がったかというその変化率、変化の幅だけに注目 して目安を決定し、それがかなり重要なファクターとして働いてきたという面があるわ けです。そのこと自体は目安制度として全体で確認してきたことですから、それ自体を 否定するわけではありませんが、やはり節目節目で、最低賃金がうまく機能しているの かどうかということについては、水準面も含めてその都度、再評価をしておく、そうい う仕組みをつくっておくことが大事ではないかということを申し上げておきたいと思い ます。 ○今野部会長  今日いただいた議論は論点の範囲からすると、最低賃金の決定基準をめぐる議論が多 かったのですが、前回もお話しましたように、11月の中旬ぐらいには「たたかれ台」み たいなものを作らなければいけないわけで、そのときに皆さんのご意見を、例えば適用 除外の問題もありますし、あるいは、設定単位を広域化するかどうかということもあり ますので、できればそういう点についてもご意見をお聞かせいただければ、参考にさせ ていただきたいと思います。これは単に私の要望で、そういう意見があったら聞かせて いただきたいということです。 ○須賀委員  先ほど原川委員がおっしゃったことに対して、1点だけ反論させていただきたかった ので手を挙げました。適用除外とか設定単位の関係についてはまた後ほど意見を申し上 げたいと思います。  確かに、先ほど前田課長が説明された内容からすると、法律上の問題ではないと。原 川委員は3通りあると。据置きの部分は外されましたが、引上げと引下げがあるはずだ とおっしゃいました。私どももそれはそのとおりだと思っております。ただこれは、先 ほど労働側の加藤委員からも申し上げましたように、いろいろな諸資料をもとに、これ は杉山委員からも発言があったのですが、第4表に非常に大きく影響を受けつつ、特に 今年の場合は、パートタイム労働者の改定状況というのがかなり影響していたと思うの ですが、そういう諸資料に基づいて、上げるのか下げるのか据え置くのかというのは、 これは労使で話し合って決めてきたわけです。それが決着がつかないからとか、あるい は法律の問題、適用の問題だからということで、法律上にそのことを明確にしろという と、何か一定の資料のこういう部分を取って、デジタルに決めていけという、そういう ように原川委員が意見としておっしゃっているのかと私は受けましたので、この辺の見 解をもう少し教えていただきたいと思います。 ○原川委員  それはちょっと誤解があると思います。私が言うのは、例えば地方の審議会の公益の 先生方でも、最低賃金の引下げができるかどうかというようなことに疑問を持つ方もい らっしゃる。実際に私も聞きましたが、そういうことで、別に、労使の自主性で決める ということについてとやかく言っているわけではなくて、要するに、経済実態を踏まえ て、あるいは各県の民力とか、そういったものを踏まえて決定するのであれば、引下げ ということも当然考えられることだろうと。そうするとそういうことについて、現実と して起こり得る可能性が、ここのところの経済としては、初任給も据え置かれています し、中小企業では一般の春闘などで、引下げせよというのも多くなっている。そうする と、そういう引下げということがデータとして出てきたり、あるいはそういう我々の主 張することがあり得る。今までもありましたが今後もあり得る。そういうときに、引下 げができるのかどうかということがはっきりしていない。そういう中で、また改正につ いて議論しなければいけない。ですから、それは今まで中央最低賃金審議会でやってき たけれども、また、私も再三中央最低賃金審議会で質問をしたけれども、どうもはっき りしない。ちょうど制度の見直しですから、解釈なら解釈でもいいのですが、そういう 改正ということの意味合いをはっきりさせれば、引上げと同時に引下げということも、 その制度の中に含まれているということを明らかにすべきではないかと、そういう意味 です。 ○須賀委員  引下げ、引上げの定義を、特に引き下げることに関してきちんと定義をすべきという ご意見のようですが、当然、地域の自主性の中で最低賃金が異常に高いという状況であ れば、それは引き下げていいと思います。今は、セーフティネットとしてあまり機能し ていない。私どもはあまりではなく、全然機能していないというように言っているわけ ですが、そういう状況の中で、今ある最低賃金の都道府県ごとの水準がどうなのかとい う議論をするときに、初任給が下がっているからとか、あるいは、物価が下がっている からとか、物価が下がっているといっても、ほんの0.数パーセントですよね。物価が10 %も20%も下がっているような状況であれば、それが最低賃金として本当に妥当なのか どうかという議論はしてもいいと思うし、それは当然下げる議論だと思いますが、そう いう状況がない中で、初任給が下がっているからとか、賃金水準がやや低下傾向にある からということだけで、果たして、最低賃金という機能を抜きにした中での引下げとい う議論は、私はあり得ないと思いますし、そういう意味で地方では議論がされていると 思います。また、妥当ではないというようなことをおっしゃっている地域の公益の先生 方も、そういう視点で言っているのではないかと私どもは思います。  今、部会長の方から求められましたので、適用除外について労働側の意見を申し上げ ておきます。これは非常にケース・バイ・ケースで慎重に考えないと。実態は当然踏ま えなければならないと思いますが、その実態だけにとらわれて、もう一方にある最低賃 金の機能との関係で、それをどう影響させるのかということに関しても、両方をよく睨 んで検討していく必要があると思います。いずれにしても、どういう方法で除外するこ とがいいのか、また、除外をしない方がいいのか、ここはもう少し慎重に検討させてい ただきたいと、労働側としては考えております。  適用エリアを含めた範囲の問題ですが、仮に広域型でやろうとすると、これは当然中 央最低賃金審議会での検討になってくると思います。そうすると、技術的にそういうこ とが可能なのかどうか。例えば、仮にですよ、秋田と青森をくくりましょう、あるいは、 岩手も含めましょうといったときに、何を基準にしてそれをくくるのか、あるいは、そ の際に、どういう指標を特に、ここはある程度デジタルな基準を明確にしないと、実際 の運用上でも困るだろうと思いますし、地域の地方最低賃金審議会と中央最低賃金審議 会の関係を、どう担保していくのかということも当然必要になってきますので、これま た少し問題の整理をしていただいて、もう少し議論をする必要があるのではないかと考 えます。 ○池田委員  今のことに関しては、行政の簡素化という意向からすると、やはり大くくりがいいと いうことがあるでしょう。実際に地方最低賃金審議会にそういう意見が出ているのかど うか。実際にそれをやった場合に、北海道・沖縄は別として、行政側がそういうふうに 対応できるものがあるのかということだけです。 ○今野部会長  行政側で対応できればいいのではないかということですね。 ○川本委員  先ほど能力の話について加藤委員からご意見がありました。資料1−1の3頁の所で、 下線部ということで追加意見として入っておりますが、先般私は、この能力で賃金が決 まるわけではなくて労働の対価です、何の仕事に就くのか、どういう役割を果たすかに よって決まるということを申し上げました。したがって、先ほど加藤委員が言ったとお り、能力という概念というのは違うという話ではないかなと思っています。ちなみにこ この文章、下から5行目ですが、「対価であり、能力が高まることは高い賃金の職に就 けるという選択肢にすぎない」というのは、絶対に就ける保証などはありませんので、 「就ける可能性があるという選択肢にすぎない」と直しておいていただきたいと思いま す。  他の項目の所で、委員としての発言はそれなりに、減額措置・適用除外の所でも、年 齢という概念がどなたかから出たので、そういう概念は反対ということは申し上げてき ました。  罰則については、これは全体像の中で考える必要があるかなと思っていまして、これ はまた改めて私ども、地域の意見も聞きながら検討しますので、今、コメントは差し控 えさせていただきたいと思います。  設定単位につきましては、これもまた各地方の意見を聞かなければいけないと思って いますが、個人的にはということで、現行の47都道府県でよろしいのではないかという ことを、意見として申し上げさせていただきました。  派遣のところについても、今の段階ではまだノーコメントというスタンスです。  表示単位についても同様です。特に反対とも賛成とも申し上げていない。つまり、確 かに地域別最低賃金については、時間額一本化という動きになってきたわけですが、産 業別最低賃金についてはどうなのかという関係もありますし、併せて、個人的には、ど うも時間額になってから1円だ、2円だ、3円だと、高々みたいな意見が多くて、非常 に違うと思っているわけです。それが積み上がると、月給にすれば500円だ、800円だと いうことになって、はっきりいってその800円、500円のベアができなくて今、組合も苦 しんでいますし、そういう状態が続いているわけですよ。ところが高々1円だ、2円だ みたいな話になるのは、個人的には大変疑問を感じています。いずれにしても、これも 地域の声を聞きながら、またその機会があるときに意見を述べさせていただきます。 以上です。 ○今野部会長  日本のお金の基本単位は1円、2円なので、10銭、20銭という交渉はありませんので ね。 ○田島委員  今の法8条の適用除外の点ですが、これはやはり、労働生産性の低い労働者に対して は、他の労働者と同じような水準の最低賃金を適用させると、そういった方の雇用の機 会を奪うというようなマイナスの面も出てくると思いますので、そこに差をつける必要 はあるだろうと思うのですが、現在のように適用除外という措置を採りますと、その対 象者については、急にその基準がなくなって、限りなくゼロに近い賃金水準でも問題な くなるという、そういう弊害がありますので、そうではなくて、法律上、これは減額措 置の形に変えた方がいいのではないか。現在でも運用上そういう形態が採られているよ うですので。その対象者をどのようにピックアップするかはまた別の議論に委ねたいと 思いますが、一部の対象者については、最低賃金の額を減額して別途設定するというよ うな方法にすべきではないかと考えます。 ○川本委員  今のご意見には反対です。やはりこれは法的に、まず適用除外という概念が出ていて、 その上で、その場合にどのように、2つ目のポチになりますが、除外を申請したときに、 実態としては減額になっているということですので、やはりこれは考え方として流れて いると思うのです。したがって、こういう方は減額でいいという話になると、それは今 の考え方と全然違ってくると思います。私は、適用除外というのがあって、2つ目の所、 実態としては減額がされているという、今の形でよろしいかと思います。 ○今野部会長  それでは、そろそろ時間がきましたので、今日の会議は終わらせていただきます。今 日の地域別最低賃金も、労使の意見はだいぶ違うということです。  それで、これまでの議論を踏まえて、前回お話しましたように、地域別最低賃金と産 業別最低賃金を含めて、我々公益委員のたたかれ台というのを作りたいと思っておりま して、次回のこの会議では、その案を出して議論をしていただけるように作業を進めて いきたいと考えております。 ○須賀委員  その点に関してお願いがあります。これまで、特に地域別最低賃金と産業別最低賃金 と両方を、それぞれ2回にわたって、かなり深まった議論ができたと労働側としては思 っております。それぞれの労使の対立点なり、あるいは、公益側のご意見なども、すべ てではないと思いますが、かなりの中核をつけるような内容まで出そろったと思います ので、私どもかねがね申し上げていますように、全体でこのことをもう一度再整理をし て、これから先の部会にどう臨むのかというようなことを、若干議論する時間をいただ きたいと考えております。  部会長がおっしゃっているたたかれ台は、出すことに関しては否定するものではあり ませんし、それを出されるということであったら、是非出していただきたいと思ってい るのですが、ここらで一度、労働側委員ではなくて、労働側全体としての議論をする時 間を取らせていただきたいと考えていますので、次回の部会については少し時間をおい て設定していただくようにお願いしたいと思います。 ○今野部会長  次回の予定が11月18日ですが、これをやめて、もう少しあとにしてくれというご要望 ですか。 ○須賀委員  できれば18日を飛ばしていただいて、その次の設定ができているところぐらいまで時 間をいただけないかと。 ○今野部会長  我々としては頑張って作業をして、18日までにたたき台を作って、ここで一度議論し ていただくというのが必要かなとは思っているのですが、その議論に入るときに労側と しては、準備時間が間に合わないということですか。 ○須賀委員  たたき台のようなと申されましても、正式にきちんとした資料で出てくるわけで、そ うなりますと当然、これをめぐっての議論ということになっていくと思いますので、そ の前段できちんと整理をしておきたい。さらには、こういうようなことで対応していく ということについて、労働側というよりも労働者を、それぞれ地方でも代表しているメ ンバーもいますから、そういうメンバーともきちんと意思統一をして対応したいと思い ますので、是非そういうことでの検討をお願いできないかということでの提起です。 ○今野部会長  今後の進め方の問題ですから、今日は、11月18日の10時から12時までやるということ にしておいていただいて、進め方について、使側の事情もあると思いますから、労側と 使側の事情をお聞きして、事務局と相談をしてスケジュールは考える。今日は、とりあ えず18日は取っておくということにさせていただいて、決まって、もし変更があったら また改めて連絡するということで、どうでしょうか。 ○須賀委員  結構です。 ○今野部会長  ではそういう形で、次回は11月18日の10時から12時ということで一応予定しておきま すのでよろしくお願いします。他に事務局から何かありますか。 ○前田勤労者生活課長  特にありません。 ○今野部会長  それでは今日の会議はこれで終了します。今日の議事録の署名は横山委員と原川委員 にお願いいたします。それでは会議を終わります。                 【本件お問い合わせ先】                  厚生労働省労働基準局勤労者生活部                  勤労者生活課最低賃金係                  電話:03−5253−1111                        (内線 5532)