05/10/20 第18回社会保障審議会医療部会議事録 第18回 社会保障審議会医療部会 日時 平成17年10月20日(木) 10:00〜 場所 都市センターホテル5階 ○企画官 ただいまから、第18回「社会保障審議会医療部会」を開会いたし ます。皆様方におかれましては、お忙しい中をご出席くださいましてありが とうございます。本日は、医政局長と審議官は国会業務で失礼させていただ いております。  本日の委員の出欠状況についてご報告申し上げます。鮫島委員、杉町委員、 辻本委員、野呂委員、山本文男委員からご欠席の連絡をいただいております。 なお、鮫島委員の代理として日本精神科病院協会常務理事の河崎参考人、杉 町委員の代理として公立学校共済組合九州中央病院医務局長の北村参考人、 野呂委員の代理で三重県健康福祉部医療政策監の池田参考人がご出席です。 見城委員はまだお見えになっておりませんが、少し遅れておみえになるもの と思われます。ご出席いただいております委員の皆様方は定足数を超えてお りますので会議は成立しております。  資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第、資料1「医療制度 構造改革試案について」、資料2は「在宅医療について」、資料3は「地域 医療支援病院について」、資料4は「薬局の役割、位置付けについて」です。 参考資料1は在宅医療に対する評価、参考資料2は古橋委員からの提出資料 です。以後の進行については部会長にお願いいたします。 ○鴨下部会長 本日は、お集まりいただきましてありがとうございます。議 事に入ります前に、本日欠席の鮫島委員、杉町委員、野呂委員の代理として ご出席いただいております、日本精神科病院協会常務理事の河崎建人参考人、 公立学校共済組合九州中央病院医務局長の北村薫参考人、三重県健康福祉部 医療政策監の池田千絵子参考人の出席についてご異議はございませんでしょ うか。 (異議なし) ○鴨下部会長 ありがとうございます。早速議事に入ります。本日の部会は、 昨日、厚生労働省において「医療制度構造改革試案」が公表されております。 当部会に関係する部分を中心に事務局から報告をいただいた後に、前回の部 会に引き続き中間まとめに基づく議題の2から4の3つの個別の検討課題に ついてご審議をいただくことになっております。  本日最初の議題であります、「医療制度構造改革試案」について10時30分 まで議論を進めていきます。まず、事務局から資料1「医療制度構造改革試 案について」の説明をお願いいたします。 ○総務課長 昨日の夕方、厚生労働省として医療制度構造改革試案を公表い たしましたので、その概要についてご説明申し上げます。資料1というナン バーを振られた資料があり、試案本体、試案の概要、この試案の概要の概要 みたいな簡潔にしたもの、試案に基づく財政試算、参考資料の5点セットに なっております。このうち、最初の改革試案に基づいてご説明申し上げます。  3頁は、この試案の位置づけです。5にあるように、今年6月に閣議決定 された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」、いわゆる骨太の 方針2005に対応しつつ、2年前の3月に閣議決定された、医療制度改革の基 本方針を具体化し進めていく観点から試案をまとめたものです。  具体的な内容としては、骨太方針にあるように、医療費適正化の政策目標 を設定し、達成のための必要な措置を講ずるとともに、基本方針に沿って、 保険者の再編・統合、新たな高齢者医療制度の創設及び診療報酬体系の見直 しを行うという内容です。これらの改革は、国民皆保険制度の構造改革で、 広く国民全てに大きな影響が及ぶものです。したがって、この試案について 国民的な議論を進め、国民的な合意を得ていく必要がありますので、今回試 案という形で1つのたたき台をお示ししたものです。この資料の表紙にある ように、平成17年中に成案を取りまとめ、来年の通常国会に法案を提出した いと厚生労働省として考えているところです。  中身について1頁ですが、この医療部会が所掌しておりますのは、医療提 供体制の改革ですので、この医療提供体制の改革を中心にご説明いたします。 第1は、構造改革の基本的な方向、基本的な考え方です。1頁の1の2つ目 の○にあるように、構造改革を進めるに当たり、1点目は国民皆保険制度を 堅持する。2点目は、予防を重視し、医療サービスそのものの質の向上と効 率化を図ること等を基本とし、医療費適正化を実現し、医療費を国民が負担 可能な範囲に抑える。3点目は、超高齢化の進展とともに、老人医療費を中 心に国民医療費が伸びざるを得ない中において、医療費負担についての国民 の理解と納得が得られるよう、給付と負担の関係を、老若を通して公平でか つ透明で分かりやすいものにする。こういう3つの基本的な考え方に立って 案を作っております。  この中で関係すると思われます医療費適正化ですけれども、1頁の3の (1)で、まず現在の我が国の医療及び医療費の動向についての認識です。 2頁の(1)糖尿病等の生活習慣病の患者が増大し続けている。(2)生活習慣病が 加齢とともに増悪して、脳梗塞や心筋梗塞等を発症し、入院に至るケースが 増加し続けている。(3)平均在院日数は、高齢者の転院問題等が指摘される中 で、他の先進諸外国と比べて長期にわたっており、かつ、地域ごとに大きな 格差がある。(4)生活習慣病を中心とする外来の受療率の高さや、入院期間の 長さなどが医療費の増嵩につながり、また都道府県ごとの医療費の大きな格 差につながっている。こういう認識に立っています。  (2)医療費適正化の今後の進め方としては、(1)国民の生活の質を確保・ 向上する形で医療そのものを効率化し、医療費の伸び率を徐々に下げていく 中長期的な方策と、(2)公的保険給付の内容・範囲の見直し、診療報酬改定等 により、公的医療保険給付費の伸びを直接的に抑制する短期的な方策。  このような2つを考えるわけですけれども、今回の試案では、先ほど言い ましたような医療の現状の認識に立ち、(2)の2つ目の○の後段に書いて あるように、短期的な方策だけでやると、過度の患者負担増による公的医療 保険の意義の低下や、医療機関の経営悪化による医療確保への不安を招くお それがありますので、中長期的な対策を基本としつつ、短期的な方策を組み 合わせていくことが適当ではないかという考え方に立って、適正化対策をま とめております。  最後の○で、生活習慣病や平均在院日数、長期入院高齢者といった医療費 の伸びの構造的な要因等に着目した具体的な目標の下に、医療を効率化し、 医療費を適正化するための政策を進めていく。そのためには、国、都道府県、 市町村を含めた医療保険者、事業者、被保険者、医療機関、医療従事者、患 者といった関係当事者が全員参加の下に、連携・協力の下でそれぞれの役割 を果たしつつ、具体的な取組を進めて推進していってはどうかという考え方 です。  4頁で、以上のような基本的な考え方の下に、試案の具体的な内容です。 第1の柱として、予防重視と医療の質の向上・効率化のための新たな取組で す。最初に、先ほど言いました生活習慣病予防のための本格的な取組という ことで、保険者に健診等の保健指導の実施を義務付ける等、あるいは健康増 進計画の見直し等により、対策を講じていくことが書かれております。  5頁の(2)患者本位の医療提供体制の実現です。最初のところが、医療 計画制度の見直しということで、当部会でも議論してきましたように、入院 から在宅医療まで切れ目のない形での地域の医療機能の適切な分化・連携を 進め、患者のQOL向上に向けて、総治療期間が短くなるような仕組みをつ くるために医療計画を見直すということです。  また、他の部会とも重なり合ってまいりますけれども、2つ目の○のよう に、高齢者が長期に入院する病床について、生活環境に配慮された居住系サ ービスへの転換を促進する、あるいは病院から在宅への復帰が円滑にできる よう、介護保険事業支援計画において、居住系サービスの充実を図るといっ た対策が考えられるわけです。  (2)医療に関する積極的な情報提供ということで、医療機関に関する情報提 供の制度化、あるいは広告可能な事項の拡大等により、患者・国民の医療機 関の選択を支援するということです。  6頁の(3)根拠に基づく医療(EBM)の推進。(4)医療法人制度改革という ことで、医療法人について、解散時の残余財産は個人に帰属しないことを医 療法上明確に位置づけるとともに、公立病院等が担ってきた分野を扱えるよ う公益性の高い医療法人類型を創設する。(5)医療安全対策の総合的推進及び 医療従事者の資質向上として、病院、診療所等における安全管理体制等の整 備、あるいは医薬品・医療機器の安全使用・管理体制の整備を図る。行政処 分を受けた医師等に対する再教育の義務づけといった制度の創設をしてはど うかということです。(6)地域・診療科による医師の偏在が大きな問題になっ ておりますので、都道府県に医療対策協議会を設置し、偏在問題への対応を 図るとともに、とりわけ小児科・産科を中心とした医療資源の集約化・重点 化等を推進していってはどうかということです。以上、これまでの当部会に おける議論や、8月1日に公表いたしました中間まとめの内容を踏まえ、具 体策を盛り込んだつもりです。  7頁以降は、第2の柱として、医療費適正化に向けた総合的な対策の推進 です。先ほど言いました、中長期的な医療費の適正化をどのように進めてい くかということで、(1)国が示す参酌標準の下で、医療計画との整合性を 図る形で、都道府県が医療費適正化計画を策定し、一定期間後に計画推進効 果を検証しつつ、医療費の適正化に取り組む仕組みを導入するということで す。  この制度についての所掌としては、医療保険部会であると考えますけれど も、医療計画との関連も出てまいりますので、簡単にご説明申し上げます。 (1)国は都道府県が計画を作成するに当たり参酌すべき標準を定め、また関係 当事者の役割を定め、そして将来医療費の見通しを定めるという役割があり ます。具体的な政策目標として、1つは糖尿病等の患者予備群の減少率とい うことで、平成20年と比べて25%減少させる。あるいは平均在院日数の短縮 日数としては、全国平均と最短の長野県との差を半分に縮小するといった政 策目標を掲げてはどうか。その目標達成のための1つの具体的な取組レベル として、※の下から2つ目にあるように、例えば平均在院日数の関係では、 在宅等での看取り率、地域連携クリティカルパス等の実施率、病床転換数と いったものが指標として考えられるわけです。具体的には医療計画でも、こ うした指標を医療計画のほうに取り込んでいくという議論がありますので、 そういうところで関係してこようかと思います。  8頁の3つ目の○で、都道府県の役割として、平成20年度から5年計画で 予定しております。国の参酌標準を勘案し、県がその地域の実情に応じて計 画を定めていただきます。  次の○は、計画策定から3年後において、計画の進捗状況について要因分 析等をし、検証していただきます。その時点で、政策目標の達成が危ぶまれ るような場合には、さらに計画の見直しを含めて取組の強化をしていただき ます。そして、計画の終了年度における政策目標の実施状況を踏まえ、必要 な措置を講じていただくというような考え方です。  9頁の(2)、短期的な適正化対策としては、新聞報道等にもございます けれども、高齢者の患者負担の見直し、あるいは10頁で保険給付の内容・範 囲の見直しとして、入院時の食事・居住費の負担、高額療養費の見直し、現 金給付の見直し等々の対策を掲げております。  12頁で3つ目の柱ですが、いわゆる都道府県単位を軸とした医療保険者の 再編・統合です。国保、政管健保、13頁で健康保険組合のそれぞれについて、 保険運営の広域化についての提案をしております。  14頁は第4の柱で、新たな高齢者医療制度の創設です。75歳以上の高齢者 を後期高齢者と位置づけ、(1)概要にあるように、後期高齢者の保険料、 公費、それから国保・被用者保険の支援、公費を財源とする新たな独立保険 を創設してはどうかという提案です。  16頁の(2)にあるように前期高齢者、即ち65歳から75歳までの方につ いては、現在の国保・被用者保険への加入という制度を維持しながら、制度 間の財政調整をしてはどうかという提案です。  17頁は、診療報酬体系の在り方の見直しです。当部会でも11月には、来年 の診療報酬改定の基本方針についての議論をしていただく予定ですけれども、 厚生労働省としての1つの考え方としてお示ししております。この部会でも いろいろ議論になっている看護の問題、情報提供の問題、病診の機能分化の 問題、地域における医療機能の連携体制の評価といった5つの論点を掲げて おります。以上が試案の概要です。  最後に、3つ目の横長の緑の色刷りの資料のいちばん最後のところに、医 療費適正化の効果ということで、平成18年度時点で、患者の自己負担を除い た医療給付費28.3兆円が、そのままにしておりますと平成37年度には56兆 円、対NI費で10.5%になるわけです。これを、先ほど言いましたような中 長期的な対策、及び短期的な対策により49兆円に圧縮できるのではないかと いう試算をしております。ご説明は以上です。 ○鴨下部会長 医療部会で議論してきたことが盛り込まれているようです。 今年の年末にかけて、この試案を基に成案にしたいということです。本試案 は、内容が多岐にわたっており、委員の皆様の関心のある部分も多いと思い ますが、本日は予定している議題について議論していただく時間も必要です ので、医療部会で担当しております、医療提供体制に関する部分を中心にご 質問、ご意見等があればお願いいたします。10時35分には機械的に打ち切ら せていただきますのでよろしくお願いいたします。今朝の朝刊などは、全部 トップに出ておりましたので概要はご存じかと思います。 ○小山田委員 1点申し上げておきます。7頁と8頁で国民医療費について です。現在のところ、日本の医療費は、国民総所得の7.3%です。これがこの 計画によると、このままいけば2025年には10.5%になるのを7.8%にしたい ということです。この基本になる、現在の7.3%は国際的にみても足りないの です。それを、あたかもこれが増えていくのが駄目だということになって、 国民の所得に対してどの程度まで許されるのか。それが、国際的に通用する かということをもう一度冷静に考えていただきたいと思います。これを読ん でみますと、何ら根拠となる基準がなく、ただ減らしたいというだけと思え ます。 ○小方委員 同じ7頁で、政策目標をいろいろ設定する、というのは評価で きると思うのです。その中でも、平均在院日数の短縮というのが大きな要素 を占めるのか。これは、あくまで全国平均36日というのは、病床一般、ある いは療養とか、トータル加重平均かと思うのです。  一般病床、あるいは療養の病床によってだいぶ開きがあります。もし可能 であればブレイクダウンして、病床ごとの目標設定というのも1つのメルク マールになるのではないかと思いますので、一言意見として申し上げておき ます。 ○佐伯委員 昨年から回を重ねてきた最初のところで、国民は医療に安全と 安心を求めているというのがあったと思います。今回そうやって予算を縮小 していくことで、本当にその原点のところが確保できるのだろうか、という のがやや不安な気がいたします。例えば、手厚く人が配置されていると、在 院日数が少なくて済むというデータがきちんとありました。そうすると、必 要な人員を配置するのであれば、人件費も確実にかかってくるであろうと思 いますので、それはどのように整合性をとるのかということです。  あるいは、一人ひとりの患者が、昨年の厚生労働白書の中には、コミュニ ケーションが不十分であるので医療に不安を覚えるという記載がありました。 そうすると、一つひとつの説明のところをきちんとしていただくための時間 をどのように生み出すか、時間を生み出すために、20人の患者を診るために は5人、6人の医師が必要であったりということも逆算していくことから、 実際にいま必要とされている医療にどれぐらいお金がかかるのかを示してい ただければと思います。  全体の節約だけで安かろう、悪かろうということでは本末転倒かという気 がいたします。 ○松井委員 医療提供体制のところにはあまり記述がなかったのですが、10 頁から11頁にかけて、ITを活用した医療保険事務の効率化という部分があ ります。医療部会としては、いわゆるカルテの電子化、それをデータベース 化してEBMの促進ということも別途言っております。もし医療構造改革を 進めていくというならば、医療に関する積極的な情報提供というのも、5頁 で書かれていますけれども、それをできるインフラ整備をどうしていくのか ということが、本来もっと書かれているべきではないかと思います。  そういう点で、医療部会でも、現実にどういうことができるかを検討する 必要があると思います。部会長代理から、非常にお金がかかるということも 指摘されてきておりますけれども、構造改革をするに当たっての基本的なデ ータ集積をする仕組みそのものがないと、先ほどからいろいろな委員から出 ている不安を取り除くというのは、何に基づいてやるのかというそもそもが ないのではないかという点を私は懸念します。  これは試案ということですから、医療部会としては今後十分議論していっ てもらえればと思います。それは、医療部会としていちばん重要な、医療計 画を作っていくための基礎資料にもなり得るのではないかと思っています。 最終的に先ほどあった、平均在院日数の短縮のためにはどのような仕組みで 医療連携が必要なのかということを根幹になるものなのではないか。それが、 私からすると非常に欠けている気がいたします。 ○北村部会長代理 いまのご質問で、既にがんの領域では、厚生労働省が国 立がんセンターに情報センターを設置し、我が国の網羅的ながん患者の情報 を収集すると。がんの情報収集については、個人情報保護法令を乗り越える 部分を承認する形でないと、各病院が情報を提供するのを、個人情報保護法 令によりできないという問題も実際にはあるようです。  そういうことで、各均霑化といいましても、実際どれだけの医師が、どう いう医療を、どれだけの患者に、どの程度の重症度の患者に行っているかと いう情報は、がんだけではなくて日本には全然ないのです。そこをがんの中 から始め、その次にがん以外の部分でどのようにやっていくかということは、 厚生労働省もスタートしているので、私も先生と同じように期待していると ころです。 ○古橋委員 1頁に総論的に、構造改革にあたってはというところの(2) 「医療費を国民が負担可能な範囲に抑える」という文言があります。医療費 の適正化に対して、この時代に異論は出ないと思います。国民の負担という ばかりでなく、社会保障制度としての医療制度は、国家としての任務という 部分があるように思えてなりません。  そういう点からいくと、この「国民の負担可能な」という形になると、国 民の側が支払える範囲のものにする必要があるというようにも単純に受け止 められかねない気がいたします。全体的には適正化といいながら、医療費の 抑制、抑圧というような印象がこの試案からは漂ってまいります。  そういう点では、医療というものの国家の責任、社会保障としての国民に 対する国の責任という辺りについてもう少し書かれていないと、医療は国民 の負担によって成り立つというようなことだけではないように思います。や はり、社会保障制度として、医療費の国としてのあり方、負担、国民に提供 するあり方、その辺りがもう少し明快になっていたほうが、国民としても納 得がいくのではないかという気がいたします。 ○鴨下部会長 いろいろなご意見をいただきまして、ごもっともだと思うの ですが、この時点で事務局からお答えがありますか。ITの問題は、これか らこちらでやりますね。 ○総務課長 部会長のご指摘のとおり、ITの問題については重要ではない、 ということで書かなかったわけではなく、全体のボリュームとかいろいろあ って抜けてしまっていることについてはお詫びを申し上げます。是非、この 部会で試案に向けてまたご議論いただければと思います。大変重要な問題だ と思います。  それぞれの委員から、それぞれご意見をいただきましたけれども、冒頭に 言いましたようにこれはたたき台として出したものですので、この部会はも ちろんのこと、いろいろな場でこれから議論していただき、国民の理解を得 られるようなものにしていきたいと考えておりますのでよろしくお願いいた します。  本日は非常に短時間の中でご説明申し上げましたので、わかりづらかった だろうと思いますので、どうぞご遠慮なく事務局にご照会いただければご説 明したいと思いますのでよろしくお願いいたします。 ○龍井委員 1頁のところで、いまご指摘にあったような、提供体制のほう で議論してきた、安心・安全あるいは患者本位という視点を、もう少し色濃 く出していただきたい。つまり、制度の持続可能性や安定性ということでは なくて、そこは是非バランスをとったものにしてほしいと思います。  先ほど松井委員からご指摘のあったITの問題も、効率化という視点だけ ではなく、提供体制の今回の議論の目玉になっている地域の連携体制とか、 そういうところにむしろ必要なのだと。どうも、適正化、効率化ということ が前面に出ているようなので、その辺の配慮を是非お願いしたいと思います。 ○鴨下部会長 次の議題に移ります。在宅医療ですが、これも大変重要な議 題です。資料2「在宅医療について」を事務局から説明をお願いします。 ○企画官 資料2「在宅医療について」に基づいてご説明いたします。1頁 から2頁の上3行までは、8月1日のこの部会での中間まとめにおいて、在 宅医療の推進ということで整理をしていただいた文章をそのまま記載してお ります。  2頁ですが、先ほどの試案の5頁にも在宅医療の推進が書いてありました。 その基本的考え方ということで、いまの中間まとめに書いてあるようなこと を基に、さらに整理をした基本的考え方ということです。患者のQOLの向 上の観点から、できるだけ住み慣れた家庭や地域で生活を送れるよう、また 身近な人に囲まれて在宅での死を迎えることができるよう支援する体制とい うこと。また、居宅だけでなく、その他の生活施設も含めて在宅医療という ことでの体制構築が必要。また医療計画の見直しにおいても、その地域の医 療機能の適切な分化を進めるということですけれども、そこでは在宅におけ る医療が不可欠であるということ。この辺りは中間まとめにもありましたの で、ここについては共通理解ということではないかと思います。  これらを踏まえ、具体的にどのように進めていくのかということが1の3 つ目の○に書いてあります。その際の具体的な方策についての検討の視点と いうことで5つ挙げております。(1)在宅医療の中心的役割を担う主治医 の機能の発揮、(2)多職種協働でのチームでの在宅医療、(3)在宅医療 の選択の妨げとなっている原因の除去、(4)情報提供の促進、(5)居宅 以外の多様な居住の場での在宅医療の提供という、検討に当たっての5つの 視点を立てております。5つそれぞれについて具体的にどうするかという検 討をしたものを3頁以降に記載しております。  3頁の(1)主治医の機能の発揮ということで1つ目の○多職種が協働し てチームで在宅医療を提供することになるわけですけれども、考えてみます と訪問看護の指示書を出したり、処方せんを交付したり、あるいは看取りの 際の死亡診断を担うのは在宅医療の主治医であり、それがチーム医療の中心 となって役割を発揮していくことが必要である。その機能が発揮されてこそ、 患者は安心して在宅での療養を選択できるだろうということ。  事例として、尾道市ではケアカンファレンスの会議においても、主治医が 中心となって、常に患者の状況を把握するという取組を進めているというこ とで、これは5月に尾道医師会長に来ていただきました。ポンチ絵で参考資 料の8頁にその図を付けております。  参考資料の9頁には、日本医師会では2004年11月に高齢者医療と介護に おける地域医師会の取り組み方針を設定しております。その中の1の(2)に在 宅医療の推進と主治医機能に求められる長期フォローアップの強化というも のも記載されております。  10頁の参考資料3に静岡県の事例を付けております。静岡県ではイエロー カード・システムとグリーンカード・システムがあります。イエローカード・ システムのほうは、在宅の寝たきり患者への連携システムということで、病 状の悪化などに備えて自分が診療を希望する病院を選択しておいて、そのか かりつけ医がその病状をあらかじめ病院に登録しておき、万一容態が悪くな ったときには、まずはそのカードを見てかかりつけ医に連絡しますが、連絡 が取れない場合はイエローカード登録病院につなぎます。  また、グリーンカードは看取りのほうのシステムで、かかりつけ医は患者 の希望を受けて、あらかじめ病状を医師会に登録しておいて、グリーンカー ドを配付しておき、容態が急変したときにはまずかかりつけ医、連絡が取れ ない場合はグリーンカードがあるということで当番の医師に連絡して看取り ができる、といった地域での体制をやっているという例です。  こういうさまざまな取組も各地で行われているわけですけれども、3頁で 主治医が在宅医療を実施するに当たり、その役割発揮のためにはこういう体 制がありますし、入院が必要な場合には、入院機能を有する有床診療所、あ るいは病院といったものを活用していただくのも、支援する受け皿の整備と いうのが、それぞれの地域、地域での連携の仕方がありますが、そういうも のが必要ではないか。  在宅医療を実施する医師の養成と研修、特に終末期医療においては、麻薬 を用いた疼痛管理方法などについての養成・研修が必要だろうということを 記載しております。  いちばん下の○は、5月のときの資料にも同じ文章が記載してありました が、死亡診断書の交付に際し、診療継続中の患者が診療に係る傷病で死亡し たことが予期できる場合には、その受診から24時間を超えていても、改めて 死後診察を行って、生前に診療していた傷病が死因であると判定できれば、 最後の受診後24時間を超えていた場合であっても、その求めに応じて死亡診 断書を交付することは可能であるというルールがありますが、これについて よりその周知を図っていくことが必要ではないか。こういう各案の取組を進 めることで、主治医が機能を発揮しやすくなるのではないかと考えている次 第です。  4頁の(2)多職種協働によるチームでの在宅医療の推進です。(1)地域の 医療連携体制の構築です。現在検討中の医療計画制度の見直しに当たり、脳 卒中、がん対策など主要な事業、これは医療計画の関係でご説明いたしまし た、疾病計画4つと、小児、周産期、救急、災害、へき地の5つを主要な事 業と称しております。そういうことの医療連携体制の構築や、こういうこと についての数値目標の設定を医療計画の見直しで掲げております。  こういう体制づくりがあるわけですけれども、これについての在宅医療部 分の体制整備がなければ完結しないわけです。医療連携体制というのは、住 民、医療提供者その他の関係者が協議してつくるということを、中間まとめ の医療計画の箇所にも記載していたわけです。その協議の際の関係者という 中には、地域の訪問看護ステーションあるいは薬局といった、在宅医療にか かわる施設が積極的に参画することが必要だということです。  いろいろな対策の絵を以前にポンチ絵にしたものがありましたが、それぞ れの対策に内在している在宅医療に係る連携のあり方というのを図にしたの が11頁の参考資料4です。左側の急性増悪等の場面で病院に入院し、また退 院するという流れとか、継続的な場面は真ん中の右側辺りの訪問看護ステー ション等との連携があります。看取りの場面では、左の退院のちょっと右側 に看取り・死亡確認の矢印を1つ付けておりますが、このようなことを地域 でつくっていくことが、医療計画、医療連携体制をつくっていく中で、こう いうことを実現していくことが必要ではなかろうかということを書いてあり ます。  医療計画に関しては、4頁の(2)現在のところ医療計画では法律にいろいろ 記載事項、あるいは通知などにもあるわけですが、医療計画の作成指針の中 で、在宅医療について記載する場合には、厚生省の平成9年の報告書が参考 になります、ということは書いていますが、在宅医療について書いてくださ いというような標準的な形になっていないわけです。  2つ目の○にあるように、それぞれの医療連携体制については、在宅医療 の部分も入りますし、先ほど9つの主要な事業と申しましたけれども、それ 以外の部分でも当然在宅医療の体制は整えられる必要があるということです。 医療計画を見直していく場合の新たな記載事項については、また検討会でも 検討を進めることになりますけれども、在宅医療については9つの主要な事 業に関するものだけではなくて、その横断的なものとして医療計画への記載 を求め、また地域住民に在宅医療に関する医療機能の明示をしていく必要が あるのではなかろうかということを書いております。  先ほど、医療計画の中で数値目標という話もしましたけれども、在宅医療 を医療計画に記載する際には、訪問診療や往診に取り組む医師がどの程度い るか。5頁で、訪問看護事業がどの程度行われているか、患者宅での薬剤管 理指導、あるいは看取りがどの程度行われているか、麻薬を取り扱える免許 取得者がどの程度あるかといった、在宅医療の充実を客観的に評価できるも のをしようとして数値目標を設定するということも必要ではなかろうかとい うことを書いております。  (2)多職種協働によるチーム医療の3つ目として、退院調整機能につい てです。これは、医療機関が地域における関係機関と連携を図りつつ在宅医 療を支援、という機能ということで「退院調整機能」の促進が重要であると いうことです。これに関しては、医療法に退院調整機能が重要だということ の規定を設けるということを考えるべきではないか。また、診療報酬制度に おいて、入院から在宅での療養への円滑な移行について評価することを検討 すべきではないかということです。  12頁に参考資料5ということで、高齢者の在宅医療の検討の方向性という ことで、現在診療報酬上どのような、入院から在宅への移行期、在宅での安 定期、あるいは終末期といった評価がなされ、それぞれどういった検討が必 要かということが書いてあります。これの移行期に当たるわけですが、こう いうところの評価が要るのではなかろうかということを5頁の(3)の3つ目の ○に書いてあります。  5頁の(4)は、多職種のうちの薬剤師の関係ですが、在宅医療における医薬 品、医療材料、衛生材料の提供体制の整備ということで、最初は薬剤の患者 宅での交付ということです。在宅医療では服薬指導を含めた薬物療法という のは重要な課題でありますが、現行制度では薬剤師法第22条では、薬剤師は 薬局以外の場所で調剤してはならないという条文があります。調剤は薬局で 行うとなっているわけですけれども、より在宅医療に積極的に関与していく ためには、処方せんの確認ということも患者宅で行えるようにして、薬剤を 患者宅で渡すサービスが推進されるような形をとっていく必要があるのでは ないか。医療計画における調剤に関する指標の設定、この頁の上3行に記載 してあるようなことを、医療計画の数値目標に設定していくことが要るので はないか。  5頁のいちばん下の行から次の頁は、麻薬の関係です。終末期医療では、 緩和ケアのために麻薬を使用する機会が増えているということですが、麻薬 は、麻薬及び向精神薬取締法で、厳重な取扱いが求められているわけで、患 者宅でも適切な保管・管理が必要であるということです。したがって、一定 のマニュアルを作成し、医療関係者への周知ということと、患者のほうでも 適切な保管・管理ができるように薬剤師による服薬指導がなされることが必 要だということが書いてあります。また、医療材料・衛生材料の円滑な提供 体制についても重要な課題でありますけれども、診療報酬での評価の仕方、 その範囲の中で円滑な材料の提供に関して、経済面も含めて円滑に提供でき る方策についてどう考えるかを記載しております。  冒頭に5つ挙げた視点の3つ目、患者による在宅医療の選択の妨げになっ ている原因の除去ということで13頁、14頁、15頁を見ますと、終末期におけ る療養の場所の調査結果ですが、ご自身が痛みを伴い治る見込みがなく死期 が迫っている場合に、療養生活はどこで送りたいかということです。「自宅 で」というのが6割いるのですが、その6割のうちの6分の5は「必要にな れば医療機関に入院したい」とか、「緩和ケア病棟に入院したい」というこ とで、「最期まで」というのは6割のうちの6分の1ということがあります。  別の調査ですが、5月にお出ししたときには14頁のグラフは抜けていまし たが、その調査では自宅で最期まで療養できると考えますかという質問に対 し、医療関係の方は2、3割が「可能」で、5割ぐらいが「困難だ」と。一 般の方は、1割弱が「実現可能」で、3分の2ぐらいが「困難である」とな っています。  「困難である」と答えた方について、15頁で理由を尋ねたところ、「家族 の負担」「症状急変時の心配」ということでした。以前は、13頁の次に15頁 のグラフがありましたので、若干連続性がなかったので、今回は間に1枚入 れさせていただきました。  症状急変時の対応や、家族の負担といったことをどう除去していくかとい うのが課題になります。6頁で1つは症状急変時の対応ということで、先ほ ど静岡のケースを紹介いたしましたが、入院が必要となった場合に、地域医 療を担っている病院や有床診療所といった、入院機能を有する医療機関がそ の支援を果たすことが考えられるのではないか。どういう医療資源がその地 域にあるかというのはそれぞれ違いますので、各地域で連携体制を考える際 に、医療資源の有効な活用を考えていただく必要があるのではないか。  家族の負担の軽減に関しては、家族の介護疲れに対するレスパイトサービ スということで、これも有床診療所なども資源として考えられるのではない かということが記載されております。  6頁の(4)で、地域の在宅医療に関する情報提供ということで、広告可 能事項として、往診、在宅医療、訪問看護ということがあるわけですが、7 頁で今回広告以前の一定の情報の届出・公表の制度化ということを提案して おります。その際に、在宅医療をやっているということは、「一定の情報」 の対象ということで、これまた改めてこの問題についての時間を設けさせて いただきたいと思っておりますが、こういうことで考えるべきではないかと いうことです。  病院・診療所についての話はそれぐらいですけれども、薬局についても在 宅医療を実施していることがわかるような情報の届出・公表をルール化して いく必要があるのではないかということが書いてあります。また、広告可能 な事項として、さらに追加していく必要のあるものについては拡大していく べきではないかということを記載いたしました。  医療計画で、在宅医療に関する機能を明示していくことが必要だというこ とを申しました。その際に、在宅医療に関する機能の1つとして、相談対応 をするというのが重要な機能ではなかろうかということで、そういう機能を 持っている所がどこにあるかということを明示していくことも大事だという ことを、これは医療計画の中で対応していく必要があるのではなかろうかと 考えております。  (5)居宅以外の多様な居住の場での在宅医療の提供ということで、ケア ハウス、有料老人ホームなどということを含め、介護保険制度との連携を推 進する。そういう場を増やしていくことと、そこでの医療サービスの円滑な 提供方策を考えていく必要があるのではなかろうかということを記載してお ります。以上、5つの視点に沿って申し上げました。  最後に、診療報酬ということで、平成18年度の診療報酬改定に関連して、 在宅医療への移行期、安定期、終末期それぞれについてどのように評価を求 めるべきか、ということも大事な論点かと思います。  参考資料1として「在宅医療に対する評価について」をお配りしておりま す。これは10月12日の中医協の基本問題小委に配られた資料を、参考まで にお配りしております。この中に別紙10と別紙11というものが、この資料 でいうと15頁と16頁の間にあったのですが、いまの資料に付けておりまし た終末期医療のグラフが付いていますので、重複しますので省略させていた だきました。 ○鴨下部会長 在宅医療は、高齢者あるいはターミナルケアということで、 いろいろなことにかかわっていると思います。ただいまの説明、資料2に関 する質問等も含めて意見交換を11時20分まで行います。 ○渡辺委員 意見を2点申し上げます。3頁の具体的な対策の中で、(1) 主治医の機能の発揮に書かれていることは、概ね私も賛成いたします。もう 1点、在宅医療ではあるのだけれども、特にかかりつけ医と主治医がもう一 歩踏み込んで、折角自宅に訪問診療、あるいは訪問看護をやるわけですから、 例えば介護予防そのものは医療行為ではないと言われるかもしれませんが、 それは医師を中心としたチームになってやればいいわけです。もっと言えば、 家族の健康相談というか、家族に対する配慮、そこまで踏み込んだ機能があ ってもいいのではないかと考えております。折角在宅医療を推進していくと いうときに、ただ医療に限ってというのではなくて、いわば家族ぐるみの、 文字どおり主治医といった機能があっていいのではないかと思います。  もう1点は6頁の、在宅医療の選択の妨げになっている原因の除去とあっ て2つ書いてあります。急変時の対応と家族の負担の軽減というのは私も同 感ですが、それ以上に大きい理由としては、多くの人たちは私も含めて病院 から退院して在宅になった場合に、病院と同じような医療行為が施されるの かという不安だと思います。点滴、あるいは人工呼吸といった器具を持ち込 んで在宅でやらなければいけない。病院ほどは十分にできないけれども、し かし病院により近い治療を在宅で行えるような体制があれば安心して在宅で 行える。その不安といいますか、その体制こそが選択の妨げになっている大 きな所以ではないかと思っていますので、できればそれもここに付け加えて いただければと思います。 ○堀田委員 いまのに関連して2点申し上げます。1点は、在宅医療は福祉 その他地域のいろいろな資源との連携が極めて重要であるということであり ます。ここでは尾道の事例を挙げていただいておりますが、これも1つの連 携のあり方として大変知恵のあるやり方です。ほかにもいろいろなタイプが あって、もう古くからやっている北九州市の三層構造であるとか、旧御調町 の山口医師がやっている、ボランティアを使っての病院と自宅との連携。最 近は新しいところで羽曳野で、地域で医師も入ったネットワークをつくると いったいろいろな試みがありますので、そういう連携のあり方についての情 報を整理し、提示していただくのが有効ではなかろうかということです。  2点目は、特に高齢者の在宅医療についての基本的なあり方についての研 究理念を深めていただきたいということです。在宅医療の目的として、QO Lということが言われておりますが、このQOLというのはわかったようで わからない。どのようにすればいいのか、なかなか難しいところであると思 います。特に高齢者医療については、在宅であろうと施設であろうと、医療 のあり方も治療するということをどの程度するのかという問題が出てくるこ とが多いのではなかろうか。  これが若い人たち、中年の人たちについては、疾病があれば早く治して元 気にするということは明白だと思うのです。高齢者でも特に年齢が高まれば 高まるほど、治すことよりも、誤解を恐れずに言えばいかに上手に死なせる か、ということが治療の大きな目的になるのではなかろうか。そうすると、 どこまでどう治療し、どのように対応するのか、これがその人のいろいろな 環境、考え方、家族の考え方を含め、状況によって判断しなければいけない。 その辺りの判断基準が、理念として確立されていないために、個々の医師の 判断に任されていて、ある人はもう何も治療しないし、ある人は若い者に対 するのと同じようにいろいろな薬を投与して対応する。その辺りの基本的な 考え方がまだ整理されていないために、いろいろな混乱があるのではないか と思います。これは、医師の方々だけではなく、いろいろ幅広い生き方につ いての意見をお持ちの方々と、もう一度その辺りの議論を深めていただきた いと思います。 ○鴨下部会長 大変重要なご指摘で、これはこの部会でやることなのか、別 に検討会があるのでしたら、法律家などを巻き込んでやる。この中間まとめ には、そういう1行がありますけれども、いずれにしても重要なご指摘だろ うと思います。高齢化の後には、必ず多死化という社会が訪れるはずですか ら。 ○土屋委員 度々申し上げておりますが、ただいま高齢者の在宅医療という 話がありました。これは介護にわたる居宅サービスを含めてということでも いいのですけれども、いま地方でこういうものを受け入れようとすると、そ こに誰かいないとできないわけです。でも、健康で働くことができれば、そ の人たちは外へ出て働いていただかなければなりません。そうしますと、お 年寄り同士が、おじいちゃんが具合悪くなったら、おばあちゃんがその介護 に当たっているというのが実態であります。いわゆる老老介護の状況がほと んどであります。  在宅という名の下に、もっと言いますとこれは医療費の適正化とか抑制と いうことでしょうけれども、病院と同じサービスが受けられない、医療が受 けられない、言うなればこれは大変薄い医療を承知で受けなさい、というこ とを強制することにつながるわけです。多職種の者が協働して、チームとし て在宅医療にかかわるといいましても、これが24時間継続しているわけでは ありませんので、そこには誰か1人いないといけないわけです。ところが、 いまの状況はそうなっておりません。1人で面倒を見ていたおばあちゃんが 倒れたら、一挙にその2人が施設へ入所、あるいは入院という格好になって しまうのが実態です。日常よくある話で私どもは、これを経験しているわけ です。  在宅医療、あるいは居宅サービスなどという、一面何か新しい良い考え方 のように見えますけれども、その美名に隠れて医療費を抑制するというもの が見え透いています。  したがって、在院日数を短縮して在宅へ追いやれば、いろいろな人が出入 りしてなんとか面倒をみるであろうというようないい加減なことは許されま せん。現実的にこういうものを受け入れて、日々余生を送っている高齢者に とっては、大変寂しい、お寒い状況にあるのだということを、皆さんに感じ ていただかなければいけないかと思います。  したがって、一方では、在宅医療を受け入れるための環境整備というか基 盤整備も相伴って、すすめる必要があるのだということを、どこかに書き込 んでおく必要があるだろうと思います。 ○箱崎委員 歯科の立場から1点だけ申し上げたいと思います。主治医が中 心になっての在宅医療というのは当然ですし、終末はともかくとして在宅医 療の中に歯科がかかわる部分もかなりあるのだということをご理解いただき たいという意味で発言させていただきます。  例えば、口腔ケアを進めることによって誤嚥性の肺炎がかなり少なくなる というデータも出ています。あるいは経管栄養から経口摂取によって低栄養 の改善も認められています。あるいは口でちゃんと噛めることによってQO Lの向上、ADLの向上の事例もかなり出ています。在宅における歯科医師 あるいは歯科衛生士が関与する部分も、多職種のチームの中に何らかの形で、 11頁の看取りの図の部分でもいいのですが、そういう部分に記載していただ いたほうが分かりやすいし、今後の活動の参考になるのではないかと思いま す。 ○古橋委員 在宅医療の推進が大きなテーマだとかねてから思っております が、これを進めて整備していく点で3つの切り口から考えられると思ってい ます。1つは、病院等の医療機関が患者がいわゆる生活者として、ご自分の 地域なり我が家に帰ることに対して、退院後のことを病院側が気にかける。 退院後のことも案じて気にしていくという点で、退院したらそれでかかわり が終わるのではなく、病院等の医療機関における退院支援や退院調整を、是 非とも具体化する。最近では、病院は地域連携室、医療相談室、看護相談室 等々は、かなり整備されておりますが、それらを有効的に機能をとりまとめ ながら、単に紹介率を高めるだけではない退院支援機能を、まず病院側が整 えることが、在宅に向かうときの人々への支援の最初という気がいたします。  次は、地域での受け皿の整備ですが、地域にあってはかかりつけ医の機能 は非常に重要で、訪問ナースたちも指示を発せられる医師との関係は非常に 重要に思っておりますが、かかりつけ医が訪問診療にどれだけ取り組まれる かは分かれ目です。例えば実践をしていて、ご相談に行きますと、「連れてい らっしゃい、そうしたら診察しましょう」という場面に遭遇して、ナースた ちもかなり苦慮することもあります。ですから、訪問診療に取り組まれるか かりつけ医の数の整備、内容の整備が非常に重要だと思います。  例えば、先日の『朝日新聞』で見た小児科医の研修等は、もう公に始まっ ており、それに積極的、意欲的に研修を受けて、小児科医療を始めた医師が 紹介されていましたが、私は訪問診療をする医師の整備、数を増やしていく ことが非常に重要です。  受け皿としては、訪問看護ステーション等々がまだまだ小規模で、数が足 りていないという気がします。そういう点では、ステーションの設置目標を、 在宅医療を進めるのであれば医療計画等に位置付けていただきたいと思って おります。  3つ目は、人々が在宅医療を選択していこうと選択を促すための対策です。 それには我が家や地域で暮らしながら受けられる医療サービスはここまであ りますよということを積極的に、広報という話も出ましたが、それは医療機 関があるいはサービス機関がやるのではなく、ある意味で公的に在宅医療の 使い方、ここまでサービスを受けられる在宅医療を、もっと積極的にPRを して、啓蒙して、国民が在宅医療の選択を意図するような状況の整備が要る と思います。「居住型サービス」という言葉も使われています。  私は最近、小平市にできたいっぷく荘に大変関心を持っております。これ は自分の賃貸のアパートの2階、3階で暮らしている方が、雨に濡れずに1 階には訪問診療をする診療所があり、訪問看護があり、訪問介護のステーシ ョンがあり、デイサービスがある地域居住型のサービスが具体化いたしまし た。これは大変人々の反響も呼んでいるようですので、そういう点での国の 支援、こうした居住型サービスを含めた地域での、我が家での生活者として 暮らしていける体制づくりに対して、公の支援を目論むことも要るのではな いかと思っています。 ○三上委員 在宅医療がうまくいけば、本当にいいことだと思いますが、厚 生労働省の書いた案を見ますと、高齢者の外来受診率が高く、これが医療費 の高騰につながる。あるいは平均在院日数が長いことが医療費の高騰につな がるのだという考えから、なるべく在宅を推進し、医療費を抑制するという 観点で書かれていると思います。  実際には在宅医療が成功するには、家族の介護力があるということが必要 不可欠の条件であろうと思います。ここに書かれている条件は家族あるいは 患者への支援というよりは、かかりつけ医への支援が主で、どのように連携 をするのか、あるいは診療報酬でどのように評価をしていくのかが中心で、 患者および患者家族への支援については6頁に少し書いてあって、症状急変 時の対応と家族の負担の軽減で、悪くなったときに入院できる、あるいは家 族が介護に疲れて倒れたときにはレスパイトサービスを受けられるのだとい うことですから、結局は悪くなるまでは何とか辛抱してくれということでは ないかと捉えられるわけです。  退院してから入院中と同じような医療が受けられるのかどうかということ になりますと当然受けられない。毎日血圧を測ってもらったり、顔色を見て もらったりしていたのが、2日に1度だったり、体位変換についても家族の 力を借りてやるということですから、当然質の低下は起こるわけです。  はっきり申しますと、在宅医療を本当に患者のため、あるいは家族の負担 を軽減してやるには財源が要るということで医療費を抑制するという目的で やるようなものではなく、逆に財源を用意するからやっていこうという話で あれば非常に納得しやすいわけです。  もう1つは、在宅医療に対して医療の内容を変えていこう、あるいは高齢 者の尊厳の問題が出ておりましたが、現場の医師としては、その場その場で 患者あるいは患者の家族の意向を見ながら対応しているのが実情だと思いま す。ここで医療の内容を決める国民的コンセンサスを得るにはまだまだ早い ような気がいたします。確かに欧米については栄養が摂れないようになれば 経管栄養などをせずに、そのまま亡くなることが多いようですが、日本にお いてはそこまでのコンセンサスはまだ得られていないのではないかと思って います。 ○山本(信)委員 在宅医療を進めるという目的については私も賛成ですし、 この部会自身が安心と安全な医療を提供するという大きな目的からしますと、 単に医療費を下げるという目的で在宅医療を進めることについては、私も必 ずしも賛成ではありません。  それと同時に、周辺整備ができないと、いくら在宅を進めても対応がとれ ないことになりますので、土屋委員と三上委員が言われたような周辺整備も 当然必要になってくるだろうと思います。在宅医療の中で薬局の役割がきち んと明確にされておりますので、それに十分応えるということになりますと、 例えば、移行期から安定期、終末期へという移行の中で、安定期に入ると地 域の中での連携が比較的取りやすい環境にあるのですが、移行期の段階では、 もともと急性期に入院していた病院から在宅に移っていく中では、地域の薬 局が状況を正確に把握し切れていない。そういう意味では、同質の提供がで きるのかということも、私どもとしてもかなり問題になると思います。1つ は移行期の段階で、当然かかりつけ医と入院先との間のカンファレンス等が 開かれるのでしょうが、看護も含めて、当然多業種がかかわるわけですから、 在宅医療の中で必要な業種がきちんと参加できるような、そうした情報提供 の場をまず作った上で、移行期から安定期に移っていく仕組みを作っていた だきたいと思います。  もう1点は、多少細かな話になってしまいますが、例えば5頁に具体的に 薬局の部分が記載されています。開局の薬局の薬剤師は現在でも訪問薬剤管 理指導という形で参加していますが、薬剤師という役割からすれば、開局だ けではなく、病院に勤務する薬剤師もおりますので、そうしたものも含めて、 在宅の患者にどういう薬剤師がケアができるか、あるいは医薬品のケアがで きるかという論点での整理が必要なのではないか。確かに現在は5頁に記載 がありますように、法律上の問題もありますので、こうしたものが解決され れば、大変仕事がしやすくなるのですが、それをどの範囲まで広げるのかも きちんと枠を決めることも含めて、議論が要るのではないかという気がいた します。  材料の部分が6頁に載っていますが、現在、薬局でも患者の希望に応じて 必要な材料については十分提供しておりますので、そういうことが今後医療 提供体制の中で役割として果たすとすれば、多少その下に妨げとなっている 診療報酬上の問題もありますので、そういうものも含めて、十分提供できる ような体制を作る必要があるのではないかという気がいたします。  もう1点は、患者あるいは地域の方々が、例えば薬局で言えば、どういっ たらサービスが提供できるのかについて、情報提供が要るのではないか。そ れを義務付けようという提案がありますが、私どもはそのほうがよろしいと 思っておりますし、患者が安全で安心な医療を選択できることについて、薬 局でどんなサービスができるのか。当然麻薬の保管・管理も含めて、提供も 含めてですが、そういうことを情報提供できるような仕組みを作ってまいり たい。  先立ってこの場でも東京のひまわりの例が医療機関案内として報告されて おりましたが、あの中に薬局も別立てで含まれており、インターネット上で 検索ができる。東京都民に限りますが、当然地域の方が十分選択できるよう な仕組みもできておりますので、そういうことも含めて、薬局あるいは薬剤 師がこの中で十分機能できるように考えてまいりたいと思っています。 ○尾形委員 1点意見、1点質問です。4頁で「医療計画への在宅医療の位 置づけ」ということが書かれています。これは今後検討会で検討していくこ とだろうとは思いますが、私自身は結構なことだと思います。  そもそも医療計画を規定している医療法そのものが、今まで施設法という か施設の規定に偏ってきた形で、必ずしも在宅が十分位置づけられてこなか ったのではないかと思います。そういう意味では、今回の見直しの中で医療 計画だけではなく、医療法全体の中で在宅医療を位置づける、あるいは明示 する方向を是非出していただきたいと思います。5頁に退院調整機能の位置 づけということも出ているので、たぶん医療計画だけではないのだろうとは 思いますが、それが1点です。  1点質問というか確認ですが、この資料では主治医機能ということと、11 頁を見ますとかかりつけ医機能の両方が使われているのですが、これはどの ように整理されているのか、あるいは用語法として、どちらを使われるのか。 2つ混在しているように思いますので、明確化していただきたいと思います。 ○鴨下部会長 これは質問ですから、お答えいただきます。 ○総務課長 特に違いを持たせて意識して書いたわけではありません。かか りつけ医というのは、通常主治医だと思います。用語の使い方が混乱を来す のであれば気を付けたいと思います。 ○松井委員 いま尾形委員が指摘されたように、医療計画の中に在宅医療を きちんと位置付けて、国民が十分選択できる仕組みをまず設けてもらいたい と思います。たびたび医療費を下げるためにこういうことをやるのはけしか らんというご意見が出ておりますが、そういうことではなく、今の状況はど こに、どう行ったらそういうものがあるのかも、十分患者、国民に知らされ てない状況なのではないかと思います。最終的に選択するのは国民一人一人 ですが、今はそれができていない。そこがまず問題なのだと思っています。  先ほど土屋委員が、最終的に独居の場合、あるいは老老介後の場合だと難 しいというお話がありましたが、それはいま在宅医療を進めていく体制が十 分にできていないからなのではないかという感じもいたします。  質問というか、どのようになっているのかを教えていただきたいのですが、 参考資料1の別紙に、在宅医療にかかわるさまざまな診療報酬のいろいろな 点数が付いているのですが、有り体に言えば、これだと医師としては成り立 っていかないのかどうかがよく分からない。こんなのではできないというな ら、ここの場で決めるのかどうかよく分かりませんが、そういうことを言っ ていただければよろしいのではないかと思います。それは単なる点数だけの 問題ではなく、そもそもこういう在宅に対して、最後に尊厳死的な意味合い も国民の考え方も十分ではない。そういうところも踏まえた上で推進してい くことも1つあるのではないかと思います。  もう1点は、若干違和感を覚える部分について意見を申し上げておきます と、3頁に受け皿として「入院機能を有する有床診療所」あるいは6頁の下 から2つ目の「介護疲れに対応したレスパイトサービスについても、地域の 医療資源の状況を踏まえ、考える必要があるのではないか」と書いてあるの ですが、有床診療所について、前回三上委員が規制の撤廃でご意見をおっし ゃられたことを記憶しているのですが、有床診療所の役割そのものはどうい うものかを十分整理した上で、こういうことが行われるべきではないかと思 います。レスパイトサービスについても医療資源の状況を踏まえて、医療の 中でやるのか、あるいは介護保険でやるのか、あるいはもっと違う形でやる のかなど、医療費抑制はいけないということはいろいろ言われていますが、 効率的な形で医療費を使っていくことについて、この医療部会でも十分検討 を進めていかなければいけませんので、全部こういうことが医療の中で行わ れるというのは、若干疑問だと思います。 ○土屋委員 いま松井委員が言われた在宅医療を受け入れるか否かは、その 患者なりが選択ができるような仕組みにすべきであるというのは、私も全く 同感です。と申しますのは、診療報酬上の具体的な点数で、これでいいのか という話については別の問題として、これが1つの医療提供者側にインセン ティブを与えるという意味ならば、それは大変結構なことでしょうが、前回 の介護保険に置き換えて、居宅サービスで考えますと、居宅サービスのほう を手厚く点数を配分し、逆に施設のほうを下げたわけです。  それはどういうことかと申しますと、サービスを提供する事業者に対して 居宅サービスを一層推進するというインセンティブにはなったのでしょうが、 その分それを受ける利用者は1割負担として同じことをやっているにもかか わらず、負担が大きくなったわけです。介護保険のはっきりしているのは、 限度額いっぱいまで使うような人はおらず、自己負担3万円まで使う方はお られません。逆算すると20〜30万円までということになります。  そこでどういうことが起こったかというと、在宅のほうへ追いやったつも りが、利用者なり患者にとっては、施設に入ったほうが介護報酬が下がった わけてすから、負担も少なくなる施設に入った方がいいというパラドックス を生んでしまったわけです。ですから、単純に提供者側だけの視点で考える のではなく、患者なり利用者の視点で考える必要があるだろうと思います。  診療報酬でどういうインセンティブを与えるかについては、また別の議論 として、特に介護サービスのほうはいろいろな事業者も入っていますので、 儲かることはやるが、儲けにならないことはやらないというモラルハザード が起こります。利用者なり患者からの視点でのこういう仕組みを作っていく ということが必要であるということを申し上げておきたいと思います。 ○佐伯委員 1頁の中間まとめの最初の○に、乳幼児から高齢者まで全世代 を対象としてということがあったのですが、2頁の「基本的考え方」には全 く入ってこなくて、死を迎えるための在宅医療という色合いが、とても濃く なっている、それが非常に残念です。もちろん人の数として多死の時代とい うことでしょうが、少子ですので、大事に生命を支えるということを、基本 的考えの中に盛り込んでいただきたいと思います。 ○三上委員 松井委員から質問がありましたので、在宅に関する診療報酬は たくさん書いてあって、これは中医協でも問題になりました、これが妥当か どうかについては、私個人的には適切に評価されているのだろうと思います。 これを医師がやっていけるかどうか、儲かるかどうかで、医師側の、提供者 側のインセンティブを過度にかけることは間違いで、逆に言えば、利用者に 不利益を被らせる。在宅に行きたくない人が無理矢理在宅に追いやられると いうことが生じないように、適切な範囲で評価していくべきだろうと思いま す。  またレスパイトサービスや緊急入院の場合の受け皿としての有床診療所が ありましたが、有床診療所の機能は柔軟にいろいろなニーズに対して応えら れることが非常にメリットになるというか有意義なところで、医療法の中で、 こういうものしか駄目ですよという形で厳しく決めるのではなく、いろいろ なものに使えることが大事だと思っています。  ただ医療保険施設、介護保険施設も縦割りによって、医療保険施設が空い ているのに介護保険では入れないなどということがないような形に、今後は していく必要があるのではないか。空いている所は何でも使えるのが医療資 源の有効活用になるのではないかと思っています。 ○鴨下部会長 ありがとうございました。大変貴重なご意見をいただいたと 思います。時間オーバーのついでに、私も一言いわせていただきます。3頁 の下から2つ目の○の「在宅医療を実施する医師を養成するための研修を行 うなど」というのは大変重要だと思います。臨床研修必修化の枠の中で何か をやるということではなく、前回特定機能病院の議論をいたしましたが、特 定機能病院で在宅医療をどう考えるかというのは、大変大事な問題ではない かと思います。  と言いますのは、現在の大学病院は高度先進医療をやって、用がなくなる と、できるだけ早く退院させてしまうということが広く行われているように 思います。しかし、特定疾患を年間600例以上診なければいけない。大体難 病です。病院では医療は完結しないと思います。在宅医療に持っていき、そ の繋ぎの教育を学生のときから受けさせるべきではないかというのは、私の 個人的な意見で、それが患者の視点からという医療につながるだろうと思い ます。そのことだけを申させていただきました。  在宅医療の問題はまだまだご議論いただくべきだろうと思いますが、一応 本日の審議を踏まえて事務局にまた整理をしていただきたいと思います。  次は本日の最後の議題の、資料3「地域医療支援病院について」、資料4 「薬局の役割・位置付けについて」の説明をお願いいたします。 ○企画官 それでは、2つの議題をまとめてご説明いたします。資料3の 「地域医療支援病院について」です。1頁めくりますと、中間まとめで地域 医療支援病院については、このような論点の指摘をしました。1頁の下半分 では、地域医療支援病院制度は、第三次医療改正(平成9年改正)でできた わけですが、それに先立ってこういうのが必要だという当時の医療審議会に おける答申では、2頁の上半分に書いてあるのがそのときの意見具申です。 整理をしますと、紹介、施設開放、救急、地域医療機関関係者の研修、在宅 医療の支援、情報提供を担ってもらうべきであろうということで、このうち の1頁の下の箱にある☆の4つは、いま法律の要件になっており、下の2つ は法律の要件とはなっていないのが現在の状況です。これが創設時にどうい う趣旨で作ったかということに立ち返った資料の部分です。  2頁ですが、中間まとめの論点についてブレイクダウンしますと、IIの1 は、例えば、周辺に紹介先がないという文章がありますが、特定の診療科が 周辺になくて、その診療科があるがゆえに、紹介率がどうしても高まらない ということについて工夫するということで、実際にほかの面で地域医療支援 をしっかりやっているのであれば、そういうのも承認するということについ て、どう考えるかが1つあろうかと思います。  2つ目で、へき地医療拠点病院等が行う「へき地医療の支援」ということ で代診医の派遣などの形で、その地域ではないのですが、離島なりへき地の 地域医療支援をしている場合には、そういう所が地域医療支援病院制度の承 認要件をして、そういう所も地域医療支援病院になり得るという形にするこ とについて、どう考えるかという話です。  3つ目で創設時には機能の1つとして想定していた「在宅医療の支援」の 機能を具体化していくことが、地域医療支援の1つとして必要ではなかろう か。  4つ目は、実際に地域医療支援病院が機能を果たしているかどうかについ てですが、現在、地域医療支援病院になると、入院診療加算などの報酬上評 価があるわけで、それがあると地域住民はそれに応じた費用負担をするわけ ですが、実際に機能が果たされているかについて、現在の法律の下でも地域 医療支援病院については、業務報告を都道府県に届出をしたり、「要件を満た さなくなったら承認を取り消すことができる」という条文があるわけですが、 そういうことを前提とすると、県に届出をしている情報の開示や公表を通じ て、どういう仕事をしているかを明らかにすることと、要件を満たさなくな った場合には、承認取消という運用がなされるような形での運用が、地域医 療支援病院がどういう仕事をしているかについてのチェックは必要なのでは なかろうかということを提示しております。  資料4は「薬局の役割、位置付けについて」です。1頁めくりますと、中 間まとめでは、薬局について、地域において医薬品等の提供を行う上で重要 な役割を果たしているということで、提供体制の中での薬局の役割、位置付 けの明確化を検討する必要があるということをとりまとめていただきました。  薬局を取り巻く現状ということで、薬局においては、従来から医療保険制 度の下で、病院・診療所が交付する処方せんに基づく調剤、患者の処方薬等 に関する薬歴管理、服薬指導等を、医療サービスの一部として薬剤師が提供 している。  近年、医薬分業が進展して、平成16年度においては50%を超えているとい うことで、これまでにも増して重要な役割を果たしている。  また在宅医療においても、先ほどの議論にもありましたように、重要な役 割が期待されておりますので、今後、医療機関と十分連携して、地域医療に おける体制整備を進めていくことが重要です。  2頁の具体的な対応ですが、薬局の役割として、医療提供施設として病院 や診療所と同様に、薬局に関する次のような事項があり、1つには医療連携 体制の一員ということで、医療計画に位置付けていくこと。また薬局機能に 関する一定の情報の届出・公表を制度化していく。また安全管理体制等につ いても整備をしていく。薬局で情報提供・相談体制を整えていくといったこ とを進めて、薬局がこのようなことの位置付け等を図っていくことによって、 調剤を中心とする質の高い医療サービスを提供し、医薬品等の供給拠点とし て地域医療により貢献していくようにしてはどうかということを記載してい ます。  3頁以降は参考資料で、現在の医療法・薬事法・薬剤師法の関係の条文。 4頁に数の推移、医薬分業率が50%を超えているというグラフ。5頁は、医 薬品の適正使用に関して、疑義照会がどの程度行われているか。また服薬の コンプライアンス等について、どういう取組が図られているかという資料で す。6頁は在宅医療に関する薬局の現状で、届出の数、麻薬を取り扱ってい る薬局の数が、約50%という資料です。7頁は休日・夜間への対応を、この ような形でやっているという資料です。8頁は、薬剤師の資質の確保で、平 成18年度から薬剤師については、修業年限6年ということで延長する法改正 が行われています。また現行の4年制を卒業した薬剤師についての資質向上 策を進めていくことにしているということを紹介しています。 ○鴨下部会長 ありがとうございました。2つの問題を1つにまとめて説明 いただきましたが、ただいまの説明、資料3、資料4に関する質問を含めて ご審議をお願いしたいと思います。最初に地域医療支援病院からまいります。 ○村上委員 地域医療支援病院の在り方について、もう少しはっきりさせて いただきたいと思います。地域医療支援病院は、ここに書いてある単なるか かりつけ医を支援するだけなのか。かかりつけ医を支援することだけが地域 医療を担っているわけではないと思います。  医療計画において私が決めていただきたいと思うのは、医療計画の中で地 域医療支援病院の地位がどこにあるかということが、まだはっきりしていな いように思います。単に紹介率だけでやった場合は、本当の意味で地域の中 核で地域医療を支えている病院が、地域医療支援病院を取れないわけです。 1頁目の☆の4つに書いてあることを全部やろうとしても、例えば、紹介患 者の積極的な受入れは、周りに紹介患者を送ってくれる診療所がなければ受 けられません。それにもかかわらず、救急医療は実際にやっているという病 院はいくらでもあるわけです。こういう病院が地域によって、全く差がある わけですから、私は地域医療支援病院というのは、地域医療計画の中で地域 が認めた、ここを中核にしましょうという所にすべきではないかと思います。 本来、紹介率などというものはすべて取り払うべきだと考えています。別に 地域医療支援病院の算定基準だけではなく、すべてにおいて、これがいろい ろな意味で病院の位置を決めるために、診療報酬上のインセンティブも付い ているせいか、門前診療所とかモラルハザードも起こっています。話は飛び ますが、すべての面で、こういう医療法の中から紹介率については外しても らいたいと思っています。 ○小山田委員 ただいまのご意見と重なる点がありますが、多くの病院が地 域医療支援病院を目指してやっています。ここで問題点は紹介率、逆紹介率 の基準にあります。どうしても逆紹介のできない地域、あるいは診療科とい うのがあります。それで取れないところがある。何とか紹介率を緩めてもら いたい。  地域医療支援病院とは何か。確かに医療機関との連携の上では、大変いい ことだと思いますが、現在、地域的な医師の偏在、分野別の医師の偏在が起 こっており、その解消のために民間でも公的病院でも同じですが、そういう 所に医師を派遣してる病院がいっぱいあります。そして、地域の医療施設を 守り、地域の医療を確保している所こそ、地域医療支援病院なのではないか。 こうしたところは民間にもありますが、私ども自治体病院に最も多くありま す。そういう所をもっと評価するような形で、具体的に地域的な偏在、ある いは医療分野別の偏在に対して医師を派遣して、その地域の医療を守ってい る病院に対する評価を「在宅医療の支援」の項目に明記していただきたいと 思います。 ○龍井委員 質問も含めてですが、1つは、すべての二次医療圏において普 及を図ることになっているのですが、実態はそうなっていません。そのこと がどういう問題があるのか、場合によってはそれは必要がないということな のかについて、前にも論点になっているかもしれませんが、今の段階でわか れば教えていただきたい。  2つ目に、チェック体制の問題が出ていて、とても重要なことだと思いま すが、その仕組みづくりの前に、どういう機能を果たし得ているのか。要件 では、研修等と入っていますが、実際にそのデータが今まであまりなかった ように思います。もしないのなら、仕組みづくりが必要かどうかという前に、 実態を把握することを検討していただきたいと思います。  3つ目は、先ほどの論点とかかわるのですが、2頁の下段にありますよう に、在宅医療支援という言葉が出てきます。この中身は何をイメージされて いるか。救急医療の地域の空きベッドの確保やかなり重要なことがあり得る と思います。論点として先ほど言えなかったものですから、もしもそういう 機能を果たし得るものであれば、前段の「論点」に地域医療支援病院の役割 の位置付けを付加していただきたいと思います。 ○総務課長 まず地域医療支援病院の整備の目標の考え方ですが、前の部会 で申し上げましたように、制度当初は二次医療圏に1カ所ということで目標 を掲げていたことは事実です。  今日も議論が出ていますが、そもそも地域医療支援病院の役割、趣旨につ いて制度当初からあったようですが、いろいろな見方があります。村上委員 からは、まさにこれは地域の中核的な医療機関として評価すべきではないか という見方がある一方、この資料の2頁に書いてある制度当初の審議会の意 見具申にありますように、かかりつけ医等を支援する医療機関という位置付 けだという意見もあって、さまざまな意見が私たちの事務局のほうにも寄せ られています。  もう1つは、今回の議論の中で考えなければいけないのは、新たに医療計 画制度の見直しをして、地域における医療機関の機能分化・連携をこれから 進めていく中で、わかりやすく言えば、みんなが地域の中で医療機関も連携 し合い、紹介し合って、逆紹介し合ってということを進めていく中で、地域 医療支援病院だけを高く評価していく意味はどこにあるのか。それは中核的 な医療機関だというならば、確かにそういう評価になるわけですが、その点 を是非ご議論いただきたいと思います。  実態把握についてはご指摘のとおり、指定された数等については把握して いますが、具体的な要件がどの程度満たされているのか、その後の地域医療 支援病院の役割の実施状況については、国として詳細に把握しておりません ので、論点の4つ目にもある問題意識もありますから、今後実情の把握に努 めたいと考えています。  在宅医療の要件は具体的に何をイメージしているかというご質問ですが、 今日の最初の議題の在宅医療の推進が、私どものこれからの課題だと思って おり、そこで地域医療支援病院の役割として、かかりつけ医の支援がありま したので、そういうことであれば、まさに在宅医療の支援。それから平成8 年の審議会の答申の中にも、在宅医療の役割が書いてありましたので、今後 在宅医療を進めるに当たって、地域医療支援病院にそういう役割を明示的に 持ってもらってもいいのではないかという問題意識で「論点」に書かせてい ただきました。  具体的な要件として考えられるのは、例えば急変時の受入れが課題になっ ていると言いましたが、例えば、ベッドを常に確保しておく、あるいは地域 の主治医、医療従事者に対する研修、特に麻薬の管理などについては非常に 難しい問題がありますので、在宅医療に特化した研修をやっていただくとい ったことが考えられるかと思います。 ○三上委員 地域医療支援病院の問題ですが、問題は現行では紹介率の高さ がいちばんの条件になっているのだろうと思います。これはプライマリーの 医療をやらない、いわゆる紹介専門型の医療の入院基本料に対して高い評価 を付けようということですから、村上委員がおっしゃったように、一次医療 もやりながら、地域医療支援病院があって、入院基本料に加算というのは、 非常に難しい状態だろうと思います。  ただ紹介率だけで地域医療支援病院を決定するというやり方は、私自身も いかがなものかと考えており、地域医療支援病院に手挙げをされれば、当然 地域医療支援病院として機能を果たしていく。その際には、一次医療に関し てはどのように制限するのかについては仕組みが必要だろうと思います。  また機能として在宅医療の支援等が新たに入ってきたわけですが、在宅医 療の支援というのは、地域医療支援病院の機能には当たらない。かかりつけ 医の支援という形で緊急入院のベッドを用意するなどというのは二次的な支 援ということで、救急医療の実施という範疇に入るのであって、在宅医療の 支援ということは、当然一次医療ということですから、地域医療支援病院の 機能としてはそぐわないのではないかと考えています。 ○松井委員 いろいろな論点がすでに出ておりますので、紹介率のみをとっ て、地域医療支援病院を見るというのはおかしいということならば、そもそ もそこに差が付いていることも併せて議論してもらわなければいけないので はないかと思います。差が付いていることが妥当であるのかどうかは、本来 そのハードルを下げればいいということではないような気がいたします。  医師の偏在ということで、そのために医師を派遣しているというところも、 言ってみれば、そこの地域ではなく、もっと遠い所に派遣しているというケ ースもあったり、現実には非常に難しい部分もあるのかもしれませんが、教 育・研修をきちんと行っていることが、1つの考え方になるとすると、地域 医療支援病院ではなく、特定機能病院には大学病院がほとんど入っています が、それとの棲み分けも一方できちんと整理していくこともあるのではない かと思います。  在宅医療はどういう形でやっていくのかというときに、三上委員はあり得 ないというお話でしたが、在宅医療を進めていくに当たっての最後の急変増 悪のときの受け皿もあり得るでしょうし、地域で在宅医療をするためには、 医師が1人でやるのではなく、チームを組んでやるという仕組みも必要なの だろうと思います。コーディネーションは尾道医師会みたいに医師会が先頭 に立ってやるということならばいいのですが、それも他の地域ではなかなか 進んでいないのならば、そういう役割を担ってもらうことも、もしかしてあ り得るのではないかと思いますし、この地域の中核となる病院となると、医 療計画の中にきちんと位置付けた形で情報提供を行っていく役割もあると思 います。  もう1つあるのは、こういう病院に指定されていなくても、地域でいろい ろな形で活躍している病院の中には、地域住民に対する医療知識を植え付け るとか、健康管理の教室を開くとか、いろいろな活躍をしている所もあると 思います。今回の厚生労働省の試案の中でも、健康や予防などについて書い てありますが、もう少し新しい仕組みも、仮にこういうものを残すのなら入 れ込んでいくなどの検討もしてもらってもよろしいのではないかと思います。 ○鮫島委員(河崎参考人) 精神科医療を提供している立場から、地域医療 支援病院をどのように考えるのかという側面で少しお話したいと思います。  私ども精神科医療を提供している立場から言いますと、地域医療支援病院 に関しては、どういう接点があるのかというのは、常に思っております。例 えば、ここに救急医療の実施ということが書かれていますが、精神科医療が 果たしてそこまで地域医療支援病院の中で、救急医療として対応していただ いているのかどうかというのが1つの問題としてあります。  私どもが地域医療支援病院の今後の中で、最も検討していただきたいのは、 精神障害者の身体合併症の治療に対して、地域の中でどれだけ役割を果たし ていただけるのかという視点をどこかに入れていただきたいと思っています。 全国的に見ても、各自治体で、例えば、精神障害者の身体合併症に対する1 つのシステムが出来上がっている所もあれば、全くそういうものが充実して いないために精神科の患者が、十分な身体的治療が受けられないということ も、一時、社会的な問題になったこともあります。その辺の役割を何らかの 形で、地域医療支援病院の中に位置付けていただけないのかという1つの思 いとして発言させていただきました。 ○大橋委員 地方によって地域差もあります。新しい病院ができたというと、 患者はがんセンターでも風邪でも何でもワーッと行きます。どうしても偏り が生じてしまいます。前回、診療所と格差があり、治療費を病院等が上げる ということもありましたが、病院が上げるのは結構ですが、外来は上げる必 要がないのではないか。入院は上げる必要があります。病院をつくるときも、 病診連携がしっかりできていれば、こういうものをやらなくても十分間に合 うのではないかと思います。紹介患者の数がどうこうなどというのは、紹介 がなくても症状が悪ければ来た人を診ないわけにはいきません。受付で「あ なたは紹介だから診ますが、救急で来たのは駄目です」などと言ったら、そ の病院の医師は救急患者を診ないということになりますし、現実問題として 患者というのは、どうしても病院志向になってしまいます。医療知識を広め るというのがありましたが、確かに行政は、一般の人に、「こんなのはかか るべきではないよ」などという指導も必要かもしれませんし、やりますが、 現実にはどうしても大きい病院がいいという考えを持っているのではないか と思います。  在宅医療ですが、イエローカード・システム、グリーンカード・システム は、単純で、こういうのがいいのではないか、実際に患者のためになってい るのではないかと思っています。 ○古橋委員 以前も発言させていただきましたが、医療を受ける側からしま すと、地域医療支援病院とは一体何なのということで、全くよくわかってい ません。医療提供側では紹介率だけが先行して、このテーマはしっかり地域 医療支援病院の存在で、ある意味でへばり付いたと思いますが、法律で期待 された機能が実効性あるもので動いているかとなると、そうではないように 思います。地域医療支援病院を直ちにやめるという議論が無理ならば、地域 医療支援病院の在宅医療の支援は、この支援病院の機能として重要なものに していくことは大変いいと思います。  なぜならば、在宅医療というのは、直ちに見事に拡大し、普及するもので はありません。そういう点から、例えば地域連携パスというものを、地域医 療支援病院と銘打ったからには具体的に展開していくことを役割にして明解 にしていく。緊急事態の受入ればかりではなく、在宅医療がより適切な形で サービス体系になっていくための役割モデルを果たす義務があるという位置 付けをすることによって、地域医療支援病院の在宅医療の支援には私は大変 賛成です。 ○山本(信)委員 資料4に私たちに関係する部分がありますので、一言申 し上げます。これまでこの部会を通じて意見を申し上げてきたわけですが、 今回、2頁に「具体的な対応」という形でまとめていただいたことについて はお礼を申し上げます。ここにありますように、薬局に期待されている役割、 貢献すべきことについては、今後とも受ける側、患者の視点、国民の視線に 立った立場で貢献してまいりたいと考えておりますが、そのときにできまし たら実効性のあるような、いわゆる貢献が実効性があるように、周辺環境の 整備をお願いしたい。そこに5点ほど書いてありますが、そういうことも含 めて、是非周辺の環境整備についてお願いしたいと思います。よろしくお願 いします。 ○豊田委員 地域医療支援病院の存立の問題については、よりこの内容を良 くする形で今後とも継続するという立場から発言させていただきます。地域 医療支援病院が各地域になかなかできないのは、紹介率の問題があります。 これは地域に貢献する、かかりつけ医を支援するという立場から数値として 出てくることで、こういうことが出てきたのでしょうが、例えば2頁のIIの 2に「へき地医療拠点病院等が行うへき地医療の支援」とあり「へき地」と いう言葉がありますが、過疎地では紹介や逆紹介はなかなかできない問題で す。ここに書かれているような紹介率以外の機能を持っても、地域医療支援 病院になり得ないのかということで、これこそ地域格差の1つになると思い ますので、この辺については検討が必要だと思います。  いま医療計画が進んでいます。この中に医療連携が出てきますが、この中 心になるのは何かということがはっきりしない。地域医療支援病院がその役 割を担うべきですし、特に1頁に「地域の医療関係者に対する研修」もあり ますが、「医療機関の情報提供」は今回策定されている医療計画の中では、 非常に大きな役割を持つので、これを地域医療支援病院の機能にすることは 非常に大事な問題だと思います。  そういうことで在宅についての要件を入れるというのは、私も大賛成です から言いませんが、特に医療計画を進める上で、地域医療支援病院はこれか ら核になり得る存在であるということで、ご検討いただきたいと思います。 ○三上委員 いまの意見に対して、少し反論させていただきます。地域医療 の支援に関しては、かかりつけ医がやっている地域医療を後方から支援する という形での意味なら大賛成ですが、直接在宅医療をやるのだという話にな ると全く目的が違います。本来自治体病院、あるいは国立病院のように、税 金が入って政策医療をやる、あるいは地域医療支援病院という形で入院基本 料に大きな加算が付いてくるのは、ある目的を持って、そういう加算、ある いは補助金が出ているということですから、何でもやっていいというもので はない。ただ、さまざまな機能を付加するために、さまざまな診療報酬、あ るいは補助金が投入されても、その機能をちゃんと発揮するためには患者側 が適切な医療機関を選択するというインセンティブがなければならない。現 在うまく行っていないのは、フリーアクセスの中で患者側が適切な医療機関 を選ぶという受療行動が起こっていないことが大きな問題ではないかと感じ ておりますので、こちらも同時にやらなければ医療機関側のインセンティブ だけで地域医療支援病院になれば、入院基本料の加算があるということ。そ れが紹介率で決まるということなら、門前診療所、サテライト診療所などの モラルハザードが起こるという問題がありますので、その辺を十分検討して いただきたいと思います。 ○豊田委員 ただいまの発言ですが、そのことを生かすために医療計画をず っと検討してきたわけで、医療連携というのは、それをいかに動かしていく かがポイントになるということを、私は話しているつもりです。 ○鴨下部会長 まだご議論があるだろうと思いますが、時間ですので、今日 はこれで終わりたいと思います。地域医療支援病院及び薬局についても、い ただいたご意見を事務局で整理していただくことにします。  また最初にご説明があった医療制度構造改革試案については、時間もあり ませんでしたが、総務課長からもありましたように、ご意見があれば。FA Xなりメールなりで事務局宛にお願いいたします。今後の日程等に関して事 務局からお願いいたします。 ○企画官 次は11月10日(木)の午前10時からの開催の予定です。開催場 所と議題については、追って連絡をさせていただきます。お忙しいところを 恐縮でございますが、ご出席いただきますようお願いいたします。 ○鴨下部会長 それでは、本日はこれで閉会にいたします。長時間いろいろ ご議論ありがとうございました。 照会先 医政局総務課 山口、野崎 連絡先:03−5253−1111(内線2518)