05/09/05 社会保障審議会介護給付費分科会第27回議事録          社会保障審議会 第27回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成17年9月5日(月) 午後3時から6時           霞ヶ関東京會舘 ゴールドスタールーム 2 出席委員:井形、池田、石井、井部、漆原、大森、沖藤、喜多、木下、木村、        見坊、田中(滋)、田中(雅)、対馬、永島、野中、花井、村川、        矢田(代理:森田参考人)、矢野、横山の各委員 3 議題  (1)介護報酬改定の基本的論点と今後の検討の進め方(案)について  (2)介護予防サービスについて  (3)その他 ○渡辺認知症対策推進室長より資料に沿って説明。 (野中委員)  10月施行の部分が介護報酬にどう影響を与えるか、注意深く見守っていく必要があ る。  現場では利用者に対してどの様に説明を行っているのか。また、説明を受けた利用者 からは、どういう声が厚労省に寄せられているのか。  第4段階の人からは施設が契約さえ結べば居住費、食費は幾ら徴収してもいいのか。 払えないとなったら、どういう段取りで退所していくことになるのか。 (渡辺室長)  10月施行に関して国では8月5日の全国介護保険担当課長会議で政省令告示事項を伝 えるとともにパンフレットなどもつくり周知している。  保険者には、低所得者の補足給付について誰がどう対象になるか具体的に勧奨してい ただくよう、6月の課長会議でもお願いしている。まだ必ずしも十分施設の方に届いて いないところもあるようなので、再度先週の金曜日付で勧奨していただくよう通知を出 している。  施設ではこれから利用者への具体的な説明が始まっていくと思うので、その際の情報 については保険者経由で収集をしていきたい。  第4段階の人については、居住費、食費が保険の外に出ていくので、水準については あくまでも施設と利用者の契約によって定められるであろう。ただ、国においてはその 水準の設定に当たり、利用者への事前の文書による説明、同意といった適正手続を踏ん でいただくよう手続に関するガイドラインを新たに定めたところである。 (野中委員)  簡単に言えば4段階以上の人に関しては利用者が納得すれば幾ら取ってもいいと理解 していいのか。 (渡辺室長)  適正手続を経た上で理解いただければいい。 (野中委員)  第4段階の人に幾ら徴収してもいいということであれば、厚生労働省が市町村に対し てきちんと指導をしていただきたい。  払えないことで退所しなければならない人は、いつからどうやって退所するのか。  自宅に戻ったときのプランをどうつくるか、現場できちんと考えていかなければ、利 用者は放り出されたと考えてしまう。その辺り十分配慮いただきたい。 (三浦老人保健課長)  保険者を含めて行政としてどのように統一的な対応を行うかということだが、9月7 日に施設関係の基準、監査の担当者会議を予定しており、その中で今回の改正内容の詳 細について徹底を図りたい。また、10月1日の施行までの間に各保険者からの情報収集 を続け、施行に向けて万全の体制をとっていきたい。  第4段階以上の人について幾らでも徴収していいのか、あるいは退所を求める場合ど のように行うのかという点については、利用者一人一人に説明をすることが大事であ り、本人に理解をいただき、引き続き必要なサービスを利用していただくことが基本で あるが、場合によっては施設を出て在宅でサービスを続けることもあり得る。施設にそ の役割を押し付けるのでなく、パンフレットについて更にわかりやすいものを用意する など対応を取っていきたい。 (矢野委員)  前回の報酬改定においては、在宅重視、自立支援、サービスの質的向上という観点で 整理した。次の改定前に、前の改定の目的がどれだけ実現しているのか実現していない のか、フォローアップが必要であり、過去の分について資料を出していただきたい。ま た、今後の介護事業経営実態調査は、いつ出るのか。  全体のスケジュールだが、10月中旬までに新しいサービスを議論して整理をするわけ だが、その後にも議論の繰り返しがあってもよいのではないか。柔軟な議論ができるよ うにお願いしたい。  地域密着型サービスについて、新規参入に対する配慮を論議する必要があることを指 摘しておきたい。  「サービスの質、プロセス、機能などに応じた評価の視点を積極的に取り入れる」こ とについては大変結構だと思うが、問題はその評価した結果をどう反映させるのかとい うことである。 (大森分科会長)  スケジュールは相当タイトではないかと思うが、最終的に全体として取りまとめるの で、そこに至るまでの意見も十分勘案していく。 (三浦老人保健課長)  経営の実態に関する調査だが、詳細な調査と概況調査があり、概況調査については、 できれば次回にお示ししたい。詳細なものについてはまだ調査を続けている。  改定後のフォローアップについても、早い段階でお示ししたい。 (永島委員)  1〜3の段階の人に対し、申告によって軽減措置が取られることはあまり説明されて いなようだ。申告をするのは事業者なのか、ケアマネなのか、誰なのか。 (山崎総務課長)  まず入所者がどの所得段階にあたるのか、市町村が本人もしくは施設に伝える作業が ある。その中で第1段階から第3段階の人については負担限度額が設定されているの で、ある程度実際に幾らになるかはわかる。  第4段階の人でも、例えば高齢世帯の場合、1名の人が個室に入り残りの人の負担が 厳しい状況になった場合は3段階にするなど、個別の措置を取っているので、まず説明 をして第4段階だった場合、更に個別の措置があるかどうかその段階で相談することに なる。  施設が全部わかっているわけでないので、市町村には、相談窓口をつくっていただき たいと思うし、国としても相談窓口をつくっていこうと思う。その上で、第4段階の人 についても契約内容を施設と議論していただき、契約していただければ、サービスを受 けられないことはないと考えている。  入所者や施設にはきちんと情報提供できるよう万全を期していきたいと思っている。 (永島委員)  市町村に説明する責任があるのか。 (山崎総務課長)  介護保険は市町村が保険者なので、まずは市町村が問合せに答えていくことになると 思う。 (花井委員)  事業者団体のヒアリングだが、予定されている団体以外も、こちらが提案すれば検討 いただけるのか。 (渡辺室長)  ヒアリング団体は、前回改定のヒアリング実績を参考に現行のサービス関連の事業者 にお願いしている。介護保険は関係する事業者が多いので、すべてヒアリングという形 にするか個別の意見を紹介する形にするか会長とも相談して考えたい。 (沖藤委員)  サービスの質、プロセス、機能といったときに、機能というのは具体的にどういうも のと考えればいいのか。  そして誰が評価するのか。ここには第三者評価が入るのか、市民団体も入れるのか。 それをどう反映させるのか。評価のシステムと機能について教えていただきたい。  次に、医療との連携といったとき、在宅のなかにはグループホームが含まれるのか。 (渡辺室長)  機能はサービスに求められるもで、例えば介護予防サービスにおけるリハビリテーシ ョンの機能などをいう。  評価は報酬上それをどう反映させるかという報酬の設計である。その評価について客 観的な指標が作れれば、報酬を付けるための条件として盛り込んでいくことができる。 まさにこの分科会で議論いただくところ。  グループホームは、医療との関係でいうと居住系サービスの位置づけになる。 (対馬委員)  今回、介護報酬改定と診療報酬改定がはじめて同時に改定されるなかで具体的にどう いうふうに影響しあうのかわかりにくいが、診療報酬改定も注視しながら議論すること が必要である。 (横山委員)  介護保険3施設、ショートステイ、デイサービスにおいては今回の大幅な改正に伴う 10月からの収支を是非参考にしていただきたい。  ユニット型個室については非常に厳しい状況になっている。9月に入り、利用者や家 族の説明会が各施設で行われているが、室料相当分としてどの程度設定していいのか。 ユニット型の場合、報酬減額分をすべて利用者に転嫁していいのか。転嫁すると、相当 高額な負担になるという戸惑いの声が寄せられている。  居住費と食事の見直しで、デイサービスやショートステイの利用に対する手控えが既 に出てきているのではないか。そのことで利用者の閉じこもり、介護過誤、介護放棄、 生活の質あるいはADLの低下といったものにつながらないか検証していただきたい。  特養ホームは、在宅介護の最後のよりどころであったが、この大きな負担増により若 干そういう感が遠のいた感じになってきている。介護の社会化や介護に伴う生活支援が 損なわれることがあってはならず、今回の改定にはその点に配慮をしていただきたい。  栄養ケアマネジメントのプランシートについて、日本栄養士会が中心になって研修が 行われているようだが、非常に繁雑で複雑な感じがする。現場で混乱が起きないよう に、標準的なフォームといったものを検討してほしいという声がある。 (三浦老人保健課長)  10月の改定によって経営上どのような影響があったかをできるだけ勘案しながら資 料を示し、検討いただきたいと考えている。  栄養ケア・マネジメントについては、算定要件などを具体的に示したい。個別にどの ようなシートを使うとか、どのようなアセスメントを行うかは算定要件にはならない。  いずれにせよ、わかりやすくこれらについて示していきたい。 (木下委員)  第4段階の所得は人によってかなり幅があると思うが、低い方でどれぐらいか。4段 階の人でも月に4万から7万円に増えることはかなり負担になると思うが。  介護保険3施設と有料老人ホーム等の自己負担がかなり近付くという説明があった が、介護保険施設とその他の施設が全く同じ負担になることにどういう意義があるの か。 (山崎総務課長)  確かに第4段階の人のホテルコスト等の議論になれば、有料老人ホームとどう違うの かという議論はあるかもしれない。しかし介護保険施設は特養も老人保健施設も療養所 も、所得の低い人から高い人まで全体を地域として受け止められるような機能があると 認識しており、今回の改正で介護保険施設の持っている役割自体が急に変わるものでな く、引き続き地域における受け皿としての役割は重要であると思う。 (渡辺室長)  第4段階の世帯の課税状況を見ると大体年金収入で266万程度、月々20万くらいの人 が一番下の層になる。  ただ、こういった層でも、例えば高齢夫婦2人暮らしで、片方が個室に入り残った人 の収入が非常に少なくなり、かつ資産がないというケースでは、個別に状況を見て1つ 下の段階に落とすといった配慮も行っている。 ○渡辺室長 介護予防ワーキングチーム中間報告の説明 (井形分科会長代理)  この報告では、かなり斬新な案もあり、また結論をこの分科会にお願いした内容もあ る。  サービスの対象になる軽度者の特性などを踏まえて、サービス提供に当たっての基本 的な視点を整理した。特に訪問介護、通所系サービス、福祉用具貸与の3大サービスに ついて各サービスの指定基準や介護報酬の在り方について検討をおこなった。  報告書では、軽度者の状態像を踏まえ、本人ができることは本人でという考えで、通 所系サービスを中心とした目的志向型のサービス提供が重要であること、地域密着型に ついては、地域包括支援センターが大きなウェートを占めることを指摘し、介護報酬に ついて時間単位の報酬から包括的な報酬することなどを提案、また成功報酬つまり目標 を達成したら何らかの形で報酬上評価するという発想を取り入れたので審議いただきた い。  この報告の視点を十分考慮いただき、新予防給付について、より効果的なものになる よう審議いただきたい。 (大森分科会長)  委員の皆様、短期間で集中検討をしていただき中間報告をまとめていただきましたこ とに改めて感謝申し上げたい。ありがとうございました。 (田中(滋)委員)  成功報酬という言葉は、個別案件について用いられる。例えば、裁判で勝ったら報酬 を得るなどが相当するが、ここでの提案は成功報酬ではなく事業者の運営評価である。 事業者がある目的を持ってサービスを一定期間行ったときに、どのくらいその機能を発 揮できたかどうかを評価するもの。例えば特定機能病院という機能を評価して点数が付 くなどに近い。  介護での成功報酬とは、個別の高齢者の状態がよくなることを評価することになる が、よくなる理由は事業者のサービスによるものとは限らず、家族の支援の在り方、本 人の体調や意欲なども影響してくる。  今回のものは、事業者が全体としてよりよいサービスをすることに対して組織として 評価すると私はとらえている。また、評価においては、客観数値を使うべきで、そうな るとある程度大数の法則が働く規模を基準として見ないといけない。 (池田委員)  介護予防をめぐっては非常に誤解が多いが、家事をしなければならいというのでな い、家事が嫌で投げ出すことを否定するのでなく、その場合の家事代行が保険給付され ないにすぎないだけ。その辺の説明が必要。介護予防の目標は生活モチベーションの回 復、それにより家事ができるようになるだけでなく人付き合いや余暇の楽しみをもてる ようになることも含んでいる。  介護予防マネジメントにおいては、地域包括支援センターの役割が非常に重要なもの になる。だが、安易にケアマネジャーに委託することができる構造になるとまた二の舞 いになる可能性がある。  ケアマネジャーは、要介護2以上の中重度のケアマネジメントに徹底しなければなら ない。要支援、要介護1に使われている費用を要介護2以上に注ぎ込み質の高いプラン をつくってもらう。ケアマネジャーが介護予防プランにまで手を出せば、そちらの仕事 に取られるし介護報酬もそれほど上げられなくなる。  地域包括支援センターの保健師が責任を持ってこのマネジメントをし、一部をケアマ ネジャーが手伝う。そのくらいきっちりとした枠組みをつくらないといけない。  通所系サービスについての2階建ての介護報酬について、1階の預かりの部分は比較 的薄めに、2階の予防部分は厚目にというのが介護予防推進という面から適切ではない か。  通所系と訪問系に分かれているが、それを包括払いとして利用を制限すると、片方し か使っていなかった人が両方使い始めることも考えられる。支給限度額やサービスの種 類別の支給限度額をどうするかについても再検討した方がいい。 (井部委員)  目的志向型サービスには目標の設定が重要で生活習慣、本人の機能や価値観も組み入 れなければいけない。  目標設定には本人もしくは家族が参画することが重要ではないか。  目的志向型サービスにはケアプランを立てる人の力量によるところが大きい。ケアプ ランをつくる人の発想の転換が求められる。  自立支援といっても何でも世話をすることがいい介護だというふうな文化的な側面が ある。本人ができることをやってもらうためには、見守るためのかなりの時間がかか る。  身体介護と生活援助の一本化はいいが、その中でケアを提供する者がバランスを取り ながらケアプランを変更するということが柔軟に行われることが非常に大切である。  もし今の段階でモデル事業で何か知見があったら披露していただきたい。 (三浦老人保健課長)  介護予防ケアマネジメントのモデル事業は現在行っているところ。 (木村委員)  新予防給付と地域支援事業の関係、地域支援事業でのケアマネジメントや新予防給付 のケアマネジメントはどこでだれがどの辺までやるのか、新予防給付で目標を達成した 後のことなどのイメージを示してもらわないと議論がかみ合わなくなる。 (渡辺室長)  介護予防ケアマネジメントの具体的なプロセスについては今モデル事業でやっている ものもあるので、次回に資料をそろえたい。 (花井委員)  要支援、要介護度区分が変更された後の支給限度額はどうなるのか。  通所を主軸としたプランを組み立てることは重要であるとのことだが、訪問介護をす ることが通所することの手段のような印象を受ける。訪問介護と通所の関係が固定的に 書かれているような気がする。  介護保険以外のサービスで代替できるものがあれば、それを優先してプランに組み込 んでいくべきなのか。その場合のプラン作成の報酬はどうなるのか。  地域包括支援センターで必置とされる主任ケアマネージャーの教育はいつから始まる のか。  ヘルパーの教育の問題について昨年の12月下旬に中間報告が出されたが、それ以降ど う進んでいるのか。 (三浦老人保健課長)  支給限度額について、要支援1と要支援2では身体的な状況が異なり、利用されるサ ービス内容も異なってくることから支給限度額は違ってくるのではないか。  要支援2と要介護1では、新予防給付か介護給付かという違いがあるので、この点か らも違ってくるのではないか。  通所系サービスと訪問介護との関係について、要支援者は廃用症候群の状態にあるか その恐れが高いということを想定しているので、生活をどのように活発化するかが大き な視点になるのではないかとの指摘をいただいた。通所であれば家に閉じこもることか ら脱却できる、あるいは予防できるという観点から通所系サービスを基本としている。  だからといって訪問介護が要らなくなるということではなく、通所系サービスを利用 するに当たっての支援をしていくうえで訪問介護が位置付けられている。両者それぞれ 協調しながら組み合わせて利用していくことになり、そのためにケアマネジメントが非 常に重要になってくる。  ケアマネジメントにおいて介護保険によるサービスのみならず、ボランティアなどに よるサービスなども含めてケアプランに盛り込むことが望ましいとされているので、そ の点では新予防給付においても同様であると考える。 (渡辺室長)  主任ケアマネージャーについては、新しい資格なので実際には18年度の後半くらいに なるかと思う。その間、代替し得るものとして、ケアマネジメントリーダー研修を受け ている者で一定のケアマネジメント経験のある者に代えることができる経過措置を設け ているので、18年4月からのスタートはそこで対応していくということになるだろう。 (田中(雅)委員)  ただ漠然としたサービスを提供するのではなく、介護現場のやる気を促し、介護の方 法、理念、支援方法を変えることが重要で、万全な介護を行うためにもこの目標達成度 に応じた報酬の設定は必要だと思う。  包括払いについて、パッケージ化していくことは重要であり、利用者がサービス内容 を自由に選べるなど柔軟な取扱いが可能となるようにすべき。また包括払いは、介護給 付においても検討すべき。  通所系サービスを中心とする考えについて、団塊の世代を中心とした人々は一方的に 指示され、指導され、生きていく人ではない。今回示されたデイサービスを主として訪 問介護を従とする考えは間違っているのではないか。  目標志向型サービスは、あくまで利用者の主体性があってのみ意味があるもの。明確 化された目標を設定し、高齢者にそれを指示、指導してもうまくいくわけない。  家事代行については非常に否定的にとらえられているが、暮らしの中でこそ自立型の 介護をおこなえる。また、生活援助において家事援助や生活支援の重要性は変わらない ことを確認してよろしいか。 (山崎総務課長)  この分科会で議論いただくものの一つ。確認という段階でなく議論いただくという部 分。 (村川委員)  介護予防通所介護、介護予防通所リハビリテーションの今後のサービスイメージで、 これまで展開されてきたサービスに選択的なプログラムを接合することはわかるが、本 来介護予防の通所サービスとしてあるべき議論がワーキングチームではあったのか。  通所介護にはリハビリテーションがない。リハビリテーションのサービスのサイドに はアクティビティがない。この介護予防通所介護の中に運動器の機能向上が置かれてい るが、そもそも、リハビリテーションが今後どうあるべきかの議論はあっていいのでは ないか。  通所リハビリテーションのサイドにアクティビティが欠落をしていることが果たして よいのか。 今後の質的な観点でのサービス向上を考えていくと単純にこれまでの通所サービスに新 しいプログラムを付けることでよいのか疑問。  訪問介護の一本化の流れにおいて、その担い手である訪問介護員の技術的なレベルで 一定の格差を設けてもいいのではないか。  介護予防マネジメントの担い手として、主任ケアマネージャーには相当勉強していた だかないといけない。地域における介護予防を考えるとリハビリテーションの職種とし て作業療法士等がいないと実効性が上がらないのではないか。 (矢野委員)  「本人のできることはできる限り本人が行うこと」を基本に効果的なプログラムで一 定期間に計画的に実行、評価して、その際、ケアプランに連動した到達目標を設定す る。この考え方を徹底することが介護予防の効果を上げていく道ではないか。  本人の自発性や努力の継続は要介護度の重い軽いに関係なく大事であり、サービスを 提供する側もそういう考えを持つ必要があり、介護報酬の基準を設定するときも必要で ある。それを制度的に取り上げることが可能かどうかという検証が必要ではないか。WT でそういう議論があったのかどうかを伺いたい。  財政効果の面についてはどう考えていくのか。また、サービスからの離脱ということ で、よくなって離脱していくことは結構であるが、重度化していく場合には、どう考え ていくのか。 (井形分科会長代理)  介護保険は保険料を払うことによって権利としてサービスが選択できることになって いる。そこは強制ではあり得ない。しかし、介護保険の理念が自立支援ということであ れば、やはり自立支援の方に了解を求めるように努力していくのが正しいのではないか というのが私たちの一般的な考え方でした。  サービスの離脱も随分議論があったが、 実際に離脱はあり得ても高齢者はいつかまた重症化する。そういうことも考えると、サ ービスで上がった効果の次に新しいサービスを考えることが大事で、サービス離脱とい う表現は余り適当ではないのではという議論があった。 (三浦老人保健課長)  ワーキングチームはこの介護給付費分科会における新予防給付の内容について技術的 な観点からの議論を支援するものであったので、報酬の水準なども含めて、財政面につ いては議論されていない。 (池田委員)  今、要支援、要介護1、軽度者が使っている保険給付は年間1兆2,000億円近い。総 給付の20%くらい。在宅給付に限ると8,500億円、在宅給付の3分の1。これをどうす るかは極めて大きな問題。常にコスト論議みたいなものを持っていないと、この介護予 防を議論するときに危険ではないか。介護予防というのは新しい展開なので、さまざま な可能性があり、さまざまな提案が出る。極めてマニアックなアセスメント表も出てお り、率直に言って、あんなものを使うと非常にコストがかかる。設計をしたとき、それ が一体どういう財政効果を示すか、ある程度こうするとこのくらいのお金の動きになる というようなものを私たちの議論がバランスを取れるようにするためにも随時提供して いただきたい。 (石井委員)  今回の新たに導入されるメニューの一つに口腔機能の向上があるが、通所の事業所は 今まで歯科医師があまり関わらなかったところでありどう関わればいいのか。  口腔機能の低下以前の段階として、高齢者の場合は進行した歯周疾患、入れ歯も入っ ていない放置された者がたくさんいる。ここを解決しなければ、口腔機能向上による介 護予防効果などというのは確実なものにはならない。  新たなサービスメニューの3つが機能すると大変効果があると思う。運動機能を向上 しようとしても栄養状態が悪い高齢者だと効果がない。栄養状態を改善するためには口 腔機能をきちんとしなければ効果がない。そのためにきちんとそれぞれが関わる仕組み をどうつくるかが重要。  口腔機能向上についての研修システムをどうつくっていくのか聞かせてほしい。  介護事業所にしても、市町村においても、リハ職以前に歯科衛生士の配置などは数字 にも出せないくらいの非常に低率な配置。口腔機能向上サービスは歯科衛生士等がする となっている。当然、歯科衛生士を口腔のケアの専門家として養成したり研修したりし ているが、ここの配置促進についてどう考えているのか。 (沖藤委員)  栄養改善における低栄養の計測は、在宅者に対してはだれが計測するのか。訪問看護 師がすると考えていいのか。  同居家族の心情において、特に低栄養という言葉は昔の栄養失調と絡み、ろくなもの を食わせていない、介護放棄しているのではないかということで、地域の手前、親戚手 前がある。その辺の秘密保持についてはどうか。 調理している家族にどう指導をするのか。ヘルパーが来るとしても同じ。 (三浦老人保健課長)  栄養改善、口腔機能の向上、あるいは運動器の機能向上などについての議論は、それ ぞれの個別のプログラムについては踏むのではなく、むしろ介護予防サービス、例えば 通所介護、あるいは通所リハビリテーションについてどのような報酬としての構造がふ さわしいのかということを議論いただいた。  したがって、個別の内容についての記載は余りないが、例えば重度者についても栄養 改善については重要ではないかという指摘があり、これらについては介護給付本体のサ ービスの提供にも反映されることが重要だというような意見が付いた。給付費分科会の 中での議論としてこういう議論は更に続いていくのではないかと考える。 (沖藤委員)  その検査をするのは、訪問看護師さんだと解釈していいのか。その分についての点 数、報酬等はどうなるのか。 (三浦老人保健課長)  一般的には多職種協働で行うことになるだろう。そのために極めて専門的な評価、診 断が必要な場合はともかく、例えば栄養状態であれば身長と体重から比較的容易に把握 できるのではとの専門家の意見もあったので、場合によっては本人も含めて行うことは 可能ではないか。 (沖藤委員)  本人のできることはできるだけ本人が行うというのは、男女共同参画社会の方向で取 り組んでいただきたい。ヘルパー泣かせの男性高齢者というのは結構いて、おまえはお れに命令するのかとか言って困らせる単身男性もおられるということなので。 (木下委員)  低栄養が直ちに悪だと短絡的に結び付けるのは非常に危険。  今日示されたケアプランの考え方について、アセスメント方法や目標の策定方法等が いつごろ示され、どう普及させていく予定なのか。この考え方が要介護者のケアプラン にも反映される方向にあるのか。 (三浦老人保健課長)  介護予防のケアマネジメントのモデル事業を行っているところなので、来月ぐらいを 目途にお示しいたしたい。  自立支援は、介護保険全体の理念であるので、目標志向型のケアマネジメントは重度 者のケアマネジメントを行う際にも重要な視点ではないかと思う。 それをまず軽度者のケアマネジメントにおいて行うというのが、今回の介護予防ケアマ ネジメントの位置付けであると考えている。 (見坊委員)  成功報酬という表現を見直していただきたい。なぜなら介護保険制度の創設段階の審 議でも成功報酬についてはおかしいということでこの言葉は使われなくなった。一般に 誤解のないような表現にしていただきたい。  介護予防サービスにおいて、「通所系サービス」を主軸として位置付けることは、在 宅指向のサービスに反すると思う。  やはり介護予防の第1は在宅において解決する。そこに関わるのはヘルパーとケアマ ネージャーであり、高齢者の生活環境、生活姿勢、意欲、態度といったものが原因で閉 じこもりになっているので、在宅において指導が行われることが必要。  そのことからもやはり介護予防訪問介護が主軸になるべきであり、通所系サービスは 第2の段階として位置付けることが本来の姿ではないかと感じる。  地域包括支援センターの設置の準備、動き、それと在宅介護支援センターとの関係が どのように今、動いているのか。そのことについての資料提供をお願いしたい。 (永島委員)  資料のなかの「「訪問介護」についても、長時間にわたる漫然としたサービス提供を 防ぎ」という文言は取っていただけないか。要介護度と要支援者の区別のところで、認 知症の予備軍がグレーゾーンで存在するので (大森分科会長)  全体として最終的にどういう文言でまとめるかが出たときに今の問題提起を受ける。 ○大森分科会長より閉会の宣言 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)