05/09/15 薬事・食品衛生審議会薬事分科会 平成17年9月15日議事録         薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成17年9月15日(木) 15:00〜   厚生労働省専用第15会議室 2.出席委員(19名)五十音順   伊 賀 立 二、 池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、 井 部 俊 子、  ◎井 村 伸 正、 岩 田   誠、 神 山 美智子、 北 澤 京 子、   土 屋 利 江、 永 井 良 三、 長 尾   拓、 早 川 堯 夫、   本 田 佳 子、 松 本 和 則、 溝 口 昌 子、 宮 崎 秀 樹、   望 月 眞 弓、○山 口   徹、 吉 田 仁 夫 (注) ◎分科会長 ○分科会長代理   欠席委員(4名)   笠 貫   宏、 河 盛 隆 造、 広 津 千 尋、 松 尾 宣 武 3.行政機関出席者   福 井 和 夫(医薬食品局長)、 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   北 村   彰(総務課長)、    森  浩 太 郎(医薬品副作用被害対策室長)、 小 林   剛(医薬情報室長)、   川 原   章(審査管理課長)、 山 本 弘 史(医療機器審査管理室長)、   佐々木 弥 生(化学物質安全対策室長)、   中 垣 俊 郎(安全対策課長)、 山 田 雅 信(安全使用推進室長)、   村 上 貴 久(監視指導・麻薬対策課長)、 中 村 博 治(監視指導室長)、   関   英 一(血液対策課長)、 植 村 展 生(血液対策企画官)、   境   政 人(農林水産省消費・安全局薬事・飼料安全室長) 他 4.備  考   本分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○井村分科会長 それでは定刻を少し過ぎたのですが、薬事・食品衛生審議会の薬事分 科会を開催させていただきます。本日は入っている連絡では笠貫委員、河盛委員、広津 委員は御欠席ということでございました。それから望月委員が少し遅れて御参加になる ということでございまして、それ以外の委員の方でお二方ほどまだ見えていないのです が、時間も過ぎましたので先へ進めさせていただこうと存じます。議事に入ります前に、 事務局の方に異動が大分ございましたので、その点に関しまして御紹介をお願いいたし ます。 ○総務課長 8月26日付けで総務課長を拝命いたしました北村と申します。どうぞよろ しくお願い申し上げます。幹部職員の異動の関係でございます。まず8月26日付けで福 井医薬食品局長が就任しております。福井新局長より一言ごあいさつを申し上げます。 ○医薬食品局長 医薬食品局長を拝命いたしました福井でございます。どうぞよろしく お願い申し上げます。委員の皆様方におかれましては日ごろから高い御見識に基づきま して、種々御意見を賜るなど薬事行政に御指導、御協力を賜っているわけでございまし て、あつく御礼申し上げたいと思っております。また本日大変お忙しい中御出席を賜り まして誠にありがとうございます。  若干私事にわたりますが、私は昭和50年に入省いたしましたけれども、実は振出しが 薬務局でございまして、昭和52年まで旧薬務局企画課において勤務いたしておりまし た。その後平成4年に監視指導課長を1年間やらせていただくということで、今回3度 目ということで薬事行政に携わることになったわけでございます。当時と比べましても 医療を取り巻く環境は非常に大きく変化してきており、また課題も山積しているわけで ございますけれども、やはり当時と変わらないということで申し上げれば、正にこの薬 事行政のスタンスということかと存じますが、医薬品等の有効性、安全性、あるいは品 質をチェックしてきちんと国民のニーズにこたえていくということではないかと考えて おります。  本日の部会においてはこの医薬品の承認の可否のほかに、副作用や感染等の被害判定 の実施体制についても御審議いただくということにいたしておりますが、厚生労働省と いたしましては国民の健康に資する有効かつ安全な医薬品、医療機器をきちんと供給し ていくということによりまして、良質な医療の提供に努めてまいりたいと考えておりま す。委員の皆様方におかれましては引き続きそれぞれの御専門の分野における最新の科 学的な知見、あるいは豊かな御経験を基に厳正な御審議を頂きまして、薬事・食品衛生 審議会に対する国民の厚い信頼、期待にこたえていただきますようお願い申し上げる次 第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ── 宮崎委員着席 ── ○総務課長 続きまして簡単に新任の幹部職員の紹介をさせていただきます。まず初め に中垣安全対策課長でございます。 ○安全対策課長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして村上監視指導・麻薬対策課長でございます。 ○監視指導・麻薬対策課長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして関血液対策課長でございます。 ○血液対策課長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして小林医薬情報室長でございます。 ○医薬情報室長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして植村血液対策企画官でございます。 ○血液対策企画官 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 続きまして農林水産省、大石魚類安全室長でございます。 ○魚類安全室長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 なお本日は所用により欠席しておりますが、監視指導室長に中村が着任し ております。以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。それでは続きまして事務局の方から 本日の資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。審議事項については資料1とな っております。報告事項については資料2〜29となっております。資料8-2、22、資料 番号のない「抗がん剤併用療法の適応拡大の進捗状況」の資料については本日配付させ ていただきました。その他の事項については資料30となっております。その他議事次第、 座席表、名簿を本日配付しております。御確認いただきたく存じます。本日は審議事項 が1件、報告事項が28件、その他事項が1件予定されております。その他の事項につい ては分科会規程の改正となりますので、委員の皆様には最後になりますが、御審議いた だきたいと思います。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。資料はいかがでございましょうか。 お手元にそろっておりますでしょうか。もしなければ事務局の方から配付いたしますが、 よろしゅうございますか。それではそろっているようでございますので、早速審議に入 らせていただきます。まず審議事項は一つだけでございますが、議題1、資料1でござ います。医薬品プロペシア錠1、同0.2mgの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定 の要否、輸入承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬及び劇薬の指定の要否について という議題でございます。この議題については医薬品第一部会で審議されたものでござ いますので、部会長の永井先生から御説明をお願いいたします。 ○永井委員 それでは概要を説明させていただきます。これは男性型脱毛症の進行遅延 を図る一種の生活改善薬のような位置付けでございますが、まず簡単に薬効、メカニズ ムについて説明させていただきます。この適応とされている男性型脱毛症の発症は遺伝 子及びホルモン因子が作用するということが知られております。いろいろ不明な点がご ざいますけれども、男性ホルモン、特にテストステロンの代謝物であるジヒドロテスト ステロンが関与しているということが言われております。このジヒドロテストステロン が関与はテストステロンから5α-還元酵素による変換反応によって産生されます。この ジヒドロテストステロンが男性ホルモン感受性の頭皮毛包の成長期の短縮、毛球部容積 の減少などを引き起こすと考えられています。  このプロペシア錠の有効成分はフィナステリドというものですけれども、5α-還元酵 素を特異的に阻害し、ジヒドロテストステロンの産生を抑制することによって男性型脱 毛症の進行遅延を図るというものであります。現在までに米国、ドイツ、英国等世界63 か国で承認されております。この薬剤については7月29日の医薬品第一部会において審 議をいたしまして、用法・用量を「男性成人には、通常、フィナステリドとして0.2mg を1日1回経口投与する。なお、必要に応じて適宜増量できるが、1日1mgを上限とす る」と改めた上で承認して差し支えないという判断に至りました。詳細については事務 局から説明をお願いいたします。私からは以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。では事務局からお願いいたします。 ○事務局 引き続き事務局、審査管理課の方から本剤の審査の概略について、臨床試験 の成績を中心に御説明申し上げたいと思います。臨床試験に関する資料といたしまして は第I相試験、それから第II/III相二重盲検用量反応比較試験、長期投与試験などが提出 されております。  まず有効性に関してでございますが、資料1の審査報告書の29ページから中心となる 第II/III相試験の結果が記載してございます。日本人男性の男性型脱毛症患者413例を対 象といたしまして、本剤の0.2mg、1mg又はプラセボを1日1回48週間経口投与すると いう形で二重盲検用量反応比較試験が実施されております。主要評価項目である最終評 価時点での頭頂部写真の評価において、本剤1mg投与群及び0.2mg投与群はいずれもプ ラセボ投与群に比べまして有意に優れるという結果でございます。これで本薬の有効性 が検証されております。  安全性については国内外の臨床試験、それから海外の市販後調査の結果において、特 に問題となるような有害事象は認められておりません。また、先ほど申し上げた国内臨 床試験において0.2mg群と1mg群は安全性上同程度であるという結果でございました。  本剤について注意すべき事項といたしまして催奇形性の問題がございます。資料の「添 付文書(案)」という耳のところを御参照いただきたいと思います。本剤は効能・効果が 「男性における男性型脱毛症」ということで、男性のみを適応としておりますけれども、 催奇形性の問題もございますので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦 への投与を禁忌とさせていただいております。また、調剤や服用時に本剤を分割・粉砕 しないこと、それから妊婦又は妊娠している可能性のある女性は破損した錠剤を取り扱 わないことを、添付文書の重要な基本的注意に記載して注意を喚起するということとし ております。なお、本製剤はフィルムコーティングされている錠剤でございまして、通 常の取扱いでは原薬に直接接触するということはございません。  効能・効果についてでございますが、申請時点では「男性の男性型脱毛症における発 毛、育毛及び脱毛(抜け毛)防止」ということでまいりましたけれども、第II/III相試験は 写真における頭頂部の毛髪状態を評価したものでございまして、毛髪数の変化について は測定されていなかったことから、毛髪数の変化に関する「発毛」、「育毛」という効 能を付すことは適当ではないと考えまして、効能・効果を「進行遅延」に改めておりま す。  用法・用量でございます。有効性においては先ほど申し上げたように、本剤1mg投与 群と0.2mg投与群で統計学的に有意差は認められておりません。それから安全性におい ても両群間で大きな相違が認められておりませんので、0.2mg、1mgのいずれも臨床用 量として選択することが可能であると判断しております。有効性、安全性が同等であれ ば低い方の用量に設定するというのが一般的でございますけれども、実は本剤について は海外の承認用量が1mgということでございまして、現在1mg製剤の個人輸入がインタ ーネット等を介して広く行われているという実態がございます。それを考慮いたします と、仮に国内の承認用量を0.2mgだけに限定した場合は、高い用量の製剤を希望する患 者さんによる個人輸入が継続するのではないかと。ということで催奇形性を有する本剤 の適正使用に懸念すべき点が残りますので、1mg製剤についても適正な流通管理下にお かれるべきと判断いたしまして、0.2〜1mgまでを承認用量とすることが適当であると 判断しております。さらに、先ほど永井先生から御紹介がございましたように、医薬品 第一部会の審議において、日本人では1日1回0.2mgで十分な臨床効果が認められるこ とから、通常用量は0.2mgといたしまして、上限を1mgとするという形で用法・用量を 改めさせていただいております。  以上総合機構の審査、それから医薬品第一部会での審議の結果、「男性における男性 型脱毛症の進行遅延」に関して有用性が認められ、承認して差し支えないと判断いたし まして、本薬事分科会で御審議いただくことが適当と判断しております。なお、原薬及 び製剤は劇薬に該当いたします。再審査期間は6年、特定生物由来製品又は生物由来製 品には該当しないと御判断いただいております。また本剤は医師の処方せんがないと販 売できない「処方せん医薬品」に該当しますので、薬局は処方せんの交付を受けた方以 外に対して販売することはできないということになります。  最後に御参考までですけれども、本剤はいわゆる生活改善薬の範疇に該当する薬でご ざいまして、申請者の方から薬価基準への収載の希望はなされておりませんので、保険 給付の対象外として取り扱われることになります。以上御説明でございます。御審議よ ろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。永井委員とただいまの事務局からの 御説明はいかがでございましょうか。委員の皆様方から御意見、御質問をお願いいたし ます。 ○神山委員 質問です。男性型脱毛症の進行遅延というのはどういうことなのか、前の 方にもたくさん書いてあるのですが、よく分からないので添付文書の「国内臨床試験」 などというところを見ますと、頭頂部毛髪の変化を写真により7段階で評価した結果、 本剤投与群では統計的に有意な改善を示したというのは、自己評価というところにはげ ているところが小さくなったとか何とかというのもありまして、発毛育毛ではなくて脱 毛進行抑制というのはどういうことなのかというのがよく分からないのですが。 ○井村分科会長 事務局の方からその辺についてもう少し分かりやすく説明していただ けますか。育毛というのは毛が太くなるのだそうです。それから発毛というのは数が増 えるのだそうです。それが確認できていないという前提がございます。 ○神山委員 写真で何が改善されているのですか。 ○井村分科会長 それを事務局の方から説明していただけますか。どうぞ。 ○機構 それでは機構の方から御説明させていただきます。今分科会長の方から御説明 がありましたように、発毛とは本数を計数して通常その効果を見ております。外国での 臨床試験においては一定の面積に入れ墨をしまして、5.1平方センチメートルの丸い円を書いて、そこの 本数を数えて増えているかどうかという形で発毛効果を見ております。また育毛につい てですが、最初は非常に細い軟毛から成長して剛毛になっていくわけでございます。そ の発毛サイクルでの剛毛までの成長期間が短縮されてきますと立派な一人前の毛になら ないということで、これについては毛髪の重量を測定する形で育毛効果を検証しており ます。  一方、日本の国内臨床試験においては「見てくれ」といいますか、結局はどのように 見えるかというのが重要だということで、同じ姿勢、髪型、とかし方で照明もフィルム も同じにしてというように条件をそろえまして、同じ角度で経時的に写真を撮って、試 験前の写真と測定点での写真を評価者には全く教えずに2枚提示してどう思いますか と。とても改善していますか、少し改善していますかという7段階に分けて評価してい ただいているということになっています。時系列的に写真を提示することなく、必ず投 与前とその時点での2枚だけを相手に提示して3人の評価者にブラインドをかけるとい う形で、この病態での進行はどのように見えるかという形で評価をしております。  添付文書にもグラフが出ておりますけれども、資料の有効性で縦軸が0.8というとこ ろに御着目いただくとよく分かるのですが、スコアは7段階でありながら有効性は1以 下という平均値を示しております。要するにほとんどの人は不変を推移する形になりま す。ですから、男性型脱毛症で毛が抜けていくという病態になりながらほとんどの方は 不変の状況にいると。一方で若干ふさふさ感というのでしょうか、写真判定で毛が多く 見えてプラセボ以上に増えている感じの方にシフトしている形をもって1、2、3とな りますが、平均をとってみると1以下の0.8ぐらいのところで推移しているように見て 取れるということになります。一応そういうことから計数と写真判定との差は大体御理 解いただけるかと思います。  また海外の臨床試験データですけれども、プラセボを入れたり1mgを投与した5年間 の試験がございます。ページ数が後で分かればすぐに御説明しますが、その試験では1 年目ではかなり多く見えますけれども、2〜3年目で投与前との本数比較はだんだん下 がってまいります。最初のうちは100本程度増えたように見えますが、2年目は90本と かあるいは3年目は60本というふうに、やはり病態自身の進行を完全に止めたり増毛し てどんどん毛が増えていっているという傾向ではなくて、投与前と比べるとやはりその 効果は少しずつ減弱しているようにも見えると。一方何も治療をしませんとどんどん抜 け毛が進行してベースラインが下がってきますので、そういう意味では何もしないより は当然ながらその差は広がってくるという形で御理解いただけると分かりやすいかなと 思います。 ○井村分科会長 お分かりになりましたでしょうか。今の説明は分かりやすかったと思 いますが。ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。どうぞ、宮崎委員。 ○宮崎委員 今の件とは違うのですが、御説明でこれは医師の処方せんで処方するもの で保険適用ではないと、これは理解できるのですが、もとはこの1mgはインターネット で販売されているという話ですね。これをインターネットの方で野放しに医師の処方せ んなく売買できる状況にあるので、インターネットならどこで売っているか分かるわけ ですから、これに関する対応策というのはどのように考えているのですか。 ○井村分科会長 それについていかがでございましょうか。 ○審査管理課長 そういう個人輸入やインターネットでの販売の規制関係を担当してお ります監視指導・麻薬対策課長の方から答えてもらいます。 ○監視指導・麻薬対策課長 ただいま宮崎委員から御指摘のありましたインターネット 販売等については、今後どのように対応するのかということについてきちんと対策を講 じる必要があると考えております。ただ本件について申し上げますと、このようなもの が承認されることによって、専門家による適切な医療の中で使われるようになっていく ものと期待しておりまして、このような形での正式な医療の中で地位を与えることによ って、問題点の一部が解消されていけばと期待しているところでございます。 ○宮崎委員 それはお役所的な考えですね。それでは一つ質問しますけれども、これに 似たような類似的な事例で、こういう情報を知り得て過剰に飲んだりして重大な死につ ながるような状況が起きたとき、これは一体だれの責任になるのですか。これはやはり 1回きちんと整理しておかないとまずいのではないですか。それはどのようにお考えに なっていますか。 ○監視指導・麻薬対策課長 インターネット販売に限らず、明らかに違法な販売あるい は広告をしているということであれば警告をするなど、適切な販売形態になるようにと いう指導をしているところでございますけれども、先生が御指摘のような状況について は今後ともきちんと監視指導していくことにしたいと考えております。 ○宮崎委員 これはおざなりの答弁ではなくて、きちんとお考えがまとまったらまた教 えてください。 ○井村分科会長 確かに非常に大きな問題であろうと思われますが、一般用医薬品につ いても問題が多いわけでございますので、その辺については是非厚生労働省の方できち んとした対応をしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。ほかに 御質問ございますか。どうぞ。 ○北澤委員 質問させてください。この審査報告書を読むとフィナステリドを12か月間 服用した後、中止して12か月後には髪の毛は元に戻ったということが書いてありまし た。ということは結局これは長期に飲み続ける方が多いのではないかと想像したのです が、長期に飲み続けた場合の安全性については後ろの方で2年間の長期安全性試験が出 ていまして、それだと副作用はそれほど大したことはないから安全ですと書いてあるの です。こういうことを検証する場合にどのぐらい長ければいいのかということなのです けれども、2年間という長期の試験があれば承認には十分と判断しておられるのか、そ の辺りのことについてまず伺いたいのが一点です。  それから二点目は添付文書(案)のところに「高齢者」という表現があるのですけれど も、実際に日本人での臨床試験を見ますと50歳ぐらいまでだったのではないかと思うの ですが、要するに臨床試験には50歳以上の日本人については入っていなかったのではな いかと思うのです。結局今皆さん若々しくて、50代の人で私は高齢者だと思っている人 はだれもいないと思うので、添付文書の表現についてこれが誤解を生まないのかどうか 少し疑問に思いましたので、その点をお尋ねしたいと思います。 ○井村分科会長 以上二点についてお答えいただけますでしょうか。 ○審査管理課長 最初にお尋ねの長期の安全性の確認関係でございますけれども、もし 御専門の先生方から御追加があればお願いしたいと思いますが、例えば長期に服用され る血圧のお薬などでも一般的には臨床試験の期間は大体6か月といったものでございま す。ただ一部の患者さんで長期の安全性を確認する、その試験に参加した方の中から長 期試験に移行して1〜2年のデータをフォローしていただくという方も出てまいりま す。それ以上の長期の安全性ということになりますと、基本的にはそういう服用した方 で後々何か起こっていないかといったことで、市販後調査などで通常はディテクトして くるといいますか、そういうやり方が一般的な開発の形ではないかと考えております。 したがいまして、この場合も欧米各国とも同様の臨床試験のデータでの評価をしており ますけれども、確かにこの薬も場合によっては数年という単位で服用することになると 思いますが、提出していただくリクワイアメントとしてはこれで問題がないと。それか ら市販後には当然いろいろな安全対策がかかってまいりますので、その中で仮にそれ以 上の長期服用で問題があればそれはディテクトできるであろうという形で、承認審査の 中では対応しているという状況でございます。それから高齢者と非高齢者のところにつ いては審査の実務を担当した機構の方から説明させていただきます。 ○機構 引き続き御説明させていただきます。まず、今課長より御説明のあった点につ いて一部補足させていただきたいと思います。臨床試験については海外においては既に 先ほどお話があった533ページで5年間の臨床使用のものも付いています。もちろん国 内においては先ほど申し上げた2年を中心にまだ継続投与していまして、3年半近くの データまで出ていますけれども、そういう状況になっていますので、必ずしも2年だけ で切ってはいないということを追加させていただきたいと思います。  次に高齢者については御指摘のとおり国内II、III相試験において20〜50歳という形で 対象患者を切っていますので、国内臨床試験の対象年齢については高齢者は含まれてお りません。ただ海外においては高齢者と非高齢者を比較する試験が行われていまして、 有効性は若干劣るものの安全性等で特に問題は見受けられておりませんので、そういう 観点ではまず心配はないだろうと。またこの品目と同じ薬理メカニズムなのですが、前 立腺肥大の治療薬としても申請が行われて、まだこれは審査中でございますけれども、 そちらの用量はこれの5〜25倍の5mg錠になります。そちらの方での検討も別途ありま して、有効性についての検証という意味では若干問題がありますけれども、安全性に関 してはこの添付文書の記載で特に問題になるとは思えないというデータがございますの で、このような記載に落ち着いた次第でございます。以上でございます。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。ほかに御質問、御意見ございますか。神山 委員、どうぞ。 ○神山委員 外箱の規制区分のところには劇薬と書いてあるのですが、添付文書(案)に は書かなくてもいいものなのでしょうか。一生懸命見て、見落としているのかもしれな いのですが、添付文書には劇薬と書く必要があるのではないかと思います。書いてあり ましたか。 ○審査管理課長 これはまだファイナルになっていないので書いていないということか もしれませんが、劇薬にもなりますし、先ほど説明の中でも触れさせていただきました けれども、処方せん薬ということにもなりますので、そういう表示も添付文書の中には なされることになります。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。ほかにございますか。よろしゅうござい ますか。それではこのプロペシア錠1及びプロペシア錠0.2mgの承認は差し支えござい ませんでしょうか。それではこれは承認とさせていただきます。ありがとうございまし た。  ではこれから報告事項がずらりと並んでおります。報告事項の議題に1をプラスして いただきますと、その件に関する資料番号になります。報告事項に関しては担当された 部会ごとに区切って説明をしていただきますので、まずは副作用・感染等被害判定部会 関係の議題1、資料2から簡単に御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは議題1、資料2の副作用・感染等被害判定結果について御報告させ ていただきます。前回の分科会以降に2回の副作用・感染等被害判定部会が開催されま した。資料は各開催ごとのものとその表紙に2回の件数を集計したものとなっておりま す。  それでは資料1ページの「まとめ」と記載された2回の部会の集計結果に沿って御報 告させていただきます。まず部会開催日は平成17年度第2回が平成17年6月16日、同 じく第3回が7月28日に開催されました。医薬品の副作用の判定における2回の合計申 請内訳については新規が232件、継続24件、現況29件の計285件について御審議いた だきました。審議結果については支給決定することが適当と考えられるものが231件あ り、その内訳は請求どおり支給決定するものが99件、請求期間の一部について支給決定 するものが130件、請求内容の一部について支給決定するものが6件となっております。  また、不支給決定することが適当と考えられるものが47件あり、その内訳については 医薬品の使用目的が不適正であったものが1件、医薬品の使用方法が不適正であったも のが7件、医薬品以外の原因によるものが21件、副作用による疾病が入院治療を必要と する程度でない場合が10件、障害とは認められないものが2件、また副作用による障害 が日常生活が著しく制限される程度の状態でない場合が4件、資料不足により判定不能 であった場合が3件、また厚生労働大臣が指定する救済給付対象除外医薬品を使用され た場合が1件となっております。さらに追加情報を得て再度審議することが適当とされ たものは7件ございました。また、今回御報告させていただく2回の部会においては、 生物由来製品による感染被害についての判定は実施されませんでした。以上で平成17 年度第2回及び第3回の副作用・感染等被害判定部会の結果報告とさせていただきます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。部会長の岩田先生から追加の御発言はござ いますでしょうか。 ○岩田委員 今御説明いたしましたとおりでございますけれども、少し補足いたします と資料不足と申しますのはこの件が裁判等になっておりますと、病院側から投薬の詳細 などを知らせてくださらないということがございまして、何度か努力して資料を集めよ うといたしましたけれども、それが実際には得られないのでこうせざるを得なかったと。 そういうことが最近だんだん増えてまいりまして、ちょっと困ったことだなとは思って おります。それと同時に、この部会の判定を裁判の方で利用しようという考え方が弁護 士さんの間にあるようなニュアンスを我々は感じておりまして、そういうこととは関係 なくできるだけ公正に審議しているつもりでございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。私はいつも質問してお答えいただいている のですけれども、この285件の中で一般用医薬品によって起こったものが12件ありまし て、これはすべて支給のケースになっているそうでございます。ただいまの説明に関し まして御質問、御意見ございますでしょうか。どうぞ。 ○松本委員 医薬品等安全対策部会の副作用評価とも関連しますので、一つだけこの被 害判定部会における副作用の診断についてお尋ねしたいと思うのですけれども、第2回 の5ページの99番で原疾患がB型慢性肝炎になっていて副作用名が劇症肝炎という診 断になっています。通常劇症肝炎という診断は先行する肝炎、いわゆる肝障害がないと きに診断しますので、こういう場合でも劇症肝炎と診断していいかどうかというのは非 常に微妙なところだと思うのですが、この辺に関して判定部会はいろいろと被害を受け られた方の救済を目的にしていますので、部会における独自の判定基準を用いられてい るかどうか、お教えいただきたいと思います。 ○井村分科会長 岩田委員、よろしくお願いいたします。 ○岩田委員 この救済制度の基本は疑わしきものは罰するという態度でございます。で すから因果関係があると認めているわけではなくて、因果関係が否定し切れないものが 入るわけです。ですから原疾患がありまして、それがはっきりしてもそれに対して用い た薬剤がやはり何らか関係しているであろうと考えられる場合は、できる限り救済の方 向に持っていくという趣旨でやっております。 ○松本委員 それはそれでよろしいと思います。この場合死亡されたのと因果関係があ ったのでこういう判断になったと思うのですが…。 ○岩田委員 因果関係があったというのではなくて、因果関係がないと否定できないと。 ○松本委員 それでもよろしいのですが、その場合にやはり診断名というのはほかの副 作用診断の場合でも用いるわけですので、ある程度共通した診断名を用いられた方がい いのではないかと思ったものですから。 ○岩田委員 この99の細かいことはちょっと記憶しておりませんが、この診断名に関し てはかなり部会の判定会議の中でいろいろ討議がございまして、劇症肝炎という名前に ついては毎回いろいろな論議があります。劇症肝炎という言葉はやはりもっと限定して 使うべきであるという意見の方と、それから劇症肝炎というもので使ってもいいのでは ないかという意見の方がしばしば議論になるのですけれども、十分にいろいろ討議した 上でこのケースの場合はこういう名前を使いましょうという形でやっております。この 人のときにどういう議論があったか、ちょっと覚えておりませんが。 ── 望月委員着席 ── ○松本委員 それはそれでよろしいのですが、やはりこういうものを劇症肝炎と診断す るようになりますと、一般の副作用診断をする場合医薬品による劇症肝炎の頻度ががく んと上がっていくのではないかと。ごく一般的に言うと、先行するこういうB型慢性肝 炎がある場合は医薬品の副作用においても劇症肝炎と診断しませんので、こういうもの をこのように診断するようになると、劇症肝炎に限りませんが、頻度が増えるのではな いかと思うのです。そういうことを含めてやはりある程度統一した診断名、これは亡く なられていますし否定できないわけですから、救済すること自体は問題ないと思うので すけれども、どういう理由でこういう診断になったかということに関しては、やはり共 通した診断基準を用いた方が誤解が少ないのではないかと思ったものですから、このよ うな質問をさせていただきました。 ○岩田委員 伝えます。一応この方の病態がこうであった場合にはこういう診断にする という考え方です。ですから医薬品とか原因がいかんということは問うておりません。 ですから、ここに出てくるのはそういうことが加味されたものですので一例一例で少し 違ってくると思いますが、これが統計的にどう処理されているのか私はよく知らないの ですけれども、事務局の方はどうですか。 ○事務局 この診断名については専門の先生の方から御意見を伺った上でここに記載さ せていただいているものですけれども、今御指摘がございましたように劇症肝炎という 疾病名を付けるのに少し問題があるということでしたら、これはまた部会の方に持ち帰 って部会の専門の先生とも協議いたしまして、診断名の付け方等をまた討議していきた いと思います。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。なかなか難しい…。 ○松本委員 その辺検討していただければいいと思います。恐らくこれは推察すればB 型肝炎ウイルスの無症候性キャリアだったのではないかと思うのです。慢性肝炎という 診断名は恐らく報告が慢性肝炎で上がってきているので、そのままここに慢性肝炎の診 断名が出ていて、実際に評価した先生はその内容からいってB型肝炎ウイルスの無症候 性キャリアではないかという判断の下で劇症肝炎という診断をされたのではないかと。 ○岩田委員 先生の御指摘のとおりで、原疾患に書いてある病名というのは判定部会で 検討することは少ないのです。要するに申請者の方の病名をそのまま使うことがほとん どです。副作用名の方をどうするかということは部会でかなり討議しまして、そこのと ころなのでそういうそごが出てくるということはあり得るかもしれません。もしそれが 必要だということでしたら原疾患名のところも検討するということになるかと思います が。 ○松本委員 そうですね、やはりこれは共通の場に出ることがありますので、診断した 根拠というものに直していただいた方が誤解が少ないのではないかと思うのですが。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それではその点については継続して御検討 いただくということで、よろしくお願いいたします。 ○岩田委員 ただ少し手順を申し上げたいのは、審査の時間的な経過が一つ問題でござ いまして、もし原疾患名を変えるとなりますと、その診断書を書いてきた申請者の方と 連絡をとらなければいけないわけです。それがしばしば非常に遅れます。ですからその こと自体は構わないのですけれども、非常に遅れると。お返事が来ない限りは進まない ことがあり得るということを御了承いただきたい。 ○松本委員 この判定部会だけの問題であればいいのですが、こういうものは一般的に ひとり歩きしますので、全体的に共通した場でものが言えるようにしていただきたいと いうだけですので、先生の方の事情があればそれはそれでよろしいと思います。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。ほかに御意見、御質問ございますか。 どうぞ。 ○北澤委員 質問ではないのですけれども、今回の結果を見ましたら大衆薬でいわゆる 普通の風邪に対して風邪薬が使われていたケースで、中毒性表皮壊死症が3件、SJS が1件報告されていて、いずれも支給になっていました。風邪薬は本当に一般的にみん な使うものだと思うのですけれども、それでこういった重い副作用が起こることについ ては、今までも厚生労働省はいろいろな形で情報提供して注意喚起しておられるとは思 うのですが、これから秋から冬になって風邪のシーズンにもなるので、こういったこと があるということについてより一層情報提供していただきたいと思います。 ○井村分科会長 そういう御希望でございまして、やはり何らかの方法をとって今まで 以上にある程度啓発をするという努力をした方がいいかもしれません。ほかにございま せんでしょうか。よろしゅうございますか。それでは本件については御確認いただいた とさせていただきます。よろしくお願いします。  では続いて医薬品第一部会の関係の議題が2〜8までございます。資料3〜9でござ います。では御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは医薬品第一部会の関係の議題についてまとめて御報告申し上げま す。資料3からでございます。販売名がルボックス錠、デプロメール錠でございます。 成分がマレイン酸フルボキサミンでございまして、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、 いわゆるSSRIと呼ばれている抗うつ剤でございまして、既に売られているものです が、今般社会不安障害という効能・効果を追加するという内容でございます。7月29 日の医薬品第一部会で御審議いただきまして承認を可、再審査期間4年という御判断を 頂いております。  続きまして資料4でございます。販売名がイヌリード注、一般名がイヌリンでござい ます。本剤は糸球体ろ過量の測定による腎機能検査に用いられる薬剤でございます。7 月29日の第一部会で御審議いただきまして承認して差し支えない、再審査期間は6年と いう御判断を頂いております。  続きまして資料5でございます。販売名がグルトパ注、アクチバシン注でございます。 アルテプラーゼ(遺伝子組換え)という成分でございます。本剤は組織プラスミノーゲン 活性化因子、いわゆるt-PAと呼ばれている製剤でございまして、既に市販されている ものでございますが、今回虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善を効能・効果 として追加するというものでございます。資料5の1枚目の裏側でございますが、備考 欄にありますように本剤は治験において脳出血などの重篤な副作用が結構認められてい るということでございまして、承認条件といたしまして市販後一定期間は全症例を対象 とした使用成績調査を行うということを条件としております。こちらも7月29日の部会 で御審議いただきまして承認して差し支えない、再審査期間は4年という審議結果でご ざいました。  続きまして資料6でございます。販売名がブロプレス錠でございます。一般名がカン デサルタン シレキセチルでございまして、本剤はアンジオテンシンII受容体拮抗薬(A RB)でございまして、今まで高血圧症の効能で売られておりますが、今般慢性心不全の 関係の効能・効果を追加するという内容でございます。こちらは8月24日の医薬品第一 部会で御審議いただきまして承認を可、再審査期間は4年という審議結果を頂いており ます。  続きまして資料7でございます。販売名がパピロックミニ点眼液0.1%、成分がシク ロスポリンでございます。本剤は免疫抑制剤であるシクロスポリンを点眼液にした製剤 でございまして、抗アレルギー剤が効果不十分な場合の春季カタルに用いるものでござ いまして、オーファンドラッグに指定されております。1枚目の裏側を御覧いただきま すと備考欄のところですが、オーファンドラッグということもあるのですけれども、治 験の症例が極めて限られていたということ、それから本剤は小児に繰り返し使われる可 能性もございますので、市販後一定期間は全症例を対象とした使用成績調査を行うとい うことを条件としております。8月24日の医薬品第一部会で御審議いただきまして承認 を可、再審査期間はオーファンドラッグでございますので10年間という結果でございま す。  続きまして資料8でございますが、本日資料8-2という一枚紙を配付させていただい ております。本剤は古い販売名がグリセットでございましたが、医薬品第一部会での御 審議において類似名称の医薬品が幾つか存在するので販売名を再検討すべきという御指 摘を頂きまして、本日配付しました資料8-2のとおり新たにセイブル錠という販売名に 変更するということでございます。本剤の概要でございますが、α-グルコシダーゼ阻害 薬で、2型糖尿病の食後過血糖の改善を効能・効果とする薬剤でございます。8月24 日の医薬品第一部会で御審議いただきまして承認して差し支えない、再審査期間は6年 という結果でございます。  それから最後に資料9でございます。こちらは新薬の承認ではございませんで、再審 査期間の延長という報告でございます。1枚おめくりいただきますと「品目の概要」が 出てまいります。アマリール錠という薬でございまして、本剤は平成11年9月にインス リン非依存型糖尿病という効能・効果で承認されております。成人における用法・用量 が設定されているところでございます。今般小児の用法・用量の設定のために小児を対 象とした市販後の臨床試験、具体的には母集団薬物動態試験とその中で有効性、安全性 を評価する試験を行うという申出がございまして、そのために再審査期間を3年6か月 間延長して、その間に試験をやっていただくという内容でございます。本件については 8月24日の医薬品第一部会で御審議いただきまして延長を可という結果でございます。 以上でございます。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。部会長の永井先生、何か御追加の発 言はございますでしょうか。 ○永井委員 特にございません。 ○井村分科会長 それでは委員の方々からただいまの説明に関しまして御質問あるいは 御意見をお願いいたします。 ○井部委員 イヌリンについてですけれども、これはクリアランスのときに検査で使う と思うのです。一般に病棟でナースが準備をして点滴静注をするのではないかと思うの ですけれども、そうでしょうか。 ○井村分科会長 そうだと思いますが。 ○井部委員 そういたしますと、この用法・用量の書き方なのですけれども、この資料 の2ページを見ますと「本剤1バイアルを加熱溶解し、添付の日局生理食塩液360mLに 希釈する。初回量として、150mLを1時間に300mLの速度で30分間、次いで維持量とし て150mLを1時間に100mLの速度で90分間点滴静注する」というとても分かりにくい表 現でありまして、なぜ「150mLを1時間に300mLの速度で」と書かなければいけないの か、よく分からないのですけれども、このように書いておくと間違いが起こりやすいの で、ナースにとって分かりやすい表現にしていただくと大変助かるのですが。 ○井村分科会長 ちょっと分かりにくいかもしれませんね。何か工夫はありますでしょ うか。 ○審査管理課長 現場でそういう間違いが起こりませんように、この用法についてもう 少し分かりやすい表現にできないか、それからいわゆる付随的なパンフレット等でより 分かりやすいものを配布できないかとか、そういった観点で少し検討させていただきた いと思います。 ○井村分科会長 よろしくお願いいたします。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 今のところなのですけれども、360mLに希釈して使うのが300mLであとの 60mLは捨ててしまうということなのでしょうか。 ○井村分科会長 150mLと150mL…、過剰になりますね。いかがでございますか。トータ ルで使う量が300mLだからということですよね。 ○井部委員 これは1バイアル40なので希釈するとトータルで400mLになって、そのう ち使うのが300mLなのですね。よほど慎重に考えないと、何かクイズ問題のようだなと 思ったのですが。 ○機構 作るのは400mLですが実際に使うのは300mLでございます。 ○井村分科会長 計算上はそういうことになりますから、差し当たってこの記載が分か りやすくなれば差し障りはないと思うのですが。永井委員、どうぞ。 ○永井委員 先ほどの速度の設定なのですが、すべての輸液ポンプが時間当たりになっ ているのです。ですから150mLを30分で入れなさいでいいのですが、設定のときは300mL を1時間のスピードですという、そちらの方が分かりやすいかもしれません。現場でど う感じるかにもよるのですが。 ○井村分科会長 そのものを括弧でくくるようなことを考えてもいいのかもしれません ね。ではその辺は御検討いただくと。 ○審査管理課長 どうもありがとうございます。 ○岩田委員 こちらの近傍でいろいろありますので説明しますと、私が説明する必要は ないのですけれども、400mL作って300mLというのは不合理なように見えますが、実際 はそうしないと300mL作ったのでは300mL入りません。つまり点滴のボトルから腕まで の間に残りますので、300mL作ったのでは絶対に300mLは入らないわけで、余分に作ら なければいけないということです。クリアにされていなかったものですから、ちょっと 余計なことを…。 ○井村分科会長 ありがとうございました。 ○井部委員 そうしますとこれは輸液ポンプで入れるものなのでしょうか。輸液ポンプ を使うほどの精密な量のものでもないように思うのです。30分で150mLというのは輸液 ポンプで調製するほどのものではないのではないかと思うのですが。 ○審査管理課長 それでは審査を担当しました機構の方から補足させていただきます。 ○新薬審査第二部長 実際このものは専門の先生が使う検査薬と認識されております。 添付文書を見ていただくとお分かりいただけますが、患者さんに相当の水を飲んでいた だいたりいろいろ負荷をかける検査で、かなり専門の先生が精密な検査値を必要とする ときに使うものでございまして、それほど一般に広く使われるものではないということ は専門家の議論においても出ておりました。用法・用量につきましては先ほど部会長も 言われましたけれども、いろいろ議論をしていまして、専門の先生方にはこういう表現 の方が分かりやすいのではないかということになった経緯がございます。御指摘いただ いてもう一度検討してみますが、専門家の議論も踏まえてこのようになっているという ことがございます。 ○機構 総合機構の方から少し補足させていただきます。これは短時間法でクレアチニ ンクリアランスを測定する診断薬でございまして、投与時間は厳密にする必要がありま す。そのため、輸液ポンプを使うことが大前提です。 ○井村分科会長 ほかにございますか。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 資料3のマレイン酸フルボキサミンなのですが、社会不安障害に適応を広 げるということで、社会不安障害というのがよく分からないのですけれども、中を見て いると発症機序もよく分かっていない、ですから何で効くかもよく分かっていないとい う感じを受けて、社会不安障害を診断するのもよく分かっていないので、研究会を設け てパンフレットを作って診断の方法もお医者さんにきちんと覚えてもらってと、そうい うことまでして適応を広げる薬があるのかなと。何か無理矢理病気を作って薬の適応を 広げているような印象を受けたものですから、社会不安障害というのは本当に世の中に 病名としてきちんと知られているのかということと、オランダなどの例ではもう少し違 う名前のもの、強迫性障害に対して承認されていると書いてあって、そういう強迫性障 害と社会不安障害はどういう違いがあるのか、ちょっと説明していただきたいと思いま す。 ○井村分科会長 その点については審査の段階でもいろいろとよくお考えになったよう でございますので、御説明をお願いします。 ○審査管理課長 機構の方から後で補足していただきますけれども、部会の審議等でも この疾患概念等についての議論はございました。精神科領域ではこういう社会不安障害 や、テレビ等でも出てまいりますけれどもPTSDのようなものですとか、かなりいろ いろな疾患概念の話がございまして、そういうものに対する様々な薬剤の効果について の検討が行われるわけでございますが、その際の診断基準、疾患概念と薬剤との関係と いったところでいろいろな検討が行われているということでございます。このものの社 会不安障害をやりましたときの審査の関係については審査報告書に書いてございます が、機構の方から少し補足をお願いしたいと思います。 ○井村分科会長 お願いいたします。 ○機構 それでは審査を担当いたしました機構の方から御説明いたします。まず社会不 安障害の発症機序は御指摘のとおりまだはっきり分かっておりませんが、それは正に脳 機能の複雑な回路をどうやって科学的に証明するかというサイエンスの話題としてもま だ十分解明されていないところから来ているわけです。しかしながら、今回の社会不安 障害については一応セロトニン系神経の亢進といったものが関与しているであろうとい うことで、今回このSSRI、セロトニン取り込み阻害をして、最終的にはセロトニン の受容体の脱感作を起こすというのが一つの機序としては考えられると。そういうこと でセロトニン系神経を抑制することによって社会不安障害の症状を改善できるのではな いかという発想から来て、実際には臨床試験でスコア評価が行われてプラセボに対する 有効性は示されているという結果になっております。  では社会不安障害とは何かというと、日本では従来から対人恐怖症という言葉は皆さ ん御存じかと思いますけれども、社会不安障害というのは正にDSM-IVというアメリカ の精神医学会で認められている診断基準に従っております。患者本人もなかなか病院に 来られないという状況もあって、それをきちんと治療していかないとやはり社会の損失 になるという考えに基づいて、そういう社会不安障害を現場によりきちんと認識してい ただいて、適切な治療をやっていきましょうという発想の下にできている疾患でござい ます。  日本で言われている対人恐怖症と社会不安障害の違いでございますけれども、大まか に言いますと対人恐怖症の方がむしろもう少し広い概念ととらえていただければいいか と思います。対人恐怖症の中にも確信型対人恐怖症、いわゆる人前に出て緊張してしま って何も話せなくなる、それぐらいはだれでもあるのかもしれませんけれども、それを 恐怖と感じて社会生活に障害を及ぼすというものが社会不安障害と考えられています。 それが確信型の対人恐怖症です。それからもう一つは妄想性のものが入ってくるような ものもありまして、それは今回の社会不安障害の定義からは外れております。強迫性障 害との違いについては、強迫性障害はもう少し先のこと、強迫観念にとらわれるという ことで、将来どうなるか分からないという不安に駆られてお祈りをする、そういう精神 儀式を行うというのが強迫性障害でございまして、強迫性障害と社会不安障害というの もはっきりと明確に区別されている疾患ととらえられております。  今回のことでございますけれども、社会不安障害はもちろん専門家の中ではきちんと した認識をされているのですが、この薬を実際に社会不安障害ということで適応を承認 しますと、様々な場面で使われることがあると。そういうときに社会不安障害をきちん と認識していないお医者さんにあいまいな診断の下でこういう薬を使われるのは適切で はないと。それから社会不安障害の患者であるにもかかわらず、適切な診断名がなされ ないまま何らかの治療が行われているといったことを防ぐために、この薬の承認を契機 に社会不安障害というきちんとした概念を日本の社会に定着させていって、十分な治療 を行っていき社会復帰を目指していただくということを想定しているわけでございま す。そういったことから今回の社会不安障害の承認に基づきまして、社会不安障害とい うのはこういう疾患です、こういう治療をします、そのときに改善するとこのように現 れますと、そういうものも一緒に御呈示して広く認識していただくということにしては どうかと考えて、先生御指摘の研究会や患者のスコアシートなどを準備させていただい ているという背景がございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。どうぞ、岩田委 員。 ○岩田委員 私は精神科ではないので専門ではないのですけれども、精神科の問題は今 神山委員の方から出てくるような質問が当然だと思うのですが、これは診断に対する考 え方が全然変わったのです。ここ10年でそれまでの直感的な診断法から今DSMという 言葉が出ましたけれども、アメリカの方でやっている操作型の診断基準に変わりました。 ですから内容的に知らないものは新しい病気が出てきたということではなくて、病気の 診断の仕方が変わってきたと。ですから昔自分がこう言っていた病気が今はこういう名 前になっているのかとか、昔はこういう診断をしていたのだけれども、今のだとここに は入らないのかということをもう一度やっていただくことになるという意味だと思いま す。それがいいことかどうかは分からないのですけれども、現在の特に薬物を扱う精神 科の先生方のほとんどがDSMの基準によって診断をしていらっしゃいますので、そこ のところに合わせておかないとお薬の適応範囲は決められないという事情があるのだろ うと思います。ですからこういうことは多分今後ほかのお薬にも出てくる可能性が非常 に高いのではないかと思っております。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。ほかに御意見ございますか。北澤委 員、どうぞ。 ○北澤委員 やはり資料3の続きなのですけれども、幾つか分からない点がありました ので質問したいと思います。先ほど社会不安障害の定義や診断あるいはその専門性につ いての議論がありましたけれども、私も同じところでやはり疑問に思いました。ここの 審査報告を読むとこれは「精神科専門医においてのみ使用すべき薬剤であると考える」 という記載があり、またメーカーからの対応についてもそういった精神神経学会におい てセミナーを開催したり、研究会で学習する機会を与えるということが出ていたのです が、そもそもSSRIという薬効の薬は精神科の方のみならず、むしろ内科を含めてよ り幅広いお医者さんが使う薬だと思うのです。しかし、今回適応拡大になった社会不安 障害については精神科の医師が主に使うものだということは添付文書の中には明示的に は示されていなくて、こういう診断基準をきちんと守れる人のみ使ってくださいと書か れているだけで、そういったことでは言ってみればいい加減な診断で社会不安障害のよ うに思われる患者に結果的にSSRIが使われるようなことにならないのかと疑問に思 いました。それがまず一点です。  それから次はちょっと教えてほしいのですけれども、審査報告書の6〜7ページに書 かれている第III相の試験でスコアの差がグラフで出ているのですが、この差が臨床的に 見てどれほどの違いがあるのかと。有意差があると出ているのですけれども、それがも う少しイメージできるように教えていただければと思いました。  それからもう一つ分からなかったのは、150mgと300mgとプラセボを比べているので すけれども、この結果では300mgとプラセボとは差がなくて150mgの方がむしろ差があ るようになっているのですが、私は素人なので一般的になぜ用量が多い方がプラセボと 差がないのかというのが理解できませんでした。  それから最後の質問なのですけれども、審査報告書の13ページの消化管出血のリスク についての記載ですが、このリスクについてはあるという報告もないという報告もあっ て評価が分かれていると。しかしながら否定できないので、添付文書の併用注意のとこ ろでいろいろな薬剤が並んでいる後ろの方にNSAIDsのことが出ているので、きちんと読 まれる方はSSRIとNSAIDsの併用により出血傾向が高まることが認識できるかと思 うのですが、ぱっと見ただけでは読み飛ばしてしまう人もいるのではないかと思います。 SSRIもNSAIDsも日常臨床では非常によく使われる薬だけに、もう少し注意喚起して もいいのではないかと感じました。と申しますのも私はたまたま見たのですけれども、 9月10日号のBMJでこのSSRIの出血傾向についてのレビューが出ているのです が、それによりますとリスク比において高くなっており、この方によるとやはり注意喚 起が必要であると文献的にも示されているものがあるので、この添付文書の記載をもう 少し注意を活発にした方がいいのではないかと感じましたので、その点について伺いた いと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。最後はもう少し注意喚起できるような表現 にしたらどうかという御提案でございますか。三点ございましたけれども、いかがでご ざいましょうか。 ○審査管理課長 最後の使用上の注意の消化管出血の注意喚起については、より注意喚 起できる形がいいのではないかという御指摘ですので検討させていただきます。それか ら一番目の効能・効果に関連するところで、専門医だけ使える形に必ずしもなっていな いのではないかということでございますけれども、一応この添付文書の案にございます ようにこういう診断基準を満たす場合にのみ投与するということで、企業側から医療関 係者の方に情報提供する形の添付文書ではこういう形の情報が伝達されることになって おります。この部会でも何回かお話がございますけれども、薬事法上の規制ということ になりますと、実際には企業側から医療機関の方に適切な使用を心掛けていただくため の情報を伝達するということでございます。また私も精神科の実態は必ずしも詳しくは ございませんけれども、例えば地域のかかりつけのドクターと病院の専門医が病診連携 して対応しているケースのときに、実際にそういう専門医だけに限定するということが かえって阻害するようなこともあるかもしれませんし、ここではこういう診断の話でご ざいますとか、そういったものについての適切な情報を医療関係者の方に提供している という形になっているものと理解しております。それから二番目の方はプラセボとの関 係でございますので、機構の方から追加のコメントができましたらお願いします。 ○機構 それでは機構の方から補足させていただきます。まず一点目ですが、多分社会 不安障害の患者さんがいきなり精神科の扉をたたくというのもなかなか難しいというこ とになると、おっしゃるように例えば内科や神経内科辺りで診断されることになると思 いますけれども、そういったときに我々として考えたことは、やはりまずDSMという 概念をきちんと把握しているお医者さんの下でこの薬を使っていただきたいということ です。今専門医制度ということも考えてはいるのですけれども、精神科の中では専門医 制度がまだ今のところ明確になっていないということもございまして、今の状況ではま ずこのDSMという概念をきちんと知っている先生方の下で処方される限りにおいて適 切な診断がなされていくだろうと。それから最初の質問にもありましたけれども、それ とあわせてこの社会不安障害についての普及啓発活動を行うことでより多くの先生方に 適切な診断、あるいは治療という認識を持っていただければいいのではないかというこ とです。  それから二番目の用量相関性の話でございますけれども、まず一つ目はこれはLSA Sという海外で開発されたスコアでございますが、これが何点以上であれば臨床の意味 があるかというところはなかなか難しいことでございます。例えばこの試験で同時に測 っているClinical Global Impression、これは医師が基本的に改善をどう考えたかとい うところでございますと、このフルボキサミン群で45%以上の人がよくなった以上と判 断されており、プラセボ群では30.3%、これはこれまで使われてきた最終全般改善度に 近い評価というところではそういった点数が出ていると。このLSASについて何点以 上で差があるかということについてはいろいろレビューが出ております。例えば有名な コクランレビューでは大体このLSASのプラセボと薬剤群との差については5〜30 点ぐらいがございます。それは何によるかというと例えばプラセボの反応者をどのくら い臨床試験に組み入れているかによって群間差がかなり広がっていると。プラセボの反 応者を十分除いた条件でやりますと恐らく20点、あるいは30点という差が出てきます けれども、今回この日本でやっている試験についてはそういった除外をせずに一律組み 入れてランダマイズをしてやっているということで、今回得られているのは7点程度と いうことでございます。この程度が今まで得られているエビデンスからして極端に低い とは判断しておりませんで、十分臨床的意義のある差が検出できているだろうというこ とでございます。ただ単に統計的な有意差で判断しているわけではないということでご ざいます。  それから三点目の消化管出血でございますが、これも審査をしているときにかなりい ろいろな情報を踏まえて考えていたのですけれども、現時点でどこまでの注意喚起レベ ルを行うのが適切かというのは確かに御指摘のとおりかと思います。実際に重要な基本 的注意に書くということも一時考えたのですが、今の状況ではそこまでのことは必要な いだろうと。むしろNSAIDなどを使っている患者さんでこのSSRIを更に併用して使 うときに、そういうリスクがあるということをきちんと認識していただくことが必要だ ということで、併用注意の項に書かせていただいていると。市販後の状況などを見て考 えていく必要があれば、もう少し注意喚起レベルを上げるといった対応も必要かもしれ ませんが、この薬は社会不安障害だけではなくて既にうつ病あるいは強迫性障害に承認 されて、その市販後の状況を見ている限りでは今の注意喚起レベルでいいのではないか と判断したということでございます。 ── 安全対策課長、血液対策課長退室 ── ○井村分科会長 ありがとうございました。北澤委員、よろしゅうございますか。ほか に御意見ございますか。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 議題6の点眼液について伺いたいのですけれども、私は眼科が専門ではあ りませんのでよく分からないのですが、効能・効果が春季カタルとなっていますので、 恐らくアトピー性皮膚炎や喘息の患者さんに見られる春季カタルも対象もなるかと思い ます。そうしますと、市販されたときは点眼薬もステロイドや抗生物質などいろいろな ものが併用される可能性もありますし、内服薬もいろいろ併用される可能性があるかと 思います。ここの承認条件として、治験症例が極めて限られていることから、市販後全 症例を対象に使用成績調査を行って、本剤の安全性、有効性に関するデータを早期に収 集すると書かれています。この使用成績調査というのは治験のときと同じように単剤で やられるのでしょうか。それともそういう併用のあったものも集めるのかどうか、ちょ っと伺いたいのですが。 ○井村分科会長 いかがでございましょうか。 ○事務局 この市販後の調査ですけれども、使用実態の下で集めますので特に制限など を設けずに臨床実態の下で安全性情報を集めるということでございます。 ○井村分科会長 それでよろしゅうございますか。最初の方の御質問はそれでよろしい のですか。 ○溝口委員 そうすると本来の成績ではなくなるかもしれないと思って少し懸念があっ たので伺いました。ただ薬の性質から恐らく非常に有効なものなので、いろいろな患者 さんにいろいろな条件で使えるようになれば臨床医としては有り難いと思っておりま す。 ○井村分科会長 ありがとうございました。望月委員、どうぞ。 ○望月委員 資料9になりますけれども、小児の母集団パラメーターの解析と有効性、 安全性に関する評価を行うために、再審査期間を3年6か月延長するというものです。 以前にフルボキサミンのやはり小児の適応拡大で再審査期間を延長するというときに御 質問させていただいたのですが、システム的なことなのですけれども、一応以前の効能 ・効果、用法・用量では今年の9月21日が再審査期間の終了の予定だったということで すから、今月中には再審査が終了してその報告が公表されるという形になっていると思 うのです。小児の適応を追加するといいますか、母集団パラメーター解析等をするとい うことで3年半延長になるというときに、従前の再審査の結果はいつの時点で発表され ると理解をしていいのか、3年半更に延びてしまうのかというところがいつも疑問なの ですが。 ○審査管理課長 そこについては固まりとして切れるわけでございますので、実際には 連続するような形にはなりますけれども、今まで再審査がかかっていた部分については まとまり次第再審査の申請をしていただいて…。 ○安全使用推進室長 安全対策課で担当ではないのですけれども、お答えさせていただ きます。この再審査の期間が延長になるということは当然再審査の申請の期日が延長さ れるということですので、最終的な再審査の申請とその結果の公表というのは3年半後 になります。ただ、再審査期間中には医薬品の安全性定期報告が当初6か月ごと、それ から承認から2年以降は1年ごとに報告されることになっておりますので、その間再審 査期間中に集められた安全性情報については定期的に報告されたもので、その時点時点 で評価されることになっております。 ○井村分科会長 望月委員、どうぞ。 ○望月委員 分かりました。安全性の部分は私も既に副作用の中とか、いろいろなとこ ろに反映されているというのは承知しているのですけれども、有効性も含めた形での評 価結果というのは当然再審査期間が終わる段階でいったん出ていいのではないかと思っ たのです。特にフルボキサミンのときにも申し上げましたけれども、次の段階の小児の 用量設定うんぬんの試験をやっていくということがあるわけですから、その前の再審査 が終了している段階での結果で大人のデータはいったん明らかにするべきではないかと 考えております。 ○審査管理課長 分かりました。そこの部分については少し検討させていただきます。 ○井村分科会長 そうしていただきましょう。ありがとうございました。大分この部分 について時間を掛けて議論していただきましたので、そろそろ次の議題の方に進ませて いただきたいのでございますが、それでは議題2〜8に関しては御確認いただいたとい うことでよろしゅうございますか。ではそうさせていただきます。ありがとうございま した。  次は医薬品第二部会の関係の議題9〜16でございます。資料10〜17でございます。 御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは医薬品第二部会の関係の議題について御報告申し上げます。まず資 料10、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン「タケダ」でございまして、名前のとおり 麻しんと風しんの2種混合ワクチンでございます。こちらについては7月27日の医薬品 第二部会で御審議いただきまして承認して差し支えないと。再審査期間は6年という結 果でございます。  続きまして資料11、オーグメンチンES小児用ドライシロップでございます。こちら はクラブラン酸カリウムとアモキシシリンの配合剤でございます。効能・効果が中耳炎 ということで申請がまいったものでございます。こちらは7月27日、8月25日の2回 医薬品第二部会で御審議を継続していただいて、最終的には承認して差し支えないと。 再審査期間は6年という御結論を頂いております。  続きまして資料12、アベロックス錠(塩酸モキシフロキサシン)でございます。本剤は ニューキノロン系の経口抗菌薬で、肺炎等を効能・効果とするものでございます。8月 25日の医薬品第二部会で御審議いただきまして承認を可、再審査期間は6年という結果 でございます。  続きまして資料13からでございますが、本日席上配付資料といたしましてカラー横の 「抗がん剤併用療法の適応拡大の進捗状況」という一枚紙をお配りしております。資料 13〜17まではこちらの関係の品目ですので、少し背景等を御説明申し上げます。この適 応拡大のスキームということでございますけれども、国際的に評価が確立していると考 えられ、また、医療現場で既に使われている抗がん剤の併用療法が、我が国の薬事法の 承認の範囲内に入っていない、いわゆる「適応外」という取扱いになりますと、医療現 場で保険の関係などいろいろお困りになっているとの御指摘がありまして、適応外の部 分の効能・効果の追加を促進するということで、抗がん剤併用療法検討会を昨年1月に 設置いたしまして、検討をお願いしてきたということでございます。検討会では国内外 の文献等を収集・評価していただいて、資料の右側の水色の四角の中の品目でございま すが、エビデンスありと判断されたものの一部については、既に昨年12月と今年3月の 本薬事分科会に御報告をさせていただいて承認をしているというものでございます。今 回御報告申し上げますのが真ん中のピンク色の四角の中に記載した品目群でございまし て、去る8月25日の医薬品第二部会で御審議いただき、承認して差し支えないとの御判 断を頂いたという流れでございます。今回のピンク色の四角の中の薬剤をもって、抗が ん剤併用療法検討会で御検討いただいた品目の効能追加の作業が一応すべて終了すると いう形になります。併用療法で幾つかの医薬品が入っていることがございまして、資料 は医薬品ごとではなく併用療法ごとに作成していますので、資料の順に簡単に御説明申 し上げたいと思います。  まず資料13でございます。こちらは医薬品が注射用エンドキサン、一般名がシクロホ スファミドでございまして、乳癌におけるAC療法、Aが塩酸ドキソルビシンでそれと 本剤シクロホスファミドを併用して使う療法を今般追加するという内容でございます。  それから資料14でございます。ファルモルビシン注ほか幾つか後発品を含めてござい ます。1枚おめくりいただきますと、注射用エンドキサン(シクロホスファミド)という 薬が出てきます。こちらは両方とも乳癌におけるEC療法、CEF療法、これは塩酸エ ピルビシンとシクロホスファミド、それにフルオロウラシルを加えるという療法でござ いますが、そういう併用療法について今般追加するという内容でございます。  続きまして資料15でございます。薬がランダ注、ブリプラチン注ほか、成分がシスプ ラチンでございます。それから3枚おめくりいただきますとソル・メドロール(コハク酸 メチルプレドニゾロン)が出てまいりますけれども、これらはいずれも再発又は難治性の 悪性リンパ腫の効能・効果を今般追加するという内容でございます。  続きまして資料16でございます。こちらもランダ注を始めシスプラチンの製剤と、2 枚おめくりいただきますと3枚目の裏側になりますが、パラプラチン注射液、これはカ ルボプラチンの製剤でございます。それからもう1枚おめくりいただきますとコスメゲ ン、一般名がアクチノマイシンDでございますが、この三つの薬について小児悪性固形 腫瘍の効能・効果を追加するという内容でございます。  それから最後に資料17でございます。デカドロン錠(デキサメタゾン)の製剤、ステロ イドでございます。それから3枚おめくりいただきまして、デキサメサゾン錠(デキサメ タゾン)、また3枚後ろにデカドロン注射液、注射剤の方のデキサメタゾンでございます。 これは抗がん剤そのものではございませんけれども、抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心・嘔 吐等の消化器症状に用いるということで、今般使い方を追加するというものでございま す。医薬品第二部会の関係は以上でございます。 ○井村分科会長 ありがとうございました。池田委員、部会長として何かございますか。 ○池田委員 今説明していただいたとおりですけれども、乾燥弱毒生ワクチンは混合ワ クチンで、ほかの製品と比べて抗体陽性率など全く違いはなく、むしろ少しいいくらい だということ。それから副反応の増加もない、あるいは2回接種した場合のアナフィラ キシー等の副反応の増加などの可能性についてもいろいろ議論したのですが、それも心 配ないということでこれは承認していいだろうということでございます。  次のオーグメンチンES小児用ドライシロップですけれども、既存製剤にオーグメン チン小児用顆粒というものがございまして、このESの方はクラブラン酸1に対してア モキシシリン14、既存製剤の方は1:2の製剤で混合比が少し違うということです。効 能・効果について適応菌種などを慎重に議論して、中耳炎で効果があるということで認 めていいだろうということになりました。なお、適正使用の観点から小児に使うという ことで、医療機関への供給方法、これは実はボトル渡しになっているのですけれども、 それについて医療機関が適正に患者さんに渡せるような工夫をしてほしいと。それから 先ほど言いました既存製品のオーグメンチン小児用顆粒との取り違えの防止等の対策を どうしたらいいかを、実は2回にわたって部会で議論をして検討した結果、認めてよろ しいということになりました。  それから次のアベロックス錠は経口のニューキノロンでございますけれども、呼吸器 感染に有効であるキノロンということで、市中肺炎と特にペニシリン耐性の肺炎球菌等 に効果があるということでいいだろうと。しかし、皮膚科領域の感染症に対して安易に 使用されないような使用上の注意の記載を整備する方がいいだろうと。また注意すべき 副作用としてQT延長、あるいはアナフィラキシー発現の状況などが少し危惧されると いう点についてはいろいろ議論をしましたけれども、特に問題なく承認していいだろう ということになりました。  それ以降の議題の抗がん剤併用療法に関する品目でございますけれども、今説明がご ざいましたように1月の医薬品第二部会で事前評価を実施しております。その後該当企 業からの申請を受けて8月25日の医薬品第二部会でまた審議をしたものでございます けれども、これらのものはすべて現在臨床の現場で全く問題なく使われているし、むし ろこれがないと日常臨床で困るという評価がありましたので、これについてもすべて承 認して差し支えないということで第二部会では承認となりましたので、御報告させてい ただきたいと思います。以上です。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。それではただいまの説明に対して御 意見又は御質問がありましたらどうぞ。望月委員、どうぞ。 ○望月委員 今池田先生の方から資料11のオーグメンチンESの品物の供給の仕方が ボトルで供給うんぬんというお話がありましたが、それで先生方も随分御議論されたと いうことだったのですけれども、中の審査報告書を見てもかなり議論があったようなの です。先生への御質問ではないのですけれども、最終的にどういう形で供給されるよう になって、実際に病院から調剤されて患者さんに渡ったときにどういう形で使っていた だくようになったのか、ちょっとよく読み取れなかったのですが。 ○池田委員 おっしゃるとおり、このボトル渡しという格好で実際に会社の方は申請を してきたわけですけれども、余り日本ではボトル渡しという形ではないので、やはり患 者さんに必要量をきちんと処方して渡すということで議論をしました。最終的には事務 局の方から説明していただきますけれども、会社の方と十分話し合って大体こういう方 向でやろうというふうに決まったと思いますが、ちょっと説明していただけますでしょ うか。 ○事務局 事務局の方から補足いたしますが、今池田先生にお答えいただきましたよう に、体重によって用量が異なってくるものですから、きちんと体重によって処方量を決 めていただいて、薬局の方でそれを量ってお渡しいただくということで企業の方も了解 しましたので、そのような形で販売されることになります。 ○望月委員 ちょっと私も安定性のところのデータがうまく読めていないのですけれど も、たしかドライシロップですから吸湿性はほかのものと同じような状態だろうと思う のです。そこを非常に気にしてボトルにするということを企業の方で言っていたような 気がするのですが、今回分包して調剤をしてその状態で特に乾燥剤などを入れる必要も なく、それで供給しても安定と思ってよろしいのでしょうか。 ○審査管理課長 溶解の調製も入りますので少し…。 ○新薬審査第一部長 総合機構の方から補足させていただきますが、吸湿性というより はクラブラン酸が湿気によって極めて早く分解するという性質がございます。この製剤 はクラブラン酸の含有量を大幅に下げてありますので、少しでも分解すると意味がなく なってしまうということがございまして、見た目では粉のままなのですが、湿気がある とあっという間に分解するということがあって、溶かした状態であれば冷蔵保存すると 10日間安定というデータに基づきまして、現在保証できるのは溶解をして液の状態でシ ロップの瓶に入れて患者さんに必要な量だけ小分けをしてお渡しすると。そして目盛り どおりに量って飲んでいただくというやり方をとるしかないということで、最終的には そういう形にしたのです。ただ、現場サイドとしては分包品のようなもっと手軽な形態 も是非欲しいという御要望がございますので、引き続き安定性を改良した製剤、あるい は包装形態で工夫した製剤といったものについて検討を続けてくれということで、企業 には申し入れております。 ○望月委員 是非そうしていただきたいです。どうしてもアメリカは散剤というものが ない国ですから、常に溶かした形で出すということになっているのですけれども、ちょ っと日本の実情とそぐわないですし、調剤の手間が入るとリスクにつながる可能性もあ りますので、是非それで強く要望していただきたいと思います。 ○井村分科会長 非常に重要な点をありがとうございました。ほかにいかがでございま しょうか。よろしゅうございますか。それではただいまの件は御確認いただいたという ことで、次は議題17〜19でございますが、これは医療機器・体外診断薬部会と医療材料 部会関係の議題でございます。ではまず御説明をお願いいたします。資料18〜20です。 ○事務局 それでは議題17〜19について事務局の医療機器審査管理室の方から御説明 させていただきます。資料18〜20ということで、まず医療機器の認証基準案について、 今回認証基準が二つできておりますのでその御報告をさせていただきます。資料18-1、 18-2があるかと思いますが、A4横の資料18-2の「医療機器の認証基準に関する基本 的考え方について」を1枚めくっていただいたところで、認証基準についての位置付け、 また次の議題で御報告させていただきます承認基準との違いについて、簡単に御説明さ せていただければと思います。  今年の4月から改正薬事法で医療機器の規制体系がかなり変わったわけでございます が、現在どういう形で規制をしているかと申しますと、一番左に「国際分類」というと ころがございまして、これはGHTFに基づくルールでクラスI〜IVまで医療機器をリ スクに応じて分類させていただいております。今回認証基準が適用されるグループに関 してはクラスIIのところに当たりまして、「不具合が生じた場合でも、人体へのリスク が比較的低いと考えられるもの」、余り侵襲性がないものでございますが、これらにつ いて改正後一番右側の部分で「管理医療機器」と薬事法上位置付けまして、登録機関に よる認証という制度を新たに設けさせていただいたところでございます。この登録機関 と申しますのは認証基準に基づいて認証審査をする独立した第三者認証機関で、この仕 組みは今年4月から新たに始まっている施行の中の部分でございます。その他クラスIII、 IVはもっとリスクが高いものでございますが、それについては従前どおり製造販売に係 る大臣の承認が必要という形になっております。  資料18-1の方にお戻りいただきまして、今回認証基準として二つ、一つ目が酸素濃縮 装置基準でございます。こちらのお示ししている資料はそのまま告示の形で公示される ことになります。酸素濃縮装置基準については日本工業規格が既に定められておりまし て、このT7209の規格に適合するものと。また、使用目的、効能又は効果は「周囲の空 気から窒素又は酸素を分離することにより、周囲空気より酸素分圧の高い空気を作り出 し、患者に供給するもの」という形で定義させていただいております。  1枚めくっていただきまして二つ目の認証基準でございますが、MR装置用高周波コ イルに係る基準でございます。既にMR装置自体に全体のパッケージとしての認証基準 はございますが、このMR装置用高周波コイルの部分だけに関しても改正前の薬事法か ら基準が定められていたところでございます。今回日本工業規格のZ4951にMR装置の 規格がございまして、その中のコイルの部分だけを適合条件として基準を定めておりま す。併せて使用目的、効能又は効果に関して「患者に関する磁気共鳴信号をコンピュー タ処理し、再構成画像を診療のために提供するMR装置に接続して高周波の送受信又は 受信を行う高周波コイルである」と定義しております。以上が認証基準の二つでござい ます。  続きまして資料19-1でございますけれども、先ほどリスクが少し高いので大臣が承認 する品目もあると申し上げましたが、こちらはその承認品目に係る承認基準の方でござ います。今回一つ承認基準の案ができておりまして、X線CT組合せ型ポジトロンCT 装置の承認基準でございます。承認基準に関しては告示ではなく局長の通知で示される 形になっておりまして、これも通知の案文をそのまま抜き出したものでございます。承 認審査に関する基準といたしまして記の1.制定の内容として、X線CT組合せ型ポジト ロンCT装置に関する平成17年2月16日付けの医療機器の製造販売承認申請における 承認基準として、別添1に示す装置を定めるものということで、2ページの「別添1」 自身が基準になっております。この基準に関しては医療機器の基本要件の適合性チェッ クリストというものが別添として付くわけでございますが、そちらの方は少し内容が細 かいので報告では省略させていただいております。承認基準の方の説明は以上でござい ます。  引き続き資料20でございます。オーファンの医療機器についての御報告でございま す。1ページめくっていただけますでしょうか。今回オーファン指定の申請が上がって きておりましたものは、血球細胞除去用浄化器(吸着型血液浄化器)でございまして、予 定されるオーファンの効能が難治性網膜ぶどう膜炎を有するベーチェット病患者の眼発 作抑制ということでございます。オーファンの指定については要件が三つございまして、 薬事法第77条の2に基づいて我が国における対象患者数が5万人未満であること。二つ 目は医療上特にその必要性が高いこと、簡単に言いますと代替する治療法がないですと か、既存の治療法と比較して著しく有効性、安全性が高いようなものが指定の条件とな ってまいります。また、三つ目は開発の可能性が高いということで、実際に開発された ときにこれがオーファンの対象疾患に使われると。この三つの条件を同時に満たすもの がオーファンの指定の要件となってございます。  その観点から簡単に御説明いたしますと、今回対象疾患はベーチェット病ということ で特定疾患に指定されておりまして、その助成金の受給登録者数などすべて完全に把握 されております。平成15年度のベーチェット病自身の患者さんの人数は16,632人であ りまして、このうち特に既存療法、コルヒチンやステロイドなど各種免疫抑制剤の投与 による療法をもっても、難治性網膜ぶどう膜炎を有する患者さんが838〜943人いらっし ゃるということで、かなり患者さんの数としては少ないということでございます。また、 効能・効果の効き方でございますが、血液を通して顆粒球を除去するカラムでございま して、潰瘍性大腸炎の治療機器としては既に承認されておりまして、安全性は確認され ております。また、いろいろな研究等から難治性網膜ぶどう膜炎を有するベーチェット 病患者さんに対して効果があるのではないかというところがございますので、オーファ ン指定をさせていただいて開発をより迅速に進め、その申請の後有効性、安全性に係る ところをきちんと審査してまいるという形で進めさせていただければということでござ います。長くなりましたけれども、以上でございます。 ── 説明中、新薬審査第一部長退席、血液対策課長入室 ── ○井村分科会長 どうもありがとうございました。部会長の土屋委員の方から何か追加 の御発言はございますか。 ○土屋委員 医療機器の場合には様々なタイプのものが出ておりまして、先ほど来あり ましたようにリスクの比較的低いものは第三者認証機関、そのためにはいわゆる認証基 準の作成が急がれておりまして、昨年来から活発に行われているところでございます。 それからリスクの高いものについては大臣承認で、これも承認基準を作るということで 公開してなるべくよい医療機器がすばやく海外、国内からもできてくるという体制に着 々と進みつつあります。それから三番目の希少疾病用医療機器でございますが、これは 既にほかの病気において承認されている器具でありまして、今回は難治性網膜ぶどう膜 炎を有するベーチェット病患者ということで、838〜943人と想定されている患者さんに 対する早期の難病に有効性のあるものとして、いわゆる承認審査ではなく希少疾病用医 療機器としての指定の報告でございます。よろしくお願いいたします。 ── 安全対策課長入室 ── ○井村分科会長 どうもありがとうございました。では皆様方から御質問、御意見ござ いますでしょうか。この承認基準あるいは認証基準が書かれている表は何回か見たよう な気がいたしますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。どうぞ、 溝口委員。 ○溝口委員 これは北大と九大の眼科から出ているので、重症の網膜症状を持つベーチ ェット病の患者さんに限られているのだと思うのですけれども、腸管ベーチェットや血 管ベーチェット、あるいは神経ベーチェットでも随分治療に難渋している方がいます。 11ページの開発状況を見ますと、潰瘍性大腸炎やクローン病で既に行われて安全で有効 だということが示されているようですので、腸管型ベーチェット病にもよさそうなので すけれども、これはどこかでやってだれかがイニシアチブをとらないと始まらないもの なのでしょうか。それから、大学病院でやっていますから簡単なのかもしれないのです けれども、この機器は専門の人が来てやってくれるのではなくて、やはり担当の医師が やったものなのか、その二つを伺いたいのですが。 ○井村分科会長 いかがでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 まず第一点目でございますけれども、希少疾病用医療機器の 指定については申請に基づいて指定をするということでございますので、今般の指定と しては申請のあった範囲内に限定されるものでございますが、これは必ずしもそれで開 発を限定するという意味ではありません。オーファンとしては指定申請の範囲内という ことでございますので、今後そういった部分も開発されることについては特に妨げるも のではございません。それから二番目については総合機構の方から御説明いただけます でしょうか。 ○医療機器審査部長 二点目については総合機構より御説明させていただきます。お手 元の資料の17ページにも書いてございますが、今回行われた臨床研究については北海道 大学及び九州大学のベーチェット病眼科専門の先生方の方で実際に実施していただいて おります。ただ、体外循環の方についてはそちらの技術的な専門性を持つ方々にサポー トしていただいたと聞いております。 ○井村分科会長 よろしゅうございますか。ほかに御意見、御質問ございますでしょう か。もしなければ先に進ませていただいてよろしいでしょうか。ではただいまの議題17 〜19については御確認いただいたとさせていただきます。次は動物用医薬品等部会関係 の議題が20〜28まで並んでおりますので、御説明をお願いいたします。資料21〜29で す。 ○事務局 農林水産省でございます。動物用医薬品等部会関係について議題20〜28まで 御報告させていただきます。まず議題20、資料21でございます。日本バイオロジカル ズ株式会社より輸入承認申請されたMS生ワクチン(NBI)という鶏用の生ワクチンで ございます。本剤はマイコプラズマ・シノビエを主剤とするものです。用法・用量は、 このもの通常−70℃で保存されているもので、使うときにはそれを微温水で溶かして添 付の点眼用器具を付け、3週齢以上の鶏に1羽当たり1滴を点眼接種するというもので ございます。効能・効果は、マイコプラズマ・シノビエ(MS)感染に伴う呼吸器疾病(気 嚢炎)の発症予防又は軽減ということでございます。平成17年9月2日に開催された動 物用医薬品等部会で御審議いただきまして、承認を可とし、薬事分科会に報告して差し 支えないと。なお、再審査期間は新有効成分含有動物用医薬品ということで6年とされ たものでございます。  続きまして議題21、資料22、当日配付資料になっているかと思いますが、丸石製薬株 式会社から製造承認申請されたセボフロという犬用の全身麻酔剤でございます。本剤は セボフルランを主剤とするものでございまして、用法・用量は5に記載されていますけ れども、基本的には気管内チューブを犬に装着しまして、酸素と混合して使用するとい うものでございます。効能・効果は犬の全身麻酔ということで、これも9月2日の動物 用医薬品等部会で御審議いただき、8の[1]〜[4]を条件に承認を可として薬事分科会に報 告して差し支えないと。なお、再審査期間は新有効成分含有動物用医薬品であるため6 年ということで、劇薬指定というものでございます。  続きまして議題22、資料23でございます。ノバルティス アニマルヘルス株式会社か ら輸入承認事項変更承認申請されたフォルテコール錠5mgでございます。本剤は塩酸ベ ナゼプリル5mgを含有する錠剤でございますが、これまでの効能・効果は6の欄の上段 に示しますように犬の僧帽弁閉鎖不全による慢性心不全の症状の改善ということでござ いましたが、今般その下に示します猫の慢性腎不全における尿蛋白の漏出抑制を追加す る変更申請でございます。またそれに合わせまして、5の用法・用量に猫の部分が加わ っているというものでございます。これについても9月2日の動物用医薬品等部会で御 審議いただき、8の欄に示す条件事項の記載整備をもって承認を可とし、薬事分科会に 報告して差し支えないと。なお、再審査期間は新効能動物用医薬品であるため2年とさ れました。  続きまして議題23、資料24でございますが、先ほどと同じノバルティス アニマルヘ ルス株式会社からの輸入承認申請でございます。ラーバデックス1%、鶏用の飼料添加 剤でございます。本剤はシロマジンを含有する散剤でございまして、用法・用量は産卵 鶏の飼料1トン当たりにシロマジンとして5mgを自動添加機を用いて均一に混じて、28 日間経口投与するというものでございます。効能・効果は産卵鶏舎内のハエの幼虫の駆 除ということで、この製剤を食べた鶏の糞にこのシロマジンが残りまして、その鶏糞に おけるハエの幼虫、ウジがわかないようにするというものでございます。このものも9 月2日の動物用医薬品等部会で御審議いただき、承認を可とし薬事分科会に報告して差 し支えないと。再審査期間は新投与経路動物用医薬品ということで6年とされました。  なお、この製剤については7の下段に示すように動物用医薬品残留問題調査会におい て、2日間の休薬期間を設けるようにと結論されました。これについて資料28を御覧い ただきたいのですが、動物用医薬品の使用の規制に関する省令の一部改正でございます。 これに今のシロマジンの使用禁止期間を追加するというものでございます。具体的には 別表1に示しますように、医薬品の欄に「シロマジンを有効成分とする飼料添加剤」、 使用対象動物は「鶏」、用法及び用量は「飼料1t当たり5g以下の量を混じて経口投 与すること」で、使用禁止期間は「食用に供するために屠殺する前2日間」を加えると いうものでございます。本案についても9月2日の動物用医薬品等部会で御審議いただ きまして、御了承されているところでございます。  今度は議題24、資料25になります。共立製薬株式会社から製造承認申請されたエト ジェシック パラタブ150、同300という犬用の錠剤でございます。本剤は1錠中にエト ドラク150mg、300mgを含有するものでございまして、用法・用量は1日1回体重1kg 当たりエトドラクとして12.5mgを経口投与するというものでございます。効能・効果は 犬の運動器疾患に伴う炎症及び疼痛の緩和、犬の術後の炎症及び疼痛の緩和というもの でございます。本剤についても9月2日の動物用医薬品等部会で御審議いただきまして、 別紙2にある事項を条件に承認を可とし、薬事分科会に報告して差し支えないと。なお、 再審査期間は新有効成分含有動物用医薬品ということで6年とされ、劇薬に指定された ものでございます。  続きまして議題25、資料26でございます。明治製菓株式会社から製造承認申請され たプリオザイムでございます。本剤はケラチナーゼを主剤とする消毒薬でございまして、 5の用法・用量の欄に示すように本剤を水に溶かしまして、これに解剖刀や骨髄を吸い 出すチューブ、ニードルといった屠畜場で使う器具、器材を浸漬することで、効能・効 果で示すように牛海綿状脳症由来の異常プリオンタンパク質の汚染除去の効果を持つ消 毒薬でございます。このものについても次のページに示しますように、9月2日の動物 用医薬品等部会で御審議いただきまして承認を可とし、薬事分科会に報告して差し支え ないとされたものでございます。  続きまして議題26、資料27でございます。動物用生物学的製剤基準の一部改正につ いてでございますが、薬事法第42条第1項に基づいて規定されている動物用生物学的製 剤基準は通則、医薬品各条、一般試験法、規格という四つから構成されているのですけ れども、そのうち医薬品各条については新しいワクチンが承認されて6年間の再審査を 終了した後、そのワクチンにかかわる製法、試験法及び貯法、有効期間はこの製剤基準 の中で規定するとなっております。今般この資料27の表紙のアに示すぶりα溶血性レン サ球菌症不活化ワクチンについて再審査が終わったもので、これの製法、試験法及び貯 法、有効期間を新たに医薬品各条に規定するものでございます。詳細の説明については 割愛させていただきます。  次にイの豚丹毒生ワクチンでございますけれども、これは既に再審査が終わって医薬 品各条が定められているものでございますが、現在豚丹毒生ワクチンは七つの会社が承 認を持っています。今まではみんな有効期間が1年6か月だったのですけれども、その うち1社だけが2年に延長したいという申請がありましたので、それに伴う製剤基準の 一部改正でございます。資料の12ページを見ていただきますと新旧対照表がございま す。右が現行で左が改正後でございますけれども、右の方にありますように今までは一 律1年6か月だったのですが、2年のものが一つ出てきましたので左側のアンダーライ ンに示しますように、「ただし、農林水産大臣が特に認めた場合は、その期間とする」 ということで、2年と承認されたものはその期間でいいとさせていただいているもので ございます。  最後にウの猫ウイルス性鼻気管炎・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症混合 (油性アジュバント加)不活化ワクチン、猫の三種混合のワクチンでございます。27ペー ジをお開きいただきますとこれも新旧対照表がありますが、本剤についてはこれまで小 分け製品の試験といたしまして3.5.4の異常毒性否定試験というものが設定されており ました。しかし、このワクチンの承認を持っている1社から、この異常毒性否定試験を 毒性限度確認試験の方に変更したいという申請がございまして、その項目を加える一部 改正でございます。左の欄を御覧いただきますとアンダーラインのところで、異常毒性 否定試験を行うことができない場合は3.5.5の毒性限度確認試験を実施するとなってお ります。あとところどころでアンダーラインを引いてある部分がありますが、これは記 載の整備のためで内容の変更ではございません。製剤基準の改正については以上でござ います。 ○事務局 引き続きまして議題27、動物用医薬品の使用の規制に関する省令の一部改正 案でございます。資料28を御覧ください。9月2日に開催された動物用医薬品等部会で 了承されました。この省令は薬事法第83条の4に基づく農林水産省令で、農林水産大臣 が畜水産物への残留防止のために使用者が守るべき動物用医薬品の適正な使用方法の基 準を定めるものです。  1ページのシロマジンに関する改正案については先ほど議題23の動物用医薬品ラー バデックス1%の輸入承認の際に御報告いたしましたので、3ページの(2)ポジティブ リスト制度の施行に伴う改正案について御報告いたします。食品衛生法の改正によりま して平成18年5月29日までに食品中の農薬、動物用医薬品、飼料添加物の残留につい てポジティブリスト制度が導入されます。この制度は食品に残留しても問題のない濃度 である残留基準を個々の成分について設定いたしまして、それを超える濃度の動物用医 薬品などの残留した食品の流通を原則禁止するものです。残留基準の多くは暫定的な基 準で、数年以内に見直しをされるという予定になっております。動物用医薬品について もこの残留基準が新たに多く設定されることから、この基準を守るために動物用医薬品 の使用基準を新たに設定又は改正して、適切な使用方法を使用者に遵守していただくこ ととしました。  この改正には資料に1、2、3と記載した三つの種類があります。一つ目は、現在使 用基準がないものについて新しく設定するものです。二つ目は、現在使用基準がありま すけれども、対象となる製剤がないものの基準を削除するものです。三つ目は、現在の 使用基準を残留基準に合わせて改正するものです。具体的な内容は4ページ以降になり ます。黒背景にした部分は既に基準に収載されているものです。それ以外の白い部分が ございますけれども、これが新たに追加するものです。右端の備考欄を御覧ください。 実際の基準には備考欄はないのですけれども、改正の先ほどの1、2、3の分類のどれ に該当するか、参考のために付けました。例えば4ページの2段目に「追」とあります ものは新規の設定、5ページの一番下に「削」とありますのが削除、16ページの中ほど に「変」とありますのは変更するものです。これらについては承認申請時の資料や学術 文献などを確認し、必要な場合には牛などの対象動物の残留試験を実施して確認しまし た。ポジティブリスト制度の残留基準が多数できることから、現在確認作業が終了した もののみをお示ししております。次回もこのほかの改正について引き続き御報告する予 定です。  続きまして議題28、動物用抗生物質医薬品基準の一部改正です。資料29を御覧くだ さい。本案についても9月2日に開催された動物用医薬品等部会で了承されました。こ の基準は薬事法第42条第1項の規定に基づき、農林水産大臣が抗生物質である動物用医 薬品について薬事・食品衛生審議会の御意見を聴いて、農林水産省告示で定めておりま す。今回この基準の医薬品各条に硫酸フラジオマイシン散を新たに追加する改正です。 内容については配付した資料にございます。以上で報告を終了いたします。どうぞよろ しく御確認をお願いいたします。 ○井村分科会長 どうもありがとうございました。これについては部会長の吉田委員か ら何か御追加ございますでしょうか。 ○吉田委員 特にございませんけれども、今ちょっと事務局が言い間違えた部分があり ますので。資料24と28の鶏のえさに殺虫剤を混ぜるというものですが、1トン当たり 5mgと挙げたのですけれども、これはここに書いてあるとおり5gでございますので、 それだけ確認しておきます。あとは特別ございません。 ○井村分科会長 ありがとうございました。それでは委員の方々から御質問ございます か。神山委員、どうぞ。 ○神山委員 今先生が御説明になった資料24なのですけれども、鶏舎内のハエの幼虫の 駆除剤を鶏に飲ませるというのが、どうしてそのようなことをする必要があるのかとい うこと。それから鶏卵には休薬期間の設定は必要ないと。資料28の方を見ますと、「食 用に供するために屠殺する前2日間」が休薬期間で、資料24の後ろの説明を見ると肉用 鶏には使用しないとなっていますので、その辺の整合性がよく分からないのです。 ○吉田委員 事務局の方が詳しいでしょう。 ○井村分科会長 では事務局の方からお願いします。 ○事務局 まずこの製剤は「使用上の注意」の「一般的注意」に、「(4)本剤は高床式 ひな壇鶏舎にのみ使用すること」となっておりまして、いわゆる鶏を飼っている鶏舎に 高床式ひな壇鶏舎というものがございます。つまり高い位置で鶏を飼っていまして、鶏 糞が下に落ちてある程度たまったらショベルカーなどでかき出すという、衛生上それほ どよくはない鶏舎なのですけれども、省力化のためにそういう形で飼っている鶏舎がご ざいます。そうしますと、長い期間そこに鶏糞がとどまることになりますので、ハエが わくという状況になります。それならばこのシロマジンを散布すればいいという話にな って、散布剤の承認はあるのですけれども、高床式鶏舎というのはとても高い位置に鶏 舎があってその間に鶏糞が付いたりすることがありますと、なかなかそこに十分散布剤 をまくということができません。そういった点を解決するためにエサに混ぜて、そもそ も鶏から出てくる鶏糞にこのシロマジンが混じっていることによってウジがわかないと いう発想で開発された製品でございます。諸外国ではそういった高床式鶏舎で使われて いる実績があると聞いています。  それから休薬期間の設定については、まずはこのものの残留試験をやった結果、投与 後1日では検出限界以下になっています。ただ、残留していないと確認している時点を 二つとって休薬期間に設定しましょうという動物薬の基本的なコンセプトがありまし て、最低2日間付けていればいいだろうということで、そのように結論されました。肉 用鶏に使用しないということで、確かに高床式ひな壇鶏舎には肉養鶏は飼いませんので、 産卵鶏だけになるのですけれども、産卵鶏も卵を産み終わって終わりのときには廃鶏と して食用に供されるという場合がありますので、そのときには2日間休薬期間を設けて から出してくださいということで、使用期間が2日間付いているというものでございま す。 ○井村分科会長 よろしいでしょうか。どうぞ、吉田委員。 ○吉田委員 平たく説明しますと、農家の養鶏の人が卵をしゃがんで取るのではなくて 立ったままで集められるように、卵だけ鶏を飼っている前側に転がって出てきます。糞 は後ろへ落ちるようになっていると。ですから非常に省力化といいますか、合理的にで きています。そこの衛生管理をより効率よくやろうという目的のようです。それから肉 用鶏は御存じのように平飼い、いわゆる地面で飼って飛び回らないといい肉ができない ということで、飼養形態がまるきり違うのです。それぞれに合わせた合理的な対策とお 考えいただければいいかなと思います。 ○井村分科会長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。なかなかイメー ジが難しいのですが。ほかに御意見ございませんでしょうか。もしよろしければ少し時 間が過ぎておりますので、この議題20〜28に関しては御確認いただいたということにさ せていただきます。最後に一つだけ残っております薬事分科会規程の一部改正について という議題がございます。これについて事務局の方から御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは副作用・感染等被害判定部会の2部会制への移行に伴う分科会規程 変更について、資料30に沿って御説明させていただきます。副作用被害救済給付請求件 数は平成13年度の483件から平成14年度629件に急増、その後も増加して平成16年度 には約800件にまで達しております。この請求件数の急激な増加に対して部会審議時間 の延長や開催回数の増加などで対応してまいりましたが、平成16年度の給付決定件数は 633件にとどまっており、請求件数に対応できない状態になっております。今後も請求 件数の増加が予想される一方で1部会での処理件数は限界に達していることから、今回 副作用・感染等被害判定部会を2部会制とし、判定業務の処理件数増加を図ることとし たいと考えております。  まず部会設置の根拠規定といたしましては、該当する独立行政法人医薬品医療機器総 合機構法(以下「機構法」と略)、薬事・食品衛生審議会令、薬事分科会規程については 記載のとおりでございます。なお、薬事分科会規程については今回改正後案に該当する 項を示しております。  各部会の所掌といたしまして、副作用・感染等被害判定第一部会は機構法第17条第2 項の規定、いわゆる副作用救済給付の請求に係る支給について、この第二部会に属する 事項を除くものに関し、医学的薬学的判定を要する事項を調査審議することといたしま す。副作用・感染等被害判定第二部会については機構法第20条第2項、いわゆる感染救 済給付にかかわる請求すべてと、機構法第17条第2項の副作用救済給付の請求のうち、 その請求のあった者の疾病に係る医療が主として次の各号に掲げる診療科において行わ れるものに限るものの支給に関して、医学的薬学的判定を要する事項について調査審議 することとしており、各号についてはそちらに示した8領域となっております。このよ うに感染救済給付に関するものは第二部会のみの審議といたしまして、副作用救済に関 するものは第一、第二部会で分野を分けて審議することとしたいと考えております。  2部会の設置時期については本年10月からとして、委員については現行の副作用・感 染等被害判定部会及び副作用被害判定調査会委員より選出いたしますが、その他の委員 については新規に委嘱を予定しております。  なお、調査会については2部会設置とともに、申請内容に関する調査を独立行政法人 医薬品医療機器総合機構において専門家を交えた詳細なものとすることとし、今までそ の役割を担っておりました副作用被害判定調査会は本年9月末をもって終了することと したいと考えます。ただし、生物由来製品感染等被害救済については制度開始間もない ことから、医学的薬学的判定を実施するに当たり厚生労働省との連携を図り調査・審議 を行う必要があるために、引き続き調査会での調査・検討を行いたいと考えております。  次ページ以降に今御説明させていただいた副作用・感染等被害判定部会の2部会設置 による薬事分科会規程の変更部分である第2、3、7、8条の各項目について、新旧対 照変更案を示させていただいておりますので、御承認のほどよろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 ありがとうございました。ただいまの説明にありましたように分科会 規程の一部改正について、いかがでございましょうか。宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 これは結構なのですけれども、なぜ内科や呼吸器科などに限っている、外 科でも開腹したときに中に薬の注入とかいろいろあるのではないかと。それはどういう 範疇でおやりになるのか、そこをちょっとお聞きしたいと思います。 ○井村分科会長 御説明いただけますでしょうか。 ○安全対策課長 3.部会の所掌で第一部会と第二部会ということで、第二部会について のみ各科を記載させていただいて、それ以外のものはすべて第一部会という整理にさせ ていただいております。よろしくお願いいたします。 ○井村分科会長 ほかにございますでしょうか。井部委員、どうぞ。 ○井部委員 直接内容とは関係ないのですけれども、どうしてこの資料30が厳重管理と いう管理下に置かれなければならないのでしょうか。 ○井村分科会長 たまたま勢いで判こを押してしまったのかもしれません。恐らくそう ですよね。 ○安全対策課長 誠に御指摘のとおりだと…。 ○井村分科会長 ほかにございませんでしょうか。もしなければこれで本日の議事は終 わりでございますが。宮崎委員、どうぞ。 ○宮崎委員 これは別のことなのですけれども、12月の分科会の議事録を今校正をしろ と言ってきたのです。10か月たってこんなことは全く考えられないので、一体これはど ういうことなのでしょうか。 ○井村分科会長 私も同じように感じてはおりますが。 ○宮崎委員 もう少し早くやっていただくように、やはり常識の範囲というのはありま すから。 ○井村分科会長 修正しようとしても忘れてしまっているということがあるかもしれま せんので、もう少しスピードアップしていただきたいと思います。よろしくお願いいた します。ありがとうございました。それでは本日の議題はこれで終わりでございまして、 次回の薬事分科会は12月中旬以降になると思いますが、またいずれ委員の皆様方の御都 合を伺ってということになります。どうぞよろしくお願いいたします。長時間どうもあ りがとうございました。                                    ( 了 )   連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)