05/08/16 社会保障審議会介護給付費分科会介護予防ワーキングチーム第3回議事録 社会保障審議会 第3回介護給付費分科会介護予防ワーキングチーム議事録 1 日時及び場所 : 平成17年8月16日(火) 15時から17時           全社協 灘尾ホール 2 出席委員:井形、大内、大川、開原、高橋、栃本、吉池の各委員        川越、辻委員は欠席 3 議題  (1)介護予防訪問介護の基準・報酬に関する論点・基本的考え方につい て  (2)その他 ○ 渡辺企画官より資料に沿って説明。 (吉池委員) 5ページの下の図をみると、軽度者ではほとんどが「身体介護」も混合型で 行われているというようなことの読みになるということでよいか。 (香取振興課長) これは、請求上の区分の問題で、基本的には1回の訪問で「身体介護」と 「生活援助」と両方算定しているケースというのが真ん中の白い部分で、平 成15年以前の報酬上は「身体介護」と「家事援助」を同時にやった場合に複 合型という請求コードがあったので、それがまだ考え方としてで残っている ためにこうなっているが、要支援の場合「身体介護」として算定してくる部 分は、4〜5%程度ということになる。 (吉池委員) この図が、18ページで説明されていることを反映していると考えると、身 体介護中心型は30分未満で231単位ということだが、複合的に行われた場合 は、たとえそれが10分プラスでやった場合も231単位が加算されるのか、そ れとも複合型として違う整理がされているのか。 (香取振興課長) 2ページに報酬上の評価ということで、「身体介護」で「30分未満」「1 時間以上」という単位が付いているが、今の話では、平成15年4月以前の改 定では「身体介護」と「生活援助」が混じっているものが別の類型をつくっ てあったが、今はそれぞれ分化して請求するということになっている。例え ば、1時間30分あって、そのうち「家事援助」1時間、「身体介護」30分 であれば、30分と1時間でそれぞれ算定する。 時間を超えると単位が逓減になっているから、1時間のベースで例えば、 1時間「身体介護」があって、次に30分乗るときは、83単位を追加してい くという形で、全体としては1時間30分の中を2つに割って、乗った30分 は追加の83単位で請求するという逓減の形で請求するようになっている。 (吉池委員) 18ページの区分のところで提案されているのは、その辺を一体的に扱って 足し算をしないという理解でよろしいか。 (栃本委員)  提出した資料は、「積極的介護」ということについて、1995年にドイツで 介護保険が始まる前に、ドイツの介護指針について翻訳したものや、「『要 介護状態のメルクマールと介護等級の設定および要介護認定手続きに関する 介護金庫中央協議会指針』」という1994年11月に出されたものである。 3ページ下の「介護の目的」という部分で、「要介護状態は定型化され、 少しも変化しないというような固定化された状態ではない。要介護状態とは、 予防的処置、治療上(セラピー)の処置、リハビリ処置、さらには、積極的 介護により影響を受け、変化するプロセスなのである。積極的介護は、リハ ビリの処置と共に介護を必要とする人が、介助を必要とするとはいえ、可能 な限り広範にわたり自立した日常生活を送れるように、あるいは、再び自立 した日常生活ができるようになるのを助けるものでなければならない。この 時、特に以下の点が達成されるよう努力されなければならない」ということ である。 また、対象となる活動ということで、具体的な介護行為のパッケージが示 されていて、ドイツの介護保険法の中に「積極的介護」がきちんと位置づけ られていることと同時に、具体的にそれを実施する際の介護指針というもの を定めているが、その中に載っている。それは本来やっていたことをやるよ うにするというものと全く同じ基軸にあるものである。 1ページのものは、通常のドイツの看護、介護に関する教科書などに出て いるもので、「消極的介護」「権威的介護」「保護的介護」に対して、「積 極的介護」というのは、障害者や児童に対するケアの際、重要だと言われ、 障害者であるとか高齢者の場合には、アクティベートする介護ということで、 「積極的介護」自身が介護サービスの質を定めているという理解になってい る。 この「積極的介護」を進める際、最初は少し手間がかかる。余り時間枠で とらえられると、「積極的介護」はできず、「保護的介護」「消極的介護」 「権威的介護」の方が時間的には短く済むことが示されている。 1ページ目はフライ・ゾチアルスタチオンからの抜粋で、看護や介護の教 科書的なもの、ないしはさまざまなところで積極的介護についての基本方針、 また具体的な内容、取扱いの注意事項があります。したがって、基準の中で も表現は別にして、やはり「積極的介護」というものを念頭に置いたもので なければいけないと思っている。 もう一つは、前回の議論にあった基本部分であるが、基本部分ではアクテ ィベートする介護が行われなければいけないし、それと併せることによって、 初めて個々の選択的なケアが生きてくると考える。 (大内委員) 栃本委員の話のように、できるだけそういう積極的な介護の方向に転換す るのは必要だと思うが、今のホームヘルプサービスの現状を見ると、どうし てもサービス受給者のニーズに合わせる形になっているので、いかに実際に 担当者がそういう意識を持ってやるように現場を変えていくかというのが非 常に難しい。運営基準とか効果的な支援方法にそういう精神規定を入れるだ けで変わるかは疑問である。 (栃本委員) 別の検討会で行われている介護従事者の研修体系の見直しというところで、 アクティベートするケアというものの重要性が書かれているが、ヘルパーの 実際の業務を見ると、これが十分行われているわけではないと思う。 その際、このような形で教育の場面でするということがすごく大切であり、 これはそれほど困難なことではないと思う。むしろ、「積極的介護」をしな ければいけないとなると、ケアマネジャーの責務になりがちな点が問題であ り、個々のできるようにするということは、ヘルパーなど現場に任されてい る部分であり、ケアマネジャーが幾ら査定したりアセスメントして何かつく って指導しても難しいと感じている。 そもそもケアの指針をきちんと定めることが重要であり、目標志向という ことも含めて、介護標準として定めることが大切で、このような指針の中に 書くということに意義があるし、それによってこういうサービスはこういう 意味で行っているということを消費者にも示すことになると思う。 (井形座長) 介護予防訪問介護では、今までの「家事援助」の考え方を変えようという ことは結構だが、実際の柱である、運動機能、栄養改善、口腔衛生の3つは 通所だけでは十分でないし、家庭生活でこそ定着する必要があると思うので、 その辺りの取扱いにウェートを置いた方がいいのではないかと感じている。 (大内委員) 栃本委員の意見に賛成で、基準として明示するのと同時に、現在従事され ている方たちの意識啓発が必要と思う。 そのときに、ホームヘルプサービスに従事される方たちに関して、新しい 考え方について周知を図っていく手段はどうするのか。 (香取振興課長) 一般の介護職員は今、ヘルパーであればヘルパー2級という資格があり、 これが事実上ホームヘルパーの標準任用資格になっている。 施設等でも介護福祉士の資格を持っている方は3割ないし4割程度で、そ れ以外の方はヘルパー2級ないしは同程度のレベルの方ということになるが、 全体として個別ケアをきちんとやっていく。あるいは他職種連携の体制を取 る。あるいは認証、その他そういった体制が取れるようにということで、現 在のヘルパーでいえば130 時間のレベルの研修では不十分であり、全体とし て、介護福祉士のレベルを標準任用資格に持っていくということをまず大目 標として掲げて、在宅の場合は、底上げを図るという趣旨で、介護職員基礎 研修(仮称)という研修資格を、おおむね500 時間程度の研修時間で研修内 容の充実を図る。また、現在のヘルパー2級の方についても、順次その方向 へ持っていくということで、この研修の中で、これから新しい形で従来の三 大介護中心の介護から個別ケアあるいは認知症の対応ができるレベルに変え ていくということで、介護職員、特にヘルパーについて研修内容の充実を図 っていくことを考えている。 また、ヘルパーの場合、一定人数以上の訪問介護員を用意している事務所 には、サービス提供責任者という、現場の管理をする方が配置されていて、 サービスの中身の管理をすることになっているが、全体としてレベルを上げ ていくためにも、こういった方々の業務内容あるいは現場の職責についても 見直しが必要と考える。 (開原委員) 訪問介護を一生懸命やってしまえば、結局引きこもりを奨励するような形 になるから、訪問介護から離脱して通所介護の方に行くようにすることが必 要ではないか。 介護予防の場合の訪問介護では、何とかして通所介護に誘い出す、橋渡し をするところが一番大事なことで、そこが通常の訪問介護とは根本的に違う のではないかと感じているので、訪問介護をやる人に対して、その教育をう まくやらないと、介護予防がうまくいかないのではないか。 (井形座長) 訪問介護を出来るだけ通所に回そうというアイデアがあって当然だと思う が、通所でその人が要求している介護予防が全て実現するかというと、通所 では時間も限られているし、実際の生活に取り込むにはやはり自宅も大事で あるので、その辺りをうまく指導できればいいと思う。 (吉池委員) 通所を中心としながら、どう訪問を予防的観点からつなげていくかという のは大事なことで、通所で3つのプログラムがある中で、特に栄養というの は日々の食事そのものなので、通所でカバーできない生活の場での、よりき め細かな、本人のできることを助けるようなことにつながればいいと考える。 そういう意味では、21ページ「地域サービスとの連携の確保」で、配食サ ービスの利用とかその他地域のリソースを活用しながら、その人のより望ま しい食生活の実現とあるが、この辺のつながりがもう少し見える形での整理 が必要ではないかと思う。 (栃本委員) 新予防給付でのホームヘルプサービスというのは、きちんと目的があって 行わなければいけないということだが、一般的にこれから介護保険から提供 しなければいけない部分と、介護保険以外で「家事援助」に係る部分はニー ズとして出てくると思う。 これから団塊の世代を始め、それぞれのライフスタイルを築いた人が高齢 化していけば、要支援や要介護1の家事代行の市場が大きく伸びるのはやむ を得ないことだと思う。 ただ、実際に認定審査会をやっていると、要介護1では支給上限額まで全 部訪問サービスを使っていることもなく、支給限度額の範囲内でサービスを 利用して生活のリズムをつくって生活している感じがしていて、学問的では ないが廃用症候群になることは余りないと思う。 新予防給付と介護給付のホームヘルプサービスの使い方の違いについて、 この区別はなかなか付けがたいため、そういう意味では、パッケージ化とい う考え方については、新予防給付部分だけでなく検討してもいいのではない か。 もう一つは、通所サービスと訪問介護の組み合わせをどうつくっていくの かということだが、新予防給付全体のパッケージとして考えるべきと思う。 ただ、その場合、それを全面的にケアマネジャーにさせることには問題が あるので、ある程度枠組みを示した上で、枠組みで収めることのできない個々 の事情を考えるのがケアマネジャーとした方が、新予防給付の理念が効果の ある形で実現できると思う。 (高橋委員) 今回の新予防給付というのは、包括的な介護予防マネジメントのプロセス で、要するに非該当者から一環したケアの中で新予防給付に移行していく中 で、訪問介護をどう位置づけるかという議論がある一方で、新予防給付対象 者の状態像が示されてはいるが、実際のスクリーニングで出てくる新予防給 付の対象などがまだ手探りの中で議論をしているので、どうも分かりにくく なっている。 しかし、継続的なケアマネジメントのプロセスの中でこれをどう位置づけ て、それにふさわしい報酬の考え方をするかというのが本筋で、これからの 大きな流れとしては、通所が主になって、訪問介護が補完するというモデル が主流の利用モデルになるのではないだろうか。 そうすると、その中で訪問介護の中身をどう設定するかという議論になる と思ったのだが、現実には単品ケアモデル利用者が、移行していくときに、 起こる問題の議論が先にきている。 ここでは、これから主流になるモデルを想定しながら議論することが本題 であり、恐らくパッケージ化がふさわしいと考える。 今までの家事代行型というのは、生活が壊れてしまったところに社会的な 介入が入ってくるというモデルとしてのホームヘルパーの仕事だったのが、 予測をしながら適切に介入するというモデルに移行することになり、これが 新予防給付の非常に積極的な意味なのではないかと思う。 (栃本委員) 実際の給付状況から見て、軽度者が通所サービスを使う傾向は顕著になっ ていることは事実であるが、それによって訪問介護の役割が無くなることは ないだろう。 高橋委員が指摘したような、生活が壊れてしまったり、生活の構造ができ ないような形で在宅で暮らしている人というのは結構いるわけで、そういう 意味で訪問による援護が必要な人たちはいるわけである。 通所の方にシフトしていくことは賛成であるけれども、仮に訪問介護サー ビスがパッケージ化されると、もう少し利用者にとってわかりやすく、効率 的なホームヘルプサービスが提供されるようになるから、時間単位という形 からパッケージ化にシフトした方が、利用者にとってもサービスを提供する 側にとってもわかりやすいし、報酬上の支払いも楽だと思う。 しかも、コンパクトになり費用削減もできるし、効率的になると思うので、 先ほど話したように、通所とホームヘルプサービスの組み合わせに何か工夫 があってしかるべきと思う。 (大川委員) 12ページ上段の記述は、非常にわかりやすく表現されていると思う。 1つは、現状の介護サービスの現場では、ともすれば「利用者ができない ことを介護者が補う」という形でサービスが提供されてきたということの問 題点。 それから、今後は、利用者とともに利用者の「できること」を発見して引 き出し、利用者の主体的な活動と社会的参加を高めるということでケアを行 うということだが、これは介護予防訪問介護の場合にも、できないことを補 うということではないということはきちんと認識すべきではないかと思う。 14ページの検討課題として具体的に提示した「『介護予防訪問介護』は、 利用者が通所系サービス等を通じて生活機能の改善を図っていく中で」の後 は、一番最後の行の「在宅生活の中で定着されるようにしていく」につなが るのではないか。 つまり、通所系でよくしていこうというところを、具体的に自宅で定着す るという役割が1つ。それと、もう一つは、やはりその途中でできないこと があるので補うということで、訪問介護でもよくするんだということをもっ と強調するほうがよいと思う。 その目的として、よくするという観点と補完の2つがあるが、別々に行わ れるわけではなくて、基本的には補っている場合もよくするという観点が補 完をするというところを、もっと強調した方がよいだろうし、これが訪問介 護としての位置づけだろうと思う。 それではどのように変えていくのかということについて、やはり1つは専 門職の教育だと思う。 2点目は、よくする介護について、専門家にも一般の国民にも啓発を徹底 してやるべきではないかという点で、これは専門官や行政の義務と思う。 3点目は、アセスメントをもう少し具体的に詰めていいのではないかとい う点で、いろいろなアセスメント票ができているが、もっと検討できる余地 はたくさんあると思う。 次に通所系との関係を、きちんと整理すべきであり、通所でよくして訪問 介護は補完ということではなく、むしろ訪問介護は実生活の場所で行うもの であって、通所は実生活の場所での生活行為や参加をよくするものなので、 幾ら通所で頑張っても、訪問介護でどう介護するかによって全然効果は違っ てくるから、そこの連携がうまくいくような関係を組み立てるべきである。 もう一つ、介護予防と介護給付の具体的な介護サービスの差があるのかと いう点について、基本的には介護給付の場合においても、よくする介護とい う観点は強調されるべきと思う。 介護予防では、廃用症候群モデルが重要な対象とされているが、廃用症候 群モデルというのは、山が幾つかあり1度落ちても、きちんとアプローチを するとまた上がるという、下から上の矢印があるわけだが、それは本体給付 の場合もきちんとやれば上がるということがあるわけで、介護給付本体の議 論のときにも、このような観点は考えてもらいたい。 こうして考えると、介護報酬については包括でいいのではないか。ただし、 廃用症候群モデルで、1度よくなった後で、また悪化した場合にどうするの かということは、常に考えなければいけないだろうと思う。 (井形座長) いろいろ問題が明らかになってきたが、やはりケアマネジメントの改定なし に無条件に一定の月数を超えたら介護報酬を逓減することはあり得ないだろ う。 (栃本委員) 18ページにある「利用者の状態が改善した後の長期における不適切なサー ビスの利用を適正化」という場合の「利用者の状態が改善した」というもの の定義はどういうものを想定しているのか。 (香取振興課長) 5ページの要介護度別の請求回数の表で「要支援」「要介護1」の場合、 生活支援が中心ということになるが、生活支援だけについて要介護度別の給 付を見ていくと、要介護度とは正相関にはなっていないということで、実際 のサービス利用を見ると、要介護度とは別の要因で生活支援の必要度が決ま っていると考えられる。 例えば、通所サービスで要介護度が改善するということが、そのまま家事 援助を減少させることにつながるかというと、必ずしもそうではないだろう が、状態改善の可能性について、常にヘルパー側がコンシャスであるという ことが要求され、常に改善可能性がいろんな形で見つけられると考えれば、 デイのときと同様に、漫然と同じようなサービスを何か月も続けることにつ いては、やはり一定の問題意識を提起することが必要なのではないか。 (栃本委員)  生活支援についての利用が要介護度と比例していないのは、もともと要介 護度は施設を中心にしてつくったものだからであり、生活支援が軽度者によ く使われているというのは、まさに在宅でこそ必要なものということであろ う。 だから、生活支援を無駄に使っているという意味ではないと思うがいかが か。 (香取振興課長)  説明が不十分だったかもしれないが、むしろ問題は、もしそういう意味で 「生活援助」が必要とすると、要介護度にかかわらず一定の量の生活援助が ホームヘルプサービスで提供されているというデータが出ないとおかしいと いうことになると思っている。   (栃本委員)  要するに改善したというのはサービスを使わなくなったというのが一番の ポイントではないのか。中間評価項目が10点下がったとか上がったとか、そ ういうことではなくて、使わなくなったというのが一番重要なメルクマール と思うが、そうではないのか。 (香取振興課長) そうではあるが、要は使わなくなったときにちゃんとサービスが減ってい かないといけないと考えている。 (高橋委員) 身体機能・生活機能の維持・向上と家事援助の関係というのは、その間に 生活様式という媒介が入っており、やはりケアマネジメントの問題としてど う整理するかだと思う。 (開原委員) この介護報酬と状態改善との関係は、離脱することが一番望ましいが、そ れは介護報酬を包括化しても難しいだろう。例えば、訪問介護をやっていた 人たちが通所になって、それで元気になって更に通所も要らなくなれば一番 理想だが、どうやってインセンティブを働かせるかを考えないと、全体の予 防介護がうまくいかなくなるのではないか。そのための方法は幾つかあるだ ろうが、経済的に誘導するということは、介護の場合には難しいと思う。 それではケアマネジャーにインセンティブを強く持たせて指導するという やり方があり、これはうまくいくかもしれないと思うが、今のケアマネジャ ーがそれだけのインセンティブを持って強力にプランをつくれるかという問 題があると思う。 一番いいのは、利用者本人がインセンティブを持つということで、そのた めに利用者に対して何らかの成功報酬的なものを与える仕組みを組み込む必 要があると思う。例えば、サービスから離脱したときには、みんなで表彰す るとか、何か社会が評価することによって離脱へ誘導するようなことを考え る必要があるのではないか。 他にも、自分が使わなくなったサービスを将来のためにためておくような 仕組みがつくれないだろうか。サービスを使わなくなったらその分を将来の 支払いに交換できるようなシステムをつくっていかないと、この介護予防の 話はうまくいかないのではないかと感じている。 (栃本委員) 包括化によって身体介護と生活援助というサービスを一本化することと、 ともにやるケアという形で自分でもできるようにすることにより、サービス を減らすことは可能になると思う。 つまり、包括化の意味がある部分、時間設定から離れないと、介護の形を 変えることは難しいから、事務局が提案した時間設定を外すということがな いと、これは非常に難しいと思う。 もう一つは、月単位の包括化ということで考えたら、例えば実際には昨日 からもう使わなくなったとしても、その分包括的にお金は事業者に入ること になり、それがいいかどうかは別として、ある種の成功報酬と考えられなく もない。 (開原委員) 包括化の一番最大の危険は、サービス提供の量に関わらず一定の金額がも らえるということにより、サービスを提供する人たちが手を抜いてしまうと いうことだと思う。 (栃本委員) ただ、個々の介護のパッケージの中に一連の介護行為というのは入ってい るわけで、それは行わなければならないと考える。 (開原委員) 結局、今のパッケージを最低何回やらなければいけないとか、うまくコン トロールすることを考えないと、必ずサービスの質の低下を来すと思う。今 の包括化に反対しているわけではなく、包括化をしたときにどうやって質を 担保するかというメカニズムを組み込んでおく必要があるということである。 しかし、仮に包括化しても、できるだけサービスから離脱してよくなろう とするインセンティブとはならないと思うので、インセンティブはまた別な 形でどこかにつくらないといけないと思う。 (大川委員) 介護予防としての訪問介護は、現状で行われているものだけではなく、も っと広いのではないか。活動と参加のレベルをよくするための訪問介護とい うことを考えると、いかに生活を活発化させるかということで、支援する内 容も大事になってくると思う。そうすると、サービス区分は今のように「生 活援助」「身体介護」「通院等乗降介助」ということだけにすると、大事な ことに対する支援が行われない危険性もあるので、サービス区分は一体化し た方がいいのではないかと思う。 また、「身体介護」と「生活援助」は両方とも生活行為であり、大きな差 はないのではないかとも考える。 次に、インセンティブについてどうするかという問題は、ケアマネジメン トをチーム全体として行っていくことが大事であって、不自由なことがある から訪問介護でということではなくて、訪問介護もよくするんだという観点 でいくと、「するようになる生活行為」というところで、具体的に目標を統 一できると思う。 生活行為はたくさんあるわけで、参考資料10ページの「新予防給付アセス メント項目一覧(案)」で29項目あるが、これを介護支援専門員がきちんと 評価をして本人も家族とともにいろんな希望だとか現状を提示されるから、 その内容が訪問介護員にもきちんと情報として提示する必要があるのではな いか。 次に11ページの「得意なところ、強いところを一緒に探してみましょう」 というアセスメント表では、項目ごとに全部見るのはしんどいと思うが、「背 景・原因の分析と改善(維持)の可能性の評価」では、一個一個の生活行為 に関して介護支援専門員が評価し、活用すればこれによってよくしていると か、かなりよくわかるのではと思う。 (高橋委員)  気にしているのは、介護予防で介入できる時間は、全体の生活像のうちご くわずかだろうと思っており、生活機能改善というのは、全体の生活を管理 するわけではないということである。 生活全体を丸ごとつかまえようとすると、かえって新予防給付でやるべき ことがぼけてくるのではないかと思う。 (栃本委員) 15ページの「介護予防訪問介護においてホームヘルパーが利用者に代わっ て支援を行う生活行為の内容は、新予防給付のケアマネジメントの過程で、 個別に具体的に明確化されることになっている」とはどういう意味か。 (香取振興課長) これは、参考資料の9ページで、基本的には、生活行為を主体にアセスメ ントして、結局、新予防給付全体としてどういう長期目標、短期目標を設定 して、その目標設定のために必要な支援としてどのようなことを行うのか整 理していく。そうすると、この中で本人が努力すべきこと、地域や家族が支 援すること、保険あるいはそれ以外の公的サービスで対応することなど、あ る程度目標に沿ってそれぞれ提供するサービスの役割分担を出していくので、 このマネジメントのプロセスの中で整理されるということになる。これによ り、ヘルパーが全体のサービスの中でどういう役割を担うのかということが、 ある程度明確にされると思っており、それを踏まえて整理している。 (栃本委員) その場合、支援を行う生活行為という意味でのパッケージとは関係ないと いうことか。 (香取振興課長) それぞれどういうサービスを、どのように提供するかということをタイム テーブルに落とすと、15ページの「週間支援計画表(案)」になる。 報酬について仮に包括で払うと考えれば、この計画表に関係なく、一月の 報酬として幾ら払われるとなるので、ケアプラン上どのようにヘルパーの役 割分担が決まるかということと、報酬の中身とは関係していないことになる。 (栃本委員) 18ページから19ページの通院等の部分で、パッケージ化するのであれば、 当然3つというのは一緒の枠の中で考えないとおかしいと思う。 (井形座長) 介護保険導入のときに、混合型というのを入れて途中でやめた経緯がある が、今回の提案は予防介護だけに該当すると考えてよいか。 (香取振興課長) まず現状では「通院等乗降介助」は要支援者は給付の対象外である。ここ での論点は、現在の要介護1の中で要支援者ができるので、新予防給付にお いても「通院等乗降介助」を、従来どおり提供するかどうかが1点と、仮に するとなった場合に、どういう取扱いにするか。先ほどの議論のように、パ ッケージの中に入れるか、別立てにするかという両方の議論があると思う。 (大内委員) 閉じこもりなどの話もあるので、外出の支援も必要になるケースはあると 思うので、できるだけ柔軟な形で新しい介護予防で一体的に見られるように した方がいいのではないかと思う。 あと先ほどのインセンティブの話について、前回の通所系サービスのとこ ろではサービスの離脱を評価指標として事業所単位でというのは大体合意さ れたところだと思うが、通所系サービスだけが御褒美が出て、ほかのところ には逆に逓減制の話が出てくるというのは、整合が取れていないと思う。 (高橋委員) 「通院等乗降介助」は、モデル事業等で本当に必要なものがどのぐらいか というデータが必要だと思うが、少なくとも新予防給付の対象者について介 護保険給付で見るべきか疑問がある。先ほど閉じこもり予防の話があったが、 それは地域活動というべきで、それをすべて介護保険の中で片付けようとい うのは、介護予防機能の過大解釈であって、従前の生活の中で必要なものを それぞれの判断でどうするべきかという世界と、介護給付をどう使うかにつ いては少し抑制的に議論をしないといけないと思う。 (栃本委員) 21ページの「?地域のサービスとの連携の確保」で、「家事のうち、地域 の支え合い・支援サービスや他の福祉施策で代替できるものについては、ケ アマネジメントにおいて、当該代替サービスを利用することを基本とすべき である」とあるが、これは実現可能性から言うと、「?同居家族等の環境と の関係」の場合は、家事援助を外から買うとか、ほかのものでやるというこ とでいいだろうが、「積極的介護」という基本指針についてよく考えて整理 した方がいいと思う。 (井形座長) 聞いていて、介護保険導入のときにこういう議論をすべきだったと今思っ ていて、いつも言うように、まさに走りながら考えるということであろう。 その代わり、実際やってみて、おかしいことが起こったらすぐに変えると いう姿勢が必要ではないだろうか。 (中村老健局長) この訪問介護サービスは、前回の通所介護、それから次回の用具と並んで、 3つの大きな分野だが、つい先頃も東京都の23区の話では、軽度の人の訪問 介護サービス乱用が目立つから、適正化をきちんとやってほしいという意見 があったばかりである。 何でも切ればいいというものでもないかもしれないが、実際に現場の担当 者はそういう点で非常に苦労をしているという点も、厚生労働省として受け 止めて検討していきたい。 ○井形座長より閉会の宣言。 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)