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一次予防施策の課題
(健康に関する情報の氾濫)
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健康に関する国民の関心の高まりもあり、健康に関する情報がマスコミやインターネット等を通じ幅広く提供されているが、情報が溢れている感があり、かえって正しい情報を見分けることが困難な状況となっている。健康に関心のない者も含め、生活習慣病の特性や生活習慣改善のための具体的な対応方法等についての正しい情報がわかりやすく提供される環境整備が必要である。 |
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正しい知識の普及の観点からは、その基礎となる科学的知見について、例えば、運動所要量は平成元年に策定されて以来、見直しが行われていないなど、国としても科学的知見の整理・提供が必ずしも十分でない面があった。 |
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(日常生活で意識されるには目標項目を絞り込むことが必要)
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「健康日本21」の9分野70項目の目標は、各分野の健康づくり施策の指標等としてはいずれも重要であるが、個人の具体的な行動変容を促す国民運動の目標としてはいささか総花的な観があり、国民が日々の生活で意識するには多過ぎることから、例えば、野菜の摂取量や日常の歩数といった国民が日常生活で絶えず意識して行動すべき目標についても必ずしも十分には浸透していない一因となっている。 |
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(ターゲットが必ずしも明確ではなく、具体的な施策プログラムも不十分)
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「健康日本21」の目標の多くは性別や年齢等を絞ったターゲットとすべき対象が示されていないほか、各分野の目標達成に向けた具体的な施策プログラムも十分には提示されていないことから、これまでの健康づくり施策は一般的な普及啓発活動が中心となっており、個人の具体的な行動変容、健康な生活習慣の獲得に必ずしも結びついていない。 |
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このため、栄養施策、身体活動・運動施策、たばこ対策などの各分野について、ターゲットを明確にした上で、効果的なプログラムの提示が必要である。また、個人に着目すれば栄養や運動などに関するサービスが一体的に提供されることが望ましいものの、こうした総合的な対応が不十分である。 |
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(個人の取組を支援する社会全体としての環境整備が不十分)
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生活習慣病に係る情報の普及啓発については、多様な経路による情報提供が重要であり、マスコミを通じた広報や民間事業者との連携の重要性はこれまでも指摘されてきているが、これまでの普及啓発は行政や外郭団体の取組が中心であり、産業界を含めた社会全体としての活動に至っていなかった。 |
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例えば、スーパーマーケット、コンビニエンスストアやレストラン等の食品関連産業やフィットネス業界、健康関連機器業界などの産業界においても、健康づくりの観点からの情報提供が広がりつつあり、健康に関心のない者も含めた幅広い層を対象としたポピュレーションアプローチの一層の推進のためには、信頼性の乏しい情報が氾濫しないよう環境整備を図りつつ、こうした産業界の取組との一層の連携が不可欠である。 |
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(2) |
二次予防施策の課題
(生活習慣病予備群の確実な抽出と保健指導の徹底が不十分)
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生活習慣病予防では、普段からの健康管理とともに、健診により生活習慣病の予備群を確実に抽出し、早期に発見することが重要であるが、健診・保健指導については、老人保健法、労働安全衛生法、医療保険各法などそれぞれの法律に基づき、市町村、事業者、医療保険者等がそれぞれ実施していることから、各実施主体の責任や役割分担が不明確であるとともに、各実施主体間の連携も不十分であり、対象者・未受診者の把握や受診勧奨等が徹底されていない。とりわけ被扶養者や自営業者の受診率は低い現状にある。 |
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また、健診は受けるだけでなく、特に予備群については、健診の結果に応じた適切な保健指導等により生活習慣を改善していくことが重要であるが、現状は必ずしも健診受診後の保健指導が十分には行われていない。 |
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(若年期から生涯を通じた健康管理が不十分)
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現行の老人保健事業では40歳以上の者が対象となっているが、生活習慣病予防の観点からは、より若年期からの対応について検討が必要である。 |
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転職、退職等に伴い、健診の実施主体が異なった場合、健診結果等のデータが継続されないことも、生涯を通じた健康管理、保健指導の継続性といった観点から問題を残している。 |
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(科学的根拠に基づく健診・保健指導の徹底が必要)
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疾病の早期発見といった観点から、従来からの健診項目の有効性についても、改めて検証が必要である。 |
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健診の検査項目等が制度間、実施主体間で異なっているほか、ライフステージや個人の健康課題に対応した健診項目となっていない。 |
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行動変容につながる動機付け支援も含めた保健指導プログラムの標準化が十分にはなされていない。 |
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(健診・保健指導の質の更なる向上が必要)
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健診の精度管理については、健診指針において内部精度管理及び外部精度管理の適切な実施に関する一般的な記述はあるが、健診の精度管理がすべての事業者で適切に行われる仕組みは整備されていない。 |
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健康度の改善等の観点からの健診・保健指導の事業実施の評価が十分に行われていない。 |
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推進体制の課題
(国としての具体的な戦略やプログラムの提示が不十分)
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「健康日本21」において全国的な目標値は提示しているものの、その達成に向けた具体的なプログラム、関係者間の具体的な役割分担や連携の在り方といった点について、国による提示が不十分であり、地方公共団体、医療保険者、民間団体等がそれぞれの目標、プログラム等をもってそれぞれバラバラに事業を展開している実情にある。 |
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(医療保険者、市町村等の責任・役割分担が不明確)
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現在、健診、保健指導等については、医療保険各法に基づき医療保険者、老人保健法等に基づき市町村、労働安全衛生法に基づき事業者等がそれぞれ実施している。健康増進法の制定の際、各健康増進事業実施者(医療保険者、市町村、事業者等)に共通する指針として、健診指針を策定し、この健診指針と調和をとった各実施主体の指針等も策定されているが、対象者が重なる中で、健診・保健指導の実施に係る医療保険者と市町村等の責任・役割分担が不明確となっており、特に被扶養者、自営業者を中心に未受診者の把握や受診勧奨、保健指導が徹底されない一因になっている。 |
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(関係者を総合調整する都道府県の役割が不十分)
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医療保険者、市町村、民間事業者等の関係者間の役割分担と連携強化のためには、都道府県の総合調整機能が十分に発揮される必要があるが、現状では必ずしも十分に発揮されているとは言い難い。 |
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こうしたことは、都道府県健康増進計画の内容に典型的に表れており、例えば健診受診率の目標は市町村が老人保健事業で実施する健診のみを目標とし、職域での健診は目標に含めていない場合があるほか、目標達成に向けた各主体が取り組むべき具体的な施策が盛り込まれていないなど、具体的な事業計画となっていない。 |
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(現状把握、施策評価のためのデータ整備が不十分)
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地域レベルでの健康関連データの把握が必ずしも十分ではないため、データに基づく目標の設定や、事業実施の効果の定量的評価が十分ではない。 |
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また、医療保険者、市町村等の各健康増進事業実施者においても、健診・保健指導の実施等による事業の効果について、十分なデータの蓄積や分析評価がなされていない。 |
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