05/09/27 労働政策審議会職業能力開発分科会第20回議事録           第20回労働政策審議会職業能力開発分科会 日時: 平成17年9月27日(水)10:00〜 場所: 厚生労働省合同庁舎5号館9階 省議室 ○今野分科会長  ただいまより第20回労働政策審議会職業能力開発分科会を開催いたします。本日はお 忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。今日の委員の方たちの出 席状況ですが、中馬委員、鈴木委員、中村紀子委員、草浦委員がご欠席です。また、鈴 木委員の代理として平田様がご出席です。江上委員が所用で少し遅れるとのことです。  まず議事に入る前に、厚生労働省における人事異動がありましたので、一言ずつご挨 拶をいただければと思います。 ○審議官  8月26日付けで審議官を拝命しました草野です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○総務課長  同じく総務課長を拝命いたしました杉浦です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○特別訓練対策室長  8月1日付けで特別訓練対策室長を拝命しました石坂と申します。よろしくお願いい たします。 ○育成支援課長  8月1日付けで育成支援課長になった石田です。よろしくお願いいたします。 ○能力評価課長  同じく評価課長の小林です。よろしくお願いいたします。 ○調査官  総務課調査官の村山です。よろしくお願いいたします。 ○今野分科会長  それでは議題に移らせていただきます。本日の議題は「平成18年度職業能力開発局の 重点施策及び概算要求の概要について」と、もう1つは「今後の職業能力開発の在り方 について」の2つです。まず第1番目の議題の「平成18年度職業能力開発局の重点施策 及び概算要求の概要について」、ご説明いただきたいと思います。よろしくお願いしま す。 ○総務課長(杉浦)  資料1に基づき、議題の「平成18年度の能力開発局の重点施策と概算要求の概要につ いて」、説明をいたします。来年度の能開局の重点施策を大きく3つの柱に分けていま す。Iは各世代に必要とされる職業能力の開発・向上の促進で、2007年問題への対応と いう副題を付けています。我が国においてはご承知のとおり、人口減少社会が到来して いるということで、経済社会を支える人たちが減少する一方で、若者をはじめとする人 材育成がなかなか進まないということで、今後、我が国の産業を支える人材の質の低 下、あるいは生産性の向上が困難となるというような懸念があります。また、加えて 2007年問題、団塊の世代が60歳に到達し、これら熟年技能者の技能の継承といったよう な問題が重要な課題となっています。こうした課題を踏まえ、18年度の概算要求におい ては、若年、壮年、高齢といった各世代に必要とされる職業能力の開発・向上を促すと ともに、この団塊の世代の高齢化に伴う技能継承に対する支援を重点的に行うことにし ています。  1として「成長過程にある若者の職業人としての自立の推進」ですが、(1)は実務 ・教育連結型人材育成システム、いわゆる日本版デュアルシステムの推進です。ご案内 のとおり、この日本版デュアルシステムは企業と教育訓練機関の連携の下に、座学と企 業実習を組み合わせた教育訓練を行うことにより、学卒、未就職者などの若者を、企業 が求める実践力を備えた人材として育て、安定的な雇用に誘導するというものです。平 成18年度においても、この日本版デュアルシステムについて、民間活力を活用するなど して、さらなる普及定着を図るため、各種の施策を実施することとしております。  (2)がニート等の自立を支援するための地域における体制の構築です。これは新し い施策ですが、地域において地方自治体の積極的な関与の下に関係行政機関、教育界な どの各若年者を支援する機関がネットワークを構築して、それぞれの若年者がそのとき どきの状態に最も適した支援を継続して受ける仕組みを作り上げるということで、「地 域若者サポートステーション(仮称)」を設置したいと考えています。このサポートス テーションにおいてキャリア・コンサルタントや臨床心理士を配置し、相談・支援の事 業や職業意識の啓発、あるいはコーディネート事業を行い、この事業を効率的かつ効果 的に推進していこうと思っています。また、中央にもこれらの全体を統括するようなサ ポート機関を設置して、情報提供を行おうということを考えています。  (3)は若者自立塾の拡充です。今年度からいわゆるニートといわれる人たち、社会 生活や職業生活の前提となる生活習慣や就労意欲が欠けているような人たちを対象とし て、合宿形式による集団生活の中で、生活訓練、労働体験等を通じて、職業人、社会人 として必要な基本的能力の獲得、勤労観の醸成を図るといったようなことで、実施して います。今年度、20箇所において実施をしていますが、来年度についてはこれを40箇所 に拡充したいと考えています。  (4)が学卒、若者向けの実践的能力評価・公証の仕組みの整備で、いわゆるYES −プログラムというもので、引き続き実施をしていきたいと思っていますが、若者向け に就職基礎能力の内容を示して、これらを身に付けるための講座、あるいは試験を認定 するとともに、認定講座を終了したことについて、証明書を発行するというような仕組 みですが、この普及促進、あるいは検定職種の拡大を図っていきたいということです。  (5)が民間におけるeラーニングの活用の促進で、インターネット等を利用して、 いつでもどこでも能力開発ができる仕組みに関する情報提供体制の整備を図って、労働 者のキャリア形成支援に資する情報を総合的かつ体系的に提供する仕組みを充実してい きたいと考えています。  2番目が「社会の中核である壮年者層の能力開発の推進」です。(1)が個人のニー ズを踏まえた能力開発に取り組む企業への支援の拡充ということで、労働者に対して時 間的、金銭的な配慮を行うなどの労働者個人のニーズを踏まえた能力開発に取り組む企 業に対する助成措置を拡充していくことにしています。具体的には例えば従業員が自主 的に行う能力開発を事業主が支援する制度を導入したり、従業員が行った能力開発を支 援した場合に、その費用の一部を助成する給付金を新設するなどの措置、あるいは各種 助成金の見直し拡充を行っていきたいと思っています。  (2)が事業主の人材育成能力の強化です。企業における人材育成上の問題点とし て、指導人材の不足、あるいは時間の不足などの課題があるということなので、こうい った企業内の訓練担当者を育成する訓練カリキュラムの開発・普及を図ることとしてい ます。  (3)がキャリア・コンサルティングの推進で、平成14年度以降5万人を官民で養成 するという目標で、このキャリア・コンサルタントを増やしてきていますが、さらに引 き続きこの養成を推進し、あるいは一方で質の向上も図っていくということで、このキ ャリア・コンサルティングを通じたキャリア形成支援を進めていきたいと考えていま す。  3番目が「職業生活の転換期にある高齢者のキャリア形成の支援」です。(1)が地 域における創業を支援する能力開発の推進ということで、東京と大阪に創業サポートセ ンターをすでに作って、起業に対する支援、そのために必要な能力を開発するといった ような施設を作っていますが、さらにこの施設、東京や大阪ほど大がかりではないので すが、創業支援スポットということで、もう2つぐらい拡充をしていきたいと考えてい ます。  (2)は起業等を支援するための多様な職業訓練機関の確保ということで、高齢者の 起業等のための委託訓練を推進していきたいと考えています。  4番目が「キャリア形成支援のための能力開発基盤の整備」です。こういった各世代 の能力開発を進めるために必要な能力開発基盤を整備するために、(1)として幅広い 職種を対象とした職業能力評価制度の整備を考えています。すでに経理や人事等の事務 的職務や電機・機械機具、製造業など評価基準、能力評価の基準を策定してきています が、これをさらに引き続き推進していきたいと考えています。  (2)が民間教育訓練機関の積極的な活用等効果的な職業能力開発の推進ということ で、専修学校等のあらゆる民間教育訓練機関を活用して、多様な能力開発機会の提供を 行うこととしています。  (3)が能力開発に積極的な企業を推称する制度の創設として、新規施策ですが、能 力開発に積極的に取り組む企業について、その内容、成果等を評価・公表することによ り、企業による能力開発の取組の促進に資するといったような制度を創設したいと考え ています。  5番目が「団塊の世代の高齢化に伴う技能継承等の支援」で、(1)が2007年問題に 直面する中小企業等への技能継承支援の創設です。この問題に対応するということで総 合相談窓口を行う技能継承等支援センター(仮称)を設置し、中小企業団体等による技 能継承の支援の推進、あるいはその技能継承を行う企業に対する助成制度を創設すると いったことを考えており、この2007年問題に取り組む企業を支援するというものです。  (2)がものづくり立国の推進ということで、この2007年問題を含め、子供から大人 まで国民各層がものづくりの重要性を広く認識して、ものづくりに親しむ社会を形成す るということです。工場、民間、公共の訓練施設などの開放、あるいはシンポジウムの 開催、若者によるものづくり競技大会などの実施を通じて、ものづくりに親しむ社会を 形成したいと考えていますが、2007年に国際的な技能競技大会であるユニバーサル技能 五輪を日本で開催することになっていますので、それらの準備を含めたこういった取組 みを進めていきたいと考えています。  IIがフリーター・ニート等若者の人間力の強化の推進です。若者をめぐる雇用環境に ついては引き続き厳しい状況が続いており、政府としても、今年の6月に閣議決定され たいわゆる骨太2005においても、昨年策定された若者の自立挑戦のためのアクションプ ランを強化推進するとされています。こういったことで、雇用対策と相俟って若者の能 力開発対策を進めていきたいと思っています。先ほど述べました若者の能力開発対策と 重複する部分が相当ありますが、フリーター25万人常用雇用化プランの推進の一環とし て、先ほど申しました日本版デュアルシステムの推進とか、ニートの自立を支援するた めの地域における体制の構築、若者自立塾の拡充などを行うことにしています。また、 学生から職業人へ円滑な移行を可能とするため、若者向けのキャリア・コンサルタント を能力開発大学校等で養成するとともに、市町村の既存施設等を活用したキャリア・コ ンサルティングを実施するほか、こういった若者向けの実践的能力評価や公証の仕組み について、整備をしていきたいと考えています。  IIIは、障害者の職業能力開発の関係です。1番が「障害者に対する職業能力開発の 推進」で、(1)として、公共職業能力開発施設における障害者職業訓練の推進です。 障害者職業能力開発校が未設置の地域において、職業能力開発校に知的障害者等を対象 とした訓練コースを設定して、この障害者の職業訓練を引き続き推進していきたいと考 えています。  (2)は企業や社会福祉法人等の多様な委託訓練先を開拓して、知的障害者や精神障 害者の方々などの態様に応じた職業訓練を拡大していきたいと思っています。6,000人 から6,500人に対象者を拡大したいと考えています。  (3)は福祉機関や養護学校等の関係機関が一体となり、障害者の職業能力開発に取 り組む連携体制の確立。社会福祉法人などの民間機関において能力開発を推進する人材 の研修などを行う事業を、障害者職業能力開発プロモート事業として、政令都市レベル で試行的に実施をすることにしています。  最後が「生活保護受給者及び児童手当受給者に対する就労支援」で、いわゆる母子家 庭の母等という方々ですが、こういった母子世帯数、あるいは生活保護の世帯数の増加 を背景に、その職業的自立のための施策、就労支援策の必要性が高まっているところ で、今年度に引き続き「自立支援プログラム」に基づき、その訓練が必要と判断された 方々に対し、準備講習付きの無料の職業訓練の機会を提供したいと考えているところで す。 以上が来年度の重点政策及び予算の概要です。 ○今野分科会長  ありがとうございました。いまの説明についてご質問、ご意見をお願いいたします。 ○黒澤委員  いくつか質問させていただきます。1の(2)のところで「地域若者サポートステー ション」というのがあるのですが、これは例えば教育機関、若年の支援機関ネットワー クということでしたが、そうするとサービスの一環としては教育機関への相談サービス のような提供、つまり求職者に対するサービスだけではなくて、学校でこういうような キャリア教育をすると、ここでは効果があったとか、そのような情報の提供のような 形、あるいは相談のようなサービスも含まれるのかどうかということが1点です。  2頁の2の(2)の事業主の人材育成能力の強化ですが、これは業界別というか、何 らかの枠組みがあると思うのですが、その辺をもう少し教えていただきたい。これは内 容、基準というのはどういったものにリンクするのか、例えば4番の幅広い職種を対象 にしたというような職業能力評価基準の策定や普及を図るということがあるのですが、 例えばそういったものを教えることができるような人を教育するという形での何らかの 相互間のリンクがあるのかどうかを教えていただければと思います。 ○キャリア形成支援室長  最初のサポートステーション事業について説明します。このネットワークで期待して いるのは先ほど総務課長が申し上げましたように、それぞれの機関における支援、もう 1つの機能はこのネットワークでニート状態にある若者を集めてきて、この支援の輪の 中に連れてくるという2つの効果を期待しています。その中で、学校に期待されるの は、1番はドロップアウトしてしまう、例えば中学卒でそのまま高校にも進学しない、 就職もしないというような若者たち、あるいは高校を中退してしまうような若者たちを 把握して、こうしたサポートステーションを核とするネットワークのほうに誘導してい ただく。これが1番の期待だと思います。あまり私どもの政策でいうべきことでないか もしれませんが、もう1つあるのは、把握された若者が必要に応じて、場合によっては 心理的な支援が必要になる方もいらっしゃいましょうか、中には再教育の必要性といっ たこともよく言われていますので、再教育の部分は私どもが責任を持つ部分ではないか もしれませんが、そういうところにつなげるということはやっていきたいと思っていま す。  委員のご質問にありました、教育機関でのキャリア形成支援の部分はあまり想定して いない部分ですが、現実問題としてはキャリア・コンサルタントを配置する予定にして いますので、その中で現実の連携の中ではそういう支援もあり得るかもしれません。た だ、私どもの想定の中には入れていないということです。 ○能力開発課長  第2点目の事業主の人材育成能力の強化ですが、これについては企業における人材育 成能力を強化していこうという考え方の中で、相模原にある能力開発総合大において、 特に企業の中においてOJTなどを中心として、部下なり従業員を教育する立場にある 人たちを育成していけるような、そういうプログラムを開発しようという話です。具体 的な中身としては、計画的な職業訓練の実施、あるいは今どういうことが必要とされて いるのか、いまOJTを具体的に進めるためにはどういうノウハウが必要なのかという ことを研究し、初年度はその研究を踏まえてプログラムを策定しようと思っています。 2年目以降は、民間あるいは総合大、あるいは公共職業訓練でも実施するとともに、最 終的には公共職業訓練の基準にも反映をさせていくということを考えています。モデル カリキュラムを公開し、民間で実施していただけるようにする。教材なども開発してい くということを2年目にやり、3年目で公共及び民間でそういうものが本格的に実施さ れていくよう計画しているものです。能力評価基準そのものをシステム的にどう使うか という話にはなっていないのですが、当然プログラム開発の過程の中で、そういうデー タなどは活用されていくことになるのではないかと思っております。 ○佐藤委員  1つはいまの黒澤委員のご質問にもかかわるのですが、1頁の1の(2)の「地域若 年サポートステーション」なのですが、お話を伺うと、若者向けの就職までの支援をす るいわゆるジョブカフェもワンストップサービスのセンターを作っているわけですね。 あれとまた別に、何かすごく似たような感じかという気もしないでもないので、あれは 都道府県がやっているわけですね。厚生労働省と経済産業省のお金が入っているわけで すが、あれとどう棲み分けるのかということを教えていただきたいということです。  2つ目は2頁の4の(1)の職業能力評価制度について、これも黒澤委員と多少かか わるのですが、これは3年目に、各業種立派な強化基準ができていると思いますが、立 派なものができているということと、実際使われるのはどうなのかということがあっ て、最近は自動車の組立工のをいただいたのですが、評価基準の作り方が各業種全部同 じ考え方で枠組みが作られています。その結果、各業種、各業で使いにくいものができ ているのではないかと思っていて、例えば自動車の組立工はかなり上のレベルまで作っ ているのですが、そういうものは各社が必要としているので、自社でそれぞれ作ってい ます。例えば自動車だと期間工を雇うときとか、期間工として働くときは有期契約の期 間工の人たちのスキル標準みたいなものは必要かもしれない。だけどその先のリーダー 開発までずっとやるのは、そういうものは本当は流動化するということを考える、ある いは各社が必要としているのかどうか。ただ、考え方はそこまでというと産業横断的に 作れとなってしまうので、立派なものができているということと、本当に今回の普及促 進というときに、企業なり産業のニーズのあるものができているのかというのがちょっ と気になるので、初年度に作ったものとかが実際に使われているかどうか、フォローア ップされているかどうかを伺いたいという、その2点です。 ○キャリア形成支援室長  サポートステーションについてお答えします。端的に申しますと、1つは対象がジョ ブカフェではフリーター等を対象にしていて、サポートステーションはニートを対象に しているということです。その結果、こういったところが違ってきます。ジョブカフェ は現実問題としてフリーターといっていますが、学生たちがたくさんきています。ニー トの諸君は活動範囲が狭く、地域における支援が非常に重要だと思っています。ジョブ カフェのほうは実際に県からも相談を受けるのですが、分所を設けているところもあり ますが、基本的に県庁所在地に置いているという仕組みになっています。ですから、ニ ートの皆さんは行きにくいですし、ニートの親御さんから相談があるそうですが、ニー トとフリーターでは全然違うので、その辺りの支援の仕方に困惑しているという相談も 受けています。  他方、市町村レベルですと勤労青少年行政などの経験もありますし、地域のいろいろ な支援施設とのネットワークが組みやすいということで、県との関与はやはりやってい ただかなければいけないと思いますが、基本的に中核都市辺りを念頭に置いて整備して いきたいと思っております。 ○能力評価課長  評価基準の関係はご案内のとおり、毎年度10業種ぐらいずつやっており、いま17業種 ぐらいまで到達しています。すでにでき上がったところでは、モデル事業みたいな形で 推進してきたところもあり、例えば流通の関係等においては、業界の検定制度みたいな ものにそれを反映させていただくような、それを踏まえてカスタマイズしていただくよ うな取組が見られているところです。折角、こうやって基準を作っているので、これか らはもう少し活用状況をきちんとフォローするのと、うまく活用された好事例というの を収集して、それがほかの業種にも波及するようにしてもらいたいと思っています。も ともとの発想は、労働者に対しての一定の指標を提供しようということと、企業内で活 かしていただこうという両面があったかと思うのですが、確かにご指摘のとおり、全体 が何となく繰り返しという中で、少し金太郎飴的になっている部分があるのではないか というご指摘はあるのかと思っており、これから活用状況を把握していく中で、活用に 場面が移っていくと思いますので、その辺も適宜工夫をして、見直すべき部分は見直し ていきたいと思っております。 ○今野分科会長  よろしいですか。何か追加でありますか。 ○小栗委員  5番目の(1)の2007年問題に直面する中小企業団体等に対するいろいろな技能継承 支援の推進の問題なのですが、初めてこれを創設されるということなのですが、中身が ちょっとわかりづらいのですが、どのようなことを具体的にされるか、もう少し補足し ていただけるとありがたいのですが。 ○能力評価課長  2007年問題の対応で、これは若者のものづくり離れというか、技能離れの問題と合わ せて今後の大きな課題だと思っています。大企業においてはもともとこの問題が深刻化 するということを前提に、技能継承の取組はかなり進んでいるようですが、中小企業の ほうはなかなか日常の業務に追われているということもあり、進んでいないという状況 にあります。私どもが中小企業の状況を聞いたりすると、やはりノウハウの面や資金の 面でなかなか、もちろん時間面でもというのがネックになると思うのですが、時間面を 別にするとノウハウや資金面での課題を抱えているということがあります。1つは技能 継承を、ノウハウ、資金等でどうやってサポートしていくかということがあるので、こ ういったことに対応する地域の相談窓口というのを作りたい。それを中核として具体的 に技能継承をやっていくということになると、まず、事業内にどのような技能がいまあ って、誰がそれを有していて、どのような形でその方がこれから引退過程に入るかとい うようなことを把握していただく必要があると思います。それをいかに円滑に継承して いくかということになると、例えば退職した方、退職しようとする方を活用してのOJ Tや中小企業が団体としてまとまってのoff−JT的な技能塾みたいな取組、あるい はいまある技能をマニュアル化したりデジタル化したりといったところに、ノウハウや 資金面での必要が生じてくるでしょう、といったことを団体、あるいは個々の事業主と して取り組む場合に、1つは資金的な援助をしていきたいと思っており、それに要した 費用の助成制度の創設を考えています。  具体的にはこれから必要に応じて法的整備等も必要な場面も出てくるでしょうから、 そういうところはやるとともに、今回まだ具体的な予算が19年度からになるということ もあって、18年度は枠組みを創設するということに止まっていますが、19年度において は必要なそういう助成措置の手当てもしていきたいと考えています。 ○小栗委員  私は所属している組合の鉄鋼関係の企業とお話をしているのですが、中小企業におけ る2007年問題はかなり深刻に受け止めて、行政がこれをサポートされるのは非常にいい ことだと思っています。そういう意味で相談窓口の設置というのは、どのような場所で どのようにやられるのか、あるいは中小企業団体等ということになっていますが、中小 企業団体等のイメージは、個々の会社が具体的に相談窓口に行けるのか、団体を通じて でなければいけないのか、その辺がわかりにくいのですが、まだ準備段階なのでそこま で整備されたものになっていないと思うのですが、できる限り個別の企業で悩んでいる 会社の皆さん方をうまくサポートできるような、そんなシステムを是非作っていってい ただきたいと思います。 ○鈴木委員代理(平田様)  1点だけ質問します。資料2頁の上から2行目、「企業に対する助成措置を拡充する 」とありますが、現在の仕組みを詳細に理解はしていないのですが、どういった方向で の拡充なのかということを、もう少し詳しくご説明いただければと思います。 ○育成支援課長  ここのところは明確に書いていませんが、委員の皆様方はご承知のいわゆるキャリア 形成促進助成金を念頭に置いて、そこについて一定の拡充措置の予算要求をしていきた いと考えています。いま現にキャリア形成の自発的な取組について、時間なりあるいは 余裕というか、いろいろな問題点があるということは指摘されているデータがまた出て くると思いますが、そういったことにも着目しながら、例えば休暇の取り方について1 日単位ではなくて時間単位でも取れるようにするといったことを、キャリア形成促進助 成金の中でも支援できるようにするといったことを含めて、拡充を考えています。 ○谷川委員  2点ありまして、2頁の4の(2)に民間教育訓練機関の積極的な活用等効果的な職 業能力開発の推進で205億円と書かれています。この中身をもう少し具体的にお願いで きるでしょうか。2点目は非常に一般的な質問なのですが、キャリア・コンサルタント ということが盛んに話題になっているのですが、私がわからないのは、一般的にクオリ フィケーションみたいなものが存在しているのかどうなのか、いわゆる資格みたいなも のでキャリア・コンサルティングというのが何か決められているのかどうか、この辺の クオリフィケーションというか、実際にこういうものが求められていて、そこをどのよ うにコンサルタントとしての格付けみたいなものが維持されているのかどうか、もしお わかりでしたら教えていただきたいと思います。 ○能力開発課長  この民間教育訓練機関の積極的な活用の中身は、一言で申し上げますと、民間の教育 訓練機関等に対する委託訓練の推進です。対象としては専修学校、大学、NPO、ある いは個別の事業主に対して訓練を委託していくというお金です。最近は施設内の公共職 業訓練よりも、むしろ民間をもっと活用すべきではないかということが言われています ので、その委託訓練の比率も徐々に高めていかなければいけないということもあり、そ れを積極的に推進するというための予算であります。 ○キャリア形成支援室長  第2点目のキャリア・コンサルタントのクオリフィケーションですが、結論を申し上 げますと、国家資格でも何でもなく民間資格です。ただ、適切なキャリア・コンサルタ ントの育成を促進するという観点から、キャリア形成促進助成金の中に、職業能力評価 推進給付金という制度があります。これらを用いて適切なキャリア・コンサルタントの 能力評価試験を指定するということで、いま10の試験を指定しています。これが実質的 で、どうせ受けるならばこの指定試験の資格を取りたいというのが皆さんのインセンテ ィブになっており、この辺りが1つの資格のような役割を果たしています。現に需要側 からもキャリア・コンサルタントの資格はないのですが、指定試験の合格者であること という要件を課す都道府県、民間といったところがあり、そういう仕組みになっていま すが、やはりきちんとした制度にしていく必要があると思っており、養成機関、試験機 関が集まり、キャリア協議会を作っています。ここで今後、協議会としての統一試験基 準、あるいは養成講座基準を作り、認定をやっていこうという方向に向けて年度末に結 論を出すということで、いま議論をしていただいているところです。 ○井上委員  3頁の障害者の自立のところですが、1番の(1)です。障害者職業能力開発校の未 設置の地域において、職業能力開発校に知的障害者を対象として訓練コースを設定する ということですが、まず、この障害者の職業能力開発校の未設置の地域がどのくらいあ るのか。職業能力開発校で知的障害者の訓練コースを設定するとあるのですが、新しく 設定するものなのか。職業訓練は誰がやるのか、それを教えていただきたいと思いま す。 ○能力開発課長  障害者の訓練については、身体障害者などは一般の能開校で訓練を受けられる場合は 一般の訓練校に入っていただくということにしているのですが、最近は重度化とか、あ るいは知的障害者、精神障害者、発達障害者など障害が多様化が進行しており、ある程 度専門のコースを組まないと難しいということがあり、全国で19校、障害者専門の能開 校が設置されています。ただ、19校あるのですが、県としては17県程度で、そのほかの 県については基本的にはそういう施設内の訓練校がないという状況だったわけです。そ れで、16年度から特に知的障害者を中心として一般の訓練校の中に、知的障害者の専門 コースを新たに設置する。それは一般の訓練校が運営するわけです。ですから指導員等 も研修をして、障害者の訓練ができるようにしてやるということで、いまちょうど23県 まで拡大してきて、障害者校のある所を除いて、全く施設がないのは10県ぐらいという 状況になっています。ただ、それでも施設内訓練はそういう形で若干地域的に不十分な 面がありますので、最近は(2)にある多様な委託訓練を積極的に展開することにして おります。施設を新たに作ったりするのは難しいものですから、民間の社会福祉施設と か、社会福祉法人、教育訓練機関、あるいは事業主、重度障害者をいっぱい雇っていた だいている、特例子会社というような所が受皿となり、障害者の訓練をやっていただい ているということで、委託訓練も大幅に拡充するという対策をとっているところです。 こういうことにより、なるべく多くの障害者の方が、身近な地域で訓練が受けられるよ うにという対策の充実を図っているところです。 ○山野委員  5番の団塊の世代の技能継承について、もう一度伺いたいのですが、中小企業は非常 にいま人材が不足しているというか、若年層の人材で困っている中小企業が大変多いの ですが、この辺の支援の創設が書かれていますが、窓口は商工会議所が中心になってい くのではないかと、思っています。今年度はとりあえず枠組みを取るだけとおっしゃっ ているのですが、次の見通しを教えていただきたいのと、その先をどう考えているのか を教えていただきたい。また、4の(3)ですが、積極的な企業を推称する制度なので すが、これはどのようなことを考えていらっしゃるのか教えていただきたいと思いま す。 ○能力評価課長  技能継承の問題については、これからさらに詰めていきたいと思っています。まず相 談窓口についてはどこか我々の関係する所に、第1次的な所を設けたいと思っており、 いまのところ想定しているのは都道府県に職業能力開発協会というのがありますので、 ここが事業主団体等と日ごろから連携していることや、技能検定等々の対応もしていた だいているので、この都道府県職業能力開発協会に窓口を置きたい。ただ、現実に効果 を上げるためには、そことのネットワークづくりが非常に重要になってきますので、そ のネットワークづくりをこれからしっかりやっていくのが大きな課題だと思っていま す。  中小企業団体や中小企業への支援については、いま中小企業労働力確保法という中小 企業団体、あるいはその傘下の中小事業者に対する支援の枠組みがありますので、この 枠組みを活用する形で、その制度の認定事業主という形に、この技能継承というものに ついても、その認定対象に含めるという形で、その枠組みを使って、中小企業団体、そ の構成の中小企業事業主に対して、うまくノウハウやあるいは先ほど申し上げました技 能継承のためにいろいろ資金面での必要性も出てきますから、必要な助成ができるよう にしていきたい。そのためにはこれから制度面での法律改正を含めた制度面の改正、予 算の裏付け、ネットワークづくり等々が必要になってきますので、そこは必要な措置を 講じて、対処していきたいと思っています。 ○基盤整備室長  推称する制度の創設の関係ですが、趣旨としては我が国の就労人口が減少し、労働者 の職業生活の長期化が見込まれる中で、これまで以上に労働者個人が生涯を通じて能力 を高めて、充実した社会の形成が必要だということが大前提であります。これについて は、企業が労働者の能力開発について非常に大きな役割を占めている中で積極的に個人 に対する職業能力開発を行っている企業を見つけ出して、これを国として評価するとい う仕組みを作っていき、企業の積極的な職業能力開発の取組の促進に資するようにして いきたいと思っています。ご質問の「どのように」ということなのですが、これについ ては国として評価、推称するに値する能力開発の水準に対しての基準をまず評価委員会 において作り、その基準を公表して、基準に該当する企業についてはそれを見て申請を していただく。それについてこちらで適用基準について該当するかの審査をさせていた だき、証明書を発行するというようなことを考えているところです。基準の類型例とい うことでいうと、若者、高齢者、障害者等々に対して、優れた職業能力開発を行ってお られる企業ということで考えているところです。 ○玄田委員  質問というよりもどちらかというと要望に近いのですが、今回の施策を見ますと、サ ポートステーションのような新しい取組もあるのですが、一方これまで行われてきた施 策を継続もしくは拡充するという方向も、かなり色濃くあるかと思います。そう考えた 場合に、佐藤委員がおっしゃったようなこれまで実際にやってきたことが、どのぐらい の効果があるのかという評価も知りたいところですし、もっと根本的にはどのくらい認 知されたのかということは、とても大きな問題だろうと思っています。その意味では、 これは総務課なのか、基盤室なのか私はわかりませんが、もう少し抜本的な広報体制の 構築をそろそろ本気で考えたほうがいいのではないか。これまで施策の中で広報とか啓 発、普及については、どちらかというとそういう施策の中の一部として存在していたよ うな印象があります。ただ、そうではなくて、もう少し広く、これだけの施策があっ て、実際にはどこに行けばいいのか。サポートステーションを作るにしても、それは全 国のすべての市町村に置くことは土台無理なわけですから、どれだけこれを知ってもら えるかということの体制を、かなり本格的に、具体的には民間の専門家チーム等を活用 してやっていかないと、折角これだけのお金をかけてやっても、全然知らないというこ とのほうが現実には多いのではないでしょうか。実際そのためには、例えば先ほどキャ リア形成支援室長もおっしゃっていたかと思うのですが、まずは若者の問題について は、ニート本人、フリーター本人よりも、親にこういう施策についてどれだけあるのだ とか、利用できるのだ、意味がありそうなのだということを伝えていかないと、どれだ けやってもまだ無理だろうと思います。  この資料の中にキャリアという言葉が9回出てきますが、例えばキャリアという言葉 を、誰もと言いませんが、かなりの部分は何のことだと思っております。そう考えたと きに、かなり大規模な本格的なそういう体制を作っていかないと、きっとうまくいかな い可能性が大きいだろうというのが1点です。 ○今野分科会長  実はもう1つ、大きな議題がありますので、ほかにご質問はあるかと思いますが、こ れを最後にしたいと思いますので、ご回答を短くお願いします。 ○職業能力開発局長  サポートステーションの新規については、まだ予算要求中なものですから、決まった 時点でPRはしていきたいと思います。例えば若者自立塾で言いますと、親御さん等に はPRはかなり浸透しており、ある所の塾のアンケートを取ったところによると、半分 は親からのアクセスで、本人が残りの7割、あとはその他で、ある塾の20人ぐらいの結 果なのですが、そういう意味では動き出したものについて一生懸命にやっていますが、 ご意見を踏まえて引き続き漏れのないように努力したいと思います。 ○今野分科会長  最後の玄田委員が言われたことは要望ですので、玄田委員はしつこいから、毎回そう いうことでチェックをすると思いますので、対応のほうをよろしくお願いします。それ ではまだご質問はあるかと思いますが、次の議題に入りたいと思います。  次は、「今後の職業能力開発の在り方について」ということですので、これについて 事務局よりご説明願います。 ○総務課長  それでは2つ目の議題ですが、資料2−1に、「今後の職業能力開発促進政策の基本 的視点」というペーパーに沿ってご説明いたしますが、併せて資料2−2の関連データ を参考資料として付けております。資料3はこれからの説明の中にも出てきますが、ま た、前回の分科会のときの委員の方々からの発言もあり、現在の7次計画の評価につい て、しっかり検証すべきではないかという発言がありましたので、それを踏まえてそれ ぞれの取組について不十分かもしれませんが、評価を書いています。資料4は前回と同 じもので、能力開発行政の基本的な仕組み、基礎的なデータの資料集なので、参考にし ていただければ幸いです。  それでは資料2−1ですが、前回の審議会分科会のときに、7次計画が今年度いっぱ いで終了するということで、第8次の基本計画の策定に向けてのご審議をお願いしたい ということでご説明をしたかと思うのですが、これまでの数次にわたる基本計画の策定 も同様でしたが、それと並行して今後の能力開発行政を進めていくにあたり、大きな転 換というか、方向付けをするために、必要な法改正を随次やってきています。そういう 意味では今回もこの計画をご検討いただく中で、能力開発促進法を改正する必要が生じ れば、そういったものも合わせて大きな論点としてご議論いただきたいと考えていま す。  ただ、計画自体は今年度いっぱいに策定するわけですが、法律を次の通常国会に出す ということになると、後でスケジュールの話もさせていただきたいと思いますが、年明 けぐらいまでには法案の概要的なものをまとめて、この審議会分科会で答申いただく必 要があり、その前の段階では今年いっぱいぐらいは法律的なものを含めた大きな論点に ついての方向付けといったことをしていただく必要があろうかと思っています。  そういった意味で、今回は基本的視点と書いてあるとおり、議論のたたき台という形 で当方の考えていることを文章にしてみたものなので、このご説明の後に、幅広くご意 見を頂戴し、今後の進め方を踏まえてご議論いただきたいと考えています。  それでは資料の説明に入ります。Iとして「問題の所在」とあります。ここには〈人 材が経済社会の発展を担う時代の到来〉という項目がありますが、ご承知のとおりサー ビス経済化、知識社会化が進んでいく中で、今後さまざまな能力を持った多様な人材の 育成が経済社会の在り方を左右する大きな課題であるということは、言わずもがなで す。加えて少子化の進展がある中で、一人ひとりの働く人を人材として育てて能力を高 めていかなければならない。これは当然のことです。また、視点を変えて、経済社会の 発展を個人の幸福追求という形で考えると、この国民一人ひとりが資質能力を開花させ て、自己実現を図っていくことを通じて社会貢献するということを具体的な目標とし て、明確に掲げる時代がきているのではないかという問題意識です。  しかしながら、景気は回復はしてきているけれども、企業における能力開発投資は後 退している現状があり、若者を中心としたフリーター、ニートといったような方々が非 常に増えてきているという要因があります。  2頁です。国際的に見ても、我が国における能力開発の投資は、OECDなどの資料 を見ますと、欧米諸国の半分程度の水準しかないという資料もあり、こういった人材育 成の必要性が増している中で、なかなか能力開発は実態的には進んでいないのではない かという問題意識です。また、2007年問題への対応での技能・技術の承継といったこと への問題意識です。  II「人材育成システムをめぐる構造的変化」ですが、1は、「これまでの組織中心の 人材育成システム」とあります。これは労働者の職業キャリアの在り方は、これまでの 大企業を中心とした長期の雇用慣行、安定した雇用を前提として、企業の中でのOJT を中心とした教育訓練が支配的でした。その前提となる新規学卒者の採用についても、 そういう企業内の人材育成システムを前提として、学卒者について、学校の成績を中心 に企業が採用して、企業の中で、それを企業向けに育てていくという仕組みができてい たわけです。  2番目として、これまでのシステムが構造的な変化を起こしているのではないかとい う問題ですが、(1)企業間競争の激化と企業・組織任せのキャリア・能力開発からの 転換とあります。経済のグローバル化や技術革新の進展などによって、企業間の競争が 非常に激化しています。企業の寿命なども全体的には短縮される傾向にあります。  一方で高齢化も含めて、労働者の個々人の職業生涯が長期化する傾向にありますが、 企業が労働者に対する能力開発というのは、これまで企業主体でやってきたことが不十 分になってきている中で、自らがそのリスクにおいてキャリアを考えて能力開発をして いく必要が生じてきているのではないか。一方実態としては、企業側、労働者側として も、そこが十分になされていないのではないか  (2)は、「短期的収益増大と長期的人材育成システムの後退」です。企業間の競争 が激化する中で、企業としては株主利益最大化や短期的収益増大を目標とする考え方が 広まっており、人材管理の面でも、そういう成果主義、能力主義の人材システムが進む とともに、採用も即戦力志向や、早期選抜などが強まっております。そういうものも先 ほどの傾向と併せて、長期的に人材育成システムが後退の方向にあるのではないか。  他方、こうした動きに対して、企業が人材を持続的に育成していくことは重要である ことは間違いないわけですが、近年、企業が利潤・経済的価値だけではなく、社会的、 あるいは人間的価値にも配慮すべきという社会的責任の考え方も有力になってきている 傾向もあります。  人材の面で見ますと、選抜されたというか、中核的な人々については、企業も投資を して能力開発もしますが、一方でフリーターなど、非正規の方々については、能力開発 機会に欠けることになり、その両者の溝が広がってきているのではないか。学卒も採用 の面においても、即戦力となる人たちはすぐ採用されるのですが、そうではない人たち については、入口からすでに能力開発の面からも十分できない状況ができて、それがフ リーターはじめ、失業者の増大になっているのではないかということです。  (4)は、「2007年問題」と現場力の低下ですが、先ほど予算のところでもご説明し ましたが、2007年問題として技能の継承について、大きな課題としてありますので、そ れらを考えていかなければならないという問題です。  5頁ですが、このような我が国産業、経済の中で、これまでもそうですが、現場力を 支える人材の不足感が顕著になり、技能継承の問題と併せて現場力を支える人材を、こ れからより育成をする必要性があるのではなかろうかという問題意識です。  III「課題の整理」です。1番目は、中長期的課題で、ニート・フリーターのような 人たちをはじめとする人材の二極分化で、労働市場における「ひずみ」が目立ってきて いるのではなかろうかということです。現在やっている第7次職業能力開発基本計画で は、(1)キャリア・コンサルティングシステム、(2)職業能力開発に係る情報システム、 (3)多様な教育訓練システム、(4)実践的な能力評価システムを構築するということを掲 げて実施していましたが、こういうものも少しずつは進んできていると思いますが、ま だまだこれからより進めていく必要があるわけですし、こういう労働市場の「ひずみ」 の問題を長期的課題として、今後取り上げて主要目的として考えていく必要があるので はないかというのが、課題としての中長期的なものです。  2番目の、今後の施策の基本的在り方として、6頁以降に書いてありますが、いわゆ るキャリアに関する考え方について、さらに施策を推進していくべきではないかという ことです。これまでの説明にもありましたが、企業内での能力開発の在り方も大きく変 わってきている中で、労働者個人が自己啓発を促進する観点で、自分が自主的にいろい ろな形で能力開発をしていくという考えを持っていただかなければならないし、企業側 もそれに対する支援が必要になってくるだろうという考え方です。長期雇用の恩恵を受 けてきた労働者も、例えば、仕事、あるいは会社を変えなければいけないという大きな 変化に見舞われることも覚悟しなければいけないわけで、今後の能力開発施策を考える と、職業生涯における激しい環境の変化に対応する観点から、個人の財産である職業経 験を通じた能力の蓄積に着目して、そういう蓄積が中断したり、ロスを生じることなく 円滑に発展をするという考え方でいかなければならないのではないか。こういうものが いわゆるキャリア権という考え方に通じるものとなってくるのではないかということで す。  (2)に、「職業能力開発促進のための政策」としています。ここに書いてあるの は、今まで申し上げた経済社会の動向を踏まえて、能力開発の水準が我が国はなかなか 進んでいかないことの原因として、最近の動きとしての長期人材育成をおろそかにする 傾向があるのではないか。個人の自己啓発についても、情報、時間、金銭的な余裕がな いということで、いろいろな企業内外の支援体制が整っていないという要因があるので はないかということです。  「イ.企業主導の能力開発の促進」ですが、企業が能力開発に対する投資が減少して いる中で、例えば、3つ目の○の製造業では、製品の高付加価値化、あるいは生産技術 の精度を格段に上げる必要性が生じている。あるいはサービス業においても、顧客ニー ズの変化を見据えた素早い対応策が求められている中で、企業自体が、従業員共々自ら 学習をし、成長する企業像を目指すことが求められていると言えるのではなかろうかと いうことです。  また、現場力の強化の観点、「2007年問題」を踏まえた技術・技能の継承の観点から の配慮も重要な課題であろうと思われます。  さらに問題意識のところで申し上げた人間的価値や社会的価値をバランスよく配慮す る。CSR、SRIといった観点の配慮も必要であろうということです。  ロは、「個人主体のキャリア形成」の関係です。8頁以降ですが、職業生涯が長くな っていく中で、自らがキャリアを形成したり、能力を促進していくためのインセンティ ブを付ける。それを支援する企業内外の体制を確立することが不可欠になっています。 企業においても、事業内容の高度化や高付加価値化を図ることで、労働者の能力開発を 行うだけではなく、新たな技術への対応といったところからの労働者に対する支援を求 めていく必要が出ていると言えようかと思います。  しかしながら、いわゆる自己啓発に対する企業側のスタンスが、必ずしも積極的では ないと言うか、公然としにくい雰囲気や、社外で勉強したことがあまり評価されないと いう実態もあります。そういうことからしても、労働者が自ら意欲を持って勉強するこ とを企業側も支援する配慮が必要なのだろうと思われます。  労働者の場合にも、先ほどから申し上げている時間的問題、金銭的問題、あるいは情 報がないということから、自ら教育訓練を受ける割合が低い状況ですので、そういう課 題を克服していく必要があろうと思います。  ハの「労働市場におけるインフラの整備」ですが、第7次計画で労働市場のインフラ の整備を課題として掲げていますが、個人自らが能力開発に対して情報を得て、それに 基づいて必要な職業生活設計を行い、適切な能力開発を受けることができるようにする ことが求められているわけです。  7次計画で、先ほど申しました4つの点を課題として進めているわけですが、下のほ うの○に1つずつ書いてあり、1番目のキャリア・コンサルティング体制の整備につい ては、キャリア・コンサルタント養成を図ってきていますが、まだ質的な面での向上は 課題になっております。こういう質的確保に向けての能力要件の見直し、指導体制の整 備、企業における導入などによって、キャリア・コンサルティングを普及・促進してい くことが、引き続きの課題となっているのだろうと思われます。  (2)能力開発全般に係る情報の収集・分析提供体制の整備については、これまでもい ろいろ情報提供をやってきていますが、より一層詳細な収集の在り方、提供の在り方を 考慮する余地があるのではないかと考えております。近々、キャリア情報ナビというシ ステムをサイトで作って、運用する予定にしておりますし、「私のしごと館」におい て、これまで開館以来、64万人を超える来館があって、来ていただいた方には、非常に いい評価をいただいているわけですが、さらなる努力、より効率的な運営が求められて いると思います。  (3)の能力評価制度の整備については、技能検定制度について、いろいろ取組を進め ております。委託の拡大をしたり、技能検定職種の拡大・見直しをしてきていますが、 まだまだカバーされていない部分について、一層の能力評価制度の整備が求められてい ますので、その辺の充実を図っていく必要があろうと思っています。先ほども話題に出 た能力評価制度の構築については十分な職種数ではありませんので、引き続きその策定 を進めていきたいと思っています。  (4)の質の高い教育訓練の受け皿づくりについては、認定訓練に関して、中小企業を 中心に行っていますが、いろいろな時代の流れの中で、時代に即した見直しを行う余地 があると思われるところもあります。公共訓練の訓練コースにおいても、今後ともより 民間のニーズに的確に反映した開発、訓練コースの設定が求められていると言えます。  教育訓練給付制度の講座指定については、大学・大学院の指定講座の割合を増加する などの努力をしておりますが、質の面からの教育訓練の確保という観点を踏まえて、さ らなる充実を進めていく必要があるのではないかということです。  このような4つの大きな柱の進捗状況を踏まえて、11頁の(3)に、世代別に見た職 業キャリアの課題とあり、まず若年層のキャリア支援ですが、先ほど問題点で申し上げ た実態を踏まえて、ニートはともかく、フリーターの能力開発を中心に、若年者の学校 から就職に至るプロセスに着目して取り組んでいく必要があると思いますが、ある意味 では、試行錯誤というか、職業を探索する期間は必要な部分もあるとは思われますが、 そのままフリーターのような形が続いていくことは、決して好ましいわけではありませ ん。その辺を踏まえた対策を盛り込んでいく必要があるのではないかと考えており、キ ャリア・コンサルティングに基づいた職業の選択・設定、最終的には安定的な雇用に結 び付けることが大きな課題であろうと思われます。  具体的には、入口として職業意識の啓発、自分の資質の発見や方向づけなどから始ま り、就労に向けた職業能力の習得としての基礎的な能力、さらに教育訓練等で実践力を 身に付けていくステップでやっていく必要があろうと思われます。  予算でも説明した日本版デュアルシステムですが、これまでは教育訓練主導型のもの として、主に失業者やフリーターを中心として、失業者対策を重点に置いて設定をした 経緯もありますが、現実に動いているものとして4つのタイプがあります。1つは、離 職者を対象にした専修学校・各種学校への委託訓練について、一定部分を企業に委託す るやり方、2つ目は公共職業訓練の専門課程や普通課程を活用しながら、企業に実習部 分を委託するというやり方、3つ目は民間の教育訓練が実施する教育訓練について、そ の一部を委託するというやり方、4つ目は認定の職業訓練について、座学と実習を一定 の形で組み合わせたものということで実施しました。いずれも教育訓練主導型と言えよ うかと思いますが、いま申し上げた若者の能力開発から雇用に結び付ける視点で見た場 合は、企業側から雇用を前提としたと申しますか、企業が実習の中で、有期雇用の形を とりながら、一定期間座学と企業実習を受けて、一人前の職業人に育て上げる企業主導 型のデュアルシステムを、今でも形としては設定していますが、今後そういう形での人 材育成の方法を形成していく必要があるのではないかと考えております。  なお、この点については、現在、別途学識の先生方にお集まりいただいて、今後ある べき方向について、ご議論をいただいているところで、議論の成果を分科会における審 議に反映させていただくことを考えております。後日、何回目かでその報告をさせてい ただきながら、この分科会の場でもご議論いただきたいと思っています。  次に壮年層のキャリア支援の関係です。壮年層のキャリア支援については、自分が生 活上の悩み、キャリアについて、先輩や同僚に期待する、助言してもらうことが相対的 に難しくなってきているのではないかということで、今後は個人が主体的にキャリアを 選択できるような助言・相談などのキャリア・コンサルタントの位置づけが、非常に大 事になってくるだろうと思います。  そういうキャリアを形成する中にあって、例えば、長期訓練休暇制度を活用して、自 分のキャリアを見直していただく、あるいは自分の必要な能力を身に付けていただく仕 組みを考えていく必要があろうかと思います。1つの会社だけではなく、いろいろな事 情によって失業や転職を余儀なくされる場合もありますので、やり直しの利くキャリア 開発と申しますか、そのための部分も仕組みとして捉えていく必要があるだろうと思い ます。  中高年層のキャリア支援としては、今後の労働者の人生の持っていき方というか、働 き方について、多様な形が想定されますし、あるいは働くことだけではなく、社会活動 などもあるかもしれません。そういう中で自分の能力を発揮できる場の確保、情報の提 供も必要になってくるだろうと思われます。  さらに「2007年問題」の技能継承等の問題、後の世代へ指導者として引き継いでいく ことが重要だろうと思われます。  最後に(4)として、産業の高度化と現場力の強化です。これも課題でご説明しまし たが、製造業においては、高付加価値化や事業の高度化を進めていく中で、例えば、国 のレベルにおいても、価値の高いものなどは国内で作り、それ以外のものを、中国をは じめとしたアジア諸国で作るという棲み分けも行われるようになっております。こうい うことを可能としているのは、生産現場において蓄積された技術・技能、ノウハウ、さ らに効率的に安全で高品質の製品を作り続ける、現場を熟知したマネジメント能力の重 要性が再認識されているのではないかと思われます。こういう現場力を養うというか、 企業の中で現場力を持った労働者を育成していくことが非常に大事で、考えていく必要 があろうかと思います。  「2007年問題」への対応ですが、先ほど少し申し上げた企業主導型のデュアルシステ ムなども、企業と教育訓練機関との協力によって、キャリアの目的を持たせながら、現 場力を支えるという観点からも、より重要であろうと思っています。  製造業だけではなくサービス業においても、いろいろな技能・技術があるわけです が、そういう実践力を持った人材の養成の観点から、最終的には良質な雇用を創り出 し、人材の二極分化を和らげる効果も含めて考えていく必要があるだろうと思います。  以上が資料2−1ですが、非常に総論的な説明が中心で、ここから具体的に制度を作 り上げるかということまでには至っていませんので、本日はあくまでたたき台として捉 えていただき、さまざまな角度から前広にご議論、ご意見を頂戴できれば有難いと思い ます。 ○今野分科会長  すでにご存じのように、この分科会の当面の最大のミッションは「第8次職業能力開 発基本計画」を作成するということがあって、今日はそのための事務局としての基本的 な視点を整理していただきました。今日は事務局からお話がありました基本的な視点に ついて、よく言えば、フリートーキングをする、言い方を換えれば勝手に議論をしよう というのを基本にしたいと思います。それを踏まえて次回以降は少しずつ論点を絞って いきたいと思います。今日はあと30分ほどしかありませんが、どこでも結構ですので、 ご意見がありましたら出していただければと思います。 ○西原委員  1つは質問で、1つは意見です。データの中にもありますが、日本における1人あた りの研修費用が欧米に比べ半分程度と言われています。欧米の場合、産業政策的な観点 で、国の補助金的なものが含まれていたりという例を聞く場合がありますが、このデー タは単純に企業だけの負担のものなのかどうか。産業政策として、企業なり業種に国の 政策的な部分が、人材育成の観点で投入されている例は、欧米の場合、労働組合との交 流なりで聞くことが多いものですから、そういう点が日本と比べてどうなのかをお聞き したいと思います。  意見ですが、5月の職業能力開発の今後の在り方に関する研究の報告の中にも入って いたのですが、トーンとして、個人の主体的なキャリア形成の促進が重要だということ は事実だと思いますが、一方で報告書の中でも、自発性は重要だが、単純に個人の自覚 などに任せてしまうと、非常に不安感を煽ってしまう。これは非常にうなづけるところ があって、いろいろなインフラや広報体制のいろいろな情報の問題もあったのですが、 そういうことがない中で、働く人たち、あるいはフリーターの方たちもそうだと思いま すが、能力開発は個人の責任、あるいは自発性、主体性だけが強調され過ぎると、逆に 変な方向に行ってしまうのではないか。最近は少し数的に減ったのですが、私どもの組 織の中でも、資格商法という、社会保険労務士や中小企業診断士の資格を取れるという ことでかなり高額な教材を買わされる事例があります。特にそれに引っ掛かるという か、乗ってしまうのは、若い人たちで、企業の長期的なことを考えたときに、自分自身 のキャリア形成という形で、ある面では正確な情報以外で理解することで、そういう方 たちが追い込まれる。これは極端な例ですが、そんな面も含めて、トータルバランスの とれた形で発信していかないと、個人を追い込むような形になってはまずいと思いま す。その辺のバランスは、今後の検討の中でもお願いしたい思います。 ○今野分科会長  2点目は基本的な考え方で、原則としては事務局も賛成ということになると思いま す。ただ具体的にどうやっていくかという問題だと思います。今後の問題としてまた議 論させていただきます。  第1点目のデータについてですが、いま言われたのは資料2−2の10頁の真ん中辺に ある「従業員1人あたり研修費用」というデータを主に見ておられるのですね。 ○調査官  ただいま分科会長から指摘された資料2−2の10頁ですが、公的なデータでなかなか スパッとしたものがないものですから、産能大学が以前やられた調査報告書から転載し ています。この調査自体は人材開発分野における会員組織のASTDが、世界的に統一 のクエスチョネアを用いて実施したものの日本分を産能大学がとりまとめられたのだと 思います。  (注)に書いてあるのは、「研修」とは、「業務に関連した知識・技能・態度を育成 するもので、その費用の全額又は一部を組織が負担しているもの」とあり、これは若干 公的な組織も外国の場合は入っていると思いますので、組織となっていますが、基本的 には企業が負担した額ということです。「従業員1人あたりの」というときの従業員の 定義ですが、パートタイム労働者、契約社員など、正社員以外の方も含めて割り戻す と、このような値になっているということです。(注)のいちばん下に書いてあります ように、回答企業数が少ないので、結果には若干の幅を持って見る必要があるかと思い ます。日本ですと、大企業にかなり寄っており、1,000人以上の企業が7割ぐらいとい う回答だったかと思います。日本では70企業弱、世界全体では800企業ぐらいについて の年間のデータということです。  西原委員からいただいた指摘は、企業のことと国のことと両方の書いてあるところに 関係すると思います。11頁に国の教育訓練の投資額の比較が出ており、そこも西原委員 のご指摘に関連するところかと思います。欧米と交流された感じでは、特に日本の場合 はそういう所に支出が少ないのではないかというご指摘、ご示唆だったかと思います が、フランス、スウェーデン、ドイツと比べると、GDPに対する職業訓練投資額の国 の支出額が、おっしゃるような水準にあるというのが出ています。イギリスは非常に少 なくなっていますが、「備考」に書いていますが、若年者向けの、例えば、アプレンテ ィスシップの支援や若年者の長期失業者対策などは、国によって扱いがいろいろですの で、この比較からは除外しています。これなどはイギリスが非常に手厚いので、そうい うものを足すと一層、日本の水準は欧米の中でも必ずしも高くないのではないかという 論旨のバックデータになろうということで出しています。 ○今野分科会長  いまの点はよろしいですか。 ○谷川委員  1度確認してみたいと思うのですが、企業というか、日本の会社というのは、教育訓 練費用を直接的に外に払っていない。欧米系の企業は教育訓練をやるのは、外部委託、 アウトソーシングが非常に多くなっています。たぶんこの結果はそういうことなのだろ うと思うのですが、それに比べて日本の企業は、企業内訓練を主体にしていますので、 費用が外部化できない、そういう把握をしていないという問題がありますので、そうい う意味では、この数字を見るときは、気を付けて見ないとミスリードするのではないか という感じがいたします。 ○今野分科会長  この議論だけを整理しておきたいのですが、たぶんいま言われた外部委託した費用 も、全部入っている統計だと思います。いずれにしても、基本的視点で、日本は教育訓 練投資が少ないと、バッと言ってしまっているので、本当にそう考えていいのだった ら、そう書きましょうという話になるのですが、黒澤委員、少ないと言ってしまってい いですか。 ○黒澤委員  このデータのサンプル数が非常に少ないので、これをベースにそのように言ってしま うのは、非常に危ういのではないか。例えば、能力開発基本調査でも、日本の企業では 研修費用を、例えば外部委託というよりも、内部の研修者、あるいは上司などが実施し ている場合の機械費用などの部分での、外部委託費用だけではない研修費用という測り 方が、厳密的には必要になると思いますが、その辺りはここではどのようにされている のですか。能力開発基本調査などから得られている日本の数値と、ここで示されている 日本の数値とはどのぐらいの違いがあるのか、ないのかといったところを教えていただ きたいと思います。 ○今野分科会長  私としては、本当は黒澤委員には教えていただく前に、これだと言ってほしいと思っ たのです。 ○調査官  ご指摘のとおり、機会費用等は含めていませんので、そういう意味も含めて幅を持っ て見る必要があるとは思っていますが、データの選定について至らなかった点はあった と思います。  いまご指摘の能力開発基本調査、あるいは労働費用の調査が8頁と9頁にあって、私 どもの素直な問題意識としては、国際的な比較のところはデータの解釈が不十分なとこ ろがあったと思います。ただし8頁にありますように、教育訓練の実施状況、とりわけ 従業員ベースで見てoff−JTの受講率や自己啓発の実施率が落ちていること。ある いはご指摘のあった労働費用の面での調査についても、9頁に長期的に落ちているとい うことは1つあるのではないかということです。国際的な比較については至らないとこ ろもあったと思います。今後は十分勉強させていただきたいと思います。 ○黒澤委員  能力開発基本調査で、実施率だけではなくて、費用の項目を聞いている年があると思 いますが、それと比べてどうかということです。 ○調査官  すぐには10頁のグラフと比較してご説明できませんので、十分精査した上で説明した いと思います。 ○今野分科会長  もう1つ研究者にお聞きしたいのですが、11頁は政府が取った費用です。本当に少な い、こういうことだと考えていいのですか。 ○黒澤委員  それは確かに日本の数値の中には都道府県の予算は入っていません。そういう面で は、日本はもう少し高いはずであると言えると思います。でも、それを言い始めると米 国は、例えば、コミュニティカレッジや、いわゆる日本で考えるならば職業教育に含ま れるような教育を受ける際の補助金とか、予算は含まれていませんので、それを言い始 めると、非常に難しいところがありますが、概して日本が非常に少ないということで す。  もう1つポイントとして言えるのは、これまでの日本の雇用情勢の悪化に伴って、時 系列的には定義は整合的ですので、日本の比率が高まってきたかというと、その辺りの 変動がないので、日本がそういう雇用情勢に対して、国の投資額をGDP比率という形 では増加させてこなかったと言えるのではないかと思います。 ○今野分科会長  いまの議論では、民間については国際比較が難しいのですが、少なくとも政府につい ては、フランス、スウェーデン、ドイツなどより小さい政府で来たということは間違い ないらしいということだと思います。では、論点を変えます。 ○江上委員  先ほどご説明いただきました基本的視点で、以前に、「働く者の生活と社会のあり方 に関する懇談会」という研究会があって、そこの議論がベースになっているのではない かと思います。私も加えていただきましたので、理解は承知しているつもりです。平成 18年からの計画を考える上で、議論を踏まえて、なおかつ、今回のまとめの中に入って いなかったので、加えていただきたい視点があります。  例えば、平成18年度の予算要求の2頁に、「能力開発に積極的な企業を推称する制度 の創設」というのがありますが、能力開発に積極的な企業というと、多様な観点があり ますし、いまは市場で言えば、独占的な企業は別にして、それ以外の企業だと、本当に 明確に数字に現れるような生産性と能力開発の相関が出ていますので、かなりの企業が いろいろな形で展開しています。  では、推称する視点・観点をどこに置くかが行政としては非常に問われると思いま す。そこで、私は基本的視点の中で、前の研究会でもそうだったのですが、少子化で仕 事と生活・子育ての両立は非常に重要で、議論したわけです。例えば、育児休業取得中 における企業の能力開発支援の制度が整備されている。あるいはそこに非常に積極的で あるということが、今後出産をし、男性でもそうですが、育児に専念しながら、その間 に付加価値の高い能力開発にも専念できるということで、大変大切な視点ではないかと 思いますので、是非、ご検討いただきたいと思います。  もう1つは、基本的視点に書かれていることは、かなりの部分が多くの人が共通の認 識として持っている点だと思います。キャリア権について、十分な説明、記述がないの で、一部の方は理解が進んでいるかと思いますが、一般的にはかなり丁寧な扱いで記述 をしたほうが理解が進むと思います。 ○黒澤委員  いま江上委員がおっしゃったことに同感です。それに関連して、基本的視点の中に、 社会的責任CSRを強調するという形、それはつまり消費者や投資家や求職者を惹き付 けるというルートを通して、そういう行動を促進させようということだと思います。そ れと同時に、ワークライフバランスを家庭生活上の責任ということだけではなく、労働 者側の教育訓練ニーズに柔軟に対応するような働き方を提供している企業の表彰も考え ていいのではないか。  もう1つは、そういうことを提供している企業であればあるほど、実は労働者の就業 意欲を高め、定着率を高めて、結局は生産性の向上、つまり、企業経営にもいいのだと いう事例が、英国と米国を中心にいろいろ出ていますので、好事例としてそういう企業 の情報を収集して、それを発信することも1つの公的な考えとして位置づけてもよろし いのではないかと思いました。 ○今野分科会長  何かご意見はありますか。 ○審議官  CSRなどを考えますと、ある意味では企業が自分の所の従業員を訓練するのは当た り前ですが、そういう面でおっしゃったように、学習企業みたいな好事例があれば推称 していくということも1つあると思います。  もう1つは、少子化に対応して子育て中の方について能力開発をする。必ずしも企業 の中だけではなく、少し社会的な面で貢献するようなこと。あるいはデュアルやインタ ーンシップなど若者を受け入れた企業を表彰する、これは必ずしも従業員だけではな く、もう少し社会性を持ってやるところをCSRなどで捉えたり推称したりすることが 考えられるのではないか。2つに分けて考えていったらいいのかなという気がします。 ○玄田委員  雇用の二極化というのがしばしば登場するのですが、この点についても、もう少し論 議が必要だという印象があります。確かに全般的な方向として正社員と非正社員の間で 能力開発の機会に格差があるのは紛れもない事実だと思いますが、一方で今これだけ非 正社員が増える中で、できれば正社員は雇えないが、長期的に定着してほしい、能力を 高めてほしいというニーズは、参考資料2−2の22頁辺りで出てきている傾向があろう かと思います。  そう考えますと、就業形態にかかわらず総合的・持続的な能力開発の機会をどう拡充 するのかという論点は、明確に持っていかないと、非正社員イコール単純労働で能力開 発の機会がないと断定しているようなニュアンスにとられるのは、これからの能力開発 の方向性としては望ましくないので、多様化する非正社員の中で能力開発をどう高めて いくのかという論点は、とても大事だろうと思います。  もう1つは、今回の重点施策を見ても、福祉行政と能力開発行政とのさらなる連携の 必要性をとても感じるような気がします。つまり、心身等の病を抱えて働けなくなって いる人に、まず能力開発や職業教育というのはあり得ない話で、いま前提としてメンタ ルな問題、長時間労働の問題を含めて福祉という観点と、職業行政をどううまく組み合 わせていくのかという、先ほどの事例も含めて取組は、かなり大きな柱としても謳って いかなければいけない時代になっているてではないか。特にニート問題などはまだ十分 な資料がないので断定的なことは言えませんが、働く中で心身の調子を崩してニートに なっているケースは、決して少なくはないので、そういう観点を明示的に考慮した対策 がこれからの能力開発行政には必要だと思います。 ○今野分科会長  いまの玄田委員の発言に、私から質問したいと思います。第1点目ですが、就業形態 の違いにかかわらず、能力開発機会を提供するということはいいのですが、現状認識と して、そうなっているから雇用の二極化、あるいは能力開発機会から見た二極化という 書き方はおかしいということですか、それとも現在はそういう機会があるが、将来はそ ういう方向を変えていかなければいけないので、書き方として、将来は就業形態にかか わらず、能力開発機会は現場で与えましょうということですか。 ○玄田委員  事実として、いま二極化はあると思います。ただ、方向性として、かつてパート社員 が単純労働でと言われたにもかかわらず、勤続年数が平均的に延びてきているのと同じ ように、企業の事業戦略として雇用形態にかかわらず、いい人はいてほしいというのは 価値観の問題を超えて事実として進んできているから、細かい事例については佐藤博樹 委員がご説明しますが、2年というよりも、むしろ事実的な方向性として、それを踏ま えた上で対応が必要だろうと言っているのです。 ○佐藤委員  実態として二極化しているというのも、正社員と非正規の平均値で取れば差はあると 思います。ただ、実態は正社員の能力開発機会は非常に分散が大きいし、パート等の非 正規の分散は大きくて、企業によって正規に与えている能力開発機会よりも、パートに ついて能力開発機会をちゃんとやっている会社もたくさんあるというのが実態だと思い ます。そこが消えてしまうのは問題です。パートについてもきちんと能力開発をやって いる企業もたくさんあるのが現状だし、今後の方向としては玄田委員が言われたとおり だと思いますし、それぞれどういう就業形態であれ、能力開発提供さえあれば就業形態 を移動できるようにしていくことは大事だろうと思います。 ○今野分科会長  まとめさせていただきますと、佐藤委員が言われていることも二極化の傾向はあると いうことですね。平均的な傾向はあるが、今後企業側も、それを直そうとしている方向 にあるので。 ○佐藤委員  そうではありません。 ○今野分科会長  そういう傾向にありますが、今後は多様な就業形態にかかわらず、能力開発の提供の 機会。 ○谷川委員  これを拝見しますと、いまの二極化の問題も平均値だけで話しているといか、デジタ ル化をやっているような感じがするのです。アナログにいろいろな形があって、例え ば、二極化の問題もパートをきちんと教育している会社もありますし、もちろんパート をただ雇って、働いている会社もあると思います。  同じようなことが、例えば、企業という切り口からすると、書き方の問題として、企 業の長期を見た教育体系はできていないと書いてあるのですが、そうではなく、いろい ろなパターンの所があって、平均して見れば、確かにそうかもしれませんが、かなり先 進的なことをしている企業もあるというイメージがうまく表現できないと、こういうデ ジタルの表現をしていると、基本認識のところで次の議論に行かなくなってしまう可能 性があって、ある意味では日本語の問題かもしれませんが、その辺の認識をアナログな のだが、平均的に見ると、こういう傾向が強いという言い方をしていただくと、もっと 皆さんの認識が合うのではないかと思います。  もう一言ですが、私も企業の立場ですので、あまり企業が駄目だと書かれていると、 ちょっと寂しいところがあります。6〜7頁目までに書いてあのは、確かに長期的な人 材育成がおろそかになっている企業、あるいは長期的人材育成をおろそかにせざるを得 なかった時期はあるのだろうと思います。しかし、基本的には企業として存在する以上 は、長期的に人材を育成していかなければ成り立っていきませんので、これは皆さんや りたい。でも、どこまで経営的にやれるか、どこまで先見性を持ってやれるかという程 度の差があると思いますので、その辺の書き方の問題等々、今後は考えていただけたら と思います。 ○長谷川委員  この報告書はよくできているとは思いますが、もう少し分析を丁寧にしてほしいので す。というのは、雇用・就労形態の多様化が進んでいる。それはどういうことかと言え ば、本当は佐藤委員に説明してもらったほうがいいのですが、正規の働き方、期間の定 めのない働き方の人たちがいる。非正規と言われる人は、有期だったりパートだったり 派遣だったり契約社員だったり、請負という形で、非常に多様化しています。それらに 対してどういう訓練がされているのかという分析が、私は若干不十分だと思っています 。雇用・就労形態の多様化の進展と、それに対する能力開発、職業訓練が産業間でも異 なっていると思うので、その分析をもう少しきちんとやりながら、どこにどういう能力 開発が必要なのかをもう少し丁寧にやってほしいと思います。  粗々に言えば、確かに二極化なのです。でも、これがあまりにも荒っぽい。したがっ て、正規のところでも、企業が大変努力した所は、ずっと教育訓練もやってきたのだと 思います。そういう所は今でも健全で、かなりの収益を上げています。でも、企業が辛 かった所は、きっと収益を落としたはずです。落としっ放しなのか、そこがもう一回復 活しようとしているのかとか、そういう所がどういう所に訓練していこうとしているの かを見極めることが必要だし、そういう所に対してはメッセージを与えることが必要で はないかと思います。  一方、パートタイマーでも、例えばサービス産業のデパートなどはほとんどがパート という所が多いわけです。そこは職業訓練をたくさんやっていて、本務者と同じような 訓練をやっているわけで、そういう所と本当に外部からパッともってきて、即戦力とい う所は、派遣会社などに任せっ放しです。派遣会社にもいろいろあると思います。立派 な派遣会社は人を育てるだろうし、そうでもないあげたいという所は訓練はそんなにし ていないと思うのです。そういう所をもう少し見ながら、雇用就労形態の多様化がこれ からも進んでいくのなら、そういう所に対してどういう職業訓練が必要なのかというこ と。企業はどこまでそういうものに対して投資するのか。個人はそういうものに対し て、どうしていくのか。正規の所でも企業がすごく頑張りなさいという所と、自分が努 力する所といろいろ複雑に絡み合っているので、そういう所に対するメツセージを出せ るような、ここは2、3議論があると思うので、ご専門の佐藤委員などの報告を聞きな がら、補強していただきたいと思います。 ○鈴木委員代理(平田様)  今日初めてレポートを見たので、ちゃんと理解していない部分もあると思いますが、 4頁で人材の二極化の傾向というのが、「第三に」とあって、問題提起があって最後の 3つ目の○で、最終的には若年層、フリーターが問題になってしまい、もう少しきちん と二極化していることと、フリーターの問題はつながりがあるのかもしれませんが、こ ういう結論になると、違和感を覚えると思います。  そういうことも踏まえて、二極化が是か否かは別にして、非正規を全部正規に持って いけばいいという議論ではないと思いますので、そういうことをもう少しきちんと整理 していただきたいと思います。  もう一点は、単純な事務的な質問ですが、最初の総務課長からのスケジュールの説明 で資料5として配られているスケジュールは、法改正の必要があればということが言わ れていましたが、法改正の必要があるかどうかを、このスケジュールに沿って21回から 26回までやっていくのかどうかを教えていただきたいと思います。 ○今野分科会長  最後の点は、スケジュールの進め方ですので、後回しにさせてください。2つについ ては、そういうご意見であるということで、今日はよろしいですか。 ○大江委員  資料2−2の24頁にある、2007年問題に対する危機意識についての資料に建設業は極 めて意識が低いという状況になっていて、結果として報告書の4頁には、現場力の低下 とあります。この数字はどういう根拠で出ているのか。私が建設業に従事していても、 実際問題としては、製造業と同じような状況になっていてもおかしくないと認識してい て、そういう点でなぜこうなっているのか。改めてそういう観点から見ると、報告書の 4頁に、「2007年問題」と現場力の低下ということが言われているわけです。建設業 は、まさにそういうことが実態としてあって、それは事実だと思います。しかし、開き があまりにもあるのかなということについて、数字も含めて教えていただけたらと思い ます。 ○調査官  資料2−2の24頁と25頁と1セットの資料と見ていただければ有難いと思います。25 頁で、「2007年問題」に対する取組をいかに各社がやられているか。しかも多様な取組 をやられているか。雇用延長、中途採用、教えられるほうの若い人の採用、再雇用、あ るいは外部の活用など、いろいろなことをやられています。そういうことをやられた上 で、いろいろやっても危機意識を持っている所がかなり多いというのが24頁と見ていた だければと思います。いろいろな対策をやっているので、必ずしも危機感を持っていな い、あるいは今のところは分からないということもあるのでしょう。ほとんどの所がい ろいろ対策をやっていて、その上で、危機意識をなお持たれているのが2割を超えてい ると見ていただければと思います。いろいろな資料の補強は必要かもしれませんし、ご 示唆の点も含めて、また改めて行います。 ○大江委員  規模や対象によって随分違うとは思いますが、何件ぐらいですか。 ○調査官  この調査自体は企業規模30人以上の所で、無作為抽出をした調査です。建設業につい て、何件というのは直ちに出てきませんが、基本的には無作為抽出したデータというこ とです。規模は全体としては大きいほうに偏りがあると考えていただくといいと思いま す。 ○大江委員  建設業は中小、下請けで小さな企業がたくさんありますので、30人以上だと実態が全 然違ってきますね。 ○今野分科会長  もしご興味があれば、報告書が下に書いてありますので、事務局に言っていただいて 入手していただければと思います。 ○佐藤委員  データはきちんと議論していただきたいということがあったので、図が載っているの はいいのですが、どういう対象だとか、回収率、回答数がわかるほうが。データという のは、どのぐらい信用していいのかという信頼性の問題がありますから、大変でしょう が、入れていただくと有難いです。 ○今野分科会長  という要望です。今日は自由に議論していただきまして、活発な意見を出していただ きまして、ありがとうございます。これからの波乱を予想させるような状況でございま す。  これで今日の議題は終わりたいと思います。議事録の署名は、会長の私と私が指名す る2名委員に署名していただくことになっています。本日の署名は、労働者側で中村正 武委員と使用者の谷川委員にお願いしたいと思います。  最後に事務局から、先ほど質問もありましたので、日程等についてお話いただければ と思います。 ○総務課長  先ほどご質問もございましたが、資料5を用意しております。冒頭私の説明で申し上 げましたし、分科会長のお話にもありましたが、基本計画を策定するところを最終的な 目標にしていますが、法律改正ということを考えた場合には、後ろから考えていきます と、1月中旬ぐらいまでには法律案を固めないと、国会に法律が出せないことになりま す。そのために内容的なもの、法律改正の事項として、こういうものを法改正して制度 を組むべきであるという建議を通常はいただいているのですが、そういう建議を年内ぐ らいにいただかないと事務的作業も含めて、日程的になかなか厳しいものがあります。 そういうことも含めて、年内にそういう建議をいただくという前提で5番目の資料とし て、すでに委員の方々のご都合をお聞きしながら、26回までの分の日程だけを押さえさ せていただいておりますが、前半3回ぐらいに分けて、1回目が「能力開発の主体、キ ャリア形成」について、2回目が「能力評価、技能の継承」について、3回目が「若年 をはじめとした世代ごとの能力開発」についてということで、少し大括りですが、論点 を絞ってご検討いただければと思います。  これだけということではなく、このほかにも大きな論点として出てくれば、そのほか 引き続きご議論いただくことはもちろんですが、最終的に12月までに2、3回総括的な 議論をしていただき、まとめる方向にお願いしたいと思っています。  説明の途中で申し上げましたように、日本版デュアルシステムの今後の在り方につい て、学識の先生方にご議論願っているところですが、その報告も3回目のテーマでご報 告させていただきながら、ご検討いただければと考えていますので、よろしくお願いし たいと思います。 ○今野分科会長  これで終わりますが、今日出てきた資料で「基本的視点」は、議論の出発点です。今 日は短時間で説明していただきましたので、委員の皆様にしっかり読んできていただ き、次回以降も言いたいことは言っていただくことにしたいと思います。  特に、ご要望の高かった佐藤委員には、絶対出席していただくということでお願いし たいと思います。それでは終わります。ありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省職業能力開発局 総務課 企画係 (内5313)