第93回ILO総会の概要



【会期・場所】平成17年5月31日(火)〜6月16日(木)、ジュネーブ

【主な出席者】
 政府側戸苅厚生労働事務次官、恒川厚生労働省総括審議官、
村木厚生労働省国際課長
 労働者側草野連合事務局長、中嶋連合総合国際局長(ILO理事)
 使用者側立石日本経団連国際労働委員会委員長、矢野日本経団連専務理事、
鈴木日本経団連国際協力センター参与(ILO理事)


【主な議題】
.ILOの2006-07年計画・予算
 本会議で賛成多数で事務局案が可決された。(日本政府は棄権票を投じた。)
 ・予算額:594百万US$(12.2%増)/743百万SF(4.7%増)

.事務局長報告に関する討議
 事務局長報告「確実な進展と更なる前進」に応える形で、各国大臣、政労使代表らによる演説が行われた。我が国からは、戸苅厚生労働事務次官、中嶋連合総合国際局長、立石日本経団連国際労働委員長がそれぞれ政労使を代表して演説を行った。

.グローバルレポート
 本年は「強制労働」をテーマとして、労働における基本的原則と権利に関するILO宣言のフォローアップ審議が行われた。

.条約勧告適用委員会(監視機構の一つ)
 条約勧告適用専門家委員会の報告をもとに、各国の条約の適用状況等について審議が行われた。一般調査として、労働時間に関する議論が行われたほか、個別審査が行われたが、日本の条約の適用状況については取り上げられなかった。
 ミャンマーの強制労働問題に関しても特別セッションが開催され、同国に対する制裁には至らなかったものの、2000年になされた決議が各国に求めるミャンマーとの関係の点検を実施、強化すべきとの結論がまとめられた。

.労働安全衛生(一次討議)
 2003年の総会に続き、労働安全衛生分野に関する議論が行われた。来年の総会において労働安全衛生の枠組に関する条約策定に向けた二次討議が行われる予定。

.漁業部門における労働(二次討議)
 漁業部門における労働に関する条約の討議が行われたが、漁船の設備基準等について意見の隔たりが埋まらず、本会議での投票において使用者の大多数及びアジア地域の多くの政府が棄権票を投じたため、定足数を満たさず成立しなかった。2年後に再度議論される予定。(日本の政府及び使用者は棄権票を投じた。)

.若年者の雇用及び能力開発の促進(一般討議)
 若年失業者の増加が国際社会における関心を集める中、「ディーセント・ワーク」の視点を考慮した若年者の雇用及び能力開発の促進に関する議論が行われ、若年者雇用に関する様々な労働基準キャンペーン(啓発活動)を各国において強化していく必要性が確認された。

.理事選挙
 3年に一度の理事選挙が行われ、政府側28ヶ国(日本など常任理事国10ヶ国を含む)、労働者側理事14人、使用者側理事14人が選出された。
 我が国からは労働者側理事として中嶋連合総合国際局長が、また、使用者側理事として鈴木日本経団連国際協力センター参与がそれぞれ再選された。

.アジア太平洋労働大臣会合
 「生産性向上、雇用成長と雇用開発のための技能」をテーマに議論が行われた。我が国の戸苅厚生労働事務次官が議長を務めた。

0.その他
 第93回ILO総会に続き6月17日に第293回ILO理事会が開催され、議長等、理事会の各種付属委員会の新委員の選任等が行われた。

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