05/08/24 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成17年8月24日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年8月24日(水) 14:00〜   経済産業省別館第1014会議室 2.出席委員(10名)五十音順   岩 崎   学、 首 藤 紘 一、 田 島 知 行、 谷川原 祐 介、   土 屋 文 人、◎永 井 良 三、○長 尾   拓、 長谷川 紘 司、   樋 口 輝 彦、 村 勢 敏 郎 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名) 青 柳 伸 男、 井 上 和 秀、 堺   秀  人、 早 川   浩 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   川 原   章(審査管理課長)、 平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   浦 山 隆 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、    森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それではただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催さ せていただきます。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。  当部会委員数14名のうち現在10名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達 しておりますことを御報告いたします。本日御欠席は青柳委員、井上委員、堺委員でご ざいます。それから連絡がきちんと取れておりませんが、早川委員も遅れていらっしゃ るか御欠席ということのようでございます。では永井先生、以後の進行をよろしくお願 いいたします。 ○永井部会長 それではまず事務局から配付資料の確認、それから資料作成に関与され た委員の報告をお願いします。 ○事務局 それでは事務局より御報告申し上げます。本日の配付資料でございます。机 の上に議事次第と座席表と委員名簿を置かせていただいております。それから配付資料 でございますけれども、資料1〜6までがあらかじめ先生方にお送りさせていただいた ものでございます。本日の当日配付資料といたしまして資料2-2、パピロックミニ点眼 液、これは古い販売名ですとサンシクロ点眼液という名前になっておりますけれども、 こちらの方の添付文書の差し替え版でございます。それから資料7といたしまして優先 対面助言品目の指定について、資料8で優先審査品目指定の審査結果について、資料9 として横置きですけれども、審議品目の薬事分科会におきます取扱いの案ということで ございます。それから資料10といたしまして専門委員のリストを配付させていただいて おります。  それから関与委員の御関係でございますけれども、平成13年1月23日の薬事分科会 申合せに基づきます資料作成に関与された委員の確認でございますが、審議事項の議題 1、ブロプレス錠につきまして永井部会長が、それから議題3、グリセット錠につきま して堺委員、村勢委員が関与されております。堺先生は本日御欠席でございますけれど も、永井先生、村勢先生におかれましては該当する議題の審議の間は別室で御待機いた だきますのでよろしくお願いいたします。代わりに議題1の議事進行は部会長代理の長 尾先生の方によろしくお願いしたいと思います。以上でございます。 ○永井部会長 本日は審議事項が4議題、報告事項が4議題ということでございます。 今お話がありましたように、議題1の審議の間私は退席させていただきますので、長尾 先生によろしくお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ── 永井部会長退室 ── ○長尾部会長代理 それでは議題1ですが、医薬品ブロプレス錠の製造承認事項一部変 更承認の可否等について総合機構から審査の概要を説明してください。 ○機構 それでは資料1、ブロプレス錠2、4、8につきまして審査を担当いたしまし た医薬品医療機器総合機構から御説明させていただきます。  本剤の有効成分はアンジオテンシンIIタイプ1受容体拮抗剤であるカンデサルタン シレキセチルです。申請者は武田薬品工業株式会社で、本剤は平成11年3月に、高血圧 症及び腎実質性高血圧症を効能・効果として承認されております。今般、国内臨床試験 成績に基づき、慢性心不全の効能を追加する医薬品製造承認事項一部変更承認申請が行 なわれたものです。  本剤と同様にレニン・アンジオテンシン系を抑制するアンジオテンシン変換酵素阻害 剤(以下、ACE阻害剤)につきましては、2品目が慢性心不全の効能・効果で承認され ております。  海外におきましては、本剤の最高用量が国内臨床試験の4倍の32mg/日との相違がご ざいますが、CHARMプログラムと呼ばれます一連の臨床試験が実施されまして、欧州で は平成16年11月にACE阻害剤への上乗せ投与若しくはACE阻害剤不耐容患者の心 不全又は駆出分画40%以下の左室収縮期機能障害の患者の治療を効能・効果として承認 されました。米国では平成17年2月に駆出分画40%以下の左室収縮期機能障害でNY HAクラスII〜IVの心不全患者への投与を効能・効果として、さらに、平成17年5月に ACE阻害剤との併用時においても効果を示すことが追加承認されております。  以下、本品目の審査の概略について御説明させていただきます。  国内における後期第II相試験では、主要評価項目である全般改善度の改善率は、プラ セボ群45.5%、2mg/日群27.8%、4mg/日群44.4%、8mg/日群47.1%であり、用量反 応性は認められませんでした。第III相二重盲検比較試験では、投与群として4mg/日から 投与を開始し、忍容性に問題がない場合には8mg/日まで強制増量され、「心不全症状の 明らかな悪化」のイベント発現率を主要評価項目として有効性が確認されましたが、A CE阻害薬前投与のない患者層における本薬の有効性についてはプラセボ投与群と有意 差が認められませんでした。  安全性に関しまして、第III相二重盲検比較試験では低血圧性の副作用発現率は本剤投 与群で多い結果でした。なお、低血圧、腎障害、利尿剤併用及び重症度が高い心不全患 者では2mg/日から投与を開始すること等につきまして、添付文書上で注意喚起を行って おります。  専門協議におきましては、ACE阻害薬前投与に関する層別解析結果の評価等につい て検討されました。そちらで出た意見としては、慢性心不全治療の選択肢を増やすこと に意義がある、効能・効果を余り制限しない方がよい、市販後に本剤増量時の情報収集 を適切に行うべきである、引き続き慢性心不全分野での必要な開発が行われるべきであ る等を頂きまして、市販後の調査計画の整備等を行っております。  機構は、ACE阻害剤から切り替えて本剤を投与する場合の有効性については確認で きたと判断しました。またACE阻害剤不耐容の患者も存在すること等も考慮し、使用 上の注意に国内臨床試験成績に関する情報を明示した上で、効能・効果は「下記の状態 で、アンジオテンシン変換酵素阻害剤の投与が適切でない場合 慢性心不全(軽症〜中等 症)」とし、用法・用量に関しては「通常、成人には1日1回カンデサルタン シレキセ チルとして4mgから経口投与を開始し、必要に応じ8mgまで増量できる。なお、原則と して、アンジオテンシン変換酵素阻害剤以外による基礎治療は継続すること」とした上 で、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。  本申請は効能・効果の追加にかかわる製造承認事項一部変更承認申請であることから、 本剤の再審査期間は4年と判断しております。薬事分科会へは報告を予定しております。 御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○長尾部会長代理 ありがとうございました。欧米ではもう既に認可されている効能で ありますが、日本で行われた臨床試験成績等によって、日本でも慢性心不全治療の選択 肢を広げるという意味でよろしいのではないかという話だったと思いますが、先生方の 方で御意見は何かございますでしょうか。欧米の試験に比べると日本の場合はドーズも かなり違うのです。谷川原先生、どうぞ。 ○谷川原委員 添付文書の適応の効能・効果のところにただし書きがありまして、「ア ンジオテンシン変換酵素阻害剤の投与が適切でない場合」とあります。これは審査レポ ートの中で忍容性に問題等があってACEインヒビターの投与を継続できない場合、あ るいはACEインヒビターによる治療を行っても症状の改善が認められない場合という ふうに読めるのです。後者の場合は本薬の投与対象とすることは妥当でないという考え もありますので、ここでもう一度整理させていただきますと、簡単に言えば適切でない というのはACEインヒビターの副作用で使えないケースに限るという解釈でよろしい のですか。 ○新薬審査第二部長 試験の成績に基づいて、どういう表現がよろしいのかというとこ ろを審査の過程でかなり議論しておりまして、効能・効果に関する使用上の注意のとこ ろで細かく情報提供するということで、そちらの方でどういうデータがあるか示してお ります。今の御指摘については、「効能・効果に関連する使用上の注意」の「慢性心不 全の場合」で、「2.アンジオテンシン変換酵素阻害剤の効果が不十分な患者における本 剤の有効性及び安全性、並びにアンジオテンシン変換酵素阻害剤と本剤を併用した場合 の有効性及び安全性は確認されていない」という情報提供をした上での、効能・効果の 表現というところがございます。 ○谷川原委員 よく読めばそういうふうに解釈できるのですけれども、やはりこの方が よろしいのですね。副作用で使えない場合などと言った方がはっきりしていていいと思 うのですけれども。専門協議で余りいろいろな制限を付けない方がよいという御意見も あったようで、いろいろお考えになってのことなのですが、実際その本意は安全性の問 題でということの理解でよろしいのですか。 ○新薬審査第二部長 審査報告にも書いておりますが、慢性心不全ではないときにAC E阻害薬がうまくいっていなかった患者さんもいるのではないか等、いろいろなことを 想定しますと、慢性心不全でACE阻害薬の忍容性がないというような表現も難しいの ではないかといった議論もございました。 ○谷川原委員 もう一つよろしいですか。海外用量とこれだけ大きく違う理由はなぜな のでしょうか。 ○新薬審査第二部長 それはまだ分かっておりません。 ○谷川原委員 日本人の場合はこの低い用量で効果が認められたから、もうそれ以上上 げなかったということですか。 ○新薬審査第二部長 臨床の先生方の御意見としても、むしろ用量を上げると低血圧等 の副作用が出るといったことを聞いております。 ○谷川原委員 高血圧の適応はMAX12mgまで行けますよね。この適応の場合は8mg までということ。 ○新薬審査第二部長 臨床試験ももともとそこまでということになっておりますし、し かも強制増量したときの効果は必ずしもはっきりしておりませんので、強制増量ではな くて8mgまで投与できると用法・用量を規定した経緯がございます。 ○谷川原委員 では同じような臨床試験を海外と日本でやって、やはり安全性というか 副作用の問題で、日本人の場合は低用量の方が望ましいということになったわけですね。 ○新薬審査第二部長 データに基づくとそういうことになろうかと思います。 ○谷川原委員 ありがとうございました。 ○長尾部会長代理 確かに4から8に増やしている例はあるのですけれども、余り多く ないですね。ほかにいかがですか。岩崎委員、どうぞ。 ○岩崎委員 私は専門委員だったのですけれども、この薬剤は臨床試験が余りうまくい っていないというか、一本筋が通っているわけではなかったという印象があったことが 一つと、もう一つはやはりエビデンスとして少し弱いのではないかということがありま した。しかし先ほど御紹介いただいたように、いろいろな選択肢を増やすという観点か らはよいのではないかという判断になったわけです。したがって、市販後にきちんと調 べていただくということが必要ではないかというふうに思います。もう一つは、これは 中間解析というか中間検討で一回やめていますよね。そこのところがどうしてそうだっ たのかということをもう一回御披露いただけるといいかなと思いますけれども。 ○長尾部会長代理 では事務局の方、お願いします。 ○新薬審査第二部長 今担当の方に資料の該当箇所を確認させておりますが、第III相臨 床試験成績で一応初期の目的を達成し、かつその継続がもともと決めておりました条件 で継続が不適当になる基準に照らした中間検討が2回行われておりまして、1回目の検 討では継続されたのですが、2回目の検討の結果で中止されております。そういうこと から、最初の目標症例数よりも少ない症例数で中止されているということがございます。 ただし、これは事前の計画に規定されていたものです。報告書の14ページに記載がござ います。申し訳ございません。 ○岩崎委員 これからこういった形で、中間的に検討して治験の継続を考えるという例 が出てくると思うのです。ですからそういう意味で、こういった話に関してはあらかじ めきちんと設定するなりして、それをきちんと評価していただきたいというふうに今は 思います。 ○長尾部会長代理 どうもありがとうございました。ほかにございますでしょうか。日 本で出たデータは欧米とはドーズ、その他が違いますが、既に世界的には非常にエスタ ブリッシュのようなデータですので、日本のデータが少しclear-cutでなかったという ことはありますが、その範囲でこの条件だったらということでよろしいでしょうか。あ りがとうございました。それでは承認を可といたしまして、薬事分科会に報告させてい ただきます。 ○審査管理課長 ありがとうございました。永井部会長がお戻りになるまでお待ちくだ さい。 ── 永井部会長入室 ── ○永井部会長 それでは議題2について機構から審査の概要の説明をお願いいたしま す。 ○機構 それでは議題2、資料2、医薬品サンシクロ点眼液ミニ0.1%の製造承認の可 否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分であるシクロスポリンは、T細胞由来サイトカインの産生を抑制する ことにより免疫抑制作用を示すことが知られており、経口剤及び注射剤は既に移植領域 での拒絶反応の抑制、ベーチェット病、乾癬等に対して承認されております。  今般申請された本剤の効能・効果である春季カタルは若年の男子に好発し、眼瞼結膜 に敷石状に乳頭隆起が現れる、重篤かつ難治性のアレルギー性結膜疾患であり、申請者 は、その春季カタルの特徴である眼瞼結膜巨大乳頭形成にT細胞由来のサイトカインが 重要な役割を担っていると考えられていることに着目し、室温で安定な水性点眼液の開 発を行い、春季カタルを効能効果とする承認申請がなされました。  本剤の同一処方及び同一疾患に対して国内外において開発は行われておりませんが、 米国及び中南米5か国でシクロスポリン油性懸濁性点眼液0.05%がドライアイ治療薬 として承認されております。なお、本邦において本剤は抗アレルギー剤が効果不十分な 場合の春季カタルに対して希少疾病用医薬品として指定されております。  本申請の専門委員としては、資料10に記載されております越前委員、久保田委員、河 野委員、齊藤委員、竹内委員、田中委員、谷本委員、奈良間委員、西間委員の計9名の 委員を指名いたしました。  審査内容について簡単に御説明いたします。  品質、毒性、薬理、薬物動態について、特段の問題はないと判断しており、また全身 暴露の観点から、既承認の経口投与及び静脈内投与等のリスクを上回るものではないと 考えております。  臨床成績について御説明いたします。春季カタル患者を対象とした2試験が国内で実 施され、春季カタル患者38例を対象とした前期II相試験で主要評価項目である全般改善 度において0.01%と0.1%の間には差が認められておりませんが、副次評価項目である 他覚所見合計スコアで2週目より、春季カタルに特有の所見である眼瞼結膜乳頭所見ス コアで4週目より0.1%群で有意な低下が認められていることから、0.1%が臨床推奨用 量とされました。また、抗アレルギー点眼液が効果不十分な春季カタル患者54例を対象 とした第II/III相試験にて、主要評価項目である眼瞼結膜乳頭所見スコアにおいて0.1% 群のプラセボ群に対する有意差が認められ、さらに春季カタルの特徴である眼瞼結膜巨 大乳頭所見に対する乳頭平たん化が0.1%群で52.6%、プラセボ群で21.1%であり、0.1 %群がプラセボ群を上回る効果が示されたことから、0.1%の有効性は確認されたと判断 いたしました。  安全性については眼刺激等、眼局所を中心としたものが発現しておりますが、本剤の 薬理作用に起因する眼局所の感染症等の可能性が十分考えられるため、添付文書内で注 意喚起し、製造販売後に十分検討するよう求めております。  また春季カタルは希少疾病であり、臨床試験において検討された症例数も少ないこと、 本剤が免疫抑制剤であること、また小児に繰り返し使用される可能性があることから、 本剤の安全性及び有効性に関する調査結果を早期に収集する必要があると考え、市販後 は一定数の症例が集積されるまでは眼局所の有害事象を確認するため眼科医に限定し、 全例調査の実施が必要と判断しております。  以上のような審査を踏まえ、本剤については市販後の全例調査を実施することを承認 条件とし、抗アレルギー剤で効果不十分と考えられる春季カタル患者に対する本剤の適 応を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と 判断いたしました。本剤は劇薬に該当し、新投与経路医薬品で本適応が希少疾病である ことから再審査期間は10年、生物製剤及び特定生物製剤のいずれにも該当せず、薬事分 科会には報告を予定しております。  なお、本日配付させていただきました資料2-2の添付文書案ですが、本剤の販売名に ついては、医療従事者に誤解が生じる可能性が否定できないため、サンシクロ点眼液ミ ニ0.1%からパピロックミニ点眼液0.1%に変更することとしております。また、その他 承認条件の追記等若干の記載整備をさせていただいております。御審議のほどよろしく お願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは委員の先生方から御意見、御討論を お願いいたします。いかがでしょうか。 ○田島委員 ちょっと聞き逃したのですが、本剤は欧米では油性の懸濁液として何に…。 ○機構 ドライアイの治療薬として使っております。 ○田島委員 そうですか。それから、やはり本剤の春季カタルに関しての適応は日本で 独自というふうに考えてよろしいですか。 ○機構 シクロスポリンではそうです。 ○田島委員 ありがとうございました。 ○永井部会長 谷川原先生、どうぞ。 ○谷川原委員 シクロスポリンの点眼薬というのは今市場にありませんので、現在院内 製剤で作って使っているという現状ですから、こういうものが薬剤として市販されるの は医療現場にとって有り難いと思うのですけれども、現在院内製剤で多くの場合が角膜 移植後の拒絶反応抑制等に使われているのですが、この薬剤はまた適応が違いますよね。 ですからこの審査報告書もちょっと読ませていただいたのですけれども、申請者の方は 角膜移植には開発する必要がないというような意見であったのですが、実際に全くそう いう臨床試験はされなかったのか、それとも今後もまた適応拡大で考えておられるのか。 もしこれが市販された場合に適応外の使用というもの、今海外ではもう一つドライアイ というものもありますし、そういった辺りの安全性をどのように担保したらいいかとい うことに関して、厚生労働省の方でどのようにお考えなのかを教えていただきたいので すけれども。 ○永井部会長 いかがでしょうか。 ○機構 それでは事務局の方からお答えさせていただきます。角膜移植の方なのですけ れども、治験は行われておりません。それで今回の春季カタル適正使用徹底についてな のですが、まず全例調査を行って、使用患者に関しては全例登録ということを考えてお ります。申請者との話し合いでは現在1,500例で、解析対象としては1,000例を考えて いまして約1年間行う予定です。そこに関して、今先生からの御意見がありました適応 外については行わないように徹底して指導していくつもりです。今のところの使用に関 して申請者の方では春季カタルのみを考えているところでございます。 ○審査管理課長 私の方も少し勉強しないと分からない部分があるかと思うのですけれ ども、いわゆる免疫抑制剤としての点眼薬は今のところ欧米にもないようでございます ので、そういう意味では欧米で角膜移植をやった場合にどういう免疫抑制剤を使ってい るのかということも調べてみる必要があるかと思います。そこは少しやや広めの宿題と いうことで検討させていただければと思いますが。 ○谷川原委員 恐らく大学病院等で院内製剤で作っているのはもともと移植の使用で使 われていたと思いますので、また全例調査の入る場合は当然適応外はまず入ってこない と思いますけれども、それ以降の使用の実態調査、例えば再審査までの間にどういう使 用実態があるかというのを調査する方法は何かありませんでしょうか。 ○機構 機構の方からお答えさせていただきます。まずこの製剤はまだ治験等の人数も 少ないので、安全性等を確認し、また申請者には先生のそのようなコメントを伝えて開 発の方を検討させていただきたいと思います。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。岩崎委員、どうぞ。 ○岩崎委員 ちょっと教えてほしいのですけれども、これは春季カタルという名前のと おり春先に出る病気だというふうに理解しているのですが、臨床試験の症例は大体いつ ごろエントリーされたのが多いかという情報はありますでしょうか。 ○機構 通年においてエントリーはされているのですけれども、昔は名前のとおり春先 に重症化するということで春季カタルという名前が付いているのですが、最近はハウス ダストが原因の症例が非常に多くて、1年じゅう暴露されるとこのような症状になると いうことで申請者の方は言っています。季節性の方の検討もしたのですけれども、特に 春だけ重症化するというものはなく、また治りづらいということもありませんでした。 ○岩崎委員 ありがとうございました。もう一つはやはり子供に多いですよね。ですか ら7歳というふうに書いてあるのですけれども、これが市販されたときに一体どの程度 まで使われる可能性があるのかなど、その辺はどうなのですか。 ○機構 機構の方からお答えさせていただきます。小児に関して7歳以下の患者さんの 投与は否定できないとは考えているのですけれども、ちょっとこちらの方の写真を見て いただければと思います。また見づらい場合はお手元の資料の後ろの方なのですけれど も、2-7-6の99ページに写真が載っていまして、かなり重症化されているものなのです が、小児に関しては繰り返し行って…。 ○審査管理課長 一番後ろのところで2-7-6の99ページです。 ○機構 小さいうちはこれほど重症化しないのですけれども、10歳以上で繰り返しなっ ているとこういう巨大乳頭が重症化していくということなので、申請者の方は10歳以上 の方をターゲットにしているのですが、7歳以下の使用もやはり否定できないと考えて おります。また市販後においても小児にどのような使用実態なのかを調査し、また検討 させていただきます。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。谷川原委員、どうぞ。 ○谷川原委員 名称を変更された理由を何か誤解を生じさせるとおっしゃったのですけ れども、もともとの名前のどこに問題があったのでしょうか。 ○機構 本剤の販売名については一般名称の一部であるシクロが入っており、またシク ロフォスファミド、アシクロビルなど一般名称にシクロが入っているものがありまして、 医療従事者に誤解が生じる可能性が否定できないため、サンシクロ点眼液ミニからパビ ロックミニに変更しております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員 今のことの続きなのですが、その場合類似性のチェックはやられています でしょうか。 ○機構 申し上げるのが足りなくてすみません。JAPIC及び当機構の安全部において確 認しております。 ○土屋委員 実は次の議題とも全く同じなのですが、去る7月27日に医薬品・医療機器 等対策部会が開催されまして、そのときに実は今後頭が3文字同じものは避けるという ことがそこで部会として承認されたのです。今急にここで言われたのでチェックしてみ ましたけれども、恐らくパピロールというのが昔あって、今は発売されていないのでそ れは大丈夫なのかなという気はいたしますが、今回その辺の扱いというものがどうなる のかと。実は次のものはそれがもろに当たって、その7月27日の議事録上ではこれはい つからどういう扱いになるのでしょうかという日薬連からの質問について、本日この部 会で了承いただけたのであればここで早々に日薬連に配付したいというようなことを当 局はお答えになっているので、7月27日の部会との兼ね合いなどからいったときにどう いう解釈になるのかと。頭が3文字同じものは新薬としてもう今後認めないというルー ルがいつからスタートするのかなどは現実としては分からないものですから、今ちょっ と調べましたところ、パピロールというのはあるけれども、今回のものは今発売されて いる名前にはもうないようですので、これには直接大丈夫かもしれませんが。 ○永井部会長 何かコメントありますか。よろしいですか。 ○安全対策課長 医薬品・医療機器等対策部会ですけれども、あのときに決まりました ことについては近々日薬連の方に通知するという予定をしております。それから9月1 日に医療安全に関する説明会がありますので、その中で今回の名称類似の見方について の説明をするという予定をしております。 ○土屋委員 そうするとその間というのはメーカーは知らないというか…、公開でやっ ていますから知っていることになるのかもしれませんけれども。 ○安全対策課長 基本的にはこういうふうに何か基準が変わるというときには猶予期間 的なものも必要になると思います。ただ名称というのはこれからずっと付いて回るもの ですから、そうしますとこの辺りはメーカーの方と御相談になると思いますが、今の時 点でそういう不安材料をなくしてしまうのか、それともいったん承認を受けて、それか ら名前が流布した後でかなり努力してまた名前を変えるのか、どちらの方が大変かとい うことで御説得をするしかないなというふうには思っております。幸いにしてまだ承認 する、しないの段階でございますので、少なくとも新薬についてはこの後部会があって、 さらに薬価収載がありまして3か月ぐらい猶予があるわけですから、その辺りを十分説 明して、メーカーの方とは合理的に説得をしていくことになるだろうと思っております。 ただ今は過渡期ですので、前回はよかったのですけれども、今回の基準では引っ掛かる というものについては具体的にどういうものが対応するのか、名前が類似するのかとい うことも考えて、担当のところで御相談しながら進めるというふうになるかと思います。 ○土屋委員 分かりました。飽くまで先ほどの名前を変えるというのは先方から一方的 に言ってきたとか、何か機構の方で指導されたとかそういう…。 ○機構 サンシクロの方はこちらで指導して変更させております。 ○土屋委員 分かりました。それからもう一点よろしいでしょうか。今度このパピロッ クミニという名前になると、今日出ているラベルもちょっとまた変わるのかなという気 がするのです。今度は逆にヒアレインミニとか、恐らく色を変えているから大丈夫とい うことがあるのかもしれませんけれども、最近ポリ容器のものがいろいろ出てきたので すが、これこそ内服、外用、注射がすべてあって、しかも外観がほとんど一致していま す。これですと0.4CCで恐らくほとんど一致で、それぞれで色を変えているという話か もしれませんが、なおかつ点眼液ミニというので使ったから2行でよかったのですけれ ども、何とかミニと1行でそれを入れるとするとまた少しデザインが変わるのかなと思 うのです。是非そこのところは外観類似といいますか、基本的には外観が恐らく一致し ているので、表示について十分注意してくださいということをお願いしたいなという気 がいたします。 ○機構 了解しました。 ○永井部会長 田島委員、どうぞ。 ○田島委員 この添付文書の一番上に「春季カタル治療剤(免疫抑制点眼剤)」というふ うにわざわざその本体を明確にしているように書いてあるのですが、この括弧の中のも のをどうしても付けなくてはならないのかなという気があるのです。と申しますのは、 うっかりしますと先ほど谷川原委員がおっしゃったように、ともすれば適応外に使って しまうような意味もないわけではないと。わざわざこれをここに付ける必要があるのか なという気はするのですが、その辺についてはいかがでございましょうか。 ○審査管理課長 これにつきましてはちょっと機構側とも相談しまして、最終的な添付 文書が完成するまでの間に指導して、削除する方向にさせていただきたいと思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。もし御質問等がございませんでしたら承認可とい うことで薬事分科会に報告させていただきます。それでは次にまいります。議題3につ きまして機構から審査概要の御説明をお願いいたします。 ── 村勢委員退室 ── ○機構 それでは議題3、資料3、医薬品グリセット錠25mg、同錠50mg及び同錠75mg の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否等について御説明 申し上げたいと思います。  本申請は、食後の過血糖の改善により糖尿病を治療する目的とした新有効成分含有医 薬品の申請でございます。  グリセットの使用成分であるミグリトールは、ドイツ バイエル社で発見されたグルコ ース類縁構造を有するα-グルコシダーゼ阻害剤いわゆるα-GIでありまして、小腸粘 膜上皮細胞の刷子縁膜に存在する二糖類水解酵素を阻害し、食物中の糖質の消化吸収を 遅らせることにより、内因性インスリン分泌を介さずに、食後の高血糖を低下させる薬 剤でございます。  類薬といたましては、アカルボース及びボグリボースが既に承認されておりますので、 本邦で三つ目のα-GI製剤ということになります。  アカルボースの開発当時、非臨床試験、また臨床試験において、アカルボースは用量 依存的に糖の吸収不良を引き起こし、それに伴う軟便あるいは下痢などの消化器症状が 認められたことから、消化器症状が少ないα-GIの探索が行われたものです。アカルボ ースと同等以上のα-グルコシダーゼに対する阻害作用を持ち、ラットでの薬理試験にお いては消化器症状は見られなかったために、アカルボースのバックアップ化合物として 本薬の開発が進められてきました。  本薬は1996年にオランダ、米国で承認されたことを始め、今年の6月15日現在、欧 州19か国、北米2か国等合計29か国で承認されております。実際には米国、オースト リア、ドイツ、フランス、スイス、スペイン、メキシコの7か国でしか販売されており ません。  国内での臨床試験については、後期第II相試験までをバイエル薬品株式会社が実施し、 第III相試験から申請者が開発を承継しております。  本品目の専門協議においては、本日の配付資料10に示しております奥田委員、仙波委 員、中江委員、林眞委員、百瀬委員、林正弘委員、岩崎委員、荒木委員、西村委員、西 川委員の計10名の先生方を御指名させていただいております。  審査概要でございますが、グリセットにおいて規格及び試験方法、毒性、薬理、吸収、 分布、代謝、排泄に関して提出された資料については妥当と判断いたしましたので、臨 床試験成績について述べさせていただきたいと思います。  評価資料といたしましては単独療法について第I相試験が3試験、第II相試験が2試 験、第III相試験が1試験、SU剤併用試験としまして1試験、SU剤併用長期投与試験 が更に1試験提出されてございます。  まず有効性に関してですが、日本人の2型糖尿病患者445名を対象として本薬50mg を1日3回12週間経口投与する無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施され、主要評 価項目である治療期12週後HbA1C低下量及び、1時間値及び2時間値の食後血糖低下量 平均値において、ボグリボース0.2mgに対する非劣性が検証されております。  またSU剤との併用試験においては、SU剤治療中の2型糖尿病患者を対象としたプ ラセボ対照単盲検並行群間比較試験の結果、主要評価項目である最終評価時(治療期12 週後又は中止時)HbA1C低下量でプラセボ群に対して有意な低下が認められ、SU剤との 併用によっての有用性が確認されてございます。  安全性に関してですが、国内臨床試験において下痢の有害作用が対照薬であるボグリ ボースに比べて若干多く見られておりますけれども、消化器全体での頻度等はほぼ同等 でございまして、ボグリボースに比べてALTの増加症例が若干多いことを除けば、特 に問題となる有害事象は認められず、ボグリボースに対して安全性上ほぼ同等であろう と考えられてございます。  効能・効果につきましては、2型糖尿病患者に対して単独療法及びSU剤との併用療 法により有効性が認められていますことから、2型糖尿病の食後過血糖の改善、ただし 書きで単剤あるいはスルホニルウレア剤を使用している患者の併用に限って認めること が妥当だと考えました。  用法・用量につきましては、有効性においてボグリボース0.2mgに対して非劣性が検 証された50mgの1日3回投与を通常用量とすることが適当だと判断しております。また 個人差に対応するための上限用量といたしましては、後期第II相試験において50mgより も有効性が認められた75mgが消化器症状の発現率においてプラセボ群に対して多い傾 向を示しましたが、多くの患者さんにおいては継続投与が可能であり、投与を中止した 症例においては中止後数日で症状が消失していることから、忍容性を確認していけば増 量することで75mgを上限値として適宜用量調整が可能であろうと考え、「通常、成人に はミグリトールとして1回50mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、効果不十分 な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を75mgまで増量することができる」と。 これが妥当であると判断しました。  本薬についての注意すべき点でございますが、臨床試験及び海外の市販後自発報告に おいては認められておりませんが、類薬において重篤な肝障害が認められていること、 また本薬が類薬に比べて吸収性の薬剤であること、また国内臨床試験におきまして重篤 ではないもののALTが上昇する症例が類薬に比べて比較的多く見られていることか ら、肝機能について十分注意して使用することが妥当だと考えてございます。   最後に訂正でございますが、審査報告書(1)の18ページにラット出生前・出生後の発 生及び母体の機能に関する試験において、出生児(F1)の無毒性量が「300mg/kg」と書 いてありますが、これは「100mg/kg」への修正漏れでございますので、併せて御報告さ せていただきたいと思います。申し訳ありませんでした。なお、当該修正において審査 結果の変更はございません。  以上のとおり機構での審査の結果、2型糖尿病患者に対する食後過血糖の改善に関し まして有用性が認められ、承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議され ることが妥当だと判断いたしました。  なお、原薬及び製剤共に毒薬にも劇薬にも該当せず、特定生物由来製品にも生物由来 製品にも該当しないと判断いたしました。また、再審査期間は6年と判断しております。 薬事分科会には報告を予定してございます。  追加でございますが、先ほど委員から御指摘がありました名称のことについて若干追 加の御説明を差し上げたいと思います。本申請者につきましては既存のルール、平成12 年、16年の諸般の通知に基づいて、申請前に一回名称類似の検索を実施し、本年6月に も追加で実施しましたところ、既存のルールにおいては適合ということでございます。 先ほど御指摘がありましたけれども、今回7月27日のガイドラインでは頭3文字で見事 に一致するのは数品目ございますので、先ほどの御審議の結果を踏まえて申請者と相談 してまいりたいと存じます。以上です。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問、御意見等をお願いいたしま す。では私から、先ほどちょっとお聞きしましたけれども、アカルボース、ボグリボー スのときは非常に肝障害が多かったと。私は現場でずっと見ていたのですが、入院患者 さんで使っているとGOT、GPTが40、50〜70、80程度はかなり頻回に見られたので す。そのうちに劇症肝炎の症例も報告されるようになってきましたけれども、この薬剤 は従来のアカルボース、ボグリボースよりは肝障害が少ないという結果だったわけでし ょうか。 ○機構 御説明申し上げます。確かにこの品目α-GIに関係しまして、類薬で劇症肝炎 と重篤な副作用がかなり見られておりますけれども、本品目についても特にALTの上 昇等、肝機能検査値の動きについては中心的に監視してきました。国内臨床試験540症 例について特に変動が強かったこの80症例についても見てきたのでございますが、基本 的にはその上がり方は一過性のものでございまして、投与をやめれば速やかに戻ってく る。また、そのものについても劇症化している症例は1例もございませんでした。さら にアカルボースに関しましては発生率こそ国内外で違いますけれども、国内においても 海外においても劇症化した、あるいは重篤化した肝障害は見られておりますが、本品目 は既に29か国で承認され7か国で販売されており、そこの自発報告あるいは承認臨床試 験においては、一切そういう重篤化した肝障害が起きていないということが事実になっ ております。参考までに、FDAにおいても吸収特性があることから特に全身性の作用 が心配されているのですけれども、実際には肝機能障害については心配がないというこ とで、肝機能検査の義務も承認条件には付けないという形で承認していると聞いており ます。  以上のような状況でございますので、確かにまだ日本においては実際にALTの上昇 率が海外よりも若干多いということでございますので、注意はしていきたいと思います が、現時点の情報では重篤化したという情報はございません。 ○永井部会長 ありがとうございます。 ○田島委員 要するに、肝障害は同じような薬に対しては起きにくいという結論なので すか。それともそれは分からないということなのですか。どちらなのでしょう。 ○機構 現時点では起きていないという事実論がまずあって、今後の可能性については 完全には否定できませんが、今までの類推からすると、まだひどいことはないだろうと は考えております。現時点でのエビデンスでは何とも言えません。確認はされていませ ん。 ○田島委員 分かったような気がします。ありがとうございます。 ○機構 さらに追加ですが、市販後調査におきましてはその辺を中心にしていきたいと 考えております。 ○永井部会長 どうぞ。 ○安全対策課長 こういう劇症化するところまで行くにはかなりの条件がいろいろ重な った上でという話もありますので、今アカルボースやボグリボースを使用されている患 者さんから見れば報告されているということです。それに比べて本品はかなりマイナー と言ったらおかしいですけれども、まだ販売量がそこまでには達しておりませんので、 今の時点であるともないとも断定はできない段階だろうという判断だと思います。した がいまして、それなりに増えてくれば報告例が上がってくる可能性というのは今の段階 では否定されてはいない。我々の方としては、十分その可能性があるという前提の下に 監視していくことになるかと思います。 ○永井部会長 このぐらいは類薬における副作用として添付文書には割とはっきり書い てあるのですね。そのほかはいかがでしょうか。土屋先生、いかがでしょうか。 ○土屋委員 先ほど申し上げましたようにこれは直接適応の話になるかと思いますし、 むしろ一般名でいえばグリセという表現はグリセリンなどそういうもので、恐らく病院 のオーダー上で見ると、グリセとやるとかなりの数がヒットするということがあります ので、その辺の名称の変更についてはかなり強力に交渉していただきたいなという気が いたします。 ○審査管理課長 それにつきましては先ほど安全対策課長の方からお答えいたしました ように指導すると思いますので、それがタイムリーに行われれば承認の方も変わった名 前で承認ということは可能でございますので。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。もし御異議がなければこれも承認可として薬事分 科会に報告させていただきます。それでは議題4について事務局から御説明をお願いい たします。 ── 審議官退席 ── ○事務局 議題4、医薬品アマリール1mg錠及び同3mg錠の再審査期間延長の可否につ いて御説明いたします。  まず、再審査期間延長という制度について御説明させていただきます。お手元の資料 4の1枚目に諮問書が付いているかと思いますけれども、ここに「薬事法第14条の4第 2項の規定に基づき」ということが書かれてございます。薬事法第14条の4第2項には 「厚生労働大臣は新医薬品の再審査を適正に行うため特に必要があると認めるときは、 薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、調査期間を、その製造承認のあった日後十年を 超えない範囲内において延長することができる」という規定がございます。この薬事法 の規定を受けまして、平成12年12月に医薬安全局長名で「医薬品の市販後調査の基準 に関する省令の一部を改正する省令の施行及び医薬品の再審査に係る市販後調査の見直 しについて」という通知を発出しております。その通知の中で「小児の用量設定等のた めの臨床試験を計画する場合にあっては、再審査期間を一〇年を超えない範囲で一定期 間延長することとする」ということが示されておりまして、今回の再審査期間の延長の 可否と申しますのは、この通知を受けて提出されたものであるということでございます。  1枚おめくりいただけますでしょうか。品目の概要というページがございます。こち らに沿って簡単に御説明させていただきます。まず申請者はアベンティスファーマ株式 会社。対象となります品目はアマリール1mg錠及び3mg錠。有効成分名がグリメピリド。 効能・効果はインスリン非依存型糖尿病(ただし、食事療法・運動療法のみで十分な効果 が得られない場合に限る)。現在の用法・用量は「通常、成人にはグリメピリドとして1 mg(1錠)より開始し、1日1〜2回朝又は朝夕、食前又は食後に経口投与する。維持量 は通常1日1〜4mgで、必要に応じて適宜増減する。なお、1日最高投与量は6mgまで とする」。初回承認日、再審査期間はここに記載があるとおりでございまして、その下 の再審査延長案の根拠というところを御覧いただければと思いますけれども、「本剤は、 小児の用法・用量設定及び小児集団における有効性・安全性を把握する目的で、市販後 臨床試験(母集団薬物動態試験並びに有効性及び安全性に関する評価)を現在計画してい る」ということで申請がございました。この試験の所要期間等を勘案いたしますと、再 審査期間を当初より3年6か月間延長することが適当ではないかと考えておりまして、 そのことについて今般諮問させていただくものでございます。御審議のほどよろしくお 願いいたします。 ── 説明中、村勢委員入室 ── ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問、御意見をお願いいたします。 小児における適正使用のためということですが、よろしいでしょうか。余り御議論がな ければこれは承認の方向ということで…。村勢先生、どうぞ。 ○村勢委員 成人では非常にポピュラーに使っているお薬なのですけれども、小児の場 合いろいろな状況が分かりませんので、一つには小児の場合の薬物療法の適応の対象者 ですけれども、治験参加の見込みがうんぬんと書いてあります。これは社内調査の資料 のようですけれども、このぐらいの標本数というか、対象数というのが妥当なのかどう かちょっと私もよく分からないのですが、多いような少ないような、その辺がなかなか 分からないのです。今まで経口血糖糖尿病薬は小児ではどのぐらい使われていたのかと いうようなことも含めて、お教えいただければというふうに思います。 ○永井部会長 いかがでしょうか。 ○審査管理課長 恐らく広い意味での適応外での使用ということになるかと思います が、その辺についての正確な統計的な数字というのは…。 ○事務局 詳細な調査報告はないのですけれども、薬物治療を既に受けている小児II型 糖尿病患者の登録数が約1,000人と報告されていて、その患者群でアマリール錠が使用 されている症例が治験に参加した場合、2.5年間で12〜13例の参加ということで、これ から30例ということを算出しまして、それを根拠として会社がこちらに申請し、これを 了承したものでございます。 ○村勢委員 そうすると一般的な統計はないのかと思いますけれども、こうした社内資 料に基づく対象の予測の数はかなり妥当だというふうに判断なさっているわけですか ら、そうなのでしょうね。 ○事務局 そうでございます。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はございますか。もしよろしければ 再審査期間延長を可ということで分科会報告といたします。よろしいでしょうか。どう もありがとうございました。それでは報告事項に移らせていただきます。事務局から御 説明をお願いいたします。 ○機構 まずは議題1について御報告いたします。資料5の頭紙を御覧ください。本剤 はラミブジンを有効成分とする抗ウイルス薬であり、6のところにありますが、現在本 剤単独投与の場合のB型慢性肝炎におけるB型肝炎ウイルスの増殖を伴う肝機能の異常 が確認されたB型慢性肝炎におけるウイルスマーカー、肝機能及び肝組織像の改善とア デホビルピボキシルとの併用の場合のB型肝炎ウイルスの持続的な再増殖を伴う肝機能 の異常が確認された、B型慢性肝炎及びB型肝硬変におけるウイルスマーカー及び肝機 能の改善の効能・効果で承認されております。  今般、グラクソ・スミスクライン株式会社から、本剤単独投与の場合のB型肝硬変に おけるB型肝炎ウイルスの増殖を伴う肝機能の異常が確認されたB型肝硬変におけるウ イルスマーカーの改善の効能・効果の追加のための輸入承認事項一部変更承認申請がな されたものでございます。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えない と判断したものでございます。  また本剤は優先審査によって審査が進められました。再審査期間につきましては、本 剤のB型慢性肝炎における本剤単独投与による再審査期間の残余期間であります平成 18年9月21日までを考えているものでございます。  続きまして議題2、医療用医薬品の再審査結果について御報告申し上げます。資料は 資料6-1のスプレキュアと資料6-2の塩酸ピルメノール、ピメノールカプセル50mg、同 100mgの二つの医薬品再審査確認等結果通知書になります。  これらの品目につきましては、市販後の使用成績調査等の成績に基づきまして再審査 申請が行われ、審査の結果いずれの品目につきましても薬事法に規定されております第 14条第2項各号(承認拒否事由)のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用 法・用量等の承認事項については変更の必要はないというカテゴリー1と判定したもの であります。 ○機構 引き続きまして資料7-1、7-2、7-3、優先対面助言品目の指定について御報告 いたします。優先対面助言品目指定制度というのは、薬事法で医療上特に必要性が高い と認められ、そういうことが期待される医薬品に対して、開発中の対面助言を優先的に 行うという制度であります。  資料7-1ですけれども、塩酸ベプリジルという錠剤であります。日本オルガノン株式 会社が既に承認を取得しておりますベプリコール錠というものですが、今回いわゆる医 師主導の治験という仕組みの下で、慶應義塾大学の小川聡先生が心房細動に対する本剤 の適応追加の可能性を確かめる臨床試験というものを計画しております。血栓塞栓症の リスクの増加等を含めた心房細動という疾患の性格、それから既存薬としてはアミオダ ロン(アンカロン錠)というものが存在するのですけれども、間質性肺炎等の副作用の問 題で若干使い方が難しいというような話があります。また不整脈治療ガイドラインに、 過去の使用経験等から本剤の有効性に関して既に一定のコンセンサスがあるというよう なことを考慮しまして、今般の開発申請について優先的に対面助言を行う品目としてよ いのではないかという判断に至っております。  それから資料7-2、7-3はどちらも静脈血栓塞栓症の予防を開発対象とした、ヘパリン の活性部位をターゲットとする注射剤であります。資料7-2がグラクソ・スミスクライ ン株式会社のフォンダパリヌクスナトリウムという化学合成品であります。資料7-3の 方がアベンティスファーマ株式会社のエノキサパリンナトリウムでして、動物由来の低 分子量ヘパリンであります。海外ではエノキサパリンの方が先に開発、承認されており まして、ガイドライン等で標準薬という位置付けであります。フォンダパリヌクスは 2000年に入ってから欧米で承認された新しい薬剤であります。これまで海外で実施され た数多くの臨床試験結果から見て、術後の深部静脈血栓症の発生率で見た有効性、それ から使用に際して血中濃度のコントロール等が比較的しやすいというようなことから、 今後ヘパリンに置き換わる有用な薬剤となる可能性があることが期待されるため、これ らの薬剤を優先対面助言品目として指定いたしました。以上であります。 ○永井部会長 ありがとうございました。 ○事務局 それでは引き続きまして資料8でございます。優先審査品目指定の審査結果 につきまして御報告させていただきます。優先審査の取扱いでございますけれども、資 料の2ページに制度の概略を記載してございますが、指定に当たりましては適応疾病の 重篤性と、その薬の医療上の有用性を総合的に評価いたしまして判断するということに なっております。  今般御報告いたしますのが、1ページのサーティカン錠というものでございます。成 分名がエベロリムスでございます。免疫抑制剤でございまして、申請効能が心移植にお ける拒絶反応の抑制ということでございます。厚生労働省といたしましては機構の方で の検討結果を踏まえまして、心臓移植におきます拒絶反応の抑制に用いられるというこ とで、疾病の重篤性、それから本剤は外国で、特に欧州の方でもう承認されていまして、 外国での臨床試験の成績から、特にCAVという移植心の冠動脈病変の抑制に対する有 効性が期待されるということなどにより、本剤の医療上の有用性は認められると判断い たしまして、今般優先審査の品目に指定させていただいたということでございます。以 上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございます。ちょっと数が多いのですけれども、幾つかまと めて議論したいと思いますが、いかがでしょうか。御質問等はございませんでしょうか。 最後のエベロリムスは外国では相当使用実績がある免疫抑制剤なのでしょうか。 ○事務局 いろいろ組み合わせで使うわけですけれども、欧州の方では既に承認されて 標準的に使われるという状況でございます。 ○永井部会長 御意見、御質問はございませんでしょうか。それではこれらの件につき ましては御確認いただいたということで進めさせていただきます。本日の議題は以上で ございますが、事務局から何か連絡等はございますでしょうか。 ○事務局 それでは次回の予定だけ御紹介申し上げます。既に先生方に御連絡を申し上 げておりますけれども、次回の医薬品第一部会は10月13日木曜日の午後2時から開催 させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○永井部会長 それでは本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうござ いました。   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734)      - 1 -