アンケート調査及びヒアリングにおける裁量労働制に関する実情と主な意見


  使用者 労働者
  専門業務型裁量労働制 企画業務型裁量労働制 専門業務型裁量労働制 企画業務型裁量労働制
対象業務の範囲 (アンケート)
・対象業務の範囲は現行制度でよいとする者が比較的多い。
(アンケート)
・対象業務の範囲は狭すぎるとする者が多い。
・具体的要望としては、「対象業務の範囲は労使に委ねるべき」とする意見が最も多く、「事業の運営に関する事項についての業務という限定は不要」、「一定以上の年収があることで足りる」、「企画、立案、調査、分析の業務という限定は不要」という意見も多い。

(ヒアリング)
・専ら企画等業務に従事していなくとも企画等の業務に従事しているウェイトによって判断すべき。
・(持株会社などでは)別の法人の事業の運営に関する企画等を行う場合も対象とすべき。
・対象事業場、対象業務は(ガイドラインにとどめ)、労使の自治に委ねるべき。
・営業についても裁量のあるものは対象にすべき
・一定以上の年収の者は労使合意によって対象業務を決めるべき。
(アンケート)
・対象業務の範囲は現行制度でよいとする者が多い。
(アンケート)
・対象業務の範囲は現行制度でよいとする者が多い。
手続 (アンケート)
・手続については、現行制度でよいとする者が多い。
・専門業務型裁量労働制についても、導入に当たって労使委員会で決議を行っている事業場が相当数あり、労働者への適用に当たって当該労働者の同意を要件としている事業場が多い。
(アンケート)
・手続について有用でない手続があり煩雑とする者が多い。
・不要又は煩雑と感じている手続については、「労使委員会の議事録作成」、「個別労働者からの同意」、「決議届の作成・届出」などが多くなっている。

(ヒアリング)
・労使委員会は労働組合と違って資金も時間もないので協議の相手として不適当。過半数組合と協議すれば足りる。
・労使協定で導入できるようにすべき。
・本人同意を廃止すべき。
・労働基準監督署への報告を簡素化すべき。
・労使委員会の決議要件(5分の4)を緩和すべき。
・事業所ごとではなく、全社一括の労使委員会の決議による対象業務の決定が好ましい。
  (ヒアリング)
・労使委員会の委員選出について信任手続が不可欠。
・労使委員会の決議の5分の4要件については再検討すべき。
みなし労働時間 (アンケート)
・みなし労働時間については、所定労働時間で設定している事業場が比較的多いが、今までの実績から算出している事業場も相当数ある。
・みなし労働時間については、8〜9時間の事業場が多く、実労働時間(平均9時間9分)との乖離は比較的小さい。
(アンケート)
・みなし労働時間については、所定労働時間で設定している事業場が多い。
・みなし労働時間は7〜8時間の事業場が多く、実労働時間(平均9時間2分)とかなり乖離している。
   
(アンケート)
・専門業務型裁量労働制のみを導入している事業場では、法的効果について「現行制度でよい」とする意見が多い。


・企画業務型裁量労働制のみを導入している事業場では、労働時間に関する規制を適用除外すべきとの意見が多い。ただし、一定以上の年収や休日の確保を要件とすべきとする意見も相当数みられる。
(アンケート)
・法的効果については、現行制度でよいとする者が多いが、変更してもよいとする者も3割程度みられる。変更する場合には、一定以上の年収確保や一定の休日確保により労働時間に関する規制を適用除外してもよいとの意見が多い。
(ヒアリング)
・みなし労働時間は労働時間の概念が残り、労働時間配分に裁量があるという定義に矛盾しており、管理監督者と同時に適用除外とすべき。
業務の遂行の手段及び時間配分についての裁量 (アンケート)
・出退勤の時刻は自由とする事業場が多い。
・仕事の指示は、「業務の目的、目標や期限等基本事項を指示する」とする事業場が多い。
(アンケート)
・「一律の出退勤時刻がある」、「決められた時間帯にいることが必要」とする労働者が少なくない。
・上司の業務の指示は、「業務の目的、目標や期限等基本事項を指示する」とする労働者が多いが、日々上司への状況報告を行う者が少なくなく、状況報告に際して上司から具体的指示がなされるとする者がかなり存在する。
その他 (アンケート)
・健康福祉確保措置としては、産業医等による健康指導、健康相談窓口の設置、年次有給休暇の取得促進や代償休日の付与などを実施することとしている事業場が多いが、実際に実施した事業場の割合とはかなり乖離がある。
・苦情処理措置としては、相談窓口を設置することとしている事業場が多いが、実際の苦情の申立件数は少ない。
(アンケート)
・一般労働者と比べて、労働時間が長く、休日労働、深夜
労働も多く、年次有給休暇の取得日数は少ない。
・健康福祉確保措置として、休日、休暇等を望む者が多い。

(ヒアリング)
・所定労働日の時短よりも休暇の付与の方が健康的で効果
的。ただし、業務によっては一律に休暇の付与ができない
者もおり、所定労働日の時短で対応せざるを得ない。

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