社会保障審議会医療保険部会の開催経緯
第 1回 |
(平成15年7月16日)
・ |
「基本方針」、基礎的資料の説明 |
・ |
フリートーキング(1) |
|
第 2回 |
(平成15年10月6日)
|
第 3回 |
(平成15年11月10日)
・ |
受療動向や生活習慣病の現状等の説明 |
・ |
高齢者医療の在り方について意見交換 |
|
第 4回 |
(平成15年12月3日)
・ |
都道府県単位で保険者を再編・統合する意義、考え方について説明、意見交換 |
・ |
医療提供、健康増進、介護等における都道府県の役割を踏まえた地域での取組について意見交換(1) |
|
第 5回 |
(平成16年2月9日)
・ |
国保、政管健保、組合健保の再編・統合のイメージについて説明、意見交換 |
・ |
地域での取組について意見交換(2) |
|
第 6回 |
(平成16年3月22日)
・ |
老人保健制度及び退職者医療制度の説明 |
・ |
高齢者医療制度の論点案の提示 |
|
第 7回 |
(平成16年5月13日)
・ |
高齢者医療制度(特に、基本的な考え方、保険料・社会連帯的な保険料、医療費適正化)について意見交換 |
|
第 8回 |
(平成16年6月23日)
・ |
新たな高齢者医療制度(特に、保険者、財政方式、心身の状況にふさわしいサービスのあり方)について意見交換 |
|
第 9回 |
(平成16年7月28日)
|
第10回 |
(平成16年10月22日)
・ |
今後の議論の進め方について |
・ |
三位一体改革の動向について |
・ |
医療費適正化について |
|
第11回 |
(平成16年11月30日)
・ |
三位一体改革・国保関係の経過報告 |
・ |
いわゆる「混合診療」の問題について |
・ |
介護保険制度改革の検討状況について |
|
第12回 |
(平成17年1月26日)
・ |
三位一体改革・国保関係の経過報告 |
・ |
保険者の再編・統合(政管健保) |
・ |
いわゆる「混合診療」の問題について |
|
第13回 |
(平成17年3月4日)
・ |
保険者の再編・統合(政管健保) |
・ |
第6回社会保障の在り方に関する懇談会「医療制度改革について」の報告 |
|
第14回 |
(平成17年4月20日)
・ |
保険者の再編・統合(政管健保・健保組合) |
・ |
第7回社会保障の在り方に関する懇談会「医療制度改革について」の報告 |
|
第15回 |
(平成17年5月25日)
・ |
今後の議論の進め方について |
・ |
高齢者医療制度について(全体の論点整理、後期高齢者医療制度) |
・ |
中医協の在り方の見直しについて |
|
第16回 |
(平成17年7月7日)
・ |
高齢者医療制度(前期高齢者医療制度、患者負担等) |
・ |
国保の再編の進め方 |
|
第17回 |
(平成17年7月29日)
・ |
中長期の医療費適正化効果を目指す方策について |
・ |
保険給付の在り方 |
・ |
国保組合 |
・ |
中医協の在り方の見直し |
|
第18回 |
(平成17年8月10日)
・ |
医療保険制度体系に関するこれまでの議論の整理 |
・ |
平成18年度診療報酬改定に向けたスケジュールについて(案) |
・ |
平成16年医療費の動向 |
|
第19回 |
(平成17年8月24日)
・ |
医療保険制度体系に関するこれまでの議論の整理(2回目) |
・ |
我が国の医療について |
・ |
医療提供体制に関する意見中間まとめ |
・ |
医師確保総合対策 |
|
《今後の予定》 |
9月 |
|
※秋 |
厚生労働省試案(たたき台)を経て、年内に政府・与党の成案を得る |
社会保障審議会医療保険部会 委員名簿
平成17年8月24日現在
|
浅野 史郎 |
全国知事会社会文教常任委員会委員長、宮城県知事 |
|
井伊 雅子 |
一橋大学国際・公共政策大学院教授 |
○ |
磯部 力 |
立教大学法学部教授 |
|
岩村 正彦 |
東京大学大学院法学政治学研究科教授 |
|
岩本 康志 |
東京大学大学院経済学研究科教授 |
|
漆畑 稔 |
日本薬剤師会副会長 |
|
大内 尉義 |
東京大学大学院医学系研究科教授 |
|
岡谷 恵子 |
日本看護協会専務理事 |
|
久保田 泰雄 |
日本労働組合総連合会副事務局長 |
|
河内山 哲朗 |
全国市長会国民健康保険対策特別委員会委員長、山口県柳井市長 |
|
齊藤 正憲 |
日本経済団体連合会社会保障委員会医療改革部会長 |
|
清家 篤 |
慶応義塾大学商学部教授 |
|
対馬 忠明 |
健康保険組合連合会専務理事 |
|
西村 周三 |
京都大学大学院経済学研究科教授 |
|
箱崎 守男 |
日本歯科医師会副会長 |
|
北郷 勲夫 |
国民健康保険中央会理事長 |
◎ |
星野 進保 |
総合研究開発機構客員研究員 |
|
松原 謙二 |
日本医師会常任理事 |
|
山本 文男 |
全国町村会会長、福岡県添田町長 |
(注) |
◎は医療保険部会長、○は医療保険部会長代理 |
(五十音順、敬称略) |
|
社会保障審議会医療保険部会における議論の整理(案)
社会保障審議会医療保険部会は、平成15年7月16日以降、医療保険制度体系に関する改革について精力的に議論を重ねてきたところであり、以下は、これまでの本部会における意見を中間的に整理したものである。(審議の経過については別紙参照)
○ |
さまざまな施策を通じて国民の健康・長寿という人間にとって一番大事な価値を実現し、その上に立脚した国民皆保険制度とすべきである。 |
○ |
具体的には、以下のような考え方に立って、改革を進める必要がある。 |
(安定的で持続可能かつ給付と負担の関係が透明でわかりやすい制度)
○ |
人口構成、就業構造等の構造変化に柔軟に対応し、経済・財政とも均衡がとれ、国民の安心、制度の持続可能性を確保するといった観点から見直しを行い、将来にわたり国民皆保険制度を堅持する。 |
○ |
保険者の自立性・自主性を尊重した上で、医療保険制度を通じた給付の平等、負担の公平を図り、医療保険制度の一元化を目指す。 |
○ |
保険者としての機能を発揮しやすい制度とするとともに、給付と負担の関係が透明でわかりやすく、かつ、医療費適正化の取組や高齢者医療制度の運営に対して関係者が関与できるなど、関係者の負担への理解や納得が得られる制度とする。 |
(国民の生活の質(QOL)の向上を通じた医療費の適正化)
○ |
生活習慣病の予防や質の高い効率的なサービスの提供により、国民の生活の質(QOL)の向上を図ることを通じて医療費の適正化を推進する。 |
○ |
具体的には、次のような取組を推進する。
・ |
若齢期からの保健事業の積極的な展開により生活習慣病の発症を抑制する。 |
・ |
医療機関の機能の分化・連携を推進し、急性期から回復期、療養期、在宅療養へという患者の流れを促進することにより、平均在院日数を短縮する。 |
・ |
在宅(多様な居住の場)における介護サービスと連携した医療サービスの充実を図る。 |
|
(都道府県単位を軸とした制度運営)
○ |
保険者については、保険財政の運営を適正な規模で行うこと及び保険料水準をそれぞれの地域の医療費水準に見合ったものとすることを基本として、都道府県単位を軸とした再編・統合を推進する。 |
○ |
また、都道府県単位を軸として、地域の関係者(保険者、被保険者、医療機関、地方公共団体等)が連携して、医療の地域特性を踏まえた質の高い効率的な医療を提供できるような取組を推進する。 |
○ |
被用者保険、国保それぞれについて、各保険者の歴史的経緯や実績を十分尊重しながら、保険者の財政基盤の安定を図るとともに、保険者としての機能を発揮しやすくするため、都道府県単位を軸とした再編・統合を推進すべきである。 |
○ |
国を保険者とした全ての国民を対象とする医療保険制度への一本化を実現すべきという意見もあった。また、一本化は保険者機能を弱体化し、制度の非効率化を招くとして反対する意見もあった。 |
○ |
市町村国保については、国、都道府県及び市町村の役割を明確にした上で、都道府県と市町村が連携しつつ、広域連合等の活用により都道府県単位での再編・統合を進めるべきである。 |
○ |
都道府県単位での再編・統合を進めるには、既存の広域連合等では充分ではなく、新たな工夫が必要ではないかとの意見があった。 |
○ |
都道府県単位での再編・統合を進めるに当たり、段階的に二次医療圏単位での再編・統合を行うことについては、一つの選択肢ではあるものの、市町村合併の範囲と二次医療圏の範囲が必ずしも一致していないことから、必ずしも有効な方法とはなりえないのでないかという意見があった。 |
○ |
再編・統合の際、国保保険者は、保健・介護・福祉事業の中心的な実施主体であり、保険者として実績のある市町村が引き続き担い、都道府県は、技術的な助言や調整等必要な支援を行い、国は財政支援を行うべきという意見があった。 |
○ |
市町村国保の保険運営は低所得者等を多く抱え非常に厳しい状況にあり、その安定を図ることは、市町村国保の再編・統合に加え、国民皆保険制度を守るという観点から極めて重要である。 |
○ |
国保と被用者保険との間で加入者の年齢構成や所得水準の格差があり、厳しい雇用情勢や非正規職員の増加といった雇用形態の変化に伴う若年国保被保険者が増加していること等を踏まえ、その調整措置を実施すべきとの意見がある一方、自主性・自律性を損なうような財政調整には反対との意見もあり、引き続き、検討が必要である。 |
○ |
関連して、非正規職員への健康保険の適用について、年金制度における議論も踏まえながら、検討すべきとの意見があった。
|
○ |
国保組合については、所得実態等その現状を明らかにした上で、国庫助成の在り方について見直すべきであるとの意見があった。 |
○ |
政管健保の見直しに当たっては、被保険者等の保険料を負担する者の意見が反映される運営の確保、保険者機能の発揮の観点から、国とは切り離された全国単位の公法人において運営することについて、更に具体的な検討が必要である。 |
○ |
その際、財政運営は基本的に都道府県を単位としたものとし、都道府県別の年齢構成や所得について調整を行った上で、地域の医療費水準に応じた保険料水準とすべきとの意見が大勢であった一方、公的医療保険制度という性格から、全国一律の料率にすべきとの意見があった。 |
○ |
適用・徴収事務については、効率性の観点から年金と一括して実施すべきである。 |
○ |
なお、中央と都道府県ごとに評議会を設置し、保険料率の決定等に被保険者等の意見を反映させる仕組みとしてはどうかとの意見があった。 |
○ |
政管健保の国庫負担は少なくとも現状を維持すべきであるとの意見があった。 |
○ |
健保組合の再編統合については、健保組合の自主性・自律性を尊重しつつ、主に同一都道府県域内において、健保組合間の共同・連携を進めるとともに、企業・業種を超えて健保組合同士が合併して形成する地域型健保組合の設立を規制緩和等による選択肢の一つとして認めるべきである。
|
○ |
共済組合については、短期給付に加えて長期給付も行っており、長期給付の在り方の検討も踏まえ、保険者としての運営の在り方を検討する必要がある。 |
○ |
個人の自立を基本とした社会連帯による相互扶助の仕組みである社会保険方式を維持すべきである。 |
○ |
世代間・保険者間の負担関係や制度運営の責任主体をより明確にする観点から、老人保健制度及び退職者医療制度は廃止し、世代間・保険者間の保険料負担の公平化及び制度運営の責任を有する主体の明確化を図るべきである。 |
○ |
現役世代の負担が過重なものとならないよう、増大する高齢者の医療費の適正化を図るべきである。 |
○ |
高齢者の生活の質(QOL)を重視した医療サービスを提供すべきである。 |
○ |
現行老人保健制度を廃止し、高齢者の保険料、国保及び被用者保険からの支援並びに公費により賄う新たな制度を創設するという意見が大勢であった。 |
○ |
ただし、リスクの高い高齢者のみによる独立保険制度ではなく、被用者保険の加入期間が長期にわたる退職者を被用者保険全体で支える新たな制度を創設すべきとの意見もあった。 |
○ |
高齢者の生活実態、経済的地位、心身の特性及び支え手を増やすなどの観点から、75歳以上の後期高齢者とすべきとの意見と、年金制度等との整合性などの観点から、65歳以上の者とすべきとの意見があり、引き続き、検討が必要である。 |
○ |
なお、被保険者を年齢で区切るべきではないという意見もあった。 |
(3) |
高齢者の保険料と国保及び被用者保険からの支援 |
○ |
高齢者の保険料と国保及び被用者保険からの支援の割合については明確なルールを決定すべきである。
|
○ |
高齢者については現役世代との均衡を考慮した適切な保険料負担を求めるべきであり、その際、適切な低所得者対策を講じるなど、高齢者の所得に応じたきめ細かな配慮をすべきである。 |
○ |
具体的には、高齢者の保険料について、老若の人数比で按分して負担すべきとの意見や、現行制度における高齢者の負担水準を勘案して医療費の10%とすべきとの意見があった。
|
○ |
若人からの支援については、一般の保険料とは別建てとすべきということについては、概ね意見の一致があった。その際、現役世代に過重な負担を求めるべきではないとの意見があった。 |
○ |
公費負担については、少なくとも現行老人保健制度における公費負担割合を維持すべきである。。 |
○ |
保険者については、地域保険とし、市町村をベースとして広域連合の活用を視野に入れるべきとの意見、都道府県(当面は国)とすべきとの意見、国とすべきとの意見、一定規模の広域的な地域を対象とした行政から独立した公法人とすべきとの意見があり、引き続き、検討が必要である。 |
○ |
なお、いかなる保険者とする場合であっても、財政安定化の仕組みなど、保険者のリスクを可能な限り軽減する対策を講ずることが必要である。 |
○ |
また、保険料を年金から徴収する仕組みを設ける方向で検討すべきである。 |
○ |
現行退職者医療制度は廃止すべきである。 |
○ |
しかしながら、廃止後の新たな制度については、被用者保険又は国保に加入しつつ被用者保険と国保との間で財政調整すべきとの意見、前期高齢者に限らず更に下の年齢層まで財政調整の範囲を拡大すべきとの意見、前期高齢者も一般医療保険制度と別建ての保険の対象とすべきとの意見、被用者保険の期間が長期にわたる退職者を被用者保険全体で支える新たな制度を創設すべきとの意見があり、引き続き、検討が必要である。 |
○ |
高齢者には定型的な年金収入があることなどに着目し、扶養・被扶養の区別なく保険料を負担すべきとの意見と、医療保険だけで個人単位の保険料負担を考えるのではなく社会保障制度全体の改革の中で検討するべきとの意見があり、引き続き、検討が必要である。 |
○ |
高齢者医療制度の被保険者の問題と併せ、引き続き議論すべきである。 |
○ |
65歳以上を一般医療保険制度と別建ての保険の対象とした上で、公費負担を5割とすべきとの意見があった。。 |
○ |
高齢者についても現役とのバランスを考慮して応分の負担を求めるべきとの意見がある一方、高齢者の患者負担の増大については慎重であるべきとの意見があり、引き続き、検討が必要である。 |
○ |
高齢者の患者負担の在り方を検討する一環として、自己負担が高額となる場合の限度額の在り方、更には「医療給付と介護給付の自己負担の合計額が著しく高額となる場合の負担の軽減を図る仕組み」を創設するため、著しく高額となる場合の具体的水準、自己負担額を合算するための事務処理の方法などについて検討する必要がある。 |
○ |
高齢者医療制度の運営について、被用者保険や国保の保険者等関係者が参画できる仕組みを設けるべきである。
|
○ |
高齢者医療制度について、保険者の適正化努力を促す仕組みが必要である。 |
○ |
「骨太の方針2005」に定められたとおり、医療費適正化の実質的な成果を目指す政策目標を設定することとされており、具体的な措置の内容とあわせて平成17年中に結論を得るため、引き続き議論が必要である。 |
○ |
国民の生活の質(QOL)の向上を図るためには、生活習慣病対策を推進するとともに、医療と介護との連携も含め、急性期から回復期を経て在宅(多様な居住の場)へという患者の状態に相応しい良質で効率的な医療を提供し、平均在院日数を短縮する必要があり、こうした取組を進めることを通じて、医療費の適正化を図るべきである。
|
○ |
終末期医療も含め、高額医療の在り方についての検討が必要である。 |
○ |
その際、終末期医療については、個人の尊厳や患者の意思の尊重といった観点も含め、幅広く議論する必要がある。
|
○ |
医療費適正化に当たっては、医療計画、健康増進計画、介護保険事業支援計画の策定主体である都道府県が積極的な役割を担うべきとの意見、都道府県は医療費適正化を主導する立場になく、国が方針を示し、市町村が地域の実情に合わせた施策を進めるべきといった意見があり、国、都道府県、市町村、保険者、医療機関等の関係者の役割等については、引き続き、議論が必要である。 |
○ |
保健事業については、保険者も積極的な取組を行っていく必要がある。 |
○ |
国民皆保険制度の持続性の確保といった観点から、保険給付の在り方について、実態を踏まえつつ幅広く検討を進めるべきである。 |
○ |
在宅との負担の均衡という観点から、介護保険で食費・居住費を入所者負担としたことを踏まえ、医療保険においても患者負担とするべきとの意見がある一方、医療は介護とは同様に考えることはできず、引き続き療養病床を含め医療保険で給付することが必要との意見があり、引き続き、検討が必要である。 |
○ |
総報酬制の導入や負担の公平を図る観点から自己負担限度額を引き上げるべきとの意見がある一方、高額療養費が患者負担の上限を定めていることから引き上げるべきではないとの意見があり、引き続き、検討が必要である。 |
○ |
制度の簡素化や申請者の利便性の確保について検討するべきとの意見があった。 |
○ |
出産費用の水準に照らし引き上げるべきとの意見がある一方、額を少々増額しても少子化対策の政策効果の面からは効果が薄いのではないか、現在の厳しい医療保険財政を踏まえ、引き上げの財源をどうするか、との意見があった。 |
○ |
また、出産は健康診査も含めて保険適用とすべきとの意見がある一方、保険給付の重点化の要請や保険原則を勘案すれば、出産や健康診査について保険適用する必要性が乏しいとの意見があった。 |
○ |
傷病手当金については、現行の給付水準を維持すべきとの意見、給付水準や要件について諸外国の休業時の所得保障の在り方も踏まえて検討すべきとの意見があった。 |
○ |
出産手当金については、現行の給付水準を維持すべきとの意見、ILO条約の水準に引き上げるべきとの意見、受給者の実態等を踏まえ給付水準や要件について見直しを検討すべきとの意見があった。 |
○ |
埋葬料については、保険給付としての必要性は薄くなっているのではないかといった観点から、検討すべきである。 |
○ |
薬剤給付についても、後発医薬品の使用促進、後発医薬品のある先発医薬品薬価の適正化、画期的新薬の適切な評価といった観点から幅広く検討すべきである。 |
○ |
上記の他、更にどのような方策があり得るか、引き続き検討すべきである。 |
○ |
医療機関・保険者双方のコストを削減するとともに、疾病動向や医療費の分析を適時・的確に行い、保険者としての機能を発揮しやすくするため、レセプトの電子化等を進めるべきとの意見があった。 |
○ |
高額医療の医学的妥当性の検証、医療機関による医療費の個別単価など詳細な内容のわかる領収書の発行の促進、多剤投薬の是正等についても引き続き検討すべきとの意見があった。 |
○ |
診療報酬改定に係る基本的な医療政策の審議は社会保障審議会の医療保険部会及び医療部会にゆだねるという、「中医協の在り方に関する有識者会議」の報告を踏まえ、診療報酬体系に関し、(1)医療技術の適正な評価、(2)医療機関のコストや機能等を適切に反映した総合的な評価、(3)患者の視点の重視等の基本的な考え方に立って、国民に分かりやすい体系とすることについて、当部会においても議論を深める必要がある。 |
○ |
当審議会としても、今後、厚生労働省が秋にも提示する予定の医療制度改革の試案を受けて、引き続き、精力的な議論を行っていくこととする。 |
○ |
なお、医療制度改革に関係する各種審議会(社会保障審議会医療部会、社会保障審議会介護給付費分科会、中央社会保険医療協議会、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会等)の審議動向を踏まえた一体的な改革の検討が極めて重要であり、そのような機会を設けるべきである。 |
社会保障審議会医療部会におけるこれまでの検討状況と今後のスケジュール
◆ |
平成16年9月〜12月
(第1回〜第4回) |
・・・ |
フリートーキング、1巡目の議論を終了 |
◆ |
平成17年2月
(第5回) |
・・・ |
医療提供体制の改革の主要な論点の整理 |
◆ |
平成17年3月〜 |
・・・ |
個別の論点について順次議論
※ 月2回程度のペースで部会を開催 |
|
3月4日(第6回) |
|
「広告規制」、「医療計画」等 |
|
3月24日(第7回) |
|
「医療安全」、「救急医療、母子医療」 |
|
4月13日(第8回) |
|
「医療機能の分化・連携」、「医療施設体系及び医療施設に係る規制の在り方」等 |
|
4月27日(第9回) |
|
「医療を担う人材の確保と資質の向上」、「へき地医療提供体制の確保」、「人員配置標準の在り方」 |
|
5月12日(第10回) |
|
「在宅医療の推進」 |
|
5月25日(第11回) |
|
「広告規制」、「医療法人制度改革」等 |
|
6月7日(第12回) |
|
「医療機能の分化・連携の推進」、「高度又は専門的な医療の提供」 |
|
6月17日(第13回) |
|
「医療安全対策の推進」、「人員配置標準の在り方」、「医療施設体系及び医療施設に係る規制の在り方」 |
|
6月29日・7月28日
(第14回・第15回) |
|
「医療提供体制に関する意見中間まとめ(案)」について |
◆ |
平成17年8月1日 |
・・・ |
中間的なとりまとめ |
◆ |
平成17年内 |
・・・ |
具体的な改革案に向けた意見書のとりまとめ |
|
社会保障審議会医療部会委員名簿
|
氏名 |
所属 |
|
大橋 俊二 |
全国市長会(静岡県裾野市長) |
|
尾形 裕也 |
九州大学大学院医学研究院教授 |
|
小方 浩 |
健康保険組合連合会 副会長 |
◎ |
鴨下 重彦 |
社会福祉法人賛育会病院長 |
○ |
北村 惣一郎 |
国立循環器病センター総長 |
|
見城 美枝子 |
エッセイスト・青森大学教授 |
|
小山田 惠 |
社団法人全国自治体病院協議会会長 |
|
佐伯 晴子 |
東京SP(Simulated Patient)研究会代表 |
|
佐々 英達 |
社団法人全日本病院協会会長 |
|
鮫島 健 |
社団法人日本精神科病院協会会長 |
|
杉町 圭蔵 |
公立学校共済組合九州中央病院長 |
|
龍井 葉二 |
日本労働組合総連合会総合政策局長 |
|
辻本 好子 |
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML代表 |
|
土屋 隆 |
社団法人日本医師会常任理事 |
|
野呂 昭彦 |
全国知事会(三重県知事) |
|
豊田 堯 |
社団法人日本医療法人協会会長 |
|
箱崎 守男 |
社団法人日本歯科医師会副会長 |
|
古橋 美智子 |
社団法人日本看護協会副会長 |
|
堀田 力 |
財団法人さわやか福祉財団理事長 |
|
松井 博志 |
社団法人日本経済団体連合会国民生活本部長 |
|
三上 裕司 |
社団法人日本医師会常任理事 |
|
村上 信乃 |
社団法人日本病院会副会長 |
|
山本 文男 |
全国町村会(福岡県添田町長) |
|
山本 信夫 |
社団法人日本薬剤師会常務理事 |
|
渡辺 俊介 |
日本経済新聞社論説委員 |
|
◎:部会長 ○:部会長代理 |
社会保障審議会 医療部会
「医療提供体制に関する意見中間まとめ」の概要
┌ │ │ └ |
社会保障審議会医療部会において、本年8月1日に「医療提供体制に関する意見中間まとめ」のとりまとめが行われた。その概要は以下のとおり。 |
┐ │ │ ┘ |
厚生労働省
○ |
医療は、患者と医療提供者との信頼関係を基本として成り立つものであり、患者本位の医療を実現していくことが重要。安全で質の高い、よりよい医療の実現に向け、患者や国民が、自らも積極的かつ主体的に医療に参加していくことが望ましい。
|
○ |
医療機関等において、医師とその他の医療従事者が専門性を発揮しながら協力してチーム医療を推進していくことはもとより、地域において、患者を中心とした協力と連携の体制を構築していくことが必要。
|
○ |
医療提供体制については、それぞれの地域の状況やニーズに応じた適切な対応ということに十分留意しつつ、以上のような医療の望ましいあり方、理念に基づき、少子高齢化の進展等も踏まえながら、安全で安心できる、より質の高い効率的な医療サービスを提供するための改革に積極的に取り組んでいくべき。 |
|
2. |
「改革のビジョン」の策定とこれまでの審議経過 |
○ |
平成15年8月に厚生労働省においてとりまとめた「医療提供体制の改革のビジョン」も踏まえながら、「患者の視点に立った、患者のための医療提供体制の改革を基本的な考え方とすべき」との共通認識のもと、医療制度改革の両輪である医療保険制度改革と歩調を合わせ、平成18年の国会への法案提出を念頭に、平成16年9月から検討を開始。これまで15回の会議を開催。
|
○ |
今後、平成17年中の意見のとりまとめを目指し、引き続き検討。
|
|
<医療機関等による積極的な情報提供> |
○ |
医療機関等が、その施設の医療機能に関する一定の情報を都道府県に届け出て、都道府県がそれらの情報を集積してインターネット等で住民にわかりやすく情報提供する枠組みの制度化など、医療機関等による積極的な情報提供の仕組みを導入。
|
<広告可能な事項の拡大> |
○ |
医療機関等が広告可能な事項については、拡大していくことが適当。ポジティブリスト方式、ネガティブリスト方式という広告規制の方式については、二つの方法のメリット・デメリットを考慮しつつ、患者の情報ニーズ、利用者保護の観点、規制の実効性等の観点から、引き続き検討を進め、本年末までに結論を得る。
|
<医療の実績情報(アウトカム指標)の情報提供に係る基盤整備> |
○ |
患者の関心が高い治癒率、術後生存率、患者満足度など医療の実績情報(アウトカム指標)については、客観性や検証可能性を確保するための手法の研究開発等、情報提供の速やかな基盤整備を行い、段階的に広告できる事項として追加すべき。
|
<インターネットによる適切な情報提供> |
○ |
インターネットによる情報提供については、これまでと同様、広報として位置付け、広告規制の対象とはしない。ただし、虚偽等著しく不適切な内容が情報提供されている場合に、法令により実効性のある一定の規制を行うことのできる枠組みの創設を検討。また、適切な広報を行うためのガイドラインの作成・普及方策について検討すべき。
|
|
<医療安全対策の基本的考え方> |
○ |
医療安全対策については、「医療の質の向上」という観点を一層重視しつつ、医療に関する情報を国民、患者と共有し、国民、患者が医療に積極的に参加することを通して、医療の質の向上を図り、3つの柱からなる医療安全対策を総合的に推進。
|
<医療の質と安全性の向上> |
○ |
無床診療所、歯科診療所、助産所及び薬局における安全管理体制の整備や病院等における院内感染制御体制の整備など
|
<医療事故等事例の原因究明・分析に基づく再発防止対策の徹底> |
○ |
医療関連死の届出制度・中立的専門機関における医療関連死の原因究明制度及び医療分野における裁判外紛争処理制度の具体化に向けた検討など
|
<患者・国民との情報共有と患者・国民の主体的な参加促進> |
○ |
医療安全支援センターの制度的位置付け、機能強化など
|
※ |
関連する報告書等: |
「今後の医療安全対策について」(医療安全対策検討ワーキンググループ)(平成17年5月) |
|
|
3. |
医療計画制度の見直し等による地域の医療機能の分化・連携の推進 |
<医療計画制度の見直し等> |
○ |
それぞれの地域にふさわしい形で機能分化と連携を図り、望ましい保健医療提供体制を実現していくため、
・ |
主要な事業(がん対策、小児救急を含む小児医療対策、周産期医療対策、へき地医療対策など)ごとに、地域における医療連携体制を構築し、都道府県の医療計画に位置づけること |
・ |
医療計画に住民の視点に立った分かりやすい指標による数値目標を導入し、評価可能な計画としていくこと |
・ |
医療計画の作成からこれに基づいた事業の実施、事業に係る政策評価、そして次期医療計画への見直しという政策の循環が促進されるようにすること |
等により、実効性ある医療計画制度となるよう見直すべき。
|
○ |
新しい医療計画制度によって、地域の医療機能の適切な分化・連携を進め、急性期から回復期、慢性期を経て在宅療養への切れ目のない医療の流れを作り、患者が早く自宅に戻れるようにすることで、患者の生活の質(QOL)を高め、また、必要かつ十分な医療を受けつつトータルな治療期間(在院日数を含む。)が短くなる仕組みをつくることが必要。
|
※ |
関連する報告書等: |
「医療計画の見直し等に関する検討会」中間まとめ(平成17年7月) |
|
<地域医療支援病院、特定機能病院制度のあり方> |
○ |
地域医療支援病院については、周辺に紹介・逆紹介先がないような病院であっても、地域の実情に応じて地域医療の支援を担い地域連携を実施している医療機関が承認を得られるよう、紹介・逆紹介率に係る要件を含め、そのあり方について、引き続き検討が必要。
|
○ |
特定機能病院制度については、その承認を受けている病院であっても必ずしも病院全体として高度な医療を提供しているとは限らないなどの指摘もあり、承認要件や名称を含めた特定機能病院制度のあり方について、引き続き検討が必要。
|
<人員配置標準のあり方> |
○ |
病院薬剤師や看護職員等に関し、医療安全等の観点から、夜間帯の体制確保も考慮して人員配置標準を充実させることについて、また、病院における外来患者数に基づく医師数の規定の必要性について、引き続き検討が必要。
|
○ |
へき地や離島等医療が不足する地域において、都道府県知事が、医療計画等において、医療提供の体制を確保できると判断できる場合には、指定した一定の圏域内の医療機関については、全国一律の配置標準より緩やかに設定する数を上回っていれば「標準を欠く」には当たらないこととする仕組みの創設について検討すべき。
|
<有床診療所のあり方> |
○ |
病院と診療所(有床診療所)に係る医療法に基づく諸基準の違い(48時間の入院期間制限や人員配置標準等)については、機能の異なる様々な診療所が存在することや、現に地域医療で果たしている役割を踏まえつつ、医療計画制度や診療報酬との関係なども含め、それぞれの機能に応じた適切なあり方を検討すべき。 |
|
4. |
母子医療、救急医療、災害医療及びへき地医療体制の整備 |
○ |
母子医療のうち、周産期医療については、全都道府県に周産期医療ネットワークを構築し、これを医療計画に位置づけ、安心して出産できる体制をつくることが必要。小児医療については、各地域において、医療連携体制を構築し、これを医療計画に位置づけていくことを通じ、地域での小児医療施設の再編・集約化や診療所と病院との連携強化を図る等、患者の受療行動に応じた切れ目のない保健医療提供体制を構築することが必要。
|
○ |
救急医療、災害医療については、各地域において、医療連携体制を構築し、これを医療計画に位置づけ、必要な体制を整えていくことが必要。
|
○ |
へき地医療については、医療計画に医療連携体制を位置付けるとともに、へき地診療所や巡回診療等による医療の確保や、代診医の派遣調整、情報通信技術を活用した診療支援等、具体的な取組を進めることが必要。
|
※ |
関連する報告書等: |
「へき地保健医療対策検討会」報告書(平成17年7月) |
|
|
5. |
地域、診療科等での医師の偏在解消への総合対策 |
○ |
医師の地域偏在については、離島やへき地での勤務への動機付け(医師のキャリア形成における地方勤務の評価など)などの施策について、関係省庁とも連携し、幅広く検討していくことが必要。
|
○ |
産科や小児科、救急医療など診療科・部門による偏在については、診療報酬での適切な評価など不足している診療科への誘導、地域内の病院・診療所の協力体制整備などの施策について、幅広く検討することが必要。
|
※ |
関連する報告書等: |
「医師の需給に関する検討会」中間報告書(平成17年7月) |
|
○ |
医師の地域偏在や診療科等での偏在は、患者、国民の医療の確保にとって極めて重要な問題であることから、関係省庁とも連携し、早急に総合的な対策を取りまとめるべき。 |
|
○ |
患者・家族が希望する場合の選択肢となりうる、終末期を含めた在宅医療の体制を地域において整備することが重要。
|
○ |
在宅医療に関する情報が積極的に提供される環境整備、在宅医療を担うことのできる人材の養成、在宅医療に係る地域の医療連携体制の構築など、医療提供体制改革の各課題の解決を通じて、在宅医療を推進。
|
○ |
訪問看護サービスの充実・普及、薬局・薬剤師の積極的な関与、医療機関における退院調整機能の促進など、主治医をはじめ、多職種が協働して患者を支える体制整備が必要。
|
|
○ |
医療法人制度全体について非営利性をより明確にし効率性や透明性の向上を図ることなどについて検討するとともに、高い公益性がある医療法人が、都道府県が作成する医療計画に基づいた医療を積極的に担っていく方向を目指すことが必要。
|
○ |
安定した医業経営の実現の観点から、資金調達手段の多様化や、地域の住民や企業が寄附等を通じて医療法人を地域で支えていく仕組みを検討することが必要。
|
○ |
医療法人の公益性の内容を明確にした上で、高い公益性のある医療法人への寄附金を促進する等の税制措置が講じられるべき。
|
○ |
法人設立等の際の財産拠出者に係る「持ち分」の取扱いについての見直しを行う際には、新制度への移行については、法人運営に支障を来すことのないよう、必要な経過措置等を講ずるべき。
|
※ |
関連する報告書等: |
「医業経営の非営利性等に関する検討会」報告書(平成17年7月) |
|
|
<医師等に係る行政処分のあり方> |
○ |
医業停止の行政処分を受けた医師等に対する再教育のあり方(目的、内容、対象者、助言指導者等)について整理し、医師法等の改正により再教育を義務付けることが必要。
|
○ |
戒告など医業停止を伴わない新たな行政処分の類型の設置など、行政処分の在り方等について引き続き検討を進めるべき。
|
※ |
関連する報告書等: |
「行政処分を受けた医師に対する再教育に関する検討会」報告書(平成17年4月) |
|
<保健師・助産師・看護師資格のあり方> |
○ |
看護師資格を持たない保健師及び助産師の看護業務、看護師等の名称独占、行政処分を受けた看護職員に対する再教育、免許保持者の届出義務の創設等について、必要な措置を講ずるべき。
|
※ |
関連する報告書等: |
「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」中間まとめ(平成17年6月) |
|
<専門医のあり方> |
○ |
専門医の質の確保に当たり、国あるいは公的な第三者機関が一定の関与を行う仕組みとすることを含め、医療の質の向上と医療安全のさらなる推進を図る上での専門医の育成のあり方について検討すべき。
|
○ |
心臓外科や血管外科等特に高い専門性が求められると考えられる一定の領域について、専門医の養成・確保や専門的医療を行う病院の位置づけを通じて、医師の専門性を評価する仕組みについても検討。
|
|
○ |
電子カルテやレセプト電算処理の普及など医療の情報化の一層の推進のため、セキュリティ確保等の必要な基盤整備を図りながら、効果的な普及方策を検討し、積極的に推進すべき。
|
|
「今後の生活習慣病対策の推進について(中間とりまとめ)」
地域保健健康増進栄養部会における検討経緯
○平成16年10月18日
○平成16年11月25日
○平成16年12月20日
・ |
一次予防施策−「健康日本21」の中間評価−について
(1)栄養・食生活、(2)身体活動・運動、(3)休養・こころの健康、(4)歯の健康 |
○平成17年2月21日
・ |
一次予防施策−「健康日本21」の中間評価−について
(5)たばこ、(6)アルコール、(7)糖尿病、(8)循環器病、(9)がん |
○平成17年3月24日
○平成17年4月21日
・ |
これまでの議論の整理について |
・ |
健康日本21中間評価作業チームによる暫定総合評価について |
・ |
生活習慣病対策の総合的な推進について |
・ |
健康日本21中間評価におけるデータ分析(たばこ)について |
・ |
平成15年国民健康・栄養調査結果の速報について |
・ |
がん医療水準均てん化の推進に関する検討会報告について |
○平成17年6月3日
・ |
地域保健対策検討会中間報告について |
・ |
これまでの議論の整理(改訂版) |
・ |
平成17年度「禁煙週間」の実施について |
・ |
「健康食品」について |
○平成17年7月11日
・ |
「健康日本21」代表目標項目の選定について |
・ |
食育基本法の成立について |
・ |
「食事バランスガイド」について |
・ |
「運動所要量・運動指針の策定検討会」の設置について |
・ |
これまでの議論の整理(確定版) |
○平成17年7月29日
・ |
「健康日本21」代表目標項目について |
・ |
これまでの議論を踏まえた中間とりまとめの骨格について |
・ |
生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会について |
・ |
都道府県健康増進計画の見直しの方向性について |
○平成17年8月29日
・ |
生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会中間とりまとめ(案)について |
・ |
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会中間とりまとめ(案)について |
○平成17年9月7日
・ |
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会中間とりまとめ(案)について |
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会委員
平成17年6月3日〜
|
氏名 |
所属 |
|
いしい みどり
石井 みどり |
社団法人日本歯科医師会常務理事 |
|
かがや あつこ
加賀谷 淳子 |
日本女子体育大学客員教授 |
|
かとう ひさたけ
加藤 尚武 |
鳥取環境大学客員教授 |
|
かとう むつみ
加藤 陸美 |
健康日本21推進全国連絡協議会会長 |
|
かわの じゅんきち
河野 順吉 |
北海道深川市長 |
|
かんだ まさあき
神田 真秋 |
愛知県知事 |
|
きくた のぶこ
菊田 信子 |
全国食生活改善推進員団体連絡協議会会長 |
|
きたむら そういちろう
北村 惣一郎 |
国立循環器病センター総長 |
|
きむら りゅうじ
木村 骼 |
社団法人日本薬剤師会常務理事 |
|
さかもと まさこ
坂本 雅子 |
財団法人福岡市健康づくり財団理事長 |
|
ささづき たけひこ
笹月 健彦 |
国立国際医療センター総長 |
|
しぶや いづみ
澁谷 いづみ |
愛知県半田保健所長 |
|
しんどう さちえ
新道 幸惠 |
青森県立保健大学学長 |
|
たかはし きよひさ
橋 清久 |
藍野大学学長 |
|
たかはし しげる
高橋 滋 |
一橋大学大学院法学研究科教授 |
|
たたら こうぞう
多田羅 浩三 |
放送大学 生活と福祉教授 |
|
たなか へいぞう
田中 平三 |
聖徳大学人文学部生活文化科教授 |
|
つちや たかし
土屋 隆 |
社団法人日本医師会常任理事 |
|
とみなが すけたみ
富永 ハ民 |
財団法人愛知県健康づくり事業団健康科学総合センター長 |
|
なかむら ていじ
中村 丁次 |
社団法人日本栄養士会会長 |
◎ |
ひさみち しげる
久道 茂 |
宮城県病院事業管理者 |
|
まつだ しんや
松田 晋哉 |
産業医科大学公衆衛生学教室教授 |
|
まつもと かずお
松本 和夫 |
佐賀県北方町長 |
|
むらた まさこ
村田 昌子 |
茨城県保健福祉部子ども家庭課長 |
|
わたなべ しょう
渡邊 昌 |
独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長 |
◎:部会長
|
今後の生活習慣病対策の推進について
(中間とりまとめ)
概要
厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会において、昨年10月以降、「健康日本21」の中間評価の作業を進めるとともに、これまでの生活習慣病対策の現状と課題及び今後の方向性について審議を行ってきたところであり、本年9月15日に、今後の生活習慣病対策の方向性について中間とりまとめを行った。その概要は以下のとおり。
|
1 |
これまでの生活習慣病対策の現状と課題
(これまでの生活習慣病対策の展開) |
○ |
昭和53年からの第一次、昭和63年からの第二次の国民健康づくり対策に続き、平成12年からの「健康日本21」においては、健康寿命の延伸等を実現するため、健康づくりに向けた国民運動について基本的な方向を提示するとともに、9分野70項目にわたる具体的な目標を提示。 |
○ |
その後、「健康日本21」を中心とする健康づくり施策を推進する法的基盤として、健康増進法が制定。 |
○ |
「健康フロンティア戦略」では、生活習慣病対策について、がん対策、心疾患対策、脳卒中対策、糖尿病対策の具体的な数値目標が掲げられ、平成17年度から10年間、重点的に政策を展開。
|
(「健康日本21」中間評価における暫定データから見た現状) |
○ |
「健康日本21」中間評価における暫定データからは、例えば、肥満者の割合や野菜摂取量、日常生活における歩数のように、「健康日本21」の策定時のベースライン値より改善していない項目や悪化している項目が見られるなど、これまでの進捗状況は必ずしも十分ではない点が見られる。
|
(生活習慣病対策を推進していく上での課題)
(1) |
一次予防施策の課題
・ |
健康に関する情報の氾濫 |
・ |
日常生活で意識されるには目標項目を絞り込むことが必要 |
・ |
ターゲットが必ずしも明確ではなく、具体的な施策プログラムも不十分 |
・ |
個人の取組を支援する社会全体としての環境整備が不十分 |
|
(2) |
二次予防施策の課題
・ |
生活習慣病予備群の確実な抽出と保健指導の徹底が不十分 |
・ |
若年期から生涯を通じた健康管理が不十分 |
・ |
科学的根拠に基づく健診・保健指導の徹底が必要 |
・ |
健診・保健指導の質の更なる向上が必要 |
|
(3) |
推進体制の課題
・ |
国としての具体的な戦略やプログラムの提示が不十分 |
・ |
医療保険者、市町村等の責任・役割分担が不明確 |
・ |
関係者を総合調整する都道府県の役割が不十分 |
・ |
現状把握、施策評価のためのデータの整備が不十分 |
|
|
2 |
今後の生活習慣病対策の基本的な方向性
〜国民の健康づくりに対する意識の高まりを具体的な行動変容に
結びつけるために〜
〜メタボリックシンドロームの概念を導入した対策の推進〜
○ |
健康に関心のある人が自主的に行う健康づくりの支援にとどまらず、健康に関心のない人や、生活習慣病の「予備群」でありながら自覚していない人に対し、「予防」の重要性や効果を認識してもらうため、社会全体として支える環境整備が必要であり、今後、「メタボリックシンドローム」の考え方を取り入れた生活習慣病対策を推進し、国民や関係者の「予防」の重要性に対する理解の促進を図っていくことが有効と考えられる。 |
○ |
さらに、生活習慣病の予防は、個人の健康度の改善や生活の質(QOL)の向上にとどまらず、国民の健康寿命の延伸や、さらに、特に若年期からの予防の徹底が医療費の適正化にもつながっていくことを、社会全体として積極的に評価していくべきである。 |
〜エビデンスに基づく施策展開と事業の実績評価の推進〜
○ |
最新の科学的知見を実際の健康づくり施策や保健事業に反映させていくため、国の役割として、生活習慣病に関する研究や調査の成果をできる限り速やかに整理していくとともに、新しい科学的知見を不断に集積していくことが必要である。 |
○ |
生活習慣病対策の企画立案、評価等の基礎となる国民健康・栄養調査等については、(1)現状の把握、(2)目標値の設定、(3)事業の実績評価といった、効果的な施策を展開する上で重要である。各都道府県においても、地域の状況を的確に把握・評価する体制を整備していくことが必要である。 |
III |
生活習慣改善の効果的なプログラムの開発と普及 |
|
〜ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの相乗効果〜
○ |
生活習慣病の「予備群」の発症予防を徹底するためには、ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチを適切に組み合せて対策を推進していくことが必要であり、これにより相乗効果が発揮できる。 |
○ |
ハイリスクアプローチでは、保健指導を中心に据えた一体的なサービスとして捉え直すことが必要である。また、生活習慣の改善については、「バランスの良い楽しい食事や日常生活の中での適度な運動」といった良い生活習慣は気持ちがいいという快適さや達成感をいかに実感してもらうかが重要である。 |
IV |
個人の取組を社会全体で支えるための責任・役割の明確化 |
|
〜都道府県の役割強化と産業界も含めた関係者との連携促進〜
○ |
個人の主体的な取組を社会全体で支援していくため、多様な関係者が具体的に連携を進めていくには、まず、関係者それぞれの責任・役割分担を明確にした上で、役割分担に基づいた具体的な施策ごとの連携方策を検討していくことが必要である。 |
○ |
特に、ハイリスクアプローチについては、今後は、医療保険者による保健事業の取組強化を図っていくことが必要である。
さらに、こうした多数の関係者間の役割分担と連携を進めていくためには、各関係者の総合調整を行う都道府県の役割が重要であり、都道府県の生活習慣病対策における役割強化が必要である。 |
|
3 |
今後の生活習慣病対策における具体的な対応方針
I |
健康づくりの国民運動化(ポピュレーションアプローチ) |
|
(1) |
メタボリックシンドロームの概念の普及定着
安易に薬に頼るのではなく運動習慣の徹底と食生活の改善が基本といった考え方を国民に広く普及するとともに、生活習慣改善の達成感や快適さを実感し、良い生活習慣は気持ちがいいものということを再認識し、継続した取組を支援する環境整備が重要である。
|
(2) |
「健康日本21」の代表目標項目の選定
生活習慣病予防のため日常生活において具体的に何に取り組めばいいのかを国民にわかりやすく示すためにも、「健康日本21」の目標から選定した21の代表目標項目を普及啓発に積極的に活用することが必要であり、都道府県健康増進計画にも、地域の実情を踏まえつつ、具体的目標値を設定すべきである。
|
(3) |
具体的な施策プログラムの提示
〜「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」〜
(1) |
身体活動・運動施策(「エクササイズガイド(仮称)」の策定、普及、活用等)
ライフスタイルに応じ、運動不足の解消を目指した具体的な実践方法等をわかりやすく示した「エクササイズガイド(仮称)」を策定し、フィットネス業界等の産業界や運動関連団体等を通じ、地域や職場を通じた普及活用を進めることが必要である。
|
(2) |
栄養施策(「食事バランスガイド」の普及、活用等)
「何を」「どれだけ」食べればよいかをわかりやすく示した「食事バランスガイド」を、食品選択の場で積極的に活用していくことが重要であり、ファミリーレストラン、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の食品関連産業における情報提供や商品開発を進めるとともに、関係者が連携し、地域や職場を通じた普及啓発活動を進めることが必要である。
さらに、食育基本法が制定されたところであり、食育の国民運動としての展開の中で、「食事バランスガイド」の普及・活用等を一層図っていくことが必要である。
|
(3) |
たばこ対策(禁煙支援マニュアルの策定、普及、活用等)
たばこ対策に関しては、喫煙率の低下の数値目標の設定、未成年者の喫煙防止対策として自動販売機の規制の大幅強化、受動喫煙防止対策の推進、たばこの価格又は税を引き上げ、その財源を生活習慣病予防対策に充当することの検討、といった意見が出された。こうした意見については、関係省庁が十分に連携し、検討、さらには取組を進めていくことが必要である。また、自主的な禁煙の試みを積極的に支援するため、禁煙を支援するマニュアルの策定、普及、活用を進めるとともに、喫煙率の低下についての新たな数値目標の設定の検討も含め、国民全体の喫煙率の低下を目指すべきである。
|
|
(4) |
産業界も巻き込んだ国民運動の戦略的展開
国民運動として生活習慣病対策を推進していくためには、地域住民に対するポピュレーションアプローチの中心的な役割を市町村が果たす必要があるが、産業界が「エクササイズガイド(仮称)」や「食事バランスガイド」等を広く普及、活用していくことが重要であり、関連業界を始めとする幅広い産業界の自主的な取組との一層の連携が不可欠である。 |
II |
網羅的・体系的な保健サービスの推進(ハイリスクアプローチ) |
|
(1) |
メタボリックシンドロームの概念に基づく健診・保健指導の導入
ハイリスク者の「予防」を徹底していくためには、「予備群」を重点的な対象として、生活習慣改善の必要性が高い者を健診によって効率的かつ確実に抽出するとともに、効果的な保健指導を徹底していくことが必要である。このため、健診・保健指導について、メタボリックシンドロームの概念に基づき、生活習慣の改善支援という観点から一体のものとして捉え直した上で、保健指導を中心にその徹底を図っていくべきである。
|
(2) |
若年期からの健診・保健指導の徹底
30歳代の3割が肥満であるといった現状を踏まえれば、メタボリックシンドロームの「予備群」に対する健診・保健指導の観点からは、40歳未満のより若年期からの健診・保健指導の徹底が必要と考えられることから、今後、40歳未満の者に対する健診・保健指導の在り方について検討すべきである。
|
(3) |
健診機会の段階化と保健指導の階層化
網羅的な保健サービスの推進という観点から、基本的な健診により、リスクの度合いを効率的に把握した上で、基本的な健診でリスクがあると判断された者などに詳細な健診の受診勧奨を徹底することが、予備群の確実な抽出に有効と考えられる。
また、生活習慣の改善を支援する上で中心となる保健指導については、詳細な健診の結果を踏まえ、病態の重複状況や行動変容の困難さの度合い等に応じたサービスを効果的・効率的に提供するため、保健指導の必要度に応じた対象者の階層化を図ることが重要である。
|
(4) |
保健指導プログラムの標準化
保健指導の実施に当たっては、対象者それぞれの健康に対する意識のレベルや、個々のライフスタイル等を理解した上で、それぞれの状況等に応じ、必要な時に、的確に、本人の自主的な行動変容の支援を行うことが重要であり、こうした保健指導については、国としても、保健指導プログラムを標準化し、その普及を図る必要がある。その際には、運動指導と栄養指導が一体的なものとして行われることが必要である。
|
(5) |
健診項目の重点化、精度管理の徹底等
最新の科学的知見を具体的な健診事業に結びつける観点から、健診項目の重点化、精度管理の在り方等についての研究の成果をできる限り速やかに整理し、それを踏まえた取組を進めていくことが必要である。 |
○ |
糖尿病・循環器病対策については、メタボリックシンドロームの予防のための施策により生活習慣の改善を徹底することが基本であり、ポピュレーションアプローチとしての運動施策、栄養施策等の推進や、ハイリスクアプローチとしての健診・保健指導の徹底等が重要であるが、糖尿病・循環器病対策としては、こうした発症予防の取組だけでなく、診断・治療までを含めた総合的な対応も重要である。
特に糖尿病対策については、大規模な戦略研究を実施することとしているところであり、これらの成果を速やかに予防や診断・治療に活用していくことが重要である。また、関係団体等の取組を踏まえ、官民一体となった糖尿病対策を推進していくべきである。 |
○ |
がんは、喫煙等の不健康な生活習慣が発症の確率を高めはするものの、遺伝要因、病原体等の外部環境要因も発症に大きく関わるほか、発見された場合には直ちに手術や化学療法などの適切な治療を開始することが必要となる。したがって、がんについては、メタボリックシンドローム等の生活習慣病とは分けて対策を考えることが必要であり、禁煙支援等の発症予防や早期発見のためのがん検診の充実等のがん予防対策は、治療や緩和ケアまで含めた、がんの病態に応じた総合的な対策全体の中で考えられるべきである。 |
(1) |
生活習慣病対策の推進に向けた関係者の責務と役割
生活習慣病対策を今後より一層推進していくためには、国民、国、都道府県、市町村、医療保険者等のそれぞれの役割を明確化し、その上で具体的な施策ごとに連携を進めていくことが重要である。
|
(2) |
医療保険者による保健事業の取組強化
被用者保険の被保険者本人については、今後は、特にこれまで必ずしも十分には行われてこなかった保健指導について、より積極的な取組が必要である。
被用者保険の被扶養者及び自営業者等については、市町村と医療保険者の責任・役割分担が不明確となり、未受診者の把握や受診勧奨の徹底が必ずしも十分には行われてこなかった。
今後は、未受診者の把握、保健指導の徹底、医療費適正化効果まで含めたデータの分析・評価といった観点から、医療保険者による保健事業の取組強化を図っていくことが必要であり、医療保険者による保健事業の取組強化の内容等について、更に検討を進めるべきである。
|
(3) |
健康づくりに関する都道府県の総合調整機能の強化と都道府県健康増進計画の内容充実
関係者の役割分担を明確にした上で、連携を一層促進していくためには、関係者間の総合調整を図る都道府県の役割が重要である。今後は、都道府県が中心となって、医療保険者、市町村等の関係者が協議した上で、共通の目標の下、それぞれの実施主体の事業内容や事業量を明確化するとともに、具体的な連携事業を推進していくことが必要である。
このため、健康増進法に基づく都道府県健康増進計画の内容を充実し、
(1) |
「健康日本21」の代表目標項目のほか、メタボリックシンドロームの概念に対応した目標項目について、地域の実情を踏まえ、職域を含めた具体的な数値目標の設定 |
(2) |
医療保険者、市町村等の関係者の具体的役割分担と連携促進のための都道府県の総合調整機能の強化 |
(3) |
各主体の取組の進捗状況や目標の達成度の評価の徹底 |
といった観点から、関係者が一体となった取組を進めていくことが必要である。
|
(4) |
保健指導のアウトソーシング
今後、生活習慣病の予備群を中心にきめ細かく個別のニーズに対応していくためには、保健事業に係る市町村、医療保険者等の内部の実施体制のみでは十分に対応できないことが想定され、民間事業者は、医療機関等との連携により積極的なサービス展開を行うことが求められる。
良質な保健サービスを提供できる民間事業者を育成していく際には、医師、保健師、管理栄養士や運動指導の専門家等のマンパワーや、提供されるサービスの内容等について、一定の基準を設けることが必要であり、国として、医療保険者等が保健指導を民間事業者にアウトソーシングする際に考慮すべき基準を示したガイドライン等を策定し、提示することが必要である。
|
(5) |
保健サービスのアウトカム評価の実施
保健サービスの質を評価する上で、その効果を見るためには単年度の結果では判断できず、継続的なデータの蓄積とその分析が必要になる。保険者協議会における医療費の分析評価などの実施状況も踏まえつつ、保健サービスのアウトカム評価の在り方について更に検討を進めるべきである。
|
(6) |
市町村の保健師、管理栄養士等の役割
市町村の保健師、管理栄養士等については、介護予防、児童虐待などの他の業務との関係などを踏まえつつ、今後、健康づくり施策における企画・調整・評価等の業務に重点を置いていく方向で体制強化を図ることが必要であり、ポピュレーションアプローチ、ハイリスクアプローチそれぞれにおける市町村の保健師等の役割について検討していくことが必要である。 |
|
4 |
最後に
○ |
今後の生活習慣病対策の推進については、メタボリックシンドロームの概念を導入し、「健康づくりの国民運動化」としてのポピュレーションアプローチの推進とともに、「網羅的・体系的な保健サービスの推進」としてのハイリスクアプローチの徹底のため、科学的根拠に基づく効果的なプログラムの開発・普及、健診・保健指導の重点化・効率化、医療保険者による保健事業の取組強化、健康づくりに関する都道府県の総合調整機能の発揮と都道府県健康増進計画の内容充実などを中心に積極的な取組を進めていくことが必要である。
なお、特にポピュレーションアプローチについては、産業界も巻き込んだ国民運動の戦略的展開が不可欠である。
|
○ |
現時点で残された主な検討課題としては、(1)「健康日本21」の中間評価、(2)医療保険者による保健事業の取組強化の具体的な内容とそれを踏まえた老人保健事業の見直し、(3)基本的な健診と詳細な健診の具体的な内容、(4)保健指導プログラムの標準化、(5)保健指導のアウトソーシングの在り方、(6)メタボリックシンドロームの概念に対応した指標の設定などが挙げられるが、これらはいずれも今後の生活習慣病対策を進めるに当たっての鍵となるものであり、引き続き精力的な検討を進めていくべきである。 |
|
今後の生活習慣病対策の推進について
「健康日本21」における代表目標項目
一次予防(健康増進、健康づくり) |
栄養・食生活 |
適正体重を維持している人の増加 |
脂肪エネルギー比率の減少 |
野菜の摂取量の増加 |
朝食を欠食する人の減少 |
身体活動・運動 |
日常生活における歩数の増加(成人、高齢者) |
運動習慣者の増加 |
休養・こころの健康づくり |
睡眠による休養を十分にとれていない人の減少 |
たばこ |
未成年者の喫煙をなくす |
公共の場及び職場における分煙の徹底及び効果の高い分煙に関する知識の普及 |
禁煙支援プログラムの普及 |
アルコール |
多量に飲酒する人の減少 |
未成年者の飲酒をなくす |
|
二次予防(疾病の早期発見、早期対策) |
循環器病
(糖尿病) |
健康診断を受ける人の増加
(糖尿病検診の受診の促進) |
がん |
がん検診の受診者の増加 |
糖尿病 |
糖尿病検診受診後の事後指導の推進 |
|
疾病の発症、死亡者等の減少 |
休養・こころの健康づくり |
自殺者の減少 |
歯の健康 |
(学齢期のう蝕予防)一人平均う歯数の減少 |
(歯の喪失防止)80歳で20歯以上、60歳で24歯以上の自分の歯を有する人の増加 |
糖尿病 |
糖尿病有病者の増加の抑制(推計) |
循環器病 |
高脂血症の減少 |
生活習慣の改善等による循環器病の減少(推計) |
健診から保健指導への流れ(イメージ図)
都道府県健康増進計画の見直しに関する国の具体的支援
都道府県健康増進計画の見直しの基本的な方向性 |
1 |
地域の実情を踏まえた具体的な数値目標の設定
・ |
「健康日本21」の代表目標項目を始めとして、地域の実情を踏まえた地域住民にわかりやすい目標値を提示。
|
|
2 |
医療保険者、市町村等の関係者の役割分担・連携促進のための都道府県の総合調整機能の強化
・ |
都道府県の総合調整の下、関係者が協議して、具体的施策に即し、医療保険者、市町村等の役割分担を明確化するとともに、関係者間の連携を促進。
|
|
3 |
各主体の取組の進捗状況や目標の達成度の評価の徹底
・ |
各主体の取組の進捗状況や目標の達成度について、都道府県が定期的に評価し、計画の見直しに反映。 |
|
|
都道府県健康増進計画の見直しに関する国の具体的支援 |
1 |
都道府県健康・栄養調査マニュアルの策定
・ |
「健康日本21」の代表目標項目について、各都道府県で地域の実情を踏まえた目標値の設定を支援する観点から、目標値設定のための現状把握等に資するよう、各都道府県が実施する健康・栄養調査等に関するマニュアルを策定。
|
|
2 |
地域・職域連携推進協議会の設置支援
・ |
都道府県の総合調整の下、医療保険者、市町村等の関係者が、具体的施策に即したそれぞれの役割分担や連携方策について協議する場である、地域・職域連携推進協議会の設置を支援。
|
|
3 |
都道府県健康増進計画改定ガイドラインの策定
・ |
(1)目標項目の選定、(2)関係者の具体的な役割分担と連携促進、(3)各主体の取組の進捗状況や目標の達成度の評価等に関する基本的な考え方を示した都道府県健康増進計画改定のためのガイドラインを策定。 |
|
|
|