今後の生活習慣病対策の推進について
(中間とりまとめ)

目次


 はじめに


 これまでの生活習慣病対策の現状と課題

 (これまでの生活習慣病対策の展開)
 (「健康日本21」中間評価における暫定データから見た現状)
 (生活習慣病対策を推進していく上での課題)


 今後の生活習慣病対策の基本的な方向性

I  「予防」の重要性・効果の再認識
 〜メタボリックシンドロームの概念を導入した対策の推進〜

II  科学的根拠の不断の集積
 〜エビデンスに基づく施策展開と事業の実績評価の推進〜

III  生活習慣改善の効果的なプログラムの開発と普及
 〜ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの相乗効果〜

IV  個人の取組を社会全体で支えるための責任・役割の明確化
 〜都道府県の役割強化と産業界も含めた関係者との連携促進〜


 今後の生活習慣病対策における具体的な対応方針

I  健康づくりの国民運動化(ポピュレーションアプローチ)
(1) メタボリックシンドロームの概念の普及定着
(2) 「健康日本21」の代表目標項目の選定
(3) 具体的な施策プログラムの提示
〜「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」〜
(4) 産業界も巻き込んだ国民運動の戦略的展開

II  網羅的・体系的な保健サービスの推進(ハイリスクアプローチ)
(1) メタボリックシンドロームの概念に基づく健診・保健指導の導入
(2) 若年期からの健診・保健指導の徹底
(3) 健診機会の段階化と保健指導の階層化
(4) 保健指導プログラムの標準化
(5) 健診項目の重点化、精度管理の徹底等

III  糖尿病・循環器病対策

IV  がん対策

V  生活習慣病対策の推進体制
(1) 生活習慣病対策の推進に向けた関係者の責務と役割
(2) 医療保険者による保健事業の取組強化
(3) 健康づくりに関する都道府県の総合調整機能の強化と都道府県健康増進計画の内容充実
(4) 保健指導のアウトソーシング
(5) 保健サービスのアウトカム評価の実施
(6) 市町村の保健師、管理栄養士等の役割


 最後に



今後の生活習慣病対策の推進について
(中間とりまとめ)

平成17年9月15日

厚生科学審議会
地域保健健康増進栄養部会

 はじめに

 我が国の平均寿命は、戦後、公衆衛生の改善や医学の進歩により急速に延伸し、今や我が国は世界有数の長寿国となり、健康寿命についても世界保健機関(WHO)の算出では世界一となっている。

 しかし、急速な人口高齢化の進展に伴い、疾病構造も変化し、疾病全体に占めるがん、虚血性心疾患、脳血管疾患、糖尿病等の生活習慣病の割合は増加し、死亡原因でも生活習慣病が約6割(がん31.0%、虚血性心疾患15.5%、脳血管疾患13.3%、糖尿病1.3%、高血圧性疾患0.6%)を占め、医療費に占める生活習慣病の割合も平成14年度で9.8兆円(内訳は、高血圧性疾患2.7兆円、がん2.5兆円、脳血管疾患2.0兆円、糖尿病(合併症を含む)1.8兆円、虚血性心疾患0.8兆円)、国民医療費の約3割となっており、医療保険に係る国民の負担も増加している。また、生活習慣病の重症化等の結果として、介護保険財政にも影響を与えることになっている。

 生活習慣病の中でも、特に、心疾患、脳血管疾患等の発症の重要な危険因子である糖尿病、高血圧症、高脂血症等の有病者やその予備群が増加しており、例えば、平成14年で糖尿病と強く疑われる人は740万人、糖尿病の可能性を否定できない人を合わせると1,620万人に上り、5年間で約2割の増加となっている。

 本格的な健康づくり対策は、昭和53年からの第一次国民健康づくり対策、昭和63年からの第二次国民健康づくり対策を経て、平成12年に「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」が策定され、現在、その進捗状況等について中間評価の作業を進めているところである。

 この間、平成8年12月には、公衆衛生審議会の「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について(意見具申)」において、それまでの加齢に着目した疾患群を指す「成人病」とは異なる概念として、生活習慣に着目した「生活習慣病」という概念を導入することとし、「生活習慣病」という観点から疾病を横断的に整理し、社会全体として「生活習慣病」を予防するための環境整備等の取組の必要性が指摘されている。

 その後、平成14年には、「健康日本21」を中心とする国民の健康づくり・疾病予防を更に積極的に推進するための法的基盤として健康増進法が制定された。

 さらに、平成16年5月、与党幹事長・政調会長会議において、「健康フロンティア戦略」がとりまとめられ、政府としても、これを受け、健康寿命の2年程度の延伸を目指し、(1)「働き盛りの健康安心プラン」、(2)「女性のがん緊急対策」、(3)「介護予防10カ年戦略」、(4)「健康寿命を伸ばす科学技術の振興」を政策の柱に、平成17年度から10年間、重点的に政策を展開することとなっている。

 こうした状況の中で、昨年10月以降、本部会では、「健康日本21」の中間評価の作業を進めるとともに、これまでの生活習慣病対策(一次予防、二次予防、推進体制)の現状と課題及び今後の方向性について、計11回の審議を行ってきたところである。本年7月の部会での議論の整理を踏まえ、これまでの生活習慣病対策の問題点と課題を明らかにした上で、今後の生活習慣病対策の方向性として、
健康づくりの国民運動化(ポピュレーションアプローチ)
網羅的・体系的な保健サービスの推進(ハイリスクアプローチ)
医療保険者と都道府県の取組強化(生活習慣病対策の推進体制)
等について、このたび中間とりまとめを行うこととした。
 今後、「健康日本21」の中間評価作業の更なる進捗状況や、医療制度改革その他の関連する制度改正の動向を踏まえ、医療、介護といった社会保障全体の枠組みの中での生活習慣病対策の在り方について、さらに具体的な対応を検討していく必要がある。

(関連する制度改正の動向)

介護保険制度改革と老人保健事業の見直し
介護保険法の基本理念である「自立支援」をより徹底する観点から、新予防給付の創設や地域支援事業の創設等による予防重視型システムへの転換等を柱とする介護保険法の一部改正法が本年6月に成立し、基本的に平成18年度からの施行となっている。
また、平成16年10月には、老人保健事業の見直しに関する検討会の中間報告がとりまとめられ、「健康な65歳」から「活動的な85歳」を新たな目標とすることなどが提案され、「国においては、関連する制度等の改正も含め、本事業の見直しを全省的な取組として進めることを期待する」こと、「特に、介護予防対策については、介護保険制度の見直しに関する進捗状況を踏まえ、本事業の見直しの方向性と整合性を図りながら、具体的な方策について検討を行うべきである」こととされている。

三位一体の改革
三位一体の改革の議論を踏まえ、市町村国民健康保険財政の安定化における都道府県の役割・権限の強化を図るため、平成17年度から、国民健康保険に係る都道府県への財政調整権限の移譲と給付費に対する都道府県負担の導入を行うこととされた。
また、市町村が実施する老人保健事業の負担金については、一般財源化の提案が地方6団体から提出されている。

医療制度改革
医療制度改革の検討の中で、より若年期からの生活習慣病対策の充実強化が重要課題の一つとされており、国民の生活の質(QOL)の向上を通じた医療費適正化方策として、医療機関の機能の分化・連携による平均在院日数の減少や在宅における医療サービスの充実といった対策に加え、中長期的な観点から、保健事業の積極的な取組等による生活習慣病対策の充実強化について検討が必要である。
医療提供体制については、社会保障審議会医療部会において、医療計画の見直し等を含む中間まとめが、本年8月1日にとりまとめられた。


 これまでの生活習慣病対策の現状と課題

(これまでの生活習慣病対策の展開)
 昭和53年からの第一次国民健康づくり対策では、市町村保健センター等の整備や保健師、管理栄養士等のマンパワーの確保等の生活習慣病対策に係る基盤が整えられたほか、老人保健事業の創設等により40歳以上のすべての国民に対する健診等の機会の確保などが図られた。
 また、昭和63年からの第二次国民健康づくり対策では、運動所要量・運動指針の策定、マンパワーの確保、健康増進施設の認定など、それまで対策の遅れていた運動習慣の普及に重点を置いた事業の推進が図られた。

 平成12年からの「健康日本21」においては、健康づくり施策の世界的潮流も踏まえ、健康寿命の延伸等を実現するため、健康づくりに向けた国民運動について以下の基本的な方向を提示するとともに、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病等の生活習慣病やその発症・進行に関与している生活習慣の改善等に関する課題を選定し、栄養・食生活、身体活動・運動、休養・こころの健康づくり、たばこ、アルコール、歯の健康、糖尿病、循環器病、がんの9分野において計70項目にわたる具体的な目標を提示している。

(1) 一次予防の重視
 疾病の早期発見・治療にとどまることなく、生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等の発症を予防する「一次予防」に重点を置いた対策を推進。
(2) 健康づくり支援のための環境整備
 健康の実現は、個人が主体的に取り組むべき課題であるが、家庭、地域、職場等を含めた社会全体としても、個人の取組を支援していくことが不可欠。
(3) 目標の設定と評価
 多くの関係者が共通の認識を持った上で、課題を選択し、科学的根拠に基づく具体的目標を設定するとともに、諸活動の成果を適切に評価し、取組に反映させることが必要。
(4) 多様な関係者による連携のとれた効果的な運動の推進
 多様な経路による情報提供の推進やライフステージ等に応じた取組の推進のため、国、都道府県、市町村、健康増進事業実施者、医療機関その他の関係者が連携・協力した取組の推進が必要。

 その後、「健康日本21」を中心とする健康づくり施策を推進する法的基盤として、健康増進法が制定され、上記の「健康日本21」の基本方針等は、法律に基づく「国民の健康の増進のための総合的な推進を図るための基本的な方針」として位置付けられた。また、都道府県や市町村で策定されていた「健康日本21」地方計画が法律に基づく地方健康増進計画として位置付けられ、都道府県には策定義務、市町村には努力義務が明記されたほか、生涯にわたる国民の自主的な努力を促進するため、健康増進事業実施者による健診の実施等に関する事項について、厚生労働大臣が「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針」(以下「健診指針」という。)を定めることとされた。さらに、従来の国民栄養調査の内容に生活習慣の状況に関する調査を加え、国民健康・栄養調査として内容の拡充が図られたほか、多数の者が利用する施設の管理者に対し受動喫煙の防止措置を採る努力義務が明記された。

 平成16年5月の「健康フロンティア戦略」では、生活習慣病対策について、(1)がん対策で5年生存率を20%改善、(2)心疾患対策で死亡率を25%改善、(3)脳卒中対策で死亡率を25%改善、(4)糖尿病対策で発生率を20%改善という具体的な数値目標が掲げられ、平成17年度から10年間、重点的に政策を展開することとされている。

(「健康日本21」中間評価における暫定データから見た現状)
 「健康日本21」中間評価における暫定データからは、例えば、肥満者の割合や野菜摂取量、日常生活における歩数のように、「健康日本21」の策定時のベースライン値より改善していない項目や悪化している項目が見られるなど、これまでの進捗状況は必ずしも十分ではない点が見られる。
(1) 栄養・食生活
中高年の男性の肥満者の割合が増加傾向にあり、30歳代から60歳代の男性の約3割が肥満者となっている。
食塩摂取量や脂肪エネルギー比率は若干低下傾向を示しているが、野菜摂取量は1日350グラムという目標に向けた増加傾向は見られていない。
(2) 身体活動・運動
日常生活における歩数は2010年までに、男性9,200歩、女性8,300歩といった目標があるが、策定時に比べむしろ減少している。
運動習慣者の割合は、男女とも20歳代から50歳代では必ずしも増加していない。
(3) たばこ
成人の喫煙率のうち、男性の喫煙率は減少傾向にあるが、女性の喫煙率の減少傾向は認められていない。女性では20歳代の喫煙率が最も高く、約2割となっている。
(4) 糖尿病
糖尿病の可能性を否定できない人の割合は男女とも増加傾向にあり、糖尿病と強く疑われる人と糖尿病の可能性を否定できない人を合わせると1,620万人に上っている。
糖尿病有病者の治療継続率は増加していない。
(5) 循環器病
循環器病による死亡率に影響を与える高血圧、糖尿病といった危険因子は特に中高年男性で改善していない。また、高脂血症は、男女とも改善していない。
(6) がん
がん検診については、受診率に都道府県間で大きな格差があり、がんの部位による差はあるものの、総じて受診率は低い状況にある。

(生活習慣病対策を推進していく上での課題)
 こうした現状を踏まえると、今後、生活習慣病対策を推進していく上で、以下のような課題があり、こうした課題を克服するため、生活習慣病対策の見直し・充実強化を図っていくことが求められている。

(1) 一次予防施策の課題
(健康に関する情報の氾濫)
健康に関する国民の関心の高まりもあり、健康に関する情報がマスコミやインターネット等を通じ幅広く提供されているが、情報が溢れている感があり、かえって正しい情報を見分けることが困難な状況となっている。健康に関心のない者も含め、生活習慣病の特性や生活習慣改善のための具体的な対応方法等についての正しい情報がわかりやすく提供される環境整備が必要である。
正しい知識の普及の観点からは、その基礎となる科学的知見について、例えば、運動所要量は平成元年に策定されて以来、見直しが行われていないなど、国としても科学的知見の整理・提供が必ずしも十分でない面があった。

  (日常生活で意識されるには目標項目を絞り込むことが必要)
「健康日本21」の9分野70項目の目標は、各分野の健康づくり施策の指標等としてはいずれも重要であるが、個人の具体的な行動変容を促す国民運動の目標としてはいささか総花的な観があり、国民が日々の生活で意識するには多過ぎることから、例えば、野菜の摂取量や日常の歩数といった国民が日常生活で絶えず意識して行動すべき目標についても必ずしも十分には浸透していない一因となっている。

  (ターゲットが必ずしも明確ではなく、具体的な施策プログラムも不十分)
「健康日本21」の目標の多くは性別や年齢等を絞ったターゲットとすべき対象が示されていないほか、各分野の目標達成に向けた具体的な施策プログラムも十分には提示されていないことから、これまでの健康づくり施策は一般的な普及啓発活動が中心となっており、個人の具体的な行動変容、健康な生活習慣の獲得に必ずしも結びついていない。
このため、栄養施策、身体活動・運動施策、たばこ対策などの各分野について、ターゲットを明確にした上で、効果的なプログラムの提示が必要である。また、個人に着目すれば栄養や運動などに関するサービスが一体的に提供されることが望ましいものの、こうした総合的な対応が不十分である。

  (個人の取組を支援する社会全体としての環境整備が不十分)
生活習慣病に係る情報の普及啓発については、多様な経路による情報提供が重要であり、マスコミを通じた広報や民間事業者との連携の重要性はこれまでも指摘されてきているが、これまでの普及啓発は行政や外郭団体の取組が中心であり、産業界を含めた社会全体としての活動に至っていなかった。
例えば、スーパーマーケット、コンビニエンスストアやレストラン等の食品関連産業やフィットネス業界、健康関連機器業界などの産業界においても、健康づくりの観点からの情報提供が広がりつつあり、健康に関心のない者も含めた幅広い層を対象としたポピュレーションアプローチの一層の推進のためには、信頼性の乏しい情報が氾濫しないよう環境整備を図りつつ、こうした産業界の取組との一層の連携が不可欠である。

(2) 二次予防施策の課題
(生活習慣病予備群の確実な抽出と保健指導の徹底が不十分)
生活習慣病予防では、普段からの健康管理とともに、健診により生活習慣病の予備群を確実に抽出し、早期に発見することが重要であるが、健診・保健指導については、老人保健法、労働安全衛生法、医療保険各法などそれぞれの法律に基づき、市町村、事業者、医療保険者等がそれぞれ実施していることから、各実施主体の責任や役割分担が不明確であるとともに、各実施主体間の連携も不十分であり、対象者・未受診者の把握や受診勧奨等が徹底されていない。とりわけ被扶養者や自営業者の受診率は低い現状にある。
また、健診は受けるだけでなく、特に予備群については、健診の結果に応じた適切な保健指導等により生活習慣を改善していくことが重要であるが、現状は必ずしも健診受診後の保健指導が十分には行われていない。

  (若年期から生涯を通じた健康管理が不十分)
現行の老人保健事業では40歳以上の者が対象となっているが、生活習慣病予防の観点からは、より若年期からの対応について検討が必要である。
転職、退職等に伴い、健診の実施主体が異なった場合、健診結果等のデータが継続されないことも、生涯を通じた健康管理、保健指導の継続性といった観点から問題を残している。

  (科学的根拠に基づく健診・保健指導の徹底が必要)
疾病の早期発見といった観点から、従来からの健診項目の有効性についても、改めて検証が必要である。
健診の検査項目等が制度間、実施主体間で異なっているほか、ライフステージや個人の健康課題に対応した健診項目となっていない。
行動変容につながる動機付け支援も含めた保健指導プログラムの標準化が十分にはなされていない。

  (健診・保健指導の質の更なる向上が必要)
健診の精度管理については、健診指針において内部精度管理及び外部精度管理の適切な実施に関する一般的な記述はあるが、健診の精度管理がすべての事業者で適切に行われる仕組みは整備されていない。
健康度の改善等の観点からの健診・保健指導の事業実施の評価が十分に行われていない。

(3) 推進体制の課題
(国としての具体的な戦略やプログラムの提示が不十分)
「健康日本21」において全国的な目標値は提示しているものの、その達成に向けた具体的なプログラム、関係者間の具体的な役割分担や連携の在り方といった点について、国による提示が不十分であり、地方公共団体、医療保険者、民間団体等がそれぞれの目標、プログラム等をもってそれぞれバラバラに事業を展開している実情にある。

  (医療保険者、市町村等の責任・役割分担が不明確)
現在、健診、保健指導等については、医療保険各法に基づき医療保険者、老人保健法等に基づき市町村、労働安全衛生法に基づき事業者等がそれぞれ実施している。健康増進法の制定の際、各健康増進事業実施者(医療保険者、市町村、事業者等)に共通する指針として、健診指針を策定し、この健診指針と調和をとった各実施主体の指針等も策定されているが、対象者が重なる中で、健診・保健指導の実施に係る医療保険者と市町村等の責任・役割分担が不明確となっており、特に被扶養者、自営業者を中心に未受診者の把握や受診勧奨、保健指導が徹底されない一因になっている。

  (関係者を総合調整する都道府県の役割が不十分)
医療保険者、市町村、民間事業者等の関係者間の役割分担と連携強化のためには、都道府県の総合調整機能が十分に発揮される必要があるが、現状では必ずしも十分に発揮されているとは言い難い。
こうしたことは、都道府県健康増進計画の内容に典型的に表れており、例えば健診受診率の目標は市町村が老人保健事業で実施する健診のみを目標とし、職域での健診は目標に含めていない場合があるほか、目標達成に向けた各主体が取り組むべき具体的な施策が盛り込まれていないなど、具体的な事業計画となっていない。

  (現状把握、施策評価のためのデータ整備が不十分)
地域レベルでの健康関連データの把握が必ずしも十分ではないため、データに基づく目標の設定や、事業実施の効果の定量的評価が十分ではない。
また、医療保険者、市町村等の各健康増進事業実施者においても、健診・保健指導の実施等による事業の効果について、十分なデータの蓄積や分析評価がなされていない。


 今後の生活習慣病対策の基本的な方向性
〜国民の健康づくりに対する意識の高まりを具体的な行動変容に結びつけるために〜

I  「予防」の重要性・効果の再認識
〜メタボリックシンドロームの概念を導入した対策の推進〜

 「健康日本21」では、一次予防を重視した取組を推進してきたが、健康に関心のある人が自主的に行う健康づくりの支援にとどまらず、健康に関心のない人や、生活習慣病の「予備群」でありながら自覚していない人に対し、「予防」の重要性や生涯にわたる個人の健康や生活の質(QOL)の向上に資する効果を認識してもらうため、社会全体として支える環境整備が必要である。

 平成17年4月に、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本肥満学会、日本循環器学会、日本腎臓病学会、日本血栓止血学会、日本内科学会の8学会合同で疾患概念と診断基準を示した「メタボリックシンドローム」は、内臓脂肪型肥満を共通の要因とした高血糖、脂質異常、高血圧を呈する病態であり、それぞれが重複した場合は、虚血性心疾患、脳血管疾患等の発症リスクが大きく、内臓脂肪を減少することでそれらの発症リスクの低減が図られるという考え方を基本としている。

 実際に肥満者の多くが、糖尿病、高血圧症、高脂血症などの複数の危険因子を併せ持っていること、危険因子が重なるほど心疾患、脳血管疾患を発症する危険が増大すること、運動習慣の徹底と食生活の改善を中心とした生活習慣の改善により内臓脂肪を減少させることで高血糖、高血圧、高脂血といった危険因子のすべてが改善することといった科学的根拠を踏まえれば、今後、メタボリックシンドロームの考え方を取り入れた生活習慣病対策を推進し、国民や関係者の「予防」の重要性に対する理解の促進を図っていくことが有効と考えられる。
 なお、糖尿病、高血圧症、高脂血症などの中には、メタボリックシンドロームに整理されないものも含まれることに十分留意が必要であり、メタボリックシンドロームの予防のみを進めればいいということではなく、それぞれの病態に応じた対策も当然必要となる。

 こうした観点から、メタボリックシンドロームの概念や生活習慣病予防の基本的な考え方等を国民に広く普及するポピュレーションアプローチを積極的に推進していく必要がある。

 また、従来、二次予防は「健診による早期発見と早期治療」と定義されることが多いが、健診は「疾病」の発見だけでなく、「リスク」の発見のツールであることも再認識し、メタボリックシンドロームとしての生活習慣病には至っていない「予備群」を健診で早期に発見し、治療が必要となる状態に至る前に、保健指導を徹底し、生活習慣の改善を促すハイリスクアプローチをこれまで以上に充実強化させていく必要がある。

 さらに、生活習慣病の予防は、個人の健康度の改善や生活の質(QOL)の向上にとどまらず、国民の健康寿命の延伸や、さらに、特に若年期からの予防の徹底が医療費の適正化にもつながっていくことを、社会全体として積極的に評価していくべきである。

II  科学的根拠の不断の集積
〜エビデンスに基づく施策展開と事業の実績評価の推進〜

 最新の科学的知見を実際の健康づくり施策や保健事業に反映させていくため、国の役割として、生活習慣病に関する研究や調査の成果を専門家の力を借りてできる限り速やかに整理して、食事摂取基準や運動所要量といった形で提示し、それに基づく具体的施策を展開できるようにしていくとともに、新しい科学的知見を不断に集積し、必要に応じ適宜見直しを行っていくことが必要である。
 生活習慣病に関する研究については、平成17年度から5か年計画で開始した糖尿病に関する大規模戦略研究や、平成17年度から実施している疾病予防に関する研究等の成果を速やかに整理し、施策に活用していくことが重要である。

 生活習慣病対策の企画立案、評価等の基礎となる国民健康・栄養調査その他の統計調査については、(1)現状の把握、(2)目標値の設定、(3)事業の実績評価といった、効果的な施策を展開する上で重要である。こうした国における取組だけでなく、各都道府県においても、地域の健康課題を抽出した上で、都道府県健康増進計画に具体的目標を示し、地域全体の生活習慣病対策の進捗状況を定期的に評価していくためには、都道府県単位で実施されている健康・栄養調査等を充実させ、地域の状況を的確に把握・評価する体制を整備していくことが必要である。

III  生活習慣改善の効果的なプログラムの開発と普及
〜ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの相乗効果〜

 生活習慣病の「予備群」の発症予防を徹底するためには、健康に関心のない人や予備群でありながら自覚していない人も含め、広く対象とするポピュレーションアプローチと、生活習慣病の「予備群」が治療を必要とする状態に陥る前に早期に発見し生活習慣の改善を促すハイリスクアプローチを適切に組み合せて対策を推進していくことが必要であり、これにより相乗効果が発揮できる。

 ハイリスクアプローチでは、健診は「疾病」の発見にとどまらず予備群の「リスク」を早期に発見するためのツールであることと、健診後の保健指導に確実につなげ、生活習慣の改善を実現するかが重要であることを再認識し、保健指導を中心に据えた一体的なサービスとして捉え直すことが必要である。特に、安易に投薬や治療に頼り、生活習慣が改善されず、不健全な生活習慣が維持されれば根本的な解決にはならないことを、広く国民に理解してもらうことが必要である。

 また、生活習慣の改善については、「節食や楽しくない運動」といったつらいことというイメージではなく、「バランスの良い楽しい食事や日常生活の中での適度な運動」といった良い生活習慣は気持ちがいいという快適さや達成感をいかに実感してもらうかが重要である。また、生活習慣を改善したいと思った者が無理なく、身近で、継続して取り組むことができる環境整備として、例えば、インターネット等のITの活用などによる職域等での身近な支援方策、地域における住民の主体的な取組の支援手法などを含めた各種のプログラムを確立し普及を図っていくべきである。
なお、インターネット等による情報提供については、信頼性の乏しい情報が氾濫しないよう、正しい情報がわかりやすく提供される環境整備が必要である。

IV  個人の取組を社会全体で支えるための責任・役割の明確化
〜都道府県の役割強化と産業界も含めた関係者との連携促進〜

 個人の健康の実現のための一人一人の主体的な取組を社会全体で支援していくためには、多様な関係者の連携が重要であることはこれまでも指摘されてきたが、現実には必ずしも十分に連携が図られているとは言い難い。具体的に連携を進めていくためには、まず、関係者それぞれの責任・役割分担を明確にした上で、役割分担に基づいた具体的な施策ごとの連携方策を検討していかなければ、責任を譲り合う、又はそれぞれができる部分のみ対応するといった体制に陥ってしまうおそれがある。

 特に、ハイリスクアプローチについては、健診や保健指導を老人保健法、医療保険各法、労働安全衛生法などそれぞれの法律に基づき、市町村、医療保険者、事業者等がそれぞれ実施していることから、各実施主体の責任と役割分担を明確にすることが必要である。
 また、今後は、未受診者の把握、保健指導の徹底、医療費適正化効果まで含めたデータの分析・評価といった観点から、医療保険者による保健事業の取組強化を図っていくことが必要である。
 さらに、こうした多数の関係者間の役割分担と連携を進めていくためには、各関係者の協議の場を設け、総合調整を行う主体としての都道府県の役割が重要であり、都道府県の生活習慣病対策における役割強化が必要である。

 また、今後需要の増大が見込まれる保健指導の質と量双方の確保のためには、個々人のニーズに対応した専門的な保健指導を担える質の高い人材の確保、身近で効果的な保健指導を受けられる「場」の整備、そして、楽しみながら継続できるプログラムの開発が不可欠である。


 今後の生活習慣病対策における具体的な対応方針

 上記の基本的な方向性を踏まえ、具体的には以下のような対策を推進していく必要がある。なお、今後、「健康日本21」中間評価の作業の進捗状況を踏まえ、必要に応じ、具体的な対応を更に検討していくことが求められる。

I  健康づくりの国民運動化(ポピュレーションアプローチ)
 メタボリックシンドロームの概念や生活習慣病予防の基本的な考え方等を国民に広く普及し、生活習慣の改善、行動変容に向けた個人の努力を社会全体として支援する環境整備を進める。

(1) メタボリックシンドロームの概念の普及定着
 メタボリックシンドロームは、それぞれの病態が別々に進行するのではなく、「ひとつの氷山から水面上に出たいくつかの山」のような状態であり、投薬だけでは「氷山のひとつの山を削る」だけであることから、根本的には運動習慣の徹底と食生活の改善などの生活習慣の改善により「氷山全体を縮小する」ことが必要である。
 安易に薬に頼るのではなく運動習慣の徹底と食生活の改善が基本といった考え方を国民に広く普及するとともに、生活習慣改善の達成感や快適さを実感し、「バランスの良い楽しい食事や日常生活の中での適度な運動」といった良い生活習慣は気持ちがいいものということを再認識し、継続した取組を支援する環境整備が重要である。
 なお、今後、メタボリックシンドロームの概念を国民に広く普及していく上で、関係学会等とも連携し、よりわかりやすい呼称も検討していくことが必要である。

(2) 「健康日本21」の代表目標項目の選定
 生活習慣病予防のためには日常生活において具体的に何に取り組めばいいのか、といったことを国民にわかりやすい形で示すためにも、「健康日本21」の9分野70項目の目標の中から選定した21の代表目標項目(別添2参照)を普及啓発に積極的に活用することが必要であり、各都道府県が策定する健康増進計画にも、地域の実情を踏まえつつ、これら21項目に係る具体的目標値を設定すべきである。
 なお、「健康日本21」の現行70項目の目標については、喫煙率低減などの新たな目標の設定が必要といった意見もあったことから、今後の中間評価作業の進捗を踏まえ、目標の追加等についても検討が必要であり、その結果に応じ、代表目標項目について追加等の検討も行うべきである。

(3) 具体的な施策プログラムの提示
〜「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」〜

(1) 身体活動・運動施策(「エクササイズガイド(仮称)」の策定、普及、活用等)
 身体活動・運動施策における科学的な根拠として平成元年に策定された運動所要量については、策定後長期間経過しており、最新の科学的知見に基づき見直しを行うべきである。
 日常生活における歩数は男女とも減少しており、また、高齢者以外では運動習慣者の割合も増加していないといった現状を踏まえ、平成5年に策定された運動指針を見直し、単に「歩数を増やす」というだけでなく、ライフスタイルに応じ、運動不足の解消を目指した具体的な実践方法等をわかりやすく示した「エクササイズガイド(仮称)」を策定し、フィットネス業界等の産業界や運動関連団体等を通じ、地域や職場を通じた普及活用を進めることが必要である。
 また、健康運動指導士などの運動指導の専門家については、質の向上を図りつつ、多様な養成形態を認めるとともに、その定着の促進を図ることが必要である。保健師、管理栄養士等も運動指導に関する知識・技術の習得が求められる。

(2) 栄養施策(「食事バランスガイド」の普及、活用等)
 栄養施策における科学的な根拠としての食事摂取基準は5年ごとに見直しを行うこととしており、平成17年度から5年間使用する「日本人の食事摂取基準(2005年版)」が既に策定されているが、この中で、新たな指標として、生活習慣病予防の観点から増やすべき又は減らすべき栄養素について、それぞれ当面の目標とすべき摂取量を「目標量」として示したところであり、栄養指導等の現場において、その活用が望まれる。
 また、中高年男性の肥満者や20歳代女性のやせ過ぎの割合の増加、野菜摂取量の不足、若年者の朝食欠食習慣者の増加などの現状を踏まえ、食生活指針を具体的な行動に結びつけるために、「何を」「どれだけ」食べればよいかをわかりやすく示した「食事バランスガイド」を策定したところである。
 これを生活習慣病予防の観点から、食品選択の場で積極的に活用していくことが重要であり、中高年男性の肥満者、単身者、子育てを担う世代といった対象をターゲットに、ファミリーレストランなどの飲食店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の食品関連産業における情報提供や商品開発を進めるとともに、地方公共団体、食品関連産業関係者、農林漁業関係者、管理栄養士・栄養士等の専門家、食生活改善推進員等が連携し、地域や職場を通じた普及啓発活動を進めることが必要である。
 さらに、食育基本法が制定されたところであり、食育の国民運動としての展開の中で、「食事バランスガイド」の普及・活用等を一層図っていくことが必要である。特に、子どもの肥満予防といった観点から、子どもの頃から適切な食生活習慣を身につけることが大切であり、子育て世代への対応や、学校保健とも連携した取組を進めていくべきである。

(3) たばこ対策(禁煙支援マニュアルの策定、普及、活用等)
 たばこ対策については、平成14年12月25日の厚生科学審議会意見具申「今後のたばこ対策の基本的な考え方について」において、「国民の健康増進の観点から、今後、たばこ対策に一層取り組むことにより、喫煙率を引き下げ、たばこの消費を抑制し、国民の健康に与える悪影響を低減させていくことが必要である」と指摘された。
 本年2月には、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約が発効したことを踏まえ、関係省庁の密接な連携の下にたばこ対策を促進するため、たばこ対策関係省庁連絡会議を設け、たばこ対策の充実強化を図るための体制整備を行ったところである。
 たばこ対策に関しては、部会の議論の中で、(1)喫煙率の低下についての数値目標を設定すべき、(2)未成年者の喫煙防止対策として自動販売機の規制を大幅に強化すべき、(3)受動喫煙防止対策の取組が遅れている施設について積極的に対策を推進すべき、(4)受動喫煙防止対策の推進に向け、公共の場の禁煙・分煙の状況の調査を進めるべき、(5)たばこの価格又は税を引き上げ、その財源を生活習慣病予防対策に充当することを検討してはどうか、といった意見が出された。
 また、本年5月の世界禁煙デー記念シンポジウムにおけるパネル討論においても、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会により同様の内容の決議文がとりまとめられている。
 こうした意見については、関係省庁が十分に連携し、検討、さらには取組を進めていくことが必要である。また、特に喫煙率が高い20歳代から30歳代の女性を中心に禁煙の意思を有する者の自主的な禁煙の試みを積極的に支援するため、禁煙を支援するマニュアルを策定し、その普及、活用を進めるとともに、喫煙率の低下についての新たな数値目標の設定の検討も含め、国民全体の喫煙率の低下を目指すべきである。

(4) 産業界も巻き込んだ国民運動の戦略的展開
 「健康日本21」は、平成12年より国民運動として推進してきたが、産業界との連携が必ずしも十分とは言えない面があったことは否定できない。
 国民運動として生活習慣病対策を推進していくためには、地域住民に対するポピュレーションアプローチの中心的な役割を市町村が果たす必要があるが、行政や外郭団体による取組だけでなく、産業界が「エクササイズガイド(仮称)」や「食事バランスガイド」等を広く普及、活用していくことが重要である。既に、スーパーマーケット、コンビニエンスストアやファミリーレストラン等の食品関連産業やフィットネス業界、健康関連機器業界などにおいて、健康づくりの観点からの情報提供も広がりつつあり、こうした関連業界を始めとする幅広い産業界の自主的な取組との一層の連携が不可欠である。
 また、運動指導、栄養指導などがそれぞればらばらに行われるのではなく、個人の生活習慣の改善に向けた取組を総合的に支援する体制の整備も期待される。

II  網羅的・体系的な保健サービスの推進(ハイリスクアプローチ)

 ハイリスクアプローチの徹底に向け、以下に示すメタボリックシンドロームの概念に基づく健診・保健指導プログラムの導入や若年期からの健診・保健指導の徹底など、健診・保健指導の基本的な在り方については、今後、更にその具体的な内容の検討を進め、最終的には健康増進法に基づく健診指針の形で、各健康増進事業実施者の共通的な事項として明確に位置付けるべきである。(詳細については、別添3参照)

(1) メタボリックシンドロームの概念に基づく健診・保健指導の導入
 ハイリスク者の「予防」を徹底していくためには、糖尿病、高血圧症、高脂血症等には至っていない境界領域期の「予備群」を重点的な対象として、生活習慣改善の必要性が高い者を健診によって効率的かつ確実に抽出するとともに、投薬や治療の前に、運動習慣の徹底や食生活の改善等の生活習慣の改善の取組を重点的に支援していくための効果的な保健指導を徹底し、健診と保健指導を連続した一体的なものとして提供していくことが必要である。
 このため、健診・保健指導について、メタボリックシンドロームの概念に基づき、生活習慣の改善支援という観点から一体のものとして捉え直した上で、保健指導を中心にその徹底を図っていくべきである。

(2) 若年期からの健診・保健指導の徹底
 現行の老人保健事業の対象者は40歳以上の者とされているが、30歳代の3割が肥満であるといった現状を踏まえれば、メタボリックシンドロームの「予備群」に対する健診・保健指導の観点からは、40歳未満のより若年期からの健診・保健指導の徹底が必要と考えられる。
 平成16年10月にとりまとめられた老人保健事業の見直しに関する検討会の中間報告においても、「近年、若い世代においても肥満や動脈硬化等が増加している」ことや、「より若い世代から望ましい生活習慣を身につけるための施策の強化が求められるようになった」ことなどから、40歳未満の者の生活習慣病予防対策について、「今後はこれらの者に対して事業(サービス)を受ける機会を確保する新たな枠組みの整備が必要である」とされている。
 今後、後述する医療保険者による保健事業の取組強化とそれを踏まえた老人保健事業の見直しを検討する中で、40歳未満の者に対する健診・保健指導の在り方についても併せて検討すべきである。

(3) 健診機会の段階化と保健指導の階層化
 健診受診率は、各都道府県ごとに大きなばらつきがあるとともに、特に被扶養者や自営業者等については、全国平均で5割程度の受診率にとどまっている。また、被用者本人を含めた20歳以上の国民全体でも6割程度となっており、健診未受診者の中にはハイリスク者も多く含まれていると考えられる。
 網羅的な保健サービスの推進という観点から、問診による生活習慣の把握、腹囲等の身体計測、血液検査等の基本的な健診により、リスクの度合いを効率的に把握した上で、基本的な健診でリスクがあると判断された者などに詳細な健診の受診勧奨を徹底することが、予備群の確実な抽出に有効と考えられる。このような形で基本的な健診によりリスクがあると判断された者に詳細な健診の受診勧奨を徹底すれば、これまでハイリスクでありながら健診を受けようとしなかった者の健診の受診や行動変容の動機付けにもつながっていくものと考えられる。
 また、生活習慣の改善を支援する上で中心となる保健指導については、詳細な健診の結果を踏まえ、病態の重複状況や行動変容の困難さの度合い等に応じたサービスを効果的・効率的に提供するため、保健指導の必要度に応じた対象者の階層化を図ることが重要である。具体的には、例えば、生活習慣を改善する必要性の高い者、中程度の者、低い者を階層化し、提供するサービスの内容も、
(1)  生活習慣病の特性や生活習慣の改善の基本的理解を支援する情報提供は全員に、
(2)  生活習慣改善の必要性の高い者及び中程度の者には、自主的な取組を支援するための動機付けの支援を、
(3)  生活習慣改善の必要性の高い者には、更に加えて、医師、保健師、管理栄養士や運動指導の専門家等が直接的に行動変容を支援する積極的支援を
といった形で、対象者の必要度に応じたサービス提供を徹底していくことが考えられる。
 こうした健診から保健指導までの一連のサービスについては、国がイニシアティブをとって、まずは幾つかの都道府県で事業を実施し、その成果を踏まえ、全国的な展開を進めていくことが望ましい。

(4) 保健指導プログラムの標準化
 基本的な生活習慣のかなりの部分が幼少期に確立されることを考えれば、その後の生活習慣の改善は簡単ではない。このため、保健指導の実施に当たっては、対象者それぞれの健康に対する意識のレベルや、個々のライフスタイル等を理解した上で、それぞれの状況等に応じ、必要な時に、的確に、本人の自主的な行動変容の支援を行うことが重要である。
 こうした保健指導については、各実施主体ごとの創意工夫も重要であるが、国としても、保健指導プログラムを標準化し、その普及を図る必要がある。その際には、メタボリックシンドロームの予防は、適度な身体活動・運動と食生活の改善が基本であることから、運動指導と栄養指導がそれぞればらばらではなく一体的なものとして行われることが必要である。また、前述した「エクササイズガイド(仮称)」や「食事バランスガイド」等を保健指導においても積極的に活用していくべきである。
 また、保健指導を担当する医師、保健師、管理栄養士や運動指導の専門家等についても、運動指導や栄養指導を一体的に提供できるよう、特にこれまで必ずしも十分ではなかった運動指導や動機付け支援等について、研修の充実等による資質の向上を一層図るとともに、多職種が連携した取組の推進が必要である。

(5) 健診項目の重点化、精度管理の徹底等
 健診については、具体的な検査項目が制度間、実施主体間で異なるとともに、ライフステージや個人の健康課題に必ずしも対応していないのではないか、精度管理が徹底されていないのではないかといった課題が指摘されている。
 こうした課題に対応するため、最新の科学的知見を具体的な健診事業に結びつける観点から、健診項目の重点化、精度管理の在り方等について、平成17年度から実施している「疾病の早期発見と対策に関する研究」の成果をできる限り速やかに整理し、それを踏まえた取組を進めていくことが必要である。

III  糖尿病・循環器病対策
 糖尿病・循環器病対策については、これまで述べてきたメタボリックシンドロームの予防のための施策により生活習慣の改善を徹底することが基本であり、ポピュレーションアプローチとしての運動施策、栄養施策等の推進や、ハイリスクアプローチとしての健診・保健指導の徹底等が重要である。また、糖尿病・循環器病は、歯周病等歯科疾患との関連も深いと言われていることから、メタボリックシンドロームの予防のための施策の一環として、歯周病予防についても取り組むことが重要である。

 しかし、糖尿病・循環器病対策としては、こうした発症予防の取組だけでなく、診断・治療までを含めた総合的な対応も重要である。こうした観点から、これまで健康科学総合研究事業、循環器疾患等総合研究事業でそれぞれ進められてきた生活習慣病対策に係る研究事業を統合し、生活習慣病対策に必要な科学的知見の構築、革新的な生活習慣病予防法の開発等を総合的に実施する「循環器疾患等生活習慣病対策総合研究(仮称)」を創設することとし、特に糖尿病対策については、大規模な戦略研究を平成17年度から5年間実施することとしているところであり、これらの成果を速やかに予防や診断・治療に活用していくことが重要である。

 糖尿病対策については、現在、日本医師会、日本糖尿病学会及び日本糖尿病協会の三者により、糖尿病の発症予防、合併症防止等の糖尿病対策をより一層推進するため、「糖尿病対策推進会議」が設置されているほか、日本栄養士会においては、糖尿病の予防活動に重点を置いた活動を行うため、47の都道府県栄養士会に「栄養ケアステーション」を設置することとしている。また、日本歯科医師会においては、糖尿病等の生活習慣病と歯周病との関わり等についての普及啓発を行っている。
 こうした関係団体等の取組を踏まえ、官民一体となった糖尿病対策を推進していくべきである。

IV  がん対策
 生活習慣病は、平成8年の公衆衛生審議会意見具申において、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義されたが、発症や疾病の進行を防ぐためには生活習慣の改善を図ることが重要な糖尿病、心疾患、脳血管疾患に対し、がんは、喫煙等の不健康な生活習慣が発症の確率を高めはするものの、遺伝要因、病原体等の外部環境要因も発症に大きく関わるほか、発見された場合には直ちに手術や化学療法などの適切な治療を開始することが必要となる。したがって、がんについては、メタボリックシンドローム等の生活習慣病とは分けて対策を考えることが必要である。
 したがって、禁煙支援等の発症予防や早期発見のためのがん検診の充実等のがん予防対策は、治療や緩和ケアまで含めた、がんの病態に応じた総合的な対策全体の中で考えられるべきである。

 こうした観点から、平成17年5月に厚生労働大臣を本部長として設置された「がん対策推進本部」では、がんの臨床研究の推進、がん医療水準の均てん化、がん登録の在り方などを含めた総合的ながん対策について省横断的に検討されているところである。

 このうち、がん医療水準の均てん化については、厚生労働大臣の懇談会として設置された「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」において平成17年4月に報告書がとりまとめられたところであり、この報告書を踏まえ、全国どこでもがんの標準的な専門医療が受けられるように、地域がん診療拠点病院(仮称)の機能強化と地域の医療機関との診療連携の促進やがん専門医等のがん医療専門スタッフの育成など、具体的な取組が平成18年度から進められることとなっている。

 がん検診については、がんの部位による差はあるものの、総じて受診率が低い状況にあることや都道府県ごとの受診率の格差が非常に大きい状況をどう改善すればよいのか、地方分権の下で地方の自主性に委ねるしかないということでは済まないのではないかとの意見が本部会での議論の中で表明されたことについては、「がん対策推進本部」での今後の検討に反映されるべきである。

V  生活習慣病対策の推進体制
 生活習慣病対策を今後より一層推進していくためには、国、都道府県、市町村、医療保険者等のそれぞれの役割を明確化し、その上で具体的な施策ごとに連携を進めていくことが重要である。
 その上で、特に都道府県が、健康づくり施策の総合的な企画立案を行うとともに、医療保険者や市町村等の関係者間の総合調整を積極的に図っていくことが、地域の実情を踏まえた総合的な生活習慣病対策の推進にとって不可欠である。

(1) 生活習慣病対策の推進に向けた関係者の責務と役割
 生活習慣病対策の推進に当たり、各関係者のそれぞれの役割を整理すると以下の通りであり、これを基本に、それぞれの具体的な役割を改めて整理していくことが必要である。
(1) 国民
 健康増進法では、国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない、とされている。
(2)
 国は、調査研究により科学的根拠を分析・整理し、その成果を科学的根拠に基づく効果的なプログラムとして示していくとともに、ポピュレーションアプローチ、ハイリスクアプローチを含めた総合的な生活習慣病対策の基本的な方向性や具体的な戦略、枠組みを示すことが求められる。
(3) 都道府県
 都道府県は、都道府県健康増進計画の策定を通じ、健康づくり施策の総合的な企画立案を行うとともに、医療保険者、市町村等の関係者の役割分担と連携促進のための総合調整機能を果たすことが求められる。
(4) 市町村
 市町村は、住民に最も身近な行政機関として健康づくり施策を総合的に推進するとともに、特にポピュレーションアプローチの推進の中心的な役割を果たすことが求められる。
(5) 医療保険者
 医療保険者は、保健事業への取組を一層強化することが求められる。具体的には、被用者保険の被保険者本人について、労働安全衛生法の事業者と連携しつつ、保健事業を実施していくとともに、これまで取組が必ずしも十分でなかった被用者保険の被扶養者及び国民健康保険の被保険者についての取組を充実していくことが必要である。

(2) 医療保険者による保健事業の取組強化
健診受診率は、各都道府県ごとに大きなばらつきがあるとともに、被用者保険者の被保険者本人が全国平均で7〜8割程度であるのに対し、被扶養者や自営業者については5割程度にとどまっている。
被用者保険の被保険者本人については、労働安全衛生法に基づく事業者の健診等又は医療保険者による保健事業が提供されているが、今後は、健診だけでなく、特にこれまで必ずしも十分には行われてこなかった保健指導について、より積極的な取組が必要である。
被用者保険の被扶養者及び自営業者等については、これまで主に老人保健事業の実施主体である市町村が健診等の実施の役割を担ってきたが、医療保険者にも被扶養者及び被保険者に対する健康診査等の保健事業の実施の努力義務が法律上課されている。一方、老人保健法には他法優先の規定があるため、医療保険者が被扶養者等に対し保健事業を実施する場合には、老人保健法に基づく市町村による健診等は行わないこととなるため、両者の責任・役割分担が不明確となり、未受診者の把握や受診勧奨の徹底が必ずしも十分には行われてこなかった。
今後は、未受診者の把握、保健指導の徹底、医療費適正化効果まで含めたデータの分析・評価といった観点から、医療保険者による保健事業の取組強化を図っていくことが必要である。医療保険者による保健事業の取組強化の内容やそれを踏まえた老人保健事業の見直しについては、健診の対象年齢の拡大の検討とも併せて、更に検討を進めるべきである。

(3) 健康づくりに関する都道府県の総合調整機能の強化と都道府県健康増進計画の内容充実
都道府県は、都道府県健康増進計画の策定を通じ、総合的な健康づくり施策の企画立案を行うことが求められる。
また、医療保険者と市町村等の役割分担を明確にした上で、連携を一層促進していくためには、これらの関係者間の総合調整を図る者の役割が重要であり、特に職域(事業者等の労働安全衛生関係者や健康保険組合等の医療保険者等)との調整を考えれば、市町村がこれらの主体とそれぞれ調整することは困難であり、この役割を担うのは都道府県が最も適当である。
医療保険者間の連携については、現在、各都道府県で保険者協議会の設置が進められており、本年8月31日現在、既に35道府県において設置されている。
こうした保険者協議会における医療保険者間の連携を踏まえ、さらに地域保健(市町村)や事業者等も含めた地域・職域の連携を推進する観点から、各都道府県において地域・職域連携推進協議会の設置が進められており、国としても、17年度から2か年で全国に設置されるよう支援していくこととなっている。
今後は、都道府県が中心となって、これらの協議組織を活用し、医療保険者、市町村等の関係者が協議した上で、共通の目標の下、それぞれの実施主体の事業内容や事業量を明確化するとともに、具体的な連携事業を推進していくことが必要である。
このため、健康増進法に基づく都道府県健康増進計画の内容を充実し、
(1) 「健康日本21」の代表目標項目のほか、メタボリックシンドロームの概念に対応した目標項目について、地域の実情を踏まえ、職域を含めた具体的な数値目標の設定
(2) 医療保険者、市町村等の関係者の具体的役割分担と連携促進のための都道府県の総合調整機能の強化
(3) 各主体の取組の進捗状況や目標の達成度の評価の徹底
といった観点から、関係者が一体となった取組を進めていくことが必要である。(詳細については、別添4参照)
都道府県におけるこうした取組を支援する観点から、国は、都道府県健康増進計画改定ガイドラインを策定するほか、各地域の実情に応じた具体的な目標値設定のための現状把握や評価に資するよう、都道府県健康・栄養調査マニュアルを提示することが期待される。
今後、計画改定ガイドラインの策定等に当たっては、実績としての都道府県間の地域格差をどう評価するかについて更に検討するとともに、医療計画や介護保険事業支援計画との連携を図る観点から、計画に位置付ける目標・指標の具体的項目について検討を進めるべきである。
以上のような、都道府県の総合調整機能の強化と都道府県健康増進計画の内容充実については、直ちにすべての都道府県に実施を求めるのは困難であることから、まずは、幾つかの都道府県において、メタボリックシンドロームの概念に基づく健診・保健指導の導入と併せて見直しに着手し、それらの評価を踏まえて、全国的な展開を進めていくことが望ましい。
都道府県の総合調整の下で策定された都道府県健康増進計画に基づき、医療保険者、市町村、事業者等の各健康増進事業実施者はそれぞれの実施計画を策定し、計画的な事業展開を行っていくことが望まれるが、市町村については、こうした実施計画が市町村健康増進計画として位置付けられることになると考えられる。しかし、基礎となる統計データの把握や特有の健康課題の抽出を市町村が単独で行うことが困難な場合があることから、都道府県又は保健所は、こうした市町村に対し、専門的かつ技術的な支援をより積極的に実施することが求められる。

(4) 保健指導のアウトソーシング
 今後、生活習慣病の予備群を中心にきめ細かく個別のニーズに対応していくためには、保健事業に係る市町村、医療保険者等の内部の実施体制のみでは十分に対応できないことが想定され、民間事業者は、医療機関等との連携により積極的なサービス展開を行うことが求められる。
 良質な保健サービスを提供できる民間事業者を育成していく際には、医師、保健師、管理栄養士や運動指導の専門家等のマンパワーや、提供されるサービスの内容等について、一定の基準を設けることが必要であり、国として、医療保険者等が保健指導を民間事業者にアウトソーシングする際に考慮すべき基準を示したガイドライン等を策定し、提示することが必要である。

(5) 保健サービスのアウトカム評価の実施
 保健サービスの質を評価する上で、その効果を見るためには単年度の結果では判断できず、継続的なデータの蓄積とその分析が必要になる。例えば、現在、国保ヘルスアップモデル事業などにおいて、3年程度の事業実績の効果を評価する取組が進められつつあるが、現在各都道府県単位で設置が進められている保険者協議会における医療費の分析評価などの実施状況も踏まえつつ、保健サービスのアウトカム評価の在り方について更に検討を進めるべきである。

(6) 市町村の保健師、管理栄養士等の役割
 市町村の保健師、管理栄養士等については、介護予防、児童虐待などの他の業務との関係などを踏まえつつ、今後、健康づくり施策における企画・調整・評価等の業務に重点を置いていく方向で体制強化を図ることが必要であり、ポピュレーションアプローチ、ハイリスクアプローチそれぞれにおける市町村の保健師等の役割について検討していくことが必要である。


 最後に

 以上述べたように、今後の生活習慣病対策の推進については、メタボリックシンドロームの概念を導入し、「健康づくりの国民運動化」としてのポピュレーションアプローチの推進とともに、「網羅的・体系的な保健サービスの推進」としてのハイリスクアプローチの徹底のため、科学的根拠に基づく効果的なプログラムの開発・普及、健診・保健指導の重点化・効率化、医療保険者による保健事業の取組強化、健康づくりに関する都道府県の総合調整機能の発揮と都道府県健康増進計画の内容充実などを中心に積極的な取組を進めていくことが必要である。
 なお、特にポピュレーションアプローチについては、産業界も巻き込んだ国民運動の戦略的展開が不可欠である。

 現時点で残された主な検討課題としては、(1)「健康日本21」の中間評価、(2)医療保険者による保健事業の取組強化の具体的な内容とそれを踏まえた老人保健事業の見直し、(3)基本的な健診と詳細な健診の具体的な内容、(4)保健指導プログラムの標準化、(5)保健指導のアウトソーシングの在り方、(6)メタボリックシンドロームの概念に対応した指標の設定などが挙げられるが、これらはいずれも今後の生活習慣病対策を進めるに当たっての鍵となるものであり、引き続き精力的な検討を進めていくべきである。



(参考)これまでの部会における検討経緯

 ○ 第8回 平成16年10月18日
第7回以降の地域保健・健康増進栄養施策について
「健康日本21」の中間評価の進め方について

 ○ 第9回 平成16年11月25日
二次予防(健診及び事後指導)について

 ○ 第10回 平成16年12月20日
一次予防施策−「健康日本21」の中間評価−について
(1)栄養・食生活、(2)身体活動・運動、(3)休養・こころの健康、(4)歯の健康

 ○ 第11回 平成17年2月21日
一次予防施策−「健康日本21」の中間評価−について
(5)たばこ、(6)アルコール、(7)糖尿病、(8)循環器病、(9)がん

 ○ 第12回 平成17年3月24日
生活習慣病対策の推進体制について

 ○ 第13回 平成17年4月21日
これまでの議論の整理について
健康日本21中間評価作業チームによる暫定総合評価について
生活習慣病対策の総合的な推進について
健康日本21中間評価におけるデータ分析(たばこ)について
平成15年国民健康・栄養調査結果の速報について
がん医療水準均てん化の推進に関する検討会報告について

 ○ 第14回 平成17年6月3日
地域保健対策検討会中間報告について
これまでの議論の整理(改訂版)
平成17年度「禁煙週間」の実施について
「健康食品」について

 ○ 第15回 平成17年7月11日
「健康日本21」代表目標項目の選定について
食育基本法の成立について
「食事バランスガイド」について
「運動所要量・運動指針の策定検討会」の設置について
これまでの議論の整理(確定版)

 ○ 第16回 平成17年7月29日
「健康日本21」代表目標項目について
これまでの議論を踏まえた中間とりまとめの骨格について
生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会について
都道府県健康増進計画の見直しの方向性について

 ○ 第17回 平成17年8月29日
生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会中間とりまとめ(案)について
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会中間とりまとめ(案)について

 ○ 第18回 平成17年9月7日
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会中間とりまとめ(案)について



(別添)

 今後の生活習慣病対策の推進について

 「健康日本21」における代表目標項目

 今後の生活習慣病改善支援サービスのイメージ

 都道府県健康増進計画の見直しの方向性について

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