05/09/21 第17回社会保障審議会議事録                第17回社会保障審議会 ○ 日時  平成17年9月21日(水)13:00〜15:00 ○ 場所  厚生労働省 省議室(9階) ○ 出席者 〈委員:五十音順、敬称略〉        岩男壽美子、翁 百合、沖藤典子、貝塚啓明、鴨下重彦、        北村惣一郎、京極高宣、久保田泰雄、見城美枝子、櫻井秀也、        庄司洋子、廣松 毅、星野進保、堀 勝洋、宮島 洋        矢野弘典、渡辺俊介       〈事務局〉        尾辻秀久 厚生労働大臣、塩田幸雄 政策統括官(社会保障)        清水美智夫 参事官(社会保障)、高井康行 大臣官房会計課長        及川 桂 参事官(会計)、宮田 忠 統計情報部企画課長        原 勝則 医政局総務課長、石井信芳 健康局総務課長        香取照幸 雇用均等・児童家庭局総務課長        石塚 栄 社会・援護局総務課長        村木厚子 社会・援護局障害保健福祉部企画課長        榮畑 潤 保険局総務課長、貝谷 伸 年金局総務課長        石井博史 社会保険庁総務部総務課長、城 克文政策企画官 ○ 議事内容 1.開会 (城政策企画官)  まだお見えになっていらっしゃらない方も若干おられますが、定刻になりましたの で、ただいまから、第17回社会保障審議会を開催させていただきます。  審議に入ります前に、今回新たに御就任いただいた委員の御紹介をさせていただきま す。  本年2月28日付で御就任されました立教大学社会学部教授の庄司洋子委員でございま す。  また、事務局におきましても、8月26日付で異動がございましたので、御紹介させて いただきます。  政策統括官の塩田でございます。  本日は、浅野委員、稲上委員、岩田委員、大森委員、清家委員、長谷川委員、山出委 員、山本委員、若杉委員が御欠席でございます。  出席いただいた委員が総数の3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりま すことを御報告いたします。  それでは、以後の進行は貝塚会長にお願いをいたします。 (貝塚会長)  皆様、本日はお忙しい中をお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。  本日は尾辻厚生労働大臣が出席されておりますので、最初に尾辻大臣からごあいさつ をお願いしたいと思います。 (尾辻大臣)  委員の先生方には、御多用中のところをお集まりいただきまして、まことにありがと うございます。  言うまでもなく、社会保障制度は、国民の安心や生活の安定を支えるセーフティーネ ットとして重要な役割を果たしております。急速な少子高齢化が進む中で、こうした社 会保障制度を持続可能なものとし、国民の将来に対する不安を解消していくことが重要 でございます。  このため、年金制度につきましては、昨年、給付と負担の両面からの改革を行い、将 来にわたって国民の信頼にこたえられる制度を構築し、また、ことしは介護保険制度の 改革を行ったところでございます。さらに来年は医療制度改革が控えておりまして、委 員の皆様方の御協力をいただきながら、歩みをとめることなく、社会保障制度の改革を 行ってまいりたいと考えております。  また、少子化対策につきましては、昨年末に子ども・子育て応援プランを策定いたし まして、若者の自立から教育・働き方の見直し、地域の子育て支援などについて、5年 間の目標を掲げて新たな取り組みを始めたところでございまして、その実現に向けてさ らに努力してまいりたいと考えております。  障害者施策につきましては、障害者が地域で自立しながら安心して暮らせるよう、保 健福祉施策の抜本的な改革が必要であります。このため、障害の種別にかかわらず、市 町村が一元的にサービスを提供する体制の整備や働く意欲のある障害者への就労支援な どを内容といたします「障害者自立支援法案」を特別国会に再提出し、その成立に全力 を尽くしてまいりたいと考えております。  三位一体の改革につきましては、昨年11月に政府・与党間で合意がなされておりまし て、それに基づき対応してまいりたいと考えており、このため、生活保護等の問題につ いて、生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会で検討を進めているところで ございます。また、2007年には団塊の世代が退職期を迎え、人口減少社会が到来すると いわれております。  こうした変化の激しい状況の中で、持続可能な社会保障制度を構築していくことは決 して容易ではなく、問題は山積しておりますが、全力で改革に取り組んでまいりたいと 考えております。委員の先生方には、これまでも、年金、医療、介護、福祉など、各制 度の諸課題について専門的な観点から御検討いただいております。今後ともどうぞよろ しくお願いを申し上げます。 (貝塚会長)  ありがとうございました。出席されている委員の方から、御質問や御意見など、どう ぞ御自由に御発言いただければと思います。 (岩男委員)  私は児童部会を担当させていただいておりますが、児童部会でもたびたび委員から御 意見が出ているところでございますけれども、社会保障費に占める児童・家庭への部分 がわずか3.8%ぐらいでしょうか。ですから、これを何とかしてほしい。ここを変えない 限り、少子化に対してもなかなか歯どめはかからないだろうということで、ぜひここの 部分をもっとふやしていただけるように御努力をいただくようお願いをいたします。 (尾辻大臣)  今御指摘の点は大変気にしているところでございます。御指摘いただきましたよう に、子供たちに対する社会保障給付費の割合というのは3.8%でございますし、一方、 高齢者の皆さんに対する給付費は、普通、7割という言い方をしておりますが、そもそ も言い方が違うぐらいに、大きな開きになっております。  これを何とかしなければいけないというのは、私もかねてから申しておりますし、努 力もしなければいけないということで、来年度の概算要求につきましても、ここを大変 気にいたしました。しかし、率直に申し上げると、高齢者の皆さんに対する給付費とい うのはほとんど義務的な経費ですから、ますます大きくなっておりまして、概算要求時 点で申し上げても、格差がむしろ開くぐらいの状況であります。  それは何故かというと、一方は義務的な経費なものですから義務的にふえてしまう。 そして、一方はそこまでふやせないということで、さらにこの格差が広がるという、大 変難しい問題であります。  とはいっても、そのまま放置はできませんので、裁量的な経費の部分では子供たちの 部分をできるだけ大きくしまして、そのところでは来年度の概算要求については差を縮 めたつもりであり、そういう努力を精いっぱいいたしております。  大変難しい問題ですが、今後とも取り組んでまいりたいと思っておりますので、先生 方の御指導をよろしくお願い申し上げます。 (貝塚会長)  まだお時間が多少ございますようですので、ほかにどなたからでも、どうぞ。 (北村委員)  医療の世界でも、予防を重視する方向に進んで、健診業務等々を子供たちから高齢者 に至るまで一貫したシステムが医療側としては欲しいと思うのですが、学童期から学生 期に関しては文部科学省が主に担当しますし、40歳以上は厚労省が担当していると。こ れを全国民が児童から高齢者に至るまで一貫した1本の予防体系を引くということがい いのではないか。府省連携のこの部分のプロジェクトを立ち上げていただくことはでき ないかと思います。  科学の部分では府省連携がかなり進んでまいりまして、科学技術の部門でも成果をお さめつつあるところですが、社会保障、特に「健康日本」をつくるために、児童から高 齢者まで1本のシステムが欲しいと思いますが、これは大臣ならではできる仕事ではご ざいませんので、ぜひとも文科省とも府省連携プロジェクトというものもお考えいただ きたいと思います。 (沖藤委員)  私は、介護給付費分科会に入れていただいております。先だって、すばらしい一文が 発表されました。それは、「自分でできることはできるだけ自分でする」という、高齢 期の自立という問題です。これは私たち国民が非常に心して受けとめるべき一文だと思 うのですが、そのできることの内容、レベル、さらには男女格差等々を思いますと、家 庭にあっても地域にあっても社会にあっても、男女共同参画社会が実現していません と、新たなアンバランスを生むということになるような思いがいたします。若い時代か ら高齢期に至るまで、生活的自立という問題をぜひとも考えていかなければいけない時 期に来ていると思います。  それに関しましては、最近、世界のキーワードである″ワークライフバランス″がど の企業や組織においても実現していくことが大切だと思っておりますので、ぜひとも大 臣の御指導をお願いしたいと思います。  さらに、企業でいえば、育児休業取得者の休業期間中の補てん要員として定年退職者 を活用するという企業がぼちぼちあらわれてきていると聞いております。育児休業は、 産休もそうなのですけれど、えてして、取った人と、その後の欠落部分を埋める周りの 人との葛藤になりがちなんですね。それはお互いにつらい思いをするということで、な かなか産休に踏み切れない、だったらやめてしまう。ですから、第1子の出産で7割ぐ らいの女性がやめると聞いています。  そういうことを防ぐためにも、これから膨大に出てまいります団塊の世代の定年退職 者たちを企業が再活用−−といったらちょっと失礼かもしれませんが、それはもちろん ボランティア的な部分があっていいと思うのですけれど、そういう形でワークライフバ ランスの実現もまたあるのではないか。こういう形での、高齢者の活用もあるのではな いかと考えておりますので、お力添えをいただければと思います。  長くなりまして、済みません。 (貝塚会長)  予防医療の話と生活自立あるいは育児に関しての御意見でしたが、大臣、何かござい ますでしょうか。 (尾辻大臣)  まず最初に予防医療のお話がございました。これは来年の通常国会で私どもが出させ ていただきます医療全体に対する見直しの中でも、大きなポイントの一つになる部分だ と思っておりまして、今後、10月の半ばにも、まずは厚生労働省が考えます試案をお出 しいたしまして、それをたたき台にして御議論いただきたいと思っておりますので、今 御指摘のことなども踏まえて、どうぞ先生方の御議論をいただければ大変ありがたいと 思っておるところでございます。  それから、介護保険についても、私どもは今度の見直しの中で「予防」ということを 大変強く言ったところであり、今後、「予防」という言葉は大きなキーワードの一つに なると思っております。  それから、育児休業に触れて、一度退職された方々にまた頑張っていただきたいとい うお話がございましたが、先日、老人の日と敬老の日が参りました。そのときの数字を 私どもも出させていただいたのですが、100歳以上の方が2万5,000人を超えておられ る。それから、ことし100歳になる方々が約1万2,000人だったと思います。ことし100 歳になる方々というのは明治38年にお生まれになった方々でありますが、では、その明 治38年に何人生まれておられるかというと、145万人ぐらいであり、ざっと計算しまし たところ、0.9%ぐらいになろうと思います。ですから、思い切り切り上げれば100人に 1人の方が100歳になられるご時世という、そんな長寿国になっておりますから、高齢 の皆様にも大いにどんどん働いていただく世の中にしなければいけないと改めて思って いるところでございまして、こうした面でもまた先生方の御指導をいただければ大変あ りがたいと存じております。  今後とも、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 (貝塚会長)  ほかにも御質問があるかと思いますが、大臣、お時間はよろしいでしょうか。 (尾辻大臣)  せっかくですから、少し延長しますので。 (京極委員)  先ほど大臣から障害者自立支援法の話が出まして、早期実現を願うものでございます が、特に附帯決議等で障害者の所得保障の問題が出ておりますけれども、障害年金、障 害手当、就労の稼得収入、その他税制上の控除等ありまして、全体像が全く見えていな いのが実は障害者の所得でございまして、保障を言う前にまず実態を把握するというこ とが非常に重要でありまして、これは省を挙げて各局が協力してやるか、あるいは、い ろいろな大きな調査をやらないとなかなかできませんので、ぜひその点でしっかりした 数字を政府を挙げてとっていただきたいと思っております。 (久保田委員)  連合出身の久保田と申します。今度の選挙結果で巨大な与党ができました。一番申し 上げたいことは、この21世紀のこれからの社会保障のあり方については、今年、来年が 非常に大事な岐路を迎えることになるのではないか。ここでハンドリングを間違えると 大変なことになるのではないか、という危惧をいたしております。世はまさに「小さな 政府」ばやり。民営化の大合唱が起こっていますが、社会の二極化が進行する中、一方 でセーフティネットをどうしっかり張っていくかが問われています。国民一人ひとりが 自分の暮らす国の社会保障や、特に命にかかわること、将来の生活にかかわることに対 して、どういう安心感を担保できるのか。そういうこの国に対する信頼感というもの が、元も子もなくなってしまうようなことになっては、大変なことになるのではないか と思います。  その意味で、これは労働組合の立場で言っているということに見られるのかもしれま せんが、この選挙結果とこの一種のイケイケムードに対して危惧をいたしているわけで す。今こそ構造改革の中身が問われるべきだし、改革という列車に乗れば一体どこへ行 き着くのかということもはっきりみんなで議論をしながら、一旦立ち止まって冷静に選 択をしていく、今は時期だと思います。  こういう中だからこそ、来年の医療制度改革、あるいは年金を含めた社会保障、税制 の抜本改革の中で、尾辻大臣の果たされる役割は非常に大きいと考えております。ま た、その大臣の直言を踏まえて、小泉首相がこの社会保障についての改革のメッセージ をどう持ち、それをどう発信し、国民に訴えるのかということについては、極めて大き いと思っております。一部の財政や数字の世界になってしまう改革にならないよう、大 臣への期待は非常に大きいということを強調させていただきます。 (櫻井委員)  一番最初に社会保障給付の中で、高齢者の部分は割と義務的なものが多く、どうして も小児に対する給付の方がなかなかふやせないという話がありましたが、その御苦労は よくわかるのですけれど、問題点は、社会保障給付そのものの枠を広げることを考えな ければいけないので、今、全体に経済優先のいろいろな政策が多いように思いますが、 市場原理に基づく経済、その欠点を補ってそれを延ばすためには、社会保障が充実して いなければいけないのではないかと思っています。経済を発展させるためにも社会保障 の充実が必要だという観点で、ぜひ大臣が御活躍いただいて、その全体が伸びることに よって小児に対する社会保障とかいろいろなこともできるというふうにお考えいただい て、ぜひ頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 (見城委員)  お急ぎのところを申しわけございません。見城です。少子化のことで、産婦人科の出 産を取り上げてくださる先生方の減少が目立っております。それで、ちょっとお耳に入 れてぜひ心にとめていただきたいのは、出産時に事故かどうかわからないグレーゾーン が非常に多くて、特に脳性麻痺のケースはグレーゾーンに対して、1人のお医者様が例 えば1億円ほどの負担をしていかなければならない、補償をしていかなければならない という大きな問題があります。それを何とか双方にとってもいい方法はないかというこ とを今やらせていただいていますが、それは少子化の一番大もとでありますお母さん方 が安心して子供を産めるというところのポイントになりますので、そのうち大臣の方に いろいろなお願いが行くかもしれませんが、医師が個人で負担をしなければならないと いうのはおかしいという部分もありますので、ぜひ産婦人科のお医者さんになりたいと いう人がふえるような環境をつくっていただきたい、そのことを心にとめていただきた いと思います。よろしくお願いします。 (貝塚会長)  お時間が余りないと思いますが、御感想をお願いできればと思います。 (尾辻大臣)  今の一連の御発言の最初に、障害者の実態をよく把握する必要があるだろうというお 話がございました。これは前国会での障害者自立支援法の御審議の中でも再三にわたり 私どもも指摘をされたところでございます。プライバシーの問題などもありますが、そ れはそれとして、いろいろな意味での障害者の皆さんの実態把握というのは今後とも努 めてまいりたいと思っておりまして、これもまた御指導をよろしくお願い申し上げたい と思います。  それから、お二人の先生方から、今度の選挙結果も踏まえつつ、小泉内閣が社会保障 にどのように取り組んでいくのか、その中で私の役割も大きいだろうというお話がござ いました。仰せのとおりだと思います。選挙で大変大きく勝たせていただいた、それを 逆に謙虚に私どもは政策に反映させていかなければならないと思っておるところでござ います。  御案内のとおりに、経済財政諮問会議あたりとの議論というのはずっと続いておりま して、どうしても財政建て直しという立場から、「社会保障を身の丈に合ったものに」 という話もあるわけですが、今の先生方のお話などをまた参考にさせていただきまし て、私どもの主張も述べていかなければならないと思っております。社会保障の一体的 見直しという大きな問題に対して取り組んでいかなければなりませんので、先生方の御 指導をよろしくお願いを申し上げたいと思います。  最後に産科のお話がございました。御指摘のとおりでありまして、産科に勤めていた だく先生方の数というのはこのところどんどん減少しておりまして、いろいろな理由が あるといわれておりますが、そのうちの1つとして、出産には医療事故につながるケー スが多く、それに対してまた大変な補償などを要求されるととてもやっていけないとい うことで、先生方の数が減っているというのは事実だと思います。そうしたことに対し てどう対応していくかというのは、私どもに与えられた大きな課題だと思っております し、申し上げておりますように、来年の医療改革の中でそうした問題も取り上げていき たいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。 (貝塚会長)  大臣、どうもありがとうございました。 (尾辻大臣)  よろしゅうございましょうか。どうもありがとうございました。 (貝塚会長)  それでは、本日の議題についてお諮りしたいと思います。  本日は、まず最初に「部会の設置」について御審議をいただくとともに、報告事項と して、「平成18年度概算要求関係」及び「社会保障の一体的見直しを巡る最近の状況」 について、順次、審議を行いたいと思います。  それでは、早速、議事に移りたいと思います。  議題1の「部会の設置」について、事務局から一括して資料を御説明いただき、その 後、御審議をいただきたいと思います。  それでは、資料1−1と資料1−2について一括して事務局から簡潔に御説明くださ い。 (村木企画課長)  障害保健福祉部の企画課長でございます。お手元の資料1−1と資料1−2を御用意 いただきたいと思います。  この審議会に医療観察法部会という新しい部会を設ける件でございます。資料1−1 をごらんいただきたいと思います。  1ページをごらんください。心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及 び観察等に関する法律−−「医療観察法」と呼んでおりますが、この法律は、御承知の とおり平成15年に成立をしておりますけれど、本年の7月15日から施行になっておりま す。条文が真ん中のあたりに囲みで出ておりますが、この法律の95条に、医療観察法に 基づきまして入院をして医療を受けておられる方々が、御自分の処遇について問題があ ると感じたときには、厚生労働大臣に対しまして、入院している医療機関の管理者に対 して処遇を改善するための必要な措置をとるようにということを命ずることを請求をす ることができるということで、これを「処遇改善請求」と呼んでおりますが、入院して 医療を受けておられる方が処遇改善請求を行うことができるという規定がございます。  それから、同じ法律の96条の第2項でございますが、そこにこの処遇改善請求が行わ れた場合には、その方が入院をしておられる中で受けておられる処遇が適当であるかど うかということを、この社会保障審議会において審査を行うという規定がございます。  この法律は約2カ月前に既に施行されておりますので、近々にも入院決定を受ける方 が出てくるということでございますので、この法律に基づく処遇改善請求の審査を行う ための専門の部会を、この社会保障審議会に御設置をいただきたいということでござい ます。御設置をお認めいただけましたら、できるだけ早期にこの部会を立ち上げまし て、処遇改善請求があれば直ちに対応できる体制にいたしたいと思っております。  それから、資料1−2をごらんいただきたいと思います。  この専門の部会でございますが、通常、この審議会におきましては部会や分科会がご ざいますが、この部会や分科会の審議の結果をもって審議会の審議結果とすることがで きるとなっております。その際には部会長の同意が必要であるというのが、この審議会 の通常のルールであろうかと思います。しかしながら、今度設置をお願いしております 医療観察法部会でございますが、これはかなり特殊な部会になろうかと思います。  具体的には、人権にかかわる個々人の方の個別案件を非常に詳細に実態把握をした上 で、医療や法律などの専門的な見地から御判断を、その個別ケース一つ一つに対して個 別にいただくということ。それから、個人情報保護という観点からいきますと、できる だけ関与をする人間、その個別の情報を見る人間のプロセスを減らしていくことが望ま しいということ。もう一つには、今入院中で自分が受けておられる処遇でございますの で、この処遇改善をするために非常に迅速性が求められるということでございますの で、こういう特殊性にかんがみて、この部会の審査に関しましては、会長の同意を要し ない形で部会の議決を審議会の議決とする。そういう形の運営規則を定めていただけれ ばと思っております。  簡単でございますが、説明は以上でございます。 (貝塚会長)  ただいまの御説明につきまして、御意見や御質問がございましたら、どうぞ御自由に お願いいたします。 (櫻井委員)  今まである分科会や部会と違って、会長の同意を要しない理由として、専門的なこと とか個人情報のこととか迅速性のことを上げられましたが、もともとある「会長の同意 を得て」という意味は、この審議会が開かれることが前提で言っているのですか。つま り、審議会は開かれないけれど、会長が一人でどこかで同意してしまうということはな いということになるのですか。それがもしあるなら、今のことは別にどうっていうこと はなくて、今までと同じで、会長だけ同意すれば済むはずですから、余り問題はないは ずで、新しいものは入れる必要はなさそうですが、その辺の判断を教えてください。 (清水参事官)  事務局から若干御説明を申し上げます。  この現在の運営規則第4条の規程といいますものは、部会なりで相当詰めた議決が行 われた場合において、社会保障審議会の総会は必ずしも開かないで、会長の個別の同意 を得てという手続をイメージしているものでございます。 (櫻井会長)  そうすると、今度の新しい部会だけが会長の同意を得なくていいという理由がなくな ってしまうのではないですか。迅速にできるはずだし、個人情報は会長にも漏らすなと いうなら別ですけれど、会長が知ったってどうっていうことはないわけだし。 (清水参事官)  今、障害保健福祉部の企画課長から申し上げましたけれども、一人一人の心神障害の 方で犯罪の構成要件に該当した方についてのことでございます。部会を構成する専門家 の方々で十分御議論いただくということをやれば、現在の会長がどうのこうのというこ とではなく、会長は必ずしも精神医療や拘束状況についての専門家ということではござ いませんので、そのような個別の個人の特殊な処遇については、必ず会長の同意を得る といったことにはしなくてもいいのではないか。個人情報に関与する人間は一人でも少 ない方がいいのではないか。そういったことが今回の改正の趣旨でございます。 (櫻井委員)  専門性がということでおっしゃるのだったら、ほかの分科会で、統計分科会、医療分 科会、福祉分科会、介護給付費分科会とかいろいろ分科会もあるのですが、それについ て会長は全部専門家だけれど、この部分については専門ではないと、そういうふうにお っしゃるのですね。それはおかしいのではないですか。 (貝塚会長)  私からお答えした方がいいと思いますので。今回の件は、私が理解するところは、個 別の個人の処遇に関する話でありまして、ほかの案件というのは、社会保障審議会に関 係するところは、制度をどのように変えるかとか、あるいは病院関係のことは特定の病 院に関係することもありますが、特定の個人に関係する話が非常に重要で、しかもこれ は極めて難しい問題であるという、そういう問題についてはやはり専門家の方の御意見 を伺って、そこで決められたことを尊重するというのが常識的には一番いいことではな いか。したがって、私のところまで個別の方々の話を持ってきていただいても、今言わ れましたように、当然、専門家ではないわけですし、その点は、ほかのやや一般論とし ての社会保障審議会のいろいろな御議論とはかなり性格が違っているというのが私の理 解であります。  そういうことで、私はこれでいいんじゃないかと考えておるということです。 (櫻井委員)  今の御説明だと、医療観察法でもって社会保障審議会で審査をすると決まっているの ですから、これだけがなぜ会長の同意が要らないと決めなければいけないのか、非常に おかしいと思うのですけれど。  本当を言うと、この4条そのものが、会長の同意でほかの分科会の議決をするという こと自体がちょっとおかしいと思うのです。本来、この審議会は何を審議するのかとい うのは疑問に思っているのですけれど、少なくとも今度のものを外す理由が余りないよ うな気がするので、これは会長が同意されればいいのではないでしょうか。そういうこ とによって、社会保障審議会が審査したことになるのではないかと思うのですが。こん なことをつけ加えなくてもできることで、部会だけをつくればいいことだと思います。 (村木企画課長)  お手元の資料の2ページで、先ほど私は説明を急ぎまして割愛をさせていただきまし たが、実際の医療観察法の95条の処遇改善の請求の流れをお示ししております。番号が 振ってある順にさまざまなプロセスがございますが、御本人あるいは保護者の方から処 遇改善請求が厚生労働大臣に対して行われる。そして、大臣から審議会の方に処遇改善 請求にかかわる審査を求める。それから、審査の求めを受けると、今度は事前の準備と いうことで、入院医療機関ですとか御本人ですとか保護者の方からさまざまな形で意見 聴取等を行う。そして、それをベースにしまして実際の審議をやっていただく。その上 で、今度は審査結果を厚生労働大臣に報告をする。そして、必要があれば、大臣から指 定入院医療機関に対して処遇改善措置の命令を出すということ。それから、御本人に、 どういう措置をとったかという結果を通知をするということでございます。  大体このプロセスでふた月ぐらいのものを考えております。実際には、個別の具体的 な案件について入院医療機関からお話を聞く、御本人からお話を聞く、それを審査をす る、あるいは直接にお話を聞くというようなプロセスがございます。そういう意味で、 非常に個別性も高いですし、手間・時間がかかるということで、これ一つ一つに対して 個別の案件について会長が責任を持って同意をしていくという形になりますと、それは それなりに非常に御負担も大きいことになろうかと思います。  これは5人ほどのメンバーでの部会というふうに考えておりますが、ここの部会のメ ンバーのところに責任を持ってやっていただくという形が、スピードという意味、そし て事柄の内容という意味で円滑に処理が進むのではなかろうかということで、こういう 御提案をさせていただいたところでございます。 (櫻井委員)  なぜ会長の同意を得るのにそんなに時間がかかるのか、よくわからないのです。何カ 月もかかるという話でしたら、ほかの部会でも、何年もやっているような部会だってあ るわけですから、それはおかしな理由なのではないでしょうか。新しいルールをこんな ところに入れ込まなくても、部会をつくりさえすれば、それで済んでしまうことではな いかという気がするのですけれど。 (村木企画課長)  私どもは入院で年間300人ぐらいの方が新たに入院されてくると想定しておりまして、 この中でどのくらい処遇改善の請求が出てくるかはわかりませんけれども、相当な分量 になることも予想されますので、そのあたりも御勘案をいただければと思いますが。 (貝塚会長)  ほかのいろいろな今までの社会保障審議会の各部会が御議論されたことは、部会の報 告について私は厚生労働省の方を通じて御説明を受けて、そしてそれぞれの部会が決め られました、あるいは報告書について了解したと。そして、その了解した上で、最終的 にはこの社会保障審議会の場でそれぞれの部会の御報告を了解したという形をとって今 まで進めてきたのですが、今回の場合は、個別の案件について、今話がありましたよう に特別な例としてそれなりの別の扱いをした方がいいということで。  ほかの委員の方で、もし何か御意見がありましたら、どうぞ。 (櫻井委員)  会長がおっしゃったことで、ほかの部会や分科会の議決がこの審議会に諮られた上で 会長の同意を得てというふうになっているのだったら、今、会長がおっしゃったとおり なのです。ほかの部会や分科会のものはここへ諮ってやっていると。それが前提であれ ば、今度の観察部会は、時間的にも無理だし、個人情報のこともあるから、というのだ ったらわかるのです。  さっき聞いたら、そうではないのだと。ほかの部会も会長が同意さえすれば、この審 議会に諮ったり報告したりすることは何もないのだというお答えだったから、それでは おかしいのです。もともと私が言いたいのは、第4条は「分科会及び部会の議決は会長 の同意を得て」とだけ書いてある。それでは、審議会は何をするのか。何もしないでも 会長が同意したら審議会の議決になってしまうというのはおかしいと思っているから、 言っているのです。  でも、今度のだけ特別だとおっしゃったのだったら、特別だということでの扱いにし て、ほかの部会については、「審議会に報告の上」とか、そういうことが入って、つい でにこの4条をそういうことで改められたらいいと思うのです。その上で観察法部会は そういうことは要らないよということで。  ほかの部会について、我々審議会の委員は知らない間に、「会長が同意さえすればこ の会の議決にする」と書いてあること自体がおかしいのだと思います。 (清水参事官)  現行の第4条についてのお尋ねでございますが、この第4条自身、この社会保障審議 会発足以来、4年半ぐらいこのルールでやっておるわけでございまして、定着している と思ってございます。  部会を設ける趣旨は、御案内のとおりでございますが、いろいろな専門家の方々、医 療関係であれば、医療提供対象に係る団体の方々も当然入っていただくわけでございま すが、そういうメンバーが個別制度の改正なりの企画でございますとか、あるいは運用 の重大事項について十分詰めた形で、1回2時間あるいは3時間の会議を5回、10回と 繰り返してやる、そういう形で十分詰めてやる、そういうものが部会で審議する趣旨で はないかなと思ってございます。  なお、そういうことは部会にゆだねて、この総会としましては、制度をまたぐような ことについて御論議いただくといったことがこの4条の趣旨ではないかと、事務方とし ては思ってございます。このような形で、あるものは部会で、あるものは総会でという ことで、機能分担してやっていただくことが合理的かつ効率的なことではないかなと思 っている次第でございます。 (貝塚会長)  この総会のやってきた仕事の中で、多分御存知でしょうが、社会保障全般にわたるい ろいろ相互の関係とか、社会保障の将来像の話とか、そういうことは随分やってきたわ けですね。ですから、社会保障全般にわたる話はここの総会の場でやるというのが従来 の慣行で我々もやってきたわけです。それから、先ほど来申し上げましたように、あと はある意味で役所の形式論に近いのですが、それぞれの部会で決められたことについて 会長が同意して、もしそれがある意味で重要事項であれば、この審議会の場で、「こう いうことが決まりました。内容はかくかくしかじかのものであります」ということを事 務局の方から御報告いただくというのが、従来の慣行であります。 (櫻井委員)  それはよくわかりますが、それだったら、逆にこの4条は「会長の同意が要らないの で、部会の決議を審議会の決議とする」ということでも構わないし、これを残すなら、 なぜこの観察法のところだけが特別扱いになるのかがわからないです。  今の説明では、部会のときは十分やっているのだからというのであれば、会長の同意 は要らないわけで、各部会の議決をそのままにすればいいので、この医療観察法の新し い考え方と同じにすればいいわけです。そうではなくて、やっぱり会長の同意が必要だ というなら、なぜ医療観察法だけは会長の同意が必要でないかというところの理由の説 明にならないと思うのです。 (清水参事官)  事務方から恐縮でございますけれど、先ほど申し上げておりますように、心神障害の 犯罪の構成要件に該当した方々につきましては、個人にかかわるものであり、個人情報 にかかわるものであって、関与者は一人でも少ない方がいい。また、そういうことにつ いては準司法手続、司法に準ずる手続といったこともございますので、明確に明文で規 定しておいた方がいいと。  それらの事情でございますので、ほかの部会の制度論的な内容とは、取り扱いを異に してよろしいのではないかと考えてございます。 (塩田政策統括官)  総会と分科会・部会の役割分担は、省庁再編成で各省庁とも審議会を束ねるというこ とに生じて起きた問題で、ほかの省の審議会も同じような悩みを抱えているということ でありまして、委員が言われた趣旨は、総会の役割、総会の議論の活性化というか、そ ういう根本的な問題提起だと思いますので、そこはこの総会の開催頻度をなるべく多く し、いろいろな意見を言っていただいて、それを政策に反映し、また各分科会や部会に 反映するということで、努力をしていきたいと思っております。  それで、できれば、新しい法律の医療観察法が施行いたしまして2カ月たって、間も なく目の前に今回の新しく設けようとする部会の審査の対象となる方が出られるという ことですので、今日のところは、部会の設置は認めていただくとして、実際、法律自身 が初めての法制度で、運用も試行錯誤で進めなければいけないテーマでありますので、 まずは法律を施行し、部会もやってみて、当面は会長にも報告をし、同意を得てやると いうことで、とりあえず部会の設置だけを本日は認めていただいて、ただし書きの扱い については、状況を見て、もう一度総会で御相談するという形でおさめていただければ と思います。 (貝塚会長)  よろしゅうございますか。 (櫻井委員)  部会の設置に僕は反対しているわけではありませんから。 (貝塚会長)  それでは、部会の設置についてはよろしゅうございますか。  その後の細かいいろいろ手続その他の問題については、もう一度お諮りすることがあ るかと存じます。  それでは、次の議題に移りたいと思います。  議題2の報告事項であります「平成18年度厚生労働省予算概算要求関係」及び「社会 保障の一体的見直しを巡る最近の状況」について、事務局から一括して御説明願いたい と思います。  それでは、資料2−1から資料3−4までを事務局から御説明をお願いいたします。 (高井会計課長)  それでは、まず、資料2−1「平成18年度予算概算要求の主要事項」の冊子をお開き いただければと思います。  おめくりいただきますと、目次が3ページほどございます。それを繰っていただきま して、総括1と総括2というページをお開きいただければと思います。  まず、右側の総括2をごらんいただきますと、要求額が21兆5,415億円というものが 上に書いてございまして、一般会計の要求でございます。  その下の方に箱がございますが、大きく予算の性格上分かれておりますけれど、年金 ・医療等の経費、義務的経費、裁量的経費、公共投資関係費ということで、これらを合 計すると21兆5,415億円になるわけでございます。  年金・医療費等の経費につきましては、自然増ということで毎年増加いたしますの で、これの増額の枠が決められております。これはシーリングの枠ということで決め られておりまして、白い箱の上の方でございますが、5,800億円の増が認められている ということでございます。その上の方に8,000億円と書いてございますが、通常ですと 自然増ということで8,000億円の増が見込まれるわけでありますけれど、年末までいろ いろな削減・合理化策を用意することによりまして、2,200億円減するということで、 年末にはこの5,800億円の増に抑えようということでございます。  そのほか、右側に、人件費を中心とする義務的経費でありますとか、少子化を含めた 裁量的経費、公共投資関係費は、ここにございますように一定の率で増額の要求が認め られておりますので、その要求をいたしておりますけれど、これについても、点線で書 いてございますが、年末には政府全体で−3%、義務的経費については▲37億円という 形でおさめないといけないということになっております。要求はある程度いたしており ますが、おさめていかなければいけないという形になっておりまして、今後、その作業 を財務省とともにしていくということになります。  総括2の下の方に、今後の検討課題ということで、一番下の○でございますが、1は 公債特例法後の年金事務費の取り扱いと書いてございます。社会保険関係の、特に年金 事務費の負担を国庫で行うのか保険料で行うのかということにつきまして今後検討して いくという課題でありますとか、2の基礎年金国庫負担割合の引き上げということで、 2分の1まで引き上げるということは法律で決まっておりますが、これをどのような道 筋で進めていくかということを来年度予算においても今後検討していかなければいけな いということを記載しております。  次の総括3でございます。特別会計といたしまして、年金でありますとか労働保険特 別会計で74兆7,000億円の要求をいたしているところでございます。  時間の関係がございますので、主要事項をかいつまんで説明させていただきます。  次のページの1ページでございます。第1の柱が健康の関係でございます。真ん中辺 にございますように、1の健康フロンティア戦略の更なる推進ということで、1,393億 円を要求いたしておりまして、内容といたしましては、(1)の生活習慣病対策の推 進、次のページにございますが、(2)の女性のがん緊急対策、(3)の介護予防10カ 年戦略の推進でございます。  3ページ、2のがん対策の総合的かつ重点的な推進でございます。がん予防について は進めているわけでございますが、例えば3ページの真ん中辺で、(2)のがん医療水 準の均てん化の促進、あるいは、次のページでございますが、(5)のがん対策情報セ ンターの設置といったものを盛り込んで要求をいたしているところでございます。  飛んでいただきまして、6ページからが、5の安心で質の高い効率的な保健医療提供 体制の充実ということでございまして、来年度医療改革を予定いたしておりますが、そ の関係で、統合補助金でありますとか交付金を新設しようという内容でございます。  時間の関係で急がせていただきます。  9ページでございますが、第2の柱といたしまして、少子化の関係でございます。9 ページの上にございますように、ことしの4月から、次世代育成支援の行動計画を自治 体・企業でつくっておりますが、この支援をしていこうということでございます。「子 ども・子育て応援プランの実現に向けて」、(1)〜(3)とございますが、こういっ た内容で進めていこうということでございますが、9ページの真ん中辺のなお書きにご ざいますように、経済的支援等については、財源の問題もありまして、そのあり方を幅 広く今後検討していくという位置づけで要求をいたしております。  9ページの(1)の真ん中辺で、すべての家庭を対象とした地域子育て支援、次の10 ページは、待機児童ゼロ作戦の推進、11ページが仕事と子育ての両立など、仕事と生活 のバランスのとれた働き方の実現ということで、両立支援策等々を盛り込んでおりま す。  12ページが児童虐待の関係、13ページが小児科・産科医療の関係でございます。  15ページでございますが、第3の柱といたしまして、安心・安全な職場づくりの関係 でございます。アスベスト対策について要求をいたしておりますが、現在、調査をいろ いろしておりますので、その調査状況によっては、予算編成過程においてさらに必要な 予算措置の検討を行うという考えでございます。  18ページでございますが、第4の柱といたしまして、団塊の世代が退職していく2007 年以降の技能承継の問題、2007年問題といわれておりますが、若者、壮年者、高齢者に 分けて対策を進めるという内容になっております。  21ページが、第5の柱といたしまして、フリーター、ニート等若者の人間力の強化の 関係ということで、25万人常用雇用化プランの推進が21ページ、以下、若者の意欲・能 力を高めるための総合的な取り組みを22ページに掲げております。  24ページが、第6の柱として、雇用のミスマッチ等の縮小のための対策の推進でござ います。  26ページからが、高齢者の関係でございます。27ページの一番上ですが、改正介護保 険制度の着実な実施ということで、地域支援事業交付金の創設を初め、介護サービスの 質の向上の関係の予算を掲げております。  28ページは、年金制度ということで、先ほど申し上げましたように、基礎年金の国庫 負担金2分の1の引き上げについて、今後の予算編成の過程において検討するという扱 いになって要求をいたしております。  29ページからが、社会保険庁の改革の関係でございます。オンラインの見直し、ある いは国民サービスの向上の関係でございます。  31ページからが、第8として、障害者の自立支援の推進、生活保護制度の適正な実施 でございます。障害者自立支援法案につきましては、8月の段階で廃案になっておりま すが、早急に再提出をして成立を図りたいと考えております。来年度予算におきまして は、障害者自立支援法案の成立を前提に予算要求をしているところでございます。  33ページの4からが生活保護の関係でございますが、34ページの上にございますよう に、生活保護につきましては、三位一体の関係で昨年から地方団体関係者が参加する協 議会を設置して検討を行うことになっております。現在、その検討を進めているところ でございます。  35ページからが、医薬品、医療機器の関係でございます。  37ページは食品の関係でございます。  40ページ、第10のその他ということで、国際社会への貢献からホームレス対策まで掲 げております。  大変はしょって恐縮でございますが、予算の関係は以上でございます。 (清水参事官)  引き続きまして、社会保障担当参事官の私の方から、税制等、4つの資料について、 時間も押しておりますので、大変恐縮ですが駆け足で御説明をしたいと思います。  資料2−2の税制改正でございます。1ページでございますが、1の(1)と(2)にござ いますように、来年の通常国会が冬から夏まで開催されますが、その通常国会に法律改 正を出したいと。それに絡んでは、給付の名称の変更等々が予想されるわけでございま すので、必要な税制上の調整措置などもやっていただきたいといったことが、ここに書 いてございます医療提供体制の関係、そして後のページにございます医療保険の関係、 そして幼稚園や保育所の総合施設の関係、職業能力開発の関係等々ございます。それら の税制改正という種類がございますのと、あとは、薬の試験開発の関係、BSEの関係 等々、合計で38項目の税制改正要望をしております。その御報告にとどめさせていただ ければと思います。  それから、次の資料2−3でございますが、三位一体改革につきましては、この総会 でも、昨年あるいはことしの2月に御説明させていただいておるところでございます が、4ページの真ん中あたり、おおむね3兆円規模の税源移譲を目指すということで、 そのうち8割方の2.4兆円までは決着しているというのが昨年11月26日の政府・与党合 意でございますけれど、残りの6,000億円につきましては、この合意によれば、生活保 護・児童扶養手当等々、(1)〜(3)を検討すべしということになっておるところで ございます。  これにつきまして、この資料の1ページにお戻りいただきまして、地方6団体から は、この夏に、この6,000億円に対してある程度選択できるように、約1兆円、9,973億 円の税源移譲案が出てきております。そのうち、厚生労働省関係が4,750億円というこ とで書いてございます。これらの中には、BSE、SARS、エイズ対策等々、これら はなかなか補助金廃止あるいは税源移譲はなじみにくいのではないかといったものも含 まれているのではないかなと私どもは考えてございます。  いずれにしましても、国と地方の話し合いはこれからでございます。また、生活保 護、児童扶養手当につきましては、先ほどの合意に見ていただきましたように、それに 基づきまして、大臣も入っていただきまして、協議会を立ち上げて詰めた検討をしてい るところでございますので、そういう中でいろいろと論議を交わしていきたいと考えて おるところでございます。  資料3−1「最近の社会保障の見直しを巡る動向」をごらんいただきたいと思いま す。これは大体ごらんになればおわかりになるような資料でございますが、1ページ は、去年の年金から今年は介護へといった流れでございます。  2ページ以降は、この2月から6月までの間の経済財政諮問会議と私どもとの対話の 関係の資料と、それを踏まえた上でことしの6月21日に閣議決定されました通称「骨太 2005」といったものでございまして、この中には、ここの資料の2ページにございます ように、社会保障給付費、特に伸びの著しい医療を念頭に置きまして、過大の伸びの抑 制策をとるべきではないかといった御指摘が書かれている、そういったことの御報告で ございます。  次に、私の説明の最後でございますが、資料3−2をごらんいただきたいと思いま す。平成15年度の社会保障給付費、当然、決算ベースでございますが、その結果がまと まったわけでございます。うぐいす色の冊子の2ページで簡単に御説明をいたします。  社会保障給付費自身、伸びているわけでございますが、この2ページの(2)で、対 前年度伸び率、14〜15年の伸び率は0.8%でございました。これは社会保障給付費統計 を国立社会保障・人口問題研究所がとり始めて以来、昭和26年からでございますが、一 番低い伸びでございます。  それから、国民所得、いわば経済の規模、稼ぎといったものかもしれませんが、それ に絞ってみますと、22.86%ということで、平成14年の23.08%から低下してございま す。これがことしの特徴でございます。  また、(3)で国民1人当たりの社会保障給付費は66万300円と書いてございますが、 1人当たりの伸びも相当低くなっておりまして、昭和30年以来、50年弱以来の低い伸び ということでございます。このような低い伸びになりました理由といたしましては、年 金のマイナス物価スライド改定、あるいは医療保険の自己負担の改定といった制度要 因、あるいは雇用保険の改正等の制度要因もございますのと、失業手当・雇用保険給付 のように雇用情勢が平成15年度は大分上向きに転じてきたわけでございますので、そう いう社会情勢、雇用情勢の変化により、社会保障給付が少なくなったことによる減とい うものも含まれております。それらの総合要因でございます。  いずれにしましても、対前年、これほど低い伸びは調査開始以来初めてということで ございますが、ただ、原因がそういうことでございますので、構造的に、恒常的にこの 伸びが低くなったというものではないわけでございます。  以上、私の方から4点の説明を申し上げました。  医療提供体制、医療保険制度改革の検討状況につきましても、引き続き御説明をさせ ていただきたいと思います。 (榮畑総務課長)  保険局の総務課長でございます。資料3−3「医療提供体制の改革及び医療保険制度 改革等の検討状況」をごらんになっていただければと思います。恐縮でございますが、 ダブルクリップがついておりますので、それを外していただきますと、3分冊に分かれ ております。  まず、私の方からは、一番頭にございます社会保障審議会医療保険部会の検討状況に つきまして、時間の関係上、恐縮ですが簡潔に御報告をさせていただきます。  最初の「社会保障審議会医療保険部会の開催経緯」と書いてある資料でございます が、その4枚目からでございます。去る8月24日の医療保険部会で、これまで平成15年 7月以降に精力的に御審議してきていただきました御議論を中間的に整理していただこ うということで、この「議論の整理(案)」というものが御議論されたところでござい ます。「議論の整理(案)」となっており、かつまた8月○日と日にちが限定されてい ないのは、8月24日のこの会議で、基本的な骨格は変わらないにしても、若干修文の御 意見があって、今、その修文作業をしているところでございますので、まだ「議論の整 理(案)」とさせていただいておりますが、ほぼ大きな骨格につきましてはこのような ところで議論の整理がなされたものと思っております。  中身でございますが、その資料の4ページのI.基本的考え方で、安定的で持続可能 かつ給付と負担の関係が透明でわかりやすい制度であるべき、とございます。  それから、国民の生活の質(QOL)の向上を通じた医療費の適正化を進めるべきで ある。  5ページですが、都道府県単位を軸とした制度運営を行うべきである。  こういった点を基本的な考え方として考えていけというところでございます。  具体的には、テーマが幾つかございますけれど、II.保険者の再編・統合というとこ ろでございますが、まさに都道府県単位を軸とした再編・統合化、保険者の歴史的経緯 とか実績を十分尊重しながら、財政基盤の安定と保険者としての機能を発揮しやすくす るための都道府県単位を軸とした再編・統合を推進すべきということでございます。  1.国民健康保険につきまして、市町村国保については、広域連合等の活用によって 都道府県単位での再編・統合を進めるべきということで、あとは具体的な御意見は省略 させていただきます。  次に、6ページの2つ目の○ですが、とはいえ、市町村国保の保険運営は低所得者等 を多く抱えて非常に厳しい状況にあり、その安定を図ることは、国保の再編・統合に加 えて、国民皆保険という観点から極めて重要であるという御意見がございました。  それから、6ページの下の2.政管健保につきましては、国とは切り離された全国単 位の公法人において運営することについて、さらに具体的な検討が必要である。  その際、財政運営は基本的には都道府県を単位としたもので、県別の年齢構成や所得 について調整を行った上で、地域の医療費水準に応じた保険料水準とすべきとの意見が 大勢でございました。ただ、一方で、保険料の徴収とか適用といった事務については、 効率の観点から年金と一括して実施すべきだということでございます。  次に、7ページでございますが、健保組合につきましては、その健保組合の自主性・ 自立性を尊重しつつ、同一都道府県域内におきまして、企業・業種を超えて健保組合同 士が合併して形成するような地域型健保組合の設立というものも選択肢ではなかろうか といった御議論がございました。  III.新たな高齢者医療制度の創設でございますが、これも75歳以上の方々を想定した 後期高齢者医療制度と65〜74歳までの前期高齢者医療制度の両方がございますが、7ペ ージの2.後期高齢者医療制度につきましては、(1)基本的な枠組みとして、現行老 人保健制度を廃止して、高齢者の保険料、国保及び被用者保険からの支援並びに公費に より賄う新制度を創設するという意見が大勢であったところでございます。  ただ、8ページの(2)被保険者につきましてはまだいろいろな御意見がございます し、(3)高齢者の保険料と国保及び被用者保険からの支援につきましては、明確なル ールを決定すべきであるというところでございますが、その具体的なところについても まだ御意見があるところでございます。  (4)公費負担につきましては、現行老健制度維持ということでございますが、一 方、(5)保険者につきましては、地域保険としつつ、市町村をベースとして広域連合 の活用を視野に入れるべき等々、幾つかの御意見があって、さらに検討が必要でござい ます。  ただ、いずれにいたしましても、保険者のリスクを可能な限り軽減する対策が必要と いうところは、御意見があったところでございます。  9ページでございますが、3.前期高齢者医療制度につきましては、基本的な枠組み として、現行の退職者医療制度を廃止するということにはなりましたが、廃止後の新た な制度についてはさまざまな御意見があって、引き続き検討が必要とされたところでご ざいます。  それから、時間の関係上はしょりますけれど、9ページの下の4.高齢者の患者負担 につきましては、現役との均衡から応分の負担を求めるべきとの御意見もある一方、増 大については慎重であるべきとの御意見もあったということで、引き続き検討となって おります。  10ページ、IV.医療費適正化でございます。先ほどもちょっと御紹介がございました が、「骨太の方針2005」に定められたとおり、医療費適正化の実質的な成果を目指す政 策目標を設定することとされておりまして、具体的な組織の内容とあわせて、ことしじ ゅうに結論を得るために引き続き議論となったところでございますが、中長期の医療費 適正化効果を進めるためには、国民の生活の質の向上を図るための生活習慣病対策の推 進、そして患者の状態にふさわしい良質で効率的な医療を提供して平均在院日数を短縮 する、こうした取り組みを進めることによって医療の適正化を図るべきだというところ がポイントでございますが、一方で、医療計画、健康増進計画、介護保険事業支援計画 等々でやっていただいている都道府県が積極的な役割を担うべきとの御意見もあり、一 方で、国が方針を示して市町村が進めるべきという御意見もあって、この辺の関係者の 役割等については引き続き議論が必要であったところでございます。  11ページですが、中長期的な医療費適正化の方策とともに、保険給付の内容及び範囲 のあり方をどう考えていくかということにつきましても、国民皆保険制度の持続性の確 保といった観点から実態を踏まえつつ幅広く検討ということから、11ページの(1)か らずっと書いておりますが、食費・居住費、高額療養費、出産育児一時金、傷病手当 金、12ページですが、出産手当金、埋葬料、薬剤給付等々に関しての御議論があるとこ ろでございます。  その他、12ページの下の3.医療費適正化に資するその他の施策として、IT化の推 進等がうたわれておるところでございますし、13ページには、V.診療報酬体系の見直 しにつきまして、社会保障審議会の医療保険部会及び医療部会で基本的な医療政策の審 議を進めつつ、診療報酬体系につきましては、13ページの(1)〜(3)のような基本的な考 え方について議論となっているところでございます。  13ページのVI.今後の進め方といたしまして、厚生労働省が秋にも提示する予定の試 案を受けて、引き続き精力的な議論を行っていくこととされているところでございまし て、私どもといたしましても、先ほど厚生労働大臣が申しましたように、その秋にも提 示する予定の試案の作成に今精力的にかかっておるところでございます。  以上でございます。 (原総務課長)  医政局総務課長でございます。ただいまの資料の次の資料ですが、「社会保障審議会 医療部会におけるこれまでの検討状況と今後のスケジュール」と題された資料をごらん いただきたいと思います。  医療提供体制につきましては、医療部会で昨年の9月から御議論をいただいておりま して、16回開催して精力的な議論をやっていただきました。8月1日に中間的なとりま とめがまとまっております。この中間的なとりまとめについては、別途、参考として資 料をつけさせていただいておりますが、ページ数が22ページに及ぶものですから、事務 局の責任でその概要をまとめさせていただきまして、3ページ目以降につけさせていた だいております。  中間まとめでは、先生方の御熱心な御討議によりまして幅広い分野にわたって御議論 をいただきましたが、多くの事項について一定の方向に向けて意見集約をしていただい たのではないかと考えております。ただ、幾つかの事項がまだ検討事項ということにな っております。診療報酬改定との関係もありといったことで、結論は出ておりません。 そういった事項については、この秋以降、年末に向けまして最終的な意見のとりまとめ をしていただくことになっております。早速、あしたから部会を再開して御議論いただ く予定でございます。  内容でございますが、3ページ目をお開きいただきたいと思います。概要でございま すが、基本的な考え方がまず1にございまして、これを受けまして、4ページ目以降に それぞれ多岐にわたって各事項ごとに改革の方向につきまして意見を求めていただいて おります。  1は患者・国民の選択の支援ということで、広告の拡大といったことも大事ですが、 医療機関に一定の範囲の情報について都道府県に届け出させて、都道府県がインターネ ット等で住民にわかりやすく情報を開示する、提供するという枠組みの制度化といった ことも御提言をいただいております。  また、2として、医療安全対策につきましても幾つかの御提言をいただいております が、特に3つ目のところにございます医療事故等事例の原因究明・分析に基づく再発防 止対策の徹底につきましては、少し中長期的な視点からこうした制度の創設に向けて検 討に着手すべきといった御提言をいただいているところでございます。  続きまして、5ページ目でございます。医療計画の見直しでごさいまして、これが来 年の改革の一番の柱になるのではないかと思っております。  医療計画につきまして、主要な事業ごとに地域における医療連携体制を構築し、都道 府県の医療計画に位置づける。  医療計画に住民の視点に立ったわかりやすい指標による数値目標を導入し、評価可能 な計画としていくこと。  こういったことによりまして、実効性ある医療計画制度となるように見直すべきとの 御意見でございます。  これによりまして、地域の医療機能の適切な分化・連携を進め、急性期から回復期、 慢性期を経て、在宅療養への切れ目のない医療の流れをつくり、患者が早く自宅に戻れ るようにすることで、患者の生活の質を高め、また、必要かつ十分な医療を受けつつ、 トータルな治療期間が短くなる仕組みをつくることが必要である。  こういった御意見でございます。  また、地域医療支援病院、特定機能病院、あるいは人員配置標準のあり方、あるいは 有床診療所のあり方についても検討事項になっておりますが、これらについてはまだ結 論は出ていない状況にございます。  6ページでございます。母子医療、救急医療等も非常に重要な課題として位置づけら れておりまして、部会の方では、特に小児救急医療につきましては、施設の集約化とい った方策を講じることによって医療の確保を図るべきという御意見をいただいていると ころでございます。  また、5でございますが、地域や診療科による医師の偏在という問題が非常に大きく なってきておりまして、これに向けまして、3つ目の○でございますが、総務省や文部 科学省と厚生労働省が連携を図りまして、早急に総合的な対策をとりまとめるべしとい った御意見をいただきました。そして、早速これを受けまして、8月11日に私ども3省 庁で医師確保総合対策を打ち出したところでございます。今回の概算要求にもその関連 の予算等を盛り込んでおります。  6の在宅医療の推進についても御議論をいただいております。  また、7ページでございますが、7の医療法人制度の改革、あるいは8として医療を 担う人材の養成と資質の向上ということで、行政処分を受けました医師や看護師、歯科 医師の再教育の義務づけといった御提言もいただいたところでございます。  以上でございます。 (石井総務課長)  続きまして、「今後の生活習慣病対策の推進について」という資料をごらんいただき たいと思います。  健康局の総務課長でございます。  この資料は、表題の次にございますが、地域保健健康増進栄養部会、これは厚生科学 審議会に設けられている部会でございますが、この部会におきまして昨年の秋からほぼ 月1回のペースで生活習慣病対策について御議論を重ねていただいてまいりまして、先 週の15日に中間とりまとめが出ましたので、そのポイントを絞ってお話し申し上げたい と思います。  4ページからが概要でございます。中間とりまとめ本体は本日の配付資料の中の参考 資料4ということで机の上に置かせていただいております。時間の関係がございますの で、ポイントを絞って申し上げたいと思います。  5ページでございます。2の今後の生活習慣病対策の基本的な方向性ということでご ざいます。大きく4点御提言をいただきました。  I「予防」の重要性・効果の再認識とございます。その下の○にございますが、健康 に関心のない方、あるいは生活習慣病の「予備群」でありながら、御本人は自覚してい らっしゃらない方、こういう方に対しても、「予防」の重要性あるいはその効果という ものを認識してもらうために環境整備が必要であるということでございます。  また、その下の○でありますが、特に若年期からの予防の徹底が医療費の適正化にも つながっていくということを社会全体として積極的に評価していくべきであるという御 指摘をいただいております。  6ページでございます。IIとIIIは割愛させていただきまして、IVでございます。個 人の取り組みを社会全体で支えるための責任・役割の明確化という柱であります。  1つ目の○でございますが、関係者それぞれの責任、あるいはそれぞれの役割分担を 明確にした上で、具体的な連携方策を検討していくことが必要である。  また、一番下の○でありますが、特にハイリスクの方々へのアプローチについては、 今後は医療保険者による保健事業の取り組みの強化が必要である。  また、大勢にわたる関係者間の役割分担と連携を進めていくためには、都道府県の役 割強化が必要である。  こういった御提言をいただいております。  7ページは、今触れました大きな4つの基本的な方向性を受けて、今後の具体的な対 応方針ということで整理していただいたものでございます。  Iは健康づくりの国民運動化ということで、ごらんいただくようなことでございます が、例えば、(1)では、安易に薬に頼るのではなく、運動習慣の徹底と食生活の改善 が基本である。こういった考え方を国民に広く普及することが重要だということです。  あるいは、(2)では、「健康日本21」、これは平成12年から取り組みを進めている わけですが、さらに工夫をしまして、国民の方々に日常生活で具体的に何に取り組んで いただければいいのかをわかりやすく示す工夫が要ると、こういう御指摘をいただいて おります。  また、(3)では、具体的な施策プログラムの提示。  次のページの(4)では、産業界も巻き込んだ国民運動の展開が大事であるという御 提言であります。  また、8ページでは、2つ目の大きな柱として、網羅的・体系的な保健サービスの推 進ということで、(1)では、ハイリスクの方々の「予防」を徹底していくためには、 「予備群」と呼ばれる方を重点的な対象として、生活習慣の改善の必要性が高い方を健 診で効率的かつ確実に抽出をする。また、そういう方々に対して効果的な保健指導を徹 底していくことが必要である。  また、(2)でありますが、今後、40歳未満の方に対する健診や保健指導のあり方に ついて検討すべきである。このような御提言をいただいております。  9ページは割愛をさせていただきまして、10ページですが、次の大きな柱といたしま して、Vの生活習慣病対策の推進体制であります。これも多岐にわたる御指摘をいただ きましたが、(2)では、先ほど基本的な方向のところでも言及がございましたけれ ど、医療保険者による保健事業の取り組みの強化として、特にこの中では被用者保険の 被扶養者の方、あるいは自営業者の方については、これまでの反省として、健診を受け ていらっしゃらない方の把握が必ずしも十分ではなかったと。あるいは、そういう未受 診者の方々に健診を受けていただくようにお勧めするということも必ずしも十分ではな かった。こういう課題の解決を図るためにも、医療保険者の保健事業の取り組みの強化 が必要であり、その内容をさらに検討すべきであるという御提言でございます。  また、このページの一番下の(3)でありますが、都道府県においては、医療保険 者、市町村の関係者と共通の目標のもとで、それぞれの事業内容や事業量を明確化する といった連携事業、これを都道府県が中心となって推進していくことが必要であるとい う御指摘をいただきました。  時間の関係で駆け足になりましたが、以上でございます。 (石井総務課長(社会保険庁))  社会保険庁の総務課長でございます。資料3−4をごらんいただきたいと思います。 「社会保険庁改革関係について」であります。  めくっていただきまして、1ページでございますが、社会保険庁といたしましては、 効率的で質の高い社会保険サービスの実現、そして国民の信頼回復に向けまして、現 在、業務・組織の両面にわたります抜本的な改革を進めております。  まず、業務改革の面でございますが、昨年の11月に、80項目にわたります改革メニュ ーを盛り込みました「緊急対応プログラム」というものを策定いたしまして、これに沿 って、現在、実行に移してございます。  その主な取り組み分野でございますが、国民サービスの向上ということで、年金相談 の業務を中心とした充実、予算執行の透明性の確保、個人情報保護の徹底、そして保険 料徴収の徹底−−国民年金の保険料の収納対策の特段の強化というあたりを主要な分野 といたしまして進めてきてございます。  それで、現在はもう一段の業務改革を進めることが必要であるという考え方から、新 たな業務改革プログラムというものの策定作業に今入ってございまして、この10月から 実施をしたいと考えているところでございます。  それから、組織改革の方でございますが、こちらは昨年の8月に内閣官房長官のもと で「社会保険庁のあり方に関する有識者会議」というものが設置されまして、10回にわ たる会議をもっていただいたわけでございます。それが、ことしの5月31日でございま すが、組織のあり方についての最終とりまとめが図られたわけでございます。  その最終とりまとめのポイントでございますが、まず1点目は、公的年金と政管健保 の運営を分離して、それぞれ新たな組織を設置するということでございます。  2点目に、公的年金の部分についてでございますが、国の責任のもとで確実な保険料 の収納と給付を確保して、安定的な運営を図るために、組織の機能・構造について抜本 的に改革を行った新たな政府組織、これによって運営を行うこととされているわけでご ざいます。  その具体的な姿でございますが、国民の皆様の意向を反映しつつ、ガバナンスをきち んと確保するために、意思決定機能を担う組織として「年金運営会議」というものを設 け、さらに新組織の長の直属の機関といたしまして「特別監査官」というものを設けま して、それぞれのメンバーに外部専門家を起用させていただく。こういう姿のものを想 定しているわけでございます。  このほかに、民間企業への外部委託を徹底する、そしてそのことを通じて大幅な人員 の削減を図るということとか、民間企業的な手法によります人事処遇の導入、それか ら、地方組織を再編いたしまして、ブロック単位化してきめの細かな運用と効率化を両 立させながら進めるといった構造改革を進めることにいたしております。  それから、政管健保の運営についてでございますが、国から切り離しまして全国単位 の公法人として設立を図るという方向性でございます。  現在でございますが、ただいま触れました官房長官主催の有識者会議、この最終とり まとめの中に明記されている部分がございまして、これをもとに、本年7月でございま すが、社会保険新組織の実現に向けたもう一つの有識者会議が立ち上がってございまし て、こちらは厚生労働大臣のもとで議論が進められているわけでございます。  今後のスケジュールでございますが、18年夏までの間に検討いただくこととしており ます。ただ、2段になっておりまして、そのうち、次の通常国会に法案としてとりまと めて提出すべき事柄がございます。例えば、新しい年金実施組織に関する設置のための 法案などでございますが、そうしたものについては、年内に御意見を集約していただく ということで論議を進めていただいております。ちなみに、新組織の設立は平成20年の 秋ということになってございます。  私からは以上でございます。 (貝塚会長)  大変多岐にわたる御説明がありましたが、全体的に申しますと、三位一体改革あるい は経済財政諮問会議との関係における社会保障全般のあり方に関すること、これは社会 保障費の伸びをどうするかとかそういう話の部分でございますが、それと、ここに通ず る制度で、ことしは広い意味での医療関係についていろいろな制度を改革していくとい うことでございます。そして、最後は社会保険庁の問題がありました。  どういたしましょうか。皆さん、御自由に御質問や御意見をいただきましょうか。そ れとも、最初に、多少これに関与された委員の方、星野委員、鴨下委員から何か御発言 があれば、いただきたいと思いますが。  よろしゅうございますか。  それでは、皆様から御自由にお願いいたします。 (矢野委員)  資料に基づきまして幾つか意見を申し述べたいと思います。  最初に、資料2−2の「税制改正要望」ですが、平成18年度につきましては、企業年 金に関する項目がないんですね。特別法人税の撤廃とか、確定拠出年金におけるさらな る限度額の引き上げとか、本人が掛け金を負担するマッチング拠出の容認といったこと は、経済界からは、これは従業員も含めまして、企業年金に関する要望が多いわけで す。特別法人税は凍結がこの春から3年間延長されたということはあるにいたしまして も、税制の非常に根本的な課題の一つだと思っております。  平成18年・19年は確定拠出年金法、あるいは確定給付企業年金法の施行後5年目の見 直し時期となるということを踏まえまして、企業年金税制の見直しについての厚生労働 省の前向きな取り組みを要望したいと思います。  次は、資料3−1の「最近の社会保障の見直しを巡る動向」ですが、社会保障給付費 につきまして、これからも増加し続けることが避けられないというわけですが、過大な 伸びを具体的に厳しく抑制する枠組みをつくっていくための時間的な猶予がもうない、 急ぐ必要があるということです。必ず年内に結論を出す必要があると思っています。社 会保障給付費が経済成長を超えて伸び続けるということは将来世代への負担の先送りで ありまして、社会保障制度の持続可能性といった観点からも、経済成長を軸足に置いた 物差しをつくって、それに連動した管理手法の導入について改めて積極的に検討すべき であると思います。  次に、資料3−3の「医療保険制度の議論の整理」という最初のくくりの中にありま すが、これを読んでみますと、個別の論点については随分いろいろな違う意見や立場が 併記されているという特徴があると思います。厚生省の試案はこの議論の整理を踏まえ て作成されると聞いていますので、医療保険部会では十分な審議を望みたいと思いま す。特に高齢者医療制度でありますが、その財源は、高齢者自身の保険料、国保及び被 用者保険からの支援、そして公費に5割ということでありますが、これにより賄うとさ れておりますけれど、その割合であるとか1人当たりの負担水準であるとか、具体的な シミュレーションがまだ提示されていない、そういう状態のまま今に至っていると思い ます。  国民が理解し納得できる形で結論を出すべきでありまして、その意味では、年金給付 や介護給付との整合性や国民にとってのわかりやすさなどから、私どもはかねて主張し ておるわけですが、65歳以上の高齢者を一括して被保険者とするということは十分検討 に値するものだと思っております。  最後に、資料3−4の「社会保険庁改革」ですが、官房長官のもとでの有識者会議に 私も参加させていただきまして、その結論づくりにかかわったのでございますが、振り 返ってみまして、社会保険庁の新しい組織に対する国民からの信頼回復というのは容易 なことではないと思います。そのためにも、国民がお客様であるという姿勢を持ち続け て、サービス向上を通じてその満足度を高めることが必要だと思います。また、企業・ 民間経営の手法を取り入れて、内部統制、ガバナンスの強化を図って、特に監査機能部 門が独立性を持って十分にその機能を発揮できるような新組織をつくってもらいたいと 思います。この改革が骨抜きになるようなことが決してあってはならないということを 強調しておきたいと思います。  以上です。 (貝塚会長)  ほかに、どうぞ。 (久保田委員)  私の方も幾つかございます。順次申し上げます。  第1点は、概算要求の絡みで3つぐらいあります。  まず、厚生年金の事務費の財源の問題ですが、公的な社会保険である厚生年金の事務 費という意味では、本来、国庫負担で賄うべきであると考えます。平成10年から15年の 財政構造改革の推進に関する特別措置ということで、特例として本来の国庫負担を保険 料の一部流用で対応してきているわけですが、それは本来、特例、特例ということで伸 ばしていくべきではないと思っています。とりわけ、その保険料の一部が不適切に使わ れたということで国民の批判を浴びたわけですが、その批判部分だけを何か小手先で整 理するということだけでは、やはり問題だろうと思っています。  2つ目、冊子の総括の2ページのところですが、義務的経費の2,200億円の削減合理 化が求められています。具体的にどういう内容でおやりになるのかということについて は、もう少しよく聞いてみないとわからない点もございますが、医療費の適正化や生活 保護費の問題というのが出てきているのではないかと思います。特に医療費の適正化の 問題については、これまでの経過をしっかり踏まえてやっていただきたい。過去2回に わたって制度が持つ抜本的な構造的な改革と、保険料のアップだとか、個人の自己負担 を上げるとか、そういう痛みの部分はワンセットの改革だと、政府は言ってきたにもか かわらず、結局は負担増先行、そして、制度的な問題は全部先送りになってきている。  2002年からも3割自己負担、あるいは保険料、高額療養費の引き上げなど、普通のサ ラリーマンの立場からしますと、負担増のみ先に手形を切っていると思っております。 ぜひ本来の制度そのものの改革、IT化の着実な実施、医療情報の開示、不正請求の一 掃、また、国保組合という中でも所得の高い組合等々についてはちゃんと国庫負担の見 直しをするとか、しっかりそういう制度的改革を断行すべきであって、大幅な給付削 減、患者・国民への負担増でお茶をにごすようなやり方は、過去の経過と約束が違いま すよということは強調しておきたいと思います。  生活保護費の問題は、不正受給等々はもう言語道断だと思っておりますが、今でも日 本のミーンズテストは諸外国と比べると非常に厳しいし、さまざまな難しい問題がある と考えています。保護受給者の個々人が抱える問題や課題を個別で把握をして、就労支 援など自立に向けた施策の連携と強化を先行させるべきであると考えておりまして、生 活保護費の一律な削減・縮小というのはすべきではないと考えています。  三位一体の問題については、まず基本的な理念、国と地方自治体がどういう分担でや るのか、そこの整理をしっかりした上でやるべきではないか。先に数字があり、小手先 でつじつま合わせをするという改革は大きく間違うのではないかという基本スタンスを 持っておりますし、今回の問題でも、とりわけ障害児・障害者の対策等々は、現状でも 基盤整備やサービスの量と質という点で大変地域差が大きいということもございまし て、さらに格差が拡大することにならないか。さらに、感染症やエイズといった県を越 えてはやっていくものをそれぞれの県にというのはどう考えても納得いきません。先ほ どの生活保護というのもやはりナショナル・ミニマムとして整備すべきではないかと考 えておりまして、単なるつじつま合わせ的な政治的決着ということでは問題があるので はないかという認識を持っております。  次に、社会保障の一体的改革をめぐることで、幾つかございます。  医療保険制度の部会につきましては、私自身が出ておりますので、一切省きます。  医療提供体制の改革の問題につきましては、労働組合「連合」の立場で2つだけ強調 しておきます。  1つは、ここで提言されておられる内容に加えまして、IT化の推進による、とりわ け、カルテ、レセプトの電算処理、そしてそれがしっかりチェックができる仕組みとい うものをぜひ入れるべきであるということです。  2つ目は、医療提供体制という意味では、保健医資格の一定期間の更新制と再教育の 義務化の導入ということにつきましては、しっかり議論をして施策の中に入れるべきで はないかと考えております。  社会保険庁改革については、一言です。意識改革は大事です。社会の感覚や目線とか け離れたものは徹底的に見直していかなければならないということは間違いないことだ と思いますが、問題は、一人一人が本当にそういう気にならないとだめだと思います。  職員の意識改革が重要ですし、それは単なる成果主義賃金や小手先の制度導入だけで できるわけではありません。給料の問題ではなく、自分がやっている仕事に誇りを持っ て、社会のお役に立って、周りから尊敬される、そういう環境条件を作ることが一番大 事だと思います。職場・現場大事で、一人一人との丁寧な動機づけと意識改革をしっか りやってもらいたいと思います。バッシングだけで一人一人が燃えない組織では再生は あり得ないのではないかと考えております。  最後に、税制改革との関連性でございますが、「社会保障の在り方に関する懇談会」 を重視してもらいたい。経済財政諮問会議主導で社会保障の方向づけをするべきではな い。もちろん、この社会保障審議会の場も大事でございますが、私ども労働組合の立場 からすれば、組合の代表も入った政労使の枠組みである「社会保障の在り方に関する懇 談会」というのは非常に大事だと思っています。社会保障の一体的改革と税の問題とは 裏腹の問題で、密接にリンクをしています。一方、税調では、負担増先にありきの議論 が先行しているのではないかと危惧しておりまして、右手と左手の関係ということでは なく、税制改革の議論は社会保障の負担のあり方とも密接不可分なので、双方の一体的 理念設計、具体設計図ということをぜひやっていただきたい。連携を図りつつ議論を行 ってほしいということを要望しておきたいと思います。  以上です。 (貝塚会長)  ほかに御意見をどうぞ。 (堀委員)  先ほど大臣は、「身の丈に合った社会保障制度」ということがいわれているとおっし ゃいました。「身の丈に合った社会保障制度」という言葉は最近大はやりですが、この 言葉で社会保障費を削減しようということだと思います。しかし、ヨーロッパ諸国の社 会保障費と比べると、日本の社会保障費は、比喩的に言うと、大人が中学生の服を着て いるようなものです。すなわち、経済規模に見合ってないほど、社会保障費が少ないと いうことです。  そういう状態の下で、経済成長の伸び率の範囲内に社会保障費を抑えるというのは、 問題ではないか。更には、今後高齢化率が20%から34%に上がるということを考える と、非常に無理ではないかと私は思っています。社会保障給付の重点化とか効率化はも ちろんやる必要はありますが、必要な社会保障給付の費用は是非とも確保していく必要 があると思います。 (貝塚会長)  ほかに御意見や御質問はいかがでしょうか。  それでは、私の個人的な感想ですが、去年1年間、そしてことしもそうなのですが、 社会保障が結果的に政治問題になりましたね。簡単に言うと、私が言うのも無責任な話 ですが、わけがわからない状況があったのですけれど、実際問題としては、年金の法案 が昨年通りまして、私の個人的な感想としては、あの年金は非常にすぐれた点を持って いて、世代のウエイトが変わっても、世代間の負担が人員の少ないところへ過大にかか るというのは避けなければいけない。  要するに、高齢者の数や社会の状況に応じて給付をある程度修正して、そして保険料 の負担は上限を目指して、そこまで頑張りましょうと、そういうプランなわけですが、 非常に複雑なプランで解説を読んでもなかなか理解できない、相当読んでようやくなる ほどそういう話かということで、すぐれた提案であったのですけれど、そういうことが ありまして現在は複雑な状況にあるわけですが、ことしはまさに医療保険の改革の年で あるわけで、これも私の個人的な感想ですが、高齢者医療の問題というのはずっと前か ら、問題である、問題であるということがずっと言われてきて、そこのところはある程 度きちっとした将来設計をうまくやっていただければ、それで見通しがつけば、かなり の部分は……。  それから、供給の体制というのは、確かに今までは自己負担を上げたらよろしいとか そういう話だったわけですが、それは限界に来て、自己負担はもうこれ以上上げられな い状況に来ておりまして、その次にどうするかというと、今度は、医療サービスの供給 の体制をどのように仕組んでいくか−−これは大変難しい問題ですが、そういうところ へ入ってきて、提供の側の問題もいろいろきっちり考えて、そして全体像を得ることが できればいいのではないかという感想を持っているということでございます。  皆様方から、この辺はもうちょっときっちりやったらどうかとか、御意見があれば伺 いたいと思いますが。  もし特段なければ、3時が定刻でありますけれど、定刻より早目にやめてもいいとい う事務局のお話もありましたので、この段階で審議会は終わりたいと思います。今後、 この問題は非常に複雑な展開を示すことになりますので、重要な論点その他について皆 様方のある程度御意見を伺う機会があるかと思いますが、今後ともよろしくお願いした いと思います。どうもありがとうございました。                                    −以上− 照会先 政策統括官付社会保障担当参事官室 政策第一係 代)03−5253−1111(内線7691) ダ)03−3595−2159