05/08/24 第19回社会保障審議会医療保険部会議事録                     平成17年8月24日(水)15:00〜16:45                     於:霞が関東京會舘ゴールドスタールーム           社会保障審議会医療保険部会 第19回議事録  星野部会長  定刻になりましたので、これより第19回医療保険部会を開催いたします。  委員の皆様には、本日は御多忙の折、お集まりいただき、御礼を申し上げます。  まず、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、磯部委員、岩本委 員、清家委員、西村委員より欠席の連絡をいただいております。また、山本委員は若干 遅れて参るということでございます。  それでは、本題に移りたいと存じます。本日は、前回に引き続き議論の整理を行いた いと思います。前回、各委員からいただいた御意見を踏まえ、事務局において資料の修 正を行っていますので、事務局から説明願います。  間杉総務課長  総務課長でございます。よろしくお願いいたします。  資料の1−1として、赤の見え消しの形で用意をいたしております。前回、御議論い ただきました点、それから昨日まで色々と御意見を頂戴をいたしましたので、私どもで 相談をしてまとめさせていただいたものでございます。  まず頭書きでございますが、この文書の位置づけ、これまでの意見を中間的に整理し たものだという位置づけを明確にしたものでございます。  基本的な考え方のところでは、経済・財政とも均衡が取れたという点。  二つ目の○で、保険者の自立性・自主性を尊重した上で給付の平等、負担の公平化を 図り一元化を目指すということで、これは閣議決定どおりの文言を書いたらどうかとい う御指摘をいただいたものでございます。  それから、保険者としての機能の発揮という点も書くべきだという御意見がございま した。  2ページは、中程上は文言上の字句の整理でございます。  2番目、保険者の再編・統合ということでございます。  中程は、「医療保険制度への一本化を実現すべきという意見もあった」という後に、 「一本化は保険者機能を弱体化し、制度の非効率を招くとして反対する意見もあった」 ということで、明確化して欲しいという要請もございました。  1番目の国民健康保険でございますが、前回、既存の広域連合では十分ではなく、新 たな工夫が必要ではないかという御指摘を頂戴しております。  3ページは、上から三つ目に、国保と被用者保険との間の調整問題についての記述を いたしましたが、前段、文章の整理をいたしております。また、併せまして「調整措置 を実施すべきとの意見がある一方、保険者の自立性・自主性を損なうような財政調整に は反対との意見もあり、引き続き検討が必要である」という形にいたしております。  下の○は、「非正規職員への健康保険の適用について、年金制度における議論も踏ま えながら検討すべき」との意見があったということでございます。  国保組合についても、ここで議論があったことを正確に記述すべきであるという御意 見がございまして、「所得実態等、その現状を明らかにした上で国庫助成の在り方につ いて見直すべきであるとの意見があった」という形にいたしております。  2の政管健保でございますが、「国庫負担は少なくとも現状を維持すべきである」と いう意見がございました。  4ページの健保組合、これは字句の正確性を期したものでございます。  3番目の新たな高齢者医療制度の創設のところで、二つ目の○「老健制度、退職者医 療制度は廃止し」ということ、廃止の意味合いを明確化すべきだということで文言をつ け加えております。  2番目の後期高齢者医療制度でございますが、「リスクの高い高齢者のみによる独立 保険制度ではなく、被用者保険の加入期間が長期に渡る退職者を被用者保険全体で支え る新たな制度を創設すべき」という意見でございます。  5ページが被保険者でございました。ここも、75歳以上、65歳以上、両方の意見がご ざいまして、文章を整理して「引き続き、検討が必要である」ということにいたしてお ります。  先程の突き抜け方式に関連をしまして、「なお、被保険者を年齢で区切るべきではな い」という意見がございました。  高齢者の保険料と若人からの支援の二つ目の○は、御意見がございました字句の整理 をしたものでございます。  四つ目の○、若人からの支援、「現役世代に過重な負担を求めるべきではない」とい う意見がございました。  被保険者について、「一定規模の広域的な地域を対象とした行政から独立した公法人 」と字句の整理をいたしております。  6ページ、ここはいずれも前期高齢者医療制度に関連をしまして、「独立保険」とし ておりましたのを字句の正確性を期したものでございます。  7ページの医療費の適正化でございますが、柱立てとして、骨太に定められましたと おり、「年内に医療費適正化を実質的な成果を目指す政策目標を設定することとされて おり、引き続き議論が必要である」ということで、位置づけを明確にせよという意見が ございました。  「中長期の医療費適正化を目指す方策」の中で、生活習慣病対策等々でございます が、「医療と介護との連携」という点、それから「平均在院日数を短縮する」という点 を明確にすべきだという意見がございました。  終末期医療につきましても、前回、前々回と御議論をいただきましたが、「個人の尊 厳や患者の意思の尊重といった観点も含め、幅広く議論をする必要がある」という御意 見だったと思います。  8ページ、「保険給付の内容及び範囲の在り方の見直し」、(3)の出産育児一時金 をめぐりまして、関連をして「出産は健康診査も含めて保険適用すべき」という意見が ございました。一方で「保険給付の重点化の要請」あるいは「保険原則を勘案すれば、 出産や健康診査について保険適用する必要性が乏しい」という御意見があったというこ とでございます。  (4)は、出産手当金、埋葬料をまとめておったものでございますが、まず区分すべ きだという意見がございました。  その上で、傷手でございますが、「諸外国の休業時の所得保障の在り方も踏まえて検 討すべき」という御意見だったと思います。  9ページは、出産手当金について、ILO条約の水準に引き上げるべきだという御意 見も前回あったと思います。  大きな3番目、ITの推進について、これまでは「その他」ということで埋もれてお りましたが、特出しすべきだという意見がございました。「医療機関、保険者双方のコ ストを削減するとともに、疾病動向や医療費の分析を適時的確に行い、保険者としての 機能を発揮しやすくするため、レセプトの電子化等を進めるべきであるとの意見があっ た」ということでございます。  「その他」ということで、領収書の発行の促進、多剤投薬の是正等についても引き続 き検討すべきであるとの意見がございました。  10ページは、前回はございませんでしたが、同じく次回の制度改革の一環として診療 報酬体系の見直しがございます。ここにございます「診療報酬改定に係る基本的な医療 政策の審議は、社会保障審議会の医療保険部会及び医療部会に委ねるという有識者会議 の報告を踏まえ、診療報酬体系に関し、医療技術の適正な評価、医療機関のコストや機 能等を適切に反映した総合的な評価、患者の視点の重視」、これは閣議決定で触れられ ている点でございますが、「等の基本的な考え方に立って、国民にわかりやすい体系と することについて、当部会においても議論を深める必要がある」ということでございま す。  この点は、本日後段の議論でもお願いをしたいと考えております。  最後の今後の進め方でございますが、これも関連をいたしまして、前回、医療制度改 革に関係する各種審議会、医療提供体制の関係でございますとか介護、健康づくりの関 係等の審議動向を踏まえた一体的な改革の検討が極めて重要であり、そのような機会を 設けるべきである、という御意見ではなかったかと思います。  以上、事務局からでございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは、御意見、御質問等をお願いいたします。 どなたからでも結構です。  河内山委員  高齢者医療保険制度の保険者につきまして、只今、総務課長が説明をされましたとお り、もう議論がこの部会では行われているわけでございますが、1点だけ申し上げたい と思います。  8月19日の日本経済新聞の朝刊におきまして、「厚生労働省は後期高齢者が加入する 新医療保険について、運営主体、保険者は市町村やその広域連合とする方針を固めた」 という報道がなされました。しかし、兼ねてより申し上げておりますとおり、国保と介 護保険を保険者として極めて厳しい財政運営を強いられております市町村におきまし て、高齢者医療制度の保険者を担うことは到底困難であるということをずっと申し上げ て参りました。こういう報道がなされましたことは、誠に残念に思っています。  つけ加えまして、昨日、開催をしました全国市長会の医療保険制度改革検討小委員会 におきまして、出席をした市長さん方からも、この危機に瀕しております国保の改革を することが先決であるという意見が述べられたところでございます。今回の議論の整理 とは別の話でございますが、そういうことを申し上げておきたいと思います。  以上でございます。  星野部会長  特に答弁はいりますか。事務方、何かありますか。  間杉総務課長  今、御指摘のありました記事、それから、昨今、様々な記事で方針を固めたといった 記事が多いわけでございますが、私どもも率直に申し上げまして、今の時点で何かを固 めたという事実はまだ全くございません。私どもも部内も調べてみましたが、こういっ たマスコミからの取材があったという事実も今のところ見つかっておりませんし、ま た、私どもがそういったことをことさらに申し上げたということもないわけでございま す。ただ、今、御指摘いただいたような御懸念をいただいたことに関しましては、御不 審を与えたことについては誠に申しわけないと思っております。  ただ、私どもも今、部内で様々な方向性を睨みながら色々な検討はしております。そ れはあくまでもこの秋に私どもの試案という形で当部会にお諮りをしたいと考えておる ところでございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  星野部会長  蛇足ですが、あの記事は私も読みましたが、解説のところを見ると「固めた模様」と いう表現に近いことが書いてありましたので、今、事務局が答弁したようなことと平仄 は合うのかなと思っております。しかし、以後、事務局も極力、それは大事なことです からお守りいただきたいと思います。  浅野委員  この議論の整理とは関係ないと思うのですが、今の河内山委員の心配みたいなものと 似たようなことで申し上げたい。多分答弁者はいないのですが、生活保護の問題です。  生活保護について、実は変なところからの議論になっているわけです。いわゆる三位 一体改革で税源の移譲、補助金の廃止という議論があって、今はまだ3兆円の税源移譲 するというのが2兆4000億しかいっていません。それで、足りない分を今、我々地方側 から、こういうものの廃止ということでまたリストを出しているのですが、それも多分 嫌だとか何とかという議論が出てくる。そこで、実は生活保護というのが昨年からです が出たり入ったりしているわけです。生活保護の国庫負担率3/4というのを引き下げ ることによって何千億か出す。そして、他の補助金の廃止を政府全体として免れるとい う、私どもからすると陰謀のようなことがが行われている。  それはそれで問題なのですが、うわさ話をここで議論してはいけないのですが、うわ さでは生活保護のうちの医療扶助を国民健康保険に入れたらどうだという可能性が、議 論する段階までいっていないのかもしれませんが、そういう話もある。当然、北郷委員 はクッと首を上げるような大変な議論でございます。河内山委員もそうだと思いますけ れども。  今、何でこんなことを言うかというと、昨年の私にとっての痛恨事がありまして、こ こで全く議論していない国保の財政調整交付金が都道府県分ということでポンと出され たわけです。あんなことしてもらっては困るとしても、終わってしまって、後の祭りだ ったんですね。そんなことでまた後の祭りにはしたくないので、今、そういう議論とは いいませんが、そんな話があるとすれば、生活保護の医療扶助を国民健康保険にもって いくのはとんでもないと北郷委員からも言っていただきたいのです。こういったことが 去年の状況からするととんでもなくポンと出てくる可能性がゼロではないということ を、去年の状況を思い出す私としては、残念ながら今、いわざるを得ないのです。  そして、生活保護の問題でもあるし国民健康保険の問題でもありますということにな ると、そういう本質的な議論を、三位一体改革の税源移譲の額が合わないからというよ うなどさくさのときにやるというのは、大げさに言えば国を誤るということをつい言わ ざるを得ないのですが、答弁責任者はいないと思います。いませんよね。ですから、こ こでも全く議論していません。ということを確認しつつ、そんなことのないようにと、 だれに向かってかわかりませんが釘を刺しておきたいと思います。  星野部会長  今の発言は、議事録にはちゃんと書くわけでしょう。他にございませんか。  久保田委員  幾つか御意見を申し上げたいと思います。  第1点は、まとめの標題といいますか、議論の整理ということの位置づけの問題で す。しつこいようですが、前回でも議論させてもらったと思っています。私どもの認識 は、議論の整理というのは、連合としては今回の整理はこれまでの2年間のまとめとい うことで部会として確認をすべきではないか。そういう意味からすると、議論の整理で はなくて中間まとめという位置づけがふさわしいのではないかということを申し上げて きたつもりでございます。  これは、前回、私は欠席しましたので代理だったのですが、議事録等々あるいは報告 を聞いていましたところ、前回の部会でも間杉課長からは中間まとめ的な位置づけで確 認をしていくという趣旨で答弁されたと認識をしています。  言いたいことは、要は単なるこれまでの各部会における各委員からの意見、それを並 列的に出し議事録的にといったら余りにも軽すぎますが、そういう形でまとめておい て、しかしそれはそれとしておいて、いきなり厚生労働省試案が出るというようなこと はまずいのではないかということです。全体の方向性が一致しない点はもちろん、両論 併記することも含めて本医療保険部会としての一定のとりまとめであるべきです。かな り重い、単なる議事録ではなくてちゃんとした取りまとめであるということを再度確認 をしておきたい。  したがって、今後はこの取りまとめをもとに試案というものを、例えば数字を入れ る、あるいは財政上のシミュレーションをやるというのは、この取りまとめをもとにそ ういうものを提起をしていただいて、引き続き、今、両論併記的なことになっている部 分を含めて一致点を見出していく、あるいはメリット、デメリットという視点を含めて どれがあるべきかという議論が収斂されていくというイメージでもっておいていいのか どうか。我々としては、特に高齢者医療のところでは連合は突き抜け方式ということを ずっと提起をしておりますが、例えばその方式を前提に置いたときにシミュレーション 的あるいは試算的にはどうなるのかということについて、ぜひこのテーブルの真ん中で 議論をさせていただくようにお取り計らいをいただきたいということも含めまして、こ のまとめの位置づけと今後の医療保険部会での議論と、そして今後出されるといわれて いる厚生労働省試案の位置づけについて、今申し上げたような要望をもっておりますの で、もし何か御見解がありましたら伺いたいと思います。  関連いたしまして今後のスケジュールですが、これは後でまた出るのかもしれません が、厚生労働省としての試案はいつごろに提起をされて、医療保険部会としてはそれを どの程度検討をしていくのか、そういう答申についても教えていただければと思いま す。  大きく三つ目で10ページですが、診療報酬体系の見直しの項目が、中医協、有識者会 議との関係の中で記述をされております。背景や経過についてはよく承知をしているつ もりです。診療報酬改定に関わる基本的な医療政策ということについては、医療保険部 会あるいは医療部会に委ねる、そういう整理についても経過については理解をしている つもりですが、しかしこれはどの程度までやるかというのはかなりの議論があると思い ます。この部会の中での議論を積み重ねてきたわけでもないと思いますので、まとめの 中にスポンとこれが入ってくることは若干違和感を覚えているところでございますが、 これは別に内容について反対ということを申し上げているわけではございませんが、進 め方としての問題あるいは今後の問題ということ、今後、どれぐらい時間をかけて検討 するのかということについても教えていただきたいと思います。  最後に、雇用形態の多様化等々を含めまして、国保の財政安定に大変影響も与えてい るという関連がございました。具体的にいえば、3ページの上から四つ目の○でござい ます。これは連合からの意見提起も含めまして四つ目の○が加えられたと理解をしてお りまして、大変評価をしたいと思いますが、連合として今、問題意識をもっております のは、決して非正規職員の範囲をアルバイトとかパートとか、いわゆる有期契約労働者 ということだけに考えておりません。例えば派遣社員というのは、本来であれば派遣元 がしっかり対応すべきということになるのでしょうけれども、その辺が一体どうなのか とか、あるいは現在、5人未満の中小零細企業に働く方たちも含めて、社会保険の原則 適用というのをもう一度きっちり徹底をしていく仕組みづくりどう作るかということが 大事ではないかと考えております。  ぜひそういう文脈の中で我々としてはお願いをしたいということを、再度、要望とし て申し上げておきたいと思います。以上です。  星野部会長  ありがとうございました。  間杉総務課長  冒頭に3点程、お尋ねに渡る点がございましたので、お答え申し上げたいと思いま す。  まず、議論の整理、これの位置づけについての御質問がございました。2年間にわた って御議論いただいて参りまして、今、御指摘のとおりでございまして、単に議事録で 両論併記であった、こういう意見もあった、ということだけではなくて、非常に大きな ところで方向性として大体このようなものではないかということで御認識をしている点 も多々あると思っております。ただ、残念なことながら、御指摘のとおり、まだ一致点 を見出していないところがあるのもまた事実でございます。  したがいまして、私ども、秋に試案をこの部会に御提起をさせていただきまして、で きるだけまだ意見の一致が見られていない点について、私どもとしてはこういう方向で これは解決をしていきたいのだということを、赤裸々にまた御相談を申し上げたいと思 っている次第でございます。御指摘を重く受けとめたいと思います。  今、御指摘の中で、例えば突き抜け型でやったときの試算というものについても触れ てくれというお話がございました。私どももできるだけ努力をして、様々な制度の御提 言がされておりますので、それぞれに当てはめたときにどういう試算になるかという点 も、できますればそういったものが提出できるように努力してみたいと思っておりま す。  今後のスケジュールでございますが、これも前回、御議論があったところでございま すが、私どもとして今の時点で、秋口にたたき台を出させていただき、年内にまとめた いというスケジュールに変更があるわけではございません。ただ、今は御案内のような 政治の状況でございますから、選挙後に私どもも与党とも十分に相談をさせていただい て、その上で色々進めて参りたいと考えているところでございます。私どもとして、今 の時点で大きなスケジュールの変更があるということではございません。  それから、診療報酬体系の見直しについての御指摘がございました。これも繰り返し になりますが、中医協の位置づけを明確化をするという議論の中で、診療報酬改定の前 提になる基本的な大括りな医療政策については、むしろ中医協ではなくて、後程御紹介 申し上げますが当部会あるいは医療部会で議論をいただき、そこで大きな方向性を策定 をしていただく。中医協はそれを受けた形で、それに即応したような、それが実現でき るような点数づけ、診療報酬改定をやっていくということに相なったわけでございま す。この点も何回か御報告をさせていただいたところでございます。  したがいまして、スケジュールとしましては、今日、さわりと申しては何でございま すが、この後、医療の提供体制等々についても御紹介申し上げますが、私ども、引き続 きできるだけ早い機会に次の診療報酬改定の問題と医療政策との関わりの問題について 御審議いただけるような機会をぜひお願いをしたいと考えております。以上でございま す。  北郷委員  各論に類するかもしれませんが、5ページ、後期高齢者の独立保険制度の若人の支援 のところです。私も前から申し上げているつもりでおったのですが、もし足りないとす れば申し上げたいのですが、一般の保険料と別立てにするということは、給付を受ける ことと関係なしに保険料を払うということで、介護保険ができましたときに65歳未満の 人の拠出金みたいなもので大分議論になったと聞いておりまして、今度、これが簡単に 「別建てとすることについて概ね意見の一致があった」と書いてありますが、理論的に は非常に問題になる点だろうと思いますし、法律論として非常に問題になるということ と、かねて私も申し上げたつもりでおるのですが、頭割りでやることについて所得格差 を反映しないという点で政策論的に問題がある。法律論としても政策論としても問題の あることでありますから、簡単に「この際、現役世代に過重な負担を求めるべきではな いという意見があった」ということだけではなくて、その辺はもし必要があればもうち ょっと議論をして、この部会としてこんな意見だったということだけでいいかどうか、 非常に疑問であります。いずれ法律論として、いわば一つの目的税みたいな性格をもっ ていますから非常に公平さが問題になりますし、一体これは本当に保険料なのかという 点についてこんな簡単な表現では、この部会の権威が問われる恐れがある、このように 考えます。  もし必要があればもう一遍議論をして、もうちょっと書き込んでおかないと、この部 会として何も議論がなかったのか、こういうことにならないようにしたほうがいいと思 いますが、総務課長さん、考えがあればおっしゃっていただければと思います。  間杉総務課長  私どもといたしましては、ここもいずれということで今決めているわけではございま せんが、各制度を通じた方式として一つ、頭割り的なことも御説明をしたことは事実で ございます。また、そのときに北郷委員からも、所得という要素もあるのではないかと いう御意見があったことは事実でございます。したがいまして、そこをもう少しトレー スをして書けということであれば、少し部会長とも御相談をさせていただきたいと思い ます。  北郷委員  私の考えでは、部会で少なくとも私が申し上げたことは書いていただきたいし、理論 的に法律論的にどうなのかという点、何か触れたほうがいいのではないかと思います。  間杉総務課長  この部会の初期の頃に確かに今、御指摘のような点がございまして、私どもも今の老 健制度の保険料の性格づけとか様々な御議論を御紹介させていただいた記憶がございま すので、その辺りを工夫できれば、また御相談をさせていただきたいと思います。  星野部会長  今の点につきまして、北郷委員に何か案がございますか。  北郷委員  目的税みたいな性格であるけれども保険料として構成しようとしているわけですか ら、もしやるのなら、問題点を意識しながらもそういう方法でやったほうがいいとか、 やることはやむを得ないとかこういう意見でまとめておきませんと、実行できないと思 うのです。力にならないと思いますので。私は保険料として構成することについてはや むを得ないと思うのですが、そこを支持する姿勢をはっきりしたほうがいいと思うので す。  それから、政策論としての所得の面で不公平を来すという点については、はっきりそ ういう意見があるということを書いておいていただきたいと思います。  星野部会長  特に重要なのは後者ですかね。実行不能かもしれないけれど。  浅野委員  今の御指摘の点に関してのこの整理の書き方なのですが、私が参照するのは資料1− 2の4ページ、5ページ。赤くないもの。4ページから「後期高齢者医療制度」という ことでありますね。非常に単純化されているので、これは外の人が読むと、私は外の人 みたいなものですが、わからない部分があるのです。例えば4ページの2の(1)の最 初に、例えば「国保及び被用者保険からの支援」とあるのですが、これはなんの説明も なくポンと「国保及び被用者保険からの支援」と書いてあります。5ページの(3)も 同じ表現ですね。「高齢者の保険料と国保及び被用者保険からの支援」と。それが今度 は、今、北郷委員が御指摘になったところは「若人からの支援」。「若人」という表現 もちょっと、どこまでが若人なのか良くわかりませんが、非高齢者のことを言っている のかもしれませんが、こうなると「若人からの支援」となりますね。ここの表現の「国 保及び被用者保険からの支援」というのと「若人からの支援」というのがどう違うのか ということも、パッと見て良くわからないのですが、御説明いただきたいということ。  それから、それよりももっと前に、これはもう結論のように書いていますが、いずれ にしても「国保及び被用者保険からの支援」とか「若人からの支援」というのもなぜす べきなのか、そこのところの理論づけ、理屈づけが全くなしにポンと書いてあるという のは非常にわかりにくいのではないでしょうか。これは知事会の立場ではなくて一国民 として、この議論の整理をするにしても説明がいるのではないかと。いかがでございま しょう。  間杉総務課長  まず事実関係でございますが、「国保及び被用者保険からの支援」という言葉と「若 人からの支援」というのは同義語で使っております。その二つ上に「高齢者について」 というのがございますので、それとの打ち返しで「若人からの支援」と書いてございま すが、もちろん必要であれば文言上の整理をさせていただきたいと思います。意味する ところは同じ意味合いでございます。  それから、なぜ支援が必要なのかということでございますが、これはむしろ私どもが これから案を出していくプロセスの中でそういった点も具体的に明らかにさせていただ きたいということで、まだここまで踏み込んでございません。ただここは、これまで色 々な制度体系についての御紹介が各団体からございましたが、ほぼその中で後期高齢者 という非常にリスクの高いグループでございますから、自分達だけの保険料でやってい くことはかなり無理がある。そうであるとすれば、他に公費、それから、あえて使いま すが若人からの支援、その組み合わせでやっていくことは不可欠だろうという御趣旨で これまで御議論がなされてきたかなという受けとめをしておりましたので、そういった これまでの議論の流れの中で書かせていただいたということでございます。  浅野委員  前段の同義語だというところで思ったのですが、被用者保険の被保険者というのは、 例えば70歳を超えていても高年齢になって現役のワーカーはいるわけですね。その人 は、年齢で被用者保険を外れる部分はあるのでしたか。  間杉総務課長  現行制度は、被用者保険はお幾つになりましても働いている限りは被用者保険でござ います。ただし、今度、いわゆる独立した保険として仮に後期高齢者医療制度を含むと いうことになりますと、75歳、65歳、色々な御意見がありますが、働いておられてもど こかで新しい高齢者医療制度に加入していただくということで、加入関係はこれまでと 変わってくると思います。  浅野委員  すごく細かいことのようですが、そうすると、ぎりぎり64歳も若人になるわけです ね。場合によったら74歳も。  間杉総務課長  さようでございます。  浅野委員  それは語義的に若干、「若人からの支援」という表現が非常にしっくりこないので、 それは表現だけの話かもしれませんが、私が言いたいのは、そこというよりも、この議 論はボンとここで出るのでは、今、御説明がありましたが、非常に唐突感があります。  対馬委員  基本的な考え方のところなのですが、1ページの真ん中あたりの○の二つ目に、「保 険者の自主性・自立性を尊重した上で云々」と書いてあって、「医療保険制度の一元化 を目指す」となっているわけです。基本方針を書いたのだという説明でありましたが、 このあたりについて、基本方針で皆さん議論して、そうだねといったところであります とか、ないしは異論が全くなかったというのは基本方針のとおりで、それはそれでよろ しいかと思うのですが、「一元化を目指す」ということについては、第1巡目の議論の ときにも、国保との絡みで否定的な意見があったというのは議事録に載っております し、また今回、第2巡目の議論の中でも、再編統合との関連でありますとか財調論の関 係で、正確な表現ではないのですが、私なども一本化や一元化は自主・自立の保険者が 保険者機能を発揮していくのだということからすると、そのモチベーションとかインセ ンティブを阻害するのではないか、こういう否定的な意見を申し上げたと思います。  また、今、年金の議論などでも御承知のとおり、一元化問題というのは結構ございま すね。被用者の中でやっていくのかそれとも国民年金を含めてやっていくのか、こうい う議論があるわけで、お金の問題でさえそれだけの議論があるわけですから、医療保険 の中で簡単に一元化を目指すということは、今申し上げた経緯の中でもいかがなものか ということです。したがいまして、できれば「平等、負担の公平化を図るものとする」 ということで、「一元化を目指す」ということは除いていただければと思います。  久保田委員  関連して言葉づかいという意味で、これは質問したいのですが、1ページの今、対馬 委員が言われた医療保険制度の一元化、これは閣議決定や、元々基本方針にこういう記 述がということがあるのかもしれませんが、2ページのIIの二つ目の○は、国を保険者 とした国民を対象とする医療保険制度の一本化を実現すべきという意見ということで、 一元化と一本化の違いの問題。年金の場合はかなり厳密に一元化、一本化、統合化とい う言葉づかいは分けて整理をされているという認識でおりますが、この辺については言 葉の問題としてどのように区別をしたらいいかということについて、定義づけを聞いて おきたいと思います。  間杉総務課長  一元化と申しますのは、色々な使われ方をいたしますが、これは私の理解でございま すが、一言で申し上げれば多義的な言葉だろうと思っております。その中で、全国民が 単一の制度に入るということが一本化のイメージではなかろうかと思います。  星野部会長  他にございませんか。  北郷委員  私は、一元化というのは入れておいていただきたいと思います。一本化とは違うとい う理解もありますが、その辺は色々な経緯があってこういう言葉が使われているのだと 思います。  河内山委員  全国市長会を初め、国保に関わりのある関係の団体が幾つもあります。北郷理事長の 中央会もそうですが、毎年のごとく、制度改革をぜひ早くすべしということをずっと言 い続けておりまして、対馬委員がお話しになりましたように、もちろんそれはよろしく ないという御意見もあるのでしょうけれども、かねてからずっとあるべきだと言い続け てきた団体といいますか当事者もありますので、これは北郷理事長がおっしゃったとお り、一元化という言葉は、他ならぬ閣議決定をされた中に書かれているわけですから、 そういう方向があるのではないかということで議論がされていることも事実であります ので、ぜひ正確に記述をしていただきたいと思います。  対馬委員  今正に最後に言われた正確な記述をするということであるならば、これは正確ではな いのではないかなと。ここで書いているのは皆さんの合意があったということで書いて いるわけですから、ただ単純に文言上の整理ということよりはもう少し哲学的というの でしょうか、ないしは基本的なところですので、ここはぜひ部会長さんに御采配いただ ければ大変ありがたいと思います。  齊藤委員  お互いに言い合いをしてもしょうがない。経団連としても、従来から単なる一元化は 保険者機能の発揮を阻害するということで反対である。各保険者が安易にもたれ合うよ うな財政調整に留まることを懸念しておりますので、そういう意味では対馬委員と一緒 の意見であると申し上げておきます。  星野部会長  他にございませんか。  ちょっと気になっておりますのは、久保田委員が最初に、この標題「整理(案)」と いうのは整理ではないのではないかという発言をされましたね。そこはこだわります か。「取りまとめ」とか何とか。良く私も真意をつかんでいないのではないかと思いま すが。  久保田委員  「取りまとめ」とする割には詰まっていない部分も多すぎるのかなという感じももっ ていまして、そこはあまりこだわらないのですが、しかし今後の進め方とかシミュレー ションの在り方という点でそこは大事だと理解しています。  星野部会長  わかりました。それで先程発言されたのは、二つ、シミュレーションの話、今後のス ケジュールなども含め確認された。そのように理解して、それでは標題はこのままでよ ろしいですね。真意はわかりました。  他にございませんでしょうか。  松原委員  細かいことで申しわけないのですが、一番最後の「その他」のところで増やされた項 目でございますが、これは「意見があった」ということでございます。多剤投薬の是正 というものがどのようなものかについて御理解していただけていない面もあるかと思っ て発言申し上げます。  かつては、1包の中に色々な薬剤を混ぜて患者さんにお渡しできていたところが、最 近は1剤につき1成分でございますので、色々な病気をもっておられる方にはどうして も多剤投薬にならざるを得ないという面もございます。簡単にこれが全て悪いというも のではございませんので、適切でない多剤投薬、あるいはこういったところで議論する レベルのものではないのではないかということを議事録として残していただきたく存じ ます。  星野部会長  よろしゅうございますね。特に他にございませんか。  それでは、逆に言うと議論は尽きないのかもしれませんが、先程対馬委員からも私に 宿題が投げかけられたのもありますし、おそらく北郷委員のお気持ちも、もうちょっと 工夫はないかということで残されているのだと思うので、北郷委員、対馬委員それぞ れ、事務方も交えて詰めさせていただきまして、どういう表現があり得るか、あるいは 北郷委員の場合はもうちょっと本質的なところがあり得るかとかそういうことについて 検討させていただいて、部会長にお任せいただく、この整理(案)についてはそういう 処理の方向でよろしゅうございましょうか……。それでは、そのようなことで進めさせ ていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  今日はまだ少し議題がございますので、よろしくお願いいたします。続いて、前回の 議論の中で当部会における審議に当たっては、関連する医療提供体制についても議論を 行う必要があるとの御意見があったことを踏まえまして、事務局から説明を求めたいと 思います。社会保障審議会医療部会において8月1日に「医療提供体制に関する意見中 間まとめ」というのが、地域医療に関する関係省庁連絡会議において8月11日に「医師 確保総合対策」というのがそれぞれ取りまとめられていますので、併せて御報告を願い たいと思います。それでは、事務局からお願いします。  間杉総務課長  本日は担当の医政局担当課長も参っておりますが、まず私からは資料2に即して、入 り口のような話で誠に恐縮でございますが、これから中医協の診療報酬体系に関連をす る医療政策のご議論もいただくということも念頭に置いた上で、現状の資料を集めさせ ていただいたものでございます。関係局は多岐に渡りますので、右代表ということで便 宜上、私から御説明をいたしますが、お許しをいただきたいと思います。  まず、「医療提供体制の現状」ということで資料を用意しております。  2ページは、諸外国との比較を見たものでございますが、我が国は人口1000人当たり のベッド数が多いということでございます。それに反しまして、病床当たりの医療従事 者数は医師にしても看護職員にしても少ないということで、非常にスタッフが薄巻きに なっているという状況が伺えます。そして、平均在院日数が長いという現状でございま す。  3ページは、こうした供給体制を司ります医療法という法律が古く1948年に制定をさ れたわけでございますが、量的な拡充の時代から疾病構造の変化等々に即した質的な拡 充という時代に向かっているということでございます。1985年に医療計画の創設という ことでベッド規制が行われたことが1点。2000年に4次改正ということで病床区分の見 直しが行われまして、療養病床と一般病床の区分がここで初めてできたという経過がご ざいます。  4ページは、我が国の人口当たりのベッド数を経年的に外国と比べてみたものでござ います。一番上の赤が日本の病院病床数全体でございますが、「1991年をピークに減少 」と書いてございますが、これは1985年に医療計画制度ができまして、5年ほど経ちま して大体各県出揃ったということで、この辺りから頭打ち、減少傾向に入っているとい うことでございます。  5ページは平均在院日数でございます。赤が全病床でございますが、これも総じて減 少傾向にございます。特に黒の一般病床が最近、減少傾向が著しいわけでございます が、なお諸外国に比べますと長い水準にあるという状況でございます。  6ページ以降が、「医療機能の分化・連携」ということでございます。  7ページは、先程第4次医療法改正のお話を申し上げましたが、それまでは結核、精 神、その他病床という形になっておりまして、その他病床の中に色々な病床がひっくる められておったわけでございますが、これを右の方に一般病床と療養病床と区分をいた しまして、それぞれの人的な、あるいは設備的な基準を定めたということでございま す。  8ページ、こうした改正によりまして、イメージでございますが、一般病床は急性期 医療を担うということでございます。右に枠囲いしてございますように、手厚い治療・ サービスの重点化を図るということで早期退院が可能になるような、平均在院日数が短 くなるような取り組みをするということ。三つ目の○にございますように、例えば難病 とか緩和ケアとか、さらにはリハビリ、在宅医療の後方支援といった機能をこの一般病 床が担う。一方で、長期療養が必要な患者さんについては、療養病床で社会復帰を目指 した医療を提供する、こうした区分けができたわけでございます。一番下のかかりつけ 医は在宅医療の支援を行う。そういう区分、連携を目指しているわけでございます。  9ページが一般病床、療養病床の現況でございます。一番上にございますのが第4次 医療法改正後の初めての届出の状況で、一般病床が92万床、療養病床が34万床というこ とでございます。参考に区分けができる前の区分をお示ししておりますが、療養型病床 が24万床、その他病床が102万床でございましたので、ざっと10万床が療養型に移行し た、こんな勘定でございます。中程にございますように現在も大体90万床と35万床とい うことで、全体的な傾向は変わっていないという状況でございます。  10ページからが「在宅医療」でございます。  11ページは、医療費という点で在宅医療費がどのぐらいかかっているかというものを 見たものでございます。一番右の細い四角が6737億円。31兆円の医療費に対して約2.2 %というのが在宅医療費のシェアに留まっているということでございます。伸びてはき ておりますが、まだ全体的なシェアは小さいという状況でございます。  12ページは、在宅医療といったときにどういう内容なのかということでございます。 一番下の白抜きが往診という従来型のものでございますが、それ以外に、訪問診療、在 宅の療養する患者さんに対して医師が医学管理を行って、計画的な療養を行うという指 導管理料、こういったところが非常に大きく伸びているという状況でございます。  13ページが訪問看護でございます。訪問看護そのものはかつてから医療保険でやって きているわけですが、12年度に介護保険が入って参りまして、介護保険型のものと医療 保険型のものとに分かれたわけでございます。ただこれも、全体の医療費に対するシェ アは0.5%程度という状況でございます。  14ページは、訪問看護を行いますステーション数の年次推移でございます。これも11 年まで伸びてきておりますが、介護保険が導入をされて以降が横ばいになっているとい うことで、これは私どもでも何故かという要因を分析中でございます。  15ページは、前回、御議論をいただきました終末期医療に関連をしてということで、 自宅で亡くなられる方と病院、診療所で亡くなられる方が1976年で交差をして、それ以 降、大体8割と13%、こういう数字でございます。それぞれ県の名前が書いてございま すのは、上は病院で亡くなられる率の高い方、下は自宅で亡くなられる率の高い方とい うことでございます。  16ページは意識調査でございますが、治る見込みがなく死期が迫っている場合に、最 後はどこで送りたいかということで、できるだけ自宅で療養したいという方々が6割と いうでございます。  ただしということで、17ページ、これも御家族の方あるいは専門職の方々にお聞きを した調査でございます。色々な理由がございますが、家族への負担、症状が急変したと きの対応に不安があるということで、医療的なバックアップが不可欠ではないかという データになっております。  そこでということで、18ページに図示いたしておりますように、私どもとしても、自 宅以外にもできるだけ生活機能を備えた地域での生活の場の量的あるいは質的な拡充を 図ることを進めつつあるわけでございます。同時に、かかりつけ医の方とケアマネジャ ーの方ができるだけ共同して在宅療養にあたれるような、そういう体制づくりを進めた いと現在、考えているところでございます。  19ページからは、医師の偏在の問題でございます。  20ページですが、医師数は毎年4000人程度増加しております。この後、御報告申し上 げますが、平成29年には医師が過剰になるという推計があるわけでございますが、た だ、特定の地域あるいは診療科における不足感が強いことは私どもも認識いたしており ます。「例えば」と書いてございますが、一つは小児科の問題、それから産科の問題が あるわけでございます。  21ページに診療科の医師数の年次推移を載せておりますが、内科あるいは外科が右肩 上がりできているのに対して、小児科はここのところ減少傾向にございます。産科も同 様でございます。  22ページは、たまさかアメリカの人口当たり指数を1とした場合の我が国の医師数を 指標化したものでございます。1より下にきているところに産婦人科医、小児科医、麻 酔科医といったところが並んでいるという状況でございます。  23ページ以降は、私ども、これからの診療報酬体系の見直しに当たっての基本的な視 点ということで、これは閣議決定をいたしたものでございます。この中でも、今申し上 げましたような、例えば医療機関の連携の問題とか小児医療の評価の問題等々、幾つか 具体的な考え方を書いておりますが、この関係については、次回、改めて私どもで資料 整理をいたしまして、診療報酬の体系の見直しに向けての基本的な医療政策の議論をお 願い申し上げたいと思っております。  引き続き、そこは医政局総務課長から説明させます。  星野部会長  それでは、引き続き医政局の総務課長からよろしく。  原医政局総務課長  資料の4をご覧いただきたいと思います。国民の医療を確保していく上で、医療保険 制度と並んで医療提供体制の整備を図ることが重要であります。平成18年に医療保険制 度の見直しが予定をされておりますので、これに合わせて提供体制についても必要な見 直しを実施したいということで、昨年の9月から15回に渡りまして社会保障審議会の医 療部会で幅広い観点から議論をしていただきました。そして、8月1日に中間まとめと いうことでまとまった意見が、資料4でございます。かなり幅広い観点から多岐にわた る項目、網羅的に取り上げていただいて、結論が出たもの、なお議論が必要だというこ とで年末に向けて継続検討になっているもの、種々ございます。  ちょっと大部でございますので、内容については資料3で説明をいたします。これ は、事務局の責任で中間まとめの内容を概要としてまとめたものでございます。  まず1ページ、Iの1「基本的な考え方」でございますが、最初の○にございますよ うに「医療は患者と医療提供者との信頼関係を基本として成り立つものである。したが って患者本意の医療を実現していくことが重要である」ということ、また「患者や国民 が自らも積極的かつ主体的に医療に参加していくことが望ましい」、この辺が今回の新 しい観点からの議論だと受けとめております。  二つ目の○は、医療機関等においてチーム医療を推進していくことも重要でございま すが、特に今回、部会で議論になったのは、地域において患者を中心とした協力と連携 の体制を構築していくことが必要である、こういったところも新しい切り口として議論 がなされております。  2は、「改革のビジョンの策定とこれまでの審議経過」ということでございます。今 回の中間まとめでは、次期改正の中心となります医療計画制度、医療法人制度の見直し については、改革の大枠について部会として意見の一致を見たと受けとめております。 ただ、より詳細な具体的な事項、あるいは医療計画や医療法人以外のその他の個別事項 の幾つかについては色々議論もございますし、またこれを進めていく上で診療報酬の見 直しとの関係が不可欠でございますので、そういう意味でまだ結論を得られていないも のもございます。文中に「引き続き検討」とございますが、そういったものはそうした 趣旨でございまして、年末に向けてさらに御議論をいただきたいと考えているところで ございます。  2ページ、IIの「主な項目」でございます。  まず、情報提供を推進することによって、患者・国民の医療機関あるいは医療の選択 を支援していくという柱がございます。これについては幾つか論点がございましたが、 一つは、最初の○にございますように、「医療機関等が、その施設の医療機能に関する 一定の情報」、客観的な情報ということでございますが、こういうものを都道府県に届 け出る義務を課して、そしてその都道府県がそれらの情報を集積して、インターネット 等を活用して住民にわかりやすく情報提供する枠組みの制度化が提案をされておりま す。これは意見の一致を見ていると考えております。  広告事項でございますが、医療法では広告は原則禁止、大臣が指定するものについて 広告可能という、いわゆるポジティブリスト方式を採用しておりますが、より情報提供 を進める観点から広告規制のやり方をネガティブリスト方式に変えてはどうかといった 意見がございますが、これについてはなお意見の違いがございまして、結論に至ってお りません。年末までには結論を得たいと考えております。  二つ目の柱は「医療安全対策の総合的推進」でございます。二つ目の○では、医療の 質と安全性の向上を図るために、現在は病院と有床診療所を対象に、職員の医療安全の 研修とか医療安全対策マニュアルの策定とか一連の医療安全の管理体制の整備を義務づ けておりますが、この義務の対象を病院と有床診に加えまして、ここにございますよう に無床診、歯科診療所、助産所、薬局、いわゆる医療提供施設全般に対象を拡大してい くこと等が提言されております。  三つ目の○は、医療界から非常に要望の強い医療関連死の届出制度の整備、中立的専 門機関における医療関連死の原因究明制度、さらには医療分野における裁判外紛争処理 制度の創設といったものについての検討に着手せよということで提言を受けておりま す。これらの事項については詰めるべき課題が多々ございまして、次の改正には時間的 に間に合わないのではないかと考えておりますが、事務局としてはこれらの課題の解決 に努めまして、可能ならば次の次の改正に間に合う形でこの実現に努めて参りたいと考 えているところでございます。  3ページ、医療計画制度の見直しの関係でございますが、これが次期医療法改正の中 心的なテーマになろうと考えております。我が国の医療提供体制は世界的にみても優れ た制度だと考えておりますが、先程の資料にございましたようにフリーアクセス、提供 側からいえば自由開業制を前提にしていることから、どうしても病床が過剰になってい るという点がございます。併せまして医療機関の間で機能分化、連携が未成熟であると いうことが、これからの課題としてあろうかと考えております。したがいまして、医療 計画制度の見直しを通して医療機関の機能分化と連携を図って参りたいということが改 革の趣旨でございます。  具体的には、最初の○の・にございますが、主要な事業ごとに地域における医療連携 体制を構築し、都道府県の医療計画に位置づけること。また、医療計画に住民の視点に 立ったわかりやすい指標による数値目標を導入し、評価可能な計画としていくこと。等 々の取り組みによりまして、実効性ある医療計画制度にしていきたいということでござ います。  今言いました地域の医療機能の分化、連携ということを患者の立場からみた場合にど ういうことか、というのが二つ目の○でございます。急性期から回復期、慢性期を経て 在宅療養への切れ目のない医療の流れを作り、患者が早く自宅に戻れるようにすること で患者の生活の質を高め、また、必要かつ十分な医療を受けつつトータルな治療期間が 短くなる仕組みを作る、ということが言われております。  三つ目の段落で「人員配置標準の在り方」がございます。これについては、医療安全 の観点から病院の薬剤師の配置の増員あるいは看護職員の増員といったことが意見とし て出されております。一方で、病院における外来患者数に基づく医師数、今は40対1と いう基準がございますが、医師法による応招義務、患者が来れば必ずお医者さんは患者 を看なければいけないという義務規定がございますから、そういう義務がある以上、外 来については配置基準を設けるのは不合理ではないかといった意見が出されておりまし て、逆にここのところは配置基準を撤廃すべきではないか、こういった論点も出ており ます。  いずれにしましても診療報酬とも絡むテーマでございますので、年末に向けた継続検 討になっております。  次の○は、僻地や離島、医師不足が深刻でございますが、必ずしも医療の確保という のはお医者さんの確保だけではないのではないか。特に僻地、離島では、遠隔医療によ る支援とか、あるいはドクターヘリといった緊急時の輸送手段の確保、こういうことに よって医療の提供が確保できる場合もありますので、都道府県知事が医療計画等におい てそうした判断ができるということで計画に盛り込んだ場合には、現在の医療法による 医師の配置標準等について、より弾力的な運用が可能な仕組みについて検討すべきでは ないかといった御提言をいただいております。  4ページは、5「地域診療科等での医師の偏在解消への総合対策」ということで、先 程間杉課長から説明のあったとおりでございまして、地域における偏在あるいは特定の 診療科による偏在が非常にございます。したがいまして医療部会からは、最後の○でご ざいますが、関係省庁とも連携し早急に総合的な対策を取りまとめるべきである、とい う御意見を頂戴しております。  これを踏まえまして資料5をご覧いただきたいと思いますが、私どもは平成15年11月 に文部科学省、総務省と3省で関係省庁連絡会議というのをもっておりまして、ここで 具体的な医師確保対策について議論をしてきております。今回、この医療部会あるいは その他の検討会の報告書を踏まえまして、総合対策ということで緊急に取り組むべきも のについてまとめております。  医師が過剰になる中で、これは将来の医療費増にも繋がって参ります。したがって、 平成9年には医学部の定員を10%削減をするといった閣議決定もしておりますが、そう いうこと、あるいは地域偏在あるいは診療科偏在という中で、お医者さんだけに、あな たはどこそこで医療をやりなさい、あるいは小児科をやりなさい、というふうに強制的 に義務づけることは法律上も難しい面がございます。そういう様々な制約の中で特定の 医師不足問題に対してどれだけのことができるか、なかなか決め手がございませんが、 できる限りのことをやろうということでこの対策をまとめております。  ここでは御説明は省きますが、中に診療報酬による支援ということも書いております が、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。  資料3に戻りまして、4ページの6「在宅医療の推進」ということで、患者・家族が 希望する場合の選択肢となり得る終末期を含めた在宅医療の体制を地域において整備す ることが非常に重要である、というような御提言をいただいております。  5ページの7「医療法人制度改革」についても、今回、意見がまとまりました。医療 法人制度全体について、非営利性をより明確にし、効率性や透明性の向上を図ることな どについて検討をする。具体的には、持ち分のある社団医療法人をいわゆる出資額限度 法人に原則移行させていくという方向がまとまったところでございます。  また、そうした中で特に公益性の高い医療を担う医療法人については、税制上の支援 も講じながら、公益性の高い医療を地域の中心になって担っていただこうといった提言 がなされたところでございます。  8「医療を担う人材の要請と資質の向上」ということで、医業停止の行政処分を受け た医師等に対する再教育を医師法を改正して義務づけることが決まりました。  二つ目の○で、併せまして、こうした再教育を実効あらしめるために、行政処分の対 象を軽い処分も追加して広げていこうということも決まっております。また、保健師、 助産師、看護師の資格の在り方についても見直しが指摘をされているところでございま す。  以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは、只今の報告につきまして御質問等があり ましたらどうぞ。  井伊委員  医療機能の分化と連携の点に関して、今日最初に議論がありました「議論の整理」の ところでも触れられております医療保険における「食費と居住費の扱いについて」とと ても関連した重要な点だと思うので、意見を述べさせていただきます。  私は、医療保険における食費と居住費に関して、一律に食費や居住費を課すことには 疑問をもっております。生活に近い入院の場合は食費や居住費を取ってもも良いかと思 いますが、医療が必要な入院で食費や居住費を取ることは好ましくないと思っておりま す。そもそもの問題は、医療機能の分化のところで議論されていますように、多くの医 療療養型が本来の役割を果たしていなくて、介護療養型とほとんど同じような機能をも っていることだと思います。急性期と療養型の二つの区分ではなくて、今日のところで も亜急性期ということが触れられていましたが、その中間の医療依存度の高い急性期後 のケアとか、回復期リハビリテーションに相当する亜急性期の位置づけをもっとはっき りさせて、急性期と亜急性期は医療が必要な入院ということで食費や住居費を取ること は好ましくないけれども、療養型は生活に近い入院ということで食費や住居費を取って も構わないのではないかと思っております。  ただ、生活に近い入院と医療が必要な入院の区別は大変難しいと思いますし、特に担 当の医師は様々な理由でそういった判定をしづらいと思いますので、第三者の医療関係 者なりの判断が必要になると思います。中医協の分科会で慶応大学の池上さん達が中心 となって、そうした判定をするための調査を行っていると伺っております。医療必要度 と介護必要度を3区分にしたマトリックスを作成して、そのマトリックスによって診療 報酬を決めて、医療施設の機能分化を可能にしようとしていると聞いています。詳しく その調査結果などは聞いていないのですが、データも公表されているということですの で、そうした調査結果もこの部会で御紹介いただいて、そうしたデータに基づいて議論 をできればとお願いいたします。  星野部会長  ありがとうございました。  間杉総務課長  今、御指摘のとおり、データがございますので、次回、御紹介をするようにいたしま す。  大内委員  これは直接保険と関係がないことですが、資料5の「医師確保総合対策」についてで すが、確かに僻地医療、小児、周産期産科、麻酔科など、現在、医師が足りない分野の 対策が色々書かれているのですが、大変残念なのは、この高齢社会になって高齢者医療 をどうするか、担い手をどのように育成するかという視点が全くないことです。この医 療保険部会そのものが高齢者の保険制度を構築しようとしている委員会に出てくる文書 としては極めて遺憾に思います。今後、是非その点を留意いただけたらと思います。  星野部会長  ありがとうございました。  対馬委員  直接的には絡まないのかもしれませんが、先程の説明でも、例えば在宅医療費が国民 医療費に占める割合などという説明がございましたが、極めて遺憾なのは、今日の新聞 などにも出ていましたが、国民医療費が過去数年分に渡って間違っていたというデータ があるわけです。この部会でも、例えば医療費の総額などはいつも1ページ目に大体出 ているわけです。その中では、平成14年度までのデータしか出てこないのですね。なん となれば、確報が14年度版しかありません。したがって15年度以降は出ません。こうな るのですが、14年以前について大きな間違いがあった。実際には数百億円規模で多すぎ た。少なく訂正する。こういうことで出ていましたが、極めて遺憾なことであります。  私どもとしては当然ながら、ここにいる皆さん全員そうですが、そういったデータを 元にしながら、例えば医療費の適正化はどうなのだろうかとか、国民経済との関係はど うなのだろうかといった議論をしているわけですから、これは部門が違うのかもしれま せんが、ぜひ厚生労働省の内部で本当に真剣な議論をして、再発防止もありますし、ま た他にそういった間違いはないのかどうかということを含めて、ぜひ厳正な対処をお願 いしたいと思います。  星野部会長  今の発言について、何かコメントはありますか。  石原調査課長  国民医療費の件については新聞報道されたとおりでございまして、患者負担の推計の 方法にミスがあったということでございます。今後は、統計情報部でもこのようなこと がないように十分注意して参りたいと考えております。  ただ、1点申し上げたいのは国民医療費の議論でございますが、国民医療費自体は推 計値でございまして、過去のものを取りまとめて実績から推計するという形でやってお ります。通常、医療保険制度といった場での議論については、医療保険医療費、特に最 近では、前回ご覧いただきましたようにメディアスの数字を中心にしておりますので、 そういった意味では国民医療費の集計上のミスは議論上はあまり関係ないと理解してお ります。  対馬委員  温度差といいますか、特に最後の説明あたりは違和感があるのですが、第2巡目の第 1回目の議論のときに出された最初の資料のページに「国民医療費の動向」というのが 出まして、そこは平成14年度までであります。メディアスの数字では全くありません。 私どもはそれを見て、これから議論していくのに対して14年度までの資料というのは随 分ひどいよね、という感想をもったわけですが、色々な議論をする中においてメディア スの資料等、足元の色々なデータを出してやっていくということであれば、それはそれ で大変結構ですが、実際にはそうなっていない。ぜひそこは今後とも、今おっしゃられ たような方向で対処していただきたいと思います。  星野部会長  他にございませんか……。  それでは、次に移らせていただきます。この前、私からもお願いしたのですが、北郷 委員より高額医療費についての資料が提出されておりますので、御説明いただきたいと 思います。よろしくお願いいたします。最初に、お礼を申し上げておきます。  北郷委員  この前、終末期医療の議論がありましたときに申し上げたことに関連する資料でござ います。若干古い、平成11年にやったものであります。  1ページは、国保中央会の中に特別審査委員会がございまして、高額医療について、 3の「調査方法」のところに書いてありますが、平成8年10月に医療機関を受診した患 者の中で、合計が348名でございますが、この8月を中心に前後6か月のレセプトデー タを集めまして、6か月後の生存、死亡の状態、もう一つ、レセプトを離れまして2年 後の平成10年10月時点の生存、死亡状況を調査した。このレセプトを中心の調査と、も う1点、2年後の患者を追いかけまして生存、死亡の状況を追跡調査する、こういう方 法の調査をいたしております。  1枚紙の資料には平成8年の10月が網かけになっていて346になっていますが、これ は入院だけ取ってありまして、本当は348人の調査人数でございますが、この10月の患 者の前後、8年4月から9年4月までのレセプトを全部追いかけて調べて、4月時点で の生存、死亡というものを見ているわけであります。  2ページから調査結果が出ておりますが、どんな疾病かというものを見ております。 レセプトから疾病を見ます場合に、いわゆるレセプト病名ということがありまして、主 病を特定することは非常に難しいのでありますが、審査委員会のお医者さんに別途参加 していただいて、全レセプトを見て主病を決定をしていただきました。ここに掲げてあ るような病名でございます。その割合も出ているとおりであります。  この分類は119分類、ICD10、中分類ということでやってあります。  3ページ、上の表は1か月の医療費が450万点以上という方でありますが、年齢区分 がこんな割合で分布していた。  下の表は点数階級表で、45万点以上でありますから50万点未満から上は100万点、だ から1000万円以上、こういう分布でございました。  4ページの「疾病別生存率の状況」でありますが、病名で平成9年4月現在、全体の 合計で見ますと348名の方のうち半年後に生存されていた方が147人おられた。42.2%で ある。10年10月、2年後でありますが、この時点での生存の方が112人、32.2%おられ た。このように見るわけであります。  この辺は病名別でありますが、5ページは年齢階級別に生存率がどうであったか、こ ういう調査でありました。全体の348名の方のうち、半年後には42.2%、2年後に32.2 %、生存しておられた。逆が死亡数であります。例えば30歳から39歳の方のあたりが 66.7の生存率、2年後でも61.1と高い。60歳、あるいは70歳以上の方になりますと、 70歳から79歳の方は95人の方が対象でしたが、半年後に28人の方が生存しておられて 29.5%。80歳以上の方は17人中4人、23.5%であった。2年後は、それぞれ2人、11.8 %、こういう率であったということであります。  6ページが、では点数の多い、高いでどう違うかということでございます。例えば 100万点以上の方、1000万円以上医療費が掛かった方でありますが、21人中5人の方が 半年後も生存しておられた。2年後は4人、19.0%の方が生きておられたということで ございます。  こういったものを考えます場合に、当時、色々議論になりましたのは、高点数の方、 あるいは年齢の高い人の生存率をどのように見るか、高いと見るか低いと見るか、非常 に難しい問題でございまして、医療費を掛ければこれだけの方が病気が治って、しかも その後、元気でかどうかわかりませんが一応生活されている、こういうことをどのよう に考えるか、ということでいろいろ議論がございました。  ここで私がこの間、申し上げましたのは、医療を行います場合に結果がわからない で、治る場合もあり、結局、治らないという場合もある。そのとき私は、それぞれの医 療機関で一生懸命治すべく努力されていることの価値をどう見るかということで、非常 に難しい。それなりの御努力はいただいているのではないか。このように説明をした記 憶がございます。  それから、直接は関係はございませんが、高額医療費の8ページに、どうしてこうい う高額の医療費が生ずるのかということで、若干分析を試みた結果をつけてございま す。タイプが幾つかございまして、中身を分析してみますと、一番多いのは主病以外に 重篤な合併症を生ずる。これは6タイプに分けてございますが、色々な病気によって合 併症の結果、医療費が高いということが非常に多い、こういう結果でございました。  その中身についての分析の結果を、参考のためにつけております。この間、終末期医 療ということで議論がございましたので、何らかの参考になればと思って申し上げまし た。以上であります。  星野部会長  貴重な資料をどうもありがとうございました。重ねて御礼申し上げます。何か御質問 等がございましたら、この際ですので……。  それでは次に、前回、各委員から要求のあった資料について、事務局から報告を願い たいと思います。どうぞお願いいたします。  石原調査課長  私からは、資料6と資料7について説明いたします。  資料6ですが、前回、政管健保と健保組合と市町村国保と老人保険、それぞれ代表的 な制度の実効給付率の資料をご覧いただきました。そのときに追加で共済組合と国保組 合についてはどうなっているのかという御質問がございまして、それについて資料を用 意いたしております。  前回もそうですが、給付率については法定の給付率の違いがありますので、被保険者 と被扶養者の70歳未満のところと70歳以上と計とそれぞれ分けて計上してございます。 共済組合が、70歳未満の被保険者で78.9%、被扶養者で77.3%。70歳以上の加入者で 90.7%。計で78.5%ということでございます。  ちなみに、前回ご覧いただきました政管健保ですと、70歳未満の被保険者、74.0%、 被扶養者が75.1%。70歳以上が89.3%ということで、それぞれ共済組合の場合の給付率 が政管健保に比べて若干高くなっているという状況になっております。  その要因でございますが、注3に書いております。まず、一部負担金返還金とか一部 負担払戻金、家族療養付加金もそうでございますが、基本的にそういった付加給付の部 分が入っておりまして、それが高くなっている要因の一つでございます。  もう一つ、技術的で申しわけないのですが、これは年報等から作っておりまして、注 4をご覧いただきたいのですが、共済組合の場合には年度が診療月で2月から翌年の1 月までという整理をしております。その関係で、前回ご覧いただきました医療費の場合 には通常のベースの年度に合わせておりまして、4月から3月のベースということで、 15年度では当然3割負担になった3割の状態の数字で計上しておりますが、共済の場合 には15年度の2月と3月分は被保険者について3割負担の改正の前でございますので、 そういった意味で若干給付率が高めになることもございます。1点だけ注意をお願いし たいと思います。  国保組合の給付率は、70歳未満が77.8、70歳以上が88.5、計で78.0という数字でござ います。  ちなみに、前回ご覧いただきました市町村国保は、70歳未満が78.6、70歳以上が 90.3、計が79.1でございます。市町村国保の方が年齢構成が高い関係もございまして、 国保組合よりは給付率が高いという状況でございます。  次に、資料7について説明いたします。前回、死亡場所の資料をご覧いただいたので すが、そのときに、20代を中心に医療機関での死亡が少ないということでした。そのと きに、なぜ少ないのかということで、自殺が多いのではないかという御質問がございま して、その点を明らかにしようということで年齢別に医療機関で死亡する者の割合等を 用意しました。1ページが総数で、2ページ以降が年齢階級別になっております。  1ページは前回もご覧いただきましたが、原因別に見てみますと、自殺とか老衰の場 合には医療機関で亡くなる方が少ないという状況になっております。  2ページは、0歳から14歳、子どもの方ではどうかということです。これは死因ごと に取っておりまして、右から一番大きい死因が出ております。0歳から14歳ですと、不 慮の事故が一番大きいということで、それから循環器系の先天奇形などの疾患が並びま して、後は小さいところでは乳幼児突然死症候群、この辺が若干目立って、1番目と乳 幼児突然死症候群あたりが若干低いですが、後はほぼ100%近く医療機関で亡くなられ ているということでございます。  3ページは、前回も話題になりました二十歳前後で医療機関で亡くなる方の割合が少 ないということでございます。この部分を見ていただきますと、やはり御指摘のとおり で自殺がかなり多うございます。自殺が死亡原因のトップに立っておりまして、その次 に不慮の事故。後は外因系でございますと、2、3、4、5は違いますが、6番目の 「その他の外因」、これも外からの外因で亡くなられるということで、そういった場合 には医療機関で亡くなられる方の割合が少ない状況になっているということでございま す。  4ページは30代から44までですが、この場合も自殺がトップですが、基本的には2番 目に悪性新生物が出てきております。3ページでは悪性新生物は3番目で、数も1000ち ょっとしかなかったのですが、30代になりますと悪性新生物が5000を超えています。自 殺に関しても若干増えていますが、悪性新生物とか病気で亡くなる方の割合がどんどん 増えて参ります。そういった関係で、基本的には医療機関で亡くなる方の割合がどんど ん増える状況になっているということでございます。  5ページになりますと自殺の数も、これも増えてはいるのですが、45から60までです が、悪性新生物の数がダントツで増えて参りまして、こういった病気が原因で亡くなら れる方が増えるということで医療機関で亡くなられる方が多くなるということでござい ます。  私からは以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは、御質問、御意見等がございましたらどう ぞ……。ございませんか。特にございませんようでしたら、まだ時間が若干余っており ますが、本日はこれまでとさせていただきたいと思います。  なお、次回以降について、いろいろ政治向きなどがあると思うので、今は日程をいつ と確定しにくいのだろうと思いますが、とりあえず今日私にお任せいただいた調整につ いてやらせていただきまして、それから事務局からも話がありました厚労省試案という ものが出てくるのを待つという形になるだろうと思います。  なお、本日も少し前段に御説明をいただきましたが、診療報酬改定に係る基本的な医 療政策の審議は当部会で行うという中医協有識者会議の報告を踏まえまして、次期診療 報酬改定に向けての基本的な方向性についての議論、それから当部会で今まで議論して いない、例えば船員保険の在り方などについて議論していただくことになると思いま す。そういう問題につきましても、今日のところで日時、場所について御報告できない のですが、事務局から追って連絡するということで、本日のところは終了したいと思い ます。よろしゅうございましょうか。  それでは、本日は御多忙の折、お集まりいただきまして、大変ありがとうございまし た。御協力、感謝いたします。                                     −了− 〈照会先〉 保険局総務課企画調査係 代表 03−5253−1111 内線 3218