05/10/07 医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会第5回議事録                        ┌──────────────┐                        │(照会先)医政局経済課   │                        │担当・内線 西平(2524)│                        │代表5253−1111   │                        │直通3595−2421   │                        └──────────────┘          第5回「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」           日時:平成17年10月7日(金)10:00〜11:57             場所:東海大学校友会館「望星の間」 1.開会 ○事務局  それでは定刻となりましたので、ただいまから第5回「医療用医薬品の流通改善に関 する懇談会」を開催させていただきます。松谷医政局長でございますが、国会用務のた めちょっと遅れてございます。冒頭おわびさせていただきます。  ではまず委員の交代について、事務局の方から御報告させていただきます。今川委 員、関口委員が委員を辞任され、日本保険薬局協会専務理事 柏木實様、兵庫医科大学 病院薬剤部長 門林宗男様に新たに委員に加わっていただいております。よろしくお願 いいたします。  続いて本日の委員の出欠について御報告させていただきます。本日は上原委員と三村 委員から御欠席の連絡をいただいております。  最後に前回の開催以降の事務局の異動について御報告させていただきます。本年4月 に着任いたしました医政局経済課首席流通指導官の千葉でございます。 ○千葉指導官  千葉でございます。よろしくお願いいたします。 ○事務局  また、あいさつが遅くなりましたが、8月の人事異動で新たに事務局を担当させてい ただくことになりました西平と申します。よろしくお願いいたします。  それではお手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただければと 思います。配席図のあと議事次第が1枚。続きまして名簿が1枚。続きまして資料1、 資料2、資料3、資料4。あとは参考資料1と参考資料2。以上がお手元に配られてい るかと思います。資料の欠落等がございましたら、事務局までお申し付けいただければ と思います。  それでは以降の議事進行につきましては、座長にお願いしたいと思います。よろしく お願いいたします。 2,議事 ○嶋口座長  座長をさせていただきます嶋口でございます。よろしくお願いいたします。それでは 早速、本日の議題に入りたいと思います。この会の趣旨あるいは今回の課題について は、改めてまた事務局サイドからお話しいただくと思いますが、まずは昨年の12月に行 った「中間取りまとめ」以降の医薬品の流通の現状がどうなっているかについて、日本 医薬品卸業連合会の方から資料を提出していただいておりますので、松谷委員より御説 明いただきたいと思います。その後で御出席の皆様方から、御意見や御質問をいただき たいと思っております。それでは松谷委員、よろしくお願いいたします。 (1)医療品流通の現状について ○松谷委員  卸連合会の会長を務めさせていただいております松谷でございます。現状を御報告さ せていただきます。最初に卸のグロスマージン、売上総利益に占める割戻し、アローア ンスの比率の推移についてでございます。中間発表後の16年度、それから15年度の数字 が出ましたので、御報告させていただきますけれども、15年度のグロスマージンは8.30 %で、売差として仕切り価からので言いますと「−1.20」という数字で、それをカバー しているのが割戻し、アローアンスを加えたものでカバーをして8.30ということでござ います。  それから16年度は、つい最近まとまった数字でございますけれども、グロスマージン が7.96%ということですけれども、この中の売差及び割戻しの率については、まだ精査 をしておりませんけれども、おおむね「−1.4」ぐらいになっているのではないかとい うふうに事務局から聞いております。  割戻し、アローアンスの支払い基準の簡素化、合理化は、以前に比べておおむね進展 しています。しかし卸が適切な利益管理の下、主体性を持って医療機関、調剤薬局との 価格交渉を行うには、まだアローアンスから割戻しに十分に振りかわっていないという のが現状であります。今、主要卸の全国での割戻しとアローアンスの比率は、割戻しが 6でアローアンスが4というのがおおむねの数字であります。特に高率のアローアンス の設定がされる場合には、卸にとって販売原価の把握が困難になり、流通が混乱する原 因になっているのではないかというふうに推測しております。  続きまして、次の表が「総価取引の実態について」でございますけれども、これは15 年度と16年度の比較として、数字を出させていただいております。平成15年度と平成16 年度の総価取引の実態を比較すると、200床以上の病院では、調査結果が変化していま すが、これは調査実施卸の規模が合併等により拡大し、調査対象が増加した影響であ り、売上高に占める割合では総価契約が過半になっているなど、基本的な状況に変化は ないものと認識しております。  また、20以上の店舗を有する調剤薬局チェーンについてはさらに状況は悪化し、取引 のほとんどが総価契約になっている。総価契約は薬価基準制度の銘柄別収載の趣旨から すれば、個別銘柄の価格を反映しない契約形態であるので、私どもとしては是正が必要 であるというふうに考えております。  続きまして、「未妥結・仮納入の実態について」でございます。200床以上の病院で は、未妥結・仮納入は3割に悪化しておりまして、20以上の店舗を有する調剤薬局チェ ーンについては若干改善が図られております。株式を上場している企業では四半期決算 を義務づけられており、企業として合理的な経営を行い、かつ社会的責任を果たすため にも、また薬価調査の信頼性を高める上でも、未妥結・仮納入の解消は図るべきものと 考えております。  平成16年度の開設者別価格妥結推移を見ると、薬価改定後6ヶ月を経過した9月末に おいて、妥結率の平均値は約4割に達していないというのが現状であります。9か月後 の12月末においても、4割をようやく超えた程度でほとんど進展が見られません。特に 労災、日赤、私大、厚生連、済生会、共済病院、全社連など、公的性格を有する法人立 の病院の状況が極めて悪いのが特徴でございます。ただし、国立病院機構につきまして は、全施設で仮価格というのはなくなりました。144病院は全部なくなったことを追加 して御報告いたします。以上でございます。 ○嶋口座長  12月に行われました中間取りまとめのところでは、特に大きなテーマとして売差ゼロ という状況があったのですが、それについては今御説明がございましたように、さらに 悪くなっているのではないかという話です。それからもう1つ重要な問題では、総価取 引の問題。その現状と実態はどうかということで、御説明いただいたわけです。さらに 未妥結・仮納入の問題が強調されたわけでございますが、これについても今御指摘いた だいたような状況になっています。こういう御報告をいただいたわけでございます。  これから委員の方々から御意見あるいは御質問などをお願いしたいと思っておりま す。それではどうぞ御自由に御意見いただければと思います。 ○仲谷委員  表の見方でもう1度確認をさせていただきたいのですが、1枚目の紙で、年度で14 年、15年、16年とあるこの数字ですけれども、15年度というのは15年4月から16年3月 かなと思いながら見させていただきましたけれども、そうではなくてということでしょ うか。そこをちょっとお教えいただけますでしょうか。 ○松谷委員  これは15年は16年3月度決算のものです。この16年と書いてあるのは17年3月決算の 数字をまとめております。 ○仲谷委員  ということは、15年度というのは多くは15年4月〜16年3月ということで、私たちが 昨年12月に中間まとめをしたときの以降ということであれば、この中には3ヶ月分が入 っているという認識でいいわけですか。15年4月から、全然入っていないということで すね。 ○松谷委員  そうです。 ○仲谷委員  16年3月で、私たちは16年12月にまとめていますから、15年度のところには全然入っ ていないということですね。 ○松谷委員  16年度のところに入っているということです。 ○仲谷委員  はい、わかりました。ありがとうございました。 ○嶋口座長  ありがとうございました。 ○松谷委員  申し添えておきますけれども、この調査をいたしましたのは、参加卸の中の81社から の回答でございまして、売上に占める率でいいますと99%でございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。ちょっと確認ですが、今の御説明ですと17年3月に決算し たこの状況で、グロスマージンが7.96%でございます。先ほど売差では、ここがまだ精 査していないそうですが、大体「−1.40」ぐらいだったという御説明をいただきました が、割戻し、アローアンスはそれを引いたものというふうにとらえていただいていいわ けですか。そうするともう大体結果は出ているというふうに見ていいわけですね。 ○松谷委員  はい。大体の傾向は出ているのですけれども、まだ精査をしないと、公にはちょっ と。 ○嶋口座長  いずれにしてもグロスマージンがこの表から見ますと、年々下がっていって、ついに 平成16年度については8%を切ったという、そういう御説明をいただきました。これが 卸のグロスマージンにかかわる現状だということでございます。他に御質問はございま すでしょうか。 ○江口委員  ジェネリック医薬品販社協会ですけれども、今の御説明にありましたような、年度ご との正確な数字は出ておりませんけれども、傾向としては全く我々のところも一緒でご ざいます。もともとは我々のところは割戻しだとかアローアンスなんていうのはなかっ たのですけれども、この1、2年そういう傾向が出てまいりまして、大手卸さんのよう なしきたりになりつつあるのですね。そういうものに対して私どもとしては反発をして いるわけですけれども、現実はやはり大手さんの方向に流れているような気はいたしま す。各社のバランスシートやいろいろなものを見ますと、そういうような傾向でござい ます。 ○嶋口座長  そうですか。昨年はジェネリックはこのあたりは全く問題ないという御説明があった ような気がしたのですが。 ○江口委員  昨年まではですね。昨年度ぐらいから。 ○嶋口座長  やはりジェネリック分野でも、取引慣行全体がこういう方向に行きつつあるという御 指摘ですね。 ○江口委員  ええ。流れてそういう形態に。我々のところは、昔はもう仕切り値ということで、メ ーカーさんからの仕切り値はもうはっきりいたしまして、自分たちの範囲で采配を振る うというのが現状でしたけれども、今ではだんだんと今のような格好になりつつありま すので、ちょっと危惧をする面もあるのですけれども。 ○嶋口座長  そうですか。わかりました。ちなみにその他の取引慣行については、ジェネリックの 方では何か特徴的な傾向はございますでしょうか。 ○江口委員  今のところ、まだそんなにまではございません。ただ、先ほどおっしゃっていただい たような未妥結・未納入というか、回収面における長さというのは、国立病院では完全 にゼロになっておりまして、ただ少し残っているところもあるようですけれども、国立 病院関係においては、もう確実に一緒だと思います。 ○嶋口座長  あと御質問はございますでしょうか。あるいは御意見をお願いいたします。 ○漆畑委員  直近の資料をありがとうございます。仲谷委員のおっしゃったとおり、前回のこの場 の取りまとめが反映するというような、時期的にはそういう状況ではないので、前回の 取りまとめが成果があるかどうかということの評価にはならないのですが、現状として はよく理解はできました。それで総価取引なのですけれども、この調剤薬局チェーンの ほとんどが総価契約というのが、これは流改懇でどういう議論をするかではなくて、流 通実態としてもこれは驚きと言いますか、問題あるとも言わざるを得ないわけです。  中医協の方でも総価取引があまり過度に進むと、薬価調査の信頼性を損なうことにな るということで、問題にもしていただいているわけです。事実としてこういうことがあ るということなのですけれども、この理由といいますか背景といいますか、なぜこうな のかというのを、ここにいらっしゃる関係者といいますか当事者の中でもし教えていた だけるならば、実際にこうだということはわかりましたけれども、なぜそうなのかとい うことがわからないと、多分議論しにくいと思います。何かそれで補足していただける ことがあれば、松谷さんの御報告も含めて、ちょっと御説明をいただきたいと思いま す。 ○松谷委員  中間まとめの中にも総価の問題としては、取引実態としては非常に合理的というか、 簡単に価格が決められるという、要するに全製品が医薬品ですから薬価基準があるわけ ですから、それの何プロ引きというのは非常に単純な取引形態であるということ。基本 的には調剤薬局さんの価格交渉というのは、ほとんどメーカーさんが絡んでおられない というか、卸だけの交渉になると、やはり全体の御自身の購入量に対して何プロで納め るかというような交渉が多くなっていることも事実なのです。  私ども口でいつも総価取引というのは、薬価算定上、非常に問題があると言いなが ら、これに応じているということ自体に対しては、反省をしないといけないという問題 だと思っているのですけれども、特にここに出てきておりますのは、先ほどの中で言い ましても、やはり購入額の大きい調剤薬局さんであり、また購入額の大きい病院団体さ んというのが、どうしてもそういうものが多いということで、その意味では参考にちょ っと申し上げておきます。さっきの妥結率の問題でも、この医療機関全体で今年の8月 全体で言いますと、98.6%が件数では妥結をしているわけです。それから200床以上の 病院、20以上の支店、お店をお持ちのそういう我々が調査しているところの妥結率が 62.7%。これは8月であります。9月はまた出ておりません。  普段、調査の対象になっていないところはもう98.6%決まっておりますので、そうい うところでは単価契約をし、また未妥結もないということなのですけれども、やはりど うしても規模の大きいところでそういうことが起きているということ。それに対してな かなか我々がきちんと抵抗できていないというか、それに応じざるを得ないというよう なスタイルをとっているところに、やはりこの契約は双務的なものですから、相手様が 一方的に悪いということではなくて、全体としてこういうことになっていること自体 を、当事者としては考えていかなければいけないのじゃないかと思っております。 ○嶋口座長  今議論が佳境に入るところなのですが、医政局長の松谷さんがいらっしゃいました。 国会から出てこられ、またすぐ出られなければならないとのことでございますので、ち ょっとごあいさつをいただきたいと思います。 ○松谷医政局長  議論を途中にいたしまして大変失礼をいたしました。今嶋口座長からお話がございま した、医政局長をこの8月26日に拝命をいたしました松谷と申します。よろしくお願いを 申し上げます。前任の岩尾のときから流通改善のこの懇談会の議論につきましては、大 変関心を持っているところでございます。委員の皆様方には大変お忙しいところを、こ の議論に御参加いただきまして、本当に御礼を申し上げる次第でございます。  医療用医薬品は私から申し上げるまでもなく、国民の医療水準の維持・向上という観 点から、私どもの役所のみならず国民の大きな関心事でございます。大変不可欠な製品 を扱っているわけでございまして、この医薬品が全国の医療機関における患者さんに届 くというためには、流通がスムースにそして自由かつ公正な競争の下で行われるという ことが大変大事なところだと考えているでところでございます。  近年の状況といたしましては、医薬品は大変進展をいたしまして、流通当事者でもご ざいます調剤薬局の比重が高まってきているというようなこと、あるいは卸売業の経営 環境が大変厳しくなって、今御議論がございましたけれども、その中で業界の再編が大 きく進展をしてきているということ。あるいは昨年の改正薬事法による市販後安全対策 が大変厳しくなってございますが、それに伴ってトレーサビリティの強化ということが 求められてございました。流通に関しましてもいろいろな面から変化が起きて、これに 対する対応ということが求められている状況にございます。  流通の状況を踏まえまして、昨年の6月から4回にわたっって、今懇談会におきまし ていろいろ薬品の現状あるいは公的医療保険制度の下での不適切な取引慣行の是正等に ついて、御検討いただいたところでございまして、昨年の12月に中間的な取りまとめを いただいたところでございますけれども、それに引き続いた議論を今後お願いをしたい と考えておりまして、この昨年の末の中間取りまとめを踏まえまして、医療用医薬品の 流通の当事者として、引き続き流通の改善に向けた率直かつ前向きな御議論を賜ります よう、お願いを申し上げる次第でございます。  委員の先生方は当事者であると同時に有識者ということでございます。ぜひ御忌憚の ない御議論をいただきまして、この改善にお力を注いでいただければというふうに考え ます。よろしくお願い申し上げます。大変ありがとうございました。 ○嶋口座長  ありがとうございました。それではちょっと議論が中断いたしましたが、引き続き中 間取りまとめに関する現状報告に対する質問ないし意見を受けたいと思います。 ○漆畑委員  今の続きになりますが、総価取引が取引の形として私も全面的にだめということでは なくて、それは当事者の間で納得して行うことであれば、それはそれでよろしいのじゃ ないかなと思うのです。前回からこの場ではそれが1つの問題のあるテーマとして取り 扱われてきたその状況からいくと、調剤薬局チェーンの過度にといいますか、これほど ほとんどというのはやっぱり若干問題と言わざるを得ないというふうに、先ほど言わせ ていただいたのですが、取引そのものは総額の取引と個々の単品の取引のボリュームで の条件というのもあると思います。  確かに総額の取引で言えば、そういう契約方法と、あるいはそこに付随するいろいろ な条件設定があると思うのですが、実際に生命関連商品の医薬品はそういう一般の商品 と違いまして、いわゆる見込みで仕入れるというようなことはできないはずでございま す。当然のことながら、実績は総額で実績がありますけれども、個々の単品の医薬品に ついていは、なかなか実績でその価格取引を決めるということはしにくいからこそ、あ るいは未妥結のようなものがあったりするわけですので、そういう意味で言えば、全部 が総価取引で、要するに100%に近い形でというのは、やっぱりちょっと信じがたいと いいますか、これは事実ですのでそれは受け止めるとしても、一体どうしてそうなるの かなというのはよく理解できません。できればその辺をもう少し、なぜそうなるかとい うのは知りたいなと思うわけであります。 ○嶋口座長  調剤薬局チェーンの方に対して、総価取引の数字が大分高くなっているが、このあた りのところを特に数字の部分を含めて聞きたいと、そういう質問でよろしいですか。 ○柏木委員  保険薬局協会の柏木でございます。一番先の卸さんのグロスマージンの表につきまし ては、まずもって私どもは卸さんが健全な経営をすることによって、私どもは成り立っ ていると思っておりますので、それにつきましては、十分な協力をさせていただきたい と思っておりますが、この調査の内容では、総価取引と未妥結・仮納入を少し分けて私 どもの話をさせていただきますと、総価取引につきましては、言われておりますような 形の商慣習としては、私どもでは割とスタンダードな商慣習でそれが行われてきており ます。今漆畑先生がおっしゃったように、なぜ総価取引になってしまったのかというこ とは、前のこの流改懇の席でも私は申し上げさせていただきましたので、あえて省略さ せていただきますが、それがそのままずっと来てしまっているということであって、何 か私どものバイイングパワーによって、それが行われるということではないということ を、まず御理解いただきたいなと思っております。  それと未妥結・仮納入のこれは解釈の問題でございます。例えば私どもの支払いサイ トが90日でございますところへ、3ヶ月の間に当該商品の代金を支払うまでに決めれ ば、これはもうその期間は価格交渉の期間という認識を持っておりますので、そうしま すと3ヶ月までとか、あるいは支払いが5ヶ月、6ヶ月の調剤チェーン店さんもあるや には聞いておりますけれど、いわゆる支払いサイトの間に価格交渉が行われて、当該月 には正規な支払いが行われるまで、これは仮納入・未妥結という形の表になってしまっ ているのではないかなという感じがしておりますので、その辺だけひとつ、私どもの解 釈と卸さん側の解釈にずれがあるということで御理解いただければと思っております。 ○嶋口座長  ありがとうございました。ではそれに関連して、少し御意見をお願いします。 ○松谷委員  薬価改定のありました年に、その月に価格が決まるということは不可能だということ は、我々も承知しておりますし、大体3ヶ月ぐらいの中でということで、我々がいつも の未妥結と言っておりますのは、6ヶ月以上たっても決まらない。きょうここに出しま したのは、3ヶ月から6ヶ月までの間、6ヶ月から12ヶ月の間ということで、最初の3 ヶ月で決まっていないものについては、普段言っているときの未妥結率というふうには 言っておりません。それから一番問題なのが、薬価調査がある年の例えば今年で言うと 9月の時点で、どれぐらい未決定があるかということになると思うのですけれども、そ れは9月の部分はまだわかりませんけれども、200床以上及び20支店以上のチェーン調 剤薬局さんは今年の8月で、この9月が薬価調査の対象月でございますから、それで言 うと62.7%が妥結で、37%ぐらいが未妥結になっているということでございます。ただ し、全件数で言えば、先ほど言ったようにもう97%は8月時点で決まっているというこ とでございます。 ○嶋口座長  漆畑委員の方からさっき御質問があった点についてはいかがでございましょう。わか らないならわからないで結構でございます。 ○漆畑委員  古くて長い問題なので、言えばきりがないぐらいいろいろあるのですけれども、その 間にやはりいろいろ市場環境が変わってきているとか、また薬価の算定のアール幅の問 題だとか、それが調整幅2プロに縮まってきたとか、こういう環境変化の中でこういう 問題が一緒に起きて、なかなか解決できない困難性をさらに深めてきたのではないかと いうふうに、当事者としてはそういう感じはしているのです。だからこそ何か解決策が 見つからないかということで、この前も中医協の席で調剤薬局にお願いを申し上げたの は、やはり制度の問題として、この問題を薬価調査なら薬価調査の精度を高めるとか信 頼性を高める上からも、未妥結だとか総価取引だとかいうのを、ある意味でこれは医療 用医薬品の取引としては不適切なものだというふうな合意が、そういう席でできないか なと。  そういうものが保険制度を運営しているというか、いろいろな制度を決めるところで 議論していただければありがたいなということで、この間御提案をさせていただいたと いうものの、難しいものですから、本当はこういう席でと言っても、前回の中間報告の 中で、これも1つのある意味の取引のあり方だというふうになれば、もう逆に言うと流 近協時代は不適切な取引だったのが、不適切でなくなったような印象もちょっとあった ものですから、そんな印象を持っています。 ○嶋口座長  このあたりはなかなか複雑な問題が絡み合っていると思いますが、それではいかがで しようか。 ○三上委員  総価取引が少し問題であるというのは、現在の薬価算定が実勢価格による加重平均か ら見るということになっている上では、非常に問題であろうと思います。また調剤薬局 の方で非常に総価が多いということの原因につきましては、やはり商品を選択するには 選択権がある、いわゆる処方権のある医療機関とメーカーの関係のようになっていない ということが理由であると思います。どの商品を選ぶかということで、バイイングパワ ーが働くということがあるわけですけれども、特に薬局の場合には処方権がないわけで すから、そういうバイイングパワーは働きにくいということはあると思います。実際に 同種同効品を違う別々のメーカーが出した場合に、どちらを選ぶかというときに、メー カーとユーザーである医療機関の間でそのバイイングパワーが働いて、価格交渉ができ るということになって、単品契約がそこで成り立つのだろうと思いますが、そういう競 争がないということになれば、いわゆる事務の繁雑化を取り除くために、総価取引をす るというのを選択するということになるのではないかと思います。 ○嶋口座長  ありがとうございました。それではお願いいたします。 ○河ア委員  日本精神科病院協会の河アですが、この総価取引の実態についてというところのデー タに関して、少しお聞きしたいのですけれども、全体的に200床以上の病院と調剤薬局 チェーンとを比べてみますと、15年度の場合には、病院の方は16年度になった場合に単 品契約の割合が増えていると。それが調剤薬局の場合は、逆に単品契約の割合が減って いるという。この辺のところは病院のサイドの方が、やはり徐々に徐々に単品契約の方 に変わってきているという実態を、当然これは反映しているデータだというふうに思う のですが、その辺のところは逆に卸業者さんの印象として、現実的にはいかがなものを お持ちなのかということを、ひとつお聞きしたい。  もう1つは、この200床以上の病院の総価契約のデータを見てみますと、15年度に比 べて16年度が当然減ってきています。ただ、内訳の場合も、単品総価契約あるいは全品 総価契約が、16年度では同じ比率になってきている。しかしながら実際上の売上高に占 める割合を見ますと、全品総価契約の方がかなり増えてきているという割合になってお ります。ですからこの辺はひょっとしますと、非常に規模の大きな病院、あるいはそう いうところはなかなか単品総価契約あるいは単品契約という方向には、シフトしていく のは難しい部分があるのかという、このデータの読み方でいいのかどうかという2点に ついてお教えください。 ○松谷委員  この病院のデータにつきましては、先ほど申し上げましたように、客体数が合併等に よってちょっと違ってきているものにも起因していて、まだ最終的には結論づけるとこ ろまでは行っていないのですけれども、先ほど先生のおっしゃいました単品契約が多く なってきているということについて言いますと、やはりDPCですとかジェネリック医 薬品の問題ですとかこういうものを含めて、やはり病院さんが品目別の競争を取り入れ られるということになると、それは総価取引ではなくなって単品取引になりますから、 その意味ではさっき三上先生のおっしゃられたように、処方に影響する形で契約をなさ ろうとか、価格交渉をなさろうとするところについては、単品契約が増えてくるという ことで、それがDPCであったり、老人病院の包括化のところであるとか、こういうよ うなところについては、単品が出てきているということが言える。  ただ、ほとんど品目が固定されて、それを卸同士の競争でやるというような、卸間の 競争だけで価格をやるというところについて言うと、どうしても総価契約の比率が多い ということで、品目間競争が取り入れられているところが単品契約になっていくとい う、こういう傾向はあるというふうに思っております。 ○漆畑委員  三上さん初めいろいろな御意見をお聞きして思うのですけれども、ここは取引、流通 を議論する場なのですけれども、さっきなぜそんなふうになっているのかを知りたい と。想像していることももちろんあるわけですけれども、それが1つの単なる取引のパ ワーバランスとか、あるいは取引の問屋さんの方にだけによらない理由があるとすれ ば、具体的には薬価制度とかそういうものに原因の一部なりがあるとすれば、やっぱり そこでの議論も必要ということになりますので、そういう意味で原因を知りたいと言っ たのは、全部流通だけの議論でこういうことが改善できるかどうかということを確認し たいという意味でお聞きしたわけでありまして、そういう意味では今のような御議論の 中にそのヒントが多分あると思います。  私は医薬品は、医療に係わる商品であるとともに保険制度の中のものですから、メー カーさんも卸さんも医療界も薬局もこの医薬品を取り扱うことで、それが恩恵的に不利 益になったりという構造は絶対にあってはならないわけでありまして、過剰にそれで利 益を得る必要もないと思うのですが、そういう性格から言えば、もし薬価の仕組みその ものにも原因があるとすれば、ここでするかどうかは別としまして、そこでの議論もき ちっとしていただかなければ、解決がしにくいということが確認できればと思いまし た。 ○嶋口座長  ありがとうございました。そのあたりについては、先ほども松谷委員の方からいろい ろ複雑な問題が絡まっているという御指摘がございました。いろいろ他の制度も関連が ございますので一様に言えませんが、ここの中でできるだけ適切な流通のあり方を考え ていくというふうに進めていきたいと思っております。ではよろしくお願いいたしま す。 ○門林委員  門林でございますが、先ほど薬局チェーン店の総価契約の問題で、中身を細かく見ま すと、特に内訳のところで、全品総価契約が15年度から16年度で増えております。この 1つの理由は私の想像では、院外処方箋が非常に多くなって、流動化と申しますか、い ろいろな処方箋が各薬局さんへお行きになる。そうしますと品目数が著しく増加すると いうことが考えられるわけですけれども、その品目数の極端な増加といいますと、単品 契約はやはりしにくくなっていくであろうと思うのですが、そういった中で薬価基準の 品目数だとか、あるいはジェネリックに多くの種類が採用される。そういったことの背 景が少しあるのではないかと思うのですが、そういった各調剤薬局さんの品目数がどれ ぐらいが適正なのか、どのぐらいまで広がっているのかということは、大きな要因では ないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。 ○嶋口座長  これはどなたにお聞きしたらいいでしょうか。では柏木委員、どうぞお願いいたしま す。 ○柏木委員  品目数につきましては本当に千差万別でございまして、各社各様でございますが、こ れは処方箋をいただく医療機関様とのお付き合いの関係においての品目数、それから全 くの面分業で、いろいろな医療機関から来られる患者さんを想定して、あらかじめ用意 しなくてはいけないという品目数もございますので、細かなどれぐらいの品目というの はつかみきってはおりません。むしろ漆畑先生の方がいろいろなデータを持っておられ ると思います。  1つだけお伺いしてよろしゅうございますか。単品契約と総価契約で、この単品契約 のデータが出ているのですが、私は契約という結果ではなくて、価格交渉のプロセス が、例えば単品契約の場合は、薬価基準がいくらだからいくらという交渉過程が、そう いった交渉になっているのか。あるいは仕切価格がいくらだから、いくらに買ってくだ さいという話をされているのか。その辺がやっぱり大きなポイントになるのじゃないか と思うのですが、いかがですか。 ○松谷委員  基本的な単品契約というのは、仕切価がいくらでというか、自分たちが売れる仕切価 もアローアンスもみんな自分の原価ですね。社内それぞれの卸の取引条件が違いますか ら、自分たちでの原価を見ながら交渉しているという。それで単品ごとに値段を決めて いただくのを単品契約としております。それから総価契約というのは、最初に総価率何 %ということが、薬価から何%ということで、それも総価で全体でいくらということ。  ただし、ここに全品総価と単品総価というふうになっておりますけれども、これはも ともと総価で決まったものを、今度は自分たちというか卸の側で単品ごとに振り分けを して、あたかも単品契約をしているがごとく見せるという、変な言い方でございますけ れども、そういうのを総価単品契約と、総価契約の中の単品と言っておりまして、全品 総価というのはもう全部の品目を決まった総価率に置きかえて、それを単価にしている というのを全品総価というふうにしているというのが、この調査表ではそういう形でご ざいます。 ○柏木委員  そうしますと、私は調剤チェーンの立場でございますが、200床以上の病院側での購 入のスタイルも、薬価が基準ではなくて、卸さんの提示価格を基準にして価格交渉され ているのが単品契約という解釈でよろしいですか。 ○松谷委員  そうです。 ○柏木委員  わかりました。ありがとうございます。 ○漆畑委員  数字の御紹介だけさせていただきたいのですけれど、保険薬局の在庫をしています平 均備蓄なのですけれども、保険薬局は届出上は49,000ほどあるのですけれども、実際に 保険調剤をしているのは45,000薬局くらいという状況なのですが、全数調査を私どもは していないものですから、多分客体としては全体を表していないと思うのですが、平均 的には備蓄が約600品目でございまして、1,000品目を超えている薬局がそのうち約20% あるというのが、今の状況でございます。  ちなみに私の薬局を御紹介させていただきますと、多分年末までに3,000品目を超え るという状況でございまして、もしかしたら大学病院並みにあるかもしれないのですけ れども、そういう意味では一般商品の流通から考えたら、それだけを考えれば、とても もう経営的に成り立つような品目ではないような状況になってございます。3,000を超 えたらワインでもあけようかなと思っているくらいの状況でございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。あとは何かございますか。お願いいたします。 ○宮内委員  この200床以上の病院と、薬局チェーンさんの20店舗以上の割合はわかりましたが、 200床以下の病院と薬局チェーン店以外のところの売上の比率がおわかりになったら教 えていただきたいと思うのです。なぜかと申しますと、私どもは歯科の流通なのですけ れども、あまりにも医科の方の薬価差益とかそういう問題が過去から問題にされており まして、その引下げ率と同じだけ、そのまま適用されるケースが多いもので、診療所や 小さな薬局、歯科はほとんどが小規模ですが地域で貢献していると思うのです。ですか らそういうことも考慮してもらいたいがために、この率を知りたいと思っております。 ○嶋口座長  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 ○松谷委員  正確な数字については、今きちんとお答えできないのですけれども、200床以上の病 院さんというのは、我々は大病院と呼ばせていただいているもので、それが全体の医療 用医薬品の中の売上比率は、昔は35%ぐらいあったのが今は25%ぐらいだと思います。 それから調剤薬局さんの売上が今は40%を超えて、20店舗以上のチェーンを持っていら っしゃるところの売上が、その40%の中の大体20%ぐらいだというのが、私の大体承知 しているところでございます。 ○松谷委員  正確な数字で一部申し上げますと、先ほど言った調査をしている対象が、200床以上 及び20支店以上の調剤薬局さんの件数が1,635件で、その他が101,620件ということでご ざいます。件数で言うともう圧倒的にその他というか。 ○嶋口座長  ありがとうございました。ここまでの議論は昨年12月につくられた「中間取りまとめ 」取り上げられたテーマに対するものでした。さらに、その取りまとめに対して、その 後10ヶ月ぐらいたった現在、どんな状況かという御説明を松谷委員からいただいたわけ でございます。二川課長、何か。 ○二川経済課長  私ども経済課の厚生労働省の立場で、中間まとめをいただいた後、どうなっているか というのをちょっと御報告させていただきたいと思います。中間まとめを12月にいただ きまして、そこで書かれておりますことに関しまして、個別の医療機関とか薬局さんと かそういったことに関しての取引の自由のことでございますので、特にそこは申し上げ られないのですけれども、ただ、未妥結・仮納入といった問題につきましては、その病 院を所管している行政機関がそれぞれございます。共済組合があったりいろいろござい まして、各政府の役所のどこかに所管のところがございますので、そういったところに 是正をお願いをするといった形で、間接的ではありますけれども、そういったお願いを したということでございます。そういった努力につきましては、今後も引き続き中間ま とめをおまとめをいただいた線に沿って、私どもしていきたいというふうに思っており ます。  それと先ほど松谷委員からも御発言がございましたけれども、今日、参考資料の2と いうところに、ひとつ資料がございますけれども、これは先般、つい一昨日でございま すけれども、中医協の薬価専門部会に出されました論点で、この段階では案でございま したけれども、一応こういった論点で今度薬価基準を見直しましょうというふうになっ たものでございます。まだ論点でございまして、これで具体的に今後どういうふうにす るのかというのは、どの項目についても結論はないわけですけれども、この資料の中の 3ページをごらんいただきますと、保険制度の上での見直しの論点ということで、この 3ページの上の方にアンダーラインが引いてございますが、「薬価調査の信頼性の観点 から、未妥結仮納入等の流通実態についてどう考えるか」。これが保険制度における薬 価基準。その見直しの中での論点に一応取り上げられているということでございます。 これは卸連さんからのヒアリングが中医協で行われ、そこでもそういった議論が出たも のですから、こういった論点が取り上げられているということで、これを御紹介してお きたいというふうに思います。以上でございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。そういう意味で言いますと、中間取りまとめで出てきたい くつかの面については、まだそこで結論が出て、はい、これで終わりというわけにはい かないと思います。経済課の方から中医協の方に少し働きかけをしていただいたり、あ るいは業界内部の方でいくつか関係者の方にお願いをするということで、その改善に向 けての動きは、中間取りまとめの1つの形を活かす方向で動いていると思います。  まだいろいろこれについての議論はあると思いますが、これから、今後どうするかと いうことについてのテーマに入りたいと思います。そこで事務局の方からこの懇談会の 今後の議論の進め方についての案を御説明いただきたいと思います。 (2)今後の議論の進め方 ○事務局  それではお手元の資料2に沿いまして、この懇談会における検討事項について御説明 させていただければと思います。資料2の2枚目以降が昨年12月に取りまとめいただき ました「中間とりまとめ」でございます。本懇談会は局長からのあいさつにもございま したが、昨年6月より御検討をお願いしておりまして、昨年12月に2ページ目以降の 「中間とりまとめ」をいただいたところでございます。その「中間とりまとめ」におき ままして返品の取り扱いの部分でございますが、お手元の資料で言いますと4ページ目 でございますけれども、枠囲いにさせていただいております。返品の取扱いにつきまし ては、「今後、返品が求められるケースの実態把握に努め、モデル契約における明確な 位置付け、できる限り返品を生じさせない取引の推進など改善に向けた取組が求められ る」というふうに取りまとめいただいているところでございます。この部分を踏まえま して、モデル契約における措置等々、返品についての改善措置について、数回程度の御 検討をお願いしてはどうかというふうに考えているところでございます。説明は以上で ございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。今回の「中間とりまとめ」以降のほうの懇談会では、かな り返品の問題について中心的に扱っていきたいという、事務局からの御説明でございま す。それについては、前回の「中間とりまとめ」の資料にありますいくつかの課題の中 で、かなりはっきりしているテーマかなということだと思います。ただ、おそらく委員 の皆様方の何人かは、「いや、返品の問題だけではないのじゃないか」という御意見も 心の内では思っていらっしゃるかもしれませんので、なぜこの返品の問題を中心にした かだけを、ごく簡単で結構でございますが、御説明いただいた上で議論を進めたいと思 います。いかがでございましょう。 ○二川経済課長  医療用医薬品の流通全体につきましては、先ほどもいろいろ出ているとおり、総価取 引の問題をテーマにしていただきますと、相当長い時間議論ができるのではないかと思 うぐらい、活発な議論をいただいているわけでございまして、これにつきまして、今後 どういった形で取り組むのかというのは、相当基本的なところに係わっているような気 もいたします。そういったことにつきましては、また議論をいただいてもいいと思うの ですけれども、それをやり始めますと、相当な議論になるのかなと。あるいはこれまで もずっと長い時間がかかってきて、なかなか具体的ないい改正案が出てこないわけでご ざいます。  そこで私どもといたしましては、昨年の中間まとめで具体的なテーマで残っているこ の宿題は、やはりできるだけ早めに解決をした方がいいのではないかと考えたのが正直 なところでございます。確かにあまり注目された問題ではないのかもしれませんけれど も、また実際のところ、返品という問題につきましては、各地でいろいろお聞きをいた します。実際のところ、卸さんの流通のセンターなんかを訪問させていただきますと、 よく包装変更とかとシールが貼ってあったりして、かなり相当目にするというのも、実 際、私の正直なところでございまして、こういった問題につきまして、昨年の懇談会で もそれなりの発言が現に出ております。この資料4に昨年の4回懇談会を行いましたと ころで出ております、返品に関しましての御発言を整理したものでございます。そうい ったことで、それなりに問題だということがございます。これにつきまして、モデル契 約といったものがもともとあるものですから、そういったものについての見直しといっ たものも1つテーマになるなと、こういうふうに考えたということでございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。それではこの懇談会で、これから進めていこうというテー マや方法に関する御意見、御質問なりがございましたら、そこのところをまずいただき たいと思います。これからこの懇談会の進め方として、返品問題を中心にしていこうと いう御説明をいただいたわけでございますが、それについて何か御質問はございますで しょうか。お願いいたします。 ○江口委員  返品に関しましては、我々ではあまり大きな問題ではないのですけれども、この頃ジ ェネリックの市場が大きくなると同時に多品種になってまいりまして、メーカーさんの 方で造るときに、もう品切れをするわけにいかないというようなことで、ある一定の期 間のときに大量にお造りになる。それが例えば有効期限ギリギリにまでそれが回ってく るというようなこともあるわけなのですね。そのときにメーカーさんに対して、例えば 有効期限が6ヶ月以内になったものは、これはもう取引できないというような何かがあ ればいいのではないかなと思うのですけれども、もうぎりぎりになってメーカーさんか ら送ってくる。  その原因というのはやっぱり今ジェネリックの種類が増えてまいりまして、しかも低 薬価であるというようなことがあるのですけれども、それの安定供給をしないといけな いというそういう義務という面から、メーカーさんは1ロットを造るときに大量にお造 りになって、安定供給を果たすというような意味での大量生産がされているのではない かと思うのです。それがもう有効期限ギリギリになって我々のところに回ってくる。そ のときにどこまで我々が仕入れるといいますか認められるか。メーカーさんが言うと、 これはだめですという。メーカーさんはまだ有効期限内ですからなんて言ってまた返し てくるとか、そういうことがございますので、有効期限に対する考え方、我々の商取引 の中での有効期限と現実の薬の有効期限というものに対しての考え方を、少しはっきり していただければいいのではないかなという気がするのです。以上です。 ○嶋口座長  ありがとうございました。いろいろな関連課題として出てくるかもしれませんが、今 回は少し返品の問題に絞って、議論を進めたいと思っております。お願いします。 ○三上委員  返品の問題も非常に大切な問題だと思いますが、私は以前のときに申し上げましたよ うに、これは返品の問題にしろこの流通の問題にしろ、卸と医療機関の間の、あるいは 調剤薬局との間の話が主になっておりまして、もっと川上のメーカーと卸とか、メーカ ーと医療機関というふうな形の議論がずっとなされてこなかった。今回も、返品につい てもメーカーの方の関係があまり出てこないということで、ここの総価取引の話もただ 未妥結の問題とか様々な問題は、やはり建て値制度、仕切価制度が入ってから、いろい ろなことが起こってきたということで、仕切価制度の問題についての検証というのを並 行してやらないと、ずっとこの問題はというのは残ってくるのじゃないかと思うので す。ですから返品の問題をやっていただくのは結構だと思いますけれども、半分の時間 はそういう仕切価の制度の検証について時間を割いていただいたらと思います。 ○嶋口座長  という御意見をいただきました。何かそれに関連してございますか。よろしゅうござ いますか。返品の問題は当然返品だけの問題で完結するのではなくて、やはり広がりが ありますので、三上委員の方から御指摘いただいた点も、議論の中で入ってくると思わ れます。そういう意味で、まずはこの返品を切り口にして進めていきたいと思います。 早速ですが、まず返品の現状等について、日本医薬品卸業連合会の方にあらかじめ資料 を提出いただいておりますので、これについて連合会の伊藤委員から説明していただき たいと思います。それに引き続きまして事務局から、これまでの懇談会の方で出されて きた返品に関する主な意見がありますので、先ほど二川課長が調剤薬局関連的におっし ゃっていましたが、それを紹介いただいて、その後で全体の議論をしていくというふう に進めたいと思います。それでは返品に関して早速伊藤委員の方から、状況の説明をお 願いしたいと思います。 (3)返品問題 ○伊藤委員  医薬品卸業連合会の伊藤でございます。返品につきまして少し説明をさせていただき ます。お手元の方に資料を添付させていただいております。前回の流通改善懇談会の中 間報告での取りまとめがございました。そのことを受け、我々としてもできる限り返品 を生じさせない取引の推進、その改善に向けた取組を実施してまいりたいと、このよう に考えております。今回、医療機関、調剤薬局からの返品に関する実態調査を実施して おります。約1ヶ月間の部分でございます。  お手元にございますように、推計でございますけれども返品率というのが約2.3%。 したがいまして16年の売上総額でいきますと約1,400億円が返品額であると、このよう な状況でございます。返品理由といたしましては、そこに記載してございます。品質等 に関するものが約3%、販売政策に関するものが約32%、医療機関/調剤薬局の管理に 関するもので64%。このような状況でございます。品質に関するものにつきましては、 メーカーさんの包装変更あるいは回収指示等が、時期によって相当大きく変わってくる 部分がございます。今回はその調査月の大きい数字のところではなかった部分が出てき ているのかなという感じはしております。  包装変更につきましては、これもメーカー・卸間の供給において、事前の情報連携が 必須であると考えております。そのことによって返品が発生することを防止することが 可能であると、このように考えております。供給がメーカー・卸間での事前情報の連 携。これをもっと重視してまいりたい。このように考えております。  それから販売政策に関するものでございます。これは拡販という部分で、それに伴う 余剰品でございます。当然のことながらメーカーさんは製品の販売等の収支活動がある わけでございまして、それに卸として協力をしている。そういう内容でございます。当 然のことながら、製品の認知度を向上させるためには必要な事柄ではございますが、可 能な限り合理的な販売活動を行ってまいりたいと、このように考えております。  医療機関/調剤薬局の管理に関するもの。この返品のうち、例えば在庫調整や期限切 迫、期限切れのようなものにつきましては、やはり医療機関、調剤薬局での適切な医薬 品の管理の実施により、縮減することが可能であるというふうに考えております。当 然、いろいろな条件がございますので、そのことをすべて返品を不可ということではご ざいません。その状況に応じてやはり適切な在庫管理があって、いろいろなことができ るのかなと、このように考えております。当然のことながら、卸としてメーカーへの返 品や医療機関・調剤薬局からの返品を引き取る際に、十分な協議を踏まえて、状況に応 じた対応が必要であると、このように考えております。  契約の話でございますけれども、現在、メーカーと卸間のモデル契約の部分におきま しては、実は返品条項というのが、回収とか瑕疵のみが返品理由として明記されている わけでございます。包装変更による返品というのは、特定の製品あるいは特定の時期に 集中してくる場合がございます。卸にとって大きな負担となってまいります。包装変更 もできれば返品理由としての中に入れていただいて、モデル契約等に明記していただけ ればと、このように考えております。  それから医療機関さんとの取引契約書の中におきましても、実は返品条項が入ってお ります。ここの取引額の中の返品条項につきましては、これはすべてということではご ざいませんが、特定の医療機関さん等において、著しく卸に不利で、かつ一般常識に反 すると思われるものが見受けられるものがございます。契約当事者として当然のことな がら、我々卸にもその契約を結んでいるという責任がございますが、やはり締結する先 に対してその改善を図るよう、今後も働きかけてまいりたいと考えております。  その次のページに不当と思われる返品条項の記載をさせていただいております。例1 で、納入された物品のうち、甲の都合により、甲というのは医療機関さん等でございま すが、甲の都合により不用となった物品については、納入価格で引き取るものとする。 前条については、特に期間を定めないものとする。このような事例。  あるいは例2。既に納入した商品については、甲の都合により変更取替えの必要を生 じた場合は、乙はこれを拒む事ができない。  例3でございますが、甲は、有効期限の表示のある医薬品については、有効期限満了 6ヶ月前までに申し出た場合は、交換できるものとする。実はこのような条項が入って いるものを見受けられるわけでございます。当然のことながら、契約当事者である卸の 責任もございます。ここらのところもしっかりとお話し合いをさせていただいて、正し い取引を行ってまいりたい。このように考えております。以上です。 ○嶋口座長  ありがとうございました。返品実態ということで、返品の理由についての数値のデー タを示していただきました。それからどうもその中の1つとしては、取引契約書あたり をもうちょっと、これは不当なのか不当でないのかは、なかなか判断がつきにくい所で すが、一応このタイトルを見ますと、「不当な返品条項の例」という事で出ておりま す。一応それを文字どおり受けますと、おそらく売り手側にとっては少し不利かなとい う、そういうお気持ちで書かれたと思いますが、このあたりの実態報告をいただいたわ けでございます。  申しわけございませんが、1つ確認しておきたいのですが、1ページの在庫調整の中 身ですが、これが一番高い比率になっておりますが、具体的にどういうふうなものか。 例えば上の方の拡販施策による余剰品の中での在庫調整という場合もありうるような気 がするのですが、この在庫調整の中身を説明していただけるとありがたいのですが。 ○伊藤委員  医療機関さん等において、例えば流通時、毎月在庫をお調べになって、その中で在庫 調整を図るという部分であったり、あるいは決算時の棚卸し等で持っている在庫を返品 をされる。あるいは当然のことながら、日常の中での在庫の圧縮整理。このようなもの が在庫調整としてとらえております。よろしゅうございますでしょうか。 ○嶋口座長  上の方の拡販施策による余剰品というのと在庫調整というのは、はっきり区別がつく ものですか。 ○伊藤委員  正直申し上げて、はっきり明確な区別ができるかと言われると、微妙なところがござ いますが、どちらかと言いますと、この2番の販売政策に関するものというのは、やは り製薬メーカーさんの自社製品の販売企画そのものを受けて、卸側として医療機関さん なり調剤薬局さんに、ぜひ大量に購入してくださいというような部分も含まれる。そち らの思いのところがどちらかというと2番ということになります。したがってこれはど ちらかというと、供給側の方の部分に原因が帰するものであるというふうに考えており ます。 ○嶋口座長  はい、わかりました。ありがとうございました。 ○高見委員  質問です。わかったら教えていただきたいのですが、高見でございますが。総額で 2.3%の返品とあります。この中には良品と明らかに不良品というのがあろうかと思い ますが、いわゆる本当に2.3%がすべて無駄になってしまうのか。あるいは商品として 十分価値があるのか。そのあたりの御検討というのですか調査はございますでしょう か。 ○伊藤委員  正直申し上げて、今具体的な数値を持っているわけではございません。ただ、この中 でここに記載しています、まず品質等に関するもので回収指示とか瑕疵・不良品は、も う当然そういうことに該当しています。それから3番の期限切迫、期限切れ。ここら辺 も完全に不良品に近いものということでございます。そのほかのものというのは、ひょ っとするとその中に該当するものがあるかもしれないのですけれども、一般的に考えれ ば、良品という考え方ができるというふうに思っております。 ○嶋口座長  ありがとうございました。質問ですか、意見ですか。 ○河ア委員  確認と質問ですが、この返品理由のデータは、すべて医療機関もしくは調剤薬局から 卸の方へ戻った返品だけのデータでございますね。 ○伊藤委員  そうでございます。医療機関、調剤薬局さんから卸の方に、返品として戻ってきたと いうものでございます。 ○河ア委員  そうしますと前段の御説明にございましたように、卸からメーカーさんの方に返品と いうのは、この中の回収指示の部分と瑕疵・不良品の部分だけに限定して、卸さんから メーカーの方には返品すると、そういう解釈でよろしいのでしょうか。 ○伊藤委員  回収指示、瑕疵・不良品は当然の事ながら、メーカーさんへ返品をするものでござい ます。ただ、内容によっては個々のメーカーさんとの交渉でございますけれども、一部 例えば包装変更等でとてもよそへ販売できないもの等については、交渉をして受け入れ ていただけるところもたまにはございます。 ○河ア委員  ですからそうしますと、やはり先ほどの三上先生の御質問にも関係するのですが、そ ういうようなデータも、もしはっきりとしたものがおありなら、こういうところに出し ていただいて、そこの部分も論議しないといけないのじゃないかなというふうに思いま すが、いかがですか。 ○嶋口座長  それは少し見なければならないと思いますが、今の段階では資料はとくにないという ことでよろしいでしょうか。ぜひそのあたりも含めてこれからの議論で、一部取り込み たいと思います。実はもう1つ、御報告がございまして、今は日本医薬品卸業連合会の 方からの資料ということでございますが、もう1つはこの本懇談会の中で、「中間とり まとめ」までいろいろな返品に対する議論や御意見がございまして、それを事務局の方 から御紹介いただきます。その後で全体の意見交換をしたいと思います。では事務局か らよろしくお願いいたします。 ○事務局  事務局でございます。それではお手元の資料4に沿いまして、これまで返品に関して いただきました御意見につきまして、簡単にまとめたものでございます。紹介させてい ただきます。1ページ目でございます。冒頭のポツ3つでございますが、こちらは包装 変更に関する御意見でございます。包装変更につきましては、医薬品そのものの品質あ るいは価値を下げるものではないということでございますので、できる限り購入在庫 (変更前の医薬品)を消化するべきではないかという御意見。同じ御意見の中で、包装変 更を行います製薬メーカーにおきましては、卸の流通在庫の状況を十分調査した上で、 包装変更は実施するべきではないかと。ただしということでございますけれども、包装 変更の中には包装だけの変更にとどまらないというものがございまして、その場合、そ れを流通現場に放置しておくということは混乱を招きますので、そのようなものについ ての扱いというのは、卸とメーカー双方で協議して、扱いを決定するということを契約 上明記すべきではないかという御意見でございます。  また返品におけます開封の扱いにつきまして、包装が開いたもののチェックは困難と いう問題がどうしても生じてしまうので、医薬品の安全性の観点から、包装は厳重なも のとすべきではないかという御意見がございました。  また次の御意見にございますけれども、先ほども御意見がございましたけれども、薬 局は「受け身」の立場で処方する立場であって、在庫管理は非常に困難であるという 点。また多量包装の場合でありますと、期限切れになりがちになりますので、返品につ ながりやすいという面がある。また、個々の当事者におけます取引規模において、返品 に関して大量に取引がある場合については、有利な返品ができるというような不公平な 扱いがなされているというのは問題ではないかというような御意見がございました。  また別の観点からでございますけれども、医薬品というものはその性質上、過剰供給 はやむを得ないという面があるということを踏まえて、薬剤管理ということで、その返 品の費用みたいなものを措置できないかという御意見がございました。  また期限切れや不良在庫のような原因によります返品というのは、メーカー、卸、医 療機関のような流通当事者の連携によるマネジメントの工夫で、何とか解決ができるの ではないかというような御意見。  また、そもそも論でございますけれども、医薬品というものは生命関連商品でござい ますので、その品質保全を考えれば、管理責任の観点からは返品はそもそも問題なので はないかというような御意見。またそれぞれの流通当事者の立場に立ってみると、包装 変更による返品というものは、通常の返品とは分けて考えるべきものではないかという ような御意見。  また、取引慣行になるのかもしれませけれども、医療機関サイドに当たっては、医薬 品のロット番号の順番が逆転しているとか、そのようなことで返品というようなことに なっているようなそういう慣行があるので、そのような慣行は不用な返品を招いている のではないかというような御意見。また、その包装変更に絡みますけれども、このよう な包装変更については、流通当事者間での情報連携を行うことによって、円滑な製品の 切りかえを行い、返品を防ぐようなことができるのではないか。そのようなことが課題 なのではないかというような御意見でございます。  また返品につきまして、一口に返品といいましても、いろいろなケースが考えられる ということでございますので、一概に返品というふうにくくって考えるのではなくて、 理由などによりまして類型分けを行って検討すべきではないかというような御意見。  また医薬品のモノとしての特徴でございますけれども、消費量を調整できない。ある いは薬価制度というものの中での流通でございまして、通常のモノとは異なるという点 を考える必要があるのではないかという御意見。そのようなことから返品の類型分けを 行いまして、薬剤管理費用なりでの措置ができないだろうかというような御意見がござ いました。  また、それと若干違いますけれども、医薬品の流通の観点から言いますと、一番安全 な方法を使ってストックをなるべく少なくするというのが、医薬品の流通の観点からで の議論ではないかという御意見がございました。  また先ほどの御意見と若干かぶりますけれども、医薬品というのは必然的に過剰供給 にならざるを得ないという中で、返品というものはどうしても流通全体の効率性からす るとマイナスに働くということでございますので、返品というものにつきましては、流 通関係者全体において、できる限り少なくしていくというコンセンサスを持って、この 問題について検討すべきではないかという御意見。  またその返品問題につきましては、当事者間の契約で標準的に整理すべきということ でございますので、流通当事者間で話し合いがなされるべきではないかという御意見。 このような御意見をこれまで第1回から第4回までの懇談会の中でちょうだいしており ます。以上、資料説明をさせていただきました。 ○嶋口座長  ありがとうございました。今御紹介いただいた返品に関する御意見というのは、この 委員会のメンバーの方々からいただいたものを取りまとめたものでございます。非常に 本質的な問題から、もう少し技術的な問題まで含めていろいろな意見がございました が、一応返品の問題というのはかなり幅広く、それから先ほど三上委員から御提案いた だきました、メーカー側の問題というのは、もうこの中に相当既に入っております。そ ういうことでこれから皆様方のほうからさらに御意見をいただきたいと思っています。 自由に意見交換をしたいと思いますので、どうぞ御発言をお願いいたします。 ○江口委員  質問でございますけれども、私どもは返品問題に対しては、もうほとんど問題ないと いうような気持ちでいるのです。なぜかといいますと、この返品理由の中で3番目の医 療機関の中に期限切れとして、先ほど申しましたような問題での返品でございまして、 ここの2番目の販売政策による余剰品だとか、在庫調整による返品とかいうものは、我 々のところはもう本当に皆無に等しいですね。  ところが問屋さんでこういうふうな問題が生じているというのは、なぜこういうふう な問題が生じているか。これはメーカーさんと問屋さんとの問題だと思うのです。私ど もは仕事をしていまして、例えば具体的に申しますと、7月の追補収載があるときに、 その前に大量に市場に送り込むと。そういうふうなものが場合によっては在庫として残 ったりする。それが返品になってきたりするのじゃないかと。そういうふうな考え方を 私は持つのですけれども、この販売政策による余剰品だとか、在庫調整というのは我々 は考えられないのですけれども、その辺をちょっとお尋ねしたいのですけれど。 ○嶋口座長  これは卸の方かメーカーの方かどちらかわかりませんが、今の御質問に対して何か。 ○江口委員  薬局向けといいますか、OTC関係はもう昔から相当ございましたけれども、医療用 の場合での返品というのは、我々本当にもう少ないのですね。その辺はメーカーさんと 問屋さんとの間でのお話を聞きたいと思うのですが。 ○仲谷委員  まず先ほど御質問させていただくときに、自分が何者であるかを述べないままで失礼 いたしました。日本製薬工業協会の仲谷と申します。実は今の御質問にも続いてお答え はしたいと思いますが、まずこの返品理由という紙を見させていただいたときに、資料 4にありますように、昨年、包装変更にかかわる問題というのが、かなり大きく議論と してはさせていただいたというように記憶をしておりますし、資料のとおりです。そう いう観点からしますと、この資料を見させていただいて、包装変更、いわゆる品質等に 関するものというのは、意外と少なかったのだなといって、この資料そのものではほっ としたという思いもあるのですが、先ほど、伊藤さんのお話では1ヶ月間のデータだか ら、ずいぶんデコボコがあって、このときは少ないというような御説明もございまし た。  そういう意味から言いますと、本当に伊藤さんも言っておられましたように、メーカ ーとして卸さんと、もっともっと連携を十分にとりながら、このような包装変更その 他、品質等に関することによる返品というものについては、さらに少なくしていくとい う努力をしなければいけないと認識をしております。  それから現状のメーカーと卸さんの取引関係におきましては、取引基本契約書に基づ きまして、きっちり契約をさせていただいておりますし、その内容というのはモデル契 約に基づいたものということで、内容的にも一般的な消費者契約に基づいた妥当なもの で契約をさせていただいていると認識をしております。  また、その中で返品につきましても、商品の価値とか回収指示のほかに、この参考資 料1にもございますが、その他の場合においてはメーカー・卸両者の協議による項目 も、第4項として書いた上での契約を取り交わさせていただいております。これも先ほ ど伊藤さんのお話にもありましたが、個々のメーカーとの交渉で、返品をメーカーの方 に引き取ってもらっているものもあるとのお話がございましたが、包装変更による返品 というものにつきましても、私たちとしてはこの第4項のメーカー・卸両者の協議によ るものということで、現時点では十分協議ができて、返品が必要な場合には回収させて いただいているというような認識でおりまして、そのことがまだもし卸さんの方にとっ て、とても不十分だということであれば、さらにそこについては、私たちとしては今の ままでも十分ではないかという思いもありますが、今後協議をさせていただかなければ いけないという思いではあります。  それから2番目の販売政策に関するものですけれども、もともとこの医療安全、ある いは資源の有効利用という観点から返品をと考えるか、あるいはいかに減らしていくべ きかと考えた場合に、私たちはこの販売政策に関するものにつきましては、確かに何で 起こっているかというと、メーカーが新規に発売させていただいたときに、なるべく多 くの医療機関の先生方にそのものについて理解もし、御処方もいただきたいという思い で、なるべく多くの医療機関に御採用いただこうという思いでお願いしているというの も事実でございます。  そのときに、やはり結局、先生に十分御理解をいただけなくて、あるいは処方機会も なくて、卸さんが返品をされるというケースもあると思いますが、これらについてはも とより医療機関でそのままお使いいただけるということを前提にしておりますので、医 療安全という観点からはほとんど問題がないのだろうと思っておりますし、卸さんが回 収された場合でも、それはもう一度再販売していただくのに十分適切な商品として、卸 さんは返品をしていただいて、また再販売していただけているものだと認識をしており ます。その限りで言えば、資源の有効利用という観点からは、この2番については大き な問題につながっているような数字ではないとの認識でおります。  いずれにしましても、この問題はいろいろな面からの検討というのが必要だろうと思 いますので、医療安全または資源の有効活用という観点から、今後も御議論させていた だくことについては、ぜひ私たちも積極的に参画させてもらいたいと思います。以上で す。 ○嶋口座長  おそらくそれに対しては、また卸側の方からいろいろ御意見があると思いますので、 松谷さん、お願いいたします。 ○松谷委員  メーカーさんと私どもの関係について、伊藤さんにはあれしますけれども、今ジェネ リックの江口委員の方から御質問のあった部分なのですけれども、我々の卸連合会に入 っている卸というのは、それぞれの卸が多くのメーカーと取引をしております。したが って新製品の発売だとかいろいろなものが、同じ製品をいくつかの卸がやはり同じお得 意様に宣伝をしたり、お取引を願ったりということで、ジェネリック販社さんのよう に、御自身の商品とメーカーさんがきちっとくっついているという関係よりも、ちょっ と幅が広いものですから、いろいろな意味で例えば新製品で言うと、ちょっと恥ずかし い話ですけれども、1医院さんに3つの卸から同じものが入るとか、4つの卸から入る ということはありえるわけで、そういう意味で新製品の配貨なんかの場合には、どうし ても返品がどこかの卸には来てしまうとかこういうものがある。これは1社と1社が完 全にくっついているという独占状態ではなくて、それぞれがフルラインに近い形でそれ ぞれの卸があるということも、こういう1つの原因にはなっているというふうにお答え しておきます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。 ○江口委員  確かにそうだろうと思うのです。ただ、私が申し上げたいのは、追補収載時における 営業というのですか、その辺がメーカーさんのものが大きいのじゃないかなという気が するのですけれど。 ○嶋口座長  それから伊藤さん何か、メーカー側のお立場の御発言に対してございますか。 ○伊藤委員  包装変更の部分につきまして、実は多くのメーカーさんが当然のことながら、包装変 更をした旧包装品そのものは商品価値がございますので、返品は受け取れませんという メーカーさんは非常に多いのです。当然、ここのいろいろな御意見の中にありますよう に、例えば医療機関さんで患者さんに出していくときに、例えば包装のPTPの形状が 変わっていたり、いろいろなパターンもあるわけでございまして、市場流通のところで やはり混乱を起こすような部分も中にはあるわけでございますね。したがってそういう ことについてはきっちりとモデル契約書の中にうたっていくべきではないのかというふ うに私は考えているわけです。  確かに1条としては、そういうふうに書いてあるところがございますけれども、その ことというのが実は明確になっていないがゆえに、その都度そのことについてやりとり をする。しかもすべてのメーカーさんがそのことを発生する可能性があるわけで、その ことに対してやりとりする。これは結構無駄なコストを使っていることだと思っている わけです。したがいましてきっちりした形でそういうことも契約条文の中に入れていた だければ、交渉としても非常にやりやすくなるだろうと、このように考えるわけです。 ○仲谷委員  今の伊藤さんのお話はよくわかりました。その場合に、そうしたら現実には交渉して いただきながら、メーカーが引き取らないという場合、そうすると卸さんとしてそれを そのままお持ちいただくことになりますね。商品としては十分再販売できるものでもあ るという認識で、メーカーもおそらく引き取らないというケースがあるのだろうと思う のですが、その場合、現実には結局その商品はどういうふうになっているのでしょう か。 ○伊藤委員  やはり医療機関さんのところとか調剤薬局さんの方へ、それを販売しようと持ってい きましても、もうすでにそれは旧包装品で、新しい包装のものが流通しているから、新 しいものに替えてもらいたいという話が当然来るわけで、我々としてはなかなか販売が できなくいのですね。したがいまして、その部分が期限切迫であるとか期限切れという ような形になってきて、我々のところでそれを減耗する。要は不良資産として落とすと いう形をとっているわけでございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。これはメーカーさんと卸さんだけの問題になりそうで、ち ょっと全体の議論にそぐわないかもしれませんので、それはもちろん重要な1つではあ れますけれども、この問題は折に触れて、ということにさせていただきます。どうぞ御 意見を。 ○門林委員  医療現場で薬品を管理する者の立場でちょっとお話をさせていただきますが、薬品と いうのはやはり最終的にエンドユーザーであります患者さんまでの流通を考えないとい けないというふうに思います。その中でメーカーさんの包装変更というのが発生します と、これは最終的に私たち薬剤師は、患者さんへ対する薬剤の情報説明として情報書と いうのを渡しますが、その情報書の中身も全部書きかえないといけない。そうしないと 患者さんとしてはどう変わったかわからない。包装が変わったらこれは違うものと認識 される可能性があります。そういった管理コストが医療機関にかかっているということ があります。  私のところで、現在ひと月の間にメーカーさんからお知らせ文書としていろいろな変 更届等が大体月に60件ぐらい参ります。ですからこの都度に医薬品のデータベースを書 きかえたり、あるいは薬品情報書を変えたりというようなことに労力を費やしていると いうのが現状かと思います。  そのためにいろいろなことがあるのですが、ちょっとここで質問なのですが、この返 品理由の中で、期限切れとかあるいは期限切迫というのは、卸さんが返品として医療機 関が受け取られた分でございますね。したがいまして当然、医療機関の中では返せなく て廃棄損になった分で、これは医療資源のむだになっているわけです。このデータが実 はここに載っていないというふうに思われます。それから在庫調整というのは、これは 確かに医療機関である程度管理すれば可能性はあるのですが、ただ、先ほど申しました ように、いろいろなメーカーさんの包装変更によって、あらかじめそういう情報があれ ば、それを在庫調整していこうというような安全弁も働いているのではなかろうかとい うふうに思われます。  そういったことのデータを本当に医療機関の中でどの程度、いわゆる包装を外してま で、バラになってしまった医薬品が、どれぐらいむだになっているかということも、非 常に大きなデータになってくると思います。そういったこともお調べいただいたほう が、あるいは私が調べないといけないのかもしれませんが、そういったことも重要だと 思うのです。できればメーカーさんの包装変更に対して、病院の中ではいろいろな管理 コストがかかっている。やはりこれは資料の中にもございましたように、管理費という ようなものも設定が必要ではないかという意見が載っていたので、非常にいい意見かな というふうに思いました。以上でございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。ではよろしくお願いいたします。 ○柏木委員  おっしゃるとおり、これは返品を受け取ったデータでございます。原則的には私ども は返品は受けていただけないという解釈をしております。特に包装変更はほとんど卸さ んには断られているという形が多ございます。したがってメーカーさんがああいう受け 止め方をされてしまうようなデータよりも、それでお断りしたという形のものもあわせ て出さないと、正確なデータにならないような感じがしております。  それと例えば在庫調整の解釈も、伊藤委員の解釈はやはり期末調整とかいろいろな卸 さん側の論理でお話しされておりますが、例えば私どもの会員でも、過疎地域のか薬局 が多ございます。卸さんの頻回訪問がございません。したがいましてあらかじめ多量な 在庫を用意しておこうということで用意しております。月末になりますと消化しきれま せんから、未開封のものを翌月に自分のところで使うわけです。月末に返して翌月に発 生という、いわゆる赤黒という行為をお願いしても、これもノーという形が多くて、そ ういったものも認められないのかなと思いましたら、これだけの率で受け取っておられ るということで、逆に私はちょっと理解に苦しんでいるのですが、そういっったこと で、私は返品は各卸さんがそれぞれの判断でやられているから、こうやって私どもの解 釈と違ういろいろなケースが出てきているのではないかなと思います。それをやはり契 約でうたうよりは、ガイドラインか何かをつくって、それに合うか合わないかというよ うな判断基準をつくれば、あとはそれぞれ個々の取引の中でそれを活用する。  例えばさっき言いましたように、過疎地域の薬局にはそれぐらいの血の通ったことも やっていただきたいなと思うのですが、私どもの報告では、それも断られてしまう。地 場の卸さんがなくなってだんだん大きな卸さんになります。株式の公開もしておりま す。会計基準があるので、ものの伴わない返品はできない。虚偽の売上操作になってし まうのでだめとか、いろいろな形のものが今出てきております。これらもある程度理解 していただくとなると、個々の卸さんと薬局、そういった商慣習の中でそれは処理すれ ばいいような問題のような感じがしまして、これを業界ぐるみでルール化すると、いろ いろな問題が出てきそうな感じがしますので、むしろ返品というのは、ルールよりも私 はモラルのほうが大事な感じがしておりますので、その辺の落としどころを考えていた だいたらいかがかなと思います。 ○嶋口座長  ありがとうございました。いろいろな御議論で、かなり今のルールよりもモラルだと いう話。これはそのとおりだと思います。モラルがちょっと今難しくなっているところ に、またルールに戻れという話もあるので、このあたりはインタラクティブな関係があ るかなという感じがいたしますが、皆様方のお手元にモデル契約商品というのが、参考 資料1としてございます。このモデル契約書は基本的には卸売業者さんと医療機関間の モデル契約、それから後半のほうにメーカーさんと卸売業者間のモデル契約とあります が、このあたりのモデル契約は、ある程度つくられているのですけれども効果的に機能 しているかどうかは不明のようです。  これは昭和62年の報告書の中で出たものなのですが、実際に運用に当たってはかなり 問題があるということで、たとえば返品条項の問題についてはどうだろうかという御指 摘が、先ほど伊藤委員の方からございました。医療機関との、とりわけ取引契約書にお ける、こういうふうな返品条項が実際に行われており、これがモラル面やルール面で反 しているのか反していないのか、という話しだったと思います。この問題について何か 御意見がございますでしょうか。契約ですから、当事者間で契約で調印したら、それ以 外もうないじゃないかというものもあるのですけれども、その中でやはりルールを少し 逸脱した条項がたくさん入り得ると。これが実際に複雑な流通の中で起こり得る返品の 問題ではないかなという感じがするのですが、卸連の方ではやっぱりこのあたりはちょ っと改善を期待したいということ。あるいは先ほど伊藤委員もおっしゃっていました が、みずからもこのあたりを少し再検討してみたいと、そういうふうな御意見でした。 ○伊藤委員  実はここに挙げさせていただいている例題は、ほとんどが官公立あるいは準官公立の 病院さんが多いわけでございます。したがいまして結構一方的に、いやこれが契約内容 ですという形で提示をされまして、なかなかそこのところの交渉に乗っていただけない というのも事実であります。当然の事ながら、そのことを承知で契約している我々のと ころにも、その責任があるわけでして、当然、我々としてはそのことに働きかけていき たいというふうに思っているのですけれども、やはりどうしてもそういう準官公立の病 院さんですと、それに従わざるを得ないというような部分が出てくるのも事実でござい ます。したがってそこについては、何らかのモデル契約のところで明記していただけれ ば、実は我々にとっては非常に動きやすいと、このように考えています。 ○嶋口座長  そのあたりについて何か御意見はございますでしょうか。 ○大塚委員  川下の返品について御検討願いたいわけでございます。医療用医薬品の返品の取扱い で、モデル契約でできる限り返品を生じさせないように定めるということは、返品の理 由が非常に多岐にわたっております。瑕疵とか回収指示、ユーザーの都合、薬価改定に よる価格調整、包装変更などがあり、返品を契約で一元化するということはちょっと無 理ではないでしょうか。したがいまして返品の類型は検討して、ユーザーと交渉してい ただきたいということでございます。  そもそもの医薬品の返品というものは、ユーザーの医薬品のストックを少なくし、頻 回なデリバリーを行うことによって返品は少なくなるだろうと思いますけれど、そうも 一概にいかないと。いわゆるリーズナブルなストックとデリバリーが求められると。そ うするとどうしても医薬品の管理費が必要になってまいります。  それから「中間とりまとめ」のその他で掲載されておりましたトレーサビリティを行 うことによって、医薬品の安全性と返品が著しく少なくなると思います。現在、一次元 バーコードでも3種類ぐらいあって、標準化がされておりません。一次元バーコードは 非常に情報量がすくないものですから、やはり二次元バーコードにして、早くトレーサ ビリティができるようにすることが、喫緊の課題ではないかと思います。  最近、経済新聞で数日前に出ていましたが、ICタグを使って安全と流通の管理をす るということが出ておりましたけれど、これは非常にコストがかかるというふうに私は 聞いております。だからせめて二次元バーコードぐらいは早くして、返品の数も少なく する、医療の安全も確保できるというようなことも検討されたらどうかなと思います。 ○嶋口座長  ありがとうございました。あと何か御意見はございますでしょうか。お願いいたしま す。 ○三上委員  今の意見と大体同じ意見ですけれども、基本的にはユーザーである医療機関からすれ ば、頻回に持ってきていただいて、極端なことを言えば、アンプル1本ずつバイアル1 つずつとか持ってきていただければ、ストックがゼロで返品することもないということ ですが、適切なストック化ということで、幾分かはデッドストックが出ることも仕方が ないと思います。その場合に、返品をどうするかという話になるわけですけれども、医 療機関はR幅に、調整幅にということで、ほとんど原価に近い形で買っているわけです から、一番薬価との乖離の大きいところは、やはり川上のメーカーであろうと思いま す。  ですから卸の方に1,400億も返品があるということですが、廃棄したものも含めると、 もう少し大きくなるかもしれませんけれども、一番川上まで行きますと、その1,400億 がもっと小さくなるのではないかと思います。いわゆる輸入価格からしましても、最終 薬価は少なくとも3倍以上になるということはわかっておりますので、国内生産の場合 ですと、もっと原価としては少ないと。影響は少ないのじゃないかということで、やは り返品の最終償却をどこまで持っていくのかということを考えていただきたい。  先ほど、商品として成り立つ場合には、再販できるから引き取らないという話でした けれども、商品として成り立たない場合にも、メーカーが最終的に引き取って処分をす るということの方がいいのじゃないかというふうには思う。それは向精神薬とか様々な そういう問題のある薬品が、どのように流れていくかということもありますので、最終 的に処分していただく方がいいのじゃないかというふうには思いますが。 ○嶋口座長  ありがとうございました。お願いいたします。 ○宮内委員  今の三上先生と同じように、やはりメーカーが持つべきだろうという主張をしたいの ですけれども、処方の中止の中に、例えば最近テレビ等で盛んにジェネリックの製品の 宣伝がされておりますが、従来の医薬品が同類項のジェネリックにかわる場合、それか ら新薬が出て今までの在庫品が替わる場合、そういうふうなものがこの処方の中止、変 更の中にどのくらい含まれているのでしょうか。それをお聞きしたいのですが。 ○嶋口座長  伊藤委員、何かそこについてデータはございますでしょうか。 ○伊藤委員  申しわけございません。これは我々のところで返品を受けた段階での各種営業マン等 の聞き取り調査でございますので、病院さんの、あるいはそれぞれの施設の中における 詳細なデータというのは我々は持ち合わせておりません。 ○嶋口座長  宮内委員、何かございますか。 ○宮内委員  データがなければ、今後とっていただいて、いわゆる医療の現場からすると、新薬が でた、その新薬が早く患者さんに使われることも1つの貢献だろうと思います。ですか ら、メーカーが競争して新しい新薬を出すことも医療の発達に必要なこと。そうすると 従来品はデッドストックというか、市場性がだんだん失われていくことも当然だろうと いうふうなことも加味して、この議論をしていただきたいと発言した次第です。ジェネ リックはあくまでその付帯で考えていただきたいと思っております。 ○嶋口座長  あと何か御意見はございますでしょうか。 ○漆畑委員  まず1点。この売上総額の約2.3%というのが多いか少ないかというのが、なかなか 理解がしにくいのですけれども、一般の流通から考えたらそこが釈然としません。この 数字は多いのか少ないのか。もしそういうのがあれば、教えていただきたいことと、そ れから伊藤委員のおっしゃったこの返品の問題が、非常にターゲットを絞った医療機関 とか施設のものとすると、これは全体に関係することであるならば、もちろん当然こう やってちゃんと議論すべきだということは賛成なのですけれども、特定の医療機関のも のにかかわるものだとすると、一体どうやって議論したらいいのだというのは、反対し ているという意味ではないのですが、そこが若干ちょっと悩ましくて、先ほどからどう いうふうに発言させていただこうかなと思ったのですけれども、ちょっとそこが釈然と しません。  それから数字で言えば、32.4%の販拡施策による余剰品と、それから在庫調整の37.1 %というのは大変大きいわけですから、その下にありますけれども、ルール化するかど うかは別として、もし個別のことで問題点で何か合意を見出す、コンセンサスづくりを するとすれば、やっぱり数字の大きなものを個別に議論をしないと、例えばどんなルー ルにするにしても、それが考え方であって表記できるものではないとしても、いずれに しても個別なテーマで議論しないと、議論が進みにくいのではないかなと思って聞かせ ていただきました。 ○大来委員  製薬協の流通適正化委員会の大来でございます。先ほど、大塚先生のお話の中で、商 品のトレーサビリティのことについてお話がございました。現在、業界といたしまして は、一昨年の薬事法改正に伴いまして、生物由来製品を中心としたトレーサビリティが 義務付けられたところから現在、日本製薬団体連合会で、この医薬品の流通コードの標 準化を、厚労省と一緒になって進めているところであります。来年には、基本的な案が できあがってくると思います。  この商品のトレーサビリティは大塚先生がおっしゃるとおり、電子タグということも ありますけれども、電子タグはいくつかの欠点があります。費用が高いということもそ うなのですけれども、電波帯によってはなかなか使いにくいというような部分もありま す。昨年度、経産省の実証実験事業に採択され実験を行った結果、電子タグは医薬品に 適していないことが明らかになりました。このことから最初に生物由来製品から流通コ ードの標準化をする場合はコードシンボルになるというふうに考えています。  ただし、これは業界としてこれは推奨するということでございまして、この推奨に対 して、各メーカーあるいは医療機関がインフラの整備のためにお金がかかりますから、 どこまで普及するかということについては何とも言えませんけれども、そういうふうな 状況にあるということは御報告を申し上げたいと思います。  それから2つ目のお話でございまして、返品の問題でございますけれども、メーカー と卸との問題の中で、包装変更に伴うものについては、その包装変更の原因がいくつか あります。その中で厚労省の指示によるものと、医療の安全性等の理由で変更しなけれ ばならないものについては、おそらくほとんどすべて、卸さんと協議の上で返品は受け 取っていると思います。  ただ、先ほどありましたような包装変更がものの本質にほとんど影響がない。ごく一 部の包装変更である。そういうようなものについて有効期限がまだ2年ぐらい残ってい るものについては、現在の卸さんとメーカーとの間の販売契約そのものが、売り切り、 買い切りというような形でもって責任を持って自分のところが仕入れているわけですか ら、安全性に問題がないということであるならば、ただ単なる一部の包装の変更等につ いてそれをすべて返すよと。こういうことではとにかく資源が大変無駄になってしまい ます。それから三上先生がおっしゃられたように、メーカーの生産のコストが安いと言 いますけれども、実際はそういうことになると、非常に生産のコストが上がってくると いうようなことにもなります。  ということで、返品の包装変更についても、いろいろ状況、原因によって変わります ので、そこら辺のことについては、もしこの返品のモデル契約の条項を変えるのであれ ば、少しぐらい加えるというような形でもって、そこら辺のところはどういうふうに表 現したらいいかわかりませんけれども、その程度の形でもってというふうにメーカーと しては考えなくもないと。これは私の私見ですけれども、そうようなことで少しでもい い方向にこの問題が解決していけばいいのではないかというふうに考えています。以上 でございます。 ○嶋口座長  ありがとうございました。返品の問題というのは、もう何人かの委員が御指摘いただ きましたように、基本的には当事者間の問題に帰するところが非常に多いと。ところが そこに微妙なパワーバランスがあって、全体の流通のスムースな流れとか、医薬品の持 っている特性を反映しない場合もありうる。そこで今後どうするかということが、ここ での議論の場になっているのだと思います。これについては、今回返品問題について は、1つの折り合いをこの懇談会の中でつけたいなという、そういう意図が事務局サイ ドにもあるようでございますので、次回も引き続いてこのあたりをさらに深め、もうち ょっと論点を絞って議論してみたらいいのかなと、そんなことを思っています。 (4)その他 ○嶋口座長  きょうは最初ですから、もう自由な立場でこの返品についての御意見を伺いました が、まだ言い足りなかった先生方もたくさんいらっしゃると思いますが、時間がそろそ ろ迫って参りましたので、今後の方向についてもし可能なら事務局サイドから少し情報 をいただいて、大体どのくらいまでこの懇談会を今回のこのテーマについてやるのか。 どのくらいを大体会合のめどとしているか、方針をいただけたらと思います。では二川 課長、お願いいたします。 ○二川経済課長  事務局の希望ということで申し上げさせていただきますと、流通のそもそものあり方 そのものに係わるような議論も、いずれはしていただきたいと思っているわけでござい ます。そういったことも今後の課題としてあるということで、その1つにこの宿題をま ずお片づけ願いたいとこういう立場でございまして、そういたしますと1つの目安とし て言えば、年度内ぐらいにはこの問題について何がしかの方向付けをおまとめをいただ いて、またモデル契約の方を直すなら直すと。このモデル契約とこの流改懇の前身であ ります流近協でおまとめいただいたものでございますので、ここでどういった方向かと いうものをお示しいただければということでございまして、その目標としては一応年度 内ぐらい。若干少しずれてもいいのでございますけれども、そのぐらいをめどでお願い をできたらということでございます。 3.閉会 ○嶋口座長  年度内というのは来年3月ということになると思いますが、場合によっては4月にず れ込む可能性がある。これはおそらく経済課の方を含めて、いろいろ国会その他の事情 があるようでございますので、そのくらいまでに何とかまとめたいと。したがってこう いう懇談会は数回くらい行えればという、そういう御希望だと思います。  それでは時間もほぼ参りましたので、本日はこれにてこの懇談会を終了したいと思い ます。どうもお忙しいところを、先生方ありがとうございました。以上でございます。                                     <了>