05/09/12 胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会 第3回議事録         胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会(第3回) 1 日時  平成17年9月12日(月)16:00〜17:00 2 場所  厚生労働省専用第17会議室 3 出席者 医学専門家:秋葉隆、奥平雅彦、戸田剛太郎、戸部隆吉、松島正浩、横山哲朗             (50音順)       厚生労働省:明治俊平、渡辺輝生、丸山陽一、長嶋政弘 他 4 議事 ○職認官  それでは、「第3回胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会」を始めさせていただ きます。なお、検討に入る前に、事務局に一部異動がありましたので、ご紹介いたしま す。丸山中央労災医療監察官です。 ○医療監察官  8月26日付の異動で神保の後任にまいりました丸山でございます。どうぞよろしくお 願いいたします。 ○職認官  それでは、横山先生、お願いいたします。 ○横山座長  会議を始めますが、討議に入る前に事務局に提出資料の確認をお願いいたします。 ○障害係  資料1「胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会報告書(案)」、資料2「胸腹部 臓器の障害認定に関する実態調査について」、資料3「リハビリテーション専門家から の意見聴取について」、資料4「第16回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会 (次第)及び労働政策審議会 労働条件分科会 労災保険部会委員・臨時委員名簿」。以 上です。 ○横山座長  お手元の資料で不足しているものはございませんか。  それでは、昨年の1月に開催されてから、いろいろとお忙しい先生方に、この問題に ついてご論議をいただいたのですが、本日をもって、報告書の最終取りまとめをいたし たいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、まず前回の専門検討会でご了承をいただきました患者団体等への意見聴取の 結果について、また8月30日に開催された労働政策審議労働条件分科会労災保険部会に 報告書(案)の概要を報告されましたが、その際の議論について、事務局から報告をし ていただいて、その内容を含めて報告書の最終の取りまとめにしたいと思います。事務 局からよろしくお願いいたします。 ○職認官  患者団体等への意見聴取につきましては、昨年、整形外科関係の障害等級認定基準の 改正を行っておりますが、その見直しについて、労働政策審議会の労災保険部会にお諮 りしたときに、ご指摘をいただいたものです。後遺障害による労働の支障の程度等、実 態をより正確に把握することを目的として行いました。本日、お手元にお配りしており ます資料番号No.2「胸腹部臓器の障害認定に係る実態調査について」という資料をご 覧いただきたいと思います。  まず、この資料の「1 患者団体からの意見聴取」についてですが、意見聴取を行っ た患者団体については、一覧表に記載している13の団体です。なお、これらの団体につ いては、前回の5月23日に開催した専門検討会においてご説明をしましたとおり、業務 上の傷病を原因とする障害の患者団体であること、全国組織の患者団体であること、患 者の実態に関する意見を提出できると認められる規模として、構成員の数が100人以上 の患者団体であることという考え方に従って意見聴取の対象として適当であり、意見聴 取が可能と思われた団体を選定したものです。  これらの13団体に対しては、それぞれ意見聴取の対象となる報告書(案)の該当部分 等をお送りして、ご意見をいただきました。これらの患者団体からいただいたご意見に ついては、資料の1の(2)の枠で囲んであるものです。これらのご意見については、 各部会及び各ワーキンググループの座長にご覧いただきましたところ、意見の内容が、 すでに本検討会において検討した障害に関するものであること、または治ゆ後の障害で はなく、療養の対象となる症状に関するものであることなどから、改めて検討を必要と するものではない、というご意見をいただいております。  次に、「2 被災者からの意見聴取」についてですが、本専門検討会における検討の 結果として、障害等級を下げることが適当とされた「ひ臓又は一側のじん臓を失ったも の」の関係については、意見を聴取するのに適当な患者団体がありませんでしたので、 被災者本人からの意見聴取を行いました。  意見聴取は、第8級の11の障害等級の認定を受けられた方26名、この内訳は、脾臓を 失った方が17名、一側の腎臓を失った方が9名、この26名を対象として行いまして、う ち16名、脾臓を失った方については11名、一側の腎臓を失った方については5名から回 答をいただきました。  回答をいただいた方のうち、現在、就労されている方が11名おられました。それらの 方を対象として、後遺症状による効率の低下等労働への支障についてご照会したとこ ろ、脾臓を失った方については、「労働への支障がある」と回答された方が5名、「支 障がない」と回答された方が3名おられました。「支障がある」と回答された5名のう ち、3名については、脾臓の亡失以外の要因が労働への支障に関与しているものと認め られましたので、この3名を除いて、脾臓の亡失のみで「労働への支障がある」とする 2名の労働への支障の理由を見たところ、「疲れやすくなった」ということであり、障 害等級の第13級とすることが適当と考えられました。  また一側の腎臓を失った方については、「労働への支障がある」と回答された方が3 名おりました。「労働への支障がある」と回答された3名のうち、2名については一側 の腎臓の亡失のみで労働への支障があると認められました。この2名の労働への支障の 理由を見たところ、これも脾臓を失った方と同様に、疲れやすくなったということでし た。  なお、「労働への支障がある」と回答された残りの1名については、その理由とし て、体力の低下が挙げられております。  また、脾臓又は一側の腎臓を失った方への就労上の配慮の有無等について、貨物運送 業者及び建設業者の計5社に対して意見聴取を行っております。5社のうち、脾臓又は 一側の腎臓を失った障害に該当する方を雇用している1社からは、「脾臓又は一側の腎 臓の亡失によって就労への支障はなく、特段の配慮はしていない」という回答をいただ きました。  次に資料番号No.3の「リハビリテーション専門家からの意見聴取について」です。 本専門検討会の検討内容について、リハビリテーションの専門家からも意見聴取を行い ましたので、その概要についてご報告いたします。なお、リハビリテーションの専門家 からの意見聴取についても、昨年の審議会の労災保険部会でご指摘をいただいたもので す。  治ゆ後の後遺症状の実態を、よく把握されている専門家のご意見を障害等級の見直し の検討に取り入れるために行ったものです。身体に障害のある方に対する総合的なリハ ビリテーションのほか、リハビリテーションの研究・開発及び情報・資料の収集等を行 っている組織として国立身体障害者リハビリテーションセンターがあります。今回、リ ハビリテーションの専門家からご意見をお伺いするに当たっては、当該リハビリテーシ ョンセンターに対して意見聴取を行うことに適任である方のご紹介を依頼し、同センタ ー病院の医療相談開発部長である佐久間肇医師をご紹介いただきました。  佐久間医師に対しては、あらかじめ本専門検討会の報告書(案)の全文をお送りした 上で、面談によりご意見を伺いました。佐久間医師からは、労災保険制度における治ゆ の考え方等に関するご質問が出されましたが、報告書(案)については、リハビリテー ションの観点から見ても、全体的によく取りまとめられているというお話をいただきま した。その上で報告書(案)の内容に係る事項として、生殖機能の障害のうち、子宮を 亡失した場合の評価についての記述がない、子宮を亡失した場合の評価を加えるべきで ある旨のご意見をいただきました。結果として、佐久間医師からいただいたご意見はこ の1点です。  このご意見については、泌尿器・生殖器部会の関先生にご指導をいただき、また松島 座長のご了解をいただいた上で、「子宮の亡失が画像所見により認められるもの」は、 第9級の12として認定することが適当であることを報告書(案)に追加しております。  次に、8月30日に開催された審議会の労災保険部会において、本専門検討会の検討内 容の中間報告を行いましたので、その結果についてご報告いたします。資料については 資料番号No.4として、「第16回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会」の次第 と委員名簿のみを本日は配付しております。  労災保険部会に対しては、専門検討会報告書(案)の全文も資料としてお配りして、 補償課長から、認定基準等の見直しの経緯、現行の省令及び認定基準の問題点、専門検 討会における見直しの検討内容及び今後の予定等についてご説明いたしました。その結 果、労災保険部会からは報告書(案)、その他について特段意見はありませんでした。 これを受けて労災保険部会の部会長からは、報告書(案)に基づき、取りまとめ作業を 進めていただきたい、というご意見をいただきました。以上、患者団体等への意見聴取 の結果及び審議会への報告結果について、ご報告いたしました。 ○横山座長  資料2、3、4を一括して報告いただいたわけですが、これについて、ご意見、ご質 問ございませんでしょうか。松島先生、子宮についてよろしいですか。 ○松島先生  会議の場では、子宮がなくなるというのは相当大きな骨盤の事故による障害であろ う、これに類似しない限り、子宮がなくなるということはあり得ないということは検討 したのですが、ご指摘いただきましたので、第9級の12が妥当であろうということで す。 ○横山座長  では、そのように取り計らっていただきます。ほかによろしいでしょうか。  それでは、今日のメインの目的であります報告書の最終案について、まず事務局から ご説明いただきます。 ○職認官  報告書の最終案について、事務局からは3点ほどご説明いたします。資料は資料番号 No.1の報告書(案)です。まず1点目は、表紙の次に記載している報告書の前文に関 する事項について2つほどありまして、ともに前回の専門検討会にお諮りしたもので す。その1つは、胸腹部臓器の認定基準の検討に当たり、それぞれ特に留意した課題、 問題意識等を記述するという話が前回あって、それに関する事項です。  報告書の前文に、これらの記述を載せることについては、前回、先生方のご賛同をい ただきましたことから、各座長とそれぞれ事務局において調整をさせていただき、記述 のとおり取りまとめをしたところです。  報告書の前文に関する事項の2つとして、「アフターケアの新設又は拡充の要望」に ついてです。これについても前回のご議論において、大筋で「アフターケアの新設又は 拡充の要望」の必要性を認めていただいたことから、「第1胸部臓器」の上3行のなお 書きで、「治ゆ後においても症状の動揺を来すおそれのある傷病であって、現在設けら れているアフターケア制度の対象になっていないものについては、当該傷病に係るアフ ターケアの新設又は拡充が望まれる」という記述を載せています。  2点目は、報告書本文の修正についてです。本日お手元にお配りしている報告書(案 )については、前回の専門検討会においてご指摘のあった、例えば、「ひ臓」や「じん 臓」等、一部が仮名書きにされている行政の用語を一般的に使用されている医学用語に 統一する。そのほか横山座長との打合せ内容等も踏まえて誤解を受けることのない表 現、わかりやすい表現への訂正、さらには全体の表記の統一等に留意して、事務局にお いて修正を加えています。  専門検討会の議論の内容に変更が生じることのないよう留意し、事務局において修正 を行っているものと考えておりますが、問題のある記述となっている箇所等があれば、 ご指摘をいただきますようお願い申し上げます。  3点目は、参考文献についてです。報告書に記載する主要な参考文献については、前 回の専門検討会での議論を踏まえて、各座長にご相談をしながら、臓器分野ごとに40程 度を目安にして調整をしました。  なお、呼吸器に係る主要参考文献については、現在の報告書(案)では32の文献を記 載していますが、これについては調整が遅れた関係で、追加すべきものの記載がされて いません。後日、横山座長にご確認をしていただきながら、参考文献の追加をしたいと 考えております。  また、参考文献を取りまとめたところ、前回まで報告書(案)に記載していますよう に、それぞれの障害ごとに分けて記載することが難しくなりました。それぞれ分けると 重複したり、全体にかかる基礎的なものもありましたので、難しくなりました。よっ て、今回報告書に記載しているように、呼吸器、循環器、腹部臓器、尿器・生殖器の4 つの臓器分野の検討の末尾に取りまとめて、一覧できる形で記載するよう改めていま す。報告書の最終案については、以上3点です。 ○横山座長  ご説明いただいた報告書の最終案について、ご意見、ご質問等、いかがでしょうか。 この前の案を拝見して、いろいろ誤解を受ける可能性がある所を直していただくよう に、私としても注文して、かなり直っています。まだ2、3細かいところで気になると ころがありますが、これを最終案としてよろしいでしょうか。これは大変大事なところ ですが、松島先生から何かございますか。 ○松島先生  泌尿・生殖器のところは以前から腎臓の腎が平仮名で書かれており、これが非常にお かしいということで、障害認定必携でも、解剖図譜には腎臓と漢字で書いてあるのです が、本文のほうは「じん」とあり、これを訂正していだたき、今回一括して、すべてそ れが直っておりますので、よろしいかと思います。 ○横山座長  秋葉先生、いかがでしょうか。 ○秋葉先生  治ゆについても、「機能的に(GFR)が30以下となった場合」と97頁にありますが、 それとアフターケアということで追加されていますので、素晴らしいものだと思いま す。 ○横山座長  戸田先生、いかがでしょうか。 ○戸田先生  私のほうでは特にありませんが、93頁の文献の29に『臨牀のための肝臓病理』とあっ て、著者が書いてないのですが、奥平雅彦先生がお書きになったものです。 ○横山座長  戸部先生、いかがでしょうか。 ○戸部先生  特にございません。 ○横山座長  最後に奥平先生。 ○奥平先生  いまお話伺いましたら、参考文献については、各座長の先生がチェックしてくださっ ているということですが、全体として見ると、書き方が統一されていません。もし私で お手伝いできれば、最終的に拝見させていただきますが、それでよろしいでしょうか。 ただ、それぞれの記載の仕方に特色がありますので、例えば、どの文献、あるいは雑誌 の記載方法に準ずるということだけを決めていただければ、あとは私のほうでいたしま す。 ○横山座長  どういう形式にするかということで、いかがでしょうか。 ○戸部先生  日本の学会の雑誌では、単行本の場合は、著書名、論文名、発行者、年代、発行所。 論文の場合は、一定のものですが、これでは統一されていませんね。 ○奥平先生  例えば、戸田先生が編集委員長をなさっていましたが、雑誌『肝臓』という肝臓学会 の雑誌があります。それにも雑誌、著書の表示例が出ています。雑誌『肝臓』に準ずる ことをご了解いただければ、それに準じていたします。 ○戸部先生  そのほうがいいのではないでしょうか。 ○奥平先生  全体を統一したほうがよろしいかと思います。 ○横山座長  共著者が大勢いるときに、何人書くかということはどうでしょうか。 ○奥平先生  決まっています、3人までです。 ○横山座長  その3人までになると、いちばん偉い先生が落ちてしまう可能性がありますが、しよ うがないですね。 ○奥平先生  しようがないです。 ○横山座長  それでは奥平先生、ご迷惑でしょうが、お目通しをいただいて。 ○奥平先生  はい。 ○戸田先生  そうですね、号が書いてあって、ナンバーが書いてありますが、本当はこの必要はな いわけですね。 ○奥平先生  号は要らないと思います。 ○横山座長  マンスリーは要らないと思いますが、クォータリーなどはどうでしょうか。 ○奥平先生  一応全部書いてあります。それから外国雑誌の略記号についても、単行本が出ており ますので、それに準じて省略形は統一するようにしたいと思います。 ○横山座長  ご迷惑でしょうが、それは奥平先生にご一任申し上げますので、よろしくお願いいた します。 ○戸田先生  例えば、93頁の22に、「ドイツにおける障害認定について」というのがありますが、 これは雑誌か何かに出ているのですか。これを検索するのは大変ですよね。 ○職認官  うちでお願いした委託研究の報告書です。 ○奥平先生  わからないところを伺いまして、なるべく形式を整えるようにいたします。 ○課長補佐  いまの話で、雑誌『肝臓』に準ずるというのを、どこかに記載したほうがよろしいで しょうか。 ○奥平先生  それは必要ないですね。大体インターナショナルにどの学会誌も決まっているのです が、例えば、案として、ちょうど前に肝臓の先生がおられたので、雑誌『肝臓』という ことを申し上げましたが、記載法としてはインターナショナルに共通なのです。しか し、例示として「何々に準ずる」ということだけを決めておけば。西村先生のようなも のは「平成何年度厚生労働省委託研究報告」とか、そのように書くようにしていきたい と思っています。 ○横山座長  よろしいですか、ほかに何かございませんか。かなり良くなってきているので、細か いところで字句の訂正、その他お気付きの点がありましたらお願いいたします。  今日は笠貫先生がお体の具合が悪く、ご欠席ですが、事務局から伺っていただけます か。 ○職認官  はい、事前には内容を確認いただいております。ただ、ご欠席ですので、また連絡を とって、その辺を確認したいと思います。 ○横山座長  よろしくお願いします。ほかに何かございませんか。もしよろしければ、これで報告 書を確定させていただきたいと思います。細かいところで若干訂正をしておいたほうが いいということがありましたら、補償課のどなたに言えばいいですか。 ○職認官  長嶋宛にいただければと思います。 ○横山座長  なるべく早くいただかないといけないと思いますが、期限を決めたほうがいいのでは ありませんか。 ○職認官  1週間程度でお願いいたします。 ○横山座長  では、そういうことにいたします。あと細かいところで、文献については奥平先生に お願いいたします。表現については私も気を付けて読ませていただきますが、私の責任 において処理させていただくということで、ご一任いただけましょうか。                  (一同、了承) ○横山座長  ありがとうございました。それでは、そういうことにいたしまして、なるべく早く原 稿を最終的にまとめてしまいたいと思います。事務局から何かご連絡がありますか。 ○職認官  本日、ご議論いただいた内容で文献の話もありましたので、そういう点で修正が必要 なものについて、また誤字・脱字、文章のつながり等、細かな修正で残っているものが あります。それらについては、横山座長一任のご承認をいただきましたので、座長と調 整をさせていただきながら、報告書の完成に向けて作業を進めていきたいと思います。  また、報告書の完成後については、当該報告書を基にして障害等級表、障害等級認定 基準の改正作業を進めてまいります。新たな認定基準については、来年4月1日の施行 を予定しております。各先生におかれましては、障害等級表、障害等級認定基準の改正 の作業を進める過程において、事務局から問合せをさせていただくこともあろうかと思 いますので、その際にはご指導のほどをよろしくお願いしたいと思います。  それでは、最後に補償課長からご挨拶を申し上げます。 ○補償課長  専門検討会終了に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げます。胸腹部臓器の障害認定 基準の見直しについては、昨年1月に第1回目の専門検討会を開催しておりますが、そ れ以来、1年8カ月という長きにわたりまして、全体会、各臓器部会、各ワーキンググ ループを通じて計32回ご検討をいただいたところでございます。本日の検討会をもちま して無事に終了することができました。これもひとえに横山座長をはじめ、各部会及び 各ワーキンググループの座長先生、それから本検討会にご参集をいただいた各先生方 に、公私ともに大変お忙しい中、精力的に熱心にご議論、検討をいただいた賜であると 認識しております。心より敬意を表しますとともに、深く感謝申し上げる次第でござい ます。  現行の胸腹部臓器の障害認定基準につきましては、ご案内のとおり、昭和22年に労災 保険制度が発足して以来、昭和50年、56年に一部の見直しが行われましたけれども、そ れ以外については、ほとんど見直しがされてこなかったという状況にございます。  そうしたことから現行の認定基準については、中には現在の医学的知見に適合しない ものがあったり、あるいは具体性に乏しい抽象的な表現にとどまっている規定ぶりが見 られたりというさまざまな問題点を抱えておりまして、行政といたしましても、できる だけ早期にその解消を図りたいというのが念願であり、懸案であったところです。  このように現行の障害認定基準については、やるとなれば全面改正に近いところまで の大幅な見直しが必要でありました。その検討には、当初から相当の困難を伴うであろ うと見込まれていたところでございます。  ただ、各先生方におかれましては、それぞれの臓器分野において、関係する学会、あ るいは国際的な動向等も踏まえていただき、現在の医学的知見に基づいて、各障害の評 価について的確にご判断をいただきました。中には英断を振るっていただいたところも 多々あるのではないかと思いますが、最後には胸腹部臓器全体の序列を乱すことがない よう、各障害間の評価の整合性についてもご配慮いただくなど、実にきめ細かい見直し を行っていただいたところでございます。  このようにして取りまとめられた報告書については、今後、労災補償制度における胸 腹部臓器の障害認定の考え方の基本、あるいは拠り所として、大きな影響をもって運用 されていくでありましょうし、また労災補償制度に横並びするところの他の公的保険制 度、あるいは民間の保険制度等にも大きな影響を与えるものになると考えているところ でございます。  私どもといたしましては、この報告書の考え方を基本に据えながら、今後の胸腹部臓 器に関する障害認定を適正に実施していく、そうしたことを通じて被災労働者の迅速、 公正な保護を図っていくことが、先生方に対するご恩返しの1つかと思っております。 また報告書の前文においてご要望のあったアフターケアの新設・拡充についても、その ご趣旨を踏まえて、できるだけ早期に検討を開始したいと考えているところでございま す。  本日をもちまして、この専門検討会は終了いたしますが、ご参集いただきました各先 生方には、これからも労災補償行政の運営上におけるさまざまな場面において、種々ご 相談を申し上げ、ご指導を賜る機会があるかと思います。今後とも、私ども行政に対し まして、ご愛顧を賜りますようお願いを申し上げまして、簡単ではございますが、お礼 の挨拶に代えさせていただきます。長い間どうもありがとうございました。 ○横山座長  補償課長、どうもありがとうございました。いま課長が触れられなかったことで私が 1つ気になることがあります。それは補償課の皆さん方、事務局の皆さん方にこの報告 をまとめるに当たって、大変お世話になり、ようやくこの形が整ってきたと思っており ます。本当に事務局の皆さん方、ありがとうございました。おそらく事務局としては、 これからこれを実施していくための作業が大変なことになるのではないかと考えており ますが、どうぞよろしくお願いいたします。これは対象になる患者についても、なるべ く公平な妥当な判断ができるようなものであってほしいと念願いたしております。  この専門検討会を終わるに当たって、先生方には大変お世話になりました。ありがと うございました。貴重なご意見を頂戴いたしまして、ここまでたどり着けたことは、本 当に有難いことだと存じております。厚く御礼申し上げます。  それでは、これをもちまして「胸腹部臓器の障害認定に関する専門検討会」を終了い たしたいと思います。ありがとうございました。 ○事務局一同  ありがとうございました。 照会先  厚生労働省労働基準局労災補償部補償課障害認定係      TEL 03−5253−1111(内線5468)      FAX 03−3502−6488