資料1 アンケート調査結果の概要



******* 目次 *******



資料1−1

I.アンケートの概要

 1.調査の方法等
 2.調査の主な内容
 3.調査対象の属性

II.アンケート結果の概要

資料1−2

III.アンケートの結果

 1.導入事業場
 2.導入事業場 労働者
 3.企業

資料1−3

 1.裁量労働制の施行状況等に関する調査票


I アンケートの概要

1 調査の方法等
 (1)調査方法
 郵送(労働者票については、導入事業場調査に同封し人事担当者より配布する方法と労働組合を経由して配布する2つの方法を採った)
 (2)調査時点
 平成17年3月末日
 (3)調査期間
 平成17年5月〜6月

2 調査の主な内容
 (1)裁量労働制導入事業場
事業場属性
所定労働時間
採用している労働時間制度
管理監督者の職位
導入している裁量労働制の種類及び対象業務
裁量労働制の導入理由
裁量労働制の適用対象とする要件
業務の遂行
みなし労働時間
実労働時間
休日労働、深夜労働
年次有給休暇
賃金
健康・福祉確保措置
苦情処理措置
裁量労働制の対象業務、手続、法的効果についての考え方 等

 (2)裁量労働制導入事業場で働く労働者
労働者属性
適用されている労働時間制度
業務の遂行
実労働時間
休日労働、深夜労働
年次有給休暇
健康状態
健康・福祉確保措置
苦情処理措置
裁量労働制適用者となった理由
現在の労働条件に関する満足度
裁量労働制の対象業務、法的効果についての考え方 等

 (3)企業
企業属性
所定労働時間
採用している労働時間制度
管理監督者の職位
裁量労働制についての認知度、裁量労働制を導入していない理由
裁量労働制の対象業務についての考え方
実労働時間
休日労働、深夜労働

3 調査対象の属性
 (1)裁量労働制 導入事業場
平成16年度中に専門業務型裁量労働制に係る労使協定の届出のあった事業場のうち無作為に抽出した半数の事業場
平成16年度末現在において有効な企画業務型裁量労働制に係る労使委員会の決議届を提出したすべての事業場
 発送数は2,834事業場、集計対象数は820事業場、回収率は28.9%である。回答事業場の産業・規模別の属性は以下のとおり。

上段:%  下段:実数
  合計 鉱業 建設業 製造業 電気・ガス
・熱供給
・水道業
運輸・
通信業
卸売・小売業、
飲食店
金融・
保険業
不動産業 サービス業 教育・
研究業
その他 無回答
合計 100.0 0.0 1.8 37.4 0.4 2.8 3.3 12.0 0.1 30.1 9.9 0.4 1.8
820 0 15 307 3 23 27 98 1 247 81 3 15
  1〜 29人 100.0 0.0 3.2 22.9 0.0 6.4 1.8 6.4 0.5 50.0 6.9 0.5 1.4
218 0 7 50 0 14 4 14 1 109 15 1 3
 30〜 99 人 100.0 0.0 2.9 35.4 0.5 2.4 4.4 9.7 0.0 34.5 8.7 0.5 1.0
206 0 6 73 1 5 9 20 0 71 18 1 2
100〜 299 人 100.0 0.0 0.9 44.6 0.9 2.7 8.9 3.6 0.0 22.3 15.2 0.0 0.9
112 0 1 50 1 3 10 4 0 25 17 0 1
300〜 999 人 100.0 0.0 0.0 60.0 0.0 0.0 3.0 0.0 0.0 15.0 20.0 0.0 2.0
100 0 0 60 0 0 3 0 0 15 20 0 2
1000人以上 100.0 0.0 0.0 81.2 0.0 0.0 0.0 1.4 0.0 4.3 13.0 0.0 0.0
69 0 0 56 0 0 0 1 0 3 9 0 0
無回答 100.0 0.0 0.9 15.7 0.9 0.9 0.9 51.3 0.0 20.9 1.7 0.9 6.1
115 0 1 18 1 1 1 59 0 24 2 1 7

 (2)裁量労働制 導入事業場 労働者
 導入事業場の以下4種類の労働者に配布した
(1)専門業務型裁量労働制適用者
(2)企画業務型裁量労働制適用者
(3)管理監督者
(4)それ以外の常用労働者
 発送数は24,282人分、集計対象数は4,678人、回収率は19.3%である。
 回答者の労働時間制度別の属性は以下のとおり。

年齢別 上段:%  下段:実数
  合計 20歳未満 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代以上 無回答 平均(歳)
合計 100.0 0.0 16.5 45.2 25.2 11.9 0.8 0.4 38.1
4678 2 770 2116 1178 556 39 17  
専門業務型適用者 100.0 0.1 14.8 55.7 21.6 6.5 1.1 0.2 36.8
1562 1 231 870 338 102 17 3  
企画業務型適用者 100.0 0.0 6.2 62.5 22.6 7.8 0.0 0.9 38
643 0 40 402 145 50 0 6  
管理監督者 100.0 0.0 0.6 13.9 52.4 30.1 2.4 0.5 46.4
654 0 4 91 343 197 16 3  
他の労働時間制適用者 100.0 0.1 28.7 42.0 18.0 10.5 0.4 0.3 35.7
1564 1 449 657 282 164 6 5  
無回答 100.0 0.0 18.0 37.6 27.5 16.9 0.0 0.0 38.8
255 0 46 96 70 43 0 0  


性別 上段:%  下段:実数
  合計 無回答
合計 100.0 80.5 19.0 0.5
4678 3767 887 24
専門業務型適用者 100.0 87.1 12.2 0.7
1562 1360 191 11
企画業務型適用者 100.0 86.6 12.8 0.6
643 557 82 4
管理監督者 100.0 94.8 5.0 0.2
654 620 33 1
他の労働時間制適用者 100.0 66.4 33.1 0.4
1564 1039 518 7
無回答 100.0 74.9 24.7 0.4
255 191 63 1


勤続年数 上段:%  下段:実数
  合計 2年未満 2〜5年未満 5〜10年未満 10〜15年未満 15〜20年未満 20〜25年未満 25〜30年未満 30〜35年未満 35〜40年未満 40年以上 無回答 平均(年)
合計 100.0 7.3 14.7 18.5 21.2 16.8 8.8 4.7 4.3 2.3 0.5 0.8 12.8
4678 342 689 867 994 787 413 220 200 106 24 36  
専門業務型適用者 100.0 7.7 16.8 22.9 23.8 16.9 5.6 2.4 1.9 1.2 0.0 0.9 10.8
1562 120 263 358 372 264 87 37 29 18 0 14  
企画業務型適用者 100.0 5.0 5.9 13.8 32.2 23.5 8.6 3.7 4.5 1.1 0.5 1.2 14.2
643 32 38 89 207 151 55 24 29 7 3 8  
管理監督者 100.0 2.8 6.6 8.4 9.5 22.8 20.6 12.1 10.7 5.0 1.2 0.3 19.4
654 18 43 55 62 149 135 79 70 33 8 2  
他の労働時間制適用者 100.0 9.7 19.1 20.6 20.1 12.3 6.3 4.3 3.9 2.4 0.7 0.6 11.5
1564 152 299 322 315 192 99 67 61 37 11 9  
無回答 100.0 7.8 18.0 16.9 14.9 12.2 14.5 5.1 4.3 4.3 0.8 1.2 13.4
255 20 46 43 38 31 37 13 11 11 2 3  


上段:%  下段:実数
  合計 2百万
円台
3百万
円台
4百万
円台
5百万
円台
6百万
円台
7百万
円台
8百万
円台
9百万
円台
10百
万円台
11百
万円台
12百
万円台
以上
無回答 平均
(百万円)
合計 100.0 3.3 11.7 13.2 14.9 13.8 12.9 9.7 6.2 5.3 1.6 2.8 4.7 6.1
4678 155 547 617 696 645 602 452 290 249 77 129 219  
専門業務型適用者 100.0 3.1 8.9 14.0 15.1 16.5 14.6 9.9 6.6 4.4 1.1 1.7 4.2 6.1
1562 48 139 219 236 258 228 155 103 68 17 26 65  
企画業務型適用者 100.0 0.5 2.5 8.9 15.4 19.9 19.8 14.5 7.3 3.7 0.9 0.8 5.9 6.6
643 3 16 57 99 128 127 93 47 24 6 5 38  
管理監督者 100.0 0.2 1.1 3.1 5.5 6.7 12.7 14.4 13.9 19.1 6.9 11.5 5 8.8
654 1 7 20 36 44 83 94 91 125 45 75 33  
他の労働時間制適用者 100.0 5.9 22.4 18.7 18.3 12.0 8.4 5.7 2.2 0.9 0.3 0.6 4.5 4.9
1564 92 351 293 286 187 132 89 35 14 5 10 70  
無回答 100.0 4.3 13.3 11.0 15.3 11.0 12.5 8.2 5.5 7.1 1.6 5.1 5.1 6.3
255 11 34 28 39 28 32 21 14 18 4 13 13  

 (3)企業
 上場企業3,733社(裁量労働制に係る労使協定又は労使委員会の決議を届け出た企業を除く。)のうち無作為抽出した2,000社
 発送数は2,000社、集計対象数は409社、回収率は20.5%であり、回答企業の産業・規模別の属性は以下のとおり。

上段:%  下段:実数
  合計 鉱業 建設業 製造業 電気・ガス
・熱供給
・水道業
情報通信業 運輸業 卸売・
小売業
金融・
保険業
不動産業 飲食店、
宿泊業
教育、
学習支援業
サービス業
  合計 100.0 0.2 7.8 43.3 0.7 4.2 4.4 20.3 7.3 4.2 1.5 0.2 5.9
409 1 32 177 3 17 18 83 30 17 6 1 24
企業規模   1〜 29 人 100.0 0.0 0.0 30.0 0.0 10.0 0.0 10.0 30.0 20.0 0.0 0.0 0.0
10 0 0 3 0 1 0 1 3 2 0 0 0
 30〜 99 人 100.0 0.0 6.7 16.7 0.0 10.0 0.0 26.7 20.0 16.7 0.0 0.0 3.3
30 0 2 5 0 3 0 8 6 5 0 0 1
100〜 299 人 100.0 0.0 8.6 45.7 0.0 3.7 2.5 23.5 4.9 2.5 1.2 0.0 7.4
81 0 7 37 0 3 2 19 4 2 1 0 6
300〜 999 人 100.0 0.7 6.9 45.8 0.0 3.5 6.3 21.5 4.2 2.1 2.1 0.7 6.3
144 1 10 66 0 5 9 31 6 3 3 1 9
1000人以上 100.0 0.0 9.2 46.7 2.5 4.2 5.8 15.8 8.3 1.7 0.8 0.0 5.0
120 0 11 56 3 5 7 19 10 2 1 0 6
無回答 100.0 0.0 8.3 41.7 0.0 0.0 0.0 20.8 4.2 12.5 4.2 0.0 8.3
24 0 2 10 0 0 0 5 1 3 1 0 2
平均(人) 1505.9 765.0 2050.6 1697.1 3420.0 678.4 1643.9 858.2 1036.6 1505.8 1404.8 314.0 1238.8
本社の事業場規模   1〜 29 人 100.0 0.0 4.8 35.7 0.0 7.1 0.0 21.4 7.1 9.5 2.4 0.0 11.9
42 0 2 15 0 3 0 9 3 4 1 0 5
 30〜 99 人 100.0 0.0 10.2 35.6 0.0 3.4 5.9 23.7 4.2 5.9 2.5 0.8 7.6
118 0 12 42 0 4 7 28 5 7 3 1 9
100〜 299 人 100.0 1.0 10.3 46.4 0.0 2.1 4.1 19.6 10.3 2.1 0.0 0.0 4.1
97 1 10 45 0 2 4 19 10 2 0 0 4
300〜 999 人 100.0 0.0 5.2 57.1 0.0 5.2 6.5 13.0 7.8 1.3 0.0 0.0 3.9
77 0 4 44 0 4 5 10 6 1 0 0 3
1000人以上 100.0 0.0 13.8 44.8 6.9 6.9 0.0 17.2 3.4 3.4 0.0 0.0 3.4
29 0 4 13 2 2 0 5 1 1 0 0 1
無回答 100.0 0.0 0.0 39.1 2.2 4.3 4.3 26.1 10.9 4.3 4.3 0.0 4.3
46 0 0 18 1 2 2 12 5 2 2 0 2
平均(人) 359.7 208.0 457.2 413.1 2016.5 348.7 258.1 297.2 323.3 167.1 43.8 70.0 214.0



II アンケート結果の概要

1 裁量労働制を導入している事業場の実態
 (1)専門業務型裁量労働制について
(1) 制度の対象としている業務として多いのは、「新商品・新技術の研究開発業務」(56.6%)、「情報処理システムの分析・設計」(49.3%)である。
(2) 制度導入の理由は、「労働者の創造的能力を高め、発揮を促すため」(79.7%)が最も多く、次いで「成果主義型人事労務管理の導入の一環として」(61.4%)となっている。
(3) 専門業務型裁量労働制の導入に当たり、法律上の要件ではないものの、労使委員会の決議を行っている事業場の割合は37.4%であり、その理由としては「労働者のモラルの向上のため」が59.1%と最も多い。
 また、専門業務型裁量労働制の労働者への適用に当たり、法律上の要件ではないものの、個別労働者の同意を要件としている事業所の割合は58.4%となっており、その理由としては「労働者のモラル向上のため」が56.4%と最も多い。
(4) みなし労働時間については、所定労働時間で設定している事業場が多い(54.2%)が、今までの実績から算出している事業場も相当数(35.9%)ある。みなし労働時間の時間数については、「8時間」(25.2%)、「8時間30分超9時間以下」(24.3%)が比較的多く、平均は8時間26分となっている。一方、実労働時間は、「8時間30分超9時間以下」(17.4%)、「9時間超9時間30分以下」(14.1%)が比較的多く、平均は9時間9分となっている。
 また、裁量労働制を導入している事業場の47.1%で裁量労働制適用者に限った特別手当を支給しており、その額は月単位の場合は月額平均62.9千円、年単位の場合は年額平均1,361.6千円となっている。
 さらに、労働者調査によって裁量労働制導入前と後とで賃金の変化をみると、「ほとんど変わらない」が45.9%であり、「増えた」(6.0%)及び「少し増えた」(19.3%)の合計が、「減った」(12.0%)及び「少し減った」(11.1%)の合計をわずかに上回っている。
(5) 裁量労働制適用者の労働時間の把握方法としては、「自己申告による」とする事業場が60.7%と多く、「タイムカード・ICカードによる」は23.3%となっている。
 また、労働者調査によれば、平成16年度の月間最長、最短労働時間は、一般労働者、企画業務型裁量労働制適用者及び管理監督者のいずれよりも長い傾向にあり、年次有給休暇の平均取得日数(8.3日)は、管理監督者(7.5日)に次いで少なく、年間取得休日数も111.3日と最も少ない。
 さらに、労働者調査によって裁量労働制導入前と後とで労働時間を比較すると、「ほとんど変わらない」(66.2%)とする者が多いものの、「長くなった」(7.0%)及び「やや長くなった」(9.6%)の合計は、「短くなった」(2.4%)及び「やや短くなった」(9.6%)の合計をやや上回っている。なお、短くなった理由としては、「自分のペースで仕事ができるため」(81.8%)が多く、長くなった理由としては、「追加の仕事が多い」(47.9%)や「締切の設定に無理があるものが多い」(28.2%)が多くなっている。
(6) 裁量労働制適用者に対する出勤・退勤時刻の適用の有無については、「出退勤の時刻は自由だが出勤の必要あり」とする事業場が61.1%と多いが、「一律の出退勤時刻がある」も27.5%に上っている。また、裁量労働制適用者に対する管理監督者の仕事の指示の仕方については、「業務の目的、目標や期限等の基本的事項を指示する」事業場が75.0%を占め、「指示はしない」も10.8%存在する。
 一方、労働者調査によれば、出勤・退勤時刻について、「一律の出退勤時刻がある」(32.0%)、「決められた時間帯にいれば出退勤時刻は自由」(16.8%)とする者が相当数見られる。また、上司の業務の指示については、「業務の目的、目標や期限等基本的事項についてのみ指示がある」とする割合が高い(69.9%)が、上司への状況報告を日々行う者が26.9%おり、状況報告に際して上司から「具体的指示もなされる」とする者が40.0%となっている。
(7) 健康・福祉確保措置として実施することとなっているものとしては、「産業医等による助言・指導又は保健指導を受けさせる」(67.7%)、「休日労働が行われた時に代償休日を付与する」(61.9%)、「心とからだの健康相談窓口を設置する」(56.2%)といった事業場が多いものの、実際に実施した事業場の割合は、それぞれ18.6%、24.0%、18.6%と低くなっている。
 なお、労働者調査によれば、健康・福祉確保措置に関する要望としては、「休日・休暇を組み合わせた連続休暇制度の導入」(37.1%)、「年次有給休暇の連続取得を含む取得促進措置」(34.9%)、「一定時間以上の勤務が行われた場合の特別休暇付与」(31.2%)等が多い。
(8) 苦情処理措置としては、「人事担当部署等に独自の相談窓口を設置」(52.1%)、「上司への申し出」(38.3%)が多いが、実際に苦情があったとしている事業場は5.0%となっている。
 また、労働者調査によれば、苦情を申し出たことがある者の割合は3.2%で、苦情の内容としては「人事評価が不透明」(56.0%)、「業務量が過大」(52.0%)が多くなっている。苦情処理体制や対応については、「やや不十分」(20.4%)「不十分」(15.3%)とする者の割合が企画業務型裁量労働制適用者より高く、その内容としては、「どこの誰に相談すればよいのか明確でない」が56.7%と多くなっている。

 (2)企画業務型裁量労働制について
(1) 企画業務型裁量労働制を導入している事業場においては、対象となる業務については、ほぼ平均的に導入されている。
(2) 制度導入の理由は、「労働者の創造的能力を高め、発揮を促すため」(89.5%)、「成果主義型人事労務管理の導入の一環として」(86.0%)が多く、これらの割合は専門業務型裁量労働制と比較して高くなっている。
(3) みなし労働時間については、70.1%の事業場が所定労働時間で設定しており、「今までの実績から算出」している事業場は16.7%で、専門業務型裁量労働制と比較してかなり少ない。
 みなし労働時間を所定労働時間で設定している事業場が多いため、みなし労働時間の時間数は「7時間30分超8時間未満」(47.3%)が最も多く(平均8時間3分)、実労働時間(平均9時間2分)との乖離は専門業務型裁量労働制より大きくなっている。
 また、裁量労働制を導入している事業場の51.0%で裁量労働制適用者に限った特別手当を支給しており、その額は月単位の場合は月額平均65.5千円、年単位の場合は年額平均1,224千円となっている。
 さらに、労働者調査によって裁量労働制導入前と後とで賃金の変化をみると「ほとんど変わらない」が43.4%であり、「増えた」(7.9%)及び「少し増えた」(29.7%)の合計が、「減った」(7.2%)及び「少し減った」(8.9%)の合計を上回っている。
(4) 裁量労働制適用者の労働時間の把握方法としては、「自己申告による」とする事業場が72.0%と多く、「タイムカード・ICカードによる」は15.9%となっている。
 また、労働者調査によれば、平成16年度の月間最長、最短労働時間は、専門業務型裁量労働制適用者及び管理監督者よりは短くなっており、年次有給休暇の平均取得日数(9.4日)も一般労働者(9.6日)に次いで多くなっている。
 さらに、労働者調査によって裁量労働制導入前と後とで労働時間を比較すると、「ほとんど変わらない」(71.2%)とする者が多く、「長くなった」(6.5%)及び「やや長くなった」(7.3%)の合計と「短くなった」(2.3%)及び「やや短くなった」(10.4%)の合計はさほど差はない。なお、短くなった理由としては、「自分のペースで仕事ができるため」が76.8%と多く、長くなった理由としては、「追加の仕事が多い」(53.9%)が多い。
(5) 裁量労働制適用者に対する出勤・退勤時刻の適用の有無については、「出退勤の時刻は自由だが出勤の必要あり」とする事業場が80.9%を占めるが、「一律の出退勤時刻がある」も12.1%存在する。また、裁量労働制適用者に対する管理監督者の仕事の指示の仕方については、「業務の目的、目標や期限等基本的事項を指示する」(91.1%)がほとんどである。
 一方、労働力調査によれば、出勤・退勤時刻について「一律の出退勤時刻がある」(22.7%)、「決められた時間帯にいれば出退勤時刻は自由」(14.3%)とする者が相当数見られる。また、上司の業務の指示については、「業務の目的、目標や期限等の基本的事項についてのみ指示がある」とする者がほとんど(84.0%)であるが、上司への状況報告を日々行う者が35.3%おり、状況報告に際して上司から「具体的指示もなされる」とする者が40.0%となっている。
(6) 健康・福祉確保措置として実施することとなっているものとしては、「産業医等による助言・指導又は保健指導を受けさせる」(84.9%)、「心とからだの健康相談窓口を設置する」(77.9%)、「一定時間数以上の勤務や休日労働が行われた時に健康診断を実施する」(69.8%)、「年次有給休暇の連続取得を含む取得促進措置を講じる」(66.0%)といった事業場が多いものの、実際に実施した事業場の割合は、それぞれ36.1%、38.8%、30.2%、36.9%となっている。
 なお、労働者調査によれば、健康・福祉確保措置に関する要望としては、「年次有給休暇の連続取得を含む取得促進措置」(31.5%)、「休日・休暇を組み合わせた連続休暇制度の導入」(29.2%)が比較的多い。
(7) 苦情処理措置としては、「労働組合に相談窓口を設置」(43.9%)「人事担当部署等に独自の相談窓口を設置」(39.6%)、「労使委員会に相談窓口を設置」(31.5%)が多いが、実際に苦情があったとしている事業場は1.6%にすぎない。
 また、労働者調査によれば、苦情を申し出たことがある者の割合は1.1%で、苦情処理体制や対応については、「やや不十分」(12.3%)「不十分」(9.3%)とする者も存在し、その内容としては、「どこの誰に相談すればよいのか明確でない」が41.0%となっている。

2 裁量労働制の評価
 (1)専門業務型裁量労働制について
 労働者調査によれば、裁量労働制適用の前後で仕事の効率は「あまり変わらない」とする者が65.2%と最も多いが、「かなり効率的になった」(3.4%)及び「少し効率的になった」(19.5%)の合計は、「非効率になった」(1.5%)及び「少し非効率になった」(4.4%)の合計より多くなっている。
 また、適用労働者の満足度については、「普通」が51.8%で最も多く、「一部不満がある」(31.3%)、「大いに不満」(8.3%)、「大いに満足」(6.1%)の順となっている。不満の具体的内容としては、「業務量が過大」(48.9%)、「労働時間(在社時間)が長い」(45.6%)、「給与が低い」(37.6%)「人事評価が不透明」(35.5%)、「みなし時間の設定が不適切」(28.4%)、「休日・休暇を確保しにくい」(27.1%)といった点が挙げられている。
 一方、「能力を有効に発揮できる」、「仕事がやりやすくなる」という理由で裁量労働制の適用を志望した者については、期待どおりと評価する割合が高い。
 (2)企画業務型裁量労働制について
 労働者調査によれば、裁量労働制適用の前後で仕事の効率は「あまり変わらない」とする者が54.6%と最も多いが、「かなり効率的になった」(3.9%)及び「少し効率的になった」(29.4%)の合計は、「非効率になった」(0.8%)及び「少し非効率になった」(5.9%)の合計より多くなっている。
 また、適用労働者の満足度については、「普通」が60.5%と最も多く、「一部不満がある」(19.1%)、「大いに満足」(11.2%)、「大いに不満」(5.1%)の順となっている。
 不満の具体的内容としては、「業務量が過大」(46.2%)、「労働時間(在社時間)が長い」(39.1%)、「給与が低い」(37.2%)「人事評価が不透明」(35.9%)、「与えられている業務の裁量性が薄い」(22.4%)、「みなし時間の設定が不適切」(21.2%)、「適切な評価を受けていない」(21.2%)、「休日・休暇を確保しにくい」(19.2%)といった点が挙げられている。
 一方、「能力を有効に発揮できる」、「仕事がやりやすくなる」という理由で裁量労働制の適用を志望した者については、期待どおりと評価する割合が高い。

3 裁量労働制に係る要望等
 (1) 専門業務型裁量労働制の対象業務の範囲については、既に専門業務型裁量労働制を導入している事業場では「現行制度でよい」が57.1%と比較的多いが、「狭すぎる」とする事業場も40.9%存在する。対象業務の範囲が狭すぎると考える場合に具体的にどうすべきかについては、「対象業務の範囲は労使に委ねるべき」(72.8%)が最も多い。
 また、労働者調査によれば、専門業務型裁量労働制適用者においては、対象業務の範囲について「現行制度でよい」とする者が71.4%となっている。
 (2) 企画業務型裁量労働制の対象業務の範囲については、既に企画業務型裁量労働制を導入している事業場では、「狭すぎる」が67.9%と多い。対象業務の範囲が狭すぎる考える場合に、具体的にどうすべきかについては、「対象業務の範囲は労使に委ねるべき」(85.7%)が最も多く、「事業の運営に関する事項についての業務という限定は不要である」(59.5%)、「一定以上の年収があることで足りる」(57.5%)、「企画・立案・調査・分析の限定は不要である」(51.6%)とする事業場もみられる。
 また、労働者調査によれば、企画業務型裁量労働制適用者においては、対象業務の範囲について、「現行制度でよい」とする者が62.8%と最も多いが、「狭すぎる」とする者も27.1%存在する。対象業務の範囲が狭すぎると考える場合に具体的にどうすべきかについては、「対象業務の範囲は労使に委ねるべき」(63.2%)、「企画、立案、調査、分析の業務という限定は不要である」(51.7%)とする者が多い。
 (3) 専門業務型裁量労働制の手続については、「現行制度でよい」とする事業場が75.9%を占め、「有用でない手続があり煩雑である」とする事業場は21.1%である。なお、具体的にどの手続が不要ないし煩雑かについては、「労使協定の労働基準監督署長への届出」(72.4%)が多くなっている。
 (4) 企画業務型裁量労働制の手続については、「有用でない手続があり煩雑である」とする事業場が66.3%と多く、「現行制度でよい」とする事業場は31.0%である。具体的にどの手続が不要ないし煩雑かについては、「労使委員会の議事録作成」(64.6%)、「個別労働者からの同意」(49.2%)、「企画業務型裁量労働制に関する決議届の労働基準監督署長への作成・届出」(48.0%)が多くなっている。
 (5) 裁量労働制の法的効果については、専門業務型裁量労働制のみを導入している事業場においては、「現行制度でよい」が52.9%と最も多く、「変更すべき」は41.4%であるが、企画業務型裁量労働制のみを導入している事業場においては、「変更すべき」が78.9%と多く、「現行制度でよい」は20.0%にすぎない。
 法的効果について具体的にどのように変更すべきかについては、「深夜に関する規制を適用除外すべき」(66.6%)、「一定以上の高い水準の年収が確保されるなら労働時間に関する規制を適用除外すべき」(58.5%)、「みなし労働時間制で休日に関する規制を適用除外すべき」(58.3%)、「1日でなく1週や1月のみなし労働時間を認めるべき」(52.7%)が多いが、特に企画業務型裁量労働制のみを導入している事業場はいずれの回答も割合が高くなっている。
 また、労働者調査によれば、法的効果について、「現行制度でよい」とする者が多い(専門業務型裁量労働制適用者59.0%、企画業務型裁量労働制適用者59.6%)が、「変更してもよい」とする者も相当数(専門業務型裁量労働制適用者33.2%、企画業務型裁量労働制適用者31.4%)存在する。変更してもよいと考える場合に具体的にどのように変更すべきかについては、「一定以上の高い水準の年収が確保されるなら労働時間に関する規制を適用除外すべき」(専門業務型裁量労働制適用者38.6%、企画業務型裁量労働制適用者37.6%)、「一定日数の休日確保により適用除外すべき」(専門業務型裁量労働制適用者30.9%、企画業務型裁量労働制適用者31.7%)、「1日でなく1週や1月のみなし労働時間を認めるべき」(専門業務型裁量労働制適用者28.6%、企画業務型裁量労働制適用者36.6%)とする者が多い。

4 裁量労働制を導入していない理由等
 (1)制度の周知状況
 裁量労働制を導入していない企業において、裁量労働制の対象業務や導入手続について、専門業務型・企画業務型ともに知っている企業の割合が76.5%と高く、双方とも知らない企業は18.2%となっている。
 (2)導入していない理由
(1) 専門業務型裁量労働制について
 専門業務型裁量労働制の対象業務がある企業において、同制度を導入していない理由は、「現行労働時間制度で十分だから」(32.7%)が最も多く、以下「職場の管理が煩雑となるため」(23.5%)、「労働者からの要望がないため」(20.7%)、「手続が煩雑であるため」(20.3%)となっている。
 そのうち、「手続が煩雑であるため」とした企業が、具体的にどの手続を煩雑と考えるかについては、「労使協定の締結」(59.1%)、「健康・福祉確保措置」(59.1%)、「労使協定の労働基準監督署長への届出」(54.5%)が多くなっている。
(2) 企画業務型裁量労働制について
 企画業務型裁量労働制の対象業務がある企業において、同制度を導入していない理由は、「現行労働時間制度で十分だから」(31.9%)、「手続が煩雑であるため」(31.9%)が最も多く、以下「職場の管理が煩雑となるため」(25.0%)、「労働者からの要望がないため」(18.1%)、となっている。
 そのうち、「手続が煩雑であるため」を選んだ企業が、具体的にどの手続を煩雑と考えるかについては、「労使委員会の設置」(56.5%)、「個別労働者からの同意」(49.3%)が多く、以下「労使委員会の運営規程の策定」(33.3%)、「決議事項の委員の5分の4以上による合意」(30.4%)、「労使委員会の議事録作成」(23.2%)、「報告の作成・労働基準監督署長への届出」(23.2%)となっている。

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