05/08/23 独立行政法人評価委員会労働部会(第23回)議事録          独立行政法人評価委員会労働部会(第23回)議事録                          平成17年8月23日(火)                          13:00 〜 15:00                          厚生労働省専用第18〜20会議室  出席者:井原部会長・篠原部会長代理・今村委員・宇佐美委員・小畑委員・川端委員      寺山委員・久道委員・松田委員・本寺委員(五十音順) 1.開会 ○井原部会長  定刻になりましたので、ただいまから第23回独立行政法人評価委員会労働部会を開催 させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠 にありがとうございます。  今回は、宮本委員が欠席です。  それでは、初めに事務局から本日の議事について簡単に説明をお願いします。 ○政策評価官  本日の議題ですが、次のようになっております。  (1)高齢・障害者雇用支援機構の中期目標・中期計画・業務方法書の変更等について 御審議いただきます。  (2)高齢・障害者雇用支援機構及び労働者健康福祉機構の重要な財産の譲渡について 御審議いただきます。  (3)各法人の「総合的評価」についての取りまとめをお願いいたします。総合的評価 書(案)については、各法人担当の起草委員のうち、あらかじめお願いしております5 名の委員から、今回の総合的評価の概要・ポイントについて御説明いただき、その後、 5法人まとめて御審議いただければと考えております。  (4)「財務諸表に関する意見」についての取りまとめをお願いいたします。担当の起 草委員である篠原委員にヒアリングの結果などを踏まえて意見書(案)を作成しており ますので、その説明をいただいたあと、審議をお願いいたします。  なお、これまで5回にわたって評価していただきました各法人の個別評価につきまし ては、各委員が記入されました評価シートの原本を御参照いただけるようお手元に置い ております。  また、各委員の5段階評価結果につきましては、参考資料1として集計表を用意して おります。なお、採点者の欄は空欄にさせていただいておりますことを御了承くださ い。以上です。 2.審議 (1)中期目標・中期計画・業務方法書の変更(案)について ○井原部会長  それでは、まず初めに、高齢・障害者雇用支援機構の中期目標・中期計画・業務方法 書の変更(案)に関する審議に移ります。  これらの具体的内容について事務局から説明していただき、その上で御審議いただき たいと思います。  では、事務局から説明をお願いします。 ○宮川高齢・障害者雇用対策部企画課長  まず中期目標について御説明申し上げます。資料1−1と1−2を併せてごらんいた だきたいと思います。資料1−2は新旧対照表になっております。  資料1−1の概要にありますように、近年、精神障害者の社会参加が進み就業意欲が 一層高まりをみせているとともに、企業に採用されてから精神障害を有するに至った者 の雇用の継続が課題となっており、精神障害者に対する雇用支援の充実が求められてい ます。  また、精神障害者への障害者雇用率制度の適用、ジョブコーチによる援助を行うこと に対する助成金の創設等を内容とする「障害者雇用促進法の一部改正法」が今国会で成 立し、10月1日から施行されます。  以上を踏まえ、高齢・障害者雇用支援機構の中期目標について、所要の変更を行うも のであります。  変更の内容は次の4点です。  (1)精神障害者の雇用の段階に応じた体系的支援プログラムを新規業務として追加す るということで、詳細は資料1−2の2ページの右上の(4)をごらんください。精神障 害者の雇用の段階に応じた体系的プログラムというのは、地域障害者職業センターにお いて精神障害者の職場復帰、雇用継続、新規雇用を図るため、主治医、事業主、家族な ど関係者による連携体制を確立した上で、対障害者、対事業主支援を一貫して行うとい う内容です。  具体的には、精神障害者1,800人以上、精神障害者の新規雇用のために支援が必要な 事業所2,300以上、復職及び雇用継続のために支援が必要な事業所4,700以上を対象とし て19年度までの間に専門的な支援を行い、その結果として復職支援及び雇用継続支援終 了者の50%以上が復職又は雇用継続できるようにすることを目標としています。  また、支援を受けた事業所にアンケート調査を実施し、「精神障害者の雇用管理を進 める上で効果があった」との評価80%以上を得られることを併せて目標としています。  なお、これらの数字につきましては、参考1に書いてありますように、平成17年度下 半期の予算対象人員を参考に、その2.5年分としております。  (2)新規業務に係る経費について、既存の経費削減割合と同じ考えで、平成17年度以 降の削減目標を設定するということで、資料1−2の1ページの右側、第2をごらんく ださい。一般管理費などの経費について、全体としては平成14年度と比べて13%程度削 減することになっていますが、同じような比率で、17年度下半期以降4%程度の削減を 行う。  業務経費については毎年度1%以上の削減を図ることになっていましたが、新規業務 についても同様の考え方で、残りの19年度までの間、1%削減が行われるようにすると いうことです。  (3)ジョブコーチ事業の対象者数から、障害者雇用納付金制度に基づく助成金に移行 する、福祉施設に委託している実施分を除外するというもので、資料1−2の1ページ の7の(1)の(3)をごらんください。左側にありますように、ジョブコーチ支援事業につ いては、自ら行うものと外部機関の協力を得て委託で行うものを含め、13,000人以上の 障害者を対象に実施することとされていましたが、右側にありますように、今回、外部 機関の協力を得て行うものを廃止することとしましたので、平成17年度以降は地域セン ター自ら行うもののみの人数となるため、13,000人が10,500人に減少します。  また、ジョブコーチ支援事業を受けた者にアンケート調査を実施し、職場適応を進め る上で効果があった旨の評価を80%以上得られることを目標としています。  (4)障害者雇用納付金制度に基づく助成金に移行する、障害者雇用継続継続助成金に 係る記述を削除するということで、資料1−2の一番下の10という項目をごらんくださ い。雇用継続助成金制度を廃止して、障害者雇用納付金制度に基づく助成金に移行しま すので、この部分を削除するという内容です。  中期目標の変更については以上です。  続きまして中期計画の変更について説明申し上げます。資料1−3と資料1−4をご らんいただきたいと思います。  資料1−3ですが、概要は、中期目標の変更を踏まえ、中期計画に所要の変更を行う ということで、目標の変更に合わせて、(1)から(4)までの内容は同様ですので、省略さ せていただきます。  (5)ですが、常勤職員の人件費について、既存の経費削減割合と同じ考え方で、平成 17年度以降の削減目標を設定する。  資料1−4の3ページをごらんください。一番下の第7の1の(2)人員に係る計画で すが、常勤職員の人件費について、体系的支援プログラムに係る人件費を除いて、14年 度と比べて13%に相当する額と、体系的支援プログラムに係る4%など、人件費の削減 部分を記載しています。常勤職員数についても所要の整理をしています。  これらの改正内容を踏まえて中期計画の予算の変更がありますので、5ページ以降の 形で数字を変更しております。  中期計画の変更については以上です。  続きまして業務方法書の変更について説明申し上げます。資料1−6と資料1−7を ごらんください。  資料1−6は業務方法書の変更です。「障害者雇用促進法の一部改正法」の施行によ る障害者雇用継続助成金の廃止・納付金業務への統合に伴い、所要の変更を行うもので す。  具体的な内容を説明いたします。  変更内容の1番は、納付金関係業務の対象の拡大に伴い、関係規定を整備する。これ は第10条関係ということで、資料1−7では1ページの右下の第10条のところをごらん いただきたいと思います。これにつきましては条文の根拠が、第73条第1項に基づく業 務に加え、第74条第1項の業務が加わった関係で、その内容を記載しています。  2番目は障害者雇用納付金の廃止・納付金業務への統合に伴う規定の削除です。  資料1−7の2ページの左側に第13条、14条がありますが、雇用継続助成金制度が廃 止されますので、ここを削除するという内容です。  3番目は、これらの改正に伴う形式的整備を行うという内容です。  変更の時期は、本年10月1日となっております。私からの説明は以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。御質問等がありましたらお願いします。よろしいでしょう か。  それでは、この変更案を当部会としては了承することにしたいと思います。 (2)重要な財産の譲渡について ○井原部会長  続きまして、高齢・障害者雇用支援機構と労働者健康福祉機構の重要な財産の譲渡に 関する審議に移ります。  重要な財産の処分については、独立行政法人評価委員会の意見を聴いた上で、厚生労 働大臣が認可を行うことにされています。そこで、今回の財産処分について、法人に説 明をお願いし、その上で委員の皆様の御意見を伺いたいと思います。  議事の関係上、2法人から説明をいただき、まとめて審議をしたいと思います。  では、高齢・障害者雇用支援機構から説明をお願いします。 ○若林高齢・障害者雇用支援機構経理部長  資料2「独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構宿舎用地財産処分に係る申請書」に 基づいて説明させていただきます。  1ページに申請書の写しがあります。  1.処分等に係る財産内容及び評価額ですが、所在地は大阪府枚方市招提中町1−196 −6、京阪電鉄の牧野駅から2.2キロのところにあります。  不動産の概況としては宅地、現在更地ですが、1,421.48平方メートル、周辺一体は住 宅地域です。東側は6mの市道に面しています。  鑑定評価額はここに記載してあるとおりですが、金額の読み上げは差し控えます。こ れは15年10月時の評価価格でして、競争入札時に改めて鑑定評価を行い、これを最低売 却価格とする予定です。  2.処分の理由等ですが、当該土地は職員宿舎建設用地として、昭和39年に旧雇用促 進事業団が購入し、同40年同地に大阪労働局との合築により職員宿舎(RC・4階建24 戸)を建設、昭和63年に当機構の前身である日本障害者雇用促進協会が建物4戸分と共 に承継し、これを15年10月、当機構が独法発足した時に承継したものです。  しかし、建物については経年による老朽化が著しく、また入居率も極めて低い状況に あったため、平成16年末に建物を取り壊し、現在更地になっております。  今後、当機構においては庁舎、宿舎等としてこれを利用する計画はありません。持っ ていることで生じるリスク等も勘案して、一般競争入札により譲渡処分しようとするも のです。  3.処分等の方法、4.処分等の条件、5.機構の業務運営上支障がない旨及びその 理由については、先ほど御説明したこととダブりますので、省略いたします。  6.添付書類として、次のページから登記簿謄本、位置図、現況の写真を添付してお ります。申請時には公図と測量図も添付しておりましたが、現況と若干異なる状況にな っているため、これは外しております。  簡単ですが、以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。次に労働者健康福祉機構から説明をお願いします。 ○斉藤労働者健康福祉機構経理部長  資料3「独立行政法人労働者健康福祉機構珪肺労災病院の譲渡に係る申請書」により 説明させていただきますが、その前に、珪肺病院の廃止及びこのたびの譲渡申請に至る 経緯等につきまして若干説明をさせていただきたいと思います。  まず珪肺労災病院廃止の経緯ですが、平成13年12月19日付閣議決定、特殊法人等整理 合理化計画を踏まえ、厚生労働省において平成16年3月30日付で策定されました労災病 院の再編計画において、平成17年度に廃止する対象病院とされました。当機構はこれを 踏まえ、同病院を平成18年3月31日までに廃止することとしたところであります。  次に譲渡申請に係る経緯等ですが、当機構は珪肺労災病院の移譲等に当たり、厚生労 働省から示された労災病院の再編計画の中で、第1に地方公共団体等関係者との協議、 第2に患者への配慮、第3に職員の雇用確保への配慮の3点の留意点に基づき、移譲等 の業務を行うこととしてきました。  これにより、当機構は地元栃木県、日光地区広域行政事務組合及び厚生労働省との間 において珪肺労災病院の委譲に係る連絡会議を設置し、移譲に関する情報交換を行って まいりました。その結果、地元自治体及び地域住民から医療機関存続の要望が強いこ と、また平成16年8月2日付で当機構理事長あて、栃木県医師会及び日光地区広域行政 事務組合、栃木県日光地区商工会議所の連名により、学校法人獨協学園獨協医科大学へ の移譲による医療機関存続を内容とする珪肺労災病院の移譲に係る要望書が提出される に至りました。  当機構は、以上の経緯等を踏まえまして、平成17年1月25日開催の理事会において移 譲先医療機関の選定についての4条件、また減額して譲渡する場合の3条件をそれぞれ 定めました。このたび、この移譲先医療機関の選定4条件及び減額譲渡する場合の3条 件を充足した医療機関として学校法人獨協学園獨協医科大学を選定することといたしま したので、本申請に至ったところであります。  それでは申請の内容について御説明いたします。資料3の1枚目は申請書の鑑ですの で、2枚目をごらんいただきたいと思います。  1.処分財産の内容ですが、土地につきましては、栃木県藤原町に所在する珪肺労災 病院敷地及び今市市等に所在する職員宿舎敷地3カ所を合計して約26,000平方メートル です。  建物につきましては、病院並びに3カ所の職員宿舎及び藤原町の民有地を借り受けて いる高徳宿舎を合計して延床面積約20,500平方メートルです。土地、建物それぞれの所 在地と面積は記載のとおりです。  次に、この財産の評価額につきましては公になりますと今後の契約交渉等の業務の都 合上支障がありますので、読み上げは控えさせていただきますが、金額及びその内訳は 記載のとおりです。なお、評価額は民間の不動産鑑定評価額によっております。  2.処分等の条件です。  (1)移譲先医療機関の選定4条件は次のとおりです。  (1) 地元関係者が、当該病院の廃止後の後継医療機関の在り方について地域医療の 観点を踏まえた基本構想を策定していること。  (2) 地元関係者が、次の事項を明らかにした上で、移譲先医療機関として最も適当 であると認める医療機関を選定していること。  ア 上記基本構想を踏まえた医療活動を安定的に遂行する意思と能力を有すると認め る理由。  イ 移譲先医療機関として最も適当であると認める理由。  (3) 地元関係者から選定された移譲先医療機関が、地元関係者と上記基本構想に基 づいた医療活動を実施することについて合意していること。  (4) 地元関係者から選定された移譲先医療機関が、引き続き10年以上医療機関の用 に供することを約していること。  このような選定条件を定めましたのは、一つは、本移譲は地域医療にとって現地での 医療機関の存続が必要であることから行うものですが、地域医療の在り方、医療機関の 必要性、必要な医療機能、適当な運営形態等は、地域保健医療計画の策定主体である栃 木県及び地元自治体の判断を尊重すべきであると考えられることから、選定条件の第1 を「地元関係者が後継医療機関の在り方について地域医療の観点を踏まえた基本構想を 策定すること」としたところであります。  また、選定条件の第2として珪肺労災病院が設置されている二次医療圏・栃木県の西 部医療圏が病床過剰地域であるため病院の新規開設は許可されず、既設医療機関からの 承継による開設は可能ですが、当該後継医療機関については栃木県の医療計画にのっと って、最も適切と認められる医療機関であることが適当であると考えられることから、 選定条件の第2を「第1の基本構想を踏まえた移譲先医療機関として最も適当であると 認める医療機関を選定していること」としたところであります。  選定条件の第3を、選定条件第2より選定された医療機関が地元の医療機関の観点を 踏まえた基本構想に基づく医療活動を実施する必要があることから、そのことについて 「地元関係者と合意していること」としたところであります。  選定条件の第4として、当該医療機関が譲渡された財産を少なくとも10年以上は基本 構想に基づいた医療活動に供することを義務づけることが適当であると考えられること から、「引き続き10年以上医療機関の用に供することを約していること」としたところ であります。  (2)譲渡譲渡する場合の3条件は次のとおりです。  (1) 上記(1)により選定された医療機関であること。  (2) 公的な性格を有する法人が運営する医療機関であること。  (3) 珪肺労災病院の常勤職員であって移譲先医療機関に再就職を希望する者の雇用 について最大限の配慮をするものとし、機構との間で誠実に協議を行い対応すること。  このような減額譲渡する場合の3条件を定めましたのは、当該地域における医療の確 保に十分配慮するという労災病院の再編計画の趣旨及び地方公共団体、学校法人等に譲 渡される国有財産が病院、学校等の施設に供される時には、時価から5割以内を減額し た対価で譲渡できることとする国有財産特別措置法等を参考として定めたところであり ます。  3.処分の方法です。  平成17年1月31日付で栃木県知事等地元関係者から「珪肺労災病院再生基本構想」及 び「珪肺労災病院の移譲に係る確認書」が当機構理事長あてに提出され、先程申し上げ ました「移譲先医療機関の選定4条件」を充足する医療機関が獨協学園獨協医科大学で あることが確認されたこと等から、機構会計規程第40条第4項の規定に基づく随意契約 により珪肺労災病院の用に供している上記1の財産を学校法人獨協学園に譲渡すること としました。  また、譲渡価格については、「珪肺労災病院の移譲に係る基本合意書」及び「珪肺労 災病院の移譲に係る基本協定」等から上記「減額譲渡する場合の3条件」を充足するこ とが確認されることから、当機構不動産管理細則第27条第2項の規定「国もしくは地方 公共団体の用に供するとき、又は業務の運営上特に必要があると認めるときは理事長の 承認を得てこれを減額し、又は無償とすることができる」を適用し評価額から5割を減 額した価格により譲渡することとしています。  4.珪肺労災病院を譲渡することについて機構の業務運営上支障がない旨及びその理 由ですが、本譲渡は機構法及び「労災病院の再編計画」並びに「中期計画」に基づいて 譲渡するものであり、機構の業務運営上支障のないところであります。  以上が珪肺労災病院の譲渡に係る申請の内容でございます。よろしくお願いいたしま す。 ○井原部会長  ありがとうございました。御意見、御質問がありましたらお願いいたします。 ○久道委員  3点ほどお伺いします。今回は減額条件を5割としたようですが、7割減とか3割減 の時の条件は作られているのかどうかというのが1つです。病院の民間への譲渡はこれ からも何カ所かあると思うんですが。  2つ目は、国の機関から地方自治体とか民間に病院を移譲する時に、安く売ったほか に何年かにわたって補助金を交付するということがよく行われていますが、この労災病 院と獨協大学との確認書の中ではそういったことは一切ないのかどうか。  3つ目は、珪肺患者が中心になって入院していると思うんですが、この珪肺患者は今 後どこへ行くのか。ほかの労災病院に行くのか、あるいは継承する獨協大学附属病院で 主にみるのか。その点をお願いします。 ○小鹿労働者健康福祉機構総務部長  まず3番目の珪肺患者につきまして、獨協医科大学は、現在珪肺労災病院が担ってい る機能を引き継ぐということですので、珪肺患者についても、ほかの病院に行きたいと いう方がいらっしゃれば別ですが、そういった事情がない限り、新しい病院で引き継ぐ ことになります。  2番目の御質問は移譲後も補助金等があるのかということですが、これは一切ござい ません。  最初の御質問の減額譲渡は7割、3割のスキームがあるかということにつきまして は、私どもは珪肺労災病院以外にもいくつか今後廃止していく病院がありますが、5割 譲渡につきましては、珪肺労災の移譲に係るスキームのみに適用するという考えでし て、後続の廃止病院につきましては減額の率がどうなるのか等を含めて、一つ一つ判断 をしていくことになろうかと思います。  5割引きという線を出しましたのは、私どもは国有財産ではありませんが、これに準 じた公的な資産ということで、国有財産特別措置法の減額率の最大幅であります5割を 上限として、このたびの減額率を設定いたしました。 ○篠原部会長代理  これは処分対象なので、処分金額は国庫へ返して、減資するということですね。ここ に評価額等が書いてあるんですが、随意契約ですよね。いつの時点の評価額なのか、い つ処分するのか書いてないんですが、それは発表できないんでしょうか。 ○斉藤労働者健康福祉機構経理部長  第1点目の売却代金につきましては国庫に納付することになっております。  評価の時点につきましては17年1月1日でございます。私どもは運用上は1年以内で あれば評価変えはしないということでやっております。したがいまして、厚生労働大臣 の認可を受け次第、相手方と契約を結びたいと考えております。 ○篠原部会長代理  高齢・障害者雇用支援機構の方の財産処分について伺いたいます。「今後当機構にお いて利用する見込みが立たない」ということは、宿舎等勘定は、独立採算性をもとにし ておいて、将来全部やめちゃうという前提じゃなかったかなと思うんですが、その一環 として処分されるものでしょうか。 ○若林高齢・障害者雇用支援機構経理部長  宿舎等勘定という区分けはないと思っておりますが。 ○篠原部会長代理  これは国庫に返す金じゃなくて、中で運用する金になんですか。 ○若林高齢・障害者雇用支援機構経理部長  中期計画最終年度では国庫に納入されると思います。 ○寺山委員  獨協学園医科大学附属病院は珪肺機能はそのままやるということですが、それプラス 地元の地域病院ということで理解してよろしいんでしょうか。獨協が経営する大学附属 病院だけど、性格が少し変わって、地域の総合病院として機能するというふうに理解し てよろしいんでしょうか。ベッド数も変わらないんでしょうか。 ○小鹿労働者健康福祉機構総務部長  獨協医科大学の意向としては、ベッド数については当面は現行の珪肺労災の病床数を 維持していきたいという考えです。  病院の機能ですが、地元栃木県と獨協医科大学の間において今後の地域医療をどうす べきかを御議論いただきまして、その結果、珪肺労災が有している機能は基本的に引き 継ぐ、それに加えて地域医療の観点から小児科の医療とか、将来的にはがん関係につい ても医療機能を付加していきたいという考えをもっているようです。 ○井原部会長  ほかに御質問等はよろしいでしょうか。  それでは、今回の重要な財産の譲渡について当労働部会では了承することにしたいと 思いますが、よろしいでしょうか。    (異議なし)  ありがとうございます。それでは厚生労働大臣に対し意見なしである旨、書面にて回 答することといたします。具体的な文案につきましては私が事務局と調整して決めさせ ていただくという形で、御一任いただきたいと思います。  では、次の議題に移りたいと思いますが、ここで事務局の入れ替えがありますので少 々お待ちください。 (3)総合的評価について ○井原部会長  総合的評価書、財務諸表に関する意見につきましては、起草委員の方々に、お忙しい 中、御尽力をいただきありがとうございました。では、初めに総合的評価について審議 いたします。  総合的評価の起草委員については、第18回労働部会の時に御報告いただく起草委員を 指名しておりましたので、各法人の起草委員により総合的評価書(案)について、勤労 者退職金共済機構、高齢・障害者雇用支援機構、雇用・能力開発機構、労働者健康福祉 機構、労働政策研究・研修機構の順に御報告いただき、5法人まとめて審議をしたいと 思います。  なお、議事運営の関係上、報告時間は各法人とも10分程度でお願いいたします。  では、勤労者退職金共済機構の起草委員の代表として、今村委員からお願いします。 ○今村委員  資料4の「独立行政法人勤労者退職金共済機構の平成16年度の業務実績の評価結果」 (案)について説明申し上げます。  まず1ページ、1の(1)評価の視点ですが、当機構は平成15年10月に新たに独立行政 法人として発足したものであります。今回の評価の対象は15年10月から20年3月の中期 目標の第2年度の達成目標についての評価ということです。  (2)全般の評価ですが、独立行政法人勤労者退職金共済機構は2つの大まかな視点を もって評価したいということで、まとめてみました。1つは退職金制度への加入、もう 1つは将来にわたる確実な退職金給付です。これに対して業務がどの程度寄与するもの であったかということが中心になります。これらを踏まえますと、平成16年度の業務実 績については全体として、この2つの目的に資するものであり、適正に業務を実施した と評価できると考えられます。  具体的に申し上げますと、まず加入促進の実績に関しては、重点数値目標である加入 者数目標が法人全体としては103.4%ということで達成されています。厳しい雇用情勢、 自然災害など加入促進を取り巻く環境は必ずしも良好でなかったのですが、概ね達成さ れたものと考えられます。  確実な退職金給付に関しては、加入促進に取り組むなどして掛金収入が増加したこ と、資産の運用・評価体制に基づいて資産運用が概ね的確に行われたこと、経費節減の 取り組みが積極的に行われたこと等から累積欠損金の減少など具体的な成果が出ていま す。  これらの成果を支える基盤として、(1)職員の能力開発プログラムの策定など内部管 理体制の改編、(2)外部専門家からなる組織の活用、(3)業務の改善、電子化の推進など による運営の効率化、(4)諸手続の見直し等による加入者負担の軽減、契約審査期間の 短縮、情報提供体制の整備などを進めることによる加入者へのサービス体制の向上が図 られ、これらが上記2つの目標を成する努力としてなしとげられたということです。  以上が大まかな評価の概要です。  2ページを見ていただきますと、留意点として5点ほど要望しております。  (1) 加入促進については、15年度、16年度の対策の効果について十分な検証を行い、 より効果的な加入促進対策を実施していただきたい。特に加入者が目標に達しなかった 事業については現状を踏まえつつ、より積極的な取り組みをお願いしたい。  (2) 累積欠損金の存在は当面の退職金の支給に支障を来すものではありませんが、 事業主が安心して加入できる制度であるためには、計画的な累積欠損金の解消が重要で す。したがって、早急かつ実効ある取り組みをお願いしたい。  (3) 業務全体を支える人材の面では、職員の研修の充実や適材適所の人員配置など 効率的かつ柔軟な組織・人員体制を積極的に進めておられますが、今後はその体制を的 確に活用し具体的な成果を得ること、そして引き続き不断の見直しを行っていただきた い。  (4) 業務の効率化については、サービスの見直しや目標の前倒し達成などをしてお られて一定の評価はできるのですが、さらに17年度以降の業務実績の向上につなげてい ただきたい。  (5) 中期計画の達成に向けて必要な組織・体制の構築を行い、より良いサービスを 提供するための意識改革を理事長自ら先頭に立って進めておられることは高く評価でき ますが、今後、組織改革等を通じて、その真摯な取り組みが個々の職員にさらに浸透 し、組織改革が具現されることを強く期待します。  以上、5つの点について留意していただきたいということを付け加えさせていただき ます。  残りました時間で、具体的なポイントについて重要と思われる点を説明いたします。  2.具体的な評価内容の(1)の(1)効率的な業務運営体制の確立のところで、3ページ に組織・人員体制が書いてあります。17年度から新たな人事評価制度等を導入しておら れますが、能力開発プログラムや人事評価制度が今後さらに職員に浸透し、その効果が 実績に表れるよう制度の運用に積極的な努力をなされたい。研修については、参加職員 による評価など今後のフォローアップを適切に行うこと、人事評価に基づいて適材適所 の人材配置を実施することを検討していただきたいと思います。  外部委託については、現在行われている外部委託の取り組みが個人情報保護等のセキ ュリティ対策が十分になされたものであるかどうかも含め、早い段階で検証し、必要な 見直しが行われることを期待します。  (2)業務運営の効率化に伴う経費節減ですが、経費節減の努力をして、さらに当初予 定になかった必要経費を捻出したにもかかわらず、支出額が予算額を下回るものであっ た。こういう自主的な努力については高く評価したいと考えています。  4ページの(2)の(1)サービスの向上のところですが、ホームページを使って書式のダ ウンロード等利用者の便宜を図っているという努力は認められるものの、ホームページ が各事業本部ことに別々に提供されているので、さらに内容の充実を図りつつ、アクセ ス件数や利用者満足度等の客観的評価も取り入れて、さらにホームページの管理体制の 統一に向けた努力をお願いしたいと思います。  中小企業の退職金共済事業は全体の10%のシェアということですが、加入を促進する 意味で、インターネットの努力に加えて、中小企業の経営者の意思決定の実情に適した 制度の周知徹底に取り組んでいただけたらと思います。その他、意思決定・事務処理の 迅速化についても努力していただきたいと思います。  (2)加入促進対策の効果的実施ですが、清酒製造業退職金共済事業と林業退職金共済 事業については加入者目標を達成できなかったので、17年度以降は達成の努力をしてい ただきたい。  被共済者数は増加しているんですが、事業者数が減少していますので、今後は加入す る企業を増やしていただきたいと思います。  (3)の(1)累積欠損金の処理については、計画以上の400億円という累積欠損金の解消 をしておられます。この結果については金融市場の状況など外生的な要因も多く影響し ていることに留意しつつ、引き続き累積欠損金の解消の努力していただきたい。  (2)健全な資産運用等ですが、外部評価委員会等を用いながら、今後を見据えた運営 戦略、的確なポートフォリオの構築等を目指しておられること、健全かつ効率的な運用 体制を確立されていることは評価できます。リスクの管理について戦略的に行えるよ う、内部の人材の育成や委託運用機関等の効果的な活用に取り組まれたらいかがであろ うかということを付け加えさせていただいています。  (4)その他業務運営ですが、ユーザーのニーズ調査について積極的に取り組んでおら れますので、これを着実に業務に取り入れ、改善を目指していただきたいと思います。 以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。続きまして、高齢・障害者雇用支援機構の起草委員を代表 して、寺山委員からお願いします。 ○寺山委員  資料5をごらんいただきたいと思います。独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の 平成16年度の業務実績の評価結果の案を申し上げます。  1ページの(2)全般的な評価ですが、駐在事務所と障害者雇用情報センターの統合な どの組織改革も進みました。人件費を中心とした経費節減、雇用者本位のサービスの向 上など、当機構は理事長を中心に主体的に改革に取り組んだ結果、年度計画にある数値 目標をすべて上回るなど、着実に実績を上げていると評価しました。  ただし、以下の3点について留意する必要があると考えられます。  (1) 経費節減については、予算に対する毎年度の削減額実績を明らかにし、経費削 減の進捗状況を把握する必要がある。  (2) アンケート調査によって把握したニーズ等を業務改善に役立てるなどの努力は 見られますが、さらにフィードバック体制を整備する必要があると考えられます。  (3) 高齢者関係業務と障害者関係業務を統合した結果、どのように業務が効率化さ れ、質的にも向上したかを具体的に把握し、統合結果を目に見える形で出していただく 必要があ。以上3点が留意事項です。  2.具体的な評価内容です。  (1)業務運営の効率化については、昨年、本部組織を大手町の高齢者事業本部を竹芝 事務所に移転するとともに、地方組織については障害者雇用情報センターを廃止し駐在 事務所へ業務を集約するなど、組織のスリム化に積極的に取り組んでいる点は評価して います。  経費節減については、予算を厳守した業務運営、競争入札の積極的に導入など、この 点も評価しています。  人件費については、給与水準が国家公務員と比較して高い水準にあることに留意しつ つ、柔軟な人事配置とそれに対応した人材育成や評価と報酬の明確化など、職員の士気 を維持・向上できるよう人事制度全体の工夫をお願いいたします。  給付金・助成金の支給業務については、平均処理期間が平成14年度の93.2日から16年 度は77.0日へと大幅に短縮し、中期目標にある10%短縮を達成したことは大いに評価し ています。今後も引き続きこの努力をお願いしたいと思います。  (2)国民に対するサービスの部分に移ります。  (1) 高齢者等や障害者の雇用状況等の提供については、ホームページが大変魅力的 になったことを評価しています。高齢者、障害者などハンディキャップのある方もアク セスするということで、バリアフリーに配慮したホームページの作成に努力しておられ ますが、今後もよろしくお願いします。  (2) 高齢者等雇用支援業務ですが、改正高齢者雇用安定法への対応を重点的に実施 し、団塊の世代対策ということで、この点は評価しております。  高年年齢者雇用アドバイザーによる相談・援助については相談件数も上がり、アンケ ート調査も良い結果ということですが、個別相談の効果の把握や業務間の情報の共有・ 連携などについて引き続き努力をお願いいたします。  在職者を中心とした中高年齢者に対する高齢期の職業生活設計に関する個別相談につ いては件数が年度計画を大幅に上回っていますが、相談内容について体系的に分析し、 業務にフィードバックできる体制を構築するようにお願いします。土日のセミナーは大 いに評価しております。  (3)障害者雇用の支援業務ですが、職業リハビリテーションサービスの実施について は、重度の障害者、就労困難な方へのアプローチということで意欲的に業務を進めてい ることは評価します。職業準備支援事業の修了者の就職率が50%を超えたこと、ジョブ コーチ支援事業の終了後6カ月時点の定着率が83%に達したことは高く評価できます。  職業リハビリテーションに係る調査研究については、調査・研究の実施から評価まで のサイクルを整備し、研究成果を高めており、評価できます。今後はさらに研究成果が 蓄積されて利用されるように期待いたします。  障害者職業能力開発校については、個別カリキュラムの設定や見直し、チームティー チングに積極的に取り組み、就職率が89.8%と高くなったことは評価できます。重度障 害者の訓練技法を開発しておられるということなので、これを皆さんに教えて普及して いただきたいと思います。  (3)財務内容の改善については、予算執行状況その他、中期目標に沿って適切に実施 されいます。障害者雇用納付金に係る積立金も着実に運用されており、適切に業務を行 っていると評価いたしました。以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。続きまして、雇用・能力開発機構の起草委員を代表して、 宇佐美委員からお願いします。 ○宇佐美委員  資料6でございます。主要なところは読ませていただきます。 1.平成16年度業務実績について  (1)評価の視点は従前と同じです。  (2)平成16年度は、当機構が質的に業務を開始した初年度として中期目標及び中期計 画の達成に向け、業務を効率的・効果的に実施し、併せて利用者のサービス向上を一層 進めていくことが求められたところである。  業務の中心である職業能力開発業務については、就職率について中期目標に掲げた数 値をすでに上回っており、個別項目に関する評価に関する評価結果にも見られるように 全般としてほぼ適切に行われている。  これらを踏まえると、平成16年度の業務実績については、全体としては当機構の目的 である「良好な雇用の機会の創出その他の雇用開発、職業能力の開発及び向上並びに勤 労者の生活の安定」に資するものであり、適正に業務を実施したと評価できるが、以下 の点について留意を願いたい。  (1) 経費削減の計画が順調に進んでおり、業務運営の効率化が図られているが、費 用対効果の把握について、費目別の経年的な改善度合の妥当性、単年度の費目別比率の 妥当性等、費用構造の把握に向けての努力が必要である。  (2) 平成20年3月の中期目標及び計画のほとんどを平成16年度に達成したことにつ いて、高く評価するとともに、平成17年度以降についても、引き続きより一層の業務の 効率的な推進に期待する。  また、当機構と類似の業務を実施する企業、NPO、官民を問わず国内外の各種機関 等との比較検討の中から改善点を見出し、さらに改善を進めていただきたい。  (3) サービスの質の向上の指標としてアンケート調査の満足度を掲げているが、中 期目標に掲げた数値の達成率とは別に、それによる効果の程度がわかる指標も掲げ、な ぜその業務が満足いくものとなったかを把握できるようにすべきではないか。 2.具体的な評価内容  (1)業務運営の効率化について  組織体制に関しては、業務を効率的・効果的に行う観点から機構本部に委員会を設置 し、見直しの検討が進められた結果、平成17年度より27都道府県で職業能力開発促進セ ンターと都道府県センターの事務・業務を一人の統括所長の下で一元的に行うことと し、効率的な組織としたことは評価できる。  また、経費削減については、平成16年度予算計画にのっとり一般管理費及び業務経費 を平成14年度比99億円削減するとともに、さらに情報システムの見直し等により一般管 理費を20億円、施設の借地面積の縮減等により業務経費を67億円削減し、中期目標に掲 げる数値を前倒して上回ったことは評価できる。一方で、急激な経費削減は法人の円滑 な業務運営に影響を及ぼすことも考えられることから、平成16年度に引き続き、計画的 な経費削減とサービスの質の向上の両立を図ることを期待する。  助成金等の支給に係る処理期間の短縮については、職員研修の実施による審査能力の 向上等により、1件当たりの平均処理期間を平成14年度の28日の7.1%に当たる2日短 縮し、加えて特に平均処理期間が長かった助成金について1件当たりの平均処理期間を 10日短縮したことは評価できる。今後、手続の簡素化について、さらなる工夫を図る必 要がある。  各個別事業の効率的実施については、民間教育訓練機関との役割分担を行い、関係団 体からのヒアリング等により把握した人材ニーズを踏まえた訓練コースの見直しを行っ たこと、離職者訓練受講者に占める民間委託の割合を67.1%に引き上げたこと、民間外 部講師の活用割合を16.7%に引き上げたこと等の努力はなされている。しかしながら、 各施設の費用対効果を把握するとともに、民間外部講師の活用によるコスト削減効果の 実績を把握するなど具体的なコスト削減効果を把握すべきである。  (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上について  (1) 業績評価の実施及び業務内容の公開について  業績評価の仕組みについては、各事業について定期的に実績を把握して進捗管理を行 い、5段階評価を行って、その結果をホームページ上で公開するという制度を設けた。 今後は、その結果をいかに業務運営に反映させるかについて検討していただきたい。  2 雇用開発業務について  雇用開発業務は相談等業務及び助成金業務に大別されます。  雇用管理の改善に関する相談件数は83.741件で平成14年度よりも29.4%増加してい る。また、雇用管理の改善に関する相談等終了時のアンケートといった満足度調査すべ てにおいて約95%の方から「役に立った」等の評価を得ている。今後は、アンケートで 「役に立たなかった」という回答の理由を重く受け止めるとともに、業務の質の向上に 関する指標についても検討してはいかがかと思います。  助成金業務については、中小企業事業主等に対して行う雇用管理の改善に関する助成 金等については、説明会を4,716回、個別相談を81,009件実施するなどしている。今後 は、助成金支給後状況等を把握するなど、助成金の効果の検証につながるような取り組 みを充実させるとともに、予算執行率の低い助成金支給実績の背景を分析・検証し、今 後の助成金の在り方についても国に対し提言願いたいと思います。  また、助成金の審査においても、疑義事業所303件を含む3,623事業所を訪問するな ど、ほぼ目標を達成しているが、さらなる徹底が期待されます。  (3) 職業能力業務においては、在職者訓練、離職者訓練、学卒者訓練、若年者対策 等を実施している。  より効果的な職業訓練を目的とした関係機関との連携及び人材ニーズ把握について は、人材育成地域協議会の96回にわたる開催等の取り組みは進んでいるが、それらを通 して具体的にどのような成果があったかについて検証すべきである。  在職者訓練については、受講者に対するアンケート調査で97.4%、受講者を派遣した 事業主に対するアンケート調査で93.6%の「役に立った」等の評価を得ており、評価で きる。ただし、少数ではあるが、「役に立たなかった」との評価も受けており、受講生 のニーズの把握が十分であるかといった点について検証すべきかと思います。  離職者訓練については、機構の施設内で実施する訓練では78.5%、民間に委託して実 施する訓練では60.5%の就職率となっている。また、民間に委託して実施する訓練にお いては、委託先機関の委託費について就職率実績に応じた委託費の支給方法を導入する など訓練後の就職率向上に努めておられます。  これらにより中期目標をすでに上回る実績をあげていることは、評価できる。今後、 就職率の一層の向上と、少子高齢化時代における労働力不足への対応として労働者の職 業能力向上への努力、女性・高齢者への就職支援にも尽力することが求められる。ま た、団塊の世代の大量利殖(2007年問題)に対応した高度熟練技能者の養成・確保につ いても留意いただきたいと思います。  以下、学卒者訓練、新分野等への事業展開、若年者対策、調査・研究、助成金業務に ついては詳細は省略しますが、それぞれの業務が順調に推移していると思われます。  5ページの(3)、(3)財務内容の改善についても省略させていただきます。以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。続きまして、労働者健康福祉機構の起草委員を代表して、 久道委員からお願いします。 ○久道委員  資料7をごらんいただきたいと思います。  まず1ページの(1)評価の視点ですが、この法人は平成16年4月に新たに独立行政法 人として発足したもので、労働者の福祉の増進に寄与することを目的として、労災病院 を初め産業保健推進センター、リハビリテーション施設の運営のほか、助成金の支給、 未払賃金立替払事業など、多様な事業を効率的に運営していくことになっています。  当機構は、事業収入に占める病院の診療報酬が非常に大きいという特徴があります。 今回の評価は中期目標の初年度の評価ということになります。  (2)平成16年度業務実績全般の評価について述べさせていただきます。初年度という ことで、理事長のリーダーシップの下、職員の意識改革、組織運営体制の見直し、内部 業績評価制度の導入など中期目標達成のための基盤整備を積極的に行っています。ま た、業務運営の効率化に伴う一般管理費及び事業費の経費削減も年度計画を上回る実績 を上げている。これらを踏まえると、中期目標の初年度に当たる16年度の業務実績につ いては全般的には概ね目標を達し、またはそれ以上の実績を上げており、適正に業務を 実施したと評価できると思います。  次年度以降についても中期目標達成に向けて、さらに具体的な成果が上がるよう努力 されることを期待します。 2.具体的な評価内容について、事業運営に当たっての留意点を中心に説明したいと思 います。  (1)組織運営体制の見直しについては、職員一人一人に経営方針を浸透させる努力を 行っているが、適切に浸透したかのフォローアップを継続的に行うことが重要であり、 さらに理解度を高める努力が必要であります。  職員給与の見直しについては、職員の納得を得るための粘り強い努力の成果が認めら れるが、今後の人事・給与制度の構築に当たっても、職員のモチベーションを維持しつ つ、モラールの低下を招かないよう配慮が必要であろうと思います。  労災病院の統廃合に当たって財産の処分に際しては、適正な価格で行われることに留 意する必要がある。  (2)の(1)バランンススコアカードの手法を用いた内部業績評価制度は次年度以降、本 格的な実施がなされることもあり、初年度は評価に表れなかったが、次年度以降、これ を具体的にどのように生かし、運営の効率化の効果がどれくらいあったかの検証作業が 重要であり、期待したいと思います。  (2)勤労者医療の中核的役割の推進のところですが、労災疾病に係る研究開発につい ては、アスベストの問題にも見られるように、法人の業務として重要な位置を占めるこ ととなると思います。初年度は計画の策定が中心でしたが、将来の適切な研究成果を得 るためには、そのデザインが重要であり、評価に表れなかった大変な努力がなされてい ると思います。  過労死を初めとする疾病の予防対策については、利用者の満足度だけでなく、地域の ニーズをどの程度カバーしているのか、勤労者の健康確保にどの程度寄与しているかの 検証が重要である。これは疫学研究をやってはどうかという意味です。  高度専門的医療の提供については、評価の視点として医療事故、医療過誤の状況を明 らかにすることも必要であると思います。今回の評価シートの評価項目には医療事故の 数値があがってきませんでしたので、今後はそれをしていただければと思います。  行政機関への貢献については、今般のアスベスト問題のような行政の緊急課題に柔軟 に対応した例は好事例であります。今後とも期待したいと思います。  (4)産業保健推進センターの研修・相談については、事業評価が難しいが、先の予防 対策と同様に勤労者の健康の改善にどのような効果がもたらされたのかに着目した分析 が求められるだろうと思います。  (5)助成金事業については、雑誌等への記事の記載の効果、不正受注の防止措置の成 果などについて具体的に検証することが必要であります。  (7)リハビリテーション施設の運営については、現状ではさまざまな問題が認められ、 抜本的な見直しが必要と思われます。今後の検討に際しては、ノーマライゼーション の観点からの方策を考えるべきだと思います。  (3)財務内容の改善等についてですが、労災病院の損益改善については、廃止病院の 収支悪化への対応をしつつ、中期計画終了時の収支相償に向けて経営改善を強力に進め ることを期待したいと思います。以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。最後に、労働政策研究・研修機構の起草委員を代表して、 私から報告をさせていただきます。  資料8でございます。まず1ページですが、(1)評価の視点はほかのところと形式的 にはほぼ同じですので、これは省かせていただきます。  (2)平成16年度業務実績全般の評価ですが、当機構の業務実績の評価に当たっては、 業務の効率化を図りながら研究体制の改革を行った結果、我が国の労働政策の立案及び その効果的かつ効率的な推進に寄与し、労働者の福祉の増進と経済の発展に資するもの になったかどうかという視点が中心になるものです。  そこにあります4点の重点課題として業務運営への取り組みが進められたので、これ の評価を行いました。  平成16年度の業務実績については、個別項目に関する評価結果にみられるように、中 期目標に沿った取り組みが行われ、利用者からの評価等についても高い満足度及び有益 度が確保されている。全体としては当機構の設立目的に資するものであり、適正な業務 運営がなされたものと評価できます。  2.具体的な評価内容ですが、(1)業務運営の効率化に関しては大変な努力がなされ、 大幅な経費削減が実現されており、高く評価できます。  (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上についてです。  (1)業務全般については、昨年の業績評価で当委員会から「調査研究等が機構の目的 と乖離することがないようチェックすること」という指摘がありましたが、これに対し てもうまくこたえていると思います。  (2)労働政策についての総合的な調査研究ですが、外部の学識経験者等から意見を聞 いて、社会的なニーズに対応したテーマが設定されており、研究成果が白書を初め各方 面で活用されていることから、役に立っているという評価ができると思います。今後 は、社会の変化を見据え、問題を先取りした研究テーマの提案が活発に行われていくこ とを期待しています。  調査研究の実施体制については、研究業務マニュアルの改訂等によって効率的に行わ れています。  結果については、45件の研究成果のうち35件が外部評価で優秀(A以上)との評価を 得るとともに、関係専門誌への論文掲載が42件にのぼるなど、今後とも質の向上が期待 できと考えられます。  研究者の確保については、非常勤研究員の活用等その他によってうまく行われていま す。今後は企業の実務家等の参加も望まれるところです。  研究者の育成については、任期付研究員が外部評価で優秀との評価を受けるなど一定 の成果が見られますが、研究員の能力開発というインプットの機会を提供していくこと も重要であると考えられます。  研究というのは直接的な評価が難しく、間接的になりやすいので、昨年の当評価委員 会において直接的な評価の尺度を開発してくれという注文を出しておきました。それを 踏まえ、要請研究の要請元による評価を実施するなど、より効果的な評価を行うための 取り組みがなされていることは評価できます。今後、当機構で行われた研究について、 目的に沿ったものであったかについて、直接に評価できる指標の在り方についてさらな る工夫が求められます。  外部評価については、学問的な視点のみに偏ることのないよう、リサーチアドバイザ ーの人選等について、留意する必要があります。  (2)労働事情・労働政策に関する情報の収集、整理についても適正になされています。  (3)研究者・有識者の海外からの招へい・海外派遣については、当機構の研究目的と の連携を強めるという形で行われているので、これも評価できます。今後は、研究者の 派遣がどのような効果があったのかを検証する必要があるという注文を出しています。  (4)調査研究成果の成果の普及・政策提言ですが、これも着実に行われており、質が 高いと評価できます。講演依頼や政府の審議会での対応など外部の要請にも積極的に貢 献していますが、あまりやりすぎて研究業務に支障が出ることがないように配慮する必 要があると考えます。  (5)労働関係事務担当職員その他関係者に対する研修についても着実に取り組んでい ると評価できます。  (3)財務内容の改善等についても適正に行われています。人事制度の改革が積極的に 進められていますが、今後も職員の能力開発や士気の向上に留意する必要があります。  3.今後の課題と留意点ですが、上記の評価結果を踏まえ、今後の課題として、以下 の点に留意する必要があります。  研究体制については、労働政策に通じた専門家の意見を取り入れるだけではなく、労 働問題を実際に扱っている企業の実務家の意見を様々な機会を通じて暗影させることが できるよう、留意する必要がある。海外からの研究者の招へいや、海外への研究者の派 遣については、当機構の目的に沿った研究成果をあげる立場から、全体的にどのような 効果があったのか検証する必要がある。  平成16年度の業務実績が質・量ともに非常に高いものになったことは評価できるが、 独立行政法人化当初の高い意識もあってか、業務経費等には大幅かつ急激な削減が行わ れており、職員に過大な負担が生じていないか懸念されます。今後もさらなる成果の確 保を目指すことは当然ですが、その場合、長期的な展望の下で、職員のモチベーション を維持しつつ、質の高い成果を提供していくという視点に立った取り組みに配慮された い。以上です。  では、ただいま御報告いただきました5法人の総合的評価(案)について、御意見等 がありましたらお願いいたします。 ○久道委員  特定の機構に関することではないんですが、全体的に自己評価と今回の委員による評 価と乖離がありますね。その原因として、機構の方はアンケート調査の結果を高く評価 しているところがあるのではないかと思います。「役に立った」という中には「どちら かといえば役に立った」も半分ぐらい入ってるわけですが、そうすると甘くなるのでは ないかと思います。  労働者健康福祉機構のアンケート調査の項目は「十分役に立った」とか「かなり役に 立った」という表現でまとめてるんですね。「どちらかといえば」というのは目標とし ては弱いので、今後の評価の項目の時には御検討いただいた方がいいのではないか。そ のことによって自己評価と委員の評価の乖離が少なくなるのではないかと思います。 ○井原部会長  中期目標では一緒にしたものを目標に掲げているので、来年からは「役に立った」 「どちらかといえば役に立った」という数値の内訳を表示してほしいということです か。 ○久道委員  中には表示はしてあるんです。まとめる時に、Aをつける評価の理由として、両方を 合わせて「役に立った」としてしまってるわけです。 ○井原部会長  評価者の基準の話ですか。 ○久道委員  まとめる時のまとめ方です。評価の項目として、「役に立った」「どちらかといえば 役に立った」の最後の言葉だけをまとめて「役に立った」として、95%となってますけ ど、それは甘くなる原因だと思います。 ○井原部会長  私は「役に立った」というアンケート結果はほとんど考慮しないでつけてるんです が、そこのところを考慮するかしないかというのは各委員の価値基準がそれぞれあると 思うんですね。その価値基準をよりわかりやすくするために、ばらして情報を豊富にし ておいてほしいということですね。 ○川端委員  ホームページのアクセス件数というのがありますが、ほとんどの機構が5年計画をク リアしてますね。大変努力されたということもあるでしょうけど、予想を超えてネット 社会が広がったということがありますから、大変いい仕事をしたと本当に言えるのかど うかというのは疑問です。来年度以降は前年度に対してどうか、5年の目標に対してど うかというところを重視していかざるを得ないかなと思います。途中で目標を修正する ことができない限り、そのへんを踏まえて考えていく必要があるのではないかと思いま す。 ○井原部会長  ホームページのアクセス件数が増えたのは努力の結果なのか、環境変化の成果なの か、両方が一緒になってるんですね。それはアクセス数だけではなくて、ほかの項目に ついてもあると思うんです。努力の成果としてこういうことになったのか、それとも外 部の環境変化のためにこうなったのかということを分けて報告してもらうと、我々は評 価する時にありがたいという話ですね。 ○川端委員  ネットでどれだけ増えたかという指標を一つ入れてもらえば、多少はそのあたりの分 析ができるのではないかと思います。 ○今村委員  外部環境の変化をつかまえる数値を客観的にとらえて、それとの相対評価が必要だと いうことですが、私が担当させていただきました勤退共の場合は資金運用の問題があり まして、これは外部経済環境によってかなり左右されますので、市場全体でリターンは どのくらいか、それに比べてどうかという評価が必要になります。機構の努力によるも のと外部要因によるものを今後とも客観的な指標で比較できるものを取り上げていただ くことが必要ではないかと思います。 ○篠原部会長代理  雇用・能力開発機構の1ページの(2)の(1)に「費用対効果の把握について、費目別の 経年的な改善度合の妥当性、単年度の費目別比率の妥当性等、費用構造の把握に向けて の努力が必要である」とあります。昨年度の3月末、厚生労働省独立行政法人の全体委 員会でコスト情報の把握をお願いしますということを特別に提案させていただいたんで すね。これはすべての法人にかかわることで、独立行政法人の会計基準そのものがコス トを把握することが必要だと思うんですが、ないがしろにされてるのではないかという 感じがあって、一層の努力が必要だなという感想を抱いています。 ○宇佐美委員  費目別の経年的な実績とか、今お話があったとおりだと思うんです。単年度でもそれ ぞれの費目がどういうふうになってるのか、そういうコストの構造の全体の話をたまた まここに入れたということです。  全体の問題として、これも経年的な変化を見ればいいのかなと思うんですが、能力開 発機構は目標を大部分達成して、今後どうするのかというぐらいな感じでして、それだ ったら経年的な変化ということで1行サラッと入れたというのが実態です。目標は目標 としてきちっとあるんだから、自主的にやりますよという機構なり法人が、そういう方 法がないのかなと思いつつも、限界もあるのかなという形で、こんな表現になっており ます。  各機構とも中期目標はかなり達成しちゃってることに対する対応が私のところにも表 れておりません。チラッと入ってるというぐらいにとどまっているので、そこの工夫が いるんじゃないかなという感じがしました。  機構の競争条件というか、相互比較というのが必要なんですよね。目標がこうだから こういうふうになったというんじゃなくて、国内外を問わず、似たようなところと比べ てどうかという観点も必要ではないかということで、「国内外の各種機関等との比較検 討の中から改善点を見出していただきたい」と書きました。これも全体に通じることか なと思いながら記載してあります。  もう一つは、人的、物的資源投入という概念が目標にも入っておりませんが、これが 持続的な発展のためには絶対必要な項目だなと思いました。 ○小畑委員  今回、評価させていただく時にコストとか数字にあらわれにくいものをどう評価した らいいかなということを深く考えさせられました。労働者健康福祉機構で申しますとリ ハビリテーションの問題、高齢・障害者雇用支援機構については障害者の関係の問題と いうのは、投入したエネルギーや努力がすぐに成果にあらわれるとは考えにくい部分が あります。パッと数字にあらわれにくいから、その点を頑張ることのモチベーションが 下がるようなことがあると問題ではないかということを痛感しました。  高齢者と障害者と両方の問題が一つの機構の中で取り扱われていく時に、高齢者は数 が多いのに対して、障害者は規模が小さいけど非常に多様性があって、それをどういう ふうに配慮していくかという部分で、数字にあらわれない部分をなんとかすくい取れな いかなということを非常に考えさせられました。  コストとか数字とか明確にあらわれてくる部分も重要ですし、重視すべきだと思うん ですが、それ以外の観点もおろそかにせずに考えていかなければいけないと痛感しまし た。 ○井原部会長  この世界は市場評価ができないですからね。市場評価ができれば、たくさん売れると か、高い値段がつくという話なんですが、そこのところをうまく我々がすくい上げる必 要があるということだと思います。努力をして、その成果が3年後、4年後に上がって くる、それは一つの無形財産なんですが、それは財務諸表には載せられない。これはそ のうちに芽を出す話なんだから評価しとこうよということなんですが、そのへんをどう すればいいかというのは一つの問題提起として伺っておきたいと思います。 ○寺山委員  今回は前回よりプレゼンテーションが少し上がったなと思ったのは、私どもの要望を 入れていただいて、機構がやる事業の優先順位に配慮してお話しされた機構がありまし て、それが評価の参考になりました。私が担当した機構では高齢者の団塊の世代の問題 があって、それについては法改正もあって、それにのっとって、これが重点業務であ る。障害者についても重度障害者、精神障害者の問題が重点である。そういう形の中で 評価するのは質的な評価です。量的な評価はすぐできるんですが、そういうのが質的な 評価の難しさであり奥行きの深さだなと思っています。 ○井原部会長  よろしいでしょうか。ただいま御意見を伺ったのは全体的な話でして、各法人の業務 実績の評価結果については、これでよろしいのではないかと判断いたしたいと思いま す。 ○寺山委員  横並びにしてみるとちょっと気になるのは、高く評価するとか、評価するとか、微妙 に違いますよね。高く評価するのはAで、評価するというのはBなのかと思ってみた り、極めて高く評価するというとSになるとか。 ○井原部会長  これを起草する時には各委員の頭の中に相対的な評価のレベルがあると思うんです ね。それだけですね。法人間の整合性というのは期待できないのではないかと思いま す。 ○川端委員  文章で書いた評価はいいんですが、一覧がありますよね。この結果で平均点が出て、 これで全体のA、B、Cがつけられるのかどうか。単純平均するのではなくて、これは 優先度が高い項目で、これはそれほどでもないという形を最終的に数字で出すのであれ ば、そこのところは十分配慮する必要があるのではないかと思います。最終的に数字と かA、Bで報告されるんでしょうか。 ○政策評価官  集計表の下段に平均を出しておりますが、これは昨年からやめたつもりです。今回は 評価に置き換えてないんですが、数字だけ残ってしまっています。それぞれの項目の重 みというのは均一ではないという前提のもとに、各項目ごとの評価結果については単純 な平均はしないし、全体についても平均した結果AとかBというのは出さないというの が昨年からの方針でして、計算上の平均値については無視していただければと思いま す。 ○井原部会長  それでは、平成16年度の業務実績の評価結果につきましては、各法人と総務省の政策 評価・独立行政法人評価委員会に通知するとともに、これを公表したいと思います。  この後、万が一、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につ きましては、私に御一任いただきたいと存じます。  以上につきまして、そのような扱いをさせていただきたいと思います。 (4)財務諸表に関する意見等について ○井原部会長  では次に、財務諸表に関する意見等(案)の審議に入ります。財務諸表については、 独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することとされてい ます。先ほどの総合的評価書と同様に各法人についての報告を受け、その後5法人まと めて審議したいと思います。  なお、議事運営の関係上、報告時間は5法人合わせて概ね20分程度でお願いいたしま す。  それでは、財務諸表についての意見(案)について、担当の起草委員である篠原委員 からお願いいたします。 ○篠原部会長代理  まず、まとめて5法人について報告しますと、各法人は会計監査人及び監事の監査を 受けていますが、監事及び会計監査人の監査の実施の概要というものを提供していただ いて、妥当であったというこということです。今年失敗したのは、すべての法人から提 出してもらってなかったものですから、来年度からはすべて提出してもらいたい。私が ちゃんとやってるだろうという全般的な印象から提出を依頼しなかったということで、 御了承ください。  5法人から提出していただいた財務諸表等について、前もって私がレビューして、質 問項目を5項目以上出して、各法人と1時間半ぐらい意見交換をしました。そこで決着 のつかなかったものは追加質問とか、ある法人についてはここで夕方5時から8時まで 激論したという過程を経て、いろいろな結論を得ました。  議論したこととか質問の内容を分類しますと、4つぐらいに分けられます。  1点目はクラルカルミスとかイージーミスで、昨年度の11月、ある法人が財務諸表の 記載上のミスを発見しましたが、これは評価委員会としては責任はないと思っていま す。しかし個人的には変なものが出ると、じくじたる思いがあるものですから、クラル カルミスがあるかどうかという点についても見させていただきました。  結果から申しますと、そういうミスの多いところは、評価委員としてレビューすべき ところが薄くなっちゃったなという反省があります。会計監査人も、担当する法人の方 も慣れてないということで、イージーなミスが見られるんですが、民間の有価証券報告 書のチェックは分厚いチェックリストを作られてるんですね。同じようなものを作って きちっとやれば、簡単なミスはそれぼど出てこないのではないか。担当者は防止できな いようなものがあるので、第三者が見て初めて見つかるというのはあるんですが、同情 の余地のないようなミスはなくす方向で体制を組んでいただきたい。  2番目は評価委員の本来の仕事ということで、運営費交付金債務残高とか当期利益と か貸倒引当金とか、さまざまなものについて質問して、分析情報を見て、どうなのかな という検討をしました。いろいろと問題はあるとは思うんですが、全体的には適正であ ると判断しました。  3番目は説明責任というか、言葉を換えると、財務諸表等が一般の人にわからないの ではないか。これはゆゆしき事態で、私にしかわからないのでは問題が多い。こういう 場では財務諸表等はあくまでも基礎データであって、それに対する解説がないものをば らまいたって、ほとんど意味がないのではないかという観点で見ています。そういう観 点からいろんな質問をさせていただきました。  行政サービス実施コスト計算書というのがあります。これは国家が負担すべきコスト です。その部分について最終的な帳尻が、ほとんどのところが負担になるはずなんです が、移行独法の場合は自己収入が多くて、マイナスになるところがあります。これにつ いては国庫納付されるというのが常識的な解釈だと思います。であるのなら、それを最 終的にゼロにするか、マイナスについては、こういう目的で使われるという解説を入れ るべきだという提案をしています。しかし今回は対応してくれたところはありません。  これは投入資源に対してどういう意味があるのかという解説を入れるべきだという考 えがあるんですが、同じ考え方の人が他の省庁にもいます。全部拒絶されています。こ れは会計監査人の横暴ではないか、越権行為ではないかと私は判断してますが、会計規 定等に書かれてないから、そんなものは書かないんだということで、全部おさえられて るんですね。我々はより有用な情報を出すという意味では、そういう部分にも積極的に 取り組んでもらいたい。  アメリカの場合はアンオーディットといって、監査対象外という説明を出すこともあ ります。アメリカのパブリックのマニュアルレポートを見ると、そういう解説があるん ですね。日本の場合は数値ばかりで興味を引かない情報である。誤解を与えないような 説明をぜひしていただきたい。  4番目は損益計算書の臨時損益です。先ほど2法人から固定資産の売却について説明 がありましたが、独法の非常に難しいところで、損益計算書には減価償却がすべて載ら ないんですね。民間ではすべて載るんですが、損益外減価償却費ということで、行政コ スト実施計算書に載る。なぜかというと、国が固定資産の面倒をみる場合は損益外で、 自己収入のあるところが自分の収入で負担するところは損益計算書に載せるという基本 的な考え方があります。  そういう前提で固定資産の除却、売却等が臨時損益にあがっているものを検討します と、極めて疑問に思われる処理があります。これはなかなか意見の一致をみない部分 で、見解の相違とかいろいろあるんですが、理念から判断すれば問題があって、不当な 会計処理であると私は判断しています。  今回、具体的に書いてないのは、財務諸表等監査においては重要性という概念があり まして、今回はそれほど重要性がないだろうということで、適正であるという意見を出 しています。  以上のような状況から、高齢・障害者雇用支援機構以外については同じ文章になって おりまして、「通則法第38条第1項に規定する財務諸表については、平成17年6月30日 付の17高障発第123号のとおり承認することが適当である」。他はこの文章で終わって るんですが、高齢・障害者雇用支援機構だけは、その次に「なお、今後、固定資産除却 損を臨時損益損失に計上することについて、独立行政法人会計基準上の取り扱いを検討 することを要する」という文章を付記させていただきました。関係者には迷惑と時間を かけた上で、ここに付記させてもらいました。  財務諸表上、そういう状況にありますが、全体としてはこの意見書の文章でよろしく お願いしたいと思います。以上です。 ○井原部会長  ありがとうございました。では、ただいま御報告いただきました5法人の財務諸表に 関する意見(案)について、御意見等がありましたらお願いします。 ○井原部会長  それでは、修正意見がないようですので、平成16年度の財務諸表についての意見書と して、このまま厚生労働大臣に提出したいと思います。  なおこの後、万が一、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応 につきましては、私に御一任いただきたいと存じます。 (5)その他 ○井原部会長  それでは、きょうは珍しく時間がありますので、今後の評価に向けて何か御意見があ れば伺っておきたいと思います。 ○川端委員  きょうの評価で、自分の担当しているところはいいんですけど、そうじゃないのはき ょう示されて、見てすぐというのは無理なので、あらかじめ送っていただいて、自分の やったものと照らし合わせて確認するとか、そういう時間をいただきたいと思います。 ○篠原部会長代理  自己評価と我々の評価との関係なんですが、ほかの分科会でも自己評価に引っ張られ るという意見があって、ここでも言われてました。なんで自己評価を示したかという と、第1回目は自己評価を示さないで我々は評価したんですね。第1回目は我々が評価 を終わってから自己評価を出してくれたんですね。結果としては全然違うんじゃなく て、自己評価よりちょっと厳しいところをいってたんですね。自己評価に引っ張られる んだったら見ないほうがいいのかなという気もします。 ○井原部会長  これは労働部会の事項ですか、総会の事項ですか。 ○政策評価官  総会で議論していただく事項にはなりますけど、今月末に総会もございますので、そ の場で議論していただくこともできようかと思います。 ○井原部会長  ほかの部会もやり方は同じになってるわけですね。 ○政策評価官  同じになっております。 ○寺山委員  労災病院もそうですが、病院がたくさんありますよね。先ほど適切なデータが出てい るかどうかというお話がありましたが、私もそう思います。機構が掌握している範囲を 細かにおろしていただいて、それぞれの事業所ごとにいろんなデータを出していただく と参考になると思います。 ○井原部会長  ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、本日御審議いただいた総合的評価と、財務諸表についての意見につきまし ては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づき、当部会の決 定が評価委員会の決定となり、法令に基づく通知先への通知、公表等の手続が行われる こととなります。  それでは、以上をもちまして会議を終了させせていただきます。本日は長時間にわた り、また、8月中にわたり独立行政法人の評価について熱心に御議論いただきまして、 ありがとうございました。                                     <了> 照会先  政策統括官付政策評価官室独立行政法人評価係  電話:03−5253−1111(内線7790)