05/10/03 労働安全衛生分野のリスクアセスメントに関する専門家検討会 第1回議事録     第1回 労働安全衛生分野のリスクアセスメントに関する専門家検討会                  日時:平成17年10月3日(月)17:30〜                        場所:厚生労働省専用第18会議室 ○副主任中央産業安全専門官  本日はお忙しい中、このような遅い時間にお集まりいただきまして誠にありがとうご ざいます。ただいまから第1回労働安全衛生分野のリスクアセスメントに関する専門家 検討会を開催します。  まず、配付資料の確認をさせていただきます。クリップ止めされた資料で、いちばん 上に本日の検討会の次第があります。その次に、参考資料(机上配付)と書いてありま すが、これは先生方のお席に紙ファイルで置いてある資料3で引用した参考資料の抜粋 です。次が資料1として、この検討会の開催要綱です。資料2として、参集者名簿で す。資料3として、指針に盛り込むべき事項という資料です。資料4として、の危険性 ・有害性の分類ということで、横長の大きな紙が付いています。あとは、検討スケジュ ールという1枚紙と座席表をお配りしています。  それでは開会に先立ちまして、安全衛生部長の小野からご挨拶を申し上げます。 ○安全衛生部長  本日は、委員の皆様方には大変遅い時間にお集まりいただきまして、本当にありがと うございます。御礼を申し上げます。また後ほど、事務方のほうから今回の検討会の趣 旨なり具体的な内容について、皆様方にお願いしたいこと等を説明させていただきたい と思いますが、私のほうから若干今回の検討会を始めるに当たりまして、簡単な背景な りその趣旨をお話をさせていただきたいと思います。  ご承知のように、近年、全体の災害件数自体は傾向的に減少していますが、重大災害 が増えているということで、とりわけ一昨年以来非常に爆発事故や火災事故の大きな災 害が頻発をしていることは、皆さん方ご承知のとおりです。ちょうど20年前に比べて、 統計上も重大災害がおおよそ倍ぐらいに増えている実態もあります。この背景は我々な りにいろいろと考えてみると、1つは生産工程が非常に多様化あるいは複雑化している こと。各業界で、色々な新しい機械設備や化学物質が導入されていること。そういった ことから、事業場内の危険・有害要因が非常に多様化していることが大きな背景として あるのではないかと分析をしています。重大災害等を防止していくことを考えますと、 もちろん労働安全衛生法等で最低基準を設けて罰則をかけ、監督をしていく手法はこれ からも続けていきますが、何よりも企業自身が日頃から日常的な安全活動に力を入れて もらうことが、結果的に労働災害の未然防止につながっていくのではないかと考えてい ます。そういう意味で、今回のテーマでありますが、企業自身が自主的に危険・有害な 要因の特定をして、それぞれのリスク評価をしてこれを低減していく、いわゆるリスク アセスメントに基づく対策を実施してもらうことが不可欠になってくるのではないかと 考えています。  実際上も、リスクアセスメントを導入した企業では、そうでない企業に比べて災害発 生率が低いという結果も出ています。私どもとしては、そういった背景がありますの で、いま開かれている特別国会に労働安全衛生法の一部を改正する法律案を提出してい ますが、この中で危険性・有害性等の調査とその結果に基づく措置の実施の努力義務化 という規定を盛り込んでいるところです。厚生労働省としては、このリスクアセスメン トの実施に役立つ指針を今後策定をすることとしています。この検討会では、「指針に 盛り込むべき事項」について、皆様方各分野の御専門の立場から、いろいろとご意見を 頂戴をして検討をお願いしたいと思います。検討スケジュールが配られていますが、一 応11月中を目処という非常に短期間での集中的なご審議をお願いしなければいけないと いう大変ご負担をかけることになろうかと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと 思います。以上で、私の挨拶とさせていただきます。 ○副主任中央産業安全専門官  続きまして、各委員のご紹介をさせていただきます。お手元の資料2の参集者名簿の 順番に従って、ご紹介をさせていただきます。京都大学大学院教授の内山巌雄先生、独 立行政法人産業安全研究所主任研究官の梅崎重夫様、足利工業大学教授の小林康昭先生 です。北九州市立大学の杉本旭先生と横浜国立大学の田村昌三先生は、所用によりご欠 席です。続いて、独立行政法人産業医学総合研究所研究企画官の宮川宗之先生、明治大 学教授の向殿政男先生、毛利労働安全衛生コンサルタント事務所所長の毛利哲夫様で す。  では、本検討会の座長を選出します。委員の皆様からご推薦をいただきたいと思いま すが、いかがでしょうか。 ○梅崎委員  是非、座長にはリスクアセスメントに大変造詣が深い、向殿先生を推薦したいと思い ます。先生は、既に労働安全衛生の分野においても機械の包括的安全基準をはじめとし て、さまざまな指針にご尽力いただいています。そういう観点からも是非、先生に座長 をお願いして推薦したいと思います。 ○副主任中央産業安全専門官  ありがとうございました。ただいま、梅崎委員より向殿委員をご推薦いただきました が、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○副主任中央産業安全専門官  ありがとうございます。それでは、向殿委員に座長をお願いしたいと思います。これ 以降の進行をよろしくお願いします。  なお、小野部長は次の会議がありますので、ここで退席をさせていただきます。 ○向殿座長  座長を仰せ付かりました明治大学の向殿です。実力不足ですが、一生懸命に進めさせ ていただきますので、よろしくお願いします。  この検討会の委員をと言われたときに、私はいま紹介にありましたように機械安全の 分野と労働安全分野でリスクアセスメントの仕事を少しやってきていまして、小野部長 のお話にありましたように、従来は最低基準があって、それをいかに満たすかという、 私の言葉で下向きの安全を一生懸命にやっている。それよりは、そろそろ上向きで自主 的に少しでも高い安全を実現するにはどうしたらいいか。そのためには、このリスクア セスメントは非常に有効な手段であると思っています。こういう検討会があり、労働安 全衛生法の改正を検討中で、今回の国会にこのリスクアセスメントを努力目標で入れる ような方向で出していると聞きましたので、どういうものをそこに盛り込むべきかとい う指針は非常に有効であるということで、是非この検討会の委員をやらせていただきた いとお受けしました。いまのお話では、11月いっぱいということで相当集中的にやらな いといけないと思いますので、よろしくお願いします。  議事次第に従って、進めさせていただきます。最初は検討会の目的・検討会の進め方 です。これについて、事務局から説明をお願いします。 ○技術審査官  資料1の開催要綱について、ご説明します。本検討会の目的は、従来より厚生労働省 においては「機械の包括的な安全基準に関する指針」、「化学物質等による労働者の健 康障害を防止するために必要な措置に関する指針」を行ってきて、事業場におけるリス クアセスメントを進めてきましたが、これをすべての分野に跨がった形で、すべてのハ ザードを包括できる基本指針というものを策定する必要がありまして、今回それを策定 するための原案づくりにご協力いただきたいということです。  検討内容は、(1)〜(12)についてご検討いただくということで、リスクアセスメ ントの関連用語の定義から実際にどのような形で行うかまで、かなり詳細にご検討をい ただく形になっています。その他、本検討会は安全衛生部長の召集という形です。それ から原則として公開形式で実施をしたいと思います。  机上の検討スケジュールについて、若干ご説明します。スケジュールとして、会合を 3回考えています。本日が第1回で、骨子案、各項目に盛り込むべき事項を検討してい ただきたいと考えています。これを踏まえて、第2回会合で指針の原案となるべき内容 をご審議いただきます。固まりました指針原案を主要業界団体の方々にお示ししまし て、ご意見を伺いたいと考えています。第3回会合は、そのヒアリングの結果を踏まえ た最終の原案をご審議いただきたいと考えています。日程は、第2回が既に10月25日に 決まっています。第3回は、11月の終わりに開催します。以上です。 ○向殿座長  どうもありがとうございました。いまの目的、進め方で何かご質問、ご意見等はあり ますか。3回で11月末に結論を出そうということですので、相当集中審議をしないと間 に合わないと思います。よろしいでしょうか。それでは、そのように進めさせていただ きたいと思います。  資料1にありますように、検討内容が12項目と相当たくさんありますので、資料3に 「指針に盛り込むべき事項」ということで、14項目上がっています。これについてご議 論を願いたいのですが、あまりに多過ぎますから、いくつかに分けていきたいと思いま す。最初に1から4までをご説明いただいて議論して、次に5からという形で進めさせ ていただきたいと思います。事務局から、ご説明をお願いします。 ○技術審査官  資料3についてご説明します。1頁に表紙があります。これが目次です。1から14ま で検討項目があります。まず、1から4のご説明をさせていただきます。  2頁です。資料の構成について若干ご説明します。それぞれの項目ごとに「論点・問 題点」という形でまとめています。それぞれの「論点・問題点」について「指針に盛り 込むべき事項」を次に入れています。以下は参考で、関係の法律あるいは省令、IS O、JIS、あるいは過去に厚生労働省で定めました指針、それから海外、主にイギリ スのHSE、アメリカ安全衛生庁において定められているガイドライン類といったもの を参考として掲げています。この参考資料を踏まえながら、「論点・問題点」について ご検討をいただいて、「指針に盛り込むべき事項」をご審議いただく形でお願いしたい と思います。  1の適用範囲についてご説明します。「論点・問題点」は法律的な位置づけがまず大 事ですので、法令との関係があります。それから、厚生労働省が既に定めてまいりまし た化学物質管理指針、セーフティアセスメント指針、機械包括指針、マネジメントシス テム指針といった指針との関連性を明らかにする必要があります。参考資料の労働安全 衛生法第28条の2をご覧ください。これは、今特別国会に提示されている改正案の内容 です。この条文によりますと、事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設 物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する 危険性又は有害性等を調査して、それを踏まえて必要な措置を講じるように努めなけれ ばならないという努力義務の規定が新設されています。同条の第2項に、厚生労働大臣 は、前条の規定を実施するために、必要な指針を公表することになっています。今回ご 議論いただく指針は、この指針です。  適用になる業種は、化学物質に関するものは全業種、それ以外のものについては現在 はまだ全くの省令の案ですが、安全管理者の選任が必要となるような業種という安全関 係業種を想定しているところです。これを踏まえて「指針に盛り込むべき事項」は、法 令との関係としては、改正労働安全衛生法第28条の2に基づく指針という位置づけです。 指針の性格として、化学物質、機械といったハザード別ではなくて、すべてのハザード をカバーする基本的包括的指針としたいと考えています。また、この基本指針を踏まえ て、ハザード別に詳細指針を定める必要はあると思いますので、そういった形で化学物 質管理指針を位置づけたいと考えています。また、業種としての適用範囲については、 化学物質管理指針、化学物質に関するリスクアセスメントについては全業種ということ ですので、全業種を対象としたいと考えています。  マネジメントシステム指針との関係については、同指針中のリスクアセスメント部分 を今回作成する指針において定めるような関係としたいと考えています。機械包括指 針、セーフティアセスメント指針に関しては、それぞれ関係のある部分について本指針 に基づくリスクアセスメントを実施するため、活用できるように考えていきたいと考え ています。  4頁は、2のリスクアセスメント関連用語の定義です。(1)ハザードについては、 指針案の下にある安衛法第28条の2を見ていただくと、建設物等々に起因する危険性又 は有害性という表現を法律では使っています。またISOあるいはJISについては、 危険の潜在的根源ということで、危険源という表現を使っています。化学物質指針につ いては、化学物質等の有害性の種類及び程度という表現を使っています。諸外国に目を 転じますと、イギリスHSEではA hazard is anything with the potential to cause harmということで、危害を発生させる潜在的なものという定義です。これについては、 アメリカあるいはILOのガイドラインでも同様な表現を使っています。これを踏まえ て、「指針に盛り込むべき事項」としては、「建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉 じん等による、又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性」という形で定義 をさせていただきたいと思います。  5頁は(2)リスクです。リスクについては安衛法第28条の2では、危険性又は有害 性等という形で、「等」が付けばリスクという定義をしています。また、労働安全法第 10条に関しては、危険又は健康障害という表現を使っています。ISO、JISについ ては、危害の発生する確率及び危害のひどさの組み合わせということで、組み合わせと いう表現を使っています。化学物質管理指針についてもほとんど同様で、労働者に生ず るおそれのある健康障害の可能性及び程度ということです。イギリスに関しては、特定 の危害が発生する確率という押え方をしています。こういったものを踏まえて、組み合 わせという表現をあえて使う必要もないということで、労働者による危険性又は有害性 により、「労働者に生ずるおそれのある危険または健康障害が発生する可能性及びその 程度」という形で、定義を考えています。  最後は(3)リスクアセスメントです。これについてはISOにおいてはリスク分 析、リスクの評価。リスク分析の内容としては、危険源の同定とリスクの見積もり、リ スク評価は、許容可能なリスクが達成されたかどうかの判断ということです。諸外国に 目を転じましても、大体同様のハザードの同定、リスクの分析といった形ですので、我 々の定義としても6頁にあるような危険性又は有害性に関する情報を入手して、危険性 又は有害性の種類及び程度を特定し、それらによるリスクを見積もり、かつ、その結果 に基づき、リスクを低減するための措置を検討することとさせていただきたいと思いま す。また、これのポイントとしては、あくまで検討ということで、措置の決定及び実行 は含まないという定義にさせていただきたいと思います。  3のリスクアセスメントの実施時期です。これは当初の実施と見直しの両方がありま すが、関連指針を調べましたところ、ISO等については機械設計時ということが当然 ですので、あまり言及はありませんが、イギリスのHSEの資料によりますと、危険な 作業を行う前に実施する。それから新たな機械、物質、工程、作業手順といったものが 変更になったときにやってくださいという規制がありますので、それを基本的に踏まえ た形で「指針に盛り込むべき事項」として挙げています。  リスクアセスメントは、リスクを伴う作業を実施する前に行うということです。建設 業においては、作業を実施する前と申しましても工事計画、施工計画、作業計画とそれ ぞれの段階がありますので、それぞれの段階ごとに行うことが望ましいとさせていただ きます。リスクの見直しも、イギリスの内容に倣いまして、建設物の設置、改修、設備 の設置、改修、原材料の新規導入あるいは新たな工程等の作業の見直し。あるいは労働 災害が発生した場合には、過去のリスクアセスメントの内容に問題があるかどうかを考 えていただいて、もし問題があるようでしたら再度見直しをしていただく。それに付け 加えて、建設物等は当然経年劣化がありますので、望ましい形では1年に1回程度はや っていただければと考えています。また見直しについては全部をやり直すということで はなくて、必要に応じてやっていただければという原案を作っています。  最後は、4のリスクアセスメントの実施手順です。ISOのGUIDE51は、危険源 の同定、リスクの見積もり、リスクの評価、許容リスクが達成されるかどうかの判断が 基本的な流れになっていて、ほとんどの文献が一致していますが、HSEの5stepを見 ていただくと記録という概念がありますので、これは重要だということで記録は入れる ということです。  10頁で「指針に盛り込むべき事項」としては、ハザードの洗い出し、ハザードの程度 の同定ということで、誰がどのような災害にあるのかという特定。それから、それぞれ のハザードについてのリスクの見積もり、ランク付け等も含む。そのリスクを踏まえま して既存の対策を評価して、不十分であればどのような追加対策を行うかを検討するリ スク評価です。最後に、上記一連の流れを記録するという流れを考えています。説明は 以上です。 ○向殿座長  ありがとうございました。最初に1から4までというお約束ですので、ここで切って ご意見をいただきたいと思います。適用範囲について、何かご意見等はありますか。化 学、機械、マネジメントシステム、建築とも一応関連するかと思いますが、「指針に盛 り込むべき事項」、法令との関係、指針の性格、適用範囲の存在する指針との関係とい うことですね。一応、前もって資料はお配りしていて、読んでおられる方もいるかと思 いますが、分量が多いのでそう真剣に読んでいる暇はなかったのではないかと思います が、今日のご意見を伺って、あとで意見を出してくださっても結構ですが、もしここで お気付きの点がありましたら是非。適用範囲は、基本的にはかなり広く、包括的にやろ うということですね。 ○技術審査官  はい。 ○向殿座長  いままでは個別であった。そういう意味では、化学物質と機械の包括と安全基準が少 し質が違ったものも、このリスクアセスメントということでは包括的に広くやりましょ うという大変いい方向だと思います。よろしいですか。  次は用語で、ハザードの定義です。これは危険源や有害性の種類等々がありますが、 盛り込むべき事項としては危険性又は有害性ということで、このハザードを日本語対応 としようということですが、いかがですか。 ○毛利委員  ほかにも関係しますが、このハザードやリスク、あるいはリスクアセスメントという 片仮名は、この指針には最終的にはどうなるのですか。ここにはハザードやリスクやア セスメントなどが書いてあるから非常にわかりやすいのですが、それが例えば調査とい うようなことで第28条の2に入っているわけですね。 ○技術審査官  詳細についてはまだ検討中ですが、現段階ではハザードについては危険性又は有害性 という言葉で言い換えて、基本的には使わない方向です。これは、法令用語として過去 に例がないということです。リスクに関しては、そのまま使える方向で考えています。 リスクアセスメントについては、必要があれば使えるとは思いますが、ただ使う必要が あるかどうかは検討したいと思います。 ○毛利委員  少なくとも、リスクは仮名で入る予定であるという面で、いままで皆さんが認識され てきた概念が生きるということでは、そういう方向がよろしいかと思います。 ○小林委員  個人的な考えでは、できるだけ片仮名用語は避けたほうがいいと思います。いまの特 定したもので話合いの上で決められるのがいいと思いますが、片仮名にすると定義づけ がどこかにないと、好き勝手に解釈するおそれがあります。ですから、いまのご発言の ご趣旨は私もよくわかりますが、できるだけ法律などにあるならばそれを使うのがよろ しいのではないかと思います。リスクも、マネジメントの世界ではこの認識ではないの です。クライシスに近いと思います。リスクというのはリスクが起きたときに、それを カバーするために保険や補填するためのお金や予備費などを掛けて、修復できるものを リスクと考えることが多いのです。特に建設工事はそうです。それがどうしたというこ とではないけれども、こういうのは包括的に広い人を対象にすると、そういう解釈をす る人もいるので、できるだけ。 ○毛利委員  安全衛生でいうリスクと、いま先生がおっしゃるリスクと、ちょっと違うようです ね。 ○小林委員  経済性のリスクですね。保険業界、建設業界、銀行もそうですが、産業界はリスクと いうとそう取られてしまいますから。 ○毛利委員  自分たちは慣れているから、それがいいと思うわけにもいかないということですね。 ○小林委員  そうですね。いまのように広い領域、広い業界を包括するとしますと、どこかできち んと定義づけしておかないと、片仮名が好き勝手に、自分たちの業界の範囲で解釈され ることがあるので、その辺をひとつ念頭に置いていただきたいと思います。 ○安全課長  いずれにしても、これは厚生労働大臣が定める公示または告示ですので、用語の定義 づけはきちんと行う予定です。ここでも以下何々と書いてありますが、最初に用語の定 義をするか文章の途中で入れるかはわかりませんが、いずれにしてもご心配の点は懸念 のないように、この場で定義づけも含めてご議論いただいた上でしっかりやりたいと思 います。 ○小林委員  よろしくお願いします。 ○向殿座長  わかりました。いまはハザードの話をしていますが、リスクも分野によって違うのは 明らかですが、労働安全衛生におけるリスクはこうだときちんと定義づければ、世界的 にもほとんど共通している概念ですから問題はないと思います。 ○小林委員  私も、このお話をいただいたときから、頭の中は切り替えていますから。 ○向殿座長  ありがとうございます。用語で、まずはハザードについては危険性又は有害性という ことで、あまり片仮名は使いたくないというのがご提案ですね。次の用語で、いまあり ましたようにリスクとしては、ここでは危険又は健康障害が発生する可能性及びその程 度という、ある意味ではきちんとした定義になっていまして、これを単にリスクという 用語を使う、その定義はこうだと書いてあるということですね。いまのご趣旨に沿って いると。たしかに、リスクを日本語でやろうとなると、かなり苦しい話ですね。 ○技術審査官  ここに書いてある2行ぐらいの言葉がどうしても必要になって、何度も繰り返し使う のは難しいと思います。 ○向殿座長  そういう意味では単にリスクといって、ここではこう使うという話。確かに株みたい にポジティブで儲かるリスクとマイナスリスクもあるという分野と、我々の労働安全衛 生のリスクではだいぶ趣旨が違うことは事実ですが、こういう定義にすれば問題ないだ ろうということでしょう。 ○宮川委員  質問です。「危険又は健康障害が発生する可能性」まではわかりますが、「及びその 程度」の「その」は、どこを指すのでしょうか。 ○技術審査官  危険又は健康障害の程度です。 ○宮川委員  可能性の程度ではなくて。 ○向殿座長  そうではないです。よろしいですか。これは国際的な定義でも、ほとんど発生する確 率。このISO/IECで組み合わせという言葉を使っているけれども、組み合わせと いうことはなくても、「及び」で意味はわかるだろうということです。ありがとうござ いました。  メインのリスクアセスメントです。リスクアセスメントの中身はここに書いてあるよ うに、危険性又は有害性と。これは、ある意味ではリスクの話に近いので、これを情報 入手してその程度をきちんと評価して見積もって、その結果に基づいてリスクを定義づ けたものの措置を検討するというところに微妙なところがありまして、ISO/IEC  GUIDE51の中を読むと、検討するよりも実行するまでに入ってくるような見方が できないわけではないです。でも、ここではきちんとリスクアセスメントの評価ですか ら、検討するまでやって、実際にリスクを低減するための措置を実行するのはまた別ス テップと考えようという意味だと思います。 ○梅崎委員  基本的にISOの12100でいきますと、リスクアセスメントは分析及び評価になって きますので、その概念として最も現場的な言葉で近いのは、ここで言う検討になってく ると思います。そういう形で対応して。 ○内山委員  化学物質では、例えば10^-5だったらこのぐらいというチョイスを例示するのであっ て、それを検討して、どう政策に生かしていくかがマネジメントだと理解していたので すが、検討までにしてしまっていいのかなという、アセスメントに要求するのかという のはちょっと。 ○向殿座長  いまの話は、措置の例示ですね。 ○技術審査官  措置の例示も、広い意味では検討に十分、要するに検討する材料ですので、決定を含 まないということが重要です。そういう意味では、例示というのは検討の範疇ではない かと思います。 ○向殿座長  決定を含まないということが重要なわけですね。 ○小林委員  これはマネジメントの世界では、意思決定というところがあるのですが、選択肢を出 していただくところまでがアセスメントで、それを決めて実行するのはマネジメントで す。 ○向殿座長  要するに、検討という言葉の中に例示や表示は入れるけれども、実施、決定は入って いないという意味ですね。ですから化学のニュアンスから見て、検討というのが強すぎ るかどうかというニュアンスですね。 ○内山委員  ただ、最初のアセスメントの定義は多分アメリカでも全部そうだと思いますが、いま はマネジメントも考えつつ、アセスメントをやれという、重なる部分があるということ ですね。 ○向殿座長  やはり重なる部分があると解釈すればいいですね。 ○内山委員  ですから、これでいいのかもしれないです。最初は、厳密にはアセスメントは化学的 作業であるとはっきり書いてあって、マネジメントとやる人を変えろと書いてありまし たが、最近は重なるというのが。定義されると、ちょっと変かと思いました。 ○宮川委員  あとのほうで、マネジメントの定義というのはどこかにありますか。 ○向殿座長  マネジメントはないですね。 ○技術審査官  これはアセスメントの指針ですので、マネジメントは別にマネジメント指針がありま すので、その守備範囲にしたいと。 ○梅崎委員  やはり守備範囲が違うと思います。これはあくまでもリスクアセスメントであって、 マネジメントの指針は確かにここでは参照するのですが、それはここの適用範囲で書い てあるように、あくまでもそのマネジメント指針の中のリスクアセスメントの部分を参 照するということであって、決してマネジメントシステム全体をこれに使うわけではな いと思うので、そこでアセスメントとマネジメントは明確に区別する。 ○技術審査官  そうですね。マネジメントの中には広い意味では当然アセスメントも入りますので、 そのアセスメントの部分はこれが占めるという形で考えています。 ○向殿座長  わかりました。広くはマネジメントはこのアセスメントを含んでいるという解釈です が、境界領域の重なる部分がある。そういうことがちょうどこれで言うと検討という言 葉になっているという話です。いまの議論を聞いていると、妥当のような気がします。 ありがとうございました。  次は、実施時期をいつにするかということですが、この「指針に盛り込むべき事項」 を見ると、すぐに「建設業にあっては」と書いてありますが、それ以外については機械 安全だと設計時というのが出てくるはずではないですか。どうしますか。 ○技術審査官  これは、条文で説明しましたとおり、自分が雇っている労働者の安全のための指針で すので、設計時はどちらかというと販売した機械を使う人の安全という観点になろうか と思いますので、それは一応この指針では守備範囲外と考えています。 ○向殿座長  その設計というのは、製造業ですね。 ○技術審査官  そうですね。例えばプレスを作る工場であれば、プレスを作る人間の安全を考えてく ださいという指針でして、プレスを使うユーザーの安全を考えてくださいという指針で はないということです。 ○毛利委員  もう、設備ができてしまっていると受け止めてしまう前に、設備を用いた作業をやる 前から考えて取りかかってくれということがほしい気がします。建設だって、工事計画 ではなくて最初の計画ですよね。その前の事業計画ですね。 ○向殿座長  これが多分、労働安全衛生法で最も本質的な問題だと思います。確かに事業者は、そ この作業者の健康管理、安全を責任を持って面倒を見なくてはいけないというのが労働 安全衛生法の趣旨ではあるけれども、そこで使う機械そのものもきちんと安全にしろと いう趣旨を入れておかないと、うまくないのではないかという気がします。 ○毛利委員  工場を作るときに、その工場の、機械をどう配置するかの段階から、入れる機械はも ちろん、買う機械をどう買うかというところをしっかり考えることがいちばん入口とし て。 ○向殿座長  製造ラインの設計のときに、安全をきちんと。 ○小林委員  建設工事で本格的に工事をする前に、仮設備でいろいろなものをやりますよね。それ と同じように、工場でも最初に建てて機械を配置するときに、作業の中の動線とか照明 の状態とか、いろいろなことがありますよね。ルーチンワークになる前。そういうお話 は、ちょうど建設と全くピタリと合うところがあります。 ○毛利委員  工場を建設するというのは建設工事ですね。 ○小林委員  建設工事ですが、そこに機械技術者も入りますよね。 ○毛利委員  はい。 ○小林委員  その機械を設計する方も、それに加わりますよね。大きな機械をセットするとき、そ こで事故を起こしてしまうことがありますからね。 ○毛利委員  ですから、どういう機械を買うか。それから、その機械の中身をどうするかがいちば ん大事です。そこで変な機械を買ってしまったり、あとから見るとレイアウトがどうも 良くなかったりということを、ここでなんとかならないかなと。 ○向殿座長  是非入れたいところです。例えば製造ラインを作るときに、まずは製造ラインを設置 するわけですね。そのときにきちんとリスクアセスメントをやっておかないと、完成品 だと仮定してやってみても、最初は設定するところにミスがあったり危険やリスクが残 っていると、相当危ないことになるわけです。確かに労働安全衛生法というのは、事業 者が労働者の安全を守るためだけれども、いま言った準備の段階から始まって、リスク アセスメントをやっておかなければいけないファクタは是非必要であると思いますが、 いかがでしょうか。 ○梅崎委員  先生のお話は、この話の主語を事業者だけではなくて、設計製造者も含めるというご 主旨でしょうか。 ○向殿座長  そうです。なぜかというと、確かに設計製造者までリスクアセスメントを及ぼしたい のです。また事業者でさえ買ってきた設備を並べてラインを作ってというときに、同じ ことが起きるわけです。製造者が同じ立場になって、どうつなげるかという話になりま す。そこでは、やはりリスクアセスメントみたいな話ということです。 ○小林委員  リスクの原因が、それをルーチンワークのところの事業者や作業員ばかりではなく て、根っこのところにあると。 ○毛利委員  計画者、設計者。 ○小林委員  六本木ヒルズの回転ドアも、あそこに居る人だけで注意しても、なんとも駄目なので す。 ○技術審査官  おっしゃるとおりではありますが、法律にしばりがありますので、ただ実際に物品を 購入する際に、安全な物品を購入することが当然事業者の義務になってくるわけで、安 全な製品を求めることで、間接的に設計製造者に影響が及ぶ形にはなると思いますが、 指針の主たるターゲットは直接に労働者を使う事業者ということで整理をさせていただ ければと思います。 ○向殿座長  いままで機械の労働安全、包括安全をやってきて、いちばん何が問題だったかという と、メーカー側、設計者側にどれだけ強く言えるかに本当の大事なところがあって、ど うしても事業者としては機械は与えられたもので、それを作業者にどうやって注意させ て使わせるかだけに集中しがちですが、基本的にはもともとの機械そのものは本当に大 丈夫だろうかという話をきちんとやるべきだという気がします。確かに法律だとか、あ る意味では自分の分野というのはあるはずで、非常に難しいかもしれませんが、そこま でやらないと本当の労働の現場での労災は減らないのではないかという気がします。リ スクアセスメントは、そういう意味では機械の設計・設置、工場の設計も含めてリスク アセスメントをそこでやるべきだと思います。 ○毛利委員  化学プラントなどでも、結局どういうプロセスを手に入れるか、どういうレイアウト にするかなどがいちばん大事です。そこのきちんとしたいい設備ができていれば、その 設備は災害が起きないわけで、その辺に間違いがあるとしょっちゅう何か変なことが起 こる。何せ、いちばん大事なのはいい工場を作ることだと思いますから、そちらのほう に目が向くようにしていただいたらいいのではないかと思います。 ○内山委員  法のしばりがあるから、これは労働者のためのリスクアセスメントだと思いますが。 ○技術審査官  ただ、化学プラントの設計になりますと、例えばそこで働く人の安全にものすごく関 わるわけで、あるいは工場の設計、どういう機械を入れるかといった問題は十分にこの 指針の中でカバーできると考えています。 ○安全課長  結局、事業者というのは、まさしく工場の所有者であり設備の所有者ですから、事業 責任の際に当然どういう機械を入れるかを判断する事業者に義務がかかりますので、そ この事業者の判断としていい機械を入れるか、きちんとした機械を入れるかということ で、間接的には向殿座長がおっしゃるような方向に向かっていくと思います。ただ、設 計者そのものの義務としては、第28条の2は読みづらい部分があります。いずれにして も、ラインを変えたりプラントを作ったりするときに、おそらく設計は委託すると思い ますが、設計を委託する元の事業者、いわゆる工場の所有者に義務をかけていく仕組み とお考えいただければと思います。 ○小林委員  お話はわかりました。あまり脱線してはいけないことはよくわかりましたから、そう いうことが、事業者にも心掛けとしてあるということを。 ○向殿座長  それが見えるような文章になっていると、ありがたいです。法のしばりというのはわ かりました。 ○技術審査官  また、こういう形を努力義務にするということで、ユーザーとしては義務がかかって いるからということで、メーカーに強く言える側面が出てくると思います。 ○内山委員  私の話も脱線に入るのかもしれませんが、リスクアセスメントをガッチリやって、労 働者を守れば守るほど、今度は環境に出すという可能性が出てきます。有害物を環境に 出してしまう。いままでは局所排気ということで、まず室内をきれいにして外に出すと いうことで、先ほどのVOCなどでも今度は逆にVOCの排水抑制がかかってくると、 あのときにいちばん環境省の立場として心配したのは、労働省が出すなというから、い ままで開放系でやっていたものを、いちばん安上がりで閉めてしまい、外に出さなけれ ばいいだろうということで、今度は労働者のほうに悪影響が出る。  ですから、リスクアセスメントをこうやればこれだけばく露が減りますよという例示 をすればするほど、金がかからない方法は外へ出してしまうことになりがちなので、こ こら辺の適用の範囲というのを、いちばん最初は何に対するリスクアセスメントをやっ ているかということの適用だと思いますが、労働者を守ることによる作業環境だけを適 用範囲にするのか、それとも工場の外も考慮したリスクアセスメントをしなければいけ ないのか。 ○向殿座長  大気汚染も全部含めてね。 ○技術審査官  第28条の2は、どうしても労働者と書いてありしょうがないのですが、労働安全衛生 法には実は公害その他一般公衆の災害で労働災害と密接に関連するものの防止に関する 法令の趣旨に反しないよう配慮しなければならないという条文がありますので、それを 踏まえてそういったことにも配慮しなさいということを書くことは可能とは思います。 ○梅崎委員  いま内山委員のご指摘がありましたように、例えばここで盛り込むべき事項としたら 建設物の設置と書いてありますが、仮設構造物ですと解体の問題が出てきますし、原材 料の新規導入、変更だけではなくて、そういうものの廃棄ということも含めてのご指摘 というふうに。そこまではなかなか難しいかもしれませんが、この辺のところにもし必 要であれば書き加えることに。 ○技術審査官  そうですね。解説なりに、本文でどこまで書けるかという問題はありますが、縦割り でやっていく時代でもないようですので、検討させていただきます。 ○向殿座長  先ほど言った機械の中に、作業者の人体的な物理的な障害とか健康障害、それに環境 というのを入れるか入れないかという話になりますよね。 ○小林委員  これは、なかなか深みのあるところで、建設物の設置はいいとしまして、改修、解体 となりますと、いまの石綿の話も出ますから、これは懐の深い話になりそうですね。 ○向殿座長  ここにありますように、建設業の場合はこうと書いてありまして、下にありますよう に労働災害が発生したときには、過去のリスクアセスメントをもう一度問題があるかど うかで見直すというのも、この実施時期の大事な点であると、いくつか例示してありま す。見直す場合はリスクの変化、変容をもたらす部分のみを行うということになってい ます。調査は1年に1回、定期的に見直すことが望ましい。要するに、いつやるかとい う話ですが、よろしいですか。何か追加すること、訂正、ご意見がありましたら。 ○毛利委員  マネジメントシステムの非常にいいのは、継続的向上ということです。そういった趣 旨が入らないかなと思いますが、年に1回望ましいということにしてあれば、それでい いのかなと思います。 ○向殿座長  そうですね。プラン・ドゥ・チェック・アクションをきちんと回せという意味合いが 少し入ればいいというご意見だと思います。 ○宮川委員  化学物質に関して安全性情報が添付されてくるわけですが、その内容が時々変わる可 能性もあるわけです。この書きぶりだと、「原材料等を新規導入し、または変更すると いうとき」なので、年1回の見直しにMSDSの内容が変わっているかどうかをチェッ クするということが入るのであればそれで良いかもしれませんが、「同じ材料を使って いるから最初に見たときに良かったからいいよ」ということだと、新たなハザードが判 ったときなどの見直しが落とされる可能性もあります。 ○向殿座長  多分、これは新しい情報が入って技術が進歩して、いま言った添付の材料内容が変わ っていることもあるし、新しいリスクが見つかってもう一度見直すことは問題があった 場合に相当しているのだと思います。ですから、この調査は1年に1回で定期的に見直 すことというのは、いま言ったことを含んでいると解釈してよろしいですか。 ○技術審査官  そうですね。その辺はわかるようにしたいと思います。 ○毛利委員  「安全衛生に関わる知識、経験の変化等を考慮し」というのを、もう少し丁寧に書け ば入れられる。 ○安全課長  この例示をもう少しおっしゃったような例示を入れて。 ○毛利委員  いま宮川委員がおっしゃったことは、おそらくこの安全衛生に係わる知識に該当する と思いますから、そういうことがはっきりするようにしたらよろしいかと。 ○安全課長  そういう情報が変わってきた場合を含めてということですね。 ○向殿座長  はい。 ○毛利委員  外で大きな事故が起きたときも、そういう知識を基に。 ○向殿座長  水平展開して、どこかで新しい原因がわかった場合は、すぐに見直す必要があります ね。そうしないと、ほかの分野の事故に学ぶチャンスがなくなりますからね。 ○毛利委員  ほかで大きな災害や何かがあったときに、それを教訓にする。大変大事なことでしょ うから。 ○向殿座長  そういう例示みたいなものが入っていると、わかりやすいと。ありがとうございまし た。  前半の最後の4、リスクアセスメント実施手順というのがあります。これは、ハザー ドの洗い出しですね。それから、誰がどのような災害にあうかを特定。リスクをきちん と決めて、その大きさを見積もって、対策を評価して検討、先ほど言った表示や例示を して、上記の一連の流れを記録する。ドキュメンテーション。ここがいちばん重要で、 ISO12100には明記していないけれども、実は非常に重要なファクタであると思います ので、是非入れておくといいと思いますが、何かご意見はありますか。リスクアセスメ ントの流れは、絵で見やすくしたほうがいいですね。 ○技術審査官  そうですね。 ○向殿座長  リスクアセスメントの手順というのは、これでよろしいですね。 ○技術審査官  はい。あとは、わかりやすい基本のフォーマットを定めると申しましても、要するに 穴埋めしていけばリスクアセスメントはできるということで、いろいろなフォーマット がいろいろな業種でいろいろな業態のものがありますので、それを最大公約数的にまと めたものを作りたいと考えています。 ○宮川委員  細かいことで申し訳ありませんが、盛り込むべき事項の真ん中の「それぞれのハザー ドについてのリスク」の「それぞれの」というのは、化学物質や機械や建設のそれぞれ のという意味ですか。そうではなくて、個別の、ある物質の発がん性や有害性等々と。 ○技術審査官  ハザードの特定については後ろのほうに出てきますが、それぞれ1つの作業の中にも たくさんハザードがある場合がありますので、すべてのハザードについてリスクはばら ばらに。 ○宮川委員  質問したのは、そのあとにランク付けと優先付けというのがありますが、これは種類 が違うのを、包括的にランク付け・対応の優先付けをする、という手法を何か考えるこ とが必要ということで書いていらっしゃるのか、同じような種類の中でもってランク付 けや対応の優先付け等々でいいのか。 ○技術審査官  現時点では、包括的にできればと考えていますが。 ○向殿座長  比較できると考えて。 ○宮川委員  場合によっては、なかなか何を基準に種類の分類をするのか難しいかもしれません。 ○技術審査官  そうかもしれません。 ○宮川委員  その辺は、何か指針を示せるのでしょうか。 ○向殿座長  ここがいちばん難しいのではないか。 ○小林委員  分類の仕方でも考え方が変わってきそうですね。どんな分類をイメージしています か。 ○技術審査官  分類はあとで出てきます。 ○向殿座長  それぞれというのは個別のハザード、要するに1つ1つ違うと考えてもらって結構で す。この解釈はそうですね。 ○毛利委員  確認ですが、この「それぞれ」というのは、誰がどのようにという意味ですね。 ○技術審査官  そうですね。ハザードと申しますのは、結局危険性によって起きる災害ですから。 ○毛利委員  だから、誰のどのようなharmかということか。 ○技術審査官  harmごとですね。 ○毛利委員  ずいぶん数がたくさん出てくるかなというのはあるのですね。 ○向殿座長  内容は相当難しいことになるかもしれませんが、手順としてはこれでよろしいです か。ありがとうございました。時間がかかりましたが、最初のパートの1から4でし た。次は5から9までの説明をお願いします。 ○技術審査官  13頁、5のリスクアセスメント対象作業の選定基準からご説明します。問題点として は、これは努力義務ですので、いったいどこまでをやればその義務を果たしたこととす ることをできるだけ客観的に示す必要があります。論理的なハザードというと非常に莫 大な量で広範になりますので、いったいどこまでをやればいいかをある程度示したいと いうのが問題点です。ISOについてはISO GUIDEではあらゆる段階で、及び 据え付け云々について同定する。あるいは、JISのB9702では、機械類に付随する全て の危険源を同定しなければならないという、かなり厳しい表現になっていますが、諸外 国の例を見るとイギリスの例ですが、機械のように厳しくするのは実際には難しいとい う観点から、明白な問題、そして重大で合理的に予見可能なリスクについてチェックし なさいとなっていまして、軽微なものは別にしなくてもいい。あるいはimprobable、可 能性があるとは思えないといったものについてはする必要がないということになってい ます。  同じくアメリカの文章では、やや狭い形で個別具体例を示しています。例えば非常に 高い災害の発生率を示しているようなもの、非常に重大な障害であるとか疾病を起こす ようなもの、1つの簡単なヒューマンエラーが非常に大きな事故を起こすようなもの、 非常に複雑な操作を要するようなものといったものをやりなさいと、アメリカの場合は かなり限定列挙になっていますが、精神は大よそ同じであろうと考えています。それを 踏まえて13頁の指針の原案として、リスクアセスメントの対象は災害の発生が合理的に 予見可能である作業あるいは危険性に限る。論理的に発生可能であるようなすべての災 害を対象とする必要はない。さらに、軽微な災害しかもたらさないと予想されるもの は、対象とする必要はない。ただし、以下のような災害については、必ずやりなさいと いうことで、過去に労働災害あるいはヒヤリハットが発生したようなもの、重大な傷 害、後遺障害、深刻な疾病を引き起こす作業、単純なヒューマンエラーが重大な災害を 引き起こすもの、作業・操作方法が非常に複雑なものといったものについては、必ずや ってくださいという形にしています。  次に6のリスクアセスメントに関して入手する必要のある情報の内容です。これにつ きましては、ISOは、機械で、機械は寿命や動力の供給に関する情報といった、機械 に関する情報をたくさん仕入れなさいとなっています。化学物質につきましては、MS DSをきちんと入手しなさいという形になっています。建設業については、過去の労働 災害・事故等の事例、施工計画の事前審査結果、機械・設備・工法の情報、安全パトロ ールの実施結果、健康診断の結果等の資料と、かなり詳しくなっています。アメリカの 例につきましては明確に書いていませんが、できるだけ過去の災害の例を入手しなさい という形になっています。  これを踏まえて15頁に戻りますと、最低限必要なものとしては災害統計関係の情報、 ヒヤリハット、労働者が日常感じている不安・危険、これは事故が起きていなくてもや る。設備に関する説明書類、材料に関する説明書類、これはMSDSを含む。周辺の環 境は、作業環境測定結果や、周辺の地山の斜度や土質等、当然土砂災害が起きる可能性 がありますから、そういったものです。健康診断の結果は、特殊健診、一般健診両方含 むということを考えています。  次に7、17頁です。これは危険性・有害性の分類ですが、論点としては、我々が現時 点で実施している法令との整合性が必要です。新たな問題として発生している深夜業、 長時間・連続作業といったものの問題もあります。無視できない存在になってきている 暴行といった問題も、ある程度とらえるべきではないかということです。我々の法令で すが、労働安全衛生法第20条から第24条までに、災害別に危険と有害性、健康障害につ いてこのようなものが考えられるので、それに対して災害の対策をとりなさいという条 文があります。第20条が危険で、機械、器具、爆発物、電気といったものです。第21条 は、掘削、採石、荷役、伐木等の作業方法、あるいは労働者が墜落するおそれのある場 所、土砂等が崩壊される場所、いわゆる場所の概念です。第22条は、さまざまな有害物 質による健康障害という形で押えています。第23条はやや対策に特化したもので、災害 の種類と直接関係ないものが多い。第24条は、労働者の作業行動から発生する災害とい う押え方をしています。  JISにつきましては、当然機械ですので、機械、電気、熱、騒音、振動といった形 で押えています。機械の包括指針についても、大体同じ押え方をしています。  19頁、アメリカの分け方ですが、JISに近いですがJISに含まれていないものも 入っております。化学物質、爆発といった分類があります。  こういったものを踏まえて、我々として考えているのは、今日資料4としてお示しし ている横表です。いちばん左に、大きく「危険性」と「有害性」に分けてあります。次 に注意分類として、危険性の中でも機械等に関する危険性、「物」に関する危険性、エ ネルギー、状態に関する危険性、作業に関する危険性、「場所」に関する危険性、「作 業行動」に関する危険性、その他という形で分類しています。分類の仕方は、有害性も 大体同じです。これは、法令に比較的則った形です。  2頁のちょうど真ん中ぐらいにある、危険性のその他では、従来の法令には入ってお りませんが、暴行やもらい事故といった、自分に起因しないものも入れてあります。3 頁のいちばん下ですが、最近問題になっている労働者の疲労、深夜作業、長時間連続作 業といったものは、直接ハザードではないですが、「危険性、有害性の付加的影響」と いう形で整理しています。  22頁は、8の危険又は健康障害の程度を評価するに当たって、いったいどういうこと を配慮すべきかということです。論点としては、保護の対象となる人間を定義しない と、程度はなかなか出てこない。次に、災害の種類によって、それぞれの配慮事項は違 うのではないかということで、3分類入れています。物理的な危険性、物理化学的な危 険性、これはいわゆる爆発ですが、それと有害性に起因する災害、この3種類でいまは 押えています。有害性がわからないとき、いったいどうするのかという問題もありま す。防護・予防措置といったものも当然あるわけですが、これにつきましては程度、可 能性に影響する側面がありますので、別の所で別途とりたいと考えています。  関連文献ですが、JISについてはJISの9702で保護対象の性質をまず押えなさ い、それから傷害または健康障害のひどさ、被害の範囲を押えなさいという形になって います。COSHH(コッシュ)は、非常に簡易な形で化学物質を押えるものですが、 濃度と毒性の部分でハザードグループを分けようという発想です。GHSは、グローバ ル・ハーモニゼーション、国際的な調和でそれぞれの危険有害性を分類しようというカ テゴリーですが、これについては物理化学的危険性、健康及び環境に対する有害性ごと に、グループ分けをしている状況です。  こういった状況を踏まえて22頁に戻りますと、大きく6点ほど記載してあります。ま ず、誰が災害にあうのかを明確にする。直接作業を行う人か、そばにいる人なのか。物 理的な危険性に起因する災害であれば、加害物のエネルギーでかなり評価できるのでは ないか。物理化学的な危険性、爆発ですが、これはGHSの分類もありますし、化学物 質の量や、物理的・化学的性状などで評価できるのではないか。有害性に起因する災害 につきましては、これもGHS分類がありますが、それに加えて急性毒性・慢性毒性、 各種動物実験等の健康影響、侵入経路、標的臓器といった学術的なもの。COSHHで ハザードグループを作成する形も認められるのではないか。有害性が不明な場合はどう しても出てきますので、その場合に予防原則をどう踏まえるか。危険性の程度の評価に おいては、生理学的な要件、深夜業、連続作業等による疲労は、配慮事項の形で入れた いと考えております。  24頁は、9の発生可能性・ばく露の評価に当たって配慮すべき事項です。これにつき ましては、危険性は発生可能性という概念で、有害性はばく露というのが大きな流れで あろうと考えています。それについての文献ですが、JISではばく露の頻度と時間、 危険事象の発生確率、危害回避又は制限の可能性といった3分類で押えています。化学 物質指針では、取扱いの方法あるいは量、ばく露の経路と程度、健康状態といったもの を押えています。COSHHにつきましては、使用量からばく露を非常に簡易に推定す るシステムを採用しています。  こういったことを踏まえて、「指針に盛り込むべき事項」として4点挙げています。 第1点は、原則として危険性については発生可能性、有害性はばく露で評価するという こと。物理的な危険性に起因する災害については、接近の頻度、故障等の発生確率、危 険回避の可能性、これはスピード等です。それから周辺の環境要因を考えています。物 理化学的要因につきましては、化学物質の使用量や使用環境です。有害物質に起因する ものとしては、取扱量、ばく露量、侵入経路、健康状態です。また、コントロールバン ディングによる「ばく露予想指標バンディング」の使用も認めたいと考えております。 以上です。 ○向殿座長  5に戻りまして、いまご説明いただきましたので、1つずつもう一度いきたいと思い ます。まず13頁、5「リスクアセスメント対象作業の選定基準」は、要するにどこまで やればよろしいかということですね。すべてのハザードを全部やる、論理的に考えられ るものを全部やるというのは無茶ですから、合理的に予見可能な作業に限ると書いてあ って、しかも、もう初めからこれは起きそうもないと思っているものは省いてもよい し、起きても大したことがないものは省いてもよいというイメージがありますね。ご意 見いかがでしょうか。 ○毛利委員  こう書かざるを得ない、しょうがないと、受け取り方によって相当幅が出るでしょう から、それは問題かも知れませんが。心配性な人は非常に幅広く見るでしょうし、そう でないおおらかな人は狭く受け取ってしまって、それで幅が出てくるでしょうけれど、 こう書かざるを得ないのかなと、しょうがないかなという気がします。 ○向殿座長  要するに、危ないと思われたものは全部リスクアセスメントしろというのがいちばん いいわけですね。 ○毛利委員  そうしておくと、ほとんど起こりそうもない、起こっても大したこともないものは、 ことごとく拾い上げても仕方がない話だから、そういうものはやらなくていいよと、そ の判断はやる人に委ねざるを得ないということで。 ○向殿座長  一応拾い上げておいて、小さかったら落していいですよという話で、一応拾い上げろ と言っているわけですね。だけど、初めからわかっているものは止めましょうという意 味かなと思います。いかがですか。 ○内山委員  あとの22頁のところに関係してくると思うのですが、合理的な予見が可能であること と、有害性が不明なものはどうするかということは、少し矛盾する感じがするのです。 合理的予見が可能であったらば、有害性はもう何かデータがあるかと思うので、明らか になっているものをやり始めると思うのですが。 ○向殿座長  よくわからないものは、合理的に予見可能とは言えないわけですよね。それは、やは り対象にしなければいけない。 ○技術審査官  化学物質につきましては、特別な扱いが必要かと思っています。 ○向殿座長  軽微なものはいいだろうというのは、どう見たって、これは大したことはなさそうだ というものはいいでしょうね。 ○毛利委員  何をもってそう思うかが問題ではありますが。 ○向殿座長  トリビアルなというのは難しくて、大したことありませんよと聞いていても、1日何 十回もやられると、これがトリビアルかどうかはかなり難しい話になります。 ○小林委員  工場の労働災害などでは、発生確率という考え方はあるのですか。 ○向殿座長  正確にはありますね。 ○小林委員  そうすると、それは一応合理的に予見可能ということになりますね。 ○向殿座長  こちらのほうが危ない、確率が高いというとき、どのくらいの頻度で人間がそばに寄 らなくてはいけないかも考えて、事故が起きる確率を考えるのです。 ○技術調査官  ここで考えておりますのは、軽微な災害しか、ということで、たまたま起きなかった ということではなく、最大限考えても大した災害ではないものです。 ○内山委員  考えようによっては、軽微なものが重なり合って重大事故になりますね。何か大きな 事故というと、必ず軽微な所が、偶然によるかもしれないけれど、重なり合って非常に 重大な事故に発展したというのが、特に多かったと思うのですが。 ○小林委員  土木工事は、軽微な災害でなくても予見不可能だと、やはり対象にできない。例え ば、川で仕事をしているとします。すると、川は河川工学では10年確率、25年確率、 100年確率と、洪水の確率が各川ごとにできています。その確率で予見が可能です。し かし、この間の台風のように、ニューオーリンズのようになると、これは軽微な災害で は決してないけれど、予見不可能だから対象にすることはできない。日本国内でもそう いうことが言えると思うのです。 ○技術審査官  それはもうしょうがないですね。実際あり得ると思います。 ○小林委員  土木工事には、いっぱいそういうことがあります。 ○梅崎委員  たぶん、合理的とか予見可能となると、哲学の話になってしまうので、むしろここに 書いてあるように、重大な傷害、後遺障害、深刻な疾病等で、例示あるいは解説でもい いのですが、何かそういう言葉で合理的に予見可能というのを解説してしまうと、はっ きりしてくるのではないかと思ったのですが。 ○技術審査官  おっしゃるとおりだと思います。ここに挙げてある4つの作業だけでいいとは言えな いわけで、限定列挙でどこまで書けるかは限界があるわけで、概念的な整理を押えた上 で最低限これをやってくださいという、二段構えのところはあると思います。 ○向殿座長  そういう意味では、単純なヒューマンエラーが重大な災害を起こすおそれのある作業 や、過去にそういう例があったものは入れると、押えるものは押えて、発生が合理的に 予見可能なという話は、かなり。 ○小林委員  そうなのです。土木工事だと、三宅島や雲仙普賢岳などは予見不可能な事態もありま す。しかし、あれが軽微な災害というわけにはいかないので、いま許していただいてい るのは、世論がしょうがないというから許してもらえるのです。 ○向殿座長  予見と予想は違うのだろうな。 ○小林委員  予見とか予想とか予測とか、推定とか推察とかありますが。 ○技術審査官  それなりに調べて、予測できるものは駄目だということだと思うのです。調べもせず にというのはまずいと、一応その時点における知見のかなりの程度を使って調べてもわ からないものはしょうがないと、そういう形だと思います。 ○内山委員  この訳は、HSEからお取りになっていると思うのですが、その前にsignificantと いうのがあるから、ただreasonablyなだけではないと思うのです。significantで、か つreasonablyだと。ある程度合理的というのがsignificantという意味で訳しているの かどうかはわからないけれど、もう1つ何か入れていいのではないですか。ただ「合理 的」だと、哲学的に合理的というのはどこまで入れるのかとなってしまうので。 ○宮川委員  この部分だけの書き方だと、片方が合理的で、あとのほうが論理的。それから、予見 可能と発生可能。それがどう違うのかというのが、説明はしているけど、読むとあれっ と思うから。 ○技術審査官  第1パラグラフは、そもそも災害が発生することは予見可能かどうかというのが1つ ありまして、2つ目は、仮に予見可能であったとしても軽微なものは止めるという二段 構えです。 ○安全課長  「さらに」というのは、そういう意味ですね。 ○技術審査官  さらにと、ただしということです。 ○向殿座長  わかりました。合理的に予見可能な作業というのは難しいですね。 ○毛利委員  難しい表現ではありますね。意図したとおりに皆さんが読んでくれるかとなると。 ○向殿座長  合理的に予見可能な誤使用というのがあるから。 ○毛利委員  なかなか難しい言葉で。 ○安全課長  定義づけもなかなか困難ですが、解説を書くとしてもなかなか難しいですね。 ○毛利委員  本当にわかってもらう書き方をするというのが、勝手な読まれ方をされてはやはり困 ることですね。 ○梅崎委員  概念として、合理的に予見可能ということを明確に出しておいて、具体的にはこうだ と、ここはそういう構え方で書くしかないように思えるのです。 ○技術審査官  例示をできるだけたくさん、例示の選択も非常に難しいと思いますが、そうすれば少 し。HSEの本などは、隕石が落ちてくるとか、とんでもない例が書いてあるのです。 そんなのはもちろんわからないですが、そういう書き方はできるかもしれないですね。 ○向殿座長  頻度が当然考えられないと言えるもの、ましていまの隕石のようなもの、それから本 当にトリビアルで、いくら評価してもあとで要らないということになるのなら、初めか ら捨てようという意味だと解釈できますね。 ○小林委員  外国の例と、必ずしも並びを取ることはない。日本は、台風、洪水、地震、噴火とい う特殊なところがありますから、そういう特殊性も考えたほうがいいと思います。 ○宮川委員  先ほどの説明だと、2番目の「○」の「さらに」以下があるのであれば、1番目の 「○」のあとのほうの文章は、特になくても支障はないのでしょうか。 ○技術審査官  これは最初の文章と非常に重なっております。 ○安全課長  括弧書き的な感じですね。逆に書いてある。 ○向殿座長  もう1回説明した感じですね。 ○安全課長  くどく書いてなくてもいいかもしれません。 ○向殿座長  論理的にというのか、原理的というのか、論理的と原理的はなかなか難しいですね。 いまかなり議論していただきましたが、書き方はあとでゆっくり考えるとして、内容的 には、気持はこれでわかりましたね。 ○毛利委員  気持はわかりましたね。お考えはよくわかりました。 ○向殿座長  次に「リスクアセスメントに関して入手する必要のある情報の内容」。どういう情報 を前もって盛り込むべきかということですが、いかがですか。 ○梅崎委員  災害発生統計というのは、災害事例なども入っている考えですか。 ○技術審査官  事例も当然入ります。 ○梅崎委員  たぶん、災害事例及び災害統計みたいなものですね。 ○技術審査官  そうです。記録という、当然災害事例も入ります。 ○梅崎委員  作業標準などを参照すると、リスクアセスメントをやるとき、まずどういう作業か標 準的な作業を固めた上でやりますので、その辺りの情報があると、ほぼこれでパーフェ クトにできるのです。 ○向殿座長  化学は、使用する材料に関する説明書類でよろしいですか。日常感じている不安、労 働安全で気がかりというのですね。ヒヤリハットに気がかりと。よろしいですか。何か 追加、訂正、ご意見等ありますか。 ○毛利委員  いま梅崎委員がおっしゃったことで、有害性情報などという表現をよく使っていて、 特にここでなじんでいるのと少し違うのかなという気がします。有害性情報という表現 がいちばんいいのか、よくわかりませんが、この場合は後ろのほうがいいのかなという 気がします。 ○技術審査官  化学物質管理指針は、有害性等の情報という表現を使っておりますので、それに表現 ぶりを合わせたいと思います。 ○向殿座長  MSDSを含むというのはいいのですが、その前をもう少し。 ○宮川委員  機械のことはよく存じませんが、化学物質と同じように、こういうときに危ないこと が起きるというデータは、一般的にはついてくるのですか。 ○梅崎委員  機械の場合、ここには残留リスクがあるから、危ない所があるから気をつけろという 情報はきます。 ○宮川委員  それは、取説の中で最初に。 ○向殿座長  どうやって避けろという情報です。 ○梅崎委員  ただ、MSDSのようにそれ単独でというものではないものですから、なかなか標準 化されていないところです。 ○向殿座長  よろしいですか。またあとで、何か意見があったらどんどん出していただくことにし まして、次にいきます。「危険性・有害性の分類」、ハザードの分類です。これはいろ いろな分類の仕方があると思いますが、先ほどご説明があった分類、しかも新しく暴行 被害、生理的要因というのは、長期労働の話ですね。暴行というのは故意にやるもので すね。 ○技術審査官  警備員が殴られたり。 ○毛利委員  バイオレーションですね。 ○向殿座長  バイオレンスですね。 ○内山委員  ハラスメントは書いてないですね。 ○技術審査官  精神の世界は難しいですね。 ○毛利委員  ストレスですね。いまは何かメンタルヘルスの問題というと、ストレスですね。 ○向殿座長  口でがちゃがちゃ毎日言われて。 ○毛利委員  どうもこれにはなじまないけれど、有害要因にしておかなくてはわかりません。そう いう意味で、なぜそれがないのと聞かれたときに、返事ができるようにならないかなと いう気がするのですが。 ○向殿座長  労働災害ですね。 ○内山委員  欧米などでは、例えば窓のないドアは絶対作らないですね。必ず外から覗けるよう に、窓を作るということがありますね。 ○向殿座長  いま学校などでも、ドアを作れば必ず窓をつけます。外国は、セクシャルハラスメン トよりもアカデミックハラスメントといって、先生が学生をいじめる、アカハラという のですが、そういうことがあり得るので、外からちゃんと見えるようにしておくので す。 ○技術審査官  先ほどのストレスに関しましては、生理的要因に準ずる形で、ハザードそのものにな るかと言えば、そこまではいかないのではないかと思います。 ○毛利委員  ここで軽く、忘れてないよと書いておけば。 ○技術審査官  付加的要因にはなるのではないかと思うのです。ストレスがかかれば、やはりミスは しやすくなるでしょうから、そういった側面はあると思います。 ○向殿座長  危険性・有害性の分類。ここは、かなりいろいろ考えなければいけないところがある のですが。 ○毛利委員  これも細かく書き始めたらきりがない話ですから、ほどほどのところでやったほうが いいと思います。 ○向殿座長  きりがないですね。これは、特に今回は機械、化学、建築といろいろな分野を全部包 含して、しかもそれを危険源、危険性・有害性で分類しようということなので。 ○技術審査官  一応、既存の文献はかなり当たって、それが漏れていることはないことは確認してお ります。 ○小林委員  分類の中の「機械等」のところですが、最初のところには建設、設備がこうなってい て、車両は入っておりませんね。これはわかるのですが、建設工事は労働災害の4分の 1ぐらいが交通事故なのです。交通事故と言ってはおかしいですが、現場で走り回る機 械で、引っかけられたり引かれたりはねられたりというのが多いのです。その辺りの取 扱いをどうするかですね。 ○技術審査官  車両は、定義上は機械です。可動部分があれば機械ですので、車両の分類は機械で す。 ○小林委員  最初の対象のところで、建設物、設備とありますね。車両が入っていないのはいいの かなと思ったのですが。 ○技術審査官  17頁の第20条を見ると、第1号で「機械、器具その他の設備」となっています。その 機械の中に、当然車両が入るということです。 ○梅崎委員  職場の車両ですね。普通の一般交通ではなくて。 ○向殿座長  通勤の話ですか。 ○梅崎委員  そうではなくて、車両というとすぐ広がってしまうので。 ○技術審査官  例えば建設業であれば、道路工事で車が突っ込んでくる場合もありますので、必ずし も事業場内の車両に限る必要はないと思います。労働者に危険を及ぼす車両と。 ○向殿座長  要するに、通常の車両も入っていると、交通事故も入っていると考えているというこ とですね。 ○安全課長  ケースはあり得るということですね。 ○向殿座長  確かにこれはやり出すときりがなくて、後ろの資料にありますように相当いろいろな 分類がありますので、包括的に考えてはあるということですね。これについては、あと でゆっくり各自見ていただくことにしてよろしいですか。  次は「危険又は健康障害の程度の評価に当たって配慮すべき事項」です。まず誰が。 物理的、物理化学的、化学、有害性。作業場所の周辺にいる見学者なども入っているわ けですね。 ○技術審査官  必ずしも見学ではなく、当然作業の工程で通りかかる人もおりますので。 ○向殿座長  特に有害性が不明な場合、予防原則を明記するかということもあります。 ○内山委員  これは、最初のと矛盾するかと、予防原則はわからないけれど、予防的に。 ○向殿座長  化学物質だけ特別扱いをするかどうかですね。 ○毛利委員  化学物質は、有害性がわからないものは使わない。使うとすれば、有害だと思って使 うということは、やはり書いたほうがいいと思います。 ○内山委員  もしこれを書くのであれば、最初の合理性のところが難しいですね。 ○向殿座長  先ほどの合理的に予見可能な、矛盾する……。 ○技術審査官  化学物質についてはこれを書く。 ○内山委員  例外的に何か書くのかなという気がします。 ○向殿座長  予見不可能なものでも、ちゃんと対応するということですね。 ○内山委員  そこでは、予防原則は否定していますね。合理的に明らかなものは限定して使えと。 ○安全課長  限定します。 ○内山委員  ここでは、予防原則的にやると。 ○宮川委員  細かいことになりますが、有害性に起因する災害について云々というところの1.の 急性毒性・慢性毒性に分けてありますが、急性毒性がいろいろな所で違った意味で使わ れているのです。例えば、「皮膚を腐食するとか目に入ると有害とか、たくさん摂取す るとすぐ死んでしまうとか」、いろいろな意味での急性作用を含めてお作りになったの だと思いますが、GHSで言うときとほかの既存の法律で言っている言い方と、多少違 っているものもありますし、昨年出た「健康障害予防のためのリスクアセスメント検討 会議報告書とも、また少し違う言い方になっているかもしれませんので、その辺りの対 応をとっていただきたい。 ○内山委員  いま予防原則を明記するとすれば、国としては、環境省、厚生労働省はまだ予防原則 を認めていないのですね。 ○技術審査官  認めていないとも言っていないのです。 ○内山委員  予防的アプローチで止めているのですね。必ずプリンシプルまでは決断していないと いうことですね。これに書けば、初めて予防原則に則ることができると思うので、いい ことだとは思うのですが、検討されてから書く。 ○毛利委員  事業者がボランタリーにやれという範囲ですから。 ○技術審査官  国が規制を定める際に、どういうアプローチをするかという大きな問題ではない。 ○毛利委員  私たちがこうしろというだけのこと。 ○安全課長  事業者にかけた努力義務ですね。 ○小林委員  注意しなさいよということですか。 ○技術審査官  有害なものだと思って扱ってくださいと。警告ですね。 ○向殿座長  よくわからないものはですね。よろしいですね。これは分類をしているということで す。  次は24頁、「発生可能性・ばく露の評価に当たって配慮すべき事項」です。これはい かがですか。有害性はばく露量で評価する、危険性は発生可能性と有害性だと。危険性 というのは、発生可能性とひどさは入っていなかったのでしょうか。 ○梅崎委員  最初の定義に基づけば、これは座長が言われたように、発生可能性とそのひどさが。 ○向殿座長  ひどさが入っているとすると。 ○梅崎委員  むしろ、シビアリティのほうがどちらかというと大きいのかなという気もします。 ○技術審査官  シビアリティは8番です。 ○梅崎委員  可能性の話ですね。 ○技術審査官  ここは、8と9で整理しております。8が程度で、9は可能性です。 ○向殿座長  シビアリティは8で、プロバビリティが9だということですね。そのときに、可能性 にあたって配慮すべきことということですね。発生可能性というのは確率、可能性がど のくらいか。 ○技術審査官  GHSでそのような翻訳をしていまして、原文はフィジカルです。その前提として化 学物質が書いていないから、翻訳のときに「物理化学的」という表現を使っているので す。 ○向殿座長  専門の方が物理化学的という。 ○技術審査官  そういう訳を当てているようです。 ○宮川委員  一般の方が見たときに、発生可能性という言葉が、起きるかどうかという確率まで含 んでいると取ってもらえるかどうかが、多少気になるのです。可能性としてそういうこ とがあり得るかどうかでなく、これは確率を含んだ概念だということがわかるような工 夫をしていただくほうがよろしいのではないかと思います。 ○技術審査官  おっしゃるとおりで、JISでは7.2.3.2によると「危険事象の発生確率」と言 っているのです。その下に、「危険回避又は制限の可能性」という表現を使ってまし て、実は両者を使い分けているのです。ここは確率という言葉をスパッと使ってしまえ ばいいのかもしれませんし、そこはまだ検討が行き届いていない点です。ご意見がいた だければと思います。 ○向殿座長  可能性と確率とは、厳密には違うのです。ポシビリティとプロバビリティとなってい て、プロバビリティは過去のデータでちゃんと統計でわかる。ポシビリティというの は、我々の人間的主観的評価が少し入っていて、大体ポシビリティのほうがプロバビリ ティより高いというのが、一般的解釈です。専門的な話をするとですね。 ○内山委員  引っかかるのは、リスクの提示が可能性及びその程度ですね。危険性は発性可能性で 評価しなさいと、危険性の場合は、ばく露評価に代わるものとして、発生可能性を指標 として使いなさいということなのですね。 ○技術審査官  いまの整理では。 ○向殿座長  この可能性は、普通だったら確率を使えばいいわけで。 ○技術審査官  ほとんどの場合は確率だと思います。 ○向殿座長  ところが、確率はデータがない場合があるわけです。そのときは、可能性が有効なの です。発生可能性と言っていいか、確率と言っていいか、微妙ですね。いままでずっと 可能性できているのですね。 ○技術審査官  ずっときているというというわけでもないのです。JISは両方使っていますので。 ○宮川委員  初めの定義のところでは、likelyhoodの訳と対応する言葉で使っていますね。 ○技術審査官  HSEはlikelyhoodですね。 ○向殿座長  広く解釈すれば、可能性は確率を当然含んでいると考える。限密に言えば、可能性が ちゃんと推量的に評価できるのであれば、確率というぐらいのつもりであれば、たぶん 問題はないと思うのですが、いかがでしょうか。 ○安全課長  その辺りは、定義に括弧書きか何かで明記すれば。 ○向殿座長  コメントをつけておけばね。あとは、物理化学的危険は問題ないですか。私は物理化 学は専門家ではないのですが、物理と有害性があって、有害性は大体化学ですね。 ○技術審査官  物理化学も有害物質も、基本的に化学物質です。 ○内山委員  化学的は有害性と、いまずっと統一してきたのですね。物理的に配慮と言ったとたん に危険になってしまうと、危険性の機械のほうと混乱して見えます。 ○技術審査官  ただ、化学物質にはやはり危険性と有害性の両方ある。爆発を有害性というのは、日 本語では一般的には言えないですね。 ○内山委員  だから、逆にこれを一緒にしなければいけないのですか。 ○技術審査官  危険と有害性は分ける。 ○向殿座長  分けたいですね。爆発の危険性と有害性は分けたい。 ○内山委員  そうすると、物理化学的危険というのは爆発のほうですね。 ○毛利委員  フィジカルハザードを、物理化学的危険という日本語を使っているのですね。それが ぴったりくるかというと、どうも物理化学的は違和感があるのです。フィジカルハザー ドならわかるのですが。 ○内山委員  訳し方が、フィジカルハザードのほうが、何とかなくわかりますね。 ○毛利委員  でも、それしかないですね。 ○技術審査官  フィジカルハザードを直訳しますと、物理的障害ですから、そうすると普通のはさま れたといったようなことですので。 ○向殿座長  化学物質の物理的危険性という感じですね。  次は、残り10から最後までいきましょう。 ○技術審査官  それでは、26頁をご説明します。10のリスク見積もりの方法ですが、論点としては発 生可能性と危険等の程度の2つからリスクを算定する方法を定めるということです。I SO等では抽象的な表現にとどまっておりまして、具体的にどういう形でリスクを見積 もりなさいということは、意外に書いておりません。あくまでリスクの大きさを見積も らなければならない、リスクの要素を踏まえて決定しろと、あるいはリスクを数値化す ることでやってくださいと、そういった表現しかありません。一般的に行われているの が、建設業のリスクアセスメント関連文書に書いている掛け算です。  JISも、例示として使われているのは、マトリクスといいますが、縦軸に危険の程 度、横軸に可能性、反対の場合もありますがこのようになっております。あるいは、足 し算を使うものもあります。そういったものを踏まえて、リスクは危険等の程度とその 発生可能性の両者によって見積もられる。見積もり方法については、以下の方法があ る、ということで、掛け算、足し算、マトリクスの形で例示にとどめることを考えてお ります。  27頁の11、見積もりに当たって配慮すべき事項です。まずいちばん大きいのは、防護 方策、安全方策で、これにつきましては危険の程度にも影響しますし、発生可能性にも 影響するということで、ここに整理をしています。JIS等ですと、JISのB9700で は、危険源の同定とリスクの評価という所で、下のb)の1)で、「意図された機能を 果たす」という前提があります。JISのB9702では4点ほどありまして、まず危険源 にばく露される人間の配慮、ヒューマンファクタ、安全機能、信頼性、安全方策の無効 化又は不使用の可能性、安全方策の維持能力といったところが、かなり詳しく書いてあ るわけです。  こういったものを踏まえて、「指針に盛り込むべき事項」としては、安全機能・安全 方策の維持能力・信頼性ということで、これは有効性、メンテナンス状況、使用者の訓 練状況といったことについて、安全機能・安全方策両者について評価する。安全機能・ 安全方策の無効化又は不使用の可能性、これは生産性の低下等の動機があるかどうか、 やろうと思ったときに無効化しやすいかどうかということ。予想可能な意図的な誤使 用、危険行動につきましては、最小抵抗経路行動や、意図的な誤使用等しやすいかどう か。ヒューマンファクタ、これは作業員の知識・経験等です。予想可能な非意図的な誤 使用、これはうっかりミスで、人間工学的にな説明とヒューマンファクタ、両方あると いうことです。  31頁ですが、12のリスク低減の必要性の判断です。いったいどれぐらいのレベルまで リスクを下げればよしとするのかという、リスクの低減目標についての議論です。これ につきましては、従来ISOでは「許容可能なリスク」という表現を使っていました が、最近では「適切なリスク低減」という表現を使っていますので、それを使用した い。合理的に達成可能なレベルまで下げる、ALARPの概念です。これをどこまで採 用するかという問題があります。ISOについてはどのような表現を使っているかとい うと、ISOのGUIDEの51では、「許容可能なレベルまでリスクを低減するべきで ある」という表現を使っていて、許用可能なリスクというのは、さまざまな要素のバラ ンスにより決定される。  JISのB9700では、「適切なリスク低減」という表現の中で、危険源が除去された か、または危険源によるリスクが実現可能な最も低いレベルまで低減されたかどうかと いう表現で押えています。JISのB9702は、ややアプローチが変わっていて、リスク 低減の達成は、ここにあるa〜iに至るまですべての検討項目をクリアしていればいい という考え方をしております。それを踏まえて、機械の包括的安全指針はJISのやや 古い形をとっています。  諸外国に目を転じますと、イギリスにつきましてはALARPの概念を堂々と使って おりまして、下のほうに書いてありますが、合理的に達成可能というのは、コストがベ ネフィットを大きく上回る、grossly disproportionateと書いてあります。要するに、 著しく不均衡だということです。そういったことがない限りはやりなさい、という表現 になっております。  COSHHにつきましては、ハザードグループとばく露予想指標バンドをマトリクス にあてはめると、自動的に対策が出てくるということで、リスク評価がそもそも不要な 形になっています。  こういった表現を踏まえて、「指針に盛り込むべき事項」としては、適切なリスク低 減を実施する、別の表現として実現可能な程度まで低いリスクとなるまで対策を実施す る。ただし、リスク低減へにかかるコストが、低減されるリスクと比較して大幅に大き いなど、両者に著しい不均衡が発生しない限り、実施しなければならないというしばり をかける。死亡、後遺障害や重篤な疾病をもたらすリスクに関しては、必ず何らかの対 策を実施するということです。それから、ILOのコントロールバンディングを認めた いと考えております。  33頁です。13、リスク低減措置の検討に当たって配慮すべき事項で、検討するにあた って優先順位あるいは原則を示したいということです。文献では、ISOにつきまして は本質安全設計が第1番、2番目に保護措置、3番目に使用者に対する情報の順番でや りなさいとなっております。これは機械ですので、そういう形です。  諸外国に目を転じまして、35頁ですが、下線を引いてある所で法律事項を守りなさい と書いてあります。aのところで、基本的には全部ハザードをなくしなさい、どうして も駄目な場合は、より危険の少ないオプションを使いなさい、あるいはそれに対するア クセスを規制しなさいといった順番になっています。アメリカに関しては、また観点の 違った分類をしていまして、まず1つ目が工学的コントロールです。2番目が管理的コ ントロール、3番目が保護具です。この3つでやってくださいということです。ただ し、アメリカの工学的コントロールには、ハザードをエリミネートする、なくしてしま うものまで含まれています。  こういったことを踏まえて、優先順位という形で定めたのが33頁です。1つ目は、ハ ザードとリスクを除去する。これはやはりいちばんいい。危険作業そのものを止めてし まう。危ない材料を使わない、機械を本質的に安全化するということです。工学的対策 としては、封じ込めやインターロック、あるいは局所排気装置。管理的対策は、立ち入 り制限やばく露管理といったもの、最後は個人用保護具の順位で検討してほしいという ことで位置づけたいと思います。  最後は14、37頁です。これは実施をどうするかで、事業所のトップを関与させる必要 があるということと、実際論として誰がやるのかでは、安全衛生管理者が管理をする中 で、実際に作業を指揮する人間、職長等が実施するのがいちばん合理的ではないか。そ の際、労働者は必ず参画させる。また、専門知識等のあるコンサルタント等の助力を得 るのは差し支えない。ただ、責任は事業者がやってくださいということです。以上で す。 ○向殿座長  ありがとうございました。だいぶ時間も押し迫ってきましたが、10の見積もりの方法 です。これは、危険性の度合と有害性の度合、発生する確率のひどさを、やり方はいく つかあるけれど、掛け算か足し算かマトリクスですが、これ以外にも方法はあります ね。頻度だけではなく、人間が逃げられるかどうかとか、いろいろなファクタで分ける 分岐法というのでしょうか。その他か何かを入れたほうが、これだけには限らないと思 います。 ○毛利委員  そういう考え方も大事ですね。点数にしてしまうと、大きいか少ないかだけで、点の つけ方のプロセスを忘れて、答えの点数だけに頼ってしまうという弊害があるように思 いますので、私はあまり好きではないのです。マトリクスなら、まだいいわけですが、 ただ点つけして、勘定してどれが多いか少ないかというのは、あまりよろしくないと思 います。 ○安全課長  分岐法というのは、何か文献はありますか。 ○向殿座長  あります。ドイツやどこかであって、出てないですか、例として。 ○梅崎委員  ここには出ていないですね。 ○安全課長  では、またあとで。 ○向殿座長  あとで送ります。かなり使われていますね。 ○毛利委員  合理的に考えたほうがいいですね。 ○向殿座長  はい。見てわかりますね、逃げられるか逃げられないか、どういうレベルか、だんだ ん分かれていって、いちばんひどいときはリスクで、いちばんひどいからきちんと対応 しろとか、この辺は無視してもかまわないという。このやり方はいろいろなものがある から、「その他」といったような規定を設けたほうがいいかもしれない、これだけでは ないということで。 ○技術審査官  はい。 ○向殿座長  よろしいですか。要するに、これは見積もりの方法としてはこういうものがあります よということです。  次に11の「リスク見積もりに当たって配慮すべき事項」です。これは1番目が、シス テムそのものがいかに安全かという、ヒューマンファクタは多分この中に入るのだと思 うのですが、信頼性・維持能力という話と。それから、実は安全機能・安全方策をクロ スして使うことはできないようにしようという話であります。それから、意図的に誤使 用するというものはありますし、ついうっかりというのもありますという、そういう分 類です。これは化学でも同じような発想というのはあるのですか。機械の発想みたいな 気がしないでもない。 ○毛利委員  化学は各指針は言及なしと書いてありますように、あまりこういうことは話題にした ことはない。 ○技術審査官  ただ、物質を間違ってしまって、危なくないと思って、危ない物質を使うなど、そう いうことは十分あると思います。 ○向殿座長  そうですね。意図的に危ないと知っていても、意図的に使ってしまうものも出てく る。 ○技術審査官  JCOの事故のように意図的にやるようなこともある。 ○向殿座長  そうですね。なるほど。 ○内山委員  例えば、もし何か使っていたものを十分洗浄しないで同じものに、次の別のものを入 れてしまったときに何か反応が起こってしまうなど、それも誤使用になる。 ○向殿座長  誤使用ですね。よろしいですかね。化学の人がこれを見て、そうかと納得しますか。 機械屋さんはこれは全く納得できる。この通りにいきますがね。 ○毛利委員  下のほうでカバーできるのかという気がします。 ○向殿座長  はい、わかりました。それでは、31頁、12の「リスク低減措置の必要性の判断」で す。これが難しく、どこまでやったらいいのかという話と同じです。基本的に確かに国 際規格では、機械安全の場合、許容可能なリスクというのをずうっと使ったのですが、 「許容可能」というのは何かという議論が最後ガチャガチャになって、最終的には適切 なリスク低減という言葉になったのです。しかし、GUIDE51ではまだ許容可能なと いう言葉が残っています。 ○毛利委員  結局、ALARPと同じですね。 ○向殿座長  結局、ALARPと同じことなのです。ALARPの原理と全く同じで。 ○毛利委員  どういう言葉を使うかというだけです。 ○向殿座長  ALARPの原理の中でも、リスクは下になればなるほどいいに決まっているのだ が、さっきお話したコストを考えて、そんなにやっても無駄ですよという話がある。し かし、許せないものがあるはずだという話になって、死亡したりなどは絶対クリアしな ければいかん。その下でどこまで一生懸命下げるかというのは、いま言ったコストベネ フィットを考えながらやる。 ○毛利委員  同じことですが、日本人にALARPでやれと言ったって、ちゃんと理解されるかと いうと、それは非常に難しい。コストベネフィットを考えろと言っても、なかなかそれ をきちんとよく解析して、やってくれと言っても難しい話です。 ○向殿座長  難しいですね。ですから、機械安全の場合は、しょうがないからどのくらいという頻 度とそれからひどさをマトリックスにしておいて、ここは許せる許せないと判断をし て、許せない場合は対策を打って、許せるところまでに落とさなければいかんという話 になる。だから、許容可能なリスクは何かというのは、機械によっても違うし、条件に よっても、場所によっても、ある意味では時代によっても違うという話になるのです。 ○梅崎委員  許容可能なリスクという言葉を使うと、では結局どこが許容可能で、どこが不可能か という議論にいつもなってしまって、そこで堂々巡りになってしまうのです。その言葉 を避けるために、その堂々巡りを避けても、やはり適切な定義あるいはALARPとい う概念を出しています。むしろ、今回原案でお示しいただいたように適切、許容可能な リスクに表現をもう下げていただいて、適切なリスク低減やALARPなどの概念で、 そこは議論を統一していただいたほうが無用な議論をしなくていい。 ○毛利委員  やはり「許容可能」という言葉はやめたほうがいいということですか。 ○梅崎委員  いつもなるのですね。では、どこまでが許容可能で、どこが許容不可能になるか。し かし、本当はここで書いてある実現可能なテーブルまで、ともかく下げるのだというこ とです。それはもちろん、経済性という問題があるから、極端に1億円、2億円かけて は困るが、そうではない限りある程度実現可能なところまで下げるのは、やはり原則論 としてあるのですけれども、許容可能という言葉が出てくると、その原則論がどこかへ いってしまって、どこがよくてどこが悪いかという非常に粗末な議論にいつもなる。 ○毛利委員  実現可能なことはすべてやるというのもいい概念ですね。 ○梅崎委員  経済性ということも考慮したうえで。 ○毛利委員  原則には経済性が入るわけですね。 ○梅崎委員  そこは工学ですから、経済を無視した話はないのですが、ある程度はそこを考えたう えで実現可能な程度まで、低いリスクになるようにする。 ○向殿座長  さっきのトリビアルな例があって、このようなものは下げてもしょうがない。このよ うな小さいものは最初から無視してもいいですというものは、手を打たなくていいわけ ですよね。そうすると、国際会議で揉めたのはアクセプタブルか、トレラブルかであっ て、アクセプタブルというのは、もう無視しましょうと、誰でも受け取るものは手など は打たなくてよろしいと。トレラブルになると、しょうがない、リスクは認めるが一生 懸命下げましょうと。どれだけコストを考えながら、これで認めましょうと。仕方がな い認めると。これをトレラブル、許容可能という。そういう議論をだいぶやったので す。 ○梅崎委員  やったのですね。 ○内山委員  化学の分野では、多分アクセプタブルというのはスレッシュホールドがある物質につ いてしか使ってなかったのです。それから、許容1日摂取量というのは、アクセプタブ ルデイリーインテークというのは必ず化学物質の発がんでない物質に関しては、ある閾 値以下までは大丈夫というので、そこはアクセプタブル。 ○毛利委員  ただ、そこまではばく露してもいいよというわけではないのですよね。 ○内山委員  ではないのです。 ○毛利委員  そういうレベルもあるが、低ければ低いほど。 ○内山委員  しかも、そういうものをアクセプタブルに使うのは、食品添加物と農薬に限られてい たのです。我々が添加しようと思って、その化学物質の利便性を考えて、意図的に添加 しているものだから、これはアクセプタブル。それでいまTDIという耐用1日摂取 量、トレラブルと使い出したのは、これが我々が意図しないで大気中に出てきてしまっ たものなど、それから付加物で出てきてしまったものなど、これは我々が望んで摂取し ているのではない。だから、食品添加物と残留農薬に関しては、これは防腐剤や硫黄な ど、意図的に使っているからこれはアクセプトしましょうと。そのときには発がん物質 は使いませんという形で、必ずスレッシュホールドがあるから、それ以下で使っていま すよと。それが発がん物質に関して使えなくなったので、トレラブルということで扱い ましょうと。さらに、それよりはネグリジブルリスク、無視しうるリスクというのは、 またトレラブルとは別なリスクの考え方です。本来はネグリジブルリスクまで下げまし ょうと。 ○向殿座長  ネグリジブルリスクまで下げましょうということですね。 ○内山委員  無視しうるリスクまで下げましょうと。これは発がん物質の場合に閾値がないから、 禁止にしない限りは必ずリスクが残る。 ○毛利委員  許容濃度までは大丈夫だなどと思っている人が多いわけですが、いけないのですよ ね。 ○内山委員  トレラブルと言った場合には、絶対安心ということはありません。アクセプタブルと して使っているものは、これはスレッシュホールドがあるもの、物質に限って言います から。だから、これは適切です。我々は作業環境で許容濃度というのは非常に厚く、許 容濃度の許容というのは非常に高いリスクだと考えています。 ○向殿座長  全部許容した場合ですね。 ○毛利委員  そういうふうに受けとめられていない場面がよくあるものですから。 ○内山委員  労働者は一般の人よりは高いリスクを認めながら作業している。 ○向殿座長  あえて仕方がないから受け取っているという感じですね。 ○毛利委員  そのレベルだから、安心などと思ってはいけないはずなのですが、その誤解がやはり 起きないようにしないといけないということです。 ○内山委員  それはいけない。 ○向殿座長  いま言った議論を全部踏まえて、どういう文書にするかというと、適切なリスク低減 というのが適切ではないですか。あと、ALARPの原理がバックにちゃんとある。 ○毛利委員  資料によってはグッドプラクティスが適切なところだと、それだと非常にわかりやす いです。 ○向殿座長  グッドプラクテスという言葉を使っていますね。 ○毛利委員  世の中の標準的な言葉をちゃんとやってくださいというのが非常に実務的だと思いま す。それも難しいと言えば難しいわけですけれども、グッドプラクティスが何かと言い 出すとまたいろいろ難しいとは思いますけれども。 ○向殿座長  いまの議論からすると、私が見た限りでは妥当な気がします。「指針に盛り込むべき 事項」として、要するに適切なリスク低減をやりなさいと。しかし、あまりコストがか かるようだったら、これはかかるコストに比べてコストの下がり方があまりひどくて、 実用にもならないくらいになってしまいますというのはALARPの原理に近いところ で止めましょうと。ただし、そうだと言って、では死亡するようなものすごく危ないこ とになっても、これ以上金がかかるからそれを放置していていいかというと、そうでは なくて使うのを止めるなど、そういう話に実はなるのです。 ○宮川委員  盛り込むべきところで並列に並んでいるのですが、適切なリスク低減というのがトー タルに考えて大原則で、それと完全にパラレルで別なことのようにコストベネフィット の話がいきなり出てくると、何となく事情を知らない人は、これはどういうことかなと 思うことがあるので、一段下げた扱いにするのがよろしいと思います。前提はあくまで も適切なリスク低減。 ○向殿座長  ある意味で質が違うと考えたほうがいいですね。 ○技術審査官  適切なリスク低減の解説みたいな感じなのです。 ○毛利委員  その条件ですね。 ○向殿座長  ありがとうございました。では、まだあるかもしれませんが、次にいって13「リスク 低減措置の検討に当たって配慮すべき事項」です。優先順位があって、機械安全では下 に書いてあるように、本質的安全設計、防護、気象上の情報という話ですが、これは一 般的な広い言葉でいうと、ハザードリスク、まず除去しろと。それから、工学的対策と いうことは安全装置その他を付けなさいと。あとはマネジメントシステムその他で管理 的な体制と。その次に初めて個人の注意だという、この順番が大切ですよというのが非 常にいいと。いかがですか。 ○毛利委員  化学物質もまさに同じようなヒエラルキーということで、だいぶ理解されてきており ますが、もう1回ここで強調するのは大変大事なことだと思います。 ○向殿座長  私は勝手な解釈をしましたが、本質安全と本質的安全とはちょっと違ってて、本質安 全は要するにハザードを除去しろで本質的安全はハザードがあってもいいが、少しずつ 小さく、エネルギーは小さくしなさいと。そのくらいだと多いと死ぬけれども、ちょっ とだと助かりますよと。例えば、エネルギーだと少しくらいだと大した怪我はないけれ ども、大きいとえらいことになるから、エネルギーを小さくして使いなさいと。できる だけ小さくしろ、スピードをなるべく遅くしろなどという意味も実は1番に入っている 可能性がある。 ○技術審査官  GUIDEは本質安全と言って、JISのISO12100は本質的と言っている。 ○向殿座長  「的」が入っているでしょう。「的」が入っていない理由は。 ○技術審査官  素人的には 違いがよくわからないのです。 ○向殿座長  そういう意味で、「的」が入っていないものはハザードは初めから除去、「的」が入 っているものはあってもいいがなるべく少なくして、という意味があるのです。 ○毛利委員  化学物質も使わないのですか。 ○向殿座長  使ったり使わなかったり。 ○毛利委員  もっと安全なものはないか探す、それからばく露を抑えるという順番ですね。 ○向殿座長  どうしても使わなくてはいけないときは、人体に影響が少ないくらいにちょっとあっ てもいいが、だんだん下げろという意味が本質的には入っているのです。これはそんな に細かいことは言う必要はないですが、私は回転ドアをやっているので、回転ドアのと きはスピード遅ければ人間は逃げやすくなるし、エネルギーを小さくすればぶつかって も人間は挟まれても大きい怪我にならない。だから、ぶつかることは仕方がない。エネ ルギーは仕方がないが、それが小さければいいが、今回の森ビルみたいなあんなにでか くて重いものがバサッとぶつかってしまっては死んでしまいますよと。だから、エネル ギーを少し落としなさいというのも本質的安全設計の1つだという解釈なのです。ここ でいうと、1番に厳密にいうと入っているのか、いかがですか。 ○技術審査官  作業自体をやめてしまえば、当然リスクはなくなりますので、これはいちばん本質的 なのです。 ○梅崎委員  多分向殿座長の話を入れるのであれば、機械の本質安全化を機械の本質的安全設計で 説明はつく。 ○向殿座長  本質的安全設計に入ってしまう。 ○技術審査官  そうすると、それはむしろ2番に入るのではないかという気もします。1番はリスク の除去ですから、なくなってしまうということですし、本質安全化でいいと思うので す。いまのご説明でしたら、2番に入るのかなという気がします。 ○向殿座長  2番の工学的対策というのは、安全装置など、何かを付けてハザードが直接人体など に仮にぶつかって事故を起こさないようにする構造なのです。 ○技術審査官  そもそもエネルギーが小さければいいというのは違うということですね。 ○向殿座長  小さくするように設計すればいい。 ○技術審査官  非常に微妙ですね。検討させていただきます。 ○向殿座長  そういう意味で、「的」という文字があったということで。 ○梅崎委員  結局、実質的な対策に沿った形での向殿座長のお話でした。 ○向殿座長  この4つのステップというのは、非常に本質的で特に順番は。 ○内山委員  化学的対策といっていいのかわからないが、例えば反応の過程を変えるなど、より安 全な方法にするなど、そういうところが多分ここで言う機械では、工学的対策に入って いると思うのです。そこら辺は何か入れられませんか。 ○技術審査官  それは何と言ったらいいのですか。 ○内山委員  宮川委員、何と言ったらいいのですか。何かありそうですよね。 ○宮川委員  化学工場の危険性のほうですね。衛生のほうは先ほど。 ○内山委員  例えば、副生成物質が出ないようなものに変えるなど、1と3の間にあるような気は します。全く使わないというのと、それからばく露管理をするというのとの間に、もう 少し何か工程、プロセスを工夫する。 ○宮川委員  広く言えば2に入る。 ○技術審査官  そういう意味では結局機械を多分使いますので、化学反応対策を持ってくるかどう か。 ○内山委員  化学反応プロセスを変えるというのは、工学としてはいい。 ○宮川委員  例示として、そういうものはやはり化学物質関係の分野だろうと。 ○技術審査官  化学工学的手法だろうと思うのです。化学エンジニアリングだろうと思うのです。 ○内山委員  それを含むというようなものを書いていただければと思います。 ○向殿座長  いま言ったコメントなどを例示でも入れていただければと思います。ありがとうござ いました。まだあるかと思いますが、次に行きましょう。14、37頁の実施体制です。誰 が実施するかというと、こういう現場の職長その他、職長に言われてコンサルタントの 助力を得るのは差し支えないのではなくて、得るのは望ましい。望ましいというと責任 がいってしまうか、これはいかがですか。 ○梅崎委員  工場でやったときに、安全衛生ももちろんそうなのですが、生産技術の担当者という のが、以外とこの辺の作業に最近は参画しているのではないかと思うのです。なかな か、安全衛生の担当者の方だけですと、設備的な本当の難しいところまではちょっとカ バーしきれないところがあって、やはり工学的な話になると、設計がいちばんいいので しょうが、そうでない場合にも、あくまでもこれは事業者の側ですから、そうした場合 に設備の管理をするところが生産技術が担当部署になってきます。 ○毛利委員  安全衛生はアドオンするのではなくて、インテグレイトしなければいけないとよく書 いてあります。いま梅崎委員がおっしゃったのは、そういうことですね。これは工場全 体を安全衛生に巻き込まないといけなくて、安全衛生部門の人たちだけが張り切ってい るのではなかなか効果が上がらないという場面が多いです。そういうところをうまく入 れたいです。 ○梅崎委員  少し表現ぶりを。 ○安全課長  そういう意味では、ここも原則として安全責任管理者等の元で作業を指揮する人たち ということて、生産現場の実際よくわかった方、それプラスいまおっしゃったように生 産技術者みたいなものを例示して、正しくプロセス、機械等に精通した方ということで すね。 ○向殿座長  さっき言ったように、安全設計を入れろというのは、ある意味でそういうことであっ て、それが本当に現実にはかなり効くのです。やはり、本当に技術、施設、設備、機械 で安全を実現しようと思うと、そういう人がいないとうまくいかない。 ○梅崎委員  多分いまの法の枠組の中でいちばん効果があるのは、やはりその場所を巻き込むこと なのかなと思います。 ○技術審査官  いわゆるプロセスエンジニアリングですね。 ○向殿座長  エンジニアですね。 ○毛利委員  技術のことをわかる人をしっかり巻き込めというようなことでしょうが、どういう表 現がいいのか。 ○向殿座長  はい、よろしいですか。 ○安全課長  先ほど向殿座長が言った差し支えないとか望ましい云々というのは、やはり事業場の 中のことをよくわかった方がやるのが原則で、ただそういうノウハウがない場合は外部 の方ということで、差し支えないというのはそういう意味があります。 ○向殿座長  わかりました。結構です。よろしいですか。まだまだあるかと思いますが、時間がだ いぶ過ぎてしまいましたので、一応今日の議論はこれくらいにして、もし自宅に帰って ゆっくり読んで気づいたことがあれば事務局へお願いします。 ○技術審査官  私宛電子メールでいただければと思います。 ○向殿座長  技術審査官宛にメールをどんどん送っていただければ思います。では、私の役割はこ の辺で終わることにいたしまして、事務局に議事をお返ししたいと思いますが、あと何 か事務的にありますか。よろしいですか。何かありましたら、事務局へメールで送って いただくということで、今日の私の役割はこれで終わりたいと思います。 ○副主任中央産業安全専門官  今日は大変長時間にわたり活発なご議論をありがとうございました。第2回の検討会 ですが、10月25日火曜日の午後1時から午後3時まで、場所についてはまた調整のうえ ご連絡さし上げます。第3回の日程につきましては、また後日改めて調整させていただ きます。本日は大変遅い時間にまでご議論いただきまして本当にありがとうございまし た。                                    (以上)                  照会先:厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課                          TEL:03-5253-1111(内線5487)