05/08/25 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成17年8月25日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年8月25日(木) 14:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(13名)五十音順   ◎池 田 康 夫、 上 原 至 雅、 折 笠 秀 樹、 神 谷   齊、   川 嵜 敏 祐、 田 島 知 行、 土 屋 文 人、 早 川 堯 夫、  ○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、 山 口 一 成、   吉 田 茂 昭 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(3名)   岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、 後 藤   元 3.行政機関出席者   川 原   章(審査管理課長)、   中 垣 俊 郎(食品安全部基準審査課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   浦 山 隆 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部 会を開催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうご ざいます。当部会委員数16名のうち現在12名の委員に御出席いただいておりますので、 定足数に達していることを御報告申し上げます。折笠先生はちょっと遅れていらっしゃ います。それから岡委員、守殿委員、後藤委員は御欠席でございますが、特にコメント 等は頂いていないということでございます。それでは池田先生、以後の進行をよろしく お願いいたします。 ○池田部会長 それでは早速議事に入りたいと思います。まず事務局から配付資料の確 認と資料作成に関与された委員の報告をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。お机の上に本日の議事次第、座 席表、委員名簿のセットを配付させていただいております。本日資料1〜7までは事前 に先生方にお送りしております。当日配付資料といたしまして資料2-2、アベロックス 錠の添付文書の差し替え版でございます。資料8といたしまして本日御審議いただく品 目の薬事分科会における取扱い案の表でございます。資料9といたしまして専門委員の リストでございます。それから資料ナンバーは振っていないのですけれども、横置きの 1枚の表でございますが、「抗がん剤併用療法検討会に関する審議薬剤一覧(参考)」を お配りさせていただいております。  それから関与委員の関係でございますが、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに 基づきます資料作成に関与された委員でございますけれども、本日の議題においては関 与された先生はいらっしゃらないということでございます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。本日は審議事項が7議題で報告事項はござい ません。早速議題1の審議に入りたいと思いますけれども、先生方御記憶だと思います が、これは前回7月の本部会において幾つかの重要な指摘がありまして、継続審議をす るということになった品目でございます。前回の指摘に対する回答が参っておりますの で、その内容を中心に機構の方から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いし ます。 ○機構 議題1、資料1、医薬品オーグメンチンES小児用ドライシロップについて、 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。本剤については7月に開催された当 部会において御審議いただき、安全性、有効性について特段の問題はないものの、欧米 同様患者へのボトル渡しを前提としておりましたため、患者による液剤調製時の誤りや 処方量以上の患者への提供等による服用量の誤りなど医療過誤を招きかねず、提供方法 によるリスク等が本剤の薬効によるベネフィットを上回るとの御指摘を受け、継続審議 となったものでございます。  御指摘いただいた問題点のうち患者への提供方法といたしましては、事前配付してい る資料の回答欄に記載がございますとおり、薬剤部や薬局における調剤の段階で水に溶 解し、必要量のみを患者に提供する方法へ変更となりました。また、服薬時用のシリン ジについてはボリュームと体重が併記された目盛りとなっており、用量調節をした際に 誤用の危険があるなどの御意見を賜っておりましたため、シリンジについては配布しな いこととなりました。  1:14製剤である本剤と1:2製剤である既存のオーグメンチン小児用顆粒との併存 の問題については既存データについて検討を行い、可及的速やかに1:2製剤が有する 適応症を本剤1:14製剤が取得すべく承認申請を行い、承認が得られた段階で1:2製 剤の承認整理を行うとの回答を得ております。また、併売される期間中は取り違いが発 生しないよう情報提供等を行う旨の回答がなされております。  適応菌種における肺炎球菌の記載方法については、米国の添付文書同様にペニシリン Gに対するMICが2mg/mL以下の菌を含むとの記載に変更しております。なお、本剤 を水に溶解した後の本剤含量の減衰曲線については10日間までのデータしか測定され ていなかったことから現在測定中であり、結果が得られ次第適切に情報提供する旨の回 答を受けております。これらの対応をとることにより提供方法による医療過誤等の問題 は軽減され、本剤を承認して差し支えないと機構は考えております。  本申請は新医療用配合剤であることから、再審査期間は6年とすることが適切である と判断しております。なお原体・製剤とも劇薬には該当せず、また生物由来製品又は特 定生物由来製品には該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定してお ります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ── 説明中、折笠委員着席 ── ○池田部会長 ありがとうございました。前回先生方から例のボトル渡しの件が非常に 問題だという御指摘があったということと、1:2製剤の1:14製剤への切替えの問題 をどう考えるかという、その二つでございますけれども、先生方から御意見を伺いたい と思います。いかがでしょうか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 幾つかの対策が採られたことについては評価いたしますが、例えばまず二 つございます。一つは薬剤部で調製するのは当然のことだと思うのですが、調製で結局 1瓶のうち残りが出るわけです。ところが残ったものをそのままにしておくと失活して しまうので使えないと。こういう残破棄が内服薬で保険請求上あり得るのかということ、 要するにそもそもこういうボトル単位にしたときにボトルの容れ目の問題がとても大き いと思うのです。薬価上は5日分なら5日分で3分の1しか使わない、あるいはたまた ま運よく次のものにいったら10分の9残ってしまったときに、それをそのほかの人が使 わなかったから捨てなくてはいけないと。捨てることを前提にしたものを、ここでは薬 価は関係ないと言われてしまったらそれまでなのですが、こういう制度は結局元はとい えば容れ目をそうしていて、極端な話メタルによる分包ということもあるのに、そうい うことをせずに向こうと同じやり方をするということで、残りは医療機関が損をしなさ いという考え方は果たして本当にいいのかというのが一つ残ると思うのです。  それからもう一つ、処方せんはmLで記載するようでございますが、現物が散剤である のにこれをmLという、例えばオーダリングにしたときにmLで処方しろなどということ は極めて難しい話になるのです。私はやはりこれは恐らく全体の製剤量で処方するか、 あくまでそれを用時調製するので結果として患者さんへの指示はmLになるかもしれま せんけれども、処方せんにこういうものをmLで書いたときに果たしてgのものをmLと いう…、薬価基準に単位がmLで載るのでしたら別です。しかし、恐らく薬価基準はgや 下手をすると瓶とかそういう形で載るとすると、そこのところが少しおかしいのではな いかと。  それから情報提供は二つの製剤を採用しているところに対して行うということが書い てありますが、医療機関の場合はそれでいいのかもしれませんけれども、薬局の場合は いつ何時来るか分かりません。そうするとそこを個別にやるとおっしゃるか、全薬局に 行かれるつもりがあるのでしたら別ですけれども、そういうことがないとなるとその辺 の情報提供が、採用されているところだけということは医療機関にとっては採用権があ りますからいいのですが、保険薬局の場合はそれがなくいつも全品目という話になるの で、そういったところの情報提供をどうするのか。その都度疑義照会をするということ にはなると思いますけれども、そういったことがございますので、ちょっとこの対応策 の姿勢がまだ相変わらずかなと。ちなみに別添で付いてきていた懸濁液の調製方法はせ めてこれぐらい漢字を間違えないで、「調整」してどうするのかと思いますけれども、 その辺も含めてもう少しお考えいただきたいというところでございます。 ○池田部会長 ありがとうございます。機構の方でいかがですか。 ○審査管理課長 まず薬価で御指摘のところをこちらの方からお答えさせていただきま す。そこの容れ目と実際の使用残が出る部分については実際問題として使用現場ではや はり疑問に思われる点が出てくると思います。したがいまして、そういう御指摘があっ たということを、これが認可されるとその後厚生労働省の中は医政局の経済課が窓口に なりまして、その後保険局の医療課の方で薬価の算定ということになってまいります。 今までこれと同じようなケースというのは私は記憶がないのですけれども、かなり容れ 目はあるのに1回の噴霧量などの回数が実際には容れ目の6割分ぐらいしか保証できて いないということで、その部分に対してしか薬価を付けなかったりとか、そういう例が ないわけではないと思います。どういう薬価の付け方が考えられるかを含めて、このも の自体が医療現場にあって困るというものでない限りは承認の方は進めさせていただけ ればと思うのですが、もし今日の審議の結果ちょっとまだそこも何とも言えないという ことであればまたあれでございますけれども。 ○土屋委員 容れ目はそういう意味でとても重要なファクターになるし、製薬企業にと っては企業の論理でいえば捨てることが前提になっているのは安全の上でも値段の上で もいいことなのです。しかし、例えば分包品をきちんと作るなどということを過去に今 まで我が国の製薬会社はいろいろやってきたと思うのです。吸湿性が問題になるものに ついてはそういうことをやらない包装を作ってきた、そういう努力もしていたわけで、 それをせずにこの容れ目のものでやりなさいという考え方はいかがなものかと。分包の 仕方といったこともあると思うのです。なるべく無駄ができないようにするということ はやはり企業としてやるべきではないかという気はいたしますので、そういったことは 強い懸念として一応指摘せざるを得ないという気がいたします。 ○池田部会長 どうぞ。 ○機構 情報提供の件については、調剤薬局等では処方せんが来たときに地域の薬剤セ ンター等から取り寄せて急遽使うということもあるかと思いますので、そういったこと も念頭に置いてこの薬剤使用時には適切に情報が薬局側に伝わるような対応をとるよう 指示したいと思います。 ○池田部会長 そのほかはいかがでしょうか。処方せんの記載ですね。 ○機構 処方せんの記載方法についても、オーダリングシステム等の混乱と医療現場に おける混乱が起こらないような形になるよう、再度申請者と検討したいと思います。 ○池田部会長 どうぞ、神谷委員。 ○神谷委員 1:14と1:2の製剤を併売している途中で、準備ができた段階で切り替 えるということをおっしゃいましたが、機構の方からは大体どのぐらいの期間を指示し ておられるのでしょうか。これは延ばせば5〜6年はすぐたちますよね。治験をやる気 にならないといけないけれども、すぐスタートすることが前提の上でそのように納得す るということでいいのでしょうか。 ○池田部会長 どうぞ。 ○新薬審査第一部長 今の神谷先生の御質問は正しくごもっともな点でございまして、 今回の製剤の適応をどこまで広げられるかということについて私どもの方でも今企業と 協議をしております。ただ治験をやりますとどうしても時間が掛かるので、治験をやら ずに適応拡大できる範囲を目いっぱい考えて迅速に処理をするという基本方針で私ども 考えさせていただいております。余り具体的な期間は設定しにくいのですが、1年ない し2年のうちにはと今私どもの方では考えております。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。そのほかございますか。どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理 先ほどから議論に出ておりますけれども、この製剤はやはりアメリ カの包装をそのまま持ってきているので問題があるわけです。ですから日本だとこれは ボトルに入っていて、それを薬剤部で必要量だけ秤量して懸濁液にするというやり方が 普通だろうと思いますので、先ほどの薬価も含めて今の形でやってくると極めて複雑な 問題になると思うのです。ですから、できればそういう形にはできないでしょうか。安 定性を見ましてもボトルから秤量するというのでそれほど問題はないと考えられます し、それから懸濁液にしても10日間は安定であるということですので問題はないのでは ないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 その辺は企業としては難しい…、話はしてあるのですよね。機構の方か らどうぞ。 ○機構 まず安定性のお話でございますが、粉のままですと開封してから3日ぐらいで クラブラン酸の方がほとんどなくなる状況になってしまいます。それから封を切ってそ の日のうちに使い切ればというお話もあるかもしれませんが、薬局といいましてもいろ いろな環境、湿度や温度があると思いますし、そのような状況で1日使い切りで残った 分を捨てるという形をとったとしても、どのくらいクラブラン酸が減衰するものかとい うことが今分かっておりませんので、粉のまま秤量というのは私どももチョイスの一つ としては考えたのですが、現状においてはなかなか難しいだろうと結論しております。 ○堀内部会長代理 そうしますと、基本的には1ボトル単位で使い切りと。開封すると 3日間ぐらいで駄目になるということであれば、薬価の付け方もそういうやり方でいい わけですね。ですから、やはりある程度ここでの議論を薬価算定組織の会議の方に反映 させていただかないと。審査概要というのは薬価算定組織に資料として出ますけれども、 ここでの議論は全然反映されていないですね。ですからある程度そういうことも含めて 情報提供していただければと思うのですが。 ○審査管理課長 今堀内先生から御指摘いただいた点については先ほど私もそういう趣 旨で、特に薬価算定の過程においてここでの議論を伝達しておくことが必要だと考えて おりますので、そこは私どもの方からそちらの担当部局の方にきちんと伝えたいと思い ます。 ○池田部会長 実際には処方はg単位でしょうね。mLということはあり得ないですね。 実際に薬局から患者へは1回何mL飲みなさいという格好になるので、それが医療現場で 混乱がないようにスムーズに行くような格好にしてほしいというのが土屋委員のお話だ と思うのですが。 ○土屋委員 現実としては恐らく製剤量を書き、そして付記するならばアモキシシリン としての量を付記しておいて、これが原薬量に当たるところをそう書いておいた上で、 ただし今度は患者さんにしてみれば処方せんを見たときにgと書いてあるから粉なのか なと思っていたらシロップが出てきてしまったと。それはどうなっているのだというと ころでまた薬局の方できちんとこういう説明をするという形をとるので、そこをmLと書 かれるとそもそもmLになっていないものにmLという単位で書くことを前提とするのは やはり間違っているかなという気がいたしましたので。 ○池田部会長 mLという格好で処方すると、恐らくかえって間違いのもとになります ね。 ○審査管理課長 その点は御指摘のとおりだと思います。実際問題として恐らく先ほど 出ました薬価の方も製剤が今のは固体ですから、その単位で薬価が付くと思いますので、 処方せんの方もそういう単位で書いていただかないと、また保険の請求などでも混乱が 起こる可能性もあると思います。そこは先生方の御指摘のとおりだと思いますので、事 務局の方できちんと整理して対応したいと思います。 ○土屋委員 要するにこのいろいろな表が全部mLを基準に添付文書などに出ているも のですから、そういったところも全部製剤量できちんと換算が簡単にいくような表にし ておかないと、結果としてはそこでの換算違いとかそういう話が出るかと思いますので、 是非その関係のところを直すというよりは併記しておくとか、そういうことが必要かと 思います。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。どうぞ。 ○堀内部会長代理 先ほど間違わないためにシリンジは添付しないというお話でした ね。そうすると、例えば10kgの人ですと7.5mLを1回飲むということになりますけれど も、それはどうするのですか。もらった方としては病院で付けて出せということですか。 やはりきちんと懸濁液を秤量して飲みやすいような何かを付ける必要があるのではない でしょうか。 ○機構 服用方法については通常使用されているスポイトやカップ、薬局等で製剤を交 付するときに添付しているものがあると思うのですが、現行はそういったものを利用す るという形で考えております。 ○土屋委員 カップとかそういうものの目盛りは1cc単位でありまして、何.5mLなど となっているものはやはり無理なのです。なぜ小児においてシリンジを使って世の中で 事故が起きているかというのは、結局そこで小児だから正確な量を出そうとして、正確 な量を取ろうとしてシリンジを使って、ところがそこでナースコールなどが鳴ってそれ が置いてある、注射薬かなと思ってそれを注射してしまったとか、そういう事故がある のです。ですからこれはアメリカもそうなのですけれども、正確に測れる計量器、計量 カップなどがないということが実は事故の原因になっているというのがあるものですか ら、溶いたものをカップでというのはやはりこういうときに…、私がこの間言ったのは シリンジに体重と両方載っていたのでそれは要らないのではないかと。体重の表記をす るとお母さんが間違って体重で見てしまうとまずいので、シリンジは正確にとるという ことからいえばそのことまでをやめるとはちょっと思っていなかったものですから、そ ういったことはやはり医療機関にしてみたら今度はまたその心配が出てきますので。 ○堀内部会長代理 多分薬剤部で懸濁液を作るというか、処方せんに基づいて何mL1回 飲むという指示を出すのだと思うのです。ですから、お母さんはそれに基づいてやると 思うので、やはりそれができるようなものというのは必要だと思うのです。 ○機構 先生方から頂いた御意見を踏まえまして、当初予定しておりましたシリンジを 体重記載がないような形で提供できないかということを申請者に再度要請してみます。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。幾つかまた注文が付いたと。やはりより安全によ り正確に患者さんに必要量が届けられるようにという問題、それからこの薬の無駄をな くすということ、保険収載の問題、幾つか重要な点が指摘されたと思うので、是非その 点はもう一度企業の方にも伝えてほしいと思いますし、あるいは薬価収載のときにも記 録として残していただいて伝えてほしいと思いますけれども、よろしいでしょうか。そ れを正確に企業あるいは保険収載のときに伝えていただけるということを前提にして、 承認を可として薬事分科会へ報告ということでよろしいでしょうか。土屋委員、よろし いですか。 ○土屋委員 いいとはなかなか言いにくいのですけれども、あえて反対とは言いません が。 ○池田部会長 それを厳重に守っていただく、あるいはそれをしていただくと。恐らく それができていないとこういう種類のお薬はなかなか使いにくいし、やはり市販されて も余り役に立たなくなる可能性があると思うのです。 ○土屋委員 薬そのものが悪いのではなくて、正に使用の安全ということがとても大事 なので、やはりそこは企業にきちんと理解していただいて、使用の安全は副作用と同じ くらい、誤用を防ぐ手立てが企業側でできるのであればやはり分包品を考えるとか、吸 湿性を防ぐための技術を何とか見せていただきたいという気はいたします。ものが悪い というつもりは全くありませんので。 ○池田部会長 そうですね。ですからその意味で審議がまた2回目もあったということ を是非企業の方に伝えていただきたいと思います。ありがとうございました。それでは 議題1はそういうことにさせていただきます。  次は議題2でございます。これは新しいニューキノロンでございますけれども、これ も機構の方から審査の概要を説明していただきたいと思います。 ○機構 議題2、資料2、医薬品アベロックス錠400mgの生物由来製品又は特定生物由 来製品の指定の要否、輸入承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬及び劇薬の指定の 要否について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。なお本品目について は添付文書の差し替えがございまして、本日資料2-2としてお配りしております。  本剤はドイツ・バイエル社により開発されたフルオロキノロン系合成抗菌薬でござい ます。本邦においては既に10数種類のフルオロキノロン系抗菌薬が販売されております が、本剤の特徴といたしましては従来のフルオロキノロン系抗菌薬の抗菌力が弱いとさ れていた肺炎球菌などのグラム陽性菌に対して優れた抗菌力を有すること、チトクロー ムP450による代謝をほとんど受けないことから、チトクロームP450を介した副作用発 現がないことといった点が挙げられます。海外では1995年8月から本剤の臨床開発が進 められ、1999年にドイツ、米国にて承認され、2005年7月の段階で世界100か国におい て承認されております。本邦での開発は1996年7月から開始され、2002年9月に申請 されるに至っております。  本剤の専門委員といたしましては資料9にありますとおり、折笠委員ほか青柳委員、 上田委員、奥村委員、斧委員、笠貫委員、南光委員、貫和委員、林委員、松島委員、山 手委員、渡邊委員の計12名を指名し御意見を賜りました。  今回の申請に際して提出された資料でございますが、申請当初は国内6試験及び海外 31試験の臨床試験成績が提出されました。国内第III相試験としては市中肺炎を対象とし た比較臨床試験、呼吸器感染症を対象とした一般臨床試験、皮膚科領域感染症を対象と した一般臨床試験の3試験が実施されました。比較臨床試験はレボフロキサシンを対照 に市中肺炎に対する効果について検討がなされ、レボフロキサシンに対する非劣性が確 認されております。一般臨床試験については呼吸器領域で94%、皮膚科領域で73%の有 効率となっております。皮膚科領域における有効率が低い理由といたしましては、慢性 膿皮症による有効率が47%と低かったことが挙げられます。そこで慢性膿皮症について は適応症より除外し、表在性皮膚感染症と深在性皮膚感染症の2疾患群のみを承認する ことが妥当であると考えております。  本剤の安全性については、提出された臨床試験成績においては対照薬と大差なく、大 きな問題は見受けられておりません。しかし、本剤にはQT延長作用を有することが知 られていること、海外の副作用報告において多くのアナフィラキシー関連事象が報告さ れていることといった、二つの大きな安全性上の懸念がございます。  まずQT延長でございますが、欧米においては本剤がQT延長作用を有することは広 く知られており、本剤はQT延長作用を有する可能性がある新薬の評価に際して、安全 に使用できる陽性対象として推奨されております。申請当初提出された申請資料におい ては、日本人におけるQT延長に係る検討もなされてはおりましたものの、その検討は 若年成人男子を対象としたもののみであり、本剤の主な投与対象となるであろう高齢者 や、QT延長に関し男性よりリスクが高いと示唆されている女性のデータがないこと、 更に本邦で実施されたQT延長に係る検討6例のうち1例に30msecを超えるQT延長 が認められていることなどから、提出された資料では日本人におけるQT延長に係る検 討が十分ではないとの判断に至り、日本人におけるQT延長に係る更なる検討の実施を 追加指示いたしました。  申請者はこれに基づき、高齢者や女性をも対象とした本剤反復投与時のQT延長に係 る検討を行い、その成績を資料として追加提出いたしました。機構はこの試験成績につ いて審査を行い、その結果、得られている成績からは日本人においてQT延長作用は示 されたものの、それに基づくリスクが特段に高いという傾向は認められていないと判断 いたしました。  アナフィラキシー関連事象についてはそもそもその発現頻度はとても低く、治験の段 階においてはその検討がなかなか困難なところではございますが、既存のフルオロキノ ロン系抗菌薬のうち本剤の申請者であるバイエル社が承認を有するシプロフロキサシン との概算頻度の比較をさせるなどの検討を行いました。これらの数値は自発的な副作用 報告を基に算出したものであり、きちんと母数が把握された上での頻度計算ではないこ とから、精度に信頼がおける解釈は困難でありますが、そのリスクは軽視できるもので はないと考えております。  しかしながら、審査報告書の73ページから記載いたしましたとおり、本剤については 肺炎球菌に対し優れた抗菌力を有しrespiratory quinoloneとして有用性が期待できる こと、安全性についても追加検討等も実施し、外国人よりも日本人におけるリスクが高 い可能性が示唆されていないことから、本剤を承認して差し支えないと判断いたしまし た。なお、安全性については十分な留意が必要であることから、アナフィラキシーやQ T延長に関する注意喚起のための患者説明文書の配布や、安全性に係る問題点を早期に 検出するための綿密な市販後調査の実施を指示しており、現在細部について申請者と機 構の間で詰めているところでございます。  本申請は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は6年とすることが適切 であると判断しております。なお原体・製剤とも劇薬に該当し、生物由来製品又は特定 生物由来製品には該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しており ます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。それではこの議題2のアベロックス錠につい て委員の先生方から御質問いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。どう ぞ、溝口先生。 ○溝口委員 肺炎球菌に非常に有効だということで呼吸器疾患にはいいかと思うのです けれども、リスクが高い病気ですから。皮膚科領域の感染症になりますと疾患そのもの はそれほどリスクが高くないと思いますし、ほかにもたくさん有効な薬剤があります。 QT延長に基づくリスクの頻度がそれほど高くないにしてもQT延長作用があります し、アナフィラキシーショックの頻度は少ないといってもほかの薬より発現頻度が高い 可能性は否定できないと73ページに書かれています。添付文書を拝見しますと、適応症 に「表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症」と書かれています。最近の分類でたくさん ある皮膚感染症がこのようにまとめられてしまったので、本当に簡単な軽症の皮膚の感 染症もこの中に入ってしまうのです。それでこの薬が安易に使われると危険が多いので はないかと少し心配になります。「効能・効果に関連する使用上の注意」というのが括 弧にはなっているのですけれども、何かもう少し危険を知らせるような文章にならない かという気がいたします。  それでちょっとお伺いしたいのですけれども、審査報告書にも書いてありますが、こ の薬剤は経口剤でございますので医療従事者が見ていないところで、患者さんが自宅な どでQT延長やアナフィラキシーショックを起こす可能性があると思うのです。錠剤で アナフィラキシーショックを起こす薬剤というのはこのニューキノロン系が有名ですけ れども、ほかに既存の薬剤で頻度が高いものにどういうものがあってどのぐらいの頻度 なのかということを教えていただきたいのです。もう一つは他のキノロン系抗菌剤に対 して過敏症の既往歴のある患者には禁忌となっていますが、本剤でアナフィラキシーシ ョックを起こした患者さんは投与開始後何日目に起こしたのでしょうか。もしその記載 があるのでしたらお教えいただきたいと思います。なぜかと申しますと、飲んですぐ発 症したのなら既往にある人がなっていると思いますし、何日か継続して内服してから発 症した人が多いのであればこの薬剤が新たに感作してアナフィラキシーショックを起こ していると思いますので、その二点をお伺いしたいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございます。いずれも非常に重要な問題だと思うのですけれ ども、機構の方からどうぞ。 ○機構 まず一点目の他の薬剤におけるアナフィラキシーショックの発現頻度でござい ますが、現在こちらの情報として比較できるようなデータを持ち合わせておりませんの で、確認してみたいと思います。それから二点目の、この薬剤でアナフィラキシーショ ック等が起こった患者さんが服用されてからどのぐらいの時間で発現しているかという 点についても、いろいろなタイミング、飲んですぐの方やしばらくたっている方、ない しは2〜3回目の服用の後という方もいらしたと思うのですが、正確なデータは今持ち 合わせておりませんので、確認した上で改めてお返事申し上げたいと思います。 ○溝口委員 「効能・効果に関連する使用上の注意」に、「β-ラクタム系薬やマクロラ イド系薬等、他系統の薬剤にて十分な効果が得られない症例に対して使用すること」と 書いてありますけれども、これはMRSAには当然効果がない薬剤ですね。最近MRS Aの感染症が多く、効果がないと皮膚感染症の場合はMRSAに効く薬を使ってしまう のが普通なのです。こういう書き方しかできないのか、ともかくリスクが少ない疾患に こういうことだけで投与していいかどうかというのが少し心配ではあるのですが。 ○池田部会長 いかがでしょうか。適応症に二つの皮膚感染症があるわけですけれども、 リスク・ベネフィットの観点からどのように考えるかということだと思うのですが。 ○審査管理課長 リスク・ベネフィットなどを少し考えると、ここの皮膚科領域につい ての記載の縛りがもう少しきつくてもいいのではないかという御意見かと思いますが、 その辺は審査過程の議論から見てどうかということで、もし機構の方から追加で御発言 できればお願いします。 ○新薬審査第一部長 溝口先生が御指摘の点は正しく私どもの審査の過程でも非常に熟 慮したところではございますが、資料の中にもありますけれども、欧米における適応も やはりこの単純性皮膚炎、皮膚及び皮膚組織感染症、複雑性皮膚及び皮膚組織感染症と いう非常に広めのインディケーションが世界100か国で承認されている薬ですから、そ ういう適応で世界中で使われているという実情がございます。それに対して日本でどの ような縛りをかけられるのかということを検討したわけでございますが、実はこの効能 ・効果の皮膚科領域の感染症の表現自身はせんだって抗菌薬の再評価作業の中で学会の 方でも御議論いただいて、このようなインディケーションで整理された経緯もございま すので、この部分をそのままいじるというのはなかなか難しいかと思うのです。したが いまして、先生が今御指摘の「効能・効果に関連する使用上の注意」の記載についても う少し強化するということが現実的な選択としては考えられると思います。確かに今の 御議論を基にしまして「効能・効果に関連する使用上の注意」のところに、一つは要す るに患者さんに対するそういう注意喚起を十分に行うということや、異常があった場合 に速やかに医師に連絡するといったことを、一連のパッケージにして盛り込んでいくと いう方向で対応させていただきたいと思うのですが。 ○池田部会長 溝口委員、よろしいですか。 ○溝口委員 そのように注意深くやっていただけるなら納得できるかと思います。 ○池田部会長 そのほかございますか。どうぞ、土屋委員。 ○土屋委員 基本的な話でお伺いしたいのですけれども、この適応症の順番は何か意味 があってこういう順番になるのかとか、そういうルールは何かあるのでしょうか。 ○機構 抗菌薬の適応菌種並びに適応症の書く順番については抗菌薬臨床評価ガイドラ インというものがございまして、そちらに記載されている順に記載するというルールに 昨年9月より変更しております。ですから、もちろん適応の違いがあるものはしようが ないのですが、同じ菌種を適応症として持っている限りは今はどの薬剤においても同じ 順番で記載されているというスタイルになっております。 ○土屋委員 いいのですけれども、本当は特色あるものが前に来るといった表記とか、 こういう注意があるときにはやはり「効能・効果に関連する使用上の注意」というとこ ろがあるのですから、その関連するものにはアステリスクを付けておいてそちらを見な さいとか、もう少し注意が行くような誘導をするといいますか、表現方法そのものがあ あいうものできちんと決まることはとても大事なのですが、そういう工夫が現実に注意 喚起が書いてあるでしょうといったときに分からなかったとか読んでいなかったという ヒューマンエラーを防止するための方策としてあるのではないかという気がいたしまし た。 ○池田部会長 よろしいですか。どうぞ。 ○審査管理課長 御指摘ありがとうございます。ただ、昨年の再評価のときにも製剤に よって書く順番とかいろいろなものもかなり違っていると。そうすると、どうしてもこ の抗菌剤の場合には菌種、適応症が順不同になっていますと、ある薬とある薬を比較す るときにちょっと大変ということもありまして、今機構の方から説明がありましたよう に相当数の関連学会に御協力いただいて菌種名の記載法、それから適応症の書く順番に ついても一応整理したという形になっております。むしろそのようになっているという ことを医療関係者の方々に御認識いただくように、私どもの方も努力しなければいけな いのかなと思っております。 ○新薬審査第一部長 追加して今の土屋先生の御指摘の件も、先ほど「効能・効果に関 連する使用上の注意」を含めてトータルパッケージで患者さん向けの情報提供、あるい は処方されるドクター向けの情報提供資材、それぞれ特にそういう重要なポイントが分 かりやすいものを企業に用意してもらうように協議をしたいと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。どうぞ。 ○堀内部会長代理 基本的にやはり添付文書は公的文書になるわけですから、これにど ういう表現をするかというのは極めて重要だろうと思うのです。今の問題は置いておい て、同じように副作用のところで先ほどからいろいろ議論されておりますけれども、例 えば添付文書の「(1)重大な副作用」の「ショック」と「アナフィラキシー様症状」は いいのですが、「心室性頻拍」、「QT延長」は四番目のところに来ていますね。やは りこの副作用についてもどういう書き方がされているのかなと。ウエート付けというの はされるべきではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。 ○機構 ただいま堀内委員の方から御指摘いただいた点については、確かにQT延長を もっと上の方に上げるべきかと思いますので、「偽膜性大腸炎」等より上に持ってくる ように変更したいと思います。御指摘ありがとうございました。 ○池田部会長 これは特に書き方のルールはないのですよね。しかし、今重大な副作用 の問題…。 ○安全使用推進室長 安全対策課でございますが、現在の「使用上の注意」の「副作用」 の「重大な副作用」の項の書き方については明確なルールというのはございませんが、 一応副作用の重篤性、頻度を勘案しまして重要なものから上から順に並んでいるという のが現状でございます。 ○池田部会長 ありがとうございます。そうすると、やはり「心室性頻拍」、「QT延 長」は当然上に持ってきた方がよろしいですよね。問題ないですね。 ○新薬審査第一部長 多分問題ないと思いますが、頻度の点でいいますとものすごく低 いものですからその点がちょっとありまして、偽膜性大腸炎もなかなか大変なケースな ので、その辺の判断がなかなか難しいところがあると思うのです。ただ今日の御議論で この薬に特徴的な問題点ということで上位に書くという御意見を尊重いたしまして、そ のようにさせていただきたいと思います。 ○堀内部会長代理 今のでQT延長と偽膜性大腸炎の頻度からいうと、これはQT延長 の方が1%未満で偽膜性大腸炎は0.1%未満というので、QT延長の方が高いかなと思 いますが。 ○審査管理課長 そこは検討して…。 ○堀内部会長代理 要するにもう少し一般的に言いますと、メーカー側の添付文書とい うのは原案を作ってくると思うのです。それをいろいろチェックしているわけなのです が、結局はこれが公文書となっていくわけですので、十分に審査の段階で吟味していた だきたいということになるわけです。 ○審査管理課長 承知いたしました。 ○池田部会長 これは専門委員の協議の中でも、あるいは審査過程でもQT延長という のは非常に問題になったということがございますので、やはりそれはある程度この薬の 特徴として記載をそれらしくした方がよろしいということだと思います。土屋委員、ど うぞ。 ○土屋委員 これに限りませんけれども、項目や表現の順番が決まっているというのは 電子化のときにとても大事な話なのです。ただ、そこがコードでソートされていますよ というのか、何でソートがされて出るのかというプロセスが明らかになれば、我々医療 情報を扱っている人間からしてみたら、通常ならこのパターンなのにこれが上に来てい るのはこれが大事なのですよということを電子システムとして警告を与えるとか、そう いうことが可能なものですから、やはりその辺のルールは一方でとても重要で、項目が ないときは「ない」と書いてあることが大事なのです。そうすると記載がないとこれは ないのかどうかが分からないということもありますので、やはりその辺はこれから先は 電子化ということを頭に入れながらやっていて、どの項目でソートしているかというル ール化がしっかりしてくると、恐らく受け取る側が添付文書を読むときにそういうもの なのだなと受け取ると思いますので、情報伝達がとても大事かなと思います。 ○池田部会長 そのほか委員の先生方何か御意見ございますでしょうか。 ○堀内部会長代理 今回の治験についてはブリッジングは成立していないということが 審査報告書に書かれておりまして、日本人における有効性は別として特に安全性の問題 だと思うのですけれども、評価をされていないように思いますが、承認条件としては今 は何も付いていないわけですけれども、それは何か必要はないのでしょうか。 ○新薬審査第一部長 ブリッジングの問題というのは確かに御指摘のような判断に至っ たところはございますが、実際の国内試験で通常基軸になる二つの領域について、今回 この薬は尿中排泄率が20%しかないものですから、尿路関係の適応は取りようがないと いう個性のある抗菌薬です。キノロン系抗菌薬の呼吸器だけの適応をねらったものとい うことで見ますと、主軸になる肺炎のところで比較試験がきちんとやってあって、それ に付随する関連の適応についても一般臨床試験という形で十分な症例数がやってありま すので、一応それだけでも承認はできる内容にはなっております。したがいまして、バ イエル社は一応ブリッジングということは考えたのですが、そうでなくてもこれだけで 評価はできるという判断を審査の過程ではしております。したがって、データが少ない ということで問題にすることが特段あるわけではなくて、もちろん今回問題になってい るQT延長はこのぐらいの例数でも十分評価できましたし、アナフィラキシーになりま すと1万例や10万例に1人といった頻度になりますが、いずれにしても治験中のデータ では把握可能なものではございません。したがって、これは通常の市販後の情報提供を しつつ収集するデータで評価をしていくということにならざるを得ません。基本的には 新規有効成分ですので直後調査はかけられることになると思いますし、それによる適正 使用の徹底をするということが現実的には選択としてとれると思いますので、審査の過 程ではこれに対して特段承認条件をかける必要性はないという判断になっております。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほか委員の先生方よろしいでしょうか。 どうぞ、川嵜委員。 ○川嵜委員 今お話しの重大な副作用というところには*印で1%未満と0.1%未満、 0.01%未満という頻度が書いてありますね。そういう値がどれぐらい正確かといいます か、これから使っていくと変わってくる値という意味があるということなのでしょうか。 つまり使っていって統計が増えてくると、もう少しこれを入れ替えたり数字を変えたり して、より正確な情報が伝わっていくというたぐいのものか、先ほどは例数などの関係 で余り信頼性がないようなお話でしたけれども、どのぐらいの信頼性があるかというこ とと、それが更にアップデートされていくのかということについて教えてください。 ○新薬審査第一部長 一応この薬が世界的にはかなり広範に使われておりまして、この 添付文書にも書いてございますけれども、国外臨床試験で9,225例という、治験の症例 数だけでそのぐらいの数のデータを基にして頻度的なものを出しているということなの で、通常の薬に比べますと承認時における頻度の信頼度は実は非常に高くなっておりま す。もちろんこの中でも市販後調査によって収集されるものがまた増えてくるとかとい うことになりますと、アップデートされて変わってくることはあり得ます。そういう状 況ですのでアナフィラキシーは確かに審査報告にも書いてございますが、多分1万人に 1人か10万人に1人出るか出ないかぐらいの頻度ですので、その部分の精度の高い類薬 との比較というのはなかなか難しいということを申し上げたのであって…。 ○川嵜委員 アナフィラキシーはこの表ですと1,000人に1人と1万人に1人の間とい う結果ですね。ですから何万人に1人以下ということではないと。 ○新薬審査第一部長 実際に治験で出てきたものの中でアナフィラキシー様のものも全 部拾って、できるだけ高い頻度で見たときにこのぐらいの例に入ると。アナフィラキシ ーショックとして報告されているものになるとかなり頻度が低くなっておりますので、 その辺りは実際の頻度が正確に分かるのはなかなか難しいということを申し上げており ます。 ○池田部会長 どうぞ、溝口委員。 ○溝口委員 今おっしゃった9,500何例かという世界の報告は主にどういう疾患に使わ れているのでしょうか。 ○機構 海外で実施された臨床試験ですので、概要のところにも全部付いておりますが、 患者さんの疾患といたしましては、国内で今回承認を受けるものと同様の皮膚科領域並 びに呼吸器領域の患者さんに投与された結果となっております。 ○溝口委員 特に呼吸器が多いとかそういうことはないのですか。肺炎球菌に有効だと いうことで。 ○新薬審査第一部長 一応概要の中でいいますと「ト.臨床」という耳が付いております が、そこから以降が臨床の項でその9〜10ページに国内・国外の臨床試験一覧というこ とで表になっております。 ○審査管理課長 真ん中より少し後ろの方に耳で「ト.臨床」というところがございます が、それの下のページを見ていただきますとト9、ト10というのが国内・国外の患者さ んを使いましたII相、III相試験の一覧でございまして、実施国や対象疾患などが全部書 いてございます。 ○新薬審査第一部長 こうやって見てまいりますと、上の方は比較的早期の試験なので 例数が少ないのですが、下の方になりますと検証的試験ということで数百例の規模の試 験が幾つもあり、皮膚科領域もト9で見ますとD97-005という試験、それからその下も ございます。さらに次のページに行きますと耳鼻科領域の試験がかなりたくさん行われ ているということもございますし、呼吸器に非常に特化しているということではないと いうのは御覧になっていただけるとおりでございます。 ○池田部会長 どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理 QT延長の頻度ですけれども、審査報告書の67ページを見ますと臨 床的に注目すべきQT延長は5.1%となっています。ですから、もしそうだとするとか なり注意喚起しなければいけないのだろうと思うのですが、これは日本人でやったケー スだと思うのです。添付文書に出ているのは1%未満というところに印が付いているわ けですけれども、これは世界全体のトータルということなのでしょうか。もしそうだと すると、これがなぜ5%も臨床的に一部そのようなQT延長が起こっているかというこ とはきちんと評価をしなければいけないと思うのですが。 ○池田部会長 これは専門協議に笠貫先生が入られて、恐らくその辺の議論があったと 思うのですけれども、チャンネルなどの民族差の問題で日本人が少し多いといった話は 出なかったのですか。 ○新薬審査第一部長 その部分も十分考慮していただいて、実際にこれの追加試験をや らせたのは400mg投与で反復投与をしたケースの6例のうちの1例で30msecを少し超え たものですから、これがその頻度のままだと大変なことになるということで、更に症例 を追加してやったというのが事実経緯でございます。ちなみに今御指摘の67ページの中 で書いてある5%というところですが、これはコントロールにスパルフロキサシンを置 いておりまして、これが20%という格好になっております。このときの一定の基準で比 べたときの頻度というのはいわゆるスパルフロキサシンの方でもこれだけ高い頻度が出 ますので、一概に全体の一般的な頻度がこれだけだという話とは一緒にはならないかな と思うのですが、この試験における定義が非常に安全性に厳しく考えた評価基準ですの でこのようになっているかと思います。通常QT延長を評価するための心電図計測を入 念に頻繁に行うということははかなかできないものですから、通常の試験のコンディシ ョンでやって計測されたものの頻度が添付文書に書かれているような9,000何例の中で 何%という数字になっていると理解されますが、精緻に測ればむしろこの薬が安全に使 えるQT延長のポジティブコントロールですので、それなりの頻度でQTが延びるとい うことは間違いなく出ます。そういうことを表して5%という数字もそれほど驚くよう なものではないという御判断だったと記憶しております。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。これまで10数の キノロンがあるわけですけれども、この薬の特徴というのはそれなりにあるということ で、今幾つかの問題が指摘されましたが、恐らく市販後調査でその辺も十分に検討して いただけるものということで、企業の方に伝えていただけるということで、特段これ以 上問題がなければ承認を可として薬事分科会への報告とさせていただきたいと思います けれども、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは議題2はこれで終 わります。  議題3から抗腫瘍剤の承認についてでございます。抗がん剤併用療法の適応拡大に関 する議題が3から5題続きます。まず最初に議題3について機構から審査の概要を説明 していただきたいと思います。 ○機構 それではよろしくお願いいたします。最初に本日の審議品目の全体像について 御説明申し上げたいと思います。当日配付資料としてお配りしましたお手元のカラーの 参考資料を御覧いただけますでしょうか。こちらは抗がん剤併用療法検討会で検討され た各併用療法についての関連する品目を示しております。機構では設定された併用療法 に関連する薬剤の審査をまとめて行いまして、審査報告書を作成いたしました。したが いまして、機構の説明に際しては有効成分ごとではなく併用療法ごとに御説明させてい ただきます。この5議題は平成16年8月27日あるいは平成17年1月21日の本第二部 会において、抗がん剤併用療法検討会で出された抗がん剤報告書に関する事前評価を既 に頂いております。それに基づきまして関係企業より承認事項一部変更承認申請がなさ れたものです。いずれも提出された資料は抗がん剤併用療法検討会で作成された抗がん 剤報告書と、同報告書中で引用された文献などの資料でございます。本申請に対する機 構での審査は厚生労働省から示された通知の方針に基づき、専門協議は実施しておりま せん。  それでは議題3、資料3、注射用エンドキサン100mg及び同500mgの医薬品製造販売 承認事項一部変更承認の可否について、医薬品医療機器総合機構より御説明させていた だきます。先ほど御覧いただいた参考資料でいいますと、一番上の乳癌に対するAC療 法に関するものです。本申請の内容ですけれども、資料3の「添付文書案」という耳の ところを御覧になっていただきますと添付文書がありまして、蛍光ペンで強調してある 部分が今回の申請に基づく変更内容ということになります。内容に関してですが、AC 療法、すなわちAが塩酸ドキソルビシンでCがシクロホスファミドになるのですけれど も、これは乳癌に対する術前術後補助療法として国内を含め世界的に標準療法として用 いられております。本申請はこのAC療法にかかわる申請です。既に本療法の塩酸ドキ ソルビシンについては御審議いただき承認されておりまして、今回はシクロホスファミ ドについての効能・効果、用法・用量の追加ということになっております。御審議のほ どお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。乳癌に対するAC療法ということで、これは 乳癌の方では既に行われているものですけれども、吉田委員、何か御意見ございますで しょうか。 ○吉田委員 既にドキソルビシンの方も…、両方使えるようになればと思います。 ○池田部会長 特に問題ないということですね。 ○吉田委員 特に問題はないですし、臨床現場でも…。 ○池田部会長 日常的に使っている療法であるということで、先生方何か特段御意見ご ざいませんでしょうか。よろしいでしょうか。それではこのAC療法については承認を 可として薬事分科会に報告させていただきたいと思います。  引き続き議題4について説明してください。 ○機構 議題4、資料4、ファルモルビシン注、ファルモルビシンRTU注射液、塩酸 エピルビシン注10mg「メルク」及び同50mg「メルク」、エンドキサン100mg及び同500 mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否について御説明いたします。こちらも先ほど と同様添付文書の下線が引いてあるところなどが今回の変更内容になっております。こ の申請内容ですが、塩酸エピルビシンとシクロホスファミドの併用療法であるEC療法、 それから塩酸エピルビシン、シクロホスファミド、フルオロウラシルを併用するCEF 療法にかかわる申請で、乳癌の効能・効果、用法・用量の追加になっております。御審 議お願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございます。これについても乳癌のEC療法、CEF療法、 吉田委員、いかがでしょうか。 ○吉田委員 特にコメントはございません。 ○池田部会長 これも日常的に使われていると理解してよろしいでしょうか。そのほか 委員の先生方、何かございますか。よろしいでしょうか。抗がん剤併用療法検討会で審 議された結果、そしてもともと日常臨床でもそれなりのエビデンスがあるということで ございますけれども、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それではこれも 承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきたいと思います。  それでは議題5について機構から説明をお願いします。 ○機構 議題5、資料5、ランダ注、ブリプラチン注、プラトシン注10、同25、同50、 シスプラチン注「マルコ」、シスプラメルク注射液0.05%、ソル・メドロール40、同 125、同500、デカコート125、同500、注射用ソル・メルコート40、同125、同500、注 射用プリドール40、同125、同500の製造販売承認事項一部変更承認の可否について御 説明させていただきます。こちらは参考資料の上から三番目になっております。本申請 は悪性リンパ腫に対するシスプラチンを含む抗がん剤併用療法及びメチルプレドニゾロ ンを用いる抗がん剤併用療法にかかわる内容となっております。今回の申請ではシスプ ラチンとメチルプレドニゾロンにおいてそれぞれ悪性リンパ腫の効能・効果、用法・用 量の追加となっております。よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。今までは乳癌二つでしたけれども、これは悪 性リンパ腫でございます。DHAP療法あるいはESHAP療法ということで、これも 再発・難治性悪性リンパ腫の治療としては日常的に使われている療法だと思いますけれ ども、先生方何か御意見ございますでしょうか。どうぞ、折笠先生。 ○折笠委員 添付文書を見て気付いたのですけれども、先ほどのものは抗がん剤治療1 クールを定義してそれを3〜4クール繰り返すという、繰り返しのコースが書いてあっ たのですが、今回のものは1クールとして投与を繰り返すということだけしか書いてい ないですね。ただ、抗がん剤報告書の方を見ると大体3〜4コース繰り返すとか、コー スとクールは違いますけれども、コース数の目安が書いてあるのですが、何クール続け るということは書かない方がいいという理由があるのですか。 ○機構 投与クールあるいはコース数の繰り返し回数ということでしょうか。抗がん剤 併用療法検討会の中には、例えば乳癌のものなどで6コースなどと明記してある部分は 書いてきたものもあるのですけれども、一般的に抗がん剤の用法・用量のところで何コ ースという書き方は通常していないのと、悪性リンパ腫に関してはシスプラチンを含む 併用療法の参考例としてESHAP療法やDHAP療法が書いてはあるのですが、抗が ん剤併用療法検討会の方にも確認しましたところ、相手方の抗がん剤を特定するという 抗がん剤報告書の内容ではないということで、今回特にそういう記載は明記しておりま せん。 ○折笠委員 通常はコースというのは明記してあるけれども、今回に関しては特別にそ ういう相手方があって付記していないという感じですか。 ○機構 抗がん剤併用療法検討会のものに関しては、6コースとはっきり明記されてい る療法が申請されている場合は6コースと書きましたが、今回は特定の例えばESHA P療法に限定したようなものではなかったので、何コース投与するかということまでは 用法・用量の範囲には含めておりません。 ○折笠委員 それでよければ結構ですが。 ○池田部会長 要するに6コースがスタンダードな治療であれば一応書くと。例えばE SHAPなどは1〜2回で終わってしまうということも日常的にあると。必ず4コース やらなければいけない、6コースやらなければいけないというものではないと。そうい うものに対しては書かないと理解していいのですね。先生、よろしいですか。そのほか いかがでしょうか。これも日常臨床では使われている併用療法だと思いますが。よろし いですか。ありがとうございました。それではこの議題5についても承認を可として薬 事分科会に報告とさせていただきたいと思います。  それでは続きまして議題6でございますけれども、これも機構の方から御説明いただ きたいと思います。 ○機構 議題6、資料6、医薬品ランダ注、ブリプラチン注、プラトシン注10、同25、 同50、シスプラチン注「マルコ」、シスプラメルク注射液0.05%、カルボプラチン注射 液1%「ヘキサル」、コスメゲンの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び注射用パ ラプラチン150mg、パラプラチン注射液、カルボメルク注射液1%の輸入承認事項一部 変更承認の可否について御説明させていただきます。本申請の内容は小児悪性固形腫瘍 に関するものとなっております。本申請は小児悪性固形腫瘍に対するシスプラチン、カ ルボプラチン、アクチノマイシンDを含む抗がん剤併用療法にかかわる申請で、各薬剤 における小児悪性固形腫瘍の効能・効果、用法・用量の追加となっております。御審議 よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 いかがでしょうか。特に御意見ございませんでしょうか。小児悪性固形 腫瘍ということですけれども、神谷先生、いかがですか。 ○神谷委員 これは既に私ががんの効能を見ていたころから通常使っているような組合 せで、最近ごく一般的な治療法だと思いますので遅かったぐらいで、これでいいと思い ます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ほかの先生方はよろしいですか。それではこ れについても承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。  それでは最後の議題7でございますけれども、これについても機構の方から審査の概 要をお願いします。 ○機構 議題7、資料7、医薬品デカドロン錠、デキサメサゾン錠0.5mg「タイヨー」、 デカドロン注射液、オルガドロン注射液、デキサート注射液の製造販売承認事項一部変 更承認の可否について御説明させていただきます。この申請はデキサメタゾンの経口剤 及び注射剤をシスプラチンなどの抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状の改善を目的とし て用いる治療にかかわる申請で、効能・効果及び用法・用量の追加となっております。 デキサメタゾンは抗がん剤ではありませんけれども、この経口剤及び注射剤を用いてそ の抗悪性腫瘍剤の投与に伴う消化器症状、悪心や嘔吐を抑制するということは国内を含 め世界的に標準療法として用いられていると考えられます。以上でございます。御審議 お願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございます。これ自身は抗腫瘍効果を持っているわけではな いわけですけれども、抗悪性腫瘍剤で併用療法をやる場合の悪心、嘔吐、消化器症状の 軽減、あるいはそれに対する治療として不可欠であるということで申請されたものです けれども、これについてはいかがでしょうか。どうぞ、溝口委員。 ○溝口委員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、デカドロン以外のステロイ ドは全然そういう併用で有効という作用はないのですか。それとももう認められている のでしょうか。 ○機構 通常の申請ではございませんので、抗がん剤報告書の内容以外については検討 されていないというのがお答えにはなるのですが、恐らくこういった化学療法のときの 嘔気の制御のために使われるステロイドというのは、このデキサメタゾン以外の試験は ないと思われます。ちょっと私の見解になってしまうのですが。 ○池田部会長 実際にはデキサメタゾン以外は併用療法としては使われないということ だと思います。そういうことで併用療法の検討会ではこれを申請するということですね。 ○溝口委員 分かりました。例えばリンパ腫の治療などはステロイドの大量療法が化学 療法剤と一緒に行われているので、それとは全く別の話だとは思いましたが、このステ ロイドにしかそういう作用があるかどうかというのはまだ今のところは分からないわけ ですね。これが申請されたということで。 ○池田部会長 吉田委員、どうぞ。 ○吉田委員 定かではないのですけれども、作用よりも排泄とかそちらの方の形でこの デキサメタゾンが使われたとおぼろげに記憶しておりますが、実際問題としてがんの治 療現場ではプレドニンなどのほかのステロイドを使って制吐作用を期待するということ は全くやられておりません。 ○池田部会長 リンパ腫だけは…。 ○吉田委員 抗腫瘍効果で…。 ○池田委員 抗腫瘍効果はあるということでプレドニゾロンなどがレジメンに入ってい るということだろうと思います。そのほかございますか。どうぞ、神谷委員。 ○神谷委員 書き方上のことで教えてほしいのですが、10ページのデキサメタゾンの経 口剤と注射剤のところで、経口剤の方には「成人には」あるいは「通常、成人には」と 書いてあると。小児の議論をしていないからここでは「成人には」と入れたのだと説明 されておりますけれども、デカドロンのようなものは症状によって決めるもので、小児 と成人と余り量の差は…。エンドキサンの方を見ると例えば年齢、症状により適宜増減 するという書き方になっておりますが、ここに「成人には」と入っても別に悪くはない と思うのですけれども、「通常、成人には」ということは子供に使うときには医者の判 断によって量を変えてもいいという判断の仕方でいいのでしょうか。 ○池田部会長 いかがですか。 ○機構 そのように考えております。ここは若干こちらの方でも議論になりまして、も ともとの用法・用量のところに内服も注射も「通常、成人には」という言葉が付いてい たのですけれども、今回の消化器症状の制御のところで抗がん剤報告書を見ても、小児 に対してどのように用量調節をしていいかといった記載がありませんでしたので、「成 人には」という言葉は安全性の面から考えて必要だろうと判断いたしました。 ○神谷委員 ということは小児に使ってはいけないという意味では全くないということ でいいのですね。 ○池田部会長 どうぞ、川嵜委員。 ○川嵜委員 多分私の理解ができないということだと思うのですが、審査報告書の7ペ ージの最初のところに「デキサメタゾンは、国内では抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症 状(悪心・嘔吐)に関する効能・効果は有していないものの、実地臨床においては、抗悪 性腫瘍剤投与に伴う消化器症状に対して広く使用されている」と書いてあります。これ は少し分かりづらいのですけれども、その効果は有していないということが何となく証 明されているようにもとれて、しかし実際にはこれは有効であるということになってい るように読めるのですが。むしろ前の方の文章はない方が…。 ○審査管理課長 これは経緯の関係でございまして、先生方に御協力いただいてここま で来たということなのですけれども、もちろんもの自体が認められていない抗がん剤も まだあって、それの対応もしているわけでございますが、特に2年ぐらい前に適応症が ないものがあるということで、実際にかなり適応症がないものについての縛り、実地医 療上問題があるのはどういうものがあるかというので、まずやったわけでございます。 その中にはやはり実際には使われているけれども、薬事法上の効能・効果は有していな いというものがあって、それは保険上もいろいろトラブルを起こしていると。したがっ て、そういうものについて優先的に効能の追加をしていきましょうということで、数年 前から企業に対して働き掛けはしていたのですけれども、企業もなかなか効能追加を自 主的にはやっていかないということがございまして、先ほど来部会長からも御説明がご ざいますように昨年1月に抗がん剤併用療法検討会を設けまして、学会の先生方に御協 力いただいてこの抗がん剤報告書を書き上げていただきました。そしてこの部会にレポ ートを書かれた先生方に来ていただいて事前評価をやりまして、この報告書をもって企 業に突き付けて、学会としてもここまでやったのだから企業側もそれを基に一部変更申 請を出してくださいということでやっているという流れでございます。そういう意味で はここは薬事法上の効能・効果は持っていないけれども、実態上使われていたというこ とで、この併用療法の効能を追加する優先度がかなりあったということでございます。  ついでに申し上げますと、おかげさまで昨年来検討していただいたもののうち国内外 にエビデンスがかなりある、日本でも症例の集積報告等ある程度のエビデンスがあって 適応追加をしなければならないものについては、先ほど来御報告ございましたように昨 年の後半からこの部会で本当に精力的に御審議いただきまして、今回のものをもって一 応一区切りという形になっております。今後も現場等でこの適応症がというものがござ いましたら、それについては個別の企業への働き掛けとかこちらの方では既存の仕組み がございますので、また御意見等頂ければと考えております。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。薬事法上のという、文章が少し分かりにくいです ね。そのほかよろしいでしょうか。これも日常的にがんの治療の場合には欠かせないも のとして使われているということで、特に御意見がなければ承認を可として薬事分科会 に報告とさせていただきたいと思います。以上先生方の御協力で少し時間が早く議題を 終了させていただきました。事務局の方から何か報告がございますでしょうか。 ○事務局 次回の本部会の開催日時でございますけれども、既に御案内を差し上げてお りますが、10月27日木曜日午後2時から開催させていただく予定でございますので、 よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 それでは本日はこれで終了させていただきたいと思います。どうもあり がとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734)