05/08/31 薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会合同開催  平成17年8月31日議事録    薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年8月31日(水) 14:00〜 KKRホテル東京 孔雀の間 2.出席委員  部会ごと五十音順(両部会とも所属の委員あり)    (医療機器・体外診断薬部会:12名)    井 街   宏、 小 野 哲 章、 小 俣 政 男、 鎌 倉 史 郎、    許   俊 鋭、 澤     充、 田 島 知 行、◎土 屋 利 江、    富 田 基 郎、○中 原 一 彦、 仁 田 新 一、 山 口 照 英    (医療材料部会:12名)    小 田   豊、 笠 貫   宏、 許   俊 鋭、 倉 根 一 郎、    勝 呂   徹、 高久田 和 夫、 田 島 知 行、◎土 屋 利 江、    橋 本 久 邦、○長谷川 紘 司、 松 村 英 雄、 山 口 照 英  (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員  部会ごと五十音順    (医療機器・体外診断薬部会:3名)    上 野 照 剛、 岡 部 信 彦、 橋 本 信 夫    (医療材料部会:6名)    飯 田 寛 和、 菅 野   純、 北 村 惣一郎、 田 野 保 雄、    橋 本 信 夫、 牧 野 恒 久 3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   川 原   章(審査管理課長)、 山 本 弘 史(医療機器審査管理室長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   揚 松 龍 治(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   木 下 勝 美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医療機器審査部長) 他 4.備  考   本部会は、両部会合同案件は公開で、各部会個別案件は、企業の知的財産保護の観   点等から非公開で開催された。 ○医療機器審査管理室長 定刻となりましたので、ただいまから医療機器・体外診断薬 部会及び医療材料部会合同部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御 多忙中、御出席を頂きましてありがとうございます。  本日は医療機器・体外診断薬部会の委員15名のうち12名に、また医療材料部会18 名のうち11名の御出席を既に頂いておりまして、両部会とも薬事・食品衛生審議会の規 定に基づく定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。  本日の会議のうち、合同開催案件につきましては平成13年1月23日の薬事・食品衛 生審議会決議に基づき、会議を公開とさせていただきます。合同開催案件終了後、引き 続き医療機器・体外診断薬部会の案件、それから医療材料部会の案件にそれぞれ移らせ ていただきます。こちらにつきましては個別品目の審議でございますので、非公開とさ せていただきます。  審議に先立ちまして、本部会の事務局の異動がありましたので御紹介申し上げます。 室長補佐としてこの部会でいろいろと御説明申し上げました安田が7月21日付けで異 動となりまして、後任に当室で新医療材料専門官をしておりました束野が室長補佐とな りました。それから束野の後任で高江がまいっておりますが、高江は今日所用によって 別のところに行っておりますので、失礼させていただいております。また医薬食品局幹 部の異動として、8月26日に阿曽沼医薬食品局長が大臣官房長に異動いたしまして、そ の後任に前大臣官房総括審議官である福井が局長になっておりますので、それも御報告 申し上げます。以上でございます。それでは合同開催案件につきまして、以後土屋委員 に座長をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○土屋座長 それでは審議に入ります。最初に事務局より資料の確認をお願いします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。委員の先生方には事前に資料を お送りしております。本日の席上には左上をホチキス留めしました4枚の議事次第がご ざいまして、中をめくりますと座席表と委員名簿が2枚付いてございますものと、1枚 紙で配付資料一覧、それから資料1-1はお送りしてあるのですが、一部訂正がありまし たので修正版をお配りしております。郵送でお送りしたものと差し替えていただけます ようよろしくお願いいたします。また個別には、資料1-1は今申し上げました差し替え のもので酸素濃縮装置認証基準(案)、同じく資料1-2はMR装置用高周波コイル認証基 準(案)、資料2-1がX線CT組合せ型ポジトロンCT装置承認基準(案)でございます。 続きまして、資料3-1は医療機器関係JIS一覧でございます。それからこれ以降は参 考資料でございます。参考資料1-1は酸素濃縮装置認証基準(他1基準)について、参考 資料1-2は医療機器の認証基準に関する基本的考え方について、それから今から申し上 げます参考資料1-3、1-4は委員の先生方だけにお配りしておりますが、参考資料1-3 は医療用酸素濃縮装置のJIS規格、参考資料1-4が磁気共鳴画像診断装置のJIS規 格です。参考資料2-1がX線CT組合せ型ポジトロンCT装置承認基準について、参考 資料2-2が医療機器の承認基準に関する基本的考え方について。最後の2種類になりま すが、参考資料2-3がJESRA規格で「PET装置の性能評価法」、参考資料2-4がNE MA規格で「Performance Measurements of Positron Emission Tomographs」と題した ものをお送りさせていただいたかと思います。この参考資料2-3と2-4も委員の先生方 だけにお送りいたしております。配付資料、送付資料等につきましては以上です。 ○土屋座長 資料の方はございますでしょうか。それでは審議に入ります。審議事項1 ですが、本日は二つの医療機器の認証基準(案)を御審議いただきます。事務局より説明 をお願いいたします。 ○事務局 それでは、事務局より二つの認証基準(案)つきまして御説明させていただき ます。本日御議論いただきます認証基準につきましては一つが酸素濃縮装置の認証基準 (案)、もう一つがMR装置用高周波コイル認証基準(案)となっております。まずお手元 に縦に長細い資料1-1、1-2、横長の参考資料1-1、1-2、それと参考資料1-3、1-4とい う形でJISを二つほどお配りしているかと思います。  まず横長の参考資料1-2の方で、認証基準の制度について簡単に御説明させていただ きたいと思います。既にもう何回か御審議いただいたのでほとんどの先生方は御存じだ と思いますけれども、認証基準に関する制度といいまして、今年の4月に昨年度までの 薬事法が改正され、医療機器は一般、管理、高度管理というふうに三つのリスクに基づ いた分類をいたしております。その中でクラスが低い方から2番目の管理医療機器とい うものにつきまして、そのうち基準を定めることによって行政側の手を離れて民間の登 録認証機関における認証審査を行うことを目的として、基準を作れるものについては認 証基準というものを策定していこうというのが基本的な概要になっております。  3ページをめくっていただきますと、「適合性認証基準への適合性の判断方法」とあ りまして、これが今の認証基準を使って登録認証機関の方々がどのように審査されるか というフロー図になっています。そもそもその機械が管理医療機器であるところの一般 的名称の定義に合致するかどうか、その後今日御審議いただく認証基準のJIS規格(日 本工業規格)に適合するかどうか、さらにその認証基準で定める使用目的、効能・効果を 逸脱しないかどうかと。以上を含めることによって、認証基準に合格しているというこ とで登録認証機関が初めて認証を与えることができると。つまり、規格がなければ登録 審査機関の方は認証の判断ができないということですので、そのものについては今まで どおり医薬品医療機器総合機構の方で審査させていただくことになっておりまして、認 証基準の方を作れば作るだけ第三者の登録認証機関の方々の審査にお任せできるという ような形になっております。  更に2枚めくっていただいて、参考資料1-2の一番最後のページになりますけれども、 これが今御説明いたしました「医療機器の認証について」ということで認証基準の構成 になっています。(1)が認証基準の基本のところで、「○適用範囲」、「○日本工業規 格」、「○標榜できる使用目的、効能又は効果の範囲」の三本立てで認証基準としての 製品規格の告示を定めております。またそれとは別に、基本要件という医療機器すべて が満足しなければいけない規格についての適合性をどのような項目をもって確認できる かを定めた基本要件適合性チェックリストを通知で出させていただいて、これを利用す ることによって登録審査機関において認証審査ができるというものであります。今回は 認証基準の製品規格と基本要件のチェックリストの併せて2基準分を委員の先生方に御 審議いただきたいというふうに考えております。  それでは、もう一つの横長の参考資料1-1を御確認いただけますでしょうか。まず1 ページをめくっていただきまして、一つ目の「酸素濃縮装置認証基準(案)」の方から御 説明いたします。該当資料といたしましては、資料1-1が酸素濃縮装置の基準です。ま ず現行制度をどのように取り扱ってきたかと申しますと、承認審査基準又は申請資料に 添付すべき資料に関する通知等は、本機械においては特別示されておりません。認証基 準を作るに当たりましては、酸素濃縮器に関する国際的な安全規格でありますISO 8359 を利用させていただいて日本工業規格JIS T 7209(案)というものを作成しており、この JISを技術規格として認証基準を作成するというのが本基準の概要になっておりま す。このJIS T 7209というのはまだ制定ではありませんが、もう最終段階のJISの案 として先生方のお手元にお配りしておりますけれども、参考資料1-3がそのJIS T 7209 というものになります。この基準を作成するに当たっての一番大きな点というのが、 「(3)主な内容」というところに書いてありますけれども、本装置は周囲の空気を取り 込んで圧力をかけることにより酸素濃縮を行うものでございまして、この構造上周囲の 気圧の環境が装置の性能に大きな影響を与えることが懸念されております。ISO 8359は 周囲の気圧に関する環境条件に医療機器の電気安全性の一般的な値をそのまま引用して いるようなのが現状でして、周囲の気圧などに影響される機械の規格としてはそのまま 引用すると少し齟齬が出てきてしまうというのが一つの難点でありました。参考資料 1-3のJISの方をめくっていただきまして、右肩に5ページと書いてあるところを開 けていただけると分かるのですけれども、「第2章 環境条件」というところに「10. 環境条件 JIS T 0601-1の10.の要求事項が適用される」というふうに書いてあります。 ただし、環境の気圧範囲の項についてはT 0601-1の方に要求してある860〜1060hPaを そのまますべての範囲において満足する機械でなければ駄目だという取扱いではなく て、製造業者が別途定める範囲において動作を確認していることと。それと併せて、製 造業者が勝手に決めた値が使用者に分からないと何の意味も持ちませんので、明確に幾 らから幾らの気圧範囲において確実に動作確認をしている機械だということを明示し て、承認書上に特定していただいて、それを利用してその範囲内できちんと動くことを 環境条件のところで確認していただけるというようなJISを作成しております。以上 のようなことを重要ポイントとしてJIS作成を進めておりまして、酸素濃縮装置にお きましてはこのJISを引用することにより、資料1-1のような認証基準(案)を現在作 成中であります。  続きまして、MR装置用高周波コイルの認証基準の方に移らせていただきます。横長 の参考資料1-1の一番最後のページの「MR装置用高周波コイル認証基準(案)」という ものになります。これの基準の方は資料1-2になります。現行制度において、MR装置 用の高周波コイルを含むMR装置システム全体につきましては日本工業規格JIS Z 4951 「磁気共鳴画像診断装置−安全」の技術規格を引用した認証基準の方を既に制定済みで あります。ただ、MR装置の高周波コイル単独として見た場合は、認証基準や申請資料 に添付すべき資料に関する通知等というのは現在制定されておりません。そこで単独で の認証が可能になるように、「(2)基準の概要」に書いてありますが、MR装置用高周 波コイルはMR装置全体の構成部品でありますので、MR装置のシステム全体の認証規 格のJIS Z 4951の中から高周波コイルに関係する箇所のみを適用することによって、本 機械の認証基準として適切な運用ができると判断いたしまして、JIS Z 4951を引用規格 として認証基準を作成することを考えております。二つの認証基準につきまして事務局 からの説明は以上です。座長、よろしくお願いいたします。 ○土屋座長 ありがとうございました。それではクラス分類・基準等検討小委員会の委 員長を務めておられます小野委員長から何かございますでしょうか。 ○小野委員 小委員会におきましては先ほどの資料1-1及び1-2の認証基準を検討して おります。各委員からの意見を反映して、今日差し替えた資料1-1及び1-2について小 委員会として了承しております。 ○土屋座長 ありがとうございました。それでは事務局の説明に御質問等ございません でしょうか。仁田先生、どうぞ。 ○仁田委員 参考資料1-1の1ページの一番下の行ですが、「当該条件については使用 者に適切な情報提供を行うこととした」とあるのですけれども、例えば使用者の何らか の過誤が起こった場合に使用者の責任になるのか、あるいはこれを作った製造者の責任 になるのか、この辺は書き方のニュアンスで大分異なったものになると思います。例え ば「適切な」というものの取り方、この辺をちょっと御検討いただいた方がよろしいの かと思いますが、いかがでしょうか。 ○土屋座長 事務局の方から説明できますでしょうか。 ○事務局 「適切な」というふうに書いて、少し具体的に御説明させていただかなくて 申し訳なかったのですけれども、「適切な」といいますか、動作可能な気圧範囲という ものはもう一定値自体に決まるものでして、その機械のスペックとしてここからここま での値として明確に定められるものであります。ですので、スペックとしてここからこ こまで動く範囲の機械ですということで審査側が動作確認した資料を見せていただきま すし、機械及び取扱説明書及び品目仕様等を明確に書いていただいて、その気圧の範囲 にお住まいの方という形になるかと思いますけれども、そこで使われるということは明 確に先生方も使用者の方もお分かりになるかと思います。 ○仁田委員 使用範囲が明確に書いてあるのであればそれでよろしいと思います。 ○土屋座長 そのほかにございませんでしょうか。クラス分類等規格委員会でも検討さ れて幾つかの修正も入っておりますので、もしございませんでしたら、資料1-1及び資 料1-2につきまして合同部会として御了承いただいたものとしてよろしいでしょうか。 どうもありがとうございました。それでは、審議事項1につきましては本合同部会とし て御了承いただきましたので、9月15日に開催されます薬事分科会に報告することとい たします。  それでは次に二つ目の審議に入ります。審議事項2ですが、本日は一つの医療機器の 承認基準(案)を御審議いただきます。事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして事務局から承認基準について御説明させていただきます。資料の 方は縦長の資料2-1と横長の参考資料2-1、2-2、また技術規格であります参考資料2-3、 2-4という厚い縦長のものがございます。これについて御説明させていただきます。  まず横長の参考資料2-2の方を御確認ください。また認証基準の方と同じく承認基準 の在り方について簡単に御説明いたします。先ほどと同じように昨年度までの薬事法の 機器が4月から三つに分類されまして、今度は高度管理医療機器という一番リスクが高 いもの、及び管理医療機器の中で先ほど申し上げました認証基準が作れないものや作る のがまだ時期尚早であるものについては、医薬品医療機器総合機構の方での承認審査と いうものになります。その際に総合機構の承認審査の手助けになる基準として承認基準 というものを作成しておりまして、この基準に適合していることをもって審査すること が可能であって、基準がない審査より迅速に、審査料金の方も抑えられた審査が可能に なることを目的としております。今の資料の3ページに、「医療機器の製造販売承認申 請の区分」というふうにありますけれども、総合機構の承認審査の在り方としてこのよ うな審査区分がございまして、「(1)臨床試験あり」というのは非常にリスクが高い臨 床試験をしてまで評価しなければいけない品目についてです。(2)、(3)が承認基準が あるものとないものに分かれていまして、先ほども御説明いたしましたが、承認基準が ないものについては基準適合の観点からは見られない改良が激しいものや基準を逸脱す るものには少し時間を掛けなければいけないけれども、今回作ったような(3)の承認基 準に適合しているものであれば、それを確認するだけで承認基準があるという区分で承 認審査ができる取扱いになっております。  以上、制度を簡単に御説明させていただきましたので、続きまして内容について御説 明いたします。もう一つの横長の参考資料2-1の方を御確認いただけますでしょうか。 X線CT組合せ型ポジトロンCT装置承認基準についてということです。1枚めくって いただきまして、現行制度における取扱いから御説明させていただきます。本機械はX 線診断CT装置とポジトロンCT装置を組み合わせることによって、両方の装置から得 られた画像を重ね合わせることを目的とした医療機器でありまして、通称「PET-CT」と いうふうに呼ばれている機械でございます。このX線診断装置及びポジトロンCT装置 単独につきましては、ここに挙げていますようにJIS Z 4751-2-44及びJIS T 0601-1 の日本工業規格を技術規格とした認証基準について定めておりますが、本装置のように 両方を併せたような機械については、認証基準及び申請資料に添付すべき資料に関する 通知等に何も取決めがないのが現状であります。それで「(2)基準の概要」と書いてあ りますけれども、本装置については現時点では認証基準を作成するほどの承認前例がま だないのですが、今後多くの類似医療機器の申請が認められていること、あと単独は上 に書いたように認証基準として規格があるのですけれども、画像の重ね合わせに関する 部分の評価を行う必要があることから、クラスIIの管理医療機器ではあるのですが、認 証基準ではなく承認基準として基準を作成するのが適切だと事務局側で考えて、承認基 準(案)を提出させていただいているものであります。  具体的な内容につきましては、その次の2ページをめくっていただきますと「(3)主 な内容」というふうに書かれておりますけれども、まず単独のX線CT診断装置、ポジ トロンCT装置に関する技術基準については先ほど申し上げました認証基準で引用して いるそれぞれの単独装置に関する認証基準と同一の基準になります。それで画像を重ね 合わせたことに関してプラスアルファで評価しなければいけないところというのがその 下に二つあります。まず一つは、X線CTの収集データとポジトロンCT装置の収集デ ータの重ね合わせの性能評価につきましては、日本画像医療システム工業会が定めてい るJESRAという規格に「PET装置の性能評価法」というものを作成中であります。こ の規格を作るに当たりましては、行政側と医薬品医療機器総合機構の本品目の担当を中 心とした総合機構のメンバー及び日本画像医療システム工業会を中心とした業界側の間 で、旧法における承認審査で評価してきたことも踏まえて、画像重ね合わせの精度を評 価するためにどういう基準が必要なのかということについて御相談させていただきまし た。その結果、このJESRAの方の「PET装置の性能評価法」に付録としてX線の画像 の重ね合わせ精度の項目を定めまして、これを利用することによって一定の画像の重ね 合わせの性能評価に関して評価が可能であるというふうに考えて引用させていただいて おります。もう一つが一番下の「○」ですけれども、X線CT診断装置で得られたデー タを用いて減弱補正(吸収補正)を行うような装置につきましては、これも行政側と医薬 品医療機器総合機構、業界側を含めた検討の結果、アメリカ電気工業会が定めたPET に関するNEMAの規格のうち、減弱補正に関する精度の試験項目を運用することによ って必要な性能評価を確認できると。  以上の2点を単独の認証基準の規格にプラスアルファすることによって、組合せ型の PET-CTの承認基準として作成、運用が可能であるというふうに判断いたしまして、今回 案を出させていただきました。認証基準のときに少し御説明し忘れたのですが、先ほど 御紹介があったようにこの基準についてはクラス分類・基準等検討小委員会の方で御審 議いただきました。それと並行してパブリックコメントを7月25日〜8月22日に行っ ておりますけれども、先ほどの認証基準も今回の承認基準も特段通知の内容の案を修正 するほどの御意見というのは寄せられませんでしたので、それについて変更になった箇 所はないということを併せて御説明させていただきます。座長、以上でございます。 ○土屋座長 ありがとうございました。それではクラス分類・基準等検討小委員会の小 野委員長から何かございますでしょうか。 ○小野委員 小委員会におきましては、こちらも同様に資料2-1の承認基準を検討して おります。各委員からの意見を反映した資料2-1について小委員会として了承しており ます。○土屋座長 ありがとうございました。それでは事務局の説明などに御意見等ご ざいませんでしょうか。どうぞ。 ○田島委員 直接この機器にかかわることではないのですが、この制度について幾ら聞 いても分からないのですけれども、今日また一つ分からないところが出てまいりまして、 この参考資料2-2の3ページの「医療機器の製造販売承認申請の区分」で、この「(1) 臨床試験あり」等々というところをもう一度教えていただけませんでしょうか。 ○土屋座長 事務局の方からお願いいたします。 ○事務局 総合機構の承認審査というものは、先ほど御説明させていただいたとおり、 一番リスクが高いもの及びリスクが真ん中のもののうち認証基準が作れないものという ふうにあります。その中でも臨床試験を行って評価をしなければそもそも審査ができな いもの、また臨床試験までは必要としないけれども、ある一定以上の非臨床のデータを 含めて評価をしなければいけないもの、それと今2番目に言ったものよりは既存の医療 機器に近くて余り多くの評価を必要としないものというような段階が審査する内容につ いて結構幅があるのが現状です。それを一律の審査体制でやると、やはり多くの資料を 見なければいけないものについてよく見られなくて、また少なくていいものを多く見な ければいけないというような不合理が出てきてしまうので、そのリスクや新規性やその 程度によって審査区分を分けるということが必要になります。その一つの手段として、 一番最後に言った既存のものと大きく違わないものについては既存の医療機器の範囲を 根拠とした承認基準を作り、既存のものと大きく違わない品目の範囲を基準に適合して いるものの中で定めることによって、その基準に適合していれば既存と大きく変わらな いからその基準だけを確認すればいいと。その基準から外れるものであれば既存の医療 機器と大きく違うので、違う項目についてより多くの評価が必要であるというような観 点から承認基準を作成して、審査の中で利用していこうというのが現状になっておりま す。 ○土屋座長 よろしいでしょうか。 ○田島委員 そうすると、これは要するに高度管理医療機器に関しての話ですよね。 ○医療機器審査管理室長 先生が御指摘のとおりで、高度管理医療機器につきましては すべて認証ではないので、この表でいきますと(1)、(2)、(3)のいずれかに必ず該当 します。それで(1)なるものは新規性が高く、臨床試験なしには有効性、安全性の評価 はできないようなものでございますので、そういったものにつきましてはこの審議会で 御審議いただくか、あるいは少なくとも御報告させていただくというような形で承認す るときには処理をしているものでございます。それから臨床試験を行わなくてもいいの ですが、平たく言えば陳腐化されていないものにつきましては個別に審査いたしますと いうことで、それが(2)のクラスでございます。(3)が言ってしまえば法改正以前の後 発医療機器に相当するようなものでございますが、これにつきましては後発品という形 で承認前例が見られるのではなくて、基準を設けましてそれとの適合性によって審査し ていくという考え方をとっているものでございます。それでこの(1)〜(3)までに区分 いたしまして、手数料や審査のルールも設定させていただいているというものでござい ます。一方、管理医療機器につきましてはこの(1)〜(3)までではなくて、(4)の管理 医療機器の中で基準があるものについては、総合機構の審査ではなく一律の認証基準を 作りまして、議題1のような認証基準に基づき、あとは民間だと認証機関が認証してい くというふうにするものでございます。 ○田島委員 どうもありがとうございました。ようやく分かりました。 ○土屋座長 臨床試験あり、なしで大きなことなのでよく御質問があります。そのほか ございませんでしょうか。ですから今までも安全性、有効性が確認されたものについて は臨床試験を必ずしも要求しないで、できるだけ早く現場の先生方が御使用できるよう な状況にしようというふうな考えがございます。ほかに御意見はございませんでしょう か。それでは特にないようでございましたら、資料2-1につきましても本合同部会とし て御了承いただいたものといたします。この審議事項2につきまして、9月15日に開催 されます薬事分科会に報告することといたします。どうもありがとうございました。  それでは報告事項に移らせていただきます。医療機器JIS規格の確認、制定、改正 又は廃止について事務局から報告してください。 ○事務局 それでは御報告させていただきます。お手元には資料3-1を御用意いただけ ればと思います。資料3-1につきましては医療機器関係JIS一覧というタイトルにな っておりまして、現在存在します医療機器に関係する全392規格を列挙したものとなっ ております。前回の部会以降、JISの確認、制定、改正又は廃止について行われたも のはございませんので御報告させていただきます。なお、議題1、2等でJISの規格 を引用している関係で現在もJIS規格の制定、改正作業の方を行っておりますので、 今年度今後こちらで御報告するような内容が出てくるかと思いますので、あらかじめ御 報告させていただきます。JIS規格につきましては、経済産業省の方に設置されてお ります日本工業標準調査会で審議することとなっております。報告は以上です。 ○土屋座長 ありがとうございました。事務局の報告について御質問等はございません でしょうか。今回確認、制定、改正又は廃止されたJISはないということでございま すので、特に御質問等がございませんでしたら、審議事項及び報告事項は以上でござい ます。事務局から連絡事項についてお願いいたします。 ○事務局 それでは次回の医療機器・体外診断薬部会医療材料部会の合同部会は場所は 未定でございますが、12月2日金曜日の午後2時から開催させていただきたいと思って おります。御多忙とは存じますが、あらかじめ御予定に入れていただきまして御出席を 賜りますようよろしくお願いいたします。 ○医療機器審査管理室長 それでは以上で医療機器・体外診断薬部会医療材料部会の合 同部会を終了いたします。以後の医療機器・体外診断薬部会、医療材料部会それぞれに つきましては非公開となっておりますので、傍聴の皆様方におかれましては退席をお願 いいたします。10分後の14時50分からを目安として医療機器・体外診断薬部会の方を ここで再開させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。       ――― これより医療機器・体外診断薬部会 ――― ○医療機器審査管理室長 それでは医療機器・体外診断薬部会に入らせていただきます。 なお、医療材料部会のみに所属しております先生におかれましては御着席のままお待ち いただいても席をお外しいただいても結構でございますけれども、もし席をお外しにな る場合については10分程度をめどにお戻りいただければと考えております。それではよ ろしくお願いいたします。  本日は医療機器・体外診断薬部会委員の15名のうち12名の先生に御出席いただいて おりますので、薬事・食品衛生審議会令第9条第3項に基づき、定足数に達しておりま すことを御報告申し上げます。では土屋部会長、議事進行をよろしくお願い申し上げま す。○土屋部会長 それではまず資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 本日は報告のみでございまして、今休憩時間中に資料4-1というA4横長5 枚をホチキス留めしたものを席上にお配りいたしております。この資料4-1のみでござ います。  それでは報告事項につきまして事務局より御説明いたします。平成17年5月1日〜7 月31日までの3か月間に承認されました品目のうち、本部会の報告対象となっている品 目につきまして御報告させていただきます。詳細は医薬品医療機器総合機構の方からお 願いいたします。 ○機構 それでは総合機構の方から御説明させていただきます。資料4-1を御覧くださ い。本部会への御報告のうち医療機器といたしましては7品目、体外診断薬としても7 品目ございます。  では最初に医療機器の方から御説明させていただきます。まず住友重機械工業株式会 社より製造承認の申請がございましたFDG合成装置(F200)でございます。これは平成 17年6月23日に承認されております。本品はポジトロン断層撮影(PET)に用いられ る放射性薬剤18F-FDGを製造するための合成装置でございます。同社の既承認のF DG合成装置(F100)と使用目的が同じでございますけれども、合成方法の変更と改良が 行われているものでございます。  二番目でございますが、大日化工株式会社より製造承認申請がなされましたデンティ スターというものでございます。平成17年7月4日に承認されております。本品は加温 した流動パラフィンオイルにより、歯科用エアータービンハンドピースの消毒を行う機 械でございます。従来の高温オイルによる消毒器は、使用温度が120℃の設定のために エアータービンハンドピースの内部にある部品が変形等の影響を受けやすかったのもの でございますが、これに対しまして本品は使用温度が100℃〜120℃未満の温度の設定に 改良されておりまして、エアータービンハンドピースに対する温度の影響がより少なく なっているものでございます。  続きまして三番目、四番目でございますが、CS イージーガイド、CSガイディング ・カテーテルはいずれも日本ガイダント株式会社より輸入承認申請がありまして、これ らは同一のもので一部他名称の申請でございます。これらは前回6月の本部会で承認を いただきましたコンタックCDという胸部植え込み型パルス発生装置(CRT)に用いる ものでございますが、その埋め込みの際に用いるリードを冠静脈に留置するときに使用 するガイディング・カテーテルでございます。  では2ページを御覧ください。次もCSガイドワイヤ、CSガイドワイヤ(HF用)と ございますが、これも同一のものでございまして、いずれも先ほどの胸部植え込み型パ ルス発生装置に用いるリードを冠静脈に留置する際に使用するガイドワイヤでございま す。  最後に七番目の品目でございますが、シナジー ニューロスティミュレータが日本メド トロニック株式会社より輸入承認申請されておりまして、平成17年7月29日に承認さ れております。本品は脊髄硬膜外に電気刺激を与えることにより、各種疾患に伴う慢性 難治性疼痛を軽減することを目的とした植え込み型医療機械でございます。既承認の植 え込み型電気刺激装置を改良し、2領域の刺激を可能としたものでございます。○機構  それでは続きまして体外診断薬の方の御報告をさせていただきたいと思います。次のペ ージをめくっていただきますと、まず一つ目の品目といたしましてシスメックス株式会 社より申請のあったランリーム HIVでございます。これにつきましては承認年月日が 平成17年6月17日でございます。効能・効果につきましては血清、血漿又は全血中の 抗HIV-1抗体及びHIV-2抗体の検出ということになっております。品目の概要と しましては、本品はエイズ関連診断薬であると。既承認品では検体は血清のみというこ とでありましたが、今回の一変では検体として血漿及び全血でも可能になったというこ とを追加したところが申請の概要であったということであります。  続きましてバイエルメディカル株式会社から申請がありましたVersant bDNAアッ セイ HCV3.0という品目でございます。これについては承認年月日が平成17年6月 23日であります。効能・効果といたしましては、血清又は血漿中のC型肝炎ウイルス R NA(HCV RNA)の定量ということになっております。品目の概要といたしましては、本品 はbDNA法、bDNA法というのは「branched DNA」ということでありまして、別 名では「分岐DNAプローブ法」とも呼ばれるようですが、こういった方法を用いるこ とによりまして、PCRなどの核酸増幅法を用いることなくHCV RNAの定量的解析を行 うものということでございます。  さらに次の品目といたしましては、デンカ生研株式会社から申請がありました病原大 腸菌免疫血清「生研」であります。これは効能・効果として、糞便から分離した大腸菌 の混合血清及びそれぞれの単味血清といたしましてO74、O91、O103、O121、O145、 O161、O165の型別の判定が加わったということであります。品目の概要といたしまし ては、本品は病原大腸菌の血清型を判定することで下痢原性大腸菌の種類を推定するこ とを主な目的とする検査キットであるということであります。従来O157などの混合血 清及びそれぞれの単味血清の型別判定に用いられてきておりましたが、これに先ほど述 べましたO74〜O165までの混合血清及びそれぞれの単味血清の血清学的型別を判定す る構成製品8つを追加するということの一変でございます。この意味といたしましては、 基本的に腸管出血性大腸菌の疑いのあるものを拾い出して、これに引っ掛かるもののベ ロ毒素酸性性を調べることによって、腸管出血性大腸菌の判定ができるということにな るかと思います。  続きましてレビオジェン株式会社から申請がありましたアプティマCombo 2 クラミジ ア/ゴノレアで、これにつきましては、効能・効果として核酸増幅法による尿、子宮頚管 擦過物又は男性尿道擦過物中のクラミジアトラコマチス及び淋菌の検出ということであ ります。品目の概要といたしましては、本品はクラミジア及び淋菌のrRNAをターゲ ットとして同時に増幅し、さらに同時にそれぞれを検出するキットであるということで あります。二つの異なる標的物質を同時に分別検出する化学発光測定法であるDKA (Dual Kinetic Assay)法が採用されているということでございます。同時に検出できる のが新しいところかと思います。  続きましてバイエルメディカル株式会社から申請がありました販売名ケミルミ Centaur-HER2/neuという品目でありますけれども、承認年月日が平成17年7月7日と いうことであります。効能・効果といたしましては、血清中のHER2/neu遺伝子産物の測 定ということで、HER2/neu遺伝子産物の過剰発現が認められているような患者のモニタ ー及び再発乳癌の診断補助としてHER2/neu遺伝子産物を測定するということでありま す。品目の概要といたしましては、基本的に乳癌患者に特異的なたんぱく質(HER2/neu) の過剰発現が認められている患者のモニター及び再発乳癌の診断補助に用いるというこ とであります。留意点といたしましては、HER2/neuはハーセプチンによる治療の適否を 判断するために検出するたんぱく質としても用いられているのですけれども、本品はそ の使用目的とは異なるものとして位置付けられております。  さらに次の品目ですが、ニプロ株式会社から申請がありましたフィノスカラー・pT AUでございます。承認年月日はこれも平成17年7月7日でございます。効能・効果と しましては、脳脊髄液中の181位リン酸化TAU濃度の測定(アルツハイマー病に限る) ということであります。品目の概要といたしましては、本品は当初脳脊髄液中の181位 のスレオニンがリン酸化されたTAUたんぱくを特異的に測定するものであります。既 存品は本キットの対象物質を含む総TAUを測るものでありましたので、本品は新たな 臨床的意義を有するものとして審査されたということであります。  最後にDG Gel カイノスという品目でありまして、申請者名は株式会社カイノス でございます。承認年月日が平成17年7月13日であります。血液型判定試薬でござい まして、効能・効果としてはABO血液型の判定における赤血球状上のA抗原、B抗原、 さらにはRh血液型判定における赤血球上のD(Rho)抗原の検出ということでありま す。品目の概要といたしましては、本品は遠心条件を除き、これは基本的にゲルカラム 凝集法に基づいて既に承認されている品目があるわけですが、更にそれにもう一つ同様 の方法を用いて血液型を判定するものを追加したということであります。ただし、これ についてはゲルカラム凝集法に関しての基準が設定されておりまして、その基準の一部 試験条件などを変更する必要性があったために、その妥当性について審査を行い、さら にその基準を変更するという手続を前回の部会において御審議いただいてお認めいただ いたということもありまして、その基準の改定とともに品目が承認されることになった ということであります。以上でございます。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。報告事項ではございますが、特に何か 御意見や御質問等ございましたらお願いします。どうぞ。 ○中原部会長代理 4ページの「ケミルミCentaur-HER2/neu」というものについて、品 目概要のことがちょっと分かりにくかったので教えていただきたいのですが、要するに 本来これは患者のモニター及び再発乳癌の診断補助のためのキットということですよ ね。それがその次に「HER2/neuはハーセプチンによる治療の適否を判断するために検出 するたんぱく質としても用いられているが、本品はその使用目的とは異なるものである」 と。この辺の区別がよく分からないので御説明いただきたいのです。 ○機構 失礼しました。説明に不十分な点があったと思われます。このHER2/neuたんぱ く質につきましてはハーセプチンによる治療の適否を判断するという目的で、品目名と してはハーセプテストという診断薬が既に認められている状況にございます。その全く 同一のたんぱく質を用いているわけですが、今回認めたこの「ケミルミ Centaur-HER2/neu」という品目につきましては、ハーセプチンの適否の判断をするため の検出試薬という目的ではなく、飽くまで過剰発現の患者のモニターと再発乳癌の診断 補助の品目として認めたということであります。 ○土屋部会長 よろしいでしょうか。 ○中原部会長代理 結局、治療の適否を判断するものではなくてということですね。 ○機構 はい。 ○中原部会長代理 分かりました。 ○土屋部会長 そのほかはございませんでしょうか。小野先生、どうぞ。 ○小野委員 今のことではございませんが、第三者認証機関で承認されたものについて は報告等というのはあるのでしょうか。 ○土屋部会長 制度のお話ですけれども、事務局の方お願いします。 ○医療機器審査管理室長 まず制度上申しますと、第三者認証機関が認証したものにつ きましては一定期間ごとに医薬品医療機器総合機構に対して報告があるようなシステム になっておりまして、そちらで今後データベース化等をして管理することになっており ますけれども、現状におきましてはまだそれで認証になった品目が発生していないとい う状況でございます。 ○小野委員 そうすると、制度上この委員会にはその部分は報告されるということにな るでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 制度上報告するというふうにはなっておりません。といいま すのは、これは従前のクラスIIのものでございますので必ず報告をするという形にはな っておりませんけれども、何らかの形でもってその実績についてはまだ制度の当初でも ございますし、御報告するようにいたしたいと思います。個別製品を1個1個報告する ということになりますと、当初はいいのですけれども、そのうち非常に煩瑣になってく るというようなことが予想されるものでございます。 ○土屋部会長 よろしいでしょうか。それでは議題は以上でございます。事務局から連 絡事項はありますでしょうか。 ○事務局 次回の医療機器・体外診断薬部会につきましては、先ほど御案内いたしまし た12月2日金曜日の合同部会終了後に開催させていただきたいと思いますので、よろし くお願いいたします。以上です。 ○土屋部会長 どうぞ。 ○仁田委員 前にお話しすればよかったのですけれども、ポジトロンとこのX線のCT がドッキングしましたよね。こういう場合の保険点数というのはプラスになるのですか、 それとも少し安くなるのですか。医療費削減の折、こういう場合はどういうふうになる のでしょうか。念のためにお聞かせいただけますでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 残念ながらこの場には診療報酬の点数をどのような考え方で 作っているのかというのを的確に御説明できる者がおりませんので、ちょっとこの場で は御説明しかねます。ただ一般論として申しますと、臨床上の意義とコスト等の両方を 勘案するということになりますので、コストという面で行きますとどうなるか、それか ら臨床上で行くとどうなるかということを総合的に勘案して点数を設定するということ になるかと思います。それが安くなるか高くなるかという方向性につきましては、この 場で御説明する適切な者がおりませんので。 ○仁田委員 お話申し上げたのは、せっかく便利な機械ができることで、ただ点数が両 方足されると恐らくかなりの高額なものになるのでしょうから、片一方で済むものが両 方一緒にやってしまうというようなことですとますます医療費が高くなってしまうの で、その辺の何らかの抑制策も考えておかなくてはいけないのかなと。それで発言させ ていただきました。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。 ○医療機器審査管理室長 それでは以上で医療機器・体外診断薬部会を終了させていた だきます。どうもありがとうございました。なお、このあと引き続き医療材料部会に入 らせていただきますが、先生方が戻られるまで両部会に所属していらっしゃる方は暫時 お待ちいただければと思います。 ─―─ これより医療材料部会 ─―─ ○医療機器審査管理室長 それでは医療材料部会に入らせていただきます。本日は医療 材料部会の委員18名のうち12名に御出席を賜っておりまして、定足数に達しておりま すことを御報告申し上げます。  本日の審議、報告品目に関しましては関与されている先生はいらっしゃらないことを 御報告いたします。それでは土屋部会長、議事進行をお願い申し上げます。 ○土屋部会長 それではまず資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。事前にお送りいたしましたオー ファン指定の資料としまして資料5-1、水色のバインダーにとじたものと、もう1種類 はやや厚めのものですが、黄緑色のインデックスが付いた資料6-1をあらかじめお送り してあります。それ以外に本日資料7-1としまして部会報告品目について、それから追 加資料といたしまして希少疾病用医薬品及び希少疾病用医療機器の指定制度と題するも のを2種類休憩時間中にお配りしております。以上です。 ○土屋部会長 それでは審議品目議題1の医療機器血球細胞除去用浄化器(吸着型血液 浄化器)の概要について、事務局より説明をお願いいたします。 ○事務局 議題に入ります前に、まずこの希少疾病用医療機器の指定制度について、今 休み時間中にお配りしました追加資料に基づきまして、簡単に制度の御説明をさせてい ただきたいと思います。  この希少疾病用医療機器の指定制度につきましては申請者、メーカー等が患者数が少 ない等の理由により、インセンティブが少なくて開発が進んでいないような品目につき まして、国がある程度後押しをして開発を促進しようという趣旨の下に作られておりま す。こういった希少疾病用の機器として指定されますと、具体的には助成金の交付です とか税制上の措置、試験研究に関する助言、それから審査上は自動的に優先審査品目に なりますし、再審査期間も通常よりも長い7年になるといったメリットがございます。  指定の基準といたしましては三つございます。一つは対象患者数、二つ目は医療上の必 要性、それから三つ目が開発の可能性です。対象患者数は5万人未満。医療上の必要性 につきましては代替治療法がない、又は既存の機器と比較して著しく高い有効性又は安 全性が期待される、このいずれかを満たすような場合ということでベースにはいわゆる 難病などの重篤な疾患が対象であるということもございます。それから三つ目の開発の 可能性につきましては、当該機器を用いて対象疾病を治療できるといったような理論的 根拠があるとともに、開発がある程度現実的に可能であるということが示され得ること が一つの要件になっております。個別に助成金等の交付につきましては一部訂正がござ います。ここに「医薬品医療機器総合機構を通じて」とございますが、これは大阪にあ ります「基盤研を通じて」ということに訂正させていただきたいと思います。それから 税制措置につきましてはそこに書いてございますとおりです。(3)の指導・助言につき ましても総合機構から基盤研の方に機能が移管されましたので、基盤研からということ になります。優先審査につきまして、あるいは再審査期間の延長につきましては先ほど 御説明いたしましたとおりです。それから参考までに薬と機器の過去のオーファン指定 品目数をその下に一覧表にしてございます。今年の8月30日現在の数字でございます。 以上が制度等の簡単な御説明でございます。  続きまして議題1の品目の御説明をいたします。議題1は血球細胞除去用浄化器、一 般名称では吸着型血液浄化器と言っておりますが、水色のファイルに閉じられているも のでございます。これは難治性網膜ぶどう膜炎を有するベーチェット病患者の眼発作抑 制を予定する使用目的、効能又は効果といたしまして、株式会社日本抗体研究所からオ ーファンの指定申請がなされているものでございます。資料の3ページ目に機構の事前 評価報告書といったものがございます。その表紙をめくっていただきますと、それ以降 に対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三つの観点から該当性に関する評価に ついて記述がございます。これに基づきまして御説明いたします。  対象患者数ですが、ベーチェット病の登録患者数は平成15年度の特定疾患医療受給者 交付件数に基づきますと16,632名と報告されておりまして、概ね総患者数に相当するも のと考えられます。本品の対象となりますのはこのうち眼症状を有する患者で、網膜ぶ どう膜炎を有し、活動期であってさらに薬物抵抗性の難治性患者が対象であります。こ の患者数は指定申請書の灰色のインデックスが付いているところでございますが、資料 に示されておりますように、文献的調査研究報告から800名強〜900名強というところ で推定されております。以上から、希少疾病用の医療機器の指定要件である国内対象患 者数5万人未満を満たすものと判断いたしております。  続きまして、同じく報告書の中の二番目に医療上の必要性について言及されておりま すが、ベーチェット病は口腔粘膜のアフタ性潰瘍、眼症状、陰部潰瘍、皮膚症状の四つ の症状を主症としており、神経、血管、腸管などに多彩な急性炎症を反復する慢性再発 性の難治性疾患であります。本疾患の原因は明らかになっておらず、膠原病類縁疾患と しても分類されており、1972年に特定疾患に認定されております。本疾患の7割の患者 に認められる眼症状は、繰り返し起こる網膜ぶどう膜炎による眼発作によって失明ある いは失明に近い視力に至る重篤なものとなります。現在ベーチェット病の眼症状に対す る治療法は、反復する眼発作を抑えるために薬物を投与するなど対症療法に限られてお りまして、薬物を用いることによる副作用の発現や長期に及ぶ薬物使用による薬効の減 弱等が懸念されるなど、網膜ぶどう膜炎を有するベーチェット病を完治させ得る治療法 は存在しておりません。以上から本品は既存治療法に抵抗性、不耐性の患者に対する新 しい治療法となる可能性があり、対象疾患の重篤性、既存の治療法としても十分なもの がないことから医療上の必要性があるものと判断しております。  続きまして三点目の開発の可能性ということにつきましては、重症の潰瘍性大腸炎患 者に対して活動期における寛解促進のための顆粒球吸着用白血球除去カラムとして既に 承認されておりますことから、本品は白血球、特に顆粒球より吸着するために酢酸セル ロースビーズを用いて加工されております。本申請は既に承認された医療機器の適応拡 大に該当する申請が将来行われるものでありまして、本対象疾患に対する医療機器の開 発の可能性は既に十分あると考えております。なお、予備的に検討されました臨床研究 からもその可能性が示されております。  以上、三つの観点からオーファンの機器としての指定の要件を満たすと判断いたしま した。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○土屋部会長 ありがとうございました。今の事務局の説明に対しまして御質問等ござ いませんでしょうか。どうぞ。 ○橋本(久)委員 この指定の制度を御説明いただいているのですけれども、理解できな いところを教えていただきたいのですが、医療上の必要性の部分で「著しく高い有効性 又は安全性が期待される」と書いてあります。この資料の中にこれまでの日本の研究成 果、それから外国の成果が示されているのですが、この指定をする際に、どのような研 究がどの程度の症例で実施されていれば良いという目安のようなものはあるのでしょう か。また、こういう症例数は全然なくても、理論的に根拠があれば指定されるというこ とでしょうか。 ○土屋部会長 事務局の方から説明できますでしょうか。 ○事務局 今の著しく高い有効性、安全性といったことに関する具体的な基準というも のは、個別品目ごとによって判断基準も異なると考えられますことから、一律な基準と いうものはございません。また実際のものか、理論的な可能性のみでいけるかというと ころなのですが、お答えとしましてはある程度の実現可能性というものは、何らかの直 接の証明ということでなくても示されていますれば、それはここでは期待されるという ことですので、ある意味一部理論的な部分もあるのかなという…。 ○橋本(久)委員 分かりました。結構です。 ○土屋部会長 それでは笠貫先生、どうぞ。 ○笠貫委員 希少疾病用医療機器について教えていただきたいのですけれども、これに 該当するという判断はこれから臨床治験を始めるというふうに考えてよろしいでしょう か。 ○医療機器審査管理室長 その通りでございます。したがいまして、これから臨床試験 を行って有効性、安全性に関する資料を収集するということでございます。また臨床試 験に入ります段階で治験に関する届出が出まして、それに関してはまた一定のルールに 基づく判断を行い、それからさらに実際に承認になる場合につきましては再び資料が出 てまいりまして、この場で御審議いただいてから承認になるというものでございますの で、これは相当早い段階でまず御検討いただくものでございます。 ○笠貫委員 最後に開発計画というものが出ていまして、2005年から始められるという ことですが、ここで希少疾病用医療機器に該当したらこの開発計画、いわゆる20症例の 治験が始まるというふうに判断してよろしいわけですね。 ○医療機器審査管理室長 実はここは治験の可否を決定するということよりも、希少疾 病として国が後押しをするだけの価値があるかどうかこの場で御審議いただくものでご ざいまして、治験の開始の可否についてはまた申請企業あるいは一定のルール中でなさ れるということになるかと思います。 ○笠貫委員 分かりました。ここでの判断は希少疾病用機器として該当するかどうかの 判断だけでいいということでよろしいわけですか。 ○医療機器審査管理室長 その通りでございます。 ○笠貫委員 意見として書かせていただきましたが、このセルロースゲルを用いたもの には、LDLアフェレーシスもあるのですけれども、ここに書かれていないのですが、 ほかの薬剤との併用でショックになったとか、例えばアンジオテンシン酵素阻害剤と併 用するとアナフィラキシーショックが起こったという報告もあります。これだけ症例が 少ないもので希少疾病用医療機器に該当するということにしたときに、そういう未知の 副作用についてどうかという記載や、注意も必要かと感じました。 ○土屋部会長 それでは今のそういったことに注意して、もし指定の場合にはその範囲 内で行うということになるのでしょうか。 ○事務局 実際のこの中身の審議につきましては、申請後に審査の場で行われますが、 先生から御指摘いただきました点は十分注意喚起を行うように審査担当の方に伝えたい と思います。 ○土屋部会長 それでは倉根委員の方からお願いいたします。 ○倉根委員 指定基準のところの「5万人」というのはどこからこの数が出てきたもの なのでしょうか。それともう一つは、疾患によっては患者数が余りはっきり分からない というものが結構あるように思うのですが、どの程度のデータというか、何を基準に患 者数を出してくればよろしいというふうに考えておられますでしょうか。 ○土屋部会長 それでは今の二点につきまして、事務局の方から御説明をお願いできま すでしょうか。 ○事務局 この「5万人」につきましては、いわゆる難病の指定といったようなものの 基準と調和といいますか、整合をとっているものでございます。その数の推定が何をベ ースにということなのですが、これはやはり一律の基準はございません。できるだけ正 確と思われる、あるいは実態を反映していると思われる資料に基づいてということにな ろうかと思います。 ○土屋部会長 どうぞ。 ○倉根委員 それからこの数がどのくらい厳しい状況、条件かにもよると思うのですが、 指定して1年後にいろいろな進歩によって、あるいは感染症などですと感染が広がって、 数が非常に多くなってしまったと。こういう場合はどういう扱いになるわけですか。も う一度してしまえば、それはそれとしてある期間は構わないということなのでしょうか。 ○土屋部会長 事務局の方でお願いいたします。 ○事務局 指定後に対象患者数が急増した場合に指定を取り消すかどうかというところ なのですが、今のところそういった事例に直面しておりませんので、それにつきまして はまたそういった事態が起きたときに…。 ○医療機器審査管理室長 追加で御説明申し上げますと、今の患者数が急増してという 事例はないのですけれども、別の事情、例えばほかにいい治療法が発見されたのでとい うようなことで、中途でもってこの希少疾病用指定の医薬品若しくは機器から外される ということは往々にしてございます。よりいい治療法が出てくればもう希少疾病として 後押しする意味が言わばなくなるということから、あるいはもう一つは逆に今度有効性 がないことが明らかになったので、開発を断念するという形で外れる場合もございます ので、この場でもって現在得られている治験から得られなかった新たな情報に従って、 後で指定を外すということは一般的に考えられることかと考えております。 ○土屋部会長 それでは許先生、お願いします。 ○許委員 二つ教えてください。一つは今日は医療機器のあれなのでございますけれど も、この表にある医療機器に指定された10品目にどういうものがあるのか。医薬品はエ イズだとか何とか分かりやすくてこれで指定されるべきものがあるのですけれども、医 療機器は非常に分かりにくいものですから、例えば人工心臓などは治験を一生懸命やっ ているのもありますし、非常に希少価値があると思うのですが、この平成5年〜13年に 至る10品目にどういうものがあるか教えていただきたいと。  それから二番目は2ページの再審査期間の延長のところに書いておられますけれど も、「希少疾病用医薬品等に指定され、承認された医薬品等については」というこの二 つの項目がぱっぱと出てくるのです。先ほど指定されたことと承認されたことは無関係 なのだと御説明がありましたけれども、ここの文章では「指定され、承認された」とい うことはやはり関連があって、多くの場合オーファンに指定されて承認されるというふ うに一般的に漠然と理解していたのが誤りなのではないかと危惧し出したのですが、こ の関連性の説明、要するにこの読点の間のプロセスを明確にお教えいただければ幸いだ と思います。 ○医療機器審査管理室長 失礼しました。まず第一点でございますけれども、すべての 事例を御紹介する資料を用意していないのですが、先日承認になりました髄液のところ に直接バクロフェンを点滴して、それによりまして微少注入する医療機器の体内植え込 みポンプにつきましては希少疾病用医療機器としての指定を受けて承認になっておりま して、これは開発に相当期間を要しております。承認になった事例はそういったような ものがございます。これは商品名だとシンクロメッドという名称のものでございました。 それから実は今回のアダカラムというものにつきましては、クローン病の効能を取ると きやはり希少疾病用医療機器としての開発をされております。そういうような点でまず 事例はそのようなものがございます。  それから二点目として、指定と承認の関係ということで先ほどの説明が不十分ではな いかという御指摘なのですが、そういう誤解につきましては全くお詫びを申し上げます。 まずここで指定するかどうかと将来承認するかどうかということについては、いったん ここで指定するということは飽くまで希少疾病用医療機器としての制度に乗せるという 意味でございます。実際に今度承認するときに製造承認あるいは輸入承認申請、製造販 売承認申請がまいりまして、それに対して改めて審査をして承認するということで、こ こで今御審議いただくことと、将来の改めて来るものに対する申請、承認の関係につい ては別個の手続であるということを申し上げたに過ぎないわけであります。今度治験、 製造審査が終わりまして改めて承認する暁には、今回それをいったんここで指定したと いうことをもって、次回の承認申請に対する承認のときには再審査期間が通常のもので はなくて7年になるという扱いをいたしますので、そういう点では連動するわけでござ います。ここで希少疾病用医療機器として支援することは将来の承認を約束するもので はありませんけれども、承認された場合の優遇的な措置を約束するということでは関係 がございます。 ○許委員 それではもう一つ御質問させていただきますけれども、この指定された189 例が既に承認されたものの比率、それから一般的な治験で厚生労働省並びに総合機構が 承認された比率に差はございますか。それとも今の御説明では時間だけの問題で、一般 的な承認比率に関しては差がないということでございますか。すなわち優遇措置はない か、あるかということがポイントでございます。 ○土屋部会長 いかがでしょうか。 ○許委員 私はあっていいと思っていますので、どれぐらいあるか知りたいだけですけ れども、ここで指定されたことはやはり必要があって指定されたわけですから、速やか に承認されるべきだろうと考えて質問させていただいています。 ○審査センター長 希少疾病用医薬品に指定されまして、申請されてきたものについて はすべて優先審査対象になります。これらについては審査を優先的に進めることになり ます。ただ、申請内容がきちんとしていなければ承認されることはないので、審査自体 は全く通常の品目と同じ扱いになります。ですけれども、オーファンの場合には患者さ んの数が少ないということで、有効性、安全性を十分に示すということがより難しいと いうことはあります。このような場合、市販後の臨床試験などを課すことにより承認し て、難病に苦しんでいる患者さんに対してはなるべく早く有用な薬を提供しようという ことが、考慮されるようにはなっております。それから先ほどの再審査期間というのは 医薬品の場合には最長6年なのですけれども、希少疾病用医薬品に指定されたものが承 認されますとそれが延びるということになっております。先ほどの室長のお答えに補足 させていただきますと、要するにとにかく希少疾病用医薬品に指定されますと、基本的 に言えば審査そのものに対して手心を加えるなどということはないのですけれども、優 先的に審査するということになると思います。 ○許委員 いつかその承認の結果のパーセンテージなどをディスクロージャーしていた だけると、この制度がどれくらい有効に働いているか非常に理解できますので、そうい うデータもいつか示していただければうれしく思います。 ○審査センター長 基本的に言えば申請されてきて承認されるというパーセンテージと いうのは計算したことはないので、感覚的なもので申し訳ないのですが、途中で希少疾 病の取消し、申請の取下げなどがないものはかなりの確率で承認されているようになっ ていると思います。 ○許委員 ありがとうございます。 ○土屋部会長 長谷川先生、どうぞ。 ○長谷川部会長代理 私の思い間違いかもしれませんので、もし間違っていたら訂正し ていただければいいのですけれども、医薬品の場合オーファンの指定は専門協議があっ た上でいわゆる部会での承認になるのではなかろうかと私は記憶している…、あるいは 記憶間違いかもしれません。その辺はいかがでしょうか。いわゆる専門協議なしで今日 突然出てきておりますけれども。 ○医療機器審査部長 今回の2品目はいずれも専門協議をしております。医療機器につ いても医薬品と同様に、旧制度においては調査会の先生方の御意見を頂いて、今の新し い制度になりますと、機構の方の専門協議の枠組みで専門家の先生方の御議論を頂いた 上でこのような形にレポートをまとめさせていただいております。 ○長谷川部会長代理 それなら結構です。こちらの資料の中では要望書ということで恐 らく専門家の方なのでしょうけれども、いわゆる専門家協議の過程が得られていれば私 は特別問題はないと思っております。 ○医療機器審査部長 要望書の有無とは関係なく専門協議を開いております。 ○長谷川部会長代理 分かりました。 ○土屋部会長 そのほかございますでしょうか。どうぞ。 ○勝呂委員 本邦ではこれはベーチェットで出てきているのですけれども、この海外の 報告事項というと非常に適応が広く、いわゆる潰瘍性大腸炎からSLEまで全部入って いますよね。日本でベーチェットを希少で通した場合に、もし適応拡大したときそれは どういう考え方で入っていくのですか。関節リウマチでは70万という例数が書かれてい ると思うのですが、そこで承認されているから同じ疾患でもってすっとまた通ってしま うのかどうかということは大きな問題だと思うのです。 ○土屋部会長 どうぞ。 ○医療機器審査管理室長 仮定のお話として、これはいったんオーファン機器として承 認になった後で、今度例えばリウマチのような患者数が多いものについて効能拡大使用 したいということであれば、それだけの根拠となる資料に対して改めて審査を行って承 認することになりますが、そちらの方の効能についてはオーファンではない項目での追 加ということになります。 ○勝呂委員 そういった意味では比較的簡単に通しやすいという…。 ○審査センター長 先ほどの御説明とも関連するのですけれども、機器の方は余りない のですが、医薬品の方ではそういうものがあります。例えば患者数の少ない自己免疫疾 患で承認を取っておいて、患者数の多い疾患に適応を拡大するという例があります。た だ、オーファンの場合には患者数が少ないので、先ほども言いましたように治験の段階 で有効性、安全性を十分に証明することというのは難しいわけです。希少疾病適応で承 認を取ってしまっていて、患者数の多い疾患で簡単に承認が取れるかというとそれはち ょっと難しいと思います。品質や規格の部分につきましては最初の段階でオーファン指 定したものもしっかりやってありますから、その点についての簡略化は進みますけれど も、臨床試験の部分につきましては、患者の多い疾患の場合ですとかなりしっかりした プロトコルでやってきていただかないと承認はできないことになっておりますので、そ ういう御心配は余りないと思います。 ○勝呂委員 中を見ますとTNF-αといったものがかなり吸着して効果はあるのでし ょうけれども、個人的にはどちらかというと生物製剤に入った方がよく効くのではない かなと。失礼しました。 ○土屋部会長 そのほかございませんでしょうか。小田委員、お願いします。 ○小田委員 コメントにも出させていただいたのですが、この結果から見ますともちろ ん平均値では改善されているわけですけれども、著しく高い有効性又は安全性というこ とを見たときに、この眼発作の回数が増えている人が14例のうち4例いますよね。そう いったことについては良かった部分だけではなしに、悪かった部分についての考察のよ うなものはないのでしょうか。 ○土屋部会長 総合機構で専門協議においてディスカッションはなかったのでしょう か。○機構 総合機構の方からお話しさせていただきたいと思います。今提出されてい る試験というのはあくまでもフィージビリティーでございまして、どのような対象を用 いた試験をすればいいかということについて、この結果を基に今後展開していきたいと いうことになるかと思います。ですから、フィージビリティーを求められた経過の中で 有効性がなかった患者は次の本治験の中では対象としないとか、そういった形の開発が 今後必要になってくるかというふうに考えております。今後の開発の可能性として、す べてフィージビリティーの試験だけで承認するということではなくて、フィージビリテ ィーの中で有効な症例がかなりあったということであればそれを対象とした試験を展開 して、より適切な症例を絞ることなどが課題になるかというふうに考えております。 ○土屋部会長 先生、よろしいでしょうか。 ○小田委員 もちろんフィージビリティーの問題でいいかなと思うのですけれども、こ の結果を私は正確に判断することはできないですが、例えば考察としていわゆる眼発作 が増えた場合には、これはただそういうこともあり得るからという形でネグレクトして よろしいのかどうかという意味で…。多少ネグレクトされる範囲のものなのか、多くは 例えば6回が1回に減っているとか非常によく効いているものもありますけれども、逆 にこれは1回ですが、4〜5回に増えているといったときに単純に素人的に見た場合に やはり悪くなったのでは何か理由があるのか、あるいはそういうことをネグレクトして もよろしいのかという危惧を多少持ったものですから、質問させていただいた次第です。 ○土屋部会長 先生方の中でそのお答えのようなこと、原因など分かる方はおられませ んでしょうか。原因不明なところでクリアにそこを分けられないところがあるのですが、 病気の原因のすべては分かっていないので、できるだけ起こるような不具合は避ける、 先ほど言われたような併用でショックが起こるようなものは対象外とするといった条件 付けなどは、恐らくオーファンの指定を受ける場合には指示されると思うのですけれど も、薬の場合遺伝的多型も知られておりますので、効く人と効かない人とあるのではな いかと思います。もしほかに御意見ございませんでしたら、この血球細胞除去用浄化器 というものの希少疾病用医療機器としての指定について、差し支えないということでよ ろしいでしょうか。それでは審議事項1につきましては、本部会として本品目を希少疾 病用医療機器と指定して差し支えないものとして、9月15日に開催されます薬事分科会 において報告いたします。ありがとうございました。  それでは二つ目の審議に入ります。審議品目議題2の医療機器中心循環系血管内塞栓 促進用補綴材の概要について、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは二つ目の議題について御説明いたします。資料は6-1、黄緑色のイ ンデックスの付いたものでございます。中心循環系血管内塞栓促進用補綴材の指定の可 否でございます。ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社から申請が上がっておりま す。お手元の資料の黄緑色の耳の二番目を開けていただきますと報告書がございまして、 そこの2ページの「記」以下のところに予定される使用目的、効能又は効果が書いてご ざいます。ここでは申請者側は「以下のいずれかに該当する脳動脈瘤を有する患者のう ち、塞栓コイル単独では治療困難なワイドネック型(ネック部が4mm以上あるか又はド ーム/ネック比が2未満と定義)脳動脈瘤患者において、コイル塞栓術時のコイル塊の親 動脈への突出・逸脱を防ぐ目的のために使用される」としまして、「以下のいずれか」 というところを具体的に申し上げますと、一番目が破裂動脈瘤。二番目が未破裂動脈瘤。 未破裂のものは更に症候性と無症候性に分けておりまして、無症候性のものは最大径が 7mm以上か、突出部を伴うか、あるいはまた急激なサイズ増大を認めるか、その三つの 基準のいずれかを満たすような未破裂。こういったようなもので申請が上がってきてお りますが、機構における事前評価の過程で使用目的については次のように表現すること が妥当であるというふうにされております。それを具体的に申し上げますと、「外科的 手術(クリッピング術など)又は塞栓コイル単独のコイル塞栓術では治療困難な未破裂脳 動脈瘤(最大径が7mm以上)を有する患者のうち、ワイドネック型(ネック部が4mm以上 あるか又はドーム/ネック比が2未満と定義)脳動脈瘤を有する患者に、コイル塞栓術時 のコイル塊の親動脈への突出・逸脱を防ぐ目的のために使用される」とやや長いのです が、総合機構の事前評価でこういった使用目的にするのが妥当であろうというふうにさ れております。  先ほどの一番目の議題と同様に対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性という三 つの観点から報告書を基に御説明させていただきます。  本品目につきましては90%以上の脳動脈瘤患者が含まれる50歳以上の約5,000万人 を対象として、対象患者数の算定が行われております。疫学調査、文献報告等から未破 裂の存在率を5%、未破裂のワイドネック型の占める割合を15%と仮定いたしまして、 ワイドネック未破裂脳動脈瘤患者は37万5,000人になります。ここから実際に治療され た例を参考に脳動脈瘤患者を推計しましたところ、最大で25,500人となりました。本品 の適応患者が外科的手術に不適合の患者に絞られていることを考慮いたしますと、対象 患者数は更に減少するものと考えられます。以上から指定要件の一つであります5万人 未満というものを満たすと判断しております。  次に二点目の医療上の必要性についてでございますが、くも膜下出血は死亡率が高く 死亡を免れたとしても重篤な後遺症を残すことから重篤な疾患ととらえられておりま す。また脳動脈瘤はこういったくも膜下出血の主な原因であることから、脳動脈瘤が認 められた場合にはくも膜下出血発症の予見性を踏まえて、治療の必要性、方向性が検討 されます。未破裂の場合、くも膜下出血の発症の危険性から総合的に判断して破裂する 危険性の高いものについてはクリッピング術等による外科的手術、あるいは血管内治療 (コイル塞栓術)が行われます。しかし動脈瘤の瘤頭部が広いワイドネック型につきまし ては、塞栓コイルが親動脈へ突出・逸脱する可能性が高いため、一般的に血管内治療は 不適当とされており、外科的手術にしても患部に到達可能な病変に限定されるばかりか、 到達したとしても完全な遮断が難しいため、瘤の再成長を来すことがございます。こう いった意味で適切な治療が確立していないのが現状と考えられます。よってワイドネッ ク型の脳動脈瘤を有する患者に対しましては十分な治療ができず、実際は破裂の危険性 を感じながら保存・経過観察になっていることが少なくありません。そこで本品はワイ ドネック型脳動脈瘤を有する患者にコイル塞栓術を行う際に、コイル塊が親動脈へ突出 したり、あるいは逸脱したりすることを防ぐために使用するステント様メッシュとして 開発されております。  疾患の重篤性につきましては破裂した場合に重篤になる可能性が極めて高いことか ら、破裂するリスクが高い脳動脈瘤を有する患者について重篤な疾患と判断して差し支 えないと考えております。ただし、破裂するリスクが高くなる疾患については総合機構 における専門委員との協議の結果、現時点ではエビデンスが少ないことから、7mm径以 上の脳動脈瘤に限定することが妥当であると判断しております。また症候性、無症候性 については、破裂のリスクと必ずしも相関していないことから、使用目的には明記しな いことが妥当であると判断しております。  さらに、本品が必要とされる病変は代替する治療法がない部位に生じたワイドネック 型脳動脈瘤に限定すれば、指定基準である代替する適切な治療法がないという基準を満 たし得るものと判断しております。これにつきまして代替治療がない病変という点を明 確にするために、「使用目的には外科的手術(クリッピング術など)又は塞栓コイル単独 のコイル塞栓術では治療困難な」という枕詞を付けて「未破裂動脈瘤」というふうに明 記することが妥当であると考えております。以上より、使用目的を変更した上で特に優 れた利用価値を有するものに合致すると判断されることから、医療上の必要性もあるも のと判断いたしております。  最後に三点目の開発の可能性ですが、現在米国、EUにおいて臨床試験中でございま す。また、手技的にも現在我が国で行われている脳血管の血管内治療が一般的手技に比 べて格段に難しいというものではなく、我が国の医療実態に合うものと考えております。 開発の可能性については高いと考えられ、三点目の基準も満たすものと判断しておりま す。  以上、三つの観点からオーファンの機器の指定要件を満たすと判断いたしましたので、 御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○土屋部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明に対しまして、御質 問等ございませんでしょうか。許先生、お願いします。 ○許委員 30例の内容ですけれども、これの破裂例が1例ということで未破裂例が29 例。先ほど症候性、無症候性という分類をなさいましたけれども、その症候性、無症候 性の分類では何例と何例になりますか。 ○土屋部会長 総合機構で専門協議された担当の方は分かりませんでしょうか。 ○機構 今先生がおっしゃったのは米国の治験の30例のお話でしょうか。そちらの方 は、まだこちらで細かいケースカードなどを入手してデータを評価したわけではござい ませんで、先生がおっしゃった無症候性が何例ということは実際のところ確認がとれて いません。 ○許委員 と申しますのは、先ほどの使用目的のところで症候性、無症候性では破裂の リスクに関しては余り関係がないから、それは使用目的から外したということでござい ますけれども、別添資料2の3ページを御覧いただきますと、私もど素人なのでこれは よく分からないのですが、表2-1に無症候性と症候性の年間破裂率が0.8%と6.5%とい うことで、この棒グラフを見ると大きな違いのように見えるのです。このデータは今回 は採用しないということなのでございますか。それとも、このRinkelの報告というのを ここにあえて挙げられていますけれども、このように本当に多くの報告で大きな破裂に 対するリスクの差がやはり症候性、無症候性であるのかどうかはいかがでしょうか。 ── 田島委員退席 ── ○土屋部会長 では、機構からどうぞ。 ○機構 ここは報告書の中では無症候性、症候性で破裂のリスクは変わらないからとい うコメントになってはいるのですけれども、どういったことを議論されたかと申し上げ ますと、最初に申請者の方から出されたものでは症候性の場合はどういった基準も付け ずにどれでも入れていいという形だったのです。無症候性の場合は7mm以上というふう に限られていました。大きさというのは急減、増大を伴うものですから、実際にまず破 裂のリスクが上がるというのは、やはり今の時点では大きさが一番明確な部分ではない かと。ここのデータは私も拝見させていただきまして、その上で症候性の方が高いとい うのは確かだと思います。ただ、この症候性の中の分類も十分に分かっていない部分も あるのですけれども、無症候性だったらどうかという次の条件のときに特に差を付ける ものでもないというところからといいますか、やはり次のところに来る解剖学的な形態 の方が重要ではないかと考えまして、あえてここに無症候性と症候性を分けるという区 分を抜いたというような議論がありました。 ○許委員 なぜそれを問題にさせていただくかと申しますと、このアメリカでの臨床例 で1例は死亡例ということで破裂例なのですけれども、有害事象が29例中2例で何件か 起きているということです。内容的に見ますと脳梗塞を起こされたり、あるいは精神の 変調を来したりかなり大きなあれがございますね。脳神経の欠損が起こりましたり、い ろいろなことがございます。それで29例中2例あるいは30例中3例といたしましても 10%あるいは7%ぐらいのこういう大きなリスクがあるのです。30例ですから私は何と も言えませんけれども、このRinkelらのデータから見ましても、無症候性の年間破裂率 0.8%という数値と比べましてアメリカでの臨床試験での成績が非常に高いのではない かというふうに思ったのです。もしこのアメリカの臨床試験で無症候性が大部分だとす ればいわゆる重篤な有害事象というのは比較的大きな問題になると思います。恐らく脳 動脈瘤は破裂しない限りは全く症状もないし、何も障害はないと思うのですけれども、 その無症候性の0.8に対しましてこの30例の結果は一けた違うリスクがあると思いま す。まして無症候性で予定された図式でこのプロシージャーをやられたとすれば、非常 に問題が大きいのではないかなと思いますけれども、アメリカのデータをもう少し詳細 に検討していただいてから結論を出した方がいいのではないかなと思います。いかがで しょうか。 ○土屋部会長 それでは機構からお願いします。 ○機構 その破裂のリスクに関してなのですけれども、無症候性のもので別添資料2の 5ページの下に出ている図を御覧いただけますでしょうか。そちらの方に未破裂動脈瘤 に関するサイズごとの破裂率の経時変化がありまして、ここから行きますと、やはり破 裂率というのは先ほどのところで出てきました無症候性は0.8%で、症候性であればも う少し高い6.6%ぐらいですけれども、いずれにしてもこちらの方の報告ではもっと高 くなっています。7mm以上で7%ぐらいでしょうか。それ以上のものを全部足すと大体 1、2年ぐらいで30%以上のものが破裂する可能性があると。そういったデータもござ いまして、一つはその辺りから判断の根拠としているのですけれども、そこからすると アメリカの例というのは少ないとは申し上げられないので、これから審査の中で精査が 必要かと思いますが、今この視点に関してはそういうふうに考えて、使用目的を制限す ることにさせていただいた次第でございます。 ○土屋部会長 いかがでございますか。 ○許委員 その件はその件でさておきまして、もう一つは有害事象の内容でございます けれども、102ページのところに「米国で実施中の臨床試験で発生した重篤な有害事象」 ということで、「手技との関連性」というのを見ていただくと「関連なし」というのが 一つだけでございます。「恐らく関連あり」あるいは「関連の可能性あり」ということ で、それを全部言いますと手技との関連性が13例中12例ということになりまして、非 常に手技に依存したプロシージャーであって有害事象が起こっている。それと対照的に 「用具との関連性」というのが13例中6例です。すなわち、用具そのものよりもこれを やる方の技術に依存して非常に重篤な事故が起こり得るというデバイスです。これをど ういう形でオーファンで入れられるかは知りませんけれども、オーファンで入れるにし ても我々は治験で承認したり、いろいろなことをするときにやはり最近技術トレーニン グというのをかなり重視しています。それに対して付帯事項を付けることは多いわけで すけれども、本当はこれだけ見ますとこのデバイスに関連したほとんどの事故は技術に 関連して起こっていると思われますので、その点に関して全くそういう考慮なしにオー ファンに指定されるわけです。薬なら口を開けてぽんと放り込んで飲ませるか、あるい は注射針を刺せばだれがやっても同じですけれども、オーファンの規定が薬と医療機器 を全く区別せずに「希少疾病用医薬品等」というので医療機器をまとめてしまっている のですが、私はこれは将来「等」ではいけないだろうと思います。医療機器というのは 必ず使う人の技術依存性のものであって、特にこのデバイスは技術の問題が非常に大き いので、合併症についてはその技術に対する配慮をもう少し薬とは別個に慎重になさっ た方がいいだろうと思います。 ○土屋部会長 どうもありがとうございます。今技術依存性が高いということで、かな り慣れていない限り13例中12例ということは、ほとんどの事故が有害事象のうちの手 技に依存するということですが。ではセンター長の方からお願いします。 ○審査センター長 おっしゃるとおりで、私もこういうデバイスの場合には薬と違うと ころがあると思っています。治験を始める前には治験届を提出していただきますが、そ のときまず30日調査というのがあります。今回の場合御指摘もありましたので、治験届 が出てきたときにはそういう技術的なところを必ず担保するようにという指導を最初に 行って、そういう指導を受けたお医者さんだけがこのデバイスを使って治験をやるよう にという指導はできると思っています。 ○土屋部会長 それでは笠貫先生、お願いします。 ○笠貫委員 私もこの機器の有効性と安全性に疑問を感じているところはあります。希 少疾病用医療機器ということで、先ほどの御説明において治験はこの後の判断で、それ についてどういう条件を付けるかは後の議論だということで、そこで今の技術と有効性 の問題が出てくると思いますが、その前に今日の議論であるオーファンに該当するかど うかということに絞って質問させていただきます。適応としてクリッピング、それから コイル塞栓術で従来治療困難なということが縛りになるかどうかです。その前に治療が 必要かどうかの判断が入るのです。7mm以上は全例手術か、コイル手術か、あるいはこ の新しい治療が必要ですかというデータはないのです。高いというデータのお話はされ たのですけれども、例えば10mm以下のときは0.38%ぐらいだという報告もあります。 そうするとそのデータが未破裂、しかも無症候性症例を含むときに、まず治療の適応が あるかどうかが非常に問題になります。その後にどういう方法があるのかということに なり、治療の手技の選択としてクリッピングか、コイル塞栓術かが難しい場合にこの治 療法かと考えることになりますが、初めの適応がはっきりしないのです。AHAのガイ ドラインを見ても何mm以上と詳しいことは書いていないです。そういう意味で本当に7 mmが正しいのかどうかが疑問です。それから例えば35ページにあります欧米の効能書 には、ワイドネックの定義は同じなのですけれども、直径が「2mm以上、6mm以下」ア メリカの効能書のところには2〜6mmというふうに書いてあります。未破裂の場合は、 アメリカのデータが日本にそのまま外挿されないと思うのです。日本のデータとして7 mmで高いものがそれほどあるのかどうかが疑問なので、そうすると使用目的の文章をそ のまま読めば厳しいように見えて実は7mm以上はすべて適応であって、こういった治療 が必要かどうかは医師の判断となります。その医師の判断のところで新治療をやりたい という人が従来の二つのものでは無理だからやりましょうと言うにしては余りにも欧米 の有害事象が高過ぎます。そういう意味では、このデータからそこまで必要なのか、ま た使用目的としてどうなのかと思います。アメリカのデータのところで2〜6mmとなっ ているのですか。 ○機構 この2〜6mmというのは親血管の方の径なのです。 ○笠貫委員 7mmというのは瘤の最大直径ということですか。分かりました。そういう 意味で7mmとするか10mmとするかについて、欧米のよりも日本のデータもありますね。 あれはこれほど高くなかったですか。高いのでしたか。 ○機構 先生がおっしゃるように、今日本でも同じようなスタディーが進んでいます。 その途中経過の最新のもので、まだ公表されていないものを一応入手いたしました。こ こでISUIAを引いているのがあるかとは思うのですけれども、それと比べてみますと実 際7mmか10mmかという議論はそのデータとISUIAを基にさせていただいたのですが、 やはり日本でも7mmで差が出てきているというところのデータが出てきていまして、そ れを基に今回7mmというふうに切らせていただいたのですけれども。 ○笠貫委員 リスク・ベネフィットを考えたときに、アメリカのデータで行くと10%近 いとすれば7mm以上の場合と7mmから10mmの場合に、10%以上の発症があるという判 断にはどういう根拠があるのでしょうか。 ○機構 10%以上の破裂が起こることは、先ほどお示ししたISUIAのデータなどのまと まったものを見て私たちも判断したわけなのですけれども。 ○笠貫委員 もう一つはオーファンであるかというところの判断なのですけれども、今 人間ドックというのがものすごく普及していますから、25,500人かどうかというのも疑 問です。これは15%と仮定して37万人あるわけですから、未破裂が増加する可能性が あります。それで手技上それほど難しくないのになぜ先ほどのように技術ディペンデン トなのかというところに、恐ろしいといいますか、何かの問題があると思います。それ が解決されないときに今の5万人以下ですということではすまされないかもしれませ ん。脳ドックという診断技術の進歩と普及し、まだ未破裂がどういうふうになるかが分 からないときに、この治療法が、先ほど言った有害事象の高いことが認められるのに、 それを促進する方向に行くのはリスクがあるのではないかと思います。先ほどの希少疾 病用医療機器の場合には、助成金の話と税制の問題と優先審査という三つがメリットと してあるわけです。そこまでするほどの確たる治療法かどうかということが、先ほどの 許委員の意見同様に私の疑問です。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。コメント等ございますか。今のお話を まとめますと、どうも安全性において問題であるし、使用目的も明確でないという御意 見ではないかと思うのですが、それに対しまして総合機構等、あるいは本省の方からも し…。 ○機構 先生のおっしゃることは大変よく理解できまして、専門協議においてもそうい うところについてかなりディスカッションはさせていただきました。それで、やはり現 在あるデータから判断するしかないだろうというのがまず一点。もしかしたら将来患者 数等が変化するかもしれませんけれども、そのときにはまた見直さなければいけない部 分もあるかと思いますが、現時点での患者数の推定、破裂の危険性、また破裂した場合 の重篤性ということも考えて、どういう対象が一番適切かというところについて、専門 の先生方を含めて議論させていただきました。総合機構の方はこの報告書に示されたよ うな内容で縛って、使用目的を絞ることが適切だというふうに判断した次第なのですけ れども。 ○土屋部会長 それでは許先生、お願いします。 ○許委員 同時に起こった合併症の重篤性は、もっと十分に配慮される必要があるだろ うと思います。それから二つ目は先ほど申し上げたように、プロトコルだけ読むと破裂 例が何例で症候性が何例で無症候性が何例…、分からないということが問題です。しか しそれはもちろんこれは臨床治験をやっておられるわけですから、分からないではなく てきちんと要請すればFAXでも、あるいは電子メールでも今日言って明日着くデータ だと思うのです。例えば症候性だとか無症候性だとかそういう内容、あるいはどういう サイズのものをやったかということも同じです。もし今提出されたデータを基に現時点 で判断なさるというのなら、この30例の内容をもっと詳細に我々に提示なさらない限 り、今のは逆に文献上一般論を現時点でのレベルとおっしゃっただけで、この治験に関 してのデータは何ら示されていないわけです。ここに書かれている以上のことは何ら示 されていない。そういう意味では、もし現在示されているデータでというなら30例の方 をもっと詳細に先に示されてから議論なさらないと、こういう不毛のディスカッション を永遠に続けなければいけないということになると思います。その30例の詳細なデータ をもうちょっと教えてください。 ○土屋部会長 ということで現時点ではもうこれ以上のデータはないわけですよね。特 に追加でなければ…。それでは部長の方からお願いします。 ○医療機器審査部長 それでは総合機構の方から若干コメントをさせていただきたいと 思います。今許先生からいろいろと御指摘を頂きました点について、確かに今私どもと して明確なお返事をするということがなかなか難しいところでございますので、いった んこれを引き取らせていただいて、特に冒頭にございました御提案の点について専門の 先生方ともう一度議論いたしまして、本当にオーファン指定に値するのかどうかを再度 検討させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○土屋部会長 いかがでございますでしょうか。笠貫先生、お願いします。 ○笠貫委員 これはアメリカだけではなくてヨーロッパの30例も進行中ですね。しかも 途中の経過もこれだけ出ていて、まだ進行中であるというときになぜ日本でオーファン を急いで決定しなくてはいけないのか。そういう意味ではこれはむしろオーファンでは なくフィージビリティーとして、先ほどの助成金と税制措置のことではなくて、優先審 査の問題は絡むかもしれないのですが、もう少しアメリカとヨーロッパのデータ、ある いは日本で今フォローアップの研究が進んでいるわけですから、それを見ながらどこで 優先審査をするかということを考えればよく、なぜオーファンにしなければいけないか が分からないのです。むしろフィージビリティーをどういうふうにするのか、そのとき の施設基準はアメリカでもヨーロッパでも最大8施設ですから、そこの施設基準あるい は医者の指定、登録の問題、また適応をどういうふうに厳しくするかについて検討して、 そのフィージビリティーの結果から、機構の方で十分検討していただければいいので、 なぜオーファンというものにこだわるのかというのが疑問なのですけれども、その点は いかがなのでしょうか。データをもう一度検討していただくというのはいいのですけれ ども、なぜフィージビリティーというものをアメリカとヨーロッパの臨床試験のように 日本でしないで、この機器をオーファンに指定しなければいけないのでしょうか。これ はちょっと違う話だと思うのですが。 ○土屋部会長 では室長、お願いします。 ○医療機器審査管理室長 まず今御指摘のなぜオーファンに指定するのかという点につ いてお答えを申し上げますと、これは私どものルールとしてといいましょうか、医療上 の必要性、開発の可能性、それから患者数が少ないことというのを満たしているような ものについては、ある程度制度的に公平に希少疾病用医薬品ないしは医療機器としてい ろいろな支援措置を講ずる。その支援措置の中では企業の要望に応じましては別に税制 の要望も言わないし、優先審査だけが実質的には要望ということもあるわけでございま すけれども、制度的には一定の要件を満たしたものであって、かつ企業から申請があっ たものについては、むしろオーファン指定をしなければいけないという立場でまず整理 をしているものでございます。ただ、その中で実際に諮問という形で今ここで御議論い ただいておりますのは、まずは私どもの現在得られている限られた範囲内のデータから 考えて、少なくとも開発に値するだけの可能性、それから現在得られている国の情報か らの患者数の少なさ、また実際に医療上ほかの治療方法で代替できなかったという点で の必要性。そういったようなことから考えると、少なくとも開発に着手するという点に ついてそれだけの価値はあるということで、オーファン指定をしてよろしいかというこ とを諮らせていただいた次第であります。ただし、それに対して資料が不十分であって、 例えば希少疾病に該当するかどうかの患者数でありますとか、開発の可能性というとこ ろからして、今の資料は不十分なので十分な情報が必要であるということについて言え ば、十分な情報を更に整理するということは必要かと思いますけれども、少なくともそ の三つの条件を満たしていればむしろ指定しなくてはいけないという立場からまず御議 論をお願いしているというものでございます。 ○土屋部会長 以上でいろいろ議論はもう出尽くしたと考えてよろしいでしょうか。そ うしますと、部会の先生方の御意見ではどうも現在の時点の資料では不十分であり、オ ーファンとしての指定は承認し難いということのようですが、そういうことでよろしい でしょうか。 ○医療機器審査管理室長 そういたしますと、現在得られる限りの情報で更に再整理を して、追加的に御審議を頂くというようなことでよろしいでしょうか。 ○許委員 私の申し上げたのはそういう趣旨で、現在それほど努力しなくても得られる データがこの場では示されていないということです。ですから普通にジョンソン・エン ド・ジョンソン株式会社が出された30例の内容の、例えばサイズだとか症候があったと かいろいろなデータを整理していただいて、ケースカードを出されればそれで判断でき ることなので、それすら出されていないのでこういう議論になったのだと思います。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。それでは資料を整備していただきまし て、またその内容によっては審議もあり得るということでございます。以上です。どう もありがとうございました。それでは次の報告事項について、事務局より報告をお願い いたします。 ○事務局 それでは機器・体診部会と同様に、本年5月1日〜7月31日までの3か月間 に承認されました品目のうち、本部会への報告対象となっている品目8品目につきまし て、詳細を医薬品医療機器総合機構の方からお願いいたします。資料は7-1という横表 になります。 ○機構 それでは総合機構の方から御報告させていただきます。資料7-1を御覧くださ い。平成17年5月1日〜7月31日までの間に、医療材料部会に報告すべき品目として 専門協議を経て承認したものが8品目ございます。順番に説明させていただきます。  まず1品目目がセラフィット、日本特殊陶業株式会社から製造承認申請がなされたも のです。承認は5月12日でございます。本品はリン酸四カルシウムと無水リン酸水素カ ルシウムからなる「粉体」を、「硬化液」で混練する水酸アパタイト製の骨補填材でご ざいます。混練時に「粘度調整用水」を加えて硬化時間を調整でき、流動性を持たせる ことにより付属する注入針等により補填できるように改良されているものでございま す。  2品目目がハードコンタクトレンズのサンコマイルド Epiでございます。株式会社 サンコンタクトレンズより製造承認申請がなされまして、5月23日に承認されたもので ございます。本品は酸素透過性の向上を図るため、新規原材料がこちらに書いてありま すが、これを用いた終日装用ハードコンタクトレンズでございます。  3品目目が腸骨動脈用スマートステント、これはジョンソン・エンド・ジョンソン株 式会社より輸入承認申請されまして、5月23日に承認されたものでございます。本品は 閉塞した腸骨動脈を開存させるために用いるニチノール合金製の自己拡張型ステント、 及びステントを標的部位まで運搬するために用いるデリバリーカテーテルでございま す。  4品目目がニチコンうるるUV、これは株式会社日本コンタクトレンズより製造承認 申請されまして、6月7日に承認されたものでございます。本品はアクリルポリマーか らなる終日装用のハードコンタクトレンズでございます。レンズはスフェリカル形状で あり、視認のために青色を呈しております。改良点は酸素透過性を維持しつつ、レンズ の強度を強化したもの、それから水濡れ性の向上等を図ったものでございます。  2ページをお願いします。5品目目はカーボシール、これは日本ライフライン株式会 社より輸入承認申請されたもので、6月9日に承認されております。本品は既承認の人 工血管であるバスクテックゼルウィーブとやはり既承認の人工心臓弁、機械弁でありま すカーボメディクス弁を一体化して、ゼラチンシーリングした人工血管付き人工心臓弁 でございます。  6品目目はアドバンテージ人工心臓弁、これは日本メドトロニック株式会社より輸入 承認申請されまして、6月30日に承認されたものでございます。本品は機能不全に陥っ た自己又は人工の大動脈弁の置換に用いるパイロリティックカーボン製の二葉の機械的 人工心臓弁でございます。本品は既承認の人工心臓弁と比べてデザインをやや変更した ものでございます。  7品目目はエクセルフロー、旭化成メディカル株式会社より製造承認申請されまして、 7月5日に承認されたものでございます。本品はポリスルホン中空糸を用いた持続緩徐 式血液ろ過器でございまして、この持続緩徐式血液ろ過器の使用目的において原材料に 新規性が認められますことから、改良医療用具として申請されたものです。この中空糸 膜につきましては、同社製の人工腎臓では承認前例がある全く同一の材料を用いたもの でございます。  3ページのゼフィール、山本貴金属地金株式会社より製造承認申請され、7月7日に 承認されたものでございます。本品は硬質レジン前装冠の作製に用いる光重合型硬質レ ジンでございます。従来品と同等以上の耐摩耗性、耐着色性、引っ張り強さ、圧縮強さ を示す品目を開発することを目的としており、原材料に新規性が認められることから改 良医療用具として申請されたものでございます。以上でございます。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。報告事項ではございますが、御意見等 がございましたらお願いします。それでは事務局から連絡事項等はございますでしょう か。 ○事務局 また繰り返しになりますが、次回の材料部会につきましては12月2日の合同 部会の終了後、本日と同様に機器・対診の後にまたやらせていただきたいと思います。 以上です。 ○医療機器審査管理室長 それでは以上で医療材料部会を終了させていただきます。本 日の部会はこれですべて終了いたしました。本日は長時間どうもありがとうございまし た。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 束野(内線2912)