第17回多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議議事要旨


日時平成17年9月28日(水)14:00〜16:00
場所厚生労働省専用第21号会議室
出席者今野座長、荻野、小澤、川本、北浦、武石、加藤(田村氏代理)、成瀬、山極の各参集者
議題
 1 報告書(案)について
 2 その他

議事要旨 :
.事務局より資料説明後、意見交換(主な発言内容は以下のとおり)

 高年齢者が短時間勤務を行う場合は、「タイプI」(フルタイム正社員の所定労働時間を一時的に短くする)か、それとも「タイプII」(所定労働時間を恒常的に短くする)か。定年後の60歳から65歳の5年間と考えると難しいが、55歳くらいから段階的に短時間勤務を始めれば、「タイプII」に位置づけることは考えられる。

 「タイプI」については、現在でも既に導入している企業もあるが、「タイプII」については、これから導入する企業も増えてくるだろうということで、前向きに考えていくものである。2つのタイプには共通する部分も多くあるであろうが、報告書では2つに分けて展開する方がよい。

 「タイプI」というのは、期間の延長はあったとしても、あらかじめ終了時期が明確であるもの、「タイプII」は終了時期が不明確なものであると理解しているが、その考え方で言えば、労働条件等は、2つのタイプで分ける必要はさほど無いと思う。時間比例を徹底すれば、経営側も2つのタイプを特段区別する必要はないのではないか。

 「タイプI」はフルタイム勤務と短時間勤務を行き来できるもの、「タイプII」は短時間で働くための業務が用意されており、その業務自体が完結しているものと認識しているため、2つのタイプが全く同じ項目で括られるのではなく、「タイプII」は、各企業が短時間という働き方に何を求めているかをしっかり企業内で議論して雇用管理区分(内容)を決めていくというものではないかと思う。

 「タイプII」については、将来的にどこまで期待するかによって考え方が違ってくる。企業は、恒常的に短時間で働く人にどのような仕事を任せて、将来的にどのような地位につくことを期待するのかを決めておかなければならない。「タイプI」はもともとフルタイムで働いていた正社員が一時的に短時間勤務をするというものであるから、初めから設計を考えなければいけない「タイプII」とは明らかに異なる。

 均衡処遇が進んだパートタイム労働者と「タイプII」の違いは雇用契約期間だけか。現実には正社員と同等レベルの職務についているパートタイム労働者は勤続年数が長い場合が多いから、雇用契約期間問題も曖昧になっている。実態としては勤続10年くらいになっているパートタイム労働者については、契約上は更新しているが、企業は長期間使うことを想定している。「タイプII」と何が違うのかという話になってくる。

 パートタイム労働者と正社員との均衡処遇の話まで議論の対象にすると混乱してしまう。この会議ではあくまで短時間「正社員」ということで議論するものであり、ある程度理念の話でもある。区分管理をするという話を持ち出すから、短時間正社員とパートタイム労働者は何が違うのかという話になってしまうのであって、あまりそこを際立たせると、何のためにこの議論をしているのかわからなくなる。共通認識として、結果的に正社員みたいな働き方になってしまった人ではなく、短時間「正社員」として働く人の人事管理についてどうあるべきかということで議論を進めた方がよい。

 「タイプI」の「一時的」な期間の長さについて、この期間が短い場合と長い場合とでは人事管理の面で取扱いが異なることが考えられるが、短時間勤務の期間の長さについては企業によって異なってくるであろうから、あまり細かく例示するのではなく、その部分については企業内で十分話し合って決めるのが望ましい。

 時間管理については、マクロの話だけではなく、個別の話の中でも述べて欲しい。例えば、短時間勤務の人たちについても超勤が恒常化すると、何のために短時間の働き方になったのかという話になることが懸念される。

 「タイプII」については雇用管理区分が変わるのか、変わらないのかという議論もあるが、雇用管理区分とはどういうものかという共通認識を持っておかないと話はまとまらない。雇用管理区分ということまで言わなくても、「タイプII」は、例えば入社時から時間比例の初任給とし、そこから昇進・昇格していくものであるというように述べてはどうか。

 「タイプI」は育児・介護を理由とするもののイメージが強いので、それ以外の理由でも制度利用ができるものであるという部分をもっと押し出して、企業が導入したくなるようなものにするのが望ましい。

 事務局より、次回の日程について、10月17日(月)10:00〜12:00に開催する旨説明。


照会先:
 雇用均等・児童家庭局 短時間・在宅労働課 企画法規係
 電話03−5253−1111(内線7876)


多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議開催要綱


 趣旨
 多様な働き方を推進する多様就業型ワークシェアリングに取り組んでいくためには、企業の活力や経営効率・生産性を高め、雇用機会を拡大し、労働者がその能力を十分発揮できるようにし、多様な働き方が労使双方にとって適切な選択肢として位置付けられる必要がある。しかしながら、例えば短時間正社員制度を導入しようとすると、社会保険料をはじめとする人件費コストの増大への対応、業務の円滑な引継や分担の方法、その他解決すべき問題点が多く、企業においても導入になかなか踏み出せない現状にある。
 そこで、本検討会議では、多様就業型ワークシェアリングの業界、企業での普及促進を図るため、制度導入に当たって生じうる問題点及びそれに対する解決策をできるだけ具体的に提示し、当該企業における制度導入検討の際の参考に資することとする。

 構成等
(1)本検討会議は、雇用均等・児童家庭局長が企業の労務管理に詳しい学識経験者、実務者等の参集を求めて開催する。
(2)本検討会議には、必要に応じ、関係者の出席を求めることができる。
(3)座長は、構成員が互選し、座長代理は座長が指名する。

 検討事項
 本検討会議では、以下の事項について検討を行う。
(1)多様就業型ワークシェアリングを企業に導入する場合の選択肢の検討
(2)(1)で得られた各選択肢について、制度導入に当たって生じうる問題点のピックアップ
(3)(2)の問題点に対する解決策の検討(利用しうる既存の助成金の精査を含む)
(4)その他、多様就業型ワークシェアリングの導入を後押しすると考えられる事項の検討

 運営
 本検討会議の庶務は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課にて行う。



多様就業型ワークシェアリング制度導入実務検討会議参集者名簿

平成17年9月28日現在
  氏名 役職
今野 浩一郎 学習院大学経済学部経営学科教授
  荻野 勝彦 トヨタ自動車(株)人事部企画室担当部長
  小澤 明子 日本サービス・流通労働組合連合中央執行委員
  川本 裕康 日本経済団体連合会労働政策本部長
  北浦 正行 社会経済生産性本部社会労働部長
  武石 恵美子 (株)ニッセイ基礎研究所上席主任研究員
  田村 雅宣 日本労働組合総連合会総合労働局中小労働対策局長兼労働条件局長
  土田 道夫 同志社大学法学部・法科大学院教授
  成瀬   豊 全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会書記次長
  山極 清子 (株)資生堂CSR部次長
(敬称略・50音順、○は座長)

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