第25回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要
(平成17年10月4日(火))


1.委員の出欠
 神田委員、長野委員が欠席。

2.概要

(1-1)わかりやすい表示方法について(特色のある原材料の考え方)

事務局より資料1及び参考資料について説明。

板倉委員何点か質問したい。
(1)P3の「3(2)表示の単位」について、53%は5割と表示可能とあるが、例えば59%の場合は6割と表示できるのか。
(2)P4の「4(2)「製品の風味」を表示する場合」とは具体的にはどのような場合か。

事務局(表示・規格課 足立課長補佐)ご質問につき回答する。
(1)59%の場合に6割と表示すると、多く入っているような誤認を与えるので、この場合は5割と表示する。四捨五入ではなく切り捨てで考えている。
(2)味付け、風味付けのために少量を使用し、「○○風味」のように表示する場合を想定しており、具体的な表示例は、JAS協会報告書(参考資料)のP16に示されている。特色のある原材料についての基本的考え方としては、抹茶など一般名称で表示されるものは特色のある原材料には該当しないということであり、風味付け、香り付けにおいても同様の考え方をとるもの。仮に「宇治抹茶使用」など銘柄などを表示するのであれば、たとえそれが風味を示すものであっても特色のある原材料に該当するものと整理している。

丸井座長「抹茶使用」のように「使用」と表示されたものは、風味の表示ではなく、原材料の表示に当たるのではないか。

事務局(足立)例えば、抹茶味のカステラ、クリームなど、抹茶の味、香りがすることを示す表示として「抹茶使用」と表示されているものがあることから、風味の例として「抹茶使用」を記載している。

上谷委員資料では「とちおとめ使用」が例にあがっており、おそらくジャムのようなものに表示されるのだと思うが、消費者にとって大切なことは、表示から何を窺いとるかということである。強調表示については、原材料と原産地の情報が重要であると思う。フレーバーなどを強調して記載することが必要か疑問である。

事務局(足立)今回、特色のある原材料の考え方を整理したのは、例えば「国産大豆」を100%使用していない商品に「国産大豆使用」のように強調表示する場合、使用割合を表示することで100%使用との誤認を防ぐという観点のものである。特定の産地を強調するものについては、現在でも割合表示することが必要であるが、同様な誤認を与えると考えられるものをJAS協会の報告書の事例等に基づいて、今回特色のある原材料として整理したもの。また、特色のある原材料に当たらないとされたものについても、誤認を与えないように表示することは必要である。

板倉委員最近、アルコール飲料などでレモンが少量入っているものが売られている。このような商品に、例えば「レモン使用」と表示があった場合、これがレモンの風味を付けたものであれば、たとえ「使用」の用語であっても特色のある原材料には当たらないという整理でよいとは思わない。たとえ風味付けであっても、「抹茶使用」のように記載してあれば、カテキンが体によいと思う消費者にとっては保健的な価値が出てくる。

丸井座長基本の考え方がありつつも留意事項という形で例外が示されている。表示する側としてはどう考えるか。

門間委員風味を表示するものについては、含有量の多いことが商品の味のよさに繋がらないため、割合やグラム数を記載しても意味がない。逆に%が多いものが優良と錯誤するおそれがある。特色のある原材料とは別の判断で考えるべき。なお、使用した原材料は全て原材料名欄に表示されることから、「○○風味」と表示してあって「○○」を使用していないのであれば原材料名欄に表示されないのでわかる。さらに細かく知りたければ、最近では問い合わせ電話番号が必ず書いてあるので、聞くことができる。

板倉委員P4の「抹茶使用」の例は削除してほしい。抹茶の場合、最終的に飲料として飲む場合であれば含有量は少ないかもしれないが、家庭でそのまま使うことも多い。風味を強調する場合に「○○使用」とは表示してほしくない。この例が一人歩きすることをおそれる。

事務局(足立)基本的考え方として、一般名称で表示してあるものは特色のある原材料にはあたらないとの整理をしているので、風味の表示の例として「使用」をここに書くと混乱するので、修正したい。

門間委員「風味」、「使用」の用語は他規定にかかっている。「○○風味」は必ずしも○○を使っていないが、○○の味がすることを示すもの。一方、「○○使用」は必ず○○が入っていることを示す。実際にはきちんと使い分けている。

板倉委員用語の件は別の機会に議論するとして、別の意見に移りたい。最近、「野菜たっぷり」のような表示が目立つ。資料の4(3)に「たっぷり」について記述があり、誤認を与えないように表示することとの文言が入っているので問題ないのかもしれないが、「たっぷり」表示について、ここで議論したこととして収めていいのか疑問。この場で代替案は出せないが、本当に%表示は必要ないだろうか。

丸井座長今回で決定するのではなく、詳細については、今後、事務局でQ&Aを作成すると聞いている。これからも意見を事務局に寄せてほしい。特色のある原材料の今後の取り扱いについて、事務局から説明をお願いする。

事務局(足立)特色のある原材料の範囲拡大については、資料2,3の品質表示基準の改正と併せて、来年の3月を目処にQ&Aを作成し決定したい。Q&Aについては事前に委員の皆様に見ていただきたい。

(1-2)わかりやすい表示方法について(加工食品品質表示基準の改正)

事務局より資料2、3、4について説明。

門間委員5条(特色のある原材料)にかかる改正が見あたらないが、次の段階ということか。

事務局(足立)特色のある原材料の範囲拡大については、現行の5条を改正することなく対応できる。

丸井座長「わかりやすい表示方法について」報告書の提案は、Q&Aで対応できるものと品質表示基準の改正が必要なものとがある。特色のある原材料については、Q&Aで対応してもらう。改正が必要なものは、一括表示を弾力化し、見る側にとってわかりやすくするという部分などで、3条、4条を改正することとしている。

門間委員報告書の提案1にある「この際、表示すべき事項が商品の様々な部分にバラバラ表示されることによって・・・」という部分は、資料3の新旧対照表の中ではどこを見ればよいのか。

事務局(足立)資料3P1の現行の3条「一括して」などの規定を根拠に、これまでは別記様式に厳密にのっとっていないといけなかった。改正案では3条から「一括して」の文言を削除し、表示方法については第4条第2項(1)で、別記様式は基本としつつも、別記様式と同等程度に分かりやすく一括して表示できることとしている。基本的に一括して記載していただくが、プライスラベルなどで工夫することは可能であるということ。

渡邉委員公表するに際し、「一括して表示することを基本としつつ、わかりやすく工夫することも可能」との旨を、ポイントの文章の中に明示するべき。

事務局(足立)パブリックコメントの際にはご指摘のとおり修正したい。

(2)加工食品の原料原産地表示について

事務局より資料5,6について説明。

丸井座長資料6P.1は、20食品群を検討した際に議論したところである。検討の中では、生鮮食品と加工食品はどこで線が引けるのか、加工度が低い、または高いということはどのように判断するのか議論してきたところである。また、これまで個別の品質表示基準で原料原産地表示を義務付けていたが、20食品群の検討の際は、個別の品目を取り上げて議論するのではなく、品目横断的に整理してきたところである。

増田委員製造・流通の変化として、日本産の原料を海外で加工して、日本に輸入している原料も増加しているのではないか。その場合、原料原産地をどのように考えるのか。例えば、骨なしの魚の場合、魚は日本で漁獲され、それを中国でX線検査を伴うような骨抜き加工を行い、再度日本に輸入しているような場合、原料原産地はどこになるのか。また、このような中国での加工は、加工度が低いのか、高いのか。

門間委員資料6P.5にある要望には、前回20食品群を義務づけする際に議論し、決着済みの要望も含まれているのではないか。

事務局(足立)基本的に、20食品群決定後に要望があったものについてまとめている。

門間委員具体的な要望を資料として提示してもらいたい。

丸井座長以前も加工度が高くても表示すべきとの議論があったと思うが、生鮮食品に近い20食品群に整理したところである。特に、考え方についてご意見があれば伺いたい。

沖谷委員20食品群の義務付けを検討した際は、まず品目一律の考え方を整理するということがあったので、加工度が高くても原産地の属性に製品の品質が左右されるものがあるのかという部分については、捨象して議論した。加工度が少し高い食品でも産地の属性が反映されているものは、製造メーカーが知っているはず。緑茶飲料も同様のことがいえる。このような情報は知ってもらった方が消費者の選択に資すると思うが、製造者から示していくことが良いのではないか。

上谷委員消費者の生活に身近な品目が今回の要望品目になっていると思う。事業者は苦労すると思うが、消費者としては対象品目を拡大してもらった方がよい。

門間委員品質表示基準は義務表示であるので、事業者は罰則を伴うことになり、負担となる。任意で表示することとは異なる。資料5によると、煎茶、こんにゃく、うずら卵水煮、焼きのり、干しのりなど生鮮食品に近い食品でさえ表示の定着状況が低い現状にある。このような状況で表示を義務づけることについては、実効性が問題になるのではないか。
 資料6P.5の要望者は一次生産者だが、JAS法の目的に、生産振興は含まれるのか。

事務局(足立)含まれない。消費者の選択に資することが目的となっている。

門間委員消費者の選択に資することが目的であれば、生産振興のための議論は、目的にそぐわないし、別の場で考えるべき問題である。 20食品を選定したときは、公開ヒアリングにより、事業者、消費者双方に意見を聞いた。加工食品については、消費者の関心、製造・流通の実態、実際に表示の実行可能性の観点から、対象品目を検討することが重要である。

丸井座長現在、表示が難しいから表示をしないということではなく、むしろ表示をすることを前提としていく中で、原料やプロセスの見直しがされるということも起こり、原料原産地表示が可能な食品もあるのではないかと思う。できるものに表示をすることで、結果的に消費者の受益につながる。見直しの方向としては、20食品群を選定した要件の中で、製造や流通の状況が変化してきていれば、見直しを行うという考え方で進めていきたいと考えている。本日は具体的な意見を頂いたので、本日の議論を踏まえて今後見直しを行っていくこととしたい。

板倉委員20食品群を議論した際、ルールを決める時には共同会議の委員ではなかったので参加していなかったが、消費者は日常生活でよく使われているということもルールとしてほしいと思うのではないか。加工度の低い食品として義務づけられた食品は、消費者の感覚とギャップがあるように感じる。飲料は加工度が低いと考えるが、加工度が高い食品とされた。20食品群についての議論をまとめてほしい。例えば、果実飲料は加工度が低い食品と考えていたが、実は加工度の高いことから、対象食品にならなかったなど。また、政治的色あいがあると、ルールがめちゃくちゃになるので、そもそも論までさかのぼり、本当に産地によって品質に差があるのかどうかについて、データなどがあればそれを基に議論してはどうか。消費者がどのように感じているかも含めて示していただけないか。

事務局(水田表示・規格課長)JAS法の目的は消費者の選択に資するためであり、品質の差があるものについて表示を義務づけている。客観的な品質の差についてのデータというものは難しいが、少なくともメーカーが強調表示してアピールしているものは、品質の差があるものの目安になると考えている。20食品群を決めた時の考え方として、原料の産地による品質の差に影響するという要件があり、これを具体的には加工の程度が一段階ということで整理したが、そうでないものであっても一般的には加工度が低いと思われているものもあるので、そういう点も含め、整理し検討していきたい。

米谷委員消費者は、品質そのものに加えて、残留農薬などに対する懸念があり、そこから産地表示への要望に繋がっている面があるのではないか。

丸井座長現在、品目横断的な原料原産地表示を検討した際の委員も事務局も入れ替えがあったので、以前の議論を一度まとめるのも有効と考える。共同会議では、個別の品目をそれぞれ検討するのではなく、ルールを決めて、そのルールをみながら対象品目を検討していくこととしたい。 では、最後に次回の日程について、事務局よりお願いする。

(事務局から次回の第26回は11月29日(火)午後で調整しており、改めて連絡する。)

以上

トップへ