05/09/22 薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会 平成17年9月22日議事録 薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年9月22日(木) 14:00〜   厚生労働省専用第18〜19会議室 2.出席委員(9名)五十音順    赤 堀 文 昭、 石 川 光 一、○井 上   達、◎井 村 伸 正、    大 野 泰 雄、 白 濱 龍 興、 鈴 木 和 夫、 出 川 雅 邦、    長谷川 和 俊 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(3名)五十音順    松 本 和 子、 森 田 昌 敏、 吉 岡 敏 治 3.行政機関出席者   佐々木 弥 生(化学物質安全対策室長)、    江 原 輝 喜  他 4.備  考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 出席の方が全員そろいましたので始めさせていただきます。ただいまより平 成18年度第1回薬事・食品衛生審議会毒物劇物部会を開催します。毒物劇物部会の総委 員数が12名ですので、定足数が過半数7名ということになっています。本日は9名の方 に御出席いただいています。この会議は定足数に達していることを御報告申し上げます。 なお本会議は公開で行われており、資料と議事録も公開になります。開催に先立ちまし て化学物質安全対策室長より一言ごあいさつ申し上げます。 ○化学物質安全対策室長 化学物質安全対策室長の佐々木でございます。毒物劇物部会の 委員の皆様におかれましては、お忙しい中、本年度第1回の会合に御出席いただきまし て誠にありがとうございます。本日の当部会自体はほぼ1年ぶりということでございま すけれども、委員の改選がございまして改選後初めての部会となっていますので、後ほ ど委員の皆様方を御紹介させていただきたいと存じます。  この1年の間での化学物質行政、特に毒物劇物関連の状況を簡単に御報告申し上げた いと思います。前回の当部会で御審議いただいた劇物の除外関係のことでございますが、 各種手続を経まして、本年3月に御審議いただいた7物質について劇物からの除外をさ せていただいています。  そのほかの動きとしましては、御承知のとおり国際的に化学品の分類及び表示に関す る世界調和システム、いわゆるGHSが2003年に国連から勧告されて、国内でもその導 入に向けて準備作業を進めているところでございます。その一環として今年の4月より 毒物及び劇物取締法、労働安全衛生法、PRTR法の規制対象となります約1,500物質 について政府で協力いたしまして、この勧告に基づく有害性分類の作業を始めておりま す。これは将来導入されるGHSに関連する有害表示を事業者が適切に行えるようにと いうことで、その支援ツールとして、来年度の末までにその分類結果を公表できるよう にということで作業を進めているところでございます。  これに関連して、まだ毒物劇物に指定していない物質についても指定の検討を進める 必要があり、既に国際機関で評価が終わっている物質というものがございまして、OE CDの文書の活用ということで今日御審議いただく3つのものでございます。後ほど事 務局から説明させていただきますが、OECDのScreening Information Data Set、略 してSIDSと呼んでいますが、ここから毒劇物相当と思われる物につきまして検討を お願いしたいと考えてございます。  今日は先生方の忌憚のない御意見、御議論を頂きますように、よろしくお願いいたし ます。簡単ではございますが、ごあいさつに代えさせていただきます。 ○事務局 今の室長のあいさつにもありましたけれども、改選後初めてということで委 員の先生方の御紹介をさせていただきます。まず薬事・食品衛生審議会で毒物劇物部会 の部会長に井村先生が決定されました。井村先生、よろしくお願いします。続きまして 各先生方を五十音順で紹介させていただきます。赤堀先生、石川先生、井上先生、大野 先生、白濱先生、鈴木先生、出川先生、長谷川先生、今日は御都合で欠席されています が、松本先生、森田先生、吉岡先生の計12名が毒劇物部会の委員ということになってい ます。  引き続きまして、薬事・食品衛生審議会において部会長に事故があるときは、当該部 会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者がその職務を代 理することになっていますので、部会長に部会長代理を御指名いただきたいと思います。 ○井村部会長 そういうことで、審議会令に従って私の方からお願いをさせていただい てよろしいですか。それでは井上委員に部会長代理をお願いできますでしょうか。よろ しくお願いします。 ○事務局 井上先生、部会長代理をお願いします。井上先生におかれましては代理席の 方に移っていただけますでしょうか。井村先生、議事進行のほどよろしくお願いします。 ── 井上委員、部会長代理席へ移動 ── ○井村部会長 よろしくお願いします。今日の配付資料について事務局から確認してく ださい。 ○事務局 今回検討していただく劇物からの除外に係る資料が、資料1〜4までありま す。劇物の指定に係る4物質の資料が資料5〜8。事前にはお配りしませんでしたが、 参考として資料6〜8に関連するSIDS文書のサンプルを置いています。参考資料と して現在の判定基準を付けています。今回、答申を頂くような審議事項ではありません が、現在、事務局の方で毒物及び劇物指定令の見直しを検討しています。そのことにつ いて本日、委員の先生方から専門的な知見から御意見いただきたく、資料9にこちらの 考え方をまとめたものを用意しています。その他の議題として説明させていただく時間 を頂ければと考えています。手持ちの資料について不備等がありましたらお申し出いた だければと思います。 ○井村部会長 そろっていますか。大丈夫のようですので審議に入らせていただきます。 審議事項の議題1から御審議いただきます。いつも全部読んでいると時間が掛かるので 省略するのですが、要するに有機シアン化合物についての議題がずらりと並んでいます。 議題1について事務局から説明をお願いします。 ○事務局 事務局の方も名称は省略させていただきます。資料1の物質(2,6-ジフルオ ロ-4-(5-プロピルピリミジン-2-イル)ベンゾニトリル)について御説明いたします。 この物質ですが、現在、有機シアン化合物として劇物に指定されているもので、今般、 除外の相談があったものです。別紙1を御参照ください。資料1の物性についてですが、 常温で白色の固体です。常温の取扱いにおいては反応性もなく安定に存在するというも のです。  別紙2を御参照ください。毒性試験の結果ですが、経口については劇物の毒性値の 300mg/kgを上回っていて、最高投与量においても死亡は見られませんでした。吸入にお いては最高投与量で死亡は見られましたが、推定毒性値は2〜5mg/Lの間と劇物の基準 をはるかに上回っています。また経皮試験は実施されていませんが、ウサギの皮膚刺激 性試験を実施していて、そこでは「刺激性がない」という結果を得ているところです。  調査会の方では、この物質の原体及びこれを含有する製剤について「除外することが 適当」という結論を得たところです。御審議のほどよろしくお願いします。 ○井村部会長 これまでにも有機シアン化合物については随分たくさんの化合物を除外 してきたのですが、これも大体同じような経緯で除外が申請されてきています。いかが ですか。何か御意見、御質問がございましたらどうぞ。 ○井上部会長代理 御覧のとおり2,000mg/kg以上ということでして、特に問題ないので はないかと思います。 ○井村部会長 そういう御意見ですが、よろしいですか。数字上からは全く問題ないと 思われます。それでは、これを劇物から除外するということで皆様方の御意見を頂きま したので、そういうことにさせていただきます。  引き続いて議題2、資料2の化合物についてお願いします。 ○事務局 資料2で説明させていただきます。この物質(4-シアノ-3,5-ジフルオロフ ェニル=4-ペンチルベンゾアート)については先ほどと同様、液晶材料として使われてい るもので、これも有機シアン化合物として現在、劇物として指定されているものです。  別紙1を御参照ください。この物質の物性についてですが、先ほどとほぼ同様、常温 の白色での固体です。通常の取扱いにおいては反応性もなく安定に存在すると言われて いるものです。  別紙2を御参照ください。毒性結果についてですが、経口では2,000mg/kg以上、最高 投与濃度においても死亡例は見られませんでした。吸入においては毒性値が5mg/L以上 ということで、劇物の基準をはるかに上回っています。経皮試験は実施されていません が、ウサギの皮膚刺激性試験においては「刺激性がない」という試験結果を得ていると ころです。  調査会においては、この物質の原体及び製剤については「除外することが適当」との 結論を得たところです。審議のほどよろしくお願いします。 ○井村部会長 全く同様の化合物でございまして、いかがですか。調査会では問題ない ということだったようですが、調査会の意見に従ってよろしいですか。ではこれも除外 ということで御同意いただきましたので、そうさせていただきます。  引き続き議題3の化合物について、資料3を利用して説明をお願いします。 ○事務局 資料3について説明させていただきます。この物質(1-(3-クロロ-4,5, 6,7-テトラヒドロピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル)-5-[メチル(プロプ-2-イ ン-1-イル)アミノ]-1H-ピラゾ-ル-4-カルボニトリル)は農薬の原料となるもので、 ISOとして「ピラクロニル」という名前が付いています。これも有機シアン化合物で 現在、劇物に分類されるものです。  別紙1を御参照ください。この物質の物性についても常温で白色の固体で、水よりも 有機溶媒によく溶けるようなものです。常温の取扱いにおいては反応性もなく安定に存 在すると言われるものです。水田の除草で使うものと聞いています。  別紙2を御参照ください。毒性試験の結果についてですが、経口においては雄雌とも に毒性値は劇物の最高値である300mg/kg以上です。経皮、吸入については最高投与量で 死亡は見られませんでした。ウサギの皮膚・目刺激性試験においては刺激性がないとい う試験結果を得ているところです。  調査会では、この物質の原体及びこれの製剤について「除外することが適当」との結 論を得ました。御審議のほどよろしくお願いします。 ○井村部会長 いかがですか。一見かなり怪し気な格好をしている化合物ですが、デー タとしてはそういうことでして、これも同じように劇物から除外するという結論でよろ しいですか。それではこれも劇物から除外させていただくことにします。  引き続き、同じく有機シアン化合物の議題4についてお願いします。 ○事務局 この物質(2-メトキシエチル=(RS)-2-(4-t-ブチルフェニル)-2-シア ノ-3-オキソ-3-(2-トリフルオロメチルフェニル)プロパノアート(別名:シフルメト フェン))も農薬の原料で、ISOの別名として「シフルメトフェン」という名前が付い ています。これもシアン基が付いていて劇物として現在分類されているものです。これ は農薬で殺虫剤に使われるものです。  別紙1を御参照ください。物性については白色の固体で、有機溶媒によく溶けると言 われています。通常は水に希釈して使うと聞いています。  別紙2を御参照ください。毒性の結果についてですが、経口、経皮、吸入においては、 それぞれ最高投与量で死亡が見られず、劇物等の毒性はないという結論が得られていま す。またウサギの皮膚刺激性においては刺激性がなく、目についても軽微な刺激性があ るのみという試験結果を得ているところです。  調査会においては、この物質の原体及び製剤について「除外することが適当」との結 論を得たところです。御審議のほどよろしくお願いします。 ○井村部会長 これもかなり安定なもののようです。いかがですか。今の説明によりま すと、調査会の方でもこれはもちろん除外ということです。 ○大野委員 軽微な刺激性がウサギの目で出ていたのですが、実際のデータを見ると結 膜がちょっと赤くなっている程度で、1点という基準なのです。そういう意味でほとん ど問題ないというところです。 ○井上部会長代理 これは前のピラクロニルとともに農薬として審査もされており、毒 劇物としての要件とはちょっと離れて安全性を確認されているものであるということが あろうかと思います。 ○井村部会長 これも同じように除外させていただいて、よろしいですか。 ○石川委員 初めてなものですから基本的な質問で恐縮です。吸入毒性試験ですが、例 えばこの剤は多分フロアブルで水に希釈して使用するのだと思いますけれども、そうい うもので吸入毒性試験の形態としてダストでやっている。例えばミストでやるのとどう 違うのかとか、その辺はデータとしては特にどちらでもよろしいということですか。 ○井村部会長 非常に乱暴な言い方をすると、出ているデータで判断するということに なっていると思います。ここではダストとして吸入試験をやったという結果が出ている ということだと思います。その辺は事務局から何かありますか。 ○事務局 いま部会長が言われたように、まず出ている結果で議論します。新たな試験 が出ればその時点で検討するということで、現時点ではこのデータから除外適当かどう かを議論していただくことになります。 ○井村部会長 よろしいですか。 ○長谷川委員 これらの物質の毒性等に関してはよろしいのですけれども、例えばどの 室温で安定という熱安定性のデータが、かなり低いところでは安定だけれども、これ以 上ではデータが書いていないのですが、これが分解してある意味で毒性の強いものに変 わった場合の基本的な考え方というのはどういうふうにとるのでしょうか。この物質は 試験のとおりの結果だとして毒性は低いからいいのですが、それが比較的低い温度で分 解するとしたら、分解生成物が毒性を持つかどうかの議論はされていないわけですから、 そのことはどう考えるのでしょうか。基本的な考えだと思いますけれども、それは対象 外ということなのか、ある程度そこも考え方として配慮するのかお聞きしたいのですが。 ○井村部会長 安定性が極めて悪くて非常に速やかに有害な物質に変化するという場合 は、もちろん考慮しなければいけないだろうと思いますが、この場合にはそれほど不安 定な物質ではないようです。 ○長谷川委員 先ほど室温で安定というデータしかないのがあったのです。 ○井村部会長 どこでしょうか。 ○長谷川委員 資料2です。300℃ぐらいなどというのでしたらいいのですが、これは室 温で安定というデータしかない。室温というとこれ以上のデータがないので分からない のですが、これより温度が高いところで安定と言えるのかどうか。そういうものに対し ても、そうすると分解生成物が問題にならない。 ○井村部会長 その分解生成物が何になるかというところまで、要求するということで はないのだろうと思います。 ○長谷川委員 考え方としては、そう考えなくていいのですか。 ○井村部会長 はい。 ○長谷川委員 それならばよろしいです。 ○事務局 調査会の方でも化学に詳しい先生にお二方ほど入っていただいて、安全性な り、安定性というよりはむしろ分解したときにどうなるかという議論は、もちろん懸念 があればするような形ではフォローしています。 ○出川委員 今の関係で、この物性のところで沸点とか融点とかございますよね。この 沸点、融点というのは多分分解していないと理解してよろしいかと思います。そうしま すと沸点など300℃以上で測れていないということだと思いますけれども、それを素直 に見ると300℃では分解しないというふうにも理解できるかと思います。この後ろの方 の、例えば3剤目の資料3の別紙のところで、この剤については沸点のところで熱分解 により測定不能と書いていますので、これは分解するということですよね。ですからこ れを素直に見ますと、沸点が非常に高くて分解もせずにということかと思ったのですが、 その辺はそういうふうに読んでよろしいですか。 ○井村部会長 私はそこまでは保証の限りではないと思いますが、いかがですか。 ○長谷川委員 この物質はジアゾ化合物ですから、分解がしやすい感じがします。 ○井村部会長 事務局の方で何かありますか。 ○事務局 一応用途などは今お示ししている範囲で使われていることが分かっていま す。その範囲で言えば、例えば農薬などですとかなり高温で使うような場合は通常はあ り得ないので、基本的には用途は考えないという整理にはなっていますが、そこを加味 しても大丈夫ではないかと事務局では考えています。 ○井村部会長 そうですね。そんな感じではありますけれども、いま出川委員が言われ たようなところまでの保証はできない気がしますが、観察された現象としてはこういう 数字だということなのです。そのまま受け取った方がよろしいのではないかという気が します。よろしいですか。毒性学的にはこういう数字が出ています。これも除外させて いただくということでよろしいですか。それではそうさせていただきます。  次は議題5です。これはちょっと毛色が違っていて、三塩化チタンに関するものです。 資料5を使って説明をお願いします。 ○事務局 これは難しい物質で、長い説明になります。まず資料5の説明をさせていた だきます。これは三塩化チタンということで、2年前にこの毒物劇物部会において御審 議いただきました。物化性状等は後で説明させていただきますが、別紙2の経口毒性の 下段の方を御覧ください。130mg/kg(20%製剤)は希釈して実施した場合のLD50値とい うことで、これを5で割って26mg/kgということで毒物相当ではないかということから、 安全面を考えて毒物に指定したところです。今般、上段の方のデータが出てきていて、 再度審議していただこうという経緯で挙げたものです。  資料5の最初にお戻りください。一部修正があります。下の事務局案のところでLD 50が2,000mg/kg以上というところは転記ミスで300mg/kgになっていますので、修正を お願いします。  別紙1が物化性状について説明しているところでございます。今議論がありましたよ うに、この物質は非常に不安定で常温の通常雰囲気下では即分解してしまうようなもの です。  別紙2で今回の毒性結果を見ていただくと、下段の方は前回説明したとおりですが、 今回上段の方の試験結果が出ていて300mg/kg以上です。300mg/kgというのは劇物の最 高値にあるのですが、実際の試験結果では300mg/kgで死亡例がなかったということで、 300mg/kgを上回る毒性値であるという試験結果が出ています。  結論から言えば、相反するデータが2つ出ているわけですけれども、投与の条件を比 較すると、下段の毒物と判定した方の結果については20%製剤の剤をそのまま投与し て、それをだんだん希釈してLDを求めた。今回は0.5%あるいは3%までをオリーブ 油で懸濁したものを10mL/kgということで、投与の条件が大分変わっています。  次に皮膚刺激性のところを見ると、激しい皮膚刺激性があるというデータが出ていま す。調査会の結論から先に申しますと、これはいわゆる全身毒性を誘発するようなもの ではなく、多分濃度が濃くて胃が腐食して穴が開き、死んでしまったのではないかとい うことで、全身毒性ではなく、サイトコンタクト的な腐食性のみを有する物質ではない かという結果を頂いています。要はこの結果に対してどういうふうに整理するかという のが一つのポイントになると思います。  事務局としては、今までの毒劇物の指定の見方をすると、例えば塩酸、硫酸、水酸化 ナトリウムのような腐食性が強いものも当然ここの濃い濃度で飲めば内臓がやられて死 ぬわけです。ただ、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウムなどの腐食性の強いものは一律に劇 物に整理されています。  今の判定基準を参照していただきたいのですが、判定基準1の(1)の(2)、(3)ですけれ ども、腐食性の強いものについては、その程度にかかわらず劇物にするという基準にな っています。この2つの考えから全身毒性を誘発せず、腐食性のみを有することが明ら かになったものについては、「劇物」と整理してもいいのではないかということで、事 務局の方で調査会に提案させていただき、調査会の方では、その提案について「適当」 という結論を頂いたところです。御審議のほどよろしくお願いします。 ○井村部会長 今の判定基準はお手元の資料の中に含まれていて、「毒物劇物の新判定 基準」というタイトルです。それを参照していただいた上で、いかがですか。何か今の 説明に対して御質問、御意見がございましたらどうぞお願いします。 ○大野委員 今事務局から説明いただいたとおりで、追加するとすれば、今はこういう 非常に腐食性の強いものを経口投与で毒性実験することが許されるような時代ではない のです。初めから分かっているようなものに関しては経口毒性ができないような状況な ので、皮膚刺激性とか目刺激性試験というところで非常に強い副作用があると初めから はっきりしたものに関しては、今後はそれで判断していくようにしないといけないので はないかと思っています。 ○井村部会長 今日の一番最後の審議事項とも関係してくると思いますが、そういうこ とでございまして、新判定基準の方にも腐食性の強いものについては、こういう取扱い をするということで決まっていますので、それも加味して考えていただきます。いかが ですか。ほかに御質問なり御意見がございますか。 ○石川委員 今の御説明を伺うと、例えば急性毒性について腐食性なり刺激性の試験を して、それで著しい腐食性があるということになれば、その結果、即劇物ということに なるということですね。例えば動物愛護の観点から必要以上に動物実験をやらないとし ても、仮に先に動物実験をやった場合、経口投与でそのLD50の数値が明らかに毒物相 当であるというものであっても、刺激性、腐食性の試験をやっていれば、それを優先す ると考えてよろしいのでしょうか。 ○井村部会長 今の御質問、お分かりになりましたか。 ○大野委員 どちらを優先するかという問題かなと思いますが、まず刺激性試験をやっ て腐食性が非常に強いと出たらもうやらないと。逆に経口毒性を先にやって非常に強い 毒性が出たというときに、その原因が皮膚腐食性とか、胃に直接穴を開けたのであって 全身毒性を介して毒性が出たのでないということが明らかな場合には、それを考慮して 毒劇物と判定しなければいけないと思います。ただ、それが腐食性によるものだという ことがはっきり分からなければ、当然そちらの経口投与毒性に基づいて判断しなければ いけないと思います。  またこういった腐食性試験が、原体はあるとしても、それを例えば希釈していった場 合、腐食性が出ないところまで希釈しておいて、それで毒性実験をやることが場合によ って必要だと思います。そういう場合に、今回の場合はたまたま希釈した場合に毒性は 出なかったわけですが、それで毒物に相当するような用量で毒性が出るということにな った場合には、毒物と判定すべきではないかと私は思っています。 ○井村部会長 そういう説明ですが、よろしいですか。 ○井上部会長代理 全くそのとおりだと思います。結局体の中に入っていかないで全身 に至らないわけです。そこが優先するわけではないと思いますが、至らないからもうそ こで否定してしまうということです。 ○井村部会長 分かりにくいですけれど、よろしいですか。ほかの委員の皆様方、よろ しいですか。 ○大野委員 今の石川先生の懸念は私たちも議論して、毒物と劇物で取扱いが違うのだ というと、その辺も考えてより慎重に議論した上で決めなければいけない。慎重にやっ たつもりなのですが、ただ毒物と劇物は法的な扱いは同じです。ラベルが違う程度で、 保管の状況とか受け渡しのやり方といったものは同じだということですので、特にそう いう劇物という規定でも構わないのではないかと思います。 ○井村部会長 調査会ではそういう議論をしていただいた上での御判断だと思います。 いかがですか。これも毒物ではなくて劇物という考え方でよろしいですか。では劇物と いうことにさせていただきます。  次に議題6〜8は同じようなことですけれども、議題6でヘキサン-1,6-ジアミンで す。資料6で説明をお願いします。 ○事務局 まず経緯からお話しします。動物愛護の観点から、今後、海外で既に一定の 評価を受けている物質についてはなるべく海外の評価文書を活用して動物試験をせず、 効率よく毒劇物の指定をやっていこうと今事務局の方で考えています。その第一歩とし て、いわゆるSIDS文書と言われているものを今回取り上げました。SIDS文書に ついて簡単に御説明しますと、OECDの方では高生産量物質、つまり世界で1,000ト ン以上製造されているような物質については、加盟各国政府で分担して毒性試験や毒性 の文献を、その評価を行ったときに現存するすべてのものを集めて初期リスク評価のた めのスクリーニング用データセット、SIDS文書というものを作成して、いわゆる初 期評価会議、SIAMと呼んでいますけれども、そこで各国の専門家を集めて評価を行 っているところです。今日はこのデータ集を皆様のお手元に付けていますが、これは今 のSIAMの評価が終わった後、UNEPのインターネットの方で公表されています。 現在、200物質ほど公表されています。そのうち事務局の方で毒性が強そうなものを14 物質程度拾い上げて、日本の方で特に国内に流通しているものについて今回、調査会で 審議していただき、そのうち結論の出た3物質を部会の方で審議いただくという経緯で す。  別紙1を御参照ください。この物質について説明させていただきますと、これはアン モニア臭の白色の結晶で、融点は41℃です。水によく溶けるようで、通常の取扱いでは 安定に存在していると書かれていました。  別紙2を御参照ください。毒性試験の結果についてです。経口、経皮については毒劇 物相当の毒性は見られませんでしたが、吸入については若干かかっており、「>」とい うことで判定できない形になっています。ただ皮膚刺激性、目刺激性を見ていただくと 「corrosive」、腐食性ありということになっていて、先ほどの腐食性の判定基準に従い 劇物にするのが適当でないかと判断しました。  調査会においては、この物質及び製剤については「劇物と指定することが適当」とい う結論を頂いたところです。御審議のほどよろしくお願いします。 ○井村部会長 調査会の結論はそういうことだそうですが、御質問あるいは御意見をお 願いします。いかがですか。大野先生、何か付け加えていただくことはございますか。 ○大野委員 特にございません。 ○井村部会長 そういうことで腐食性が強いということが一番大きな理由になると思い ますけれども、劇物に指定ということでよろしいですか。では合意がいただけたと思い ますので、これは劇物ということにさせていただきます。  引き続いて同じようなものですけれども、これもジアミンです。説明をお願いします。 ○事務局 この物質(3,6,9-トリアザウンデカン-1,11-ジアミン)は先ほどと同様に SIDSのデータ集から毒性値なりを持ってきたものです。これは界面活性剤や農薬な どの原料として使われているものですが、最終製品にはこの形では残らないような形で 流通すると聞いています。  資料7の別紙1ですが、この物質の物性は常温では黄色の液体で水によく溶けるとい うものです。  毒性結果について別紙2を御参照いただくと、経口毒性については劇物相当の毒性は ありません。経皮毒性については複数のデータが出ているのですが、最低値を見ると 1,000以下という劇物相当のデータが出ています。吸入試験については「>」となって いて判定には使えないのですが、皮膚刺激性、目刺激性を見ると強い腐食性を有すると いう記述があり、経皮毒性と皮膚、目の刺激性を勘案して劇物にすることが適当ではな いかという判断をして、調査会では「劇物にすることが適当」との結論を得たところで す。 ○井村部会長 何か御意見、御質問はございますか。 ○井上部会長代理 これは先ほどの石川委員の御指摘との関連では面白い物質だと思い ますので、調査会での御審議などを伺えたらと思います。いわば急性経口ができている わけです。それで毒物には達しない強さだと思いますが、刺激性だけで劇物にしようと いう御提案だと思います。その辺のところの御審議について少し御説明いただけたらと 思います。 ○井村部会長 大野先生、よろしくお願いします。 ○大野委員 このcorrosiveについては、そんなに詳しいデータを覚えていないのです が、アルカリ性のものなので、アルカリによって毒性がcorrosiveという形で出ている ようなのです。この経皮毒性のところでLD50は660mg/kgと1,260mg/kgとかなり差が あるのです。これはなぜだろうと思ったら、結局1,260mg/kgの方は中和して試験をして いて660mg/kgは中和しないでやっているということなのです。ということで、データま できちっと見ていないのですが、経口毒性のところが3,250mg/kgというのは中和した結 果投与しても胃に全然障害を与えなかったのではないかと想像されると思います。 ○井上部会長代理 よく分かりました。 ○井村部会長 ほかに御意見、御質問はございますか。 ○大野委員 急性の吸入毒性のところが9.9ppm以上となっていますが、吸入毒性の判定 基準がこの場合には500ppm以下のものは毒物と判定するとか、そういう基準化をすると 十分に試験していないという感じがするのです。この試験では元の報告だと、 Substantially Saturated vaporだということで、これ以上濃度を上げられなかったと いうことです。そういうことで、こういう吸入毒性に関しては特になかったという判定 でいいのではないかと考えるわけです。 ○井村部会長 これまでにもそういうことがありました。そういう濃度には達せられな いということです。ほかに御意見、御質問がございますか。よろしいですか。そういう ことで、これを劇物に指定するという点については御了承いただけますか。ありがとう ございました。それではこれを劇物ということで取り扱うことにさせていただきます。  その次ですが、2-t-ブチル-5-メチルフェノールについて御説明をお願いします。 ○事務局 この物質についてもSIDSの文書からデータを使って判定したものです。 これは酸化防止剤の中間体として出回っているもので、ほぼその用途だけということで ほとんど工場ベースでしか使われないものと聞いています。  この物質の物性について別紙1を御参照ください。常温では淡黄色の固体ですが、融 点が21℃ですので、もしかしたら液体になるかもしれないというものです。通常の取扱 いでは安定に存在するというものです。  別紙2で毒性試験の結果を見ていただくと、経口毒性については性差があり、雌の方 で劇物相当の毒性があるという結果が出ています。経皮毒性については1,200mg/kgとい うことで普通物相当ということです。吸入については試験結果がありませんでした。皮 膚、目刺激性については共にcorrosiveということで、経口の試験結果、皮膚、目の試 験結果から劇物にすることが適当ではないかと提案させていただき、調査会の方では「適 当」と結論をいただいたところです。審議のほどよろしくお願いします。 ○井村部会長 確かに抗酸化剤のような骨格をしていますが、物性としては非常に腐食 性が強いということです。いかがですか。御質問、御意見はございますか。たびたびで 恐れ入りますが大野委員、これは調査会で何か特にございましたか。 ○大野委員 特に議論はなかったと思います。ただ追加させていただければ、経口毒性 のところでLD50が130-320mg/kg♀となって、どの辺にあるのだろうということです けれども、130mg/kgでは5例中ゼロで全く死んでいません。320mg/kgでは確か5例中4 例ぐらい死んでいたと思います。そういうことで劇物という範疇で特に問題ないと思っ ています。 ○井村部会長 そういう調査会の議論があったそうですが、いかがですか。御意見はご ざいますか。これも諸データから劇物指定ということにさせていただいてよろしいです か。それではそのようにさせていただきます。以上で議題8まで終了しました。 ○赤堀委員 調査会のメンバーの1人でもありますけれども、議論する中で劇物除外の ときのデータが、ラットの一つの毒性データでもって除外しましょうという判断をして います。本来何もデータがないときは劇物の指定であったと。劇物として除外するとき にラット1種類のデータでいいのか。これまで毒物劇物に指定するとき、どんな動物種 でも毒物劇物のデータを示すものが出てくると毒物なり劇物に指定してきた。そうする と感受性の強い動物種を使ったデータで劇物の指定を外すという考え方は必要でないの かといつも思っていて、少しそういう意味で部会での先生方の御意見を伺っておきたい と思っています。 ○井村部会長 非常にごもっともな御意見だと思います。先生方、いかがですか。ここ でもし御意見が出てくれば、それは調査会での御議論の際に考慮していただけるという ことでございますが、何かございますか。確かに安全性ということからすると、そうい 動物試験がすぐできればそういうふうにするのが一番いいと思います。ただ、ラットの データで除外しているということについては差し当たっては仕方がないかと思うのです が、本来ですと感受性の最も高いと思われるものについてやるべきであるという御意見 はよく分かります。ただ、最近の動物試験のやりにくさということを考えると、いかが なものかなという気がしますけれども、どうでしょう、何か御意見いただけますか。 ○出川委員 今のことはいろいろな毒性試験で常にかかわってくると思います。私個人 としては、本当に安全性を考えれば何種類かの動物でやられた方がいいかと思います。 大野委員はもっとお詳しいかと思いますけれども、動物実験をやって人間にそのまま当 てはまるということもなかなか難しいことがあって、動物愛護の関係からその兼合いを どこか別の所で、場合によってはきちっと考えていただいた方がいいような気もします。 本当に安全性のことを考えたら何種類かの動物でやった方がいいに決まっていますし、 愛護のことから言えばなるべく少ない動物でということになるので、それは私自身、こ れとは別にいろいろ実験をやっていて、いつも引っ掛かって迷いながらやっているわけ です。これは何か別の所できちっと考えていただくような問題ではないかと思っていま す。非常に難しく思っています。 ○井村部会長 おっしゃるとおりだと思います。例えばSIDSのデータの中に何種類 かの動物のデータがあって、そのうちのどれを取るかということになれば、一番感受性 の強いもので判断をしていくというのは当然だろうと思います。ただ、そのデータがな いときはやむを得ない処置かなと思います。わざわざ感受性の強いものを使わなければ 判断しないとか、認めないというわけには現在ではなかなかいかないかもしれないと思 います。 ○大野委員 一般的に実験動物と言われているもので検査するのが安全性確保にとって はよろしいのでしょうが、もともとLD50という値そのものが実験ごとにばらつくもの であったり系統によってばらつくという問題があって、余り信頼できないということで、 ある程度安全性はこのくらいの幅だという推定のもとに、行政的な分類をしていっても いいのではないかというのが世の中の流れだと思います。OECDでもLD50という数 字はもう要求しないし、例えばこの場合だと30から300の間とか、30以下とか3以下 だとか、そのくらいの幅が分かれば行政的なアクションをしてもいいのではないかとい う流れになっています。特にこの物質は種差があって、それこそモルモットは非常に強 い毒性が出る可能性があるとか、そういう予想がある場合などは、何種類かの動物とか いくつかの系統でやった上で、一番感受性の高い動物の結果をもとに判定すべきだと思 います。そういう懸念がない場合には、一般的な実験動物であるラットの結果に基づい て、行政的な分類をするというのが、やむを得ないところなのではないかと思います。 ○井村部会長 赤堀先生、いかがですか。 ○赤堀委員 先生方のおっしゃることはよく分かるのですが、ただ過去にこの部会で、 他の哺乳動物では非常に毒性が低かったのが1種類、鳥類での毒性が高かったために毒 物に指定したというのがあったのです。物質名は忘れましたが、ありました。そういう ことを考えると、あるいは鳥類を使うと毒性が強く出てくるかもしれない。それは過去 には毒物にしたということを考えると、ずっとそのことが引っ掛かっていて、それで今 のような質問をさせていただきました。 ○井上部会長代理 化学物質の安全性を、LD50についての考え方を中心に大野先生の お話があったと思いますが、化学物質一般の安全性に対する考え方から、これがどうい うふうに除外したり審議されたりすべきかという点について、私の考えを述べさせてい ただこうと思います。  恐らくこれについては一般公理は残念ながらないのだろうと思います。これは化審法 の審議のときにも時々議論に出ることですが、いろいろな動物を使った数字というのは 自ずと出てきますけれども、もしそこに一般公理のような値を導入して判断することが できるとすれば、専門家の方々の議論、すり合わせ、お考えというものは、必ずしもな くてもデータベースだけで判断できるということになります。むしろそこで、今具体的 に御質問のあった鳥のケースは先生方が御承知のとおり、恐らく神経毒性を考慮された というふうに通常は考えるわけですが、ではこの物質に神経毒性が考えられるかどうか というのは、恐らくあるデータだけでもって判断することになりますので、それが予想 される場合には、その場での判断は必ずしもこれで安全とは言えない危惧があるという ことは、恐らく残るのだろうと思います。その都度、ケース・バイ・ケースでもって判 断せざるを得ないという面が、一面であるのだろうと思います。  もう一方で化審法の経験でいくと、化審法も28日間試験という限られた試験で判断し ていますが、それにもかかわらずいろいろ皆様方の御意見を集めて、経験則でそれまで の化学物質を整理してみると、かなり一般的な基準が導き出されるという面もあります ので、それは先生方の英知で限りあるデータで判断すると、比較的安全性の側に立った 判断ができているらしいという面もあります。その両側面から調査会にせよこの部会に せよ、誠心誠意、知恵を出し合って判断する以外にないのかなということを感じます。 ○井村部会長 差し当たってはやむを得ないかもしれませんね。ほかにいかがですか。 御意見はありますか。 ○鈴木委員 動物による差とか、雌雄差とか、年齢差とか、その全部というのは恐らく 不可能だと思いますが、その意味で「疑わしきは」という観点からということは、それ ぞれそのときの皆さんの知恵を集めてという以外にないような気がします。そういった 中でも、例えば今回出ていた有機シアン化合物は、青酸イオンとしての毒性という観点 から取り上げているのだろうと思いますが、有機シアン化合物という立場から見たら、 これは青酸イオンと全然違いますから、これを取り上げてわざわざ試験をするというの は、何かちょっと馬鹿げているのではないかという感じはするのです。ですから、そう いったものは最初から除外していって、青酸イオンを考えた試験をするのでなく、もっ と別の観点から私はやるべきだという気がします。例えばポリアミン系統のものなどで すと、pHなどによって全然様子は違ってくると思います。ただオリーブオイルに溶か して云々といった形と、pHを移動させてそこのところでメタルとの関係などを見ると、 また全然違う要素が出てくると思いますので、今回それぞれのところで出てくるデータ だけ見てというのは、なかなか判断しにくいということは感じます。 ○井村部会長 非常に困難な問題を含んでいることは皆さん合意されたようですが、今 の鈴木委員の御発言のように、恐らく毒物劇物の取締法があるから、この部会はできて いるのだろうと思います。化学物質を「毒物です」、「劇物です」、「どちらでもあり ません」と大ざっぱに分けるために何か基準を設けてやっているというのが、恐らくそ の実情なのだろうと思います。余り厳密なところまで議論するほどのデータはなかなか なく、そういうところで決断していかなければならないという部会の宿命がありまして、 これから先もそういうことが多いのではないかという気がします。いかがですか。赤堀 先生、差し当たってはやむを得ないということで、よろしいですか。先生のおっしゃる ことはみんな正しいことだと理解しています。  それでは、その他のところに行っていただけますか。 ○事務局 資料9について説明させていただきます。今の議論と関連するところで、今 回の物質もそうですが、いわゆる除外規定を設けないものについては、劇物に指定され てしまうと、ごく少量でも意図的に混入すれば劇物の規制の枠組みの中に入ってしまう ということでございます。もともと毒劇法の主旨である人が飲んだり吸ったり触ったり したときに急性的に生理機能に影響があって、保健衛生上の観点から規制しなければい けないという立場からすると、微量で本当に毒性がないと通常思われることまで規制し ている現状については若干考えなければいけないというのは前からありました。  判定基準を参照していただくと、2ページの2に製剤の除外の考え方というのがあり ます。これに基づいて除外することは今までも可能だったのですが、これはあくまで毒 性試験があった場合にのみこれを適用する、試験データがないものについては下限値を 設けられないので、安全のサイドから今までは考慮しませんという形で整理してきたと ころです。ただ今般の事情を言うと、動物愛護の点からなるべく動物試験はやらない方 向で行きましょうという話があります。それから今回参考資料で付けましたが、先ほど の室長のあいさつにもありましたとおり、2003年に国連から勧告されたGHSという国 際基準があります。これはいわゆる化学品のラベルを世界共通のシンボルマークとして 例えば髑髏マークなど、ここに挙げられている健康有害のマークとか、そういうものを 付けていこうという条約ではなく勧告です。その中で毒性の基準というのがあって、こ こまで毒性が強いものについては髑髏マークを付けましょうというような基準が勧告の 中に含まれています。  資料9の参考資料の2として付けているもので抜粋していますが、116ページです。 これは急性毒性の分類の仕方が書いてありますが、混合物の考え方ということで、いわ ゆる加算式において分類しましょうと、特に試験はせずに加算式から毒性を類推してラ ベル表示を行っていいですよという、ある意味で国際基準のようなものが出ています。 これは単純には半分に薄めれば毒性値が半分になるという式です。こういう基準ができ てきて世の中はもうこの基準で動こうとしている中で、毒劇に関してはいつまでも動物 試験がないとやはり判定できないというスタンスが、なかなか動物愛護の点からももた ないだろうというのが問題意識の根底にあります。事務局の方で今考えているのは、判 定基準の2ページ、2の除外の考え方ということで、2の(1)の(1)、劇物相当の毒性と 比較して1/10程度、例えば経口ならLD50の劇物の基準値というのは300mg/kgですが、 その1/10、3,000mg/kgまで毒性が薄まったものについては除外してもいいという規定が あるわけですが、この3,000mg/kgに相当する濃度を先ほどのGHSに語られている加算 式を使って逆算し類推して濃度を求めて、計算式から下限値を設定できないかというこ とでございます。 ○井村部会長 今3,000mg/kgと言われましたが、2,000mg/kgの間違いでしょう。2の (1)の(1)ですよね。 ○事務局 これはややこしい書き方になっています。2の(1)で劇物の比較をして1/10 程度となっていて、LD50としては3,000mg/kgなのですが、3,000mg/kgまで今のテス トガイドラインでは投与できないので、投与できない場合は2,000mg/kgで毒性徴候がな い場合と、二つの基準がここに書いてあります。その上側が別に、本当は3,000mg/kgが ベストなのですが…。 ○井村部会長 なるほど、300mg/kgだから3,000mg/kgですね。 ○事務局 このLD50が3,000mg/kgになる濃度を先ほどの加算式から逆算して下限値 を設けられないかというのが事務局で考えている大枠の考え方でございます。  資料9に戻って3ページです。事務局の方では今のような国際基準を今の毒劇の判定 基準に当てはめて計算式から下限値を設けていこうということで、実際に推定濃度を計 算して、その濃度については、例えばpHが高くないかとか、拮抗作用があってこの濃 度でも除外すると危ないとか、通常の使われ方で希釈しても使用先では濃縮されて使う 場合があって、この濃度では除外するのはまずいとか、そういう考慮すべき点があれば 当然見送るのですが、そういうことがないものは、それぞれについてこの計算式で下限 を設けられないかということを考えています。  これについては、資料9のようにパブリックコメントで国民の皆さんの意見も聞こう と考えているのですが、まずは部会の専門家の委員の皆様の御意見をお伺いしたいとい うことです。細かい話で個別物質については多分調査会の方で議論があると思いますが、 まず大枠としてこういう計算式を使うという考え方の是非について、この部会の中で御 意見いただければと考えているところです。 ○井村部会長 いかがですか。ここで決めてしまうということではなくて、これから調 査会でかなり個別の詳細な議論をしていただくのですが、大筋、こういう推定をすると いうその方式について、皆さんがどういうふうにお考えになるかということを事務局の 方は知りたいわけですので、いかがでしょうか。御意見いただけますでしょうか。急に こういう分かりにくい話が出てきていますので、なかなか御意見も難しいかと思います が、基本的なポリシーとして、とにかくできるだけ動物実験をやらない。できるだけ既 存のデータから考えられることは考えていって、それを使っていこうという姿勢だと思 いますが、いかがですか。 ○事務局 調査会の方でもこの大枠についての説明はさせていただいて、御意見を伺っ たところなのですが、用途先によって濃縮したりするので、用途について除外はやめた 方がいいようなものについてはどうするのかという話がありましたが、今の判定基準の 中にも、用途によって保健衛生上の危害の防止が担保できないものについては除外を見 送るという規定がありますので、それはそのまま残して準用できるということで、大枠 としては認めていただいたところです。 ○井上部会長代理 質問ですが、これはGHSの300mg/kgのところと重なるようになっ ていると考えてよろしいのですか。この300mg/kgはどこから出てくるのでしょうか。 ○事務局 いろいろな経緯があり、100%のものについてはこのGHSの基準と今の毒劇 の判定基準は完全に一致しています。希釈物については毒劇の判定基準としては1/10 という考え方があり、3,000mg/kgで切らなければいけない。そこは若干GHSの考え方 とは違うのですが、ただ、10倍に薄めれば1/10になるという、この式の考え方を利用 して毒劇の基準に盛り込めないかということです。具体的に言えば、判定基準の除外の 考え方の2で(1)、(2)、(3)とあるのですが、3、4と付けるか、1の補足として計 算式で(1)と同等の毒性のないことが見出されたものについては除くといった形にはな ると思います。そういう考え方で何とかできないかと考えています。 ○井村部会長 2倍に薄めれば毒性も1/2になるというのが受け入れられるかどうかと いうことです。 ○大野委員 そこのところはなかなか難しいところがあって、判断しにくいところもあ るのですが、一応2倍に希釈すれば毒性も1/2になるとは必ずしも限らないわけです。 吸収が良くなったりということもありますから限らないわけですが、一応この場合の 1/10という基準は希釈した物に10倍のセーフティファクターを掛けたと。その上で、 結果として、もしもともとの毒劇の判定基準と比較して10倍値よりも弱ければ規制から 外してもいいのではないかという内容だと私は理解しているのですが、そういうことで すよね。 ○事務局 はい、そのための10倍です。 ○大野委員 そういう安全係数を10倍かけてあるので、吸収が良くなることがあっても 一般的にはいいのではないかと私は考えています。 ○井村部会長 いかがですか。 ○事務局 また後日、個別に何か御意見等がありましたら事務局に頂ければ考えさせて いただきますし、御意見がなければ事務局の方ではこの考え方で進めさせていただけれ ばと考えています。 ○大野委員 もう一つ考えたことがあります。今の説明は一つのものを希釈しただけと いうものですが、将来Aという物質は1/10で入っている、Bは1/20入っているといっ たものが現れて、そういったものについても判断をせざるを得ない状況が出てくるかと 思います。そういうときの相互作用でどうなるかというと、10倍というのできついとき もあるわけです。医薬品など阻害剤をやると20倍、30倍と上がることもあります。そ ういうことを考えても、一般的には1/10くらいで安全が確保されるかなと思います。た だ、もちろんその物質によって非常に阻害作用が強いものとか、そういう薬学的な相互 作用でもっと増加されるような場合もあるかもしれませんが、その辺は井上先生、赤堀 先生のお話にもありましたが、専門家の英知を集めてこれはこういう基準でいいのでは ないか、これは駄目だなどと判定すればいいのかなと思います。一般的な基準としては これでいいのでないかと思った次第です。 ○井村部会長 いかがですか。 ○長谷川委員 この式を使って今までのデータでこうなるというように具体的にサンプ リングしていただくと分かりやすいのですが、ちょっと理解し切れていないのです。 ○事務局 劇物が50mg/kg〜300mg/kgなので、単純に計算すると大体2〜10%の間に収 まるような感じにはなります。 ○井村部会長 いかがですか。これは問題点の全貌がはっきり分からないまま議論して いるような感じになっていますが。 ○大野委員 シミュレーションか何かした方がよろしいですかね。 ○井村部会長 そうですかね。その方が分かりやすいですね。例えばということで。 ○事務局 分かりました。その辺はまた資料を用意させていただいて、もう一度調査会 の方なりで検討させていただければと思います。 ○井村部会長 よろしくお願いします。委員の皆様方におかれましては、何か思い付か れて、こんな場合だったらどうだろうということがありましたら、事務局の方に御一報 いただけると有り難いということですので、よろしくお願いします。ほかに事務局から 何かございますか。 ○事務局 今日の審議会はこれで終わりです。資料1〜8の分については答申を頂いて、 その結果については次回の薬事分科会の方で御報告させていただければと思います。次 回の部会の日程については未定ですので、また日程調整させていただければと思います。 そのときはよろしくお願いします。事務局からは以上です。 ○井村部会長 実はこの間薬事分科会で、分科会の議事録の修正要請がすごく遅くなっ てから来るので何を言っているのか忘れてしまうということがありました。ひとつその 辺は余り時間を置かないで議事録を頂ければと思いますので、よろしくお願いします。 ○事務局 分かりました。 ○井村部会長 本日用意されました議題は以上で終わりですが、特に委員の皆様方から 何か御発言がありましたら、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは本日の部会 を閉じさせていただきます。ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 化学物質安全対策室 室長補佐 江原(2426) - 1 -