05/09/22 第16回社会保障審議会医療部会議事録 第16回 社会保障審議会医療部会        日時 平成17年9月22日(木)        14:00〜        場所 経済産業省別館944会議室 ○企画官 ただいまから第16回社会保障審議会医療部会を開会いします。皆 様方におかれましてはお忙しい中ご出席いただきまして、誠にありがとうご ざいます。  初めに、本日の委員の出席状況についてご報告いたします。小山田委員、 野呂委員、山本文男委員からご欠席の連絡をいただいております。見城委員、 三上委員、土屋委員、堀田委員は遅れていますが、ご連絡をいただいており ませんので間もなくお見えになると思います。現時点でご出席いただいてい る委員の皆様方は定足数を超えているので、会議は成立しています。  続いて、8月26日付で厚生労働省医政局の幹部の異動がありましたので、 メインテーブルにいる者についてご紹介いたします。松谷医政局長、鈴木研 究開発振興課長です。松谷新局長から一言ご挨拶を申し上げます。 ○医政局長 いま司会の者からご紹介申し上げたとおり、8月26日付で厚生 労働省の人事異動がございました。前任の岩尾の後にまいりました松谷でご ざいます。よろしくお願いを申し上げたいと思います。  この医療部会は、厚生労働省の医療行政を進める上で大変重要なご審議を 賜っているところでございまして、特に昨年の9月以来、大変精力的に医療 提供体制についてのご議論を賜りました。15回ほど開かれたと伺っています が、その成果として今年の8月に、患者の視点に立った、患者のための医療 提供体制の改革という基本的考え方に立って、医療計画制度の見直し、ある いは在宅医療の推進などを通じた医療機能の分化・連携の推進、そして医療 機関による積極的な情報提供など、幅広い事項につきまして、医療提供体制 に関する意見の中間とりまとめという形で、おまとめをいただいたところで ございます。ご存じのとおり、これはその時点で公表させていただいており ます。  前回の医療部会から約2カ月経ったところでございますけれども、この間、 厚生労働省におきましては、来年度、平成18年度の予算の概算要求などを行 ってきたところでございまして、本日その内容等もご説明申し上げたいと思 いますが、この中におきましても、中間まとめの内容で早急に措置ができる ものにつきましては、可能な限り反映をしたところでございます。  また、去る8月11日には、医師の偏在による特定の地域、あるいは診療科 における医師不足の解消に向けて、関係省庁とともに医師確保の総合対策を とりまとめたところでございます。この総合対策につきましても、医療制度 改革における対応すべき事項について、やはり盛り込んだところでございま す。  8月の中間まとめにおきましては、昨年秋以来のご議論に基づきまして一 定の方向性を示していただいたわけでございますけれども、今後、この方向 性に沿いまして、年末の最終的なとりまとめに向かいまして、残された検討 課題について、さらに具体的なご議論を賜ればというふうに考えておる次第 でございます。  さらに、ご存じとは思いますが、中医協のあり方の見直しが、いま行われ ているところでございまして、診療報酬改定の基本方針につきましては、社 会保障審議会医療部会、当部会でございますが、及び医療保険部会で審議す るということとされたところでございまして、この面につきましても、委員 の皆様方の積極的なご検討を賜ればというふうに考えている次第でございま す。  検討課題がこのように大変多い中でございまして、大変ご苦労をおかけす る面も多々あろうかと思いますけれども、是非、来年度の医療制度改革、こ れは政治日程にも載っているところでございますし、我が省としても省を挙 げて取り組んでまいりますので、是非、忌憚のないご意見、ご支援を賜れば というふうに考えています。今後ともご協力のほどをお願いいたします。冒 頭のご挨拶といたします。 ○企画官 資料の確認をさせていただきます。議事次第のほか、資料1「平 成18年度予算概算要求等について」、資料2「医療部会の年末までの進め方 (案)」、資料3「診療報酬体系の見直しについて」です。なお、委員の皆 様方については、資料3に関連して2cmほどの分厚い参考資料をお配りして います。また、昨日の医療保険部会に提出された「医療保険部会における議 論の整理」という資料も、参考までにお配りさせていただいています。以上 です。  それでは以降の進行については部会長にお願いいたします。 ○鴨下部会長 本日はお集まりをいただいてありがとうございます。ただい まご挨拶をいただきましたが、局長もお替わりになりまして、よろしくお願 いいたします。  議事に入ります。今回の部会は、前回の部会から約2カ月が経過している ことを踏まえて、この2カ月間の主な動きについて事務局から報告をいただ くと同時に、今後の進め方について、その案をご提示いただくことになって います。その案について、皆様方のご了解をいただきたいと思っています。  また、併せまして、この医療部会の新しい検討事項である「診療報酬改定 の基本方針」に関する審議も、今回から本格的に行うことになっています。  それでは、本日の最初の議題「平成18年度予算概算要求等の報告について」、 事務局から資料1の説明をお願いいたします。 ○総務課長 説明いたします。1頁の「概算要求の概要」です。医政局の関 係予算としては、平成18年度は2,436億2,000万円で、対前年度比で9.9% の増要求をしています。ただ、シーリングの関係で、最終的には原則として 裁量的経費と公共事業費は、対前年度△3%に収めることになっていますの で、これから財政当局の査定等を受けなければなりません。しかし、できる だけ要求内容が実現できるように、私どもも努力をしていきたいと思います ので、その点のご了解をいただきたいと思います。  内容ですが、2頁の「保健医療提供体制推進事業及び保健医療提供体制整 備交付金の創設」です。これは昨年以来、当部会においてもご議論をいただ いてきたところですが、地方の自主性・裁量性を最大限発揮できるように、 保健医療提供体制の整備のための補助金改革を実施するということです。こ れについては、来年、医療法を改正して医療計画の見直しを実施しますが、 この改正を待たずに、補助金としては来年度予算から実施したいという趣旨 で要求しています。  医政局と健康局が所管している保健医療体制の整備・運営に関する補助金 を、2つの補助金に統合再編するということです。1つは運営費補助金ある いは設備整備費補助金を一本化して、統合補助金を創設したいということで す。また、(2)ですが、施設整備費についても、交付金という形で一本に して、地方が使い勝手のいい形にしていきたいということです。  2つ目が「医療計画制度の見直し」です。(1)の「医療機能調査事業」 は、国が行う医療機能調査事業に必要な事務経費の要求です。また、3頁の (2)ですが、「医療連携体制推進事業」です。これについては都道府県に 対する補助で、説明書きにあるような事業に対して補助をすることにより、 地域における医療連携体制の構築が円滑に進むようにという趣旨です。  3つ目の柱が「救急医療の充実をはじめとする地域医療の確保」です。1 点目が小児救急医療です。多いのか少ないのかということはありますが、こ れについては44億円を要求していまして、今年度の予算から見ると倍増させ ています。内容としては小児救急医療啓発事業ということで、保護者の方々 にもわかりやすいようなガイドブックを作成・配付する新規事業を要求して います。あるいは小児救急専門病床の確保事業といった新規事業も要求して いるところです。  4頁の(4)の「医療施設の耐震化の促進」です。新潟地震等を契機に、 病院の耐震化も大きな課題となっていて、まだまだ耐震化未実施の病院があ ります。私どもとしては、災害拠点病院等を中心に、計画的に耐震化のため の施設整備の補助をしていきたいということで要求をしています。また、へ き地保健医療対策としても、下から3つ目の○ですが、へき地医療支援機構 に非常勤の医師を配置して、代診医の派遣調整業務、あるいは自らが代診医 としてへき地の診療所に赴くといったことを通して、へき地医療の支援をし ていきたいと考えています。  5頁の「医師確保対策」です。この後にご説明しますが、8月11日に「医 師確保総合対策」をまとめています。その中から、特に、昨今の診療科偏在 の中で女性医師が増えてきたことが背景としてあるという指摘があります。 女性医師の方々に円滑に再就職していただけるように、そのための「女性医 師バンク」といったものの設置をしたいと考えています。  (2)の「歯科医師臨床研修」ですが、これは1年間の研修ですが平成18 年度からスタートするので、そのための必要な予算の要求をしています。  また、当部会でも「中間まとめ」でおまとめいただいた、「行政処分を受 けた医師の再教育の義務化」ですが、法律改正が必要ですが、円滑に進める ために再教育のための必要な検討をしていきたい。また、指導医の養成は来 年から始めたいと思っていて、全国7カ所に地方厚生局がありますが、その ような所で指導者を養成する講習会といったものの費用も要求をしていると ころです。  6頁です。助産師あるいは専門分野における質の高い看護師、約55万人い ると言われている潜在看護職員など、こういった方々の確保、あるいは質の 向上についての予算も要求しています。  5番目の「医療安全対策」についても、医療紛争が増えてきているので、 そうした紛争にも適切に対応できるような能力を身に付けてもらうための研 修事業等の新規事業を要求しています。  7頁で「医療のIT化」です。(2)の「診療情報連携のための電子カル テシステムの普及」、こういったものについても新しい予算を要求している ところです。また、7番目の優れた医薬品の開発も大変重要で、これは主と して研究費になりますが、先端医療の実用化、あるいは治験を含む臨床研究 基盤の整備といった分野において、重点的な研究費の確保を図りたいと考え ています。  9頁で「その他」として、ナショナルセンターにおける政策医療の実施で す。特に、先般とりまとめられた「がん医療水準の均てん化に関する報告」 を踏まえて、国立がんセンターに「がん対策情報センター」といったものの 設置をしたいと考えているところです。以上が医政局の予算の概算要求の状 況です。  続いて資料10頁の税制改正要望です。基本的に税制改正要望項目は、放っ ておくと今年度で法律上の措置が切れてしまうものがいくつかあるので、そ ういったものの延長は的確にやっていきたいと思っています。また、従来か ら医業経営の安定、あるいは一定の医療政策を推進するための政策税制の実 現ができていないものについて、実現を目指して今年度も頑張っていきたい ということで要求しています。  目新しいところでは、11頁の1ですが、来年は医療提供体制の改革を行う わけですので、改革の内容によっては税制上の措置が必要なものが出てまい りますから、(1)は、いまの段階から具体的なものを想定しているわけではあ りませんが、手遅れにならないように包括的な要求をしています。(2)は、当 部会でも中間まとめでまとめていただきましたが、「公益性の高い医療法人」 の創設が課題になっています。これを進めるためには寄附金税制のような、 税制上の支援措置が必要だというご提言でしたので、そうしたことを踏まえ て税制改正要望をしていきたいということで要求しています。  あと、新規としては12頁の(5)ですが、先ほど申し上げた耐震化の施設整備 の補助を要求していますが、併せて税制上も「耐震改修促進税制」といった ものを要望したいと考えています。これは国土交通省ほか、関係省庁ともよ く連携を図りながら、その実現に向けて努力をしていきたいと考えています。 ○企画官 続いて23頁から「医師確保総合対策」です。24頁から34頁が全 文で、それを1枚にしたものが23頁ですので、それを使ってご説明します。 8月にまとめていただいた中間まとめの中でも、医師偏在について関係省庁 と連携して総合対策を、というご指摘をいただいたところですが、8月11日 に総務省、文部科学省と3省庁での関係省庁連絡会議で、今回は防衛庁にも 参加いただきましたが、ここで医師確保総合対策をまとめたところです。  さまざまな内容があって、すぐに着手するもの、予算要求していくもの、 制度改正につなげていくものとありますが、1つのパッケージで整理したと いうことです。  具体的な中身として、(1)が「医療対策協議会」ということで、平成16 年2月に、へき地を含む地域の対策ということで一度まとめて、平成16年3 月に3省庁連名で、各県にこのようなものをつくってくださいと通知で出し ました。現在41の都道府県でこのような会が設けられていて、他の都道府県 でも準備中です。これを制度的な位置づけになるものにしていくということ です。 (2)は、医療計画の見直しを通じて、地域で集約化・重点化を含めた協力 連携体制を整えていくことです。なお、これに関連して、特に少人数で治療 を行っている医療機関、散在している小児科や産科といったものについて、 学会や医会、参加いただいたワーキンググループとしての打合せ会をスター トしているところです。  (3)はインセンティブをどう付与するかということで、責務の明確化や 積極的な評価ということで、文章のほうではいくつかの項目を挙げています。  (4)は、養成や研修の課程の医師確保対策ということで、医学部の定員 で地方出身者用の枠を拡大していく、あるいはそういった方々に奨学金を有 効活用する、自治医科大での定員枠の見直しを掲げています。  先ほど予算の関係で報告したものとダブりますが、(5)では「へき地医 療等に対する支援策の強化」の概要です。(6)は、さまざまな場面での 「診療報酬における適切な評価」です。  先ほど概算要求で説明しましたが、(7)は女性医師バンクの話、マッチ ングの推進、どの分野の事業所にも求められることですが次世代育成支援対 策に取り組んでいただくということです。  (8)は「医師の業務の効率化」で、これは32頁の(8)の中に(1)から(6) まであって、業務の効率化、他職種との連携の関係などありますが、こうい ったことを進めていく必要があるのではないかということです。  (9)は「へき地等における人員配置標準の特例等」で、これも中間まと めまでの議論でいただいたところですが、こういった内容を医師確保総合対 策として3省庁でまとめて、今後、具体化を図っていこうとしているところ です。 ○指導課長 引き続いて35頁、資料1−4で説明いたします。「新しい医療 計画の作成に向けた都道府県と国との懇談会」という資料です。医療制度改 革の一環として、医療計画制度の見直しの予定をしているわけですが、先般、 部会の中間まとめをいただきましたが、それを受けて都道府県でも今後準備 に入る際に、どのように考えていけばいいかといったところで、若干戸惑い もあるように聞いています。一方、先進的な医療計画を既に作成しておられ る所もあって、都道府県レベルでの対応にも若干の格差があることから、円 滑な見直しの下に住民・患者にもわかりやすい医療計画といったものも全国 的にどのように普及を図るかという視点から、都道府県と意見交換を通して、 各県の実情も聞きながら、見直しの方向性について都道府県の理解を得るた め、医政局長主催の下に、去る9月9日に標記の懇談会を開催しました。  2番のメンバーですが、全ての都道府県というわけにはいきませんので、 原則としてブロックごとに1つの県を選んで、ご出席をいただきました。  3は議題スケジュールですが、1回目の9月9日は医療連携体制の構築に 向けた手法について、いくつかの先進的な取組みをされている県からご紹介 いただいて、その普及方策等について、国と県、または県同士で意見交換を しました。今後は2回ほど開催の予定をしていて、さらに全国の連携事例を 事務局から提示させていただくとともに、具体的な医療機能調査の実施方法、 わかりやすい医療計画の策定方法と啓発方策についての意見交換等をさせて いただく予定です。できましたら、年末までにモデル的な医療計画の策定に まで漕ぎつければと考えているところです。 ○鴨下部会長 ただいまの説明や資料1に関する質問も含めて、ご意見をご 自由に交換ください。 ○佐伯委員 女性医師の問題ですが、私は仕事柄いろいろな大学の医学部に お邪魔することが多いのですが、本当に女性の学生が増えていて、45%ぐら いではないかと思います。医師国家試験の合格者の内訳を見ると、そこでの 男女比が、男性が部活などに熱心で医師国家試験は合格しないという方もい らっしゃるとすると、卒業生の半分は確実に女性だろうという気がします。 そのぐらいの人数になったのは、いまの研修医から、卒後3年目ぐらいから どんどん数が増えていると思うので、皆さんがどの程度女性医師が増えてい ることを感じていらっしゃるかをお聞きしたいと思いました。これは結構大 変なことだと思っています。 ○医政局長 公式の数字を少し申し上げます。医師全体で女性医師は15%ぐ らいです。合格者の5割ぐらいが女性ではないかという話がありましたが、 いずれそうなるかもしれませんが、まだそこまではいっていません。いま卒 業生が8,000人少しあって、3割を超えたところぐらいではないかと思いま す。大学によって少し上下はあるようで、すでに5割を超えている大学もあ るようです。女性のほうが医師国家試験の合確率はいいようですから確実に 増えていて、今後、女性医師に社会の中でどのように活躍していただくか、 その環境をどう整えていくかは大きな課題だというのはご指摘のとおりだと 思います。 ○佐伯委員 もっと言いますと、労働力としてどれだけ当て込むことができ るかというと、病院の必要な人員などを割り出していって、実際に活動をし てもらえる時期を算定していく必要があるのかと思っています。 ○渡辺委員 女性医師の問題に関係している立場で言いますが、いまお話が あったように全国27万人の医師の資格を持っている人のうちの15.6%が女 医です。国家試験に受かっている人は34%程度で50%にはいっていません。 おっしゃるとおり、これからの状況を見ると女性の入学者が増えているので、 4割、5割になることは間違いありません。  問題点の1つとしては、国家試験に受かった後に診療科目の偏在と申しま すか、眼科、耳鼻(咽喉)科、皮膚科、小児科もありますが、いま申し上げ た前3つは非常に強くなっています。気持はわかるので、脳外科や循環器外 科といったほうは、10時間も立ちっ放しで手術をするということは女性には きついといった部分もあるので、そちらのほうからの対策を考えなければい けないと思います。  それから、いまここにあったように、例えば結婚なさって出産・育児の問 題、それからどうキャリアを戻すかといった問題もあるので、ご指摘のとお り、この問題には相当真剣に取り組まないと、新たに国家試験に受かる約 8,000人の半分が女性となると、大変結構なことなのですが、日本の医療の 問題にある意味での格差が生じかねないと思っています。 ○松井委員 女性医師についてですが、まず、施策を打つことの重要性を否 定するつもりはありません。先ほど総務課長から説明があったように、かな り予算全体はオーバーになっていて削っていかなければならないということ でした。女性医師のほうが診療科の偏在があって、なおかつ継続して働いて いないという問題も根本にあるのだと思うのですが、そもそもそのような形 になるのは女性だけなのかどうかも踏まえて、対策が打たれるべきだと思っ ています。  それと、医政局は他局と十分に調整しているのかどうかわからないのです が、女性医師バンクとして行うときに、男女雇用機会均等法に触れるのかど うかという問題について、本来は議論されて然るべきだと思うのです。女性 のみ募集というのは今は基本的に禁止となっているので、このような取扱い が本当はいいのかどうか。  もう1つ申し上げたいのは、この場合に、おそらくどこかの組織体にこの ようなことをお願いしようとしているのだと思うのですが、もう少し既存の リソースをうまく使うような仕組みも考えたほうがいいのではないかと思い ます。具体的に申しますと、例えば厚生労働省の職業安定局が民間の求職情 報も含めた「しごと情報ネット」というものを持って、そこでポータルサイ ト化してやるような仕組みがあります。そこはまだ紹介まではしていないの ですが、そのようなものを活用することで、お金をかけないで有効な施策を やっていただきたい。省内でももっと連携をして、いままでの経験をうまく 活用しなければ、最初からこのようなことをやろうとすると、かなり大変だ と思うのです。もちろん、医療の世界でのこの辺りでのご経験のある団体な り組織があることを否定するつもりはありませんが、何をしたらいちばん有 効なのかという観点からの取組みが必要だとおもいます。  もう1つは、「女性医師」となっていますが、例えば大学卒女性の再就職 支援事業を雇用均等児童家庭局などではやっていて、そのようなところのア イディアを使うとか、同じ施策を打つのでも、もう少しいろいろな工夫があ って然るべきではないかと思います。私は否定をしているわけではありませ ん。  ここの関連でいくと、退職医師の活用もありますが、できる限りお金はバ ラ撒いていても1つの所でやる仕組みを考えているのかもしれませんが、で きる限り集約して、最後に見ていくときに必要なものに当たっていくような 工夫があって然るべきではないかと思います。 ○龍井委員 いまの問題に関連してです。このようなシステムをつくること は多いに結構だと思うのですが、現状の実態が、辞めざるを得ない、あるい は辞めてしまう時期がどのような時期であるとか、原因がどういうものかが よく解明された上で、しかも女性固有の問題ということであれば、そのよう な施策を講じるべきだと思います。ここでも問題になった長時間労働や深夜 勤務の問題は、別に女性特有の問題ではないと思うので、是非、そのような 解明をお願いしたいと思います。  次は質問です。6頁(1)の医療安全支援センターの機能強化で、新規と して「医療紛争にかかわる者の人材」というのが出されています。よく承知 をしていないのですが、そもそも医療安全支援センターの現状でどのような 課題、どのような問題点があるからこのような施策をとるのかがわかれば教 えていただきたいと思います。  もう1点は7頁の3つ目の○の電子カルテシステムです。これもいままで も随分話題になってきて、予算も投じられているわけですが、依然として普 及が促進されないと。ここでいっている「普及」というのが、今回の予算措 置を通じてどの程度、数値目標があればいちばんいいのですが、どのように 目標を立てられているのかを教えてください。 ○総務課長 まず最初のご質問ですが、医療安全支援センターは平成15年か ら、局長通知で都道府県に対して、患者からの相談や医療事故の相談、医療 に関する情報の提供をここで担っていただいて、患者の支援につなげていこ うということで、設置をお願いしているものです。現在は交付税で措置もさ れています。  中間まとめの議論のときには、いまは各県に1カ所ですが、もう少し身近 な二次医療圏単位ぐらいで増やしていく。あるいは相談の内容は苦情のよう なものも非常に多いのですが、中には医療事故につながりかねないような難 しい事例の相談もあるようですので、そういう意味では医療紛争の円滑な解 決に向けての相談能力が職員に問われているところもあるようです。  したがって、1つは医療安全支援センターそのものの位置づけを、きちん と法律上位置づけていってはどうかというのが1つです。これは中間まとめ の議論にもありました。  もう1つは、実際の話として、そこで働いている職員の方々の医療紛争の 解決のための能力をもう少し高めてはどうか。そのための研修事業をお願い するものです。 ○医療機器・情報室長 電子カルテについてのご質問ですが、平成13年に情 報化グランドデザインというものがつくられていて、その中で、平成18年度 末に400床以上の病院において、6割以上に電子カルテが導入されているこ とということで目標を立てています。これを目指して、一層事業を推進して いくことが基本です。 ○杉町委員 へき地医療や過疎地の医療の問題ですが、今回は25億円ぐらい の予算をとっていただいて、対策を練っていただいています。これは大変高 く評価します。この内容を見ても、例えば代診を置くとか置かないとか、24 時間電話で対応できるようなシステムをつくるなど、それらももちろん大事 なのですが、こういうのはあくまでも姑息的というか、根本的な解決にはほ ど遠いわけです。もう少し根本的な解決を考えるのであれば、へき地や過疎 地に、小さな病院や診療所が根づくような政策をとらなければいけないと思 います。過疎地やへき地は人口が少ないわけですから、患者も少ないのです。 少ない患者が来ても何とか大きな赤字を出さずに、トントンぐらいでやって いけるようなことを考えるのが大事だと思います。具体的には、保険の点数 が1点10円ですが、このようなところに限って、例えば1点12、13円にし ては如何でしょうか。、診療報酬全体が高くなるということは反対なのです が、全体から見ると0. 数パーセントですから、全体にあまり大きな影響は及 ぼさないと思います。  もう1つは、このようなへき地や過疎地で小さな病院や診療所をつくると きの設置基準をできるだけ甘くしていただいて、やりやすいような、つくり やすいようなこと、あるいは税制面でも何とか優遇していただけるようにし て、診療所などができやすいような環境をつくっていただきたいと考えてい ます。 ○古橋委員 私は平成18年度当初に、医療提供体制を考慮した方法で、ある 意味で新しい改革を進めるとすると、期間はそうないわけで、見直された医 療計画が具体的にどう展開していくのかに大変関心があります。  その点では資料1−4で今日伺った、「新しい医療計画の作成に向けた都 道府県と国との懇談会」に関して関心を持っております。今後の医療提供に おいては、国と同時に都道府県の熱意と役割意識が大変重要だと思います。 先駆的な都道府県と第1回目の懇談会を始めて、あと2回ほどあるというこ とですが、平成18年度の当初に向けるとすると、このピッチでいいのかとい う気がします。もう1つは、各47都道府県の気運を高められるのかという気 がしています。  そのような点では、この懇談会をどのようなところに位置づけて、どのよ うなインセンティブを持たせながら、都道府県の役割意識や熱意、医療に対 して非常に情報通になる都道府県の変化に対しては、どのような目論見とプ ランを持っているのかを伺っておきたいと思っています。 ○指導課長 資料1−4に関するご質問で、確かに、都道府県のほうで平成 18年度を見据えるとなると時間もないわけですが、そうは申しましても医療 計画そのものは都道府県の自治事務ということで、基本的には都道府県のほ うで目を見開いてもらわなければいけないという実情もあります。  そのために、医政局長の主催の懇談会という位置づけではありますが、例 えば都道府県の衛生部長会議には必ずこういったことの内容のご説明をした り、今後またさまざまな機会がありますので、各県の担当の方、責任者の方 々には回を重ねてご説明をして、意識を高めていきたいと考えています。  また、この会議自体が公開で、プレスの方々も大変多く入っていましたの で、記事に書いてくださった所も多かったわけで、それに対しての問合せも 都道府県からかなりいただいています。そのような意味では、懇談会の意義 はあったのではないかと感じているところです。  いろいろな意見が出て、今日はその紹介はしていませんが、そういった内 容を踏まえて、ここで出た意見等の紹介を、出席されていない県にもフィー ドバックをして、県のレベルでの意識を高めていただくべく努力をしたいと 考えているところです。 ○松井委員 先ほど、電子カルテの政府としての目標というのがありました が、いまの実施状況がどのくらいで、今度の予算でどのくらいを目指そうと しているのかという質問が1点です。  それから、女性医師バンクの件で言うと、例えばお金のかからない方法で 思いついたのですが、32頁の「仕事と育児を両立できる就労環境の整備」で、 「産休、育休代替要員の確保」と書いてあるのですが、いま、医師以外も含 めて医療関係の職種については、労働者派遣法が一般的に認められていない ことと、育児休業代替要員でも認められていないという問題があったと思う のですが、そのようなところはたしか政令の改正くらいでできたはずですの で、お金のかからない仕組みとなるようもう少し工夫をするとか、やったほ うがいいのではないかと思います。これは女性医師だけではなくて、一般的 なへき地の問題、あるいは診療科の偏在への対応にあたっても十分当てはま るのではないかと思います。2点目は意見です。 ○医療機器・情報室長 1点目のご質問についてですが、民間団体の調査で は、平成17年4月1日現在の状況は、400床以上の病院の20.9%に導入され ているという状況です。これについては資料のように、来年度予算について も、安全性を確保するための基盤の整備、情報公開システムを新たに開発す るといったことを通じて、さらに浸透を図っていくことを進めていきたいと 思っています。 ○尾形委員 概算要求の2頁を見ると、1で統合補助金、交付金を新規につ くるとなっていますが、これと他の項目、例えば3に「救急医療の充実」と ありますが、1との関係について、例えば救急ということだと重なる部分が あるように見えるのですが、1が一般的なことで、3は小児救急など特殊な ところを扱っているという理解でいいのでしょうか。  それから、従来、医療機関の投資的な経費をカバーする意味で重要な役割 を果たしていた近代化施設整備補助金ですが、これは今回はどこに入るので しょうか。  それからコメントですが、1頁に「主要施策」ということで、1から8ま で並んでいて、非常に重要な事項が取り上げられていると思います。1点残 念だと思うのが、この部会あるいは他のところでもそうだと思うのですが、 患者の視点あるいはサービスの受け手の視点を重視することが、これまでの 議論で強調されてきたと思うのですが、独立した項目としてそのような項目 がない。これは、そのようなものとしての予算をつくるのは難しいというこ とがあると思いますし、それぞれの項目の中に入っているということだろう とは思うのですが、これだけ議論が行われてきている中ではやや寂しい気が します。 ○指導課長 予算の関係で、救急に関する予算と交付金・統合補助金の関係 です。なかなかわかりにくいのですが、基本的に公的救急のような特殊な部 門は統合補助金・交付金の対象から外す形で整理されていて、救急の部分は 1のところとは別のものであるというご理解をいただきたいと思います。  近代化の補助金はご指摘のとおりで、トンカチの話は大体交付金に含まれ る整理になっているので、近代化は交付金の中に含まれているというご理解 をいただければと思います。 ○豊田委員 へき地医療について意見を申し上げます。へき地医療の困難さ はここに書かれているとおりですが、先ほど杉町委員が言われた、へき地の 医療に対する対応としては、へき地に医師が定着するように、税制面や診療 報酬面で優遇することによって定着するという視点だと思いますが、へき地 の住民からすれば、そこに医師が定着していることと、いつでも医師がいる ことは違ってもいいと思います。  つまり、いままでも公的病院の役割として、いの一番に挙がってくるのは、 へき地や山間部の過疎地の医療を確保することですが、見るところずっと掛 け声で終わっている感じがします。そういった山間部やへき地には、それぞ れの町村が非常に高額な診療報酬を出して、診療所を用意して医師を招聘し ても、短期でいなくなられて、いつも後任を探すのに苦労している現実もあ ります。  そういうことなので、私は個々の医師がそこに定着できるようにいろいろ と配慮してあげることも大事ですが、それ以上に、例えばこの部会で議論す べきは、公的な役割としての視点から議論されるべきであると思います。具 体的に申し上げますと、すでに地域的に行われている所もあるかと思います が、自治体病院が代表になりますが、へき地医療でなくてもいいのですが、 地域の医療の基幹病院に、その地域のへき地に派遣する医師も含めた定員を 定めて、へき地に診療所をつくっておいて、これも義務づけて、そこへ交代 で医師を派遣します。そうすると、1年なり2年で戻ってきて、新しい技術 を基幹病院でもう一度勉強して出ていくとか、そういった法的な立場で人を 確保する形を具体的につくらない限り、いままで何十年もへき地の問題は言 われてきましたが未だに解決しないというのは、医師個人に依存すると、そ の医師には子弟の教育の問題、生活に対する生き方の問題があるわけで、そ こに定着してくれる医師というのは、単に経済的な優遇だけでは確保できな いと思います。  そういった形で、そのような各地域には公的な施設をつくっておいて、さ らにそこへ医師を派遣する基幹病院をつくっておいて、そこから定期的に医 師を巡回させることを法的に決めたらいかがかと思います。 ○杉町委員 地方自治体あるいは地方自治体病院が、出張所のようにサポー トすればいいのですが、地方自治体病院そのものが全国で8割以上が大赤字 で、地方自治体病院そのものが成り立たない状況になっているわけです。  地方自治体である官がそのようなへき地を担当するよりも、むしろ民間で、 そのようなところで開業していただけるように、税金を注ぎ込まずに、民間 でやっていただくのがいいのではないかと思います。民間で担っていただけ るように、民間で小さな病院を開業される方に対して何かサポートができな いか、あるいは民間病院をつくりやすい環境ができないかということを申し 上げておきます。 ○辻本委員 へき地の問題ではなくて薬の問題についてです。7頁の「医薬 品・医療機器産業の国際競争力の強化」、創薬、新薬治験などを前向きにと いう取組みも非常に大事だと思います。患者の新しい薬への期待はもちろん 大きいのですが、ただ一方で、昨今テレビCMなども含めて、コスト意識の 高くなった患者が薬を安く入手したいということで、ジェネリックへの期待 が非常に高くなっています。  ところが50%を超える普及率のアメリカ、イギリス、フランスなどは、国 家レベルで先端的な情報を集める機関をつくっています。日本にはそのよう な取り組みはあるのでしょうか。言わば野放し状態のような状況になってい るということを聞いたりします。患者は、少しでも安くという希望もあるこ とから、前向きだけではなく、患者のほうに非常に危うい情報が入ってくる 問題でもあるだけに、事が起きる前に責任体制づくりに取り組んでいただき たいということを患者の立場からお願いしたいと思います。 ○鴨下部会長 時間も回りましたので、この問題は打ち切らせていただきま す。  私が2つばかり申し上げたいのは、最初に問題になった女性医師問題は、 女性医師、女性医師と言って、あまり特殊化しないほうがいいと思います。 これは医療全体の問題になると思います。それが1点です。  それと、小児救急の予算を2倍にしていただいたのは大変結構なのですが、 小児救急にしろへき地にしろ、非常に厳しい所とそうではない所、地方とい っても県庁所在地のあるような所は潤っている面があると思います。本当に 困っている所に重点的に使っていただいて、バラ撒きにはならないようにし ていただきたいと思います。ここにあるプロジェクトはいいと思うのですが、 それもある程度減り張りをつけていただくほうがいいのではないかと思いま す。感想ですが、よろしくお願いします。  次の議題ですが、この部会の年末までの進め方についての案の説明をいた だきます。事務局から資料2「医療部会の年末までの進め方(案)」の説明 をお願いいたします。 ○企画官 資料2について説明いたします。この部会での審議については、 従来より、来年の通常国会への法案提出を念頭に、今年の夏に中間的にとり まとめていただいた上で、年末までに改革についての意見のとりまとめをお 願いしたいということで、順次ご審議をいただいてきているところです。し たがって、夏の中間まとめで、検討課題として整理いただいた事項について 引き続き検討をお願いするというのが、年末までの1つのポイントです。  次に、前回の7月28日に中医協のあり方の見直しについて医療課長からご 報告しましたが、診療報酬改定の基本方針について、社会保障審議会医療保 険部会及び医療部会で審議することになっています。  本日、次に「診療報酬体系の見直しについて」という議題を用意していま すが、資料2の備考1にあるように、年末までの審議事項の1つのポイント が、この診療報酬改定の関係です。  さらに、医療保険も含めた医療制度改革全体については、昨日の医療保険 部会に提出された「医療保険部会の議論の整理」をお配りしていますが、こ ういったものも含めて医療制度改革案全体を年内にまとめる必要がありまし て、そのための厚生労働省としての試案を秋口にお示しして、広くご議論い ただくことを想定しています。これについても資料2の備考2に書いていま す。試案が出されましたら、これについてもこの部会での審議をお願いする ことになろうかと思っています。  以上、この3点を意識をして、月2回のペースで全体的な動きをにらみな がら、また医療部会固有のテーマをこなして、年内にとりまとめいただくこ とを考えて、スケジュール案を作ってみたところです。  具体的には次回、17回の10月前半の回については、「特定機能病院につい て」ということで、6月の審議の際に「高度又は専門的な医療」という議題 で若干議論いただいて、整理もいただいたところです。実際、特定機能病院 の承認を受けて医療を提供している大学病院関係者からご意見を伺うことも 必要ではないかと考えています。  「人員配置標準について」はさまざまな論点のあったところですが、前回 改正から5年間の経過措置という話で、これについては現場の対応の問題も ありますので、早急に決定する必要があるだろうということで、次回に入れ ています。  その後、10月後半の回に在宅医療、地域医療支援病院、その他の医療機能 の分科・連携に関する論点、11月前半の回に医療機能の情報提供や広告など、 患者・国民の選択の支援に関する論点、11月後半の回には人員配置標準の話 と、備考3に書いています医療計画や保助看法の話、医師等の行政処分など の別途検討会で詳しい議論をいただいている内容についての検討状況の報告 をして、12月の全体まとめに向かっていくという流れを想定しています。  医療部会固有の論点をこのように当てはめた上で、診療報酬や制度改革の 厚生労働省試案について、適宜議題の中に組み込んでいくということです。 ○鴨下部会長 ただいまご説明いただきましたが、中間報告を踏まえてとい うことですが、ここにあること以外に何かご意見があれば出していただきた いと思います。 ○小方委員 質問ですが、進め方としては、中間まとめから残された課題と いうことで、これでいいと思います。新たに診療報酬体系の見直しが、本部 会と医療保険部会でも議論を進めていく中で、次のテーマにも関連するのだ と思いますが、両部会の意見のすり合わせや審議会でどうまとめるのか、あ るいは中医協とどのような絡みにするかなど、その辺の考え方がありました ら教えていただきたいと思います。 ○保険医療企画調査室長 ただいまのご質問についてですが、7月28日に医 療課長からご説明しましたように、有識者会議のまとめとしてこのような結 論になって、医療部会、医療保険部会でご議論いただこうと。本日、医療保 険の診療報酬体系のあり方について説明を1回させていただいて、それを踏 まえて議論をしていただいて、最後にまとめていただこうと、おっしゃると おりなのです。  後ほどご説明しようかと考えていたところなのですが、昨日も医療保険部 会のほうにお話をして、これからご説明する資料を、まさにそのとおりご説 明したところ、いろいろな観点からのご指摘があって、またそれを調整しな がら資料を作り直して、医療保険部会の観点から見てニーズに合う資料を作 ってご議論いただきます。  本日もこれから医療部会のほうでご議論いただいて、このような視点をも う少し盛り込んで資料を編成して、もう少し医療部会として議論がしやすい ように調整していくべきではないかというご議論をいただくようにしたとこ ろで、また調整をしたいと思います。  それをこちらにあるように9月から11月の間に2、3回議題とする。最後 にどうまとめるかは決まっていませんが、医療保険部会と医療部会とそれぞ れでご議論をいただいていて、これは1つのものにまとめていければいいと なればそうなるし、あるいは1つひとつの方法が、それぞれの観点からご意 見をいただいた格好にするのが基本方針としてよろしければ、そうなる。  これは何しろ初めての経験で、新しい枠組みを作っていくやり方なもので すから、事務方の厚生労働省から「こうなりますので、こうします。よろし くお願いします」というよりは、医療保険部会、医療部会の皆様方のご議論 を踏まえながら、どういうふうにまとめて中医協に届けていただくようにし たらいいかというようになるのではないかと考えています。現状としてそう いうことですので、よろしくお願いします。 ○龍井委員 意見と質問を1点ずつです。進め方の議題については新たなと いうことではないのですが、第18回に予定されている在宅医療の問題という のは、連携強化の中でもコメディカルあるいはケアマネ、あるいは何回も話 題になりましたかかりつけ医の関係も含めて、とても重要な議題だと思いま すので、気持としては単独の議題にするぐらいの位置づけで是非進めてほし いという要望です。  もう1点は質問です。10月の中・下旬に大臣が厚生労働省試案なるものを 発表するというスケジュールになっていると思いますが、それのここでまと めとの関連がどうなるのか。つまり、試案の中にこの部会で、つまり医療提 供体制のことも含まれるのか。含まれるとすれば前後しますので、どういう 関係になってくるのか。まさか中身が違うということはないと思いますが、 その点についてお伺いしたいと思います。 ○総務課長 厚生労働省試案について、いま省内で大臣の下でいろいろ議論 をしていまして、昨日の審議会では、大臣からは10月の中旬ぐらいを目指し て公表したいというご発言がありました。したがって、まだ協議中のもので すので確たることは申し上げられませんが、来年度の医療制度改革は医療保 険制度の高齢者医療制度の在り方など、医療保険制度の話はもとより、医療 提供体制、健康づくりといったものを一連のものとして、改革として取り組 もうというのが基本的な考え方ですので、医療提供体制の問題もその中の一 分野として、現在のところは予定をしています。私どもとしては、この8月 1日の医療部会としての中間まとめを基本にして、その方向で試案に内容を 盛り込んでいきたいということを考えています。  医療保険制度の観点からいいますと、高齢者医療制度の在り方などに加え て、医療費適正化計画というものを都道府県が作っていくというテーマがあ ります。これは、基本的には医療保険サイドの話ですが、医療費適正化の背 景の中に、急性期の病院の在院日数が長いとか、在宅医療が不十分ではない かとか、生活習慣病対策がまだ十分ではないといった、将来の医療費の伸び を抑える意味での、中長期的な観点からの医療費適正化のテーマも、医療保 険部会では議論になっているようですから、そういったものが医療費適正化 計画の中に案として入ってくる可能性が高いです。そうすると、そのことと 私どもの医療計画との関係、あるいは健康局の健康増進計画との関係といっ たものが当然問われてくるわけですので、そういう意味で関わりが出てこよ うかという予想です。したがいまして、そういう試案が出ましたら、私ども としてはこの部会にも試案をご説明申し上げ、ご議論をいただきたいと思っ ています。最終的には、年末に試案を政府としての基本方針としてまとめな ければいけませんので、そのタイミングで試案が部会としての意見に沿った ものになるように努力をしたいと思っています。 ○佐伯委員 今朝の日本経済新聞の第一面にポンと出ていたのと、試案と、 ここの医療保険部会との関係を頭の中で整理したいので教えてください。 ○保険医療企画調査室長 今朝の日本経済新聞に出ていたものというのは、 「診療報酬2から5%下げ」と書いてあったものかと存じ上げます。そちら の説明だけをします。大体、年末に予算の編成をします。その際に、この医 療診療報酬、いわば医療の単価なるものが全体枠としてどれだけ上げる、下 げるというものを決める。それを改定率と呼んでいまして、報道によれば、 診療報酬2から5%下げという政府方針だとなっているわけですが、いまの 時点でそのように決定した事実は全くありません。この改定率については従 来、中央社会保険医療協議会で議論をし、年末の時期の予算編成に際しての 意見を言っていくところが、中医協があたかも決定しているかごとくのイメ ージに見える部分があったものですから、先般の中医協の在り方に関する有 識者会議の中で、改定率は予算編成と密接に関連しますし、それは内閣の権 限であることも明確にするということで、中医協の権限ではありませんとい うことは明確にしたわけです。  ただし、中医協においては、医療機関の経済状態、経営状態などについて は把握できますし、それは厚生労働大臣に提出することになろうと思います し、マクロ指標、経済の状況などを踏まえて政府与党、内閣の権限として年 末に決めていくことになっているものです。ですから、医療改革全体の話と 診療報酬、単価の総枠を何パーセント上げるのか、下げるのかといったよう なものとは、少し別に考えていただいたらと考えています。 ○渡辺委員 佐伯委員にお答えするために手を挙げたわけではありませんが、 確かにうちの新聞の一面に書いてあるのは、うちの出先の人が書いた話で真 意のほどはわかりません。それは置いておいて、ここの進め方の問題と、先 ほど龍井委員がおっしゃったことに全く同感で、在宅医療の推進ということ は5月にも議論したと思いますし、中間まとめにも入っていますが、この中 間まとめを読んでみても、まだ抽象的な気がします。  かかりつけ医の問題とも絡みますが、かかりつけ医機能の定義を無理矢理 作る必要はありませんが、いろいろなかかりつけ医があっていい。例えば総 合心療内科的なイメージだけではなくて、歯科も薬剤も含め、全体としてか かりつけ医機能が在宅医療を推進していく体制をもっと具体的に掘り下げる。  ただ、5月の時点で足りなかったと思うのは、訪問診療なり訪問看護を進 めていく上で、つまり在宅医療を進めていく上で、当然、診療報酬の裏打ち がなければ進まない。その辺も明確にしていかないと、いまの診療報酬のマ イナスであれ何であれ、総理官邸の方針は知りませんが、トータルとしては マイナスであり、必要なところにはきちんと付けていくという観点から、在 宅医療の普及というものは診療報酬との関係も明確に、この医療部会で議論 をしていく必要があると思います。 ○堀田委員 2点あります。中長期的に見れば、いま、医療制度改革がいち ばん大きな問題だと思います。いま内部で検討中であるということですので、 2点の要望事項があります。  1点は、この医療行政について厚生労働省と地方自治体でどれだけ分けて いくのか。そこの在り方を広い視点に立って、しっかり今度の改革の中で考 えを打ち出してほしい。そして審議会での議論にも乗せてほしいと思います。 本日の予算でも、補助金・交付金等にどれだけのことを盛り込むのかがはっ きりしませんので、この予算構造全体の姿がよく見えない。どこまで国がや るのか。これは、それぞれの予算項目に立ってきますし、そのやれない部分 を任せるというのですが、そこの基本的なスタンスというかポリシーが見え ないと、いつまで経っても予算編成の在り方自体の基本が固まらないのでは ないか。そのあたりの議論がほしいと思います。  いろいろと広範な議論が行われるのでしょうが、もう1点は、実際に行わ れた診療の適否のチェックをする仕組みが弱いので、これが保険だけの問題 として見ていていいのかどうか。保険以外にも広く診療内容の適正さについ てのチェック体制がないと、いつまで経っても問題の基本が解決しないので はないか。その点についても改革の中で論議していただきまして、試案を示 していただいて、議論に乗せてほしいと思います。以上2点です。 ○鴨下部会長 いろいろとご議論やご意見をいただきましたが、これをでき るだけ組み入れる形で、資料にもう一度リファインして、議論を進めること でよろしいですか。  もう1つの議題がありますので、お願いします。診療報酬体系の見直しと いう大変大きな課題ですが、これについて資料の説明をお願いします。 ○保険医療企画調査室長 資料3に従いまして、ご説明します。先ほどから 話が出ていますように、中医協の在り方に関する有識者会議が7月20日に報 告書をまとめまして、その中で、先ほど佐伯委員からお話がありましたのは 改定率の関係ですが、もう1つ、中医協のほうが医療政策万般について、診 療報酬点数のみならず、政策のほうまで関与が大きすぎるのではないかとい うことから、診療報酬改定の基本方針に当たるものはこれまで中医協で改定 の前にまとめていたわけですが、それは中医協ではなくその他の審議会、具 体的には、医療部会及び医療保険部会のほうでご議論をいただいて作成して いただくことにすべきではないかというのが結論でして、そういうところま で7月28日に医療課長からこちらの場で報告させていただきましたが、第1 回目の議論に供するための資料として、本日、資料3を用意しました。  「診療報酬体系の見直しについて」ということで、1頁ですが、医療保険 制度及び診療報酬体系に関する基本方針に沿って、政府の方針としていま見 直しを行っています。具体的には、「少子高齢化の進展や疾病構造の変化、 医療技術の進歩等を踏まえ、社会保障として必要かつ十分な医療を確保しつ つ、患者の視点から質が高く最適の医療が効率的に提供されるよう、必要な 見直しを進める。その際、診療報酬体系の評価に係る基準・尺度の明確化を 図り、国民に分かりやすい体系とする」という基本的な考え方に基づいて、 ドクターフィー的要素、ホスピタルフィー的要素、患者の視点の重視等の基 本的な考え方に立って見直しを進めるという大きな基本方向になっています。  2頁以下が、いわば各論になります。この資料の見方は、上のほうに四角 で囲んで(1)(1)と書いてあります。こちらの言葉遣いは、すべて資料3の 後ろに「基本方針について」という閣議決定そのものを付けていますが、そ こに書いてある記載をそのまま抜き出してきて、それぞれの項目について、 現行制度はどのようになっているか、現行制度の課題としてどのようなこと が考えられているか、検討をこれから進めていく際の視点はどういうもので ある、と整理してみた、要するに、いまの基本方針の現状と課題という整理 をしていまして、均質な説明を昨日の医療保険部会でもしました。  2頁は、「医療技術については、出来高払いを基本とし、医療従事者の専 門性やチーム医療にも配慮しつつ、難易度、時間、技術力等を踏まえた評価 を進める。そのために必要な調査・分析を進める」ということです。現行制 度の概要ですが、診療報酬項目全体で4,000項目ほどありますが、そのうちの 約1,000の項目が手術に関係しますので、その代表例で手術を例に取ります と、個々の手術ごとに点数が設定されていまして、これまで難易度の観点を 踏まえた評価の精緻化が図られてきています。  また、平成14年度より手術について施設基準を導入し、症例数や医師の経 験年数等による評価を行っています。  現行制度の課題として、中医協の中に調査専門組織が設けられていまして、 その中のいろいろな調査の報告として、難易度、時間等を踏まえた評価につ いては、平成16年度に、手術ごとの手術時間及び手術医師数に係る実態調査 を実施しました。本調査では手術時間について、同じ手術であってもいろい ろとばらつきがあるという結果でした。手術医師数については、一定程度手 術の難易度を反映しているものと考えられますが、更なる精緻化が必要であ るとの結論でした。これは平成15年に中医協の下で、より、この根拠のデー タ提供に基づいた診療報酬改定ができるようにということで、4つの調査専 門組織を作っていまして、中医協の委員と別の専門の先生方にいろいろな調 査研究をしていただいている結論を中医協のほうでも聞いて、分析などをし ていまして、そういうものの結果をここに書いているもので、別紙1と書い てありますが、それはお手元にあります厚い資料の中に入っていますので、 ご覧いただければと思います。  その下に、技術力を踏まえた評価については、平成16年度に、症例数とア ウトカムの関係について、調査を実施しました。その調査においては、症例 数とアウトカムとの関係について、一部の手術を除き、あまり相関関係が認 められないという結果でした。  検討の視点として難易度、時間、技術力等を踏まえた評価というのを、今 後とも進めていく必要があるという内容になっています。  同様に3頁は、高脂血症等の生活習慣病の重症化予防の観点から、栄養・ 生活指導、重症化予防等の評価を進めるということで、現行では、生活習慣 病の指導管理ということで、治療計画書に基づき、服薬、運動、休養、栄養、 喫煙及び飲酒等の生活習慣に関する総合的な指導、治療管理等を行った場合 の評価を行っています。栄養指導についても、腎臓食、肝臓食、糖尿食等の 特別食が認められる患者に対して、管理栄養士が栄養指導を行った場合の評 価を行っていますということを、診療報酬上位置づけています。  現行制度の課題として、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等のチームワ ークによって、患者の栄養状態を評価・判定し、栄養状態を改善する取組み が進められていて、こうしたチーム医療による重症化予防の取組み強化が求 められるのではないかというのを、いま私どもで整理させていただいていま して、検討の視点を生活習慣病等の重症化予防と位置づけています。  4頁は、医療技術の進歩や治療結果等を踏まえ、新規技術の適切な導入等 が図られるよう、医療技術の評価、再評価を進めるということです。いま、 新規技術をどのように保険導入しているかというと、通常2年に1回行われ る診療報酬改定の際に保険導入を行っていますが、保険外のものを保険に導 入する方法と、保険外であったものを保険診療と保険外診療との併用、これ までの仕組みで申し上げると高度先進医療という仕組みがありまして、そう いうステップを経たものが検討を行われて保険導入されていくという2つの 道がありました。  そのうちの1つ目は、先ほどご紹介申し上げている診療報酬調査専門組織 の1つとして、医療技術評価分科会というのを設けていまして、そこにおい て客観的なデータに基づく検討を行いまして、保険導入の適否についての相 応しい資料を準備して、中医協において審議を経て、保険導入を決定すると いうことで、データに基づく透明で客観的な仕組みをいま構築しようとして いるところです。2つ目の高度先進医療については、高度先進医療専門家会 議というのを設けまして、そちらで、保険診療と保険外診療との併用が認め られた技術について、実績報告等に基づく検討を行いまして、中医協に資料 を提出して、中医協で審議を経て、保険導入の適否を決定するという仕組み です。  右側に移ります。混合診療問題というのが昨年来、大変活発に議論がなさ れまして、その結果として、高度でない先進医療についても、保険診療と保 険外診療との併用を認めて、早期に患者に新しい医療が届くようにすべきで はないかという結論で、先進医療専門家会議というのを設けまして、実績報 告等に基づく検討を行って、そこで実績報告をいただきまして中医協に提出 して、中医協の審議を経て、保険導入について決定することとしています。 そのように現行制度の課題としては、新規技術の保険導入について、手続の 透明化・明確化の視点が求められていると整理しています。  5頁は、医療機関のコスト等の適切な反映として、まず、入院医療につい て、疾病の特性や重症度、看護の必要度等を反映した、適切な評価を進めよ うということで、現行の制度として、入院時の食事については、平成6年10 月から、入院時食事療養費制度を導入しまして、一般の場合、1日につき 1,920円。また、入院して療養している方と在宅で療養している方との公平 を図る観点から、食事に関して家庭でも要している程度の額を標準負担額と して、一般の場合、1日につき780円を頂戴する仕組みに現行制度は相なっ ているところです。  課題として、実際に入院時の食事についてどれだけのコストがかかってい るのだろうかということで、医療機関における入院患者給食に係る費用等の 実態を把握するための調査をいま実施していまして、現在集計しているとこ ろです。併せて、医療安全や医療のIT化についてのコスト調査を実施する 方向で、調査設計の作業をしているところです。  検討の視点として、こうしたコストの実態を踏まえた評価や、薬剤、材料 代等の「もの代」の位置付けをどのように考えていくかが挙げられようかと 考えています。  6頁は、入院でも、とりわけ急性期医療について、「平成15年度より特定 機能病院について包括評価を実施する。また、その影響を検証しつつ、出来 高払いとの適切な組合せの下に、疾病の特性及び重症度を反映した包括評価 の実施に向けて検討を進める」。これが、閣議決定をしました基本方針に書 いてある言葉です。  現行の制度の概要として、急性期入院医療について、「疾患」と「入院後 に行われる医療行為」の組合せにより、約3,000の診断群分類というものを 設定しまして、そのうちの約1,700について入院基本料、投薬、注射などに 要する費用を1日当たりで包括して評価をする仕組みを、現在144病院にお いて行っています。また、そのDPC導入の影響評価を行うために、DPC 支払いの導入を行っている病院のほかに、支払いとしては基本的には出来高 払いですが、調査協力ということで200以上の病院に協力をいただいていま す。  現行制度の課題として、こうしたDPCの包括評価を進めることで、粗診 ・粗療が認められないかが危惧されていましたが、平成16年度に調査専門組 織が調査を行ったところ、粗診・粗療等は認められなかったという結果が報 告されました。そして在院日数の減少、後発医薬品等、先ほど出ましたジェ ネリックですが、その使用割合が増加し、検査・画像診断の外来医療への移 行、がんの化学療法・放射線療法のための計画的再入院の増加等、効率化が 進んでいることが見られています。また、死亡割合、術後在院日数等に大き な変化はなく、退院患者の転院先の病院における評価・患者満足度も概ね高 いという報告になっていて、急性期医療についてのDPCの適用拡大という のが検討の視点になっているかと整理しています。  7頁は、急性期に対して慢性期入院医療について、病態、日常生活動作能 力、看護の必要度等に応じた包括評価を進めるとともに、介護保険との役割 分担の明確化を図るというのが基本方針です。左側に現行制度の医療保険適 用療養病床と介護保険適用療養病床との比較がなされております。その下に 患者の状態像として、常時医学的管理を要する患者から、医学的管理はさほ どは必要とせず、容態急変の可能性の低い患者まで分類してみますと、比較 的両方とも似通った患者の状態像かなと見て取れます。  現行制度の課題として、平成16年度に、療養病床の入院患者の特性やサー ビス提供の実態に関する調査を実施し、その調査を基に、平成17年度は、下 に表で書いてありますように、日常活動の動作能力(ADL)と医療の必要 度の区分に応じた患者分類を作成しまして、その分類案が妥当かどうかの検 証を実施することとしているということで、患者の状態像に応じた慢性期入 院医療の評価、介護保険との役割分担というものが視点になっています。  8頁は、疾病の特性等に応じた評価ということで、リハビリテーション、 救急医療、小児医療、精神医療、在宅医療、終末期医療等について、医療の 特性、患者の心身の特性、生活の質の重視等を踏まえた適切な評価を進める ということで、平成16年度において亜急性期入院医療等を創設する、あるい は充実することを行っています。  現行制度の課題として、こちらの医療部会のほうで8月1日にまとめてい ただいた提言の内容として、地域の医療機能の適切な分化・連携を進め、急 性期から回復期、慢性期を経て在宅医療への切れ目のない医療の流れを作り、 早く患者が自宅に帰れるようにする。右のほうにも、それに従って、高齢者 についてもできるだけ住み慣れた家庭や地域で療養しながら生活を送れるよ うにする。サービスのほうもそれに則して、訪問看護サービス等の充実を図 るといったようなことが課題として把握されているところです。また、産科、 小児科、救急医療など、診療科・部門による偏在の解消についても、診療報 酬での適切な評価など不足している診療科への誘導が考えられるところであ るというのが、医療部会のほうでも中間まとめの中に盛り込んでいただいて いるところで、こうしたものを検討の視点にしていくものと考えています。  9頁は、医療機関等の機能に応じた評価ということで、入院医療について は、臨床研修機能、専門的機能、地域医療支援機能等の医療機関の機能及び 入院期間等に着目した評価を進めるということです。入院医療について種々 の加算を設け、また、リハビリテーション病棟入院料などについて、包括払 いを原則とする特定入院料を設けています。また、入院期間に応じて、初期 の加算、長期の減算という仕組みを設けているのが現状です。  現行制度の課題として1つだけ挙げていますが、諸外国と比べ病床数が多 く、医療従事者数が少なく、在院日数が長いという特徴についてどのように 見ていくかが課題になっているということで、平均在院日数をどのように短 縮し、家に戻っていただけるようにするかというあたりが課題になっている と考えます。  10頁は、外来医療です。大病院における専門的な診療機能や紹介機能を重 視した評価を行うとともに、診療所及び中小病院等における初期診療、かか りつけ医・かかりつけ歯科医・かかりつけ薬剤師の機能、訪問看護、在宅医 療等のプライマリケア機能等を重視した見直しを進めるということです。初 診料、再診料について、現在、そうした観点から差を設けているところで、 かかりつけ医機能を評価して、診療所においては高い点数としていますし、 病院と診療所の機能分担を図る観点から、他の医療機関から紹介がなく、大 病院を受診した患者等については、自己の選択に係るものとして、特別の料 金を徴収できることになっています。  課題として、病院と診療所の初再診料の点数格差について、患者の観点か らすると、診療所のほうを高く評価すると、自己負担は診療所のほうが高く なるということもあり、必ずしも診療所の外来機能を推進する効果が期待で きないのではないか、という指摘もあって、ここは悩ましいところです。  11頁は、患者の視点の重視ということで、医療機関の施設基準や機能等に 関する情報、診療・看護計画等の情報の提供を進め、また、患者ニーズの多 様化、医療技術の高度化を踏まえて、特定療養費制度の見直しを行うなど、 患者の選択によるサービスの拡充を図ることが基本方針に位置づけられてい ます。現行の制度の概要としては、院内掲示を義務付けていますし、総合的 な診療計画を策定し、患者に対し、文書で説明を行うこととしている。それ がなされていない場合に、入院基本料が減算される仕組みを設けています。  課題として、中医協のほうでも指摘があるところで、患者が受けた医療の 内容がわかる領収書について、各医療機関において体制を整え、その発行に 努めるよう促していますが、これをまた推進していくことが求められていま す。そして、患者の選択によるサービスの拡充に関係するところですが、保 険診療と保険外診療との併用の在り方について、いわゆる混合診療問題とい うことで、厚生労働大臣と規制改革担当大臣の合意がなされていまして、そ れに沿って今できる改革をしていますが、来たる医療改革において、特定医 療制度というものを「保険導入検討医療」と「患者選択同意医療」といった ものに、新たな枠組みとして再構成することにしています。  12頁は歯科診療報酬です。上記のほか、口腔機能の維持・増進の観点から、 歯科診療所と病院歯科における機能や連携に応じた評価、う蝕や歯周疾患等 の重症化予防、地域医療との連携を重視した在宅歯科医療等の評価を進める ということです。現行制度の概要として、「かかりつけ歯科医初診料」という ものを設けて、歯科治療の開始に当たりまして、患者への治療計画等の情報 提供を踏まえた継続的な歯科医学的管理を行うかかりつけ歯科医を評価する ものであり、算定に当たっては、患者の同意を得て、治療計画の策定を行い、 患者に対しその説明をした上で文書による情報提供を行うこととされていま す。  現行制度の課題として、「かかりつけ歯科医初診料」の算定された患者の うち77%が情報提供文書を受領したという調査をまとめていて、そういった 文書をきちんと出していただけるようにすることが1つの課題ですし、また、 歯科医師臨床研修が平成18年4月から必須化されますが、現時点において、 今のところ評価はしていませんので、そこをどのようにするかということが あります。  なお、検討の視点に、「かかりつけ歯科医機能の適正化」と書いています。 これは昨日の医療保険部会と均質の説明をさせていただいていますが、指摘 がありまして、「適正な推進」という言葉遣いのほうが相応しいのではない かという結論になっていますので、申し添えます。  13頁は、医薬品の適正使用の観点から、情報提供や患者の服薬管理の適正 な推進等保険薬局の役割を踏まえた評価を進めるということです。医薬分業 の進展で、薬局調剤医療費は増加しています。調剤報酬の内訳は、約7割が 薬剤費、約3割が技術料ということで、技術料の割合がやや微減傾向にあり ます。  課題として、調剤報酬について、医薬分業の進展を踏まえて、調剤基本料 の区分等について、体系的な検討を行うべきことが指摘されていまして、具 体的にコストを見てみますと、右のほうですが、調剤基本料2の処方せん、 調剤基本料2というのは、いわゆる門前薬局で、処方せん受付回数が月に 4,000回を超えて、特定医療機関からの処方せんの集中率が7割を超える薬局 の経営効率がほかと比べて高くなっているという傾向があり、その辺が1つ の課題になっているし、そのほかいろいろな調査結果が報告されていまして、 かかりつけ薬局機能の適正な推進というのが課題になっています。  最後は、薬価・医療材料価格制度等ということです。薬価算定ルールの見 直し、画期的新薬を評価し、後発品の使用促進を図る。それから、医薬品等 に係る保険適用及び負担の在り方について検討を行い、医療材料価格につい て、内外価格差の是正を進める。医薬品、医療材料、検査等について、市場 実勢価格を踏まえた適正な評価を進めるという内容です。薬剤費は6兆円で ほぼ横這いですが、薬剤比率は、もともと3割と言われていますが2割程度 に低下し、いま横這いの状況になっています。また、薬価差というものも確 実に縮小してきているという内容があります。そうした中で、新薬の適切な 評価をもっとしていくべきではないかということ。既収載医薬品の薬価につ いては、2年に一度、実勢価格に消費税を加えて、さらに調整幅を加えた額 を新しい薬価として算定を行っているというのが現在の概要です。  課題として、後発医薬品について、先ほどもご指摘がありましたが、使用 状況は若干上昇傾向にありますが、世界的に見ると使用量が非常に少ない。 画期的新薬の評価について、薬価算定時の補正加算の加算率が低く、また、 加算要件が厳しいといった指摘があるのが課題となっていまして、そうした ことを視点に盛り込んでいきたいということです。  本日は、現状と課題の整理ということで、第1回目のご説明をさせていた だきました。 ○鴨下部会長 ただいまの説明や資料3に関するご質問も含めて、自由に意 見交換をお願いできればと思います。 ○龍井委員 冒頭の説明で聞き漏らしたのかもしれませんが、結局、この部 会でこれをどう扱おうとしているのか、補足の説明をお願いできたらと思い ます。というのは、いま縷々ご説明をいただいたのは検討の経過の報告です よね。提案ではないですよね。そうすると、もちろんこれは保険部会のほう でもご説明されたということなので、それぞれの部会ではどの項目をどうい う視点で議論してほしいという提案というか、別資料が改めて提起をされる という認識でいいのかどうか。  もう1点は、その議論をした場合の集約の仕方です。これをそれぞれの部 会が中医協に提起をするのか、あるいは、いま社会保障審議会もありますの で、部会としては審議会のほうに、答申とは言わないのでしょうけれども検 討経過を報告して、そこから中医協のほうに提供するのか。そのどちらかと いう手続面。  3つ目は時期の問題です。先ほどもご質問があったように、大よそどうい う取りまとめで時期設定を考えておられるのか。  4つ目は、今回こういうことは初めての試みだと思いますが、来年以降の 中医協とそれぞれの部会とのそれぞれの課題のフィードバックの仕方につい ては、どんなイメージを持ったらいいかをわかる範囲で教えてください。 ○保険医療企画調査室長 基本に係るところですので、お答え申し上げます。 今日ご提出させていただいた資料は龍井委員がおっしゃるように、私どもの 提案ではありません。いわば現状の説明になります。私どもがいまの時点で 基本方針に当たるもので、これですといってお示しできるものは政府の閣議 決定した基本方針しかないものですから、それを基に今回は提出をしていま す。3つ目ぐらいの質問に飛んでしまうかもしれませんが、次回以降はどん な資料を考えているかというのは、まさにこちらでご議論をいただいて、こ ういう観点からもう少し整理してはどうだろうかというご提案をいただいた ものに則して、私どもも審議がスムーズに進むように資料をご準備させてい ただきたいと存じ上げます。  ちなみに、この資料はある意味で項目ごとに出ているし、どういうところ を評価すべきだみたいなことで、中医協の議論の延長線のようになっている 部分が多少あって、そういうものではないのではないかというのが、昨日の 医療保険部会の中で出てきた大きな観点だったかと思います。してみると、 例えば医療保険部会ですので、医療保険の持続性や保健医療の範囲、それか らどのようにしてIT化を進めて保健医療を効率化させていくのがいいかと か、医療保険部会で議論するのにスムーズに議論でき、かつそれが中医協の 議論の同じことの重ね合わせみたいにならないようにしてもらえたらという のが昨日の総論だったかと思います。私どももやってみないと分からない部 分がありますが、今日限られた時間ですが、ご議論をいただいて、私どもな りの取りまとめの仕方を考えていきたい。  集約の仕方ですが、中医協の在り方に関する有識者会議では、具体的な審 議の場としては、医療保険部会と医療部会が想定されるというようにまとま っていましたので、特にこれは法定された事項ではありません。医療政策の 基本に係る、特に医療提供に関するような部分ということで、医療部会から ご提言いただき、医療保険に係る部分として医療保険部会からご提言いただ く。それが1つになっているならば1つになりますし、先ほど申し上げまし たように、いまの時点で予見をもって1つのほうがいいとか悪いとか、決め 付けてはいません。  先ほど梶尾企画官からご説明のありました今後の進め方ですが、でき得れ ば有識者会議にありました改定の進め方としては、改定率は年末に内閣が決 めます。診療報酬改定の基本方針は医療部会、医療保険部会で年末に決めて、 その2つを中医協にお渡しして、中医協は年明けに2つの命題をもって、具 体的な診療報酬改定の案を作る。いままでは改定率が決まったあと、審議を ずっと続けていって、議論が大体噛み合ったかなというあたりで事務局が、 「これが改定案としてよろしいでしょうか」という諮問をして、即日答申み たいな感じになっていたものが、そうではなく、基本方針と改定率をもって 診療報酬改定案を作ってくださいという諮問を厚生労働大臣から中医協にし たいと、有識者会議では予定していまして、11月あたりまでに精力的にご議 論いただければ大変ありがたいと考えています。  最後に、今後の在り方、あるいはフィードバックの在り方です。今回は初 めてのことですので、なかなか私どももどう進めていったらいいか分かりま せん。まさに、日々ルール作りになるのだと思いますが、今後については、 1つ中医協の新たな機能として、公益委員に結果の検証を行わせる機能が中 医協の有識者会議の報告書に位置づけられています。そこには、例えばある 特定の診療報酬項目、例えば小児医療の何某という項目をして、これはどう いう意図をもって設定したものが結果としてどうなっただろうかという検証 が1つです。もう1つは、医療部会、医療保険部会から来た基本方針にあっ た改定になったのだろうか、ならなかったのだろうか、あるいは医療保険部 会、医療部会からあった基本方針をどのようにこなして、ここの部分はどう してもできないというのを認識しながら改定したとかいうものをもって検証 することになっていて、そういうものは改定の後になるのか、また中医協か ら医療部会、医療保険部会にも、そういう意味でフィードバックがなされて、 このように改定をしましたという報告がなされることになるのではないかと 考えています。 ○龍井委員 再確認ですが、医療保険部会と医療部会が1つになるかどうか は、まだいまの時点ではわからない。それの判断と調整は、どの場で行うの か。もう1つは、いまのお話では社保審の出番はないように聞こえています が、そういうことでいいかどうかです。 ○保険医療企画調査室長 先ほどの繰り返しになりますが、これは1つで出 てきていただいたらいちばんいいという気持があるといえばありますが、医 療部会のほうではこういう観点がありました。医療保険部会ではこうでした となれば、それは1つの話だろうと思います。  社保審の総会なるものに掛けるかどうかは、中医協の在り方の有識者会議 では特に考えていませんで、むしろそこはご判断いただいてもよろしいです し、中医協の在り方に関する有識者会議は、ある意味で中医協がこれもあれ もと権限を集中させすぎているものを、少し分散すべきではないかというの が、たぶん基本思想にあったのだと思いまして、医療部会あるいは医療保険 部会でやるということよりは、中医協でないところでやるほうに力点があっ たわけで、それの具体的な場として医療部会、医療保険部会が想定されます という報告書になっています。そういうことですので、必要に応じてご相談 させていただければと考えます。 ○三上委員 やってみるだけやってみるという話だったので、こちらも言っ てみるだけ言ってみようかと思います。この医療部会で診療報酬の件をさわ るというのは、先ほど言われたように、政策まで診療報酬が関わりすぎてい るのではないかという反省があったからだと思います。そういう意味で、今 日医療課から提供された診療報酬の見直しについての全体の流れを見ますと、 基本的な考え方あるいは基本的な方向、それ以降の各論についてのいちばん 上に書いてある四角の括弧については、こういった形かと思いますが、現行 制度の課題ということで医療課が現在認識している課題に対する意識が少し 間違っているというか、おかしいと思うところがありますので指摘させてい ただきます。  2頁の医療技術の問題です。右側のいちばん下で、症例数とアウトカムの 関係について、一部の手術を除き、相関が認められないと。一部の手術では 相関があったということですが、これは整形外科の股関節の手術の1つだけ で、それも成功例と失敗例が98%と2%、99%と1%という形で、成功例が 98対99をカイニ乗検定か何かで有意差があるという話で、全く我々から聞く とおかしい感じがします。  3頁の生活習慣病の重症化予防で、現行の制度の概要についてはこのよう な形ですが、右側の課題については、経口栄養、経管・経腸栄養、IVHな どの管理に関するチームNSTの問題で、これは生活習慣病の重症化予防と いうよりは、全く別の重症肝不全といったものに対するIVHの管理という か、入院医療の問題であって、全く違う認識ではないかと思います。  また5頁の医療機関のコスト等について、四角の中には「入院医療につい て必要な人員配置を確保しつつ」と書いてありますが、医療機関のコストに ついていちばん大きいのは人件費ですし、医療安全の面からも非常に人員を 増やしてほしい、マンパワーを増やす必要があるのだという話ですが、現行 制度の課題のところに、人員配置の確保のためのコストを確保するというこ とが、全く問題意識として持たれていないのは残念なことであると思います。  6頁にDPCの問題がありますが、右側の現行制度の課題で「在院日数の 平均の減少等の効果が見られ、粗診・粗療は認められなかった」とあります が、その下の*の2つ目に、「在院日数等に大きな変化はなく」と、全く違 うことが書いてありますし、その上の*では、後発医薬品の使用の増加や画 像診断の外来への移行と。これは本来、入院中に診断をしていたというか、 それの検査が外来へ移行したとか、計画的再入院の増加というのは、2つの 疾患を2つに分けて1回の入院でやらないということですから、これは粗診 ・粗療そのものだということですし、この辺の認識もおかしいです。  8頁は、先ほどから在宅医療の評価をきちんと診療報酬ですべきであると いう話が杉町委員からも出ていて、ここにも出ていますが、確かに右側の(1) の「診療報酬での適切な評価など不足している診療科への誘導」はいいです が、そうでない場合は、逆にいえばモラルハザードを起こす可能性がある。 例えば、あとで出てくる外来診療報酬の評価についても、診療所と病院の再 診料が違うという話において、大病院への外来の集中であるとか、あるいは 医薬分業についても、調剤薬局のほうが高いために門前薬局ができたとか、 そういういろいろなことが起こることもありますので、必ずしも政策部分を 診療報酬で誘導するのはよくない感じがします。  10頁に、いま言いました外来診療についての問題点があります。1つは、 左の「再診料」というところに、「200床以上の病院の外来診療科」と書いて ありますが、これは再診料ではなく外来診療科でありまして、再診及び処置、 検査等が包括されている。なおかつ、複数科診療も1回で取るという話です から、大きな差があるために大学病院や国公立の大病院に外来患者が集中す ることが生じています。ここも現行制度の課題に、「必ずしも診療所の外来 機能を推進する効果を期待できないのではないか」と。「期待できない」と いうのがはっきりした形ですが、「指摘もある」ということで、二重に曖昧 な形の書き方をされている。いわゆる機能分科や連携ということを、我々の 医療部会で話しているわけですが、これを成し遂げるためには、こういう診 療報酬での誘導というのはいままではすべて失敗で、逆の方向に向かってき たことをはっきり言っておかないと、今後も同じようなことが起こるのでは ないかと思います。  ここには医療関係者以外の方も委員としてたくさん出ておられますが、今 日の日経新聞の、2%から5%のマイナス改定をすると政府が言ったという 話ですが、日本の医療費は本当に高いのかということを皆さんは本当に理解 しているのかと私はいつも危惧しています。日本はOECDの中でも17位の 対GDPは非常に低い医療費で、健康を達成している世界でいちばん医療制 度の優れた国であるということをよく理解していただいて、また、社会保障 費が減少した国というのは先進国の中ではないわけですから、このようなこ とがなぜ日経新聞に出たのか、非常に危惧をしますし、医療関係者以外の方 々には本当にそこを理解していただきたいと切に思います。 ○豊田委員 いままで、日本の医療は制度と診療報酬の両輪で動いてきまし たが、今回、この医療制度を主に議論する医療部会にこの診療報酬がきた意 味は、深く捉えなければいけないと思います。三上委員が言われましたが、 例えば、いままで制度に関わるものまで診療報酬で政策的に誘導されてきた というのは非常に本末転倒の考え方であり、今回、ここにもその1つの例が 10頁で、病院と診療所の初診、再診料の問題が出ていますが、これなどはど ちらを高くするとか、低くすることによって患者の流れを動かそうとしてい るようですが、極めて姑息的な話であって、折角この医療部会に来たのです から、この問題を議論するときには、基本的に診療所の役割と病院の役割を 考えるべきであって、それに基づく初診、再診であるべきなので、これはま さに逆転している例であります。ですから、今回はもっと基本的なその制度 にかかわって、こういうふうに制度を変えたいから診療報酬をこうするべき だというのをここから提言すべきだと思います。  それから、特に今回の医療計画の問題については、かなり画期的なことが 提案されています。その中で大きな問題は、医療連携が非常に柱になること ですが、例えばこの中に全然出てこない。医療連携を進めて地域の住民に安 心を与えるならば、それを診療報酬でどういうふうに見ていくのかというこ とも、折角、ここでこういうふうに議論できるのですから、大いに議論して いただきたいと希望します。 ○松井委員 おそらく、ここでは第2中医協みたいな細かい議論をする必要 はないと思います。先ほど豊田委員がおっしゃられたように、医療の連携を 進めるためにどんな仕組みがいいのかということも、大枠のことを決めてい けばいいのではないかと思います。1点だけ、医療の連携というところで三 上委員がおっしゃられた2頁の技術力を踏まえた評価で、症例数とアウトカ ムの関係の相関が認められないという結果について、資料をよく見てみると、 確かにご指摘のような書き方になっています。しかし、以前に部会長代理が おっしゃられたように、それぞれのアウトカムを出すのは非常に難しいとい う議論が一方であって、さらに三上委員はかかりつけ医に聞いてくれとおっ しゃるならば、こういった調査そのものが重症度をよく見た形での調査にな っているのかどうかなどの点も踏まえると、これで結論付けるのはいかがな ものかと思います。  もう1つ、もし言うならば、症例数というのは、病院という単位で見たと きは術後管理という意味合いでは確かに意味があると思いますが、そこに関 わった医師の経験年数より、医師自身の症例数がどのくらいかということが 本来あって然るべきで、それとのマトリックスから得られる結果に沿って、 本来、機能分化して行くのか。これは、もう一方で診療科偏在あるいは医師 の不足なども解決する1つの仕組みだと思いますので、これを見て、この結 論だけで駄目だということについては、医療連携を進める観点からは違うの ではないかと思います。私は医師の資格を持っているわけではありませんの で、医師の方々がどんなふうに考えているのかを聞きたい。  もう1つは、こういうものが仮に英語やドイツ語になって、それを見た外 国の人が、日本で出そうとしている方向性が、三上委員がおっしゃられたよ うな結論となった場合にどのように考えるのか。私は少ない知識ですが、疑 問であるということだけは申し上げておきたいと思います。 ○大橋委員 今日私がここへ出てくるときに、地方から出てくるので、首長 として出てきたわけですが、日経の新聞で2%から診療費をといったら、公 的病院と開業医の2人から電話がありました。病院の診療費を下げられては 困ると。このことはよくわかります。私が地方で見ている限りでは、特養や 老健を併設している病院は経営がいいのです。夜間に重症の救急を我々が送 っていた病院は、老人施設を併設していなかったのです。その病院はつぶれ てしまった。もう1つの病院も、いまはうんと厳しくなっています。でも夜 間は患者を取ってくれる。そういうことを考えると、夜間にやってくれる救 急病院の点数は下げないで、差を付けてもらいたい。私も一介の開業医です。 小児科医です。開業医の点数を上げるのもいいです。地域ですと、夜間も診 ることが大切です。24時間やる開業医だったら、1人でも、そういう所の点 数に差を付けてほしいという願いがあります。救急病院に行くのに、私のと ころから10kmも先です。地域だと、実際に市民が大変困るわけです。そうい う点も考えてほしいということです。 ○杉町委員 いま松井委員から症例数とアウトカム云々とおっしゃいました が、部会副会長の北村先生は有名な心臓外科の先生です。私は一般外科をや っていますが、私自身の経験でいうと、例えば胃がんの患者がいます。ある 病院では早期がんというか、早いがんばかりします。少し進んでいたら、も うしないのです。ちょっと心臓が悪くて胃がんがあったら、もうしないとか、 症例を非常に選んでやります。私のところはにがんが進んで、手術ができる かな、できないかなというのが来ます。ですから、これは各ドクターによっ ても手術の適応も違います。各病院でいろいろな考え方でやっていますから、 非常に複雑です。ですから、一概に症例数とアウトカム云々ということを論 ずることが難しいのが現状だと思います。北村先生のところに非常に難しい 症例が集まっているから、北村先生のところはおそらく成績は悪いだろうと 思います。それは腕が悪いからではないのです。そういうこともありまして、 一般の方がお考えになっているほど簡単なものではありません。 ○北村部会長代理 我が国のデーターを集めた施設の症例数があまりにも少 ないのです。ですから、10例、15例の施設で、それを集めてきて成績がバラ バラになって関係がなくなるのは当然ですが、手術の数と手術成績に関係が ないと言っているのはおそらく我が国だけで、外国のように万の単位、外国 は1施設が大体日本10倍から100倍の手術をやって、そういう施設を何十箇 所も集めて統計を取ると相関関係になりますが、このデーターの取り方は我 が国の状況に合っていないということだと思います。 ○鴨下部会長 この診療報酬体系の見直しは、この部会としては初めての作 業ですし、まだまだいろいろご意見も出るかと思いますので、引き続いて今 後もやらせていただきたいと思います。  では、一応本日の議論はこれで止めまして、事務局から今後の日程につい てのご説明があればお願いします。 ○企画官 次回の日程は、資料2にも記載しましたが、次回は10月5日(水) の午後2時からということで、よろしくお願いします。場所については、ま た追ってご連絡を申し上げたいと思います。お忙しいところ恐縮ですが、ご 出席をいただきますよう、よろしくお願いします。 ○鴨下部会長 それでは、本日はこれで閉会とします。どうもありがとうご ざいました。 照会先 医政局総務課 山口、野崎 連絡先:03−5253−1111(内線2518)