05/10/12 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成１７年１０月１２日
         議事録


０５／１０／１２　　中央社会保険医療協議会
　　　　　　　　　第６８回診療報酬基本問題小委員会議事録

(1)日時　　平成１７年１０月１２日（水）１０：００～１２：０３
(2)場所　　厚生労働省専用第１８会議室
(3)出席者　土田武史委員長　遠藤久夫委員　室谷千英委員　小林麻理委員
　　　　　 対馬忠明委員　小島茂委員 大内教正委員　松浦稔明委員
　　　　　 松原謙二委員　青木重孝委員（代　三上）　石井暎禧委員
　　　　　 黒﨑紀正委員　山本信夫委員
　　　　　 岡谷恵子専門委員
　　　　　 ＜事務局＞
　　　　　 宮島審議官　麦谷医療課長　石原調査課長　　他
(4)議題　　○　手術の係る施設基準について
　　　　　 ○　在宅医療に対する評価について
　　　　　 ○　リハビリテーションに対する評価について
　　　　　 ○　患者の視点の重視について
(5)議事内容

○土田小委員長
　ただいまより、第６８回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催い
たします。
　まず、委員の出欠状況について報告いたします。
　本日は、宗岡委員及び青木委員が御欠席で、青木委員の代理として三上さんがお見え
です。
　また、保険局長は、公務のため欠席させていただく旨の連絡を受けております。
　それでは、議事に入らせていただきます。

○松原委員
　はい。

○土田小委員長
　はい、松原委員。

○松原委員
　議事に先立ちまして、厚生労働省にお聞きしたいことがございます。
　ある新聞で、先日、診療報酬、２～３％の引き下げを厚生労働省がお決めになったと
いう報道がございました。この厚生労働省がお決めになったということは事実でござい
ましょうか、あるいは、もし事実でなければ、その新聞内容の訂正あるいは謝罪を求め
られましたでしょうか、お願いします。

○宮島審議官
　あの報道については事実でございません。事実でございませんので、新聞社の方に対
しては、こういう記事を今の時期に出されても非常に困るということで申し入れをして
おります。

○松原委員
　ありがとうございます。ということは、診療報酬についての報道は事実ではないと、
まだ決まっていないということでございますね。

○宮島審議官
　はい、そのように理解していただいて結構です。

○松原委員
　ありがとうございます。

○土田小委員長
　よろしいでしょうか。

○松原委員
　はい。

○土田小委員長
　それでは、今日予定しております議事の方に移りたいと思います。
　まず最初に、「手術に係る施設基準」について議題としたいと思います。前回、１０
月５日の中医協におきまして、事務局より資料の説明を受け、若干の議論を行いました
が、時間が不足していたため、本日も引き続き御議論いただくということになっており
ました。
　資料は添付されておりますが、前回と同じでございますので、資料の説明は抜きにし
て、早速御意見等をお伺いしたいと思います。どうぞお願いします。

○小島委員
　前回も若干発言をしましたので、ちょっと２点ほどこの問題について発言したいと思
います。
　１つは、この施設基準、手術数とアウトカムの相関がどうかということで、各資料に
ついています学会からの調査報告を見ましても、今の施設基準、手術数、５０あるいは
１０、５という、その基準の超えているところと超えていないところというところでの
相関があるかどうかということなので、それでは、今の基準では有意性が見られなかっ
たという評価をしているということなので、これから見ますと、手術数とアウトカムの
相関がないという結論には行かないだろうと。今の基準では相関が出ないということを
言っているだけの話なので、では、手術を上げれば、５０例を１００例とか２００例に
上げれば、またこれは違った結果になるだろうというふうに思いますので、そういうと
ころをやはり技術分科会の方でもう少し検討していただく必要はあるのだろうというふ
うに思っておりますというのが１つです。
　それともう１つ、もともとこういう制度、施設基準を設けたというのは、今言った手
術数とアウトカムの相関問題というのもありますけれども、やはり医療機関の機能分化
というのが一つ目的にあったのではないかと。手術の集積をすれば、それなりに効果も
成績も上がっていくといったような、そういう機能分化といいますか、そういうことを
一つ目的としてベースにあったと。そういう視点から考えた場合には、手術数というの
は一つの合理的な基準になるのではないかというふうに思っておりますので、これ、そ
ういう見解という、相関があるかないかという議論もありますけれども、やはりそうい
う機能分化という視点から見て、一つの基準として施設基準、手術数というのが一つの
指標になるのではないかと思いますので、その辺を、これは技術分科会ではなくて、こ
れはどう考えるかというのはまさに中医協の方の議論になるのではないかというふうに
思いますので、そこは２つの視点があるということで、やはり検討する必要があるので
はないかというふうに思っております。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　２号側、何か御意見ございますでしょうか。
　この問題につきましては、手術の件数とその成績にかかわる調査結果が一応示されて
おりますが、今小島委員から発言がありましたように、回数だとかあるいは海外の文献
等につきまして、もう一度詳しい精査を医療技術評価分科会におろしまして、そこで検
討あるいは検証をしていただきたいというふうに考えているわけでございますけれど
も、そういう方向で進めてよろしいかどうか、具体的に御意見をお伺いしたいと思いま
すが、いかがでございましょうか。

○松原委員
　手術に係る施設基準につきましては、いろいろな意見があると思います。私どもも、
症例数が十分にあって、あるいは医師がその手術に十分に習熟しているということは、
やはり大切なことだと思っております。ただ、今回の検討にございましたように、なか
なかそれを数字的に証明することは、現在のところは難しいということでございます。
その原因としましては、１つは、この区分１、２、３と分けたということが非常に問題
点であったように私ども理解しております。そのようなことから考えまして、できます
れば、この考え方は残し、根拠のあるものを新たにこの中に入れていくということで対
応するということではいかがでございましょうか。今回、この区分の１、２、３があっ
たために、非常に根拠が出にくかったということでございますので、これまでのところ
の箱の中は一たん空にして、その箱の仕組みは残して、根拠があるものを新たに議論し
てそこに入れていくということではいかがでございましょうか。

○土田小委員長
　どうもありがとうございます。
　前回石井委員からそういう発言をいただきまして、同じような趣旨と理解してよろし
いですね。

○石井委員
　はい。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ほかに。

○対馬委員
　まさに医療技術評価分科会においてそういった評価・検証を行っていただくというこ
とですから、それを踏まえて議論したらいかがでしょう。今ここであまり今おっしゃら
れたような形でもって決めたりせずに、それを踏まえてということでよろしいのではな
いかというふうに思います。

○土田小委員長
　わかりました。

○石井委員
　進め方でそういう内容から検討されるのは結構なのですが、この枠組みは残すといい
ましても、そういった根拠のないのを残しておくと改善が進まないので、枠組みは確か
に残すけれども、その内容はやはり具体的な根拠があるものにすべきで、それまでは現
状を維持するというのではやはりまずいだろうと思います。
　それから、この問題を単純に白紙にすると、それだけの内容がない手術をされても困
るという懸念がおありになるのだと思いますが、施設基準要件、医師の臨床の経験と
か、その医師の手術数に関しては、ある程度の規制を残すのは反対していないので、学
会の意見である程度のことはできると思います。病院毎の症例数に関しては、はっきり
とこれから調査して、根拠があるものを検討する。この２つを分けて考えていただきた
いと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。よろしいでしょうか。

○対馬委員
　恐らくあまり違ったことを言っているのではないのだろうというふうに思うのですけ
れども、ただ、一たん白紙に戻してと、こう言われますといろいろ問題がありますの
で、まずは検証してと。お互いここの場でここ数年来エビデンスのないものについては
おかしいねという共通認識があるわけですから、エビデンスがあるかどうかということ
を御検証いただいて、それをもとにして議論していくということでよろしいのではない
かというふうに思います。

○松原委員
　この区分があるために、現実問題として手術ができにくくなっている場合がございま
す。例えば離島における治療において対応が非常にしにくいというのが現実問題として
ございますので、そのあたりは、これまでも議論してきたところだと思います。そうい
ったことも踏まえて、私は先ほど申し上げましたように、一たんこの区分による分割と
いうのはもとに戻して、そして新たに証明されたものを入れていくという考え方ではい
かがでしょうかという発言を申し上げたわけでございます。

○土田小委員長
　今松原委員が話されたのは、症例数が具体的に数字として現在あるわけでございます
が、そこのところはもう一度検討し直すということと、それから、医師要件について
は、原則としては一応こういう考え方でよろしいけれども、もう一度改めて検討すると
いうこと、それから再度海外の文献等についても精査をして、どれだけエビデンスに基
づく症例件数をベースにした基準ができ上がるかということを含めて分科会の方におろ
したいというふうに考えておりますが、そういうふうなまとめ方でよろしいでしょう
か。よろしいですか。

○松浦委員
　ちょっと発言しますけれども、この前、たしか手術の回数と、手術の腕といいます
か、熟練度といいますか、上手・下手といいますか、そういうものは全く関係がないと
いうようなデータが出ていたのではないですか。

○土田小委員長
　それについては、前に医療課長に質問がありまして、それで施設としてはそういうこ
とがかなり明らかになっているけれども、医師個人個人についてはそこはまだあいまい
であるというような発言もありましたし……。

○松浦委員
　だから、そういうデータがきちっと得られるのですか、今診療側がおっしゃっている
ようなデータが。

○土田小委員長
　ですから、先ほど石井委員からありましたように、一応エビデンスがはっきりしたも
のは、そういうものがあれば、それをベースにして考えていきたいと。

○松浦委員
　それはそうですね。だから、全部のけてしまうというよりも、そういうものが本当に
得られるのであればですから、だから、それはそれで調査してもらう、それで出てき
て、そこで、それではこれはのけてしまおうかという議論はそのときにした方がいいと
思います。

○土田小委員長
　ですから、これは決定ではなくて、分科会から上がってきたものをもう一度ここで議
論するということでございますから、そういう形で御理解いただきたいと思います。

○松原委員
　松浦委員の御発言ですが、私どもこの医療機関における症例数においては有意なデー
タがでなかったと申し上げているわけで、各医師の手術の経験とはまた別のものだと思
っております。そこのところを誤解のなきようにお願いします。そういったことを含め
て、診療している医療機関の手術件数だけでカウントするからおかしな結果になったの
だということをまず申し上げたいと思っております。したがって、ここにほかの要素を
加えれば、当然何らかのエビデンスが出てくるのではないかと思っておりますので、そ
ういったことで手術する医者の経験なども踏まえれば、かなり正確なものが出るように
思います。
　それともう１点、今回この施設基準が入ったために、非常に点数が上がったり下がっ
たりいたしました。カウントするときに３０％減算というところから平均値をずっと下
げて加点という形になっております。したがいまして、これを戻すに当たっては、そこ
のところをまた十分御議論いただかなければ、現実問題としてここのところが減点にな
るような形には、やはり医療機関としてもつらいのではないかと思っております。

○土田小委員長
　この加算・減点につきましては、前回石井委員の方から発言もありまして、それは一
応踏まえているつもりでございます。
　以上、大体議論が出てきたと思いますが、それと、先ほど申しましたように、この件
につきましては、医療技術評価分科会にもう一度おろして検討していただき、その報告
を待ってもう一度ここで議論したいというふうに考えますが、よろしいでしょうか。
　　　　　　　　　　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土田小委員長
　どうもありがとうございました。
　それでは、次の議題に移りたいと思います。次は、「在宅医療に対する評価」につい
て議題としたいと思います。
　事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。

○事務局（麦谷医療課長）
　おはようございます。医療課長でございます。
　今日議題に供しておりますのは、今御議論いただいた手術の施設基準を含めまして４
つございます。
　まず、診療報酬改定の個別事項の審議にこれから入りますので、全体像を私の方から
御説明したいと思います。全体像というのは、今日、実はつけてございませんが、９月
２８日の総会で全体スケジュールが示されております。その中で、１０月は８つのアイ
テムを議論することになっております。そこで、その８つのうちから４つを今日議題に
供しております。
　資料の構成でございますが、この残り、これから御議論いただく在宅医療、リハビリ
テーション、患者の視点、この３つのそれぞれの議題につきまして、２つずつ、本文と
参考資料という２つの資料で成り立っておりますので、在宅医療が２つ、リハビリテー
ションが２つ、患者の視点が２つ、この本文と資料を双方ごらんいただいて、私どもの
説明をお聞きいただきたいと思います。
　それではまず、御指示のありました在宅医療につきまして、中医協診－２－１、これ
が本文でございまして、もう１つ資料として中医協診－２－２、この２つの資料をごら
んいただきたいと思います。
　まず、在宅医療に対して現行の診療報酬点数上どのようになっているのかということ
を御説明いたします。ちょっと複雑でございますので、ぜひ資料をごらんいただいて、
御理解いただきたいと思います。
　まず、本文診－２－１の１ページ、「現行の診療報酬上の評価の概要」ということ
で、これから現行を説明いたします。まず、説明に当たって、私どもでカテゴリーをち
ょっと分けさせていただきました。その最初が＜在宅医療に係る基本的な診療報酬上の
評価＞ということで、この後に、２ページをお開きいただきますと、今度は上の方に、
＜在宅医療を移行期、安定期、終末期に分けてみた場合の診療報酬上の評価＞と、それ
からさらに３ページ、＜要介護高齢者の居宅療養を支援するための診療報酬・介護報酬
上の評価＞、それからその次に、＜在宅医療に係る診療報酬上の評価の経緯＞というこ
とで、４つの大項目で資料をまとめております。
　では、１ページに戻っていただきまして、（１）、医師・看護師等医療従事者が訪問
して、診療等を行うごとに算定可能な点数ということで、そこに往診料、在宅患者訪問
診療料、在宅患者訪問看護・指導料と、３つの種類の診療報酬点数がございますが、御
存じのとおり、往診料は、患者さんが医師に来てくれという患家の求めに応じて、医師
が患家に赴き診療を行った場合にのみ評価できるわけで、医師の往診を求めていないの
に医者の方から行った場合は算定できないということになっておりますが、今度、次の
在宅患者訪問診療料はここが微妙に違いまして、居宅において療養を行っている患者に
対して、医師があらかじめ計画的な医学管理の下に、これは呼ばれていなくても、初め
から決めて定期的に訪問して診療を行った場合に評価して算定できる。それからその下
のものは看護師等が行く場合に点数がついていると、こういうことでございます。
　これを表にしたのが中医協診－２－２の最初のページの別紙１、往診料、在宅患者訪
問診療料、在宅患者訪問看護・指導料でございまして、いっぱいいろいろなことが書い
てありますのは、これはそれぞれ時間外の加算、夜間の加算、ターミナルケア加算、そ
れから在宅看取り加算、そのような加算がいろいろございますのでちょっと複雑になっ
ておりますが、基本は、往診料と在宅患者訪問診療料と訪問看護・指導料の３つでござ
います。それが訪問して診療を行うごとに算定可能な点数でございます。
　次の、もう一度、診－２－１の１ページに戻っていただきまして、（２）、定期的な
訪問診療を行うこと、定期的な訪問診療といっても、内容は種々ございますが、それを
包括的に一括して評価した点数というのが３つばかりございます。それが在宅時医学管
理料というものと、在宅末期医療総合診療料、それから寝たきり老人在宅総合診療料、
この３つでございます。最初の在宅時医学管理料につきましては、居宅において療養を
行っている患者さんに対して、計画的な医学管理の下に週１回以上の訪問診療を行っ
て、電話等で常時対応できる体制を確保している場合に、１月単位で算定できます。
　次の在宅末期医療総合診療料につきましては、対象が在宅で末期の悪性腫瘍の患者さ
んだけです。この患者さんに限って計画的な医学管理の下に訪問診療、訪問看護を提供
した場合に、これは週単位で算定できます。
　それから、寝たきり老人在宅総合診療料、これは、在宅寝たきり老人等に対して、計
画的な医学管理の下に月２回以上の訪問診療を行った場合に、１月単位で算定できると
いうもので、この３つを表にまとめましたものが、診－２－２の２ページ目の別紙２で
ございます。それぞれ細かく、包括範囲、点数、算定要件、それから届出基準等々書い
てございますので、一覧表にしたのが別紙２のこの３つの点数でございます。
　それから、本文、もう１ページめくっていただきまして、２ページの（３）、在宅療
養に係る指導管理について評価した点数で、これは在宅の人を医師が指導管理を行った
場合、１月単位でとれる点数でございまして、診－２－２の横表の別紙３、３ページを
ごらんください。ここにその一欄表がついてございます。指導管理料というのは、こん
なにたくさんあって、こんなに複雑だったのかと改めて思われるかもしれません。
　それから２ページ目の＜在宅医療を移行期、安定期、終末期に分けてみた場合の診療
報酬上の評価＞でございますが、これは在宅医療というのは、いきなり行う人はあまり
いませんので、入院していた人が在宅に移るという移行期、それから在宅で医療を受け
るという安定期、それから不幸にして最期を迎える場合もあろうかと思いまして、そう
いう場合の終末期という場合に分けて考えてみました。
　２ページの(1)でございます。在宅における療養への移行期として、患者さんが入院
から在宅における療養へと円滑に移行できるよう、入院している患者さんに対して退院
後の療養上必要と考えられる指導を行った場合に算定できますので、これが横表の別紙
４、これもこれだけありまして、退院のときの指導料ですとか共同指導料、あるいは退
院前の訪問指導料、点数もそこに書いてございますし、算定要件、一つ一つは説明いた
しませんが、退院にかかわる点数がこれだけついております。
　それから、本文２ページの(2)、在宅における療養の安定期ということで、先ほど申
し上げました在宅のいろいろな点数をそこに書いてありますが、在宅時医学管理料です
とか、あるいは寝たきり老人在宅総合診療料ですとか、それから在宅末期医療総合診療
料、こういった点数につきましては、複数の医師または医療機関により２４時間診療が
できる連携体制にあることを要件に、２４時間の連携体制加算が設けられております。
あるいはものによっては常時対応ということになっております。
　また、訪問看護等について特別な管理を必要とする患者につきましては、重症者の加
算あるいは在宅移行管理加算というものがついておりまして、これを一覧表にしたのが
５ページの別紙５でございます。これは介護報酬も一緒に書いてありますので、さらに
複雑になっておりますが、左が医療保険、右が介護保険です。例えば、訪問看護を見て
いただきますと、医療には精神の訪問看護もありますので、そこはちょっと複雑になっ
ておりますが、上の一般の訪問看護基本療養費、訪問看護管理療養費、それからこれは
訪問看護ステーションですが、医療機関から行く場合の在宅患者訪問看護・指導料、こ
れを見ていただきますと、医療保険は、単体といいますか、５，３００円とか
６，３００円という、時間に関係なく値段がついていますが、右の介護保険は、同じ訪
問看護とはいいながら、３０分、６０分、９０分と、時間によって評価されていると、
こういう内容的な違いがございます。したがいまして、点数の設定も微妙に違っており
まして、医療保険と介護保険で、訪問看護と一括りにいつもしゃべっておりますが、中
身は微妙に異なるということで、実際、訪問看護は介護保険の方が圧倒的に使われてお
りまして、介護保険が８割、医療保険が２割程度でございます。そういった資料をこの
５ページでお示しいたしました。
　それから、本文の２ページに戻っていきまして、(3)在宅における療養の終末期、こ
れは通称ターミナルケアと言っておりますが、ターミナルケアへの対応につきまして
は、一定期間以上の訪問診療または訪問看護を行った終末期の患者に対し、ターミナル
ケアを行った場合に算定できるということで、診－２－２の６ページ、これは先ほどの
重症者管理加算の説明でございます。在宅での重症の方に対する管理がいろいろな点数
がついておりますが、それが６ページの加算でございます。それから、今の終末期の話
は、別紙６、ページでいきますと７ページです。「終末期医療に係る主な診療報酬上の
評価」ということで、これだけたくさん評価されているという表をつくってみました。
これが終末期あるいは在宅医療を、移行期、安定期、終末期に分けた現状の点数でござ
います。
　それから、本文の３ページに戻っていただきまして、＜要介護高齢者の居宅療養を支
援するための診療報酬・介護報酬上の評価＞、これはなかなか複雑でして、診療報酬・
介護報酬で微妙に異なっております。これにつきましては、医療保険と介護保険の役割
分担ということで評価を行っておりまして、それを一覧表にしたのが別紙７でございま
す。当たり前ですが、介護保険は介護給付を行っている介護施設においては、当然そこ
に訪問して介護・リハができないようになっています。それがこの「×」と「○」の見
方でございます。一方、例えばグループホームなどでも、介護給付が行われているがゆ
えに、グループホームは介護給付のところに「○」がついていますが、介護給付が行わ
れているという前提があるために、訪問介護・訪問リハ・訪問看護はできません。医療
保険からもできません。そのような形になっているというのが実際のこの表でございま
す。したがって、ここに齟齬が生じているのではないかという御指摘が、介護保険側か
らもありますし、医療保険側からもありますので、この表を一つ見直すのが課題ではな
いかというつもりで、この表をお示しいたしました。これは現状でございます。
　それから、３ページの上の方の＜在宅医療に係る診療報酬上の評価の経緯＞でござい
ます。このような複雑な在宅医療の診療報酬点数がどのように整備されてきたかという
のを、９ページの別紙８に「在宅医療の変遷」というのを書かせていただきました。往
診料の創設から始まって、在宅自己注射指導管理料、寝たきり老人訪問診療料、在宅自
己腹膜灌流指導管理料（ＣＡＰＤ）、それから在宅酸素療法と、こういうふうにどんど
ん普及して点数がたくさん創設されてきて現在のようになったという経緯を別紙８でご
らんいただきました。
　以上が現状でございますが、この現状を踏まえて、課題は何かということを本文の３
ページ、「現行の診療報酬上の評価に係る課題」です。実際、在宅医療を行う医療機関
は増加しております。どのように増加しているかというのは、診－２－２の１０ページ
の別紙９、ごらんいただきますと、在総診はちょっと減っているのですが、診療所にお
ける、例えば在医管とか在医総とか、こういったものについては、数字をごらんいただ
きますと、始めた平成９年から、倍までは行きませんが、倍近くになっておるというの
がごらんいただけるかと思います。
　一方、このように在宅の医療が増えているにもかかわらず、従来というか、昔、自宅
でお亡くなりになる方が８割、医療機関でお亡くなりになる方が２割であったのが、こ
の５０年間で逆転しておりまして、自宅でお亡くなりになる方が２割、それから医療機
関でお亡くなりになる方は８割という実態がございます。そのグラフを、１１ページで
すが、別紙１０に「死亡の場所の推移」ということでお示しさせていただきました。実
際、２００３年、自宅で亡くなられた方は２割もないのですが、このように、１９７６
～１９７７年あたりで逆転しております。
　それから、３ページの「現行の診療報酬上の評価に係る課題」の２つ目の丸でござい
ますが、「終末期医療に関する調査等検討会報告書」によれば、自宅での療養を望んで
いる患者は６割もいる。しかし、家族の負担や病状急変時の対応への不安等を理由にな
かなか在宅でそのまま療養を行うまでには至っていないということです。資料の１２ペ
ージ、別紙１１でございます。「終末期における療養の場所」ということで、丸で囲っ
てありますが、「できるだけ自宅で療養したい」人が６割はいるということでございま
す。しかし、では、なぜ自宅で最期まで療養しないのかと、希望していながら療養でき
ない理由は、１枚めくっていただきました横表１３ページ、「自宅で最期まで療養する
ことが困難な理由」として、一般の方、医師、看護職、介護職、それぞれに聞いたら、
この４者とも高い比率で回答が上がってきたのは、「介護してくれる家族に負担がかか
る」ということと、「症状が急変したときの対応に不安がある」というところが一つの
大きな山でございました。こういうことを解決することが在宅医療の課題ではないかと
いうことでお示しをいたしました。
　それで３ページの下、現行の診療報酬上の評価に係る課題としましては、入院から在
宅における療養の円滑な移行のための環境整備、今御指摘があった症状が急変したとき
の対応に対する不安等の環境整備、それから在宅療養に係る患者及び家族が安心できる
ような２４時間の対応体制、それから医療サービスと介護サービスの一層の連携、それ
からもう１ページめくっていただきまして、４ページの上に書いてございますが、終末
期医療に対する適切な評価、こういったことを推し進めていくことが課題であろうかと
思います。
　現状と課題を整理いたしましたので、そこで、４ページ目の「３　論点」というとこ
ろをごらんください。論点といたしましては、入院している患者さんが在宅へ移行する
といった場合の、入院から在宅における療養への円滑な移行のために、退院するときの
退院後の療養上必要と考えられる指導について、退院後の在宅医療を主導的に担当する
医師や訪問看護を行う看護師等の多職種の協働に係る評価の在り方を検討することとし
てはどうかというのが、入院から在宅へ行く場合の診療報酬点数評価の一つの視点にな
るのではないかと考えております。
　それから２つ目が、では、在宅になったときの療養の安定期でございますが、今の制
度では、複数の医師の連携により２４時間の連携体制を評価されているのですが、実
際、患家の求めに応じて対応できないことが多々あるという情報が私どもにも来ており
ます。これが在宅療養に係る患者さん及び家族の安心を阻害する原因にもなっていると
考えられますので、こういった２４時間往診できる体制あるいは駆けつける体制につい
てもう少し考えてはどうかということが２つ目でございます。
　それから、要介護高齢者の在宅医療におきましては、医療と介護、この連携が不可欠
であります。介護の方では、ケアカンファレンスなども行われているようですが、そこ
と医療との連携を図る意味で、そういった総合的なと申しますか、言葉では総合的です
が、本当に総合的にできるかどうかというところが一つの課題あるいは論点ではないか
と思います。
　それから、訪問看護につきまして、この前の中医協で訪問看護ステーションに係るコ
スト調査の結果が田中分科会長から報告されましたが、そのときに、医療の訪問看護と
介護の訪問看護では質が異なると。特に、医療の訪問看護の方は、非常に重症度あるい
は難しい患者さんが多いということで、その同じ資料をもう一度つけさせていただきま
した。それが１４ページ、別紙１２でございますが、これは、対象項目別、重症者管理
加算の内容あるいは特別管理加算の内容を見ますと、技術的に難しいものや疾患が重い
もの、そういったものは医療ではたくさん扱っているという結果が出ていますので、そ
ういった訪問看護の内容、質に応じた評価をしなければならないのではないかというの
が論点です。
　それから最後の５ページでございますが、在宅における療養のターミナルということ
でございます。患者が身近な人に囲まれて在宅での最期を迎えることを選択することが
できるよう、在宅におけるターミナルの評価の在り方を検討してはどうか。
　それから、今度は地域において、自宅のほか、ケアハウス等、あるいはグループホー
ムとか、今はもう家から離れて、そこが居住の場になっているといったもの、このよう
な多様な居住の場におけるターミナルケアを居宅とみなして訪問診療や訪問看護の評価
を少し考えたらどうかということです。この論点の背後にありますのは、先ほどお示し
いたしました「○」・「×」の表、あの表を見直してはどうかということでございま
す。
　それから、最後の丸でございますが、在宅における療養の補完的な役割を担うものと
して、個人の尊厳を尊重しつつ、看取りまで含めた入院医療を提供する体制の構築、こ
れに係る評価の在り方についても検討することとしてはどうか。これは、ちょっと抽象
的に書いてありますが、つまり、病院、有床診療所あるいは診療所、そういった既存の
医療機関、医療施設、あるいはそれに加えて介護の施設、特養それから老健施設、そう
いったものをどのように活用していくのかといったことをトータルで考えて診療報酬点
数をつけるべきではないかというようなことが論点になるかなということでございま
す。
　ちょっと長くなりましたが、以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。現状と論点に至るまで説明していただきました。
　一つ一つはそれなりの給付の理由があるわけですが、全体として見れば極めて複雑で
ある、複雑すぎるということは間違いなかろうかと思います。その在宅医療の評価をど
うするかということと、こういう複雑な診療報酬体系をもう少しわかりやすくしていく
という２つの課題があろうかと思いますが、ただいまの説明につきまして御意見、御質
問等を承りたいと思います。どうぞ。

○石井委員
　一つは在宅医療の評価が進み、在宅医療は非常に複雑になってきた。在宅医療の幅が
だんだんと幅が広がり、医療的に非常に難しいものまで含んで在宅医療が行われるよう
になったのです。それを評価してこられたという点では、それなりの意味があったし、
重要なことだと思うのです。ですから、それを簡素化するのはいいのですが、幅が広が
り、深くもなったということについては、ちゃんとこれからも評価していただかないと
いけないだろうというふうに思います。
　その点で、介護施設に関しては、これも居宅であると考えて、外部からの医療提供に
ついて考えたらどうかという点については、重要なことだと思うので、御検討願いたい
と思います。
　それからもう１つ、ここには書かれていないですし、介護保険との関係が微妙なの
で、中医協で出すのが適当かどうかわかりませんが、在宅医療をどう推進するか、その
ための診療報酬上の評価ということの検討ですので、触れておきたいことがあります。
　在宅医療について、移行期、安定期、終末期に分けた場合のと書いてあるのですが、
実際には、この安定期が、長いわけです。終末期というのは実は大した問題ではないと
僕は思っています。これが在宅であるかどうかもあまり意味ないと思っています。基本
的にはこの長い安定期といいますか、在宅で暮らしながら療養するという、この時期を
どうするかということが基本問題です。これが在宅医療でできるかどうかは、ひとえに
家族における介護力、その他の家族環境にかかっているということは皆様御存じのとお
りだと思います。
　これまでの診療報酬上の評価は、これに対して在宅医療を提供したことを評価しよう
ということで、これはずっと進んできたのですが、家族の立場や患者の立場からいいま
すと、それだけでは不十分です。それはどうしてかというと、論点の中にもあるよう
に、なぜ在宅で在宅医療が行われないか、これ以上進んでいかないかは医療提供体制で
はなく、むしろ家族の側の不安とか在宅介護体制がない、そういったことが問題、そう
いった不安感が重点です。私どもも３０年ぐらい在宅医療をやってきたのですが、在宅
医療に移行する場合、家族の、一つの不安を除いてあげるかどうかでもってそれを大き
く前進させることができます。それはどういうことかというと、いざとなった場合には
いつでも引き受けますよと、入院させますよということを一言病院側が言えるかどう
か。これが言えないと、まず、それではどこかまた療養型病院を探しますか、またはも
っと置いておいてくださいよと、こういう話になるわけです。そういった緊急時も含め
て、または患者さんが重くなったときはもちろん、これは２４時間云々と今日言われた
ことなのですが、それだけではなくて、家族の方が倒れられた場合、特に今在宅といっ
ても、大体老老看護です。老人が老人を看護するというのが多くなっているわけなの
で、介護者が倒れた場合には、これは今の段階の制度的にはどこにも当てはまらない。
　では、ショートステイがあるではないかといいますが、ショートステイは、現実的に
は在宅でやっておられた方が、ある程度定期的に、計画的に前もって言って入れるの
で、ほぼ満杯です。いざというときに、どこも引き受けてくれないのです。療養型の病
床であっても、急性期のところであっても、特養であっても、老健であっても、緊急の
ときにはなかなか引き受けてもらえないのが実情です。今各自治体でそのためのいろい
ろな試みを始めています。必ずしも病院である必要はありませんが、こういったことを
ちゃんと制度的にも、ある程度病床なりベッドを確保した場合の、どうそれを評価する
か、または、１週間以内ぐらいでいいと思うのですが、１週間以内ぐらいに入った場合
についてのその受け入れについての評価というものを考えていかないと片手落ちなので
はないかと思います。ここの議論になじむかどうかわかりませんが、その点は念頭に置
いて報酬上の問題も考えていただきたいということでございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ほかに御意見ございますでしょうか。

○対馬委員
　今石井委員が言われたこと、もっともだというふうには思うのですけれども、ただど
うでしょう、老老介護の場合ですと、在総診などには今の体系の中でも緊急時入院体制
加算ということで、空きベッドを常に確保しておくといったものについて評価するとい
う、こういったものがありますけれども、これではとてもじゃないけれども不十分だ
と、こういう御意見でしょうか。

○石井委員
　現実的には、ほとんどそれでは無理なのです。これは例えば私どもの病院のある川崎
市でも、「安心見守り」何とかということで、各病院にそういうときには受け入れるベ
ッドを確保してほしいという制度があります。しかし、自分のところで退院して在宅に
移った人がもしもそうなったら、それは自分のところでやれと、受け入れはみんなどこ
ももう非常にネガティブなのです。というのは、やはり特に長期療養型の場合特養もそ
うですが、ベッドは空けておけば、その分だけ収入は入らないわけですし、空床を確保
しておくというのは、この程度の点数をつけたのでは、だれもやってくれません。やは
りその１週間というのは、非常に手間がかかるわけです。１年もずっと入っていてよく
わかっている人を１週間診ていくのと、急に頼まれて１週間だけという方については、
患者さんの状態も非常に不安になって、いろいろ手間暇かかりますし、そこの点数評価
については、これは介護保険も医療保険の方も、その１週間ぐらいの評価は相当厚くし
て、インセンティブをつけていくことを、やはり、検討していただきたいのです。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○松原委員
　実際に在宅の医療をやっておりまして、今対馬委員がおっしゃいましたように、そう
いった体制はあるのですが、それが十分でない。病診連携がきちっと成立していて、そ
して往診に行きながら患者さんを診ていて、その患者さんが急変したときに適切に入院
できるシステムがなければ、やはり家族の方は非常に不安でございます。そこのところ
を、やはり何かの形で病診連携の下にターミナルを診ている場合には十分な加算がある
べきだと私は思います。

○土田小委員長
　ほかに御意見ございますでしょうか。

○松浦委員
　この在宅を奨励していくということは、医療費を抑えていく、制限していくことにプ
ラスになるのか、それとも単に患者を中心に考えていくのか、そこで大分違ってくると
思います。今、空きベッドを常に確保するとか、そういうようなことが、これを例えば
公でやれというと、ただでさえ赤字のところがますます赤字が膨らむと、こういうこと
になるわけですし、私などの町で見てみますと、大体救急車で運ばれていくのは大きな
病院で、ベッドの都合が常に満杯ということはないのでしょうから、そのあたりに収容
してもらうというようなことが一般的ではないのかなと。都会の方はわかりませんが、
これからお年寄りはますます増えていくわけですから、常に空きベッドを用意して待っ
ておるというような体制がどうやってとれるかというのは、これはなかなか難しい問題
だと思います。

○松原委員
　私はこの在宅もターミナルも、最終的には個人の尊厳を大事にして、患者さんの意志
をどのように尊重するかというところに原点があると思います。例えば、ターミナルを
在宅ですれば財政上安くなるという観点から進めることに対しては、私どもは反対で
す。やはり原点に戻って、患者さんの意見を尊重するということから考えねばならない
と思います。実際に在宅で最期を看取られる方は、逆に言えばかなり恵まれた方である
場合が多いです。家でその方をきちっとケアする体制が十分にとれるような状態のとき
に初めてこの在宅が成立いたします。そういったことも考えて、やはり財政の問題では
なく、患者さんが選択して家で亡くなりたい、あるいは家で療養したいという気持ちを
大事にするという観点から推進すべきだと私ども思っております。ただ、そこにおいて
すべて財政において成立しないようなことをしてくださいと申し上げているわけではご
ざいません。

○松浦委員
　すべて財政において成立しないようなことを申し上げておるわけではないということ
は、これは我々も十分了解できますので、そこだけは大体意見が同じだと思っておりま
す。

○岡谷専門委員
　私は、病気になったときに入院期間をできるだけ短縮するというか、もう本当に入院
治療が必要な期間というのは最短にして、できるだけ早く病院から退院をしていくとい
うことがすべての病人の方にとって一番大事なことだというふうに思っています。です
から、そういう意味では、急性期の医療を充実させて、できるだけ合併症とかそういう
ことがないような状態で日常生活に戻していくということが必要だと思います。
　ただ、今の日本の医療の現状では、やはり入院をした後、要するに、その後継続して
療養をする体制というか、どこで療養するかということについては、十分な体制ができ
ていない。いわゆる在宅が私は一番いいと思うのですけれども、やはり家族の負担がな
かなかとれないとか、そういうケアの担い手が在宅医療の現場に非常に少ないというよ
うなこともあったり、いろいろ財政的な問題もあったり、整備されていないことが多く
て、そこが十分でないために、不必要な入院というか、施設での療養というのがそのま
ま残っているのではないかというふうに思いますので、やはりぜひこの在宅医療という
ことは、全体的な体制も含めて本当に充実させていくべく考えていくことが必要だと思
います。それがやはり医療費の適正化というところに私はつながっていくのではないか
というふうに思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○大内委員
　在宅医療の問題について、先ほど石井委員のお話について、私は全く同じような考え
方を持っておりまして、その辺はあえて今のお話に対してどうだということを申し上げ
るつもりはございませんけれども、１つは、今岡谷委員がちょっとおっしゃいましたけ
れども、急性期の医療を充実させる、入院期間を短縮させてできるだけ在宅医療へと、
これは方向性としては私も全く同じような感じで、考え方でもっておりますけれども、
例えば、財政的な部分も多少その中に入れてこの問題を考えてみますと、急性期の入院
医療費というのは、一定期間以内に退院をしていただくということであれば、診療報酬
上、これは高く設定をされていると。そこで、きちんと患者さんが完治をした上で退院
をさせられるということであれば、それはそれで結構なことでございますけれども、必
ずしもそんな状態で退院をということにならないような状況も生まれているというふう
な話も聞いておりまして、そこで急性期の患者さんを入院をさせて回転率を上げていく
ということが病院の収支バランス上収入を多く得ていくというような感じで、今申し上
げたような状況が生まれつつある。きちんと完治をしないままに在宅療養へというふう
に移行させられてしまう、こういう問題が患者の立場からとってみると、本当にいいの
かどうかという部分で、むしろ財政的にも短縮した方がいいのだと、こういう御意見だ
ったようでありますけれども、むしろ今申し上げたようなことがすべてというふうには
思いませんけれども、そういうことが生じてきますと、逆に医療費の視点から見ます
と、必要以上に診療費がかかってしまうと、こういうことになりはせぬかというふうに
も思えるわけでございまして、その辺のチェックはどういうふうな形でできるのかとい
うことが、進めていくという上で大事な部分かなというふうに思っております。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　事務局の方から、４ページ以降、論点を一応まとめていただいておりまして、その移
行期、つまり退院から自宅へ移行するという問題につきましては、先ほど岡谷専門委員
の方からも、それは推進の方向で検討が必要であろうという発言がございました。しか
し、安定期につきましては、石井委員をはじめ、あるいはただいまの大内委員等々か
ら、在宅で行った場合の緊急の場合に、また一方で病院に入れるということについても
対応が必要であろうというようなことを含めて、安定期にかかわる発言等がございまし
た。
　この論点に沿いまして、ほかに御意見ございましたら、お願いしたいと思いますが、
いかがでしょうか。

○小島委員
　今何人かの委員の皆さんから御意見がありましたけれども、やはり、在宅医療を進め
るという観点からした場合に、患者の視点あるいは家族にとってどうそれがスムーズに
いくかということで、現在の在宅医療に関するさまざまな診療報酬、あるいは指導管理
料とかいったようなものがありますので、そういう意味の、もう一度やはり全体を洗い
直して、先ほど石井委員が指摘されたような、そういう空きベッドの確保といった、そ
ういうものに、では、診療報酬上どう対応できるのかといったことも含めて、やはり検
討が必要ではないかというふうに思っております。
　例えば、これ、診－２－２の２ページにある別紙２で、ここに３つの管理料、一番右
側の寝たきり老人の在総診といったようなものがありますけれども、これについては診
療上の、一応これは届出基準というのが示されてありますので、あるいは具体的要件と
いう形で、常勤医師とか、あるいはほかの連携をとるため常勤の者を配置するといった
ような要件がありますけれども、そういうものをきちっと担保を本当にされているかど
うかといったようなことも含めて、あるいは、その下にあるような加算について、そう
いうものが実際有効に働いているのかどうかといったようなことも含めて、もう一度や
はり全体を洗い直して、どういうような形で在宅医療がスムーズに推進できるかという
ことで見直す必要があるのではないか。個別、いろいろな加算とか、というのをつけて
いくということだけではやはり済まされないのではないかというふうに思っておりま
す。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○対馬委員
　今の小島委員の意見とも関連するのですけれども、ちょっとこのあたり、できれば２
号側にお聞きしたいといいますか、お答えいただければ大変ありがたいのですけれど
も、往診料ですね、患者さんが来てくださいと言えばすぐ来てくれると、当然ながら、
これは非常に重要ですよね。地域で非常に献身的な努力をされている先生方とも随分い
ろいろ話は伺うのですけれども、１つには、往診をやったのでは体力的に非常にもたな
い、ないしは、時間が非常に制約を受ける、自由に使いがたいと、これは当然そうだろ
うと思うのです。それとあと、経済的にもなかなか厳しいのだと、こういう声も聞くわ
けです。経済的にもということを言うと、この往診料、もちろん加算とかいろいろあり
ますので一概に言いませんけれども、往診料の方がむしろ在宅患者訪問診療料より低く
なっているのですね。そのあたりは何か感覚的に言うとどうなのかなというのが１点で
す。
　それと、これは１人で対応するのはなかなかむずかしいので、当然複数の医師という
ことになりますと、しかもベッドの問題等々もあると、いわゆる有床診あたりが、かな
りこのあたりで役割を果たしていただけるかなと、こういうふうにも思うのですけれど
も、そのあたりの御意見はいかがでしょうか。

○松原委員
　往診料と在宅患者訪問診療料は、規定が大分違うわけでございます。あくまでも往診
料というのは、急変したときに患者さんが求めるから往診するという形です。それに対
して、在宅患者訪問診療料というのは、医学的な管理上どうしても必要である場合に、
それを医師の方で計画して、そして患家に赴いて治療を行うわけでございます。そうい
った成り立ちが違うので、点数のつけ方が違うということですが、この在宅患者訪問診
療料というのは非常に往診料よりも高くなってきた原因の一つは、なるべく自宅で治療
をしたいという患者さんたちの希望に合わせてつくったものでございますので、現実問
題としては往診料自体が据え置かれて、訪問診療料の方が高くなってきたという形だと
思います。また、この訪問診療料につきましては、週３回を限度としてというところに
対して、現実問題として、これを補充しなければならないことが多々ございますので、
本当に患者さんの状況に合わせて対応しようと思うと、この回数に問題があるという意
見もございます。
　それから、先ほど御指摘いただきましたように、有床診療所が、先ほどのバックベッ
ドの問題がございますけれども、それに対して有効な手立てとなるのは、私たちもその
とおりだと思っております。

○土田小委員長
　よろしいでしょうか。ありがとうございました。

○松浦委員
　この在宅を希望している人たちというのはたくさんいるのでしょうか、そういうよう
なデータはあるのでしょうか。

○土田小委員長
　これは６割ぐらいと先ほどの説明で、１２ページにあったのではないでしょうか。

○松浦委員
　私などは感覚として持っているのですけれども、老人福祉施設ができまして、それに
一たん頼ると、もう在宅でやるということはライフスタイルとして考えられなくなると
いうような傾向があるのです。どうしても施設に希望する、すぐ満杯になる、また待ち
が出る、こういう繰り返しでいっているのです。６割ぐらいのものかなという気がする
のですけれども、その辺は、在宅はそんなに希望はあるのでしょうか。

○松原委員
　患者さん御本人は、私は６割ぐらいの希望だと思います。やはり、みずから過ごして
いるところで療養したいというのは御本人の切なる希望だと思います。私はこれは大事
にしなければならないと思いますが、実際上、患者さんが家に帰られますと、さまざま
なケアを家族の方がしなければなりません。そういった家族の中での話し合いで、そう
いった療養の施設を選ばれる方も多いように聞いております。

○松浦委員
　この在宅の希望を、例えば６割と定義する場合には、やはりその方のいわゆる住んで
いらっしゃる環境ですね、それもひっくるめて調査をしておかないと、本人だけが望ん
でいるのだと、家族はだめなんだと、こういう場合には、希望と言えるかどうか、その
範囲に入るのかどうか、その辺もちょっとやはりよくつかんでおく必要があると思いま
す。

○土田小委員長
　何かほかにこのデータにつきまして補足することがありますか。

○石井委員
　今、データの読み方がちょっと違うのではないかと思います。

○土田小委員長
　終末期ですからね。

○石井委員
　ここには終末期におけるいわゆる死に場所論みたいなことで書いてあって、できるだ
け自宅で療養したいと場合は、自宅で最期までというのですが、正論であっても、最期
までというのは、正直言って、やはり無理だと思います。それで、在院死は２割だとい
うのは、日本において、特に問題があると私は思っていません。それから、よく北欧等
の問題も言われますが、あれはいわゆる日本で言う在宅で死んでいるわけではありませ
ん。シェルターというのがあって、そこに行って、亡くなっているわけであって、最期
まで自宅でというのは、日本だけではなくて、少ないわけで、これは別に問題ない。と
いうのは、現実的に見ると、現状の核家族の中で、最期の数日、本当に死ぬときに家族
だけで、いつ死ぬかわからない時、１週間以上の場合もあり、常時誰かがついているこ
とは現実的にできません。だから終末期における療養の場所についての問題は、あまり
考えてみてもしようがない。どこで死ぬか人間はわからないと思っていた方がいいと思
います。
　それよりも、この長い療養期間をどこで過ごすかに関して言いますと、現実の日本の
家族構成の中では、一部の条件が整っている人にだけ可能であるとは思っています。わ
れわれの病院は在宅医療を長くやってきましたが、その経験からすべての人にというこ
とは考えない方がいい。認知症高齢者が多くなってくる中で、やはり終末期は多くの場
合、施設でないと、介護力の効率性という点からいいましても、無理だろうと思いま
す。ですから、どういう形であれ、全体的には施設介護へ移行していくのはむしろ必然
的なので、それを社会的にどの程度に準備していけるかという問題として考えておかな
いといけないと思います。無理に在宅と考えるのではなく、それをできる人が、家族と
一緒に最期まで過ごしたいのは当たり前なので、それをできるだけかなえていく制度と
考え、在宅医療にあまり幻想を持たないで、淡々とやるべきだと僕は思っております。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　よろしいでしょうか。それでは、在宅医療に関する議論は今回初めてでございます
が、大分出てきたと思います。それで、先ほど言いましたように、事務局の方から論点
を整理されておりまして、この終末期につきましては、ただいま石井委員から話があり
まして、そういう御意見があったということを踏まえながら、さらにこの論点を進めて
いきたいというふうに考えております。
　それで、今回は、これで一応第１回目の議論は終わりにしたいと思いますが、よろし
いでしょうか。

○松原委員
　この在宅のところでいつも心配しているのは、ナースステーションから在宅に行って
いただくわけですけれども、そのときに、やはり急変したときに、介護保険だけから給
付されていますと、大変対応が悪うございます。１カ月に１回連続１４日まで算定可と
いう、終末期における対応があるわけですが、１４日行って終わりというわけにはいき
ませんので、このあたりの縛りを、前回も申し上げましたけれども、適切に改善してい
ただきたく思っております。

○土田小委員長
　　どうもありがとうございました。
　それでは、次の議題に進みたいと思います。次は、「リハビリテーションに対する評
価」について議題としたいと思います。
　これも事務局より資料が出されておりますので、説明をお願いします。

○事務局（麦谷医療課長）
　それでは、「リハビリテーションに対する評価」という資料を御説明申し上げます。
先ほどと同じように、資料、中医協診－３－１という本文と、診－３－２という２枚紙
の資料をごらんください。
　リハビリテーションでございます。現行はどうなっているかということでございま
す。それは、横向きの中医協診－３－２、別紙１で、理学療法の現行は、これがほとん
どすべてでございます。リハビリテーションに対する主な診療報酬上の評価につきまし
ては、入院・外来ともに、理学療法、作業療法及び言語聴覚療法がございます。それぞ
れ人員配置、機能訓練室の面積等の要件の組み合わせにより評価の区分が別紙１のよう
になされております。
　また、入院で行う集中的なリハビリテーションにつきましては、病棟に専従の理学療
法士等を配置すること等を要件にいたしまして、回復期リハビリテーション病棟入院料
として点数が設定されておりますが、その概要につきましては、資料の診－３－２の別
紙２に、「回復期リハビリテーション病棟入院料」と書いてございます。
　それから、在宅で行うリハビリテーションにつきましては、在宅訪問リハビリテーシ
ョン指導管理料ということで、これは診－３－２の別紙１の一番右側に「訪問リハビリ
テーション」ということで書いてございます。これが現状のリハビリテーションでござ
います。
　この現状で何が課題かということでございますが、１つは、理学療法士の要件あるい
は作業療法士の要件、場合によっては医師の要件、それから広さによって決められてい
るわけですが、患者さんから見ますと、例えば同じようなリハビリを受けていながらそ
の施設によって値段が違うというようなことが現出してまいります。つまり、同じ疾患
で同程度の患者さんが、行く施設によって、行われているリハビリテーションが同じな
のに値段が違うといったことが、実際、世の中で現出いたします。
　そういうことが１つは問題ではあろうかという認識の下に、まず課題でございます
が、資料診－３－１の１ページ、「２　現行の診療報酬上の評価の課題」の最初の丸で
ございます。平成１６年１月に、これは老健局の方で、高齢者リハビリテーション研究
会の報告として、「高齢者リハビリテーションのあるべき方向」ということで、５つの
課題が指摘されております。それはそこの四角の中に書いてございますが、最も重点的
に行われるべき急性期のリハビリテーション医療が十分ではない、２番目、長期間にわ
たって効果が明らかでないリハビリテーション医療が行われている場合がある、３番
目、医療から介護への連続するシステムが機能していない、４番目、リハビリテーショ
ンとケアとの境界が明確に区別されておらず、リハビリテーションとケアとが混同して
提供されているものがある、最後に、在宅におけるリハビリテーションが十分でない、
このような御指摘がございます。
　それから、めくっていただいて２ページ、これは既に何度もお示ししていますが、
１５年３月２８日に閣議決定された「基本方針」においても、その中にリハビリテーシ
ョンという項目がありまして、疾病の特性等に応じた評価をすべきであると閣議決定が
なされておりますので、指摘された問題点、それから閣議決定での内容を踏まえ、論点
としては、次のようなことが論点になるのではないかということで、本文の２ページ
目、「論点」として、（１）、疾病の特性等を踏まえた体系の見直しということで、人
員配置、機能訓練室の面積等を要件とする施設基準により区分された現在の報酬体系を
見直し、疾病や障害の特性に応じた評価、同じような状態の患者さんであれば、どこで
リハビリを受けても、もし同じようなリハビリであれば同じ値段になるというようなこ
とにしてはどうか。
　それから、広大な機能訓練室がなくとも手厚い人員配置により質の高いリハビリテー
ションの提供が可能な場合もあると考えられることから、その評価の在り方について検
討してはどうか。
　３つ目でございますが、急性期のリハビリテーションの充実を図るため、発症から早
期の報酬については、患者１人・１日当たりの算定単位数の上限の緩和、すなわち発症
直後からすぐにリハビリをやった方がいいものが幾つかございますので、そういったも
のにつきましては、上限を設定して、それ以上は請求できないというのもいかがなもの
かという感じがいたしますので、そういったものについても少し上限の緩和をいたしま
して集中的にリハビリを行ってはどうかという論点でございます。
　それから、長期間にわたって効果が明らかでないリハビリテーション医療が一部に行
われているとの指摘がありますので、疾患の特性や治療の現状を踏まえて、算定日数の
上限を新たに設定してはどうか。
　それから、もう１枚めくっていただきまして、医療機関ごとの弾力的な運用を可能と
する観点から、リハビリテーション従事者１人・１日当たりの実施単位数、今は上限ご
ざいますが、これも少し見直してはどうかということを考えております。
　それから、（２）、回復期リハビリテーションの評価につきましては、診－３－２の
別紙２にグラフがつけてございますが、現在約２万８，０００床に増えてきておりま
す。この回復期リハビリテーションのさらなる普及を図るため、算定対象となる疾患の
拡大、それから、疾患ごとに算定日数上限を短縮すること、もっと短く、集中的にやっ
たらどうかということを論点として挙げてあります。
　それから（３）、最後でございますが、訪問リハビリテーションの評価につきまし
て、理学療法士等が居宅を訪問して行うリハビリテーションについては、入院から在宅
における療養への円滑な移行を促進するため、退院後早い段階から患者に対し重点化す
ること等を検討して厚くしてはどうかということを論点として掲げております。実際、
訪問リハビリテーションは、介護保険においても医療保険においても、いわゆる売れな
い商品でありまして、これを売れる商品にするにはどうすればいいかということが論点
と、簡単に言えば、そういうことでございます。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして御意見、御質問等ございましたら、どうぞ。

○小島委員
　質問です。現状のリハビリテーションに対する診療報酬上の評価と課題のところの１
ページのところで指摘されているような５つの視点がありますけれども、そこで指摘さ
れているものも、わかるものとわからないものがあるのですけれども、例えば（２）の
ところ、「長期間にわたって効果が明らかでないリハビリテーション医療が行われてい
る場合がある」と、あるいは（４）の「リハビリテーションとケアとの境界が明確に区
別されて」いないといったような、混同しているといったようなことなのですけれど
も、実際は、どういう形でこれが指摘として挙がっているのかということなのですけれ
ども、それが１つです。

○土田小委員長
　ただいまの質問につきまして、事務局、いかがでしょうか。

○事務局（麦谷医療課長）
　これは、老健局の研究会の報告書からの抜粋でございますので、的確に説明できるか
どうかは、それを見ないとわからないのですが、基本的には、長期間といっても、例え
ば２年３年にわたって同じような、例えば温熱を当てるだけとか、簡易なリハビリがず
っと繰り返されている。週に１回とかあるいは週に２回とか、患者さんが医療機関に通
って、効果をだれも確かめていないというような、しかも、それほど高い点数ではない
ので、特に査定もされなくずっと行われているといったようなことを、査定側である部
署からよく聞きます。
　それから、リハビリとケアの混同でございますが、リハビリというのはやはりある程
度の目的があって行うわけですけれども、そうではなくて、例えば関節可動域をずっと
維持するためにただ行っているといったようなことを私どもは耳にしておりますが、そ
れがすべてではありませんけれども、そのような日々のケアというのと、それから、医
学的なリハビリというのとが、必ずしも明確に分けられていないというようなことが散
見されるということでございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ほかにございますでしょうか。

○松浦委員
　もうちょっと私は、こういうのは苦手な質問の方なのですけれども、１４年の改定
で、リハビリテーションは適切な計画の下に行われるものであり、その効果を定期的に
評価し、それに基づき計画を見直しつつ実施されるものである、こういうことになって
おるのだそうですけれども、これはどういう形でやってあるのでしょうか。

○事務局（麦谷医療課長）
　基本的には、そこの点は全く変更がなくて、今松浦委員が御指摘のとおりでございま
して、リハビリは、そのように行わなければいけないのですが、それを踏まえて１６年
１月に、さらにこのような「高齢者リハビリテーションのあるべき方向」という提言が
なされましたので、これにのっとって、今回改定を、改定というのでしょうか、論点を
議論していただいてはどうかというふうに思って提供させていただきました。

○松浦委員
　これ、現場ではどういう形で行われるのでしょうか。

○石井委員
　例えば入院ですと、毎日リハをやって、リハの計画書とか、どこまでこの人は回復さ
せるというような目標がつくられていて、大体週１回のケアカンファレンスをやって、
その人がどこまで到達したか、今後どうするかの検討が行われます。そういうことの繰
り返しをやっていくのが、普通のリハのやり方なのです。恐らく「漫然と」と言われて
いるのは、こういったような急性期のある目標を持ってリハビリテーションが終了し、
ここまでは回復したけれども、もうこれ以上は無理だから一応症状固定として、一応退
院した後のことです。問題は、障害が残っていてほうっておきますと、家に帰ると、途
端にもう動かなくなって、またはもっと悪くなってしまうというような人もいるわけ
で、そういう場合は、やはり維持期のリハビリテーションか、一定の到達した状態をど
う維持していくかということが、課題となります。こういった急性期とそれから維持期
のおのおのについての評価や、システムのあり方が問題となっているのだと思います。
今までの点数についてみても、単に個別点数の積み上げですので、急性期とか回復期と
か維持期についてどういうふうにやっていくかの標準的なシステムが必ずしも診療報酬
上は区分されていないとの御指摘だろうと思います。それはそのとおりだと思いますの
で、おのおのの時期に基づいたやり方はやはり鮮明にしておく必要があると思います。
　それから、この文章でもちょっとわからないのは、急性期のリハビリテーション医療
が十分に行われていないと言っていますが、これと回復期リハビリテーションとの関係
が、不鮮明です。最初に回復期リハビリテーションというふうに言われたときに、この
回復期というのは、いわゆる急性期を含んでいるかどうかあいまいのままになっている
と思います。それで、回復期リハビリテーションの診療報酬体系というのは、ある意味
で丸めですので、この体制で急性期のリハは行うことはできません。というのは、まだ
いろいろな病気の治療をしている最中で、これは例えば手術の翌日からリハをやらなけ
ればならない場合があります。こういったときには、回復期リハの報酬体系では、回復
期であることは確かなのですけれども、対応しきれません。医療的な行為を、いろいろ
な治療をやりながらリハビリテーションをやる、ここで言う急性期のリハビリテーショ
ンの時期と、回復期リハビリテーションの時期は別な時期として考えるべきです。
　それで、問題は、回復期リハビリテーションついてです。後ろ側が１８０日となって
いるのですが、前の側が発症から大体３カ月以内にとなりますと、回復期リハビリテー
ション病棟では、３カ月ぎりぎりまでは受け取ってくれない、そっちは急性期の病院で
やってくださいと。で、３カ月ぎりぎりなってから回復期リハビリ病棟に移る。もちろ
んずっと治療が進んで軽くなったときの方がやりやすいわけですし、値段は同じなわけ
ですから、そういう使い分けになってきている。本来急性期と、回復期リハビリテーシ
ョンの境はもっと前倒しにすべきとの意見があります。急性期リハについての評価や回
復期リハについての評価について、もう一度その辺の実情に踏まえて見直した方がいい
のかなと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○松浦委員
　石井委員の今のお話を聞いていて、非常に専門的ですし、また、そういうことは当然
必要だろうと思いますが、そういうのはどこでやるのですか、この中医協でやるには非
常に専門的……

○土田小委員長
　ただいまの石井委員の発言は、この３ページの「回復期リハビリテーションの評価に
ついて」というところで、算定日数上限を短縮する等々の検討、ここにかかわるという
ことですよね。

○石井委員
　はい。

○松浦委員
　それは今非常に専門的で、我々素人ではちょっと判断つきません。そのあたりの区別
というのはどこでやるのですか。ここでやるのですか。

○土田小委員長
　それは具体的に、もう少し事務局の方で整理してもらいまして、ここでわかる議論を
したいというふうに考えております。それにつきましてはもう少し議論を進めていきた
いのですが、今「論点」の１番目のところで、従来、「施設基準により区分された現在
の報酬体系を見直し、疾病や障害の特性に応じた評価とする」というふうに変えていく
という、そういう論点の整理がありますが、それからその下もいろいろと整理してもら
っていますけれども、この点につきまして、もうちょっと御意見をお伺いしたいのです
が。

○松原委員
　急性期リハビリテーションの充実、これは非常に大事だと私どもも思っております。
ここのところで、算定単位数の上限があるということにおいて、非常に現場で困ってい
るという意見を聞いております。ぜひ必要な状態にある急性期で、かなりの効果が出る
時期でございますので、そのときには十二分な治療ができるように、点数を、こういっ
た回数制限を外してでも、お願いしたいと思います。
　また、先ほど松浦委員の御意見ですけれども、そういった専門的な意見も踏まえて、
やはりこれは、点数設定で対応しなければならないことでございますので、最終的に
は、この中医協で決めねばならない事項ではないかと思っております。

○土田小委員長
　ただいまの松原委員の意見は、この「論点」整理の上から３番目、「患者１人・１日
当たりの算定単位数の上限の緩和」ということでございますが、その下にもう１つ、長
期にわたるものについては、「算定日数の上限を新たに設定する」というものと組み合
わせているわけでございますが、この辺について御意見ございましたら、どうぞ。

○小島委員
　回復期リハについての資料の中では、それを専門にやるといいますか、集中的にや
る。病棟の入院料というのは、個別に設定されているようですけれども、それ以外のと
ころは、今療養病床に入っている方、それから一般病床に入っている方について、特段
それについてはリハビリテーションについて、別に何か差があるというわけではないの
で、ここは、「論点」の方で指摘されている「疾病や障害の特性に応じた評価」という
ような、そういう方向での検討というのは必要ではないかというふうに思っておりま
す。今松原委員が指摘されたようなところも、そういうものも含めてもう少し全体的な
リハビリテーションの在り方ということも整理をするということは必要ではないかとい
うふうに思います。

○土田小委員長
　ありがとうございます。

○松原委員
　「疾病や障害の特性に応じた評価」というのも、私ども賛成でございます。先ほど委
員長から御指摘いただきました、「長期間にわたって効果が明らかでない」場合にはど
うするのだという御質問がございましたが、ここのところで問題点は、患者さんはそれ
ぞればらばらで、非常に特性が違う場合があるということでございます。一定のところ
で切りますと、回復期というのは、非常に漸近線のように、徐々にながらでも、回復さ
れる方もいらっしゃいます。そういった少しでも回復している方の場合にはやはりリハ
ビリを継続する必要があると思いますので、ここ一律で切るのではなくて、何らかの意
見書を出すなり、一たんそこでどのような形になっているのかという結果を検証して続
けると、あるいは、検証してやめるという形でなければならないのではないかと思って
おります。

○土田小委員長
　これは、僕は先ほどちょっと言葉が足りなかったと思いますが、そのことは「疾患の
特性や治療の現状を踏まえ」という記述がありますので、一応そういう形で再度検討を
いただくという形にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○松原委員
　はい、わかりました。

○対馬委員
　メリハリをつけてやっていくということですから、全体的に見直すということでよろ
しいのかというふうに思うのですけれども、ちょっと一、二気になるところがあるの
は、先ほど「患者１人・１日当たりの算定単位数の上限の緩和」という話もありました
けれども、たしか２単位とか３単位ですね、今は。だから、ということは、２０分であ
ると、１時間とかそういうことでしょうかね。それ以上にどんどんということが、そん
なに多いのかなというのが１つです。
　あともう１点は、全体的に私ども基準がかなり細かくなって、それはそれで大変苦労
するところではあるのですけれども、今日お示しいただいた別紙１の理学療法（IV）と
いうのは、珍しく一切何の要件もないのです。これもまた随分信頼し切っているなとい
う感じがするのです。このあたりは、むしろ事務局に、何でこういう形になったのかと
いうことをお聞きしたいというふうに思います。何か、もう信じるしかない、もうやっ
たと言えば、そうなんですかと、こういうことでいいのかどうかということなのですけ
れども。

○土田小委員長
　２点質問があったと思いますが、いかがでしょうか。

○事務局（麦谷医療課長）
　単位の問題は、皆さんが上限を超えてやられるわけではなくて、まさに疾患を診て、
例えば脳梗塞の回復といいますか、脳梗塞の直後のリハビリの場合、単位を超えて、必
要な方が現にいらっしゃいますので、そのような方に対して、それを超えてやるのは、
その疾患特性に応じて今決めている単位以上に実施してもいいのではないかということ
を提案しただけで、実際個別にどのような方が対象になるかというのは、また資料は出
したいと思っております。
　それから、理学療法（IV）というのがございますが、これは今ずっとこのとおりやら
れております。したがって、規定はありません。ただし、ごらんのとおり点数は非常に
低い点数がついておりまして、実際このように算定している施設はございます。

○土田小委員長
　よろしいでしょうか。

○松原委員
　先ほどの個別に行うリハビリについては、３単位が限度ということで、これは前回、
回数制限を伴う医療行為について議論が出たところでございますが、やはりその中で、
医療上ほとんど必要でない方もいらっしゃいますが、やはり医療上必要な方もいらっし
ゃいますので、確かに１単位２０分、３回やれば６０分で、それ以上すれば大変疲れる
ということもありますが、急性期においては、やはりそれでもプラスになる場合もある
かと思います。そういったことも含め、また、集団のリハビリテーションの場合も、少
し回数制限がきついのではないか、あるいは時間制限がきついのではないか、もう少し
治療をすべきではないかという意見があるということを申し上げたわけでございます。
　理学療法（IV）に関しましては、これはまだいろいろと議論のあるところでございま
すが、やはり今医療課長がおっしゃいましたように、非常に低い点数であるというとこ
ろから、こういったことが今まで残っているということもあります。これは、施設基準
において、広さがなければできないという形ではなくて、やはり疾患の特性と障害の程
度に応じて行っていくのがリハビリテーションでは正しいのではないかということの裏
づけとして、そういったことで、ほかのところですることもあるということでございま
す。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○対馬委員
　リハビリの回数の問題ですけれども、このあたりは、御承知のとおり、いわゆる「混
合診療」というのでしょうか、特定療養費制度の中で大変リハビリについては議論があ
り、これを過ぎれば患者負担ということとのかかわりもありますので、あまり軽々な議
論ではなくて、そちらとのかかわりを含めて総合的な議論が必要ではないのかなと、こ
ういうふうに思います。

○松原委員
　単語について前回少し御指摘いただきましたが、やはりこれは「医療上ほとんど必要
がない場合」の特定療養費の議論でございます。こちらは「医療上必要な場合」の議論
でございますので、よろしくお願いします。

○土田小委員長
　今の上限につきましては、３ページの方でも１人・１日当たりの上限についても再検
討するという項目がございますが、これについて何か御意見ございましたら、お伺いし
たいと思います。これは前にたしか労働基準法上の制約という話でしたね、ちょっと説
明していただけますか。

○事務局（麦谷医療課長）
　これは、実は、ＰＴ（理学療法士）１人・１８単位という規定がございます。これは
労働基準法上、６時間以上働いてはいけないというか、６時間が限度だということから
逆算して単位数が定められているわけでございますが、これはもしその医療機関で、理
学療法士がその単位を超えて働いた場合に、例えば手当を支給するとか、あるいは患者
さんの需要があって万やむを得ずそうなるといった場合についても、少し考慮してもい
いのではないかというようなことで論点として挙げさせていただきました。

○松原委員
　１日当たりの単位数でございますので、例えばある日はどうしても患者さんの希望が
多くて少し働かねばならないときもあれば、次の日はそういった希望がなくて、非常に
時間のあるときもあります。こういったことを一律に縛りますと、やはり適切な治療が
できない場合があるということでございます。むしろ、ここで書くべきことは、健康保
険法上の問題であり、労働基準法上の問題はまた別規定でございますので、単位数は労
働基準法にお任せするのが正しいのではないかということだと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　あとちょっと議論がまだ十分ではないなと感じているのが、リハビリテーション研究
会の報告の（５）で、「在宅におけるリハビリテーションが十分でない」という指摘が
ありました。そういうのを踏まえてこの一番最後に「訪問リハビリテーションの評価に
ついて」、項目を整理してもらっておりますが、これについて御意見を承りたいと思い
ますが、ございますでしょうか。

○大内委員
　ちょっとこれ教えていただきたいと思いますが、これは指導管理料ということで
５３０点というふうに明記してございますが、これは例えば先ほどの在宅訪問だとか在
宅訪問管理だとか、いろいろな加算がついてまいりますけれども、これはこれだけで終
わりなのでしょうか、それとも、これ以外に何か別な加算があるのでしょうか、その辺
ちょっと教えていただきたいと思います。

○事務局（麦谷医療課長）
　訪問リハビリテーションにつきましては、単体でございます。５３０点、単体でござ
います。

○土田小委員長
　ほかに御意見ございますでしょうか。
　それでは、ほかに御意見、御質問等ないようでしたら、本件にかかわる質疑はこのあ
たりにして、次の議題に移りたいと思います。最後は、「患者の視点の重視」について
ということを議題としたいと思います。
　事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。

○事務局（福田企画官）
　医療課企画官でございます。お手元の資料、診－４－１及び参考資料といたしまして
診－４－２をごらんいただきながら御説明をさせていただきたいと思います。
　「患者の視点の重視について」でございますけれども、４－１を中心に御説明をさせ
ていただきたいと思います。「現行の診療報酬上の評価の概要」でございますが、「患
者の視点の重視」につきましては、閣議決定をされております「基本方針」におきまし
ての重要な柱の一つという形で位置づけられてございます。そして、その中には、ここ
に書いてございますように、大きく２つの柱で構成がされております。１つは、「情報
提供の推進」ということでございまして、医療機関の施設基準や機能等に関する情報、
診療・看護計画等の情報の提供を進めるというものでございます。もう１つの柱が、
「患者による選択の重視」ということでございます。患者ニーズの多様化や医療技術の
高度化を踏まえ、特定療養費制度の見直しを行う等患者の選択によりますサービスの拡
充を図る。こういった２つの柱が示されているところでございます。
　具体的には、次の丸をごらんいただきたいと思いますが、そのうちの情報提供の推
進、こちらの方につきましては、これまで院内掲示事項としての省令や告示等により義
務づけを行うとともに、個別の診療行為におきましても、患者さんへの情報提供を基準
として設けた上で診療報酬上の評価などを行ってきているところでございます。
　具体的には、その下に少し小さな字で書いてございますけれども、患者さんへの情報
提供に係る主な規定、さらにはそのもう少し下の固まりをごらんいただければと思いま
すが、その際に、患者への情報提供に係ります主な診療報酬上の評価につきまして例を
お示しをしているところでございます。
　診－４－１の２ページをごらんいただきたいと思いますが、以上が「情報提供の推進
」の部分でございますが、もう１つの柱でございます「患者による選択の重視」、こち
らについてでございます。こちらにつきましては、先進医療でございますとか、制限回
数を超えた医療行為についての保険診療との併用を可能としたというような試み、さら
には療養の給付と直接関係のないサービスなどについて明確化を図るなどの取り組みを
してきているというところでございます。
　次に、「２　論点」のところをごらんいただきたいと思いますけれども、丸のところ
でございます。「引き続き、情報提供の推進及び患者による選択の重視を推進すること
とし、具体的には、以下の事項について検討することとしてはどうか。」ということで
ございまして、事務局の方で３つのものにつきまして説明資料を用意をさせていただい
てございます。１つが「セカンドオピニオン」、もう１つが「外来迅速検体検査」、そ
して最後が「医療費の内容の分かる領収書の発行」ということでございます。順次それ
ぞれにつきまして概要を御説明をさせていただきたいと思います。
　３ページをごらんいただきたいと思いますが、「セカンドオピニオン」、なかなか適
切な日本語がないわけでございますが、このところでは、「（主治医以外の医師による
助言）」というふうに書いてございます。このための情報提供ということでございま
す。
　概念図をごらんいただきながらと思いますけれども、まず患者さんがいらっしゃいま
して、医療機関Ａ、こちらの方が主治医の医療機関という形になるかと思いますが、こ
ちらの方に、(1)でございますけれども、受診をされる。例えば乳がんなら乳がんで、
そしてどういった病気の重い状態にあるのか、例えば、抗がん剤を打った後で、使った
後で、手術を行うというような診療方針が出された、これに対して患者さんとしては、
十分納得をしてこれからの治療を受けるということのために、患者さんの希望でセカン
ドオピニオンを別の主治医以外の医師に助言を求めたいということで、医療機関の方に
それに係る必要な情報の提供を依頼をするということでございます。それに対して、
(2)でございますけれども、患者または家族の希望に基づく診療に関する情報の提供が
なされると。それを踏まえまして、その患者さんの方は、(3)でございますけれども、
主治医以外のお医者さんのところに、ここでは「医療機関Ｂ」と書いてございますけれ
ども、そこにセカンドオピニオンを求めると。で、医療機関Ｂの方はそれに対してセカ
ンドオピニオンを提供する。患者さんはそれを踏まえまして、また主治のお医者さんの
方に、セカンドオピニオンでこうでしたというようなことも含めて、今後の診療方針に
つきまして希望を伝達し、診療を受ける、そういったような概念図としてお示しをして
ございます。
　この概念図を少し念頭に置いていただきながら、次の説明をお聞きいただければと思
いますが、最初の丸でございます。近年、セカンドオピニオンについて要望が高まって
いることから、患者またはその家族が希望した場合に、主治医から患者またはその家族
に診療録の写し、検査結果、画像の写しなどの診療に関する情報を提供すること、上図
で先ほど御説明いたしましたけれども、(2)の部分、この推進について検討することと
してはどうかということでございます。
　その際の留意点として幾つかお示しをしてございます。まず最初の丸でございますけ
れども、現在、診療報酬上の評価が行われております診療情報提供料、これは診－４－
２の１ページ目の別紙１に、どういった内容があるかということを表にしてお示しをし
てございますけれども、この診療情報提供料につきましては、これは医師が他の医療機
関での診療の必要性を認めた、こういった場合に患者さんの同意を得て他の医療機関に
診療情報を提供すると、そういったことを評価をしたものであるということでございま
して、セカンドオピニオンとは本質的な部分で異なるものであるということが一つござ
います。
　それから次の丸でございますけれども、医療機関Ｂは患者またはその家族が選ぶこと
になるわけでございますが、医療機関Ｂにおきますいわゆるセカンドオピニオンとして
の相談料等、これについても検討が必要となるのではないかということでございます。
　そして３番目の丸でございますけれども、診療情報提供料につきましては、特別の関
係にある医療機関同士では、これは算定できないということになってございます。特別
の関係にある医療機関と申しますのは、開設者が同一であるとか、大病院の、その代表
者が一緒であるというような、そういったものでございますけれども、そういったとこ
ろでは算定できないとされておりますけれども、セカンドオピニオン、このための情報
提供については、ここら辺のところをどのように考えるかというようなところが論点、
留意点としてなるのではないかということでございます。
　セカンドオピニオンにつきましては以上でございますが、続けて御説明させていただ
きたいと思いますが、次に４ページでございます。「外来迅速検体検査」というもので
ございます。これはどういったものかといいますと、最初の丸に概要を御説明してござ
いますけれども、外来におきまして、初回の診察後に検体の検査を直ちに実施いたしま
して、同日中に当該の検体検査の結果、この結果に基づいて再度診察等を行う体制が整
備されている、こういった場合には、迅速かつ適切な診断・治療につながるとともに、
患者さんにとりましても医療機関の受診回数を減らすことができる等多くのメリット、
利点を有するということから、これらを推進することについて検討することとしてはど
うかというものでございます。
　留意点でございますけれども、外来において、初回の診察に基づき必要な検体検査を
迅速に実施し、同日中（時間外や深夜を除く）に検査結果に基づく第２回目の診察を行
うという、そういった枠組みの中での評価ということでございます。
　続きまして、３番目のものでございます。５ページをごらんいただきたいと思います
が、「医療費の内容の分かる領収書の発行」についてでございます。まず、現状につい
てでございますけれども、最初の丸でございますが、療養の給付に係る領収書の交付に
つきましては、平成１２年度の診療報酬改定に係ります中医協の審議を踏まえまして、
保険局長通知におきまして、いろいろ示されてございます。この保険局長通知につきま
しては、診－４－２の別紙２のところ、２ページでございますが、そちらの方にもお示
しをしてございますが、その内容は、患者から求めがあれば、患者の支払った金額の領
収書の発行を行うことということと、それから、医療費の内容の分かる領収書について
は、各保険医療機関等において体制を整え、その発行に努めることとし、領収書の発行
を促している、そういうところでございます。
　現状、各保険医療機関等が患者から療養の給付に係る費用を徴収した際に発行する領
収書には、徴収した費用の総額のみの表示のものから、検査、投薬等の区分ごとの金額
が表示されているもの、さらには個々の検査、投薬等の金額が示されているものまで、
さまざまでございます。
　診－４－２の別紙３をごらんいただきたいと思いますが、こちらの方に細かい、ここ
で申しますと、個々の検査や投薬等の金額まで表示をされている、そういった領収書の
実例を参考にお示しをしてございます。別紙３の最初の３ページの部分は、大きな区分
によりまして、「診療費領収書」、これは内容的にはすべて円表示で、実金額の表示と
いう形でそれぞれに幾らかかっているのかということと、そのトータル金額の領収金額
が示されているということでございます。
　この領収書には、次の４ページ、５ページをごらんいただきたいと思いますが、あわ
せて、この当医療機関では、「診療明細書」ということで、基本的には、レセプトの、
そういった診療行為にのっとったような形でございますけれども、具体的にそれぞれの
個々の中身というものをお示しをしたものを別添としてつけているということでござい
ます。こちらの方は点数表示になってございますけれども、そういったような形で患者
さんに情報提供しているというような例もあるということで、参考までに別紙としてお
つけをしているところでございます。
　次の丸をごらんいただきたいと思いますが、６月１５日の中医協総会におきまして
は、「患者に診療報酬の単価が分かるよう詳しい明細書を発行させることについて、中
医協で検討すべきである。」旨の御意見があったところでもございます。
　(2)の論点をごらんいただきたいと思いますが、患者さんに対する適切な情報提供の
観点から、患者がみずから受けた診療の内容及びそれに要する費用を確認できる体制、
これを整備をするために、医療費の内容の分かる領収書の発行のさらなる推進、患者さ
んにとって分かりやすく、医療機関などにとっても説明しやすい領収書の標準的な様式
について検討することとしてはどうかというものでございます。
　事務局からの説明は、以上でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして御意見、御質問等ございましたら、どうぞ。

○対馬委員
　１つは全体観の話ですけれども、「患者の視点の重視」、これは極めて重要であると
いうことは異論のないところだろうというふうに思うのですけれども、それが結果的に
今回３つになっているのですけれども、「セカンドオピニオン」と「外来迅速検体検査
」と「医療費の内容の分かる領収書」と、これだけに本当に限定されるのかどうかなと
いうのは、もう少し我々としても見ておきたいというふうに思います。
　全体的に申し上げますと、やはりＩＴ化の推進でありますとか、あと、再三出ていま
すように、診療報酬が極めて複雑であると、こういったことも患者の視点から見たらど
うかということもありますし、また、初診料とか再診料の病診の格差の問題であります
とか、あと、指導管理料というのはなかなか見えないとか、いろいろな問題があるわけ
でして、今ここでその問題を議論しようというわけではないのですけれども、「患者の
視点の重視」というところがこの３点にとどまるものではないということだけはちょっ
と申し上げておきたいというふうに思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ほかにございますでしょうか。

○松浦委員
　実は、今日私出そうかと思っていたのですが、これを見まして、もう一遍、私のとこ
ろの坂出市立病院で「私のカルテ」というのをつくっているのです。これが、これをど
の程度クリアしているかをまとめまして、資料として提出させていただきたいと思いま
す。このＩＴ化に関する財源、自治体病院ですから、あるいは税金が使われておるのか
どうか、それも含めて資料にして、次回に出させていただきたいと思います。

○土田小委員長
　ありがとうございます。
　ほかにございますでしょうか。

○松原委員
　患者さんの視点の重視、私たちも非常に大事な点だと思っております。そういった点
からこの３つを御提示いただいたわけでございますが、セカンドオピニオンに関しまし
ては、私は、これは医者の義務であろうと個人的には思っております。むしろほかの医
者の判断もあわせて診るということも、現代においては非常に大事なことだと考えてお
りますので、これを推進していくことにつきましては個人的には賛成でございます。た
だ、それをどのように点数化するか、あるいは、このオピニオンを求めるときにほかの
医療機関に行ったときに、これで費用をどうするのか、そういった問題がございます。
私どもは、ほかの医療機関に行っても、このセカンドオピニオンということ自体が医療
上必要なことでございますので、やはりこれは保険の中で考えるべきではないかと思っ
ております。現実問題といたしましては、医療機関の医師が必要だと考え、患者さんが
このセカンドオピニオンをぜひ求めたいというときには、そういった加算という形で対
応されるのが一番適切かなと考えております。
　また、外来の迅速検体検査でございますが、これは、臨床検査学会並びに外科学会、
内科学会も必要だと述べております。患者さんにとりましては、結果が出れば、その日
に、その結果を聞いて、そして安心するなり、対策を立ててもらうなりしたいというの
は当たり前のことでございますので、こういったことを評価するのも患者さんの視点に
立った点だけでなく、医療上の必要の面からもよろしいのではないかと考えておりま
す。
　領収書の発行でございますが、なぜ領収書を出している医療機関が少ないかというこ
との一つの理由は、この診療報酬体系が非常に複雑になっている問題と、幾つかの矛盾
がございますので、非常に説明しにくいという意見をよく聞きます。例えば、外科の処
置などにおきますと、外来管理加算がつきませんので、処置した点数のときには処置の
点数を取ります。例えば、けがをされて来て治療をするわけでございますが、けがをし
て治療したら、非常に処置料が低いので低く算定されます。ところが、治ったことを確
認して処置をせずに、そのまま治ったです、よかったですということでお帰りになられ
ますと、今度は外来管理加算がつきますので高い点数になります。要するに、包帯をし
たり処置をして安くて、なぜ何もしないと高いのか、そういった矛盾が多々ございま
す。
　さらに、１回目、２回目の診察のときには高くて、３回目になると、全く同じことを
して全く同じことを言われたのに、なぜ低くなるのか、そういったこともあります。そ
の問題につきましては、例えば、月初めだから高いのだというような説明を以前してい
たこともございますが、非常に説明しにくく、受付のところで事務の人がそれを聞かれ
ても、適切に答えにくい場合がございます。また、患者さんにとりましては、計算間違
いをされたのではないかとか、そういった問題も危惧されるところでございますので、
ぜひそういったことの種々の問題点を改善していただく方向で御検討いただきたいと思
っております。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○対馬委員
　ちょっと個別といいますか、セカンドオピニオンの話になりますけれども、この資料
は、今の情報提供料というのはこれこれこうだと、それに対してセカンドオピニオンと
いうのは、患者または家族の希望だということで、概念上は、こういった書類で見ます
と整理がつくというふうに見えかねないのですけれども、実態は本当にどうなのだろう
かと。患者さんが明らかに最初からセカンドオピニオンと言う場合もあれば、お医者さ
んとの話し合いの中で言われる場合もあれば、また患者さんの話を承って、お医者さん
の方から情報を提供するということで、情報提供料というケース、いろいろあるような
感じがしまして、ここで机上できっちり概念上分かれていても、医療の現場では必ずし
もそうではないのではないのかなと、こういう感じがするのですけれども、事務局の方
はいかがでしょうか。

○土田小委員長
　いかがですか、事務局。

○事務局（福田企画官）
　実態上は、個々のものがどれだけということを把握しているわけではございません
が、実際私どもなどもいろいろ御相談を受けたりいたしますので、そういった経験から
踏まえますと、今対馬委員おっしゃられたように、さまざまな形が混在しているという
ふうなことは言えるかと思います。

○土田小委員長
　よろしいでしょうか。

○対馬委員
　そういうことですので、もう少し実態を踏まえた議論がちょっと必要なのではないの
かなと。私どももどちらかといいますと、セカンドオピニオンは推進する立場ではある
のですけれども、診療報酬上どうするかといったことについてはもう少し実態を踏まえ
た議論が必要ではないかなと、こういうふうに思います。

○小島委員
　今日提出されている診－４－２の別紙１の資料で、これは現行の医療機関同士の情報
提供に対する診療報酬の現状について説明された表なのですけれども、例えばこのＢと
Ｃの違いですけれども、Ｃの方は、退院時診療所に対する情報提供というところで
５００点、プラス２０点の逆紹介加算を積んでいる。Ｂの方は、診療所から病院、ある
いは病院から診療所への情報提供、そして一定の要件の下に逆紹介をした場合にプラス
２３０点がつくということなのですが、このＢとＣの違い、それとＢというのは実際は
どういう形でこれが実施されているのかということなのですけれども、その辺はどうい
うことなのですか。

○事務局（福田企画官）
　ある意味で、基本的な考え方というのは、地域の診療所の方にきちっと情報提供をし
ていった場合に、地域での療養というものを促進していこうと、そういった考え方から
点数がつけられているものと理解をいたしてございますけれども、診療情報（Ｃ）のも
のにつきましては、こちらは基本的には退院時ということでございまして、入院をされ
ている患者さんについてこのような形での対応になってくるということでございます。
それから、診療情報の提供のＢの部分につきましては、これは、いわゆる入院された患
者さんの退院のときに限らずという、そういうことであるということでございます。

○小島委員
　ということは、Ｂで退院に限らず、診療所、初め受診した診療所に対してその患者さ
んがどういう状況かという情報提供というのもあるかと思いますけれども、そして、で
は、その逆紹介加算というのは、退院して診療所にまた受診に行くといったようなとき
に、その逆紹介加算というのがつくのだろうと思います。そういう意味で、これは、Ｂ
とＣ、逆紹介加算をつけると同じ５２０点になるという、そういうことなんですか、こ
れは。

○事務局（福田企画官）
　Ｂの部分は、入院に限らず、外来での流れということも含めてということでございま
して、それから考え方がやはりそういう診療所の方にという部分のところを考慮して足
し上げていくと比較的近い点数になっていくということではないかと、そういうふうに
思っております。

○小島委員
　以上です。

○土田小委員長
　これはあるいはＣは退院は特別だという考え方ですか。退院のときだけは特殊な情報
がまたつけ加わるということで高くなるという、そういうことでしょうか。

○事務局（福田企画官）
　５００点という高めの点がついているのは、今おっしゃったとおりで、その情報の内
容・質というようなところを考慮してのということになろうかと思います。

○土田小委員長
　ほかにございますでしょうか。

○松原委員
　今のお話なのですけれども、やはり病診連携をどのようにしたら適切に行えるかとい
うことで、こういった非常にわかりにくい形にはなっておりますが、もともと診療所間
とか病院間、あるいは診療所・病院間の紹介することを評価して始まったものです。退
院されたときに、それを適切に診療所でも診てもらうようにするためにこういった点数
が設定されたということと同時に、やはり病診連携の下に病院で入院を管理、そして外
来を診療所で診るという形にするためにこういった点数設定がなされたように聞いてお
ります。もともと病院の先生方は非常に過労状態にございます。これは、１６ベッドに
１人の医師配置だったと思いますけれども、そういった仕事だけでなくて、病院の先生
方は検査の実行や、それから外来も、朝９時から始めて昼に終わらなければならないの
に、大学病院や大病院では、４時、５時まで診察してそれから病棟を回るという、大変
な過労状態にございます。そういったもので、なるべく外来で診れる、その病院でしか
診れない患者さんでない人については、なるべくその方の地域に戻して診療所で診ると
いうことを実行するための対応でございますので、私どもとしては、病院の先生方の過
労状態を改善するためにも、やはりこれをもう一度検討しながら、さらに適切な病診連
携が行われるような形にすべきだと思っております。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○山本委員
　患者に分かりやすいということで私も賛成であります。例えば診－４－１の５ページ
の「（３）医療費の内容の分かる領収書」についてでありますが、１２年改定の折にも
こうしたことが求められて、会員に対してはできるだけ中身が分かる明細が分かるよう
な領収書を発行するように指導しているところであります。しかしながら先ほど松原委
員がおっしゃったように、診療報酬上、さまざまな複雑さがあるということで、説明が
しにくいという問題も、もちろんあるのですけれども、一方では現在求められている領
収書の様式等にかなり複雑な差がございます。例えば保険者によって、あるいは公費の
種類によって求める項目等が違っているというようなことがありますので、内容につい
て十分な説明をするということももちろん理解をしておりますが、さらに一段進めるた
めも、「論点」の中にございますように、その「説明しやすい領収書の標準的な様式」
といったようなものについても一定お決めいただく方が、こうしたことが進むのではな
いかなということでありますので、ぜひ、そんなことも御議論の中で決めていただけれ
ばありがたいと考えています。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○松原委員
　この中医協の中で議論した結果として今の青本ができているわけでございます。逆
に、この青本の内容というのは非常に一般の方には分かりにくいというのは、当然ここ
で議論したことすべての集約ということでございますので、当たり前のことだと私は思
っております。
　そこで一つの提案ですが、なるべく、やはりこの議論の中で国民に分かりやすいよう
な形で青本を直していくということが必要なことだと思っております。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　分かりやすい診療報酬体系にするということは、今回の大きな課題でございますの
で、これについては皆さん異論はないものというふうに理解しております。
　ほかに御意見はないようで、そろそろ時間でございますが、それで、ただいまの「患
者の視点の重視」ということにつきましては、先ほど対馬委員からお話がありましたよ
うに、ほかに関連する分野がいろいろあるわけでございますけれども、当面この論点で
挙げてある３点を中心として推進していくという方向で検討したいと思いますが、よろ
しいでしょうか。
　　　　　　　　　　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土田小委員長
　それから、次に病診連携の話も出てくるかと思います。
　どうもありがとうございました。今回用意しておきました議論は、１２時ちょっと過
ぎましたが、一応全部終わることができました。どうもありがとうございます。
　それでは、次回の日程につきまして事務局の方から説明をお願いします。

○事務局（麦谷医療課長）
　１０月の中医協はあと２回、１９日と２６日の午前中を予定しております。両日とも
診療報酬基本問題小委員会はございます。
　以上です。

○土田小委員長
　どうもありがとうございました。
　それでは、本日の中医協はこれで閉会としたいと思います。

○松浦委員
　１１月はまだわかりませんか。

○事務局（麦谷医療課長）
　１１月も、基本的には毎週水曜日の午前中と御理解いただきたいと思います。

○土田小委員長
　それでは、どうもありがとうございました。

【照会先】
厚生労働省保険局医療課企画法令第１係
代表　０３－５２５３－１１１１（内線３２８８）